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特開2024-59726マルチスペクトルフィルタアレイ上の不透明開口マスクとしてのフォトレジスト
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  • 特開-マルチスペクトルフィルタアレイ上の不透明開口マスクとしてのフォトレジスト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059726
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】マルチスペクトルフィルタアレイ上の不透明開口マスクとしてのフォトレジスト
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20240423BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20240423BHJP
   G01J 3/51 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
G02B5/28
C08L79/08
G01J3/51
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021912
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2023037431の分割
【原出願日】2018-09-12
(31)【優先権主張番号】62/557,909
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ケビン アール. ダウニング
(57)【要約】
【課題】好適なマルチスペクトルフィルタアレイ上の不透明開口マスクとしてのフォトレジストを提供すること。
【解決手段】装置(例えば、マルチスペクトル光学フィルタアレイ、光学ウエハ、光学構成要素)は、その上に直接印刷された開口マスクを有し、開口マスクは、ポジ型またはネガ型フォトレジストを含む。本装置は、基板の一部にわたって開口部を提供するように、基板の光入射面または光出射面のうちの少なくとも一方の上に印刷された開口マスクを有する、基板を含む。それから開口マスクが形成されるフォトレジストは、感光性または非感光性であり、基板上に開口マスクを形成するように堆積/印刷される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年9月13日に出願され、「PHOTO RESIST AS OPAQUE APERTURE MASK ON MULTISPECTRAL FILTER ARRAYS」と題された、米国仮出願第62/557,909号の利益を主張する。2017年9月13日に出願され、「PHOTO RESIST AS OPAQUE APERTURE MASK ON MULTISPECTRAL FILTER ARRAYS」と題された、米国仮出願第62/557,909号は、参照することによってその全体として本願の明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、光学技術、光学フィルタ技術、分光技術、および関連技術に関する。
【0003】
高いスペクトル選択性を伴う光学フィルタは、異なる屈折率値を有する2つの(またはそれを上回る)組成材料の交互層を伴う層のスタックを使用して製造されることができる。そのようなフィルタは、時として、干渉フィルタと呼ばれ、設計される通過帯域、阻止帯域、高域、または低域出力を提供するように設計されることができる。通過帯域フィルタに関して、通過帯域の幅は、典型的には、たとえ可能性として、ピーク伝送波長においてある伝送損失を伴う場合でも、スタック内でより多くの層周期を使用することによって、所望に応じて狭小に作製されることができる。ノッチフィルタが、阻止帯域を遮断する、ブラッグ反射器を形成するように層のスタックを構築することによって、同様に設計されることができる。層スタックは、伝送されるべき波長または波長の範囲に関して光透過性であり、例えば、可視スペクトル内で動作する光フィルタのためのガラスプレートであり得る、基板上に堆積される。これは、その構造的堅性が基板によって提供される、フィルタプレートをもたらす。
【0004】
そのような光学フィルタでは、所与のフィルタプレートは、単一の明確に画定される通過帯域または阻止帯域において動作する。スタックの層は、典型的には、通過帯域または阻止帯域に関して規定される波長および帯域幅を満たすような精密な厚さを有することが要求される。
【0005】
