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特開2024-59790改変CD163遺伝子を有する病原体抵抗性動物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059790
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】改変CD163遺伝子を有する病原体抵抗性動物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20240423BHJP
   A01K 67/0275 20240101ALN20240423BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
C12N15/09 100
A01K67/0275 ZNA
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025140
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2021184502の分割
【原出願日】2016-07-22
(31)【優先権主張番号】62/202,145
(32)【優先日】2015-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501305844
【氏名又は名称】ザ・キュレーターズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミズーリ
【氏名又は名称原語表記】THE CURATORS OF THE UNIVERSITY OF MISSOURI
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(72)【発明者】
【氏名】ランドール・エス・プラサー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ディ・ウェルズ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・エム・ウィットワース
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブタ動物、子孫、または細胞においてブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス抵抗性を増加させる方法を提供する。
【解決手段】ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス抵抗性を増加させる方法は、ブタ動物、子孫、または細胞においてCD163タンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つの染色体配列を改変させることを含み、該改変は、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変、ここで、改変はエクソン7におけるインフレーム欠失を含む改変、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8における改変、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロンにおける改変、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、方法である。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む、非ヒト動物またはその子孫または動物細胞。
【請求項2】
前記改変は、CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含まない動物、子孫、または細胞の病原体による感染に対する感受性と比べて、前記動物、子孫、または細胞の、病原体による感染に対する感受性を低減させる、請求項1に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項3】
前記病原体はウイルスを含む、請求項2に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項4】
前記ウイルスはブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)を含む、請求項3に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項5】
前記改変は、前記動物、子孫、または細胞の1型PRRSVウイルス、2型PRRSV、または1型および2型PRRSVウイルスの両方に対する感受性を低減させる、請求項4に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項6】
前記改変は前記動物、子孫または細胞の、NVSL97-7895、KS06-72109、P129、VR2332、CO90、AZ25、MLV-ResPRRS、KS62-06274、KS483(SD23983)、CO84、SD13-15、Lelystad、03-1059、03-1060、SD01-08、4353PZ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるPRRSV分離株に対する感受性を低減させる、請求項5に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項7】
前記動物または子孫は胚、幼若体、または成体であり、または前記細胞は胚細胞、幼若動物由来の細胞、または成体動物由来の細胞を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項8】
前記動物または子孫は、飼育動物を含み、または前記細胞は、飼育動物由来の細胞を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項9】
前記飼育動物は家畜動物を含む、請求項8に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項10】
前記家畜動物はブタ動物、ウシ動物、ヒツジ動物、ヤギ動物、ウマ動物、水牛、ラクダ、またはトリ動物からなる群より選択される、請求項9に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項11】
前記ウシ動物は、肉牛または乳牛を含む、請求項10に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項12】
前記トリ動物は、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、またはひな鳥を含む、請求項10に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項13】
前記ウマ動物は、ウマまたはロバを含む、請求項10に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項14】
前記家畜動物はウシまたはブタ動物である、請求項10に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項15】
前記家畜動物はブタ動物である、請求項14に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項16】
前記動物または子孫は、遺伝学的に編集された動物または子孫を含み、前記細胞は、遺伝学的に編集された細胞を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項17】
前記動物または細胞はホーミングエンドヌクレアーゼを用いて遺伝学的に編集されている、請求項16に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項18】
前記ホーミングエンドヌクレアーゼは設計されたホーミングエンドヌクレアーゼを含む、請求項17に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項19】
前記ホーミングエンドヌクレアーゼは、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Cas9システム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、リコンビナーゼ融合タンパク質、メガヌクレアーゼ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17または18に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項20】
前記動物または細胞はCRISPR/Cas9システムを用いて遺伝学的に編集されている、請求項16~19のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項21】
前記編集動物、子孫、または細胞は非編集動物と比べて、PRRSVに対して増加した抵抗性を呈する、請求項16~20のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項22】
前記動物、子孫、または細胞は、前記改変染色体配列についてヘテロ接合性である、請求項1~21のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項23】
前記動物、子孫、または細胞は、前記改変染色体配列についてホモ接合性である、請求項1~21のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項24】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入、CD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項25】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失を含む、請求項24に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項26】
前記欠失はインフレーム欠失を含む、請求項24または25に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項27】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項28】
前記改変染色体配列は、前記改変染色体配列を欠く動物、子孫、または細胞におけるCD163タンパク質産生または活性と比べて、CD163タンパク質産生または活性の低減を引き起こす、請求項1~27のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項29】
前記改変染色体配列により、前記動物、子孫、または細胞による実質的に機能的でないCD163タンパク質の産生が得られる、請求項1~28のいずれか一項に記載の動物、子孫、または細胞。
【請求項30】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロン、またはそれらの組み合わせにおける改変を含む、請求項15~29のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項31】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変を含む、請求項30に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項32】
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における前記改変は欠失を含む、請求項31に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項33】
前記欠失はエクソン7におけるインフレーム欠失を含む、請求項32に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項34】
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における前記改変は挿入を含む、請求項31~33のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項35】
前記改変染色体配列は、
(a)SEQ ID NO:118;または
(b)下記からなる群より選択される改変:
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,147までの124塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147と3,148の間の1塩基対挿入;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,159までの130塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,161までの132塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;
およびそれらの組み合わせ、
を含む、請求項30~34のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項36】
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入は、ジヌクレオチドAGの挿入を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項37】
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147と3,148の間の前記1塩基対挿入は、単一アデニン残基の挿入を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項38】
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の前記7塩基対挿入は配列TACTACT(SEQ ID NO:115)を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項39】
前記動物、子孫、または細胞は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失を含み、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在し、前記12塩基対挿入は配列TGTGGAGAATTC(SEQ ID NO:116)を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項40】
前記動物、子孫、または細胞は参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの前記1382塩基対欠失を含み、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられ、前記11塩基対挿入は配列AGCCAGCGTGC(SEQ ID NO:117)を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項41】
前記欠失は、
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの前記1506塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの前記1373塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの前記123塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの前記1467塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの前記1387塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの前記1382塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの前記1720塩基対欠失;
およびそれらの組み合わせ、
からなる群より選択される、エクソン7におけるインフレーム欠失を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項42】
前記挿入または欠失は、
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの前記28塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの前記452塩基対欠失;
およびそれらの組み合わせ
からなる群より選択される、請求項35または36に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項43】
前記動物、子孫、または細胞は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失を含む、請求項42に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項44】
前記動物、子孫、または細胞は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの前記28塩基対欠失を含む、請求項42に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項45】
前記動物、子孫、または細胞は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの前記452塩基対欠失を含む、請求項42に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項46】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の前記7塩基対挿入;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項35または38に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項47】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の前記7塩基対挿入;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの前記1382塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる、欠失
を含む、請求項35、38、40、および41のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項48】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項49】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項35、36、42、および43のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項50】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの前記1280塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項35に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項51】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの前記1280塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項35、36、42、および43のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項52】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項35、36、39、41、42、および43のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項53】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失
を含む、請求項35、39、および41のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項54】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項35、39、および41のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項55】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの前記1467塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項35、36、および41~43のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項56】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの前記1467塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項35または41に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項57】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも80%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項35~56のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項58】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも85%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項57に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項59】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも90%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項57に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項60】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも95%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項57に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項61】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも98%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項57に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項62】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも99%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項57に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項63】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも99.9%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項57に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項64】
前記動物、子孫、または細胞は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して100%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項57に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項65】
前記動物、子孫、または細胞はSEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含む染色体配列を含む、請求項35~64のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項66】
SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含む染色体配列を含む、請求項65に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項67】
SEQ ID NO:103、111、または119を含む染色体配列を含む、請求項65に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項68】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、前記11塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、前記2塩基対挿入かつ前記377塩基対欠失
を含む、請求項35、36、42、43、57~65、および67のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項69】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記124塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記123塩基対欠失
を含む、請求項35、41、および57~66のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項70】
前記動物、子孫、または細胞は前記1塩基対挿入を含む、請求項35、37、および57~65のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項71】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記130塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記132塩基対欠失
を含む、請求項35および57~65のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項72】
前記動物、子孫、または細胞は前記1506塩基対欠失を含む、請求項35、41、および57~66のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項73】
前記動物、子孫、または細胞は、前記7塩基対挿入を含む、請求項35、38、および57~65のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項74】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記1280塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記1373塩基対欠失
を含む、請求項35、41、および57~66のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項75】
前記動物、子孫、または細胞は、前記1467塩基対欠失を含む、請求項35、41、および57~66のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項76】
前記動物、子孫、または細胞は、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対イントロン6欠失、かつ、エクソン7におけるヌクレオチド4,488での12塩基対挿入および追加の129塩基対欠失を含む、請求項35、39、41、および57~66のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項77】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記28塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記1387塩基対欠失
を含む、請求項35、41、42、44、および57~66のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項78】
前記動物、子孫、または細胞は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、前記1382塩基対欠失かつ前記11塩基対挿入;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、前記1720塩基対欠失
を含む、請求項35、40、41、および57~66のいずれか一項に記載のブタ動物、子孫、または細胞。
【請求項79】
請求項1~78のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項80】
請求項1~78のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項81】
請求項1~78のいずれか一項に記載の子孫。
【請求項82】
前記細胞は精細胞である、請求項1~79のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項83】
前記細胞は卵細胞である、請求項1~79のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項84】
前記卵細胞は受精卵である、請求項83に記載の細胞。
【請求項85】
前記細胞は体細胞である、請求項1~79のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項86】
前記体細胞は線維芽細胞を含む、請求項85に記載の細胞。
【請求項87】
前記線維芽細胞は胎仔線維芽細胞を含む、請求項86に記載の細胞。
【請求項88】
CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を卵母細胞および精細胞の少なくとも1つに導入するように、卵母細胞または精細胞を遺伝子改変させ、前記卵母細胞を前記精細胞と受精させ、CD163タンパク質をコードする遺伝子における前記改変染色体配列を含む受精卵を作製すること;または
CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を前記受精卵に導入するように、受精卵を遺伝子改変させること;
前記受精卵を代理雌動物に移植することであって、妊娠および正期産により子孫動物が産生されること;
前記子孫動物を病原体に対する感受性についてスクリーニングすること;および
CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含まない動物と比べて、前記病原体に対する感受性が低減した子孫動物を選択すること
を含む、病原体による感染に対する感受性が低減した動物または系統を作製するための繁殖方法。
【請求項89】
前記病原体はウイルスを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記ウイルスはPRRSVを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記改変は1型PRRSVウイルス、2型PRRSV、または1型および2型PRRSVウイルスの両方に対する感受性を低減させる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記改変はNVSL97-7895、KS06-72109、P129、VR2332、CO90、AZ25、MLV-ResPRRS、KS62-06274、KS483(SD23983)、CO84、SD13-15、Lelystad、03-1059、03-1060、SD01-08、4353PZ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるPRRSV分離株に対する感受性を低減させる、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記動物は胚、幼若体、または成体である、請求項88~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記動物は、飼育動物を含む、請求項88~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記飼育動物は、家畜動物を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記家畜動物はブタ動物、ウシ動物、ヒツジ動物、ヤギ動物、ウマ動物、水牛、ラクダ、またはトリ動物からなる群より選択される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記ウシ動物は、肉牛または乳牛を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記トリ動物は、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、またはひな鳥を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記ウマ動物は、ウマまたはロバを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
前記家畜動物はウシまたはブタ動物である、請求項96に記載の方法。
【請求項101】
前記家畜動物はブタ動物である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記卵母細胞、精細胞、または受精卵を遺伝子改変させる工程は、前記卵母細胞、精細胞、または受精卵の遺伝的編集を含む、請求項88~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記遺伝的編集はホーミングエンドヌクレアーゼの使用を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記ホーミングエンドヌクレアーゼは設計されたホーミングエンドヌクレアーゼを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記ホーミングエンドヌクレアーゼは、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Cas9システム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、リコンビナーゼ融合タンパク質、メガヌクレアーゼ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項103または104に記載の方法。
【請求項106】
前記遺伝的編集はCRISPR/Cas9システムの使用を含む、請求項102~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記卵母細胞、精細胞、または受精卵は前記改変染色体配列についてヘテロ接合性である、請求項88~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記卵母細胞、精細胞、または受精卵は前記改変染色体配列についてホモ接合性である、請求項88~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失、またはそれらの組み合わせを含む、請求項88~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記欠失はインフレーム欠失を含む、請求項109または110に記載の方法。
【請求項112】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入を含む、請求項109~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記改変染色体配列は、前記改変染色体配列を欠く動物におけるCD163タンパク質産生または活性と比べて、CD163タンパク質産生または活性の低減を引き起こす、請求項88~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記改変染色体配列により、前記動物による実質的に機能的でないCD163タンパク質の産生という結果になる、請求項88~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロン、またはそれらの組み合わせにおける改変を含む、請求項101~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における前記改変は欠失を含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記欠失はエクソン7におけるインフレーム欠失を含む、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における前記改変は挿入を含む、請求項116~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記改変染色体配列は、
(a)SEQ ID NO:118;または
(b)下記からなる群より選択される改変:
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べてヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,147までの124塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147と3,148の間の1塩基対挿入;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,159までの130塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,161までの132塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;
およびそれらの組み合わせ
を含む、請求項115~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入は、ジヌクレオチドAGの挿入を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147と3,148の間の前記1塩基対挿入は、単一アデニン残基の挿入を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の前記7塩基対挿入は、配列TACTACT(SEQ ID NO:115)を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項124】
前記改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失を含み、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在し、前記12塩基対挿入は配列TGTGGAGAATTC(SEQ ID NO:116)を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項125】
前記改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの前記1382塩基対欠失を含み、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられ、前記11塩基対挿入は配列AGCCAGCGTGC(SEQ ID NO:117)を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項126】
前記欠失は、
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの前記1506塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの前記1373塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの前記123塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの前記1467塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの前記1387塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの前記1382塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる、欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの前記1720塩基対欠失;
およびそれらの組み合わせ
からなる群より選択される、エクソン7におけるインフレーム欠失を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項127】
前記挿入または欠失は、
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの前記28塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの前記452塩基対欠失;
およびそれらの組み合わせ
からなる群より選択される、請求項120または121に記載の方法。
【請求項128】
前記改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの前記28塩基対欠失を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
前記改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの前記452塩基対欠失を含む、請求項127に記載の方法。
【請求項131】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の前記7塩基対挿入;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項120または123に記載の方法。
【請求項132】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の前記7塩基対挿入;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの前記1382塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる、欠失
を含む、請求項120、123、125、および126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項134】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項120、121、127、および128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの前記1280塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項120に記載の方法。
【請求項136】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの前記1280塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項120、121、127、および128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項120、121、124、および126~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失
を含む、請求項120、124、および126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対欠失であって、前記欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する、欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項120、124、および126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの前記1467塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の前記2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの前記377塩基対欠失
を含む、請求項120、121、および126~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの前記1467塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの前記11塩基対欠失
を含む、請求項120または126に記載の方法。
