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特開2024-59804撮像装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059804
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】撮像装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/667 20230101AFI20240423BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240423BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20240423BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240423BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240423BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20240423BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20240423BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H04N23/667
H04N5/222 100
H04N23/66
G03B15/00 V
G03B17/56 A
G03B7/091
G03B15/00 P
B60R11/04
G07C5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025632
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2022018584の分割
【原出願日】2016-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】大橋 聡
(72)【発明者】
【氏名】友野 瑞基
(57)【要約】
【課題】複数のモードにより振動に応じた撮像を行うことが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、車両に取り付け可能な取り付け部3と、カメラ(撮像部)6と、振動センサ12と、制御部19とを備える。カメラ6は、取り付け部3に対して回転可能に構成される。制御部19は、携帯端末2が装着されていない状態において第2閾値を用いて異常判定を行うモードと、携帯端末2が装着された状態において第2閾値よりも高い第1閾値を用いて異常判定を行うモードとを、アクチュエータ14によるカメラ6の回転に応じて切り替える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取付可能な撮像装置であって、
表示端末を着脱自在に支持する支持部と、
撮像方向を回転可能な撮像部と、
加速度センサと、
前記支持部が前記表示端末を支持した場合には、前記加速度センサの出力信号が第1閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第2モードを実行させ、
前記支持部から前記表示端末が外された場合には、前記加速度センサの出力信号が前記第1閾値よりも低い第2閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第1モードを実行させる制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記支持部が前記表示端末を支持し、且つ前記撮影部の撮像方向が前記移動体の室外に向けられている場合には、前記第2モードを実行させ、前記支持部から前記表示端末が外され、且つ、前記撮影部の撮像方向が前記移動体の室内に向けられている場合には、前記第1モードを実行させる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像部を収納する筺体を備え、
前記筺体は、第一端部に前記撮像部を収納し、前記第一端部とは異なる第二端部に前記
表示端末を着脱自在に支持する前記支持部を有する請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2モードにおいて、前記撮像部により撮像された画像を前記表示端末に送信する
