(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059747
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】蒸着マスク群、電子デバイスの製造方法及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20240423BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C23C14/24 G
C23C14/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022964
(22)【出願日】2024-02-19
(62)【分割の表示】P 2021016881の分割
【原出願日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2019016274
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】樋口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】落合 洋光
(72)【発明者】
【氏名】岡 宏樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】陰極の面積を大きくしても光の透過率が低下しない蒸着マスク群を提供する。
【解決手段】蒸着マスク群は、第1方向及び第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って配列されている領域を含む複数の第1貫通孔を有する第1蒸着マスクと、第1方向及び第2方向に沿って配列されている複数の第2貫通孔25Bを有する第2蒸着マスクと、を備えてもよい。第1蒸着マスクと第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、第1貫通孔と第2貫通孔とが部分的に重なってもよい。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている領域を含む複数の第1貫通孔を有する第1蒸着マスクと、
前記第1方向及び前記第2方向に沿って配列されている複数の第2貫通孔を有する第2蒸着マスクと、を備え、
前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが部分的に重なる、蒸着マスク群。
【請求項2】
前記第1蒸着マスクは、基板と、前記基板の面内方向に沿って並ぶ複数の第1電極と、前記第1電極上に位置する通電層と、前記通電層上に位置する領域を含む第2電極と、を有する電子デバイスの前記第2電極の第1層を蒸着法によって形成するためのものであり、
前記第2蒸着マスクは、前記電子デバイスの前記第2電極の第2層を蒸着法によって形成するためのものである、請求項1に記載の蒸着マスク群。
【請求項3】
複数の前記第1貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向に沿って配列されている複数のマスク第1基本領域を含み、
前記第2貫通孔は、前記第1方向又は前記第2方向において隣り合う2つの前記マスク第1基本領域に重なるよう、前記第1方向又は前記第2方向に延びている、請求項1又は2に記載の蒸着マスク群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、蒸着マスク群、電子デバイスの製造方法及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置は、高精細であることが好ましく、例えば画素密度が400ppi以上であることが好ましい。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、ウルトラハイディフィニションに対応することへの需要が高まっている。ウルトラハイディフィニションの場合、表示装置の画素密度が例えば800ppi以上であることが好ましい。
【0003】
表示装置の中でも、応答性の良さ、消費電力の低さやコントラストの高さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、貫通孔が形成された蒸着マスクを用いて画素や電極を形成する方法が知られている。例えば、まず、画素に対応するパターンで陽極が形成されている基板を準備する。続いて、蒸着マスクの貫通孔を介して有機材料を陽極の上に付着させ、陽極の上に有機層を形成する。続いて、蒸着マスクの貫通孔を介して導電性材料を有機層の上に付着させ、有機層の上に陰極を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
有機EL表示装置などの電子デバイスの陰極は、基板の法線方向に沿って見た場合に陽極及び有機層と重なる部分だけでなく、陽極及び有機層と重ならない部分にも形成されることがある。陰極の面積が大きいほど、陰極の電気抵抗が低くなり、電気的特性が向上する。一方、陰極の面積が大きいほど、基板、陽極、有機層及び陰極を含む電子デバイスにおける光の透過率は低下する。
【0006】
本開示の実施形態は、このような課題を効果的に解決し得る蒸着マスク群を提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一実施形態による蒸着マスク群は、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている領域を含む複数の第1貫通孔を有する第1蒸着マスクと、前記第1方向及び前記第2方向に沿って配列されている複数の第2貫通孔を有する第2蒸着マスクと、を備えてもよい。前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが部分的に重なってもよい。
【0008】
本開示の少なくとも一つの実施形態では、基板に形成される電極の抵抗及び面積を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態による蒸着マスク群を用いて作製される電子デバイスの一例を示す断面図である。
【
図2】
図1の電子デバイスの素子を拡大して示す断面図である。
【
図3】第1電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図4】第1電極及び通電層が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図5】第1電極、通電層及び第2電極の第1層が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図6】第1電極、通電層、第2電極の第1層及び第2電極の第2層が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図7】蒸着マスク装置を備えた蒸着装置を示す図である。
【
図9】第1蒸着マスクを備えた蒸着マスク装置を拡大して示す平面図である。
【
図10】第2蒸着マスクを備えた蒸着マスク装置を拡大して示す平面図である。
【
図11】蒸着マスクの断面構造の一例を示す図である。
【
図12】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図13】
図12の第1蒸着マスクを拡大して示す平面図である。
【
図14】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図15】
図14の第2蒸着マスクを拡大して示す平面図である。
【
図16】第1蒸着マスクと第2蒸着マスクとを重ねた場合を示す図である。
【
図17】第1通電層、第2通電層及び第3通電層が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図18】第1通電層、第2通電層及び第3通電層の上に第2電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図19】
図18の電子デバイスのXIX-XIX線に沿った断面図である。
【
図20】
図18の電子デバイスのXX-XX線に沿った断面図である。
【
図21】
図18の電子デバイスのXXI-XXI線に沿った断面図である。
【
図22】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図23】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図24】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図25】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図26】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図27】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図28】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図29】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図30】第1通電層、第2通電層及び第3通電層を備える電子デバイスの一例を示す平面図である。
【
図31】
図30の電子デバイスのXXXI-XXXI線に沿った断面図である。
【
図32】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図33】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図34】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図35】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図36】第1通電層、第2通電層及び第3通電層が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図37】第1通電層、第2通電層及び第3通電層の上に第2電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図38】
図36の電子デバイスのXXXVIII-XXXVIII線に沿った断面図である。
【
図39】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図40】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図41】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図42A】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図42B】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図43】第1通電層、第2通電層及び第3通電層の上に第2電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図44】
図43の電子デバイスのXXXXIV-XXXXIV線に沿った断面図である。
【
図45】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図46】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図47】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図48A】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図48B】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図49】第1通電層、第2通電層及び第3通電層の上に第2電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図50】
図49の電子デバイスのXXXXX-XXXXX線に沿った断面図である。
【
図51】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図52】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図53】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図54A】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図54B】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図55】第1通電層、第2通電層及び第3通電層が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図56】第1通電層、第2通電層及び第3通電層の上に第2電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図57】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図58】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図59】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図60】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図61】第1通電層、第2通電層及び第3通電層が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図62】第1通電層、第2通電層及び第3通電層の上に第2電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図63】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図64】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図65】第3蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図66】第1蒸着マスク、第2蒸着マスク及び第3蒸着マスクを重ねた場合を示す図である。
【
図67】第1通電層、第2通電層及び第3通電層の上に第2電極が形成された状態の基板の一例を示す平面図である。
【
図68】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図69】第2蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【
図70】第1蒸着マスクと第2蒸着マスクとを重ねた場合を示す図である。
【
図71】第1蒸着マスクの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0011】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0012】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0013】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上現実の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0014】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、本明細書の一実施形態は、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
【0015】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0016】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される数値範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
【0017】
本実施形態においては、複数の蒸着マスクを備える蒸着マスク群が、有機EL表示装置を製造する際に電極を所望のパターンで基板上に形成するために用いられる例について説明する。ただし、蒸着マスク群の用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられる蒸着マスク群に対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置の電極を形成するために、本実施形態の蒸着マスク群を用いてもよい。また、液晶表示装置の電極などの、有機EL表示装置以外の表示装置の電極を形成するために、本実施形態の蒸着マスク群を用いてもよい。また、圧力センサの電極などの、表示装置以外の電子デバイスの電極を形成するために、本実施形態の蒸着マスク群を用いてもよい。
【0018】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
【0019】
本開示の第1の態様は、蒸着マスク群であって、
異なる2方向に沿って配列されている2以上の第1貫通孔を有する第1蒸着マスクと、
異なる2方向に沿って配列されている2以上の第2貫通孔を有する第2蒸着マスクと、
2以上の第3貫通孔を有する第3蒸着マスクと、を備え、
前記第1蒸着マスク、前記第2蒸着マスク及び前記第3蒸着マスクを重ね合わせた場合、前記第1貫通孔と、前記第2貫通孔又は前記第3貫通孔とが部分的に重なる、蒸着マスク群である。
【0020】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による蒸着マスク群において、
2以上の前記第1貫通孔は、異なる2方向に沿って配列されている2以上のマスク第1基本領域と、前記第1蒸着マスク、前記第2蒸着マスク及び前記第3蒸着マスクを重ね合わせた場合に前記第2貫通孔又は前記第3貫通孔に部分的に重なるよう前記マスク第1基本領域から延び出ている2以上のマスク第1拡張領域と、を含んでいてもよい。
【0021】
本開示の第3の態様は、上述した第2の態様による蒸着マスク群において、
2以上の前記第2貫通孔は、異なる2方向に沿って配列されている2以上のマスク第2基本領域と、前記マスク第2基本領域から延び出ている2以上のマスク第2拡張領域と、を含み、若しくは、2以上の前記第3貫通孔は、異なる2方向に沿って配列されている2以上のマスク第3基本領域と、前記マスク第3基本領域から延び出ている2以上のマスク第3拡張領域と、を含み、
前記第1蒸着マスク、前記第2蒸着マスク及び前記第3蒸着マスクを重ね合わせた場合、2以上の前記マスク第1拡張領域の少なくとも一部は、前記マスク第2拡張領域又は前記マスク第3拡張領域に全体的に又は部分的に重なっていてもよい。
【0022】
本開示の第4の態様は、上述した第3の態様による蒸着マスク群において、
前記マスク第2拡張領域又は前記マスク第3拡張領域のうち前記マスク第1拡張領域と重なる領域は、前記マスク第1基本領域に部分的に重なっていてもよい。
【0023】
本開示の第5の態様は、上述した第2の態様から上述した第4の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記マスク第1拡張領域が延びる方向に直交する方向において、前記マスク第1拡張領域の寸法は、前記マスク第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0024】
本開示の第6の態様は、上述した第2の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記マスク第1基本領域の配列方向と前記マスク第1拡張領域が前記マスク第1基本領域から延び出ている方向とが一致していてもよい。
【0025】
本開示の第7の態様は、上述した第2の態様から上述した第5の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記マスク第1基本領域の配列方向と前記マスク第1拡張領域が前記マスク第1基本領域から延び出ている方向とが相違していてもよい。
【0026】
本開示の第8の態様は、上述した第1の態様による蒸着マスク群において、
2以上の前記第1貫通孔は、異なる2方向に沿って配列されている2以上のマスク第1基本領域と、2以上のマスク第1補助領域と、を含み、
前記第1蒸着マスク、前記第2蒸着マスク及び前記第3蒸着マスクを重ね合わせた場合、前記マスク第1補助領域は、隣り合う2つの前記第2貫通孔、隣り合う2つの前記第3貫通孔、又は、隣り合う前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔に部分的に重なるように延びていてもよい。
【0027】
本開示の第9の態様は、上述した第8の態様による蒸着マスク群において、
前記マスク第1補助領域が延びる方向に直交する方向において、前記マスク第1補助領域の寸法は、前記マスク第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0028】
本開示の第10の態様は、上述した第9の態様による蒸着マスク群において、
前記マスク第1補助領域は、前記マスク第1基本領域に接続されていてもよい。
【0029】
本開示の第11の態様は、上述した第9の態様による蒸着マスク群において、
前記マスク第1補助領域は、前記マスク第1基本領域に接続されていなくてもよい。
【0030】
本開示の第12の態様は、上述した第1の態様から上述した第11の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記第1蒸着マスク、前記第2蒸着マスク及び前記第3蒸着マスクを重ね合わせた場合、2以上の前記第1貫通孔のうち少なくとも一部の前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して他の前記第1貫通孔に接続されていてもよい。
【0031】
本開示の第13の態様は、上述した第1の態様から上述した第11の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記第1蒸着マスク、前記第2蒸着マスク及び前記第3蒸着マスクを重ね合わせた場合、2以上の前記第1貫通孔のうち少なくとも一部の前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔又は前記第3貫通孔を介して他の前記第1貫通孔に接続されていてもよい。
【0032】
本開示の第14の態様は、蒸着マスク群であって、
第1方向に沿って配列されている2以上の第1貫通孔を有する第1蒸着マスクと、
2以上の第2貫通孔を有する第2蒸着マスクと、を備え、
前記第1貫通孔は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている2以上のマスク第1基本領域と、前記第2方向において隣り合う2つの前記マスク第1基本領域を接続するよう延び、前記第2方向に直交する方向において前記マスク第1基本領域よりも小さい寸法を有するマスク第1拡張領域と、を含み、
前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが部分的に重なる、蒸着マスク群である。
【0033】
本開示の第15の態様は、上述した第14の態様による蒸着マスク群において、
2以上の前記マスク第1基本領域のうち少なくとも一部の前記マスク第1基本領域は、前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合に、前記第2貫通孔を介して他の前記マスク第1基本領域に接続されていてもよい。
【0034】
本開示の第16の態様は、上述した第14の態様または上述した第15の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、前記マスク第1拡張領域と前記第2貫通孔とが全体的に又は部分的に重なっていてもよい。
