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特開2024-59846ナトリウムイオンセルの貯蔵および/または輸送
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059846
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ナトリウムイオンセルの貯蔵および/または輸送
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20240423BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20240423BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/054
H01M4/66 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024027268
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2022120847の分割
【原出願日】2015-08-18
(31)【優先権主張番号】1414959.5
(32)【優先日】2014-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】514065058
【氏名又は名称】ファラディオン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・バーカー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョン・ライト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全な貯蔵および/または輸送が可能なナトリウムイオンセルを製造する方法を提供する。
【解決手段】ナトリウムイオンセルを製造する方法は、正電極、負電極および電解質を含むナトリウムイオンセルを構築し、必要に応じてナトリウムイオンセルに対して一回以上の充電/放電操作を行うステップa)および、ナトリウムイオンセルを処理して0%~20%の充電状態にあることを保証する工程b)とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正電極、負電極および電解質を含むナトリウムイオンセルを構築し、必要に応じて該ナトリウムイオンセルに対して一回以上の充電/放電操作を行うステップa);および、
該ナトリウムイオンセルを処理して0%~20%の充電状態にあることを保証する工程b);
を含む、安全な貯蔵および/または輸送が可能なナトリウムイオンセルを製造する方法。
【請求項2】
ナトリウムイオンセルを処理して0%~20%の充電状態にあることを保証する工程b)が、
必要に応じて一回を超える充電/放電操作にかけられていないナトリウムイオンセルの場合、該ナトリウムイオンセルを、その製造時の初期状態および完全放電状態に維持すること、または、
必要に応じて一回以上の受電/放電操作にかけられたナトリウムイオンセルの場合、該充電/放電されたナトリウムイオンセルを-0.1ないし1ボルトの範囲に放電し、必要に応じて、該セル電位を-0.1ないし1ボルトの範囲に維持し、それにより0%~20%の充電状態にあるナトリウムイオンセルを製造すること、
を含む請求項1に記載のナトリウムイオンセルを製造する方法。
【請求項3】
正電極、負電極および電解質を含む、貯蔵および/または輸送を受けているナトリウムイオンセルであって、該ナトリウムイオンセルが、0%~20%の充電状態にある、該ナトリウムイオンセル。
【請求項4】
正電極、負電極および電解質を含む、貯蔵および/または輸送を受けているナトリウムイオンセルであって、該ナトリウムイオンセルが、-0.1ないし1ボルトの範囲にある、該ナトリウムイオンセル。
【請求項5】
さらに着脱可能なショーティングデバイスを含む、請求項3または請求項4に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項6】
さらに負電極および正電極カレントコレクタを含み、各カレントコレクタが、ナトリウムイオンセル電位が-0.1ないし1ボルトであるとき、および/または0%~20%の充電状態にあるとき安定であり、そして、ナトリウムを溶かさないまたはナトリウムと合金化しない、任意の伝導性材料から選択される1以上の材料を含有する、請求項3、請求項4または請求項5に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項7】
伝導性材料が、単独で、または1以上の他の元素の変化する量との組み合わせにおいて、合金として、または混合物として、純粋な形態または不純物の混じった形態で、金属を1種以上含有し、必要に応じて該伝導性材料は、カーボンコーティングよりなる、請求項6に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項8】
負電極カレントコレクタおよび/または正電極カレントコレクタが、アルミニウムを含有し、そして、必要に応じて、該アルミニウムの少なくとも一部が、不純物の混じったアルミニウムおよび/または家庭用グレードアルミニウムよりなる、請求項7に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項9】
ナトリウムイオンセルおよび/または1以上のナトリウムイオンセルを含むエネルギー貯蔵デバイスの貯蔵および/または輸送であって、少なくとも1つのナトリウムイオンセルが、請求項1または請求項2の方法により製造されてなる、該貯蔵および/または輸送。
【請求項10】
ナトリウムイオンセルおよび/または1以上のナトリウムイオンセルを含むエネルギー貯蔵デバイスの貯蔵および/または輸送であって、少なくとも1つのナトリウムイオンセルが、請求項3~8いずれかに記載のものである、該貯蔵および/または輸送。
【請求項11】
ナトリウムイオンセルおよび/または1以上のナトリウムイオンセルを含むエネルギー貯蔵デバイスの貯蔵および/または輸送であって、少なくとも1つのナトリウムイオンセルが、-0.1ないし1ボルトの範囲にセル電位を有する、該貯蔵および/または輸送。
【請求項12】
1以上のナトリウムイオンセルを含むエネルギー貯蔵デバイスであって、該1以上のナトリウムイオンセルの少なくとも1つが、-0.1ないし1ボルトの範囲にセル電位を有する、該デバイス。
【請求項13】
1以上のナトリウムイオンセルを含むエネルギー貯蔵デバイスであって、該1以上のナトリウムイオンセルの少なくとも1つが、0%~20%の充電状態にある、該デバイス。
【請求項14】
1以上のナトリウムイオンセルを含むエネルギー貯蔵デバイスであって、セル電位が、-0.1ないし1ボルトの範囲にある、該デバイス。
【請求項15】
請求項1または請求項2の方法により製造されたナトリウムイオンセル1以上含む、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項16】
全エネルギー貯蔵デバイスをショートさせるための、および/または1以上のナトリウムイオンセルの少なくとも1つを個別にショートさせるための着脱可能なショーティングデバイスをさらに含む、請求項12~15いずれかに記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項17】
