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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059857
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 48/34 20120101AFI20240423BHJP
   F16H 48/24 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F16H48/34
F16H48/24
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027712
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2022563325の分割
【原出願日】2020-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】矢口 裕
(72)【発明者】
【氏名】小松 寿明
(72)【発明者】
【氏名】堀口 奨斗
(72)【発明者】
【氏名】菊地 俊行
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動力伝達装置において、そのクラッチの状態を検出するための付加的な要素を不要にする。
【解決手段】車両を駆動するトルクを切断可能に伝達する動力伝達装置は、トルクを受容して軸の周りに回転可能な回転体と、回転体に係合し軸方向に可動なクラッチ部材と、クラッチ部材と連結してトルクを伝達可能なクラッチ歯とを備えたクラッチと、電力の投入に応じて磁束を生ずるソレノイドと、磁束を導くようにソレノイドと結合し軸の周りに回り止めされたステータと、ステータから磁束を受容するように配置され受容した磁束により軸の周りに回転運動を生じるロータと、ロータに駆動的に連結して回転運動を軸に沿う方向の直線運動に変換する変換機構であって直線運動をクラッチ部材へ伝達するスラスト部材を備えた変換機構と、を備え、ソレノイド、ステータおよびロータの組合せは、ステータとロータとが軸の方向に離れたアキシャルギャップモータを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動するトルクを切断可能に伝達する動力伝達装置であって、
前記トルクを受容して軸の周りに回転可能な回転体と、
前記回転体に係合し、軸方向に可動なクラッチ部材と、前記クラッチ部材と連結して前記トルクを伝達可能なクラッチ歯と、を備えたクラッチと、
電力の投入に応じて磁束を生ずるソレノイドと、
前記磁束を導くように前記ソレノイドと結合し、前記軸の周りに回り止めされたステータと、
前記ステータから前記磁束を受容するように配置され、受容した前記磁束により前記軸の周りに回転運動を生じるロータと、
前記ロータに駆動的に連結して前記回転運動を前記軸に沿う方向の直線運動に変換する変換機構であって、前記直線運動を前記クラッチ部材へ伝達するスラスト部材を備えた変換機構と、
を備えた動力伝達装置であって、
前記ソレノイド、前記ステータおよび前記ロータの組合せは、前記ステータと前記ロータとが前記軸の方向に離れたアキシャルギャップモータを構成する、動力伝達装置。
【請求項2】
前記トルクを差動的に出力する一対のサイドギアを備えたデファレンシャルギア組をさらに備え、
前記クラッチ歯は、前記一対のサイドギアの一方または前記デファレンシャルギア組を支持するインナケーシングに形成されている、請求項1の動力伝達装置。
【請求項3】
少なくとも前記ステータと前記ロータとは、前記回転体と同軸であって前記軸の周りにそれぞれ円環をなす、請求項1の動力伝達装置。
【請求項4】
前記ソレノイド、前記ステータおよび前記ロータを収容するハウジングであって、前記軸の周りに回り止めされ、前記ステータ及び前記スラスト部材を回り止めする、ハウジングを、
さらに備えた請求項1の動力伝達装置。
【請求項5】
前記ロータと前記スラスト部材との何れかまたは両方は、前記回転運動を前記直線運動に変換する向きに傾斜したカム面、ねじ山、または螺旋軌道を備える、請求項1の動力伝達装置。
【請求項6】
