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特開2024-59784マイボーム腺再生を促進するためのPEDF由来ペプチドおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059784
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】マイボーム腺再生を促進するためのPEDF由来ペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/10 20060101AFI20240423BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20240423BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K38/10
A61K38/17 ZNA
A61P27/02
A61P43/00 111
C07K14/47
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025017
(22)【出願日】2024-02-21
(62)【分割の表示】P 2020561713の分割
【原出願日】2019-05-04
(31)【優先権主張番号】62/667,415
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519124338
【氏名又は名称】ブリム バイオテクノロジー インク
【氏名又は名称原語表記】BRIM BIOTECHNOLOGY, INC.
【住所又は居所原語表記】8F, No.1, Alley 30, Lane 358 Ruiguang Rd., Neihu Dist. Taipei, 11492 (TW)
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ファン ナイ-ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ホ ツォン-チュアン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ヨウ-ピン
(72)【発明者】
【氏名】リー フランク ウェン-チー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイボーム腺再生を促進するための、またはドライアイ症候群を治療/予防するための医薬組成物または方法を提供する。
【解決手段】それを必要とする対象に、PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、またはPDSPの変異体を含む医薬組成物を投与する工程を含み、PDSPは、ヒト色素上皮由来因子(PEDF)の残基93~106を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
14~29アミノ酸長を有するPEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、または前記PDSPの変異体を含む、マイボーム腺再生の促進、またはマイボーム腺機能不全を原因とするドライアイの治療および/または予防に使用するための医薬組成物であって、
前記PDSPが、SLGAEQRTESIIHR(配列番号2)又はSLGAEQRTESIIHRALYYDLISSPDIHGT(配列番号1)の配列からなり、前記PDSPの変異体が、配列番号6~75のいずれか1つの配列の配列からなる医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PEDF由来ペプチド、およびマイボーム腺再生、またはドライアイの治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイボーム腺機能不全(MGD)は、マイボーム腺分泌物の量的および/または質的変化の減少、涙液層脂質層の不安定性、および眼刺激の症状を特徴とする1~3。MGDはドライアイ疾患(DED)を有する全症例の3分の2を占めるため、特に高齢者では、増大しつつある公的問題と考えられている1、2。ただし、外用薬、マイボーム腺(MG)発現、Lipiflowおよびインテンスパルスライト(IPL)治療を含む現在の臨床的MGD治療法は、それらが多くの場合、DEDの症状緩和、それ以上のMG萎縮の予防を主に目的とし、MGDの根底にある病因を改善することを直接目的としていないため、ほとんどが対症療法的である1、2、4
【0003】