放電時にエネルギー貯蔵デバイスをバランスさせる方法であって、該エネルギー貯蔵デバイスが、放電時1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを含み、そして、該1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを-0.1ないし1ボルトまで放電し、必要により、充電の80ないし100%が放散するまで、該セル電位を-0.1ないし1ボルトの範囲に維持するステップを含む、該方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウムイオンセル(cell)、例えば充電式ナトリウムイオンセルの製造方法に関し、該セルは、安全に輸送および/または貯蔵、特に中期から長期間、が可能である。本発明は、また、これらのナトリウムイオンセルを1以上含むエネルギー貯蔵デバイスに関する。このようなエネルギー貯蔵デバイスとしては、例えば、バッテリー、バッテリーモジュール、バッテリーパック、電気化学デバイス、およびエレクトロクロミックデバイスが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
ナトリウムイオンバッテリーは、今日一般的に使用されているリチウムイオンバッテリーに多くの点で類似している。両者とも、アノード(負電極)、カソード(正電極)および電解質材料を含む再使用可能な二次バッテリーである。両方ともエネルギーを貯蔵することができ、同様の反応機構を介して充放電する。ナトリウムイオン(またはリチウムイオン)バッテリーが充電されると、Na+(またはLi+)イオンがカソードから脱インターカレートされ、アノードにインサートされる。一方、電荷バランス電子は、カソードから、充電器を含む外部回路を通ってバッテリーのアノードに流れる。放電中、同じプロセスが起こるが、逆方向である。
【0003】
リチウムイオンバッテリー技術は、近年多くの注目を集めており、今日使用されているほとんどの電子デバイスに好ましい携帯用電池を提供している。しかしながら、リチウムは入手するのに安価な金属ではなく、大規模な用途に使用するには高価すぎると考えられている。対照的に、ナトリウムイオンバッテリー技術はまだ比較的初期段階にありますが、有利と考えられます。ナトリウムはリチウムよりもはるかに豊富であり、研究者の中には、これが将来的にエネルギーを貯蔵するためのより安価でより耐久性のある方法、特に、電気グリッド上にエネルギーを蓄えるなどの大規模な用途を提供するものとなると予測している者もいる。されど、ナトリウムイオンバッテリーが商業的に実用化されるにはまだまだ多くの研究が行われなければならない。
【0004】
ナトリウムイオンおよびリチウムイオン充電式バッテリー(「二次」バッテリーとしても知られている)は、いずれも多数のセルで構成されており、それらのセルは、典型的には、正電極材料と正電極カレントコレクタよりなるカソード(正電極)と、負電極材料と負極カレントコレクタとからなるアノード(負電極)とを含む。従来のリチウムイオン二次バッテリーの場合、負電極材料は炭素材料(グラファイトやハードカーボンなど)またはシリコンよりなり、負電極カレントコレクタは、典型的には銅よりなる。正電極材料は、典型的には、金属酸化物材料よりなり、正電極カレントコレクタは、典型的には、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる。しかしながら、そのようなセルが、i)完全に放電された状態で保存されているか、 またはii)0ボルトまたは0ボルト近くまでサイクルダウンされたとき、問題が生じる。というのは、負(アノード)電極カレントコレクタから銅の溶解が起こり、これによりリチウムイオン電極の放電容量が低下し、ひてはリチウムイオンバッテリーのサイクル長が短くなるからである。残念なことに、負極カレントコレクタにおける銅に代えてアルミニウムを使用することにより、この問題を解消しようとしたが、セル中のリチウムとアルミニウムとの間で反応することになり、不成功に終わっている。特に、セルが完全に放電された状態にあるか、0ボルトまたは0ボルト近くまでサイクルダウンされたとき、その問題が大きい。別のアプローチでは、リリウムがアルミニウムと合金を形成しないアルミニウムに対して十分に高い電位で動作する負(アノード)電極材料を使用することが行われてきたが、現在可能であることが知られている負電極材料は、例えば、LiTi12等、ごく限られた範囲のものしかない。さらに、リチウムチタネートバッテリーの既知の欠点は、それらが従来のリチウムイオン電池と比較してより低いエネルギー密度に導くより低い固有電圧を有することである。
【0005】
そのため、現在までに、リチウムイオンバッテリーセルを取り扱う最もよく知られた方法は、製造直後にリチウムイオンバッテリーを少なくとも2回または3回充放電サイクルを含むプロセスによってコンディション調整し、続いて、少なくとも約40%の充電段階まで最終充電することによって、0ボルトまたはそれに近い保存状態を回避することである。その後、貯蔵および/または輸送の準備が整う前に、セルをガス抜きし、最終的に再シールしなければならない。
【0006】
銅溶解およびアルミニウム合金化問題を解消する研究が行われ、リチウムイオンバッテリー有効な商業的製品になったが、リチウムイオンバッテリーの輸送および貯蔵が本来的に危険であるという根本的な問題には応えていない。充電されたリチウムイオンバッテリーは、煙、極度の熱、引火、爆発などの原因となる報告が多数ある。当然のことながら、これは特に航空会社にとって大きな懸念事項であり、これらの安全性の懸念を減らすことであり、2013年に国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization)は、リチウムベースの電池の大気輸送(bulk air transportation)に関する非常に厳格な規制を導入し、各貨物に許容されるバッテリーの数だけでなく、輸送が許可されているリチウムイオン電池のサイズ(定格電力(watt hours rating)とリチウムの量)の両方を規制した。
【0007】
ナトリウムイオンバッテリーの場合、R&Dレポート「住友化学」vol. 2013は、DSC(示差走査熱量測定)技術を用いて、ハードカーボンおよび金属ナトリウムで製造されたコインセルの熱安定性に関する研究を記載している。背景として、DSCは、サンプルおよびレファレンスの温度を上昇させるのに必要な熱量の差を温度の関数として測定する熱分析技術である。DSC分析を通して、サンプルとリファレンスは加熱され、目的は同じ温度でサンプルとリファレンスを維持することです。サンプルを加熱すると、物理的な変換(例えば相転移)が起こり、サンプルをリファレンスと同じ温度に維持するために、リファレンスよりも多少熱がサンプルに流れる必要があります。より少ないまたはより多くの熱が流れるかどうかは、サンプルが経験する物理的変換が発熱性であるか吸熱性であるかに依存する。このR&Dレポートに開示されているように、上記コイン型セル内のハードカーボン(hard carbon)を放電(discharge)してナトリウムイオンを貯蔵させ、そしてセルを解体して電極混合物と電解液を回収した。このレポートは、コインセルを「放電」し、ナトリウムイオンが、ハードカーボン中に貯蔵されることを可能にしたことを述べており、当業者であれば、試験されているセルが半電池(half-cell)であったこと; Na//ハードカーボン半電池を「放電」し、ハードカーボンをソディエートするする必要があり、一方で、完全なナトリウムイオンセルを「充電」し、ハードカーボンアノードをソディエートするであろうことは、すぐに認識する。次に、リチウムが貯蔵されたグラファイトを含むセルについて得られた類似の電極および電解質溶液と比較して発熱活性を観察するために、電極混合物および電解質溶液に対してDSC測定を実施した。本R&Dレポートの研究者は、ナトリウム金属半電池中のナトリウムイオンを含むハードカーボン(ソディエートされたハードカーボン)が、貯蔵されたリチウムイオンを含むグラファイトと比較して優れた熱安定性を有することを実証しており、そして、このことは、充電状態(ソディエートされた)であっても、ナトリウムイオン二次バッテリー(フルセル)が安全であろうことを示している可能性があると結論づけている。しかし、ナトリウム金属半電池におけるナトリウムの観察された優れた熱安定性が、完全なナトリウムイオンセル(すなわち、アノードが完全にデソディエートされている(desodiated))中でも観察されるかどうか、またはこのようなデソディエートされた完全なナトリウムイオンセルが、長期保存および/または輸送に対して安定であるかどうか、または完全なナトリウムイオンセルが、発煙、極端な発熱、発火、または、爆発を本来的により受けにくいかどうかは、この先行技術においては何ら教示されていない。特に、過剰に放電されている(すなわち、0ボルトまたは実質的に0ボルト、すなわち、-0.1ボルトから1ボルトの範囲に放電されている)、完全にデソディエートされている完全なナトリウムイオンセルが熱的に安定であるかどうか教示する開示は全くない。