前記変換機構は、前記クラッチ部材に結合するためのタイメンバと、前記スラスト部材と前記タイメンバとの間に介在して相対回転を可能にしながら前記直線運動を仲介するベアリングと、を備える、請求項1の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、車両を駆動するトルクを切断可能に伝達する動力伝達装置に関し、特にクラッチを連結と脱連結の両方に駆動できるアクチュエータを一体的に備えた動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に使用される回転機械は、その機能を選択的に稼動および休止するために、しばしばクラッチを利用する。例えば所謂ロックアップデファレンシャルはドッグクラッチを内蔵し、通常時にはドッグクラッチは脱連結しており出力軸間の差動を許容し、外部のアクチュエータによりドッグクラッチを連結させると差動をロックする。
【0003】
油圧シリンダ、モータを利用したカム機構、あるいはソレノイドアクチュエータ等のアクチュエータは直線動作が可能なので、ドッグクラッチの連結・脱連結の目的で利用し易い。アクチュエータは、回転する回転機構に対して静止した状態に維持しなければならないし、それ自体が相当の寸法を要するので、油圧シリンダやモータカム機構によるアクチュエータには、回転機械の軸から横に大きく張り出した構造が必要である。これは車体側の設計を制約する要因である。また、その全体を車体へ取り付けるには、例えばアクチュエータを取り付ける工程と、回転機械本体を取り付ける工程と、これらを結合する工程とを必要とし、取り付け作業は著しく面倒なものになる。
【0004】
ソレノイドアクチュエータでは、回転機械と同軸にでき、コンパクトであって全体を一体的に取り扱えるものが工夫されている。特許文献1ないし6は、関連する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願公開WO2016/035129A1
【特許文献2】国際特許出願公開WO2018/109874A1
【特許文献3】特開2003-172429号公報
【特許文献4】特開2004-125145号公報
【特許文献5】特開2003-97597号公報
【特許文献6】特開2018-82610号公報
【発明の概要】
【0006】
ソレノイドアクチュエータには多くの利点があるものの、その動作とクラッチの状態とが必ずしも対応しない問題がある。すなわち、アクチュエータに電力を投入しても、たまたまクラッチ歯同士が噛み合いに適当でない位置関係にある等の稀な条件において、クラッチが連結し損なうことがありうる。また電力を切断しても、潤滑油の粘性や磁化などによりクラッチ歯同士が一時的に固着して脱連結が滞りかねない。そこで不測の動作を防止するべく、クラッチが連結しているか否かを検出する装置がしばしば追加的に必要である。しかしながら特許文献2の各図から理解できるように、検出装置はキャリア側に付加的な要素を必要とし、これはデファレンシャル本体とは独立した取り付けを必要とするので、結局のところソレノイドアクチュエータの効用は減じられてしまう。
【0007】
以下に開示する装置は、上述の問題に鑑みて工夫されたものである。
【0008】
一局面によれば、車両を駆動するトルクを切断可能に伝達する動力伝達装置は、前記トルクを受容して軸の周りに回転可能な回転体と、前記回転体に係合し、軸方向に可動なクラッチ部材と、前記クラッチ部材と連結して前記トルクを伝達可能なクラッチ歯と、を備えたクラッチと、電力の投入に応じて磁束を生ずるソレノイドと、前記磁束を導くように前記ソレノイドと結合し、前記軸の周りに回り止めされたステータと、前記ステータから前記磁束を受容するように配置され、受容した前記磁束により前記軸の周りに回転運動を生じるロータと、前記ロータに駆動的に連結して前記回転運動を前記軸に沿う方向の直線運動に変換する変換機構であって、前記直線運動を前記クラッチ部材へ伝達するスラスト部材を備えた変換機構と、を備え、前記ソレノイド、前記ステータおよび前記ロータの組合せは、前記ステータと前記ロータとが前記軸の方向に離れたアキシャルギャップモータを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ロックアップデファレンシャルとアクチュエータとの組み合わせの部分分解斜視図である。
図2図2は、ロックアップデファレンシャルとアクチュエータとの組み合わせの断面立面図であって図1のII-II線から取られたものである。
図3図3は、フリーランニングデファレンシャルとアクチュエータとの組み合わせの断面立面図である。
図4図4は、図1に示すアクチュエータにおけるアキシャルギャップモータの分解斜視図である。
図5図5は、他の例に基づくアキシャルギャップモータの断面立面図である。
図6図6は、さらに他の例に基づくラジアルギャップモータの断面立面図である。
図7図7は、図2において特にアクチュエータを拡大して示す断面立面図である。
図8図8は、他の実施形態によるロックアップデファレンシャルとアクチュエータとの組み合わせの部分分解斜視図である。