【0035】
本開示の第17の態様は、上述した第16の態様による蒸着マスク群において、
前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、前記第2貫通孔は、前記第2方向において隣り合う2つの前記マスク第1基本領域、及び前記2つの前記マスク第1基本領域に接続されている前記マスク第1拡張領域に全体的に又は部分的に重なっていてもよい。
【0036】
本開示の第18の態様は、上述した第14の態様から上述した第17の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記第2方向に直交する方向において、前記マスク第1拡張領域の寸法は、前記マスク第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0037】
本開示の第19の態様は、蒸着マスク群であって、
2以上の第1貫通孔を有する第1蒸着マスクと、
2以上の第2貫通孔を有する第2蒸着マスクと、を備え、
2以上の前記第1貫通孔は、第1方向に沿って配列され、且つ前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている2以上のマスク第1基本領域と、前記第2方向において隣り合う2つの前記マスク第1基本領域の間に位置し、前記第2方向において前記マスク第1基本領域よりも小さい寸法を有する2以上のマスク第1補助領域と、を含み、
2以上の前記第2貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向に沿って配列されており、
前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、前記マスク第1補助領域は、前記第1方向において隣り合う2つの前記第2貫通孔に部分的に重なるように延びている、蒸着マスク群である。
【0038】
本開示の第20の態様は、上述した第19の態様による蒸着マスク群において、
前記第1蒸着マスクと前記第2蒸着マスクとを重ね合わせた場合、前記第2貫通孔は、前記第2方向において隣り合う2つの前記マスク第1基本領域に部分的に重なるように延びていてもよい。
【0039】
本開示の第21の態様は、上述した第19の態様または上述した第20の態様のそれぞれによる蒸着マスク群において、
前記第2方向において、前記マスク第1補助領域の寸法は、前記マスク第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0040】
本開示の第22の態様は、電子デバイスの製造方法であって、
基板上の第1電極上の通電層上に、上述した第1の態様から上述した第13の態様のいずれかによる蒸着マスク群を用いて第2電極を形成する第2電極形成工程を備え、
前記第2電極形成工程は、
前記第1蒸着マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第1層を形成する工程と、
前記第2蒸着マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第2層を形成する工程と、
前記第3蒸着マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第3層を形成する工程と、を備える、電子デバイスの製造方法である。
【0041】
本開示の第23の態様は、電子デバイスの製造方法であって、
基板上の第1電極上の通電層上に、上述した第14の態様から上述した第21の態様のいずれかによる蒸着マスク群を用いて第2電極を形成する第2電極形成工程を備え、
前記第2電極形成工程は、
前記第1蒸着マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第1層を形成する工程と、
前記第2蒸着マスクを用いる蒸着法によって前記第2電極の第2層を形成する工程と、を備える、電子デバイスの製造方法である。
【0042】
本開示の第24の態様は、電子デバイスであって、
基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置し、異なる2方向に沿って配列されている2以上の通電層と、
前記通電層上に位置する2以上の第2電極と、を備え、
前記第2電極は、異なる2方向に沿って配列されている2以上の第1層と、異なる2方向に沿って配列されている2以上の第2層と、2以上の第3層と、を備え、
前記第1層と、前記第2層又は前記第3層とが部分的に重なっている、電子デバイスである。
【0043】
本開示の第25の態様は、上述した第24の態様による電子デバイスにおいて、
2以上の前記第1層は、異なる2方向に沿って配列されている2以上の電極第1基本領域と、前記第2層又は前記第3層に部分的に重なるよう前記電極第1基本領域から延び出ている2以上の電極第1拡張領域と、を含んでいてもよい。
【0044】
本開示の第26の態様は、上述した第25の態様による電子デバイスにおいて、
2以上の前記第2層は、異なる2方向に沿って配列されている2以上の電極第2基本領域と、前記電極第2基本領域から延び出ている2以上の電極第2拡張領域と、を含み、若しくは、2以上の前記第3層は、異なる2方向に沿って配列されている2以上の電極第3基本領域と、前記電極第3基本領域から延び出ている2以上の電極第3拡張領域と、を含み、
2以上の前記電極第1拡張領域の少なくとも一部は、前記電極第2拡張領域又は前記電極第3拡張領域に全体的に又は部分的に重なっていてもよい。
【0045】
本開示の第27の態様は、上述した第26の態様による電子デバイスにおいて、
前記電極第2拡張領域又は前記電極第3拡張領域のうち前記電極第1拡張領域と重なる領域は、前記電極第1基本領域に部分的に重なっていてもよい。
【0046】
本開示の第28の態様は、上述した第25の態様から上述した第27の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
前記電極第1拡張領域が延びる方向に直交する方向において、前記電極第1拡張領域の寸法は、前記電極第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0047】
本開示の第29の態様は、上述した第25の態様から上述した第28の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
前記電極第1基本領域の配列方向と前記電極第1拡張領域が前記電極第1基本領域から延び出ている方向とが一致していてもよい。
【0048】
本開示の第30の態様は、上述した第25の態様から上述した第28の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
前記電極第1基本領域の配列方向と前記電極第1拡張領域が前記電極第1基本領域から延び出ている方向とが相違していてもよい。
【0049】
本開示の第31の態様は、上述した第24の態様による電子デバイスにおいて、
2以上の前記第1層は、異なる2方向に沿って配列されている2以上の電極第1基本領域と、2以上の電極第1補助領域と、を含み、
前記電極第1補助領域は、隣り合う2つの前記第2層、隣り合う2つの前記第3層、又は、隣り合う前記第2層及び前記第3層に部分的に重なるように延びていてもよい。
【0050】
本開示の第32の態様は、上述した第31の態様による電子デバイスにおいて、
前記電極第1補助領域が延びる方向に直交する方向において、前記電極第1補助領域の寸法は、前記電極第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0051】
本開示の第33の態様は、上述した第32の態様による電子デバイスにおいて、
前記電極第1補助領域は、前記電極第1基本領域に接続されていてもよい。
【0052】
本開示の第34の態様は、上述した第32の態様による電子デバイスにおいて、
前記電極第1補助領域は、前記電極第1基本領域に接続されていなくてもよい。
【0053】
本開示の第35の態様は、上述した第24の態様から上述した第34の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
2以上の前記第1層のうち少なくとも一部の前記第1層は、前記第2層及び前記第3層を介して他の前記第1層に接続されていてもよい。
【0054】
本開示の第36の態様は、上述した第24の態様から上述した第34の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
2以上の前記第1層のうち少なくとも一部の前記第1層は、前記第2層又は前記第3層を介して他の前記第1層に接続されていてもよい。
【0055】
本開示の第37の態様は、電子デバイスであって、
基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置する通電層と、
前記通電層上に位置する第2電極と、を備え、
前記第2電極は、第1方向に沿って配列されている2以上の第1層と、2以上の第2層と、を備え、
前記第1層は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている2以上の電極第1基本領域と、前記第2方向において隣り合う2つの前記電極第1基本領域を接続するよう延び、前記第2方向に直交する方向において前記電極第1基本領域よりも小さい寸法を有する電極第1拡張領域と、を含み、
前記第1層と前記第2層とが部分的に重なっている、電子デバイスである。
【0056】
本開示の第38の態様は、上述した第37の態様による電子デバイスにおいて、
2以上の前記電極第1基本領域のうち少なくとも一部の前記電極第1基本領域は、前記第2層を介して他の前記電極第1基本領域に接続されていてもよい。
【0057】
本開示の第39の態様は、上述した第37の態様または上述した第38の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
前記電極第1拡張領域と前記第2層とが全体的に又は部分的に重なっていてもよい。
【0058】
本開示の第40の態様は、上述した第39の態様による電子デバイスにおいて、
前記第2層は、前記第2方向において隣り合う2つの前記電極第1基本領域、及び前記2つの前記電極第1基本領域に接続されている前記電極第1拡張領域に全体的に又は部分的に重なっていてもよい。
【0059】
本開示の第41の態様は、上述した第37の態様から上述した第40の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
前記第2方向に直交する方向において、前記電極第1拡張領域の寸法は、前記電極第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0060】
本開示の第42の態様は、電子デバイスであって、
基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置する通電層と、
前記通電層上に位置する第2電極と、を備え、
前記第2電極は、2以上の第1層と、2以上の第2層と、を備え、
2以上の前記第1層は、第1方向に沿って配列され、且つ前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列されている2以上の電極第1基本領域と、前記第2方向において隣り合う2つの前記電極第1基本領域の間に位置し、前記第2方向において前記電極第1基本領域よりも小さい寸法を有する2以上の電極第1補助領域と、を含み、
2以上の前記第2層は、前記第1方向及び前記第2方向に沿って配列されており、
前記電極第1補助領域は、前記第1方向において隣り合う2つの前記第2層に部分的に重なるように延びている、電子デバイスである。
【0061】
本開示の第43の態様は、上述した第42の態様による電子デバイスにおいて、
前記第2層は、前記第2方向において隣り合う2つの前記電極第1基本領域に部分的に重なるように延びていてもよい。
【0062】
本開示の第44の態様は、上述した第42の態様または上述した第43の態様のそれぞれによる電子デバイスにおいて、
前記第2方向において、前記電極第1補助領域の寸法は、前記電極第1基本領域の寸法の0.9倍以下であってもよい。
【0063】
以下、本実施形態の蒸着マスク群を用いることにより形成される電極を備える電子デバイス100の一例を説明する。
【0064】
図1は、電子デバイス100を示す断面図である。電子デバイス100は、基板91と、基板91の面内方向に沿って並ぶ複数の素子110と、を備えていてもよい。図示はしないが、素子110は、
図1の奥行方向にも並んでいてもよい。素子110は、第1電極120と、第1電極120上に位置する通電層130と、通電層130上に位置する第2電極140と、を有していてもよい。
【0065】
基板91は、絶縁性を有する板状の部材であってもよい。基板91は、好ましくは、光を透過させる透明性を有する。
【0066】
基板91が、所定の透明性を有する場合、基板91の透明性は、通電層130からの発光を透過させて表示を行うことができる程度の透明性であることが好ましい。例えば、可視光領域における基板91の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。基板91の透過率は、JIS K7361-1に準ずるプラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法により測定することができる。
【0067】
基板91は、可撓性を有していてもよく、有さなくてもよく、電子デバイス100の用途に応じて適宜選択することができる。
【0068】
基板91の材料としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のないリジッド材、あるいは、樹脂フィルム、光学用樹脂板、薄ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材等が挙げられる。また、基材は、樹脂フィルムの片面または両面にバリア層を有する積層体であってもよい。
【0069】
基板91の厚みは、基板91に用いられる材料や電子デバイス100の用途等に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.005mm以上であってもよい。また、基板91の厚みは、5mm以下であってもよい。
【0070】
素子110は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることにより、又は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることにより、何らかの機能を実現するよう構成されている。
【0071】
第1電極120は、導電性を有する材料を含む。例えば、第1電極120は、金属、導電性を有する金属酸化物や、その他の導電性を有する無機材料などを含む。第1電極120は、インジウム・スズ酸化物などの、透明性及び導電性を有する金属酸化物を含んでいてもよい。
【0072】
第1電極120を構成する材料の例としては、Au、Cr、Mo、Ag、Mg等の金属;ITOと称される酸化インジウム錫、IZOと称される酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛、酸化インジウム等の無機酸化物;金属ドープされたポリチオフェン等の導電性高分子等が挙げられる。これらの導電性材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。また、2種類以上の材料を含む合金を用いてもよい。例えば、MgAg等のマグネシウム合金等が挙げられる。
【0073】
通電層130は、通電により何らかの機能を発揮する層である。通電とは、通電層130に電圧が印加されること、又は通電層130に電流が流れることを意味する。通電層130の例としては、通電により光を放出する層、通電により光の透過率や屈折率が変化する層などを挙げることができる。通電層130は、半導体材料を含んでいてもよい。半導体材料は、有機半導体材料であってもよく、無機半導体材料であってもよい。
【0074】
通電層130が、通電により光を放出する発光層を含む場合、通電層130は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを更に含んでいてもよい。
例えば、第1電極120が陽極である場合、通電層130は、発光層と第1電極120との間に正孔注入輸送層を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、正孔注入輸送層は、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよい。
第2電極140が陰極である場合、通電層130は、発光層と第2電極140との間に電子注入輸送層を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有するものであってもよい。また、電子注入輸送層は、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよい。
【0075】
発光層は、発光材料を含む。発光層は、レベリング性を良くする添加剤を含んでいてもよい。
【0076】
発光材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等の発光材料を用いることができる。
色素系材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等が挙げられる。
金属錯体系材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体が挙げられる。
高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、およびそれらの共重合体等が挙げられる。
【0077】
発光層は、発光効率の向上や発光波長を変化させる等の目的で、ドーパントを含んでいてもよい。ドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等が挙げられる。また、ドーパントとして、白金やイリジウム等の重金属イオンを中心に有し、燐光を示す有機金属錯体を使用することもできる。ドーパントは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0078】
また、発光材料およびドーパントしては、例えば、特開2010-272891号公報の[0094]~[0099]や、国際公開第2012/132126号の[0053]~[0057]に記載の材料も用いることができる。
【0079】
発光層の膜厚は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる膜厚であれば特に限定されるものではなく、例えば1nm以上とすることができ、また、500nm以下とすることができる。
【0080】
正孔注入輸送層に用いられる正孔注入輸送性材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、フェニルアミン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリルアミン誘導体等が挙げられる。また、スピロ化合物、フタロシアニン化合物、金属酸化物等を例示することができる。また、例えば、特開2011-119681号公報、国際公開第2012/018082号、特開2012-069963号公報、国際公開第2012/132126号の[0106]に記載の化合物も適宜選択して用いることができる。
【0081】
なお、正孔注入輸送層が、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものである場合には、正孔注入層が添加剤Aを含有してもよく、正孔輸送層が添加剤Aを含有してもよく、正孔注入層および正孔輸送層が添加剤Aを含有してもよい。添加剤Aは、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。具体的には、フッ素系化合物、エステル系化合物、炭化水素系化合物等が挙げられる。
【0082】
電子注入輸送層に用いられる電子注入輸送性材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、アルカリ金属類、アルカリ金属の合金、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属類、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の有機錯体、マグネシウムのハロゲン化物や酸化物、酸化アルミニウム等が挙げられる。また、電子注入輸送性材料としては、例えば、バソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンやペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリノール錯体等の金属錯体、フタロシアニン化合物、ジスチリルピラジン誘導体等を挙げることができる。
【0083】
また、電子輸送性の有機材料にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした金属ドープ層を形成し、これを電子注入輸送層とすることもできる。電子輸送性の有機材料としては、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の金属錯体、及びこれらの高分子誘導体等が挙げられる。また、ドープする金属としては、Li、Cs、Ba、Sr等が挙げられる。
【0084】
第2電極140は、金属などの、導電性を有する材料を含む。第2電極140は、後述する蒸着マスク20を用いる蒸着法によって通電層130の上に形成される。第2電極140を構成する材料の例としては、白金、金、銀、銅、鉄、錫、クロム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、炭素等を挙げることができる。これらの材料は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を用いる場合には、各材料からなる層を積層してもよい。また、2種類以上の材料を含む合金を用いてもよい。例えば、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、アルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金等が挙げられる。
【0085】
電子デバイス100が有機EL表示装置である場合、素子110は画素であり、通電層130は発光層を含む。
【0086】
図1に示すように、1つの基板91上には、複数の電子デバイス100に対応する複数の素子110が設けられていてもよい。電子デバイス100が有機EL表示装置などの表示装置である場合、1つの電子デバイス100は、1つの画面に相当する。
【0087】
図2は、電子デバイス100を拡大して示す断面図である。
図2は、後述する
図6に示す電子デバイス100の、II-II線に沿った断面図である。
図2においては、基板91の法線方向に沿って見た場合に第1電極120と第2電極140とが重なり、且つ第1電極120と第2電極140との間に通電層130が位置する部分が、素子として符号110で表されている。
図2に示すように、第2電極140は、基板91の法線方向に沿って見た場合に第1電極120と重なる領域だけでなく、第1電極120と重ならない領域にも位置していてもよい。なお、以下の説明において、基板91や蒸着マスク20のような板状の部材の面の法線方向に沿って見た場合に2つの構成要素が重なることを、単に「重なる」と表現することもある。
【0088】
図2の第2電極140について詳細に説明する。第2電極140は、第1層140A及び第2層140Bを有する。第1層140Aは、後述する第1蒸着マスク20Aを用いる蒸着法によって形成される層である。第1層140Aは、第1電極120に重なる電極第1基本領域141Aと、隣接する2つの素子110の間に位置する電極第1拡張領域142Aと、を含む。電極第1拡張領域142Aは、電極第1基本領域141Aに接続されていてもよく、接続されていなくてもよい。電極第1拡張領域142Aが電極第1基本領域141Aに接続されていない場合、電極第1拡張領域142Aは、第2層140Bを介して電極第1基本領域141Aに電気的に接続されている。