第1送信部を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1モードにおいて、前記加速度センサの出力信号が前記第2閾値以上を示す場合、異常を示す情報を前記表示端末に送信する第2送信部を備える請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記撮像部の回転に応じて、前記撮像部の撮像感度、F値、又は焦点距
離のうち少なくとも一つを変更する請求項1~5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記表示端末の装着又は取り外しに応じ、前記撮像部を回転させる回転制御部を備える
請求項1~6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
表示端末を着脱自在に支持する支持部と、撮像方向を回転可能な撮像部と、加速度センサと、を備え、且つ移動体に取付可能な撮像装置が実行する制御方法であって、
前記支持部が前記表示端末を支持した場合には、前記加速度センサの出力信号が第1閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第2モードを実行させ、
前記支持部から前記表示端末が外された場合には、前記加速度センサの出力信号が前記第1閾値よりも低い第2閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第1モードを実行させる、制御工程
を有する制御方法。
【請求項9】
表示端末を着脱自在に支持する支持部と、撮像方向を回転可能な撮像部と、加速度センサと、を備え、且つ移動体に取付可能な撮像装置のコンピュータが実行するプログラムであって、
前記支持部が前記表示端末を支持した場合には、前記加速度センサの出力信号が第1閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第2モードを実行させ、
前記支持部から前記表示端末が外された場合には、前記加速度センサの出力信号が前記第1閾値よりも低い第2閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第1モードを実行させる、制御部
として前記コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動に基づく異常判定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドライブレコーダに関連する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、カメラ付き携帯端末をドライブレコーダとして機能させる技術が開示されている。また、特許文献2には、車室内に設けたフレキシブルアームの先端にカメラを設置した車室内カメラ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-300150号公報
【特許文献2】特開2012-96687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように携帯端末のカメラをドライブレコーダの撮影用のカメラとして用いた場合、一般的なドライブレコーダのカメラと比較して高角が狭く明るい映像を撮影できないという問題がある。また、スマートフォンの普及に伴い、車室内にスマートフォンを載置するためのホルダの需要が高まっている一方で、ドライブレコーダと上述のホルダとをそれぞれ設置するとそれぞれの設置スペースが必要となり車室内が煩雑化するという問題がある。また、駐車時に車室内を撮影するセキュリティカメラについても需要が高まっており、一台分の設置スペースで車室の内外を適宜撮影できる機器が存在すると利用者にとって便宜である。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、複数のモードにより振動に応じた撮像を行う撮像装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、移動体に取付可能な撮像装置であって、表示端末を着脱自在に支持する支持部と、撮像方向を回転可能な撮像部と、加速度センサと、前記支持部が前記表示端末を支持した場合には、前記加速度センサの出力信号が第1閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第2モードを実行させ、前記支持部から前記表示端末が外された場合には、前記加速度センサの出力信号が前記第1閾値よりも低い第2閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第1モードを実行させる制御部と、を備える。