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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059730
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】難燃性材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/26 20060101AFI20240423BHJP
   D06M 17/00 20060101ALI20240423BHJP
   D06M 11/74 20060101ALI20240423BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20240423BHJP
   D06M 15/667 20060101ALI20240423BHJP
   D03D 15/513 20210101ALI20240423BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20240423BHJP
   D03D 15/217 20210101ALI20240423BHJP
   D03D 15/225 20210101ALI20240423BHJP
   D03D 15/267 20210101ALI20240423BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240423BHJP
   A41D 31/08 20190101ALI20240423BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20240423BHJP
【FI】
B32B5/26
D06M17/00 K
D06M11/74
D06M15/263
D06M15/667
D03D15/513
D03D15/283
D03D15/217
D03D15/225
D03D15/267
B32B27/18 B
A41D31/08
A41D31/00 502A
A41D31/00 503J
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024022326
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2022516665の分割
【原出願日】2019-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】391018178
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム フックス
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー シュトゥビガー
(57)【要約】
【課題】火傷保護材料を提供すること。
【解決手段】溶融可能層、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及び少なくとも1つの難燃性添加剤を含む熱反応性材料、及び、前記熱反応性材料上に配置された追加の層であって、前記熱反応性材料が前記溶融可能層と前記追加の層との間にあるようになっている追加の層を含む、テキスタイル複合材料。この多層テキスタイル複合材料は火炎及び熱により生じる火傷に対して着用者を保護する軽量保護衣服に使用される。水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及び少なくとも1つの難燃性添加剤を含む熱反応性組成物。熱反応性組成物の水性アクリル樹脂から水の少なくとも一部を除去するために十分な温度にラミネートを加熱する工程を含む、この多層テキスタイルの形成又は製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)溶融可能層、
b)水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂と、膨張性グラファイトと、少なくとも1つの難燃性(FR)添加剤とを含む熱反応性材料、及び
c)該熱反応性材料の上に配置された追加の層、
を含んでなるテキスタイル複合材料であって、
該熱反応性材料は該溶融可能層と該追加の層との間に配置され、
該テキスタイル複合材料は約2秒未満のアフターフレームを有し、かつ
該テキスタイル複合材料は、DIN 54310で測定して、約5~約25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有する、テキスタイル複合材料。
【請求項2】
前記熱反応性材料は、連続的又は不連続的なパターンで、前記溶融可能層、前記追加の層又はその両方に、適用されている、請求項1記載のテキスタイル複合材料。
【請求項3】
前記熱反応性材料は不連続なドットパターンで適用されている、請求項1又は2のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項4】
前記膨張性グラファイトは、TMA膨張試験で測定して、約280℃に加熱すると少なくとも約900マイクロメートル膨張する、請求項1~3のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項5】
前記FR添加剤はメラミンもしくはポリホスフェート又はそれらの組み合わせである、請求項1~4のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項6】
前記FR添加剤はメラミンポリホスフェートである、請求項1~5のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項7】
前記膨張性グラファイトと前記少なくとも1つのFR添加剤との混合物は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約5~約45wt%の膨張性グラファイト及び約5~45wt%のFR添加剤の範囲で前記熱反応性材料中に存在する、請求項1~6のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項8】
前記熱反応性材料は、前記熱反応性材料の総質量に基づいて、約40~約80wt%の範囲のアクリルポリマー、及び、約20~約60wt%の範囲の、前記膨張性グラファイトと前記FR添加剤との混合物を含む、請求項1~7のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項9】
前記追加の層は、テキスタイル層、熱安定なテキスタイル又はそれらの組み合わせである、請求項1~8のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項10】
前記追加の層は、アラミド、難燃性綿、綿、亜麻、キュプロ、アセテート、トリアセテート、ウール、ビスコース、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、FRレーヨン、モダクリル、モダクリル/綿ブレンド、ポリアミン、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン又はそれらの組み合わせのうちの1以上を含む、請求項1~9のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項11】
前記追加の層は、溶融性テキスタイル又は溶融性フィルムのうちの少なくとも1つを含む溶融可能層である、請求項1~10のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項12】
前記水性アクリル樹脂はアクリルアミド繰り返し単位を含む、請求項1~11のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項13】
前記水性アクリル樹脂はN-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含む、請求項1~12のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項14】
前記ポリマー樹脂は、少なくとも25wt%の水性アクリル樹脂、及び、少なくとも、酢酸ビニル、スチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン又はそれらのコポリマーもしくはブレンドを含む群のポリマー樹脂を含む、請求項1~13のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項15】
前記熱反応性材料は、前記溶融可能層の表面積の約25~約100%の範囲を覆う、請求項1~14のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項16】
前記テキスタイル複合材料は、約80~約240グラム/平方メートル(gsm)の範囲の質量を有する、請求項1~15のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項17】
前記テキスタイル複合材料は、DIN ISO 9237(1995)によって測定して、少なくとも約50 l/msの空気透過性を有する、請求項1~16のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項18】
前記溶融可能層及び前記追加の層は前記熱反応性材料によって一緒に接着されている、請求項1~17のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料を含む衣服。
【請求項20】
i)水性アクリル樹脂、
ii)TMA膨張試験で測定して、約280℃で加熱すると少なくとも約900マイクロメートル膨張する膨張性グラファイト、及び
iii)少なくとも1つの難燃性添加剤、
を含んでなる熱反応性組成物。
【請求項21】
前記水性アクリル樹脂はアクリルアミド繰り返し単位を含む、請求項20記載の熱反応性組成物。
【請求項22】
前記アクリルアミド繰り返し単位はN-メチロールアクリルアミド繰り返し単位である、請求項21記載の熱反応性組成物。
【請求項23】
前記熱反応性組成物は、前記熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約90wt%の範囲の水性アクリル樹脂、約5~約45wt%の範囲の膨張性グラファイト、及び、約5~約45wt%の範囲の難燃性添加剤を含む、請求項20~22のいずれか1項記載の熱反応性組成物。
【請求項24】
前記難燃性添加剤はメラミン、ポリホスフェート、メラミンポリホスフェート又はそれらの組み合わせである、請求項20~23のいずれか1項記載の熱反応性組成物。
【請求項25】
a)溶融可能層及び追加の層を提供し、
b)熱反応性組成物を該溶融可能層、該追加の層又はその両方の上に適用するに際し、該熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及び少なくとも1つの難燃性添加剤を含み、
c)該溶融可能層と該追加の層を、これら2つの層の間に挟まれた該熱反応性組成物と一緒に接着してラミネートを形成し、そして
d)該水性アクリル樹脂から水の少なくとも一部を除去するのに十分な温度に前記ラミネートを加熱する、
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記熱反応性組成物は不連続パターンで前記溶融可能層に適用される、請求項25記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火傷保護材料、より具体的には、高難燃性添加剤及びアクリル系接着剤を含む難燃性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
火炎に関連する火傷を減らすために、捜索救助及び警察など、短期間の火炎への暴露が可能な危険な環境で働く専門家に保護服が望まれる。これらの条件にさらされる労働者のための保護具は、着用者が危険と戦うのではなく、危険から迅速かつ安全に逃げることができるように、ある程度の強化された保護を提供すべきである。
【0003】
伝統的に、難燃性保護衣服は、例えば、アラミド、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリp-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール(PBO)、モダクリルブレンド、ポリアミン、カーボン、ポリアクリロニトリル(PAN)ならびにそれらのブレンド及び組み合わせから作られた不燃性で、非溶融性の布帛を含むアンサンブルの最外層(火炎接触層)から作られてきた。これらの繊維は本質的に難燃性であることができるが、幾つかの制限がある場合がある。具体的には、これらの繊維は非常に高価であり、染色及び印刷が困難であり、十分な耐摩耗性を有していないことがある。さらに、これらの繊維は、ナイロン又はポリエステル系布帛と比較して、より多くの水分を吸収し、不十分な触覚の快適さを提供する。
【0004】
W.L. Gore and Associates GmbH名義のEP2322710は、テキスタイルに浸入する含浸材料の部分的に内部の不連続パターンを有する繊維/フィラメントから作られたテキスタイルを含む物品を記載する。非含浸領域は空気透過性があり、テキスタイルは水蒸気透過性であり、吸水性及び再乾燥時間が低減されている。
【0005】
瞬間的な火炎に時折さらされることがある環境で使用者性能を最適化するには、火傷防止機能が強化された軽量で通気性のある衣服が望まれる。難燃性の防護服のコストは、防火以外の多くの危険暴露用途にとって重要な考慮事項であり、それにより、消防コミュニティで使用されるような典型的な本質的に難燃性の繊維の使用を排除している。
【発明の概要】
【0006】
第一の態様において、a)溶融可能層、b)水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及び少なくとも1つの難燃性(FR)添加剤を含む熱反応性材料、c)前記熱反応性材料上に配置された追加の層で、前記熱反応性材料が前記溶融可能層と前記追加の層との間にあるようになっている追加の層を含む、テキスタイル複合材料であって、前記テキスタイル複合材料は約2秒未満のアフターフレームを有し、また、前記テキスタイル複合材料は、DIN 54310(1980-07)で測定して、約5~約25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有する、テキスタイル複合材料は提供される。
【0007】
熱反応性材料を溶融可能層に適用することができる。熱反応性材料を追加の層に適用することができる。熱反応性材料を、溶融可能層と追加の層の両方に適用することができる。熱反応性材料は、連続パターンで適用することができる。熱反応性材料は、不連続なパターンで適用することができる。
【0008】
熱反応性材料は、ドットの不連続パターンで適用することができる。
【0009】
膨張性グラファイトは、本明細書に記載のTMA膨張試験によって測定して、約280℃に加熱すると少なくとも約900マイクロメートル膨張することができる。
【0010】
少なくとも1つのFR添加剤は、窒素ベースの材料及び/又はリンベースの材料を含むことができる。少なくとも1つのFR添加剤はメラミンであることができる。少なくとも1つのFR添加剤はポリホスフェートであることができる。少なくとも1つのFR添加剤は、メラミンとポリホスフェートの組み合わせであることができる。少なくとも1つのFR添加剤はメラミンポリホスフェートであることができる。
【0011】
膨張性グラファイト及び少なくとも1つのFR添加剤の混合物は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約5~約45wt%の膨張性黒鉛及び約5~約45wt%のFR添加剤の範囲で熱反応性材料中に存在することができる。
【0012】
熱反応性材料は、約5~約45wt%、又は約5~約40wt%、又は約5~約35wt%、又は約5~約30wt%、又は約5~約25wt%、又は約5~約20wt%、又は約5~約15wt%、又は約5~約10wt%の範囲の膨張性グラファイトを含むことができる。熱反応性材料は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約10~約45wt%の膨張性グラファイト、又は約10wt%~約40wt%、又は約10wt%~約35wt%、又は約15wt%~約45wt%、又は約15wt%~約40wt%、又は約15wt%~約35wt%の膨張性グラファイトを含むことができる。
【0013】
熱反応性材料は、約5~約45wt%、又は約5~約40wt%、又は約5~約35wt%、又は約5wt%~約30wt%、又は約5~約25wt%、又は約5~約20wt%、又は約5~約15wt%、又は約5~約10wt%の範囲の少なくとも1つのFR添加剤を含むことができる。熱反応性材料は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約10~約45wt%の膨張性グラファイト、又は約10wt%~約40wt%、又は約10wt%~約35wt%、又は約15wt%~約45wt%、又は約15wt%~約40wt%、又は約15wt%~約35wt%の少なくとも1つのFR添加剤を含むことができる。
【0014】
熱反応性材料は、アクリルポリマー、及び、膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性材料は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約40~約90wt%の範囲のアクリルポリマーを含むことができる。熱反応性材料は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約10~約70wt%の範囲の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性材料は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約40~約80wt%のアクリルポリマー、及び約20~約60wt%の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。上記で使用した質量パーセントは、熱反応性材料の総質量から、存在する可能性のある揮発性物質、例えば、乾燥及び硬化プロセス中に蒸発することができる水又は他の有機分子を差し引いたものに基づいている。
【0015】
追加の層はテキスタイル層であることができる。追加の層は、熱安定なテキスタイル層であることができる。追加の層は、テキスタイル層と熱安定なテキスタイル層の組み合わせであることができる。
【0016】
追加の層は、以下の1つ以上:アラミド、難燃性綿、綿、亜麻、キュプロ、アセテート、トリアセテート、ウール、ビスコース、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、FRレーヨン、モダクリル、モダクリル/綿ブレンド、ポリアミン、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン又はそれらの組み合わせを含むことができる。追加の層は、綿、キュプロ、ビスコース又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
追加の層は、少なくとも1つの溶融可能な材料を含むことができる。溶融可能な材料は可燃性であることができる。溶融可能と考えられるテキスタイルとしては、限定するわけではないが、ナイロン6又はナイロン6,6、ポリエステル、ポリプロピレンなどのポリアミドが挙げられる。
【0018】
水性アクリル樹脂はアクリルアミド繰り返し単位を含むことができる。
【0019】
水性アクリル樹脂は、N-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含むことができる。
【0020】
ポリマー樹脂は水性アクリル樹脂であることができる。
【0021】
ポリマー樹脂は、ポリマー樹脂の総質量に基づいて少なくとも25wt%の水性アクリル樹脂と、酢酸ビニル、スチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン又はそれらのコポリマー又はブレンドを含む少なくとも1つのポリマー樹脂を含む。
