(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059800
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】スマートマイクロ流体混合機器及びカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B01J 19/00 20060101AFI20240423BHJP
B01F 33/301 20220101ALI20240423BHJP
【FI】
B01J19/00 321
B01F33/301
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025520
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2022069563の分割
【原出願日】2017-06-30
(31)【優先権主張番号】62/359,123
(32)【優先日】2016-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522218518
【氏名又は名称】プレシジョン ナノシステムズ ユーエルシー
【氏名又は名称原語表記】Precision Nanosystems ULC
【住所又は居所原語表記】655 W Kent Ave N, Suite 50, Vancouver, British Columbia V6P 6T7, Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100209657
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 宏
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】リーバー,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ロバート ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ラムセイ,ユアン
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオ ファン シャノン
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,ケアラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一貫して高品質の製剤を可能にする、混合のための機器と共に使用されるマイクロ流体チップを提供する。
【解決手段】入口、マイクロ流路、出口及び使用中にデータが記録されるデータコンポーネントを含む、混合のための機器100と共に使用されるプログラム可能なマイクロ流体チップであって、前記データは、混合中に故障が発生したときに、その診断のために記録される情報を含み、これらのデータは機器によって認識される固有の特徴を有する複数のレシピをさらに含み、故障を診断するための情報として圧力損失または抵抗に関する応答を含む、プログラム可能なマイクロ流体チップである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ、ポンプ、データ送信機/受信機を組み込んだマイクロ流体チップ係合トレイ、マイクロコントローラ、及びユーザインターフェースを有する、混合のための機器。
【請求項2】
前記データ送信機/受信機がRFIDリーダを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記送信機/受信機が、前記係合トレイ上のマイクロ流体チップの正しい位置決めを検出する、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
データコンポーネントを含むマイクロ流体チップと関連して使用するための、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
マイクロ流体チップが前記機器に係合され、前記機器の電源が入れられたときに、前記機器と前記マイクロ流体チップとが互いに通信する、請求項1から4のいずれか一項に記載の機器。
【請求項6】
入口、マイクロ流路、出口、及びデータコンポーネントを含む、プログラム可能なマイクロ流体チップ。
【請求項7】
前記データコンポーネントが無線周波数識別タグ(「RFID」)である、請求項6に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項8】
前記RFIDが定義された読み取り可能範囲を有する、請求項7に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項9】
前記RFIDが、0~5mmの定義された読み取り可能範囲を有する、請求項7又は8に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項10】
前記RFIDが0~20mmの定義された読み取り可能範囲を有する、請求項7又は8に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項11】
前記RFIDが0~50mmの定義された読み取り可能範囲を有する、請求項7又は8に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項12】
前記マイクロ流体チップが、着脱自在に取り付けられたマニホールド及びカバーを含む、請求項6から11のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項13】
前記データコンポーネントは、機器によって読み取り可能であり、かつ機器の動作を指示する格納データを含む、請求項6から12のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項14】