【0008】
R&Dレポート「住友化学」vol.2013年には、層状酸化物カソードおよびハードカーボンアノードよりなるナトリウムイオンセルは0ボルトまで放電され、次いで、バッテリーの初期の放電容量は0ボルトへの放電の影響を受けずに2.0~4.0ボルトの範囲内で再充電およびサイクルできるということが詳しく述べられている。しかしながら、0Vへの1回だけの放電は初期の充電容量に影響を与えないという意味において、住友の研究者は、この「安定性」を確立したに過ぎない。0ボルトへの放電は、ナトリウムイオン電池の全体的な安定性、すなわち物理的安定性になんらかの影響を及ぼすことは、この先行技術には、開示も教示もされていない。特に、0ボルトへの放電が、0ボルトのナトリウムセルは煙の発生、過熱、引火または爆発の影響を受け易いかどうか、に関係しているということについては、何ら指摘されていない。さらに、住友によるこの報告書には、電荷の全部、または少なくとも実質的に全部が放散(80%~100%放電)し、0ボルトまで放電したNaイオンセルは、保管および/または運搬に対して安全な状態とされている、ということは、なんら教示がない。さらに、0ボルトへ繰り返し放電することにどんな効果があるのか、または、0ボルトへの長期の放電が、(0ボルトのとき、および初期の充電容量まで再充電されたとき)セルの全体的(物理的)安定性の効果がいずれにあるのか、または、0ボルトへの繰り返しの放電あるいは長期の放電が、初期充電容量に充電される能力にどのような効果があるのか、について教示がない。この先行技術からは、放電を、速くあるいはゆっくり行わなければならないのかどうか、また、本当に、充電の全部あるいは実質的に全部(80%ないし100%)を、彼らが記述する1回の放電プロセスの結果として、実際に放散させたかどうか;セルにおける電荷が、例えば、-0.1ないし1ボルトの範囲に、長期の放電なくして完全にあるいは実質的に完全に放散しなかったであろうということが予期されるであろうこと、もまた未知であるし、そして、住友はこの長期の放電を教示していないので、彼らの放電プロセスの後、彼らのセルに実際どの程度の充電が残るのか、特にこれが、20%以下であろうかどうかということは明確でない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】R&Dレポート「住友化学」vol. 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、初期の放電容量を何ら害さず、そして、理想的には、過熱、発火、または爆発のリスクがなんら心配なく、特に数ヶ月の期間にわたって、安全に輸送および/または貯蔵することができる非常に費用効果の高いナトリウムイオンセル(半電池ではない)を製造する方法を提供することにある。セルの初期の放電容量に悪影響を与えることなく、0ボルト~4.5ボルト以下、好ましくは0ボルト~4.2ボルト以下、特に好ましくは0ボルト~4.0ボルト以下、さらに好ましくは0ボルト~4ボルト超えの間で何回もサイクルすることができるナトリウムイオンを提供することもまた目的である。すなわち、本発明は、改良された可逆性容量およびサイクル時のキャパシティフェードを有するナトリウムイオンセルを提供しようとするものである。さらに、本発明は、本発明のナトリウムイオンセルの1つ以上を含むエネルギー貯蔵デバイスを提供しようとするものである。さらに別の目的は、不純物の混じった(impure)または家庭用グレードの材料を利用することができる正および/または負のカレントコレクタを含むナトリウムイオンセルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かくして、本発明は、正電極、負電極および電解質を含むナトリウムイオンセルを構築し、必要に応じて該ナトリウムイオンセルに対して一回以上の充電/放電操作を行うステップa);および、
該ナトリウムイオンセルを処理して0%~20%の充電状態にあることを保証する工程b);
を含む、安全な貯蔵および/または輸送が可能なナトリウムイオンセルを製造する方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】実施例1に記載されているように、各放電プロセス後に0Vで12時間定電位保持された完全Naイオンセルについての最初の35回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイルを示す。
図1B】実施例1に記載されているように、各放電プロセス後に、0ボルトで12時間定電位保持された完全Naセルの、最初の35回の充放電サイクルに対しての、サイクル数に対するカソードについての充放電比容量を示す。
図2A】実施例2に記載されているように、各放電プロセス後に0Vで48時間定電位保持された完全Naイオンセルについての最初の12回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイルを示す。
図2B】実施例2に記載されているように、各放電プロセス後に、0ボルトで48時間定電位保持された完全Naセルの、最初の12回の充放電サイクルに対しての、サイクル数に対するカソードについての充放電比容量を示す。
図3A】実施例3に記載されているように、各放電プロセス後に0Vで96時間定電位保持された完全Naイオンセルについての最初の4回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイルを示す。
図3B】実施例3に記載されているように、各放電プロセス後に、0ボルトで96時間定電位保持された完全Naセルの、最初の3回の充放電サイクルに対しての、サイクル数に対するカソードについての充放電比容量を示す。
図4A】実施例4に記載されているように、負極カレントコレクタとして家庭用グレードのアルミニウムを使用した、完全Naイオンセルについての最初の22回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイルを示す。
図4B】実施例4に記載されているように、家庭用グレードのアルミニウムを負極カレントコレクタとして使用した完全Naセルの、最初の22回の充放電サイクルに対しての、サイクル数に対するカソードについての充放電比容量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましくは、結果として得られるナトリウムイオンセルは、0%~10%、さらに好ましくは0%~5%の充電状態にある。理想的には、本発明の方法は、0%~2%の充電状態にあるナトリウムイオンセルを提供するものであり、0%の充電状態が最も理想的である。明らかなことに、0%の充電状態のナトリウムイオンセルは、完全に放電された(デソディエートされた)ナトリウムイオンセルを表すものである。
