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特開2024-59795チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059795
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/72 20060101AFI20240423BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 31/4525 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20240423BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20240423BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20240423BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240423BHJP
   C07K 5/08 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C07D211/72
A61P9/00
A61P7/02
A61K31/501
A61K31/4545
A61K31/4525
A61K31/445
A61K38/05
A61K38/06
C07D403/12 CSP
C07D405/12
C07D401/12
C07K5/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025325
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2021087169の分割
【原出願日】2016-04-29
(31)【優先権主張番号】62/155,231
(32)【優先日】2015-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507238218
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ハオミン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】心血管疾患の治療に有用な、多形性シトクロム(P450)媒介酸化的生体内活性化を必要としない改善された抗血小板剤を提供する。
【解決手段】本発明は、下記式(I)で表されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を提供する。

[RはCOOCH等;Rは6-クロロピリダジン-3-イル基、3-ニトロピリジン-2-イル基、2,5-ジメチルフラン-3-イル基等;Rはハロゲン原子等;RはCOOCH等。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心血管疾患を治療、改善又は予防する方法に使用するための化合物であって、
前記治療、改善又は予防は、前記化合物又は薬学的組成物の治療的有効量を前記患者に投与する工程を含み、
前記投与は、経口投与及び静脈内投与からなる群から選択され、
前記心血管疾患は、冠動脈疾患、末梢血管疾患、アテローム血栓症、及び脳血管疾患からなる群から選択され、
前記化合物は、化学式(I)内に含まれる化合物であって、又はこれらの薬学的に許容される塩の形態であり、
【化1】

ここで、Rは-CO-OCH3、
【化2】

からなる群から選択され、
ここで、Rは、
【化3】

からなる群から選択され、
ここで、RはCl、Br、I、F、CN、NO2、CF3、H、OCH3からなる群から選択され、
ここで、Rは-COOCH3、-COOCH2CH3、COOCF3、
【化4】



からなる群から選択される、化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年4月30日に出願された米国仮特許出願第62/155,231号に対する優先権を主張し、本明細書に参照として含まれる。
【0002】
本発明は、医薬品化学の分野に関する。特に、本発明は、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体、及び心血管疾患の治療、改善及び予防のための治療剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
チエノピリジニル化合物は、心臓病及び脳卒中を予防するための抗血小板剤として広く用いられている。この範疇で一般に使用される3つのプロドラッグは、クロピドグレル(Plavix)、チクロピジン(Ticlid)及びプラスグレル(Effient)である。これらの製剤は、多形性シトクロム(P450)媒介酸化的生体内活性化を必要とする。このような酸化的生体内活性化によって治療効果の遅い発症(slow on-set of therapeutic effect)及び好中球減少症及び血栓性血小板減少性紫斑病を含む様々な副作用を起こす。
【0004】
多形性シトクロム(P450)媒介酸化的生体内活性化を必要としない改善された抗血小板剤が要求される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
クロピドグレル(Plavix)、チクロピジン(Ticlid)及びプラスグレル(Effient)は、チエノピリジニル化合物の種類に属し、心臓病及び脳卒中を予防するための抗血小板剤として広く用いられている。しかし、これらの薬物に関連するいくつかの重大な欠点として、反応の欠如、毒性及び過剰な出血を含む。これら欠点は、多形性シトクロムP450酵素(P450s)による酸化的生体内活性化を必要とする全てのプロドラッグであるという事実と密接に関連している。
【0006】
チエノピリジン化合物(クロピドグレル(Plavix)、チクロピジン(Ticlid)及びプラスグレル(Effient))と関連する欠点を克服するために、本発明は、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を提供する。このような本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、P450sによる生体内活性化を必要とせずに、内因性グルタチオン(GSH)の存在下で活性チエノピリジン代謝物(例えば、抗血小板活性を可能にする活性チエノピリジン代謝物)を生成できると考えられる。このような手法は、P450sによる酸化的生体内活性化工程を回避するだけでなく、チエノピリジニル薬と関連する多くの欠点を回避する。例えば、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、結合体からの活性代謝物の生成を予測できるため、投与の一貫性を改善すると考えられる。さらに、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を抗血小板剤として使用すると、毒性反応性代謝物がチオール交換反応によって生成されないため、毒性を低減することが考えられる。さらに、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体の治療開始時間が短縮され、急性心血管の事象を経験した患者に大きな利益をもたらすと考えられる。例えば、チエノピリジンの標準療法では、摂取されたチエノピリジンの少量だけが活性代謝物に変換されるため、3~5日間連続的に患者に投与する必要がある。一方、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、5分未満で高収率の活性代謝物を放出することが考えられる。また、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、活性代謝物より優れた安定性を有するため試験管内での基礎及び臨床研究のために活性代謝物を定量的に生成するのに使用できると考えられる。
【0007】
従って、特定の実施形態では、本発明は、抗血小板剤(例えば、クロピドグレル(Plavix)、チクロピジン(Ticlid)及びプラスグレル(Effient))として広く用いられるチエノピリジニル化合物と関連するこのような問題を解決できるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を提供する。
【0008】
本発明は、特定のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体に限定されない。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、化学式(I)で表され、
【化1】

これらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び/又はプロドラッグを含み、ここで、R4は、脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するエステル部分、脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するケトン部分、及び脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するアミド部分からなる群から選択される。
【0009】
化学式(I)は、特定の化学的部分Rl、R2、R3、及びR4に制限されない。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的に内因性グルタチオン(GSH)(例えば、抗血小板活性を可能にする活性チエノピリジン代謝物)との相互作用により、活性チエノピリジン代謝物を生産することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的にP450sによる生体内活性化を必要とせずに、内因性グルタチオン(GSH)存在下で活性チエノピリジン代謝物を生産することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的に患者の心血管障害(例えば、冠動脈疾患、末梢血管疾患、及び脳血管疾患)、例えば、抗血小板剤(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、及びプラスグレル)に反応することを治療、改善又は予防できる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的に、例えば、ADP受容体を遮断して血小板膜の機能を変更することによって(例えば、血小板をフィブリノゲンに結合させる糖蛋白質IIb/IIIaの構造変化を防止することによって)血小板凝集を抑制することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的にP2Y12受容体に不可逆的に結合して血小板の凝集(「クランピング」)を低減することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。
【0010】
のような混合ジスルフィド結合体は、化学式(I)(
【化2】

)内の特定の立体化学的配置に制限されない。いくつかの実施形態では、R4置換基に接続された二重結合は、Z又はシス配置のいずれかである。例えば、いくつかの実施形態では、化学式(I)は、次の立体化学的配置のいずれかによって表される。
【化3】
【0011】
いくつかの実施形態では、C7炭素は、ラセミ体、R又はS配置のいずれかである。例えば、いくつかの実施形態では、化学式(I)は、次の立体化学的配置のいずれかによって表される。
【化4】
【0012】
いくつかの実施形態では、C7炭素は、ラセミ体、R又はS配置のいずれかである。例えば、いくつかの実施形態では、化学式(I)は、次の立体化学的配置のいずれかによって表される。
【化5】
【0013】
いくつかの実施形態では、化学式(I)内に含まれる化合物は、R4に接続された二重結合の立体化学的配置(例えば、Z又はシス配置)、C7炭素の立体化学的配置(例えば、ラセミ体、R又はS配置)、及びC4炭素の立体化学的配置(例えば、ラセミ体、R又はS配置)のうちの1つ以上を含有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、化学式(I)内に含まれる化合物は、薬学的に許容される塩形態である。例えば、いくつかの実施形態では、R4置換基は、適用可能な金属(例えば、Li、Na、K、など)と結合して塩
【化6】

を形成する。例えば、いくつかの実施形態では、R4置換基は、正の電荷を有する窒素部分
【化7】

を有し、これは、ハロゲン(例えば、Cl-、Br-、Fl-、など)と結合してアンモニウム塩
【化8】

を生成する。
【0015】
いくつかの実施形態では、Rlは、H、-CO-OCH3、
【化9】

からなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、R2は、
【化10】

からなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、R3は、電子吸引基である。いくつかの実施形態では、R3は、ハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3は、Cl、Br、I、F、CN、NO2、CF3、H、OCH3から選択される。いくつかの実施形態では、R3は、ハロゲン化炭化水素基、例えば、トリフルオロメチル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基;アシル基、例えば、アセチル基;アシルオキシ基、例えば、アセトキシ基;シアノ基;アリール基;1-アルケニル基;ニトロ基;スルホ基;アルカンスルホニル基;アルカンスルフィニル基;及びアルコキシスルホニル基から選択される。
【0018】
いくつかの実施形態では、R4は、任意の塩の形態である。
【0019】
いくつかの実施形態では、R4は、-COOCH3、-COOCH2CH3、COOCF3、
【化11】