【請求項142】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも80%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項120~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも85%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも90%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも95%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項146】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも98%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項147】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも99%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項148】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して少なくとも99.9%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項149】
前記改変染色体配列は、前記挿入または欠失の外側の前記染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対して100%配列同一性を有する染色体配列を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項150】
前記改変染色体配列は、SEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含む染色体配列を含む、請求項120~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記改変染色体配列は、SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含む染色体配列を含む、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記改変染色体配列は、SEQ ID NO:103、111、または119を含む染色体配列を含む、請求項150に記載の方法。
【請求項153】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記11塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記2塩基対挿入かつ前記377塩基対欠失
を含む、請求項120、121、127、128、142~150、および152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記124塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記123塩基対欠失
を含む、請求項120、126、および142~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記改変染色体配列は、前記1塩基対挿入を含む、請求項120、122、および142~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記130塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記132塩基対欠失
を含む、請求項120および142~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記改変染色体配列は、前記1506塩基対欠失を含む、請求項120、126、および142~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記改変染色体配列は、前記7塩基対挿入を含む、請求項120、123、および142~150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記1280塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記1373塩基対欠失
を含む、請求項120、126、および142~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記改変染色体配列は、前記1467塩基対欠失を含む、請求項120、126、および142~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記改変染色体配列は、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの前記1930塩基対イントロン6欠失、かつ、エクソン7におけるヌクレオチド4,488での12塩基対挿入および追加の129塩基対欠失を含む、請求項120、124、126、および142~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記改変染色体配列は、
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記28塩基対欠失;および
前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記1387塩基対欠失
を含む、請求項120、126、127、129、および142~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記改変染色体配列は、前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて前記1382塩基対欠失、かつ前記11塩基対挿入、および前記CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて前記1720塩基対欠失を含む、請求項120、125、126、および142~151のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記選択された動物はファウンダー動物として使用される、請求項88~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記受精は人工授精を含む、請求項88~164のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
請求項88~165のいずれか一項に記載の方法により作製された動物の集団。
【請求項167】
前記動物の集団は病原体による感染に抵抗性である、請求項166に記載の集団。
【請求項168】
前記病原体はウイルスを含む、請求項167に記載の集団。
【請求項169】
前記ウイルスはPRRSVを含む、請求項168に記載の集団。
【請求項170】
前記ウイルスは1型PRRSVウイルス、2型PRRSV、または1型および2型PRRSVウイルスの両方を含む、請求項169に記載の集団。
【請求項171】
前記ウイルスはNVSL97-7895、KS06-72109、P129、VR2332、CO90、AZ25、MLV-ResPRRS、KS62-06274、KS483(SD23983)、CO84、SD13-15、Lelystad、03-1059、03-1060、SD01-08、4353PZ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるPRRSV分離株を含む、請求項170に記載の集団。
【請求項172】
CD163タンパク質をコードする遺伝子由来の少なくとも1つの染色体配列を遺伝学的に編集し、よって、CD163タンパク質をコードする遺伝子において編集染色体配列を含まない家畜動物におけるCD63タンパク質産生または活性と比べて、CD163タンパク質産生または活性が低減されるようにすることを含む、家畜動物の病原体の感染に対する抵抗性を増加させる方法。
【請求項173】
前記家畜動物は実質的に機能的でないCD163タンパク質を産生する、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記方法は、CD163タンパク質をコードする少なくとも1つの染色体配列を遺伝学的に編集し、インフレーム欠失を導入することを含む、請求項172に記載の方法。
【請求項175】
(a)SEQ ID NO:47を含むヌクレオチド配列;
(b)SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するヌクレオチド配列であって、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、配列;および
(c)(a)または(b)のcDNA配列
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項176】
前記核酸分子は単離核酸分子である、請求項175に記載の核酸分子。
【請求項177】
前記核酸は、SEQ ID NO:47を含むヌクレオチド配列を含む、請求項175または176に記載の核酸。
【請求項178】
前記核酸は、SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項175または176に記載の核酸。
【請求項179】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも85%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項178に記載の核酸。
【請求項180】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも87.5%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項178に記載の核酸。
【請求項181】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも90%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項178に記載の核酸。
【請求項182】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも95%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項178に記載の核酸。
【請求項183】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも98%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項178に記載の核酸。
【請求項184】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも99%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項178に記載の核酸。
【請求項185】
SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも99.9%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む、請求項178に記載の核酸。
【請求項186】
前記置換、挿入、または欠失は、前記置換、挿入、または欠失を含まない核酸と比べて、CD163タンパク質産生または活性を低減させ、または排除する、請求項175、176、および178~185のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項187】
前記核酸はSEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含む、請求項175、176、178、または186に記載の核酸。
【請求項188】
前記核酸はSEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含む、請求項187に記載の核酸。
【請求項189】
前記核酸はSEQ ID NO:103、111、119を含む、請求項187に記載の核酸。
【請求項190】
前記核酸はcDNAを含む、請求項175または176に記載の単離核酸。
【請求項191】
SEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、119を含む核酸。
【請求項192】
前記核酸は単離核酸である、請求項191に記載の核酸。
【請求項193】
SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含む、請求項191または192に記載の単離核酸。
【請求項194】
前記核酸はSEQ ID NO:103、111、または119を含む、請求項191または192に記載の単離核酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む非ヒト動物およびその子孫に関する。発明はさらに、そのような改変染色体配列を含む動物細胞に関する。動物および細胞は、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)を含む病原体に対して増加した抵抗性を有する。動物および子孫はCD163遺伝子の染色体改変を有し、そのため、PRRSV侵入および複製が阻害され、得られた動物は、ウイルスにより引き起こされる疾患および症候群に対する抵抗性を呈する。発明はさらに、病原体抵抗性動物を作製する繁殖方法およびそのような方法を用いて作製した動物の集団に関する。発明はまた、胚の直接注入を含むCD163の遺伝子編集のための方法およびPRRSVなどの病原体に対して抵抗性である動物、ファウンダー動物および系統の開発に関する。
【背景技術】
【0002】
ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)は哺乳類アルテリウイルスの群(それらはまた、マウス乳酸脱水素酵素ウイルス、サル出血熱ウイルスおよびウマ動脈炎ウイルスを含む)に属する。アルテリウイルスはウイルス病原性と関連する重要な特性を共有し、それにはマクロファージ指向性および重篤な疾患および持続性感染を引き起こす能力が挙げられる。ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)の感染により引き起こされる臨床疾患症候群は米国において1987年に始めて報告され(Keffaber, 1989)、後に欧州において1990年に報告された(Wensvoort et al., 1991)。PRRSVの感染により、呼吸器疾患、例えば咳および発熱、妊娠後期中の生殖障害、および成長能力の低減という結果となる。ウイルスはまた、一生無症候性感染を維持しながら、様々な多微生物性疾患症候群相互作用に関与する(Rowland et al., 2012)。
【0003】
その出現以降、PRRSは、北米、欧州およびアジアにおいて商業ブタの最も重要な疾患となっており、オーストラリア大陸および南極大陸のみが疾患を有さない。北米だけで、PRRSVに伴う損失は、生産者に毎年$664Mの負担をかけると推定される(Holtkamp et al., 2013)。2006年には、高病原性PRRS(HP-PRRS)として知られている疾患のより重篤な形態は、中国全土でブタ集団を殺した。遺伝的多様性が、疾患を効果的に制御し、排除するのに必要とされるワクチンの開発を制限した。自然抵抗性に対する遺伝子選択が選択肢となり得るが、結果は今日まで制限されている(Boddicker et al., 2014)。
【0004】
北米ウイルスと欧州ウイルスの間の分子比較により、全てのPRRSV分離株は2つの遺伝子型、2型または1型の1つに分類される。2つの遺伝子型はヌクレオチドレベルで約70%同一性しか有さないが(Nelsen et al., 1999)、どちらもCD163陽性細胞指向性を共有し、長期感染を確立し、同様の臨床徴候を生じさせる。
【0005】
CD163は9つのスカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)ドメインからなる130kDa1型膜タンパク質である(Fabriek et al., 2005)。ブタCD163は、ペプチドシグナル配列をコードする17のエクソン、続いて、9つのSRCRドメイン、2つのリンカードメイン(プロリンセリンスレオニン(PST)ドメインとも呼ばれ、SRCR6およびSRCR9後に位置する)、および細胞質ドメイン、続いて短い細胞質側末端を含む。CD163の表面発現は、単球-マクロファージ系統の細胞に制限される。タンパク質は最初に、そのヘモグロビン-ハプトグロビン(HbHp)複合体に結合する能力のためにヒト組織において同定された(Kristiansen et al., 2001)。HbHp捕捉がCD163の主機能であり、SRCR3に位置する(Madsen et al., 2004)。HbHp分解後にマクロファージにより放出される代謝産物は、ビリルビン、CO、および遊離鉄を含む。CD163の1つの重要な機能は、遊離ヘモグロビンに起因する酸化的毒性の防止である(Kristiansen et al., 2001; Soares et al., 2009)。
【0006】
CD163は、PRRSVに対する受容体として、Calvert et. al. (2007)により始めて説明された。非許容細胞株をサル、ヒト、イヌ、およびマウスを含む様々な種由来のCD163 cDNAでトランスフェクションすると、細胞がPRRSV感染に対して許容的になり得る(Calvert et al., 2007)。CD163に加えて、第2の受容体タンパク質であるCD169(シアロアドヘシンまたはSIGLEC1としても知られている)が、ビリオンの表面上の主タンパク質であるGP5-マトリクス(M)ヘテロ二量体との初期相互作用の形成に関与する主PRRSV受容体であると同定された(Delputte et al., 2002)。このモデルでは、エンドソームコンパートメント内でのCD163とGP2、3、4ヘテロ三量体の間のその後の相互作用が脱コートおよびウイルスゲノムの細胞質中への放出を媒介する(Van Breedam et al., 2010, Allende et al., 1999)。肺胞マクロファージのPRRSV感染を説明する前のモデルは、SIGLEC1(CD169)をマクロファージの表面上の主ウイルス受容体として同定した;しかしながら、SIGLEC1-/-ブタを使用する前の研究は、野生型ブタと比べてウイルス複製において差がないことを示した(Prather et a., 2013)。これらの結果は、表面CD169およびCD163を欠くPRRSV抵抗性細胞株は、CD163プラスミドのトランスフェクション後にウイルス複製をサポートしたことを示す以前のインビトロ研究を支持した(Welch et al., 2010)。
【0007】
PRRSV病原性(とりわけ、分子レベルでの)および動物流行病学の両方の多くの特性の理解は不十分であり、よって、制御努力は困難なものとなっている。現在のところ、生産者はしばしば、ブタに改変-生弱毒株または不活化ウイルスワクチンを用いてPRRSVのワクチン接種をし、しかしながら、現在のワクチンはしばしば、満足のいく保護を提供しない。これは、株変動および免疫系の不十分な刺激の両方によるものである。入手可能なPRRSVワクチンの効力についての懸念に加えて、現在のところ使用される改変-生ワクチンは個々のブタおよびブタの群れにおいて存続することができ、ブタの実験感染後の病原性フィールド分離株で証明されるように(Rowland et al., Virology, 259:262-266 (1999))、突然変異が累積され得る強力な証拠が存在する(Mengeling et al., Am. J. Vet. Res, 60(3): 334-340 (1999))。さらに、ワクチンウイルスはワクチン接種された雄豚の精液中に排出されることが示されている(Christopher-Hennings et al., Am. J. Vet. Res, 58(1): 40-45 (1997))。ワクチン接種の代わりとして、専門家の中には、繁殖群における「試験および除去」戦略を提唱するものもいる(Dee and Molitor, Vet. Rec., 143:474-476 (1998))。この戦略の使用の成功は、急性的にまたは持続的にPRRSVに感染した全てのブタの除去、続いて、ウイルスの再導入を防止するための厳密な制御に依存する。この戦略に関連する困難、および費用の多くは、持続性PRRSV感染の病態形成についてわかっていることがほとんどなく、よって、持続感染ブタを同定するための信頼できる技術がないことである。
【0008】
以上のように、動物に対してPRRSV抵抗性を誘導する戦略の開発に対する要求が当技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0009】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む非ヒト動物、その子孫、および動物細胞が提供される。
【0010】
病原体による感染に対する感受性が低減した動物または系統を作製するための繁殖方法もまた、提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を卵母細胞および精細胞の少なくとも1つに導入するように、卵母細胞または精細胞を遺伝子改変させること、ならびに卵母細胞を精細胞と受精させ、CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含む受精卵を作製することを含む。あるいは、方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を受精卵に導入するように、受精卵を遺伝子改変させることを含む。方法は、受精卵を代理雌動物に移植すること(ここで、妊娠および正期産により子孫動物が産生される)、病原体に対する感受性について子孫動物をスクリーニングすること、ならびにCD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含まない動物と比べて、病原体に対する感受性が低減した子孫動物を選択することをさらに含む。
【0011】
前記繁殖方法により作製された動物の集団もまた、提供される。
【0012】
家畜動物の病原体の感染に対する抵抗性を増加させる方法がさらに提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子由来の少なくとも1つの染色体配列を遺伝学的に編集することを含み、よって、CD163タンパク質をコードする遺伝子において編集染色体配列を含まない家畜動物におけるCD63タンパク質産生または活性と比べて、CD163タンパク質産生または活性が低減される。
【0013】
本明細書で提供される、CD163タンパク質をコードする遺伝子における染色体配列の改変は、動物、子孫、細胞、または集団(例えば、ブタ動物、子孫、細胞または集団)の病原体(例えば、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)などのウイルス)に対する感受性を低減させる。
【0014】
本明細書で提供される動物、子孫、細胞、集団、および方法のいずれにおいても、改変染色体配列により、動物、子孫、細胞、または集団による実質的に機能的でないCD163タンパク質の産生が得られ得る。
【0015】
本明細書で提供される動物、子孫、細胞、集団、および方法のいずれにおいても、改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子におけるインフレーム欠失を含むことができる。
【0016】
本明細書で提供されるブタ動物、子孫、細胞、集団、および方法のいずれにおいても、改変染色体配列はSEQ ID NO:118を含むことができる。あるいは、CD163タンパク質をコードする遺伝子における染色体配列の改変は下記を含むことができる:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べてヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,147までの124塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147とヌクレオチド3,148の間の1塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,159までの130塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,161までの132塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;またはそれらの任意の組み合わせ。
【0017】
核酸もまた、提供される。核酸分子は、下記からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む:(a)SEQ ID NO:47を含むヌクレオチド配列;(b)SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するヌクレオチド配列、ここで、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む;および(c)(a)または(b)のcDNA配列。
【0018】
例えば、核酸分子は、下記を含むことができる:(a)SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも87.5%配列同一性を有するヌクレオチド配列、ここで、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む;または、(b)(a)のcDNA配列。
【0019】
さらなる核酸もまた、提供される。核酸はSEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含むことができる。
【0020】
核酸分子のいずれも単離核酸分子とすることができる。
【0021】
他の目的および特徴は、以下で、一部明らかになり、一部指摘されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】CD163を改変するために使用されるターゲティングベクターおよびCRISPRを示す。パネルAは、CRISPRを用いる改変のために標的とされたCD163遺伝子の野生型エクソン7、8および9を示す。パネルBは、ブタエクソン7(CD163のブタドメインSRCR5)を、CD163LのヒトSRCR8をコードするDNAで置き換えるように設計されたターゲティングベクターを示す。このターゲティングベクターをG418による薬物選択と共にトランスフェクションにおいて使用した。ロングレンジ左腕および右腕アッセイのためのPCRプライマーは、1230、3752、8791、7765および7775のための矢印で標識される。パネルCは、パネルBで示されるものと同一であるが、Neoカセットが除去されたターゲティングベクターを示す。このターゲティングベクターは、すでにネオマイシン耐性である細胞内のCD163を標的にするために使用された。小欠失アッセイにおいて使用されるプライマーは矢印で示され、GCD163FおよびGCD163Rで標識される。パネルDは、CRISPRにより標的にされるエクソンを強調する。CRISPR10、131、256および282の位置は、エクソン7上の下向き矢印により表される。CRISPR番号はイントロン6およびエクソン7のイントロン-エクソンジャンクションからの塩基対の番号を表す。
図2】CD1Dを改変するために使用されるターゲティングベクターおよびCRISPRを示す。パネルAは、CRISPRによる改変のために標的とされたCD1D遺伝子の野生型エクソン3、4、5、6および7を示す。パネルBは、エクソン3を選択可能なマーカーNeoと置き換えるように設計されたターゲティングベクターを示す。このターゲティングベクターをCRISPRと組み合わせて使用して、CD1Dを改変した。ロングレンジ左腕および右腕アッセイのためのPCRプライマーは、3991、4363、7373および12806のための矢印で標識される。パネルCは、CRISPRにより標的にされるエクソンを示す。CRISPR4800、5350、5620および5626の位置は、エクソン3の下向き矢印により表される。小欠失アッセイにおいて使用されるプライマーは矢印で示され、GCD1DFおよびGCD1DRで標識される。
図3】CRISPR/Cas9およびSCNTによるCD163およびCD1Dノックアウトブタの作製を示す。A)CRISPR/Cas9およびドナーDNAのトランスフェクション後の体細胞におけるCD163の標的欠失。野生型(WT)遺伝子型では6545塩基対(bp)バンドが得られる。レーン1-6はCRISPR10とCas9およびNeoを含むドナーDNAによる単一トランスフェクションからの6つの異なるコロニーを表す。レーン1、4、および5は1500-2000bpの大きなホモ接合型欠失を示す。レーン2はより小さなホモ接合型欠失を表す。レーン3および6はWTアレルおよび小欠失または両方のアレルの両アレル改変のいずれかを表す。各コロニーの正確な改変は、SCNTのために使用されたコロニーについての配列決定によってのみ決定された。レーンのいくつかにおけるかすかなWTバンドは、隣接WTコロニーからの胎仔線維芽細胞の相互汚染を表し得る。NTC=ノーテンプレートコントロール。B)CRISPR/Cas9およびドナーDNAのトランスフェクション後の体細胞におけるCD1Dの標的欠失。WT遺伝子型では8729bpバンドが得られる。レーン1-4は、CD1Dの500-2000bp欠失を有するコロニーを表す。レーン4はWTコロニーであるように見える。NTC=ノーテンプレートコントロール。C)研究中にSCNTにより生成されたCD163ノックアウトブタの画像。この雄子ブタはCD163のホモ接合性1506bp欠失を含む。D)研究中に生成されたCD1Dブタの画像。これらの子ブタはCD1Dの1653bp欠失を含む。E)CD163の1506bp欠失を含む2つのSCNT同腹仔の遺伝子型。レーン1-3(同腹仔63)およびレーン1-4(同腹仔64)は、各同腹仔由来の各子ブタについての遺伝子型を表す。雌ブタはSCNT胚のレシピエント雌を示し、WTはWT対照を表す。NTC=ノーテンプレートコントロール。F)CD1Dの1653bp欠失を含む2つのSCNT同腹仔の遺伝子型。レーン1-7(同腹仔158)およびレーン1-4(同腹仔159)は各子ブタについての遺伝子型を表す。
図4】ブタ胚におけるCRISPR/Cas9システムの効果を示す。A)異なる濃度のCRISPR/Cas9システムの接合体への注入後の胚盤胞形成の頻度。CRISPR/Cas9システムの毒性は10ng/μlで最も低かった。B)CRISPR/Cas9システムは、接合体に導入されると、胚盤胞でのeGFPの発現をうまく妨害することができる。元の倍率X4。C)CRISPR/Cas9システムを用いて作製したeGFP上の突然変異の型:WT遺伝子型(SEQ ID NO:16)、#1(SEQ ID NO:17)、#2(SEQ ID NO:18)、および#3(SEQ ID NO:19)。
図5】ブタ胚においてCD163を標的にする際のCRISPR/Cas9システムの効果を示す。A)CRISPR/Cas9システムによりCD163上で作製された突然変異の例:WT遺伝子型(SEQ ID NO:20)、#1-1(SEQ ID NO:21)、#1-4(SEQ ID NO:22)、および#2-2(SEQ ID NO:23)。DNA配列決定により検査された胚は全て、CD163上で突然変異を示した(18/18)。CRISPR131は太字で強調される。B)CRISPR/Cas9システムにより引き起こされるホモ接合型欠失の配列読み取りデータ。画像はCD163の2bp欠失を運搬するパネルAからの#1-4を表す。
図6】2つの型のCRISPRを導入した時のCRISPR/Cas9システムの効果を示す。A)CRISPR/Cas9を接合体として注入した胚盤胞におけるCD163のPCR増幅。レーン1、3、6、および12は2つの異なるCRISPR間の設計された欠失を示す。B)CRISPR/Cas9を接合体として注入した胚盤胞におけるCD1DのPCR増幅。CD1Dはゲル電気泳動により決定すると、CD163と比較して(3/23)、より低い欠失頻度を有した;レーン1、8、および15はCD1Dにおいて明らかな欠失を示す。C)CRISPR/Cas9システムは、システムにCD163およびeGFPを標的にする2つのCRISPRが提供された場合、うまく2遺伝子を標的にした。CD163およびeGFPの改変が示される:CD163WT(SEQ ID NO:24)、CD163#1(SEQ ID NO:25)、CD163#2(SEQ ID NO:26)、CD163#3(SEQ ID NO:27)、eGFPWT(SEQ ID NO:28)、eGFP#1-1(SEQ ID NO:29)、eGFP#1-2(SEQ ID NO:30)、eGFP#2(SEQ ID NO:31)、およびeGFP#3(SEQ ID NO:32)。
図7】接合体に注入されたCRISPR/Cas9システムにより作製されたCD163ノックアウトブタを示す。A)ノックアウトブタからのCD163のPCR増幅;同腹仔67-2および67-4において欠失の明らかな兆しが検出された。B)代理母と一緒のCD163ノックアウトブタの画像。動物は全て健康であり、異常の徴候を示さない。C)CD163ノックアウトブタの遺伝子型。野生型(WT)配列はSEQ ID NO:33として示される。2匹の動物(同腹仔67-1(SEQ ID NO:34)および67-3(SEQ ID NO:37)から)はCD163においてホモ接合型欠失または挿入を保有している。他の2匹の動物(同腹仔67-2および67-4から)はCD163の両アレル改変を保有している:#67-2A1(SEQ ID NO:35)、#67-2A2(SEQ ID NO:36)、#67-4A1(SEQ ID NO:38)、および#67-4a2(SEQ ID NO:39)。欠失は2つの異なるCRISPR-Cas9システムを導入することにより引き起こされた。CD163のための接合体注入由来の動物はモザイク遺伝子型を示さなかった。
図8】接合体に注入されたCRISPR/Cas9システムにより作製されたCD1Dノックアウトブタを示す。A)ノックアウトブタ由来のCD1DのPCR増幅;166-1はCD1Dについてのモザイク遺伝子型を示す。166-2、166-3、および166-4はアンプリコンについてサイズの変化を示さないが、アンプリコンの配列決定は改変を明らかにした。WT FF=野生型胎仔線維芽細胞。B)ロングレンジアッセイのPCR増幅は子ブタ166-1および166-2における1つのアレルの明確な欠失を示した。C)代理母と一緒のCD1Dノックアウトブタの画像。D)CD1Dノックアウトブタの配列データ;WT(SEQ ID NO:40)、#166-1.1(SEQ ID NO:41)、#166-1.2(SEQ ID NO:42)、#166-2(SEQ ID NO:43)、#166-3.1(SEQ ID NO:44)、#166-3.2(SEQIDNO:45)、および#166-4(SEQ ID NO:46)。エクソン3中のatg開始コドンが太字で、かつ小文字で示される。
図9】急性PRRSV感染中の臨床徴候を示す。CD163+/+(n=6)およびCD163-/-(n=3)に対する呼吸徴候および発熱の存在についての毎日の評価に関する結果。
図10】急性PRRSV感染中の肺病理組織診断を示す。野生型およびノックアウトブタ由来の、HおよびE染色組織の代表的な顕微鏡写真。左パネルは単核細胞の浮腫および浸潤を示す。ノックアウトブタ由来の右パネルは、正常肺の肺構造を示す。
図11】様々な遺伝子型のウイルス血症を示す。CD163-/-子ブタデータはX軸に沿って存在することに注意されたい。
図12】ヌル、野生型および特徴づけられていないアレルブタにおける抗体産生を示す。
図13-1】個々のブタにおけるCD163の細胞表面発現を示す。特徴づけられていないA、特徴づけられていないB、およびCD163+/+パネルにおいて右に向かって現れるラインはCD163抗体を表し、一方、これらのパネルの左手側に向かって現れるラインは無抗体対照(バックグラウンド)である。CD163-/-動物では、CD163染色はバックグラウンド対照と重なり、特徴づけられていないアレルにおけるCD163染色はWTレベルとバックグラウンドの間の大体中間であることに注意されたい(これは対数スケールであり、よって約10%未満であることにも注意されたい)。
図13-2】個々のブタにおけるCD163の細胞表面発現を示す。特徴づけられていないA、特徴づけられていないB、およびCD163+/+パネルにおいて右に向かって現れるラインはCD163抗体を表し、一方、これらのパネルの左手側に向かって現れるラインは無抗体対照(バックグラウンド)である。CD163-/-動物では、CD163染色はバックグラウンド対照と重なり、特徴づけられていないアレルにおけるCD163染色はWTレベルとバックグラウンドの間の大体中間であることに注意されたい(これは対数スケールであり、よって約10%未満であることにも注意されたい)。
図13-3】個々のブタにおけるCD163の細胞表面発現を示す。特徴づけられていないA、特徴づけられていないB、およびCD163+/+パネルにおいて右に向かって現れるラインはCD163抗体を表し、一方、これらのパネルの左手側に向かって現れるラインは無抗体対照(バックグラウンド)である。CD163-/-動物では、CD163染色はバックグラウンド対照と重なり、特徴づけられていないアレルにおけるCD163染色はWTレベルとバックグラウンドの間の大体中間であることに注意されたい(これは対数スケールであり、よって約10%未満であることにも注意されたい)。
図13-4】個々のブタにおけるCD163の細胞表面発現を示す。特徴づけられていないA、特徴づけられていないB、およびCD163+/+パネルにおいて右に向かって現れるラインはCD163抗体を表し、一方、これらのパネルの左手側に向かって現れるラインは無抗体対照(バックグラウンド)である。CD163-/-動物では、CD163染色はバックグラウンド対照と重なり、特徴づけられていないアレルにおけるCD163染色はWTレベルとバックグラウンドの間の大体中間であることに注意されたい(これは対数スケールであり、よって約10%未満であることにも注意されたい)。
図14】3匹の代表的なブタおよび無抗体対照由来の肺胞マクロファージ上のCD169のレベルを示す(FITC標識抗CD169)。
図15】様々な遺伝子型のウイルス血症を示す。Δ43アミノ酸子ブタデータはX軸に沿って存在することに注意されたい。
図16-1】参照配列(SEQ ID NO:47)として使用される野生型CD163エクソン7-10のゲノム配列を示す。配列はエクソン7の3000bp上流からエクソン10の最終塩基までを含む。下線領域は、それぞれ、エクソン7、8、9、および10の位置を示す。
図16-2】参照配列(SEQ ID NO:47)として使用される野生型CD163エクソン7-10のゲノム配列を示す。配列はエクソン7の3000bp上流からエクソン10の最終塩基までを含む。下線領域は、それぞれ、エクソン7、8、9、および10の位置を示す。
図17】いくつかのCD163遺伝子改変、各改変についての予測タンパク質生成物、および、ブタ肺胞マクロファージ(PAM)上の表面CD163のレベルにより測定される、各改変についての相対マクロファージ発現を示すCD163遺伝子改変の図である。黒色領域は、イントロンを示し、白色領域は、エクソンを示す。斜線領域は、hCD163L1エクソン11模倣物、ブタエクソン7のホモログを示す。灰色領域は、PGK Neoコンストラクトを有する合成イントロンを示す。
図18】ブタCD163タンパク質および遺伝子配列の図を示す。A)対応する遺伝子エクソンと共に示した、CD163タンパク質SRCR(楕円)およびPST(四角)ドメイン。B)ブタCD163 SRCR5(SEQ ID NO:120)のヒトCD163L1 SRCR8(SEQ ID NO:121)ホモログとの比較。
図19-1】野生型およびCD163改変ブタ由来のPAM上のCD163およびCD169の表面発現についての代表的な結果を示す。パネルA-Eは、図17で示されるCD163遺伝子改変についての結果を示す。d7(1467)およびd7(1280)についてのプールデータが、パネルDで示される。
図19-2】野生型およびCD163改変ブタ由来のPAM上のCD163およびCD169の表面発現についての代表的な結果を示す。パネルA-Eは、図17で示されるCD163遺伝子改変についての結果を示す。d7(1467)およびd7(1280)についてのプールデータが、パネルDで示される。
図20】野生型およびCD163改変ブタにおける血清ハプトグロビンレベルを示す。
図21】2型PRRSV分離株の感染に対する野生型およびHL11m PAMの相対寛容性を示す。
図22】CD163改変ブタの1型および2型PRRSV分離株の感染を示す。
図23】2型ウイルス感染させたWTおよびCD163改変ブタについてのウイルス量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
CD163遺伝子の改変を有し、PRRSVおよび他の関連する呼吸器ウイルス感染に対して抵抗性である動物および遺伝子編集された動物を作製するための方法が本明細書で提供される。動物は、CD163遺伝子活性を不活性化する、または別様に調節する染色体改変(挿入または欠失)を有する。CD163は細胞中へのPRRSV侵入およびウイルス複製のために必要とされる。よって、ヌルCD163動物は、曝露されると、PRRSV感染に対する抵抗性を呈する。これらの動物は、遺伝子編集を利用する多くのプロトコルのいずれかを用いて作製することができる。
【0024】
遺伝子編集方法、例えばクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Casシステム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、リコンビナーゼ融合タンパク質、またはメガヌクレアーゼを使用して、細胞の染色体標的部位に特異的に結合し、二本鎖DNA切断を引き起こし、または別様に、その中のCD163遺伝子またはタンパク質を不活性化し、またはその活性を低減させる作用物質を、ブタ動物細胞またはブタ胚に導入することを含む、ブタ動物を作製するための方法もまた本明細書で提供される。
【0025】
CD163座位内の特定核酸配列の切断および/または組込みを実施することができるポリペプチドと協力しての、1つ以上の特定のCD163座位の使用もまた、本明細書で記載される。CD163座位の切断および/または組込みを実施することができるポリペプチドまたはRNAと協力しての、CD163座位の使用の例としては、ジンクフィンガータンパク質、メガヌクレアーゼ、TALドメイン、TALEN、RNAガイドCRISPR/Casリコンビナーゼ、ロイシンジッパー、および当業者に知られている他のものからなる群より選択されるポリペプチドが挙げられる。特定例としては、部位特異的なDNA結合ドメインポリペプチドおよび切断ドメインポリペプチド(例えば、ヌクレアーゼ)を含むキメラ(「融合」)タンパク質、例えばジンクフィンガーポリペプチドおよびFokIヌクレアーゼポリペプチドを含むZFNタンパク質が挙げられる。CD163遺伝子に特異的に結合するDNA結合ドメインを含むポリペプチドが本明細書で記載される。そのようなポリペプチドはまた、ヌクレアーゼ(切断)ドメインまたはハーフドメイン(例えば、ホーミングエンドヌクレアーゼ、例えば、改変DNA結合ドメインを有するホーミングエンドヌクレアーゼ)、および/またはリガーゼドメインを含むことができ、そのため、ポリペプチドは標的二本鎖切断を誘導し、および/または切断部位での対象となる核酸の組換えを促進することができる。CD163座位を標的にするDNA結合ドメインは、DNA-切断機能ドメインとすることができる。前記ポリペプチドは、外因性核酸を宿主生物(例えば、ある動物種)のゲノム中に、1つ以上のCD163座位で導入するために使用することができる。DNA結合ドメインは1つ以上のジンクフィンガー(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上のジンクフィンガー)を有するジンクフィンガータンパク質を含むことができ、これはCD163遺伝子内の任意の配列に結合するように操作されている(非天然由来)。本明細書で記載されるジンクフィンガータンパク質のいずれも、標的遺伝子のコード配列内または隣接配列内(例えば、プロモーターまたは他の発現エレメント)の標的部位に結合することができる。ジンクフィンガータンパク質は、CD163遺伝子中の標的部位に結合することができる。
【0026】
定義
単位、接頭辞、および記号はそれらのSI承認形態で表示され得る。別記されない限り、核酸は左から右へ5’から3’の向きで書かれており、アミノ酸配列は左から右へアミノからカルボキシの向きで書かれている。明細書内で列挙された数値範囲は、範囲を規定する数字を含み、規定された範囲内の各整数を含む。アミノ酸は、本明細書では、それらの一般に知られている3つの文字記号またはIUPAC-IUB生化学命名委員会に推奨される1文字記号のいずれかにより、言及され得る。ヌクレオチドは、同様に、それらの一般に認められた単一文字コードにより言及され得る。別段の定めがない限り、本明細書で使用されるソフトウェア、電気、およびエレクトロニクス用語はThe New IEEE Standard Dictionary of Electrical and Electronics Term(第5版、1993)において規定されると通りである。下記で規定される用語は明細書を全体として参照することによりより詳しく規定される。
【0027】
当業者により理解されるように、任意の、および全ての目的のために、特に書面による明細を提供する観点から、本明細書で列挙される全ての範囲はまた、任意の、および全ての可能な部分範囲およびその部分範囲の組み合わせ、ならびにその範囲を構成する個々の値、特に整数値を包含する。列挙された範囲は、その範囲内の各特定値、整数、小数、または恒等性を含む。任意の列挙された範囲は、同じ範囲を少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1または10分の1に分解させることを十分に記載し、可能にするものとして、容易に認識することができる。非限定的例として、本明細書で記載される各範囲は、下位3分の1、中位3分の1および上位3分の1、などに容易に分解することができる。
【0028】
本発明またはその好ましい実施形態(複数可)の要素を導入する場合、冠詞「1つの(a、an)」、「その(the)」および「前記」は、1つ以上のその要素が存在することを意味することが意図される。「含む」、「含有する」および「有する」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味することが意図される。