MGDには、分泌増加型MGD、分泌減少型MGDおよび閉塞性MGDの3つの形態がある。閉塞性MGDは最も一般的と考えられ、導管開口部の過角化に関与し、導管閉塞および後続の腺房萎縮を引き起こすと考えられている3、5。しかし、MGD患者の粘膜皮膚移行部の前方変位、およびマウスMGの開口部での非角化導管上皮細胞の所見は、MGDの一次機構としての過角化の従来の理論を裏付けない5、6。加齢性MGDでは、細胞増殖の減少を伴う腺萎縮が、ヒトおよびマウスのマイボーム腺の両方に観察された7、8。腺房組織の萎縮は、脂質と導管細胞との間の不均衡、または開口部の栓に寄与する脂質/タンパク質比の変化をもたらす主要な病因である可能性がある5、9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイボーム腺機能不全(MGD)は多くの患者に発症するが、現在の治療法はほとんどが対症療法的である。したがって、MGDのさらに効果的な治療法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、マイボーム腺再生を促進するための方法、および色素上皮由来因子(PEDF)に由来する短鎖ペプチドを使用してドライアイを治療するための方法に関する。
【0006】
本発明の一態様は、マイボーム腺再生を促進するための方法に関する。本発明の一実施形態による方法は、それを必要とする対象に、PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、またはPDSPの変異体を含む医薬組成物を投与する工程を含み、PDSPは、ヒト色素上皮由来因子(PEDF)の残基93~106を含む。
【0007】
本発明の一態様は、ドライアイ症候群を治療するための方法に関する。本発明の一実施形態による方法は、それを必要とする対象に、PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、またはPDSPの変異体を含む医薬組成物を投与する工程を含み、PDSPは、ヒト色素上皮由来因子(PEDF)の残基93~106を含む。
【0008】
本発明の他の態様は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】老齢マウスのMG萎縮と涙液層の不安定性とを示す。パネル(A)は、Oil-Red-O(ORO)によって染色された若齢マウスおよび老齢マウスから採取された上眼瞼および下眼瞼を示す。マイバム(赤)は、主導管(矢印)および腺房(矢頭)に認められた。代表的な画像は、老齢マウスの7つの眼瞼および若齢マウスの6つの眼瞼から得られたものである。パネル(B)は、計算され、萎縮領域の割合に基づいてMGスコアに変換されたマイボーム腺萎縮の類別を示す。パネル(C)は、OROによって染色された老齢マウスおよび若齢マウスの上眼瞼の凍結切片を示す。パネル(D)は、若齢マウス8匹の16の眼および老齢マウス6匹の12の眼から評価された涙液層破壊時間を示す。データは平均±SEとして報告されている。*P<0.05対若齢マウス。**P<0.001対若齢マウス。
【0010】
図2】若齢マウスおよび老齢マウスの上眼瞼におけるPEDF発現を示す。代表的なPEDF染色断面は、若齢マウス(A)および老齢マウス(B)の腺房を示した。二次抗体のみによる免疫染色は、陰性対照として使用した(C)。低倍率画像(上部パネル)内のボックスは、高倍率画像(下部パネル)の位置を示し、高倍率画像(下部パネル)は、PEDFが前駆細胞の核内に主に発現することを示す(黒い矢印;(D)および(E))。PEDF発現は、腺房全体に認められ、腺房基底(acinar base)の細胞質ではさらに強力であった。(F)PEDFの組織病理学的スコアは、染色強度、腺房基底の細胞質の強度、およびPEDF陽性細胞核の割合に基づいて計算した。分析のために、3つの無作為化された画像を各眼瞼から取得した。代表的な画像は、各群の6匹の異なるマウスの6つの眼瞼から得られたものである(元の倍率:X400)。*P<0.05対若齢群。スケールバー、50μm。
【0011】
図3】29量体が、老齢マウスの腺房前駆細胞の増殖を促進することを示す。DNA合成を検出するために、29量体処置直後にBrdUを腹腔内注射し、24時間の時点で眼瞼を採取した。通常条件下(処置なし)では、老齢マウス(A)は、若齢マウス(D)よりも少ないBrdU陽性細胞を示した。29量体は、老齢マウス(C)および若齢マウス(F)の腺房基底でBrdU陽性細胞を増加させたが、DMSOは効果を示さなかった(BおよびE)。赤い破線の円は中心導管を示した。黒い矢印はBrdU陽性前駆細胞を示した。(G)PEDF治療効果は、腺房基底内のBrdU陽性細胞に基づいて計算した。分析のために、3つの無作為化された画像を各眼瞼から取得した。代表的な画像は、各群の6匹の異なるマウスの6つの眼瞼から得られたものである(元の倍率:X400)。代表的な画像は、各群の3匹の異なるマウスの3つの眼瞼から得られたものである(元の倍率:X400)。#P<0.05対若齢マウスの通常条件、*P<0.05対DMSOまたは18量体によって処置された老齢マウス。**P<0.05対若齢マウスの通常条件、またはビヒクルDMSOによって処置された若齢マウス。スケールバー、50μm。