【0022】
熱反応性材料は、溶融可能層の表面積の約25~約100%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、追加の層の表面積の約25~約100%の範囲を覆うことができる。
【0023】
DIN EN 12127(1997/12)で測定して、テキスタイル複合材料は1平方メートルあたり約80~約240グラム(gsm)の範囲の重量を有することができる。
【0024】
テキスタイル複合材料は、DIN ISO 9237(1995)に従って測定して、少なくとも約50l/msの空気透過性を有することができる。テキスタイル複合材料は、約50 l/msを超える空気透過性を有することができる。テキスタイル複合材料は、DIN ISO 9237(1995)に従って測定して、約50 l/ms~約500 l/msの空気透過性を有することができる。テキスタイル複合材料は、DIN ISO 9237(1995)に従って測定して、約75 l/ms~約500 l/ms、又は約100 l/ms~約500 l/ms、又は約125 l/ms~約500 l/ms、又は約150 l/ms~約500 l/ms、又は約175 l/ms~約500 l/ms、又は約50 l/ms~約100 l/ms、又は約75 l/ms~約100 l/ms、又は約120 l/ms~約150 l/ms、又は約130 l/ms~約170 l/ms、又は約140 l/ms~約180 l/ms、又は約150 l/ms~約190 l/msの空気透過性を有することができる。場合により、テキスタイル複合材料は、DIN ISO 9237(1995)に従って測定して、約150l/msを超える空気透過性を有することができる。
【0025】
溶融可能層及び追加の層は、熱反応性材料によって一緒に接着することができる。
【0026】
第二の態様において、本明細書に記載のテキスタイル複合材料を含む衣服が提供される。
【0027】
第三の態様において、i)水性アクリル樹脂として含むポリマー樹脂、ii)本明細書に記載のTMA膨張試験によって測定して、約280℃で加熱すると少なくとも約900マイクロメートル膨張する膨張性グラファイト、及び、iii)少なくとも1つの難燃性添加剤を含む、熱反応性組成物が提供される。
【0028】
ポリマー樹脂は水性アクリル樹脂であることができる。水性アクリル樹脂は、熱反応性組成物を水性又は湿潤性にする。熱反応性組成物は、溶融可能層及び/又は追加の層に適用されて、テキスタイル複合材料中に熱反応性材料を形成することができる。
【0029】
水性アクリル樹脂は、アクリルアミド繰り返し単位を含むことができる。
【0030】
アクリルアミド繰り返し単位は、N-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含むことができる。
【0031】
水性アクリル樹脂は、水性アクリル樹脂の総質量に基づいて、50wt%の水及び50wt%の水性アクリル樹脂を含むことができる。
【0032】
ポリマー樹脂は、少なくとも25wt%の水性アクリル樹脂と、酢酸ビニル、スチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン又はそれらのコポリマーもしくはブレンドを含む群の少なくとも1つのポリマー樹脂とを含むことができる。
【0033】
熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約90wt%の水性アクリル樹脂、約5~約45wt%の膨張性グラファイト、及び、約5~約45wt%の難燃性添加剤の範囲を含むことができる。
【0034】
難燃性添加剤は、メラミン、ポリホスフェート、メラミンポリホスフェートのうちの1つ以上を含むことができる。
【0035】
「熱反応性材料」及び「熱反応性組成物」という用語は、同じ材料成分であるが、条件が異なる状態にあることを記載するために使用される。熱反応性組成物は、溶融可能層及び/又は追加の層に適用する前の、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、及び、膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤との混合物の湿式又は水性の組み合わせである。熱反応性材料は、テキスタイル複合材料の製造中の加熱工程後の、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、及び、膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤との混合物の乾燥した組み合わせである。熱反応性材料は、水性アクリル樹脂、及び、膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤との混合物の本開示のテキスタイル複合材料内の乾燥した組み合わせである。
【0036】
第四の態様において、本明細書に記載のテキスタイル複合材料を形成又は製造する方法が提供され、この方法は、a)溶融可能層及び追加の層を提供すること、b)熱反応性組成物を溶融可能層、追加の層又はその両方に適用すること、ここで、前記熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及び難燃性添加剤を含む、c)前記溶融可能層と前記追加の層を該2つの層の間に挟まれた熱反応性組成物と一緒に接着してラミネートを形成すること、及び、d)前記水性アクリル樹脂から水の少なくとも一部を除去するのに十分な温度に前記ラミネートを加熱することを含む。
【0037】
適用工程は、不連続パターンで熱反応性組成物を適用することを含むことができる。
【0038】
加熱工程は、水及び/又は熱反応性組成物の揮発性物質の少なくとも一部を蒸発又は除去することを含むことができる。
【0039】
加熱工程は、熱反応性組成物の架橋を含むことができる。
【0040】
加熱工程は、熱反応性組成物の硬化を含むことができる。
【0041】
この方法は、溶融可能層上に耐久性のある撥水コーティングを適用することを含むことができる。
【0042】
溶融可能層はテキスタイル層であることができる。溶融可能層は以下の1つ以上:織物、編物、不織材料又はそれらの組み合わせを含むことができる。溶融可能層は、織物、編物及び/又は不織材料のうちの1つ以上を含む、多層テキスタイルであることができる。溶融可能層に使用されるテキスタイルは、ポリアミド、例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラスタンのうちの1つ以上を含む。溶融可能層は、ポリアミド又はポリエステルであることができる。溶融可能層は、ポリアミド又はポリエステルであることができる。溶融可能層は、ポリアミド、例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はエラスタンのブレンド又は組み合わせであることができる。
【0043】
溶融可能層は、複数の溶融性テキスタイルを含むことができる。例えば、溶融可能層は、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、エラスタン及びポリプロピレンのうちの2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0044】
溶融可能層は溶融性フィルムであることができ、ここで、溶融性フィルムは、微孔性又は非孔性フィルムであることができる。溶融性フィルムは、非孔性でガス不透過性のフィルムであることができ、例えば、物品又は衣服の全部又は一部を覆う溶融性連続フィルムであることができる。溶融性連続フィルムは、化学物質又は生物学的材料が複合材料物品の表面から着用者に透過することを可能にしない。溶融性フィルムは、単層フィルム又は多層フィルムであることができる。難燃性複合材料物品において、溶融性フィルムは、微孔性ポリオレフィン、微孔性ポリエステル又は微孔性ポリウレタンであることができる。
【0045】
溶融性フィルムは、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチルビニルアルコール(EVOH)、エチルビニルアセテート(EVAc)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、コポリエーテルエステル又はそれらのコポリマー又は多層ラミネートを含む。
【0046】
溶融可能層は軽量であることができる。溶融可能層の重量は、1平方メートルあたり約120グラム(g/m)以下、約110g/m以下、約100g/m以下、約90g/m、約80g/m以下、70g/m以下、60g/m以下、50g/m以下、約45g/m以下、約40g/m、約35g/m以下、約30g/m以下、約25g/m以下、又は約20g/m以下の重量を有することができる。他の実施形態において、溶融可能層は、約10g/m以上、又は15g/m以上であることができる。すべての重量測定は、DIN EN 12127(1997/12)によって行われる。
【0047】
溶融可能層は、溶融可能であり、不燃性のテキスタイルであることができる。溶融可能層は、ホスホネート修飾ポリエステル(商品名TREVIRA(登録商標)CS及びAVORA(登録商標)FRで販売されている材料など)を含むことができる。溶融可能層は、衣服用途を目的とした難燃性ラミネートでの使用を目的と意図していない、溶融可能で不燃性のテキスタイルを含むことができる。テキスタイル複合材料は、衣服用途を目的とした難燃性ラミネートでの使用を典型的に目的としない溶融可能で不燃性のテキスタイルを含むことができ、さらに、熱反応性材料が溶融可能層と追加の層の間にあるようにして熱反応性材料及び該熱反応性材料上に配置された追加の層を含むことができる。テキスタイル複合材料は、難燃性ラミネート用途で使用することができる。
【0048】
溶融可能層は多層テキスタイルであることができる。溶融可能層は、2つ以上の層を含む多層テキスタイルであることができる。溶融可能層は、2つ以上のテキスタイル層を含む多層テキスタイルであることができる。溶融可能層は、編物テキスタイル層、織物テキスタイル層及び/又は不織布テキスタイル層から選ばれる2つ以上の層を含む多層テキスタイルであることができる。溶融可能層は、2つ以上の層を含む多層テキスタイルを含むことができ、ここで、層の少なくとも1つは、溶融性テキスタイルである。溶融可能層は、2つ以上の層を含む多層テキスタイルを含むことができ、ここで、各層は、溶融性テキスタイルである。多層テキスタイル中のテキスタイル層は、互いに積層化することができる。
【0049】
衣服は、本明細書に記載のテキスタイル複合材料を含むことができ、ここで、溶融可能層は外層である。溶融可能な外層は多層テキスタイルを含むことができる。多層テキスタイルが溶融可能な外層として使用される場合に、個々の溶融可能な各層は、互いに独立して選択されうる。
【0050】
溶融性テキスタイルの使用は、そのような材料が軽量で安価であり、染色及び印刷が容易であり、適切な耐摩耗性を備えているので、有益であることができる。「十分な耐摩耗性」とは、DIN EN ISO 12 947-2(2006)に従って測定された耐摩耗性を有する溶融性テキスタイルであって、同じ重量及び構造のポリエステル又はポリコットンの耐摩耗性よりも高いテキスタイルを意味する。
【0051】
溶融可能層は、使用時に(例えば衣服内で)、環境に面する又は使用者から離れる方向に面する外層であることができる。
【0052】
溶融可能層は、テキスタイル複合材料の特性を改善するための1つ以上の処理を含むことができる。そのような処理は、テキスタイル複合材料の形成前に溶融可能層に適用することができ、又はテキスタイル複合材料の形成後に適用することができる。
【0053】
溶融可能層は、難燃性(FR)処理を含むことができる。適切な難燃性処理としては、限定するわけではないが、溶融可能層への難燃性化学仕上げ剤の適用、又は、溶融性テキスタイル又は布帛に織られるか又は編まれる前の繊維への化学処理剤の追加を挙げることができる。難燃性処理剤は、溶融可能層の溶融性に影響を与えない場合がある。難燃性処理は、ナノクレイによる処理を含むことができる。難燃性処理は、モンモリロナイトによる処理を含むことができる。難燃性処理は、以下つ以上:酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム(ATH)、水酸化マグネシウム(MDH)、ハンタイト、ハイドロマグネサイト、赤リン、ホウ酸ホウ素、有機塩素、有機臭素、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、有機ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、2,2-ビス(ブロモメチル)-1,3-プロパンジオール(BBMP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート(TDCPP)、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、2-エチルヘキシル-2,3,4,5-テトラブロモベンゾエート(TBB)、ビス(2-エチルヘキシル)-3,4,5,6-テトラブロモフタレート(TBPH)、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸トリイソプロピル、リン酸ジエチルエチル、リン酸(トリス-クロロエチル)、リン酸トリフェニル、リン酸トリス-(2-クロロエチルヘキシル)、リン酸トリクレジル、モノ-、ビス-及びトリ-(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリイソプロピルフェニルホスフェート、レゾルシノール-ビス-(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノール-A-ビス-(ジフェニル)ホスフェート、メラミン、メラミンホスフェート、メラミンシアヌレート、メラミンポリ亜鉛、アルミニウムホスフェート、メラミンベースのヒンダードアミン光安定剤、エチレンジアミンホスフェート、環状ホスホネート、芳香族ホスホネート、脂肪族ホスフェートエステル、クロロパラフィン、ヘキサブロモベンゾール、テトラブロモフタル酸無水物又はそれらの組み合わせによる処理を含むことができる。難燃性処理は、可燃性及びアフターフレームを回避及び/又は減少させるためのFR保護を提供することができる。
【0054】
溶融可能層は、印刷仕上げを提供するための処理を含むことができる。溶融可能層は、任意の適切な色及び/又はパターンで印刷することができる。溶融可能層は、任意の適切な染料で印刷することができる。例えば、溶融可能層はカモフラージュパターンで印刷されうる。溶融可能層は光反射材料で印刷することができる。
【0055】
溶融可能層は、その近赤外光線の反射率又は吸収特性を調整するための処理を含むことができる。溶融可能層は、フタロシアニンクロモゲンによる処理を含むことができる。溶融可能層はフタロシアニン染料で印刷することができる。フタロシアニン染料で印刷された溶融可能層は、赤外線(IR)カモフラージュを提供することができる(軍事用途など)。理論に縛られることを望まずに、フタロシアニンクロモゲンは近赤外(NIR)領域の光を吸収することができる。
【0056】
溶融可能層は、テキスタイル複合材料の吸水性を下げるのに役立つ疎水性処理を施こすことができる。適切な疎水性処理としては、フルオロケミカル処理及び/又はシリコーンベースの処理を挙げることができる。
【0057】
溶融可能層は、殺虫剤又は防虫剤処理が施され、例えばペルメトリン又はDEETが適用されることができる。
【0058】
溶融可能層は、テキスタイル複合材料に吸水性又は汚れ忌避性を与えるために、親水性又は疎油性の処理を含むことができる。
【0059】
熱反応性材料は、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂を含むことができる。熱反応性材料は水性アクリル樹脂を含むことができる。熱反応性材料は、膨張性グラファイトを含むことができる。熱反応性材料は、難燃性(FR)添加剤を含むことができる。熱反応性材料は、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及び難燃性(FR)添加剤を含むことができる。熱反応性材料は、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及び難燃性(FR)添加剤から本質的になることができる。この関係で使用されるときに、「から本質的になる」とは、熱反応性材料が、リストされた材料を含み、そして、約10質量%以下(又は約5%以下、又は約4%以下、又は約3%以下、又は約2%以下、又は約1%以下)の組成物に重大な影響を与える可能性のある他の材料を含むことを意味する。質量パーセントは、熱反応性材料の総質量から、存在する可能性のある揮発性物質、例えば、乾燥及び硬化プロセス中に蒸発することができる水又は他の有機分子を差し引いたものに基づく。
【0060】
水性アクリル樹脂は、水性アクリルポリマー樹脂であることができる。水性アクリル樹脂は、アクリルアミド繰り返し単位を含むことができる。水性アクリル樹脂は、N-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含むことができる。水性アクリル樹脂は、水性アクリルポリマー樹脂であってよく、N-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含むことができ、例えば、Tanatex Chemicals B.V., Ede, Netherlandsから入手可能なEDOLAN(登録商標)AMなどである。水性アクリル樹脂は、異なる量のスチレンを含むアクリルコポリマーであることができる。水性アクリル樹脂は、異なる量のアクリルアミドモノマーを含むアクリルコポリマーであることができる。水性アクリル樹脂は、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン又はそれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0061】
水性アクリル樹脂は熱可塑性樹脂であることができる。水性アクリル樹脂は自己架橋されうる。アクリルポリマーは、架橋可能なアクリルポリマーであることができる。「自己架橋」という用語は、水性アクリル樹脂が、当該技術分野で知られているように、特定の条件下、例えば、高温、加水分解条件下などで互いに反応して架橋ポリマーを形成することができる官能基を含むことを意味する。幾つかの態様において、自己架橋は、追加の化学物質なしで、例えば、約120℃以上の高温を適用することによって架橋を開始することができる。水性アクリル樹脂は、架橋剤を含むことができる。水性アクリル樹脂は、架橋されていない可能性がある。水性アクリル樹脂は、自己架橋することができ、さらに架橋剤を含むことができる。追加の架橋剤は、テキスタイルへの結合を改善することができる。熱反応性組成物は、架橋された水性アクリル樹脂を形成するために、架橋剤を含むことができる。
【0062】
熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト、少なくとも1つのFR添加剤及び架橋剤を含むか、又はそれらから本質的になることができる。適切な架橋剤は、例えば、ポリイソシアネートベースの架橋剤、ブロックトポリイソシアネートベースの架橋剤のうちの1つ以上を含むことができる。他の適切な架橋剤は以下の材料:N-メトキシメチルメラミン、メチロールメラミン、カルボジイミド、ポリカルボジイミド、イソシアネート、ポリイソシアネート、ジアミノカルバメート、化学構造に応じたプロピレンイミン架橋剤、プロピレンイミン、脂肪族プロピレンイミン、芳香族プロピレンイミン誘導体、多官能性アクリレートとプロピレンイミンとの間の反応生成物、(環式)脂肪族ビスアミド架橋剤又はそれらの組み合わせである。
【0063】
熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂と架橋剤の総質量に基づいて、約10質量%以下、又は約9質量%以下、又は約8質量%以下、又は約7質量%以下、又は約6質量%以下、又は約5質量%以下、又は約4質量%以下、又は約3質量%以下、又は約2質量%以下、又は約1質量%以下の架橋剤を含むことができる。