しかしながら、プレートの異なる面積の中に異なる通過帯域または阻止帯域を提供するために、制御される様式で、層堆積の間または堆積後処理によって、基板プレートを横断して層厚を変動させることは、困難または不可能である。そのような配列は、分光計、スペクトル分析器、または他の「マルチスペクトル」用途のために有用である。
【0006】
フィルタアレイは、異なるフィルタ特性(例えば、異なる通過帯域または阻止帯域の波長および/または帯域幅)を伴うフィルタプレートのセットを加工することによって、本問題に対処する。フィルタプレートは、次いで、ダイカットされ、細片の形状のフィルタ要素を形成する。これらの細片は、次いで、所望されるパターンでともに接合され、フィルタアレイを形成する。結果として生じるフィルタアレイは、時として、接合構造要素(ここでは、フィルタ要素であり、参考として、実際の集成材の場合では、木材要素)のその類似性に起因して「集成材」と称される。本アプローチは、フィルタアレイの各フィルタ要素の光学特性を他のフィルタ要素のものから切り離し、単一のフィルタアレイ内でのフィルタ要素の実質的に任意の組み合わせを可能にする。
【0007】
光学技術では、視認されるべき画像が、明るすぎる場合、迷光が、明光の面積を隣接する暗面積の中に滲み込ませ、明面積と暗面積との間の境界を不鮮明に、または排除し得る。これは、特に、照射が、事実上、分離する暗面積を消滅させ得るため、2つの明面積が、狭小な暗面積によって分離されるときに問題となり得る。これは、いかなる有意な詳細も見られるためには多すぎるグレアが存在する状態をもたらし得る。
【0008】
前述の問題を緩和させるために、開口マスクが、多くの場合、使用される。多くの場合、暗い色である、マスクが、フィルタアレイにわたって設置され、マスクは、その中に開口を含有する。適切に構築され、位置付けられる場合、開口マスクは、まぶしさおよびグレアを大いに低減させ、照射を低減させ、回折効果をなくし、それによって、コントラストを改良し、明面積の暗面積の中への望ましくない滲み込みを回避する。概して、開口マスクは、大きい範囲の分解能を、開口マスク内の開口と同一のサイズを有する、閉塞されていない屈折器の分解能まで低減させることによって機能する。しかしながら、多くの場合、いかなる詳細も欠いている明画像の代わりに低減された分解能を伴うシャープな安定した画像を有することが、望ましくあり得る。開口マスクの使用は、本所望されるシャープな安定した画像に大きい範囲を提供する。
【0009】
従来、開口マスクは、光学コーティング自体と類似する方式で堆積される。第1の層が、光学コーティング上に堆積される。化学化合物が、次いで、所望される開口に対応する設計で、第1の層に適用される。これは、第1の層上にマスクを形成し、残存するべきそれらの部分をマスキングする。エッチング化合物が、次いで、適用され、これは、第1の層の非マスク部を除去する。化学化合物が、次いで、好適な化学薬品の適用を介して除去され、第1の層から形成される開口マスクを残す。本プロセスは、その上に開口マスクが印刷された光学ダークミラーコーティング(DMC)によるコーティングの使用を要求し、さらに、化学薬品に関する、温度および応力および長いリフトオフプロセス等のある条件を要求する。
【0010】
したがって、光学DMCコーティングの必要性を排除し、化学薬品における温度および応力および長いリフトオフプロセス等のコーティングのために要求されるある条件を排除する、開口マスクを提供することが望ましいであろう。いくつかの改良される開口マスクが、本明細書に開示される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、その上に堆積/印刷された開口マスクを有する、方法および装置(例えば、マルチスペクトル光学フィルタアレイ、光学ウエハ、光学構成要素)に関する。
【0012】
種々の実施形態において開示されるものは、基板の一部にわたって開口を提供するように、基板の光入射面または光出射面のうちの少なくとも一方の上に印刷された開口マスクを有する、基板を備える、装置である。開口マスクは、フォトレジストを含む、または言い換えると、フォトレジストから形成される。
【0013】
フォトレジストは、不透明であってもよい。特定の実施形態では、基板は、開口マスクと、開口マスクが印刷された光入射面または光出射面のうちの少なくとも一方との間に光学コーティングを含まない。開口マスクは、基板の光入射面および光出射面の両方の上に印刷されることができる。
【0014】
膜コーティングされる基板は、マルチスペクトル光学フィルタアレイ、光学ウエハ、または別の光学構成要素であることができる。
【0015】
フォトレジストは、ポジ型またはネガ型であることができ、感光性または非感光性であることができる。
【0016】
膜コーティングされる基板を提供するステップと、基板の一部にわたって開口を提供するように、膜コーティングされる基板の上部または底部のうちの少なくとも一方の上の光学コーティングの上に開口マスクを印刷するステップと、フォトレジストを堆積させるステップであって、フォトレジストは、印刷され、基板上に開口マスクを形成する、ステップとを含む、方法もまた、開示される。