【0029】
「および/または」という用語はアイテムのいずれか一つ、アイテムの任意の組み合わせ、またはこの用語が関連するアイテムの全てを意味する。「1つ以上の」という句は、特にその使用の文脈で読まれると、当業者により容易に理解される。
【0030】
「結合タンパク質」は別の分子に結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)および/またはタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合することができる。タンパク質結合タンパク質の場合、これは、それ自体に結合することができ(ホモ二量体、ホモ三量体、などを形成する)、および/または、異なる1つまたは複数のタンパク質の1つ以上の分子に結合することができる。結合タンパク質は1を超える型の結合活性を有することができる。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合、RNA結合およびタンパク質結合活性を有する。
【0031】
「保存的修飾バリアント」という用語は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列については、「保存的修飾バリアント」は、アミノ酸配列の同一または保存的修飾バリアントをコードする核酸を示す。遺伝コードの縮重のために、多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全てアミノ酸アラニンをコードする。よって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを変化させずに、記載される対応するコドンのいずれかに変化させることができる。そのような核酸変異は「サイレント変異」であり、保存的修飾変異の1つの種を表す。ポリペプチドをコードする、本明細書の全ての核酸配列はまた、遺伝コードを参照することにより、核酸の全ての可能なサイレント変異を記載する。
【0032】
当業者であれば、核酸中の各コドン(下記以外:AUG(これは通常、メチオニンに対する唯一のコドンである);およびUGG(これは通常、トリプトファンに対する唯一のコドンである))は機能的に同一な分子を得るように改変することができることを認識するであろう。したがって、本発明のポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、各記載されるポリペプチド配列において暗黙であり、本発明の範囲内である。
【0033】
アミノ酸配列については、当業者であれば、コードされる配列において単一アミノ酸またはわずかなアミノ酸を変更する、付加する、または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個々の置換、欠失または付加は、その変更が、アミノ酸の化学的に同様のアミノ酸による置換となる場合「保存的修飾バリアント」であることを認識するであろう。よって、例えば、1~15からなる整数の群から選択される任意の数のアミノ酸残基がそのように変更され得る。よって、例えば、1、2、3、4、5、7、または10の変更が可能である。
【0034】
保存的修飾バリアントは典型的には、それらが由来する未改変ポリペプチド配列と同様の生物活性を提供する。例えば、基質特異性、酵素活性、またはリガンド/受容体結合は、一般に、その天然基質に対して、天然タンパク質の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%である。機能的に同様のアミノ酸を提供する保存的置換表は当技術分野でよく知られている。
【0035】
下記6つの群は各々、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:[1]アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);[2]アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);[3]アスパラギン(N)、グルタミン(Q);[4]アルギニン(R)、リジン(K);[5]イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および[6]フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。Creighton (1984) Proteins W. H. Freeman and Companyもまた、参照されたい。
【0036】
「CRISPR」という用語は、「クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート」を表す。「Cas9」という用語は、「CRISPR関連タンパク質9」を示す。「CRISPR/Cas9」または「CRISPR/Cas9システム」という用語は、遺伝子操作のためのプログラム可能なヌクレアーゼシステムを示し、これは、Cas9タンパク質、またはその誘導体、およびCRISPR RNA(crRNA)の機能を提供することができる1つ以上のノンコーディングRNAおよびCas9のためのトランス活性化RNA(tracrRNA)を含む。crRNAおよびtracrRNAは、個々に使用することができ、または組み合わせて「ガイドRNA」(gRNA)を生成することができる。crRNAまたはgRNAはゲノム標的に相補的である配列を提供する。CRISPR/Cas9システムはさらに以下で記載される。
【0037】
ヌクレオチドxからヌクレオチドyまでのヌクレオチド配列における欠失への本明細書での言及は、xおよびyを含むその範囲内のヌクレオチド全てが欠失されたことを意味する。よって、例えば、「SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失」という句は、ヌクレオチド3,317および3,147を含む、ヌクレオチド3,317から3,147までの各々が欠失されたことを意味する。
【0038】
「耐病性」は、動物の特徴であり、この場合、動物は動物-病原体相互作用、例えばブタ動物とPRRSVの間の相互作用の結果である疾患症状を回避する。すなわち、病原体は動物疾患および関連する疾患症状を引き起こさないように防止され、またはその代わりに、臨床徴候の発生率および/または重症度の低減または臨床症状の低減となる。当業者であれば、本明細書で開示される組成物および方法は、動物を病原体攻撃から保護するために当技術分野で使用可能な他の組成物および方法と共に使用することができることが認識されるであろう。
【0039】
特定核酸についての「コードする」または「コードされた」により、特定タンパク質への翻訳のための情報を含むことが意味される。タンパク質をコードする核酸は、核酸の翻訳領域内に介在配列(例えば、イントロン)を含む場合があり、または、そのような介在非翻訳配列を欠く場合がある(例えば、cDNAなどの場合)。タンパク質をコードする情報は、コドンの使用により特定される。典型的には、アミノ酸配列は、「普遍的」遺伝コードを用いて核酸によりコードされる。核酸が合成的に調製され、または変更される場合、核酸が発現される意図された宿主の公知のコドン選択が利用できる。
【0040】
本明細書では、「遺伝子編集」、「遺伝子編集された」「遺伝学的に編集された」および「遺伝子編集エフェクター」は、天然由来または人工的に操作されたヌクレアーゼ(「分子バサミ」、「ホーミングエンドヌクレアーゼ」、または「ターゲティングエンドヌクレアーゼ」とも呼ばれる)を用いたホーミング技術の使用を示す。ヌクレアーゼはゲノム内の所望の位置で特定の二本鎖染色体切断(DSB)を生成し、これは、場合によっては、細胞の内在性メカニズムを利用して、誘導された切断を相同組換え(HR)および/または非相同末端結合(NHEJ)の天然プロセスにより修復する。遺伝子編集エフェクターとしては、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート/CAS9(CRISPR/Cas9)システム、およびメガヌクレアーゼ(例えば、ホーミングエンドヌクレアーゼとして再設計されたメガヌクレアーゼ)が挙げられる。それらの用語はまた遺伝子導入手順および技術の使用を含み、例えば、変更が欠失またはかなり小さな挿入(典型的には20nt未満)である、および/または外来種からのDNAを導入しない場合が挙げられる。その用語はまた子孫動物、例えば最初の遺伝子編集された動物からの性的交配または無性繁殖により作製されたものを包含する。
【0041】
本明細書では、核酸に関する「異種性」は、外来種を起源とする、または、同じ種由来の場合、計画的ヒト介入による、組成および/またはゲノム座位においてその天然形態から実質的に改変されている核酸である。例えば、異種性構造遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターは、構造遺伝子が由来するものとは異なる種由来であり、または、同じ種由来の場合、1つまたは両方が、それらの元の形態から実質的に改変されている。異種タンパク質は外来種を起源としてもよく、または、同じ種由来の場合、計画的ヒト介入により、その元の形態から実質的に改変されている。
【0042】
本明細書では「ホーミングDNA技術」、「ホーミング技術」および「ホーミングエンドヌクレアーゼ」は特定分子を特定DNA配列に標的させる任意のメカニズムを包含し、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質、転写活性化因子様エフェクター(TALE)、メガヌクレアーゼ、およびCRISPR/Cas9システムが挙げられる。
【0043】
「抵抗性の増加」および「感受性の低減」という用語は本明細書では、病原体による感染と関連する臨床徴候または臨床症状の発生率および/または重症度の統計的に有意な低減を意味するが、これに限定されない。例えば、「抵抗性の増加」または「感受性の低減」は、未改変染色体配列を有する対照動物と比べて、CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む動物における、PRRSVによる感染と関連する臨床徴候または臨床症状の発生率および/または重症度の統計的に有意な低減を示すことができる。「臨床症状の統計的に有意な低減」という用語は、被験体の編集群における少なくとも1つの臨床症状の発生頻度が、感染病原体による曝露後の非編集対照群よりも、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、さらにいっそう好ましくは少なくとも50%、およびさらにいっそう好ましくは少なくとも70%低いことを意味するが、これに限定されない。
【0044】
本明細書では、「ノックイン」という用語は、内在性遺伝子の導入遺伝子または1つまたはいくらかの構造改変を有する同じ内在性遺伝子による置き換えを意味するが、内在性遺伝子の転写制御は保持される。
【0045】
「ノックアウト」は遺伝子の構造または調節メカニズムの破壊を意味する。ノックアウトは、ターゲティングベクター、置換ベクターまたはヒットアンドランベクターの相同組換えまたはジーントラップベクターのランダム挿入により作製され得、遺伝子機能の完全、部分または条件的損失という結果となる。
【0046】
「動物」という用語は、任意の非ヒト動物、例えば、飼育動物(例えば、家畜動物)を含む。「家畜動物」という用語は、畜産農業において伝統的に飼育される任意の動物、例えばブタ動物、ウシ動物(例えば、肉牛または乳牛)、ヒツジ動物、ヤギ動物、ウマ動物(例えば、ウマまたはロバ)、水牛、ラクダ、またはトリ動物(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、またはひな鳥)を含む。「家畜動物」という用語は、ラット、マウス、または他の齧歯類を含まない。
【0047】
本明細書では、「突然変異」という用語は、野生型配列と比較した、ポリヌクレオチド、例えば、例として遺伝子またはコードDNA配列(CDS)のヌクレオチド配列の変更を含む。この用語は、限定はされないが、置換、挿入、フレームシフト、欠失、逆位、転座、重複、スプライスドナー部位突然変異、点突然変異などを含む。
【0048】
本明細書では「作動可能に連結された」は、2つの核酸配列、例えば、プロモーター配列と第2の配列の間の機能的連結への言及を含み、ここで、プロモーター配列は、第2の配列に対応するDNA配列の転写を開始させ、媒介する。一般に、作動可能に連結されたは、連結された核酸配列が近接しており、必要ならば、2つのタンパク質コード領域を近接して、および同じ読み枠で連結させることを意味する。
【0049】
本明細書では、「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボポリヌクレオチド、リボポリヌクレオチド、または保存的修飾バリアントへの言及を含み;この用語はまた、それらが、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、天然由来ヌクレオチドと実質的に同じヌクレオチド配列にハイブリダイズし、および/または天然由来ヌクレオチド(複数可)と同じアミノ酸(複数可)への翻訳を可能にするという点で、天然リボヌクレオチドの本質的性質を有するその類似体を示し得る。ポリヌクレオチドは天然または異種構造または調節遺伝子の全長または部分配列とすることができる。別記されない限り、その用語は、特定配列ならびにその相補的配列への言及を含む。よって、安定性または他の理由のためにバックボーン改変を有するDNAまたはRNAは、その用語が本明細書で意図されるように「ポリヌクレオチド」である。その上、ちょうど2例挙げると、異常塩基、例えばイノシン、または修飾塩基、例えばトリチル化塩基を含むDNAまたはRNAは、その用語が本明細書で使用されるようにポリヌクレオチドである。当業者に知られている多くの有用な目的を果たす非常に様々な改変がDNAおよびRNAになされていることが認識されるであろう。
【0050】
本明細書で使用されるポリヌクレオチドという用語は、ポリヌクレオチドのそのような化学的に、酵素的にまたは代謝的に改変された形態、ならびにウイルスおよび細胞、例えば、とりわけ、単純型および複雑型細胞特有のDNAおよびRNAの化学形態を包含する。
【0051】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では同じ意味で使用され、アミノ酸残基のポリマーを示す。この用語は保存的修飾バリアントおよびアミノ酸ポリマーにも適用され得、この場合、1つ以上のアミノ酸残基は、対応する天然由来アミノ酸、ならびに天然由来アミノ酸ポリマーの人工化学類似体である。天然由来アミノ酸のそのような類似体の本質的性質は、タンパク質に組み込まれると、タンパク質は、完全に天然由来アミノ酸から構成されることを以外同じタンパク質に対して誘発された抗体に特異的に反応することである。
【0052】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語もまた、修飾を含み、グリコシル化、脂質付着、硫酸化、グルタミン酸残基のγ-カルボキシル化、ヒドロキシル化およびADP-リボシル化が挙げられるが、それらに限定されない。よく知られているように、および上述のように、ポリペプチドは必ずしも、完全に直線状とは限らないことが認識されるであろう。例えば、ポリペプチドはユビキチン化の結果として分枝されてもよく、それらは、一般に、天然プロセシングイベントおよび自然には起こらないヒト操作により引き起こされるイベントを含む翻訳後イベントの結果として、分枝ありまたはなしで、円形であってもよい。円形、分枝および分枝円形ポリペプチドは、その上、非翻訳天然プロセスにより、および完全合成方法により、合成され得る。さらに、この発明は、発明のタンパク質のメチオニン含有およびメチオニンなしアミノ末端バリアントの両方を企図する。
【0053】
本明細書では、「臨床徴候の発生率および/または重症度の低減」または「臨床症状の低減」は、野生型感染と比べた、一群内の感染被験体の数の低減、感染の臨床徴候を示す被験体の数の低減または排除、または1以上の被験体において存在する任意の臨床徴候の重症度の低減を意味するが、これに限定されない。例えば、これらの用語は、感染の任意の臨床徴候、肺病理、ウイルス血症、抗体産生、病原体負荷の低減、病原体排出、病原体伝播の低減、またはPRRSVの症状である任意の臨床徴候の低減を包含する。好ましくは、これらの臨床徴候は、CD163遺伝子において改変を有さず、感染された被験体と比べて、発明の1つ以上の動物において、少なくとも10%だけ低減される。より好ましくは、臨床徴候は発明の被験体において、少なくとも20%だけ、好ましくは少なくとも30%だけ、より好ましくは少なくとも40%だけ、さらにいっそう好ましくは少なくとも50%だけ低減される。
【0054】
「残基」または「アミノ酸残基」または「アミノ酸」という用語は、本明細書では同じ意味で使用され、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド(集合的に「タンパク質」)に組み込まれるアミノ酸を示す。アミノ酸は天然由来アミノ酸であってもよく、別に限定されない限り、天然由来アミノ酸と同様に機能することができる天然アミノ酸の非天然類似体を包含し得る。
【0055】
「選択的にハイブリダイズする」という用語は、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下での、一核酸配列の別の核酸配列または他の生物製剤へのハイブリダイゼーションへの言及を含む。ハイブリダイゼーションに基づく検出システムを使用する場合、参照核酸配列に相補的な核酸プローブが選択され、その後、適切な条件の選択により、プローブおよび参照配列が選択的に、互いにハイブリダイズ、または結合し、二本鎖分子が形成される。
【0056】
「ストリンジェント条件」または「ストリンジェントハイブリダイゼーション条件」という用語は、プローブがその標的配列に、他の配列よりも検出できるほどに大きな程度まで(例えば、バックグラウンドに対して少なくとも2倍)ハイブリダイズする条件への言及を含む。ストリンジェント条件は配列依存性であり、状況が違えば異なるであろう。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することにより、プローブに100%相補的な標的配列を同定することができる(相同プロービング)。
【0057】
あるいは、ストリンジェンシー条件は、配列においていくらかのミスマッチを与えるように調節することができ、そのため、より低い程度の類似性が検出される(異種プロービング)。一般に、プローブは約1000ヌクレオチド未満の長さ、任意で500ヌクレオチド未満の長さである。
【0058】
典型的には、ストリンジェント条件は、塩濃度はpH7.0~8.3で、約1.5M未満のNaイオン、典型的には約0.01~1.0MのNaイオン濃度(または他の塩)であり、温度はショートプローブ(例えば、10~50ヌクレオチド)では少なくとも約30℃であり、ロングプローブ(例えば、50ヌクレオチド超)では少なくとも約60℃であるものである。ストリンジェント条件はまた、不安定化剤、例えばホルムアミドの添加により達成され得る。特異性は、典型的には、ハイブリダイゼーション後洗浄の関数であり、重要因子は、最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA/DNAハイブリッドでは、熱融点(Tm)は、Meinkoth and Wahl, Anal. Biochem., 138: 267-284 (1984)の式から近似させることができ:T[℃]=81.5+16.6(logM)+0.41(%GC)-0.61(%form)-500/L;ここで、Mは一価カチオンのモル濃度であり、%GCは、DNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、Lは塩基対で表したハイブリッドの長さである。Tは、相補的標的配列の50%が、完全にマッチしたプローブにハイブリダイズする温度である(規定されたイオン強度およびpH下)。Tmは各1%のミスマッチについて約1℃だけ低減され;よって、Tm、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は、所望の同一性の配列にハイブリダイズするように調節することができる。例えば、>90%同一性を有する配列が求められる場合、Tは10℃減少させることができる。一般に、ストリンジェント条件は、規定されたイオン強度およびpHで特定配列およびその相補体に対するTより約5℃低いものとなるように選択される。しかしながら、著しいストリンジェント条件は、Tより1~4℃低いところでのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を使用することができ;中程度ストリンジェント条件はTより6~10℃低いところでのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を使用することができ;低ストリンジェンシー条件は、Tより11~20℃低いところでのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を使用することができる。式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、ならびに所望のTを使用して、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーのバリエーションが本質的に説明されることを理解するであろう。核酸のハイブリダイゼーションへの広範なガイドは、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2 “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”, Elsevier, New York (1993);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Ausubel, et al., Eds., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995)において見出される。
【0059】
「TALE DNA結合ドメイン」または「TALE」は、1つ以上のTALE反復ドメイン/単位を含むポリペプチドである。反復ドメインはTALEのその同族標的DNA配列への結合に関与する。単一「反復単位」(「リピート」とも呼ばれる)は、典型的には33~35アミノ酸の長さであり、天然由来TALEタンパク質内の他のTALE反復配列と少なくともいくらかの配列相同性を示す。ジンクフィンガーおよびTALE結合ドメインは、例えば、天然由来ジンクフィンガーまたはTALEタンパク質の認識ヘリックス領域の操作(1つ以上のアミノ酸の変更)により、あらかじめ決められたヌクレオチド配列に結合するように「操作され」得る。よって、操作DNA結合タンパク質(ジンクフィンガーまたはTALE)は非天然由来のタンパク質である。DNA結合タンパク質を操作するための方法の非限定的な例は設計と選択である。設計されたDNA結合タンパク質は自然には生じないタンパク質であり、その設計/組成は、主に合理的判断基準に起因する。設計のための合理的判断基準は、置換規則および、既存のZFPおよび/またはTALE設計および結合データの情報を保存するデータベースにおける情報を処理するためのコンピュータ化アルゴリズムの適用を含む。例えば、米国特許第6,140,081号;6,453,242号;および6,534,261号を参照されたい;WO98/53058号;WO98/53059号;WO98/53060号;WO02/016536号およびWO03/016496号および米国特許公開第20110301073もまた、参照されたい。
【0060】
本明細書では、「ベクター」は、宿主細胞のトランスフェクションにおいて使用することができ、ポリヌクレオチドが挿入され得る核酸への言及を含む。ベクターはしばしばレプリコンである。発現ベクターはその中に挿入された核酸の転写を可能にする。
【0061】
「野生型」は、遺伝学的に編集されておらず、または別様に遺伝子改変されていない動物およびこれに由来する胚盤胞、胚または細胞を意味し、通常、天然由来種から開発された近交系および非近交系種である。
【0062】
「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(または結合ドメイン)は、DNAに配列特異的様式で、1つ以上のジンクフィンガー(その構造が亜鉛イオンの配位により安定化される結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である)を介して結合するタンパク質、またはより大きなタンパク質内のドメインである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語はしばしば、ジンクフィンガータンパク質またはZFPとして省略される。
【0063】
「選択された」ジンクフィンガータンパク質またはTALEは自然には見出されないタンパク質であり、その生成は、主として、経験的プロセス、例えばファージディスプレイ、相互作用トラップまたはハイブリッド選択に起因する。例えば、米国特許第5,789,538号;米国特許第5,925,523号;米国特許第6,007,988号;米国特許第6,013,453号;米国特許第6,200,759号;WO95/19431号;WO96/06166号;WO98/53057号;WO98/54311号;WO00/27878号;WO01/60970号WO01/88197号、WO02/099084号および米国特許公開第20110301073号を参照されたい。
【0064】
下記用語は、本発明のポリヌクレオチド/ポリペプチドと参照ポリヌクレオチド/ポリペプチドの間の配列関係を説明するために使用される:(a)「参照配列」、(b)「比較ウィンドウ」、(c)「配列同一性」、および(d)「配列同一性のパーセンテージ」。
【0065】
(a)本明細書では、「参照配列」は本発明のポリヌクレオチド/ポリペプチドとの配列比較のための基礎として使用される規定された配列である。参照配列は特定配列のサブセットまたは全体であってもよく;例えば、全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、または完全cDNAもしくは遺伝子配列としてであってもよい。
【0066】
(b)本明細書では、「比較ウィンドウ」は、ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の近接する特定セグメントへの言及を含み、ここで、ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列は参照配列と比較され得、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド/ポリペプチド配列の一部は、2つの配列の最適アライメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比べて付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。一般に、比較ウィンドウは少なくとも20の近接ヌクレオチド/アミノ酸残基の長さであり、任意で30、40、50、100、またはそれ以上とすることができる。当業者は、ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列中にギャップを含めたことによる参照配列への高い類似性を回避するために、ギャップペナルティが典型的に導入され、マッチ数から減算されることを理解する。
【0067】
比較のための配列のアライメントの方法は当技術分野でよく知られている。比較のための配列の最適アライメントは、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム、Adv. Appl. Math. 2: 482(1981);NeedlemanおよびWunschの相同性アライメントアルゴリズム、J. Mol. Biol. 48: 443 (1970);PearsonおよびLipmanの類似性探索方法、Proc. Natl. Acad. Sci. 85: 2444 (1988);およびこれらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行により実行され得、下記が挙げられるが、それらに限定されない:Intelligenetics, Mountain View, CaliforniaによるPC/GeneプログラムにおけるCLUSTAL;GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA、ならびにGCG Wisconsin Genetics Software Package、バージョン10における関連プログラム(Accelrys Inc., 9685 Scranton Road, San Diego, California, USAから入手可能)。CLUSTALプログラムは、Higgins and Sharp, Gene 73: 237-244 (1988); Higgins and Sharp, CABIOS 5: 151-153 (1989); Corpet, et al., Nucleic Acids Research 16: 10881-90 (1988); Huang, et al., Computer Applications in the Biosciences 8 : 155-65 (1992)、およびPearson, et al., Methods in Molecular Biology 24: 307-331 (1994)により、十分に記載される。
【0068】
データベース類似性探索のために使用することができるプログラムのBLASTファミリーとしては下記が挙げられる:ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチド問い合わせ配列のためのBLASTN;タンパク質データベース配列に対するヌクレオチド問い合わせ配列のためのBLASTX;タンパク質データベース配列に対するタンパク質問い合わせ配列のためのBLASTP;ヌクレオチドデータベース配列に対するタンパク質問い合わせ配列のためのTBLASTN;およびヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチド問い合わせ配列のためのTBLASTX。Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 19, Ausubel, et al., Eds., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995);Altschul et al., J. Mol. Biol., 215: 403-410 (1990);およびAltschul et al., Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997)を参照されたい。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、例えば、国立バイオテクノロジー情報センター(ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に入手可能である。このアルゴリズムは多くの刊行物において完全に説明されている。例えば、下記を参照されたい:Altschul SF et al., Gapped BLAST and PSI-BLAST:新世代のタンパク質データベースサーチプログラム、25 NUCLEIC ACIDS RES. 3389 (1997);国立バイオテクノロジー情報センター、THE NCBI HANDBOOK [INTERNET], CHAPTER 16:The BLAST Sequence Analysis Tool (McEntyre J, Ostell J, eds., 2002)、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK21097/pdf/ch16.pdfで入手可能。アミノ酸配列のためのBLASTPプログラムもまた完全に説明されている(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915を参照されたい)。
【0069】
パーセント配列同一性を計算することに加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計解析を実行する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90: 5873-5877 (1993)を参照されたい)。多くの低複雑性フィルタプログラムが、そのような低複雑性アライメントを低減させるために使用され得る。例えば、SEG(Wooten and Federhen, Comput. Chem., 17: 149-163 (1993))およびXNU(Claverie and States, Comput. Chem., 17: 191-201 (1993))低複雑度フィルタは単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0070】
別記されない限り、本明細書で提供されるヌクレオチドおよびタンパク質同一性/類似性値は、デフォルト値でGAP(GCGバージョン10)を用いて計算される。GAP(Global Alignment Program)はまた、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを参照配列と比較するために使用することができる。GAPは、マッチ数を最大にし、ギャップ数を最小に抑える2つの全配列のアライメントを見出すために、NeedlemanおよびWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48: 443-453, 1970)を使用する。GAPは最良アライメントのファミリーの1つのメンバーを表す。このファミリーの多くのメンバーが存在し得るが、他のメンバーはより良好な特性を有さない。GAPはアライメントについての長所の4つの形態を呈する:特性、比率、同一性、および類似性。特性は配列を整列させるために最大化される計量である。比率は、より短いセグメント中の塩基の数で割った特性である。パーセント同一性は、実際にマッチする記号のパーセントである。パーセント類似性は類似する記号のパーセントである。ギャップの真向かいにある記号は無視される。一対の記号に対するスコアリング行列値が0.50の類似性閾値以上である場合、類似性がスコア化される。Wisconsin Genetics Software Packageのバージョン10において使用されるスコアリング行列はBLOSUM62である(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915を参照されたい)。
【0071】
配列のマルチプルアライメントは、アライメントのCLUSTAL法(Higgins and Sharp (1989) CABIOS. 5: 151-153)を使用して、デフォルトパラメータ(ギャップペナルティ=10、ギャップ長さペナルティ=10)を用いて実行することができる。CLUSTAL法を使用するペアワイズアライメントのためのデフォルトパラメータは、KTUPLE1、ギャップペナルティ=3、ウィンドウ=5および保存対角=5を含む。
【0072】
(c)本明細書では、2つの核酸またはポリペプチド配列との関連での「配列同一性」または「同一性」は、特定比較ウィンドウにわたって最大対応のために整列させた場合に同じである2つの配列内の残基への言及を含む。配列同一性のパーセンテージが、タンパク質に関して使用される場合、同一でない残基位置はしばしば、保存的アミノ酸置換によって異なり、この場合、アミノ酸残基は、同様の化学特性(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換され、よって、分子の機能特性は変化しないことが認識される。配列が保存的置換で異なる場合、パーセント配列同一性は置換の保存的性質を補正するために、上方に調整され得る。そのような保存的置換により異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言われる。この調整を行うための手段は当業者によく知られている。典型的には、これは保存的置換を全ミスマッチではなく、部分ミスマッチとしてスコア化することを含み、これにより、パーセンテージ配列同一性が増加する。よって、例えば、同一アミノ酸に1のスコアが与えられ、非保存的置換にゼロのスコアが与えられる場合、保存的置換には、ゼロと1の間のスコアが与えられる。保存的置換のスコアリングはMeyersおよびMillerのアルゴリズム、Computer Applic. Biol. Sci., 4: 11-17 (1988)により計算され得、例えばプログラムPC/GENE(Intelligenetics, Mountain View, California, USA)において実行される。
【0073】
(d)本明細書では、「配列同一性のパーセンテージ」は2つの最適に整列された配列を比較ウィンドウにわたって比較することにより決定される値を意味し、ここで、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の一部は2つの配列の最適アライメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比べて付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。パーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列において起こる位置の数を決定し、マッチした位置の数を得、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、結果に100をかけることにより計算され、配列同一性のパーセンテージが得られる。
【0074】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を有する動物および細胞
CD163は17のエクソンを有し、タンパク質は9つのスカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)ドメインを有する細胞外領域、膜貫通セグメント、および短い細胞質側末端から構成される。いくつかの異なるバリアントは単一遺伝子の差次的スプライシングに起因する(Ritter et al. 1999a; Ritter et al. 1999b)。このバリエーションの多くは細胞質側末端の長さにより説明される。
【0075】
CD163は多くの重要な機能を有し、ハプトグロビン-ヘモグロビンスカベンジャー受容体としての作用が含まれる。ヘム基は非常に毒性となり得るので、血液中の遊離ヘモグロビンの排除がCD163の重要な機能である(Kristiansen et al. 2001)。CD163は、エンドサイトーシスを促進する細胞質側末端を有する。この末端の突然変異により、ハプトグロビン-ヘモグロビン複合体取込みが減少する(Nielsen et al. 2006)。C163の他の機能としては、赤芽球接着(SRCR2)、TWEAK受容体(SRCR1-4&6-9)、細菌受容体(SRCR5)、アフリカブタウイルス受容体(Sanchez-Tones et al. 2003)であること、および免疫-モジュレーターとしての潜在的な役割(Van Gorp et al. 2010aにおいて記載)が挙げられる。これらの重要な機能を考慮すると、CD163の完全ノックアウトにより、生存可能ではなくなり、または重度に易感染性となる動物が得られるであろうと以前は考えられていた(例えば、PCT公開第2012/158828号を参照されたい)。
【0076】
CD163はスカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)スーパーファミリーの一メンバーであり、細胞内ドメインおよび9つの細胞外SRCRドメインから構成される。ヒトでは、SRCR3を介するCD163媒介ヘモグロビン-ヘム取込みのエンドサイトーシスは、細胞を酸化ストレスから保護する(Schaer et al., 2006a; Schaer et al., 2006b; Schaer et al., 2006c)。CD163はまた、アポトーシスの腫瘍壊死因子様弱誘導因子のための受容体(TWEAK:SRCR1-4&6-9)、病原体受容体(アフリカブタコレラウイルス;細菌:SRCR2)、および赤芽球結合のための受容体(SRCR2)として機能する。
【0077】
CD163は多くの異なる病原体による感染において役割を果たし、そのため、発明は、PRRSV感染に対する感受性が低減した動物に限定されず、細胞中への感染または細胞におけるその後の複製および/または持続のいずれかについてCD163に依存する、任意の病原体に対する感受性が低減した動物を含む。PRRSVの感染プロセスは肺胞マクロファージの表面上のヘパラン硫酸への初期結合から開始する。2013年以前には、その後シアロアドヘシン(SIGLEC1、CD169またはSNとも呼ばれる)への確実な結合が起こると考えられていた。ウイルスはその後、クラスリン(clatherin)-媒介エンドサイトーシスによりインターナライズされる。別の分子、CD163がその後、エンドソームにおいてウイルスの脱コートを促進する(Van Breedam et al. 2010a)。ウイルスゲノムが放出され、細胞が感染される。
【0078】
CD163タンパク質をコードする遺伝子における少なくとも1つの改変染色体配列、例えば、挿入または欠失(「INDEL」)(動物への病原体(例えば、PRRSV)による感染に対する改善された、または完全な抵抗性を与える)を含む動物およびその子孫および細胞が本明細書で記載される。出願人は、CD163はPRRSV感染における決定的遺伝子であり、ファウンダー抵抗性動物および系統を作製したことを証明した。
【0079】
本開示は、CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む遺伝子改変動物、その子孫、または動物細胞を提供する。この発明はSIGLEC1(CD169)遺伝子(以前、PRRSV抵抗性に重大であるとみなされていた)の不活性化または編集を含まない。
【0080】
編集染色体配列は、(1)不活性化され、(2)改変され、または(3)ヌル変異となる組込み配列を含んでもよい。不活性化染色体配列は、PRRSV感染に関連する時のCD163タンパク質機能が損なわれ、低減されまたは排除されるように変更される。よって、不活性化染色体配列を含む遺伝学的に編集された動物は、「ノックアウト」または「コンディショナルノックアウト」と呼ばれ得る。同様に、組込み配列を含む遺伝学的に編集された動物は、「ノックイン」または「コンディショナルノックイン」と呼ばれ得る。さらに、改変染色体配列を含む遺伝学的に編集された動物は標的点変異(複数可)または他の改変を含むことができ、そのため、変更されたタンパク質生成物が産生される。簡単に言うと、プロセスは、胚または細胞中に、標的ジンクフィンガーヌクレアーゼをコードする少なくとも1つのRNA分子および、任意で、少なくとも1つのアクセサリーポリヌクレオチドを導入することを含むことができる。方法は胚または細胞をインキュベートし、ジンクフィンガーヌクレアーゼを発現させることをさらに含み、ジンクフィンガーヌクレアーゼにより標的染色体配列に導入された二本鎖切断は誤りがち非相同末端結合DNA修復プロセスまたは相同組換えDNA修復プロセスにより修復される。標的ジンクフィンガーヌクレアーゼ技術を使用して、生殖系列発生と関連するタンパク質をコードする染色体配列を編集する方法は迅速で、正確で、かつ高効率である。
【0081】
あるいは、プロセスは、ゲノム配列を改変するためにCRISPR/Cas9システムを使用することを含むことができる。ゲノム配列を改変するためにCas9を使用するためには、タンパク質を細胞に直接送達させることができる。あるいは、Cas9をコードするmRNAを細胞に送達させることができ、またはCas9をコードするmRNAの発現を提供する遺伝子を細胞に送達させることができる。加えて、標的特異的crRNAおよびtracrRNAを細胞に直接送達させることができ、または標的特異的gRNA(複数可)を細胞に送達させることができる(これらのRNAは、その代わりに、これらのRNAを発現するように構築された遺伝子により生成され得る)。crRNA/gRNAの設計された標的部位の選択は当技術分野でよく知られている。gRNAの構築およびクローニングの論考は、http://www.genome-engineering.org/crispr/wp-content/uploads/2014/05/CRISPR-Reagent-Description-Rev20140509.pdfにおいて見出すことができる。
【0082】
少なくとも1つのCD163座位は、部位特異的編集のための標的部位として使用することができる。部位特異的編集は、外因性核酸(例えば、対象となるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸)の挿入または核酸の座位からの欠失を含むことができる。例えば、外因性核酸の組込みおよび/またはゲノム核酸の一部の欠失は、破壊された(すなわち、CD163タンパク質の活性が低減された)CD163遺伝子が生成されるように、座位を改変することができる。
【0083】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む非ヒト動物、前記動物の子孫、および動物細胞が本明細書で提供される。
【0084】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む非ヒト動物またはその子孫または動物細胞が提供される。改変染色体配列により、動物、子孫、または細胞により実質的に機能的でないCD163タンパク質が産生される。
【0085】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む別の非ヒト動物またはその子孫または動物細胞が提供される。改変染色体配列はCD163タンパク質をコードする遺伝子におけるインフレーム欠失を含む。
【0086】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含むブタ動物またはその子孫またはブタ細胞が提供される。改変染色体配列は、(a)SEQ ID NO:118;または(b)下記からなる群より選択される改変を含む:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べてヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,147までの124塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147とヌクレオチド3,148の間の1塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,159までの130塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,161までの132塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;およびそれらの組み合わせ。