【0064】
融解温度又は軟化温度が約280℃未満の水性アクリル樹脂を使用することができる。水性アクリル樹脂は、TMA膨張試験で測定して、膨張性グラファイトが約280℃に加熱すると少なくとも約900マイクロメートル膨張することを可能にすることができる。
【0065】
熱反応性材料中の適切な水性アクリル樹脂は、膨張性グラファイトが溶融可能層の熱分解温度よりも低い温度で膨張することができる。熱にさらされている間の水性アクリル樹脂の粘弾性特性は、膨張性グラファイトの膨張を可能にし、膨張性グラファイトの膨張後の熱反応性材料の構造的一体性を維持することができる。
【0066】
熱反応性材料は、シリコーン又はシリコーン含有化合物を含むことができない。熱反応性材料は、シリコーンを含まないか又は本質的に含まない場合がある。本明細書で使用されるときに、「本質的にシリコーンを含まない」とは、熱反応性材料が、約5質量%以下のシリコーン含有化合物、又は、約4質量%以下又は約3質量%以下又は約2質量%以下又は約1質量%以下のシリコーン含有化合物を含むことができることを意味する。すべての質量パーセントは、熱反応性材料の総質量に基づく。
【0067】
熱反応性材料中に水性アクリル樹脂を使用する利点の1つは、例えば、シリコーン系熱反応性材料から形成されたテキスタイル複合材料と比較したときに、テキスタイル複合材料のプリントスルーが減少することができることである。このプリントスルーの減少により、カモフラージュ印刷などの視覚光学系及び色耐久性が向上することができる。さらに、水性アクリル樹脂系熱反応性材料から形成された複合材テキスタイルは、疎水性シリコーンと比較したときに、例えば、撥水処理などの後処理により良い条件を提供しうる。というのは、アクリル化学物質はそのような処理剤とよりよく反応からである。
【0068】
水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂は、例えば、溶融可能層を追加の層に積層又は取り付けるための接着剤を含み、及び/又は接着剤として機能しうる。
【0069】
膨張性グラファイトは、約240℃に加熱したときに、本明細書に記載のTMA膨張試験において少なくとも約400ミクロン膨張することができる。膨張性グラファイトは、約240℃に加熱されたときに、本明細書に記載のTMA膨張試験において少なくとも約500ミクロン膨張することができる。膨張性グラファイトは、約240℃に加熱されたときに、本明細書に記載のTMA膨張試験において少なくとも約600ミクロン膨張することができる。膨張性グラファイトは、約240℃に加熱されたときに、本明細書に記載のTMA膨張試験において少なくとも約700ミクロン膨張することができる。膨張性グラファイトは、約240℃に加熱されたときに、本明細書に記載のTMA膨張試験において少なくとも約800ミクロン膨張することができる。膨張性グラファイトは、約280℃に加熱されたときに、本明細書に記載のTMA膨張試験において少なくとも約900ミクロン膨張することができる。
【0070】
膨張性グラファイトは、約50ジュール/グラム(J/g)以上、又は約75J/g以上、又は約100J/g、約125J/g以上、又は約150J/g以上、又は約175J/g以上、又は約200J/g、又は約225J/g、又は約250J/g以上の吸熱を有することができる。示差走査熱量測定(DSC)を使用して、膨張性グラファイト材料の吸熱値を決定できる。
【0071】
膨張性グラファイトはまた、上記のような良好な膨張と、本明細書に記載のDSC吸熱試験方法に従って試験したときに、少なくとも約100J/gの吸熱の両方を有することができる。膨張性グラファイトは、本明細書に記載のTMA膨張試験に従って測定したときに、約280℃で約900μmを超える膨張を有し、本明細書に記載のDSC吸熱試験方法に従って試験したときに、約100J/g以上の吸熱を有することができる。
【0072】
熱反応性材料に組み込まれる膨張性グラファイト粒子のサイズは、熱反応性材料が選択された適用方法で適用されうるように選択されうる。例えば、熱反応性材料がグラビア印刷又はスクリーン印刷技術によって適用された場合に、膨張可能なグラファイト粒子サイズは、グラビアセル又はスクリーン印刷アパチャに適合するのに十分に小さいことができる。膨張性グラファイトは、Asbury Carbons, Asbury, New Jersey, USAから入手可能なAsbury 3626膨張性グラファイトであることができる。
【0073】
熱反応性材料は、少なくとも1つの難燃性(FR)添加剤を含むことができる。熱反応性材料は、メラミン、ポリホスフェート又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上の難燃性(FR)添加剤を含むことができる。FR添加剤は、メラミンポリホスフェートであることができる。熱反応性材料は、Thor GmbH, Speyer, Germanyからすべて入手可能であるAFLAMMIT(登録商標)PMN500メラミン、AFLAMMIT(登録商標)PMN 200メラミンポリホスフェート及びAFLAMMIT(登録商標)PCO 962添加剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0074】
熱反応性組成物は、約50~約90質量パーセント(wt%)の水性アクリル樹脂、又は約50~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約50~約76wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約90wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約85wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約76wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~90wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約85wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約76wt%の水性アクリル樹脂を含むことができる。すべての質量パーセントは、熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0075】
熱反応性組成物の総質量に基づいて、熱反応性組成物は、約5~約45質量パーセント(wt%)の範囲の膨張性グラファイトを含むことができ、ここで、質量パーセントは、熱反応性組成物の総質量に基づく。膨張性グラファイトは、約5~約40wt%、又は約5~約35wt%、又は約5~約30wt%、又は約5~25wt%、又は約10~45wt%、又は約10~40wt%、又は約10~約35wt%、又は約10~約30wt%、又は約10~約25wt%の範囲で熱反応性組成物中に存在することができ、ここで、質量パーセントは、湿潤熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0076】
熱反応性組成物の総質量に基づいて、熱反応性組成物は、約5~約45質量パーセント(wt%)の範囲、又は約5~約40wt%の範囲で少なくとも1つのFR添加剤を含むことができる。少なくとも1つのFR添加剤は、約5~約35wt%、又は約5~約30wt%、又は約5~約25wt%、又は約10~約45wt%、又は約10~約40wt%、又は約10~約35wt%、又は約10~約30wt%、又は約10~約25wt%の範囲で熱反応性組成物中に存在することができ、ここで、質量パーセントは、熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0077】
膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤の混合物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約5~約45wt%の膨張性グラファイト及び約5~約45wt%のFR添加剤の範囲で存在することができる。膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤との混合物は、熱反応性組成物中に、約10~約40wt%の膨張性グラファイト及び約10~約40wt%のFR添加剤の範囲で、又は約10~約30wt%の膨張性グラファイト及び約10~約25wt%のFR添加剤の範囲であり、すべての質量パーセントは熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0078】
熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約90wt%の水性アクリル樹脂、及び、約10~約50wt%の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約80wt%の水性アクリル樹脂、及び、約20~約50wt%の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約75wt%の水性アクリル樹脂、及び、約25~約50wt%の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約70wt%の水性アクリル樹脂、約15~約25wt%の膨張性グラファイト、及び、約15~約25wt%のFR添加剤を含むことができる。
【0079】
熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、40~60wt%の水性アクリル樹脂及び40~60wt%のポリウレタンポリマー樹脂を含む、約60~約75wt%のポリマー樹脂、約15~約30wt%の膨張性グラファイト及び約10~約25wt%のFR添加剤を含むことができる。
【0080】
熱反応性組成物は、顔料、フィラー、抗微生物剤、加工助剤、架橋剤、増粘剤、乳化剤、脱泡剤及び安定剤などの追加の添加剤を含むことができる。熱反応性組成物は、約10質量%以下、又は約5質量%以下、又は約4質量%以下、又は約3質量%以下、又は約2質量%未満、又は約1質量%以下の任意選択的な添加剤を含むことができる。すべての質量パーセントは、熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0081】
熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及びFR添加剤の緊密なブレンドを、膨張性グラファイトの実質的な膨張を引き起こすことなく提供する方法によって製造することができる。熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及びFR添加剤の緊密なブレンドを、膨張性グラファイトの実質的な膨張を引き起こすことなく提供する方法によって製造することができる。
【0082】
水性アクリル樹脂は、水性アクリルポリマーであることができる。膨張性グラファイト、FR添加剤及び任意の添加剤、例えば、架橋剤は、水性アクリル樹脂と別々に又は同時に互いに混合又はブレンドされて、熱反応性組成物を形成することができる。混合方法としては、限定するわけではないが、パドルミキサー、ブレンディング及びその他の低せん断混合技術が挙げられる。水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト粒子及びFR添加剤の緊密ブレンドは、水性アクリル樹脂の重合の前に、膨張性グラファイト及びFR添加剤をモノマー混合物及び/又はプレポリマーと混合することによって得ることができる。次に、モノマー混合物及び/又はプレポリマーを重合して、熱反応性組成物を生成することができる。水性アクリル樹脂、FR添加剤、及び、膨張性グラファイト粒子又は膨張性グラファイトの凝集体の緊密なブレンドを提供する方法において、膨張性グラファイトは、グラファイトの膨張前に水性アクリル樹脂によってコーティング又はカプセル化されうる。
【0083】
熱反応性組成物は連続層として適用することができる。
【0084】
熱反応性組成物は、不連続層として適用することができる。熱反応性組成物の不連続層は、100%未満の表面被覆率を有することができる。熱反応性組成物を不連続層として適用すると、空気透過性、水蒸気透過性及び/又は手触りが向上することができる。
【0085】
熱反応性組成物の不連続パターンは、任意の適切な形状又は形態を含むことができる。例えば、パターンは、ドット、形状、円、正方形、三角形、星、ダイヤモンド、五角形、六角形、七角形、八角形、多角形、楕円形、グリッド、ライン、波、ジグザグラインなどのうちの1つ以上を含むことができる。熱反応性材料の不連続な適用は、限定するわけではないが、ドット、グリッド、ライン及びそれらの組み合わせを含む形態によって、100%未満の表面被覆を提供することができる。本明細書で使用されるときに、「ドット」という用語は、例えば、円、正方形、矩形、三角形、ダイヤモンド、五角形、六角形、七角形、八角形、楕円形、多角形、星形、ハート形などのうちの1つ以上である、任意の離散形状であることができる任意の形状を意味する。ラインは、直線形状、波形形状、曲線形状又はそれらの混合物を有することができる。パターンによっては、ドット及びラインは互いに近く又は広く配置されることができる。ラインはグリッドの形で配置することができる。
【0086】
不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、約10ミリメートル(mm)以下、又は約9mm以下、又は約8mm以下、又は約7mm、又は約6mm以下、又は約5mm以下、又は約4mm以下、又は約3.5mm以下、又は約3mm以下、又は約2.5mm以下又は約2mm以下、又は約1.5mm以下、又は約1mm以下、又は約0.5mm以下、又は約0.4mm以下、又は約0.3mm以下、又は約0.2mm以下であることができる。不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、用途に応じて、約40ミクロン以上、又は約50ミクロン以上、又は約100ミクロン以上、又は約200ミクロン以上であることができる。約200ミクロン以上及び約500ミクロン以下であると測定された平均ドット間隔は、本明細書に記載の幾つかのパターンで有用である。本明細書で使用されるときに、「隣接領域間の平均距離」は、隣接するドットの縁間の距離を意味する。
【0087】
ピッチは、例えば、印刷パターンのレイダウンを記載する方法として、表面被覆率と組み合わせて使用できる。一般に、ピッチは、印刷パターンのドット、ライン、グリッドラインなどの隣接形態間の平均中心間距離として定義される。平均は、例えば、不規則な間隔の印刷パターンを説明するために使用される。熱反応性組成物は、熱反応性組成物と同等の重量のレイダウンを有する熱反応性組成物の連続適用と比較して優れた難燃性能を提供するピッチ及び表面被覆率を有するパターンで不連続に適用されうる。ピッチは、熱反応性組成物の隣接形状間の中心間距離の平均として定義されうる。例えば、ピッチは、熱反応性組成物の隣接するドット又はグリッドラインの間の中心間距離の平均として定義されうる。ピッチは、約500ミクロン以上、約600ミクロン以上、約700ミクロン以上、約800ミクロン以上、約900ミクロン以上、約1000ミクロン、約1200ミクロン以上、約1500ミクロン以上、約1700ミクロン以上、約1800ミクロン以上、約2000ミクロン以上、約3000ミクロン以上、約4000ミクロン以上、又は約5000ミクロン以上、又は約6000ミクロン以上、又はそれらの間の任意の値であることができる。熱反応性組成物の好ましいパターンは、約500ミクロン~約6000ミクロンのピッチを有することができる。
【0088】
手触り、通気性及び/又はテキスタイル重量などの特性が重要である実施形態において、約25%以上、及び約90%以下、又は約80%未満、又は約70%未満、又は約60%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満の表面被覆率を使用することができる。熱に暴露されるときに、溶融可能層は燃焼するのに十分なエネルギーにさらされることができる。特定の実施形態において、そしてより高い難燃性が必要とされる場合に、内側テキスタイル又は中間層の表面上で約30%~約100%の熱反応性材料の表面被覆率を有することが望ましいことがある。より高い難燃性が必要な場合に、約500ミクロン~約6000ミクロンのピッチで熱反応性材料の表面被覆を有することが望ましいことがある。例えば、熱反応性材料の表面被覆率は、約500ミクロン~約6000ミクロンのピッチで、内側テキスタイル又は中間層の表面上で約30%~約80%の熱反応性材料であることができる。
【0089】
熱反応性組成物は、不連続なドットパターンで適用することができる。ドットは、約0.8mm以上~約5mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約0.9mm~約4.5mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約1.0mm~約4.0mmの範囲の直径を有する。ドットは、約1.0mm~約3.5mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約1.0~約3.0mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約1.0mm~約2.5mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約1.0mm~約2.25mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約1.0mm~約2.2mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約1.0mm~約2.1mmの範囲の直径を有することができる。ドットは、約1.0mm~約2.0mmの範囲の直径を有することができる。
【0090】
熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約20%以上~約100%までの範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約25%~約80%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約25%~約75%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約25%~約55%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約25%~約40%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約25%~約35%の範囲を覆うことができる。
【0091】
熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約30%~約100%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約45%~約100%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層の表面積の約55%~約100%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層の表面積の約65%~約100%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約70%~約100%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約95%~約100%の範囲を覆うことができる。
【0092】
熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約30%~約70%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約45%~約65%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約25%~約50%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層の表面積の約65%~約90%の範囲を覆うことができる。熱反応性材料は、溶融可能層及び/又は追加の層の表面積の約70%~約80%の範囲を覆うことができる。