【0017】
本方法はさらに、基板上に堆積されたフォトレジストを硬化させ(例えば、紫外線ランプを介して)、それによって、その上に開口マスクを形成するステップを含むことができる。
【0018】
本明細書にまた、開示されるものは、その上に不透明開口マスクが印刷されたフィルタ要素基板を有し、開口マスクがフォトレジストから形成される、マルチスペクトル光学フィルタアレイである。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
光学装置であって、
基板であって、前記基板は、前記基板の一部にわたって開口を提供するように、前記基板の光入射面または光出射面のうちの少なくとも一方の上に印刷された開口マスクを有する、基板
を備え、
前記開口マスクは、フォトレジストを含む、光学装置。
(項目2)
前記フォトレジストは、不透明である、項目1に記載の装置。
(項目3)
光学コーティングが、前記基板と前記開口マスクとの間に存在しない、項目1-2のいずれか1項に記載の装置。
(項目4)
前記開口マスクは、前記基板の光入射面および光出射面の両方の上に印刷される、項目1-3のいずれか1項に記載の装置。
(項目5)
前記基板は、マルチスペクトル光学フィルタアレイと、光学ウエハと、光学構成要素とから成る群から選択される、項目1-4のいずれか1項に記載の装置。
(項目6)
前記フォトレジストは、感光性である、項目1-5のいずれか1項に記載の装置。
(項目7)
前記フォトレジストは、ポジ型フォトレジストである、項目1-6のいずれか1項に記載の装置。
(項目8)
前記フォトレジストは、ネガ型フォトレジストである、項目1-6のいずれか1項に記載の装置。
(項目9)
開口マスクを形成する方法であって、
光学基板の表面上にフォトレジスト層を堆積させることと、
前記フォトレジスト層の一部を光に暴露させることと、
前記フォトレジスト層を現像し、前記光学基板の表面上に前記開口マスクを形成することと
を含む、方法。
(項目10)
光学コーティングが、前記基板と前記フォトレジスト層との間に設置されない、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記フォトレジスト層は、前記光学基板の光入射面および光出射面の両方の上に堆積される、項目9-10のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記光学基板は、マルチスペクトル光学フィルタアレイと、光学ウエハと、光学構成要素とから成る群から選択される、項目9-11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記フォトレジストは、ポジ型フォトレジストである、項目9-12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記フォトレジストは、ネガ型フォトレジストである、項目9-12のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記フォトレジストは、感光性である、項目9-14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
マルチスペクトル光学フィルタアレイであって、前記マルチスペクトル光学フィルタアレイは、フィルタ要素基板を有し、前記フィルタ要素基板は、その上に不透明開口マスクが印刷されており、前記開口マスクは、フォトレジストから形成される、マルチスペクトル光学フィルタアレイ。
(項目17)
前記開口マスクは、前記基板の光入射面および光出射面の両方の上に印刷される、項目16に記載のマルチスペクトル光学フィルタアレイ。
(項目18)
光学デバイスであって、
マルチスペクトル光学フィルタアレイであって、前記マルチスペクトル光学フィルタアレイは、複数の光学フィルタ要素を備え、前記複数の光学フィルタ要素は、ともに接合され、前記マルチスペクトル光学フィルタアレイを形成する、マルチスペクトル光学フィルタアレイと、
前記マルチスペクトル光学フィルタアレイの光入射面および/または光出射面上に形成される開口マスクであって、前記開口マスクは、フォトレジストまたは非感光性ポリイミドを含む、開口マスクと
を備える、光学デバイス。
(項目19)
前記開口マスクは、ポジ型フォトレジストまたはネガ型フォトレジストを含む、項目18に記載の光学デバイス。
(項目20)
前記開口マスクは、非感光性ポリイミドを含む、項目18に記載の光学デバイス。
(項目21)
各光学フィルタ要素は、フィルタ要素基板と、通過帯域または阻止帯域を有する干渉フィルタを形成するフィルタ層スタックとを備え、前記フィルタ層スタックは、前記フィルタ要素基板によって支持される、項目18-20のいずれか1項に記載の光学デバイス。