【0089】
第2層140Bは、後述する第2蒸着マスク20Bを用いる蒸着法によって形成される層である。
図2に示すように、第2層140Bは、第1層140Aの電極第1拡張領域142Aに重なっている。第2層140Bを設けることにより、隣接する2つの素子110の間に位置する第2電極140の厚みが増加する。このため、第2層140Bが存在しない場合に比べて、隣接する2つの素子110の電極第1基本領域141Aの間の電気抵抗を低減することができる。
【0090】
図2において、符号T1は、第2電極140のうち素子110を構成している部分の厚みの最小値を表し、符号T2は、第2電極140のうち隣接する2つの素子110の間に位置する部分の厚みの最大値を表す。厚みT2は、第2層140Bの厚みの分だけ厚みT1よりも大きい。厚みT2は、厚みT1の1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、1.8倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよく、2.2倍以上であってもよく、2.5倍以上であってもよい。これにより、隣接する2つの素子110の電極第1基本領域141Aの間の電気抵抗を低減することができる。また、厚みT2は、厚みT1の5.0倍以下であってもよく、4.5倍以下であってもよく、4.0倍以下であってもよく、3.5倍以下であってもよく、3.0倍以下であってもよい。
【0091】
厚みT1に対する厚みT2の比率であるT2/T1の範囲は、1.2、1.5、1.8、2.0、2.2、2.5からなる第1グループ、及び/又は、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0からなる第2グループによって定められてもよい。T2/T1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。T2/T1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。T2/T1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、T2/T1は、1.2以上5.0以下であってもよく、1.2以上4.5以下であってもよく、1.2以上4.0以下であってもよく、1.2以上3.5以下であってもよく、1.2以上3.0以下であってもよく、1.2以上2.5以下であってもよく、1.2以上2.2以下であってもよく、1.2以上2.0以下であってもよく、1.2以上1.8以下であってもよく、1.2以上1.5以下であってもよく、1.5以上5.0以下であってもよく、1.5以上4.5以下であってもよく、1.5以上4.0以下であってもよく、1.5以上3.5以下であってもよく、1.5以上3.0以下であってもよく、1.5以上2.5以下であってもよく、1.5以上2.2以下であってもよく、1.5以上2.0以下であってもよく、1.5以上1.8以下であってもよく、1.8以上5.0以下であってもよく、1.8以上4.5以下であってもよく、1.8以上4.0以下であってもよく、1.8以上3.5以下であってもよく、1.8以上3.0以下であってもよく、1.8以上2.5以下であってもよく、1.8以上2.2以下であってもよく、1.8以上2.0以下であってもよく、2.0以上5.0以下であってもよく、2.0以上4.5以下であってもよく、2.0以上4.0以下であってもよく、2.0以上3.5以下であってもよく、2.0以上3.0以下であってもよく、2.0以上2.5以下であってもよく、2.0以上2.2以下であってもよく、2.2以上5.0以下であってもよく、2.2以上4.5以下であってもよく、2.2以上4.0以下であってもよく、2.2以上3.5以下であってもよく、2.2以上3.0以下であってもよく、2.2以上2.5以下であってもよく、2.5以上5.0以下であってもよく、2.5以上4.5以下であってもよく、2.5以上4.0以下であってもよく、2.5以上3.5以下であってもよく、2.5以上3.0以下であってもよく、3.0以上5.0以下であってもよく、3.0以上4.5以下であってもよく、3.0以上4.0以下であってもよく、3.0以上3.5以下であってもよく、3.5以上5.0以下であってもよく、3.5以上4.5以下であってもよく、3.5以上4.0以下であってもよく、4.0以上5.0以下であってもよく、4.0以上4.5以下であってもよく、4.5以上5.0以下であってもよい。
【0092】
厚みT1に対する厚みT2の比率に関する上述の各範囲は、
図1~
図16に示す実施の形態以外の形態で採用されてもよい。
【0093】
厚みT1は、10nm以上であってもよく、20nm以上であってもよく、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。また、厚みT1は、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、2μm以下であってもよく、1μm以下であってもよく、500nm以下であってもよい。
【0094】
厚みT1の範囲は、10nm、20nm、50nm、100nm、200nmからなる第1グループ、及び/又は、10μm、5μm、2μm、1μm、500nmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、厚みT1は、10nm以上10μm以下であってもよく、10nm以上5μm以下であってもよく、10nm以上2μm以下であってもよく、10nm以上1μm以下であってもよく、10nm以上500nm以下であってもよく、10nm以上200nm以下であってもよく、10nm以上100nm以下であってもよく、10nm以上50nm以下であってもよく、10nm以上20nm以下であってもよく、20nm以上10μm以下であってもよく、20nm以上5μm以下であってもよく、20nm以上2μm以下であってもよく、20nm以上1μm以下であってもよく、20nm以上500nm以下であってもよく、20nm以上200nm以下であってもよく、20nm以上100nm以下であってもよく、20nm以上50nm以下であってもよく、50nm以上10μm以下であってもよく、50nm以上5μm以下であってもよく、50nm以上2μm以下であってもよく、50nm以上1μm以下であってもよく、50nm以上500nm以下であってもよく、50nm以上200nm以下であってもよく、50nm以上100nm以下であってもよく、100nm以上10μm以下であってもよく、100nm以上5μm以下であってもよく、100nm以上2μm以下であってもよく、100nm以上1μm以下であってもよく、100nm以上500nm以下であってもよく、100nm以上200nm以下であってもよく、200nm以上10μm以下であってもよく、200nm以上5μm以下であってもよく、200nm以上2μm以下であってもよく、200nm以上1μm以下であってもよく、200nm以上500nm以下であってもよく、500nm以上10μm以下であってもよく、500nm以上5μm以下であってもよく、500nm以上2μm以下であってもよく、500nm以上1μm以下であってもよく、1μm以上10μm以下であってもよく、1μm以上5μm以下であってもよく、1μm以上2μm以下であってもよく、2μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよい。
【0095】
厚みT1に関する上述の各範囲は、
図1~
図16に示す実施の形態以外の形態で採用されてもよい。
【0096】
次に、基板91の法線方向に沿って見た場合の、電子デバイス100の素子110の各層の構成の一例について説明する。
【0097】
図3は、第1電極120が形成された状態の基板91の一例を示す平面図である。
図3に示すように、第1電極120は、第1方向D1に延びるストライプ状の形状を有していてもよい。また、複数の第1電極120が、第1方向D1に交差する第2方向D2に並んでいてもよい。
図3に示す例において、第1方向D1及び第2方向D2は、基板91の外縁が延びる方向である。第2方向D2は、第1方向D1に直交していてもよい。
【0098】
基板91には、基板91の外縁に沿って並ぶ複数の端子部125や、端子部125と第1電極120とを電気的に接続する配線126などが形成されていてもよい。端子部125や配線126は、第1電極120と同一の材料によって、同一の工程で基板91に形成されてもよい。
【0099】
また、基板91にはアライメントマーク93が形成されていてもよい。アライメントマーク93は、例えば基板91の隅に形成されている。アライメントマーク93は、素子110の各層を基板91に形成する工程において、基板91の位置合わせのために利用されてもよい。例えば、基板91は、後述する蒸着マスク20の位置を基板91に対して調整するために利用されてもよい。
【0100】
図4は、第1電極120及び通電層130が形成された状態の基板91の一例を示す平面図である。
図4に示す例において、通電層130は、複数の第1電極120に跨って広がるよう形成されている。
図4に示す通電層130は、例えば、通電層130の形状に対応する貫通孔が形成された蒸着マスクを用いる蒸着法によって有機材料を基板91上や第1電極120上に付着させることによって、形成されてもよい。
【0101】
図5は、第1電極120、通電層130及び第2電極140の第1層140Aが形成された状態の基板91の一例を示す平面図である。
図5に示すように、第1層140Aは、第2方向D2に延びていてもよい。また、複数の第1層140Aが第1方向D1に並んでいてもよい。
【0102】
図5に示すように、第1層140Aは、第2方向D2に並ぶ複数の電極第1基本領域141Aと、第2方向D2において隣り合う2つの電極第1基本領域141Aを接続するよう延びる電極第1拡張領域142Aと、を含んでいてもよい。電極第1基本領域141Aは、第1電極120と全体的に又は部分的に重なるよう配置されている。この場合、第1電極120と第2電極140の電極第1基本領域141Aとの間に電圧を印加すると、両者の間に位置する通電層130が駆動される。通電層130が発光層である場合、通電層130から光が放出され、光が第2電極140側又は第1電極120側から外部へ取り出される。
【0103】
図5に示すように、基板91には、基板91の外縁に沿って並ぶ複数の端子部145Aや、端子部145Aと第2電極140の第1層140Aとを電気的に接続する配線146Aなどが形成されていてもよい。端子部145Aや配線146Aは、第2電極140の第1層140Aと同一の材料によって、同一の工程で基板91に形成されてもよい。すなわち、端子部145Aや配線146Aは、第1蒸着マスク20Aを用いる蒸着法によって第1層140Aと同時に形成されてもよい。これにより、第1層140Aに対する端子部145Aや配線146Aの相対的な位置精度を高めることができる。
【0104】
図5に示すように、隣り合う2つの電極第1基本領域141Aが並ぶ方向である第2方向D2に直交する方向において、電極第1拡張領域142Aの寸法は、電極第1基本領域141Aの寸法よりも小さい。すなわち、電極第1拡張領域142Aの幅は、電極第1基本領域141Aの幅よりも小さい。言い換えると、第1層140Aは、第2方向D2に直交する方向において、第1寸法、及び第1寸法よりも小さい第2寸法を有する。第1寸法を有する領域と、第2寸法を有する領域とがそれぞれ、第2方向D2において交互に並んでいる。このため、第2方向D2において隣接する2つの素子110の間の領域において、光が電子デバイス100を透過し易くなる。これにより、例えば、電極第1拡張領域142Aが電極第1基本領域141Aと同一の幅を有する場合に比べて、電子デバイス100全体の透過率を高めることができる。
【0105】
後述するように、電極第1基本領域141Aは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26Aを通過した蒸着材料によって主に構成される。また、電極第1拡張領域142Aは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aを通過した蒸着材料によって主に構成される。このため、電極第1基本領域141Aの寸法はマスク第1基本領域26Aの寸法に対応し、電極第1拡張領域142Aの寸法はマスク第1拡張領域27Aの寸法に対応する。例えば、電極第1基本領域141Aの幅に対する電極第1拡張領域142Aの幅の比率は、後述するマスク第1基本領域26Aの寸法W11に対するマスク第1拡張領域27Aの寸法W12の比率に対応する。
【0106】
ところで、電極第1拡張領域142Aの幅を電極第1基本領域141Aの幅よりも小さくすると、隣接する2つの電極第1基本領域141Aの間の電気抵抗が増加する。この点を考慮し、本実施の形態においては、電極第1拡張領域142Aの上に上述の第2層140Bを形成している。
【0107】
図6は、第1電極120、通電層130、第2電極140の第1層140A及び第2電極140の第2層140Bが形成された状態の基板91の一例を示す平面図である。
図6に示すように、第2層140Bは、第2方向D2において隣接する2つの電極第1基本領域141Aの間に位置する電極第1拡張領域142Aに全体的に又は部分的に重なっている。これにより、隣接する2つの電極第1基本領域141Aの間の電気抵抗を低減することができる。第2層140Bは、第2方向D2において隣接する2つの電極第1基本領域141Aにも部分的に重なっていてもよい。
【0108】
なお、上述の端子部145Aや配線146Aは、第2蒸着マスク20Bを用いる蒸着法によって第2層140Bと同時に形成されてもよい。これにより、第2層140Bに対する端子部145Aや配線146Aの相対的な位置精度を高めることができる。また、上述の端子部145Aや配線146Aは、第1蒸着マスク20Aを用いる蒸着法によって形成される層に加えて、第2蒸着マスク20Bを用いる蒸着法によって形成される層を含んでいてもよい。
【0109】
次に、上述の電子デバイス100の第2電極140を蒸着法によって形成する方法について説明する。
図7は、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置80を示す図である。
【0110】
図7に示すように、蒸着装置80は、その内部に、蒸着源81、ヒータ83、及び蒸着マスク装置10を備えていてもよい。また、蒸着装置80は、蒸着装置80の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。蒸着源81は、例えばるつぼであり、有機発光材料などの蒸着材料82を収容する。ヒータ83は、蒸着源81を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料82を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、蒸着源81と対向するよう配置されている。
【0111】
図7に示すように、蒸着マスク装置10は、少なくとも1つの蒸着マスク20を備える。蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20を支持するフレーム15を更に備えていてもよい。フレーム15は、蒸着マスク20が撓むことを抑制するように、蒸着マスク20に張力を加えた状態で蒸着マスク20を支持していてもよい。
【0112】
蒸着マスク装置10の蒸着マスク20としては、後述する第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B、第3蒸着マスク20Cなどが用いられてもよい。以下の説明において、蒸着マスクの構成のうち、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B、第3蒸着マスク20Cなどに共通する構成を説明する場合には、「蒸着マスク20」という用語及び符号を用いる。有効領域などの蒸着マスク20の蒸着マスクの構成要素についても同様に、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B、第3蒸着マスク20Cなどに共通する内容を説明する場合には、符号として、「22」などの、アルファベットが付されていない、数字のみの符号を用いる。一方、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B、第3蒸着マスク20Cのそれぞれに特有の内容を説明する場合には、数字の後に「A」、「B」、「C」などの対応するアルファベットを付した符号を用いる。
【0113】
蒸着マスク装置10は、
図7に示すように、蒸着材料82を付着させる対象物である基板91に蒸着マスク20が対面するよう、蒸着装置80内に配置されている。蒸着マスク20は、蒸着源81から飛来した蒸着材料82を通過させる複数の貫通孔25を有する。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、飛来した蒸着材料82が付着する基板91の側に位置する面を第1面201と称し、第1面201の反対側に位置する面を第2面202と称する。
【0114】
蒸着マスク装置10は、
図7に示すように、基板91の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石85を備えていてもよい。磁石85を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石85側に引き寄せて、蒸着マスク20を基板91に密着させることができる。これにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができ、基板91に付着する蒸着材料82によって基板91に形成される蒸着層の寸法精度や位置精度を高めることができる。また、静電気力を利用する静電チャックを用いて蒸着マスク20を基板91に密着させてもよい。
【0115】
図8は、蒸着マスク装置10を蒸着マスク20の第1面201側から見た場合を示す平面図である。
図8に示すように、蒸着マスク装置10は、複数の蒸着マスク20を備えていてもよい。本実施の形態において、各蒸着マスク20は、第1方向D1などの一方向に延びる矩形状の形状を有する。蒸着マスク装置10において、複数の蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長さ方向に交差する幅方向に並んでいる。各蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長さ方向の両端部において、例えば溶接によってフレーム15に固定されている。また、図示はしないが、蒸着マスク装置10は、フレーム15に固定され、蒸着マスク20の厚み方向において蒸着マスク20に部分的に重なる部材を備えていてもよい。そのような部材の例として、蒸着マスク20の長さ方向に交差する方向に延び、蒸着マスク20を支持する部材、隣り合う2つの蒸着マスクの間の隙間に重なる部材などを挙げることができる。
【0116】
図8に示す蒸着マスク20は、溶接などによってフレーム15に固定される一対の耳部17と、耳部17の間に位置する中間部18と、を有する。中間部18は、少なくとも1つの有効領域22と、有効領域22の周囲に位置する周囲領域23と、を有していてもよい。
図8に示す例において、中間部18は、蒸着マスク20の長さ方向に沿って所定の間隔を空けて配列された複数の有効領域22を含む。周囲領域23は、複数の有効領域22を囲んでいる。
【0117】
蒸着マスク20を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つの有効領域22は、1つの有機EL表示装置の表示領域に、すなわち1つの画面に対応していてもよい。なお、1つの有効領域22が複数の表示領域に対応していてもよい。また、図示はしないが、蒸着マスク20の幅方向においても所定の間隔を空けて複数の有効領域22が配列されていてもよい。
【0118】
有効領域22は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有していてもよい。なお図示はしないが、各有効領域22は、有機EL表示装置の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域22は、円形状の輪郭を有していてもよい。
【0119】
図9は、上述の第2電極140の第1層140Aを形成する際に用いられる第1蒸着マスク20Aを備える第1蒸着マスク装置10Aの一部を拡大して示す平面図である。第1蒸着マスク20Aは、異なる2方向に沿って配列されている領域を含む複数の第1貫通孔25Aを有する。
図9に示す例において、異なる2方向は、第1方向D1及び第2方向D2である。
【0120】
図10は、上述の第2電極140の第2層140Bを形成する際に用いられる第2蒸着マスク20Bを備える第2蒸着マスク装置10Bの一部を拡大して示す平面図である。第2蒸着マスク20Bは、異なる2方向に沿って配列されている複数の第2貫通孔25Bを有する。
図10に示す例において、異なる2方向は、第1方向D1及び第2方向D2である。
【0121】
第2蒸着マスク装置10Bは、例えば、蒸着装置80において第1蒸着マスク装置10Aを用いて基板91に第2電極140の第1層140Aを形成した後、蒸着装置80において基板91に第2電極140の第2層140Bを形成するために用いられる。このように、電子デバイス100を製造する工程においては、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20Bなどの複数の蒸着マスク20が順に用いられる。電子デバイス100を製造するために用いられる複数の蒸着マスク20の群のことを、「蒸着マスク群」とも称する。
【0122】
図11は、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20Bや第3蒸着マスク20Cなどの蒸着マスク20の断面構造の一例を示す図である。蒸着マスク20は、金属板50に形成されている複数の貫通孔25を有する。貫通孔25は、第1面201から第2面202へ金属板50を貫通している。
【0123】
図11に示す貫通孔25は、金属板50を第1面201側及び第2面202側からエッチングすることによって形成されてもよい。貫通孔25の壁面は、第1面201側に位置する第1壁面31と、第2面202側に位置する第2壁面36と、を含む。第1壁面31は、金属板50を第1面201側からエッチングする際に形成される第1凹部30の面である。第2壁面36は、金属板50を第2面202側からエッチングする際に形成される第2凹部35の面である。第1凹部30の第1壁面31と第2凹部35の第2壁面36とは、接続部42において接続されている。
【0124】
蒸着マスク20を用いた蒸着法においては、第2面202側から第1面201側へ貫通孔25を通過した蒸着材料82が基板91に付着することによって、基板91に上述の第1層140Aや第2層140Bなどの層が形成される。基板91に形成される層の、基板91の面内方向における輪郭は、第1面201上における貫通孔25の端部251の輪郭によって定まる。後述する
図12乃至
図16などの平面図において示されている貫通孔25の輪郭は、貫通孔25の端部251の輪郭である。
【0125】
蒸着マスク20の厚みTは、100μm以下であることが好ましい。蒸着マスク20の厚みTは、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、35μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。一方、蒸着マスク20の厚みが小さくなり過ぎると、蒸着マスク20の強度が低下し、蒸着マスク20に損傷や変形が生じやすくなる。この点を考慮し、蒸着マスク20の厚みTは、5μm以上であることが好ましい。蒸着マスク20の厚みTは、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよく、13μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。