【0093】
100%未満の熱反応性材料での層の被覆率のこれらの範囲は、空気透過性、手触り、通気性及び/又はテキスタイル重量などのテキスタイル複合材料の特性を改善することができる。例えば、約20%~約95%の堆積で熱反応性材料を溶融可能層及び/又は追加の層に適用すると、熱反応性材料が溶融可能層及び/又は追加の層を100%被覆率で備える連続層として適用されるテキスタイル複合材料と比較して、空気透過性、通気性が増加し、手触りが増加し、重量が減少したテキスタイル複合材料が得られる。
【0094】
100%未満の被覆率を達成するための方法は、熱反応性組成物を溶融可能層又は追加の層、あるいはその両方の表面に適用又は印刷することを含むことができる。熱反応性組成物の適切な適用、印刷又は堆積方法としては、限定するわけではないが、スクリーン印刷、回転スクリーン印刷、グラビア印刷、スプレーもしくは散乱コーティング又はナイフコーティングが挙げられる。熱反応性材料のスクリーン印刷又は回転スクリーン印刷は、より高いレイダウン(グラビアロールによって達成できるレイダウンと比較したときに)及び低いパーセント面積被覆率を可能にし、これにより、テキスタイル複合材料の比較的高い空気透過性が可能になる。この方法を使用すると、熱反応性組成物が水を含みうるため、スクリーンの厚さを増すことがある。しかしながら、印刷後に、熱源、例えばオーブン又は加熱ロールを使用して、水の少なくとも一部を熱反応性組成物から除去(すなわち、蒸発)させることができる。加熱中に熱反応性組成物から水が除去されると、熱反応性材料の質量が減少し、結果としてより軽いテキスタイル複合材料を得ることができる。熱反応性組成物の水の少なくとも一部が除去されると、熱反応性材料の質量は、水を除去する前の熱反応性組成物の質量と比較したときに、最大約20%、最大約25%、又は最大約30%、又は最大約35%、又は最大約40%、又は最大45%まで減少することができる。
【0095】
テキスタイル複合材料を炎及び/又は熱、例えば約280℃以上の温度にさらすと、溶融可能層は溶融し始め、溶融物は熱反応性材料、特に膨張性グラファイトと混合することができる。このプロセスは、溶融可能層と熱反応性材料を含むチャーを形成することもできる。溶融可能層及び熱反応性材料を熱及び/又は高温、例えば、約280℃以上に暴露することから生じるチャーは、少なくとも溶融可能層及び膨張した膨張性グラファイトを含む不均一な溶融混合物であることができる。本開示によると、チャーは、溶融可能層及び熱反応性材料を約280℃以上の温度に曝した後に残る炭素質材料を指すことが意図される。約280℃以上の温度において、溶融可能層と水性アクリル樹脂の一方又は両方は酸化するか又は燃焼プロセスに参加して、チャーの一部となる追加の炭素質材料を形成することができる。チャーの形成は、チャーの下の層を熱への暴露から絶縁するのに役立つことができる。
【0096】
熱反応性材料は、膨張すると、膨張したグラファイトを含む複数の巻きひげを形成することができる。膨張プロセス中に、熱反応性材料の総体積は、膨張前の同混合物と比較したときに、有意に増加しうる。熱反応性材料の体積は、膨張後に少なくとも約5倍増加させることができる。熱反応性材料の体積は、膨張後に少なくとも約6倍増加させることができる。熱反応性材料の体積は、膨張後に少なくとも約7倍増加させることができる。熱反応性材料の体積は、膨張後に少なくとも約8倍増加させることができる。熱反応性材料の体積は、膨張後に少なくとも約9倍増加させることができる。熱反応性材料の体積は、膨張後に少なくとも約10倍増加させることができる。
【0097】
テキスタイル複合材料が、溶融可能層、追加の層、及び不連続な形態のパターンで適用された熱反応性材料を含む場合に、熱反応性材料は、膨張後に緩くパッキングされた巻きひげを形成し、巻きひげの間に空隙を形成し、また、膨張した熱反応性材料のパターンの間に空間を形成する。炎にさらされると、溶融可能層は溶融し、一般に、熱反応性材料の不連続な形態の間の開放領域から離れうる。追加の層は、膨張中に熱反応性材料を支持することができ、溶融可能層の溶融物は、溶融中に膨張している熱反応性材料によって吸収及び保持されることができる。溶融物を吸収及び保持することにより、本明細書に記載のテキスタイル複合材料は、溶融滴下を示さないことがある。溶融物を吸収及び保持することにより、本明細書に記載のテキスタイル複合材料は、本明細書に記載の水平火炎試験によって測定して、不燃性であることができる。熱安定な追加の層が溶融吸収中に膨張している熱反応性材料を支持する場合に、熱安定な追加の層は、開裂及び穴の形成から保護されうる。膨張時に熱反応性材料の表面積が増加することにより、火炎にさらされたときに膨張した熱反応性材料による溶融可能層からの溶融物の吸収が可能になることができる。
【0098】
本明細書に記載のテキスタイル複合材料は、溶融可能層と、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及びFR添加剤を含む熱反応性材料と、追加の層との組み合わせにより、向上された特性を示すことができる。例えば、テキスタイル複合材料は、本明細書に記載の水平火炎試験を使用して難燃性について試験したときに、約2秒以下のアフターフレームを有することができる。さらに、幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料は、溶融滴下、穴の形成、及びその縁への炎又は白熱の広がりを示さないことが可能である。
【0099】
熱反応性組成物は水性アクリル樹脂を含み、続いて、その中から水を除去することができるので、テキスタイル複合材料は、約5~約25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約6~約25Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約25Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約24Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約23Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約22Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約21Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約22Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約23Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約24Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約25Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。乾燥剥離強度値はDIN54310で測定されたものである。
【0100】
追加の層は熱安定な材料から作られることができる。火炎にさらされると、溶融可能層は熱反応性材料に向かって溶融しうる。熱反応性材料中の膨張性グラファイトが膨張するときに、熱安定な追加の層は、膨張している熱反応性材料を所定の位置に保持し、溶融可能層の溶融物の吸収を容易にすることができる。
【0101】
追加の層は、テキスタイル層、熱安定なテキスタイル層又はそれらの組み合わせであることができる。上記に開示したように、テキスタイルは、織物、編物、不織布又はそれらの多層の組み合わせであることができる。熱安定なテキスタイルの例としては、限定するわけではないが、アラミド、難燃性綿、綿、亜麻、キュプロ、アセテート、トリアセテート、ウール、ビスコース、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、FRレーヨン、モダクリル、モダクリル/綿ブレンド、ポリアミン、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0102】
追加の層は溶融可能層であることができる。溶融可能な追加の層は、以下の1つ以上:織物、編物、不織布又はそれらの組み合わせを含む溶融性テキスタイルであることができる。追加の層は、織物、編物及び/又は不織布テキスタイルのうちの1つ以上を含む溶融性多層テキスタイルであることができる。溶融可能な追加の層に使用されるテキスタイルは、以下のうちの1つ以上を含むことができる:ポリアミド、例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラスタン。溶融可能な追加の層は、ポリアミド又はポリエステルであることができる。溶融可能な追加の層は、ポリアミド、例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はエラスタンのブレンド又は組み合わせであることができる。
【0103】
溶融可能な追加の層は、複数の溶融性テキスタイルを含むことができる。例えば、溶融可能な追加の層は、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、エラスタン及びポリプロピレンのうちの2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0104】
追加の層は、綿などの非溶融性テキスタイルであることができる。追加の層は、溶融性繊維を含む非溶融性テキスタイルであることができる。例えば、追加の層は、綿及びポリエチレンテレフタレート(PET)を含むテキスタイルであることができる。追加の層は、綿及びポリアミド(PA)を含むテキスタイルであることができる。追加の層は、PET及びビスコースを含むテキスタイルであることができる。
【0105】
追加の層は、溶融性フィルムであることができ、ここで、溶融性フィルムは微孔性又は非多孔性フィルムであることができる。溶融性フィルムは、非多孔性でガス不透過性のフィルムであることができ、例えば、物品又は衣服の全部又は一部を覆う溶融性連続フィルムであることができる。溶融性連続フィルムは、化学物質又は生物学的材料が複合材物品の表面から着用者に透過しえないことを可能にする。溶融性フィルムは単層フィルム又は多層フィルムであることができる。難燃性複合材物品において、溶融性フィルムは、微孔性ポリオレフィン、微孔性ポリエステル又は微孔性ポリウレタンであることができる。
【0106】
溶融性フィルムは、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチルビニルアルコール(EVOH)、エチルビニルアセテート(EVAc)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、コポリエーテルエステル、又はそれらのコポリマー又は多層ラミネートを含むことができる。
【0107】
テキスタイル複合材料は、危険な環境の労働者のための衣服に使用されることができる。テキスタイル複合材料は、通気性、防水性、難燃性、軽量性、可撓性及び快適な着用性のうちの1つ以上の特性を示すことができる。
【0108】
テキスタイル複合材料は、1平方メートルあたり約80~約240グラム(g/m)の範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約80~約200g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約80~約180g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約80~約165g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約80~約150g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約80~約125g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約80~約100g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約80~約90g/mの範囲の重量を有することができる。
【0109】
テキスタイル複合材料は、約95~約240g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約110~約240g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約125~約240g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約140~約240g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約165~約240g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約180~約240g/mの範囲の重量を有することができる。
【0110】
テキスタイル複合材料は、約115~約160g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約95~約150g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約165~約190g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約135~約175g/mの範囲の重量を有することができる。テキスタイル複合材料は、約85~約100g/mの範囲の重量を有することができる。すべての重量測定は、DIN EN 12127(1997/12)によって実施される。
【0111】
熱反応性材料が溶融可能層と追加の層との間に配置されるように、追加の層を熱反応性材料上に配置することができる。追加の層は、熱反応性材料によって、テキスタイル複合材料の溶融可能層の内側に取り付けられるか又は結合されることができる。使用中、溶融可能層の外側は、炎又は熱源と接触するように配向されうる。
【0112】
組み合わせとなる溶融可能層、熱反応性材料及び追加の層は、圧力によって結合又は接着されうる。例えば、2つのローラのニップ間の圧力は、組み合わされた溶融性層、熱反応性材料及び追加の層に加えられることができる。
【0113】
組み合わされた溶融可能層、熱反応性材料及び追加の層は、熱を加えることによって乾燥及び硬化させることができる。温度は、水性アクリル樹脂の水の大部分と、存在する可能性のある揮発性化合物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分に高くすべきであるが、膨張性グラファイトが膨張し始めないように十分に低くすべきである。加熱温度は60℃~180℃であることができる。水性アクリル樹脂のほとんどの水を蒸発させるための加熱温度は、約80~約100℃であることができる。加熱工程は、1つ以上の加熱ロールを介して実施することができ、加熱ロールは、水及び/又は揮発性化合物を追い出すために熱を提供し、場合により、水性アクリル樹脂を硬化又は架橋し、溶融可能層と追加の層との間のより良い結合を作成するための圧力を提供する役割を果たすことができる。
【0114】
この方法は、テキスタイル複合材料に圧力を加えてラミネートを形成する工程をさらに含むことができる。
【0115】
熱反応性材料は水性アクリル樹脂を含むことができる。理論に拘束されることを望まないが、ポリマー樹脂として水性アクリル樹脂を使用すると、水の少なくとも一部が除去される加熱工程後のテキスタイル複合材料の全体重量を減らすことができる。しかしながら、熱反応性材料の量を減らすと、テキスタイル複合材料の強度が制限されうる。この解決策は、熱反応性材料成分の改善された混合物であり、特に、膨張性グラファイトとの混合物中でのより多量のFR添加剤である。追加の利点は、テキスタイル複合材料の乾燥剥離強度が向上し、なおも優れた難燃性を維持することである。
【0116】
DIN EN 15025A(2017年4月)試験規格に従って試験したときに、テキスタイル複合材料はアフターフレームが約2秒以下であることができる。テキスタイル複合材料は、DIN EN 15025A試験規格に従って試験したときに、約1.5秒以下のアフターフレームを有することができる。テキスタイル複合材料は、DIN EN 15025A試験規格に従って試験したときに、約1秒以下のアフターフレームを有することができる。テキスタイル複合材料は、DIN EN 15025A試験規格に従って試験したときに、約0.5秒以下のアフターフレームを有することができる。溶融可能層の外側を火炎にさらすと、熱反応性材料の層を備えた溶融可能層は、DIN EN 15025A試験規格に従って試験したときに、約2秒以下のアフターフレームを有することができる。使用中に、溶融可能層は炎から収縮することができる。
【0117】
テキスタイル複合材料を含む衣服の快適さを向上させることができるテキスタイル複合材料中にストレッチを組み込むことができる。一方向ストレッチは、例えば、WO2018/067529の開示に従って組み込むことができる。本明細書で使用されるときに、一方向ストレッチとは、テキスタイル複合材料が、機械方向又は横断方向のうちの1つの方向であるが、典型的には、両方ではない方向に回復可能な弾性を有することを意味する。テキスタイル複合材料、特に本質的に弾性ではない1つ以上の層を含むものにストレッチを組み込むための他の方法は当該技術分野で知られている。適切な例としては、例えば、EP 110626及びEP 1852253の教示を挙げることができる。
【0118】
テキスタイル複合材料を使用して衣服を製造することができる。テキスタイル複合材料が衣服を製造するために使用されるときに、テキスタイル複合材料は、溶融可能層が衣服の外部領域に露出し、追加の層が溶融可能層の反対側に配置されるように配向されることができ、すなわち、追加の層が着用者に向けて配向される。
【0119】
テキスタイル複合材料は、着用者を火傷から保護できる優れた軽量保護衣服を提供する。テキスタイル複合材料が炎にさらされると、着用者を外傷から保護するためにテキスタイル複合材料は構造変化することができる。溶融可能層が燃焼して着用者に滴下するのを防ぐために、熱反応性材料が膨張している間に溶融可能層は溶融し、熱エネルギー及び溶融しているテキスタイルを吸収することができる。溶融可能層の溶融と熱反応性材料の膨張の組み合わせにより、着用者に優れた快適さを提供し、それでも火傷からの保護を提供することができる軽量のテキスタイル複合材料が可能になることができる。
【0120】
各態様又は実施形態に関連して開示されるさらなる特徴は、本発明の他の各態様又は実施形態のさらなる特徴に対応することを理解されたい。例えば、この方法は、第一の態様に従ってラミネート材料を作製するための工程を含むことができ、よって、それに関連して開示される任意の材料調製、コーティング又は製造方法を含むことができる。さらに、本発明は、本明細書に開示される方法によって得られる任意のラミネート構造に及ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0121】
本実施形態の動作は、添付の図面と併せて検討したときに、以下の記載から明らかになるはずである。
【0122】
図1図1は、本明細書に記載のテキスタイル複合材料の1つの実施形態の断面図の概略図である。
【0123】
図2図2は、本明細書に記載のテキスタイル複合材料の別の実施形態の断面図の概略図である。
【0124】
図3図3は、本明細書に記載のテキスタイル複合材料の別の実施形態の断面図の概略図である。
【0125】
図4図4は、グリッドパターンで適用された熱反応性材料の概略図である。
【0126】
図5図5は、離散ドットのパターンで適用された熱反応性材料の概略図である。
【0127】
図6図6は、本明細書に記載のテキスタイル複合材料を含むジャケットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。
【0129】