【0014】
以下に説明されているように、工程b)における「セルを処理すること」に含まれる操作は、ナトリウムイオンセルが、前もって1回以上の充電/放電を経ているか否か、または、それが、その「製造時の」(初期の)状態にあるか否かによる。セルが電気的充電または放電を経験する前は、セルは、「初期状態」として記載されている。
【0015】
1回以上の充電/放電操作を経ているナトリウムイオンセル(前もって充電/放電されているナトリウムイオンセル)の場合、ナトリウムイオンセルを安定にする、すなわち安全な貯蔵および/または輸送を可能にするために上記b)ステップにおいて必要とされる処理は、-0.1ないし1ボルトの範囲に、前もって放電/充電されたナトリウムイオンセルを放電すること;必要により、-0.1ないし1ボルトの範囲にセル電位を維持すること;それにより、ナトリウムイオンセルにおける充電が放散され、そして0%~20%の充電状態にあるナトリウムイオンセルを製造することを含んでいる。充電状態の好ましいパーセンテージ範囲は、上記した通りである。
【0016】
好ましい放電電圧/セル電位は、-0.1V~0.5V、さらに好ましくは-0.1V~0.4V、なおさらに好ましくは、-0.05V~0.3V、特に好ましくは、0.01V~0.2V、好都合には-0.01V~0.1V、理想的には、0V~0.1V,さらに理想的には、0V~0.01Vの範囲にあること、そして最も理想的には0Vであることである。
【0017】
本発明の望ましい目的は、0%~20%の範囲内でできるだけ低いパーセンテージ充電を有するナトリウムイオンセルを製造することであり、放電の割合は、充電損失がどれくらい効率的か(すなわち、充電の何パーセンテージがナトリムイオンセルに残るか)、そして、過放電ステップが、望ましい0%ないし20%充電を達成するのに必要とされるかどうか、に影響を与える。
【0018】
放電の適切な速度を構成するものは、セル化学、電極配合物、セルデザインなどを含む多くの要因に依存し、それ故、1つのセルに対して高すぎる放電の比率は、別のセルに対してはあまり高くない可能性がある。場合によっては、放電の比率、C-レート(ナトリウムイオンセルが特定の時間内にその名目容量を送り出すことになる理論カレントドロー(theoretical current draw)で割り算された放電電流)、これは、0%~20%の充電を有するナトリウムイオンセルを製造するのに有能であるのだが、C/<1(これは、放電電流が1時間未満で全ナトリウムイオンセルを放電させることを意味する)であるが、より典型的には、より低い放電比率が好ましく、C-レートC/1がよりよく、C/5がなおよりよく、C/10がさらによりよく、C/20が理想的で、そしてC/100が最も好ましい。放電比率が減少するにつれ、アノードからのデソディエーションの量が増加し、ナトリウムイオンセルにおけるより低い残留充電が達成される。すなわち、ナトリウムイオンセルが、最後に0%充電により近くなる。1時間より小さい迅速な放電比率が、使用される状況もあるが、放電は、より便利には、1時間を超えて、さらに好ましくは5時間を超えて、特に好ましくは10時間を超えて、有利には20時間を超えて、そして理想的には100時間を超えて行われる。低い放電比率(C/20またはC/100)は、すべてまたは実質的にすべての充電が放散されるナトリウムイオンセルを製造するのに適当であり、-0.1ないし1ボルトの範囲にセル電位を維持する所望のステップを必要とする可能性がより低い。
【0019】
前もって充電されたナトリウムイオンセルから始めたとき、C/10以上(例えば、C/5またはC1)の比率で放電ステップを行うことは、セル内部にいくらかの残留充電が残ると予想され、充電が、0%ないし20%充電、好ましくは0%ないし10%充電、さらに好ましくは0%ないし5%充電、理想的には0%ないし2%充電、そしてさらに理想的には0%充電のレベルまで放散されるまで、放電の比率によるが、例えば1分未満ないし100時間超えの時間、-0.1ないし1ボルトの範囲にセル電位を維持する所望のステップを行うことが有利となろう。
【0020】
-0.1ないし1ボルトの範囲にナトリウムイオンセルを放電するステップは、任意の好適な手段により達成しうる。ナトリウムイオンセルを放電する最も速い方法は、例えば金属棒または非常に低い抵抗を有する他の材料を使用し直接ショートさせることにより、完全にまたは部分的に充電されたセルに短絡回路を適用することである(例えばC/<1またはC/<0.1)。しかしながら、この方法は、状況においては好適な場合もあるが、たいていのケースにおいて、それは、電気化学を「急激に揺すり(jolt)」、セルが分極し非常に危険となる原因となる可能性のある不均一な電流分布を引き起こすので、非常に望ましくない。
【0021】
放電は有限の比率で行われるので、それはセル電圧から跳ね上がるが、ナトリウムイオンセルを放電する好ましい方法は、該セルが-0.1~1ボルトの範囲(最も理想的には0ボルト)の測定値になるまで、簡便ではあるが合理的な比率、例えばC/5で定電流を取り出すことである。そして、たいていのエネルギーは、放散されるので、-0.1~1ボルトの範囲内に、特に好ましくは0ボルトにセル電位を持っていき、それにより、上記したように、0%ないし20%、好ましくは0%ないし10%、さらに好ましくは0%ないし5%、理想的には0%ないし2%の充電、最も理想的には0%の充電を有するナトリウムイオンセルを得るために、存在しているいくらかの残留エネルギーは、短絡(例えば、正電極と負電極の間に低温インピーダンスリンクを使用すること)により安全に取り除くことができる。
【0022】
ナトリウムイオンセルが、なんら充電/放電操作にかけられていない場合(初期状態のセル)において、それを貯蔵および/または輸送を可能にするために、本発明のステップb)における「セルを処理すること」は、該ナトリウムイオンセルが、貯蔵および/または輸送を受けていながらも、製造時の未充電状態(0%充電)の初期状態にナトリウムイオンセルを維持することを含む。
【0023】
本発明の方法は、特に、初期状態のナトリウムイオンセルの取扱いにおいて、初期状態のリチウムイオンセルを取り扱うために使用される手順とはかなり違っている;上記したように、リチウムイオンセルは、製造後すぐに40%以上の充電まで充電されなければならない。その上、セルが-0.1ないし1ボルトであるときに起こる銅溶解やアルミニウム/リチウム合金化反応により、前もって充電されたリチウムイオンセルに本発明の方法を行うことは可能でない。
【0024】
前もって充電/放電されたナトリウムイオンセルは、上記ステップi)に先立って、典型的には2回または3回の充電/放電サイクルを含む調整処理手順、続いて脱ガス処理に付されると予想される。
【0025】
初期状態のナトリウムイオンセルに行われる本発明の方法の場合、調整処理手順は、都合のよいように、貯蔵および/または輸送の後、好ましくは使用直前に行われてもよい。
【0026】
第2の態様において、本発明は、未充電状態または充電放散状態にある、すなわち0%ないし20%充電、好ましくは0%ないし10%充電、さらに好ましくは0%ないし5%充電、理想的には0%ないし2%充電、そして特に理想的には0%充電を有しているナトリウムイオンセルを提供する。
【0027】
第3の態様において、本発明は、安全な貯蔵および/または輸送が可能で、そして-0.1ないし1ボルトのセル電位を有するナトリウムイオンセルを提供する。
【0028】
第4の態様において、1以上のナトリウムイオンセルよりなるエネルギー貯蔵デバイスの貯蔵および/または輸送を提供するものであり、該1以上のナトリウムイオンセルの少なくとも1つが、上記したもの、および/または、下記本発明の方法に従い製造されたものである。
【0029】