から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、化学式(I)内に含まれる化合物は、単離形態で安定する。
【0021】
いくつかの実施形態では、化合物は標的化部分と結合される。例えば、いくつかの実施形態では、化合物は、腫瘍細胞を標的化するための薬剤と結合される。いくつかの実施形態では、化合物は、腫瘍細胞を標的とする抗体と結合される。
【0022】
特定の実施形態では、本発明は、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0023】
特定の実施形態では、本発明は、静脈内(IV)投与用に構成されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、静脈内(IV)投与用に構成されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含むこのような薬学的組成物は、アテローム血栓症の治療、改善及び予防に使用される。いくつかの実施形態では、静脈内(IV)投与用に構成されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含むこのような薬学的組成物は、血小板凝集の迅速な抑制のために使用される。いくつかの実施形態では、静脈内(IV)投与用に構成されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含むこのような薬学的組成物は、血小板の凝集の迅速な抑制のために経皮的冠動脈インターベンション処置(例えば、冠動脈形成術)中に使用される。
【0024】
特定の実施形態では、本発明は、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体の治療的有効量を患者に投与することを含む心血管疾患を治療、改善又は予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記投与は、静脈内投与である。いくつかの実施形態では、心血管疾患は、冠動脈疾患、末梢血管疾患、及び脳血管疾患からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記化合物は(例えば、P2Y12受容体への不可逆的な結合によって)(例えば、ADP受容体を遮断することによって)血小板の凝集を低減する。いくつかの実施形態では、化合物は、P450sによる生体内活性化を必要とせずに内因性グルタチオンの存在下で活性チエノピリジン代謝物を生成してもよい。いくつかの実施形態では、前記方法は、HMG-CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、血小板凝集阻害剤、多価不飽和脂肪酸、フィブリン酸誘導体、胆汁酸隔離剤、抗酸化剤、及び抗狭心症薬からなる群から選択された1つ以上の製剤の共投与をさらに含む。
【0025】
特定の実施形態では、本発明は、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体の治療的有効量を患者に投与することを含む、患者の血管上での血小板の凝集を治療、改善又は予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、投与は、静脈内投与である。いくつかの実施形態では、前記患者は、心血管疾患(例えば、冠動脈疾患、末梢血管疾患、及び脳血管疾患)を発症する危険を有するリスクがある。いくつかの実施形態では、血小板の凝集を治療、改善又は予防することは、P2Y12受容体への不可逆的な結合によって行われる。いくつかの実施形態では、血小板の凝集を治療、改善又は予防することは、ADP受容体を遮断することによって行われる。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、P450sによる生体内活性化を必要とせずに内因性グルタチオンの存在下で活性チエノピリジン代謝物を生成することができる。
【0026】
[定義]
本明細書で使用される「チエノピリジン化合物」という用語は、抗血小板活性に使用されるADP受容体/P2Y12阻害剤の種類を意味する。例えば、クロピドグレル(Plavix)、チクロピジン(Ticlid)、及びプラスグレル(Effient)を含んでいるが、これらに限定されることはない。
【0027】
本明細書で使用される「チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体」という用語は、内因性グルタチオン(GSH)との相互作用により活性チエノピリジン代謝物を生産することができる変更されたチエノピリジン化合物を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、標的生理系内で生体内変化(例えば、自発的又は酵素的)を必要とし、プロドラッグを活性薬物に変換(例えば、酵素的、生理学的、機械的、電磁的)するための親「薬物」分子の薬理学的に不活性な誘導体を意味する。プロドラッグは、安定性、水溶性、毒性、特異性の欠如又は制限された生物学的利用能と関連する問題を解決するために設計される。例示のプロドラッグは、活性薬物分子それ自体及び化学的マスキング基(例えば、薬物の活性を可逆的に抑制する基)を含む。いくつかのプロドラッグは、代謝条件下で開裂可能な基を有する化合物の変形又は誘導体である。プロドラッグは、当技術分野で公知の方法を使用して親化合物から容易に製造することができ、周知の方法は、例えば、A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard(eds.), Gordon & Breach, 1991, particularly Chapter 5: "Design and Applications of Prodrugs"; Design of Prodrugs, H. Bundgaard(ed.), Elsevier, 1985; Prodrugs:Topical and Ocular Drug Delivery, K. B. Sloan (ed.), Marcel Dekker, 1998; Methods in Enzymology, K. Widder, et al. (eds.), Vol. 42, Academic Press, 1985, particularly pp. 309-396;Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5th Ed., M. Wolff(ed.), John Wiley & Sons, 1995, particularlyVol. 1 and pp. 172-178 and pp. 949-982; Pro-Drugs as Novel Delivery Systems, T. Higuchi andV. Stella(eds.), Am. Chem. Soc., 1975; and Bioreversible Carriers in Drug Design, E. B. Roche(ed.), Elsevier, 1987に記載されている。
【0029】
例示のプロドラッグは、生理学的条件下で加溶媒分解を行う場合、又は、酵素分解又はその他の生化学的変換(例えば、リン酸化、水素化、脱水素化、グリコシル化)を行う場合、生体内又は試験管内で薬学的に活性になる。プロドラッグは、多くの場合、水溶性、組織適合性、又は哺乳類組織内における徐放性の利点を提供する(例えば、Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, msterdam (1985); and Silverman, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, cademic Press, San Diego, CA(1992)参照)。一般的なプロドラッグは、酸誘導体、例えば、親酸と適切なアルコール(例えば、低級アルカノール)の反応によって製造されたエステル、又は親アルコールと適切なカルボン酸(例えば、アミノ酸)の反応によって製造されたエステル、親酸化合物とアミンの反応によって製造されたアミド、アシル化塩基誘導体(例えば、低級アルキルアミド)又はリン含有誘導体(例えば、リン酸塩、ホスホネート、及びホスホルアミデートエステル、例えば、環状リン酸エステル、ホスホネート、及びホスホルアミデート)を形成するために反応した塩基性基(例えば、米国特許出願公開第2007/0249564号Al参照)を含む。
【0030】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、標的動物(例えば、哺乳類)に生理学的に容認される本発明の任意の化合物の塩(例えば、酸又は塩基との反応によって得られる塩)を意味する。本発明の化合物の塩は、無機又は有機の酸及び塩基から誘導され得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、などを含んでいるが、これらに限定されることはない。薬学的に容認されないシュウ酸などのその他の酸は、本発明の化合物及びこれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の製造に使用してもよい。
【0031】
塩基の例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、及びWがC1-4アルキルなどの化学式NW4 +の化合物などが含まれるが、これらに制限されない。
【0032】
塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸塩、リンゴ酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチン酸、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート、ウンデカン酸塩などを含んでいるが、これらに限定されることはない。その他の塩の例としては、Na+、NH4 +、及びNW4 +(ここで、WはC1-4アルキル基)などの適切なカチオンと化合された本発明の化合物の陰イオンが含まれる。治療用として本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるものと考えられる。しかし、薬学的に容認されない酸及び塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の製剤又は精製に使用し得る。
【0033】
本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、有機又は無機の1つ以上の溶媒分子を有する本発明の化合物の物理的会合を意味する。このような物理的会合は、多くの場合、水素結合が含まれる。場合によっては、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒和物分子が結晶性固体の結晶格子に含まれる場合、分離することができる。「溶媒和物」は、溶液相及び単離可能な溶媒和物を含む。例示の溶媒和物は、水和物、エタノラート及びメタノラートを含む。