前記格納データが、前記マイクロ流体チップの履歴データを含む状態インジケータを含む、請求項13に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項15】
前記格納されたデータは、マイクロ流体チップの種類又は目的を含む、請求項13に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項16】
前記データコンポーネントが請求項1の機器によって読み取られ、前記機器内のマイクロコントローラによって処理され、対応するメッセージが前記機器上のユーザインターフェースを介してユーザに通信される、請求項6に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項17】
前記データコンポーネントから読み取られた前記データは、前記機器が前記ユーザインターフェースにどの情報を送信するかを決定する、請求項16に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項18】
前記データコンポーネントから読み出された前記データは、前記ユーザインターフェースに送信され、一組の命令としてユーザに提示される情報を含む、請求項15に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項19】
前記データコンポーネントから読み出された前記データは、前掲ユーザインターフェースに送信され、一組のオプションとしてユーザに提示される情報を含む、請求項15に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項20】
前記データコンポーネントが、データを受信し、格納し、発信することができる、請求項6から19のいずれか一項に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項21】
研究使用のための治療薬を製剤するためのシステムであって、ポンプを有する機器、データ送信機/受信機を組み込んだマイクロ流体チップ係合トレイ、マイクロコントローラ、メモリ格納装置、及びグラフィックディスプレイ、ならびに交換可能なマイクロ流体チップを備え、前記治療薬は核酸、ペプチド、タンパク質、また疎水性小分子からなる群から選択される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、研究材料及び製剤用の小容量ミキサである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ流体混合は、細かい流路を流れる流体の物理特性を組み込んで、核酸、小分子、タンパク質及び/又はペプチドを効率的に、かつ繊細で高価な材料の損失を最小限に抑えながらカプセル化することができるナノ粒子の自己集合を促進する。得られた製剤は学術研究及び医学的治療に有用である。
【0003】
Cullis等による米国特許出願公開第20120276209号、及び同第20140328759号は、小容量混合技術を使用する方法、及びそれにより誘導される新規な製剤を記載している。Ramsay等による米国特許公開第20160022580号は、小容量混合技術及び生成物を使用した直近の進歩について記載している。
【0004】
近年、生物学的マイクロ流体混合のための装置が設計されている。カナダのバンクーバーにあるPrecision NanoSystems Inc.は、NanoAssemblr(登録商標)のブランド名でこのようなデバイスを製造、販売している。使い捨てカートリッジ又はマイクロ流体チップ(以下、「m-チップ」)は、これらのデバイス内で機能する小型の実験室用混合プラットフォームである。
【0005】
現在、m-チップ上での混合プロセスの制御は、機械制御又は手動操作機構を通してオペレータによって行われている。操作技術者又は「ユーザ」の指示の下で、これらは、最適な混合を達成するための最適な速度でm-チップの入口に試薬を分注する。
【0006】
研究者によって混合される流体要素はますます複雑かつ貴重であり、核酸、ペプチド、及び小分子薬を含んでいる。実験室内、及び個別化医療では、各薬物及び組織標的に対してどの脂質/界面活性剤/薬物比及び粒径が最適であるかをよりよく理解するためには、各々が入念に追跡されなければならない特定の条件で多数の製剤を調製及びスクリーニングする必要がある。さらに、m-チップは非常に小さいので、ユーザは、それらが清浄か、汚染されていないか、自由流動性である流動が阻害されているか遮断されているかどうかを容易に判断することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高価な材料の損失を最小限に減らし、使用者の経験にかかわらず一貫して高品質の製剤を可能にする、半自動の、品質管理されたマイクロ流体混合装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によれば、モータ、ポンプ、データ送信機/受信機を組み込んだマイクロ流体チップ係合トレイ、マイクロコントローラ、及びユーザインターフェースを有する混合用の機器が提供される。一実施形態では、データ送信機/受信機はRFIDリーダを含む。別の実施形態では、送信機/受信機は係合トレイ上のマイクロ流体チップの正しい位置決めを検出する。
【0009】
別の実施形態では、機器はデータコンポーネントを含むマイクロ流体チップと関連して動作する。
【0010】
本発明の別の実施形態では、機器とマイクロ流体チップは、マイクロ流体チップが機器に係合し、機器の電源が入れられると互いに通信する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、入口、マイクロ流路、出口、及びデータコンポーネントを含むプログラム可能なマイクロ流体チップが提供される。
【0012】
本発明の別の実施形態では、データコンポーネントは無線周波数識別タグ(「RFID」)である、請求項1に記載のマイクロ流体チップが開示される。別の実施形態では、RFIDは定義された読み取り可能範囲を有する。幾つかの実施形態では、範囲は0~50mmである。別の実施形態では、範囲は0~20mmである。別の実施形態では、範囲は0~5mmである。本発明の別の実施形態では、マイクロ流体チップは取り外し可能な嵌合マニホールドとカバーとを備えている。