【0012】
図4】処置5日後の上眼瞼での細胞増殖を示す。単回の結膜下注射の後、0日目および3日目にBrdUを腹腔内注射した。その後、5日目に眼瞼を採取した。(A)および(C)は、それぞれ老齢マウスおよび若齢マウスに対するDMSO処置による対照を示している。(C)および(D)は、それぞれ老齢マウスおよび若齢マウスに対するPDSP処置を示している。BrdU陽性細胞は主に腺房前駆細胞(黒い矢印)であり、少数のマイボーム腺上皮細胞(meibocyte)がBrdU染色に陽性であった(D、赤い矢印)。(E)PEDF治療効果は、腺房基底内のBrdU陽性細胞に基づいて計算した。分析のために、3つの無作為化された画像を各眼瞼から取得した。代表的な画像は、各群の3匹の異なるマウスの3つの眼瞼から得られたものである(元の倍率:X400)。*P<0.001対DMSOによって処置された老齢マウス。スケールバー、50μm。
【0013】
図5】単回処置の5日後の上眼瞼における幹細胞マーカーp63発現の免疫組織化学分析を示す。(A)および(B)は、それぞれ老齢マウスおよび若齢マウスにおけるベースラインp63発現を示している。(C)および(D)は、それぞれ老齢マウスにおけるDMSOおよびPDSP処置を示している。赤い破線の円は中心導管を示した。(E)1腺房当たりのp63陽性細胞の数を評価した。代表的な画像は、各群の3匹の異なるマウスの3つの眼瞼から得られたものである(元の倍率:X400)。分析のために、3つの無作為化された画像を各眼瞼から取得した。*P<0.001対若齢マウス、**P<0.001対DMSOによって処置された老齢マウス。スケールバー、50μm。
【0014】
図6】29量体が老齢マウスの涙液層の安定性を高めることを示す。29量体注射後の1、2、3、4および8週間について、涙液破壊時間(TBUT)(A)および涙液量分泌(B)のレベルを示す。値は平均±SEとして表されている。データは、各群の6匹の異なるマウスの6つの眼瞼から得られたものである。1つの眼瞼から得られた涙液層破壊時間の3つの測定値を記録した。*P<0.05対同じ時点でのビヒクル群。
【0015】
図7】29量体が老齢マウスの腺房サイズを増加させることを示す。(A)左、上眼瞼に対する全組織標本ORO染色。右、Adobe Photoshop 7.0の面積計算ツールを使用してMG面積を分析した。(B)は、ピクセル単位で表された、Photoshopによって測定された上眼瞼のMGサイズのヒストグラムを示す。上眼瞼の凍結切片をOROによって染色した。Adobe Photoshop 7.0によって測定された腺房サイズのヒストグラムをピクセル単位で表した。全組織標本の代表的な画像は、各群の7匹の異なるマウスの7つの眼瞼から得られたものである。凍結切片の代表的な画像は、各群の3匹の異なるマウスの3つの眼瞼から得られたものである。*P<0.05対ビヒクル群。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は、PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)を使用してマイボーム腺再生を促進するための方法に関する。マイボーム腺は、全分泌型の外分泌腺である。マイボーム腺は、瞼板内の眼瞼の縁に位置し、眼の涙液層の蒸発を防ぐ油性物質であるマイバムの供給を担う。マイボーム腺機能不全(MGD)は、ドライアイ症候群(またはドライアイ疾患)の最も一般的な原因である。MGDは、特に縁に沿って、眼瞼炎と呼ばれる眼瞼の炎症を引き起こす場合がある。
【0017】
正常なMGホメオスタシスでは、MG腺房内のマイボーム腺上皮細胞は、腺房周辺の基底細胞層内の幹細胞から連続的に分化する。本明細書では、本発明者らは、PEDFタンパク質が、腺房基底細胞(前駆細胞)の核と腺房基底の細胞質とに主に発現することを初めて見出した。加齢の変化に伴い、PEDFタンパク質の発現は大幅に減少した。
【0018】
