(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005981
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】サーバ、車両およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240110BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240110BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240110BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20240110BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240110BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G08B21/00 U
G08B21/24
G08B25/10 D
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106496
(22)【出願日】2022-06-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・ウェブサイトのアドレス ▲1▼https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20211117_01/ ▲2▼https://www.honda.co.jp/news/2021/c211117.html 掲載日 令和3年11月17日 公開者 ソフトバンク株式会社、本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 弘一
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 憲一
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA53
5C086BA22
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB27
5C086CB36
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087BB18
5C087DD14
5C087EE05
5C087EE16
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087FF23
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG70
5C087GG84
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】車両が検知した歩行者が所持または装着する携帯機器に、警告をより確実に送信できるようにする。
【解決手段】サーバ(2)は、可搬型の端末装置(M)、および車両(1)と通信する通信部(21)と、端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう通信部を制御する第一受信制御部(231)と、走行中の車両から、当該車両と接触する可能性が高い歩行者である危険歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信するよう通信部を制御する第二受信制御部(232)と、直近に受信した端末位置情報のうち、歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域(R)の内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた端末装置に、警告を送信するよう通信部を制御する送信制御部(234)と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が所持または装着する可搬型の端末装置、および車両と通信する通信部と、
前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、
走行中の前記車両から、当該車両と接触する可能性が高い歩行者である危険歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信するよう前記通信部を制御する第二受信制御部と、
直近に受信した前記端末位置情報のうち、前記歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域の内側の位置を示す前記端末位置情報、を送信してきた前記端末装置に、警告を送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える、サーバ。
【請求項2】
前記領域は、前記歩行者位置情報が示す位置を中心とする所定半径の円形をなしている、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記第一受信制御部は、受信した端末位置情報をデータベースに蓄積していき、
前記送信制御部は、前記データベースに蓄積されている最新の前記端末位置情報のうち、前記領域の内側の位置を示す前記端末位置情報、を送信してきた前記端末装置に、警告を送信するよう前記通信部を制御する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項4】