(項目22)
各光学フィルタ要素は、異なる通過帯域または阻止帯域を有する、項目18-21のいずれか1項に記載の光学デバイス。
【0019】
本開示のこれらおよび他の非限定的な特性は、下記により具体的に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下は、図面の簡単な説明であり、これは、本明細書に開示される例示的実施形態を例証する目的のために提示され、それを限定する目的でもたらされているものではない。
【0021】
図1図1は、その上に印刷され得るフォトレジストを含むかまたはそれから形成される開口マスクを有する、第1の例示的フィルタアレイの側面図を図式的に示す。
【0022】
図2図2は、図1のフィルタアレイの斜視図を図式的に示す。
【0023】
図3図3は、フィルタアレイを製造する方法を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に開示される、構成要素、プロセス、および装置のより完全な理解が、添付図面の参照によって得られることができる。これらの図は、単に、本開示を実証する利便性およびその容易性に基づく略図であり、したがって、本デバイスまたはその構成要素の相対的サイズおよび寸法を示すこと、および/または例示的実施形態の範囲を定義または限定することは意図されない。
【0025】
具体的な用語が、明確化のために以下の説明において使用されるが、これらの用語は、図面における例証のために選択される実施形態の特定の構造のみを指すことが意図され、本開示の範囲を定義または限定することは意図されない。図面および下記の続く説明では、同様の数字表示は、同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0026】
別様に定義されない限り、本明細書において使用される技術および科学用語は全て、当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本書が、優先するであろう。好ましい方法および材料が、下記に説明されるが、類似または同等の方法および材料もまた、本開示の実践または試験において使用され得る。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は全て、参照することによってそれらの全体において本明細書に組み込まされる。本明細書に開示される材料、方法、および物品は、例示的にすぎず、限定するようには意図されていない
【0027】
文脈が明確に別様に指示しない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の指示物を含む。
【0028】
本明細書および請求項において使用されるように、用語「comprising(~を備える)」は、「consisting of(~から成る)」および「consisting essentially of(~から本質的に成る)」実施形態を含んでもよい。用語「comprise(~を備える)」、「include(~を含む)」、「having(~を有する)」、「has(~を有する)」、「can(~することができる)」、「contain(~を含有する)」、およびそれらの変形例は、本明細書で使用されるように、明示された原料/ステップの存在を要求し、かつ他の原料/ステップの存在を可能にする、非制約的な移行句、用語、または単語であることが意図される。しかしながら、そのような説明は、列挙される原料/ステップ「から成る」および「から本質的に成る」ものとして組成またはプロセスを説明するものとしても解釈されるべきであり、これは、そこから生じ得る任意の不可避的な不純物に加えて、明示された原料/ステップのみの存在を可能にし、他の原料/ステップを除外する。
【0029】
本願の明細書および請求項内の数値は、値を決定するために、同一の数の有効数字まで丸められると同一になる数値と、述べられる値から、本願に説明されるタイプの従来の測定技法の実験誤差未満だけ異なる数値とを含むものとして理解されるべきである。
【0030】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙される端点を含み、独立して組み合わせ可能である(例えば、「2グラム~10グラム」の範囲は、端点、すなわち2グラムおよび10グラムと、全ての中間値とを含む)。
【0031】
用語「約」および「およそ」は、その値の基本機能を変化させることなく変動し得る、任意の数値を含むために使用されることができる。ある範囲と併用されると、「約」および「およそ」はまた、2つの端点の絶対値によって定義される範囲も開示し、例えば、「約2~約4」はまた、「2~4」の範囲も開示する。概して、用語「約」および「およそ」は、示される数の±10%を指し得る。
【0032】