第5の態様において、本発明は、-0.1ないし1ボルト、または上記の好ましい電圧範囲で貯蔵および/または輸送されているナトリウムイオンセルを提供する。
【0030】
第6の態様において、本発明は、少なくとも1以上のナトリウムイオンセルよりなるエネルギー貯蔵デバイスを提供するものであって、該ナトリウムイオンセルの少なくとも1つが、放電状態にあるか、または0%ないし20%充電、好ましくは0%ないし10%充電、さらに好ましくは0%~5%充電、理想的には0%ないし2%、特に、理想的には0%充電の充電放散状態にある。
【0031】
第7の態様において、本発明は、-0.1ないし1ボルトで貯蔵および/または輸送される1以上のナトリウムイオンセルよりなるエネルギー貯蔵デバイスを提供するものである。
【0032】
第8の態様において、本発明は、過熱、発火、または爆発のリスクなく安全に貯蔵および/または輸送できるナトリウムイオンセルを提供するものであり、該ナトリウムイオンセルは、好ましくは0%ないし20%、または上記した好ましい範囲内の充電状態にあり、および/または該ナトリウムイオンセルは-0.1~1ボルトの範囲の充電電位にあるものである。
【0033】
第9の態様において、本発明は、過熱、発火、または爆発のリスクなく貯蔵および/または輸送できる1以上のナトリウムイオンセルよりなるエネルギー貯蔵デバイスを提供するものであり、好ましくは、該ナトリウムイオンセルの1以上が、0%ないし20%、または上記した好ましい範囲内の充電状態にあり、および/または該ナトリウムイオンセルの1以上が-0.1~1ボルトの範囲の充電電位にあるものである。
【0034】
本発明のエネルギー貯蔵デバイスは、上記した1以上のナトリウムイオンセルよりなり、これらのエネルギー貯蔵デバイスの例としては、バッテリー、バッテリーモジュール、バッテリーパック電気化学デバイスやエレクトロクロミックデバイスを含む。本発明による好ましいエネルギー貯蔵デバイスにおいては、これらの1以上のナトリウムイオンセルのいくつかまたはすべてが直列に接続される。
【0035】
好ましくは、任意の上記の態様による本発明は、また、該1以上のナトリウムイオンセルの少なくとも1つにおいて、例えば、カソード電極とアノード電極との間に着脱可能なショーティングデバイスを含むナトリウムイオンセルおよび/またはエネルギー貯蔵デバイスを提供するものである。該ショーティングデバイスは、物理的および/または電気的ショート(電気伝導性を付与する低インピーダンスまたは低抵抗コネクション)を簡便に提供し、1以上のナトリウムイオンセルにおける電気エネルギーの量を、0ないし20%(または、上記した好ましい範囲に定義されているようにより低く)に維持する、すなわち、該ナトリウムイオンセルまたはエネルギー貯蔵デバイスは貯蔵および/または輸送されながらも、該セルは非常に安全な状態にあることを確実にするものである。好ましくは、ショーティングデバイスは、おそらく、ショーティングデバイスの少なくとも一部がナトリウムイオンセルまたはエネルギー貯蔵デバイスの外側にあることにより、容易に着脱可能であることであり、該ショーティングデバイスは、使用前にナトリウムイオンセルまたはエネルギー貯蔵デバイスから取り除くことができる。好ましい形式においては、ショーティングデバイスは、セルハウジングまたはパッケージングの外側に置かれ、セルハウジングまたはパッケージングの内側にある正電極および負電極に接続している正タブおよび負タブ間の低インピーダンス/抵抗ショート回路である。ショーティングデバイスの除去は、カソード電極とアノード電極間の接続を切断することを要する何らかの手順を含み、それ故、ショーティングデバイスの除去は、ナトリウムイオンセルまたはエネルギー貯蔵デバイスからショーティングデバイスを物理的に除去することを要する必要はなく、別のアレンジメントおいては、電極間の接続は、ナトリウムイオンセルまたはエネルギー貯蔵デバイスからショーティングデバイスを物理的に除去することなく切断してもよい。さらに、エネルギー貯蔵デバイスにおいて、そこで使用されている個々のナトリウムイオンセルのいくつかまたはすべてが短絡されていてもよく、または、あるいは全エネルギー貯蔵デバイスを短絡させてもよいということが予想される。また、ナトリウムイオンセル/エネルギー貯蔵デバイスを1回を超えて短絡するために、着脱可能なショーティングデバイスを再使用してもよく、また、他の、ナトリウムイオンセルまたはエネルギー貯蔵デバイスを短絡させるためにそれを再使用してもよい、ということも予想される。着脱可能なショーティングデバイスは、ショーティングタブ、または、例えば、1以上のナトリウムイオンセルにおけるアノード電極およびカソード電極間の接続を提供する伝導性ゲルあるいは他の伝導性材料等いかなる便利な手段により提供されてもよい。
【0036】
本発明のナトリウムイオンセル、すなわち、0%~20%(または上記した範囲に定義されているようなよりより小さい範囲)の充電を有している利益は、それらは、長期間の間、例えば、少なくとも8時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも72時間、また、少なくとも6か月間、安定であるということである。驚いたことに、本発明のナトリウムイオンセルは、このような長期間の貯蔵に何の害も受けず、従来のまたは期待されているセルの充電容量に充電できる;これは、通常約4ボルトないし4.3ボルトである。このような知見は、もちろん商業的に非常に重要である。というのは、ナトリウムイオンセルは、本発明の方法により安定に製造でき、それ故、リチウムイオンバッテリーに関連した発火および爆発といった同様のリスクなく長期間の間、個々にまたはばら荷で輸送および/または貯蔵することができるということを意味する。さらに、ナトリウムイオンセルは、従来の充電容量に影響することなく-0.1~1ボルトまでの放電に耐えることができる結果として、ナトリウムイオンセルの推定耐用年数は、リチウムイオンセルより長いと予想される。
【0037】
本発明のナトリウムイオンセルのさらなる利益は、長期間の貯蔵および従来の充電容量までの充電(一般に、約4.0ボルトまたは4.3ボルト、好ましくは4.5ボルトまで)に続いて、該セルは、0ボルトからその従来の充電容量で、さらにまた、セルの従来の充電容量に何ら害を生じることなく、例えば、無期限に、あるいは、少なくとも100回を超えて、または少なくとも20回を超えて、繰り返しサイクルできるということである。さらに、0ボルトないし約4.0または4.2ボルト(好ましくは4.5ボルトまで)で サイクリングすることが、各サイクル間、0ボルトまたは0ボルトに近い値で少なくとも12時間の停止期間(period of rest)を持って行うことができ、さらにまた、セルの従来の充電容量に何ら害を生じるということがない。
【0038】
本発明のナトリウムイオンセル、特に予め充電したナトリウムイオンセルに関しての別の利益は、-0.1ボルトないし1ボルトへの放電ステップ、および全部または実質的に全部の電荷が放散(例えば、短絡、0%SOC)するまで-0.1ボルトないし1ボルトでセルポテンシャルを所望により維持するステップにより、これらの方法ステップ経ていない同様のナトリウムイオンセルに対して得られる結果と比べてまさに改良されたナトリウムイオンセルのサイクリング時の可逆性容量および容量フェード(reversible capacity and capacity-fade)に関して結果を生み出すということである。このような利益は、非常に驚くべきものであり、先行技術からは全く予測することができない。
【0039】