【0034】
本明細書で使用される「治療的有効量、」という用語は、障害の1つ以上の症状を改善をもたらしたり、障害の進行を防止したり、又は障害の退行を引き起このに十分な治療剤の量を意味する。例えば、血管上の血小板凝集の治療及び/又は予防に対して、一実施形態では、治療的有効量は、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は100%以上の血小板凝集を減少及び/又は予防する治療剤(例えば、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体)の量を意味する。
【0035】
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される媒体」という用語は、標準薬学的担体、溶媒、界面活性剤又は媒体のいずれか1つを含む。適切な薬学的に許容される媒体は、水性媒体及び非水性媒体を含む。標準薬学的担体及びこれらの製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 19th ed. 1995に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0036】
チエノピリジニル抗血小板剤は、3つの臨床的に使用される薬物である、クロピドグレル(Plavix)、チクロピジン(Ticlid)、及びプラスグレル(Effient)を含む。クロピドグレル(Plavix)、チクロピジン(Ticlid)、及びプラスグレル(Effient)の化学構造及びIUPAC名称は、以下の通りである。
【化12】
【0037】
チエノピリジニル抗血小板剤は、急性心血管症候群及び末梢血管疾患、特に、心臓病及び脳卒中を予防するための経皮的冠動脈インターベンション処置(例えば、冠動脈形成術)を受ける患者を治療するために広く用いられる。米国では2百万人近くの患者が毎年冠動脈及び頚動脈ステントを受けており、プラビックス(Plavix)の年間売上額は2010年には65億ドルに達した。
【0038】
広く使用されているにも関わらず、クロピドグレルは、有効性において個人間の大きな変動性を示している(例えば、Freedman JE and Hylek EM (2009) New Engl J Med 360(4):411-413; Gurbel PA and Tantry US (2007) Thromb Res 120(3):311-321; Sofi F, et al., (2011) Pharmacogenomics J 11(3):199-206参照)。患者のほぼ1/3がクロピドグレル治療に反応しない(例えば、Mason PJ, Jacobs AK and Freedman JE (2005) J Am Coll Cardiol 46(6):986-993)。個人間の変動性を克服する目的で、反応の欠如に関係する遺伝子マーカーを識別しようとする多くの研究が行われている。クロピドグレルは、突然変異CYP2C19*2遺伝子を有する患者においては効果が低いことが示しされている(例えば、Dick RJ, Dear AE and Byron KA (2011) Heart Lung Circ 20(10):657-658; Shuldiner AR, et al., (2009) JAMA 302(8):849-857; Sofi F, et al., (2011) Pharmacogenomics J 11(3):199-206参照)。しかし、CYP2C19*2突然変異遺伝子は、反応の変動のわずか12%だけを占める(例えば、Shuldiner AR, et al., (2009) JAMA 302(8):849-857参照)。他の因子が関与している可能性が高いが、確認されていない。
【0039】
実際に、クロピドグレルは、抗血小板剤として広く使用されているが、チエノピリジニル抗血小板剤に関連する欠点がある。クロピドグレルの大きな欠点は、投与の非一貫性である。例えば、患者の約1/3がクロピドグレル治療に反応しない。チクロピジンは、皮膚発疹及び下痢の中程度の症状から好中球減少症及び骨髄無形成症(bone marrow aplasia)などの重度の、時には致命的な症状に至る一連の副作用を引き起こす可能性がある。まれなケースでは無顆粒球症の重度の特有の事象を引き起こす。過度の出血は、特に高齢患者において、プラスグレルの使用に関連している。
【0040】
チエノピリジニル抗血小板剤に関連するこのような欠点は、これら3つの薬物がスキーム1に示す多形性シトクロムP450(P450s)によって活性代謝物(AM)への酸化的生体内活性化を必要とする全てのプロドラッグであるという事実と密接に関連している。この酸化的生体内活性化の工程により、P450sによって生成される活性代謝物の量は、各患者の肝臓のP450sの遺伝子構成によって変化する。また、これらの薬物は、P450sによって広範囲に代謝されて複数の代謝物を生成し、そのうちのいくつかは、反応性が高く潜在的に毒性がある。チクロピジンによる重度な特有の事象は、反応性代謝物の生成に関連することが報告されている。
【0041】
【化13】
【0042】
言及するように、クロピドグレル治療に対する様々な反応は、クロピドグレルが、シトクロムP450(P450s)による薬理学的に活性な代謝物(AM)への酸化的生体内活性化を必要とするプロドラッグであるという事実と密接に関連する(例えば、Kazui M, et al., (2010) Drug Metab Dispos 38(1):92-99; Savi P, et al., (2000) Thromb Haemost 84(5):891-896参照)。P450媒介生体内活性化は、2つの連続的な酸化工程を伴うことが文書化されている(例えば、Dansette PM, bault S, Bertho G and Mansuy D (2010) Chem Res Toxicol 23(7):1268-1274; Dansette PM, Rosi J, Bertho G and Mansuy D (2012) Chem Res Toxicol 25(2):348-356参照);クロピドグレルは、まず2-オキソクロピドグレルでモノ酸素化され、次に、第2工程でAMに酸化される)。エステラーゼPON1は、2-オキソクロピドグレルをAMに変換する役割をすると主張されているが(例えば、Bouman HJ, et al., (2011) Nat Med 17(1):110-116参照)、スキーム2に示すように、2-オキソクロピドグレルがスルフェン酸中間体を介してAMに変換されるという考えを支持する証拠が増えている(例えば、Dansette PM, Libraire J, Bertho G and Mansuy D (2009) Chem Res Toxicol 22(2):369-373; Dansette PM, Rosi J, Bertho G and Mansuy D (2012) Chem Res Toxicol 25(2):348-356; Dansette PM, Rosi J, Debernardi J, Bertho G and Mansuy D (2012) Chem Res Toxicol 25(5):1058-1065; Dansette PM, bault S, Bertho G and Mansuy D (2010) Chem Res Toxicol 23(7):1268-1274参照)。
【0043】
【化14】
【0044】
スキーム2に示すように、2-オキソクロピドグレルは、まずP450sによってスルフェン酸中間体に酸化される。次いで、非常に不安定なスルフェン酸は、グルタチオン(GSH)によって還元されて混合ジスルフィド結合体(RS-SG)を形成し、その後、別のGSH分子によって還元されてAMを形成する。これは、ヒト肝ミクロソーム(HLM)においてAMを形成するためにGSHが必要であるという観察と一致する(例えば、Kazui M, et al., (2010) Drug Metab Dispos 38(1):92-99参照)。AMは、血小板P2Y12受容体の共有結合の変更によって血小板凝集を抑制する役割をするものと広く知られている(例えば、Ding Z, et al., (2003) Blood 101(10):3908-3914; Algaier I, et al., (2008) J Thromb Haemost 6(11):1908-1914参照)。混合ジスルフィド結合体RS-SGの抗血小板活性は、試験されていない。
【0045】
N-アセチル-L-システイン(NAC)及びL-システインの存在下で2-オキソクロピドグレルの代謝によってAM及び混合ジスルフィド結合体が形成される(例えば、Zhang H, Lau WC and Hollenberg PF (2012) Mol Pharmacol 82:302-309参照)。また、NACの混合ジスルフィド結合体とL-システインは、チオールをGSHと交換して、AM、AM結合体、及びGSHの間の平衡がこれらの酸化還元電位によって支配されることが立証された。スルフェン酸中間体は、反応性酸化剤であるため、酸化還元電位が高い可能性がある。
【0046】
チエノピリジン化合物と関連する欠点を解決するために、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体が開発された。本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、スキーム3に示すように、P450sによる生体内活性化を必要とせずに内因性グルタチオン(GSH)の存在下で活性代謝物を生産することができると考えられる。このような手法は、P450sによる酸化的生体内活性化工程を回避するだけでなくチエノピリジニル薬と関連する多くの欠点を回避する。例えば、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、結合体からの活性代謝物の生成を予測できるため、投与の一貫性を改善すると考えられる。また、抗血小板剤として本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を使用すると、チオール-交換反応によって毒性反応性代謝物が生成されないために毒性を低減することが考えられる。また、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体の治療開始時間が短縮され、急性心血管の事象を経験した患者に大きな利益をもたらすと考えられる。チエノピリジンの標準療法では、摂取されたチエノピリジンの少量だけが活性代謝物に変換されるため、3~5日間連続的に投与する必要がある。一方、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、30分未満で高収率の活性代謝物を放出できると考えられる。また、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、活性代謝物より優れた安定性を有するため試験管内での基礎及び臨床研究のために活性代謝物を定量的に生成するために使用できると考えられる。
【0047】
【化15】