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、表示端末を着脱自在に支持する支持部と、撮像方向を回転可能な撮像部と、加速度センサと、を備え、且つ移動体に取付可能な撮像装置が実行する制御方法であって、前記支持部が前記表示端末を支持した場合には、前記加速度センサの出力信号が第1閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第2モードを実行させ、前記支持部から前記表示端末が外された場合には、前記加速度センサの出力信号が前記第1閾値よりも低い第2閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第1モードを実行させる、制御工程を有する。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、表示端末を着脱自在に支持する支持部と、撮像方向を回転可能な撮像部と、加速度センサと、を備え、且つ移動体に取付可能な撮像装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記支持部が前記表示端末を支持した場合には、前記加速度センサの出力信号が第1閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第2モードを実行させ、前記支持部から前記表示端末が外された場合には、前記加速度センサの出力信号が前記第1閾値よりも低い第2閾値以上を示す場合に前記撮像部により撮像された画像の録画を開始する第1モードを実行させる、制御部として前記コンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】撮像装置が携帯端末を保持した状態を示す。
図2】撮像装置の機能ブロック図である。
図3】携帯端末が撮像装置から外された際の筺体部の回転前後の状態を示す。
図4】携帯端末が撮像装置に装着された際の筺体部の回転前後の状態を示す。
図5】車室内の概略図である。
図6】撮像装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、撮像装置は、振動を検出する振動検出部と、移動体に取り付け可能な取り付け部と、前記取り付け部に対して回転可能な撮像部と、前記振動に応じて録画を開始する第1モードと、前記録画を開始するための振動の閾値が前記第1モードよりも高い第2モードとを、前記撮像部の回転に応じて切り替える制御部と、を備える。
【0011】
上記撮像装置は、振動を検出する振動検出部と、移動体に取り付け可能な取り付け部と、撮像部と、制御部とを備える。撮像部は、取り付け部に対して回転可能に構成される。制御部は、振動に応じて録画を開始する第1モードと、録画を開始するための振動の閾値が第1モードよりも高い第2モードとを、撮像部の回転に応じて切り替える。このように、撮像装置は、撮像部の回転に応じて振動の閾値が異なる第1モードと第2モードとを切り替えることで、各モードで必要な録画を的確に実行することができる。
【0012】
上記撮像装置の一態様では、撮像装置は、前記撮像部を収納する筺体を備え、前記筺体は、第一端部に前記撮像部を収納し、前記第一端部とは異なる第二端部に表示端末を着脱自在に支持する支持部を有し、前記制御部は、前記支持部から前記表示端末が外された状態で前記第1モードを実行し、前記支持部が前記表示端末を支持した状態で前記第2モードを実行する。一般に、表示端末が支持部から外れた状態では、移動体が停止中であり、定常的な振動が小さいことが予測され、表示端末が支持部に支持された状態では、移動体が移動中であり、定常的な振動が大きいことが予測される。以上を勘案し、制御部は、表示端末が支持部に支持されたときに実行する第2モードでは、第1モードより振動の閾値を高くすることで、移動に伴う定常的な振動を異常と誤判定するのを好適に抑制することができる。
【0013】
上記撮像装置の他の一態様では、撮像装置は、前記第2モードにおいて、前記撮像部により撮像された画像を前記表示端末に送信する第1送信部を備える。この態様では、撮像装置は、表示端末が支持部に支持された状態で撮像部により撮像された画像を表示端末に送信することで、表示端末に撮像部により撮像された画像に基づく表示を好適に実行させることができる。
【0014】
上記撮像装置の他の一態様では、撮像装置は、前記第1モードにおいて、前記振動検出部が検出した振動が前記録画を開始するための振動の閾値以上となった場合、異常を示す情報を前記表示端末に送信する第2送信部を備える。この態様により、撮像装置は、移動体から表示端末及びそのユーザが離れて存在することが想定される場合に、移動体の異常を表示端末のユーザに好適に通知することができる。