【0087】
CD163タンパク質をコードする遺伝子における染色体配列の改変により、CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含まない動物、子孫、または細胞の病原体による感染に対する感受性と比べて、動物、子孫、または細胞の病原体(例えば、PRRSVなどのウイルス)による感染に対する感受性が低減する。
【0088】
例えば、CD163タンパク質をコードする遺伝子における染色体配列の改変により、動物、子孫、または細胞の1型PRRSVウイルス、2型PRRSV、または1型および2型PRRSVウイルスの両方に対する感受性が低減され得る。
【0089】
CD163タンパク質をコードする遺伝子における染色体配列の改変により、動物、子孫または細胞の、NVSL97-7895、KS06-72109、P129、VR2332、CO90、AZ25、MLV-ResPRRS、KS62-06274、KS483(SD23983)、CO84、SD13-15、Lelystad、03-1059、03-1060、SD01-08、4353PZ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるPRRSV分離株に対する感受性が低減され得る。
【0090】
動物または子孫は胚、幼若体、または成体とすることができる。同様に、細胞は胚細胞、幼若動物由来の細胞、または成体動物由来の細胞を含むことができる。
【0091】
動物または子孫は飼育動物を含むことができる。同様に、細胞は飼育動物由来の細胞を含むことができる。飼育動物は、家畜動物、例えばブタ動物、ウシ動物(例えば、肉牛または乳牛)、ヒツジ動物、ヤギ動物、ウマ動物(例えば、ウマまたはロバ)、水牛、ラクダ、またはトリ動物(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、またはひな鳥)を含むことができる。家畜動物は好ましくはウシまたはブタ動物であり、最も好ましくはブタ動物である。
【0092】
動物または子孫は遺伝学的に編集された動物を含むことができる。細胞は遺伝学的に編集された細胞を含むことができる。
【0093】
動物または細胞は、ホーミングエンドヌクレアーゼを使用して遺伝学的に編集することができる。ホーミングエンドヌクレアーゼは天然由来エンドヌクレアーゼとすることができるが、好ましくは合理的に設計された、非天然由来ホーミングエンドヌクレアーゼであり、これは、エンドヌクレアーゼがCD163タンパク質をコードする遺伝子における染色体配列を標的にするように設計されたDNA認識配列を有する。よって、ホーミングエンドヌクレアーゼは設計されたホーミングエンドヌクレアーゼとすることができる。ホーミングエンドヌクレアーゼは、例えば、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Cas9システム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、リコンビナーゼ融合タンパク質、メガヌクレアーゼ、またはそれらの組み合わせを含むことができる。動物または細胞は好ましくは、CRISPR/Cas9システムを用いて遺伝学的に編集された動物または細胞である。
【0094】
遺伝学的に編集された動物、その子孫、または遺伝学的に編集された細胞は好ましくは、非編集動物と比べて増加した、病原体(例えば、PRRSVなどのウイルス)に対する抵抗性を呈する。
【0095】
例えば、遺伝学的に編集された動物は、1型PRRSVウイルス、2型PRRSV、または1型および2型PRRSVウイルスの両方に対する増加した抵抗性を呈することができる。
【0096】
遺伝学的に編集された動物は、NVSL97-7895、KS06-72109、P129、VR2332、CO90、AZ25、MLV-ResPRRS、KS62-06274、KS483(SD23983)、CO84、SD13-15、Lelystad、03-1059、03-1060、SD01-08、4353PZ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるPRRSV分離株に対する増加した抵抗性を呈することができる。
【0097】
動物、子孫、または細胞は改変染色体配列についてヘテロ接合性とすることができる。あるいは、動物、子孫、または細胞は改変染色体配列についてホモ接合性とすることができる。
【0098】
動物、子孫、または細胞のいずれにおいても、改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入、CD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失(例えば、インフレーム欠失)を含むことができる。あるいは、改変染色体配列はCD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入を含むことができる。
【0099】
挿入または欠失は、挿入または欠失を欠く動物、子孫、または細胞におけるCD163タンパク質産生または活性と比べて、CD163タンパク質産生または活性を低減させることができる。
【0100】
挿入または欠失により、動物、子孫、または細胞による実質的に機能的でないCD163タンパク質の産生という結果になり得る。「実質的に機能的でないCD163タンパク質」により、動物、子孫、または細胞におけるCD163タンパク質のレベルが検出不能である、または検出可能である場合、挿入または欠失を含まない動物、子孫、または細胞において観察されるレベルより少なくとも約90%低いことが意味される。
【0101】
動物、子孫、または細胞がブタ動物、子孫、または細胞を含む場合、改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロン、またはそれらの組み合わせにおける改変を含むことができる。改変染色体配列は好適に、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変を含む。
【0102】
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変は、欠失(例えば、エクソン7におけるインフレーム欠失)を含むことができる。あるいは、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変は挿入を含むことができる。
【0103】
ブタ動物、子孫、または細胞のいずれにおいても、改変染色体配列は、SEQ ID NO:118を含むことができる。あるいは、改変染色体配列は下記からなる群より選択される改変を含むことができる:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べてヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,147までの124塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147とヌクレオチド3,148の間の1塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,159までの130塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,161までの132塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;またはそれらの組み合わせ。
【0104】
例えば、改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失を含むことができる。
【0105】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失を含むことができる。
【0106】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,147までの124塩基対欠失を含むことができる。
【0107】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失を含むことができる。
【0108】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147と3,148の間の1塩基対挿入を含むことができる。
【0109】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,159までの130塩基対欠失を含むことができる。
【0110】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,161までの132塩基対欠失を含むことができる。
【0111】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失を含むことができる。
【0112】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入を含むことができる。
【0113】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失を含むことができる。
【0114】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失を含むことができる。
【0115】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失を含むことができる。
【0116】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失を含むことができ、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する。
【0117】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失を含むことができる。
【0118】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失を含むことができる。
【0119】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失を含むことができ、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる。
【0120】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失を含むことができる。
【0121】
改変は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失を含むことができる。
【0122】
ブタ動物、子孫、または細胞は、上記挿入および欠失の任意の組み合わせを含むことができる。
【0123】
SEQ ID NO:47は野生型ブタCD163遺伝子のエクソン7の3000塩基対(bp)上流から開始して、この遺伝子のエクソン10の最終塩基までの領域に対するヌクレオチド配列を提供する。SEQ ID NO:47は本明細書における参照配列として使用され、図16に示される。
【0124】
ブタ動物、子孫、または細胞が、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入を含む場合、2塩基対挿入はジヌクレオチドAGの挿入を含むことができる。
【0125】
ブタ動物、子孫、または細胞が、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147と3,148の間の1塩基対挿入を含む場合、1塩基対挿入は、単一アデニン残基の挿入を含むことができる。
【0126】
ブタ動物、子孫、または細胞が参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入を含む場合、7塩基対挿入は配列TACTACT(SEQ ID NO:115)を含むことができる。
【0127】
ブタ動物、子孫、または細胞が参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失を含み、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する場合、12塩基対挿入は配列TGTGGAGAATTC(SEQ ID NO:116)を含むことができる。
【0128】
ブタ動物、子孫、または細胞が参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失を含み、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる場合、11塩基対挿入は、配列AGCCAGCGTGC(SEQ ID NO:117)を含むことができる。
【0129】
CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列が欠失を含む場合、欠失は好ましくはインフレーム欠失を含む。インフレーム欠失は、トリプレット読み枠におけるシフトを引き起こさず、よって、1つ以上のアミノ酸の内部欠失を有するが、トランケートされていないタンパク質生成物が得られる欠失である。スプライシングが正しく起こると仮定すると、エクソン内の3塩基対または複数の3塩基対の欠失により、インフレーム突然変異が得られる。
【0130】
ブタ動物および細胞について本明細書で記載される下記INDELは、インフレーム欠失となると予測され、というのも、ブタCD163遺伝子のエクソン7内の欠失は3の倍数であるからである:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる;および、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失。
【0131】
したがって、ブタ動物、子孫、および細胞において、CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入または欠失は、下記からなる群より選択されるエクソン7におけるインフレーム欠失を含むことができる:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;およびそれらの組み合わせ。
【0132】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記からなる群より選択される挿入または欠失を含むことができる:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;およびそれらの組み合わせ。
【0133】
例えば、ブタ動物、子孫、または細胞は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失を含むことができる。
【0134】
ブタ動物、子孫、または細胞は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失を含むことができる。
【0135】
ブタ動物、子孫、または細胞は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失を含むことができる。
【0136】
ブタ動物、子孫、または細胞は、本明細書で記載される改変染色体配列の任意の組み合わせを含むことができる。
【0137】
例えば、ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0138】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる。
【0139】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0140】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0141】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0142】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0143】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0144】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する。
【0145】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0146】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0147】
ブタ動物、子孫、または細胞は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0148】
以上で記載される挿入または欠失のいずれかを含むブタ動物、子孫、または細胞は、挿入または欠失の外側で、SEQ ID NO:47に対して高度の配列同一性を有する染色体配列を含むことができる。よって、例えば、ブタ動物、子孫、または細胞は、挿入または欠失の外側の染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対し、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、または100%配列同一性を有する染色体配列を含むことができる。
【0149】
ブタ動物、子孫、または細胞は、SEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含む染色体配列を含むことができる。以下の実施例においてさらに記載されるように、SEQ ID NO.98~114、および119は、SEQ ID NO:47で提供される野生型ブタCD163の領域に対応する領域のためのヌクレオチド配列を提供し、本明細書で記載されるブタCD163染色体配列における挿入または欠失を含む。SEQ ID NO:118は、SEQ ID NO:47により提供される野生型ブタCD163の領域に対応する領域のための配列を提供し、ここで、エクソン7は、ヒトCD163様1タンパク質(hCD163L1)のSRCR8のホモログをコードする合成エクソンで置き換えられている。
【0150】
例えば、ブタ、子孫、動物または細胞は、SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含む染色体配列を含むことができる。SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、および114はブタCD163染色体配列のエクソン7におけるインフレーム欠失のためのヌクレオチド配列を提供する。
【0151】
別の例として、ブタ動物、子孫、または細胞は、SEQ ID NO:103、111、または119を含む染色体配列を含むことができる。
【0152】
ブタ動物、子孫、または細胞は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて11塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて2塩基対挿入かつ377塩基対欠失を含むことができる。
【0153】
ブタ動物、子孫、または細胞は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて124塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて123塩基対欠失を含むことができる。
【0154】
ブタ動物、子孫、または細胞は、1塩基対挿入を含むことができる。
【0155】
ブタ動物、子孫、または細胞は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて130塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて132塩基対欠失を含むことができる。
【0156】
ブタ動物、子孫、または細胞は、1506塩基対欠失を含むことができる。
【0157】
ブタ動物、子孫、または細胞は、7塩基対挿入を含むことができる。
【0158】
ブタ動物、子孫、または細胞は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて1280塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて1373塩基対欠失を含むことができる。
【0159】
ブタ動物、子孫、または細胞は、1467塩基対欠失を含むことができる。
【0160】
ブタ動物、子孫、または細胞は、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対イントロン6欠失、かつ、エクソン7におけるヌクレオチド4,488での12塩基対挿入および追加の129塩基対欠失を含むことができる。
【0161】
ブタ動物、子孫、または細胞は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて28塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて1387塩基対欠失を含むことができる。
【0162】
ブタ動物、子孫、または細胞は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、1382塩基対欠失、かつ11塩基対挿入、およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて1720塩基対欠失を含むことができる。
【0163】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む細胞のいずれも、精細胞を含むことができる。あるいは、これらの細胞のいずれも、卵細胞(例えば、受精卵)を含むことができる。
【0164】
CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む細胞のいずれも、体細胞を含むことができる。例えば、その細胞のいずれも、線維芽細胞(例えば、胎仔線維芽細胞)を含むことができる。
【0165】
CD163座位での核酸の標的組込み
CD163座位での外因性核酸の部位特異的な組込みは、当業者に知られている任意の技術により達成され得る。例えば、CD163座位での外因性核酸の組込みは、細胞(例えば、単離細胞または組織もしくは生物中の細胞)を、外因性核酸を含む核酸分子と接触させることを含むことができる。そのような核酸分子は、核酸分子と少なくとも1つのCD163座位の間の相同組換えを促進する、外因性核酸に隣接しているヌクレオチド配列を含むことができる。相同組換えを促進する、外因性核酸に隣接しているヌクレオチド配列は、CD163座位の内在性ヌクレオチドに相補的とすることができる。あるいは、相同組換えを促進する、外因性核酸に隣接しているヌクレオチド配列は、前に組み込んだ外因性ヌクレオチドに相補的とすることができる。複数の外因性核酸は、1つのCD163座位で、例えば遺伝子スタッキングで組み込むことができる。
【0166】
CD163座位での核酸の組込みは、宿主細胞の内在性細胞機構、例えば、例として、限定はされないが、内在性DNAおよび内在性リコンビナーゼ酵素により促進され(例えば、触媒され)得る。あるいは、CD163座位での核酸の組込みは、宿主細胞に提供される1つ以上の因子(例えば、ポリペプチド)により促進され得る。例えば、ヌクレアーゼ(複数可)、リコンビナーゼ(複数可)、および/またはリガーゼポリペプチドは、ポリペプチドを宿主細胞と接触させることにより、またはポリペプチドを宿主細胞内で発現させることにより、(独立して、またはキメラポリペプチドの一部として)提供され得る。したがって、少なくとも1つのヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、および/またはリガーゼポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、CD163座位で部位特異的に組み込まれる核酸と同時に、または連続して宿主細胞に導入され得、ここで、少なくとも1つのヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、および/またはリガーゼポリペプチドは、宿主細胞内でそのヌクレオチド配列から発現される。
【0167】
DNA結合ポリペプチド
部位特異的組込みは、例えば、宿主生物のゲノムにおける特定のヌクレオチド配列を認識し、これに結合することができる因子を使用することにより、達成することができる。例えば、多くのタンパク質は、部位特異的様式で、DNAを認識し、これに結合することができるポリペプチドドメインを含む。DNA結合ポリペプチドにより認識されるDNA配列は「標的」配列と呼ばれ得る。部位特異的様式で、DNAを認識し、これに結合することができるポリペプチドドメインは一般に、そのドメインが元々単離されたタンパク質以外のポリペプチドにおいて発現された場合であっても、正確に折り畳み、部位特異的様式でDNAに結合するように独立して機能する。同様に、DNA結合ポリペプチドによる認識および結合のための標的配列は、一般に、大きなDNA構造中に存在する場合であっても(例えば、染色体)、特に標的配列が位置する部位が可溶性細胞タンパク質に到達できることが知られているものである場合(例えば、遺伝子)、そのようなポリペプチドに認識され、結合され得る。
【0168】
天然に存在するタンパク質から同定されたDNA結合ポリペプチドは典型的には別々のヌクレオチド配列またはモチーフ(例えば、コンセンサス認識配列)に結合するが、異なるヌクレオチド配列またはモチーフを認識するように、多くのそのようなDNA結合ポリペプチドを改変するための方法が存在し、当技術分野で知られている。DNA結合ポリペプチドとしては、例えば、限定はされないが下記が挙げられる:ジンクフィンガーDNA結合ドメイン;ロイシンジッパー;UPA DNA結合ドメイン;GAL4;TAL;LexA;Tetリプレッサー;LacI;およびステロイドホルモン受容体。
【0169】
例えば、DNA結合ポリペプチドはジンクフィンガーとすることができる。個々のジンクフィンガーモチーフは、広範なDNA部位のいずれかを標的にし、これに特異的に結合するように設計させることができる。標準CysHis(ならびに非標準CysHis)ジンクフィンガーポリペプチドは、α-ヘリックスを標的DNA二重らせんの主溝に挿入することにより、DNAに結合する。ジンクフィンガーによるDNAの認識はモジュール式であり;各フィンガーが主として、標的内の3連続塩基対と接触し、ポリペプチド内の2、3の主要残基が認識を媒介する。ターゲティングエンドヌクレアーゼ中に複数のジンクフィンガーDNA結合ドメインを含めることにより、ターゲティングエンドヌクレアーゼのDNA-結合特異性がさらに増加され得る(および、よって、これにより付与される任意の遺伝子制御効果の特異性もまた、増加され得る)。例えば、Urnov et al. (2005) Nature 435:646-51を参照されたい。よって、1つ以上のジンクフィンガーDNA-結合ポリペプチドは、宿主細胞に導入されたターゲティングエンドヌクレアーゼが、宿主細胞のゲノム内で独特であるDNA配列と相互作用するように操作され、使用され得る。
【0170】
好ましくは、ジンクフィンガータンパク質は、選択標的部位に結合するように操作されているという点で、非天然由来である。例えば、Beerli et al. (2002) Nature Biotechnol. 20:135-141; Pabo et al. (2001) Ann. Rev. Biochem. 70:313-340; Isalan et al. (2001) Nature Biotechnol. 19:656-660; Segal et al. (2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12:632-637; Choo et al. (2000) Curr. Opin. Struct. Biol. 10:411-416;米国特許第6,453,242号;6,534,261号;6,599,692号;6,503,717号;6,689,558号;7,030,215号;6,794,136号;7,067,317号;7,262,054号;7,070,934号;7,361,635号;7,253,273号;および米国特許公開第2005/0064474号;2007/0218528号;2005/0267061号を参照されたい。
【0171】
操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然由来ジンクフィンガータンパク質と比べて、新規結合特異性を有することができる。操作方法としては、合理的設計および様々な型の選択が挙げられるが、それらに限定されない。合理的設計としては、例えば、トリプレット(またはクアドルプレット)ヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースの使用が挙げられ、この場合、各トリプレットまたはクアドルプレットヌクレオチド配列は特定のトリプレットまたはクアドルプレット配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と関連する。例えば、米国特許第6,453,242号および6,534,261号を参照されたい。
【0172】
例示的な選択方法、例えばファージディスプレイおよびツーハイブリッドシステムは、米国特許第5,789,538号;5,925,523号;6,007,988号;6,013,453号;6,410,248号;6,140,466号;6,200,759号;および6,242,568号;ならびにWO98/37186号;WO98/53057号;WO00/27878号;WO01/88197号およびGB2,338,237号に開示される。加えて、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の増強が、例えば、WO02/077227号において記載されている。
【0173】
加えて、これらのおよび他の参考文献において開示されているように、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガージンクフィンガータンパク質は、任意の好適なリンカー配列(例えば、5以上のアミノ酸の長さのリンカーを含む)を用いて一緒に連結され得る。6以上のアミノ酸の長さの例示的なリンカー配列については、米国特許第6,479,626号;6,903,185号;および7,153,949号もまた参照されたい。本明細書で記載されるタンパク質はタンパク質の個々のジンクフィンガーの間に好適なリンカーの任意の組み合わせを含み得る。
【0174】
標的部位の選択:ZFPおよび融合タンパク質(およびこれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築のための方法は当業者に知られており、下記において詳細に記載される:米国特許第6,140,0815;789,538号;6,453,242号;6,534,261号;5,925,523号;6,007,988号;6,013,453号;6,200,759号;WO95/19431号;WO96/06166号;WO98/53057号;WO98/54311号;WO00/27878号;WO01/60970号WO01/88197号;WO02/099084号;WO98/53058号;WO98/53059号;WO98/53060号;WO02/016536号およびWO03/016496号。
【0175】
加えて、これらのおよび他の参考文献において開示されているように、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガージンクフィンガータンパク質は、好適なリンカー配列(例えば、5以上のアミノ酸の長さのリンカーを含む)を用いて一緒に連結され得る。6以上のアミノ酸の長さの例示的なリンカー配列については、米国特許第6,479,626号;6,903,185号;および7,153,949号もまた参照されたい。本明細書で記載されるタンパク質はタンパク質の個々のジンクフィンガーの間に好適なリンカーの任意の組み合わせを含み得る。
【0176】
あるいは、DNA結合ポリペプチドはGAL4由来のDNA結合ドメインである。GAL4はサッカロマイセス・セレビシエにおけるモジュール式トランス活性化因子であるが、これはまた、多くの他の生物においても、トランス活性化因子として動作する。例えば、Sadowski et al. (1988) Nature 335:563-4を参照されたい。この制御システムでは、S.セレビシエにおけるガラクトース代謝経路の酵素をコードする遺伝子の発現は、入手可能な炭素源により厳密に制御される。Johnston (1987) Microbiol. Rev. 51:458-76。これらの代謝酵素の転写制御は、正の調節タンパク質、GAL4とGAL4が特異的に結合する17bp対称的DNA配列(上流活性化配列(UAS))の間の相互作用により媒介される。
【0177】
天然GAL4は881アミノ酸残基から構成され、分子量は99kDaである。GAL4は機能的に自立したドメインを含み、それらの活性の組み合わせが、インビボでのGAL4の活性を担う。Ma and Ptashne (1987) Cell 48:847-53);Brent and Ptashne (1985) Cell 43(3 Pt 2):729-36。GAL4のN末端65アミノ酸はGAL4 DNA結合ドメインを含む。Keegan et al. (1986) Science 231:699-704; Johnston (1987) Nature 328:353-5。配列特異的結合は、DNA結合ドメイン中に存在する6つのCys残基により配位された二価カチオンの存在を必要とする。配位されたカチオンを含むドメインは、DNAヘリックスの主溝との直接接触により、17bpUASの各端の保存されたCCGトリプレットと相互作用し、これを認識する。Marmorstein et al. (1992) Nature 356:408-14。タンパク質のDNA-結合機能は、C末端転写活性ドメインをプロモーターの近くに配置させ、よって、活性化ドメインは転写を指向させることができる。
【0178】
使用することができる追加のDNA結合ポリペプチドとしては、例えば、限定はされないが、下記が挙げられる:AVRBS3-誘導性遺伝子由来の結合配列;AVRBS3-誘導性遺伝子由来のコンセンサス結合配列またはこれから操作された合成結合配列(例えば、UPA DNA結合ドメイン);TAL;LexA(例えば、Brent&Ptashne(1985)、上記を参照されたい);LacR(例えば、Labow et al. (1990) Mol. Cell. Biol. 10:3343-56; Baim et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88(12):5072-6を参照されたい);ステロイドホルモン受容体(Ellliston et al. (1990) J. Biol. Chem. 265:11517-121);Tetリプレッサー(米国特許第6,271,341号)およびテトラサイクリン(Tc)が存在する場合、tetオペレーター配列に結合するが、存在しない場合、結合しない変異Tetリプレッサー;NF-κBのDNA結合ドメイン;およびWang et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(17):8180-4において記載される制御システムの構成要素(それは、GAL4、ホルモン受容体、およびVP16の融合を使用する)。
【0179】
本明細書で記載される方法および組成物において使用されるヌクレアーゼの1つ以上のDNA結合ドメインは、天然由来または操作された(非天然由来)TALエフェクターDNA結合ドメインを含むことができる。例えば、米国特許公開第2011/0301073号を参照されたい。
【0180】
あるいは、ヌクレアーゼは、CRISPR/Casシステムを含むことができる。そのようなシステムは、CRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)座位(システムのRNA成分をコードする)、およびCas(CRISPR関連)座位(タンパク質をコードする)を含む(Jansen et al., 2002. Mol. Microbiol. 43: 1565-1575; Makarova et al., 2002. Nucleic Acids Res. 30: 482-496; Makarova et al., 2006. Biol. Direct 1: 7; Haft et al., 2005. PLoS Comput. Biol. 1: e60)。微生物宿主におけるCRISPR座位は、Cas遺伝子ならびにCRISPR媒介核酸切断の特異性をプログラムすることができるノンコーディングRNA要素を含む。
【0181】
II型CRISPRは、最もよく特徴付けられたシステムの1つであり、標的DNA二本鎖切断を本質的に4連続工程で実施する。最初に、2つのノンコーディングRNA、pre-crRNAアレイおよびtracrRNAがCRISPR座位から転写される。第2に、tracrRNAはpre-crRNAのリピート領域にハイブリダイズし、pre-crRNAの個々のスペーサ配列を含む成熟crRNAへのプロセシングを媒介する。第3に、成熟crRNA:tracrRNA複合体は、Cas9を標的DNAに、crRNA上のスペーサと標的認識のための追加の必要条件であるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の隣の標的DNA上のプロトスペーサーの間のWastson-Crick塩基対形成により指向させる。最後に、Cas9は、標的DNAの切断を媒介し、プロトスペーサー内での二本鎖切断を生成させる。
【0182】
標的挿入および欠失を作製するためのCRISPR/Casシステムの使用では、2つのノンコーディングRNA(crRNAおよびTracrRNA)は、ガイドRNA(gRNA)と呼ばれる単一RNAにより置き換えられ得る。CRISPR/Casシステムの活性は3つの工程を含む:(i)「適応」と呼ばれるプロセスにおける、将来の攻撃を防止するための、外因性DNA配列のCRISPRアレイ中への挿入、(ii)関連タンパク質の発現、ならびにアレイの発現およびプロセシング、続いて(iii)外来核酸のRNA媒介干渉。細菌細胞では、いくつかのCasタンパク質がCRISPR/Casシステムの天然機能と関わり、例えば外来DNAの挿入などの機能において役割を果たす。
【0183】
Casタンパク質は、天然由来Casタンパク質の「機能誘導体」とすることができる。天然配列ポリペプチドの「機能誘導体」は、天然配列ポリペプチドと共通の質的生物学的特性を有する化合物である。「機能誘導体」としては、天然配列の断片ならびに天然配列ポリペプチドおよびその断片の誘導体が挙げられるが、それらに限定されず、ただし、それらが対応する天然配列ポリペプチドと共通の生物活性を有することを条件とする。本明細書で企図される生物活性は機能誘導体の、DNA基質を断片に加水分解する能力である。「誘導体」という用語はポリペプチドのアミノ酸配列バリアント、共有結合的修飾、およびそれらの融合物の両方を包含する。Casポリペプチドまたはその断片の好適な誘導体としてはCasタンパク質またはその断片の変異体、融合物、共有結合的修飾が挙げられるが、それらに限定されない。Casタンパク質(Casタンパク質またはその断片を含む)、ならびにCasタンパク質またはその断片の誘導体は、細胞から入手可能であり、または、化学的にもしくはこれらの2つの手順の組み合わせにより合成され得る。細胞は、自然にCasタンパク質を産生する細胞、または自然にCasタンパク質を産生し、内在性Casタンパク質をより高い発現レベルで産生するまたは外因的に導入された核酸(その核酸は、内在性Casと同じか異なるCasをコードする)からCasタンパク質を産生するように遺伝子操作されている細胞であってもよい。場合によっては、細胞は自然にCasタンパク質を産生せず、Casタンパク質を産生するように遺伝子操作される。
【0184】
DNA結合ポリペプチドは、宿主生物のゲノム核酸内に含まれる標的ヌクレオチド配列を特異的に認識し、これに結合することができる。いくつかの例において、標的ヌクレオチド配列のいくつもの別々の場合が宿主ゲノムにおいて見出され得る。標的ヌクレオチド配列は生物のゲノム内でまれであってもよい(例えば、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、約2、または約1より少ない標的配列のコピー(複数可)がゲノム内に存在し得る)。例えば、標的ヌクレオチド配列は、生物のゲノム内の特有部位に位置し得る。標的ヌクレオチド配列は、例えば、限定はされないが、ゲノムを通して、互いに関してランダムに分散されてもよく;ゲノム内の異なる連鎖群中に位置してもよく;同じ連鎖群に位置してもよく;異なる染色体上に位置してもよく;同じ染色体上に位置してもよく;生物内で同様の条件下(例えば、同じ、または実質的に機能的に同一な、制御因子の制御下)で発現される部位のゲノム中に位置してもよく;および、ゲノム内で互いに近接して位置してもよい(例えば、標的配列は、ゲノム座位でコンカテマーとして組み込まれた核酸内に含まれ得る)。
【0185】
ターゲティングエンドヌクレアーゼ
標的ヌクレオチド配列を特異的に認識し、これに結合するDNA結合ポリペプチドは、キメラポリペプチドで、標的配列への特異的結合を与えるように、キメラポリペプチド内に含ませることができる。例では、そのようなキメラポリペプチドは、例えば、限定はされないが、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、および/またはリガーゼポリペプチドを含むことができる。これらのポリペプチドは以上で説明されている。DNA結合ポリペプチドおよびヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、および/またはリガーゼポリペプチドを含むキメラポリペプチドはまた、他の機能性ポリペプチドモチーフおよび/またはドメイン、例えば、例として、限定はされないが、下記を含み得る:キメラタンパク質内の機能性ポリペプチド間に配置されたスペーサ配列;リーダーペプチド;融合タンパク質を小器官(例えば、核)に標的させるペプチド;細胞酵素により切断されるポリペプチド;ペプチドタグ(例えば、Myc、His、など);およびキメラポリペプチドの機能を妨害しない他のアミノ酸配列。
【0186】
キメラポリペプチド内の機能性ポリペプチド(例えば、DNA結合ポリペプチドおよびヌクレアーゼポリペプチド)は動作的に連結され得る。キメラポリペプチドの機能性ポリペプチドは、キメラタンパク質をコードするキメラ遺伝子を作製させるように、少なくとも、インフレームで互いに連結された機能性ポリペプチドをコードする単一ポリヌクレオチドからのそれらの発現により動作的に連結させることができる。あるいは、キメラポリペプチドの機能性ポリペプチドは、他の手段、例えば、独立して発現されるポリペプチドの架橋により、動作的に連結させることができる。
【0187】
標的ヌクレオチド配列を特異的に認識し、これに結合するDNA結合ポリペプチド、またはガイドRNAは天然単離タンパク質(またはその変異体)内に含ませることができ、ここで、天然単離タンパク質またはその変異体はまた、ヌクレアーゼポリペプチドを含む(および、リコンビナーゼおよび/またはリガーゼポリペプチドをも含み得る)。そのような単離タンパク質の例としては、TALEN、リコンビナーゼ(例えば、Cre、Hin、Tre、およびFLPリコンビナーゼ)、RNAガイドCRISPR/Cas9、およびメガヌクレアーゼが挙げられる。
【0188】
本明細書では、「ターゲティングエンドヌクレアーゼ」という用語は、DNA結合ポリペプチドまたはガイドRNAおよびヌクレアーゼポリペプチドを含む天然または操作された単離タンパク質およびその変異体、ならびにDNA結合ポリペプチドまたはガイドRNAおよびヌクレアーゼを含むキメラポリペプチドを示す。CD163座位内に含まれる標的ヌクレオチド配列を特異的に認識し、これに結合するDNA結合ポリペプチドまたはガイドRNAを含む任意のターゲティングエンドヌクレアーゼ(例えば、標的配列が座位の天然配列に含まれるため、または標的配列が、例えば、組換えにより座位に導入されているため)は使用することができる。
【0189】
好適なキメラポリペプチドのいくつかの例としては、限定はされないが、下記ポリペプチドの組み合わせが挙げられる:ジンクフィンガーDNA結合ポリペプチド;FokIヌクレアーゼポリペプチド;TALEドメイン;ロイシンジッパー;転写因子DNA-結合モチーフ;および、例えば、限定はされないが、TALEN、リコンビナーゼ(例えば、Cre、Hin、RecA、Tre、およびFLPリコンビナーゼ)、RNAガイドCRISPR/Cas9、メガヌクレアーゼから単離されたDNA認識および/または切断ドメイン;および当業者に知られている他のもの。特定例としては、部位特異的なDNA結合ポリペプチドおよびヌクレアーゼポリペプチドを含むキメラタンパク質が挙げられる。キメラポリペプチドは、キメラポリペプチドを対象となる特定のヌクレオチド配列に標的させるように、キメラポリペプチド内に含まれるDNA結合ポリペプチドの認識配列を変化させる当業者に知られた方法により操作され得る。
【0190】
キメラポリペプチドは、DNA結合ドメイン(例えば、ジンクフィンガー、TAL-エフェクタードメイン、など)およびヌクレアーゼ(切断)ドメインを含むことができる。切断ドメインは、DNA結合ドメイン、例えばジンクフィンガーDNA結合ドメインおよびヌクレアーゼ由来の切断ドメインまたはTALEN DNA結合ドメインおよび切断ドメイン、またはメガヌクレアーゼDNA結合ドメインおよび異なるヌクレアーゼ由来の切断ドメインに対して異種性であってもよい。異種性切断ドメインは任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得ることができる。切断ドメインを由来させることができる例示的なエンドヌクレアーゼとしては、制限エンドヌクレアーゼおよびホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、2002-2003 Catalogue, New England Biolabs, Beverly, Mass.;およびBelfort et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3379-3388を参照されたい。DNAを切断する追加の酵素が知られている(例えば、51ヌクレアーゼ;リョクトウヌクレアーゼ;膵臓DNAse I;小球菌ヌクレアーゼ;酵母HOエンドヌクレアーゼ;Linn et al. (eds.) Nucleases, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1993もまた、参照されたい)。これらの酵素(またはその機能的断片)の1つ以上は、切断ドメインおよび切断ハーフドメイン源として使用することができる。