本開示は、あるプロセスステップのための温度に言及し得る。これらは、概して、熱源(すなわち、炉、オーブン等)が設定される温度を指し、必ずしも、熱に暴露されている材料によって達成されなければならない温度を指しているわけではないことに留意されたい。
【0033】
本明細書に使用されるような、用語「室温」は、20℃~25℃の範囲内の温度を指す。
【0034】
熱膨張係数は、典型的には、開始温度と報告される温度との間の平均として報告されることに留意されたい。
【0035】
本明細書で使用されるように、「開口マスク」、「マスク」、および「不透明コーティング」は、それらが明確に異なる実施形態を指すために下記に使用される文脈によって理解されない限り、同義的に使用され得ることに留意されたい。例えば、「開口マスク」は、「不透明」なもの以外の他のコーティングを含んでもよく、本明細書における使用は、読者を補助することのみを意図し、本開示の適用を不透明コーティング材料の開口マスクのみに限定するようには意図されない。
【0036】
下記により詳細に説明されるように、本開示は、種々の光学構成要素(例えば、フィルタアレイ)上のフォトレジストを含むかまたはそれから形成される不透明開口マスクの適用を含む、方法および装置の例示的実施形態を提供する。本明細書に記載されるいくつかの実施形態によると、適用は、入射面および/または出射面上に開口マスクを作成する、フィルタの片面または両面上で実施されてもよい。本開示の非限定的な実施例は、光線の入射角を考慮して、開口マスクが、入射面および/または出射面からオフセットされ得る実施形態を説明および図示することを理解されたい。
【0037】
図1に示されるように、既存または予め加工された光学フィルタアレイ(すなわち、基板)が、提供される。基板は、特定の例証的実施形態では、マルチスペクトル光学フィルタアレイである。基板は、光学ウエハを備えてもよい。図1の基板は、角度付けられるアレイに対応する。図2の斜視図は、本1次元フィルタアレイの光学フィルタ要素の「棒状」幾何学形状を示す。図1および図2の両方に見られるように、フィルタ要素は、傾斜した側壁140(図1においてのみ標識される)を有する。しかしながら、フィルタアレイの最も外側の光学フィルタ要素(番号「1」および「4」で識別されるもの)は、組み立てられたフィルタアレイの縁を形成する、一直線の「外側」側壁141を有する。これは、組み立てられたフィルタアレイが、直角平行六面体の形状を有する限りにおいて、有利であり得る。代替物(図示せず)が、両方の側壁が傾斜した光学フィルタ要素を採用し、付加的な三角形の充填要素を含み、組み立てられたフィルタの幾何学形状に一直線の最も外側の側壁を提供することになる。図1に描写されるフィルタアレイは、角度付けられたフィルタアレイであるものとして示される。しかしながら、本開示の基板/フィルタアレイは、概して、任意の所望される構造であることができ、その上に適用された開口マスクによってのみ限定される。
【0038】
図1を参照すると、改良されたフィルタアレイが、側面断面図に示される。本図式的な例証的実施例では、フィルタアレイは、「1」から「4」と標識される、4つのフィルタ要素を含む。(これは、例証的にすぎず、一般的に、フィルタアレイは、数十または数百のフィルタ要素を有し得る。)各フィルタ要素は、異なる光学特性(例えば、中心波長および/または帯域幅の観点から異なる通過帯域または阻止帯域)を有するフィルタ層スタックが堆積された、フィルタプレートからダイカットされる。したがって、図1に示されるように、各フィルタ要素は、フィルタ要素基板114によって支持される、フィルタ層スタック112を含むことができる。フィルタ層スタック112は、例えば、フィルタ要素基板114上に配置される、干渉フィルタを形成する、光学コーティングの複数の層として具現化される。
【0039】
典型的には、各フィルタ要素は、単一のフィルタプレートからダイカットされる。フィルタ要素は、一般的に、紫外線、可視、または赤外線波長範囲内の任意の通過帯域または阻止帯域のために設計されてもよい。例証的実施例として、可視域内で動作するフィルタ要素は、光学範囲において好適な透明度を有する、ガラス、サファイア、または別の材料のフィルタ要素基板114を含んでもよく、フィルタスタック112は、酸化タンタル(Ta)と、二酸化ケイ素(SiO)との交互層、またはより一般には、異なる屈折率値を伴う2つの(またはそれを上回る)材料の交互層を含んでもよい。別の例証的実施例として、層は、チタン/二酸化チタン(Ti/TiO)等の金属/金属酸化物層であってもよい。干渉フィルタ光学スタックを設計するための既知の技法もまた、所与の通過帯域またはノッチフィルタ阻止帯域のための層厚を設計する、または所望される高域または低域フィルタ特性を提供するために採用されることができる。ダイカットされたフィルタ要素は、接着剤または他の接合物116を使用してともに接合される。接合された光学フィルタ要素は、異なる干渉フィルタによって画定される、複数の光学フィルタ要素を含んでもよい。光学フィルタ要素の干渉フィルタは、(種々の実施形態では)可視スペクトル、紫外線スペクトル、および/または赤外線スペクトル内で動作する、通過帯域フィルタまたはノッチフィルタを含んでもよい。