前記通信部が、前記車両から、前記歩行者位置情報、および前記車両と接触する可能性が高いが前記危険歩行者とは異なる歩行者である第二危険歩行者の位置を示す第二歩行者位置情報を受信した場合、前記送信制御部は、
直近に受信した前記端末位置情報のうち、前記歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域の内側の位置を示す前記端末位置情報、を送信してきた前記端末装置に、警告を送信するよう前記通信部を制御するとともに、
直近に受信した前記端末位置情報のうち、前記第二歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の内側の位置を示す前記端末位置情報、を送信してきた前記端末装置に、警告を送信するよう前記通信部を制御する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項5】
前記送信制御部は、前記警告を、セルラー方式で前記端末装置へ送信するよう前記通信部を制御する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項6】
歩行者が所持または装着する可搬型の端末装置、および車両と通信する通信部と、
走行中の前記車両から、当該車両と接触する可能性が高い歩行者である危険歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信するよう前記通信部を制御する第一情報受信制御部と、
前記歩行者位置情報を受信したことを契機として、前記端末装置の位置を示す端末位置情報の送信を要求する要求信号を前記端末装置へ送信するよう前記通信部を制御する信号送信制御部と、
前記端末装置から、前記端末位置情報を受信するよう前記通信部を制御する第二情報受信制御部と、
受信した前記端末位置情報のうち、前記歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域の内側の位置を示す前記端末位置情報、を送信してきた前記端末装置に、警告を送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える、サーバ。
【請求項7】
歩行者が所持または装着する可搬型の端末装置と通信可能なサーバと通信する通信部を備える車両であって、
当該車両の外側の情報を取得する情報取得部と、
前記外側の情報に基づいて、前記車両と接触する可能性が高い歩行者である危険歩行者を検知する検知部と、
前記危険歩行者を検知した場合に、前記危険歩行者の位置を示す歩行者位置情報を前記サーバへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える車両。
【請求項8】
前記情報取得部は、前記車両の進行方向を含む車両の外側を撮影し、画像を生成するカメラであり、
前記検知部は、前記画像に基づいて、前記危険歩行者を検知する、
請求項7に記載の車両。
【請求項9】
前記検知部は、前記画像に映る歩行者のうち、前記車両が通る予定の車道からの距離が所定距離以下の位置にいる歩行者、または前記車道に近づくように歩行している歩行者を、前記危険歩行者として検知する、
請求項8に記載の車両。
【請求項10】
請求項1に記載のサーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記通信部、上記第一受信制御部、上記第二受信制御部および上記送信制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、車両およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と接触する可能性が高い歩行者に対し警告するための各種技術が提案されている。例えば下記特許文献1には、車両側の端末である注意喚起装置と、歩行者が携帯している携帯機器と、車両または注意喚起装置に設けられ、所定範囲の歩行者を検知するセンサと、注意喚起装置に設けられ、センサにより検知された歩行者が携帯している携帯機器に対して、危険を意味する危険信号を送出する信号送出部と、携帯機器に設けられ、危険信号を受信した場合に、本携帯機器を携帯している歩行者に危険を報知する報知部と、を含む注意喚起システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来技術では、検知した歩行者の携帯機器に危険信号を送信できないことがあった。例えば、携帯機器が携帯電話機であり、通信回線を用いて危険信号を送信するようになっている場合、車両から携帯機器へ危険信号を送信するためには、車両が携帯機器から識別情報を予め取得しておく必要がある。一方、端末機器が例えば専用の受信機等であり、携帯電話機が発する電波を妨害する特定の電波を用いて危険信号を直接送信するようになっている場合、送信した電波が他の電波と干渉してしまい、携帯機器に危険信号が届かない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るサーバは、歩行者が所持または装着する可搬型の端末装置、および車両と通信する通信部と、前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、走行中の前記車両から、当該車両と接触する可能性が高い歩行者である危険歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信するよう前記通信部を制御する第二受信制御部と、直近に受信した前記端末位置情報のうち、前記歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