スキーム3内で、SRの例は、
【化16】

を含むが、これらに制限されない。
【0048】
従って、本発明は、P450sによる生体内活性化を必要とせずに内因性グルタチオン(GSH)の存在下で活性チエノピリジン代謝物を生産することができるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体に関するものである。本発明は、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を患者に投与することを含む抗血小板剤(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、及びプラスグレル)に反応するような患者の心血管疾患を治療、改善又は予防する方法に関する。このような障害は、冠動脈疾患、末梢血管疾患、及び脳血管疾患を含んでいるが、これらに限定されることはない。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、例えば、ADP受容体を遮断して血小板膜の機能を変更することによって(例えば、血小板をフィブリノゲンに結合させる糖蛋白質IIb/IIIaの構造変化を防止することによって)血小板凝集を抑制するために使用される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、P2Y12受容体への不可逆的な結合によって血小板の凝集(「クランピング」)を低減する。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は(例えば、抗血小板剤の静脈内(IV)投与を必要とする医薬状況(例えば、冠動脈形成術)で)静脈内(IV)投与用に構成される薬学的組成物内に使用される。
【0049】
本発明は、特定のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体に限定されない。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体化学式(I)で示される。
【化17】
【0050】
これらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び/又はプロドラッグを含み、ここでR4は、脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するエステル部分、脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するケトン部分、及び脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するアミド部分からなる群から選択される。
【0051】
化学式(I)は、特定の化学的部分Rl、R2、R3、及びR4に制限されない。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的に内因性グルタチオン(GSH)(例えば、抗血小板活性を可能にする活性チエノピリジン代謝物)との相互作用により活性チエノピリジン代謝物を生産することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的にP450sによる生体内活性化を必要とせずに内因性グルタチオン(GSH)存在下で活性チエノピリジン代謝物を生産することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的に患者の心血管疾患(例えば、冠動脈疾患、末梢血管疾患、及び脳血管疾患)、例えば、抗血小板剤(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、及びプラスグレル)に反応することを治療、改善又は予防できる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的に例えば、ADP受容体を遮断して血小板膜の機能を変更することによって(例えば、血小板をフィブリノゲンに結合させる糖蛋白質IIb/IIIaの構造変化を防止することによって)血小板凝集を抑制することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。いくつかの実施形態では、Rl、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立的にP2Y12受容体に不可逆的に結合して血小板の凝集を低減することができる生成された化合物を提供する任意の化学的部分を含む。
【0052】
このような混合ジスルフィド結合体は、化学式(I)(
【化18】