ヒト色素上皮由来因子(PEDF)は、418個のアミノ酸を含み、分子量が約50kDaの分泌糖タンパク質である。PEDFは、培養ヒト胎児網膜色素上皮細胞の培養上清から初めて同定され、単離された多機能タンパク質である10~12。PEDFは、肝臓、脂肪組織、眼、心臓、膵臓に広く発現し、成体組織の器官形成および恒常性維持に基本的な役割を果たしている12~14
【0019】
PEDFの異なるモチーフは、異なる生物学的活性を発揮する。例えば、44量体モチーフ(アミノ酸位置Val78~Thr121)は、PEDFの神経栄養活性および細胞分裂活性を決定する12、15。一方、34量体断片(PEDFの残基44~77)は、抗血管新生活性を有することが特定されている。本発明者らは、44量体(Val78~Thr121)がウサギの角膜輪部で幹細胞の増殖および再生を誘導することができることを発見した16~18。さらに、それよりも短いペプチド29量体(残基Ser93~Thr121)が、筋原性幹細胞およびC12筋芽細胞の増殖を誘導することが見出された15。本発明は、MG腺房内のPEDFタンパク質発現が加齢とともに減少するという発見に基づくものであった。
【0020】
本発明の発明者らは、特定のPEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)が、腺房前駆細胞の増殖、ならびに腺房サイズ、および涙液層の安定性をインビボで増加させることができることを予期せず発見した。これらのPDSPは、マイボーム腺再生を促進することができ、ドライアイ疾患の治療または予防に使用することができる。
【0021】
本発明のPDSPは、ヒトPEDF残基93~121(93SLGAEQRTESIIHRALYYDLISSPDIHGT121;配列番号1)に対応するペプチド領域に基づく。本発明者らは、この29量体に基づいて、セリン-93、アラニン-96、グルタミン-98、イソロイシン-103、イソロイシン-104およびアルギニン-106が、これらの残基をアラニンにより(またはアラニン-96をグリシンに)個別に置換した場合に活性が顕著に失われることから証明されるように、活性にとって重要であることを特定した。対照的に、29量体内の他の残基のアラニン(またはグリシン)置換は活性をはっきりと変化させなかったことから、これらの他の残基(すなわち、残基94、95、97、99~102、105および107~121)にアミノ酸置換(特に、相同なアミノ酸置換)を有するPDSP変異体も変形性関節症を予防および/または治療するのに、または軟骨形成を誘導するのに使用することができることが示唆された。
【0022】
これらの結果は、抗侵害受容効果を含むコアペプチドが、残基93~106(93SLGAEQRTESIIHR106;配列番号2)を含む領域にあることを示している。したがって、抗侵害受容活性を有する最も短いPDSPペプチドは、14量体であり得る。当業者であれば、C末端および/またはN末端でのこのコアペプチドに対する追加のアミノ酸の付加が、この活性に影響を与えないことを理解するであろう。すなわち、本発明のPDSPは、ヒトPEDFの残基93~106を含む任意のペプチドであり得る。したがって、本発明のPDSPペプチドは、実験で使用された29量体を含めて、14量体、15量体、16量体などであり得る。
【0023】
さらに、上記のように、これらの短鎖ペプチド内の置換は、重要な残基(セリン-93、アラニン-96、グルタミン-98、イソロイシン-103、イソロイシン-104およびアルギニン-106)が保存されている限り、活性を保持することができる。さらに、マウス変異体(ヒトの配列と比較して、ヒスチジン-98およびバリン-103の2つの置換を有する)も活性である。対応するマウス配列は、mo-29量体(SLGAEHRTESVIHRALYYDLITNPDIHST、配列番号3)およびmo-14量体(SLGAEHRTESVIHR、配列番号4)である。したがって、活性コアの一般的な配列は(93S-X-X-A-X-Q/H-X-X-X-X-I/V-I-X-R106(Xは任意のアミノ酸残基を表す);配列番号5)である。本発明の実施形態とともに使用され得るPDSP配列のいくつかの例を以下の表に示す(位置の番号付けは14量体の位置に基づく)。これらの例は、限定することを意図したものではない。
【表1】
【0024】
本発明のPDSPペプチドは、タンパク質/ペプチド発現系を使用して化学的に合成または発現され得る。これらのPDSPペプチドは、変形性関節症の予防および/または治療のための医薬組成物に使用され得る。医薬組成物は、任意の薬学的に許容される賦形剤を含み得、医薬組成物は、局所投与、経口投与、注射などの投与に適した形態で製剤化され得る。そのような用途のための様々な製剤は、当技術分野で知られており、本発明の実施形態とともに使用することができる。
【0025】