域の内側の位置を示す前記端末位置情報、を送信してきた前記端末装置に、警告を送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様に係る車両は、歩行者が所持または装着する可搬型の端末装置と通信可能なサーバと通信する通信部を備える車両であって、当該車両の外側の情報を取得する情報取得部と、前記外側の情報に基づいて、前記車両と接触する可能性が高い歩行者である危険歩行者を、機械学習により構築された検知モデルを用いて検知する検知部と、前記危険歩行者を検知した場合に、前記危険歩行者の位置を示す歩行者位置情報を前記サーバへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、を備える。
【0007】
本発明の各態様は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることによりシステムをコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一態様(第一発明)の実施形態に係る車両と、本発明の他の態様(第二発明)の実施形態に係るサーバと、によって構成される車両接近警告システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】同車両の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】同サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】同サーバが管理する情報の一例を示す表である。
【
図6】本発明の他の態様(第三発明)の実施形態に係るサーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の他の態様(第四発明)の実施形態に係る車両接近警告方法の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一発明:車両>
まず、本発明の一の態様(第一発明)の実施形態に係る車両1について説明する。
【0010】
[車両の構成]
車両1は、
図1に示したように、後述するサーバ2(2A)と共に車両接近通知システム100(100A)を構成する。この車両接近通知システム100(100A)は、複数の歩行者がそれぞれ所持または装着する複数の可搬型の端末装置Mと通信する。なお、本発明において、歩行者とは、端末装置Mが発する警告を確認可能な状態で路上に位置する者であり、自転車や車椅子等に乗車する者を含む。本実施形態に係る車両1は、セルラー方式で(基地局3を介して)サーバ2(2A)と通信する。なお、車両1は、特定の電波を用いてサーバ2(2A)と直接(基地局を介さずに)通信するよう構成されていてもよい。本実施形態に係る車両1は、
図2に示したように、情報取得部11と、第二情報取得部12と、車両側通信部13(通信部)と、車両側記憶部14と、車両側制御部15と、を備える。
【0011】
〔情報取得部〕
情報取得部11は、車両1の外側の情報を取得する。本実施形態に係る情報取得部11は、車両1の進行方向を含む車両1の外側を撮影し、画像を生成するカメラである。すなわち、本実施形態に係る情報取得部11が取得する外側の情報は、画像である。本実施形態に係る情報取得部11は、取得した外側の情報(生成した画像)を車両側記憶部14に記憶させる。なお、カメラは、車両1の外側を動画撮影するものであってもよいし、静止画撮影するものであってもよい。また、情報取得部11は、カメラ以外の各種センサであってもよい。
【0012】
〔第二情報取得部〕
第二情報取得部12は、車両1の位置を示す車両位置情報を取得する。本実施形態に係る第二情報取得部12は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機等で構成されている。また、本実施形態に係る第二情報取得部12は、車両位置情報を繰り返し取得する。本実施形態に係る第二情報取得部12が取得する車両位置情報は、経度、緯度およびこれらの取得時刻を含む。本実施形態に係る第二情報取得部12は、取得した車両位置情報を車両側記憶部14に記憶させる。
【0013】
〔車両側通信部〕
車両側通信部13は、後述するサーバ2、2Aと通信する。本実施形態に係る車両側通信部13は、無線通信モジュールで構成されている。すなわち、本実施形態に係る車両側通信部13は、サーバ2、2Aと無線通信する。
【0014】
〔車両側記憶部〕
車両側記憶部14は、少なくとも外側の情報および車両位置情報を記憶することが可能に構成されている。本実施形態に係る車両側記憶部14は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。なお、車両側記憶部14は、外側の情報を記憶するものと、車両位置情報を記憶するものとに分かれていてもよい。
【0015】
〔車両側制御部〕
車両側制御部15は、車両1の各部を制御する。本実施形態に係る車両側制御部15は、検知部151と、情報生成部152と、車両側送信制御部153(送信制御部)と、を備える。
【0016】
(検知部)