本開示の目的のために、「難燃性」という用語は、本明細書で使用されるときに、DIN EN 15025A試験規格に供されたときに、約2秒未満のアフターフレームを示すテキスタイル又はテキスタイル複合材料を指す。
【0130】
本開示の目的のために、「可燃性」という用語は、本明細書で使用されるときに、本明細書に提示されるテキスタイルの水平火炎試験(DIN EN ISO 15025A)に従って試験されたときに、2秒を超えるアフターフレームを有するテキスタイルを指す。
【0131】
本開示の目的のために、「ラミネート」という用語は、本明細書で使用されるときに、接着剤又は他の方法で結合される少なくとも2つの個々の層を指す。
【0132】
本開示の目的のために、「溶融可能」という用語は、本明細書で使用されるときに、本明細書に提示される溶融及び熱安定性試験に従って試験されたときに溶融するテキスタイル又はテキスタイル複合材料を指す。
【0133】
本開示の目的のために、「不燃性」という用語は、本明細書で使用されるときに、本明細書に提示されるテキスタイルの水平火炎試験(DIN EN ISO 15025A)に従って試験されたときに、2秒以下のアフターフレームを有するテキスタイルを指す。
【0134】
本開示の目的のために、「テキスタイル」という用語は、本明細書で使用されるときに、繊維、フィラメント、繊維及び/又はフィラメントを含むヤーン、又はそれらの組み合わせから作られた布帛材料を指す。特に、「テキスタイル」という用語は、本明細書で使用されるときに、繊維、フィラメント及び/又はヤーンを含む、製造されたシート状構造(例えば、編物、織物又は不織布)を指す。
【0135】
本開示の目的のために、「空隙(ボイド)」という用語は、本明細書で使用されるときに、膨張したグラファイトの巻きひげの間の空の空間/体積を指す。
【0136】
溶融可能層、熱反応性材料及び追加の層を有するテキスタイル複合材料は、防護服として使用することができる。防護服としては、ジャケット、ズボン、シャツ、ベスト、オーバーオール、手袋、ゲートル、フード、靴などの衣服が挙げられる。
【0137】
保護服は、広く使用するために、特にフラッシュファイヤの危険性が存在するが、確率が低い場合には、軽量である必要がある。テキスタイル複合材料の重量を減らすには、保護特性を失い又は通気性を低下させることなく、個々の層の重量を減らさなければならない。
【0138】
本明細書に記載されているように、重量を減らすことができる層は、熱反応性材料層である。ポリマー樹脂として水性アクリル樹脂を使用すると、水の少なくとも一部が除去される加熱工程後のテキスタイル複合材料の全体重量が減少する。しかしながら、熱反応性材料の量を減らすと、テキスタイル複合材料の強度が制限されることがある。その方策は、熱反応性材料成分の改善された混合物であり、特に、膨張性グラファイトとの混合物中のより多量のFR添加剤である。追加の利点は、テキスタイル複合材料の乾燥及び湿潤剥離強度が向上し、なおも優れた耐炎性を維持することである。1つの実施形態において、2秒未満のアフターフレーム及び5~25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有するテキスタイル複合材料が本明細書に記載されている。
【0139】
図1~2を参照して、テキスタイル複合材料10は、溶融可能層100、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及び少なくとも1つの難燃性添加剤を含む熱反応性材料102、及び、熱反応性材料102上に又はそれに隣接して配置された追加の層108を含む。1つの実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の内側104に配置される。溶融可能層100の外側106が炎にさらされると、DIN EN 15025A試験規格に従って試験したときに、テキスタイル複合材料はアフターフレームが2秒未満である。
【0140】
図3は、図1図2のテキスタイル複合材料を示しており、ここで、テキスタイル複合材料は、第二の追加の層120を含む。第二の追加の層120はテキスタイル層又はフィルム層であることができる。
【0141】
本開示は、a)溶融可能層、b)水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及び少なくとも1つの難燃性(FR)添加剤を含む熱反応性材料、及び、c)前記熱反応性材料上に配置された追加の層であって、前記熱反応性材料が前記溶融可能層と前記追加の層との間にあるようになっている追加の層を含む、テキスタイル複合材料であって、前記テキスタイル複合材料は2秒未満のアフターフレームを有し、そして前記テキスタイル複合材料は、DIN 54310で測定して、5~25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有する、テキスタイル複合材料に関する。テキスタイル複合材料を使用して衣服を製造するときに、テキスタイル複合材料は、溶融可能層が衣服の外側領域に露出し、追加の層が溶融可能層の反対側に配置されるように配向され、すなわち、追加の層は着用者に向けられるように配向される。本開示はまた、溶融可能層が炎にさらされたときに、溶融可能層と熱反応性材料との組み合わせがチャーを形成する実施形態に関する。幾つかの実施形態において、チャーは、溶融可能層及び熱反応性材料のポリマー材料が燃焼された後に形成される炭素質層を含む。炭素質チャーは非常に高い融点を有し、チャーの下にある材料を断熱する。
【0142】
テキスタイル複合材料は、溶融可能層を含み、溶融可能層はテキスタイル層であることができる。溶融可能層は、織物、編物、トリコットニット、不織布材料、多層不織材料、又はそれらの組み合わせであることができる。溶融可能層として適切なテキスタイルとしては、限定するわけではないが、例えば、ポリアミド、例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラスタン又はそれらの組み合わせを挙げることができる。本開示はまた、溶融可能層がポリアミド又はポリエステルである、上述の実施形態のいずれか1つに関する。幾つかの実施形態において、溶融可能層は、単層又は2つ以上の層であることができる。幾つかの実施形態において、溶融可能層は軽量であることができる。例えば、上述の実施形態のいずれかによる溶融可能層は、約120グラム/平方メートル(g/m)以下、約110g/m以下、約100g/m以下、約90g/m以下、約80g/m以下、70g/m以下、60g/m以下、50g/m以下、約45g/m以下、約40g/m以下、約35g/m以下、約30g/m以下、約25g/m以下、又は約20g/m以下の重量を有することができる。すべての重量測定は、DIN EN 12127(1997/12)によって実施される。
【0143】
幾つかの実施形態において、溶融可能層100は、以下の1つ以上:織物、編物、不織布又はそれらの組み合わせを含むことができる。溶融可能層は、織物、編物及び/又は不織布テキスタイルのうちの1つ以上を含む多層テキスタイルであることができる。溶融可能層に使用されるテキスタイルは、以下のうちの1つ以上を含むことができる:ポリアミド、例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラスタン又はそれらの組み合わせ。溶融可能層は、ポリアミド又はポリエステルであることができる。溶融可能物は、ポリアミド、例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はエラスタンのブレンド又は組み合わせであることができる。幾つかの実施形態において、溶融可能層100は、溶融可能で不燃性のテキスタイルであることができる。溶解可能で不燃性のテキスタイルとしては、例えば、ホスホネート変性ポリエステル(商品名TREVIRA(登録商標)CS及びAVORA(登録商標)FRで販売されている材料など)が挙げられる。幾つかの溶融可能で不燃性のテキスタイルは、従来のラミネートの形で拘束されたときに、テキスタイルが炎から容易に収縮せず、継続的な燃焼をもたらすので、典型的に、衣服用途を対象とした難燃性ラミネートでの使用を目的としていない。しかしながら、テキスタイル複合材料が追加の層108及び層間の熱反応性材料102をさらに含むときに、テキスタイル複合材料は、難燃性ラミネート用途で使用されうることが見出された。
【0144】
幾つかの実施形態において、溶融可能層100は、複数の溶融性テキスタイルを含む。例えば、幾つかの実施形態において、溶融可能層100は、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6.6、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラスタンのうちの2つ以上の組み合わせを含む。さらに別の実施形態において、溶融可能層は、編物、織物又は不織布のうちの2つ以上を含む多層テキスタイルである。多層テキスタイル中の各層は溶融性テキスタイルであることができ、テキスタイルは互いの上に積層化される。多層テキスタイルが溶融可能な外層として使用されるならば、個々の溶融可能層の各々は互いに独立して選択することができる。
【0145】
幾つかの実施形態において、溶融可能層は、テキスタイル複合材料の特性を改善するための1つ以上の処理を含むことができる。例えば、溶融可能な外層は、テキスタイル複合材料の吸水率を低下させるのを助けるために疎水性処理を有することができる。適切な疎水性処理としては、フルオロケミカル処理及び/又はシリコーン系処理を挙げることができる。溶融可能な外層は、例えば、ペルメトリン又はDEETなどで殺虫剤又は防虫剤処理が施されることができる。他の実施形態において、溶融可能な外層は、テキスタイル複合材料に所望の吸水性又は汚れ忌避性を与えるために、親水性又は疎油性処理を含むことができる。このような処理は、テキスタイル複合材料の形成前に溶融可能な外層に施されることができ、又はテキスタイル複合材料の形成後に施されることができる。
【0146】
テキスタイル複合材料はまた、熱反応性材料を含み、熱反応性材料は、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及び難燃性(FR)添加剤を含むか、又はそれらから本質的になる。この関係で使用されるときに、「から本質的になる」とは、熱反応性材料が、リストされた材料、及び、約10質量%以下(又は約5%以下、又は約4%以下、又は約3%以下、又は約2%以下、又は約1%以下)の組成物に重大な影響を与える可能性のある他の材料を含むことを意味する。質量パーセントは、熱反応性材料の総質量から、存在する可能性のある揮発性物質、例えば、乾燥及び硬化プロセス中に蒸発することができる水又は他の有機分子を差し引いたものに基づく。幾つかの実施形態において、アクリルポリマーは水性アクリル樹脂である。幾つかの実施形態において、水性アクリル樹脂はアクリルアミド繰り返し単位を含む。幾つかの実施形態において、水性アクリル樹脂はN-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含む。例えば、幾つかの実施形態において、水性アクリル樹脂は水性アクリルポリマー樹脂であり、N-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含み、例えば、Tanatex Chemicals B.V., Ede, Netherlandsから入手可能なEDOLAN(登録商標)AMなどである。
【0147】
水性アクリル樹脂は熱可塑性であることができ、1つの実施形態において、自己架橋性水性アクリル樹脂であり、別の実施形態において、非架橋水性アクリル樹脂である。他の実施形態において、熱反応性材料は、架橋された水性アクリル樹脂を形成するために、架橋剤をさらに含む。他の実施形態において、熱反応性材料は、自己架橋性水性アクリル樹脂及び架橋剤を含む。追加の架橋剤は、溶融可能層及び追加の層への結合を改善するのに役立つことができる。したがって、幾つかの実施形態において、熱反応性材料は、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト、少なくとも1つのFR添加剤及び架橋剤を含むか、又はそれらから本質的になる。適切な架橋剤は、例えば、ポリイソシアネートベースの架橋剤、ブロックトポリイソシアネートベース量%以下で存在し、すべての質量パーセントは、水性アクリル樹脂及び架橋剤の総質量に基づく。
【0148】
280℃未満の溶融温度又は軟化温度を有する水性アクリル樹脂を、開示された実施形態で使用することができる。幾つかの実施形態において、水性アクリル樹脂は300℃以下又は280℃以下での熱暴露時に変形可能であり、膨張性グラファイトが実質的に膨張することを可能にする。熱反応性材料中の適切な水性アクリル樹脂は、膨張性グラファイトが、溶融可能な外側テキスタイルの熱分解温度よりも低い温度で十分に膨張することを可能にする。幾つかの実施形態において、熱への暴露中の水性アクリル樹脂の粘弾性特性は、膨張性グラファイトの膨張を可能にし、膨張性グラファイトの膨張後の熱反応性材料の構造的一体性を維持することを可能にする。
【0149】
幾つかの実施形態において、熱反応性材料は、シリコーン又はケイ素含有化合物を含まない。他の実施形態において、熱反応性材料は、シリコーンを含まないか、又は本質的に含まない。本明細書で使用されるときに、「本質的にシリコーンを含まない」とは、熱反応性材料が5質量%以下のシリコーン含有化合物、又は、4質量%以下又は3質量%以下又は2質量%以下又は1質量%以下のシリコーン含有化合物を含むことを意味する。すべての質量パーセントは、熱反応性材料の総質量に基づく。
【0150】
熱反応性材料102に水性アクリル樹脂を使用することの1つの利点は、例えば、シリコーンベースの熱反応性材料を用いて形成されたテキスタイル複合材料と比較したときに、テキスタイル複合材料10はプリントスルーが低減されることである。このプリントスルーの減少により、カモフラージュ印刷などの視覚光学系及び色耐久性が向上する。さらに、水性アクリル樹脂ベースの熱反応性材料を用いて形成された複合材テキスタイル10は、疎水性シリコーンと比較したときに、例えば、撥水処理などの後処理のためのより良い条件を提供する。というのは、アクリル化学物質がそのような処理剤とよりよく反応するからである。実施形態において、水性アクリル樹脂は、例えば、溶融可能層を追加の層にラミネート又は取り付けるための接着剤を含み、及び/又は接着剤として機能しうる。
【0151】
熱反応性材料は、膨張性グラファイトも含む。幾つかの実施形態において、膨張性グラファイトは、本明細書に記載のTMA膨張試験を使用して約280℃に加熱されると、少なくとも900マイクロメートルだけ膨張する。他の有用なグレードの膨張性グラファイトは、約240℃に加熱すると、少なくとも400マイクロメートル膨張する。
【0152】
膨張性グラファイトはまた、上記のように良好な膨張性と、本明細書に記載のDSC吸熱試験方法に従って試験したときに少なくとも100ジュール/グラム(J/g)の吸熱性の両方を有することができる。他の実施形態において、150J/g以上又は200J/g以上又は250J/g以上の吸熱性を有する膨張性グラファイトを使用することが望ましいことがある。幾つかの実施形態において、適切な膨張性グラファイトは、280℃で900μmを超える膨張性と、100J/g以上の吸熱性を有する。
【0153】
熱反応性材料に組み込まれる膨張性グラファイト粒子のサイズは、熱反応性材料が選択された適用方法で適用されうるように選択されうる。例えば、熱反応性材料がグラビア印刷又はスクリーン印刷技術によって適用されるときに、膨張性グラファイトの粒子サイズは、グラビアセル又はスクリーン印刷アパチャ内に適合するのに十分に小さくすべきである。幾つかの実施形態において、膨張性グラファイトは、Asbury Carbons, Asbury, New Jersey, USAから入手可能なAsbury 3626膨張性グラファイトである。
【0154】
上記のように、熱反応性材料102は、少なくとも1つの難燃性(FR)添加剤も含む。熱反応性材料102に組み込むことができる例示のFR添加剤としては、限定するわけではないが、メラミン、ポリホスフェート又はそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、FR添加剤はメラミンポリホスフェートである。例えば、幾つかの実施形態において、熱反応性材料102は、Thor GmbH, Speyer, Germanyからすべて入手可能であるAFLAMMIT(登録商標)PMN500メラミン、AFLAMMIT(登録商標)PMN 200メラミンポリホスフェート及びAFLAMMIT(登録商標)PCO 962添加剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0155】
幾つかの実施形態において、熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約90質量パーセント(wt%)の水性アクリル樹脂を含む。他の実施形態において、熱反応性組成物は、約50~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約50~約76wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約90wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約85wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約55~約76wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~90wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約85wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約80wt%の水性アクリル樹脂、又は約60~約76wt%の水性アクリル樹脂を含む。すべての質量パーセントは、熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0156】
熱反応性組成物の総質量に基づいて、熱反応性組成物は、約5~約45wt%の膨張性グラファイト及び約5~約45wt%の少なくとも1つのFR添加剤の範囲での膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤との混合物を含むことができる。膨張性グラファイトと少なくとも1つのFR添加剤との混合物は、熱反応性組成物中に、約10~約40wt%の膨張性グラファイト及び約10~約40wt%のFR添加剤の範囲で、又は約10~約30wt%の膨張性グラファイト及び約10~約25wt%のFR添加剤の範囲で存在することができ、すべての質量パーセントは、熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0157】
幾つかの実施形態において、熱反応性組成物は、熱反応性組成物の合計質量に基づいて、約50~約90wt%の水性アクリル樹脂、及び約10~約50wt%の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約80wt%の水性アクリル樹脂、及び約20~約50wt%の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約75wt%の水性アクリル樹脂、及び約25~約50wt%の、膨張性グラファイトとFR添加剤との混合物を含むことができる。熱反応性組成物は、熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約70wt%の水性アクリル樹脂、約15~約25wt%の膨張性グラファイト及び約15~約25wt%のFR添加剤を含むことができる。
【0158】
幾つかの実施形態において、熱反応性組成物は、顔料、フィラー、抗微生物剤、加工助剤、架橋剤、増粘剤、乳化剤、脱泡剤及び安定剤などの追加の添加剤を含むことができる。熱反応性組成物は、約10質量%以下、又は約5wt%以下、又は約4wt%以下、又は約3wt%以下、又は約2wt%以下、又は約1wt%以下の任意選択的な添加剤を含むことができる。すべての質量パーセントは、熱反応性組成物の総質量に基づく。
【0159】