【0013】
本発明の別の実施形態では、データコンポーネントは、混合のための機器によって読み取り可能であり、かつその挙動を指示する格納されたデータを含む。本発明の別の実施形態では、格納されたデータは、前記マイクロ流体チップの履歴データを含む状態インジケータを含む。
【0014】
本発明の別の実施形態では、格納されたデータはマイクロ流体チップの種類又は目的を含む。
【0015】
本発明の別の実施形態では、データコンポーネントは、混合のために機器によって読み取り可能であり、前記機器内のマイクロコントローラによって処理され、対応するメッセージが機器上のユーザインターフェースを介してユーザに伝達される。
【0016】
本発明の別の実施形態では、データコンポーネントから読み取られたデータは、機器がどの情報をユーザインターフェースに送信するかを指示する。
【0017】
本発明の別の実施形態では、マイクロ流体チップのデータコンポーネントから読み取られたデータは、ユーザインターフェースに送信され、一組の命令としてユーザに表示される情報を含む。別の実施形態では、情報は一組のオプションとしてユーザに表示される。
【0018】
本発明の別の実施形態では、データコンポーネントはデータを受信し、格納し、かつ送出することができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、ポンプ、データ送信機/受信機を組み込んだマイクロ流体チップ係合トレイ、マイクロコントローラ、メモリ格納デバイス、及びユーザインターフェース、ならびに交換可能なマイクロ流体チップを有する機器を含み、治療剤が核酸、ペプチド、タンパク質、又は疎水性小分子からなる群から選択される、研究用に使用される治療剤を製剤するためのシステムが提供される。
【0020】
本発明の他の態様及び特徴は、添付図面と併せて本発明の特定の実施形態の以下の説明を検討すれば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態によるマイクロ流体混合機器の斜視図である。
【
図2A】Spark(登録商標)マイクロ流体混合機器として使用されるようなマイクロ流体チップの一実施形態の斜視図である。
【
図2B】Spark(登録商標)マイクロ流体混合機器として使用されるようなマイクロ流体チップの別の実施形態の斜視図である。
【
図2C】ベンチトップ機器(卓上機器)用に使用されるようなマイクロ流体チップの一実施形態の斜視図である。
【
図3】データ送信センサタグ及びデータリーダを往復する情報の方向、及び混合機器によって行われる結果の行為を示すフローチャートである。太線はプロセスフローを示し、細線はデータフローを示す(矢印は方向を示す)。
【
図4A】Mチップ上のRFIDタグのサイズ比、及びリーダに関する各データ信号範囲を示す図である。読み取り可能な高さと信号の高さの範囲は破線で示され、基礎となるリーダの読み取り可能な範囲は長い長方形として示されている。
【
図4B】リーダに関するRFIDタグの配置、及びデータ信号(リーダ及びデータ信号に関するRFIDタグ)の別の実施形態の図である。読み取り可能な高さと信号の高さの範囲とは破線で示されている。
【
図4C】リーダに関するRFIDタグ、及びデータ信号(リーダ及びデータ信号に関するRFIDタグの)の別の実施形態の図である。読み取り可能な高さと信号の高さの範囲は破線で示されているが、実際には長方形ではなく楕円形である。
【
図5A】機器の正面から見たマイクロ流体混合機器の実施形態の外形の範囲内の主PCB、マイクロコントローラ、データ発信センサリーラ、及びコネクタの配置図である。
【
図5B】
図5Aに示されているものと同一の要素であるが、機器の右側から見た図である。
【
図6】マイクロ流体混合機器の内部の機能ユニットを示す電気系ブロック図である。構成部品は実線で、機器の設置面積は破線で示されている。
【
図7】グリーティング画面、ユーザ制御のモード1画面、所定の流量比キット用のモード2画面、及び製剤が完了したことを示す「完了」画面を描写する、Spark(登録商標)マイクロ流体混合機器に表示されるグラフィカルユーザインターフェースの一連の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態によれば、
図1に概略的に示されるような微小流体混合機器が提供される。微小流体混合機器は、前面95を有する硬質シェルケース85、スクリーン又はタッチスクリーン90などのグラフィカルユーザインターフェース、スタートボタン87、Mチップエントリ82、及び圧力センサ付きプラットフォーム115を備えている。
【0023】
機械的及び電気的要素、及びそれらの関係を示すブロック図である
図6に最もよく示されるように、機器100は、ケーブル70を介して主プリント回路基板(主「PCB」)に接続されたクランプモータ60、ポンプモータ62を収容する。主PCB340は、ポンプ(1つ又は複数)47の後方で機器100の後方の近傍の硬質シェルケース85内の空間を占める。
【0024】
電源スイッチ及びジャック64、ならびに電源65も、ケーブル70を介してPCB340に接続されている。1つ又は複数の独立した入口ポンプ47(図示せず)及びm-チップ係合クランプ、ならびに咬合シール(図示しないが、スタート時にm-チップへと降下する)が機械的にモータ62及び60に接続される。
【0025】
図5A及び
図5Bは、一実施形態における主PCB340、マイクロコントローラ300、及びコネクタ112の位置を示す機器100の正面断面図及び側面断面図である。
図5Bには、リーダ110及び二次PCB112の位置が示されている。
【0026】
リボンケーブルコネクタ68を介して主PCB340に接続されているのは、リーダ110、及び二次PCB112である。二次のPCB112は、m-チップエントリ82に関連するLEDを動作させる。二次PCB112にはカートリッジスイッチ67とスタートスイッチ66も接続されている。カートリッジスイッチ67は、リーダ110に係合している。カートリッジスイッチ66はスタートボタン87に係合している。