本発明のPEDF誘導体、例えば、長さ29アミノ酸のPDSP 29量体は、腺房前駆細胞の増殖と脂質生成とを刺激し、これは、未処置のマウスと比較して、PDSP処置老齢マウスの方が、p63陽性基底細胞数が多く、Oil Red O(ORO)によって全組織標本および凍結切片標本が良好に染色されたことによって証明された。29量体はまた、老齢マウスの涙液層の安定性を改善した。
【0026】
本発明に記載された結果は、PEDFが、分化したマイボーム腺上皮細胞よりも、腺房の未分化の前駆細胞内で数多く発現することを示している。老齢マウスでは、MG内のPEDFタンパク質の発現が減少し、細胞周期と腺房前駆細胞のp63標識とが大幅に低下した。他の結果は、脈絡膜/RPE複合体および皮膚では、PEDF発現のレベルが加齢とともに減少したことを示している。通常の加齢プロセスでの様々な組織内のPEDFタンパク質の減少が、加齢性疾患にとって重要である可能性がある。
【0027】
本発明者らの試験の結果はまた、PDSP(例えば、29量体)を若齢マウスおよび老齢マウスに直接注射すると、24時間の時点で基底腺房細胞(basal acinar cell)が増殖したことを示している。5日目に、老齢マウスでは29量体注射とDMSO注射との間で細胞増殖の有意差が示されたが、若齢マウスではそうではなかった。若齢マウスでは、内因性のPEDFレベルが老齢マウスよりも高く、29量体を追加すると、定常状態のPEDF濃度と受容体占有率とに達する可能性がある。したがって、若齢マウスでは有意な増加は検出されなかった。
【0028】
マイボーム腺は、全分泌分化を伴う改変された皮脂腺である。脂腺細胞の分化は、細胞内の脂質の合成および蓄積の増強と強く関連している。本発明者らの試験は、PDSPが腺房前駆細胞に対してプロミトティック(promitotic)効果を及ぼすだけでなく、腺房分化を増強することも明らかにした。PEDFを介した脂質生成のシグナル伝達経路には、PPARγシグナル伝達が関与している可能性がある。したがって、PEDFは、PPARγを調節することにより腺房分化を促進する可能性がある。
【0029】
MGDは、眼表面の炎症性サイトカインIL-1αおよび成熟IL-1βと関連することが示されている37。PEDFは、その抗炎症活性で知られている12。PEDFは、ヒト肝細胞内で炎症メディエーターc-Jun N末端キナーゼの活性化を抑制することによってIL-1βを遮断することが示されている40。したがって、PEDFは、眼表面で炎症タンパク質を改善することによって、MGD患者の症状を改善する可能性がある。本明細書に提示した結果は、29量体は涙液分泌に影響を及ぼさないが、TBUTの増加によって証明されるように、脂質の生成を増加させ、涙液層の安定性を増加させることができることを示している。
【0030】
要約すると、本明細書で報告された結果は、PEDFペプチド誘導体が腺房前駆細胞の増殖を促進することができることを示している。腺房前駆細胞の増殖の直接刺激、およびインビボでの脂質生成と涙液層の安定性との改善は、MGDの潜在的な治療法としてのPEDFペプチド誘導体を示唆している。
【0031】
本発明の実施形態は、以下の特定の実施例により説明される。特定の実施例では、29量体(配列番号1)が使用される。ただし、他のPDSP(例えば、14量体、配列番号2または配列番号3など)もまた、同じ結果を達成するために使用することができる。当業者であれば、これらの実施例は例示のみを目的としており、本発明の範囲から逸脱することなく、変更および修正が可能であることを理解するであろう。
【0032】
化学物質および抗体
この試験に使用した抗体は、抗PEDF抗体(sc-25594、Santa Cruz Biotechnology、CA)、BrdU(GTX42641、GeneTex、San Antonio,TX)およびp63(mab4135、Millipore、Billerica,MA)であった。29量体(Ser93~Thr121)および18量体(Glu97~Ser114;対照ペプチド)を合成し、安定性のためにNH2末端のアセチル化とCOOH末端のアミド化とによって修飾し、GenScript(Piscataway,NJ)での質量分析(純度>90%)によって特性評価した。
【0033】
動物および処置
12~15カ月齢のC57BL/6マウスおよび4~8カ月齢のC57BL/6マウスを使用した。これらのマウスを24℃±1℃、相対湿度60%±10%で、病原体のない標準的な環境に置いた。手順はいずれも、動物調査についてMackay Memorial Hospital Review Boardにより承認され、ARVO statement for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchに準拠して実施した。ゾレチル(6mg/kg)とキシラジン(3mg/kg)との混合物の腹腔内注射によりマウスを麻酔した。あらゆる眼科手術の前に、0.5%塩酸プロパラカイン(Alcaine;Alcon、Fort Worth,TX,USA)を1滴投与した。