検知部151は、外側の情報に基づいて、危険歩行者を検知する。危険歩行者は、車両1と接触する可能性が高い歩行者である。本実施形態に係る検知部151は、カメラが生成した画像に基づいて、危険歩行者を検知する。これにより、他の手段を用いる場合に比べて歩行者を容易に検知することができる。また、本実施形態に係る検知部151は、機械学習により構築された検知モデルを用いて危険歩行者を検知する。検知モデルには、例えば、道路および当該道路上の歩行者(人物)が写った画像を教師データとする機械学習により構築されたものであって、道路が写った画像が入力されることで、当該道路上に歩行者が存在するか否かの判定結果を出力するものを用いることができる。そして、検知部151は、画像に写る(車両の進行方向に存在する)歩行者のうち、車両1が通る予定の車道からの距離が所定距離以下の位置にいる歩行者、または車道に近づくように歩行している歩行者を、危険歩行者として検知する。これにより、車両1と接触する可能性が特に高い歩行者に絞って検知することができる。
【0017】
(情報生成部)
情報生成部152は、検知部151が危険歩行者を検知した場合に、歩行者位置情報を生成する。歩行者位置情報は、危険歩行者の位置(経度および緯度)を示す情報である。具体的には、情報生成部152は、検知した危険歩行者の、車両1に対する相対的な経度および緯度を算出する。そして、検知部151は、算出した経度および緯度を、直近に取得した(車両側記憶部14に記憶されている中で最新の)車両位置情報に含まれる経度および緯度と合算し、歩行者位置情報を生成する。
【0018】
(車両側送信制御部)
車両側送信制御部153は、情報生成部152が生成した歩行者位置情報をサーバ2、2Aへ送信するよう車両側通信部13を制御する。
【0019】
[車両の作用効果]
以上説明してきた本実施形態に係る車両1によれば、歩行者位置情報をサーバ2、2Aへ送信することにより、危険歩行者が車両1との接触を回避する動作をとるための処理(例えば、サーバ2、2Aから歩行者が所持または装着する端末装置Mへ警告を送信する等)をサーバ2、2Aが行えるようになる。
【0020】
<第二発明:サーバ>
次に、本発明の他の態様(第二発明)の実施形態に係るサーバ2について説明する。
【0021】
[サーバの構成]
サーバ2は、
図1に示したように、上記車両1と共に車両接近通知システム100を構成する。本実施形態に係るサーバ2は、セルラー方式で(基地局3を介して)車両1および端末装置Mと通信する。本実施形態に係るサーバ2は、
図3に示したように、サーバ側通信部21(通信部)と、サーバ側記憶部22と、サーバ側制御部23と、を備える。
【0022】
〔サーバ側通信部〕
サーバ側通信部21は、端末装置M、および車両1と通信する。本実施形態に係るサーバ側通信部21は、通信モジュールで構成されるとともに、基地局3に接続されている。すなわち、本実施形態に係るサーバ側通信部21は、基地局3を介して端末装置Mおよび車両1と無線通信する。
【0023】
〔サーバ側記憶部〕
サーバ側記憶部22は、データベース221を格納している。本実施形態に係るサーバ側記憶部22は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。
【0024】
〔サーバ側制御部〕
サーバ側制御部23は、第一受信制御部231と、第二受信制御部232と、特定部233と、サーバ側送信制御部234(送信制御部)と、を備える。
【0025】
(第一受信制御部)
第一受信制御部231は、端末装置Mから、当該端末装置Mの位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するようサーバ側通信部21を制御する。端末装置Mは、端末位置情報を繰り返し送信してくる。このため、本実施形態に係る第一受信制御部231は、端末位置情報を繰り返し受信するようサーバ側通信部21を制御する。また、本実施形態に係る第一受信制御部231は、サーバ側通信部21が受信した端末位置情報をデータベース221に蓄積する。本実施形態に係る第一受信制御部231がデータベース221に蓄積する端末位置情報は、例えば
図4に示したように、端末装置Mの識別情報(Ped)、端末装置Mの経度(Lon)、端末装置Mの緯度(Lat)およびこれらの取得時刻(GNSS Time)を含む。これにより、端末装置Mを所持または装着する歩行者の動きを記録しておくことができる。その結果、後で動作の検証等が可能となる。
【0026】
(第二受信制御部)
第二受信制御部232は、走行中の車両1から、危険歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信するようサーバ側通信部21を制御する。本実施形態に係る第二受信制御部232は、サーバ側通信部21が受信した歩行者位置情報をデータベース221に蓄積する。
【0027】
(特定部)
特定部233は、サーバ側通信部21が歩行者位置情報を受信した場合に、まず、領域R1を設定する。領域R1は、歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域である。本実施形態に係る特定部233が設定する領域R1は、歩行者位置情報が示す位置を中心とする所定半径rの円形をなしている。rの大きさは、車両1および端末装置Mの位置測定精度に応じて決定される値である。これにより、特定部233は、領域R1を容易に設定することができる。
【0028】