)内の特定の立体化学的配置に制限されない。いくつかの実施形態では、R4置換基に接続された二重結合は、Z又はシス配置のいずれかである。例えば、いくつかの実施形態では、化学式(I)は、次の立体化学的配置のいずれかによって表される。
【化19】
【0053】
いくつかの実施形態では、C7炭素は、ラセミ体、R又はS配置のいずれかである。例えば、いくつかの実施形態では、化学式(I)は、次の立体化学的配置のいずれかによって表される。
【化20】
【0054】
いくつかの実施形態では、C7炭素は、ラセミ体、R又はS配置のいずれかである。例えば、いくつかの実施形態では、化学式(I)は、次の立体化学のいずれかによって表される。
【化21】
【0055】
いくつかの実施形態では、化学式(I)内に含まれる化合物は、R4に接続された二重結合の立体化学的配置(例えば、Z又はシス配置)、C7炭素の立体化学的配置(例えば、ラセミ体、R又はS配置)、及びC4炭素の立体化学的配置(例えば、ラセミ体、R又はS配置)のうちの1つ以上を含有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、化学式(I)内に含まれる化合物は、薬学的に許容される塩形態である。例えば、いくつかの実施形態では、R4置換基は、適用可能な金属(例えば、Li、Na、K、など)と結合して塩
【化22】

を形成する。
【0057】
いくつかの実施形態では、Rlは、H、-CO-OCH3、
【化23】

からなる群から選択される。
【0058】
いくつかの実施形態では、R2は、
【化24】

からなる群から選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、R3は、電子吸引基である。いくつかの実施形態では、R3は、ハロゲンである。いくつかの実施形態では、R3は、Cl、Br、I、F、CN、NO2、CF3、H、OCH3から選択される。いくつかの実施形態では、R3は、ハロゲン化炭化水素基、例えば、トリフルオロメチル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基;アリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基;アシル基、例えば、アセチル基;アシルオキシ基、例えば、アセトキシ基;シアノ基;アリール基;1-アルケニル基;ニトロ基;スルホ基;アルカンスルホニル基;アルカンスルフィニル基;及びアルコキシスルホニル基から選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、R4は、任意の塩の形態である。
【0061】
いくつかの実施形態では、R4は、-COOCH3、-COOCH2CH3、COOCF3、
【化25】