熱反応性組成物は、膨張性グラファイトの実質的な膨張を引き起こすことなく、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及びFR添加剤の緊密なブレンドを提供する方法によって製造することができる。幾つかの実施形態において、膨張性グラファイト、FR添加剤及びいずれかの任意選択的な添加剤、例えば、架橋剤を、水性アクリル樹脂と別々に又は互いに同時に混合又はブレンドして、熱反応性組成物を形成することができる。混合方法としては、限定するわけではないが、パドルミキサー、ブレンディング及びその他の低せん断混合技術が挙げられる。他の方法において、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト粒子及びFR添加剤の緊密なブレンドは、水性アクリル樹脂の重合の前に、膨張性グラファイト及びFR添加剤をモノマー混合物及び/又はプレポリマーと混合することによって得られる。次に、モノマー混合物及び/又はプレポリマーを重合して、熱反応性組成物を生成することができる。水性アクリル樹脂、少なくとも1つのFR添加剤及び膨張性グラファイト粒子又は凝集体の緊密なブレンドを提供する方法において、膨張性グラファイトは、グラファイトの膨張前に水性アクリル樹脂によってコーティング又はカプセル化されうる。
【0160】
テキスタイル複合材料はまた、追加の層108を含む。追加の層108は、熱反応性材料が溶融可能層と追加の層との間にあるように、熱反応性材料上に配置される。幾つかの実施形態において、追加の層108は、熱反応性材料102によって、テキスタイル複合材料10の溶融可能層100の内側104に取り付けられるか又は結合され(図1に示されるように)、そして使用時に、溶融可能層100の外側104は、火炎又は熱源と接触するように配向されている。幾つかの実施形態において、追加の層108は、熱安定な材料から作られることができる。火炎にさらされると、溶融可能層100は熱反応性材料102に向かって溶融する。熱反応性材料102中の膨張性グラファイトが膨張すると、熱安定な追加の層108は、膨張している熱反応性材料102を所定の位置に保持して溶融可能層100の溶融物の吸収を容易にすることができる。
【0161】
追加の層108は、テキスタイル層、熱安定なテキスタイル層又はそれらの組み合わせであることができる。上記に開示したように、テキスタイルは、織物、編物、不織布又はそれらの多層の組み合わせであることができる。熱安定なテキスタイルの例としては、限定するわけではないが、アラミド、難燃性(FR)綿、綿、PBI、PBO、FRレーヨン、モダクリルブレンド、ポリアミン、カーボン、ガラス繊維、PAN及びそれらのブレンド及び組み合わせが挙げられる。
【0162】
本開示によるテキスタイル複合材料は、図1及び2に例示されるように、溶融可能層100を提供し、そして熱反応性組成物を溶融可能層100の片面104に適用することによって製造することができる。次に、追加の層108を熱反応性組成物に適用することができる。次に、組み合わされた溶融可能層、熱反応性組成物及び追加の層を乾燥させ、場合により、熱を加えることによって硬化させることができる。温度は、水性アクリル樹脂の水相の少なくとも一部及び存在する可能性のある揮発性化合物の少なくとも一部を蒸発させるのに十分に高くすべきであるが、膨張性グラファイトが膨張し始めないように十分に低くすべきである。幾つかの実施形態において、加熱工程は、1つ以上の加熱ロールを介することができ、加熱ロールは、水を追い出し、場合により、水性アクリル樹脂を硬化又は架橋するための熱を提供し、溶融可能層と追加の層の間に、より良い結合を作成するための圧力を提供する役割を果たすことができる。
【0163】
他の実施形態において、テキスタイル複合材料10を形成する方法は、a)溶融可能層100及び追加の層108を提供すること、b)熱反応性組成物を前記溶融可能層、前記追加の層、又はその両方に適用すること、ここで、前記熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及びFR添加剤を含む、c)前記溶融可能層と前記追加の層を、これら2つの層の間に挟まれた前記熱反応性組成物と一緒に接着してラミネートを形成すること、及びd)前記水性アクリル樹脂から水の少なくとも一部を除去し、場合により、前記水性アクリル樹脂を架橋するのに十分な温度に前記ラミネートを加熱することを含む。
【0164】
熱反応性組成物は、図2に示されるように、連続層として適用されることができ、又は、高められた空気透過性、水蒸気透過性及び/又は手触りが望まれる場合に、熱反応性組成物を不連続に適用して、図1に示されるように、100%未満の表面被覆率を有する熱反応性組成物の層を形成することができる。
【0165】
他の実施形態において、テキスタイル複合材料10を形成する方法は、a)溶融可能層100及び追加の層108を提供すること、b)熱反応性組成物を不連続パターンで前記溶融可能層、前記追加の層又はその両方に適用すること、ここで、前記熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂、膨張性グラファイト及びFR添加剤を含む、c)前記溶融可能層と前記追加の層を、これらの2つの層の間に挟まれた前記熱反応性組成物と一緒に接着してラミネートを形成すること、及び、d)前記水性アクリル樹脂から水の少なくとも一部を除去し、場合により、前記水性アクリル樹脂を架橋するのに十分な温度に前記ラミネートを加熱することを含むことができる。不連続な適用は、限定するわけではないが、ドット、グリッド、ライン及びそれらの組み合わせを含む形態によって、100%未満の表面被覆率を提供することができる。図4及び5は、例えば、溶融可能層100の内側104に熱反応性組成物が不連続に適用されるときに、熱反応性組成物の層がドット122及びライン124のパターンで提供される例を示す。本明細書で使用されるときに、「ドット」という用語は、任意の離散形状、例えば、円、正方形、矩形、多角形又はそれらの組み合わせであることができる任意の形状を意味する。ラインは、直線形状、波形形状、曲線形状又はそれらの混合物を有することができる。パターンに応じて、ドット及びラインを互いに近づけ又は広げることができる。図4に示されるとおりの1つの実施形態において、ライン124は連続グリッドの形態で配置されている。
【0166】
不連続被覆を伴う幾つかの実施形態において、不連続なパターンの隣接領域間の平均距離は、衝突する炎のサイズよりも小さい。他の実施形態において、不連続パターンの隣接するドット又はラインの間の平均距離は、200マイクロメートル~10ミリメートル(mm)であることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接するドット又はラインの間の平均距離は、0.25mm~10mmであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接するドット又はラインの間の平均距離は、1mm~10mmであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接するドット又はラインの間の平均距離は、4mm~10mmであることができる。本明細書で使用されるときに、隣接するドット又はラインの間の距離は、2つの隣接するドット又はラインの隣接する縁の間の平均距離を意味する。平均距離はまた、少なくとも10の異なるドット又はラインの対の縁から縁までの距離に基づく平均を意味する。
【0167】
幾つかの実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、600マイクロメートル~7.5mmであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、600マイクロメートル~4.5mmであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、600マイクロメートル~1mmであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、600マイクロメートル~0.75mmであることができる。幾つかの実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、600マイクロメートル~2.5mmであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、600マイクロメートル~1.2mmであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、600マイクロメートル~600マイクロメートルであることができる。他の実施形態において、不連続パターンの隣接領域間の平均距離は、1mm~2mmであることができる。
【0168】
不連続ドットパターンが使用される例示的な実施形態において、ドットは、0.8mm以上~5mmの範囲の直径を有する。他の実施形態において、ドットは、0.9mm~ 4.5mmの範囲の直径を有する。他の実施形態において、ドットは、1.0mm~4.0mmの範囲の直径を有する。他の実施形態において、ドットは、1.0mm~3.5mmの範囲の直径を有する。他の実施形態において、ドットは、1.0~3.0mmの範囲の直径を有する。他の実施形態において、ドットは、1.0mm~2.5mmの範囲の直径を有する。
【0169】
手触り、通気性及び/又はテキスタイル重量などの特性が重要である実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の20%以上~100%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の25%~80%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の25%~75%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の25%~55%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の25%~40%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の25%~35%の範囲を覆う。
【0170】
幾つかの実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の30%~100%の範囲を覆う。他の実施形態におおいて、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の45%~100%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の55%~100%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の65%~100%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の70%~100%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の95%~100%の範囲を覆う。
【0171】
幾つかの実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の30%~70%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の45%~65%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の25%~50%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の65%~90%の範囲を覆う。他の実施形態において、熱反応性材料102は、溶融可能層100の表面積の70%~80%の範囲を覆う。
【0172】
100%未満の被覆率を達成するための方法は、例えば、スクリーン印刷、回転スクリーン印刷、グラビア印刷、スプレーもしくは散乱コーティング又はナイフコーティングによって、溶融可能層もしくは追加の層又はその両方の表面上に混合物を適用することによって熱反応性組成物を適用することを含む。幾つかの実施形態において、熱反応性組成物のスクリーン印刷又は回転スクリーン印刷は、比較的高いレイダウン(グラビアロールによって達成できるレイダウンと比較したときに)及びテキスタイル複合材料の比較的高い空気透過性を可能にする低いパーセント面積被覆を可能にすることができる。この方法を使用すると、熱反応性組成物が水を含むので、スクリーンの厚さを増すことができる。しかしながら、印刷後に、熱源、例えばオーブン又は加熱ロールを使用して、水の少なくとも一部は熱反応性材料から除去される(すなわち、蒸発される)。加熱中に熱反応性材料102から水が除去されるので、幾つかの実施形態において、熱反応性材料102の質量が減少し、より軽いテキスタイル複合材料10が得られる。幾つかの実施形態において、水の少なくとも一部の除去のために、熱反応性材料の質量は、水を除去する前の熱反応性組成物の質量と比較して、最大20%又は最大25%又は最大30%又は最大35%又は最大40%又は最大45%減少することができる。
【0173】
熱反応性組成物は、ドット、ライン又はグリッドに加えて、他の形態で適用することができる。熱反応性組成物を適用するための他の方法は、グラビア印刷、又はスプレー又は散乱コーティング又はナイフコーティングを挙げることができ、ただし、熱又は炎にさらされたときに所望の特性が達成されるように熱反応性組成物を適用できる。
【0174】
幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料を炎及び/又は熱、例えば280℃以上の温度にさらすと、溶融可能層は溶融し始め、溶融物は熱反応性材料、特に膨張しているグラファイトと混合する。このプロセスは、溶融可能層と熱反応性材料を含むチャーを形成することもできる。幾つかの実施形態において、溶融可能層及び熱反応性材料を熱及び/又は高温、例えば280℃以上にさらすことから生じるチャーは、少なくとも溶融可能層及び膨張した膨張性グラファイトを含む不均一な溶融混合物である。本開示によると、チャーは、溶融可能層及び熱反応性材料を280℃以上の温度にさらした後に残っている炭素質材料を指すことが意図される。280℃以上の温度において、溶融可能層及び水性アクリル樹脂の一方又は両方が酸化するか又は燃焼プロセスに参加して、チャーの一部となる追加の炭素質材料を形成することもできる。チャーの形成は、チャーの下の層を熱への暴露から断熱するのに役立つことができる。
【0175】
幾つかの実施形態において、熱反応性材料102は、膨張すると、膨張したグラファイトを含む複数の巻きひげを形成する。膨張プロセス中に、熱反応性材料102の総体積は、膨張前の同混合物と比較したときに有意に増加する。1つの実施形態において、熱反応性材料102の体積は、膨張後に少なくとも5倍増加する。別の実施形態において、熱反応性材料102の体積は、膨張後に少なくとも6倍増加する。別の実施形態において、熱反応性材料102の体積は、膨張後に少なくとも7倍増加する。別の実施形態において、熱反応性材料102の体積は、膨張後に少なくとも8倍増加する。別の実施形態において、熱反応性材料102の体積は、膨張後に少なくとも9倍増加する。別の実施形態において、熱反応性材料102の体積は、膨張後に少なくとも10倍増加する。
【0176】
テキスタイル複合材料10が溶融可能層100、追加の層108及び不連続形態のパターンで適用された熱反応性材料102を含む実施形態において、熱反応性材料102は膨張して巻きひげを形成し、膨張後に緩くパッキングされて、巻きひげの間の空隙及び膨張した熱反応性材料102のパターン間の空間を形成する。炎にさらされると、溶融可能層100は溶融し、一般に、熱反応性材料102の不連続形態の間の開放領域から離れる方向に動く。熱安定な追加の層108は、膨張中に熱反応性材料102を支持し、溶融可能層100の溶融物は、溶融中に膨張している熱反応性材料102によって吸収及び保持される。溶融物を吸収及び保持することにより、溶融物の滴下を示さず、可燃性が抑制されるテキスタイル複合材料10を形成することができる。熱安定な追加の層108が溶融物吸収中に膨張している熱反応性材料102を支持する場合に、熱安定な追加の層108は、開裂及び穴の形成から保護されうる。膨張時の熱反応性材料102の増加した表面積は、火炎への暴露時に膨張した熱反応性材料102による溶融可能層100からの溶融物の吸収を可能にする。
【0177】
本明細書に記載のテキスタイル複合材料10は、溶融可能層100、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及びFR添加剤を含む熱反応性材料、及び追加の層108の組み合わせのために、向上した特性を示す。例えば、幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料10は、本明細書に記載の水平火炎試験を使用して難燃性について試験したときに、2秒未満のアフターフレームを有する。さらに、幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料10は、溶融滴下、穴の形成及びその縁への炎又は白熱の広がりを示さない。
【0178】
熱反応性材料は水性アクリル樹脂を含み、続いて、水が除去されるので、幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料は、約5~約25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約6~約25Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約25Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約24Nの範囲の乾燥剥離強度を有する。テキスタイル複合材料は、約7~約23Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約22Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約7~約21Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約22Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約23Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約24Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。テキスタイル複合材料は、約8~約25Nの範囲の乾燥剥離強度を有することができる。乾燥剥離強度の値は、DIN54310で測定されたとおりである。
【0179】
幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料10は、危険な環境で使用するための衣服に使用され、これは、軽量で、可撓性があり、快適に着用できる一方で、通気性及び難燃性である。例えば、幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料10は、平方メートル当たり80~240グラム(g/m)の範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、80~200g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、80~180g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、80~165g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、80~150g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、80~125g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、80~100g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、80~90g/mの範囲の重量を有する。
【0180】
幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料10は、95~240g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、110~240g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、125~240g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、140~240g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、150~240g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、165~240g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、180~240g/mの範囲の重量を有する。
【0181】
幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料10は、115~160g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、95~150g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、165~190g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、135~175g/mの範囲の重量を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、85~100g/mの範囲の重量を有する。すべての重量測定は、DIN EN 12127(1997/12)によって行われる。
【0182】
さらに、幾つかの実施形態において、テキスタイル複合材料10は、少なくとも約50l/msの空気透過性を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、約50~約500l/msの範囲の空気透過性を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、約100~約300l/msの範囲の空気透過性を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、約130~約170l/msの範囲の空気透過性を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、約140~約180l/msの範囲の空気透過性を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、約150~約190l/msの範囲の空気透過性を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、約120~約150l/msの範囲の空気透過性を有する。他の実施形態において、テキスタイル複合材料10は、約75~約100l/msの範囲の空気透過性を有する。
【0183】
溶融可能な外層、熱反応性材料及び追加の内層を有する開示のテキスタイル複合材料は、防護服として使用することができる。防護服は、例えば、図6に示されるジャケット20、ズボン、シャツ、ベスト、オーバーオール、手袋、ゲートル、フード及び靴などの衣服が挙げられる。衣服に使用されるときに、テキスタイル複合材料は、溶融可能層が衣服の外側の外部領域に露出又は配置され、追加の層が溶融性テキスタイルの反対側に配置されるように配向される。
【0184】
本開示の範囲を制限することを意図することなく、以下の試験方法及び例は、本開示がどのように作成及び使用されうるかを示している。
【実施例0185】
試験方法
水平火炎試験
テキスタイル材料サンプルは、DIN EN ISO 15025A(2017年4月)試験規格に従って試験された。サンプルの溶融性テキスタイルを10秒間炎に露出した。アフターフレーム時間は3つのサンプルで平均化された。2秒を超えるアフターフレームを有するテキスタイルは可燃性であると考えられる。アフターフレームが2秒未満であるテキスタイルは、不燃性と考えられる。
【0186】
テキスタイル及びテキスタイル複合材料のサンプルは、DIN EN 15025A試験規格に従って難燃性について試験された。サンプルを10秒間炎にさらした。2秒を超えるアフターフレームを有するテキスタイル及びテキスタイル複合材料は、難燃性とは考えられなかった。アフターフレームが2秒未満のテキスタイル及びテキスタイル複合材料は、難燃性と考えられる。
【0187】
重量
【0188】
本明細書に記載されているテキスタイル複合材料、溶融可能層及び追加の層の重量測定を、DIN EN 12127(1997年12月)に指定されているように実施した。
【0189】
空気透過性
【0190】
本明細書に記載されているテキスタイル複合材料の空気透過性を、DIN EN ISO 9237(1995年12月)で指定されているように測定した。
【0191】
乾燥剥離強度
【0192】
本明細書に記載されているテキスタイル複合材料の乾燥剥離強度を、DIN 54310 1980-07に指定されているように測定した。
【0193】
レイダウン
【0194】
本明細書に記載されている熱反応性材料の乾燥レイダウンを、テキスタイル複合材料の重量ならびに溶融可能層及び追加の層の重量に基づいて、テキスタイル複合材料の乾燥及び固定後に測定した。
【0195】
TMA膨張試験
【0196】
TMA(熱機械分析)を使用して、膨張性グラファイト粒子の膨張を測定した。膨張は、TA Instruments TMA2940機器で試験した。サンプルを保持するために、直径約8mm、高さ12mmのセラミック(アルミナ)TGAパンを使用した。直径約6mmのマクロ膨張プローブを使用して、パンの底をゼロに設定した。次に、TMAプローブで測定して深さ約0.1~0.3mmの膨張性グラファイト(約15mg)のフレークをパンに入れた。炉を閉じ、初期サンプル高さを測定した。炉を10℃/分の傾斜速度で約25℃から600℃に加熱した。TMAプローブの変位を温度に対してプロットし、変位を膨張の尺度として使用した。
【0197】
炉膨張試験
【0198】
ニッケルるつぼを高温炉で300℃で2分間加熱した。膨張性グラファイトの測定サンプル(約0.5グラム)をるつぼに加え、300℃の高温炉に3分間入れた。加熱時間後に、るつぼを炉から取り出して放冷した。次いで、膨張したグラファイトをメスシリンダに移して膨張体積を測定した。膨張した体積をサンプルの元の重量で割って、膨張を立方センチメートル/グラムで得た。
【0199】
DSC吸熱試験
【0200】
Tzero(tm)ハーメチックパンを使用して、TA機器のQ2000DSCで試験を実行した。各サンプルについて、約3ミリグラムの膨張性グラファイトをパンに入れた。かみそり刃の角を中央に押し込むことでパンを通気し、長さ約2ミリメートル、幅1ミリメートル未満のベントを作成した。DSCを20℃で平衡化させた。次に、サンプルを10℃/分で20℃から400℃に加熱した。吸熱値をDSC曲線から得た。
【0201】
例を作成するために、次の材料を使用した。
【0202】
N-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含むEDOLAN(登録商標)AM50%水性アクリル樹脂、TANA(登録商標)COAT OMPポリエステルポリウレタン分散体、EDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、ACRAFIX(登録商標)EP 6047架橋剤、EDOLAN(登録商標)XCIB架橋剤、乳化剤WN、EDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、ACRACONC(登録商標)EP6049増粘剤及びRESPUMIT(登録商標)NF01脱泡剤(すべてTanatex Chemicals BV, Ede, Netherlandから入手可能)、IMPRANIL(登録商標)DLU脂肪族ポリカーボネートエステル-ポリエーテルポリウレタン分散体(Covestro AG Leverkusen, Germanyから入手可能)、AFLAMMIT(登録商標)PMN500メラミン、AFLAMMIT(登録商標)PMN 200メラミンポリホスフェート、及びAFLAMMIT(登録商標)PCO 962 FR添加剤(すべてThor GmbH, Speyer, Germanyから入手可能)、Asbury 3626膨張性グラファイト(Asbury Carbons, Asbury, New Jersey, USAから入手可能)、TURBIGAT(登録商標)A60乳化剤(CHT, Tubingen, Germanyから入手可能)及びDFR(メラミンポリホスフェート)。
【0203】
熱反応性組成物1
1000質量部(pbw)のEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、20pbwのACRACONC(登録商標)EP6049増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN500メラミン難燃剤及び50pbwのAFLAMMIT(登録商標)PCO962FR添加剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約66%の水性アクリル樹脂、1.3%の増粘剤、2.7%の架橋剤、約30%の、膨張性グラファイトと難燃性添加剤の組み合わせを含んだ。
【0204】
熱反応性組成物2
【0205】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を12pbwのEdolan XTP、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、180pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び180pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約71%の水性アクリル樹脂、1%の増粘剤、3%の架橋剤、25%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤の組み合わせを含んだ。
【0206】
熱反応性組成物3
【0207】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を26pbwのAcraconc EP6049増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN500メラミン難燃剤及び50pbwのAFLAMMIT(登録商標)PCO962 FR添加剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約66%の水性アクリル樹脂、1.7%の増粘剤、2.6%の架橋剤、29.7%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤の組み合わせを含んだ。
【0208】
熱反応性組成物#4
【0209】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を26pbwのAcraconc EP6049増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN500メラミン難燃剤、50pbwのAFLAMMIT(登録商標)PCO962 FR添加剤及び50pbwのブチレンジグリコールと混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約64%の水性アクリル樹脂、1.7%の増粘剤、2.5%の架橋剤、28.6%の、膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ、及び3.2%のブチレンジグリコールを含んだ。
【0210】
熱反応性組成物#5
【0211】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を26pbwのAcraconc EP6049増粘剤、80pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN500メラミン難燃剤及び50pbwのAFLAMMIT(登録商標)PCO962 FR添加剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約64.3%の水性アクリル樹脂、1.7%の増粘剤、5%の架橋剤、29%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0212】
熱反応性組成物#6
【0213】
500pbwのEDOLAN(登録商標)AMと500pbwのIMPRANIL(登録商標)ポリウレタン分散体の混合物を、15pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び200pbwのPMN500メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約34%の水性アクリル樹脂、34%のポリウレタン分散体、1%の増粘剤、3%の架橋剤、28%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0214】
熱反応性組成物#7
【0215】
500pbwのEDOLAN(登録商標)AMと500pbwのIMPRANIL(登録商標)ポリウレタン分散体の混合物を、15pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、及び200pbwのPMN500メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約34%の水性アクリル樹脂、34%のポリウレタン分散体、1%の増粘剤、3%の架橋剤、28%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤の組み合わせを含んだ。
【0216】
熱反応性組成物#8
【0217】
500pbwのEDOLAN(登録商標)AMと500pbwのIMPRANIL(登録商標)DLUポリウレタン分散体の混合物を20pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN500メラミン難燃剤及び10pbwのAFLAMMIT(登録商標)PCO962 FR添加剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約34%の水性アクリル樹脂、34%のポリウレタン分散体、1.4%の増粘剤、2.7%の架橋剤、27.9%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤の組み合わせを含んだ。
【0218】
熱反応性組成物#9
【0219】
500pbwのEDOLAN(登録商標)AMと500pbwのIMPRANIL(登録商標)DLUポリウレタン分散体の混合物を20pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN500メラミン難燃剤及び10pbwのAFLAMMIT(登録商標)PCO962 FR添加剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約34%の水性アクリル樹脂、34%のポリウレタン分散体、1.4%の増粘剤、2.7%の架橋剤、27.9%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤の組み合わせを含んだ。
【0220】
熱反応性組成物#10
【0221】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、10pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、400pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び200pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約60.6%の水性アクリル樹脂、0.6%の増粘剤、2.4%の架橋剤、36.4%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0222】
熱反応性組成物#11
【0223】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、400pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN200メラミン難燃剤、及び3pbwのRESPUMIT(登録商標)NF01乳化剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約60.4%の水性アクリル樹脂、0.7%の増粘剤、2.4%の架橋剤、36.3%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ、及び0.2%の乳化剤を含んだ。
【0224】
熱反応性組成物#12
【0225】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び200pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約68.9%の水性アクリル樹脂、0.8%の増粘剤、2.7%の架橋剤及び27.6%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0226】
熱反応性組成物#13
【0227】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、15pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、200pbwのPMN200メラミン難燃剤及び3pbwのRESPUMIT(登録商標)NF01脱泡剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約68.6%の水性アクリル樹脂、1%の増粘剤、2.7%の架橋剤、27.5%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ、及び0.2%の脱泡剤を含んだ。
【0228】
熱反応性組成物#14
【0229】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、100pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び300pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約68.9%の水性アクリル樹脂、0.8%の増粘剤、2.7%の架橋剤及び27.6%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0230】
熱反応性組成物#15
【0231】
500pbwのEDOLAN(登録商標)AMと500pbwのTANACOAT(登録商標)OMPの混合物を、8pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び200pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約69%の水性アクリル樹脂、0.6%の増粘剤、2.8%の架橋剤及び27.6%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0232】
熱反応性組成物#16
【0233】
500pbwのEDOLAN(登録商標)AMと500pbwのTANACOAT(登録商標)OMPの混合物を、8pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び200pbwのPMN500メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約69%の水性アクリル樹脂、0.6%の増粘剤、2.8%の架橋剤、及び、27.6%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0234】