【0027】
二次PCB112は、通常、プラットフォーム115の下の機器100の底部にある。ここで
図5aを参照すると、コンポーネントの一般的な位置は、正面から見て、機器100の外形を基準にした位置に関してのみ示されている。リーダ110は、m-チップエントリ82の下に示されている。
【0028】
好ましい実施形態では、オン/オフ電源スイッチが機器100の後方に配置されている。
【0029】
データ発信センサ20は、機器100のリーダ110と相互作用して、カートリッジを使用するか否かをチェックし、そうでない場合はユーザにカートリッジが機器100と適合するかどうかを通知し、レシピをロードし、確認をユーザに促し、ユーザが「はい」を示した場合はプロセスを実行し、成功又はエラーの結果を示し、使用データをタグに記録するプロセスを達成する。
【0030】
マイクロコントローラ300(例えば、http://www.canadarobotix.com、www.BC-Robotics.com、https://www.buyapi.caを含む任意のロボットベンダーから入手可能なATmega2560(登録商標)マイクロコントローラなどのマイクロコントローラ)は、他のコンポーネント間のコマンド及びフィードバックを調整し、かつ制御する。実施形態では、マイクロコントローラ300は、現実の対象物を感知し、制御することができるデジタルデバイス及び対話型対象物を構築するために使用されるシングルボードマイクロコントローラである。主PCB340は、他のコンポーネントとの間でコマンド及びフィードバックを受信し、配信する。マイクロコントローラ300は、一般に、PCB340の前方、かつ機器前面95の後方に配置されている。
【0031】
好ましい実施形態には、1つ又は2つのモータがある。これらは
図6にブロック図の形態のみで示されている。クランプモータ60は独立した入口ポンプ47を入口55又は取り付けられたm-チップ50の蓋へと降下させるように動作する。ポンプモータ62はポンププランジャ又はピストンを所定の速度で動かす。ポンプ機構(1つ又は複数)は、好ましい実施形態では直接ポンプであり、以下に記載するように、正確に封止されたm-チップ50を通して制御された圧力下で推進流体を圧送する。ステップごとの直線移動量は、モータにとって最も重要な仕様である。クランプモータ60の値は0.0003125”/ステップ(0.0079mm/ステップ)であり、ポンプモータ62のモータの値は0.00125”/ステップ(0.0317mm/ステップ)である。
【0032】
データコンポーネント
本発明の第2の実施形態によれば、
図2A、
図2B及び
図2Cに示される実施形態によって例示されるような本発明によるm-チップ50が提供される。
【0033】
Mチップ50は、硬質、又は半硬質プラスチック、金属又はガラスなどの固体材料であり、入口55、微小混合形状を有するマイクロ流路、出口45、及びデータコンポーネント20を有するように製造されている。試薬が入口55に添加された後にm-チップ50上に配置される特製の蓋の形態の幾つかの実施形態では、Mチップ50は、クランプがそれを所定位置に固定し、入口ポンプ47(図示せず)が入口55を封止するための強度と表面とを有している。幾つかの実施形態では、m-チップは安定性及びユーザ操作のために側部フランジ52を有する。これらは、m-チップの動作には必要ではないが、ユーザの便宜のために追加されている。機器100内に正しく配置されると、m-チップ50のマイクロ流路は、正移動(positive displacement)を介して、又はチップ55の内部に一体化された入口リザーバ55の制御された加圧によって入口55からマイクロ流路への試薬の流れを推進する(例えば
図2Aに示されている)機器のポンプ(単数又は複数)47に流体圧接続される。一実施形態では、注入口毎に1つのシリンジポンプが使用される。幾つかの実施形態では、2つの入口55があり、各入口55からの試薬が別々に(例えば、異なる速度で)駆動されるように別々のポンプによって係合される。
【0034】
上述のように、
図4A、4B及び4CのMチップ50は、好ましい実施形態では流要素を分注するための2つのウェルを有する入口55と、少なくとも1つの出口45とを含む。混合のための流体要素は、脂質、表面活性剤、製剤のための水溶性及び不水溶性材料、緩衝液及び賦形剤であってよい。オペレータ又は機器は、得られた混合物を出口45から適切な容器に引き込む。
【0035】
油圧(又は、水圧/流体圧/Hydraulics)
一実施形態では、入口毎に1つのシリンジポンプが使用される。幾つかの実施形態では、2つの入口55があり、これらは各入口55からの試薬が別々に(例えば、異なる速度で)駆動されるように別個のポンプによって係合される。
【0036】
マイクロ流路は、1mm未満の油圧直径を有する流路として定義される。「混合幾何形状」は当技術分野において公知であり、ヘリンボン及び他のパターンのマイクロ流路を含み、その例は、米国特許公開番号US20120276209A1、US20160214103A1、US20160235688A1、及びPCT公開WO2016138175A1に開示されている。幾つかの実施形態では、データコンポーネント20は、改ざん又は破損の危険性を低減するために、m-チップ50内のタグ凹部25内に設置される。「混合」は、2つ以上の材料が組み合わされる任意の作用を包含することを意味する。
【0037】
データ発信センサ
データ発信センサ20は、m-チップ50に埋め込まれ、又は接着され、感度範囲80を有し、データ受信機110と相互作用する。データ発信センサのための情報源は、任意のオンラインの電子機器ベンダーである。タグ20は簡単なコンピュータ言語を使用してプログラムされ、幾つかの実施形態では、手動でm-チップ50にインストールされる。代替実施形態では、タグ20はm-チップに作製され、作製後にプログラムされる。別の実施形態では、タグ20は事前にプログラムされ、その後にm-チップに作製される。