そして、特定部233は、各端末装置Mからそれぞれ直近に受信した端末位置情報のうち、領域R1の内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた端末装置Mを特定する。上述したように、第一受信制御部231は、サーバ側通信部21が受信した端末位置情報をデータベース221に蓄積する。このため、本実施形態に係る特定部233は、データベース221に蓄積されている最新の端末位置情報のうち、領域R1の内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた端末装置Mを特定する。上述したように、本実施形態に係る特定部233が設定する領域R1は円形をなしている。このため、特定部233は、警告を送信する端末装置Mを容易に特定することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る特定部233は、サーバ側通信部21が、車両1から、歩行者位置情報、および車両1と接触する可能性が高いが危険歩行者とは異なる歩行者である第二危険歩行者の位置を示す第二歩行者位置情報を受信した場合(車両1と接触する可能性が高い複数の歩行者が同時に存在する場合)、直近に受信した端末位置情報のうち、領域R1の内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた端末装置Mを特定するとともに、直近に受信した端末位置情報のうち、第二歩行者位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域R2の内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた端末装置Mを特定する。
【0030】
(サーバ側送信制御部)
サーバ側送信制御部234は、特定部233が特定した端末装置Mに、警告を送信するようサーバ側通信部21を制御する。警告の内容は、車両1が近づいていること、車両1と接触する可能性が高いこと等である。なお、サーバ側送信制御部234は、警告の代わりに、周囲を見渡せ、その場で停止しろ、といった指示を送信するための制御を行うよう構成されていてもよい。本実施形態に係るサーバ側送信制御部234は、警告を、セルラー方式で端末装置Mへ送信するようサーバ側通信部21を制御する。これにより、携帯電話機が発する電波を妨害する電波を用いる従来技術と異なり、携帯電話機が発する電波と同じ電波を用いて通信するため、干渉が生じない。
【0031】
また、特定部233が、領域R1の内側の位置を示す端末位置情報、および第二領域R2の内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた二以上の端末装置Mを特定した場合、本実施形態に係るサーバ側送信制御部234は、これらの端末装置M全てに警告を送信するようサーバ側通信部21を制御する。これにより、複数の危険歩行者を同時に検出した場合であっても、それぞれの危険歩行者に、車両1と接触する可能性があることを事前に警告することができる。
【0032】
[サーバの作用効果]
以上説明してきたサーバ2によれば、
図5に示したように、サーバ2が歩行者位置情報に基づく領域R
1の中に位置する全ての端末装置Mに警告を送信する(領域R
1の外に位置する端末装置Mには送信しない)。通常、端末位置情報に基づく端末装置の位置と、車両1が検知する歩行者の位置との間には、ずれが生じる。しかし、警告の送信対象を領域R
1の内側全ての端末装置Mとすることで、危険歩行者の端末装置Mを送信対象により確実に含めることができる。その結果、車両1が端末装置Mを特定する機能を有していなくても、危険歩行者に、車両1と接触する可能性があることを事前に警告することができる。また、以上説明してきたサーバ2によれば、車両1と端末装置Mとが、サーバ2を介し、各種位置情報を用いてやり取りすることになる。このため、車両1と端末装置Mとが特定の電波(例えば、携帯電話機が発する電波を妨害する電波)を用いて直接通信する必要がなくなる。このため、送信した電波が他の電波と干渉し、端末装置に警告が届かなくなるリスクを低減することができる。このように、以上説明してきたサーバ2によれば、車両が検知した歩行者が所持または装着する携帯機器に、警告をより確実に送信することができる。その結果、危険歩行者は車両1との接触を避けるための行動をとることができる。
【0033】
<第三発明:サーバ>
まず、本発明の他の態様(第三発明)の実施形態に係るサーバ2Aについて説明する。
【0034】
[サーバの構成]
サーバ2Aは、
図1に示したように、上記車両1と共に車両接近通知システム100Aを構成する。本実施形態に係るサーバ2Aは、
図6に示したように、上記サーバ2と同様のサーバ側通信部21(通信部)およびサーバ側記憶部22の他に、サーバ側制御部24を備える。
【0035】
〔サーバ側制御部〕
サーバ側制御部24は、上記サーバ2のサーバ側制御部23と同様の特定部233およびサーバ側送信制御部234の他に、第一情報受信制御部241と、信号送信制御部242と、第二情報受信制御部243と、を備える。
【0036】
(第一情報受信制御部)
第一情報受信制御部241は、上記サーバ2の第二受信制御部232と同様に、走行中の車両1から、歩行者位置情報を受信するようサーバ側通信部21を制御する。本実施形態に係る第一情報受信制御部241は、サーバ側通信部21が受信した歩行者位置情報をデータベース221に蓄積する。
【0037】
(信号送信制御部)
信号送信制御部242は、歩行者位置情報を受信したことを契機として、端末位置情報の送信を要求する要求信号を端末装置Mへ送信するようサーバ側通信部21を制御する。
【0038】
(第二情報受信制御部)
第二情報受信制御部243は、端末装置Mから、端末位置情報を受信するようサーバ側通信部21を制御する。本実施形態に係る第二情報受信制御部243は、サーバ側通信部21が受信した端末位置情報をデータベース221に蓄積する。
【0039】
[サーバの作用効果]
以上説明してきたサーバ2Aによれば、上記サーバ2と同様の効果を得ることができる。また、サーバ2Aによれば、端末位置情報の送受信を繰り返す必要が無くなるため、車両1の消費電力を低減させることができる。