図9図9は、図8に示された組み合わせの断面立面図である。
図10図10は、ねじを利用した機構によるアクチュエータの例を主に示す断面立面図である。
図11図11は、カム機構によるアクチュエータの例を主に示す断面立面図である。
図12図12は、ロックアップデファレンシャルと、ローラねじを利用した機構によるアクチュエータとの組み合わせであって、一部を省略した斜視図である。
図13図13は、ローラねじを利用した機構によるアクチュエータの例を主に示す断面立面図である。
図14図14は、ねじを利用した機構によるアクチュエータの他の例を主に示す断面立面図である。
図15図15は、ボールカム機構によるアクチュエータの例を主に示す断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して以下に幾つかの例示的な実施形態を説明する。以下の説明および添付の請求の範囲において、特段の説明がなければ軸はステータおよびロータの中心軸を意味し、通常には回転体および回転体に連結するシャフトの回転軸とも一致する。図面は必ずしも正確な縮尺により示されておらず、従って相互の寸法関係は図示されたものに限られないことに特に注意を要する。
【0011】
以下に開示するクラッチとアクチュエータの組み合わせは、車両を構成する回転機械と好適に組み合わせて動力伝達装置を構成することができ、特に、回転機械の外部からクラッチを連結および脱連結してその機能を制御する目的で利用することができる。クラッチが連結したときには、車両を駆動するトルクがクラッチを介して伝達され、脱連結したときには切断される。以下の説明より理解されるはずだが、アクチュエータの回転角がクラッチ部材の位置に正しく反映されるので、アクチュエータを正転また逆転してその回転角を適宜に制御すれば、クラッチを連結また脱連結する等、所望のクラッチ状態を実現することができる。
【0012】
種々の回転機械に適用しうるが、その一例はトルクを左右の車軸に差動的に分配するデファレンシャルである。デファレンシャルは、その動作を制御するためにしばしばドッグクラッチを内蔵し、これは外部から適宜のアクチュエータにより駆動される。その一方で車両にデファレンシャルを搭載するためのスペースは限られており、アクチュエータを含めた全体はコンパクトである必要があるので、本開示によるアクチュエータを好適に利用することができる。例えば図1,2は所謂ロックアップデファレンシャルと組み合わせた例であり、図3は所謂フリーランニングデファレンシャルと組み合わせた例である。
【0013】
図1に組み合わせて主に図2を参照するに、デファレンシャル3は、軸Xの周りの回転Tをすることが可能な、クラッチ10を内部に備えた回転体である。デファレンシャル3は、そのケース15に結合したデファレンシャルギア組21を備え、デファレンシャルギア組21はサイドギア23,25を備え、これらはそれぞれ車軸に結合する。すなわちデファレンシャルギア組21は、ケース15が受容したトルクをサイドギア23,25へ、差動を許容しながら分配する媒介となる。図2はベベルギア式のものを例示するが、もちろんフェイスギア式や遊星ギア式など他の形式を利用してもよい。
【0014】
かかる例ではケース15からトルクを伝達しうるクラッチ部材11は軸方向に可動であり、サイドギア23は例えば図7に示す通りクラッチ歯13を備えてクラッチ部材11と連結可能であり、クラッチ部材11とクラッチ歯13との組み合わせはクラッチ10を構成する。アクチュエータ1がクラッチ部材11を駆動してクラッチ10が連結したときには、サイドギア23はケース15と一時的に一体となってトルクを伝達する。このとき他方のサイドギア25はサイドギア23に対して差動ができなくなるので、デファレンシャル3は差動作用を失った所謂デフロックの状態となる。アクチュエータ1がクラッチ10を脱連結させたときには、デファレンシャル3はケース15が受容したトルクを両車軸へ差動的に分配する。
【0015】
あるいは図3を参照するに、デファレンシャル3のケースはトルクを受容するアウタケース15と、これに同軸であって相対的に回転可能なインナケース17とに分かれている。この例ではデファレンシャルギア組21はインナケース17に結合しており、インナケース17の例えば一端がドッグ歯を備えてクラッチ10を構成する。アクチュエータ1がクラッチ10を連結したときには、トルクはアウタケース15からインナケース17へ伝達され、さらにデファレンシャルギア組21を介して両車軸へ差動的に分配される。アクチュエータ1がクラッチ10を脱連結させたときには、デファレンシャルギア組21はアウタケース15からトルクを受けず、両車軸は動力系から自由になる。