【0034】
最終濃度100μMになるようにDMSO中で29量体を再構成した。上部および下部結膜円蓋に、90μlのリン酸緩衝食塩水(PBS)と混合した10μlの29量体(100μM)の別個の用量を注射した。90μlのPBSと混合した10μlのDMSOを対照として使用した。老齢マウスの涙液層破壊時間(TBUT)および涙液分泌に対する29量体の効果を評価するために、29量体の結膜下注射を1カ月まで毎週導入し、その後2カ月間追跡した。
【0035】
1カ月の時点で、全組織標本Oil Red O(ORO)染色に上眼瞼を供した。全組織標本内のMG組織のサイズを、コンピュータ支援画像分析器(Adobe Photoshop 7.0)を備えた色範囲選択およびヒストグラムツールを使用して定量し、ピクセル単位で計算した。
【0036】
涙液層破壊時間
長期間の麻酔下でまばたきがないことに起因する脂質分泌の低下を回避するために、マウスを麻酔した直後に涙液破壊時間(TBUT)19、20を行った。1.5μLの0.1%局所フルオレセイン(Fluor-I-Strip;Ayerst Laboratories、Philadelphia,PA,USA)を眼表面に滴下した。強制的に3回まばたきさせた後、ブルーフリーバリアフィルターを備えたスリットランプ下で、ミリ秒単位でTBUTを記録した。各眼から3回の測定値を得た。処置群に対して盲検化された1名の眼科医により、標準的な環境で、その日の同様の時点(午後2~3時)にTBUTを取得した。
【0037】
眼瞼全組織標本
体毛を除去した後、新鮮なマウス眼瞼を採取し、直ちに4%パラホルムアルデヒドを用いて一晩固定し、PBSでリンスした。原液(300mgのORO粉末の100mlの99%イソプロパノール溶液)を混合することによってOil-Red-O(ORO)溶液を調製し、濾過した。眼瞼を60% 2-プロパノール中に15分間入れ、ORO溶液により30分間染色し、次いで60% 2-プロパノールを用いて15~20分間脱染して、最適な脂質染色を達成した。次いで、眼瞼をマウントし、顕微鏡を使用して撮影した。
【0038】
マイボスケール(Meiboscale)
マイボグラフィー画像に対するマイボスケールに従って、若齢マウスおよび老齢マウスのMGを類別した21。要約すると、欠損領域がない場合にグレード0、欠損領域が<25%の場合にグレード1、欠損領域が25%~50%の場合にグレード2、欠損領域が51%~75%の場合にグレード3、欠損領域が75%の場合にグレード4としてMG萎縮を示した。以下の通りにMGのスコアを分析した。グレード0、5;グレード1、4;グレード2、3;グレード3、2;グレード4、1。
【0039】
脂質に対するOil red O
眼瞼組織をOCTに包埋し、厚さ8μmで切断した。凍結切片を60% 2-プロパノールに1分間入れ、濾過したORO溶液を用いて15分間染色し、PBSでリンスし、ヘマトキシリンを用いて対比染色した
【0040】
5-ブロモ-2’-デオキシウリジン取り込みアッセイ
29量体またはDMSOの結膜下注射後、5-ブロモ-2’デオキシウリジン(BrdU)0.1mg/g体重を腹腔内注射した。腺房前駆細胞の増殖を評価するために、24時間の時点で上眼瞼を採取した。細胞の有糸分裂を試験するために、マウスにBrdUを3日間連日腹腔内注射し、5日目に上眼瞼を採取した。BrdUの免疫組織化学的検査を行う前に、1N HCLを用いてスライドを95℃で20分間処理した。
【0041】
涙液量の測定
ZONE-QUICK綿糸(Yokota、Tokyo,Japan)を使用したフェノールレッド綿糸涙液試験により、涙液量を測定した19、20。全身麻酔後、下眼瞼をわずかに引き下げ、外側眼角から1/3の距離の眼瞼結膜上に綿糸の1mm部分を置いた。目を開いた状態で1分間にわたり、各眼を試験した。綿糸の赤い部分をミリメートル単位で測定する。
【0042】
免疫組織化学的検査
免疫組織化学的検査(IHC)を前述のように行い、改変した22。ホルマリン固定パラフィン包埋マウス標本をキシレン中で脱パラフィンし、段階的な一連のエタノール濃度で再水和した。10%ヤギ血清を用いてスライドを60分間ブロックした後、BrdU(1:800希釈)、PEDF(1:50)またはp63(1:200)に対する一次抗体と4℃で一晩インキュベートした。続いて、スライドを適切なペルオキシダーゼ標識ヤギ免疫グロブリン(1:500希釈;Chemicon、Temecula,CA)と20分間インキュベートし、次いで、色素原基質(3,3-ジアミノベンジジン)と2分間インキュベートした後、ヘマトキシリンを用いて対比染色した。Pannoramicデジタルスライドスキャナ(3Dhistech Ltd.Budapest,Hungary)を使用して取得された高品質画像に基づいて、定量を推定した。