【0015】
上記撮像装置の他の一態様では、前記制御部は、前記撮像部の回転に応じて、前記撮像部の撮像感度、F値、又は焦点距離のうち少なくとも一つを変更する。この態様により、撮像装置は、撮像部による撮像方向が変化した場合であっても、鮮明な画像を撮像部により撮像することが可能となる。
【0016】
上記撮像装置の他の一態様では、撮像装置は、前記表示端末の装着又は取り外しに応じ、前記撮像部を回転させる回転制御部をさらに有する。この態様により、撮像装置は、好適に第1モードと第2モードとを切り替えることができる。
【0017】
本発明に係る他の実施形態では、撮像装置は、振動を検出する振動検出部と、車両に取り付け可能な取り付け部と、前記取り付け部に対して回転可能な撮像部と、前記振動に応じて録画を開始する制御部と、を備え、前記制御部は、前記車両の室内を前記撮像部により撮像する第1モードと、前記車両の室外を前記撮像部により撮像する第2モードとを前記撮像部の回転に応じて切り替え、前記第2モードでの前記録画を開始するための振動の閾値は、前記第1モードよりも高い。この態様により、撮像装置は、車両の室外を撮影する第1モードと、車両の室外を撮影する第2モードとで、それぞれ適切なタイミングで録画を開始することができる。
【0018】
本発明に係る他の実施形態では、振動を検出する振動検出部と、移動体に取り付け可能な取り付け部と、前記取り付け部に対して回転可能な撮像部と、を備える撮像装置が実行する制御方法であって、前記振動に応じて録画を開始する第1モードと、前記録画を開始するための振動の閾値が前記第1モードよりも高い第2モードとを、前記撮像部の回転に応じて切り替える制御工程を有する。撮像装置は、この制御方法を実行することで、撮像部の回転に応じて振動の閾値が異なる第1モードと第2モードとを切り替え、各モードで必要な録画を的確に実行することができる。
【0019】
本発明に係る他の実施形態では、振動を検出する振動検出部と、移動体に取り付け可能な取り付け部と、前記取り付け部に対して回転可能な撮像部と、を備える撮像装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記振動に応じて録画を開始する第1モードと、前記録画を開始するための振動の閾値が前記第1モードよりも高い第2モードとを、前記撮像部の回転に応じて切り替える制御部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、撮像部の回転に応じて振動の閾値が異なる第1モードと第2モードとを切り替え、各モードで必要な録画を的確に実行することができる。
【0020】
本発明に係る他の実施形態では、振動を検出する振動検出部と、移動体に取り付け可能な取り付け部と、前記取り付け部に対して回転可能な撮像部と、を備える撮像装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記振動に応じて録画を開始する制御部と、表示端末が装着されている場合、前記撮像部により撮像された画像を前記表示端末に送信する第1送信部と、前記表示端末が装着されていない場合、前記振動検出部が検出した振動が前記録画を開始するための振動の閾値以上となったときに、異常を示す情報を前記表示端末に送信する第2送信部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、表示端末の装着時には表示端末の表示に必要な画像を供給し、表示端末の非装着時には異常を示す情報を表示端末に好適に通知することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な各実施例について説明する。
【0022】
[撮像装置の構成]
図1(A)、(B)、(C)は、本発明に係る撮像装置が適用された撮像装置1が携帯端末2を保持した状態を示す。図1(A)は、撮像装置1及び携帯端末2を正面(即ち携帯端末2のディスプレイ側)から観察した図であり、図1(B)は、撮像装置1及び携帯端末2を背面から観察した図である。また、図1(C)は、撮像装置1及び携帯端末2を側面から観察した図である。後述するように、撮像装置1は、車両のダッシュボード等に設置され、携帯端末2の装着時には通常のドライブレコーダとして機能し、携帯端末2が装着されていない時には車内の異常を検知するセキュリティカメラとして機能する。
【0023】
図1(A)~(C)に示すように、撮像装置1は、主に、取り付け部3と、アーム4と、筺体部5とを備える。取り付け部3は、略円盤状の形状を有し、撮像装置1を取り付ける車両のダッシュボードなどの設置面に対して底面が面接触した状態で固定される。アーム4は、一端が取り付け部3と接続し、他端が筺体部5と接続している。