【0016】
もちろん用途はこれらに限られない。本開示に基づき、ドッグクラッチを包含する広範な回転機械が実現でき、その例はトランスミッション、パワートランスファユニット(PTU)、あるいはカップリング装置等である。またクラッチは例えばドッグ歯を備えた所謂ドッグクラッチだが、クロークラッチ等の他の形式、より一般的には、摩擦ではなく互いに噛合する構造によりトルクを伝達する形式のクラッチは、概して利用可能だろう。
【0017】
後述の何れの実施形態においても、アクチュエータは噛み合いクラッチと組み合わされるのであるから、ごく単純な直線動作で十分である。それにも関わらず、各実施形態は、直線動作ではなく敢えて回転運動を生ずる中空軸モータを利用する。このことがもたらす利点は、以下の説明より明らかとなるだろう。
【0018】
例えば図1に戻って参照するに、クラッチ10を駆動するアクチュエータ1は、概して、軸X周りの回転運動Rを生ずる中空軸モータ5と、回転運動Rを軸Xに沿う方向の直線運動に変換する変換機構7と、を備える。アクチュエータ1の全体は、デファレンシャル3等の回転機械、特にそのボス部19と同軸であり、また例えば回転機械の一方の端面に近接して、あるいは接して配置される。
【0019】
図1に組み合わせて図7を参照するに、モータ5は、あるいは図9に例示するごとく変換機構7も、ハウジング9に収納されていてもよく、ハウジング9は車体側のキャリアに係合して回り止めされる。回り止めは比較的に簡単な構造により実現でき、例えば図2,3,5に例示するごとく、ハウジング9の外周に固定されたタブ55をキャリアに係合させる程度で十分だろう。タブ55は図2のごとく径方向に外方に延びていてもよく、図3,5のごとく軸方向に延びていてもよい。タブ55は、あるいはハウジング9の他の部分に固定されていてもよいし、固定されずに係合するものであってもよい。もちろんタブによらずに直接に係合する何らかの構造をハウジング9は備えてもよいし、係合の相手方はキャリア以外の要素であってもよい。
【0020】
ハウジング9は、また、ボス部19に嵌合し、さらにケース15の端面にも接し、または嵌合してもよい。これに対応して、ケース15の端面は、ハウジング9と嵌合する構造を備えてもよく、その例はハウジング9が部分的に嵌入するように窪んだ周溝、あるいは端面から延びてハウジング9の外周に部分的に嵌合するフランジである。これらの構造はハウジング9が支持するモータ5や変換機構7の安定をもたらし、また装置の全体を一体に取り扱うのに有利である。
【0021】
ハウジング9はボス部19に摺動可能に嵌合し、その間にはごく僅かな隙間が保持されて潤滑油が巻き込まれる。潤滑油を保持するべく、ハウジング9の内周に、またはボス部19の外面に、あるいはまたこれらの両方に、オイル溝が刻まれていてもよい。あるいは図10,14,15に示すごとく、ハウジング9とボス部19との間にベアリング63が介在していてもよい。アクチュエータ1はそれほど大きなスラスト力を発生するわけではないので、ベアリング63には図14,15のごとくボールベアリングが適用できるが、あるいは図10のごとくニードルベアリングでもよく、もちろん他の形式のベアリングであってもよい。あるいはベアリングに代えて、または加えて、固体潤滑剤を用いてもよく、あるいはハウジング9とボス部19との何れかまたは両方にポリフルオロエチレンのごとき低摩擦性コーティングが施されていてもよい。
【0022】
例えば図4を参照するに、モータ5は、概して、電力の投入に応じて磁束Fを生ずるソレノイド31と、磁束Fを導くステータ33と、受容した磁束により軸X周りに回転運動Rを生ずるロータ35と、を備える。ソレノイド31は、単一の電磁コイルであってもよいが、軸X周りに周方向に配列した複数のコイル31cの群であってもよい。各コイル31cは磁束Fを効率よく引き出すべく、例えば軟磁性材料よりなるコア33cの周りに巻かれていてもよい。またコア33cは互いに連結されて一体のステータ33を構成していてもよく、あるいは互いに別体のままステータ33を構成してもよい。またソレノイド31とステータ33とは一体であってもよい。ステータ33は、ソレノイド31と共に、ハウジング9に対して軸X周りに回り止めされ、また好ましくは軸方向にも不動にされる。
【0023】
ロータ35は、磁性材料よりなり、軸X周りに対称的な略円筒体であり、回り止めされずに軸X周りに回転運動Rをすることができる。ステータ33から導かれた磁束Fを受容することができるよう、ロータ35は軸Xの方向にステータ33から僅かに離れ、かつ対向するように配置される。図4には単一のロータ35と単一のステータ33との組み合わせのみが描かれているが、駆動力を増すべく、一対のロータ35がステータ33を挟んでいてもよく、あるいは一対のステータ33がロータ35を挟んでいてもよく、さらにあるいは二組以上のステータ33とロータ35とが軸方向に配列していてもよい。