【0126】
蒸着マスク20の厚みTの範囲は、5μm、8μm、10μm、12μm、13μm、15μmからなる第1グループ、及び/又は、100μm、50μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みTの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、蒸着マスク20の厚みTの範囲は、5μm以上100μm以下であってもよく、5μm以上50μm以下であってもよく、5μm以上40μm以下であってもよく、5μm以上35μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよく、5μm以上25μm以下であってもよく、5μm以上20μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上13μm以下であってもよく、5μm以上12μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、5μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上100μm以下であってもよく、8μm以上50μm以下であってもよく、8μm以上40μm以下であってもよく、8μm以上35μm以下であってもよく、8μm以上30μm以下であってもよく、8μm以上25μm以下であってもよく、8μm以上20μm以下であってもよく、8μm以上15μm以下であってもよく、8μm以上13μm以下であってもよく、8μm以上12μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上100μm以下であってもよく、10μm以上50μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、10μm以上13μm以下であってもよく、10μm以上12μm以下であってもよく、12μm以上100μm以下であってもよく、12μm以上50μm以下であってもよく、12μm以上40μm以下であってもよく、12μm以上35μm以下であってもよく、12μm以上30μm以下であってもよく、12μm以上25μm以下であってもよく、12μm以上20μm以下であってもよく、12μm以上15μm以下であってもよく、12μm以上13μm以下であってもよく、13μm以上100μm以下であってもよく、13μm以上50μm以下であってもよく、13μm以上40μm以下であってもよく、13μm以上35μm以下であってもよく、13μm以上30μm以下であってもよく、13μm以上25μm以下であってもよく、13μm以上20μm以下であってもよく、13μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上100μm以下であってもよく、15μm以上50μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上100μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上35μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上100μm以下であってもよく、25μm以上50μm以下であってもよく、25μm以上40μm以下であってもよく、25μm以上35μm以下であってもよく、25μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上100μm以下であってもよく、30μm以上50μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよく、30μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上100μm以下であってもよく、35μm以上50μm以下であってもよく、35μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上100μm以下であってもよく、40μm以上50μm以下であってもよく、50μm以上100μm以下であってもよい。
なお、蒸着マスク20の厚みTは、周囲領域23の厚み、すなわち蒸着マスク20のうち貫通孔25が形成されていない部分の厚みである。
【0127】
蒸着マスク20の厚みTに関する上述の各範囲は、
図1~
図16に示す実施の形態以外の形態で採用されてもよい。
【0128】
蒸着マスク20の厚みを測定する方法としては、接触式の測定方法を採用することができる。接触式の測定方法としては、ボールブッシュガイド式のプランジャーを備える、ハイデンハイン社製の長さゲージHEIDENHAIM-METROの「MT1271」を用いることができる。
【0129】
なお、蒸着マスク20の貫通孔25の断面形状は、
図11に示す形状には限られない。また、蒸着マスク20の貫通孔25の形成方法は、エッチングに限られることはなく、様々な方法を採用可能である。例えば、貫通孔25が生じるようにめっきを行うことによって蒸着マスク20を形成してもよい。
【0130】
蒸着マスク20を構成する材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、蒸着マスク20の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを挙げることができる。このような鉄合金を用いることにより、蒸着マスク20の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、基板91としてガラス基板が用いられる場合に、蒸着マスク20の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、基板91に形成される蒸着層の寸法精度や位置精度が蒸着マスク20と基板91との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制することができる。
【0131】
蒸着マスク20を構成する材料の組成に関する上述の各範囲は、
図1~
図16に示す実施の形態以外の形態で採用されてもよい。
【0132】
次に、第1蒸着マスク20Aについて詳細に説明する。
図12は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aの一例を示す平面図である。
図13は、
図12の第1蒸着マスク20Aの一部を拡大して示す平面図である。
【0133】
図12に示すように、第1蒸着マスク20Aは、異なる2方向に沿って配列されている領域を含む複数の第1貫通孔25Aを有する。複数の第1貫通孔25Aは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第1基本領域26Aと、隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aを接続するよう延びるマスク第1拡張領域27Aと、を含む。
【0134】
マスク第1基本領域26Aは、上述の第2電極140の第1層140Aの電極第1基本領域141Aを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図12に示す例において、複数のマスク第1基本領域26Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている。
図12に示すように、第2方向D2において隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aの間の間隔は、第1方向D1において隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aの間の間隔よりも小さい。
【0135】
マスク第1拡張領域27Aは、上述の第2電極140の第1層140Aの電極第1拡張領域142Aを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図12に示す例において、マスク第1拡張領域27Aは、第2方向D2において隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aを接続するよう第2方向D2に延びている。
【0136】
マスク第1拡張領域27Aは、隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aが並ぶ方向に直交する方向において、マスク第1基本領域26Aよりも小さい寸法を有する。
図13に示す例において、マスク第1拡張領域27Aは、第2方向D2において隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aが並ぶ方向である第2方向D2に直交する第1方向D1において、マスク第1基本領域26Aよりも小さい寸法を有する。言い換えると、第1貫通孔25Aは、第2方向D2に直交する第1方向D1において、第1の寸法W11、及び第1の寸法W11よりも小さい第2の寸法W12を有する。第1の寸法W11を有する領域と、第2の寸法W12を有する領域とがそれぞれ、第2方向D2において交互に並んでいる。第1方向D1において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.7倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよく、0.5倍以下であってもよい。これにより、マスク第1基本領域26Aに対応して形成される第2電極140の2つの電極第1基本領域141Aの間の領域において、光が電子デバイス100を透過し易くなる。また、第1方向D1において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11の0.05倍以上であってもよく、0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよく、0.3倍以上であってもよく、0.4倍以上であってもよい。
【0137】
寸法W11に対する寸法W12の比率であるW12/W11の範囲は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4からなる第1グループ、及び/又は、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5からなる第2グループによって定められてもよい。W12/W11の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。例えば、W12/W11は、0.05以上0.9以下であってもよく、0.05以上0.8以下であってもよく、0.05以上0.7以下であってもよく、0.05以上0.6以下であってもよく、0.05以上0.5以下であってもよく、0.05以上0.4以下であってもよく、0.05以上0.3以下であってもよく、0.05以上0.2以下であってもよく、0.05以上0.1以下であってもよく、0.1以上0.9以下であってもよく、0.1以上0.8以下であってもよく、0.1以上0.7以下であってもよく、0.1以上0.6以下であってもよく、0.1以上0.5以下であってもよく、0.1以上0.4以下であってもよく、0.1以上0.3以下であってもよく、0.1以上0.2以下であってもよく、0.2以上0.9以下であってもよく、0.2以上0.8以下であってもよく、0.2以上0.7以下であってもよく、0.2以上0.6以下であってもよく、0.2以上0.5以下であってもよく、0.2以上0.4以下であってもよく、0.2以上0.3以下であってもよく、0.3以上0.9以下であってもよく、0.3以上0.8以下であってもよく、0.3以上0.7以下であってもよく、0.3以上0.6以下であってもよく、0.3以上0.5以下であってもよく、0.3以上0.4以下であってもよく、0.4以上0.9以下であってもよく、0.4以上0.8以下であってもよく、0.4以上0.7以下であってもよく、0.4以上0.6以下であってもよく、0.4以上0.5以下であってもよく、0.5以上0.9以下であってもよく、0.5以上0.8以下であってもよく、0.5以上0.7以下であってもよく、0.5以上0.6以下であってもよく、0.6以上0.9以下であってもよく、0.6以上0.8以下であってもよく、0.6以上0.7以下であってもよく、0.7以上0.9以下であってもよく、0.7以上0.8以下であってもよく、0.8以上0.9以下であってもよい。
【0138】
図12に示すように、第1蒸着マスク20Aは、アライメントマーク29Aを有していてもよい。アライメントマーク29Aは、例えば第1蒸着マスク20Aの有効領域22Aの隅に形成されている。アライメントマーク29Aは、第1蒸着マスク20Aを用いて蒸着法によって基板91に第2電極140の第1層140Aを形成する工程において、基板91に対する第1蒸着マスク20Aの位置合わせのために利用されてもよい。
【0139】
次に、第2蒸着マスク20Bについて詳細に説明する。
図14は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bの一例を示す平面図である。
図15は、
図14の第2蒸着マスク20Bの一部を拡大して示す平面図である。
【0140】
図14及び
図15に示すように、第2蒸着マスク20Bは、異なる2方向に沿って配列されている複数の第2貫通孔25Bを有する。第2貫通孔25Bは、上述の第2電極140の第2層140Bを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図12に示す例において、第2貫通孔25Bは、第2方向D2に延びている。
【0141】
図15において、符号W21は、第2貫通孔25Bが延びる第2方向D2に直交する第1方向D1における第2貫通孔25Bの寸法を表す。第1方向D1において、第2貫通孔25Bの寸法W21は、上述の第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aのマスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さい。マスク第1基本領域26Aの寸法W11に対する第2貫通孔25Bの寸法W21の比率の範囲は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11に対するマスク第1拡張領域27Aの寸法W12の比率の上述の範囲と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0142】
第1方向D1において、第2貫通孔25Bの寸法W21は、上述の第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aの寸法W12よりも小さくてもよく、大きくてもよく、同一であってもよい。
【0143】
図14に示すように、第2蒸着マスク20Bは、アライメントマーク29Bを有していてもよい。アライメントマーク29Bは、第1蒸着マスク20Aの場合と同様に、例えば第2蒸着マスク20Bの有効領域22Bの隅に形成されている。アライメントマーク29Bは、第2蒸着マスク20Bを用いて蒸着法によって基板91に第2電極140の第2層140Bを形成する工程において、基板91に対する第2蒸着マスク20Bの位置合わせのために利用されてもよい。
【0144】
次に、電子デバイス100を製造する方法の一例について説明する。
【0145】
まず、
図3に示すように、第1電極120が形成されている基板91を準備する。第1電極120は、例えば、第1電極120を構成する導電層をスパッタリング法などによって基板91に形成した後、フォトリソグラフィー法などによって導電層をパターニングすることによって形成される。
【0146】
続いて、
図4に示すように、第1電極120上に通電層130を形成する。通電層130は、例えば、通電層130に対応する貫通孔を有する蒸着マスクを用いる蒸着法によって有機材料などを基板91上や第1電極120上に付着させることによって、形成される。
【0147】
続いて、通電層130上に第2電極140を形成する第2電極形成工程を実施する。例えば
図5に示すように、通電層130上に第2電極140の第1層140Aを形成する。具体的には、第1層140Aは、第1蒸着マスク20Aを備える第1蒸着マスク装置10Aを用いる蒸着法によって金属などの導電性材料を通電層130上に付着させることによって、形成される。
【0148】
続いて、
図6に示すように、通電層130上及び第2電極140の第1層140A上に第2電極140の第2層140Bを形成する。具体的には、第2層140Bは、第2蒸着マスク20Bを備える第2蒸着マスク装置10Bを用いる蒸着法によって金属などの導電性材料を通電層130上及び第1層140A上に付着させることによって、形成される。このようにして、基板91上に形成された第1電極120、通電層130、第2電極140の第1層140A及び第2層140Bを備える電子デバイス100を得ることができる。
【0149】
第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bを備える蒸着マスク群を用いて第2電極140を形成することによって実現され得る効果について、
図16を参照して説明する。
図16は、第1蒸着マスク20Aと第2蒸着マスク20Bとを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。積層体21においては、第1蒸着マスク20Aの第1アライメントマーク29Aと第2蒸着マスク20Bの第2アライメントマーク29Bとが重なるように第1蒸着マスク20Aと第2蒸着マスク20Bとが重ねられていてもよい。この際、第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bには、張力が加えられていてもよく、張力が加えられていなくてもよい。
【0150】
なお、第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bのような複数の蒸着マスク20を重ねた状態の、
図16のような図は、各蒸着マスク20の画像データを重ねることによって得られてもよい。例えば、まず、撮影装置を用いて、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aの輪郭及び第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bの輪郭に関する画像データをそれぞれ取得し、続いて、画像処理装置を用いて、第1蒸着マスク20Aの画像データと第2蒸着マスク20Bの画像データとを重ねることにより、
図16のような図を作製することができる。後述する第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ねる場合も同様である。
【0151】
図16においては、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aが点線で示され、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bが実線で示されている。
図16に示すように、第1蒸着マスク20Aと第2蒸着マスク20Bとを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bが部分的に重なっている。このことは、第1貫通孔25Aを通過した蒸着材料によって基板91に形成される第2電極140の第1層140Aと、第2貫通孔25Bを通過した蒸着材料によって基板91に形成される第2電極140の第2層140Bとが、部分的に重なることを意味する。このため、第1層140Aのみによって第2電極140が構成される場合に比べて、第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0152】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bの重なりについて詳細に説明する。
図16に示すように、第1蒸着マスク20Aと第2蒸着マスク20Bとを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aと第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bとが全体的に又は部分的に重なっている。上述のように、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aを通過して基板91に付着する蒸着材料は、隣接する2つの素子110の第2電極140の電極第1基本領域141Aを接続する電極第1拡張領域142Aを形成する。第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aと第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bとが重なっていることにより、第2電極140の電極第1拡張領域142A上に第2層140Bを形成することができる。すなわち、第2層140Bが電極第1拡張領域142Aに重なることができる。これにより、電極第1拡張領域142Aの寸法及び第2層140Bの寸法が電極第1基本領域141Aの寸法に比べて小さい場合であっても、隣接する2つの素子110の電極第1基本領域141Aの間の電気抵抗を低減することができる。また、電極第1拡張領域142Aの寸法及び第2層140Bの寸法を電極第1基本領域141Aの寸法に比べて小さくすることにより、第2方向D2において隣接する2つの素子110の間の領域において、光が電子デバイス100を透過し易くなる。これにより、電子デバイス100全体の透過率を高めることができる。
【0153】
図16に示すように、第1蒸着マスク20Aと第2蒸着マスク20Bとを重ね合わせた場合、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bは、第1蒸着マスク20Aの隣り合う2つのマスク第1基本領域26A、及び2つのマスク第1基本領域26Aに接続されているマスク第1拡張領域27Aに全体的に又は部分的に重なっていてもよい。すなわち、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bが、第1蒸着マスク20Aの隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aの一方から他方まで延びていてもよい。言い換えると、第1蒸着マスク20Aと第2蒸着マスク20Bとを重ね合わせた場合に、第1蒸着マスク20Aの隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aが、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bを介して接続されていてもよい。この場合、第2貫通孔25Bに対応して形成される第2層140Bが、マスク第1基本領域26Aに対応して形成される電極第1基本領域141Aに重なることができる。
【0154】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図17~
図25を参照して説明する。ここでは、蒸着マスク群が、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを含み、通電層130が、第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cを含む例について説明する。第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cは、例えば、赤色発光層、青色発光層及び緑色発光層である。
【0155】
2以上の通電層130は、基板91の面内方向において異なる2方向に沿って配列されていてもよい。
図17は、第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cが形成された状態の基板91の一部を拡大して示す図である。2以上の第1通電層130Aは、基板91の面内方向において異なる2方向に沿って配列されていてもよい。第2通電層130B及び第3通電層130Cも同様である。なお、図示はしないが、基板91と第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cとの間には第1電極120が形成されている。