【0191】
同様に、切断ハーフドメインは以上で明記される任意のヌクレアーゼまたはその一部由来とすることができ、切断活性のために二量体化が必要とされる。一般に、融合タンパク質が切断ハーフドメインを含む場合、2つの融合タンパク質が切断のために必要とされる。あるいは、2つの切断ハーフドメインを含む単一タンパク質が使用され得る。2つの切断ハーフドメインは同じエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)由来とすることができ、または各切断ハーフドメインは、異なるエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)由来とすることができる。加えて、2つの融合タンパク質のための標的部位は、好ましくは、互いに関して、2つの融合タンパク質の、それらの個々の標的部位への結合により、切断ハーフドメインが、互いに空間定位で置かれるように配置され、これにより、切断ハーフドメインは、例えば、二量体化により機能的切断ドメインを形成することができる。よって、標的部位の近端は5-8ヌクレオチドまたは15-18ヌクレオチドだけ分離させることができる。しかしながら、任意の整数のヌクレオチド、またはヌクレオチド対が2つの標的部位の間に(例えば、2~50ヌクレオチド対以上)介在することができる。一般に、切断部位は標的部位間に存在する。
【0192】
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は多くの種において存在し、DNA(認識部位で)に配列特異的結合し、結合部位で、またはその近くでDNAを切断することができ、例えば、それによって、1つ以上の外因性配列(ドナー/導入遺伝子)が結合(標的)部位で、またはその近くで組み込まれる。ある一定の制限酵素(例えば、IIS型)は、DNAを認識部位から引き離された部位で切断し、分離可能な結合および切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素FokIは、1つの鎖ではその認識部位から9ヌクレオチドで、もう一方ではその認識部位から13ヌクレオチドで、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号;5,436,150号および5,487,994号;ならびにLi et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4275-4279; Li et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2764-2768; Kim et al. (1994a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:883-887; Kim et al. (1994b) J. Biol. Chem. 269:31,978-31,982を参照されたい。よって、融合タンパク質は、少なくとも1つのIIS型制限酵素由来の切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)および1つ以上のジンクフィンガー結合ドメイン(操作されても、されなくてもよい)を含むことができる。
【0193】
例示的なIIS型制限酵素(その切断ドメインは結合ドメインとは分離可能である)はFokIである。この特定の酵素は二量体として活性である。Bitinaite et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10,570-10,575。したがって、本開示の目的のために、開示された融合タンパク質において使用されるFokI酵素の一部は切断ハーフドメインであると考えられる。よって、ジンクフィンガー-FokI融合物を用いた細胞配列の標的二本鎖切断および/または標的置き換えでは、2つの融合タンパク質(各々、FokI切断ハーフドメインを含む)は、触媒的に活性な切断ドメインを再構成するために使用することができる。あるいは、DNA結合ドメインおよび2つのFokI切断ハーフドメインを含む単一ポリペプチド分子もまた使用することができる。
【0194】
切断ドメインまたは切断ハーフドメインは、切断活性を保持する、または多量体化(例えば、二量体化)して、機能的切断ドメインを形成する能力を保持するタンパク質の任意の部分とすることができる。
【0195】
例示的なIIS型制限酵素は、米国特許公開第2007/0134796号において記載される。追加の制限酵素もまた、分離可能な結合および切断ドメインを含み、これらは本開示により企図される。例えば、Roberts et al. (2003) Nucleic Acids Res. 31:418-420を参照されたい。
【0196】
切断ドメインは、ホモ二量体化を最小に抑えるまたは防止する、1つ以上の操作された切断ハーフドメイン(二量体化ドメイン変異体とも呼ばれる)を含むことができ、例えば、米国特許公開第2005/0064474号;2006/0188987号および2008/0131962号に記載される。
【0197】
あるいは、ヌクレアーゼは、インビボで、核酸標的部位でいわゆる「開裂酵素」技術を使用して構築され得る(例えば米国特許公開第20090068164号を参照されたい)。そのような開裂酵素の構成要素は別々の発現コンストラクト上で発現され得、または、1つのオープンリーディングフレーム中で連結させることができ、この場合、個々の構成要素は、例えば、自己開裂2AペプチドまたはIRES配列により分離される。構成要素は、個々のジンクフィンガー結合ドメインまたはメガヌクレアーゼ核酸結合ドメインのドメインであってもよい。
【0198】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ
キメラポリペプチドは、標的とされる部位特異的な二本鎖DNA切断(そこには、外因性核酸、またはドナーDNAが組み込まれ得る)を送達させるように設計され得る特注設計のジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を含むことができる(US特許公開2010/0257638号を参照されたい)。ZFNは、制限エンドヌクレアーゼ(例えば、FokI)由来の非特異的切断ドメインおよびジンクフィンガーDNA結合ドメインポリペプチドを含むキメラポリペプチドである。例えば、Huang et al. (1996) J. Protein Chem. 15:481-9; Kim et al. (1997a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:3616-20; Kim et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:1156-60; Kim et al. (1994) Proc Natl. Acad. Sci. USA 91:883-7; Kim et al. (1997b) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:12875-9; Kim et al. (1997c) Gene 203:43-9; Kim et al. (1998) Biol. Chem. 379:489-95; Nahon and Raveh (1998) Nucleic Acids Res. 26:1233-9; Smith et al. (1999) Nucleic Acids Res. 27:674-81を参照されたい。ZFNは、非標準ジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むことができる(US特許公開2008/0182332号を参照されたい)。FokI制限エンドヌクレアーゼは、DNAを切断し、二本鎖切断を導入するために、ヌクレアーゼドメインを介して二量体化しなければならない。その結果として、そのようなエンドヌクレアーゼ由来のヌクレアーゼドメインを含むZFNはまた、標的DNAを切断するために、ヌクレアーゼドメインの二量体化を必要とする。Mani et al. (2005) Biochem. Biophys. Res. Commun. 334:1191-7; Smith et al. (2000) Nucleic Acids Res. 28:3361-9。ZFNの二量体化は、2つの隣接する、逆向きのDNA-結合部位により促進され得る。同上。
【0199】
外因性核酸の宿主の少なくとも1つのCD163座位中への部位特異的組込みのための方法は、宿主の細胞にZFNを導入することを含むことができ、ここで、ZFNは標的ヌクレオチド配列を認識し、これに結合し、ここで、標的ヌクレオチド配列は宿主の少なくとも1つのCD163座位内に含まれる。ある例では、標的ヌクレオチド配列は、宿主のゲノム内に、少なくとも1つのCD163座位以外の任意の位置で含まれていない。例えば、ZFNのDNA結合ポリペプチドは、少なくとも1つのCD163座位内で同定された(例えば、CD163座位を配列決定することにより)、標的ヌクレオチド配列を認識し、これに結合するように操作され得る。宿主の細胞中にZFNを導入することを含む、外因性核酸の、宿主の少なくとも1つのCD163性能座位への部位特異的組込みのための方法はまた、細胞に外因性核酸を導入することを含むことができ、ここで、少なくとも1つのCD163座位を含む宿主の核酸中への外因性核酸の組換えは、ZFNの標的配列の部位特異的な認識およびこれへの結合(およびCD163座位を含む核酸のその後の切断)により促進されされる。
【0200】
CD163座位での組込みのための任意的な外因性核酸
CD163座位での組込みのための外因性核酸は下記を含む:少なくとも1つのCD163座位における部位特異的組込みのための外因性核酸、例えば、限定はされないが、ORF;ターゲティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸;および前記のいずれかまたは両方の少なくとも1つを含むベクター。よって、特定の核酸は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、構造ヌクレオチド配列、および/またはDNA結合ポリペプチド認識および結合部位を含む。
【0201】
部位特異的組込みのための任意的な外因性核酸分子
上述のように、外因性配列(「ドナー配列」または「ドナー」または「導入遺伝子」とも呼ばれる)の挿入が、例えば、ポリペプチドの発現、変異遺伝子の修正または野生型遺伝子の発現の増加のために提供される。ドナー配列は、典型的には、それが配置された場所のゲノム配列と同一ではないことが容易に明らかになるであろう。ドナー配列は2つの相同領域と隣接している非相同配列を含むことができ、対象となる位置での効率的な相同組換え修復(HDR)が可能になる。加えて、ドナー配列は、細胞クロマチン内の対象となる領域と相同ではない配列を含むベクター分子を含むことができる。ドナー分子はいくつかの、不連続な細胞クロマチン相同領域を含むことができる。例えば、対象となる領域中に普通存在していない配列の標的挿入では、前記配列は、ドナー核酸分子中に存在し、対象となる領域中の配列と相同な領域と隣接することができる。
【0202】
ドナーポリヌクレオチドはDNAまたはRNA、一本鎖または二本鎖とすることができ、細胞中に直鎖または円形形態で導入することができる。例えば、米国特許公開第2010/0047805号、2011/0281361号、2011/0207221号、および2013/0326645号を参照されたい。直鎖形態で導入される場合、ドナー配列端部は、(例えば、エキソヌクレアーゼ分解から)当業者に知られた方法により保護することができる。例えば、1つ以上のジデオキシヌクレオチド残基が直鎖分子の3’末端に付加され、および/または自己相補的オリゴヌクレオチドが一端または両端に連結される。例えば、Chang et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4959-4963; Nehls et al. (1996) Science 272:886-889を参照されたい。外因性ポリヌクレオチドを分解から保護するための追加の方法としては、末端アミノ基(複数可)の付加および改変ヌクレオチド間結合、例えば、例として、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、およびO-メチルリボースまたはデオキシリボース残基の使用が挙げられるが、それらに限定されない。
【0203】
ポリヌクレオチドは、細胞に、追加の配列、例えば、例として、複製開始点、プロモーターおよび抗生物質耐性をコードする遺伝子を有するベクター分子の一部として導入させることができる。その上、ドナーポリヌクレオチドは、ネイキッド核酸として、リポソームまたはポロクサマーなどの作用物質と複合体化された核酸として導入させることができ、またはウイルス(例えば、アデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、レンチウイルスおよびインテグラーゼ欠損型レンチウイルス(IDLV))により送達させることができる。
【0204】
ドナーは、一般に、その発現が組込み部位の内在性プロモーター、すなわちドナーが組み込まれる内在性遺伝子(例えば、CD163)の発現を駆動するプロモーターにより駆動されるように組み込まれる。しかしながら、ドナーはプロモーターおよび/またはエンハンサー、例えば構成的プロモーターまたは誘導性もしくは組織特異的プロモーターを含み得ることは明らかであろう。
【0205】
さらに、発現には必要とされないが、外因性配列はまた、転写または翻訳調節配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、インスレーター、配列内リボソーム進入部位、2Aペプチドをコードする配列および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。
【0206】
CD163座位を改変するために、部位特異的様式で少なくとも1つのCD163座位に組み込まれ得る外因性核酸としては、例えば、限定はされないが、対象となるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸;農学遺伝子を含む核酸;RNAi分子をコードするヌクレオチド配列を含む核酸;またはCD163遺伝子を破壊する核酸が挙げられる。
【0207】
外因性核酸は、CD163座位を改変するように、CD163座位で組み込ませることができ、ここで、核酸は対象となるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、そのため、ヌクレオチド配列が宿主においてCD163座位から発現される。いくつかの例において、対象となるポリペプチド(例えば、外来タンパク質)は、対象となるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列から、商業的量で発現される。そのような例では、対象となるポリペプチドは、宿主細胞、組織、またはバイオマスから抽出され得る。
【0208】
ターゲティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子
ターゲティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列は、ターゲティングエンドヌクレアーゼ内に含まれるポリペプチドをコードする天然ヌクレオチド配列の操作(例えば、ライゲーション)により操作することができる。例えば、DNA結合ポリペプチドを含むタンパク質をコードする遺伝子のヌクレオチド配列は、DNA結合ポリペプチドに対応する遺伝子のヌクレオチド配列を同定するために検査され得、そのヌクレオチド配列は、DNA結合ポリペプチドを含むターゲティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列の要素として使用され得る。あるいは、ターゲティングエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列は、例えば、遺伝コードの縮重に従い、ターゲティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を推定するために使用され得る。
【0209】
ターゲティングエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む例示的な核酸分子では、ヌクレアーゼポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列の最後のコドン、およびDNA結合ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列の最初のコドンは、任意の数のヌクレオチドトリプレットにより、例えば、イントロンまたは「STOP」をコードすることなく分離され得る。同様に、DNA結合ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列の最後のコドン、およびヌクレアーゼポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列の最初のコドンは、任意の数のヌクレオチドトリプレットにより分離され得る。ヌクレアーゼポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド配列の最後のコドン(すなわち、核酸配列における最も3’側)、およびDNA結合ポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチド配列は、これに直接近接し、またはわずか短ペプチド配列、例えば合成ヌクレオチドリンカー(例えば、融合を達成するために使用され得るヌクレオチドリンカー)によりコードされるものによりそこから分離された、さらなるポリヌクレオチドコード配列の最初のコドンと、相一致で(フェイズレジスターで:in phase-register)融合させることができる。そのようなさらなるポリヌクレオチド配列の例としては、例えば、限定はされないが、タグ、ターゲティングペプチド、および酵素切断部位が挙げられる。同様に、第1および第2のポリヌクレオチド配列の最も5’側(核酸配列における)の最初のコドンは、これに直接近接し、またはわずか短ペプチド配列によりそこから分離された、さらなるポリヌクレオチドコード配列の最後のコドンと、相一致で融合され得る。
【0210】
ターゲティングエンドヌクレアーゼ内の機能性ポリペプチド(例えば、DNA結合ポリペプチドおよびヌクレアーゼポリペプチド)をコードするポリヌクレオチド配列を分離する配列は、例えば、任意の配列から構成することができ、そのため、コードされたアミノ酸配列は、ターゲティングエンドヌクレアーゼの翻訳を著しく変更させる可能性は低い。公知のヌクレアーゼポリペプチドおよび公知のDNA結合ポリペプチドの自立した性質のために、介在配列はこれらの構造の個々の機能を妨害しないであろう。
【0211】
他のノックアウト方法
当技術分野で知られている様々な他の技術を使用して、遺伝子を不活性化し、ノックアウト動物を作製することおよび/または核酸コンストラクトを動物に導入し、ファウンダー動物を作製し、動物系統を生成させることができ、ここで、ノックアウトまたは核酸コンストラクトはゲノムに組み込まれる。そのような技術としては、限定はされないが、前核マイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号)、生殖系列へのレトロウイルス媒介遺伝子導入(Van der Putten et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-1652)、胚性幹細胞への遺伝子ターゲティング(Thompson et al. (1989) Cell 56, 313-321)、胚の電気穿孔(Lo (1983) Mol. Cell. Biol. 3, 1803-1814)、精子-媒介遺伝子導入(Lavitrano et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 14230-14235; Lavitrano et al. (2006) Reprod. Fert. Develop. 18, 19-23)、および体細胞、例えば卵丘または乳房細胞、または成体、胎仔、もしくは胚性幹細胞のインビトロ形質転換、続いて核移植(Wilmut et al. (1997) Nature 385, 810-813;およびWakayama et al. (1998) Nature 394, 369-374)が挙げられる。前核マイクロインジェクション、精子媒介遺伝子導入、および体細胞核移植は特に有用な技術である。ゲノム的に改変された動物は、その生殖系列細胞を含むその細胞のすべてが遺伝子改変を有する動物である。その遺伝子改変においてモザイクである動物を作製する方法が使用される場合、動物は近交系であってもよく、ゲノム的に改変された後代が選択され得る。その細胞が胚盤胞状態で改変される場合、例えば、クローニングを使用して、モザイク動物を作製してもよく、または単一細胞が改変される場合、ゲノム改変が起こり得る。性的に成熟しないように改変された動物は、使用される特定のアプローチによって、改変についてホモ接合性またはヘテロ接合性とすることができる。特定の遺伝子がノックアウト改変により不活性化される場合、ホモ接合性が普通要求されるであろう。特定の遺伝子がRNA干渉またはドミナントネガティブ戦略により不活性化される場合、そうすると、ヘテロ接合性がしばしば十分である。
【0212】
典型的には、胚/接合体マイクロインジェクションでは、核酸コンストラクトまたはmRNAが、受精卵に導入される;1または2細胞受精卵が、原形質内で視認可能な、精子頭部および卵由来の遺伝子材料を含む核構造として使用される。前核段階の受精卵は、インビトロまたはインビボで入手可能である(すなわち、ドナー動物の卵管から外科的に回収される)。体外受精卵は下記の通りに作製することができる。例えば、ブタ卵巣は、屠殺場で収集し、輸送中、22~28℃で維持することができる。卵巣は、卵胞吸引のために洗浄し、単離することができ、4~8mmの範囲の卵胞を、50mL円錐遠心管中に、18ゲージ針を用いて、真空下で吸引することができる。卵胞液および吸引された卵母細胞はプリフィルタを通して市販のTL-HEPES(Minitube, Verona, Wis.)でリンスすることができる。緻密な卵丘塊に囲まれた卵母細胞を選択し、0.1mg/mLシステイン、10ng/mL上皮成長因子、10%ブタ卵胞液、50μMの2-メルカプトエタノール、0.5mg/mlのcAMP、10IU/mLの妊馬血清性ゴナドトロピン(PMSG)およびヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の各々が補充されたTCM-199卵母細胞成熟培地(Minitube, Verona, Wis.)中におよそ22時間の間、加湿空気中38.7℃および5%COで入れることができる。その後、卵母細胞は新鮮TCM-199成熟培地(cAMP、PMSGまたはhCGを含まない)に移動させ、さらに22時間の間インキュベートさせることができる。成熟卵母細胞は、0.1%ヒアルロニダーゼ中で1分間ボルテックスさせることにより、それらの卵丘細胞を取り除くことができる。
【0213】
ブタでは、成熟卵母細胞は、Minitube5ウェル受精ディッシュにおける500μl Minitube PORCPRO IVF培地系(Minitube, Verona, Wis.)中で受精させることができる。体外受精(IVF)に備えて、新たに収集した、または凍結した雄豚精液は、洗浄し、PORCPRO IVF培地中に400,000精子まで再懸濁させることができる。精子濃度はコンピュータ支援精液分析(SPERMVISION, Minitube, Verona, Wis.)により分析することができる。最終インビトロ精子注入は10μl体積中、雄豚によって、およそ40の運動精子/卵母細胞の最終濃度で実行することができる。全ての受精卵母細胞は、38.7℃で5.0%CO雰囲気において、6時間の間インキュベートすることができる。精子注入後6時間に、予定接合体は、2回NCSU-23中で洗浄し、0.5mLの同じ培地に移動させることができる。このシステムは、20~30%の胚盤胞をルーチン的にほとんどの雄豚にわたって、10~30%の多精受精精子注入率で作製することができる。
【0214】
直線化核酸コンストラクトまたはmRNAは前核の1つまたは細胞質中に注入することができる。その後、注入された卵は、雌レシピエント(例えば、雌レシピエントの卵管中)に移植することができ、雌レシピエント中で発育させることができ、トランスジェニックまたは遺伝子編集動物が作製される。特に、体外受精された胚は15,000×gで5分間遠心分離し、脂質を沈降させることができ、前核の可視化が可能になる。胚はEppendorf FEMTOJETインジェクターを用いて注入することができ、胚盤胞形成まで培養することができる。胚卵割および胚盤胞形成の速度および特性は記録することができる。
【0215】
胚は、非同期性レシピエントの子宮に、外科的に移植することができる。典型的には、100~200(例えば、150~200)の胚は卵管の膨大部-峡部接合部に5.5インチTOMCAT(登録商標)カテーテルを用いて置くことができる。外科手術後、妊娠のリアルタイム超音波検査を実行することができる。
【0216】
体細胞核移植では、上記核酸コンストラクトを含むトランスジェニックまたは遺伝子編集細胞、例えば胚割球、胎仔線維芽細胞、成体耳線維芽細胞、または顆粒膜細胞は、除核卵母細胞に導入させることができ、複合細胞が確立される。卵母細胞は極体近くで透明帯部分切開し、その後、細胞質を切開エリアで押し出すことにより除核することができる。典型的には、鋭い斜角先端を有するインジェクションピペットが使用され、トランスジェニックまたは遺伝子編集細胞が減数分裂2期で停止された除核卵母細胞に注入される。いくつかの会議では、減数分裂2期で停止された卵母細胞は卵と呼ばれる。ブタまたはウシ胚を作製した後(例えば、卵母細胞を融合させ、活性化させることにより)、胚は雌レシピエントの卵管に活性化後約20~24時間に移植される。例えば、Cibelli et al. (1998) Science 280, 1256-1258および米国特許第6,548,741号、7,547,816号、7,989,657号、または6,211,429号を参照されたい。ブタでは、雌レシピエントは、胚の移植後およそ20~21日に、妊娠についてチェックすることができる。
【0217】
標準繁殖技術を使用して、最初のヘテロ接合性ファウンダー動物由来の不活性化遺伝子についてホモ接合性である動物を作製することができる。しかしながら、ホモ接合性は必要とされない可能性がある。本明細書で記載される遺伝子編集ブタは、対象となる他のブタと共に繁殖させることができる。
【0218】
遺伝子編集動物が作製されるとすぐに、内在性核酸の不活性化が標準技術を用いて評価され得る。初期スクリーニングは、サザンブロット解析により達成することができ、不活性化が起きたかどうかが決定される。サザン解析の説明については、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Press, Plainview;N.Y.のセクション9.37-9.52を参照されたい。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術もまた、初期スクリーニングにおいて使用することができる。PCRは、標的核酸が増幅される手順または技術を示す。一般に、対象となる領域の端からの、またはこれを超える配列情報が、増幅されるテンプレートの逆ストランドと配列が同一または同様であるオリゴヌクレオチドプライマーを設計するために使用される。PCRは、DNAならびにRNA由来の特定配列(全ゲノムDNAまたは全細胞RNA由来の配列を含む)を増幅するために使用することができる。プライマーは典型的には14~40ヌクレオチドの長さであるが、10ヌクレオチド~何百ものヌクレオチドの長さの範囲とすることができる。PCRは、例えば、PCR Primer: A Laboratory Manual, ed. Dieffenbach and Dveksler, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995において記載される。核酸はまた、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、自家持続配列複製、または核酸配列ベース増幅により増幅させることができる。例えば、Lewis (1992) Genetic Engineering News 12,1; Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874;およびWeiss (1991) Science 254:1292を参照されたい。胚盤胞期では、胚は、PCR、サザンハイブリダイゼーションおよびsplinkerette PCRにより、分析のために個々に処理することができる(例えば、Dupuy et al. Proc Natl Acad Sci USA (2002) 99:4495を参照されたい)。
【0219】
干渉RNA
様々な干渉RNA(RNAi)システムが知られている。二本鎖RNA(dsRNA)は、相同遺伝子転写物の配列特異的分解を誘導する。RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)はdsRNAを、小さな21~23ヌクレオチド低分子干渉RNA(siRNA)に代謝する。RISCは二本鎖RNAse(dsRNAse、例えば、ダイサー)およびssRNAse(例えば、アルゴノート2またはAgo2)を含む。RISCはアンチセンス鎖を、切断可能な標的を見出すガイドとして利用する。siRNAおよびmicroRNA(miRNA)はどちらも知られている。遺伝学的に編集される動物において遺伝子を不活性化する方法は、標的遺伝子および/または核酸の発現が低減されるように、標的遺伝子および/または核酸に対するRNA干渉を誘導することを含む。
【0220】
例えば、外因性核酸配列は、ポリペプチドをコードする核酸に対するRNA干渉を誘導することができる。例えば、標的DNAに相同な二本鎖低分子干渉RNA(siRNA)または低分子ヘアピン型RNA(shRNA)を使用して、そのDNAの発現を低減させることができる。siRNAのためのコンストラクトは、例えば、Fire et al. (1998) Nature 391:806; Romano and Masino (1992) Mol. Microbiol. 6:3343; Cogoni et al. (1996) EMBO J. 15:3153; Cogoni and Masino (1999) Nature 399:166; Misquitta and Paterson (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:1451;およびKennerdell and Carthew (1998) Cell 95:1017において記載されるように作製することができる。shRNAのためのコンストラクトは、McIntyre and Fanning (2006) BMC Biotechnology 6:1により記載されるように作製することができる。一般に、shRNAは相補領域を含む一本鎖RNA分子として転写され、これは、アニールし、低分子ヘアピンを形成することができる。
【0221】
特定遺伝子に配向される単一の、個々の機能性siRNAまたはmiRNAを見出す確率は高い。siRNAの特定配列の予測性は、例えば、約50%であるが、多くの干渉RNAが、それらの少なくとも1つが有効であるという良好な確実性で作製され得る。
【0222】
CD163をコードする遺伝子に向けられるRNAiを発現するインビトロ細胞、インビボ細胞、または遺伝学的に編集された動物、例えば家畜動物が使用され得る。RNAiは、例えば、siRNA、shRNA、dsRNA、RISCおよびmiRNAからなる群より選択され得る。
【0223】
誘導システム
CD163遺伝子を不活性化するために、誘導システムが使用され得る。遺伝子の不活性化の空間的および時間的な制御を可能にする様々な誘導システムが知られている。いくつかが、ブタ動物においてインビボで機能的であることが証明されている。
【0224】
誘導システムの一例はテトラサイクリン(tet)-onプロモーターシステムであり、これは核酸の転写を調節するために使用することができる。このシステムでは、変異Tetリプレッサー(TetR)が、単純ヘルペスウイルスVP16トランス活性化因子タンパク質の活性化ドメインに融合され、テトラサイクリン制御転写活性化因子(tTA)が作製され、これはtetまたはドキシサイクリン(dox)により調節される。抗生物質がない場合、転写は最小となり、一方、tetまたはdoxの存在下では、転写が誘導される。別の誘導システムとしては、エクジソンまたはラパマイシンシステムが挙げられる。エクジソンは昆虫脱皮ホルモンであり、その産生はエクジソン受容体およびウルトラスピラクル遺伝子(USP)の産物のヘテロ二量体により制御される。発現は、エクジソンまたはエクジソンの類似体、例えばムリステロンAによる処理により誘導される。誘導システムを始動させるために動物に投与される作用物質は誘導剤と呼ばれる。
【0225】
テトラサイクリン誘導システムおよびCre/loxPリコンビナーゼシステム(恒常的または誘導性)はより一般的に使用される誘導システムの1つである。テトラサイクリン誘導システムはテトラサイクリン制御トランス活性化因子(tTA)/リバースtTA(rtTA)を含む。これらのシステムをインビボで使用するための方法は2系統の遺伝学的に編集された動物を作製することを含む。1つの動物系統は、選択されたプロモーターの制御下で活性化因子(tTA、rtTA、またはCreリコンビナーゼ)を発現する。別の系統の動物は、受容体を発現し、この場合、対象となる遺伝子(または改変される遺伝子)の発現はtTA/rtTAトランス活性化因子のための標的配列の制御下にある(またはloxP配列と隣接している)。動物の2つを交配させると、遺伝子発現の制御が提供される。
【0226】
テトラサイクリン依存性制御システム(tetシステム)は、2つの成分、すなわち、テトラサイクリン制御トランス活性化因子(tTAまたはrtTA)および、テトラサイクリン依存性様式で、下流cDNAの発現を制御するtTA/rtTA依存性プロモーターに依存する。テトラサイクリンまたはその誘導体(例えば、ドキシサイクリン)がない場合、tTAはtetO配列に結合し、tTA依存性プロモーターの転写活性化を可能にする。しかしながら、ドキシサイクリンの存在下では、tTAはその標的と相互作用することができず、転写はおこらない。tTAを使用するtetシステムは、tet-OFFと呼ばれ、というのも、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンは転写の下方制御を可能にするからである。テトラサイクリンまたはその誘導体の投与はインビボでの導入遺伝子発現の時間的制御を可能にする。rtTAは、ドキシサイクリンがないと機能的ではないが、トランス活性化のためのリガンドの存在を必要とするtTAのバリアントである。そのため、このtetシステムはtet-ONと呼ばれる。tetシステムは、例えば、レポーター遺伝子、発癌遺伝子、またはシグナル伝達カスケードに関与するタンパク質をコードするいくつかの導入遺伝子の誘導発現のためにインビボで使用されている。
【0227】
Cre/loxシステムはCreリコンビナーゼを使用し、これは2つの遠いCre認識配列、すなわち、loxP部位間のクロスオーバーによる部位特異的な組換えを触媒する。2つのloxP配列間に導入されるDNA配列(floxed DNAと呼ばれる)はCre媒介組換えにより切り取られる。空間的制御(組織または細胞特異的プロモーターによる)、または時間的制御(誘導システムによる)のいずれかを用いた、トランスジェニックおよび/または遺伝子編集動物におけるCre発現の制御により、2つのloxP部位間のDNA切り取りの制御が得られる。1つの適用はコンディショナル遺伝子不活性化(コンディショナルノックアウト)のためである。別の適用はタンパク質過剰発現のためであり、ここで、floxed終止コドンは、プロモーター配列と対象となるDNAの間に挿入される。遺伝学的に編集された動物は、Creが発現され、floxed終止コドンの切り取りに至るまで導入遺伝子を発現しない。このシステムは組織特異的発癌に適用され、Bリンパ球におけるアンチジーン受容体発現を制御してきた。誘導性Creリコンビナーゼもまた開発された。誘導性Creリコンビナーゼは外因性リガンドの投与によってのみ活性化される。誘導性Creリコンビナーゼは元のCreリコンビナーゼおよび特異的リガンド結合ドメインを含む融合タンパク質である。Creリコンビナーゼの機能活性は、融合タンパク質内のこの特異ドメインに結合することができる外部リガンドに依存する。
【0228】
誘導システムの制御下でCD163遺伝子を含む、インビトロ細胞、インビボ細胞、または遺伝学的に編集された動物、例えば家畜動物が使用され得る。動物の遺伝子改変は、ゲノムでもモザイクでもよい。誘導システムは、例えば、Tet-On、Tet-Off、Cre-lox、およびHif1αからなる群より選択され得る。
【0229】
ベクターおよび核酸
様々な核酸が、細胞ノックアウト目的のために、遺伝子の不活性化のために、遺伝子の発現を得るために、または他の目的のために導入され得る。本明細書では、核酸という用語はDNA、RNA、および核酸類似体、および二本鎖または一本鎖(すなわち、センスまたはアンチセンス一本鎖)である核酸を含む。核酸類似体は、例えば、核酸の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解度を改善させるために、塩基部分、糖部分、またはリン酸バックボーンで改変することができる。塩基部分での改変としては、デオキシチミジンに対するデオキシウリジン、ならびにデオキシシチジンに対する5-メチル-2’-デオキシシチジンおよび5-ブロモ-2’-デオキシシチジンが挙げられる。糖部分の改変としては、2’-O-メチルまたは2’-O-アリル糖を形成するためのリボース糖の2’ヒドロキシルの改変が挙げられる。デオキシリボースリン酸バックボーンは、モルホリノ核酸(この場合、各塩基部分は6員、モルホリノ環に連結される)、またはペプチド核酸(この場合、デオキシリン酸バックボーンは疑似ペプチドバックボーンにより置き換えられ、4つの塩基は保持される)を生成させるように改変することができる。Summerton and Weller (1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7(3):187;およびHyrup et al. (1996) Bioorgan. Med. Chem. 4:5を参照されたい。加えて、デオキシリン酸バックボーンは、例えば、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエートバックボーン、ホスホロアミダイト、またはアルキルホスホトリエステルバックボーンで置き換えることができる。
【0230】
標的核酸配列はプロモーターなどの調節領域に作動可能に連結させることができる。調節領域はブタ調節領域とすることができ、または他の種由来とすることができる。本明細書では、作動可能に連結されたとは、標的核酸の転写を可能にする、または促進するような、核酸配列に対する調節領域の配置を示す。
【0231】
任意の型のプロモーターを、標的核酸配列に作動可能に連結させることができる。プロモーターの例としては、限定はされないが、組織特異的プロモーター、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、および特定の刺激に対して応答性または無応答性のプロモーターが挙げられる。好適な組織特異的プロモーターは、β細胞における核酸転写物の優先的発現という結果を与えることができ、例えば、ヒトインスリンプロモーターが挙げられる。他の組織特異的プロモーターは、例えば、肝細胞または心臓組織における優先的発現という結果を与えることができ、それぞれ、アルブミンまたはα-ミオシン重鎖プロモーターが挙げられる。著しい組織または時間特異性なしで、核酸分子の発現を促進するプロモーターが(すなわち、構成的プロモーター)使用され得る。例えば、βアクチンプロモーター、例えばニワトリβアクチン遺伝子プロモーター、ユビキチンプロモーター、miniCAGsプロモーター、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、または3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、ならびにウイルスプロモーター、例えば単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)プロモーター、SV40プロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターが使用され得る。例えば、ニワトリβアクチン遺伝子プロモーターとCMVエンハンサーの融合物が、プロモーターとして使用され得る。例えば、Xu et al. (2001) Hum. Gene Ther. 12:563;およびKiwaki et al. (1996) Hum. Gene Ther. 7:821を参照されたい。
【0232】
核酸コンストラクトで有用となり得る追加の調節領域としては、ポリアデニル化配列、翻訳制御配列(例えば、配列内リボソーム進入セグメント、IRES)、エンハンサー、誘導要素、またはイントロンが挙げられるが、それらに限定されない。そのような調節領域は必須ではないかもしれないが、それらは、転写、mRNAの安定性、翻訳効率、などに影響することにより、発現を増加させることができる。そのような調節領域は、要望通り、細胞(複数可)において核酸の最適発現を得るために、核酸コンストラクトに含めることができる。しかしながら、十分な発現は、時として、そのような追加の要素なしで得ることができる。
【0233】
シグナルペプチドまたは選択可能なマーカーをコードする核酸コンストラクトが使用され得る。シグナルペプチドは、コードされたポリペプチドが特定の細胞位置(例えば、細胞表面)に指向されるように使用することができる。選択可能なマーカーの非限定的な例としては、ピューロマイシン、ガンシクロビル、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo、G418、APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ(phosphtransferase)、チミジンキナーゼ(TK)、およびキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)が挙げられる。そのようなマーカーは、培養下の安定な形質転換体を選択するのに有用である。他の選択可能なマーカーとしては蛍光ポリペプチド、例えば緑色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質が挙げられる。
【0234】
選択可能なマーカーをコードする配列は、例えば、CreまたはFlpなどのリコンビナーゼに対する認識配列と隣接することができる。例えば、選択可能なマーカーは、loxP認識部位(Creリコンビナーゼにより認識される34bp認識部位)またはFRT認識部位と隣接することができ、そのため、選択可能なマーカーはコンストラクトから切り取ることができる。Cre/lox技術の再調査のためには、Orban, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (1992) 89:6861およびBrand and Dymecki, Dev. Cell (2004) 6:7を参照されたい。選択可能なマーカー遺伝子により中断されたCre-またはFlp-活性化可能導入遺伝子を含むトランスポゾンもまた、導入遺伝子のコンディショナル発現を有する動物を得るために使用することができる。例えば、マーカー/導入遺伝子の発現を駆動するプロモーターは、遍在性または組織特異的のいずれかとすることができ、これにより、F0動物(例えば、ブタ)におけるマーカーの遍在性または組織特異的発現が得られるであろう。導入遺伝子の組織特異的活性化は、例えば、マーカー中断導入遺伝子を遍在的に発現するブタを、CreまたはFlpを組織特異的様式で発現するブタに交配させることにより、またはマーカー中断導入遺伝子を組織特異的様式で発現するブタを、CreまたはFlpリコンビナーゼを遍在的に発現するブタに交配させることにより達成することができる。導入遺伝子の制御発現またはマーカーの制御された切り取りは、導入遺伝子の発現を可能にする。
【0235】
外因性核酸は、ポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドをコードする核酸配列は、コードされたポリペプチドのその後の操作を促進する(例えば、局在化または検出を促進する)ように設計された「tag」をコードするtag配列を含むことができる。tag配列は、コードされたtagがポリペプチドのカルボキシルまたはアミノ末端のいずれかに配置されるように、ポリペプチドをコードする核酸配列に挿入することができる。コードされたタグの非限定的な例としては、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)およびFLAG(商標)tag(Kodak, New Haven, Conn.)が挙げられる。
【0236】
核酸コンストラクトはSssI CpGメチラーゼ(New England Biolabs, Ipswich, Mass.)を用いてメチル化することができる。一般に、核酸コンストラクトは、S-アデノシルメチオニンおよびSssI CpG-メチラーゼと共に緩衝液中、37℃でインキュベートすることができる。過剰メチル化は、コンストラクトを1単位のHinP1Iエンドヌクレアーゼと1時間の間37℃でインキュベートし、アガロースゲル電気泳動によりアッセイすることにより確認することができる。
【0237】
核酸コンストラクトは、任意の型の胚性、胎仔、成体動物細胞、例えば、例として、生殖細胞、例えば卵母細胞または卵、前駆細胞、成体もしくは胚性幹細胞、始原生殖細胞、腎細胞、例えばPK-15細胞、島細胞、β細胞、肝細胞、または線維芽細胞、例えば、皮膚線維芽細胞に、様々な技術を用いて導入させることができる。技術の非限定的な例としては、トランスポゾンシステム、細胞に感染することができる組換えウイルス、またはリポソームまたは他の非ウイルス方法、例えば電気穿孔、マイクロインジェクション、またはリン酸カルシウム沈殿が挙げられ、それらは、核酸を細胞に送達させることができる。