【0024】
ステータ33とロータ35とは、図10に例示するごとく、互いに対向する面においてそれぞれ平面であってもよいが、磁束が通過する面積を増大するべく、それぞれ3次元構造を備えてもよい。かかる構造の一例は、図4,5のごとく、それぞれから同心円状のリブが立ち上がり、且つ互いに入り組んだものであるが、もちろんこれに限られない。かかる構造はトルクの増大に寄与し、あるいは電力の利用効率を改善するのに寄与する。
【0025】
ステータ33とロータ35とは好ましくは互いに近接した位置を維持する。近接した位置を維持し、かつロータ35が滑らかに回転することを許容するよう、例えば図5,10に示す通り、ステータ33とロータ35との間にはボールベアリングのごときベアリング57が介在してもよい。図示の例におけるベアリング57の配置は、磁束Fによる吸引力に抗してロータ35を安定させるに有利である。あるいは図6に示す通り、ハウジング9とロータ35との間にベアリング57が介在していてもよい。また、図5,10の例のように唯一つのベアリング57がロータを支持してもよく、あるいは図6の例のように一対のベアリング57がロータ35を挟んでこれを支持してもよい。ハウジング9はベアリング57を介して直接にロータ35を支持してもよいが、ロータ35に結合する部材(例えば後述のロータリメンバ45)を介して間接的に支持してもよい。後者の場合にベアリング57はハウジング9とロータリメンバ45との間に介在してもよい。さらにあるいは、ハウジング9に代えてボス部19がロータ35ないしロータリメンバ45を支持してもよく、ベアリング57はボス部19とロータ35ないしロータリメンバ45との間に介在していてもよい。
【0026】
図4,5に示した例は何れも、ロータとステータとが軸方向に並び、磁束Fが軸に平行な向きに引き出される、アキシャルギャップモータの例である。軸方向長さよりも半径方向に比較的に余裕がある場合には、アキシャルギャップモータは出力の向上に有利であり、あるいは同じ出力では小型化に有利である。またアキシャルギャップモータを軸方向にタンデムに配列し、さらなる出力の向上を図ってもよい。もちろんアキシャルギャップモータに代えて、例えば図6に示す通り、ロータがステータと同軸であって径方向に内側または外側に近接して配置され、磁束Fが径方向に引き出される、所謂ラジアルギャップモータを利用してもよい。
【0027】
例えば図1,5,6を参照するに、ソレノイド31は、ケーブル37を介して外部の駆動回路に接続される。駆動回路は、位相差を有する交流ないしパルス電流を生成してそれらを複数のコイル31cに入力し、以って図1,4に示すごとくロータ35に回転運動Rを生じさせる。位相差の向きにより回転運動Rの向きを制御することができ、すなわちモータ5は正転と逆転の両方に回転運動Rを起こすことができる。交流ないしパルス電流を生成するためにスイッチング素子を利用することができ、スイッチング素子には、例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)のごとき半導体素子が利用されるが、必ずしもこれに限られない。また上述の説明は所謂誘導型モータに関するが、これに代えて同期型、永久磁石型、整流子型、直流型等の種々の形態を利用することができる。
【0028】
例えば図1,2を参照するに、変換機構7は、スラスト部材41を備え、またロータ35に駆動的に結合しており、その回転運動Rを直線運動に変換してスラスト部材41に出力する。変換のために、例えばカム機構、ボールカム機構、ねじ機構、ローラねじ機構が利用できる。クラッチ部材11の脚がケース15の例えば端壁15Eを貫通して外に引き出されており、スラスト部材41はこれに当接して、または結合して、これを駆動する。
【0029】
図1,2に組み合わせて図7を参照するに、必ずしもこれに限定されないが、例えばカム機構によれば、スラスト部材41はリング状であってロータ35に対向する面に、周方向に傾斜したカム面41cを備える。対応してロータ35はカム面41c上を摺動する適当な構造を備える。図示の例では変換機構7はロータ35の最内周近くだが、より外周よりに配置することもでき、最外周付近に配置されていてもよい。
【0030】