から選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、化合物は、標的化部分と結合される。例えば、いくつかの実施形態では、化合物は、腫瘍細胞を標的化するための薬剤と結合される。いくつかの実施形態では、化合物は、腫瘍細胞を標的とする抗体と結合される。
【0063】
いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を患者に投与することを含む抗血小板剤(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、及びプラスグレル)に反応するような動物(例えば、ヒト及び獣医動物を含むが、これらに制限されない哺乳類の患者)の心血管障害を治療、改善又は予防するために使用される。このような障害は、冠動脈疾患、末梢血管疾患、アテローム血栓症、及び脳血管疾患を含んでいるが、これらに限定されることはない。即ち、いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、血栓形成を抑制及び/又は血小板凝集を低減するために使用される。この点で、このような疾患および病状は、本方法及びチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を使用する治療又は予防に適している。
【0064】
いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、症候性アテローム性動脈硬化症(symptomatic artherosclerosis)の患者における血管虚血性事象の予防に使用される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、ST上昇なしに急性冠動脈症候群を治療又は予防するために使用される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、冠動脈ステント挿入後の血栓症を予防するために使用される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、ADP受容体を遮断して血小板膜の機能を変更(例えば、血小板をフィブリノゲンに結合させる糖蛋白質IIb/IIIaの構造変化を防止)することによって血小板凝集を抑制するために使用される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、P2Y12受容体への不可逆的な結合によって血小板の凝集(「クランピング」)を低減する。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、出血時間を延長するために使用される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、高リスク患者の脳卒中の発症率を低減するために使用される。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明は、静脈内(IV)投与用に構成されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、静脈内(IV)投与用で構成されたチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含むこのような薬学的組成物は、アテローム血栓症の治療、改善及び予防に使用される。いくつかの実施形態では、静脈内(IV)投与用に構成されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含むこのような薬学的組成物は、血小板凝集の迅速な抑制のために使用される。いくつかの実施形態では、静脈内(IV)投与用に構成されるチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含むこのような薬学的組成物は、血小板凝集の迅速な抑制のために経皮的冠動脈インターベンション処置(例えば、冠動脈形成術)中に使用される。即ち、抗血小板治療は、アテローム血栓症の予防及び治療の基礎にある。粥腫崩壊及びステントからの全体圧力(sheer pressure)ストレスなどの作動剤による血小板活性は、アテローム血栓症の発症において重要な役割をする。患者が急性心血管症候群に罹患していか、又は経皮的心血管インターベンションを受ける特定の臨床状況下では、心血管死及び虚血合併症を予防するために血小板凝集の迅速かつ完全な抑制が要求される。このような医療シナリオは、短い発現時間を設ける抗血小板剤の静脈内投与を必要とする。しかし、現在の用いられる抗血小板剤が遅い発現時間を有するか、又は静脈内投与することができないので、医学的要件を満たすことができない(例えば、Silvain, J., and Montalescot, G., (2012) Circ. Cariovasc. Interv. 5:328-331参照)。本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、このような化合物が経口及び静脈内の両方で投与され、短い発現時間を有するので、この満たされていなかった医学的要求を満足させる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体の治療的有効量及び1つ以上の追加の治療剤(心血管疾患を治療、改善又は予防するために周知の治療を含むが、これらに制限されない)を投与する方法及び/又は治療技術(例えば、外科的処置)を提供する。心血管障害を治療、改善又は予防するために、周知の複数の治療剤は、本発明の方法における使用のために企図されている。即ち、本発明は、心血管障害を治療、改善又は予防するために周知の多くの治療剤の投与を意図するがこれらに制限されない。例えば、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン(Lipitor)、プラバスタチン(Pravachol)、シンバスタチン(Zocor)、ロスバスタチン(Crestor)、ピタバスタチン(Livalo)、ロバスタチン(Mevacor、Altocor)、フルバスタチン(Lescol));ACE阻害剤(例えば、ラミプリル(Altace)、キナプリル(Accupril)、カプトプリル(Capoten)、エナラプリル(Vasotec)、リシノプリル(Zestril));カルシウムチャネル遮断薬(例えば、アムロジン(Norvasc)、ニフェジピン(Procardia)、ベラパミル(Calan)、フェロジピン(Plendil)、ジルチアゼム(Cardizem));(チクロピジン、クロピドグレル、及びプラスグレル以外)血小板凝集阻害剤(例えば、アブシキシマブ(ReoPro)、アスピリン、ワルファリン(Coumadin)、ヘパリン);多価不飽和脂肪酸(例えば、オメガ-3多価不飽和脂肪酸(Fish Oil));フィブリン酸誘導体(例えば、フェノフィブラート(Tricor)、ジェムフィブロジル(Lopid));胆汁酸隔離剤(例えば、コレスチポール(Colestid)、コレスチラミン(Questran));抗酸化剤(例えば、ビタミンE);ニコチン酸誘導体(例えば、ナイアシン(Niaspan);血栓溶解剤(例えば、アルテプラーゼ(Activase));及び抗狭心症薬(例えば、ラノラジン(Ranexa)を含んでいるが、これらに限定されることはない。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のチエノピリジン化合物と1種類以上のさらなる治療剤との混合ジスルフィド結合体を、異なる周期、異なる持続時間、異なる濃度、及び異なる投与経路などの1つ以上の条件下で患者に投与する。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、追加の治療剤の前に投与され、例えば、0.5、1、2、3、4、5、10、12又は18時間前、1、2、3、4、5又は6日前、又は1、2、3又は4週前に投与される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、追加の治療剤の後に投与され、例えば、0.5、1、2、3、4、5、10、12又は18時間後、1、2、3、4、5又は6日後、又は1、2、3又は4週後に投与される。いくつかの実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体及び追加の治療剤は、同時に投与され、異なるスケールで、例えば、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、毎日投与する一方で、追加の投与剤は、1週間、2週間、3週間又は4週間に1回投与される。その他の実施形態において、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、1週1回投与される一方で、追加の治療剤は、毎日、1週間、2週間、3週間又は4週間に1回投与される。
【0068】
本発明の範囲内で組成物は、全て本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体が、その意図された目的を達成するために有効な量で含まれる全ての組成物を含む。個々のニーズは様々であるが、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当業者の技術範囲内である。典型的には、化合物は、アポトーシス誘導に反応する障害が治療される哺乳類(例えば、ヒト)に、哺乳動物の体重の1日当り0.0025から50mg/kg、又は等量の薬学的に許容される塩の用量が経口投与されてもよい。一実施形態では、このような障害を治療、改善又は予防するために約0.01から約25mg/kgが経口投与される。筋肉内注射の場合、用量は一般に経口用量の約半分である。例えば、適切な筋肉内用量は約0.0025から約25mg/kg又は約0.01から約5mg/kgである。