【0043】
PEDF染色類別
以下に従ってPEDF発現を類別した:(A)、腺房全体の弱い染色:0;腺房全体の強い染色:1;(B)、基底細胞質では同じ腺房の他の領域よりも強い染色の傾向はない:0;基底腺房細胞質(basal acinar cytoplasm)の染色は弱いが、他の領域よりも強い:1;基底腺房細胞質の染色は中程度であり、他の領域よりも強い:2;基底腺房細胞質の染色は強く、他の領域よりも強い:3;(C)、基底細胞核内に発現せず:0、<50%の基底細胞核がPEDFに対して陽性に染色された:1;>50%の基底細胞核がPEDFに対して陽性に染色された:2。(A)+(B)+(C)スコアを合計し、合計スコアは0から6の範囲であり得る。
【0044】
統計分析
平均±SDとして結果を表した。統計分析には、SPSSバージョン18.0(SPSS Inc.、Chicago,IL,USA)を使用した。統計的比較にはマンホイットニー検定を使用した。P<0.05の値が統計的に有意であると考えられた。
【0045】
老齢マウスのMG萎縮
老齢マウスでは、全組織標本のORO染色でMG腺房サイズの縮小が認められた(図1A)。若齢マウスおよび老齢マウスの上眼瞼のMGのスコアは、それぞれ4±0.82、2.5±0.63(P=0.015)であった。若齢マウスおよび老齢マウスの下眼瞼のMGのスコアは、それぞれ2.5±0.84、1.8±0.84(P=0.006)であった(図1B)。OROにより染色された眼瞼の断面の所見は、全組織標本によって検出された形態学的変化と相関していた(図1C)。老齢マウスでは、OROによって染色された凍結切片内に中心導管周囲の腺房サイズの縮小が認められた。老齢マウスの涙液破壊時間(TBUT)は317.36±119.76であり、若齢マウスの389.04±49.18よりも有意に短かった(P<0.001)(図1D)。これらの結果は、老齢マウスが重大なMG萎縮と涙液層の不安定性とを有することを示している。
【0046】
老齢マウスのMG腺房内のPEDFタンパク質発現の低下
腺房全体におけるPEDFタンパク質の分布を観察するために、上眼瞼の腺房の断面をIHCによって試験した。結果は、PEDFが前駆細胞の核に、または前駆細胞近くの初期分化したマイボーム腺上皮細胞に発現したことを示した(図2A、B、DおよびE)。さらに、PEDF発現の強度は、腺房基底の細胞質では、導管組織近くの近位端よりも強かった(図2D)。腺房基底細胞質(acinar basal cytoplasm)内の方がPEDFタンパク質が高く発現する傾向は、老齢マウスではそれほど顕著ではなかった(図2E)。老齢マウスでは、前駆細胞の核を含む腺房組織内のPEDF発現の強度は、若齢マウスと比較して有意に減少した。図2Fに示すPEDFタンパク質発現の全体的なスコアは、老齢マウスでは若齢マウスと比較して減少した(3.17±0.83対4.72±1.04、P<0.001)。
【0047】
PEDFペプチドは腺房前駆細胞の増殖を促進する
老齢マウスでは、MG腺房の細胞周期の低下が認められた。MG腺房サイズに対するPDSPのプロミトティック効果を評価するために、マウスにBrdUを腹腔内注射し、処置後24時間の時点で安楽死させた。24時間の時点で、BrdU陽性細胞はいずれも腺房前駆細胞であり、腺房の基部に位置していることが分かった。処置しなかった場合、若齢マウスの方が、老齢マウスと比較して、1腺房当たりのBrdU陽性細胞が多かった(図3AおよびB、1.44±0.40対0.73±0.21、P=0.001)。無処置群の増殖率は、若齢マウスまたは老齢マウスにおけるDMSO処置群の増殖率と類似していた(図3A、B、DおよびE)。29量体ペプチドは、DMSOと比較して、若齢マウスの増殖細胞の数を増加させることができた(図3F、2.35±0.73対1.68±0.71、P=0.041)。また、PDSP処置した老齢マウスでは、DMSO群と比較して、BrdU陽性細胞の数が増加した(図3C、1.67±0.58対0.74±0.34細胞/1腺房当たり、P=0.002)。対照ペプチド18量体は、老齢マウスの細胞増殖に対して影響を示さなかった(図3G、1.00±0.39、DMSOと比較してp=0.156)。
【0048】