典型的には、本発明のナトリウムイオンセルは、i)負電極材料および負電極カレントコレクタよりなる負電極、および、ii) 正電極材料および正電極カレントコレクタよりなる正電極を有する。好適な負電極材料は、アモルファスカーボン、ハードカーボン、シリコン、およびその構造が充電/放電の間、ナトリウムイオンの挿入/除去を可能にするように適合されている任意の他の材料、例えば、スズ、ゲルマニウムまたはアンチモン等の合金材料を包含する。有利には、負のカレントコレクタおよび正のカレントコレクタは、-0.1~1ボルト(または上記した好ましい電圧内)で、および/または0%~20%充電、好ましくは0%~10%充電、さらに好ましくは0%~5%充電、理想的には0%~2%充電、そして特に理想的には0%充電の条件下で安定で、そしてナトリウムを溶解せず、あるいはナトリウムと合金化しない1以上の伝導性材料よりなる。好ましくは、該1以上の伝導性材料は、ナトリウムと合金化せず、および/またはナトリウムと別の方法で反応せず、そして、純粋な形態、不純物の混じった形態であってもよく、合金として、または混合物としてでもよく、単独であれ、1以上の他の元素と色々な量で組み合わさっていてもよい。さらに好ましくは、該1以上の伝導性材料の少なくとも1つは、産業用グレードまたは家庭用グレード材料等の低グレード材料を含む。有利には、該1以上の伝導性材料は、好ましくは、銅、アルミニウムおよびチタンから選択される、1以上の金属を含む。
【0040】
有利には、同じ組成の伝導性材料が、正負両カレントコレクタに対して選択され、このような場合、-0.1~1ボルト、あるいは上記好ましい電圧範囲内のセル電圧での、および/または0%~20%(または上記好ましい範囲で定義されているようにより低い値)に充電されているときの長期貯蔵挙動は、再充電されたときの係るナトリウムイオンセルに対して、改良されたものとなる、ということに出願人は気付いた。さらに、正負両カレントコレクタの該1以上の伝導性材料の少なくとも1つは、純粋な形態、不純物の混じった形態のいずれかで、合金として、あるいは混合物として、単独でまたは1以上の他の元素の色々な量の組合せにおいて、アルミニウムを含有するということが特に好ましい。出願人は、1つあるいは両方のカレントコレクタの伝導性材料として、または材料において、例えば、不純物の混じった供給源または家庭用供給源から等の低いグレードのアルミニウムを使用することが驚くべきことに可能であるということを見出した。このことは、重要な商業上の強みとなる。さらに、操作中の電極電位で、低グレードアルミニウムにおける不純物(例えば、亜鉛あるいは銅)は、カソード保護の状態にあり、それ故、電解質相中でまたは電解質相中へ溶解しない。このことは、昨今使用されているリチウムイオンバッテリーまたはナトリウムイオンバッテリー用のカソードカレントコレクタにおいて使用されている高純度アルミニウムに対する通常の要求条件とはたいそう違っている。
【0041】
家庭用グレードのアルミニウム(例えば、「キッチンホイル」、「錫ホイル」または「オーブンホイル」として販売されている)は、アルミニウム含量が92~100%未満、例えば92~99%のアルミニウム含量を有する材料を包含する。不純物の混じったアルミニウムは92%未満のアルミニウムを含んでいてもよい。
【0042】
それ故、本発明は、1以上の負電極材料および負電極カレントコレクタを有する負電極、および1以上の正電極材料および正電極カレントコレクタを有する正電極よりなり、該正および/または負カレントコレクタ1以上が、-0.1~1ボルトの範囲において、あるいは上記した好ましい電圧範囲において安定であり、かつナトリウムを溶解しない、あるいはナトリウムと合金化しない1以上の伝導性材料よりなる、ナトリウムイオンセルそれ自体、および/またはエネルギー貯蔵デバイスに使用されるようなナトリウムイオンセルを提供するものであり、る。
【0043】
好ましくは、該1以上の伝導性材料は、純粋な形態、不純物の混じった形態のいずれかで、合金あるいは混合物として、単独であるいは1以上の他の元素と色々な量の組合せにおいて、1以上の金属を含有する。特に好ましくは、該1以上のカレントコレクタは、銅、アルミニウムおよびチタンから選択される1以上の金属を含有する。
【0044】
出願人は、本発明のナトリウムイオンセルは、エネルギー貯蔵デバイスそれ自体として、あるいはその一部として使用されるとき、正負電極カレントコレクタの少なくとも1つ、好ましくは負電極カレントコレクタが、カーボンコーティングよりなる場合に、特に、有利であるということを見出した。これは、活性負電極材料と負電極カレントコレクタとの間のよりよい接着、ひいては、より低い抵抗につながる等の利益をもたらす。カーボンコーティングよりなるカレントコレクタは、速度性能を改良するということも見いだされており、このことは電流をすばやく充放電することを可能とする。ナトリウムイオンセルがカーボンコーティングよりなる正電極カレントコレクタを含んでいるとき、同様な利点が得られる。カーボンコーティングよりなる負のカレントコレクタに加え、カーボンコーティングよりなる正のカレントコレクタを含むナトリウムイオインセルが、特に、電気的に効果的である。
【0045】
カーボンコーティングよりなるカレントコレクタは、好ましくは、-0.1~1ボルトで安定で、ナトリウムを溶解せず、あるいはナトリウムと合金化しないカーボンコート材料1以上を含有する。好ましいカーボンコート材料は、カーボンコート金属を包含する(該金属は、伝導性であってもよいが、カーボンコーティングが伝導性を付与するであろうから、それ自体で伝導性である必要はない。)。カーボンコーティングは、スプレーコーティング、溶媒コーティング、ディツピング等の何らかの好適なテクニックを使用して、(伝導性材料を提供するのに使用される)選択された材料に適用される。あるいは、好適なカーボンコート材料は、商業的に入手可能である。カーボンコート銅、および/またはカーボンコートアルミニウムおよび/またはカーボンコートチタン等のカーボンコート金属が好ましく。カーボンコートアルミニウムグレード:SDX、昭和電工提供が、特に好ましい。カーボンコート低グレードアルミニウム(例えば、不純物の混じった、あるいは家庭用グレード供給源からの)が、極めて好ましい。上記で検討したように、カーボンコート低グレードアルミニウムは、製造するのに安価であり、低グレードアルミニウムに存在する不純物は、セルの性能問題になんら及ぶものでもなく、原因となるものでもない。
【0046】
本発明のナトリウムイオンセルに使用される正負電極材料は、充電あるいは放電の間、ナトリムイオンをインターカレートおよびデ・インターカレート(挿入および取出し)できるどのような材料であってもよい。
【0047】
本明細書において使用されている「ナトリムイオンセル」という表現は、任意の電気化学セルを意味しているものとして解釈されるべきであり、好適な例としては、(これらの例に限定されるものではないが)、非水性ナトリムイオンセル、水性ナトリウムイオンセル、ナトリウムエアーセルナトリウム酸素セルを含むものである。このような電気化学セルは、これらに限定されるものではないが、バッテリー、バッテリーモジュラス、バッテリーパック、電気化学デバイスおよびエレクトロクロミックデバイスを含む、任意の大小スケールの貯蔵デバイスに利用され得る。バッテリー、バッテリーモジュラス、バッテリーパックは、典型的には1以上のナトリウムイオンセルよりなり、それらのナトリウムイオンセルのいくつかあるいはすべてが直列で接続されてもよい。
【0048】