熱反応性組成物#17
【0235】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCI架橋剤、200pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト及び200pbwのPMN500メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約68.9%の水性アクリル樹脂、0.8%の増粘剤、2.8%の架橋剤、及び27.5%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0236】
熱反応性組成物#18
【0237】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、及び150pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約76.2%の水性アクリル樹脂、0.9%の増粘剤、及び22.9%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0238】
熱反応性組成物#19
【0239】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのACRAFIX(登録商標)EP6047架橋剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、及び150pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約74%の水性アクリル樹脂、0.9%の増粘剤、3%の架橋剤、及び22.1%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0240】
熱反応性組成物#20
【0241】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCIB架橋剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、及び150pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約74%の水性アクリル樹脂、0.9%の増粘剤、3%の架橋剤、及び22.1%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0242】
熱反応性組成物#21
【0243】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、150pbwのPMN200メラミン難燃剤及び5pbwの乳化剤WNと混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約76%の水性アクリル樹脂、1%の増粘剤、及び22.8%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ、及び0.2%の乳化剤を含んだ。
【0244】
熱反応性組成物#22
【0245】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、150pbwのPMN200メラミン難燃剤及び2pbwの乳化剤WNと混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約76.1%の水性アクリル樹脂、0.9%の増粘剤、及び22.8%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ、及び0.2%の乳化剤を含んだ。
【0246】
熱反応性組成物#23
【0247】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を15pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、150pbwのDFRメラミンポリホスフェート難燃剤及び5pbwの乳化剤WNと混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約75.8%の水性アクリル樹脂、1.1%の増粘剤、及び22.7%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ、及び0.4%の乳化剤を含んだ。
【0248】
熱反応性組成物#24
【0249】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、及び150pbwのPMN200メラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約76.2%の水性アクリル樹脂、0.9%の増粘剤、及び22.9%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせを含んだ。
【0250】
熱反応性組成物#25
【0251】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を15pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、150pbwのPMN200メラミン難燃剤及び10pbwの乳化剤WNと混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約75.5%の水性アクリル樹脂、1.1%の増粘剤、及び22.6%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ、及び約0.8%の乳化剤を含んだ。
【0252】
熱反応性組成物#26
【0253】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を16pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、150pbwのPMN200メラミン難燃剤及び8pbwのTURBIGAT(登録商標)A60乳化剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約75.5%の水性アクリル樹脂、1.2%の増粘剤、及び22.7%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ及び約0.6%の乳化剤を含んだ。
【0254】
熱反応性組成物#27
【0255】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を18pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、150pbwのPMN200メラミン難燃剤及び16pbwのTURBIGAT(登録商標)A60乳化剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約75%の水性アクリル樹脂、約1.3%の増粘剤、及び22.5%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ及び約1.2%の乳化剤を含んだ。
【0256】
熱反応性組成物#28
【0257】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を15pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、150pbwのAsbury 3626膨張性グラファイト、150pbwのPMN200メラミン難燃剤及び5pbwのTURBIGAT(登録商標)A60乳化剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。熱反応性組成物は、約75.8%の水性アクリル樹脂、約1.1%の増粘剤、及び22.7%の膨張性グラファイトと難燃性添加剤との組み合わせ及び約0.4%の乳化剤を含んだ。
【0258】
比較熱反応性組成物A
【0259】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCL、及び250pbwのAsbury 3626膨張性グラファイトと混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。比較の熱反応性組成物は、約76.8%の水性アクリル樹脂、約0.9%の増粘剤、約3.1%の架橋剤、及び19.2%の膨張性グラファイトを含んだ。
【0260】
比較熱反応性組成物B
【0261】
1000pbwのEDOLAN(登録商標)AMの混合物を、12pbwのEDOLAN(登録商標)XTP増粘剤、40pbwのEDOLAN(登録商標)XCL、及び400pbwのPMN200のメラミン難燃剤と混合した。次に、混合物を1分間撹拌して、熱反応性組成物を形成した。比較の熱反応性組成物は、約68.9%の水性アクリル樹脂、約0.8%の増粘剤、約2.8%の架橋剤及び27.5%のFR添加剤を含んだ。
【0262】
ラミネートスクリーン#1
【0263】
熱反応性組成物を基材上にスクリーン印刷するためのスクリーンが製造され、ここで、スクリーンは250マイクロメートルの厚さ及び一連の離散ドットを有し、各ドットは直径1.6ミリメートル(mm)であり、隣接する各ドット間のドット間隔は1.0mmであり、総面積は34%であった。
【0264】
ラミネートスクリーン#2
【0265】
熱反応性組成物を基材上にスクリーン印刷するためのスクリーンが製造され、ここで、スクリーンは175マイクロメートルの厚さ及び一連の離散ドットを有し、各ドットは直径1.6ミリメートル(mm)であり、隣接する各ドットのドット間隔は1.0mmであり、総面積は34%であった。
【0266】
ラミネート#1の調製
【0267】
次に、熱反応性組成物#1を、スクリーンを使用して100%ポリアミド(ナイロン6,6)平織基材にスクリーン印刷し、1平方メートルあたり約70~80グラム(gsm)の熱反応性組成物のウェットレイダウンを実現した。熱反応性組成物が基材上に印刷された後に、スクリーンを除去し、約75gsmの重さの単一の編物ジャージー(65%ポリエステル/35%綿)布帛を印刷領域に適用した。2層テキスタイル複合材料を、100℃の温度に設定され、約500マイクロメートルのプレート間ギャップを有するホットプレスの2つのプレートの間に配置した。テキスタイル複合材料を60秒間乾燥させた。テキスタイル複合材料をこのホットプレスから取り出し、160℃の温度に設定された第二のホットプレスにさらに60秒間入れて、混合物を架橋させた。
【0268】
ラミネート#1~#36の調製
【0269】
表1は、対応する熱反応性組成物1~28及び比較ラミネート例A及びBを使用して製造されたラミネート1~36の特性の概要を示す。各ラミネート例の製造に使用されたプロセスは、ラミネート#1で使用されたものと同じであるが、熱反応性組成物を適用するために使用されるスクリーンは厚さが変化し、したがって、熱反応性組成物の量が変化した。次に、DIN EN ISO 15025Aを使用して、各ラミネートの乾燥剥離強度及び難燃性を試験した。特に明記されていない限り、各試験結果及び各レイダウンは2回の試行の平均である。これらの特性は単なる例示であり、限定することを意図したものではない。
【表1】
【0270】
次の表6は、上述の表4で提供された対応する熱反応性材料を使用して製造された比較ラミネートA~Bの特性の概要を示す。各ラミネートは、ラミネートの例1で上記のプロセスを使用して形成された。次いで、各ラミネートをDIN ENISO15025Aを使用した湿潤及び乾燥剥離強度及び難燃性について試験した。各試験結果及び各レイダウンは、2回の試行の平均値である。
【0271】
例に示されるように、本開示の実施形態による熱反応性材料から形成されたラミネートは、比較の熱反応性材料を用いて形成されたラミネートと比較して、改善された乾燥剥離及び難燃性を示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0271
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0271】
例に示されるように、本開示の実施形態による熱反応性材料から形成されたラミネートは、比較の熱反応性材料を用いて形成されたラミネートと比較して、改善された乾燥剥離及び難燃性を示した。以下、本発明の態様を列挙する。
(態様1)
a)溶融可能層、
b)水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂と、膨張性グラファイトと、少なくとも1つの難燃性(FR)添加剤とを含む熱反応性材料、及び
c)該熱反応性材料の上に配置された追加の層、
を含んでなるテキスタイル複合材料であって、
該熱反応性材料は該溶融可能層と該追加の層との間に配置され、
該テキスタイル複合材料は約2秒未満のアフターフレームを有し、かつ
該テキスタイル複合材料は、DIN 54310で測定して、約5~約25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有する、テキスタイル複合材料。
(態様2)
前記熱反応性材料は、連続的又は不連続的なパターンで、前記溶融可能層、前記追加の層又はその両方に、適用されている、態様1記載のテキスタイル複合材料。
(態様3)
前記熱反応性材料は不連続なドットパターンで適用されている、態様1又は2のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様4)
前記膨張性グラファイトは、TMA膨張試験で測定して、約280℃に加熱すると少なくとも約900マイクロメートル膨張する、態様1~3のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様5)
前記FR添加剤はメラミンもしくはポリホスフェート又はそれらの組み合わせである、態様1~4のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様6)
前記FR添加剤はメラミンポリホスフェートである、態様1~5のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様7)
前記膨張性グラファイトと前記少なくとも1つのFR添加剤との混合物は、熱反応性材料の総質量に基づいて、約5~約45wt%の膨張性グラファイト及び約5~45wt%のFR添加剤の範囲で前記熱反応性材料中に存在する、態様1~6のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様8)
前記熱反応性材料は、前記熱反応性材料の総質量に基づいて、約40~約80wt%の範囲のアクリルポリマー、及び、約20~約60wt%の範囲の、前記膨張性グラファイトと前記FR添加剤との混合物を含む、態様1~7のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様9)
前記追加の層は、テキスタイル層、熱安定なテキスタイル又はそれらの組み合わせである、態様1~8のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様10)
前記追加の層は、アラミド、難燃性綿、綿、亜麻、キュプロ、アセテート、トリアセテート、ウール、ビスコース、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、FRレーヨン、モダクリル、モダクリル/綿ブレンド、ポリアミン、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン又はそれらの組み合わせのうちの1以上を含む、態様1~9のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様11)
前記追加の層は、溶融性テキスタイル又は溶融性フィルムのうちの少なくとも1つを含む溶融可能層である、態様1~10のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様12)
前記水性アクリル樹脂はアクリルアミド繰り返し単位を含む、態様1~11のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様13)
前記水性アクリル樹脂はN-メチロールアクリルアミド繰り返し単位を含む、態様1~12のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様14)
前記ポリマー樹脂は、少なくとも25wt%の水性アクリル樹脂、及び、少なくとも、酢酸ビニル、スチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン又はそれらのコポリマーもしくはブレンドを含む群のポリマー樹脂を含む、態様1~13のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様15)
前記熱反応性材料は、前記溶融可能層の表面積の約25~約100%の範囲を覆う、態様1~14のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様16)
前記テキスタイル複合材料は、約80~約240グラム/平方メートル(gsm)の範囲の質量を有する、態様1~15のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様17)
前記テキスタイル複合材料は、DIN ISO 9237(1995)によって測定して、少なくとも約50 l/m sの空気透過性を有する、態様1~16のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様18)
前記溶融可能層及び前記追加の層は前記熱反応性材料によって一緒に接着されている、態様1~17のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料。
(態様19)
態様1~18のいずれか1項記載のテキスタイル複合材料を含む衣服。
(態様20)
i)水性アクリル樹脂、
ii)TMA膨張試験で測定して、約280℃で加熱すると少なくとも約900マイクロメートル膨張する膨張性グラファイト、及び
iii)少なくとも1つの難燃性添加剤、
を含んでなる熱反応性組成物。
(態様21)
前記水性アクリル樹脂はアクリルアミド繰り返し単位を含む、態様20記載の熱反応性組成物。
(態様22)
前記アクリルアミド繰り返し単位はN-メチロールアクリルアミド繰り返し単位である、態様21記載の熱反応性組成物。
(態様23)
前記熱反応性組成物は、前記熱反応性組成物の総質量に基づいて、約50~約90wt%の範囲の水性アクリル樹脂、約5~約45wt%の範囲の膨張性グラファイト、及び、約5~約45wt%の範囲の難燃性添加剤を含む、態様20~22のいずれか1項記載の熱反応性組成物。
(態様24)
前記難燃性添加剤はメラミン、ポリホスフェート、メラミンポリホスフェート又はそれらの組み合わせである、態様20~23のいずれか1項記載の熱反応性組成物。
(態様25)
a)溶融可能層及び追加の層を提供し、
b)熱反応性組成物を該溶融可能層、該追加の層又はその両方の上に適用するに際し、該熱反応性組成物は、水性アクリル樹脂、膨張性グラファイト及び少なくとも1つの難燃性添加剤を含み、
c)該溶融可能層と該追加の層を、これら2つの層の間に挟まれた該熱反応性組成物と一緒に接着してラミネートを形成し、そして
d)該水性アクリル樹脂から水の少なくとも一部を除去するのに十分な温度に前記ラミネートを加熱する、
ことを特徴とする方法。
(態様26)
前記熱反応性組成物は不連続パターンで前記溶融可能層に適用される、態様25記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)溶融可能層、
b)水性アクリル樹脂を含むポリマー樹脂と、膨張性グラファイトと、少なくとも1つの難燃性(FR)添加剤とを含む熱反応性材料、及び
c)該熱反応性材料の上に配置された追加の層、
を含んでなるテキスタイル複合材料であって、
該熱反応性材料は該溶融可能層と該追加の層との間に配置され、
該テキスタイル複合材料は約2秒未満のアフターフレームを有し、かつ
該テキスタイル複合材料は、DIN 54310で測定して、約5~約25ニュートン(N)の範囲の乾燥剥離強度を有する、テキスタイル複合材料。
【外国語明細書】