MGホメオスタシスに対する影響を評価するために、マウスにBrdUを3日間腹腔内注射し、5日目に安楽死させた。BrdUパルス標識アッセイは、24時間から5日目まで細胞増殖が継続的に増加することを示し、PDSP処置した老齢マウスは、DSMO処置した老齢マウスよりも高い増殖を示した(図4A、BおよびE、4.29±1.19対2.24±0.50、P<0.001)。対照的に、5日目では、PDSP処置した若齢マウスとDMSO処置した若齢マウスとの間で細胞増殖に差はなかった(図4CおよびD、6.70±1.35対5.78±1.84、P=0.233)。注目すべきことに、5日目では、一部のマイボーム腺上皮細胞がBrdU染色に陽性であった(図4D)。上記の結果は、腺房前駆細胞の増殖を促進した29量体が、マイボーム腺上皮細胞の分化を完全に遮断することを示した。
【0049】
さらに、本発明者らは、p63をマーカーとして使用して腺房前駆細胞の数を検討する。p63発現細胞の数は、老齢マウスでは若齢マウスと比較して有意に減少した(図5AおよびB、6.51±1.48対10.21±0.98、P<0.001)。29量体は、老齢マウスのp63発現細胞の数を若齢マウスと同等のレベルまで増加させた(図5D、10.98±2.75)。さらに、DMSOは、腺房前駆細胞の増大に対して効果を示さなかった(図5C、7.06±1.9、29量体と比較してP<0.001)。
【0050】
PEDFペプチドはTBUTおよび脂質生成を改善する
脂質(マイバム)形成に対する29量体の効果を評価するために、29量体の結膜下注射を4週間まで毎週導入した。1、2、3、4および8週間の時点で、TBUTおよびフェノールレッド綿糸涙液分泌試験を行った(図6A)。29量体により処置したマウスのTBUTは、1週目から4週目まで対照群よりも有意に長かった。差は8週間まで統計的に有意であった。涙液分泌試験は2つの群間で不変であった(図6B)。これらの結果は、TBUTの増加が脂質層の改善によるものであったことを示唆している。
【0051】
さらに、MGによって分泌される脂質を検討した。OROにより染色された眼瞼全組織標本によって、上眼瞼内のMGによる脂質(マイバム)生成を評価した。29量体処置後に、DMSOと比較して、MG腺房サイズの増加が認められた(図7A、2347530±34986.4対1921689±299347.1ピクセル/眼瞼、P=0.048)。PDSP処置マウスでは、OROにより染色された眼瞼の断面が、分化中のマイボーム腺上皮細胞の細胞質内の比較的全体的なORO染色を示した(図7B)。
【0052】
上記の実施例は、本発明の実施形態を説明するために29量体を使用しているが、活性を有するコアペプチドは、14量体である。上記のように、アラニンスキャンでは14量体内の必須残基が特定され、非必須残基では置換が許容される。PDSPのこれらの他の変異体はまた、本発明の実施形態とともに使用され得る。
【0053】
本発明の実施形態は、限られた数の例を用いて説明されている。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、変更および修正が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、付随する特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0054】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2024059784000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
14~29アミノ酸長を有するPEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)、または前記PDSPの変異体を含む、マイボーム腺再生の促進、またはマイボーム腺機能不全を原因とするドライアイの治療および/または予防に使用するための医薬組成物であって、
前記PDSPまたは前記PDSPの変異体が、S-X-X-A-X-Q/H-X-X-X-X-I/V-I-X-R(配列番号5)の配列を含む
医薬組成物。
【請求項2】
前記PDSPが、SLGAEQRTESIIHR(配列番号2)の配列を含む
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記PDSPが、SLGAEQRTESIIHRALYYDLISSPDIHGT(配列番号1)の配列を含む
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記PDSPの変異体が、配列番号6~75のいずれか1つの配列の配列を含む
請求項1に記載の医薬組成物。