図17に示す例において、複数の第1通電層130Aは、第3方向D3及び第3方向D3に交差する第4方向D4に沿って配列されている。第3方向D3は、第1方向D1に対して45°を成す方向であってもよい。また、第4方向D4は、第2方向D2に対して45°を成す方向であってもよい。複数の第2通電層130Bも、第1通電層130Aと同様に、第3方向D3及び第3方向D3に交差する第4方向D4に沿って配列されている。複数の第3通電層130Cは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている。
【0156】
図18は、
図17に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。また、
図19は、
図18の電子デバイス100のXIX-XIX線に沿った断面図である。また、
図20は、
図18の電子デバイス100のXX-XX線に沿った断面図である。また、
図21は、
図18の電子デバイス100のXXI-XXI線に沿った断面図である。
図18に示すように、電子デバイス100は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいる。
【0157】
図19及び
図21に示すように、第2電極140は、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを有する。第1層140Aは、第1蒸着マスク20Aを用いる蒸着法によって形成される層である。第1層140Aは、基板91の面内方向において異なる2方向に沿って配列されていてもよい。第2層140Bは、第2蒸着マスク20Bを用いる蒸着法によって形成される層である。第2層140Bは、基板91の面内方向において異なる2方向に沿って配列されていてもよい。第3層140Cは、第3蒸着マスク20Cを用いる蒸着法によって形成される層である。第3層140Cは、基板91の面内方向において異なる2方向に沿って配列されていてもよい。
【0158】
第1層140Aは、第1電極120及び第1通電層130Aに重なる電極第1基本領域141Aを少なくとも有する。第1電極120、第1通電層130A及び電極第1基本領域141Aが、電子デバイス100の第1素子110Aを構成している。また、第2層140Bは、第1電極120及び第2通電層130Bに重なる電極第2基本領域141Bを少なくとも有する。第1電極120、第2通電層130B及び電極第2基本領域141Bが、電子デバイス100の第2素子110Bを構成している。また、第3層140Cは、第1電極120及び第3通電層130Cに重なる電極第3基本領域141Cを少なくとも有する。第1電極120、第3通電層130C及び電極第3基本領域141Cが、電子デバイス100の第3素子110Cを構成している。
【0159】
図20に示すように、第1層140Aは、第1層140Aの電極第1基本領域141Aと第3層140Cの電極第3基本領域141Cとを電気的に接続するように電極第1基本領域141Aから延び出る電極第1拡張領域142Aを含んでいてもよい。電極第1拡張領域142Aは、電極第3基本領域141Cに部分的に重なっていてもよい。電極第1拡張領域142Aは、電極第1拡張領域142Aが電極第1基本領域141Aから延び出る方向に直交する方向において、電極第1基本領域141A及び電極第3基本領域141Cよりも小さい寸法を有する。
【0160】
図示はしないが、第2層140Bも、第1層140Aと同様に、第2層140Bの電極第2基本領域141Bと第3層140Cの電極第3基本領域141Cとを電気的に接続するように電極第2基本領域141Bから延び出る電極第2拡張領域を含んでいてもよい。電極第2拡張領域は、電極第3基本領域141Cに部分的に重なっていてもよい。電極第2拡張領域は、電極第2拡張領域が電極第2基本領域141Bから延び出る方向に直交する方向において、電極第2基本領域141B及び電極第3基本領域141Cよりも小さい寸法を有する。
【0161】
また、
図20及び
図21に示すように、第3層140Cは、第3層140Cの電極第3基本領域141Cと第1層140Aの電極第1基本領域141Aとを電気的に接続するように電極第3基本領域141Cから延び出る電極第3拡張領域142Cを含んでいてもよい。電極第3拡張領域142Cは、電極第1基本領域141Aに部分的に重なっていてもよい。電極第3拡張領域142Cは、電極第3拡張領域142Cが電極第3基本領域141Cから延び出る方向に直交する方向において、電極第1基本領域141A及び電極第3基本領域141Cよりも小さい寸法を有する。
【0162】
図示はしないが、第3層140Cは、第3層140Cの電極第3基本領域141Cと第2層140Bの電極第2基本領域141Bとを電気的に接続するように電極第3基本領域141Cから延び出る電極第3拡張領域を含んでいてもよい。電極第3拡張領域は、電極第2基本領域141Bに部分的に重なっていてもよい。この電極第3拡張領域も、上述の電極第3拡張領域142Cと同様に、電極第3拡張領域が電極第3基本領域141Cから延び出る方向に直交する方向において、電極第2基本領域141B及び電極第3基本領域141Cよりも小さい寸法を有する。
【0163】
図21に示すように、第1層140Aは、第2層140Bの電極第2基本領域141Bと第3層140Cの電極第3基本領域141Cとを電気的に接続するように延びる電極第1補助領域143Aを含んでいてもよい。電極第1補助領域143Aは、電極第2基本領域141B及び電極第3基本領域141Cに部分的に重なっていてもよい。電極第1補助領域143Aは、電極第1基本領域141A及び電極第1拡張領域142Aに接続されていなくてもよい。電極第1補助領域143Aは、電極第1補助領域143Aが延びる方向に直交する方向において、電極第2基本領域141B及び電極第3基本領域141Cよりも小さい寸法を有する。
【0164】
図示はしないが、第2層140Bも、第1層140Aと同様に、第1層140Aの電極第1基本領域141Aと第3層140Cの電極第3基本領域141Cとを電気的に接続するように延びる電極第2補助領域を含んでいてもよい。電極第2補助領域は、電極第1基本領域141A及び電極第3基本領域141Cに部分的に重なっていてもよい。電極第2補助領域は、電極第2基本領域141B及び電極第2拡張領域142Bに接続されていなくてもよい。電極第2補助領域は、電極第2補助領域が延びる方向に直交する方向において、電極第1基本領域141A及び電極第3基本領域141Cよりも小さい寸法を有する。
【0165】
次に、上述の第2電極140の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成するために用いられる第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cについて説明する。
【0166】
図22は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図22に示すように、第1蒸着マスク20Aは、異なる2方向に沿って配列されている領域を含む複数の第1貫通孔25Aを有する。複数の第1貫通孔25Aは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第1基本領域26Aを少なくとも含む。複数の第1貫通孔25Aは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第1拡張領域27Aを含んでいてもよい。また、複数の第1貫通孔25Aは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第1補助領域28Aを含んでいてもよい。
【0167】
マスク第1基本領域26Aは、上述の第2電極140の第1層140Aの電極第1基本領域141Aを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図22に示す例において、複数のマスク第1基本領域26Aは、第3方向D3及び第4方向D4に沿って配列されている。
【0168】
マスク第1拡張領域27Aは、上述の第2電極140の第1層140Aの電極第1拡張領域142Aを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図22に示す例において、マスク第1拡張領域27Aは、隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aが並ぶ第3方向D3において、マスク第1基本領域26Aから延び出ている。
【0169】
マスク第1拡張領域27Aは、マスク第1拡張領域27Aがマスク第1基本領域26Aから延び出る方向に直交する方向において、マスク第1基本領域26Aよりも小さい寸法を有する。
図22に示す例において、マスク第1拡張領域27Aは、マスク第1拡張領域27Aがマスク第1基本領域26Aから延び出る方向である第3方向D3に直交する第4方向D4において、マスク第1基本領域26Aよりも小さい寸法を有する。第4方向D4において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.7倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよく、0.5倍以下であってもよい。また、第4方向D4において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11の0.05倍以上であってもよく、0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよく、0.3倍以上であってもよく、0.4倍以上であってもよい。
【0170】
寸法W11に対する寸法W12の比率であるW12/W11の範囲は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4からなる第1グループ、及び/又は、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5からなる第2グループによって定められてもよい。W12/W11の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。例えば、W12/W11は、0.05以上0.9以下であってもよく、0.05以上0.8以下であってもよく、0.05以上0.7以下であってもよく、0.05以上0.6以下であってもよく、0.05以上0.5以下であってもよく、0.05以上0.4以下であってもよく、0.05以上0.3以下であってもよく、0.05以上0.2以下であってもよく、0.05以上0.1以下であってもよく、0.1以上0.9以下であってもよく、0.1以上0.8以下であってもよく、0.1以上0.7以下であってもよく、0.1以上0.6以下であってもよく、0.1以上0.5以下であってもよく、0.1以上0.4以下であってもよく、0.1以上0.3以下であってもよく、0.1以上0.2以下であってもよく、0.2以上0.9以下であってもよく、0.2以上0.8以下であってもよく、0.2以上0.7以下であってもよく、0.2以上0.6以下であってもよく、0.2以上0.5以下であってもよく、0.2以上0.4以下であってもよく、0.2以上0.3以下であってもよく、0.3以上0.9以下であってもよく、0.3以上0.8以下であってもよく、0.3以上0.7以下であってもよく、0.3以上0.6以下であってもよく、0.3以上0.5以下であってもよく、0.3以上0.4以下であってもよく、0.4以上0.9以下であってもよく、0.4以上0.8以下であってもよく、0.4以上0.7以下であってもよく、0.4以上0.6以下であってもよく、0.4以上0.5以下であってもよく、0.5以上0.9以下であってもよく、0.5以上0.8以下であってもよく、0.5以上0.7以下であってもよく、0.5以上0.6以下であってもよく、0.6以上0.9以下であってもよく、0.6以上0.8以下であってもよく、0.6以上0.7以下であってもよく、0.7以上0.9以下であってもよく、0.7以上0.8以下であってもよく、0.8以上0.9以下であってもよい。
【0171】
マスク第1補助領域28Aは、上述の第2電極140の第1層140Aの電極第1補助領域143Aを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図22に示す例において、マスク第1補助領域28Aは、マスク第1基本領域26A及びマスク第1拡張領域27Aから離れた位置において第3方向D3及び第4方向D4に沿って配列されている。
図22に示す例において、マスク第1補助領域28Aは、第3方向D3に延びている。
【0172】
マスク第1補助領域28Aは、マスク第1補助領域28Aが延びる方向に直交する方向において、マスク第1基本領域26Aよりも小さい寸法を有する。
図22に示す例において、マスク第1補助領域28Aは、マスク第1補助領域28Aが延びる方向である第3方向D3に直交する第4方向D4において、マスク第1基本領域26Aよりも小さい寸法を有する。第4方向D4において、マスク第1補助領域28Aの寸法W13は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.7倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよく、0.5倍以下であってもよい。また、第4方向D4において、マスク第1補助領域28Aの寸法W13は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11の0.05倍以上であってもよく、0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよく、0.3倍以上であってもよく、0.4倍以上であってもよい。
【0173】
寸法W11に対する寸法W13の比率であるW13/W11の範囲は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4からなる第1グループ、及び/又は、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5からなる第2グループによって定められてもよい。W13/W11の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。例えば、W13/W11は、0.05以上0.9以下であってもよく、0.05以上0.8以下であってもよく、0.05以上0.7以下であってもよく、0.05以上0.6以下であってもよく、0.05以上0.5以下であってもよく、0.05以上0.4以下であってもよく、0.05以上0.3以下であってもよく、0.05以上0.2以下であってもよく、0.05以上0.1以下であってもよく、0.1以上0.9以下であってもよく、0.1以上0.8以下であってもよく、0.1以上0.7以下であってもよく、0.1以上0.6以下であってもよく、0.1以上0.5以下であってもよく、0.1以上0.4以下であってもよく、0.1以上0.3以下であってもよく、0.1以上0.2以下であってもよく、0.2以上0.9以下であってもよく、0.2以上0.8以下であってもよく、0.2以上0.7以下であってもよく、0.2以上0.6以下であってもよく、0.2以上0.5以下であってもよく、0.2以上0.4以下であってもよく、0.2以上0.3以下であってもよく、0.3以上0.9以下であってもよく、0.3以上0.8以下であってもよく、0.3以上0.7以下であってもよく、0.3以上0.6以下であってもよく、0.3以上0.5以下であってもよく、0.3以上0.4以下であってもよく、0.4以上0.9以下であってもよく、0.4以上0.8以下であってもよく、0.4以上0.7以下であってもよく、0.4以上0.6以下であってもよく、0.4以上0.5以下であってもよく、0.5以上0.9以下であってもよく、0.5以上0.8以下であってもよく、0.5以上0.7以下であってもよく、0.5以上0.6以下であってもよく、0.6以上0.9以下であってもよく、0.6以上0.8以下であってもよく、0.6以上0.7以下であってもよく、0.7以上0.9以下であってもよく、0.7以上0.8以下であってもよく、0.8以上0.9以下であってもよい。
【0174】
図23は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図23に示すように、第2蒸着マスク20Bは、異なる2方向に沿って配列されている領域を含む複数の第2貫通孔25Bを有する。複数の第2貫通孔25Bは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第2基本領域26Bを少なくとも含む。複数の第2貫通孔25Bは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第2拡張領域27Bを含んでいてもよい。また、複数の第2貫通孔25Bは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第2補助領域28Bを含んでいてもよい。
【0175】
マスク第2基本領域26Bは、上述の第2電極140の第2層140Bの電極第2基本領域141Bを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図23に示す例において、複数のマスク第2基本領域26Bは、第3方向D3及び第4方向D4に沿って配列されている。
【0176】
マスク第2拡張領域27Bは、上述の第2電極140の第2層140Bの電極第2拡張領域142Bを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図23に示す例において、マスク第2拡張領域27Bは、隣り合う2つのマスク第2基本領域26Bが並ぶ第4方向D4において、マスク第2基本領域26Bから延び出ている。
【0177】
マスク第2拡張領域27Bは、上述のマスク第1拡張領域27Aと同様に、マスク第2拡張領域27Bがマスク第2基本領域26Bから延び出る方向に直交する方向において、マスク第2基本領域26Bよりも小さい寸法を有する。
図23に示す例において、マスク第2拡張領域27Bは、隣り合う2つのマスク第2基本領域26Bが並ぶ方向である第4方向D4に直交する第3方向D3において、マスク第2基本領域26Bよりも小さい寸法を有する。第3方向D3におけるマスク第2拡張領域27Bの寸法W22とマスク第2基本領域26Bの寸法W21との関係は、上述のマスク第1拡張領域27Aの寸法W12とマスク第1基本領域26Aの寸法W11との関係と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0178】
マスク第2補助領域28Bは、上述の第2電極140の第2層140Bの電極第2補助領域143Bを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図23に示す例において、複数のマスク第2補助領域28Bは、マスク第2基本領域26B及びマスク第2拡張領域27Bから離れた位置において第3方向D3及び第4方向D4に沿って配列されている。
図23に示す例において、マスク第2補助領域28Bは、第4方向D4に延びている。
【0179】
マスク第2補助領域28Bは、マスク第2補助領域28Bが延びる方向に直交する方向において、マスク第2基本領域26Bよりも小さい寸法を有する。
図23に示す例において、マスク第2補助領域28Bは、マスク第2補助領域28Bが延びる方向である第4方向D4に直交する第3方向D3において、マスク第2基本領域26Bよりも小さい寸法を有する。第3方向D3におけるマスク第2補助領域28Bの寸法W23とマスク第2基本領域26Bの寸法W21との関係は、上述のマスク第1補助領域28Aの寸法W13とマスク第1基本領域26Aの寸法W11との関係と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0180】
図24は、第1面201側から見た場合の第3蒸着マスク20Cを示す平面図である。
図24に示すように、第3蒸着マスク20Cは、異なる2方向に沿って配列されている領域を含む複数の第3貫通孔25Cを有する。複数の第3貫通孔25Cは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第3基本領域26Cを少なくとも含む。複数の第3貫通孔25Cは、異なる2方向に沿って配列されている複数のマスク第3拡張領域27Cを含んでいてもよい。
【0181】
マスク第3基本領域26Cは、上述の第2電極140の第3層140Cの電極第3基本領域141Cを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。
図24に示す例において、複数のマスク第3基本領域26Cは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている。
【0182】
マスク第3拡張領域27Cは、上述の第2電極140の第3層140Cの電極第3拡張領域142Cを構成する蒸着材料が主に通過する領域である。マスク第3拡張領域27Cは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26Aが並ぶ第3方向D3において、マスク第3基本領域26Cから延び出ていてもよい。また、マスク第2拡張領域27Bは、第2蒸着マスク20Bのマスク第2基本領域26Bが並ぶ第4方向D4において、マスク第3基本領域26Cから延び出ていてもよい。
【0183】
マスク第3拡張領域27Cがマスク第3基本領域26Cから延び出る方向に直交する方向において、マスク第3拡張領域27Cの寸法W32は、マスク第3基本領域26Cの寸法W31よりも小さい。マスク第3拡張領域27Cの寸法W32とマスク第3基本領域26Cの寸法W31との関係は、上述のマスク第1拡張領域27Aの寸法W12とマスク第1基本領域26Aの寸法W11との関係と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0184】
次に、電子デバイス100を製造する方法の一例について説明する。
【0185】
まず、第3方向D3及び第4方向D4に並ぶ複数の第1電極120が形成されている基板91を準備する。続いて、
図17に示すように、第1電極120上に第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cを形成する。第1通電層130Aは、例えば、第1通電層130Aに対応する貫通孔を有する蒸着マスクを用いる蒸着法によって有機材料などを、第1通電層130Aに対応する第1電極120上に付着させることによって、形成される。第2通電層130Bも、第2通電層130Bに対応する貫通孔を有する蒸着マスクを用いる蒸着法によって有機材料などを、第2通電層130Bに対応する第1電極120上に付着させることによって、形成されてもよい。第3通電層130Cも、第3通電層130Cに対応する貫通孔を有する蒸着マスクを用いる蒸着法によって有機材料などを、第3通電層130Cに対応する第1電極120上に付着させることによって、形成されてもよい。
【0186】
続いて、第1蒸着マスク20Aを備える第1蒸着マスク装置10Aを用いる蒸着法によって金属などの導電性材料を基板91上などに付着させることによって、第2電極140の第1層140Aを形成する。続いて、第2蒸着マスク20Bを備える第2蒸着マスク装置10Bを用いる蒸着法によって金属などの導電性材料を基板91上などに付着させることによって、第2電極140の第2層140Bを形成する。続いて、第3蒸着マスク20Cを備える第3蒸着マスク装置10Cを用いる蒸着法によって金属などの導電性材料を基板91上などに付着させることによって、第2電極140の第3層140Cを形成する。このようにして、
図18~
図21に示すように、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを含む第2電極140を形成することができる。なお、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成する順序は特には限定されない。例えば、第3層140C、第2層140B、第1層140Aの順であってもよい。