【0024】
筺体部5は、略円筒形状を有し、アーム4により支持されている。筺体部5は、後述するように、撮像装置1の設置面に対して略平行な方向に回転自在な態様によりアーム4に接続する。筺体部5の一端には撮影用のカメラ6が設けられ、カメラ6が設けられた端と反対側の筺体部5の端には、磁場を発生させるマグネット部8が設けられる。マグネット部8は、携帯端末2の背面に取り付けられた磁性体10の溝に嵌め込まれる。ここで、磁性体10は、鉄などの強磁性体である。よって、マグネット部8は、磁性体10に嵌め込まれた状態で磁力により磁性体10及び磁性体10が取り付けられた携帯端末2を支持する。カメラ6は、本発明における「撮像部」、マグネット部8は、本発明における「支持部」の一例である。
【0025】
携帯端末2は、例えばスマートフォンなどのディスプレイを有する表示端末であり、背面には、磁性体10が貼り付けられている。なお、携帯端末2に貼り付けられる磁性体10の面は、例えば粘着性又は吸着性を有し、携帯端末2の背面の任意の位置に貼り付けられる。そして、図1の例では、携帯端末2は、マグネット部8が磁性体10を引き寄せる磁力により、撮像装置1の筺体部5に対して固定されている。携帯端末2には、撮像装置1と連動した処理を実行可能なナビゲーション用のアプリケーションがインストールされている。例えば、携帯端末2は、撮像装置1の筺体部5に対して固定された装着状態において、上述のアプリケーションに基づき、撮像装置1のカメラ6が撮影した画像を撮像装置1から受信し、ディスプレイに表示させる。図1(A)の例では、携帯端末2は、カメラ6が撮影した車両の前方風景の画像をディスプレイに表示させている。
【0026】
図2は、撮像装置1の機能ブロック図である。図2に示すように、撮像装置1は、カメラ6と、GPS受信機11と、振動センサ12と、着脱センサ13と、アクチュエータ14と、近距離通信部15と、ネットワーク通信部16と、RAM17と、不揮発性メモリ18とを備える。
【0027】
GPS受信機11は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波を受信することで、現在位置を示す現在位置情報を生成する。振動センサ12は、例えば加速度センサであり、振動の大きさに応じた検出信号(「振動検出信号S1」とも呼ぶ。)を制御部19へ供給する。振動センサ12が検出する振動の大きさの尺度は、変位、速度、加速度のいずれであってもよい。振動センサ12は、本発明における「振動検出部」の一例である。
【0028】
着脱センサ13は、携帯端末2の撮像装置1への装着又は取り外しを検知し、携帯端末2が装着又は取り外されたことを示す検出信号(「着脱検出信号S2」とも呼ぶ。)を制御部19へ供給する。着脱センサ13は、例えば、マグネット部8が嵌めこまれる磁性体10の溝に形成され、マグネット部8が磁性体10に嵌めこまれた状態でマグネット部8により押下されるスイッチ等が生成する電気信号であってもよい。
【0029】
アクチュエータ14は、制御部19の制御に基づき、携帯端末2が撮像装置1から着脱された場合に、筺体部5を撮像装置1の設置面と水平に所定角度だけ回転させる。図3(A)、(B)は、携帯端末2が撮像装置1から外された際の筺体部5の回転前後の状態を示す。図3(A)、(B)に示すように、携帯端末2が撮像装置1から外された場合、アクチュエータ14は、制御部19の制御に基づき、筺体部5をアーム4との接続部分を軸として約180度回転させる。これにより、アクチュエータ14は、カメラ6を、携帯端末2の装着状態において携帯端末2のディスプレイが向けられていた方向(即ち車室内を撮影範囲とする方向)に向ける。図4(A)、(B)は、携帯端末2が撮像装置1に装着された際の筺体部5の回転前後の状態を示す。図4(A)、(B)に示すように、携帯端末2が撮像装置1に装着された場合、アクチュエータ14は、制御部19の制御に基づき、筺体部5をアーム4との接続部分を軸として約180度回転させる。これにより、アクチュエータ14は、カメラ6を、図4(A)と反対の方向(即ち車室外である車両前方を撮影範囲とする方向)に向ける。アクチュエータ14は、本発明における「回転制御部」の一例である。
【0030】
再び図2を参照し、撮像装置1の各構成要素について説明する。近距離通信部15は、制御部19の制御に基づき、撮像装置1に装着された携帯端末2と近距離のデータ通信を行う。近距離通信部15による通信は、例えばNFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)などの近距離用の無線通信である。本実施例では、近距離通信部15は、携帯端末2の装着状態において、カメラ6が撮影した画像を携帯端末2に送信する。