【0038】
好ましい実施形態では、データ発信センサ20はRFIDタグである。
【0039】
一般に、RFIDタグ又は無線周波数識別タグは、送信機及び受信機と共に埋め込まれる。タグ20の実施形態によるRFIDコンポーネントは、情報を格納し処理するチップと、信号を送受信するアンテナとを有する。タグは、特定のm-チップ50の固有のシリアル番号を符号化し、ある特性がプログラムされ得る。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態で使用されるRFIDタグ20は、それらが格納しているデータをリーダ110に戻すように中継するために、リーダの電波エネルギーを使用するという点で受動的である。他の実施形態では、給電されたタグに、情報中継のための小型バッテリが埋め込まれる。
【0041】
リーダ110の外形に関して
図4A、
図4B及び
図4Cに一般的に示されているような、タグ20とマイクロ流体混合機器との相互作用は操作機器100内に統合される。各タグ20の範囲80は、操作機器100にカスタマイズされている。データ放射センサタグが首尾よく読み取るために位置決めされなければならない領域は、80、すなわち信号範囲を表す破線によって示される。リーダとタグとの間の4.5mmの垂直方向の間隔は、
図4Aからは明らかではないが、この距離は、示されている7.5mmサイズのタグで良好に機能し、信号範囲80に影響を及ぼす。この実施形態は、最小の機器100に有用である。
【0042】
図4Bは、対応する7.5mmのRFIDタグ(ラベル付き)と操作機器内に一体化することができるRFIDリーダモジュール110を示す。この例では、読み取り可能領域は、リーダとタスクの間の垂直方向の間隔を6.7mmに増やすことによって縮小される。
【0043】
図4A、
図4B及び
図4Cに一般的に示されているような、タグ20とマイクロ流体混合機器との相互作用は、操作機器100内に統合されている。データ発信センサタグが首尾よく読み取られるために位置決めされなければならない領域は、80、すなわち信号範囲を表す破線によって示される。リーダとタグとの間の4.5mmの垂直方向の間隔は、
図4Aからは明らかではないが、この距離は、示されている7.5mmサイズのタグで機能し、信号範囲80に影響を及ぼす。この実施形態は、最小の機器100に有用である。
【0044】
図4Bは、対応する7.5mmのRFIDタグ(ラベル付き)と操作機器内に一体化することができるRFIDリーダモジュール110を示す。この例では、読み取り可能領域は、リーダとタスクの間の垂直方向の間隔を6.7mmに増やすことによって縮小される。
【0045】
図4Cは、小容量ミキサ用に設計されているSpark(登録商標)用に設計された
図4A及び
図4Bに示すm-チップよりも大容量の機器(NanoAssemblr(登録商標)卓上)に使用されるm-チップ50の実施形態を示す。主な機能は、図示されている3つの実施形態4A、4B、及び4Cで同一である。卓上リーダ110は異なる受信領域を有するので、タグ20は、
図4Cにも反映されているように、
図2Cに示されている実施形態ではより大きい。
【0046】
幾つかの実施形態では、タグ20とリーダ110との間の相互作用は一方向であり、又は好ましい実施形態では双方向である。
図3は、m-チップ50上のデータ発信センサ20とリーダ110との間で行われるクエリ及び通信、ならびにどのような情報がグラフィカルユーザインターフェース90に伝えられるかを示すフローチャートである。フローチャートの最も右側の列は、データ発信センサ20の特性である。特に
図3の動作の中央列における制御及び調整は、主PCB340に命令するマイクロコントローラ300による。マイクロコントローラ300は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)90と通信し、それを調整し、プラットフォーム115上のGUI及び圧力センサ115、スタートボタン87、ならびにモータ60及び62からフィードバックを得る。
【0047】
一実施形態では、データ発信センサ20は、それが以前に使用されたことがあるかどうか、また、使用された場合には何回使用されたか、又は何回の使用が残されているかを示す整数カウント、バイナリフラグ、定義文字、ストリング又は同等物の形態のデータを含み得る。そのような用途は、m-チップ50の使い捨てを含む使用の数が規制上又はライセンス上の理由のために実施する必要がある場合に有益である。特にマイクロ流体力学では、容易に可視化できない小さな流路の存在は、m-チップ50が「汚染されておらず」、オペレータにとって使用可能であるように見えるが、実際には実行間で相互汚染を示す物質(核酸、塩、タンパク質、又は他の分子など)が存在する状態をもたらすことがある。加えて、m-チップ50を使用すると、オペレータには見えない微視的な損傷を引き起こし、前記デバイス50で実行されるその後の実験を損なうことがある。
【0048】
一実施形態では、m-チップ50は、機器が挿入されたm-チップ50上で実行するための命令セットを格納する手段を含み得る。これは、温度、遅延時間、圧力値、又は電気機械器具に組み込むことができると考えられる他の任意のパラメータなどの機器設定を含み得る。一実施形態では、m-チップ50が機器に挿入された後、レシピが読み取られ、(ユーザプロンプト又は警告の有無にかかわらず)いずれにせよ実行されるであろう。そのような構成は多くの想定で魅力的であろう。ある状況では、製造業者は、異なるキットが同じm-チップを使用して異なるタスクを実行し得る、より大きなキットの一部としてm-チップ50を提供することができる。この状況では、格納されたレシピは、製造業者に1つのタイプm-チップ50のみの製造を許容するが、それがどれに同梱されるかに応じて異なるレシピをロードすることを許容する。このアプローチは、オペレータが機器上でレシピを入力又は選択しなければならないアプローチと比較して、エラーの可能性を低減する。加えて、このアプローチにより、製造業者は、その分野(フィールド)で展開された機器に対して更新を実行する必要なくレシピを更新し又は新たなレシピをリリースすることが可能になる。さらなる実施形態では、m-チップ50は、それぞれが機器によって認識される対応する特徴を有する複数のレシピを含むことができ、したがって、m-チップ50は異なるソフトウェア又はハードウェアバージョンを含む機器と後方互換性、及び相互互換性がある。