【0187】
第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを備える蒸着マスク群を用いて第2電極140を形成することによって実現され得る効果について、
図25を参照して説明する。
図25は、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
【0188】
図25においては、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aが一点鎖線で示され、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bが点線で示され、第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cが実線で示されている。
図25に示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cとが部分的に重なっている。このことは、第1貫通孔25Aを通過した蒸着材料によって基板91に形成される第2電極140の第1層140Aと、第2貫通孔25Bを通過した蒸着材料によって基板91に形成される第2電極140の第2層140B、又は、第3貫通孔25Cを通過した蒸着材料によって基板91に形成される第2電極140の第3層140Cとが、部分的に重なることを意味する。これにより、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。
【0189】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの重なりについて詳細に説明する。
図25に示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aは、第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるようマスク第1基本領域26Aから延び出ていてもよい。これにより、マスク第1拡張領域27Aに対応して形成される第1層140Aの電極第1拡張領域142Aが、マスク第3基本領域26Cに対応して形成される第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2拡張領域27Bは、第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるようマスク第2基本領域26Bから延び出ていてもよい。これにより、第2層140Bの電極第2拡張領域142Bが、第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。また、第3蒸着マスク20Cのマスク第3拡張領域27Cは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26Aに部分的に重なるようマスク第3基本領域26Cから延び出ていてもよい。これにより、第3層140Cの電極第3拡張領域142Cが、第1層140Aの電極第1基本領域141Aに部分的に重なることができる。また、第3蒸着マスク20Cのマスク第3拡張領域27Cは、第2蒸着マスク20Bのマスク第2基本領域26Bに部分的に重なるようマスク第3基本領域26Cから延び出ていてもよい。これにより、第3層140Cの電極第3拡張領域142Cが、第2層140Bの電極第2基本領域141Bに部分的に重なることができる。
【0190】
また、
図25に示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1補助領域28Aは、第2蒸着マスク20Bのマスク第2基本領域26B及び第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるよう両者の間を延びていてもよい。これにより、マスク第1補助領域28Aに対応して形成される第1層140Aの電極第1補助領域143Aが、第2層140Bの電極第2基本領域141B及び第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2補助領域28Bは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26A及び第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるよう両者の間を延びていてもよい。これにより、マスク第2補助領域28Bに対応して形成される第2層140Bの電極第2補助領域143Bが、第1層140Aの電極第1基本領域141A及び第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。
【0191】
好ましくは、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aは、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bを介して、又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cを介して、他の第1貫通孔25Aと接続されている。これにより、第1層140Aを、第2層140B又は第3層140Cを介して他の第1層140Aに電気的に接続することができる。また、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aは、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cを介して、他の第1貫通孔25Aと接続されていてもよい。これにより、第1層140Aを、第2層140B及び第3層140Cを介して他の第1層140Aに電気的に接続することができる。
【0192】
図17~
図25に示す実施の形態によれば、
図18に示すように、第1通電層130Aを含む第1素子110Aと第2通電層130Bを含む第2素子110Bとの間に、第2電極140が設けられていない非電極領域150を形成することができる。また、第3通電層130Cを含む2つの第3素子110Cの間に、第2電極140が設けられていない非電極領域150を形成することができる。これにより、基板91の全域にわたって第2電極140が形成されている場合に比べて、電子デバイス100における光の透過率を高めることができる。
【0193】
また、
図17~
図25に示す実施の形態によれば、第1素子110Aの第1層140Aの電極第1基本領域141A、第2素子110Bの第2層140Bの電極第2基本領域141B、及び第3素子110Cの第3層140Cの電極第3基本領域141Cは、上述の電極拡張領域142A,142B,142Cや電極補助領域143A,143Bなどを介して互いに電気的に接続されている。これにより、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。
【0194】
また、
図17~
図25に示す実施の形態によれば、第2電極140の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを、異なる蒸着マスク20を用いる蒸着法によって形成するので、第1層140A、第2層140B及び第3層140Cの構造を独立に設定することができる。例えば、第1層140Aの材料として、第2層140Bの材料又は第3層140Cの材料とは異なるものを用いることができる。また、第1層140Aの厚みを、第2層140Bの厚み又は第3層140Cの厚みと異ならせることができる。これにより、各素子110A,110B,110Cの特性を個別に制御し易くなる。
【0195】
また、
図17~
図25に示す実施の形態によれば、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとが部分的に重なることができる。2つの層が重なっている第2電極140の領域の電気抵抗は、2つの層からなる第2電極140の領域の電気抵抗よりも低い。2つの層が重なっている第2電極140の領域は、通電層130の配列方向などに沿って周期的に存在する。このため、第2電極140を1つの導電層によって構成する場合に比べて、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0196】
なお、
図17~
図25に示す実施の形態においては、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aのマスク第1基本領域26Aからマスク第1拡張領域27Aが延び出ている例を示したが、これに限られることはない。例えば
図26に示すように、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aは、マスク第1拡張領域27Aが接続されていないマスク第1基本領域26Aを含んでいてもよい。同様に、例えば
図27に示すように、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bは、マスク第2拡張領域27Bが接続されていないマスク第2基本領域26Bを含んでいてもよい。同様に、例えば
図28に示すように、第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cは、マスク第3拡張領域27Cが接続されていないマスク第3基本領域26Cを含んでいてもよい。
図26に示すように、マスク第1拡張領域27Aがマスク第1基本領域26Aから延び出る第3方向D3に直交する方向において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さくてもよい。寸法W12と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
図26に示すように、マスク第1補助領域28Aが延びる第3方向D3に直交する方向において、マスク第1補助領域28Aの寸法W13は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さくてもよい。寸法W13と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
図27に示すように、マスク第2拡張領域27Bがマスク第2基本領域26Bから延び出る第4方向D4に直交する方向において、マスク第2拡張領域27Bの寸法W22は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21よりも小さくてもよい。寸法W22と寸法W21との関係は、
図23の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
図27に示すように、マスク第2補助領域28Bが延びる第4方向D4に直交する方向において、マスク第2補助領域28Bの寸法W23は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21よりも小さくてもよい。寸法W23と寸法W21との関係は、
図23の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
図28に示すように、マスク第3拡張領域27Cがマスク第3基本領域26Cから延び出る第3方向D3又は第4方向D4に直交する方向において、マスク第3拡張領域27Cの寸法W32は、マスク第3基本領域26Cの寸法W31よりも小さくてもよい。寸法W32と寸法W31との関係は、
図24の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0197】
図29は、
図26の第1蒸着マスク20A、
図27第2蒸着マスク20B及び
図28の第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図26~
図29に示す実施の形態によれば、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合に、
図29に示すように、第3方向D3又は第4方向D4において隣り合うマスク第1基本領域26Aとマスク第3基本領域26Cとの間、又はマスク第2基本領域26Bとマスク第3基本領域26Cとの間に、蒸着マスク20の貫通孔25が存在しない領域21Vを設けることができる。これにより、第3方向D3又は第4方向D4において隣り合う第1素子110Aと第3素子110Cとの間、又は第2素子110Bと第3素子110Cとの間に、第2電極140が設けられていない非電極領域150を形成することができる。このことにより、電子デバイス100における非電極領域150の比率を高めることができ、電子デバイス100における光の透過率を高めることができる。
【0198】
第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合に、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27A又は第2蒸着マスク20Bのマスク第2拡張領域27Bと第3蒸着マスク20Cのマスク第3拡張領域27Cとが重なるよう、各蒸着マスク20A,20B,20Cが構成されていてもよい。例えば
図29に示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合に、複数のマスク第1拡張領域27Aのうちの一部のマスク第1拡張領域27Aと、複数のマスク第3拡張領域27Cのうちの一部のマスク第3拡張領域27Cとが重なっていてもよい。このような状態は、例えば
図26に示すように、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aが、第3方向D3における一側においてマスク第1基本領域26Aから延び出るマスク第1拡張領域27Aと、第3方向D3における他側においてマスク第1基本領域26Aから延び出るマスク第1拡張領域27Aと、を含むことによって実現されてもよい。
図29に示す例によれば、マスク第1拡張領域27Aとマスク第3拡張領域27Cとが重なっている部分においては、第2電極140の電極第1拡張領域142Aと電極第3拡張領域142Cとが重なるように第2電極140が形成される。これにより、電極第1基本領域141Aと電極第3基本領域141Cとの間の電気抵抗を低減することができる。このため、
図29に示すように、第3方向D3又は第4方向D4において隣り合うマスク第1基本領域26Aとマスク第3基本領域26Cとの間、又はマスク第2基本領域26Bとマスク第3基本領域26Cとの間に、蒸着マスク20の貫通孔25が存在しない領域21Vが設けられている場合であっても、第2電極140全体の電気抵抗を低く維持することができる。
【0199】
マスク第1拡張領域27Aとマスク第3拡張領域27Cとが重なっている部分において、
図29に示すように、マスク第1拡張領域27Aは、マスク第3基本領域26Cとも部分的に重なるように延びていてもよい。また、マスク第1拡張領域27Aとマスク第3拡張領域27Cとが重なっている部分において、マスク第3拡張領域27Cは、マスク第1基本領域26Aとも部分的に重なるように延びていてもよい。2以上の蒸着マスク20の貫通孔が重なる場合、対応して形成される第2電極140の2以上の層が重なることができる。
【0200】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図30~
図35を参照して説明する。
図30~
図35に示す実施の形態において、
図17~
図25に示す実施の形態と同様に構成され得る部分については、
図17~
図25に示す実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0201】
図30は、
図17に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。また、
図31は、
図30の電子デバイス100のXXX-XXX線に沿った断面図である。
図30に示すように、電子デバイス100は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいる。
図31に示すように、第1層140Aは、第3層140Cの電極第3基本領域141Cと第1層140Aの電極第1基本領域141Aとを電気的に接続するように第1方向D1に延びる電極第1補助領域143Aを含んでいてもよい。同様に、図示はしないが、第2層140Bは、第3層140Cの電極第3基本領域141Cと第2層140Bの電極第2基本領域141Bとを電気的に接続するように第1方向D1に延びる電極第2補助領域を含んでいてもよい。
【0202】
図32は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図32に示すように、第1蒸着マスク20Aのマスク第1補助領域28Aは、第1方向D1に延びている。
図32に示すように、マスク第1補助領域28Aは、マスク第1基本領域26Aに接続されていてもよい。マスク第1補助領域28Aは、マスク第1補助領域28Aが延びる方向である第1方向D1において、マスク第1基本領域26Aよりも大きい寸法を有する。
【0203】
図32に示すように、マスク第1補助領域28Aが延びる方向である第1方向D1に直交する第2方向D2におけるマスク第1補助領域28Aの寸法W13は、第2方向D2におけるマスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さい。マスク第1補助領域28Aの寸法W13とマスク第1基本領域26Aの寸法W11との関係は、上述の
図22に示す例におけるマスク第1補助領域28Aの寸法W13とマスク第1基本領域26Aの寸法W11との関係と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0204】
図33は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図33に示すように、第2蒸着マスク20Bのマスク第2補助領域28Bは、第1方向D1に延びている。
図33に示すように、マスク第2補助領域28Bは、マスク第2基本領域26Bに接続されていてもよい。マスク第2補助領域28Bは、マスク第2補助領域28Bが延びる方向である第1方向D1において、マスク第2基本領域26Bよりも大きい寸法を有する。
【0205】
図33に示すように、マスク第2補助領域28Bが延びる方向である第1方向D1に直交する第2方向D2におけるマスク第2補助領域28Bの寸法W23は、第2方向D2におけるマスク第2基本領域26Bの寸法W21よりも小さい。マスク第2補助領域28Bの寸法W23とマスク第2基本領域26Bの寸法W21との関係は、上述の
図23に示す例におけるマスク第2補助領域28Bの寸法W23とマスク第2基本領域26Bの寸法W21との関係と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0206】
図34に示すように、第3貫通孔25Cは、マスク第3基本領域26Cを少なくとも含む。
図34に示すように、第3貫通孔25Cは、上述のマスク第3拡張領域27Cを含んでいなくてもよい。図示はしないが、第3貫通孔25Cは、上述のマスク第3拡張領域27Cを含んでいてもよい。
【0207】
図35は、
図32の第1蒸着マスク20A、
図33の第2蒸着マスク20B及び
図34の第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図30~
図35に示す実施の形態においても、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cとが部分的に重なっている。これにより、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。また、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとが部分的に重なることができる。これにより、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0208】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの重なりについて詳細に説明する。
図35に示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1補助領域28Aは、第1方向D1において隣り合う2つのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるように第1方向D1に延びていてもよい。これにより、マスク第1補助領域28Aに対応して形成される第1層140Aの電極第1補助領域143Aが、マスク第3基本領域26Cに対応して形成される第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2補助領域28Bは、第1方向D1において隣り合う2つのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるように第1方向D1に延びていてもよい。これにより、マスク第2補助領域28Bに対応して形成される第2層140Bの電極第2補助領域143Bが、第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。
【0209】
また、
図30~
図35に示す実施の形態においても、
図30に示すように、第1通電層130Aを含む第1素子110Aと第2通電層130Bを含む第2素子110Bとの間に、第2電極140が設けられていない非電極領域150を形成することができる。また、第3通電層130Cを含む2つの第3素子110Cの間に、第2電極140が設けられていない非電極領域150を形成することができる。これにより、基板91の全域にわたって第2電極140が形成されている場合に比べて、電子デバイス100における光の透過率を高めることができる。
【0210】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図36~
図42Bを参照して説明する。
図36~
図42Bに示す実施の形態において、
図17~
図25に示す実施の形態と同様に構成され得る部分については、
図17~
図25に示す実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0211】
図36は、第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cが形成された状態の基板91の一部を拡大して示す図である。
図36に示す例において、2以上の第1通電層130Aが、第1方向D1に沿って配列されている。2以上の第2通電層130Bが、第1方向D1に沿って配列されている。2以上の第3通電層130Cが、第1方向D1に沿って配列されている。また、
図36に示すように、第1方向D1に並ぶ第1通電層130Aの列、第1方向D1に並ぶ第2通電層130Bの列、及び、第1方向D1に並ぶ第3通電層130Cの列が、第1方向D1に交差する第2方向D1に順に並んでいる。従って、2以上の第1通電層130Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている。第2通電層130B及び第3通電層130Cも同様である。第2方向D2は、第1方向D1に対して直交する方向であってもよい。
【0212】
図37は、
図36に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。また、
図38は、
図37の電子デバイス100のXXXVIII-XXXVIII線に沿った断面図である。
図37に示すように、電子デバイス100は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいる。
【0213】
図38に示すように、第1層140Aは、第1電極120及び第1通電層130Aに重なる電極第1基本領域141Aを含む。第2層140Bは、第1電極120及び第2通電層130Bに重なる電極第2基本領域141Bを含む。第3層140Cは、第1電極120及び第3通電層130Cに重なる電極第3基本領域141Cを含む。
【0214】