スラスト部材41がハウジング9に回り止めされながらロータ35が回転運動Rをすると、ロータ35が傾斜したカム面41cを押し上げ、または逆回転によれば押し下げ、以って回転運動Rを直線運動に変換する。摺動を滑らかにするべく、ロータ35とカム面41cの間に、転動可能なローラ53が介在してもよい。図1の例では、ロータ35はローラ53を保持するポケット35cを備え、ロータ35の回転に伴いローラ53がカム面41c上を転動し、以ってスラスト部材41が軸方向に駆動される。スラスト部材41に代えて、あるいは加えて、ロータ35ないしこれと一体の部材が傾斜したカム面を備えてもよい。ローラ53は例えば円柱あるいは円錐台の形状にすることができ、あるいは図15に例示するごとく球の形態であってもよい。図15の例はボールカム機構の一種と言えるものであり、より大きな出力が必要な場合に有利である。
【0031】
スラスト部材41は、クラッチ部材11の脚に直接に当接してもよいが、前者は回り止めされ、後者は回転するので、互いの滑動が必要である。滑動の便宜のために、例えば図9,10,11,13,14,15に例示されるごとく、その間にベアリング59が介在してもよい。ベアリング59には、図9,10,11,13,14に例示されるごとくボールベアリングが利用できるし、あるいは図15に例示されるごとくニードルベアリングでもよく、もちろん他の形式も適用可能だろう。またベアリングによらずに固体潤滑材が介在してもよく、潤滑剤等が介在した摺動であってもよい。またベアリング59とクラッチ部材11とは図10に例示するごとく直接に結合していてもよいいが、図9,11,13,14,15に例示するごとく、その間に、駆動力を仲介する適宜のタイメンバ51がさらに介在してもよい。タイメンバ51は、図14,15に例示するごとく、例えば周方向に連続した円筒やリングであって、同様に周方向に連続したベアリング59の一方のレースを受容する。あるいは図9,11,13に例示するごとく、タイメンバ51は周方向に連続せずに、周方向に断続的に配列した複数の部材であってもよい。また複数の部材が周方向に配列して一のタイメンバ51を構成していてもよい。
【0032】
図1,2,7,14,15に示された例では、スラスト部材41とクラッチ部材11との連結は、端壁15Eを軸Xに平行な方向に貫通する貫通孔によるが、図8ないし13に例示される通り、貫通孔はケーシング15を、特にその周壁を、径方向に貫通してもよい。かかる構造はケーシング15の製造を容易にする点で有利である。径方向のアクセスを可能にするべく、変換機構7のスラスト部材41は、図8に最もよく示されている通り、かかる周壁上の貫通孔を覆うように延びる円筒状であってもよい。図8,10,15に示すごとく、クラッチ部材11が直接に貫通孔から露出してスラスト部材41と結合してもよいが、図9,11,13,14に示すごとく、クラッチ部材11は貫通孔から露出せずにタイメンバ51が結合を仲介してもよい。後者の場合に、タイメンバ51はそれぞれ貫通孔に対応した一以上のブロックであり、スラスト部材41からは径方向に内方に延びてクラッチ部材11に結合する。もちろん、これらのいずれの場合にも、スラスト部材41とクラッチ部材11との間にベアリング59が介在することができる。
【0033】
何れの場合においても、クラッチ部材11の脚ないしスラスト部材41の側面と貫通孔の側面との当接は、クラッチの連結を保持するのに、あるいは脱連結を促すのに、利用することができる。例えば周方向に見て、貫通孔の側面はそれぞれ傾いていてもよく、これに当接するクラッチ部材11の脚ないしスラスト部材41の側面も対応して傾いていてもよい。傾いた面が互いに当接することにより、ケース15に印加されたトルクの一部は軸方向の力に変換される。かかる変換された軸方向の力は、クラッチの連結を保持するのに、あるいは脱連結を促すのに、貢献する。もちろんこれは各実施形態に必須ではない。
【0034】
カム機構は、クラッチ10が連結する方向と脱連結する方向との両方に、クラッチ部材11を駆動することができるが、概して連結する方向に比べて脱連結する方向には比較的に不確実である。そこでクラッチ部材11の脱連結を促すべく、スプリングのごとき弾性体を利用してもよい。図7,9,11,13に挙げた例では、サイドギア23とクラッチ部材11との間にスプリング61が介在しており、クラッチ部材11を脱連結方向に付勢する。また図示の例とは反対に、連結を促す方向に弾性体を利用することもできる。もちろん、弾性体はこれらの実施形態に必須ではないし固有でもない。
【0035】