【0031】
ネットワーク通信部16は、制御部19の制御に基づき、撮像装置1から外された携帯端末2とネットワークを介したデータ通信を行う。本実施例では、後述するように、ネットワーク通信部16は、携帯端末2が撮像装置1に外された状態で制御部19が異常を検知した場合に、異常を通知する情報(「異常通知情報」とも呼ぶ。)を携帯端末2に対して送信する。
【0032】
RAM17は、制御部19の制御に基づき、カメラ6が生成した画像を一時的に記憶する画像バッファ等として機能する記憶領域である。不揮発性メモリ18は、例えば内蔵フラッシュメモリやSDカードなどの記憶媒体である。不揮発性メモリ18には、例えば、制御部19が危険運転等の異常を検知した場合に、制御部19により、RAM17に記憶された異常検知前の所定時間分の画像が書き込まれる。また、不揮発性メモリ18には、携帯端末2とネットワーク通信部16が通信するための携帯端末2の通信アドレスの情報、後述する振動に基づく異常判定に用いる閾値の情報、及び、カメラ6の設定に関する情報などが記憶されている。
【0033】
制御部19は、CPUなどであり、撮像装置1の全体を制御する。例えば、制御部19は、着脱センサ13が出力する着脱検出信号S2に基づき携帯端末2の撮像装置1への着脱を検知した場合に、アクチュエータ14を制御する。これにより、制御部19は、図3及び図4で説明したようなカメラ6の向きの制御を行う。また、制御部19は、振動センサ12から供給された振動検出信号S1が示す振動の大きさが所定の閾値(「判定用閾値」とも呼ぶ。)を超えた場合に、異常が発生したと判断し、RAM17に記憶された異常検知前の所定時間分の画像を不揮発性メモリ18に書き込む(即ち録画を行う)。制御部19は、本発明における「制御部」、「第1送信部」、「第2送信部」及びプログラムを実行するコンピュータの一例である。
【0034】
[異常判定処理]
次に、制御部19が実行する異常判定処理について説明する。概略的には、制御部19は、携帯端末2が装着状態である場合に用いる判定用閾値を、携帯端末2が非装着状態である場合に用いる判定用閾値よりも高くする。これにより、制御部19は、携帯端末2の装着状態及び非装着状態のそれぞれの場合での異常の発生を的確に検知する。
【0035】
図5(A)は、携帯端末2の装着状態における車室内の概略図である。図5(A)の例では、撮像装置1は、ダッシュボード29上に設置されており、運転手は、携帯端末2を撮像装置1に装着させている。この場合、カメラ6は、フロントウィンドウ25に向けられており、カメラ6と反対側に装着された携帯端末2のディスプレイは、車室内の運転手に向けられている。図5(A)に示す携帯端末2の装着状態では、制御部19は、カメラ6が生成する画像を近距離通信部15により携帯端末2に送信する。この場合、携帯端末2は、第1の例では、撮像装置1から受信した画像をディスプレイに表示させる。このとき、携帯端末2は、表示した画像に運転を補助するための画像を重畳して表示させてもよい。また、第2の例では、携帯端末2は、撮像装置1から受信した画像を記憶媒体に記憶させる。このように、制御部19は、カメラ6が生成する画像を近距離通信部15により携帯端末2に送信させることで、カメラ6が生成する画像を携帯端末2に好適に表示又は記憶させる。
【0036】
また、図5(A)に示す携帯端末2の装着状態では、撮像装置1は、ドライブレコーダとして機能する。具体的には、制御部19は、振動センサ12から供給される振動検出信号S1が示す振動の大きさが判定用閾値を超えた場合に、異常が発生したと判断し、RAM17に記憶された異常検知前の所定時間分の画像を不揮発性メモリ18に書き込む。このとき、制御部19は、判定用閾値を、危険運転(衝突等も含む)を判定するための閾値(「第1閾値」とも呼ぶ。)に設定する。第1閾値は、例えば危険運転ではない通常の走行時において発生し得る振動の大きさ以上の値となるように、予め実験等に基づき設定される。このように、携帯端末2の装着状態では、制御部19は、判定用閾値を、車両が走行中であることを前提とした第1閾値に設定する。これにより、制御部19は、危険運転が発生していないときにカメラ6が生成した画像を、不揮発性メモリ18に不要に書き込むのを好適に抑制する。
【0037】
また、携帯端末2の装着状態において、好適には、制御部19は、カメラ6の各種設定を、車外風景を撮影するのに適した設定にするとよい。例えば、制御部19は、カメラ6の撮像感度、F値、又は/及び焦点距離などを、車外風景を撮影するのに好適な値に設定する。これにより、制御部19は、危険運転の発生時には、危険運転の発生時の状況を鮮明に撮影した画像を、不揮発性メモリ18に保存することができる。なお、携帯端末2の装着状態において用いる第1閾値及びカメラ6の設定情報は、例えば不揮発性メモリ18等に予め記憶されている。図5(A)に示す携帯端末2の装着状態において、第1閾値等を用いた異常検出処理のモードは、本発明における「第2モード」の一例である。