図38に示すように、第1層140Aは、電極第1基本領域141Aと電極第2基本領域141Bとを電気的に接続するように電極第1基本領域141Aから延び出る電極第1拡張領域142Aを更に含む。第2層140Bは、電極第2基本領域141Bと電極第3基本領域141Cとを電気的に接続するように電極第2基本領域141Bから延び出る電極第2拡張領域142Bを更に含む。第3層140Cは、電極第3基本領域141Cと電極第1基本領域141Aとを電気的に接続するように電極第3基本領域141Cから延び出る電極第3拡張領域142Cを更に含む。
【0215】
次に、
図37及び
図38に示す第2電極140の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成するために用いられる第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cについて説明する。
【0216】
図39は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図39に示すように、第1蒸着マスク20Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数の第1貫通孔25Aを有する。複数の第1貫通孔25Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第1基本領域26Aを含む。複数の第1貫通孔25Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第1拡張領域27Aを含んでいてもよい。マスク第1拡張領域27Aは、隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aが並ぶ第2方向D2において、マスク第1基本領域26Aから延び出ている。
マスク第1拡張領域27Aがマスク第1基本領域26Aから延び出る第2方向D2に直交する方向において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さくてもよい。寸法W12と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0217】
図40は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図40に示すように、第2蒸着マスク20Bは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数の第2貫通孔25Bを有する。複数の第2貫通孔25Bは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第2基本領域26Bを含む。複数の第2貫通孔25Bは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第2拡張領域27Bを含んでいてもよい。マスク第2拡張領域27Bは、隣り合う2つのマスク第2基本領域26Bが並ぶ第2方向D2において、マスク第2基本領域26Bから延び出ている。
マスク第2拡張領域27Bがマスク第2基本領域26Bから延び出る第2方向D2に直交する方向において、マスク第2拡張領域27Bの寸法W22は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21よりも小さくてもよい。寸法W22と寸法W21との関係は、
図23の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0218】
図41は、第1面201側から見た場合の第3蒸着マスク20Cを示す平面図である。
図41に示すように、第3蒸着マスク20Cは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数の第3貫通孔25Cを有する。複数の第3貫通孔25Cは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第3基本領域26Cを含む。複数の第3貫通孔25Cは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第3拡張領域27Cを含んでいてもよい。マスク第3拡張領域27Cは、隣り合う2つのマスク第3基本領域26Cが並ぶ第2方向D2において、マスク第3基本領域26Cから延び出ている。
マスク第3拡張領域27Cがマスク第3基本領域26Cから延び出る第2方向D2に直交する方向において、マスク第3拡張領域27Cの寸法W32は、マスク第3基本領域26Cの寸法W31よりも小さくてもよい。寸法W32と寸法W31との関係は、
図24の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0219】
図42Aは、
図39の第1蒸着マスク20A、
図40の第2蒸着マスク20B及び
図41の第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図42Bは、
図42Aの積層体21をより広い範囲にわたって示す図である。
図36~
図42Bに示す実施の形態においても、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cとが部分的に重なっている。これにより、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。また、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとが部分的に重なることができる。これにより、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0220】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの重なりについて詳細に説明する。
図42Aに示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aは、第2蒸着マスク20Bのマスク第2基本領域26Bに部分的に重なるようマスク第1基本領域26Aから延び出ていてもよい。これにより、マスク第1拡張領域27Aに対応して形成される第1層140Aの電極第1拡張領域142Aが、マスク第2基本領域26Bに対応して形成される第2層140Bの電極第2基本領域141Bに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2拡張領域27Bは、第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるようマスク第2基本領域26Bから延び出ていてもよい。これにより、第2層140Bの電極第2拡張領域142Bが、第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。また、第3蒸着マスク20Cのマスク第3拡張領域27Cは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26Aに部分的に重なるようマスク第3基本領域26Cから延び出ていてもよい。これにより、第3層140Cの電極第3拡張領域142Cが、第1層140Aの電極第1基本領域141Aに部分的に重なることができる。
【0221】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図43~
図48Bを参照して説明する。
図43~
図42Bに示す実施の形態において、
図36~
図42Bに示す実施の形態と同様に構成され得る部分については、
図36~
図42Bに示す実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0222】
図43は、
図36に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。また、
図44は、
図43の電子デバイス100のXXXXIV-XXXXIV線に沿った断面図である。
図43に示すように、電子デバイス100は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいる。
【0223】
図44に示すように、第1層140Aは、第2方向D2において第2層140Bに向かって電極第1基本領域141Aから延び出る電極第1拡張領域142Aと、第2方向D2において第3層140Cに向かって電極第1基本領域141Aから延び出る電極第1拡張領域142Aと、を含んでいてもよい。第2層140Bは、第2方向D2において第1層140Aに向かって電極第2基本領域141Bから延び出る電極第2拡張領域142Bと、第2方向D2において第3層140Cに向かって電極第2基本領域141Bから延び出る電極第2拡張領域142Bと、を含んでいてもよい。第3層140Cは、第2方向D2において第1層140Aに向かって電極第3基本領域141Cから延び出る電極第3拡張領域142Cと、第2方向D2において第2層140Bに向かって電極第3基本領域141Cから延び出る電極第3拡張領域142Cと、を含んでいてもよい。
【0224】
次に、
図43及び
図44に示す第2電極140の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成するために用いられる第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cについて説明する。
【0225】
図45は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図45に示すように、第1貫通孔25Aは、第2方向D2の一方の側へマスク第1基本領域26Aから延び出ているマスク第1拡張領域27Aと、第2方向D2の他方の側へマスク第1基本領域26Aから延び出ているマスク第1拡張領域27Aと、を含んでいてもよい。
マスク第1拡張領域27Aがマスク第1基本領域26Aから延び出る第2方向D2に直交する方向において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さくてもよい。寸法W12と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0226】
図46は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図46に示すように、第2貫通孔25Bは、第2方向D2の一方の側へマスク第2基本領域26Bから延び出ているマスク第2拡張領域27Bと、第2方向D2の他方の側へマスク第2基本領域26Bから延び出ているマスク第2拡張領域27Bと、を含んでいてもよい。
マスク第2拡張領域27Bがマスク第2基本領域26Bから延び出る第2方向D2に直交する方向において、マスク第2拡張領域27Bの寸法W22は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21よりも小さくてもよい。寸法W22と寸法W21との関係は、
図23の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0227】
図47は、第1面201側から見た場合の第3蒸着マスク20Cを示す平面図である。
図47に示すように、第3貫通孔25Cは、第2方向D2の一方の側へマスク第3基本領域26Cから延び出ているマスク第3拡張領域27Cと、第2方向D2の他方の側へマスク第3基本領域26Cから延び出ているマスク第3拡張領域27Cと、を含んでいてもよい。
マスク第3拡張領域27Cがマスク第3基本領域26Cから延び出る第2方向D2に直交する方向において、マスク第3拡張領域27Cの寸法W32は、マスク第3基本領域26Cの寸法W31よりも小さくてもよい。寸法W32と寸法W31との関係は、
図24の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0228】
図48Aは、
図45の第1蒸着マスク20A、
図46の第2蒸着マスク20B及び
図47の第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図48Bは、
図48Aの積層体21をより広い範囲にわたって示す図である。
図43~
図48Bに示す実施の形態においても、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cとが部分的に重なっている。これにより、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。また、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとが部分的に重なることができる。これにより、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0229】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの重なりについて詳細に説明する。
図48Aに示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第2方向D2におけるマスク第1基本領域26Aの一方から延び出るマスク第1拡張領域27Aが、第2方向D2におけるマスク第2基本領域26Bの他方から延び出るマスク第2拡張領域27Bに重なっていてもよい。これにより、第2方向D2における電極第1基本領域141Aの一方から延び出る電極第1拡張領域142Aが、第2方向D2における電極第2基本領域141Bの他方から延び出る電極第2拡張領域142Bに重なることができる。また、第2方向D2におけるマスク第1基本領域26Aの他方から延び出るマスク第1拡張領域27Aが、第2方向D2におけるマスク第3基本領域26Cの一方から延び出るマスク第3拡張領域27Cに重なっていてもよい。これにより、第2方向D2における電極第1基本領域141Aの他方から延び出る電極第1拡張領域142Aが、第2方向D2における電極第3基本領域141Cの一方から延び出る電極第3拡張領域142Cに重なることができる。また、第2方向D2におけるマスク第2基本領域26Bの一方から延び出るマスク第2拡張領域27Bが、第2方向D2におけるマスク第3基本領域26Cの他方から延び出るマスク第3拡張領域27Cに重なっていてもよい。これにより、第2方向D2における電極第2基本領域141Bの一方から延び出る電極第2拡張領域142Bが、第2方向D2における電極第3基本領域141Cの他方から延び出る電極第3拡張領域142Cに重なることができる。
【0230】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図49~
図54Bを参照して説明する。
図49~
図54Bに示す実施の形態において、
図36~
図42Bに示す実施の形態と同様に構成され得る部分については、
図36~
図42Bに示す実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0231】
図49は、
図36に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。また、
図50は、
図49の電子デバイス100の、第3方向D3に延びるXXXXX-XXXXX線に沿った断面図である。
図49に示すように、電子デバイス100は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいる。
【0232】
図50に示すように、第1層140Aは、第1方向D1及び第2方向D2に交差する第3方向D3において第2層140Bの電極第2基本領域141Bに向かって電極第1基本領域141Aから延び出る電極第1拡張領域142Aを含んでいてもよい。第2層140Bは、第3方向D3において第3層140Cの電極第3基本領域141Cに向かって電極第2基本領域141Bから延び出る電極第2拡張領域142Bを含んでいてもよい。第3層140Cは、第3方向D3において第1層140Aの電極第1基本領域141Aに向かって電極第3基本領域141Cから延び出る電極第3拡張領域142Cを含んでいてもよい。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2に対して45°を成す方向であってもよい。
【0233】
次に、
図49及び
図50に示す第2電極140の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成するために用いられる第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cについて説明する。
【0234】
図51は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図51に示すように、第1貫通孔25Aは、第3方向D3においてマスク第1基本領域26Aから延び出ているマスク第1拡張領域27Aを含んでいてもよい。マスク第1拡張領域27Aがマスク第1拡張領域27Aから延び出る第3方向D3に直交する方向において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さくてもよい。寸法W12と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0235】
図52は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図52に示すように、第2貫通孔25Bは、第3方向D3においてマスク第2基本領域26Bから延び出ているマスク第2拡張領域27Bを含んでいてもよい。マスク第2拡張領域27Bがマスク第2基本領域26Bから延び出る第3方向D3に直交する方向において、マスク第2拡張領域27Bの寸法W22は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21よりも小さくてもよい。寸法W22と寸法W21との関係は、
図23の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0236】
図53は、第1面201側から見た場合の第3蒸着マスク20Cを示す平面図である。
図53に示すように、第3貫通孔25Cは、第3方向D3においてマスク第3基本領域26Cから延び出ているマスク第3拡張領域27Cを含んでいてもよい。マスク第3拡張領域27Cがマスク第3基本領域26Cから延び出る第3方向D3に直交する方向において、マスク第3拡張領域27Cの寸法W32は、マスク第3基本領域26Cの寸法W31よりも小さくてもよい。寸法W32と寸法W31との関係は、
図24の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0237】
図54Aは、
図51の第1蒸着マスク20A、
図52の第2蒸着マスク20B及び
図53の第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図54Bは、
図54Aの積層体21をより広い範囲にわたって示す図である。
図49~
図54Bに示す実施の形態においても、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cとが部分的に重なっている。これにより、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。また、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとが部分的に重なることができる。これにより、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0238】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの重なりについて詳細に説明する。
図54Aに示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aは、第2蒸着マスク20Bのマスク第2基本領域26Bに部分的に重なるようマスク第1基本領域26Aから第3方向D3において延び出ていてもよい。これにより、第1層140Aの電極第1拡張領域142Aが、第2層140Bの電極第2基本領域141Bに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2拡張領域27Bは、第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるようマスク第2基本領域26Bから第3方向D3において延び出ていてもよい。これにより、第2層140Bの電極第2拡張領域142Bが、第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。また、第3蒸着マスク20Cのマスク第3拡張領域27Cは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26Aに部分的に重なるようマスク第3基本領域26Cから第3方向D3において延び出ていてもよい。これにより、第3層140Cの電極第3拡張領域142Cが、第1層140Aの電極第1基本領域141Aに部分的に重なることができる。
【0239】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図55~
図60を参照して説明する。
図55~
図60に示す実施の形態において、
図17~
図25に示す実施の形態と同様に構成され得る部分については、
図17~
図25に示す実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0240】
図55は、第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cが形成された状態の基板91の一部を拡大して示す図である。
図55に示す例において、第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cはそれぞれ、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている。第1通電層130A及び第2通電層130Bは、第2方向D2において交互に並んでいる。また、第2方向D2に交互に並ぶ第1通電層130A及び第2通電層130Bの列が、第1方向D1に並んでいる。また、第3通電層130Cは、第1方向D1において隣り合う2つの第1通電層130Aの間、及び、第1方向D1において隣り合う2つの第2通電層130Bの間において、第2方向D2に並んでいる。第3通電層130Cは、第1方向D1に沿って見た場合に1つの通電層130が第1通電層130A及び第2通電層130Bに重なるように、第2方向D2に延びていてもよい。
【0241】
図56は、
図55に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。電子デバイス100は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいる。
【0242】
次に、
図56に示す第2電極140の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成するために用いられる第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cについて説明する。
【0243】
図57は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図57に示すように、第1蒸着マスク20Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第1基本領域26A及び複数のマスク第1補助領域28Aを含んでいてもよい。マスク第1補助領域28Aは、マスク第1補助領域28Aが延びる第1方向D1に直交する第2方向D2において、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さい寸法W13を有する。寸法W13と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。マスク第1補助領域28Aは、マスク第1基本領域26Aに接続されていなくてもよい。
【0244】