上記した利点に加えて、本発明は、多数のナトリウムイオンセルを使用するときいつも必要とされる、バッテリーマネージメントシステム(BMS)の簡単化の機会をも提供するものである。「バッテリーマネージメントシステム」という用語は、この文脈の中で、そして本明細書に使用されているように、一般に、エネルギー貯蔵デバイスのためのマネージメントシステムをも含むものである。バッテリーマネージメントシステムは、その安全動作域外で動作することからそれを保護し、二次データを計算してバッテリー(エネルギー貯蔵デバイス)の状態をモニタリングし、そのデータをレポートし、そしてその各セル内の充電を再均衡させてバッテリー(エネルギー貯蔵デバイス)の環境を制御することにより、充電式バッテリー(セルまたはバッテリーまたはエネルギー貯蔵デバイス)を取り扱う電子システムである。本発明のプロセスを受けているナトリウムイオンセルは、セルの充電/放電性能に害を与えることなく、すべてあるいは実質すべての充電を放散する(0%~20%、または上記したようにより少ない量が残っている)まで、-0.1~1.0ボルトにまで安全に放電させ、必要により-0.1~1.0ボルトで維持することがきるので、安全動作域の下限モニタリングに関する、またはこの低レベルで充電を安定させる測定を行う関連バッテリーマネージメントシステムは必要ない。それ故、本発明は、放電時に(例えば、バッテリーにおいて)エネルギー貯蔵デバイスをバランスさせる方法を提供するものであり、該エネルギー貯蔵デバイスは、放電時1以上の予め充電されたナトリウムイオンセルを含有し、該方法は、予め充電されたナトリウムイオンセルを、-0.1~1ボルトまで放電させ、必要により、-0.1~1ボルトでセル電位を維持し、充電の80%~100%(100%未満を含むパーセンテージの好ましい範囲は上記した範囲から直接計算できる)が放散されるステップを含むものである。上記したように、該プロセスの必要による部分、すなわち、-0.1~1ボルト(上記した範囲で定義されているより小さい範囲)でセル電位を維持する必要性は、該プロセスの放電部分のスピードおよび/または効率により決定される。
【0049】
ナトリウムイオンセルを本発明のプロセスの間に放電させると、特に、規模が大きなバッテリーモジュールまたはバッテリーパッケージ等のエネルギー貯蔵デバイスにおけるような、多数のナトリウムイオンセルを放電させる場合、熱エネルギーが放たれ、例えば、熱貯蔵デバイス、熱交換機または補助ヒーティングデバイスを使用し、この熱をとらえることが有利である。
【0050】
最終側面において、本発明は、アルミニウム、特に、低グレードアルミニウムよりなり、好ましくは上記したようなカーボンコーティングよりなる正および/または負のカレントコレクタ1以上よりなる、充電されているナトリウムイオンセルを提供するものである。本発明のこの側面は、このような充電ナトリウムイオンセル1以上よりなる充電されたエネルギー貯蔵デバイスを提供するものであり、また、このような充電ナトリウムイオンセルおよび充電エネルギー貯蔵デバイスを電気器具に使用する方法をも提供するものである。好ましくは、このようなセルは40%~100%、好ましくは50%~80%の充電状態にある。
【0051】
電気化学結果
ナトリウムイオン電気化学テストセルを、次のように組立てた。
パウチセルを作る一般的手順
使用されたパウチセルは、適切なNaベースの電解質に浸浸されたガラスファイバー(ホワットマン(Whatman)GF/Aグレード)で分離されている正方形の負電極(4.8cm)および正方形の負電極(4.0cm)よりなる。次に、セルアセンブリーは、電気化学テストの準備ができたAlラミネートパウチ内に減圧下密閉した。
【0052】
セルテスト
セルを、定電流サイクル技術を使用して、次のようにテストした。
セルは、予め設定された電圧限界間の所定の電流密度でサイクルされる。Maccor社(タルサ、オクラホマ、USA)製の市販バッテリーサイクラーを使用する。充電時、アルカリイオンがカソード活性材料から引出される。放電時、アルカリイオンがカソード活性材料に再挿入される。
負および/または正のカレントコレクタとして使用されるカーボンコートアルミニウム材料は、昭和電工提供のSDX(登録商標)材料である。
【0053】
実施例1:Naイオンパウチセル 0ボルト(短絡)12時間貯蔵テスト
正方形の負電極(4.8cm2)および正方形の正電極を、それぞれ負および正の電極材料で予めコートされたカーボンコートアルミニウムカレントコレクター材料SDX(登録商標)から、切り出した(4.8cm2)。これらは、適切なNa+ベースの電解液に浸漬されたガラス繊維(Whatman GF / Aグレード)によって分離されている。このセルアセンブリは、Alラミネートパウチ材料内、真空下に、それを密閉することによって、電気化学的テストのために用意される。
【0054】
図1(A)および1(B)(セル#406011)は、電圧範囲0.0-4.2ボルトにおいて、0.5M NaPF-EC/DEC/PC(1:1:1容積)電解質およびGF/Aセパレータを使用し、活性材料CarbotronP(J)の負電極およびカソードサンプルX1868(組成:Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117)よりなる正電極を含む完全Naイオンセルの定電流(±C/10)サイクリングからの結果を示している。各充電プロセスの終わりに、セルは、電流が定電流値の10%に低下するまで4.2Vで定電位(定電圧)に保持される。定電流放電プロセスの終わりに、セルを0ボルトでさらに12時間定電位(定電圧)に保ち、短絡貯蔵期間をシミュレートする。テストは30℃で行った。
【0055】
図1(A)は、最初の35回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイル(すなわち、セル電圧対サイクル数)を示している。図1(B)は、最初の35回の充放電サイクルについてサイクル数に対するカソードの充放電比容量を示している。
【0056】
図1(B)の検査から、セルサイクル挙動は極めて安定であることが見てとれる。データは、サイクリング時の容量フェードレートが非常に低いことを示している。明らかに、延長された短絡期間(0Vで12時間)は、セル性能の低下をなんら引き起こしていない。このことは、これらの最初の35サイクルにわたって本質的に符合している放電電圧プロファイルからも分かる。
【0057】
実施例2:Naイオンパウチセル 0ボルト(短絡)48時間貯蔵テスト
実施例1で製造されたものと同じ構成物のNaイオンパウチセルを48時間0ボルト(短絡)で貯蔵し、次のような貯蔵テスト結果を得た。
【0058】
図2(A)および(B)(セル#407018)は、電圧範囲0.0-4.2ボルトにおいて、0.5M NaPF-EC/DEC/PC(1:1:1容積)電解質およびGF/Aセパレータを使用し、活性材料Carbotron P(J)の負電極およびカソードサンプルX1868(組成:Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117)よりなる正電極を含む完全Naイオンセルの定電流(±C/10)サイクリングからの結果を示している。充電プロセスの終わりに、セルは、電流が定電流値の10%まで低下するまで4.2Vで定電位(定電圧)に保持される。定電流放電プロセスの終わりには、セルを0ボルトでさらに48時間定電位(定電圧)に保持し、短絡貯蔵期間をシミュレートする。テストは30℃で行った。
【0059】
図2(A)は、最初の12回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイル)(すなわち、セル電圧対サイクル数)を示している。図2(B)は、最初の12回の充放電サイクルについてサイクル数に対するカソードの充放電比容量を示している。
【0060】
図(B)の検査から、セルサイクル挙動は極めて安定であることが見て取れる。データは、サイクリング時の容量フェードレートが非常に低いことを示している。明らかに、延長された短絡期間(0Vで48時間)は、セル性能の低下をなんら引き起こしていない。このことは、これらの最初の12サイクルにわたって本質的に符合している放電電圧プロファイルからも分かる。
【0061】
実施例3:Naイオンパウチセル 0ボルト(短絡)96時間貯蔵テスト
実施例1で使用されたものと同じ構成物のNaイオンパウチセルを96時間0ボルト(短絡)で貯蔵し、次のような貯蔵テスト結果を得た。