【0038】
図5(B)は、携帯端末2の非装着状態における車室内の概略図である。図5(B)の例では、運転手が携帯端末2を撮像装置1から取り外して車両から退出している。この場合、制御部19は、携帯端末2が取り外されたことを着脱検出信号S2に基づき検知し、アクチュエータ14により筺体部5を図5(A)の状態から約180度回転させることにより、カメラ6を車室内に向けさせている。
【0039】
図5(B)に示す携帯端末2の非装着状態では、撮像装置1は、セキュリティカメラとして機能する。具体的には、制御部19は、振動センサ12から供給される振動検出信号S1が示す振動の大きさが判定用閾値を超えた場合に、異常が発生したと判断し、RAM17に記憶された異常検知前の所定時間分の画像を不揮発性メモリ18に書き込む。また、この場合、制御部19は、異常を通知するための異常通知情報を生成し、ネットワーク通信部16により生成した異常通知情報を携帯端末2に対して送信する。このとき、制御部19は不揮発性メモリ18に書き込んだ画像の一部又は全部を異常通知情報に含めて携帯端末2に送信してもよい。
【0040】
ここで、図5(B)に示す携帯端末2の非装着状態では、制御部19は、判定用閾値を、第1閾値よりも小さい所定の閾値(「第2閾値」とも呼ぶ。)に設定する。第2閾値は、例えば、車両の停車時において発生し得る微小な振動の大きさより大きい値であって、車両への人や物の接触等に起因した振動の大きさより小さい値に、予め実験等に基づき設定される。このように、携帯端末2の非装着状態では、制御部19は、判定用閾値を、車両が停車中であることを前提とした第2閾値を設定する。これにより、制御部19は、車上荒らしなどの不審者が車両に接触した場合に発生する振動に基づき、好適に異常を検知し、不揮発性メモリ18に画像を書き込んだり、異常通知情報により携帯端末2のユーザに異常を通知したりすることができる。
【0041】
また、携帯端末2の非装着状態において、好適には、制御部19は、カメラ6の各種設定を、車室内を撮影するのに適した設定にするとよい。例えば、制御部19は、カメラ6の撮像感度、F値、又は/及び焦点距離などを、車室内を撮影するのに好適な値に設定する。これにより、制御部19は、異常を検知したときの車室内の様子を鮮明に撮影した画像を好適に生成することができる。なお、携帯端末2の非装着状態において用いる第2閾値及びカメラ6の設定情報は、例えば不揮発性メモリ18等に予め記憶されている。図5(B)に示す携帯端末2の非装着状態において、第2閾値等を用いた異常検出処理のモードは、本発明における「第1モード」の一例である。
【0042】
図6は、制御部19が実行するフローチャートの一例である。制御部19は、図6のフローチャートを繰り返し実行する。
【0043】
まず、制御部19は、携帯端末2が着脱されたか否か判定する(ステップS101)。例えば、制御部19は、振動センサ12から送信される着脱検出信号S2に基づき、携帯端末2の着脱の有無を判定する。
【0044】
そして、制御部19は、携帯端末2が着脱されたと判断した場合(ステップS101;Yes)、アクチュエータ14により筺体部5を回転させる(ステップS102)。具体的には、制御部19は、携帯端末2が撮像装置1から取り外された場合には、図3(B)に示すように、カメラ6が車室内に向けられるように筺体部5を取り付け部3及びアーム4に対して回転させる。一方、制御部19は、携帯端末2が撮像装置1に装着された場合には、図4(B)に示すように、カメラ6が車室外(即ちフロントウィンドウ)に向けられるように筺体部5を取り付け部3及びアーム4に対して回転させる。
【0045】
次に、制御部19は、携帯端末2が装着状態であるか否か判定する(ステップS103)。そして、制御部19は、携帯端末2が装着状態である場合(ステップS103;Yes)、判定用閾値を第2閾値より大きい第1閾値に設定すると共に、カメラ6の各種設定を、車外撮影用の設定にする(ステップS104)。これにより、制御部19は、危険運転に基づく異常のみを的確に検知し、異常の検知時には車外の風景を鮮明に撮影した画像を好適に生成して不揮発性メモリ18に記憶することができる。
【0046】
一方、制御部19は、携帯端末2が非装着状態である場合(ステップS103;No)、判定用閾値を第1閾値より小さい第2閾値に設定すると共に、カメラ6の各種設定を、車内撮影用の設定にする(ステップS105)。これにより、制御部19は、車両の駐車時での車両の異常を的確に検知し、異常時には車室内の様子を鮮明に撮影した画像を好適に生成することができる。