【0040】
継続して図1を参照すると、例証的フィルタアレイは、光によって照明されるように設計される。再び、図1に描写されるフィルタアレイは、光が、ある角度でアレイに入射するであろうように、角度付けられるフィルタアレイであるものとして示される。上記に説明されるように、当業者によって理解されるであろうように、本開示の基板/フィルタアレイは、概して、任意の所望される構造であり得、その上に適用された開口マスクによってのみ限定される。
【0041】
使用時、光が、フィルタアレイの光入射面123に衝突する。フィルタアレイの光入射面123上に印刷されるものは、入射開口120である。入射開口120は、フィルタアレイの光入射面123上に開口マスクを画定する。本開示によると、入射開口120によって画定される開口マスクは、開口がアレイ上の所定の場所に適用されたフォトレジストを含む。入射開口120は、フィルタアレイの光入射面123における光学クロストークを低減させる(例えば、迷光を遮断する)。
【0042】
光は、次いで、フィルタ要素のフィルタ層スタック112を通して、かつフィルタ要素基板114を通して通過し、フィルタアレイの光出射面124から出射する。光出射面124上に印刷されるものは、出射開口122である。出射開口122は、フィルタアレイの光出射面124上に開口マスクを画定する。本開示によると、出射開口122によって画定される開口マスクは、開口がアレイ上の所定の場所に適用されたフォトレジストを含む。出射開口122は、フィルタアレイの光出射面124における光学クロストークを低減させる(例えば、迷光を遮断する)。
【0043】
各フィルタ要素の光出射面から出力される光は、そのフィルタ要素のフィルタ層スタック112によってフィルタリングされ、したがって、通過帯域内の入射光のスペクトル成分のみ(または、ノッチフィルタの場合では、阻止帯域の外側のスペクトル成分のみ、または高域フィルタ要素の場合では、カットオフ波長の上方のスペクトル成分のみ、または低域フィルタ要素の場合では、カットオフ波長から下方のスペクトル成分のみ等)を含む。図1では、各フィルタ要素のフィルタ層スタック112は、フィルタ要素の光入射面上(またはより精密には、フィルタ要素基板114の光入射面上)に配置される。フィルタ層スタックを光出射面上に配置させる、またはフィルタ層スタックを光入射面および光出射面の両方の上に配置させることもまた、代替として、可能である(よりシャープなスペクトル帯域幅またはカットオフを提供するための同一のタイプのもの、またはより複雑なフィルタ特性、例えば、2帯域ノッチフィルタにおける2つの阻止帯域を提供するための異なるタイプのもののうちのいずれか)。
【0044】
上記に説明されるように、入射開口および出射開口120、122は、それぞれ、フィルタアレイの光入射面123および光出射面124上に開口マスクを画定し、フィルタ要素の組立の後、光学フィルタ要素間の境界上に堆積される不透明コーティングがパターン化される。特に、開口マスクは、フォトレジストを含む、または言い換えると、フォトレジストから形成される。フォトレジストの使用に起因して、開口マスクは、フィルタアレイの光入射面または光出射面123、124の上に直接(すなわち、開口と光入射面または光出射面との間に適用された光学コーティングを伴わずに)印刷されることができる。これは、有利には、開口マスクと基板との間の光学コーティングの必要性を排除し、さらに、化学薬品における温度および応力および長いリフトオフプロセス等の、コーティングのために要求されるある条件を排除する。そのような実装はまた、光学帯域間の迷光およびクロストークの排除を補助するであろうことも理解されたい。
【0045】
再び、開口マスクは、フォトレジストを含むかまたはそれから形成され、これは、有利には、基板に光学コーティングを適用する必要性を除去する。フィルタアレイの所望される用途に応じて、フォトレジストは、ネガ型またはポジ型であることができる。同様に、再び、フィルタアレイの所望される用途に応じて、フォトレジストは、感光性または非感光性(例えば、光感受性ではない、すなわち、ポジ型フォトレジストではなく、ネガ型フォトレジストでもない、ポリイミド)であることができる。上記に記載されるように機能することが可能である、ポジ型フォトレジストの好適な実施例は、例示のみの目的のためであり、それを限定する目的のためではなく、SK-9010、S-1813、またはS-1818を含む。上記に記載されるように機能することが可能である、ネガ型フォトレジストの好適な実施例は、例示のみの目的のためであり、それを限定する目的のためではなく、AZ P4620、AZ NLof 2020、またはAZ NLof 2070を含む。上記に記載されるように機能することが可能である、非感光性フォトレジストの好適な実施例は、例示のみの目的のためであり、それを限定する目的のためではなく、ポリイミドを含む。