【0049】
したがって、実施形態では、m-チップ50が使用されたことを示すために機器100がスイッチオンすることができるフラグを有するメモリの規定された記憶域を含む書き込み可能なRFIDタグ20を用いて使用データの記録を達成できる。特定のライセンス条件又は規制条件のもとで、再使用が一定回数許容される場合、m-チップ50がさらに何回使用されるか、又は何回の使用が残されてされるかを格納するためにメモリブロックが使用される。
【0050】
本発明の実施形態では、RFIDタグ20は、挿入されたm-チップ50上で機器が実行するための一組の命令を格納するためのメモリを含む。これは、温度、遅延時間、圧力値、流速、アクチュエータの移動速度、移動距離、又は電気機械器具に組み込むことができると考えられる他のパラメータなどの機器設定を含み得る。一実施形態では、m-チップ50がマイクロ流体混合機器に挿入された後、レシピは、さらなるユーザ操作を伴って、又は伴わずに読み取られ、実行されるであろう。そのような実施形態では、エラーを回避し、オペレータのワークフローを簡略化するために、対応するレシピがカートリッジにプログラムされ得る1つ又は複数の埋め込まれた又は事前装填された試薬がカートリッジに提供され得る。
【0051】
このアプローチは、ユーザエラーの可能性を減らす。加えて、本発明のシステムにより、製造業者は、現場に配備された機器に対して更新を実行する必要なしにレシピを更新し又は新しいレシピをリリースすることが可能になる。さらなる実施形態では、m-チップ50は、各々が機器100によって認識される対応する特徴を有する複数のレシピを含むことができ、異なるバージョンのソフトウェア又はハードウェアを含む機器との後方互換性又は相互互換性を有することさえも可能にする。
【0052】
ある実施形態では、機器100は、m-チップ50にデータを記録する。一実施形態では、動作中に故障が生じると、機器は、エラーコード、機器設定、センサの読みなどのアイテムをm-チップに記録する。このように、m-チップ50が製造者又はその代理人に提示されると、その情報は、故障を診断するために読み取られる。
【0053】
一実施形態では、特別にプログラムされたm-チップ50は、機器上の設定、パラメータ又は他の情報を更新するためのデータを含む。そのような実施形態では、一旦m-チップ50が読み取られると、機器上のデータは、標準的なマイクロ流体カートリッジを用いたその後の使用のために新しい値に更新されるであろう。
【0054】
一実施形態では、機器はm-チップ50から読み取られた情報に基づいてその動作を適合させ得る。m-チップ50上に存在する異なるレシピ又は設定は、異なるインターフェース、オプション、パラメータ、インジケータなどがオペレータに提示されることを必要とすることがある。さらなる実施形態では、チップは、オペレータが従うべきステップ(例えば、チップにどの程度のボリュームをロードすべきか)を生成して、オペレータが機器上のチップをタップすると、機器がレシピのステップを通してオペレータにガイドするための、又はそのために使用されるデータを含み得る。
【0055】
幾つかの実施形態では、リーダ110は、機器内での位置が
図1の110で示されている双方向無線送受信機である。その機能は、タグ20と協働してm-チップ50の位置決めが正しいかどうか、m-チップ使用状況、及び最後にm-チッププログラミングを評価することである。リーダ110は、データ発信センサ20に書き込むことができ、またそこから読み取ることができる。
【0056】
例えば、機器のスイッチ(機械の後部の電源スイッチ)がオンにされると、またm-チップ50がプラットフォーム115に沿ってチップエントリ82に挿入されると、プラットフォーム115上の圧力センサはカートリッジスイッチ67に、内蔵アンテナを使用してタグ110に信号を発信するようにリーダ110に伝える信号を送る。
【0057】
m-チップ50の正しい配置及び配向は、主として圧力センサによってガイドされ、次いでタグ20が微調整のために読取装置110と相互作用することによってガイドされ、微調整は、破線で囲まれた領域として
図4A~
図4Cに示されるように、データ信号範囲80の特定の範囲に依存する。信号範囲80は、m-チップの外形及びプロファイルに特有であるように、また位置決めされ、識別されるためにm-チップが機器とどのように相互作用するかに応じて選択される。混合機器100のサイズに応じて、読み取り可能範囲80は、0~50mm、又は0~20mm、又は0~5mmである。
【0058】
タグ20は、タグ20のメモリに書き込まれた情報でリーダ110に応答する。本発明のm-チップ及び機器において具体化された論理パターン、及びそれらの相互作用は、
図3にフローチャートの形式で示されている。読み取り装置110は、読み取り結果を機器100内のマイクロコントローラ300に送信する。マイクロコントローラ300は、リボンケーブルコネクタ68を介して主PCB340に通信し、主PCB340はそれに応答して、GUI90に以下の例のような事前記録された画像を送信させる:
【0059】
「カートリッジが検出されました!Neuro9(登録商標)siRNA
総容量248μL
下のボタンを押して製剤を開始します」
m-chipがプラットフォーム115で検出されない場合:
「以下の新しいカートリッジを入れてください」
又は、m-chipがプラットフォーム115で検出されたが、適切に配置されていない場合:
「カートリッジが見つかりません。下にカートリッジを挿入してください」
メニュー画面により、ユーザはモードを選択することができる。
”モード:キット製剤オートパージ”
m-チップが、GUI90上でユーザによって選択されたモードに対して正しいタイプではない場合、