【0238】
トランスポゾンシステムでは、核酸コンストラクトの転写ユニット、すなわち、外因性核酸配列に作動可能に連結された調節領域は、トランスポゾンの逆方向反復と隣接している。いくつかのトランスポゾンシステム、例えば、例として、Sleeping Beauty(米国特許第6,613,752号および米国特許公開第2005/0003542号を参照されたい);Frog Prince(Miskey et al. (2003) Nucleic Acids Res. 31:6873);Tol2(Kawakami (2007) Genome Biology 8(Suppl.1):S7;Minos(Pavlopoulos et al. (2007) Genome Biology 8(Suppl.1):S2);Hsmar1(Miskey et al. (2007)) Mol Cell Biol. 27:4589);およびPassportが、核酸をマウス、ヒト、およびブタ細胞を含む細胞に導入するために開発されている。Sleeping Beautyトランスポゾンは特に有用である。トランスポサーゼは外因性核酸と同じ核酸コンストラクト上でコードされたタンパク質として送達させることができ、別々の核酸コンストラクト上で導入させることができ、またはmRNA(例えば、インビトロ転写およびキャップmRNA)として提供することができる。
【0239】
インスレーター要素もまた、外因性核酸の発現を維持するため、および宿主遺伝子の望まれない転写を阻止するために、核酸コンストラクトに含ませることができる。例えば、米国特許公開第2004/0203158号を参照されたい。典型的には、インスレーター配列は転写ユニットの両側に隣接し、トランスポゾンの逆方向反復の内部である。インスレーター配列の非限定的な例としては、マトリックス付着領域-(MAR)型インスレーター配列および境界型インスレーター配列が挙げられる。例えば、米国特許第6,395,549号、5,731,178号、6,100,448号、および5,610,053号、および米国特許公開第2004/0203158号を参照されたい。
【0240】
核酸は、ベクターに組み込むことができる。ベクターは広義語であり、キャリアから標的DNA中に移動するように設計された任意の特異的DNAセグメントを含む。ベクターは発現ベクター、またはベクターシステムと呼ばれてもよく、エピソーム、プラスミド、または実にウイルス/ファージDNAセグメントなどの、ゲノムまたは他の標的DNA配列へのDNA挿入を起こすの必要とされる1組の構成要素である。動物における遺伝子送達のために使用されるベクターシステム、例えばウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび組込みファージウイルス)、および非ウイルスベクター(例えば、トランスポゾン)は、2つの基本構成要素を有する:1)DNA(またはcDNAに逆転写されるRNA)から構成されるベクターおよび2)トランスポサーゼ、リコンビナーゼ、またはベクターおよびDNA標的配列の両方を認識し、ベクターを標的DNA配列中に挿入する他のインテグラーゼ酵素。ベクターは、ほとんどの場合、1つ以上の発現カセットを含み、これは1つ以上の発現制御配列を含み、ここで、発現制御配列は、それぞれ、別のDNA配列、またはmRNAの転写および/または翻訳を制御し、調節するDNA配列である。
【0241】
多くの異なる型のベクターが知られている。例えば、プラスミドおよびウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターが知られている。哺乳類発現プラスミドは典型的には複製開始点、好適なプロモーターおよび任意的なエンハンサー、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位、転写終止配列、および5’隣接非転写配列を有する。ベクターの例としては下記が挙げられる:プラスミド(これはまた、別の型のベクターのキャリアであってもよい)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス(例えば、改変HIV-1、SIVまたはFIV)、レトロウイルス(例えば、ASV、ALVまたはMoMLV)、およびトランスポゾン(例えば、Sleeping Beauty、P-エレメント、Tol-2、Frog Prince、piggyBac)。
【0242】
本明細書では、核酸という用語は、RNAおよびDNAの両方を示し、例えば、cDNA、ゲノムDNA、合成(例えば、化学合成された)DNA、ならびに天然由来および化学的に改変された核酸、例えば、合成塩基または別のバックボーンが挙げられる。核酸分子は二本鎖または一本鎖(すなわち、センスまたはアンチセンス一本鎖)とすることができる。
【0243】
ファウンダー動物、動物系統、形質、および繁殖
ファウンダー動物は、クローニングおよび本明細書で記載される他の方法により作製され得る。ファウンダーは、接合体または初代細胞がホモ接合性改変を受ける場合のように、遺伝子改変についてホモ接合性とすることができる。同様に、ヘテロ接合性であるファウンダーもまた、作製することができる。CD163タンパク質をコードする遺伝子において少なくとも1つの改変染色体配列を含む動物の場合、ファウンダーは好ましくはヘテロ接合性である。ファウンダーはゲノム的に改変されてもよく、細胞の全てがそれらのゲノムにおいて改変を受けていることを意味する。ファウンダーは、ベクターが胚内の複数の細胞の1つに、典型的には胚盤胞期に導入される場合に起こり得るように、改変についてモザイクとすることができる。モザイク動物の後代は、ゲノム的に改変されている後代を同定するために試験され得る。性的に、または生殖補助技術により繁殖させることができ、ヘテロまたはホモ接合性後代が一貫して改変を発現する動物のプールが作製された時に、動物系統が確立される。
【0244】
家畜では、多くのアレルが様々な形質、例えば生産形質、体型形質、加工性形質、および他の機能的形質に関連することが知られている。当業者はこれらの形質のモニタリングおよび定量に慣れている、例えば、Visscher et al., Livestock Production Science, 40 (1994) 123-137、米国特許第7,709,206号、US2001/0016315号、US2011/0023140号、およびUS2005/0153317号。動物系統は生産形質、体型形質、加工性形質、受精能形質、母形質、および耐病性形質からなる群における形質から選択される形質を含み得る。さらなる形質は組換え遺伝子産物の発現を含む。
【0245】
所望の1つまたは複数の形質を有する動物は、それらの性成熟を防止するように改変され得る。動物は成熟するまで繁殖不能であるので、動物の播種を制御する手段として、性的成熟を調節することができる。1つ以上の形質を有するように繁殖または改変された動物はこのように、レシピエントが動物を繁殖させ、形質の価値を占有するリスクが低減されたレシピエントに提供することができる。例えば、動物のゲノムは遺伝子改変させることができ、ここで、改変は性成熟遺伝子の不活性化を含み、ここで野生型動物における性成熟遺伝子は、性成熟に対して選択性の因子を発現する。動物は、動物において性成熟を誘導する遺伝子の発現の損失により引き起こされる欠乏を治療する化合物を投与することにより処置することができる。
【0246】
性的成熟を誘導するために化合物の投与を必要とする動物の繁殖は、便宜的に、処置施設で達成され得る。処置施設はコントロール良好の系統で標準化プロトコルを実行することができ、効率的に一貫した動物が作製される。動物後代は、飼育される複数の場所に分配され得る。農場および農夫(牧場および牧場主を含む用語)は、よって、特定範囲の年齢および/または体重および/または形質を有する所望の数の後代を注文し、所望の時間におよび/または場所で配達させることができる。レシピエント、例えば、農夫はその後、動物を飼育し、それらを、彼等が望む通り市場に配達することができる。
【0247】
不活性化性成熟遺伝子を有する遺伝子改変家畜動物は(例えば、1つ以上の場所、複数の農場)に配達することができる。動物は約1日~約180日の歳を有することができる。動物は1つ以上の形質(例えば、所望の形質または高値形質または新規形質または組換え形質を発現するもの)を有することができる。
【0248】
繁殖方法および感染に対する動物の抵抗性を増加させるための方法および動物の集団
病原体による感染に対する感受性が低減した動物または系統を作製するための繁殖方法が本明細書で提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を卵母細胞および精細胞の少なくとも1つに導入するように、卵母細胞または精細胞を遺伝子改変させること、ならびに卵母細胞を精細胞と受精させ、CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含む受精卵を作製することを含む。あるいは、方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を受精卵に導入するように、受精卵を遺伝子改変させることを含む。方法は、受精卵を代理雌動物に移植すること(ここで、妊娠および正期産により子孫動物が産生される);前記子孫動物を病原体に対する感受性についてスクリーニングすること;ならびにCD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含まない動物と比べて、病原体に対する感受性が低減した子孫動物を選択することをさらに含む。
【0249】
病原体による感染に対する感受性が低減した動物または系統を作製するための別の繁殖方法が提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を卵母細胞および精細胞の少なくとも1つに導入するように、卵母細胞または精細胞を遺伝子改変させること、ならびに卵母細胞を精細胞と受精させ、CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含む受精卵を作製することを含む。あるいは、方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を受精卵に導入するように、受精卵を遺伝子改変させることを含む。方法は、受精卵を代理雌動物に移植すること(ここで、妊娠および正期産により子孫動物が産生される);前記子孫動物を病原体に対する感受性についてスクリーニングすること;ならびにCD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含まない動物と比べて、病原体に対する感受性が低減した子孫動物を選択することをさらに含む。改変染色体配列により、子孫動物による実質的に機能的でないCD163タンパク質の産生が得られる。
【0250】
病原体による感染に対する感受性が低減した動物または系統を作製するためのさらに別の繁殖方法が提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を卵母細胞および精細胞の少なくとも1つに導入するように、卵母細胞または精細胞を遺伝子改変させること、ならびに卵母細胞を精細胞と受精させ、CD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含む受精卵を作製することを含む。あるいは、方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を受精卵に導入するように、受精卵を遺伝子改変させることを含む。方法は、受精卵を代理雌動物に移植すること(ここで、妊娠および正期産により子孫動物が産生される);前記子孫動物を病原体に対する感受性についてスクリーニングすること;ならびにCD163タンパク質をコードする遺伝子において改変染色体配列を含まない動物と比べて、病原体に対する感受性が低減した子孫動物を選択することをさらに含む。改変染色体配列はCD163タンパク質をコードする遺伝子におけるインフレーム欠失を含む。
【0251】
病原体は好ましくはウイルス、例えば、PRRSVを含む。
【0252】
例えば、改変により、1型PRRSVウイルス、2型PRRSV、または1型および2型PRRSVウイルスの両方に対する感受性が低減され得る。
【0253】
改変により、NVSL97-7895、KS06-72109、P129、VR2332、CO90、AZ25、MLV-ResPRRS、KS62-06274、KS483(SD23983)、CO84、SD13-15、Lelystad、03-1059、03-1060、SD01-08、4353PZ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるPRRSV分離株に対する感受性が低減され得る。
【0254】
動物は胚、幼若体、または成体とすることができる。
【0255】
動物は、飼育動物を含むことができる。飼育動物は、家畜動物、例えばブタ動物、ウシ動物(例えば、肉牛または乳牛)、ヒツジ動物、ヤギ動物、ウマ動物(例えば、ウマまたはロバ)、水牛、ラクダ、またはトリ動物(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥、またはひな鳥)を含むことができる。家畜動物は好ましくはウシまたはブタ動物であり、最も好ましくはブタ動物である。
【0256】
卵母細胞、精細胞、または受精卵を遺伝子改変させる工程は、卵母細胞、精細胞、または受精卵の遺伝的編集を含むことができる。遺伝的編集は、ホーミングエンドヌクレアーゼの使用を含むことができる。ホーミングエンドヌクレアーゼは天然由来エンドヌクレアーゼであるが、好ましくは、エンドヌクレアーゼがCD163タンパク質をコードする遺伝子における染色体配列を標的にするように設計されたDNA認識配列を有する、合理的に設計された、非天然由来ホーミングエンドヌクレアーゼである。よって、ホーミングエンドヌクレアーゼは設計されたホーミングエンドヌクレアーゼとすることができる。ホーミングエンドヌクレアーゼは、例えば、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/Cas9システム、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、リコンビナーゼ融合タンパク質、メガヌクレアーゼ、またはそれらの組み合わせ)を含むことができる。遺伝的編集は好ましくは、CRISPR/Cas9システムの使用を含む。
【0257】
卵母細胞、精細胞、または受精卵は改変染色体配列についてヘテロ接合性とすることができる。あるいは、卵母細胞、精細胞、または受精卵は改変染色体配列についてホモ接合性とすることができる。
【0258】
改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入、CD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、改変染色体配列はCD163タンパク質をコードする遺伝子における欠失(例えば、インフレーム欠失)を含む。あるいは、改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入を含むことができる。
【0259】
挿入または欠失は、CD163タンパク質産生または活性を、挿入または欠失を欠く動物におけるCD163タンパク質産生または活性と比べて低減させることができる。
【0260】
挿入または欠失により、動物による実質的に機能的でないCD163タンパク質の産生が得られ得る。「実質的に機能的でないCD163タンパク質」により、動物、子孫、または細胞におけるCD163タンパク質のレベルが検出不能である、または検出可能である場合、挿入または欠失を含まない動物、子孫、または細胞において観察されるレベルより少なくとも約90%低いことが意味される。
【0261】
動物がブタ動物である場合、改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロン、またはそれらの組み合わせにおける改変を含むことができる。改変染色体配列は好適には、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変を含む。
【0262】
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変は、欠失(例えば、エクソン7におけるインフレーム欠失)を含むことができる。あるいは、CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変は挿入を含むことができる。
【0263】
動物がブタ動物である場合、改変染色体配列は、下記を含むことができる:(a)SEQ ID NO:118;または(b)下記からなる群より選択される改変:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べてヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,147までの124塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147とヌクレオチド3,148の間の1塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,159までの130塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,030からヌクレオチド3,161までの132塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;またはそれらの組み合わせ。
【0264】
ブタ動物が、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入を含む場合、2塩基対挿入は、ジヌクレオチドAGの挿入を含むことができる。
【0265】
ブタ動物が、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,147と3,148の間の1塩基対挿入を含む場合、1塩基対挿入は、単一アデニン残基の挿入を含むことができる。
【0266】
ブタ動物が参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入を含む場合、7塩基対挿入は、配列TACTACT(SEQ ID NO:115)を含むことができる。
【0267】
ブタ動物が、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失を含み、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する場合、12塩基対挿入は、配列TGTGGAGAATTC(SEQ ID NO:116)を含むことができる。
【0268】
ブタ動物が参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失を含み、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる場合、11塩基対挿入は、配列AGCCAGCGTGC(SEQ ID NO:117)を含むことができる。
【0269】
CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列が欠失を含む場合、欠失は好ましくはインフレーム欠失を含む。したがって、動物がブタ動物である場合、CD163タンパク質をコードする遺伝子における挿入または欠失は、下記からなる群より選択される、エクソン7におけるインフレーム欠失を含むことができる:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド1,525からヌクレオチド3,030までの1506塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,724からヌクレオチド4,096までの1373塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,024からヌクレオチド3,146までの123塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド4,531までの1387塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,440からヌクレオチド4,160までの1720塩基対欠失;およびそれらの組み合わせ。
【0270】
動物がブタ動物である場合、挿入または欠失は、下記からなる群より選択することができる:参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失;参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失;およびそれらの組み合わせ。
【0271】
例えば、改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、同じアレルでの、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失を含むことができる。
【0272】
改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,145からヌクレオチド3,172までの28塩基対欠失を含むことができる。
【0273】
改変染色体配列は、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,015からヌクレオチド3,466までの452塩基対欠失含むことができる。
【0274】
改変染色体配列は、本明細書で記載される改変染色体配列の任意の組み合わせを含むことができる。
【0275】
例えば、改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0276】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,148とヌクレオチド3,149の間の7塩基対挿入;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,113からヌクレオチド4,494までの1382塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド3,113で始まる11塩基対挿入で置き換えられる。
【0277】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0278】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0279】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0280】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失;およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0281】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0282】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいてSEQ ID NO:118;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する。
【0283】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失、ここで、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられ、ならびに、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までのエクソン7におけるさらなる129塩基対欠失が存在する;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0284】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、かつ、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失。
【0285】
改変染色体配列は、下記を含むことができる:CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失;および、CD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失。
【0286】
以上で記載される挿入または欠失のいずれかを含む改変染色体配列は、挿入または欠失の外側で、SEQ ID NO:47に対して高度の配列同一性を有する染色体配列を含むことができる。よって、例えば、卵母細胞、精細胞、または受精卵は、挿入または欠失の外側の染色体配列の領域において、SEQ ID NO:47に対し、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、または100%配列同一性を有する染色体配列を含むことができる。
【0287】
改変染色体配列は、SEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含む染色体配列を含むことができる。以下の実施例においてさらに記載されるように、SEQ ID NO.98-114、および119は、SEQ ID NO:47で提供される野生型ブタCD163の領域に対応する領域のためのヌクレオチド配列を提供し、本明細書で記載されるブタCD163染色体配列における挿入または欠失を含む。SEQ ID NO:118は、SEQ ID NO:47により提供される野生型ブタCD163の領域に対応する領域のための配列を提供し、ここで、エクソン7は、ヒトCD163様1タンパク質(hCD163L1)のSRCR8のホモログをコードする合成エクソンで置き換えられている。
【0288】
例えば、改変染色体配列は、SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含む染色体配列を含むことができる。SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114はブタCD163染色体配列のエクソン7におけるインフレーム欠失に対するヌクレオチド配列を提供する。
【0289】
別の例として、改変染色体配列は、SEQ ID NO:103、111、または119を含む染色体配列を含むことができる。
【0290】
改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて11塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて2塩基対挿入かつ377塩基対欠失を含むことができる。
【0291】
改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて124塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて123塩基対欠失を含むことができる。
【0292】
改変染色体配列は、1塩基対挿入を含むことができる。
【0293】
改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて130塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて132塩基対欠失を含むことができる。
【0294】
改変染色体配列は、1506塩基対欠失を含むことができる。
【0295】
改変染色体配列は、7塩基対挿入を含むことができる。
【0296】
改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて1280塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて1373塩基対欠失を含むことができる。
【0297】
改変染色体配列は、1467塩基対欠失を含むことができる。
【0298】
改変染色体配列は、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対イントロン6欠失、かつ、エクソン7におけるヌクレオチド4,488での12塩基対挿入および追加の129塩基対欠失を含むことができる。
【0299】
改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて28塩基対欠失およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて1387塩基対欠失を含むことができる。
【0300】
改変染色体配列は、CD163タンパク質をコードする遺伝子の1つのアレルにおいて、1382塩基対欠失、かつ11塩基対挿入、およびCD163タンパク質をコードする遺伝子の他のアレルにおいて1720塩基対欠失を含むことができる。
【0301】
繁殖方法のいずれかにおいて、選択された動物は、ファウンダー動物として使用することができる。
【0302】
繁殖方法のいずれかにおいて、受精は、人工授精を含むことができる。
【0303】
繁殖方法のいずれかにより作製された動物の集団もまた、提供される。動物の集団は好ましくは、病原体、例えばPRRSVなどのウイルスによる感染に抵抗性である。例えば、集団は、1型PRRSVウイルス、2型PRRSV、または1型および2型PRRSVウイルスの両方による感染に抵抗性とすることができる。集団は、NVSL97-7895、KS06-72109、P129、VR2332、CO90、AZ25、MLV-ResPRRS、KS62-06274、KS483(SD23983)、CO84、SD13-15、Lelystad、03-1059、03-1060、SD01-08、4353PZ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるPRRSV分離株による感染に抵抗性とすることができる。
【0304】
家畜動物の病原体の感染に対する抵抗性を増加させるための方法もまた、提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子由来の少なくとも1つの染色体配列を遺伝学的に編集することを含み、よって、CD163タンパク質をコードする遺伝子において編集染色体配列を含まない家畜動物におけるCD63タンパク質産生または活性と比べて、CD163タンパク質産生または活性が低減される。病原体は、好ましくはウイルス(例えば、PRRSV)を含む。
【0305】
家畜動物の病原体の感染に対する抵抗性を増加させる別の方法が提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子由来の少なくとも1つの染色体配列を遺伝学的に編集することを含み、よって、家畜動物は実質的に機能的でないCD163タンパク質を産生する。
【0306】
家畜動物の病原体の感染に対する抵抗性を増加させるさらに別の方法が提供される。方法は、CD163タンパク質をコードする遺伝子由来の少なくとも1つの染色体配列を遺伝学的に編集し、インフレーム欠失を導入することを含み、ここで、CD163タンパク質をコードする遺伝子において編集染色体配列を含まない家畜動物におけるCD63タンパク質産生または活性と比べて、家畜動物におけるCD163タンパク質産生または活性が低減される。インフレーム欠失は、例えば、本明細書で記載されるインフレーム欠失のいずれかとすることができる。
【0307】
核酸
核酸が提供される。核酸分子は、下記からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むことができる:(a)SEQ ID NO:47を含むヌクレオチド配列;(b)SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するヌクレオチド配列、ここで、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む;および(c)(a)または(b)のcDNA配列。
【0308】
あるいは、核酸は、下記を含むことができる:(a)SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも87.5%配列同一性を有するヌクレオチド配列、ここで、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む;および(b)(a)のcDNA配列。
【0309】
本明細書で記載される核酸分子のいずれも単離核酸分子とすることができる。
【0310】
例えば、単離核酸は、SEQ ID NO:47を含むヌクレオチド配列を含むことができる。
【0311】
あるいは、核酸は、SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも80%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、ここで、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む。核酸は、SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.9%配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、ここで、前記ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む。
【0312】
核酸分子は好ましくは、SEQ ID NO:47の配列に対して少なくとも87.5%配列同一性を有し、ここで、ヌクレオチド配列はSEQ ID NO:47に対して少なくとも1つの置換、挿入、または欠失を含む。
【0313】
置換、挿入、または欠失は好ましくは、置換、挿入、または欠失を含まない核酸と比べて、CD163タンパク質産生または活性を低減させ、または排除する。
【0314】
核酸は、SEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含むことができる。
【0315】
例えば、核酸は、SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含むことができる。
【0316】
例えば、核酸は、SEQ ID NO:103、111、または119を含むことができる。
【0317】
核酸は、cDNAを含むことができる。
【0318】
さらなる核酸が提供される。核酸は、SEQ ID NO:98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、118、または119を含むことができる。例えば、核酸は、SEQ ID NO:98、101、105、109、110、112、113、または114を含むことができる。別の例として、核酸は、SEQ ID NO:103、111、または119を含むことができる。
【0319】
発明を詳細に説明してきたが、改変および変更が添付の特許請求の範囲で規定された発明の範囲から逸脱せずに可能であることは明らかであろう
【0320】
実施例
下記非限定的な実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。
【0321】
実施例1:インビトロ由来卵母細胞および胚から遺伝子操作されたブタを作製するためのCRISPR/Cas9システムの使用
ホーミングエンドヌクレアーゼ、例えばジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、およびクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/CRISPR関連(Cas9)システムにおける構成要素を記載する最近の報告により、ブタにおける遺伝子操作(GE)が現在、より効率的であることが示唆される。標的ホーミングエンドヌクレアーゼはゲノム内の特異的な位置で二本鎖切断(DSB)を誘導し、非相同末端結合(NHEJ)またはドナーDNAが提供される場合相同組換え(HR)の刺激のいずれかによるランダム突然変異を引き起こすことができる。HRによるゲノムの標的改変は、ドナーDNAが標的ヌクレアーゼと共に提供される場合、ホーミングエンドヌクレアーゼにより達成することができる。体細胞において特異的改変を導入した後、これらの細胞を使用して、様々な目的のためにSCNTにより、GEブタを作製した。よって、ホーミングエンドヌクレアーゼは、GEブタの作製に有用なツールである。異なるホーミングエンドヌクレアーゼの中で、それが防御機構として使用される原核生物から適合されたCRISPR/Cas9システムが、有効なアプローチであると考えられる。自然では、Cas9システムは3つの構成要素を必要とし、標的配列に相補的な領域を含むRNA(約20塩基)(cis抑制RNA[crRNA])、crRNAに相補的な領域を含むRNA(トランス活性化crRNA[tracrRNA])、およびこの複合体における酵素タンパク質成分であるCas9である。単一ガイドRNA(gRNA)が、塩基対形成されたcrRNAおよびtracrRNAの役割を果たすように構築され得る。gRNA/タンパク質複合体は、ゲノムを走査し、crRNA/gRNAに相補的な領域で、DSBを触媒することができる。他の設計されたヌクレアーゼとは異なり、短いオリゴマーのみが、対象となる遺伝子を標的にするのに必要とされる試薬を構築するように設計される必要があり、一方、一連のクローニング工程が、ZFNおよびTALENを組み立てるために必要とされる。
【0322】
遺伝子破壊のための現在の標準方法とは異なり、設計されたヌクレアーゼの使用は、接合体をGEのための開始材料として使用する機会を提供する。家畜における遺伝子破壊のための標準方法は、培養細胞におけるHRおよびその後の、体細胞核移植(SCNT)による胚の再建を含む。SCNTにより作製されたクローン動物は時として、発育障害の徴候を示すので、SCNT/GEファウンダーの後代は、典型的には、ファウンダー動物が実験のために使用される場合起こり得る交絡SCNT異常および表現型を回避するための研究のために使用される。齧歯類と比べてブタのより長い妊娠期間およびより高いハウジングコストを考慮すると、繁殖の必要性の低減には、時間およびコストの利点がある。最近の報告により、ZFNおよびTALENのブタ接合体への直接注入は、内在性遺伝子を破壊し、所望の突然変異を有する子ブタを生成させることができることが証明された。しかしながら、約10%の子ブタのみが、標的遺伝子の両アレル改変を示し、一部はモザイク遺伝子型を示した。最近の論文では、CRISPR/Cas9システムは発生中の胚において突然変異を誘導し、GEブタを、ZFNまたはTALENより高い効率で作製することができることが証明された。しかしながら、CRISPR/Cas9システムから作製されたGEブタはまた、モザイク遺伝子型を持っていた。加えて、上記研究は全て、実験のためにインビボで誘導させた接合体を使用し、この場合、十分な数の接合体を得るためには集中的な労働および多くの雌ブタが必要とされる。
【0323】
本実施例は、インビトロで誘導した接合体の注入および体細胞の改変、その後にSCNTの両方による、GEブタの作製においてCRISPR/Cas9システムを使用する効率的なアプローチを記載する。2つの内在性遺伝子(CD163およびCD1D)および1つの導入遺伝子(eGFP)を標的にさせ、インビトロで誘導した卵母細胞または接合体のみを、それぞれ、SCNTまたはRNA注入のために使用した。CD163は、ブタ産業に著しい経済的損失を引き起こすことが知られているウイルスであるブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルスによる増殖性感染に必要とされると考えられる。CD1Dは非古典的主要組織適合複合体タンパク質であると考えられ、インバリアントナチュラルキラーT細胞への脂質抗原の提示に関与する。これらの遺伝子が欠損したブタを、農業および生物医学のためのモデルとなるように設計した。eGFP導入遺伝子を予備概念実証実験および方法の最適化のための標的として使用した。
【0324】
材料および方法
化学薬品および試薬
別記されない限り、この研究で使用される化学薬品は全て、Sigmaから購入した。
【0325】
特異的CRISPRを構築するためのgRNAの設計
ガイドRNAを、野生型CD163に特有であり、ドメインスワップターゲティングベクター(以下に記載)中に存在しない、CD163のエクソン7内の領域に対して設計し、そのため、CRISPRにより、ドメインスワップターゲティングベクターではなく野生型CD163内でのDSBが得られるであろう。ターゲティングベクターがS.ピオゲネス(Spy)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を変化させる単一ヌクレオチド多形(SNP)を導入する4つの位置しか存在しなかった。下記を含む4つ全ての標的を選択した:
(SEQ ID NO:1)GGAAACCCAGGCTGGTTGGAgGG(CRISPR10),
(SEQ ID NO:2)GGAACTACAGTGCGGCACTGtGG(CRISPR131)、
(SEQ ID NO:3)CAGTAGCACCCCGCCCTGACgGG(CRISPR256)および
(SEQ ID NO:4)TGTAGCCACAGCAGGGACGTcGG(CRISPR282)。PAMは各gRNAにおける太字体により同定することができる。
【0326】
CD1D突然変異では、CRISPR標的の探索が、恣意的に、一次転写産物の最初の1000bp内のコード鎖に制限された。しかしながら、RepeatMasker[26](「ブタ」反復ライブラリ)は一次転写産物の塩基943で開始する反復エレメントを同定した。CRISPR標的の探索は、その後、一次転写産物の最初の942bpに制限された。探索はさらに、一次転写産物の最初の873bpに、制限された。というのも、最後のSpy PAMが塩基873に位置するからである。第1の標的(CRISPR4800)が選択された。というのも、これは一次転写産物中の塩基42に位置する開始コドンと重なったからである(CCAGCCTCGCCCAGCGACATgGG(SEQ ID NO:5))。2つの追加の標的(CRISPR5620および5626)が選択された。というのも、恣意的に選択された領域内の第1の選択から最も遠位であったからであった(CTTTCATTTATCTGAACTCAgGG(SEQ ID NO:6)およびTTATCTGAACTCAGGGTCCCcGG(SEQ ID NO:7))。これらの標的は重なる。開始コドンとの関連で、最も近位のSpy PAMは、視覚判定により決定される高ホモポリマー配列を含む単純配列中に位置した。第4の標的(CRISPR5350)は、第1の標的選択に関連して、高ホモポリマー領域を含まなかった最も近位の標的であったので選択された(CAGCTGCAGCATATATTTAAgGG(SEQ ID NO:8))。設計されたcrRNAの特異性を、GenBankにおいて同様のブタ配列を検索することにより確認した。オリゴヌクレオチド(表1)をアニールし、2つの発現カセット、ヒトコドン最適化S.ピオゲネス(hSpy)Cas9およびキメラガイドRNAを含む、p330Xベクターにクローンさせた。P330Xを、Zhang研究室プロトコル(http://www.addgene.org/crispr/zhang/)に従い、BbsI(New England Biolabs)により消化させた。
【0327】
eGFPに標的させるために、eGFPコード配列を標的にする2つの特異的gRNAをeGFP開始コドンの最初の60bp内で設計させた。eGFP1およびeGFP2 gRNAはどちらもアンチセンス鎖上にあり、およびeGFP1は直接、開始コドンを標的にした。eGFP1 gRNA配列はCTCCTCGCCCTTGCTCACCAtGG(SEQ ID NO:9)であり、eGFP2 gRNA配列はGACCAGGATGGGCACCACCCcGG(SEQ ID NO:10)であった。
【表1】
【0328】
CD163およびCD1D遺伝子のためのドナーDNAの合成
ブタCD163およびCD1Dの両方を、PCRにより胎仔線維芽細胞から単離されたDNAから増幅させ、これを、ターゲティングベクターとトランスフェクトされた細胞株の間のアイソジェニックマッチを確保するために後のトランスフェクションのために使用した。簡単に言うと、フォワードプライマーCTCTCCCTCACTCTAACCTACTT(SEQ ID NO:11)、およびリバースプライマーTATTTCTCTCACATGGCCAGTC(SEQ ID NO:12)を使用するLA taq(Clontech)を使用して、CD163の9538bp断片を増幅させた。断片はドメイン-スワップターゲティングベクターを構築するために、確認され、使用されたDNA配列であった(図1)。このベクターは、エクソン7内で33の点変異を含み、そのため、エクソン11由来のヒトCD163Lと同じアミノ酸配列をコードするであろう。置き換えエクソンは315bpであった。加えて、その後のイントロンは、Creリコンビナーゼ(Cre)により除去することができる選択可能なマーカー遺伝子を有する改変ミオスタチンイントロンBで置き換えられ、保持されたloxP部位を有すると、正常スプライシングが以前証明された(Wells、未発表結果)。コンストラクトの長腕は3469bpであり、ドメインスワップDSエクソンを含んだ。短腕は1578bpであり、エクソン7および8を含んだ(図1、パネルB)。このプラスミドを使用して、最初のトランスフェクション実験においてエクソン7のコード領域を置き換えることを試み、選択可能なマーカー(G418)によるターゲティングイベントの選択が可能になった。ターゲティングが起こる場合、マーカーはCreリコンビナーゼにより削除することができる。CD163DSターゲティングベクターをその後、Cre削除できなかったNeoで破壊されたSIGLEC1遺伝子をすでに含んだ細胞株と共に使用するために改変させた。このターゲティングベクターでは、Neoカセット、loxPおよびミオスタチンイントロンBが除去され、DSエクソンのみがWT長および短腕と共に残った(図1、パネルC)。
【0329】
ブタCD1Dのためのゲノム配列をLA taqにより、フォワードプライマーCTCTCCCTCACTCTAACCTACTT(SEQ ID NO:13)およびリバースプライマーGACTGGCCATGTGAGAGAAATA(SEQ ID NO:14)を用いて増幅させ、8729bp断片を得た。断片はDNA配列であり、これを使用して、図2に示されるターゲティングベクターを構築した。Neoカセットはホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーターの制御下にあり、loxP配列(選択のために導入された)に隣接した。コンストラクトの長腕は4832bpであり、短腕は3563bpであり、エクソン6および7を含んだ。成功したHRが起きた場合、エクソン3、4、および5は除去され、Neoカセットで置き換えられる。NHEJ修復が不正確に起きた場合、そうすると、エクソン3は破壊されるであろう。