【0062】
図3(A)および3(B)(セル#407017)は、電圧範囲0.0-4.2ボルトにおいて、0.5M NaPF-EC/DEC/PC(1:1:1容積)電解質およびGF/Aセパレータを使用し、活性材料Carbotron P(J)の負電極およびカソードサンプルX1868(組成:Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117)よりなる正電極を含む完全Naイオンセルの定電流(±C/10)サイクリングからの結果を示している。充電プロセスの終わりに、セルは、電流が定電流値の10%まで低下するまで4.2Vで定電位(定電圧)に保持される。定電流放電プロセスの終わりには、セルを0ボルトでさらに96時間定電位(定電圧)に保持し、短絡貯蔵期間をシミュレートする。テストは30℃で行った。
【0063】
図3(A)は、最初の4回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイル)(すなわち、セル電圧対サイクル数)を示している。図3(B)は、最初の3回の充放電サイクルについてサイクル数に対するカソードの充放電比容量を示している。
【0064】
図3(B)の検査から、セルサイクル挙動は極めて安定であることが見て取れる。データは、サイクリング時の容量フェードレートが非常に低いことを示している。明らかに、延長された短絡期間(0Vで96時間)は、セル性能の低下をなんら引き起こしていない。このことは、これらの最初の3サイクルにわたって本質的に符合している放電電圧プロファイルからも分かる。
【0065】
実施例4:Naイオンパウチセルにおける負極カレントコレクタとしての家庭用Alの使用の調査
本実施例は、実施例1~3において使用されている高純度カーボンコートアルミニウムカレントコレクタ(SDX)の代わりに、低純度家庭用グレードアルミニウムを負極カレントコレクタとして使用した以外、実施例1で製造したものと同様のパウチセルを使用する。
【0066】
図4(A)および4(B)(セル#407016)は、電圧範囲1.0-4.2ボルトにおいて、0.5M NaPF-EC/DEC/PC(1:1:1容積)電解質およびGF/Aセパレータを使用し、活性材料Carbotron P(J)の負極電極およびカソードサンプルX1868(組成:Na0.833Ni0.317Mn0.467Mg0.100Ti0.117)よりなる正電極を含む完全Naイオンセルの定電流(±C/10)サイクリングからの結果を示している。充電プロセスの終わりに、セルは、電流が定電流値の10%まで低下するまで4.2Vで定電位(定電圧)に保持される。テストは30℃で行った。
【0067】
図4(A)は、最初の22回の充放電サイクルに対する放電セル電圧プロファイル)(すなわち、セル電圧対サイクル数)を示している。図4(B)は、最初の22回の充放電サイクルについてサイクル数に対するカソードの充放電比容量を示している。
【0068】
図4(A)および4(B)の検査から、セルサイクル挙動は極めて安定であることが見てとれる。データは、サイクリング時の容量フェードレートが非常に低いことを示している。該電気化学データにおいては、負電極に低純度Alカレントコレクタを使用することに問題があるという示唆はない。
【0069】
出願人は、低純度アルミニウムカレントコレクタがうまく働いている理由は、Naイオンセルの通常の動作下において、負電極は非常に還元条件下にあり、動作電圧は、Na金属のそれに近いからであると考えている。このような電極電位では、低グレードAl中の不純物(Zn,Cu等)が、カソード防食下にあり、それ故、電解質層中に溶けないのである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルの従来のまたは期待されている充電容量に充電でき、安全な貯蔵および/または輸送に適したナトリウムイオンセルであって、
ナトリウムイオンセルは、正電極材料よりなる正電極、正電極カレントコレクタ、負電極材料よりなる負電極、負電極カレントコレクタおよび電解質を含み、負電極材料は、アモルファスカーボン、ハードカーボン、シリコンおよび合金金属中の1つ以上を包含し、ナトリウムイオンセルの構造は、充電/放電の間、ナトリウムイオンの挿入/除去を可能にするように適合され、負電極カレントコレクタおよび正電極カレントコレクタは、アルミニウムを含み、ナトリウムイオンセルは、0%~20%の充電状態にあり、ナトリウムイオンセル電位は、-0.1~1Vの範囲に維持される、前記ナトリウムイオンセル。
【請求項2】
ナトリウムイオンセルが先に充電/放電されたナトリウムイオンセルである、請求項1に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項3】
ナトリウムイオンセルが初期状態のナトリウムイオンセルである、請求項1に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項4】
負電極カレントコレクタおよび/または正電極カレントコレクタがカーボンコーティングからなる、請求項1~3いずれかに記載のナトリウムイオンセル。
【請求項5】
着脱可能なショーティングデバイスをさらに含む、請求項1~3いずれかに記載のナトリウムイオンセル。
【請求項6】
着脱可能なショーティングデバイスの少なくとも一部がナトリウムイオンセルの外側にある、請求項5に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項7】
着脱可能なショーティングデバイスの除去が、着脱可能なショーティングデバイスをナトリウムイオンセルから物理的に除去することを要しない、請求項5に記載のナトリウムイオンセル。
【請求項8】
ナトリウムイオンセル電位が-0.1~1Vの範囲に少なくとも1分間維持される、請求項1~3いずれかに記載のナトリウムイオンセル。
【請求項9】
ナトリウムイオンセル電位が-0.1~1Vの範囲に少なくとも8時間維持される、請求項1~3いずれかに記載のナトリウムイオンセル。
【請求項10】
請求項1~3のいずれかに記載の1以上のナトリウムイオンセルよりなるエネルギー貯蔵デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
典型的には、本発明のナトリウムイオンセルは、i)負電極材料および負電極カレントコレクタよりなる負電極、および、ii) 正電極材料および正電極カレントコレクタよりなる正電極を有する。好適な負電極材料は、アモルファスカーボン、ハードカーボン、シリコン、およびその構造が充電/放電の間、ナトリウムイオンの挿入/除去を可能にするように適合されている任意の他の材料、例えば、スズ、ゲルマニウムまたはアンチモン等の合金金属(または、合金化金属:alloying metals)を包含する。有利には、負のカレントコレクタおよび正のカレントコレクタは、-0.1~1ボルト(または上記した好ましい電圧内)で、および/または0%~20%充電、好ましくは0%~10%充電、さらに好ましくは0%~5%充電、理想的には0%~2%充電、そして特に理想的には0%充電の条件下で安定で、そしてナトリウムを溶解せず、あるいはナトリウムと合金化しない1以上の伝導性材料よりなる。好ましくは、該1以上の伝導性材料は、ナトリウムと合金化せず、および/またはナトリウムと別の方法で反応せず、そして、純粋な形態、不純物の混じった形態であってもよく、合金として、または混合物としてでもよく、単独であれ、1以上の他の元素と色々な量で組み合わさっていてもよい。さらに好ましくは、該1以上の伝導性材料の少なくとも1つは、産業用グレードまたは家庭用グレード材料等の低グレード材料を含む。有利には、該1以上の伝導性材料は、好ましくは、銅、アルミニウムおよびチタンから選択される、1以上の金属を含む。
【外国語明細書】