「カートリッジが間違っています。このカートリッジはキットモード用です。」
又は
「カートリッジが間違っています。このカートリッジは製剤モード用です。」
m-チップがすでに使用されている場合
「カートリッジは既に使われています!」
【0060】
正確な表現はチップ製造ごとに更新可能である。チップ及びその製剤の成功又は失敗に関する情報がユーザには利用可能ではなかった、先行技術の機器及びマイクロ流体チップの使用よりも大きな進歩であることに留意されたい。
【0061】
図7は、どの情報がm-チップ50から読み取られるかを示す、グラフィカルユーザインターフェース90からの4つの異なるスクリーンショットを図示している。この例では、プロトタイプのNanoAssemblr(登録商標)Spark(登録商標)小容量ミキサ機器(Precision NanoSystems Inc.,バンクーバー、BC、)がメニュー画面を表示し、次いで、どのモードのm-チップが挿入されているかに応じて2つの異なる画面のうちの1つを表示する。左側の製剤モードでは、ユーザは自分の製剤量を入力するように促される。モード2では、パラメータは可変的ではなく、オペレータは、所定のレシピ手順を開始するように促されるだけなので、右側では、GUIは単にチップが検出されたことを表示し、準備ができるとスタートボタン87を押すようにユーザを促す(全体図については
図1を参照)。一番下の画面に「完了」と表示され、ユーザにm-チップを取り外して製剤を使用するように促す。
【0062】
機器100は、データ発信センサ20のデータに基づいてそのGUI90に表示するための適切な情報を選択する。
【0063】
したがって、本開示は、データを格納するための、m-チップ50と、RFIDタグ20などの埋め込まれたデータ発信コンポーネントとを含む使い捨てカートリッジを対象とする。ともにシステムと見なされる付随する科学機器と共にこのカートリッジを使用することによって、情報は双方向に転送可能になり(タグ20でのm-チップ50から機器への読み取り、又は機器によるm-チップ50への書き込み)、特に使いやすさ、ソフトウェアの更新、トラブルシューティング、エンドユーザによるライセンスの取得などを容易にする。さらなる実施形態を形成するために個別に、又は組み合わせて使用される様々な実施形態が以下に記載される。
【0064】
例1:M-チップの製造
m-チップ50上にデータを記憶し読み取るための手段としてRFID20が使用される。そのような一例では、RFIDリーダ110がNanoAssembrl(商標)Spark(商標)実験室研究機器100の内部に埋め込まれた。この特定の事例では、DLP-RFID2(DLP Design、テキサス州アレン)リーダ(#+1)が機器のマイクロ流体カートリッジ収容トレイ115の下側に装着された。このリーダは、(ISO / IEC 15693(Verigenics、Southampton、ペンシルバニア州)の仕様を満たす)前面の、Spark(商標)m-チップ50に設置された7.5mmのRFIDタグが、Spark内に正しく挿入され配置されたとき、読み取りに成功した。RFIDリーダ110は、業界標準のプロトコルを使用して通信するように、機器の内部マイクロコントローラー(#+2)に直接接続された。
【0065】
m-チップ50の製造中、両面接着フィルムを使用して、RFチップ20が前面のm-チップ50の下側の凹部25に貼着された。RFID20は、そのようなタグをプログラムするための標準的な技術を用いてプログラムされた(方法は異ってもよいが、ベンダーは標準的な取扱説明書又はソフトウェアを提供する)。この例では、タグをプログラムするための簡単なハンドヘルドプログラミング装置が使用されている。
【0066】
例2:データ発信センサメモリブロックの特定情報
m-チップ50は、インビトロでニューロンに送達するために2ナノモルのsiRNAを脂質ナノ粒子に配合(フォーミュレート)するのに必要な特定のパラメータセットを実行するようにプログラムされた。
【0067】
RFIDタグに記憶されるべきデータは、.csvファイルの形でホストコンピュータにロードされた。ホストコンピュータは、このデータを一度に1つずつRFIDタグに書き込まれる8バイトのブロックに分割した。ホストコンピュータは、1ブロックのデータとともに、WriteBlockコマンドをRS-232シリアル接続を介してRFID読み取り/書き込みモジュールに送信した。RFID読み取り/書き込みモジュールは、ISO-15693規格に従って、RFIDタグに電力を供給して通信するための電磁場を生成した。
【0068】
モジュールがWrite Blockコマンドを送信した。RFIDタグがモジュールのアンテナの範囲内にある場合、タグはデータブロックを不揮発性の内部メモリに保存し、成功コードでRFIDモジュールに応答する。RFIDモジュールはタグの応答を待機し、次いで書き込みが成功したかどうかについてホストコンピュータに報告した。
【0069】
全てのデータがRFIDタグに送信され、格納されるまで、ステップ4~7が繰り返された。
【0070】
チップにプログラムされた合否シナリオは、単に次のようなエラーコードが提示された:
ST01:チップが挿入されていません
ST02:使用済みチップが挿入されました
ST03:現在のモード用にチップが間違っています。製剤モードのキットチップです
ST04:現在のモード用にチップが間違っています。キットモードの製剤用チップです
ST05:パージ中にチップが挿入されました
ST06:チップを読み取れません。RFIDヘッダーがありません
ST07:チップを読み取れません。不適切なチェックサムです
【0071】
実施例3:核酸の製剤
【0072】
Spark(商標)混合機器を使用して製剤するために、オペレータは