【0046】
当業者によって理解されるであろうように、本開示に従った、フォトレジストを含む開口マスクの基板への適用は、任意の好適な手段によって達成されることができる。例示の目的のためであり、それを限定する目的のためではなく、開口マスクは、インクジェットタイプの付加製造プリンタを介した印刷、押出タイプのプリンタ(すなわち、溶融フィラメント加工プリンタ)を介した印刷、任意の他の3D印刷技法、熱溶解積層法、または限定ではないが、接触印刷、噴霧散布、または任意の他の露光または現像方法を含む、任意の標準的なフォトリソグラフィ技法を介した印刷等の付加製造技法を使用して、任意の所望されるパターンに適用されることができる。別個のマスクが、次いで、フォトレジストを光に暴露させるために使用される。フォトレジストが、次いで、現像剤の適用によって現像され、これは、フォトレジスト層の望ましくない部分を除去し、所望される部分を開口マスクとして残す。言い換えると、フォトレジストは、光学DMCコーティング内に所望される開口マスクパターンを形成し、次いで、光学DMCコーティングから除去される手段として使用されるのではなく、開口マスクを形成するために使用される。
【0047】
したがって、いくつかの実施形態では、光学デバイスは、ともに接合され、マルチスペクトル光学フィルタアレイを形成する、複数の光学フィルタ要素と、マルチスペクトル光学フィルタアレイの光入射面上および/または光出射面上に形成される開口マスクとを備える、マルチスペクトル光学フィルタアレイを備え、開口マスクは、フォトレジストまたは非感光性ポリイミドを含む。いくつかの実施形態では、各光学フィルタ要素は、フィルタ要素基板と、通過帯域または阻止帯域を有する干渉フィルタを形成する、フィルタ層スタックとを備え、フィルタ層スタックは、フィルタ要素基板によって支持される。いくつかの実施形態では、各光学フィルタ要素は、異なる通過帯域または阻止帯域を有する。
【0048】
継続して図1および2、さらに図3を参照すると、フィルタアレイの開口マスクを製造する例証的方法が、説明される。動作S1において、フォトレジスト層が、光学基板の表面上、すなわち、既存または予め加工された光学フィルタアレイ上に堆積される。入射開口120を加工するために、フォトレジスト層は、フィルタアレイの光入射面123上に適切に堆積される。出射開口124を加工するために、フォトレジスト層は、フィルタアレイの光出射面124上に適切に堆積される。動作S2において、フォトレジスト層の一部が、光に暴露される。動作S3において、フォトレジスト層が、現像され、光学基板の表面上に開口マスク(例えば、入射開口120および/または出射開口122)を形成する。
【0049】
本開示の装置(例えば、マルチスペクトル光学フィルタアレイ、光学ウエハ、光学構成要素)は、当業者によって理解されるであろうように、任意の好適な手段によって製造されることができる。例えば、図1および図2のフィルタアレイの製造は、フィルタ要素1-4毎のバルク基板上でのフィルタプレートの加工を含むことができる。典型的には、これは、堆積システム内に基板(例えば、いくつかの可視域設計のためのガラス基板)を配置するステップと、スパッタリング、真空蒸着、プラズマ堆積、または別の技法によってフィルタ層スタックを堆積させるステップとを伴い、各フィルタプレートのフィルタスタックの構成層の厚さは、対応するフィルタタイプのフィルタ特性を提供するように設計される。本処理の結果は、フィルタプレートのセット、例えば、図1および図2の例証的フィルタアレイを加工するためのフィルタ要素1、2、3、および4に対応する、4つのフィルタプレートである。所望されるタイプのフィルタ要素が、次いで、接合治具の中に搭載され、接着剤を使用して、側壁(例えば、図1および図2に描写されるもの等の、角度付けられたアレイのための傾斜した側壁)においてともに接着される、または別様にともに接合され、マルチスペクトルフィルタアレイを形成することができる。最後に、入射開口および/または出射開口120、122および他の構成要素(例えば、光検出器)等の他の構成要素が、フィルタアレイに追加され、完全なマルチスペクトル光学システムを形成する。
【0050】
本明細書は、例示的実施形態を参照して記載されている。修正および改変が、本明細書を熟読および理解することに応じて、当業者に想起されるであろう。本開示は、添付の請求項またはそれらの均等物の範囲内に該当する限りにおいて、そのような修正および改変全てを含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3