【0040】
<第四発明:車両接近警告方法>
次に、本発明の他の態様(第四発明)の実施形態に係る車両接近警告方法について説明する。
【0041】
[車両接近警告方法の流れ]
車両接近警告方法は、
図7に示したように、測定ステップS1と、第一通知ステップS2と、検知ステップS3と、第一特定ステップS4と、第二通知ステップS5と、第二特定ステップS6と、警告ステップS7と、を有する。
【0042】
(測定ステップ)
初めの測定ステップS1では、歩行者が所持または装着する端末装置の位置を測定する。この測定ステップS1は、例えば端末装置Mが自身の位置を測定することにより行うことができる。本実施形態に係る車両接近警告方法では、この測定ステップS1を、所定周期で繰り返し行う。
【0043】
(第一通知ステップ)
端末装置が位置を測定した後は、第一通知ステップS2に移る。第一通知ステップS2では、端末装置の位置をサーバへ通知する。この第一通知ステップS2は、例えば端末装置Mが端末位置情報を送信し、それを上記サーバ2が受信することにより行うことができる。本実施形態に係る車両接近警告方法では、この第一通知ステップS2を、端末装置が位置を測定する度に行う。すなわち、この第一通知ステップS2を、繰り返し行う。なお、この第一通知ステップS2を、繰り返し行わず、位置の通知の要求があった場合に行ってもよい。
【0044】
(検知ステップ)
上記ステップS1、S2の繰り返しと並行して、検知ステップS3を行う。検知ステップS3では、危険歩行者を検知する。この検知ステップS3は、例えば上記車両1が、外側の情報に基づいて、危険歩行者を検知することにより行うことができる。本実施形態に係る車両接近警告方法では、この測定ステップS1を、繰り返し行う。
【0045】
(第一特定ステップ)
危険歩行者を検知した後は、第一特定ステップS4に移る。第一特定ステップS4では、危険歩行者の位置を特定する。この第一特定ステップS4は、例えば上記車両1が歩行者位置情報を生成することにより行うことができる。
【0046】
(第二通知ステップ)
危険歩行者の位置を特定した後は、第二通知ステップS5に移る。第二通知ステップS5では、危険歩行者の位置をサーバへ通知する。この第二通知ステップS5は、例えば、上記車両1が歩行者位置情報を送信し、それをサーバ2が受信することにより行うことができる。なお、この第二通知ステップS5の後、端末装置Mに位置の通知を要求してもよい。
【0047】
(第二特定ステップ)
危険歩行者の位置を通知した後は、第二特定ステップS6に移る。第二特定ステップS6では、直近に通知された端末装置の位置のうち、領域R1の内側の位置、を通知してきた端末装置Mを特定する。なお、上記第二通知ステップS5の後、端末装置Mに位置の通知を要求する場合には、この第二特定ステップS6を、端末装置Mが位置を通知してきたことを契機として行ってもよい。
【0048】
(警告ステップ)
領域R1の内側の端末装置を特定した後は、警告ステップS7に移る。警告ステップS7では、特定した端末装置Mを所持または装着する歩行者に警告する。この警告ステップS7は、例えば上記サーバ2が警告を送信し、それを端末装置が受信・出力することにより行うことができる。
【0049】
[車両接近警告方法の作用効果]
以上説明してきた車両接近警告方法によれば、
図5に示したように、領域R
1の中に位置する全ての歩行者に警告する(領域R
1の外に位置する歩行者には警告しない)。通常、ステップS1で測定される端末装置の位置と、ステップS4で特定される危険歩行者の位置との間には、ずれが生じる。しかし、警告対象を領域R
1の内側全ての端末装置Mとすることで、危険歩行者の端末装置Mを警告対象により確実に含めることができる。このため、以上説明してきた車両接近警告方法によれば、危険歩行者により確実に警告することができる。その結果、危険歩行者は車両1との接触を避けるための行動をとることができる。
【0050】
<第一~第四発明その他>
上記車両1、およびサーバ2、2A(以下、装置)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に車両側制御部15、サーバ側制御部23、24に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0051】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0052】
また、以上説明してきた本発明の各態様によれば、上述した作用効果を奏することにより、車両と歩行者との接触事故による死傷者を低減させることが可能となる。その結果、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成に貢献することができる。
【0053】
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100 車両接近通知システム
1 車両
11 情報取得部
12 第二情報取得部
13 車両側通信部
14 車両側記憶部
15 車両側制御部
151 検知部
152 情報生成部
153 車両側送信制御部
2、2A サーバ
21 サーバ側通信部(通信部)
22 サーバ側記憶部
221 データベース
23 サーバ側制御部
231 第一受信制御部
232 第二受信制御部
233 特定部
234 サーバ側送信制御部(送信制御部)
3 基地局
100A 車両接近通知システム
2A サーバ
24 サーバ側制御部
241 第一情報受信制御部
242 信号送信制御部
243 第二情報受信制御部
R1 領域