図2Aに示されるようにm-チップを使用した。製剤緩衝液が出口ウェル、siRNA(Integrated DNA Technologies、アイオワ州コーラルビル)に水溶液で吐出され(Neuro9 SparkKit(商標)、Precision NanoSystems Inc.、バンクーバー、ブリティッシュ、コロンビア州)がm-チップの入口の1つのウェルに、エタノール中の脂質ナノ粒子溶液(上記Ramsay等を参照)が第2の入口に吐出された。マニホールド及びカバーがm-チップ上に配置され、次いでカバーされたm-チップがSpark(登録商標)マイクロミキサに挿入された。挿入後、機器はRFIDタグの情報を読み取り、互換性があり未使用であることを確認し、機器の画面にm-チップがプログラムされている製剤の種類の確認をオペレータに提示し、続行する準備ができたら「開始」を押すように指示した。
【0073】
次いで機器は、RFIDタグに格納されたパラメータに従って処方を実行した。製剤プロセスが首尾よく完了した後、タグ上のデータは、m-チップが使用されたことを示すためにSpark(登録商標)のリーダによって更新された。
【0074】
製剤後、オペレータは機器からm-チップを取り除き、キャップ及びマニホールドを取り外し、得られた製剤を出口ウェルからピペットで取り出した。次いで、(対応するタグと共に)m-チップ50が現地の法規制に従って処分された。
【0075】
例4:高度なスマートM-チップのプログラミング
【0076】
m-チップは実施例1及び2と同様に準備されるが、エラーコードは以下を含む。
ST08:流量エラー
ST09:圧力エラー
【0077】
圧力損失など、製剤中にエラーが発生した場合は、対応するエラーコード又はメッセージがオペレータに表示され、RFIDタグに書き込まれるであろう。
【0078】
機器からタグへの、及びその逆方向への強化されたフィードバックには、圧力損失、予想外の抵抗、又は予想外の抵抗の欠如が含まれる。これらの強化されたデータは、ユーザに更なる例外を通知するGUIの読み出し情報に含まれる。これらの例外は、機器の機械的問題の診断に役立ち、機器の修理に役立つ。
【0079】
本発明の特定の実施形態を説明し図示したが、そのような実施形態は本発明の例示に過ぎず、特許請求の範囲に従って解釈されるように本発明を限定するものではないと見なされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合のための機器と共に使用されるプログラム可能なマイクロ流体チップであって、前記プログラム可能なマイクロ流体チップは、入口、マイクロ流路、出口、及び使用中に前記機器によってデータが記録されるデータコンポーネントを含み、
前記データは、
故障を診断するための情報であって、混合中に故障が発生したときに、前記データコンポーネントに記録される情報
を含み、
前記データは、それぞれが機器によって認識される対応する特徴を有する複数のレシピを更に含み、
前記故障を診断するための情報は、圧力損失又は抵抗に関するフィードバックを含む、プログラム可能なマイクロ流体チップ。
【請求項2】
前記データコンポーネントが無線周波数識別タグ(「RFID」)である、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項3】
前記RFIDが定義された読み取り可能範囲を有する、請求項2に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項4】
前記RFIDが、0~5mmの定義された読み取り可能範囲を有する、請求項2又は3に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項5】
前記RFIDが0~20mmの定義された読み取り可能範囲を有する、請求項2又は3に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項6】
前記RFIDが0~50mmの定義された読み取り可能範囲を有する、請求項2又は3に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項7】
前記マイクロ流体チップが、着脱自在に取り付けられたマニホールド及びカバーを含む、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項8】
前記データコンポーネントは、機器によって読み取り可能であり、かつ機器の動作を指示する格納データを含む、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項9】
前記格納データが、前記マイクロ流体チップの履歴データを含む状態インジケータを含む、請求項8に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項10】
前記格納されたデータは、マイクロ流体チップの種類又は目的を含む、請求項8に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項11】
前記データコンポーネントが請求項1の機器によって読み取られ、前記機器内のマイクロコントローラによって処理され、対応するメッセージが前記機器上のユーザインターフェースを介してユーザに通信される、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項12】
前記データコンポーネントから読み取られた前記データは、前記機器が前記ユーザインターフェースにどの情報を送信するかを決定する、請求項11に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項13】
前記データコンポーネントから読み出された前記データは、前記ユーザインターフェースに送信され、一組の命令としてユーザに提示される情報を含む、請求項11に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項14】
前記データコンポーネントから読み出された前記データは、前掲ユーザインターフェースに送信され、一組のオプションとしてユーザに提示される情報を含む、請求項11に記載のマイクロ流体チップ。
【請求項15】
前記データコンポーネントが、データを受信し、格納し、発信することができる、請求項1に記載のマイクロ流体チップ。
【外国語明細書】