既に述べた通り、変換機構7には、カム機構に代えて、例えば図10に示すごとく、互いに螺合したねじ山の組を利用したねじ機構が利用できる。ねじ山はロータ35とは別体のロータリメンバ45に切られ、かかるロータリメンバ45がロータ35に圧入ないし接合されていてもよい。あるいはもちろんロータ35に直接にねじ山が切られていてもよい。対応するねじ山もスラスト部材41とは別体のカウンタメンバ47に切られていてもよく、またカウンタメンバ47とスラスト部材41とは一体であってもよい。あるいはまた、ねじ山は一方にのみ切られ、他方はこれに係合する適宜の突起を備えてもよい。さらにまた、ねじ山に代えて螺旋軌道であってもよく、軌道間にボールのごとき転動体が介在していてもよい。図示の例ではスラスト部材41はハウジング9から延びた円筒の内面に当接して摺動可能に支持され、また回り止めされているが、他の適当な手段により支持され、また回り止めされていてもよい。モータ5によりロータリメンバ45(ないしロータ)が回転すると、回り止めされたスラスト部材41はねじ山に沿って押し出され、または逆回転によれば後退し、以って回転運動Rが直線運動に変換される。言うまでもなく、ねじ機構には、図14に示した例や、その他の種々の形態がありうる。
【0036】
あるいは、図12,13に例示されるローラねじ機構が利用できる。主に図13を参照するに、ロータリメンバ45に、あるいはロータ35に直接に、ねじ山が切られ、これに螺合するように、それぞれローラ状のカウンタメンバ47にねじ山が切られている。各カウンタメンバ47は、軸方向に向けられてその両端をスラスト部材41に軸支されて、それぞれ回転可能である。図12ではスラスト部材41を省いて図示しているが、カウンタメンバ47は周方向に並べられていてもよい。カウンタメンバ47の数は図示の例に限られず、例えば対称的に3個程度あってもよく、もちろんより多数でもよい。カウンタメンバ47のねじ山は、少なくとも軸方向に移動できる範囲にわたって切られており、ロータリメンバ45が回転することによりカウンタメンバ47はねじ山に沿って押し出され、または逆回転によれば後退し、以ってスラスト部材41が軸方向に沿って前進または後退する。
【0037】
上述の説明より理解できるように、ねじ機構ないしローラねじ機構によれば、クラッチ部材11を連結方向と脱連結方向の両方に駆動できるので、それを補助する弾発体は必要ではない。もちろん、それにも関わらず、スプリング61のごとき弾発体を利用してもよい。
【0038】
上述の各実施形態においては、スラスト部材41は回り止めされて直線運動のみをしてクラッチ10を駆動する。これに代えて、以下に説明する通り、モータ5により回転運動をする部材が軸方向運動もして、クラッチ10を駆動する構成がありうる。
【0039】
図11に示された例によれば、回り止めされたハウジング9と回転可能なカム部材41aとが変換機構7を構成している。変換機構7は、カム機構であってもよく、あるいはねじ機構やその他の適宜の機構でありうる。ロータリメンバ45とカム部材41aとは例えばスプライン43により連結され、以ってロータリメンバ45からカム部材41aへ回転運動が伝達されると共に、カム部材41aはロータリメンバ45に対して軸方向に可動である。ロータリメンバ45が回転すると、カム部材41aは回転に従動しながら変換機構7により軸方向に前進または後退する。カム部材41aは図示の例のごとくスラスト部材41と別体であって互いに結合していてもよく、あるいはこれと一体であってもよい。かかる構造によれば、変換機構7がアクチュエータ1において径方向に最も外方に配置できるので、例えば外部にセンサを配置してアクチュエータ1の状態を監視するのに便利である。もちろん図示の例とは異なり、変換機構7はより内周に配置されていてもよい。
【0040】
図14に例示されるものは、ねじ機構を利用した他の例である。回り止めされたリング状の台9aの内周にねじ山が切られており、スラスト部材41はこれに螺合することにより軸方向に沿って前進または後退する。モータ5からスラスト部材41へ回転を伝えるために、例えばピンないしロッド45bを利用することができ、ピンないしロッド45bの一端または両端はロータリメンバ45a,45cに固定される。ピンないしロッド45bはスラスト部材41を貫通することにより回転を伝えてもよく、あるいは後述のようにキー結合のごとく、軸方向の移動を許容する結合を利用することができる。スラスト部材41はロータリメンバ45a,45cに従動して回転するとともに、軸方向にも可動である。この例においても少なくともロータリメンバ45aが径方向に外方に露出しているので、その回転角を監視するのに有利である。なおピンないしロッド45bは軸方向に平行だが、適宜に傾いていてもよい。
【0041】