【0069】
単位経口用量は、約0.01から約1000mg、例えば、約0.1から約100mgのチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を含んでもよい。単位用量は、約0.1から約10mg、好都合には約0.25から50mgの化合物又は溶媒和物を含有する1つ以上の錠剤又はカプセル剤とし、て1日1回以上投与されてもよい。
【0070】
局所製剤において、化合物は、担体グラム当たり約0.01から100mgの濃度で存在してもよい。一実施形態では、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体は、約0.07~1.0mg/ml、例えば、約0.1~0.5mg/ml、及び一実施形態では、約0.4mg/mlの濃度で存在する。
【0071】
原料化学物質として、チエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体を投与することに加え、本発明の化合物は、薬学的に使用することができる製剤への化合物の加工を容易にする賦形剤及び補助剤を含む適切な薬学的に許容される担体を含む医薬製剤の一部として投与してもよい。製剤、特に経口又は局所投与することができ、1つの投与形態で使用することができる製剤、例えば、錠剤、糖衣錠、徐放性トローチ剤及びカプセル剤、口内洗浄剤及びうがい薬、ゲル、液体懸濁液、ヘアリンス、毛髪用ゲル、シャンプー、及び直腸内に投与可能な製剤、例えば、坐薬及び静脈内注入、注射、局所又は経口投与に適した溶液は、賦形剤と共に、約0.01から99%、一実施形態では、約0.25から75%の活性化合物を含有する。
【0072】
本発明の薬学的組成物は、本発明のチエノピリジン化合物の混合ジスルフィド結合体の有利な効果を示し得る任意の患者に投与されてもよい。このような患者の中で最も重要な患者は、哺乳動物、例えばヒトであるが、本発明はこれに制限されるものではない。他の患者には、獣医動物(牛、羊、豚、馬、犬、猫など)が含まれる。
【0073】
化合物及びこれらの薬学的組成物は、これらの意図された目的を達成する任意の手段によって投与されてもよい。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、頬側、髄腔内、頭蓋内、鼻腔内又は局所経路で行われてもよい。代わりに又は同時に、投与は、経口投与によるものであってもよい。投与される容量は、対象の年齢、健康状態、及び体重、同時治療の種類、必要に応じて、治療頻度、及び所望の効果の性質によって異なり得る。
【0074】
本発明の医薬製剤は、例えば、従来の混合、顆粒化、糖衣錠製造、溶解又は凍結乾燥法により、周知の方法で製造される。従って、経口使用のための医薬製剤は、必要に応じて、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、活性化合物を固体賦形剤と配合し、任意に、適切な補助剤を添加した後に得られた混合物を粉砕及び顆粒混合物を加工することによって得ることができる。
【0075】
適切な賦形剤は、特に充填剤、例えば、糖類、例えば、ラクトース又はスクロース、マンニトール又はソルビトール、セルロース製剤及び/又はリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウム、及びバインダとして、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び/又はポリビニルピロリドンを使用するデンプンペーストである。必要に応じて、崩壊制は、例えば、上記のデンプン及びカボクシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸、又はそれらの塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加してもよい。補助剤は、特に、流動調節剤及び潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアルサン又はそれらの塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸マグネシウム及び/又はポリエチレングリコールである。糖衣錠コアには、必要に応じて胃液に対して耐性のある任意の適切なコーティングが施される。この目的のために、濃縮糖質溶液を使用してもよく、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有してもよい。胃液に対して耐性のあるコーティングを製造するために、適切なセルロース製剤の溶液、例えば、酢酸セルロースフタレート又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートが使用される。識別のため、又は活性化合物の用量の組み合わせを特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに染料又は顔料が添加されてもよい。
【0076】
経口で使用することができるその他の医薬製剤には、ゼラチン製の押し込み型カプセル、及びゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤で製造された軟質密閉カプセルを含む。押し込み型カプセル(push-fit capsule)は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどのバインダ、及び/又は、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び、場合によっては安定剤と混合してもよく、顆粒形態の活性化合物を含むことができる。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、一実施形態では、脂肪油又は流動パラフィンなどの適切な液体に溶解又は懸濁される。さらに、安定剤を添加してもよい。
【0077】
直腸で使用され得る可能のある医薬製剤としては、例えば、1つ以上の活性化合物と坐薬基剤との組み合わせからなる坐薬が挙げられる。適切な坐薬基剤は、例えば、天然又は合成のトリグリセリド、又はパラフィン炭化水素である。また、活性化合物と塩基との組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することもできる。可能な基材には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリセロール又はパラフィン炭化水素が含まれる。
【0078】
非経口投与に適した製剤は、水溶性形態の活性化合物の水溶液、例えば、水溶性塩及びアルカリ溶液を含む。また、適切な油性注射懸濁液としての活性化合物の懸濁液が投与されてもよい。適切な親油性溶媒又は媒体には、脂肪油、例えば、ゴマ油又は合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル又はトリグリセリド又はポリエチレングリセロール-400が含まれる。水性注射懸濁液は、その粘度を増加させる物質を含有してもよく、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、及び/又はデキストランを含む。場合により、懸濁液はまた安定剤を含有してもよい。
【0079】
本発明の局所用組成物は、一実施形態では、適切な担体の選択により、油、クリーム、ローション、軟膏などとして形成される。適切な担体には、植物油又は鉱油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分枝鎖脂肪又は油、動物性脂肪及び高分子量アルコール(C12超過)が含まれる。担体は、活性成分が溶解されてもよい。乳化剤、安定剤、保湿剤及び抗酸化剤、並びに、必要に応じて色又は香りを付与する薬剤が含まれてもよい。さらに、経皮浸透増進剤をこれらの局所製剤に使用することもできる。このような増進剤の例は、米国特許第3,989,816号及び同第4,444,762号に見ることができる。
【0080】
軟膏は、アーモンド油のような植物油中の活性成分の溶液を暖かい軟質パラフィンと混合し、混合物を冷却させることによって形成してもよい。このような軟膏の典型的な例は、約30重量%のアーモンド油及び約70重量%の白色軟パラフィンを含む。ローションは、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールのような適切な高分子量アルコールに活性成分を溶解させることによって、都合よく製造されてもよい。
【0081】
当業者であれば、上記は本発明の特定の好ましい実施形態の単なる詳細な説明を示すことを容易に認識するであろう。上記の組成物及び方法の様々な変更及び変形は、当技術分野で利用可能な専門知識を使用して容易に達成することができ、本発明の範囲内にある。
【0082】
本発明を十分に記載したため、本発明又は任意の実施形態の範囲に影響を及ぼすことなく、条件、処方及び他のパラメータの広い範囲及び同等の範囲内で同じことを行うことができることを当業者は理解するであろう。本明細書に引用された全ての、特許、特許出願及び刊行物は、その全体が本明細書に参照として含まれる。
【0083】
[文献の援用]
本明細書で言及された各特許文書及び科学論文の全体の開示は、全ての目的のために参照として援用される。
【0084】
[等価物]
本発明は、その思想又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実現することができる。従って、上記の実施形態は、本明細書に記載された本発明限定するのではなく、全ての点で例示的であるとみなされるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲内に入る全ての変更は、本明細書に含まれることが意図される。