図58は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図58に示すように、第2蒸着マスク20Bは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第2基本領域26B及び複数のマスク第2補助領域28Bを含んでいてもよい。マスク第2補助領域28Bは、マスク第2補助領域28Bが延びる第1方向D1に直交する第2方向D2において、マスク第2基本領域26Bの寸法W21よりも小さい寸法W23を有する。寸法W23と寸法W21との関係は、
図23の例の場合と同様であるので、説明を省略する。マスク第2補助領域28Bは、マスク第2基本領域26Bに接続されていなくてもよい。
【0245】
図59は、第1面201側から見た場合の第3蒸着マスク20Cを示す平面図である。
図59に示すように、第3蒸着マスク20Cは、第1方向D1に並び、第2方向D2に延びる複数の第3貫通孔25Cを含んでいてもよい。
【0246】
図60は、
図57の第1蒸着マスク20A、
図58の第2蒸着マスク20B及び
図59の第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図55~
図60に示す実施の形態においても、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cとが部分的に重なっている。これにより、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。また、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとが部分的に重なることができる。これにより、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0247】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの重なりについて詳細に説明する。
図60に示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1補助領域28Aは、第1方向D1において隣り合う2つのマスク第2基本領域26Bに部分的に重なるよう両者の間を延びていてもよい。これにより、第1層140Aの電極第1補助領域143Aが、第1方向D1において隣り合う2つの電極第2基本領域141Bに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2補助領域28Bは、第1方向D1において隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aに部分的に重なるよう両者の間を延びていてもよい。これにより、第2層140Bの電極第2補助領域143Bが、第1方向D1において隣り合う2つの電極第1基本領域141Aに部分的に重なることができる。
【0248】
また、
図60に示すように、第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cは、第2方向D2において交互に並ぶマスク第1補助領域28A及びマスク第2補助領域28Bに重なるよう第2方向D2に延びていてもよい。これにより、第3層140Cが、第2方向D2において交互に並ぶ電極第1補助領域143A及び電極第2補助領域143Bに重なることができる。
【0249】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図61~
図66を参照して説明する。
図61~
図66に示す実施の形態において、
図17~
図25に示す実施の形態と同様に構成され得る部分については、
図17~
図25に示す実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0250】
図61は、第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cが形成された状態の基板91の一部を拡大して示す図である。
図61に示す例において、第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cはそれぞれ、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている。第1方向D1における第1通電層130Aの位置は、第2通電層130Bに対して、第1方向D1における第1通電層130Aの配列周期の半分の距離だけずれている。第2方向D2における第1通電層130Aの位置は、第2通電層130Bに対して、第2方向D2における第1通電層130Aの配列周期の半分の距離だけずれている。第3通電層130Cは、第1方向D1において隣り合う2つの第1通電層130Aの間、第2方向D2において隣り合う2つの第1通電層130Aの間、第1方向D1において隣り合う2つの第2通電層130Bの間、及び、第2方向D2において隣り合う2つの第2通電層130Bの間に位置している。
【0251】
図62は、
図61に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。電子デバイス100は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいる。
【0252】
次に、
図62に示す第2電極140の第1層140A、第2層140B及び第3層140Cを形成するために用いられる第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cについて説明する。
【0253】
図63は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図63に示すように、第1蒸着マスク20Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第1基本領域26Aを含んでいる。第1蒸着マスク20Aは、第1方向D1の一方の側へマスク第1基本領域26Aから延び出ているマスク第1拡張領域27Aと、第1方向D1の他方の側へマスク第1基本領域26Aから延び出ているマスク第1拡張領域27Aと、を含んでいてもよい。また、第1蒸着マスク20Aは、第2方向D2の一方の側へマスク第1基本領域26Aから延び出ているマスク第1拡張領域27Aと、第2方向D2の他方の側へマスク第1基本領域26Aから延び出ているマスク第1拡張領域27Aと、を含んでいてもよい。
マスク第1拡張領域27Aがマスク第1基本領域26Aから延び出る第1方向D1又は第2方向D2に直交する方向において、マスク第1拡張領域27Aの寸法W12は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さくてもよい。寸法W12と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0254】
図63に示すように、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aは、マスク第1拡張領域27Aが接続されていないマスク第1基本領域26Aを含んでいてもよい。例えば、マスク第1拡張領域27Aが接続されていないマスク第1基本領域26Aと、マスク第1拡張領域27Aが接続されているマスク第1基本領域26Aとが、第1方向D1及び第2方向D2において交互に並んでいてもよい。
【0255】
図64は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図64に示すように、第2蒸着マスク20Bは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第2基本領域26Bを含んでいる。第2蒸着マスク20Bは、第1方向D1及び第2方向D2に交差する第3方向D3の一方の側へマスク第2基本領域26Bから延び出ているマスク第2拡張領域27Bと、第3方向D3の他方の側へマスク第2基本領域26Bから延び出ているマスク第2拡張領域27Bと、を含んでいてもよい。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2に対して45°を成す方向であってもよい。
マスク第2拡張領域27Bがマスク第2基本領域26Bから延び出る第3方向D3に直交する方向において、マスク第2拡張領域27Bの寸法W22は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21_1よりも小さくてもよい。寸法W22と寸法W21_1との関係は、
図23の例における寸法W22と寸法W21との関係と同様であるので、説明を省略する。
【0256】
図64に示すように、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bは、マスク第2拡張領域27Bが接続されていないマスク第2基本領域26Bを含んでいてもよい。例えば、マスク第2拡張領域27Bが接続されていないマスク第2基本領域26Bと、マスク第2拡張領域27Bが接続されているマスク第2基本領域26Bとが、第1方向D1及び第2方向D2において交互に並んでいてもよい。
マスク第2補助領域28Bが延びる第1方向D1又は第2方向D2に直交する方向において、マスク第2補助領域28Bの寸法W23は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21_2よりも小さくてもよい。寸法W23と寸法W21_2との関係は、
図23の例における寸法W23と寸法W21との関係と同様であるので、説明を省略する。
【0257】
図64に示すように、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bは、第1方向D1又は第2方向D2に延びる複数のマスク第2補助領域28Bを含んでいてもよい。マスク第2補助領域28Bは、マスク第2基本領域26Bに接続されていなくてもよい。
【0258】
図65は、第1面201側から見た場合の第3蒸着マスク20Cを示す平面図である。
図65に示すように、第3蒸着マスク20Cは、第3方向D3及び第4方向D4に沿って配列されている複数のマスク第3基本領域26Cを含んでいる。第3蒸着マスク20Cは、第3方向D3において隣り合う2つのマスク第3基本領域26Cの間に位置し、第3方向D3に直交する第4方向D4に延びる複数のマスク第3補助領域28Cを含んでいてもよい。また、第3蒸着マスク20Cは、第4方向D4において隣り合う2つのマスク第3基本領域26Cの間に位置し、第3方向D3に延びる複数のマスク第3補助領域28Cを含んでいてもよい。
マスク第3補助領域28Cが延びる第3方向D3又は第4方向D4に直交する方向において、マスク第3補助領域28Cの寸法W33は、マスク第3基本領域26Cの寸法W31よりも小さくてもよい。寸法W33と寸法W31との関係は、
図22の例における寸法W13と寸法W11との関係と同様であるので、説明を省略する。
【0259】
図66は、
図63の第1蒸着マスク20A、
図64の第2蒸着マスク20B及び
図65の第3蒸着マスク20Cを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図61~
図66に示す実施の形態においても、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B又は第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cとが部分的に重なっている。これにより、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。また、第1層140Aと第2層140B又は第3層140Cとが部分的に重なることができる。これにより、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0260】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25B及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの重なりについて詳細に説明する。
図66に示すように、第1蒸着マスク20A、第2蒸着マスク20B及び第3蒸着マスク20Cを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1拡張領域27Aは、第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるようマスク第1基本領域26Aから第1方向D1又は第2方向D2において延び出ていてもよい。これにより、第1層140Aの電極第1拡張領域142Aが、第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。
【0261】
また、
図66に示すように、第2蒸着マスク20Bのマスク第2拡張領域27Bは、第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるようマスク第2基本領域26Bから第3方向D3において延び出ていてもよい。これにより、第2層140Bの電極第2拡張領域142Bが、第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2補助領域28Bは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26A及び第3蒸着マスク20Cのマスク第3基本領域26Cに部分的に重なるよう両者の間を第1方向D1又は第2方向D2に延びていてもよい。これにより、第2層140Bの電極第2補助領域143Bが、第1層140Aの電極第1基本領域141A及び第3層140Cの電極第3基本領域141Cに部分的に重なることができる。
【0262】
また、
図66に示すように、第3蒸着マスク20Cのマスク第3補助領域28Cは、第1蒸着マスク20Aのマスク第1基本領域26A及び第2蒸着マスク20Bのマスク第2基本領域26Bに部分的に重なるよう両者の間を第3方向D3又は第4方向D4に延びていてもよい。これにより、第3層140Cの電極第3補助領域143Cが、第1層140Aの電極第1基本領域141A及び第2層140Bの電極第2基本領域141Bに部分的に重なることができる。
【0263】
次に、蒸着マスク群を用いて電子デバイス100の第2電極140を形成するその他の例について、
図67~
図70を参照して説明する。
図67~
図70に示す実施の形態において、
図17~
図25に示す実施の形態と同様に構成され得る部分については、
図17~
図25に示す実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0264】
図67は、
図17に示す第1通電層130A、第2通電層130B及び第3通電層130Cの上に第2電極140が形成された状態の基板91を示す平面図である。
【0265】
次に、
図67に示す第2電極140の第1層140A及び第2層140B及び第3層140Cを形成するために用いられる蒸着マスク群について説明する。
図17~
図25に示す実施の形態では、3つの蒸着マスクを用いる例を説明した。本形態では、2つの蒸着マスクを用いる例を説明する。本形態の蒸着マスク群は、第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bを含む。
【0266】
図68は、第1面201側から見た場合の第1蒸着マスク20Aを示す平面図である。
図68に示すように、第1蒸着マスク20Aは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第1基本領域26A及び複数のマスク第1補助領域28Aを含んでいてもよい。マスク第1補助領域28Aが延びる第1方向D1に直交する方向において、マスク第1補助領域28Aの寸法W13は、マスク第1基本領域26Aの寸法W11よりも小さくてもよい。寸法W13と寸法W11との関係は、
図22の例の場合と同様であるので、説明を省略する。マスク第1補助領域28Aは、マスク第1基本領域26Aに接続されていなくてもよい。
【0267】
図68に示すように、第2方向D2において隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aの間において、2つのマスク第1補助領域28Aが第1方向D1に並んでいてもよい。
図67及び
図68に示すように、マスク第1基本領域26Aに対応して形成される電極第1基本領域141Aは、第1方向D1において隣り合う第1通電層130A及び第2通電層130Bの両方に重なっていてもよい。
【0268】
図69は、第1面201側から見た場合の第2蒸着マスク20Bを示す平面図である。
図69に示すように、第2蒸着マスク20Bは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第2基本領域26Bを含んでいてもよい。
図67及び
図69に示すように、マスク第2基本領域26Bに対応して形成される電極第2基本領域141Bは、第3通電層130Cに重なっていてもよい。
【0269】
図69に示すように、第2蒸着マスク20Bは、第2方向D2の一方の側へマスク第2基本領域26Bから延び出ているマスク第2拡張領域27Bと、第2方向D2の他方の側へマスク第2基本領域26Bから延び出ているマスク第2拡張領域27Bと、を含んでいてもよい。マスク第2拡張領域27Bがマスク第2基本領域26Bから延び出る第2方向D2に直交する方向において、マスク第2拡張領域27Bの寸法W22は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21_1よりも小さくてもよい。寸法W22と寸法W21_1との関係は、
図23の例における寸法W22と寸法W21との関係と同様であるので、説明を省略する。
【0270】
図69に示すように、第2蒸着マスク20Bは、第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列されている複数のマスク第3基本領域26Cを含んでいてもよい。マスク第2補助領域28Bが延びる第1方向D1に直交する方向において、マスク第2補助領域28Bの寸法W23は、マスク第2基本領域26Bの寸法W21_2よりも小さくてもよい。寸法W23と寸法W21_2との関係は、
図23の例における寸法W23と寸法W21との関係と同様であるので、説明を省略する。マスク第2補助領域28Bは、マスク第1補助領域28Aに接続されていなくてもよい。
【0271】
図70は、
図68の第1蒸着マスク20A及び
図69の第2蒸着マスク20Bを重ねることによって得られる積層体21を示す図である。
図67~
図70に示す実施の形態においても、第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aと、第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bとが部分的に重なっている。これにより、第1層140Aと第2層140Bとを電気的に接続することができ、第2電極140の電位を安定に制御し易くなる。また、第1層140Aと第2層140Bとが部分的に重なることができる。これにより、基板91の面内方向における第2電極140の電気抵抗を低減することができる。
【0272】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25A及び第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bの重なりについて詳細に説明する。
図70に示すように、第1蒸着マスク20A及び第2蒸着マスク20Bを重ね合わせた場合、第1蒸着マスク20Aのマスク第1補助領域28Aは、第1方向D1において隣り合う2つのマスク第2基本領域26Bに部分的に重なるよう第1方向D1に延びていてもよい。これにより、マスク第1補助領域28Aに対応して形成される第1層140Aの電極第1補助領域143Aが、第2層140Bの電極第2基本領域141Bに部分的に重なることができる。
【0273】
図70に示すように、第2蒸着マスク20Bのマスク第2拡張領域27Bは、第1面201のマスク第1基本領域26Aに部分的に重なるようマスク第2基本領域26Bから第2方向D2において延び出ていてもよい。これにより、第2層140Bの電極第2拡張領域142Bが、第1層140Aの電極第1基本領域141Aに部分的に重なることができる。また、第2蒸着マスク20Bのマスク第2補助領域28Bは、第1方向D1において隣り合う2つのマスク第1基本領域26Aに部分的に重なるよう第1方向D1に延びていてもよい。これにより、電極第2補助領域143Bが、第1方向D1において隣り合う2つの電極第1基本領域141Aに部分的に重なることができる。
【0274】
第1蒸着マスク20Aの第1貫通孔25Aの形状の一例について、
図71を参照して説明する。
図71に示す第1貫通孔25Aは、角部の形状を除いて、
図13に示す第1貫通孔25Aと同一である。
【0275】
図71に示すように、第1貫通孔25Aのマスク第1基本領域26Aの角は、湾曲した輪郭を含んでいてもよい。角とは、第1貫通孔25Aの輪郭を構成する2本の直線が交わる部分である。図示はしないが、上述の各形態の第1貫通孔25Aのマスク第1基本領域26Aの角も、湾曲した輪郭を含んでいてもよい。また、図示はしないが、上述の各形態のマスク第1拡張領域27A、マスク第1補助領域28Aなどのその他の領域の角も、湾曲した輪郭を含んでいてもよい。また、図示はしないが、上述の各形態の第2蒸着マスク20Bの第2貫通孔25Bの領域の角及び第3蒸着マスク20Cの第3貫通孔25Cの領域の角も、湾曲した輪郭を含んでいてもよい。
【0276】
次に、
図72を参照して、電子デバイス100の構成の一例について説明する。電子デバイス100が有機EL表示装置である場合、素子110は画素として機能する。電子デバイス100は、画素として機能する素子110を含む表示領域105を含む。表示領域105は、第1表示領域106及び第2表示領域107を含んでいてもよい。
【0277】
第1表示領域106の面積は、第2表示領域107の面積よりも小さくてもよい。第1表示領域106は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいてもよい。これにより、第1表示領域106の全域にわたって第2電極140が形成されている場合に比べて、電子デバイス100における光の透過率を高めることができる。上述の蒸着マスク群を用いることにより、第1表示領域106の第2電極140を形成することができる。
【0278】
第2表示領域107は、第1表示領域106と同様に、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいてもよい。この場合、上述の蒸着マスク群を用いることにより、第2表示領域107の第2電極140を形成することができる。第2表示領域107の第2電極140を形成するための蒸着マスク20の貫通孔25の形状及び配列は、第1表示領域106の第2電極140を形成するための蒸着マスク20の貫通孔25の形状及び配列と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0279】
1枚の蒸着マスク20が、第1表示領域106の第2電極140を形成するための貫通孔25、及び第2表示領域107の第2電極140を形成するための貫通孔25を含んでいてもよい。
【0280】
第2表示領域107は、第2電極140が設けられていない非電極領域150を含んでいなくてもよい。言い換えると、第2表示領域107の全域にわたって第2電極140が形成されていてもよい。このように、電子デバイス100に非電極領域150を形成して光の透過率を高めるという技術は、電子デバイス100の領域の全体ではなく一部に適用されてもよい。
【0281】
図73を参照して、電子デバイス100の構成の一例について説明する。
【0282】
図72においては、平面視において、第1表示領域106と第2表示領域107との間の境界が直線からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、
図73に示すように、平面視において、第1表示領域106と第2表示領域107との間の境界が曲線を含んでいてもよい。