【0047】
その後、制御部19は、ステップS104又はステップS105で設定した判定用閾値と、振動センサ12が出力する振動検出信号S1とに基づく異常判定を行う(ステップS106)。そして、制御部19は、振動検出信号S1が示す振動の大きさが判定用閾値を超えた場合、不揮発性メモリ18にRAM17の画像を書き込む。また、制御部19は、携帯端末2の非装着時では、異常通知情報をネットワーク通信部16により携帯端末2へ送信する。
【0048】
以上説明したように、本実施例に係る撮像装置1は、車両に取り付け可能な取り付け部3と、カメラ(撮像部)6と、振動センサ12と、制御部19とを備える。カメラ6は、取り付け部3に対して回転可能に構成される。制御部19は、携帯端末2が装着されていない状態において第2閾値を用いて異常判定を行うモードと、携帯端末2が装着された状態において第2閾値よりも高い第1閾値を用いて異常判定を行うモードとを、アクチュエータ14によるカメラ6の回転に応じて切り替える。これにより、撮像装置1は、携帯端末2の装着時には携帯端末2のホルダ及びドライブレコーダとして機能し、携帯端末2の非装着時には車室内のセキュリティカメラとして好適に機能することができる。
【0049】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0050】
(変形例1)
撮像装置1は、携帯端末2の着脱に応じて筺体部5が自動的に回転する構成を備える代わりに、手動操作に基づき筺体部5が回転自在な構成を備えてもよい。
【0051】
この場合、例えば、アーム4と筺体部5とはボールリンクなどにより接続し、アーム4に対して筺体部5が少なくとも設置面に沿って回転自在となっている。そして、携帯端末2のユーザは、携帯端末2を撮像装置1に装着した時には、図4(A)に示すように携帯端末2のディスプレイを車室内に向け、携帯端末2を撮像装置1から取り外した時には、図4(B)に示すようにカメラ6を車室内に向けるように筺体部5を手動操作する。この態様によっても、撮像装置1は、好適に、車両の走行時にはドライブレコーダとして機能し、車両の駐車時にはセキュリティカメラとして機能する。
【0052】
また、撮像装置1は、携帯端末2が取り外されたときに限り、カメラ6が車室内を向くように筺体部5が自動で回転する態様であってもよい。この場合、携帯端末2は、撮像装置1に携帯端末2を取り付けるときには、携帯端末2の装着の前又は後に、筺体部5の向きを180度回転させる。
【0053】
なお、変形例1では、制御部19は、携帯端末2が撮像装置1に装着されているか否かに加えて、筺体部5の角度に基づいて、判定用閾値を第1閾値又は第2閾値に設定するか等の判定を行ってもよい。この場合、例えば、撮像装置1には、筺体部5の角度を検出するための角度センサが設けられ、制御部19は、角度センサの出力に基づき、カメラ6の向きを判定する。そして、制御部19は、携帯端末2が装着状態であって、カメラ6が車室外に向けられていると判断した場合に、図6のステップS104を実行し、携帯端末2が非装着状態であって、カメラ6が車室内に向けられていると判断した場合に、ステップS105を実行する。これにより、制御部19は、筺体部5の回転角度を手動操作により調整する場合であっても、カメラ6が車室外か車室内のいずれを撮影しているか好適に判定して判定用閾値等を的確に設定することができる。
【0054】
(変形例2)
図1等の構成では、携帯端末2の装着状態において、カメラ6の向きと、撮像装置1に装着された携帯端末2のディスプレイの向きとが約180度異なっていたが、本発明が適用可能な構成は、これに限定されない。例えば、撮像装置1に装着された携帯端末2のディスプレイを運転席に向けた際に、カメラ6が車両前方を撮影するのに好適な向きとなるように、カメラ6及びマグネット部8のそれぞれの設置角度が設定されていてもよい。
【0055】
(変形例3)
図1等の構成では、筺体部5は、アーム4に対して回転自在に構成されていたが、これに代えて、アーム4が取り付け部3に対して回転自在に構成されていてもよい。この場合、アーム4及び筺体部5が取り付け部3に対して設置面と略平行に回転する。
【符号の説明】
【0056】
1 撮像装置
2 携帯端末
6 カメラ
10 ディスプレイ
11 GPS受信機
12 振動センサ
13 着脱検知センサ
15 近距離通信部
16 ネットワーク通信部
17 RAM
18 不揮発性メモリ
19 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6