【0330】
胎仔線維芽細胞収集
ブタ胎仔組織を、妊娠第35日に収集し、細胞株を作製した。2つの野生型(WT)雄および雌胎仔線維芽細胞株を大きな白色国内交雑種から確立した。前にNeoカセット(SIGLEC1-/-遺伝学)を含むように改変させた雄および雌胎仔線維芽細胞もまた、これらの研究において使用した。わずかな改変を有する胎仔線維芽細胞を記載されるように収集し;各胎仔由来の組織をミンチにし、20mlの消化培地(L-グルタミンおよび1g/LのD-グルコース[Cellgro]を含み、200単位/mlコラゲナーゼおよび25クニッツ単位/mlのDNAseIが補充されたダルベッコ変法イーグル培地[DMEM])中で5時間の間、38.5℃で消化させた。消化後、胎仔線維芽細胞を洗浄し、DMEM、15%ウシ胎仔血清(FBS)、および40μg/mlゲンタマイシンと共に培養した。一晩の培養後、細胞をトリプシン処理し(typsinized)、-80℃で、アリコートにして、10%ジメチルスルホキシドを有するFBS中で凍結させ、液体窒素中で保存した。
【0331】
細胞トランスフェクションおよび遺伝子型判定
トランスフェクション条件は、本質的に前に報告された通りとした。ドナーDNAは常に1μgの一定量で、様々な量のCRISPR/Cas9プラスミド(下記に列挙)と共に使用した。ドナーDNAをトランスフェクション前に、MLUI(CD163)(NEB)またはAFLII(CD1D)(NEB)と共に直線化した。確立した細胞株の性別を、トランスフェクション前に、前に記載されるようにPCRにより決定した。雄および雌細胞株の両方をトランスフェクトさせ、ゲノム改変データを一緒にトランスフェクション間で解析した。同様の継代数(2~4)の胎仔線維芽細胞株を2日間、L-グルタミンおよび1g/LのD-グルコース(Cellgro)を含み、15%FBS、2.5ng/ml塩基性線維芽細胞増殖因子、および10mg/mlのゲンタマイシンが補充されたDMEM中で、培養し、75%~85%集密度まで増殖させた。線維芽細胞を、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(Life Technologies)で洗浄し、トリプシン処理した。細胞が剥離するとすぐに、細胞を電気穿孔培地(75%細胞塩(cytosalts)[120mM KCl、0.15mM CaCl、10mM KHPO、pH7.6、5Mm MgCl])および25%Opti-MEM(LifeTechnologies)ですすいだ。細胞濃度を血球計数器を用いて定量した。細胞を600×gで5分間ペレット化し、電気穿孔培地中1×10の濃度で再懸濁させた。各電気穿孔では、2mmギャップキュベット中で200μlの細胞を使用し、3(1msec)方形波パルスをBTX ECM2001により250Vで投与した。電気穿孔後、細胞を上記DMEM中に再懸濁させた。選択のために、600μg/mlのG418(Life Technologies)をトランスフェクション後24時間に添加し、培地を第7日に交換した。コロニーをトランスフェクション後、第14日に採取した。胎仔線維芽細胞を、G418選択を使用する場合10,000細胞/プレートで、G418選択を使用しない場合50細胞/プレートで蒔いた。胎仔線維芽細胞コロニーを、オートクレーブ処理済み真空グリースにより各コロニーの周囲で密閉した10mmオートクレーブ処理済みクローニングシリンダを適用することにより収集した。コロニーをPBSですすぎ、トリプシンにより回収し;その後、DMEM培地中に再懸濁させた。再懸濁させたコロニーの一部(1/3)を、96ウェルPCRプレートに移し、残りの(2/3)細胞を24ウェルプレートの一ウェルで培養した。細胞ペレットを6μlの溶解バッファー(40mM Tris、pH8.9、0.9%トリトンX-100、0.4mg/mlプロテイナーゼK[NEB])に再懸濁させ、65℃で30分間細胞溶解のためにインキュベートし、続いてプロテイナーゼKを不活性化するために85℃で10分間インキュベートした。
【0332】
DSおよび大および小欠失のためのPCRスクリーニング
HR修復の検出.ロングレンジPCRを使用して、CD163またはCD1Dのいずれか上の突然変異を同定した。3つの異なるPCRアッセイを使用して、HRイベントを同定した:右または左側のいずれかでのドナーDNAにおけるCD163またはCD1D配列から内在性CD163またはCD1D配列までに及ぶ領域のPCR増幅および設計されたドナーDNAを包含するCD163またはCD1Dの大きな領域を増幅したロングレンジPCR。外因性Neo配列の付加により生じる、PCR産物のサイズの増加、1.8kb(CD1D)または3.5kb(CD163)のいずれかは、遺伝子のHR修復の証拠と考えられた。PCR条件は全て、95℃2分間の初期変性、続いて94℃で30秒、50℃で30秒、および68℃で7-10分の33サイクルとした。製造者の推奨に従い、全てのアッセイのためにLA taqを使用した。プライマーを表2に示す。
【表2】
【0333】
小欠失アッセイ(NHEJ).小欠失を、CRISPR/Cas9システムにより導入された突出したカッティング部位に隣接しているCD163またはCD1DのPCR増幅により決定した。アンプリコンのサイズは、CD163およびCD1Dについて、それぞれ、435bpおよび1244bpであった。胚および胎仔線維芽細胞由来のライセートを、LA taqを用いてPCR増幅させた。アッセイのPCR条件は、95℃2分間の初期変性、続いて94℃で30秒、56℃で30秒、および72℃で1分の33サイクルとした。トランスフェクトされた細胞の遺伝子型判定では、挿入および欠失(INDEL)を、PCRアンプリコンをアガロースゲル電気泳動により分離することにより同定した。胚遺伝子型判定では、得られたPCR産物を、その後DNA配列決定し、PCRで使用されるフォワードプライマーを使用して小欠失を同定した。プライマー情報を表3に示す。
【表3】
【0334】
体細胞核移植(SCNT)
SCNT胚を作製するために、現地屠殺場からの、雌ブタ由来卵母細胞(ART, Inc.)または若雌ブタ由来卵母細胞のいずれかを使用した。雌ブタ由来卵母細胞を一晩、成熟培地(2.9mM Hepes、5μg/mlインスリン、10ng/ml上皮成長因子[EGF]、0.5μg/mlブタ卵胞刺激ホルモン[p-FSH]、0.91mM ピルビン酸、0.5mMシステイン、10%ブタ卵胞液、および25ng/mlゲンタマイシンを有するTCM-199)中で輸送し、24時間後に新鮮培地に移した。40-42時間の成熟後、卵丘細胞を、0.1%ヒアルロニダーゼの存在下でボルテックスすることにより卵母細胞から除去した。若雌ブタ由来卵母細胞を、体外受精(IVF)のために以下に記載されるように成熟させた。操作中、卵母細胞を、7.0μg/mlのサイトカラシンBが補充された操作培地(0.6mM NaHCO、2.9mM Hepes、30mM NaCl、10ng/mlゲンタマイシン、および3mg/ml BSAを有し、305mOsmのモル浸透圧濃度を有するTCM-199[Life Technologies])に入れた。極体を隣接する細胞質の一部(おそらく中期IIプレートを含む)と共に除去し、ドナー細胞を囲卵腔に、薄ガラスキャピラリを用いて入れた。再構築した胚をその後、融合培地(0.3Mマンニトール、0.1mM CaCl、0.1mM MgCl、および0.5mM Hepes)中、2DCパルス(1秒間隔)を1.2kV/cmで30lsec間を用い、BTX Electro Cell Manipulator(Harvard Apparatus)を使用して融合させた。融合後、融合胚を、200μMチメロサールを用いて10分間暗闇で、および8mMジチオトレイトールを用いて30分間、完全に活性化させた。胚をその後、前に記載されるように、改変ブタ接合体培地PZM3-MU1中で、0.5μM Scriptaid(S7817;Sigma-Aldrich)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤と共に14~16時間の間、インキュベートした。
【0335】
体外受精(IVF)
IVFでは、思春期前若雌ブタ由来の卵巣を屠殺場(Farmland Foods Inc.)から入手した。未熟卵母細胞を中サイズの(3~6mm)卵胞から、10mlシリンジに取り付けられた18ゲージ皮下針を用いて吸引した。均一に濃い細胞質を有する卵母細胞および無傷の周囲の卵丘細胞をその後、成熟のために選択した。およそ50の卵丘卵母細胞複合体を、3.05mMグルコース、0.91mMピルビン酸ナトリウム、0.57mMシステイン、10ng/mlEGF、0.5μg/ml黄体ホルモン(LH)、0.5μg/mlFSH、10ng/mlゲンタマイシン(APP Pharm)、および0.1%ポリビニルアルコールを有する500μlの成熟培地、TCM-199(Invitrogen)を含むウェルに42~44時間の間38.5℃、5%COで、加湿空気中にて、置いた。成熟の終わりに、周囲の卵丘細胞を3分間0.1%ヒアルロニダーゼの存在下でボルテックスすることにより、卵母細胞から除去した。その後、インビトロで成熟させた卵母細胞を50μl滴のIVF培地(113.1mM NaCl、3mM KCl、7.5mM CaCl2、11mMグルコース、20mM Tris、2mMカフェイン、5mMピルビン酸ナトリウム、および2mg/mlウシ血清アルブミン[BSA]を含む改変Tris緩衝培地)に、25~30の卵母細胞の群で入れた。1つの100μl凍結精液ペレットを、0.1%BSAが補充された3mlのダルベッコPBS中で解凍させた。凍結WTまたは新鮮eGFP精液のいずれかを、60%パーコール中で20分間650 3gで、改変Tris緩衝培地中で10分間、遠心分離により洗浄した。場合によっては、前に記載されたeGFP導入遺伝子についてヘテロ接合性の新たに収集した精液を3回PBS中で洗浄した。精液ペレットをその後、IVF培地を用いて、0.5×10細胞/mlまで再懸濁させた。50マイクロリットルの精液懸濁液を、卵母細胞を有する小滴中に導入した。配偶子を5時間の間、38.5℃で、5%COを含む空気の雰囲気においてコインキュベートした。受精後、胚をPZM3-MU1中、38.5℃および5%COを含む空気中でインキュベートした。
【0336】
胚移植
GE CD163またはCD1Dブタを生成するために作製した胚を、最初の雄許容後第1日(SCNT)または第6日(接合体注入)のいずれかに、代理母に移植した。第6日移植では、接合体をさらに5日間、PZM3-MU1中、10ng/ml ps48(Stemgent, Inc.)の存在下で培養した。胚を外科的に代理母の卵管の膨大部-峡部接合部に移植した。
【0337】
CRISPR/Cas9システムのためのRNAのインビトロ合成
インビトロ転写のための鋳型DNAを、PCRを使用して増幅させた(表4)。細胞トランスフェクション実験のために使用したCRISPR/Cas9プラスミドがPCRのためのテンプレートとして機能した。接合体においてCas9を発現させるために、mMESSAGE mMACHINE Ultra Kit(Ambion)を使用して、Cas9のmRNAを作製した。その後、ポリAシグナルを、Poly (A)テーリングキット(Ambion)を使用してCas9 mRNAに付加した。CRISPRガイドRNAをMEGAshortscript(Ambion)により作製した。合成RNAの特性を1.5%アガロースゲル上で視覚化し、その後、10ng/μlの最終濃度まで希釈し(gRNAおよびCas9の両方)、3μlアリコートに分配した。
【表4】
【0338】
設計されたCRISPR/Cas9システムの接合体におけるマイクロインジェクション
Cas9をコードするメッセンジャーRNAおよびgRNAを、FemtoJet微量注入器(Eppendorf)を使用して、受精後14時間に受精卵母細胞の細胞質に導入した(予定接合体)。マイクロインジェクションを操作培地中、Nikon倒立顕微鏡(Nikon Corporation;東京、日本)の加温ステージ上で実施した。注入された接合体を、さらなる使用まで10ng/ml ps48を有するPZM3-MU1中に移した。
【0339】
統計解析
改変ゲノムを有するコロニーの番号を1と分類し、ゲノムの改変を有さないコロニー0と分類した。差を、PROC GLM(SAS)を使用することにより決定し、0.05のP値を有意と考えた。平均を最小二乗平均として計算した。データは数平均±SEMとして表す。
【0340】
結果
体細胞におけるCD163およびCD1DのCRISPR/Cas9媒介ノックアウト
CD163を標的にする4つの異なるCRISPRプラスミド(ガイド10、131、256、および282)の効率を、2μg/μlのドナーDNAの量で試験した(表5)。CRISPR282では、CRISPR10および256処理よりも有意に多くの平均コロニー形成が得られた(P<0.05)。以上で記載されるロングレンジPCRアッセイから、元々意図されたHRによるDSの代わりに、503bpから1506bpもの範囲の大きな欠失が見い出された(図3、パネルA)。これは予測されていなかった。というのも、他のDNA編集システムを用いた前の報告では、ブタにおけるZFNを用いた6~333bpのずっと小さな欠失が示されていたからである。CRISPR10および4つ全てのCRISPRの混合物では、CRISPR256および282よりも、より高い数の、改変ゲノムを有するコロニーが得られた(表5、P<0.002)。CRISPR10およびNeoを含むがCD163に相同性ではないプラスミドのトランスフェクションでは、大きな欠失を提示するコロニーは得られなかった。興味深いことに、ドナーDNAがCRISPRなしで導入された時、1つの単一アレル欠失がまた検出された。このアッセイはおそらく突然変異率の過小評価を表す。というのも、トランスフェクトされた体細胞において、アガロースゲル上で検出できなかった配列決定による任意の可能性のある小欠失はスクリーニングされなかったからである。
【表5】
4の混合物+ドナーDNAは、0.5μgの各CRISPRの均等混合と1μgのドナーDNAを表す。ドナーDNA処理はCRISPRなし対照として機能し、10+Neo処理は、CRISPR処理で観察された大きな欠失はCD163ドナーDNAもまた存在した時にのみ存在したことを示す。
†CRISPR毒性を推定するためにコロニーの平均数/プレートを比較して、および改変ゲノムを有するコロニーパーセントについて、ANOVAを実施した。P値は、それぞれ、0.025および0.0002であった。n/a=この処理については複製はなく、そのため、統計解析を実施しなかった。
‡HRを有する1つのコロニーは部分HRイベントを表す。
a-c上付き文字は、コロニーの平均数/プレートおよび改変ゲノムを有するコロニーパーセントの両方について、処理間で有意差を示す(P<0.05)。
【0341】
初期目標はCD163についてHRによるドメインスワップ(DS)-ターゲティングイベントを得ることであったが、CRISPRは、CD163を標的にする効率を増加させなかった。このターゲティングベクターの様々な組み合わせが、HRにより、伝統的なトランスフェクションによってCD163を改変するために使用されており、3399コロニーのスクリーニング後、0ターゲティングイベントという結果となったことに注意すべきである(Whitworth and Prather、未発表結果)。CRISPR10およびドナーDNAとしてのDSターゲティングベクターを用いたトランスフェクションにより導入されることが試みられた33全ての突然変異を含むHRから得られた完全DSを有する2匹のブタを得た。
【0342】
次に、薬物選択なしでのCRISPR/Cas9誘導突然変異の効率を試験した;この研究で使用される胎仔線維芽細胞株はすでに、Neo耐性カセットの組込みおよびSIGLEC1のノックアウトを有した。CRISPR/Cas9およびドナーDNAの比がゲノム改変を増加させる、または高濃度で毒性効果を与えるかどうかも試験した。CRISPR131をこの試行のために選択した。というのも、前の実験で、高い総コロニー数および改変ゲノムを有するコロニーのパーセンテージ増加が得られたからである。CRISPR131DNAの量を3:1~20:1まで増加させても、胎仔線維芽細胞生存性には有意の効果を有さなかった。NHEJによるゲノム改変を有するコロニーのパーセントは、様々なCRISPR濃度間で有意に異ならなかったが、10:1比で最高数のNHEJを有した(表6、P=0.33)。CRISPR DNA対ドナーDNA(20:1)の最高比であっても、HRは観察されなかった。
【表6】
NHEJ修復を有するコロニーパーセントについては処理間で有意差(P>0.05)。
CRISPRの濃度の増加に伴う、ゲノム改変コロニーの数には有意差はなかった(P>0.33)。
【0343】
この経験に基づき、体細胞におけるCD1Dの標的破壊を試みた。4つの異なるCRISPRを設計し、雄および雌細胞の両方で試験した。CD1Dの改変は、適用したCRISPRの3つから検出できたが、CRISPR5350の使用では、アガロースゲル電気泳動により検出されるのに十分大きな欠失を有するCD1Dの改変は得られなかった(表7)。興味深いことに、ドナーDNAを提供したが、HRによる遺伝子改変は得られなかった。しかしながら、CD163ノックアウト実験と同様の大きな欠失が観察された(図3、パネルB)。CRISPR/Cas9をドナーDNAと共に使用しなかった場合、大きな欠失を有するCD1Dの標的改変は検出されなかった。CRISPR/Cas9ガイドターゲティングからのCD1Dの改変は、それぞれ、細胞の雄および雌コロニーにおいて4/121および3/28であった。アガロースゲル電気泳動により検出可能なINDELのみをトランスフェクションデータに含めた。
【表7】
【0344】
GE細胞を用いたSCNTによるCD163およびCD1Dブタの作製
CD163またはCD1Dの改変を提示する細胞をSCNTのために使用し、CD163およびCD1Dノックアウトブタを作製させた(図3)。レシピエント若雌ブタへの7つの胚移植(CD163 表8)、6つの胚移植(CD163-Neoなし)、および5つの胚移植(CD1D)を、CRISPR/Cas9システムがトランスフェクトされた雄および雌胎仔線維芽細胞由来のSCNT胚を用いて実施した。レシピエント若雌ブタの6匹(CD163)、2匹(CD163-Neoなし)、および4匹(CD1D)(表9)が、出産まで妊娠を維持し、それぞれ、85.7%、33.3%、および80%の妊娠率が得られた。CD163レシピエントのうち、5匹が帝王切開により健康な子ブタを出産した。1匹(O044)が自然に産んだ。産仔数は1~8の範囲であった。4匹のブタを、出生後の成長障害のために安楽死させた。1匹の子ブタを、重篤な口蓋裂のために安楽死させた。残りの子ブタは全て健康に見える(図3、パネルC)。図3、パネルBで記載される、CRISPR10およびドナーDNAがトランスフェクトされた胎仔線維芽細胞から得られた雄子ブタの2匹の同腹仔は、CRISPR10に隣接するエクソン7において30bp欠失および前のイントロンの追加の1476bp欠失を有し、よって、CD163のイントロン6/エクソン7ジャンクションが除去されていた(図3、パネルE)。遺伝子型および予測される翻訳を表10にまとめて示す。1匹の雄子ブタおよび1雌同腹仔(4匹の子ブタ)を、事前に改変したSIGLEC1細胞のCD163-Neoなしトランスフェクションから得た。5匹の子ブタ全てが、SIGLEC1およびCD163についてダブルノックアウトであった。雄子ブタは、CD163の両アレル改変を有し、1つのアレル上でエクソン7における28bp欠失およびエクソン7の部分欠失ならびにエクソン8および前のイントロンの完全欠失を含む他のアレル上の1387bp欠失を有し、よってイントロンエクソンジャンクションが除去された。雌子ブタは、CD163の両アレル突然変異を有し、1つのアレル上の1382bp欠失かつ11bp挿入および他のアレル上のCD163の1720bp欠失を含んだ。CD163改変および予測される翻訳の概略は、表10において見出すことができる。CRISPR改変によるCD1D改変および予測される翻訳の概略は表11において見出すことができる。簡単に言うと、1雌および2雄同腹仔が生まれ、13匹の子ブタが得られた。1匹の子ブタは、出生の直後に死亡した。13匹の子ブタのうち12匹が、CD1Dの両アレルまたはホモ接合型欠失を含んだ(図3、パネルF)。1匹の子ブタはWTであった。
【表8】
CD163 CRISPR NT系統はトランスフェクションにより改変させた胎仔線維芽細胞系統を用いたNTにより作製した胚を表す。CRISPR注入胚は1細胞期にCD163ガイドRNAをCAS9RNAと共に注入したIVF胚であった。CD163 CRISPR NT-Neoなし胎仔系統はNTにより、すでに、選択可能なマーカーの使用なしで、トランスフェクションにより改変させたNeo耐性系統であった前に改変させた胎仔線維芽細胞を用いて作製された胚を表す。
†MUは、Missouri大学で、材料および方法のIVFセクションにおいて記載されるように、吸引され、成熟された若雌ブタ卵母細胞を示す。ARTは、材料および方法のSCNTセクションにおいて記載されるように、購入され、成熟された雌ブタ卵母細胞を示す。
【表9】
CD1D CRISPR NT系統は、NTにより、トランスフェクションにより改変させた胎仔線維芽細胞系統を用いて作製された胚を表す。CRISPR注入胚は、1細胞期に、CD1DガイドRNAをCAS9RNAと共に注入したIVF胚であった。
†MUは、Missouri大学で、材料および方法のIVFセクションにおいて記載されるように、吸引され、成熟された若雌ブタ卵母細胞を示す。ARTは、材料および方法のSCNTセクションにおいて記載されるように、購入され、成熟された雌ブタ卵母細胞を示す。
【表10】


KO、ノックアウト
**子ブタは安楽死させたので含めなかった。
†この列におけるSEQ ID NO.は、SEQ ID NO:47に対して、INDELを示す配列についてのSEQ ID NO.を示す。
挿入された配列は、TACTACT(SEQ ID NO:115)であった
挿入された配列は、AGであった。
挿入された配列は、単一アデニン(A)残基であった。
挿入された配列は、TGTGGAGAATTC(SEQ ID NO:116)であった。
挿入された配列は、AGCCAGCGTGC(SEQ ID NO:117)であった。
【表11】
KO、ノックアウト
【0345】
ブタ接合体におけるCRISPR/Cas9システムの効率
CRISPR/Cas9システムを使用した体細胞におけるCD163およびCD1Dの標的破壊に基づき、このアプローチを、ブタ胚形成に適用した。最初に、発生中の胚におけるCRISPR/Cas9システムの有効性を試験した。eGFPを標的にするCRISPR/Cas9システムを、eGFP導入遺伝子に対してヘテロ接合性の雄豚由来の精液と受精させた接合体に導入した。注入後、eGFPを発現するその後の胚をモニタした。様々な濃度のCRISPR/Cas9システムを試験し、送達させたCRISPR/Cas9システムの細胞毒性を観察した(図4、パネルA);CRISPR/Cas9注入後の胚発生は対照と比べて低かった。しかしながら、検査したCRISPR/Cas9の濃度全てがeGFPの改変を生成させるのに有効であった。というのも、eGFP発現を有する胚がCRISPR/Cas9注入群において見出されなかったからである(図4、パネルB);未注入対照胚のうち67.7%が緑色となり、eGFPの発現を示した。個々の胚盤胞を遺伝子型決定すると、CRISPR結合部位付近の小さな突然変異を同定することが可能であった(図4、パネルC)。毒性および有効性に基づき、10ng/μlのgRNAおよびCas9mRNAを下記実験のために使用した。
【0346】
CD163を標的にするように設計されたCRISPR/Cas9構成要素を、予定接合体に導入すると、その後の胚盤胞において遺伝子の標的改変が観察された。個々の胚盤胞をCD163の突然変異について遺伝子型決定すると、特異的突然変異が全ての胚において見出された(100%GE効率)。より重要なことには、ホモ接合性または両アレル改変を有する胚を見出すことができたが(それぞれ、8/18および3/18)(図5)、モザイク(単一アレル改変)遺伝子型もまた検出された(4/18胚)。そのプール由来のいくつかの胚(8/10)に2ng/μlのCas9および10ng/μlのCRISPRを注入し、変異誘発の効率に差は見られなかった。次に、インビトロ結果に基づき、異なるgRNAを表す2つのCRISPRを導入し、胚形成中にCD163またはCD1Dを破壊し、標的遺伝子の特異的欠失を誘導した。その結果、2つのガイドを導入することによりCD163およびCD1Dの設計された欠失をうまく導入することが可能であった。設計された欠失は、導入された2つのガイド間のゲノム配列を除去する欠失として規定される。CD163を標的にする2つのCRISPRを受け取った胚の中で、1つを除く全ての胚でCD163の標的改変が得られた。加えて、5/13胚は、CD163上に設計された欠失を有することが見出され(図6、パネルA)、10/13胚は、ホモ接合性または両アレル様式のいずれかでCD163の改変を有するように見えた。2つのCRISPRでCD1Dを標的にさせることもまた有効であった。というのも、全ての胚(23/23)が、CD1Dの改変を示したからである。しかしながら、CD1Dの設計された欠失は2つの胚において見出すことができたにすぎなかった(2/23)(図6、パネルB)。23の胚のうち、モザイク遺伝子型を有する5つもまた見出されたが、胚の残りは、CD1Dのホモ接合性かまたは両アレル改変のいずれかを有した。最後に、複数の遺伝子を同じ胚内でCRISPR/Cas9システムにより標的にさせることができるかどうかを試験した。このために、CD163およびeGFPの両方のターゲティングを、ヘテロ接合性eGFP精液と受精させた接合体において実施した。注入胚由来の胚盤胞をCD163およびeGFPについて遺伝子型決定すると、CD163およびeGFPが胚形成中にうまく標的されたことが見出された。配列決定結果により、複数の遺伝子は、複数のCRISPRをCas9と共に導入することにより標的させることができることが証明された(図6、パネルC)。
【0347】
CRISPR/Cas9注入接合体からのCD163およびCD1D変異体の作製
前のインビトロ研究の成功に基づき、いくつかのCRISPR/Cas9注入接合体を作製し、1レシピエントあたり46~55胚盤胞を移植した(この数はインビトロで誘導した胚からブタを作製するのに有効であることが示されているからである)。4つの胚移植を実施し、CD163およびCD1Dに対して各々2つとして、各改変について妊娠を得た。CD163上に改変を保有している4匹の健康な子ブタが生成された(表8)。レシピエント雌ブタIDO083からの全ての子ブタ、同腹仔67は、CD163のホモ接合性または両アレル改変を示した(図7)。2匹の子ブタは、送達された2つのCRISPRによるCD163の設計された欠失を示した。子ブタは全て健康であった。CD1Dでは、1回の妊娠でまた、4匹の子ブタが生成し(レシピエント雌ブタ識別番号O165から同腹仔166):1匹が雌、3匹が雄であった(表9)。1匹の子ブタ(166-1)はCD1Dのモザイク突然変異を保有し、開始コドンを含むエクソン3を完全に除去した362bp欠失が含まれる(図8)。1匹の子ブタは6bp挿入を含み、1つのアレル上に2bpミスマッチを有し、他のアレル上に大きな欠失を有した。2匹の追加の子ブタは両アレル単一bp挿入を有した。CD163について、モザイク突然変異は検出されなかった。
【0348】
論考
GEブタ生成の効率の増加は、農業および生物医学のためにより多くのGEブタを提供することにより、広く影響を与えることができる。以上で記載されるデータにより、CRISPR/Cas9システムを使用することにより、特定の突然変異を有するGEブタを高効率で生成させることができることが示される。CRISPR/Cas9システムは体細胞および着床前胚の両方において遺伝子を改変するためにうまく適用された。
【0349】
CRISPR/Cas9システムを体細胞に導入した場合、これはNHEJによる標的遺伝子の標的破壊をうまく誘導したが、HRによる標的能力は増加させなかった。体細胞における個々のCRISPR/Cas9のターゲティング効率は変化し、これにより、ガイドの設計がターゲティング効率に影響し得ることが示された。特定的には、CRISPR5350およびCas9を、体細胞に導入した場合、CD1Dの標的改変を見出すことはできなかった。これにより、複数のgRNAを設計し、それらの効率をブタを生成させる前に検証することが有益となり得ることが示唆される。ドナーDNAの存在によるHR修復の欠如の理由は依然として不明確である。CRISPRおよびドナーDNAがトランスフェクトされた886のコロニーをスクリーニングした後(CD163およびCD1Dの両方)、1つのコロニーのみが、部分HRイベントの証拠を有した。結果により、CRISPR/Cas9システムは導入されたドナーDNAと共に働き、標的遺伝子上で予想外の大きな欠失を引き起こしたが、これらの2つの特定のターゲティングベクターについてはHR効率を増加させなかったことが証明された。しかしながら、大きな欠失観察に対する特異的メカニズムはわかっていない。我々のグループからの前の報告により、ドナーDNAは、HR修復を誘導するために、ZFNと共に効果的に使用することができることが示唆された。同様に、ドナーDNAをCRISPR/Cas9システムと共に使用した場合にターゲティング効率の増加が見られたが、完全HR修復は観察されなかった。ZFNを使用した前の研究では、標的改変はHRおよびNHEJの組み合わせにより起こり得ることが観察された。というのも、ZFNにより誘発されたDSB後、導入されたドナーDNAの部分組換えが見られたからである。1つの説明は、HRおよびNHEJ経路は独立していないが、一緒に作用することができ、ホーミングエンドヌクレアーゼにより誘発されたDSB後の修復プロセスを完了することができるというものである。CRISPR濃度が高いほど、体細胞におけるターゲティング効率は改善されるが、これらの実験結果においては、統計学的差異は見られなかった。これにより、CRISPRはCRISPR/Cas9システムにおける制限因子であることが示唆されるが、さらなる検証が必要とされる。標的細胞をうまく使用して、GEブタをSCNTにより生成させた。これにより、CRISPR/Cas9の適用は、細胞がクローニングされる能力に影響しないことが示される。2、3匹の子ブタを健康問題のために安楽死させた;しかしながら、これはSCNT由来子ブタではまれである。
【0350】
CRISPR/Cas9システムが発生中の胚中に接合体注入により導入された場合、ほぼ100%の胚およびブタが標的遺伝子においてINDELを含み、技術は胚形成中に非常に有効であることが証明される。この研究中に観察された効率は、胚形成中にホーミングエンドヌクレアーゼを使用する他の研究において報告された頻度を上回る。胚盤胞期に到達した胚の数の減少により、この研究で導入されたCRISPR/Cas9の濃度は胚にとって毒性となり得ることが示唆された。送達系のさらなる最適化により、胚の生存性が増加し、よって、プロセスの全体効率が改善され得る。ここで観察されたほぼ100%の変異誘発率は、ブタにおけるCRISPR/Cas9媒介ノックアウトにおける前の報告とは異なっていた;しかしながら、研究間の効率の差は、選択されたガイドと標的の組み合わせとすることができる。本研究では、より低い濃度のCRISPR/Cas9(各々10ng/μl)は発生中の胚において突然変異を作製し、GEブタを生成させるのに有効であった。濃度はブタ接合体で前に報告されたもの(125ng/μlのCas9および12.5ng/μlのCRISPR)より低い。より低い濃度のCRISPR/Cas9構成要素が、発生中の胚に有益になり得る。というのも、過剰の核酸を発生中の胚中に導入するのは毒性となり得るからである。いくらかのモザイク遺伝子型が、インビトロアッセイからのCRISPR/Cas9注入胚において見られた;しかしながら、そのアプローチにより生成された1匹の子ブタのみがモザイク遺伝子型を有した。潜在的に、CRISPR/Cas9構成要素の注入は、他のホーミングエンドヌクレアーゼの導入より有効となり得る。というのも、モザイク遺伝子型は、接合体においてCRISPR/Cas9システムを使用する主なハードルとなると考えられるからであった。本結果により証明されるCRISPR/Cas9システムを使用する別の利点は、CRISPR/Cas9システムが注入されたIVF誘導接合体から生成されたCD163ノックアウトブタは失われなかったが、一方、SCNTから得られた2、3匹の子ブタは数日後に安楽死させた。これにより、その技術はノックアウトブタを作製するのにSCNTが必要とされることを回避することができただけでなく、SCNTと関連するよく見られる健康上の問題を克服することができたことが示唆される。今やCRISPR/Cas9mRNAの接合体への注入は最適化されたからには、さらなる実験は、同様に、ドナーDNAの同時注入を含むであろう。
【0351】
本研究では、2つのCRISPRをCas9と共に接合体に導入すると、発生中の胚において染色体の欠失を誘導することができ、意図された欠失、すなわち、2つのCRISPRガイド間の特異的欠失を有するブタが生成されることが証明される。この設計された欠失は、有益となり得る。というのも、NHEJにより引き起こされるランダムイベントに頼るのではなく、欠失のサイズを特定することが可能だからである。特定的には、ホーミングエンドヌクレアーゼにより引き起こされる3の倍数のヌクレオチドの挿入/欠失が存在する場合、突然変異では、むしろ、低形質突然変異という結果となり得る。というのも、フレームシフトが起こらないからである。しかしながら、2つのCRISPRを導入することにより、より大きな欠失を引き起こすことが可能になり、これにより、非機能性タンパク質を作製する可能性がより高くなるであろう。興味深いことに、CD163よりもゲノムにおいてより大きなエリアにわたるCD1D CRISPRが設計され;CD163 CRISPR10と131の間は124bpの距離であったが、CD1DについてはCRISPR4800と5350の間では550bpの距離となった。CRISPR間のより長い距離は、この研究で示されるように、欠失を作製するにはあまり有効ではなかった。しかしながら、本研究では制限された観察しか含まれておらず、個々のCRISPRの効力(ここでは対処されていない)を考慮する必要があるので、CRISPR間の距離と意図された欠失を引き起こす確率の間の関係を検証するために、さらなる研究が必要である。
【0352】
CRISPR/Cas9システムはまた、同じ胚内で2つの遺伝子を同時に標的にするのに有効であり、唯一の余分な工程は1つの追加のCRISPRとcrRNAの導入であった。これにより、他のホーミングエンドヌクレアーゼと比べて複数の遺伝子を破壊する容易さが示される。これらの結果により、この技術は、補償効果を有する可能性があり、よって、全ての遺伝子が破壊されない限り、個々の遺伝子の役割を決定することが困難であることが証明されている遺伝子群または遺伝子ファミリーを標的にするために使用され得ることが示唆される。結果から、CRISPR/Cas9技術は、体細胞における遺伝子ターゲティングの効率を増加させることにより、および直接接合体注入により、GEブタを作製するのに適用することができることが証明される。
【0353】
実施例2:CD163タンパク質をコードする遺伝子における改変染色体配列を有するブタにおけるPRRSVに対する増加した抵抗性
ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)は1世紀の第四半期にわたってブタ産業を破壊した。ウイルス侵入様式についての推測はSIGLEC1およびCD163の両方を含んだ。SIGLEC1のノックアウトはウイルス曝露への応答に影響しなかったが、本実施例では、CD163ヌル動物は、全てPRRSV感染の特徴である、感染の臨床徴候、肺病理、ウイルス血症または抗体産生を示さないことが示されている。PRRSV侵入メディエーターが確認されるだけでなく;同様に作製された動物が、食物供給への参加を許された場合、著しい経済的損失および動物罹患を防止する戦略が記載される。
【0354】
材料および方法
遺伝子型判定
遺伝子型判定は、DNA配列決定およびmRNA配列決定の両方に基づいた。雄親の遺伝子型は、1つのアレルにおいて11bp欠失を有し、これは翻訳されると、ドメイン5への45アミノ酸が予測され、アミノ酸64での未成熟終止コドンが得られた。他のアレルでは、エクソン7における2bp付加およびエクソン7前のイントロンでの377bp欠失が存在し、これは翻訳されるとドメイン5の最初の49アミノ酸が予測され、アミノ酸85での未成熟終止コードが得られた。1匹の雌ブタは1つのアレルにおいて7bp付加を有し、これは翻訳されると、ドメイン5の最初の48アミノ酸が予測され、アミノ酸70での未成熟終止コドンが得られた。他のアレルは特徴づけられておらず(A)、というのも、PCRまたはロングレンジ6.3kbPCRのいずれによっても、エクソン7由来のバンドがなかったからであった。他の3匹の雌ブタはクローンであり、エクソン7における129bp欠失を有し、これは、ドメイン5由来の43アミノ酸の欠失ということによると予測される。他のアレルは特徴づけられていなかった(B)。
【0355】
培養下のPRRSVの増殖およびブタの感染のためのウイルス接種材料の生成は認可されたIBC適用973に含められる
PRRSVの基準株、分離株NVSL97-7895(GenBank # AF325691 2001-02-11)を認可されたIBCプロトコル973において記載されるように増殖させた。この研究室分離株は実験研究において約20年間使用されてきた(Ladinig et al., 2015)。第2の分離株を、前に記載されるように(Prather et al., 2013)、第2試行、KS06-72109のために使用した。
【0356】
PRRSVによるブタの感染
PRRSVのための標準化感染プロトコルをブタの感染のために使用した。3週齢の子ブタに、およそ10 TCID50のPRRSウイルス(筋肉内(IM)および鼻腔内(IN)経路により投与した)を接種した。ブタを毎日モニタし、疾病の症状を示すものをCMG獣医師の推奨に従い、処置した。重篤な窮迫を示し、感染に屈する危険にあるブタは人道的に安楽死させ、試料を収集した。スタッフおよび獣医師は、評価または処置における偏りを排除するために、ブタの遺伝的状態について知らされていなかった。PRRSVは感染中体液中に存在し;そのため、血液試料を収集し、各ブタにおいてウイルス血症の量または程度を決定するために測定するまで-80℃で保存した。実験の終わりに、ブタの体重測定を実施し、人道的に安楽死させ、組織を収集し、10%緩衝ホルマリン中で固定し、パラフィンに包埋し、委員会認定病理学者による病理組織診断のために処理した。
【0357】
曝露させたブタの表現型スコアリング
ブタの表現型を、毎日下記の通り盲検的にスコア化した:ブタの態度はどれ?態度スコア:0:BAR、1:QAR、2:わずかに抑うつ、3:抑うつ、4:瀕死。ブタの体調はどれ?体調スコア:1:異常なほどやせ衰えた、2:やせた、3:理想、4:太った、5:過剰脂肪/肥満。ブタの直腸温度は何?正常体温101.6~103.6°F(発熱と考えられる104°F)。跛行があるか(グレード)?どの肢?関節腫脹および蹄病変について肢を評価(蹄の底面および側面のチェック)。跛行スコア:1:跛行なし、2:歩くときわずかに不均等、いくつか関節で拘縮が見られるが跛行なし、3:軽度の跛行、歩く間のわずかな足の引きずり、4:中度の跛行、つま先接触する足の不自由さを含む明らかな足の引きずり、5:重篤な跛行、肢への体重負荷なし、立つ/歩くために激励が必要である。呼吸困難があるか(グレード)?口を開けた呼吸があるか?鼻汁があるか(鼻汁の色、鼻汁の量:軽度/中度/重度)?動物咳嗽に気付いたか?眼漏があるか?呼吸スコア:0:正常、1:ストレスを受けた時(取扱を受けた時)軽度呼吸困難および/または頻呼吸、2:安静時に軽度呼吸困難および/または頻呼吸、3:ストレスを受けた時(取扱を受けた時)中度呼吸困難および/または頻呼吸、4:安静時に中度呼吸困難および/または頻呼吸、5:ストレスを受けた時(取扱を受けた時)重度呼吸困難および/または頻呼吸、6:安静時に重度呼吸困難および/または頻呼吸。下痢(グレード)または嘔吐のエビデンスがあるか?血液または粘液があるか?下痢スコア:0:気付ける糞便なし、1:正常便、2:軟便だが形あり(ソフトクリームヨーグルト稠度、牛糞形成)、3:微粒子糞便物質を有する褐色/黄褐色の色の液体下痢、4:微粒子糞便物質のない褐色/黄褐色の色の液体下痢、5:水と同様に見える液体下痢。
【0358】
このスコアリングシステムはDr. Megan NiederwerderによりKSUで開発され、下記刊行物に基づく(Halbur et al., 1995; Merck; Miao et al., 2009; Patience and Thacker, 1989; Winckler and Willen, 2001)。スコアおよび温度を、処理として遺伝子型に基づき分離したANOVAを用いることにより分析した。
【0359】
PRRSVウイルス血症の測定
ウイルス血症を2つのアプローチにより決定した。ウイルス滴定を、1:10段階希釈の血清を96ウェルプレート中のコンフルエントMARC-145細胞に添加することにより実施した。血清を、前に記載されるように、8%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシン、およびアンホテリシンBが補充されたイーグル最小必須培地中で希釈した(Prather et al., 2013)。細胞を、4日のインキュベーション後に、細胞変性効果の存在について、顕微鏡を使用することにより検査した。細胞変性効果を示す最高希釈を滴定終点としてスコア化した。全RNAをウイルス核酸を測定するために、Life Technologies MagMAX-96ウイルスRNA単離キットを使用することにより、血清から単離した。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を、Tetracore製のEZ-PRRSV MPX 4.0キットを使用することにより、CFX-96リアルタイムPCRシステム(Bio-Rad)上で、製造者の指示に従い実施した。各反応物(25μl)は5.8μlの血清由来のRNAを含んだ。検量線をキット(Tetracore)で供給したRNA対照の段階希釈を調製することにより構築した。PCRあたりのテンプレートの数を報告する。
【0360】
PAM細胞のSIGLEC1およびCD163染色
肺を切除し、約100mlの冷リン酸緩衝生理食塩水で満たすことにより、ブタ肺胞マクロファージ(PAM)を収集した。リン酸緩衝生理食塩水洗浄液を回収した後、細胞をペレット化し、5ml冷リン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁させ、氷上で保存した。およそ10のPAMを、5mlの様々な抗体(抗ブタCD169(クローン3B11/11;AbD Serotec);抗ブタCD163(クローン2A10/11;AbDSerotec))が希釈されたリン酸緩衝生理食塩水中で5%ウシ胎仔血清および0.1%ナトリウムアジドと共に、30分間氷上でインキュベートした。細胞を洗浄し、1/100希釈の、染色バッファー中で希釈させたフルオレセインイソチオシアネート(FITC)コンジュゲートヤギ抗マウスIgG(Life Technologies)中に再懸濁させ、30分間氷上でインキュベートした。少なくとも10の細胞をFACSCaliburフローサイトメーターおよびCell Questソフトウェア(Becton Dickinson)を用いることにより分析した。
【0361】
PRRSV特異的Igの測定
PRRSV特異的Igを測定するために、組換えPRRSV Nタンパク質を細菌中で発現させ(Trible et al., 2012)、磁性Luminexビーズにキット(Luminex Corporation)を使用することによりコンジュゲートさせた。Nタンパク質結合ビーズを、10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水中で2,500ビーズ/50μlまで希釈し、96ウェル丸底ポリスチレンプレートのウェルに入れた。血清を、10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水中1:400で希釈し、50μlを2連のウェルに添加し、30分間穏やかに振盪しながら、室温でインキュベートした。次に、プレートを10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し(3×)、50μlのビオチン-SPコンジュゲートアフィニティ精製ヤギ抗ブタ二次抗体(IgG、Jackson ImmunoResearch)またはビオチン標識アフィニティ精製ヤギ抗ブタIgM(KPL)(10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水中2μg/mlまで希釈されている)を添加した。30分のインキュベーション後、プレートを洗浄し(3×)、その後、50μlのストレプトアビジン-コンジュゲートフィコエリトリン(10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水中、2μg/ml(Moss, Inc.))を添加した。プレートを30分後に洗浄し、ミクロスフェアを100μlの10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁させ、MAGPIXおよびLuminex xPONENT4.2ソフトウェアを使用することにより分析した。平均蛍光強度(MFI)を報告する。
【0362】
結果
CD163における突然変異をCRISPR/Cas9技術を使用して、実施例1において以上で記載される通りに作製した。いくらかのファウンダー動物を接合体注入および体細胞核移植から生成させた。これらのファウンダーのいくらかを交配させ、研究のための子孫を生成させた。単一のファウンダー雄を2つの遺伝子型を有する雌と交配させた。ファウンダー雄(67-1)は、1つのアレル上のエクソン7における11bp欠失および他のアレルのエクソン7における2bp付加(および前のイントロンにおける377bp欠失)を有し、ヌル動物(CD163-/-)であることが予測された。1匹のファウンダー雌(65-1)は1つのアレルにおけるエクソン7における7bp付加および特徴づけられていない対応するアレルを有し、よって、ノックアウトについてヘテロ接合性であることが予測された(CD163-/?)。第2のファウンダー雌遺伝子型(クローンである3匹の動物)は、まだ特徴づけられていないアレルおよびエクソン7における129bp欠失を有するアレルを含んだ。この欠失は、ドメイン5における43アミノ酸の欠失となると予測される。これらの動物間の交配により、全ての子ブタが雄豚由来のヌルアレルおよび雌ブタ由来の43アミノ酸欠失または特徴づけられていないアレルの1つのいずれか受け継ぐと言う結果となった。ウイルス曝露についての陽性対照として機能した野生型子ブタに加えて、これにより4つの追加の遺伝子型が生成された(表8)。
【表12】
【0363】
離乳時に、遺伝子編集された子ブタおよび野生型同年齢子ブタを、PRRSV曝露のためにKansas State Universityに輸送した。PRRSV曝露を前に記載されるように実施した(Prather et al., 2013)。子ブタを3週齢で曝露施設に持ち込み、単一群として維持した。全ての実験を施設動物使用およびバイオセイフティー委員会の認可後に開始した。順化後、ブタを、MARC-145細胞上で増殖させた(Kim et al., 1993)、PRRSV分離株、NVSL97-7895(Ladinig et al., 2015)に曝露させた。ブタをおよそ10 TCID50のウイルスに曝露させた。接種材料の2分の1を筋肉内に送達させ、残りを鼻腔内に送達させた。感染ブタを全て単一群として維持し、これにより、同じおりの感染した個体からのウイルスの連続曝露が可能になった。血液試料を、感染後35日までの様々な日および終了、第35日に収集した。ブタを剖検し、組織を10%緩衝ホルマリン中で固定し、パラフィンに包埋し、病理組織診断のために処理した。感染過程中に記録したPRRSV関連臨床徴候は、呼吸促迫、食欲不振、嗜眠および発熱を含んだ。研究期間にわたる臨床徴候についての結果を図9にまとめて示す。予想通りに、野生型Wild Type(CD163+/+)ブタは、PRRSV感染の初期徴候を示し、これは、第5日と第14日の間でピークとなり、研究の残りの間、群内で存続した。発熱ブタのパーセンテージは約第10日にピークとなった。対照的に、ヌル(CD163-/-)子ブタは全研究期間にわたって臨床徴候のエビデンスを示さなかった。急性PRRSV感染中の呼吸徴候は肺における著しい病理組織学的な変化において反映される(表9)。野生型ブタの感染は、PRRSと一致する病理組織診断を示し、単核細胞の浸潤を有する間質性浮腫が挙げられる(図10)。対照的に、ヌル(CD163-/-)ブタでは、肺変化についてのエビデンスはなかった。様々な遺伝子型についての試料サイズは小さく;それにもかかわらず、平均スコアは、野生型では3.85(n=7)、特徴づけられていないAでは1.75(n=4)、特徴づけられていないBでは1.33(n=3)、ヌル(CD163-/-)では0(n=3)であった。
【表13】
【0364】
ピーク臨床徴候は血液中のPRRSVのレベルと相関した。ウイルス核酸の測定を、血清からの全RNAの単離、続いて市販の逆転写酵素リアルタイムPRRSV PCR試験(Tetracore, Rockville, MD)を使用することによるPRRSV RNAの増幅により実施した。検量線をRT-PCRキットにおいて供給されるPRRSV RNA対照の段階希釈を調製することにより作製し、結果をテンプレート数/50μlPCR反応として標準化した。PRRSV分離株は野生型CD163+/+ブタにおいて、PRRSVウイルス血症についての過程に従った(図11)。ウイルス血症は第4日に明らかになり、第11日にピークに達し、研究の終わりまで減少した。対照的にウイルスRNAはCD163-/-ブタにおいて、研究期間中のどの時点でも検出されなかった。ウイルス血症と一致して、ヌルおよび特徴づけられていないアレルブタによる抗体産生は14まで検出可能であり、第28日まで増加した。ヌル動物においては、抗体産生はなかった(図12)。総合して、これらのデータにより、野生型ブタはPRRSV複製をサポートし、PRRSと一致する臨床徴候が生成したことが示される。対照的に、ノックアウトブタは、たとえ、ブタが接種され、同じおりの感染した個体に絶えず曝露されても、ウイルス血症および臨床徴候を生成しなかった。
【0365】
研究の終わりに、ブタ肺胞マクロファージを肺洗浄により除去し、前に記載されるように、SIGLEC1(CD169、クローン3B11/11)およびCD163(クローン2A10/11)の表面発現のために染色した(Prather et al., 2013)。相対的に高いレベルのCD163発現がCD163+/+野生型動物上で検出された(図13)。対照的に、CD163-/-ブタは、バックグラウンドレベルの抗CD163染色を示したにすぎず、よって、ノックアウト表現型が確認された。別のマクロファージマーカーCD169についての発現レベルは野生型およびノックアウトブタの両方について同様であった(図14)。他のマクロファージ表面マーカー、例えば、MHCIIおよびCD172は両方の遺伝子型について同じであった(データ示さず)。
【0366】
試料サイズは小さかったが、他の3つの遺伝子型のブタ(特徴づけられていないA 1.32kg±0.17、n=4;特徴づけられていないB 1.20kg±0.16、n=3;ヌル1.21kg±0.16、n=3)に対して、野生型ブタは実験の過程にわたって体重が増えにくい傾向にあった(1日当たりの平均体重増加0.81kg±0.33、n=7)。
【0367】
第2の試行では6匹の野生型、6匹のΔ43アミノ酸、および6匹の、特徴づけられていないアレル(B)を有するブタを、KS06-72109を使用して、子ブタに接種することを除き、以上で記載される通りに曝露させた。NVSLデータと同様、野生型および特徴づけられていないB子ブタはウイルス血症を発症した。しかしながら、Δ43アミノ酸ブタでは、KS06では、ウイルス血症という結果にならなかった(図15;表7)。
【0368】
意味と結論
ブタ産業に最も臨床的に関連する疾患はPRRSである。ワクチン接種プログラムがほとんどのブタ病原体を防止または寛解するのに成功しているが、PRRSVはより挑戦的であることがわかっている。ここでは、CD163がこのウイルス株に対する侵入メディエーターとして同定されている。ファウンダー雄豚がCRISPR/Cas9の接合体への注入により作製され(Whitworth et al., 2014)、よって、導入遺伝子はない。加えて、雌ブタ(これもCRISPR/Cas9を用いることにより作製)由来のアレルの1つは導入遺伝子を含まない。よって、子ブタ#40は1つのアレルにおいて7bp付加および他のアレルにおいて11bp欠失を保有するが、導入遺伝子を保有しない。CD163のこれらのウイルス抵抗性アレルは、ブタゲノムは約28億bp(Groenen et al., 2012)であることを考えると小さなゲノム編集を表す。同様に作製された動物が、食物供給に導入されると、著しい経済的損失が防止できるであろう。
【0369】
実施例3:ヒトCD163様相同性SRCRドメイン8と置き換えられたCD163 SRCRドメイン5を有するブタにおける遺伝子型1ブタ繁殖・PRRSウイルスに対する増加した抵抗性
CD163はブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)に対する主要受容体であると考えられる。この研究では、ブタを下記遺伝子型の1つを有するように遺伝子改変(GM)した:CD163の完全ノックアウト(KO)、CD163スカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)ドメイン5内欠失、またはSRCRドメイン5の、ヒトCD163様(hCD163L1)SRCR8ドメインのホモログをコードする合成エクソンによる置き換え(ドメインスワップ)。ブタ肺胞マクロファージ(PAM)の免疫表現型検査により、KOまたはSRCRドメイン5欠失を有するブタはCD163を発現せず、PAMはPRRSV感染をサポートしなかったことが示された。hCD163L1ドメイン8ホモログを有するブタ由来のPAMはCD163を発現し、2型の複製をサポートしたが、1型遺伝子型ウイルスをサポートしなかった。代表的な1型および2型ウイルスによるCD163改変ブタの感染でも同様の結果が得られた。1型および2型ウイルスは、受容体としてのCD163を必要とすることを含み、いくつかのレベルでは、遺伝学的におよび表現型的に同様であると考えられるとしても、結果から、CD163分子の認識においてPRRSV遺伝子型の間には明確な差があることが示される。
【0370】
材料および方法
ブタCD163遺伝子のゲノム改変
動物およびウイルスが関与する実験を、動物科学協会連盟 研究および教育における農業動物のケアと使用のためのガイド(Federation of Animal Science Societies Guide for the Care and Use of Agricultural Animals in Research and Teaching)、USDA動物福祉法および動物福祉規則にしたがい実施し、Kansas State UniversityおよびUniversity of Missouri施設内実験動物委員会および施設内バイオセイフティー委員会の認可を受けた。この研究で使用されるCD163における突然変異を、前の実施例において上記で記載されるCRISPR/Cas9技術を用いて作製した。突然変異を、図17に図示する。図17に示される、図示されたゲノム領域は、ブタCD163遺伝子のイントロン6からイントロン8の配列に及ぶ。図17に図示されるイントロンおよびエクソンは縮尺通りに描かれていない。予測されるタンパク質生成物は、各ゲノム構造の右に示される。PAM上の表面CD163のレベルにより測定される相対マクロファージ発現は、図17の右端に示される。黒色領域はイントロンを示し(indict);白色領域は、エクソンを示し;斜線領域は、hCD163L1エクソン11模倣物、ブタエクソン7のホモログを示し;灰色領域は、図17に示されるようにPGK Neoコンストラクトを有する合成イントロンを示す。
【0371】
図17に示されるCD163遺伝子コンストラクトKO-d7(11)は、エクソン7においてヌクレオチド3,137からヌクレオチド3,147までの11塩基対欠失を有する。CD163遺伝子コンストラクトKO-i7(2)は、エクソン7においてヌクレオチド3,149と3,150の間の2塩基対挿入、ならびにエクソン7の上流のイントロンにおいて、ヌクレオチド2,573からヌクレオチド2,949までの377塩基対欠失を有する。これらの編集はフレームシフト突然変異および未成熟終止コドンを引き起こすと予測され、SRCR5の部分翻訳のみおよびKO表現型という結果となる。3つの他の突然変異は、エクソン7における欠失を生成させた。まず、d7(129)はエクソン7において、ヌクレオチド3,044からヌクレオチド3,172までの129塩基対欠失を有する。d7(129)コンストラクトはまた、エクソン6においてヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの欠失を有し、ここで欠失配列は、12bp挿入で置き換えられる。他の2つの欠失コンストラクト、d7(1467)およびd7(1280)は、図17で示されるようにエクソン7および8の完全欠失を有する。d7(1467)は、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467塩基対欠失を有し、d7(1280)は、ヌクレオチド2,818からヌクレオチド4,097までの1280塩基対欠失を有する。これらの欠失コンストラクトでは、他のCD163エクソンは無傷のままであった。
【0372】
図17に示される最後のコンストラクト、HL11mを、エクソン7を欠失させ、これを、ヒトCD163様1タンパク質のSRCR8のホモログをコードする合成エクソンで置き換えるターゲティングイベントを用いて生成させた(hCD163L1ドメイン8はhCD163L1エクソン11によりコードされる)。SRCR8ペプチド配列を、ブタエクソン7配列において33ヌクレオチドを変化させることにより作製した。ネオマイシンカセットを、改変のためのスクリーニングを可能にするために合成エクソンに含めた。SEQ ID NO:118は参照配列SEQ ID NO:47における同じ領域に対応する領域においてHL11mコンストラクトのためのヌクレオチド配列を提供する。
【0373】
ブタCD163タンパク質および遺伝子の図が図18に提供される。CD163タンパク質SCRC(楕円)およびPST(四角)ドメインが対応する遺伝子エクソンと共に、図18のパネルAで示される。ブタCD163 SRCR5(SEQ ID NO:120)およびヒトCD163 SRCR8ホモログ(SEQ ID NO:121)についてのペプチド配列比較が図18のパネルBで示される。図はGenBank受入番号AJ311716(ブタCD163)およびGQ397482(hCD163-L1)に基づく。
【0374】
ウイルス
この実施例において使用されるウイルスのパネルが表14に列挙される。分離株をMARC-145細胞上で増殖させ、滴定した(Kim et al., 1993)。滴定のために、各ウイルスを、7%FBS、Pen-Strep(それぞれ、80単位/mlおよび80μg/ml)、3μg/ml FUNGIZONE(アンホテリシンB)、および25mM HEPESが補充されたMEM中にて、1:10で段階希釈した。希釈試料を4連で、96ウェルプレートにおいてコンフルエントMARC-145細胞に、200μl/ウェルの最終体積まで添加し、4日間37℃で5%COにおいてインキュベートした。滴定終点を細胞変性効果(CPE)を有する最後のウェルとして同定した。50%組織培養感染量(TCID50/ml)を前に記載される方法を使用して計算した(Reed and Muench 1938)。
【表14】
NA、入手不可能
【0375】
肺胞マクロファージの感染
マクロファージの調製および感染を前に記載されるように実施した(Gaudreault, et al., 2009 and Patton, et al., 2008)。肺を安楽死させたブタから取り出し、100mlの冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を気管中に注ぎ込むことにより洗浄した。気管をクランプし、肺を穏やかにマッサージした。肺胞内容物を50ml遠心管に注ぎ入れ、氷上で保存した。ブタ肺胞マクロファージ(PAM)を1200×gでの10分間、4℃での遠心分離により沈降させた。ペレットを冷滅菌PBS中に再懸濁させ、1回洗浄した。細胞ペレットを、45%RPMI1640、45%ウシ胎仔血清(FBS)、および10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む凍結培地中に再懸濁させ、液体窒素中で使用まで保存した。凍結細胞を氷上で解凍させ、カウントし、培地(10%FBS、PenStrep、およびFUNGIZONEが補充されたRPMI1640;RPMI-FBS)中5×10細胞/mlに調整した。およそ10PAM/ウェルを、96ウェルプレートに添加し、一晩、37℃で5%COにおいてインキュベートした。細胞を優しく洗浄し、非付着細胞を除去した。ウイルスの1:10段階希釈物を、3連ウェルに添加した。一晩のインキュベーション後、細胞を、PBSで洗浄し、10分間80%アセトンで固定した。乾燥後、ウェルを、1%魚ゼラチンを含むPBS(PBS-FG;Sigma Aldrich)中1:1000で希釈したPRRSV N-タンパク質特異的SDOW-17mAb(Rural Technologies Inc.)で染色した。37℃での30分のインキュベーション後、細胞を、PBSで洗浄し、PBS-FG中1:200で希釈したALEXAFLUOR488標識抗マウスIgG(Thermofisher Scientific)で染色した。プレート30分間、暗闇で37℃にてインキュベートし、PBSで洗浄し、蛍光顕微鏡下で観察した。50%組織培養感染量(TCID50)/mlを前に記載される方法に従い計算した(Reed and Muench 1938)。
【0376】
PAM上のCD169およびCD163表面発現の測定
CD169およびCD163の表面発現のための染色を前に記載されるように実施した(Prather et al., 2013)。およそ1×10のPAMを12mm×75mmポリスチレンフローサイトメトリー(FACS)管にいれ、Fc受容体をブロックするために10%正常マウス血清を有する、1mlのPBS中で、15分間室温で、インキュベートした。細胞を遠心分離によりペレット化し、5μlのFITCコンジュゲートマウス抗ブタCD169mAb(クローン3B11/11;AbD Serotec)および5μlのPEコンジュゲートマウス抗ブタCD163mAb(クローン:2A10/11、AbD Serotec)中に再懸濁させた。30分のインキュベーション後、細胞を2回、1%ウシ血清アルブミンを含むPBSで洗浄し(BSA Fraction V;Hyclone)、BD LSR Fortessaフローサイトメーター(BD Biosciences)上でFCS Express5ソフトウェア(De Novo Software)を用いてすぐに分析した。各試料について、最低10,000の細胞を分析した。
【0377】
PRRSウイルス血症の測定
RNAを50μlの血清から、Ambion MagMAX96ウイルス単離キット(Applied Biosystems)を用い、製造者の指示に従い単離した。PRRSV RNAを、製造者の指示に従い実施される、EZ-PRRSV MPX4.0Real Time RT-PCR標的特異的試薬(Tetracore)を用いて定量した。各プレートはRT-PCR試薬と共に使用するために設計されTetracore定量化標準および対照セットを含んだ。PCRをCFX96Touch Real-Time PCR検出システム(Bio-Rad)上で、96ウェルフォーマットで、推奨されるサイクリングパラメータを使用して実施した。PCRアッセイ結果を、log10PRRSV RNAコピー数/50μl反応体積として報告し、これは、コピー数/mlの血清に近似する。時間に伴うウイルス血症のための曲線下面積(AUC)をWindows用のGraphPad Prismバージョン6.00を使用して計算した。
【0378】
PRRSV抗体の測定
PRRSVヌクレオカプシド(N)タンパク質に対する抗体の検出のためのミクロスフェア蛍光イムノアッセイ(FMIA)を前に記載されるように実施した(Stephenson et al., 2015)。組換えPRRSV Nタンパク質をカルボキシル化Luminex MAGPLEXポリスチレンミクロスフェアビーズに、製造者の指示に従い結合させた。FMIAでは、10%ヤギ血清を有する50μL PBS(PBS-GS)中に懸濁させたおよそ2500の抗原コートビーズを96ウェルポリスチレン丸底プレートの各ウェルに入れた。血清をPBS-GS中1:400で希釈し、50μlを各ウェルに添加した。プレートを箔で包み、30分間、室温で穏やかに振盪させながらインキュベートした。プレートを磁石上に起き、ビーズを3回、190μlのPBS-GSで洗浄した。IgGの検出のために、50μlのビオチン-SPコンジュゲートアフィニティ精製ヤギ抗ブタ二次抗体(IgG、Jackson ImmunoResearch)をPBS-GS中2μg/mlまで希釈し、100μlを各ウェルに添加した。プレートを室温で30分間インキュベートし、3回洗浄し、続いて、50μlのストレプトアビジンコンジュゲートフィコエリトリン(PBS-GS中2μg/ml;SAPE)を添加した。30分後、ミクロスフェアを洗浄し、100μlのPBS-GS中に再懸濁させ、MAGPIX機器(LUMINEX)およびLUMINEX xPONENT4.2ソフトウェアを用いて分析した。平均蛍光強度(MFI)を最低100のミクロスフェアビーズで計算した。
【0379】
ハプトグロビン(HP)の測定
血清中のHpの量をブタ特異的Hp ELISAキット(Genway Biotech Inc.)を用いて測定し、工程は製造者の指示に従い実施した。血清試料を、1X希釈剤溶液中1:10,000で希釈し、プレコート抗ブタHp96ウェルELISAプレート上2連でピペット操作し、室温で15分間インキュベートし、その後、3回洗浄した。抗Hp-HRPコンジュゲートを各ウェルに添加し、暗闇で室温にて15分間インキュベートした。プレートを洗浄し、100μl発色基質溶液を各ウェルに添加した。暗闇で10分間インキュベートした後、100μlの停止液を各ウェルに添加した。プレートを、Fluostar Omegaフィルターベースマイクロプレートリーダー(BMG Labtech)上で450nmにて読み取った。
【0380】
結果
CD163遺伝子-改変ブタ由来のPAMの表現型特性
肺洗浄材料における細胞の前方および側方散乱光特性を使用して、細胞の単核亜集団についてゲートした。図17に示される異なる遺伝子改変についての代表的なCD169およびCD163染色結果が図19で提示される。図19のパネルAで提示される代表例では、WTブタ由来の91%超のPAMが、CD169およびCD163の両方に対して陽性であった。この研究で使用された12匹のWTブタに対する結果は、平均85+/-8%の二重陽性細胞を示した。図19のパネルBに示されるように、CD163 KOブタ由来のPAMはCD163のエビデンスを示さなかったが、正常表面レベルのCD169を保持した。d7(1467)およびd7(1280)欠失遺伝子型に由来するCD163ポリペプチドはPAM表面に固定された改変CD163ポリペプチドを生成させることが予測されたが、免疫染色結果は、CD163の表面発現を示さなかった(図19、パネルDを参照されたい)。Mab 2A10は、最初の3つのSRCRドメイン中に位置するエピトープを認識するので、検出なしは、免疫反応性エピトープの欠失の結果ではなかった。d7(129)遺伝子型は、SRCR5において43アミノ酸欠失を有すると予測された(図17を参照されたい)。図19のパネルCにおいて提示される実施例では、2.4%の細胞のみが二重陽性象限に含まれた。この研究で使用された9匹のd7(129)ブタ由来のPAMの分析は、0%~3.6%(平均=0.9%)の範囲の二重陽性細胞のパーセンテージを示した。CD169の表面発現は、WT PAMと同様のままであった。この研究の目的のために、KO、d7(1467)、d7(1280)、およびd7(129)遺伝子型を有するブタを全て、CD163-ヌル表現型を有するとして分類した。
【0381】
hCD163L1ドメイン8ペプチド配列HL11mを含むCD163改変は、PAM上でCD163およびCD169の二重発現を示した(図19のパネルE)。しかしながら、この研究で分析したHL11mブタの全てにおいて、CD163の表面発現はWT PAMと比べて著しく低減された。CD163のレベルは、連続する発現上に位置し、検出不能CD163から中レベルのCD163を有するブタまでの範囲となった。図19のパネルEで示した例では、およそ60%の細胞が二重陽性象限にあり、40%の細胞は、CD169についてのみ染色された。合計24匹のHL11mブタ由来のPAMの分析により、38+/-12%のPAM細胞は、CD169についてのみ陽性であり、54+/-14%は二重陽性(CD169CD163)であったことが示された。
【0382】
WTおよびCD163-改変ブタにおける循環ハプトグロビンレベル
捕捉分子として、CD163は、HbHp複合体を血液から除去する責任がある(Fabriek, et al., 2005; Kristiansen et al., 2001;およびMadsen et al., 2004)。血清中のHpのレベルは、CD163発現マクロファージの全機能特性を決定するための好都合な方法を提供する。WT、HL11mおよびCD163-ヌルブタ由来の血清中のHpレベルを3~4週齢で、PRRSVの感染直前に測定した。図20に提示される結果から、WTブタ由来の血清は最低量のHbを有したことが示された(平均A450=23+/-0.18、n=10)。各群に対する平均および標準偏差はWT、0.23+/-0.18、n=10;HL11m、1.63+/-0.8、n=11;および2.06+/-0.57、n=9、ヌル群であった。ヌル群は、CD163を発現しなかった遺伝子型から構成された(CD163ヌル表現型ブタ)。Hp測定を単一ELISAプレート上で実施した。同じ文字を有する群では有意な差はなかった(p>0.05、クラスカル・ワリス一元配置ANOVA、かつ、ダネット事後検定)。WTブタに対する平均A450値はHL11mおよびCD163-ヌルブタのものとは有意に異なった(p<0.05)。平均A450値はHL11m群では、CD163ヌル群と比べて低かったが(A450=1.6+/-0.8対2.1+/-0.6)、差は統計的に有意ではなかった。HbHpとCD163の間の相互作用はSRCR3を介して起こるので(Madsen et al., 2004)、WTブタと比べてHL11mブタでの増加した循環Hpは、Hb/Hpに対するCD163の親和性の低減の結果である可能性は低いが、CD163マクロファージの数の低減、ならびに、残りのマクロファージ上のCD163発現の低減という結果の帰結であった(図19のパネルEを参照されたい)。
【0383】
1型および2型ウイルスによるPAMの感染
PRRSVについてのCD163改変ブタの寛容性を最初に、PAM細胞をインビトロで6の1型および9の2型PRRSV分離株の一団に感染させることにより評価した(ウイルスのリストについて表14を参照されたい)。一団内のウイルスは異なる遺伝子型、ならびにヌクレオチドおよびペプチド配列、病態形成、および単離の年における違いを表す。表15に提示されるデータは各CD163遺伝子型群について3匹のブタ由来のPAMを使用する実験からの結果を示す。列挙されるウイルスは、表14に列挙されるPRRSV分離株に対応する。結果は感染したPAMのパーセントの平均+/-標準偏差として示される。CD163ヌルPAMは、d7(129)アレルを発現するブタ由来とした(CD163遺伝子コンストラクトおよびPAM上でのCD163発現については、それぞれ、図17および19を参照されたい)。
【表15】
【0384】
予想通りに、WT PAMは全てのウイルスに感染した。対照的に、CD163ヌル表現型ブタは、全てのウイルスによる感染に対して陰性であった。HL11mブタ由来のPAMの応答において著しい違いを観察した。1型ウイルスはHL11m PAMに感染することができなかったが;一方、2型の一団の全てのウイルスがHL11m PAMに感染し、にもかかわらず、WT PAMと比べてずっと低いパーセンテージであった。
【0385】
寛容性もまた、同じ2型ウイルスについて、WTとHL11m PAMの間のウイルス滴定終点を比較することにより評価した。結果が2匹のWTおよび2匹のHL11mブタについて示される(図21)。log10TCID50値を、マクロファージ培養物の同じウイルス試料による感染に基づき計算した。感染結果は各遺伝子型由来の2匹の異なるブタを表す。感染のために使用したウイルスは、表14に列挙される。HL11mブタ由来のPAMについてのlog10TCID50値は、同じウイルスに感染したWT PAMと比べて1-3log低かった。唯一の例外は改変-生ウイルスワクチン株の感染であった。まとめると、結果から、HL11mブタ由来のPAMは、2型ウイルスの感染に対し低減した感受性または寛容性を有することが示唆される。
【0386】
CD163改変ブタの1型および2型ウイルスによる感染
WT(丸)、HL11m(四角)、およびCD163ヌル(三角)ブタを、代表的な1型(SD13-15)(図22、パネルA、左グラフ)および2型(NVSL97-7895)(図22、パネルA、右グラフ)ウイルスにより感染させた。ヌル表現型ブタはKOおよびd(1567)アレル由来とした(図17を参照されたい)。同じウイルスを接種された3つの遺伝子型由来のブタを1つのおり内で混じり合わせ、これにより、CD163改変ブタを、同じおりのWT個体から排出されたウイルスへの連続曝露が可能になった。代表的な1型ウイルスに感染したブタの数は下記であり:WT(n=4)、HL11m(n=5)、およびヌル(n=3);ならびに2型ウイルスでは下記となった:WT(n=4)、HL11m(n=4)、およびヌル(n=3)。図22に示されるように、1型または2型ウイルスのいずれかに感染したCD163ヌルブタは、全ての時間点でウイルス血症に対して陰性であり、抗体陽転しなかった。予想通りに、WTブタは増殖性感染され、両方のウイルスについて感染後7日に10テンプレート/50μlPCR反応に到達する平均ウイルス血症レベルを有した。14日までに、WTブタは全て抗体陽転した(図22、パネルBを参照されたい)。PAM感染結果と一致して(表15)、1型ウイルスに感染した5匹のHL11mブタはウイルス血症またはPRRSV抗体のエビデンスを示さなかった。2型分離株、NVSLに感染した全てのHL11mブタは、感染をサポートし、抗体陽転した(図22、パネルB)。HL11mブタの低減された寛容性の存在は不明確であった。4匹のHL11mブタのうちの3匹についての平均ウイルス血症はWTブタと同様であった。しかしながら、1匹のHL11mブタ、#101(図22、パネルA右グラフの白四角)については、ウイルス血症はHL11m遺伝子型群における他のブタと比べて、著しく低減された。ブタ#101についてのウイルス血症の3~4log低減についての説明は明らかにならなかったが、いくらかのHL11mブタはPRRSVに対してより寛容でなくなる可能性があることが示唆され、インビトロPAM感染結果をサポートする観察となった(表15)。全てのブタに、同じ量のウイルスを接種し、WTブタと混じり合わせままとしたので、ブタ#101におけるより低いウイルス血症はより低い量のウイルスを受けた、またはウイルスへのより低い曝露の結果ではなかった。マクロファージのフローサイトメトリーにより、ブタ#101についてのCD163発現は他のHL11mブタに匹敵したことが示された(データ示さず)。エクソン11模倣配列の配列に差はなかった。
【0387】
追加のウイルス感染試験を2つのウイルス、NVSL97-7895およびKS06-72109を使用して実施した。結果が、図23で示される。ブタを感染後35日間追跡し、データを、感染後3、7、11、14、21、28および35日にとったウイルス血症測定に対する曲線下面積(AUC)として報告した。図23に示されるように、NVSLでは、NVSLに感染した7匹のWTブタについての平均AUC値は168+/-8であり、対して、7匹のHL11mブタでは165+/-15であった。KS06では、6匹のWTおよび6匹のHL11mブタに対する平均AUC値は、それぞれ、156+/-9および163+/-13であった。両方のウイルスについて、WTとHL11mブタの間で統計的に有意な差はなかった(p>0.05)。まとめると、結果により、HL11mブタは1型PRRSVの感染をサポートすることができなかったが、2型ウイルスの感染に対する寛容性を保持したことが示された。インビトロで2型分離株に感染させたHL11mブタ由来のPAMのPRRSV寛容性の低減が存在したとしても、この差はブタにつながらなかった。図23に示される結果では、ウイルス量を、35日の感染期間にわたって各ブタに対する曲線下面積(AUC)を計算することにより決定した。AUC計算を、感染後0、4、7、10、14、21、28および35日にとったlog10PCRウイルス血症測定を使用して実施した。水平線は平均および標準偏差を示す。記号:WT=野生型ブタ、HL11=HL11m遺伝子型ブタ;Null=CD163ヌル遺伝子型。
【0388】
論考
CD163は血液から過剰なHbを捕捉し、組織ダメージに応じて炎症を調節するのに重要なマクロファージ表面タンパク質である。これはまた、ウイルス受容体として機能する。CD163は炎症促進反応および抗炎症反応の両方に関与する(Van Gorp et al., 2010)。CD163陽性マクロファージは、選択的活性化M2群のマクロファージ(高い食作用性および抗炎症を有するものと一般に説明される)内に入れられる。M2マクロファージは、機械的組織ダメージまたは感染後の浄化および修復に関与する(Stein et al., 1992)。抗炎症能力において、CD163発現は抗炎症タンパク質、例えばIL-10により上方制御される(Sulahian, et al., 2002)。炎症中、CD163は血液からの循環ヘムの除去により酸化を低減させることにより炎症を減少させる。ヘム分解生成物、例えばビリベルジン(bilverdin)、ビリルビン、および一酸化炭素は強力な抗炎症分子である(Soares and Bach, 2009およびJeney et al., 2002)。炎症促進性能力では、マクロファージ表面上のCD163の抗CD163抗体または細菌による架橋により、炎症性サイトカイン、例えばIL-6、GM-CSF、TNFαおよびIL-1βの局所放出が起こる(Van den Heuvel et al., 1999およびFabriek et al., 2009)。
【0389】
CD163を欠くGMブタは、2型PRRSV分離株の複製をサポートできない(Whitworth et al., 2016)。この研究では、インビトロ感染試験により、CD163ヌル表現型マクロファージの1型および2型PRRSV分離株の広範な一団への抵抗性が証明され、さらに、潜在的に、全てのPRRSV分離株を含むように抵抗性が拡大される(表15)。CD163ヌル表現型マクロファージの1型および2型ウイルスに対する抵抗性がインビボで確認された(図22および図23)。これらの結果に基づき、文献において前に記載された他のPRRSV受容体の寄与(Zhang and Yoo, 2015)は、除外することができる。例えば、Shanmukhappa et al. (2007)により、CD151プラスミドがトランスフェクトされた非許容BHK細胞はPRRSV複製をサポートする能力を獲得したことが示され、ポリクローナル抗CD151抗体とのインキュベーションは、MARC-145細胞の感染を著しく低減させることが示された。加えて、ブタインフルエンザウイルスを増殖させる際に使用するために元々開発されたサル細胞株、SJPLは前に、PRRSV複製をサポートすることが示された(Provost, et al., 2012)。SJPL細胞株の重要な特性はCD151の存在ならびにシアロアドヘシンおよびCD163の欠如を含んだ。統合すると、これらのデータは、PRRSV複製をサポートするにはCD151のみの存在で十分であるという確かなエビデンスを提供した。CD163ヌル表現型を有するマクロファージおよびブタにおけるPRRSV感染の欠如を示すこの研究からの結果は、PRRSVに対する別の受容体としてのCD151は生物学的に関連しないことを示す。
【0390】
ウイルスタンパク質GP2aおよびGP4(PRRSV表面上でGP2a、GP3、GP4ヘテロ三量体複合体の一部を形成する)は、プルダウンアッセイにおいて、GP2およびGP4がプラスミドトランスフェクトされた細胞からCD163と共に共沈させることができる(Das, et al., 2009)。おそらく、GP2およびGP4は1つ以上のCD163 SRCRドメインと相互作用する。ブタSRCR5とhCD163-L1 SRCR8由来のホモログの間のドメインスワップを含むブタCD163 cDNAバックボーンを組み入れたインビトロ感染性アッセイはさらに、1型ウイルスに使用される領域をSRCR5に限局させた(Van Gorp, et al., 2010)。GP2/GP4とCD163の間の安定な相互作用はSRCR5を介して起こると推測することは興味深い。追加のウイルス糖タンパク質、例えばGP3およびGP5はウイルス-受容体複合体をさらに安定化させることができ、または共受容体分子として機能することができる。SRCR5に対する要求を、この研究ではHL11mアレル(ブタエクソン7において33bp置換を作製することによりCD163L1 SRCR8ドメインスワップを再構築した)を有するマクロファージおよびブタに感染させることにより調査した。HL11mアレルはまた、遺伝子改変に対して陽性である細胞の選択のためにネオマイシンカセットを含んだ(図17)。WT PAMと比べて低減されたレベルではあったが、HL11mブタはPAM上でCD163を発現した(図19、パネルAおよびEを比較されたい)。低減された発現は、おそらくネオマイシンカセットの存在のためであり、それは、エクソン11模倣物と続くイントロンの間に位置した。HL11mブタは1型ウイルスの感染に対して寛容ではなく、SRCR5の重要性が確認された。しかしながら、HL11mマクロファージおよびHL11mブタは2型ウイルスの感染をサポートしなかった。ウイルス滴定およびパーセント感染結果に基づき、HL11mブタ由来のPAMは、WTマクロファージと比べて、ウイルスに対する寛容性において全体的な減少を示した(表15および図17)。寛容性の減少は、改変CD163タンパク質に対するウイルスの親和性の低減と共に、HL11mマクロファージ上のCD163のレベルの低減のためである可能性がある。2型ウイルスは、SRCR5の必要性を有する、およびL1 SRCR8は好適な置換物として機能することができると仮定すると、より低い親和性は、ヒトSRCR8とブタSRCR5の間のペプチド配列の差により説明され得る(図18、パネルBを参照されたい)。しかしながら、PAMの低減された寛容性はブタには移らなかった。HL11mブタについての平均ウイルス血症は、WTブタと比べて、有意には異ならなかった(図23)。PAMに加えて、血管内、中隔およびリンパ組織マクロファージのPRRSV感染はウイルス血症の一因となる(Lawson et al., 1997およびMorgan et al., 2014)。HL11mブタにおける全体的なウイルス量を維持する際のこれらのおよび他のCD163陽性細胞集団の潜在的寄与はさらなる研究の価値がある。
【0391】
SRCRドメインの欠失を有するCD163プラスミドがHEK細胞において安定に発現されるとしても(Van Gorp et al., 2010)、d7(1467)およびd7(1280)におけるエクソン7および8の欠失は、CD163の検出可能な表面発現の欠如という結果になった(図19、パネルD)。フローサイトメトリーのために使用される2A10 mABは、3つのN末端SRCRドメインを認識するので(Van Gorp et al., 2010)、かつ、おそらく第7および第8番目のドメインを認識するので(Sanchez, et al., 1999)、検出がないのは、変異タンパク質における2A10エピトープの除去のためではなかった。少量のCD163発現が一部のd7(129)ブタ由来のPAM上で検出できたが(図19、パネルCを参照されたい)、発現されたタンパク質の量は、PAMまたはブタにおいてPRRSV感染をサポートするには十分ではなかった。エクソン7および8欠失変異体においてCD163発現がないことは完全には理解されていないが、おそらく、mRNAおよび/またはタンパク質分解の結果である。
【0392】
2003年に、CD163はアフリカブタコレラウイルスの受容体として同定された(ASFV;Sanchez-Torres et al., 2003)。この結論は、感染マクロファージは、成熟CD163陽性表現型を有し、および抗CD163抗体、例えば2A10は、マクロファージのASFV感染をインビトロでブロックするという観察結果に基づいた。CD163ヌルブタがASFV感染に対して抵抗性であるかどうかは決定されていない。
【0393】
PRRSV受容体への改変を組み込んだ細胞培養モデルは、PRRSV侵入、複製および病態形成のメカニズムについての貴重な洞察を提供した。この研究の1つの独自の観点は、受容体改変ブタを使用するインビボでの並列実験の実施であった。この研究は、世界的なブタ産業が常に直面する最も重篤な疾患の1つに対する予防的療法を開発する可能性に重要な影響を有する。
【0394】
本明細書で開示される実施例は、例示として提供され、本発明の範囲を制限することは意図されない。
【0395】
以上を考慮すると、発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることがわかるであろう。
【0396】
発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更が上記生成物および方法において可能であるので、上記説明に含まれ、添付図面[複数可]で示される全ての事柄は、例示すぎず、制限するものではないと解釈されるべきであることが意図される。

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【表16】

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図13-4】
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図18
図19-1】
図19-2】
図20
図21
図22
図23
【配列表】
2024059790000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型ブタ動物、子孫、または細胞に対して、ブタ動物、子孫、または細胞においてブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)抵抗性を増加させる方法であって、
前記方法は、ブタ動物、子孫、または細胞においてCD163タンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つの染色体配列を改変させることを含み、
前記改変は、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変、ここで、改変はエクソン7におけるインフレーム欠失を含む、改変、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8における改変、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロンにおける改変、
およびそれらの組み合わせ、
からなる群より選択される、
方法。
【請求項2】
改変が、
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3337からヌクレオチド3347までの11bp欠失;
同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド3149とヌクレオチド3150の間に2bp付加を有する、ヌクレオチド2573からヌクレオチド2949までの377bp欠失;
同じアレル上での、参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド488からヌクレオチド2,417までの1930塩基対欠失であって、欠失配列は、ヌクレオチド488で始まる12塩基対挿入で置き換えられた欠失、および、ヌクレオチド3044からヌクレオチド3172までの129塩基対欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2,431からヌクレオチド3,897までの1467bp欠失;
参照配列SEQ ID NO:47と比べて、ヌクレオチド2818からヌクレオチド4097までの1280bp欠失、
およびそれらの組み合わせ、
からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブタ動物、子孫、または細胞が、前記CD163遺伝子変更についてヘテロ接合性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブタ動物、子孫、または細胞が、前記CD163遺伝子変更についてホモ接合性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
改変が、CRISPR、TALENまたはZFNヌクレアーゼの作用により生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
野生型ブタ動物に対して増加したブタ繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)抵抗性を有するブタ動物を作製する方法であって、方法は、
卵母細胞を除核すること、
前記卵母細胞をドナー体細胞と融合することであって、体細胞のゲノムがCD163タンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つの染色体配列における改変を含み、前記改変は、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変、ここで、改変はエクソン7におけるインフレーム欠失を含む、改変、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8における改変、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロンにおける改変、
およびそれらの組み合わせ、
からなる群より選択される、融合すること、
および、前記卵母細胞を活性化させ、胚を作製すること、
を含む、方法。
【請求項7】
胚を代理ブタ動物の生殖管に移植することをさらに含む、請求項6に記載の方法であって、前記代理ブタ動物は、発情を開始しているが、排卵をまだ完了しておらず、そして、妊娠および正期産は、ゲノムがCD163タンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つの染色体配列における改変を含む遺伝子変更されたブタ動物を作製し、ここで、前記改変は、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7における改変、ここで、改変はエクソン7におけるインフレーム欠失を含む、改変、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン8における改変、
CD163タンパク質をコードする遺伝子のエクソン7またはエクソン8と近接するイントロンにおける改変、
およびそれらの組み合わせ、
からなる群より選択される、
方法。
【請求項8】
体細胞が線維芽細胞を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
CD163タンパク質をコードする遺伝子の少なくとも1つの染色体配列における改変を含む遺伝子変更されたブタ動物を作製するための方法であって、前記ブタ動物は、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)に対して増加した抵抗性を示し、前記方法は、
請求項6または7に記載の方法により作製された遺伝子変更された雌ブタ動物を請求項6または7に記載の方法により作製された遺伝子変更された雄ブタ動物と交配させ、F1子孫を作製すること;および
F1子孫をスクリーニングし、CD163遺伝子の両方のアレルが不活性化されている遺伝子変更されたブタ動物を同定すること、
を含む、方法。
【請求項10】
不活性化する突然変異が、挿入、欠失、フレームシフト突然変異、ナンセンス突然変異、ミスセンス突然変異、点突然変異、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項11】
ブタ動物が、CD163の発現または活性を変更する突然変異を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項12】
CD163アレルの不活性化が、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)の細胞取込みを低減させ、または排除するCD163タンパク質をもたらす、請求項6または7に記載の方法。
【外国語明細書】