スラスト部材41は、直接にクラッチ部材11に結合していてもよいが、タイメンバ51を介してもよい。かかる例においては、タイメンバ51は、例えばケース15のボス部19に摺動可能に嵌合する略円筒であり、スラスト部材41と少なくとも軸方向に一体に移動するように結合する。結合は、周方向に互いに摺動できるような係合にすることができるが、ベアリング59が介在してもよく、すなわちタイメンバ51は周方向にはスラスト部材41に対して回転可能である。タイメンバ51の少なくとも一部はクラッチ部材11に向けて延び、これと結合する。結合には例えばボルトが利用できるが、必ずしもこれに限られない。かかる構造により、スラスト部材41が軸方向に移動するとクラッチ部材11も一体に軸方向に移動する一方、スラスト部材41に対してクラッチ部材11は相対的に回転可能である。
【0042】
図15に例示されるものは他の例である。ロータリメンバ45はモータ5から軸方向に延長されてスラスト部材41に連結されている。連結は例えばキーとキー溝の組み合わせにより、スラスト部材41はロータリメンバ45に従動して回転するとともに、軸方向にも可動である。ハウジング9に支持されて回り止めされたリング状の台9aとスラスト部材41との間にカムボール53が介在しており、スラスト部材41とカウンタリング9aとの一方または両方は周方向に傾斜したカム面を備える。モータ5によりロータリメンバ45が回転すると、カム面上をカムボール53が転動し、スラスト部材41が軸方向に駆動される。かかる例においてもスラスト部材41に対してクラッチ部材11は相対的に回転するので、スラスト部材41とクラッチ部材11との間にベアリング59が介在してもよく、ベアリング59はタイメンバ51が支持していてもよい。かかる例においても少なくともロータリメンバ45が径方向に外方に露出しているので、その回転角を監視するのに有利である。
【0043】
またタイメンバ51は、クラッチ部材11の脚とベアリング59との一方に固定され、他方からは切り離すことができてもよい。かかる例によれば、モータ5と変換機構7とを独立して組み立てておき、一体にデファレンシャル3に組みこむ組み立て方法を採用することが容易である。
【0044】
例えば図9に例示されるごとくモータ5の径方向に内側に変換機構7を配置することができ、あるいは図11,13に例示されるごとく変換機構7を径方向に外側に配置することができる。いずれにせよ、アクチュエータ1において、中空軸モータ5と変換機構7とは同軸であって、一方が他方の内側に収まる入れ子構造にすることができ、軸方向にも径方向にもコンパクトにすることができる。もちろん図7,10,14,15に例示されるごとく、モータ5と変換機構7とが軸方向に隣接する配置であってもよく、この方がアクチュエータ1の全体は径方向にはよりコンパクトであり、軸方向にも十分にコンパクトである。
【0045】
各図より理解される通り、アクチュエータ1の全体は回転機械から径方向に大きく張り出すことはなく、径方向には概ね回転機械の範囲と同等かそれ以下である。特に注意すべきは、デファレンシャルに利用される従来のソレノイドアクチュエータと類似の寸法にすることができるので、各実施形態によるアクチュエータ1は、車体側の設計変更なしに従来のソレノイドアクチュエータと互換的に利用できることである。
【0046】
各実施形態によるアクチュエータ1は、クラッチ部材11を駆動する前および後において、電力の投入なしにスラスト部材41の位置を保持することができる。従ってクラッチの連結あるいは脱連結を保持するのに、追加的な部材ないし構造を必要としない。これは装置の設計の自由度を増すのに有利であり、また当然にコスト低減にも有利である。
【0047】
またアクチュエータ1は大きな駆動力を必要とする摩擦クラッチと組み合わされるわけではないので、各部材、例えばロータリメンバ45やスラスト部材41には比較的に低強度の素材、例えば樹脂を適用することができ、このことは磁束の漏れの防止に有利であり、ひいては電力消費の低減に有利である。また例えば摩擦低減の目的でポリテトラフルオロエチレンのごとき樹脂を利用することもできる。
【0048】
これまでの説明から理解される通り、アクチュエータ1はスラスト部材41を、軸方向に、連結方向と脱連結方向の両方に駆動することができ、クラッチ部材11はこれに従動する。アクチュエータ1の動作とクラッチ10の状態とは必然的に対応するから、アクチュエータを監視するだけでクラッチの状態を監視するには十分であり、クラッチが連結しているか否かを検出する装置を追加的に備える必要がない。アクチュエータの状態は、また、ロータの回転角から直接的に知ることができる。例えばロータとステータとの位置関係が変化することによりモータのインダクタンスが周期的に変化するから、インダクタンス変化を電気的にカウントすることによって回転角を知ることができる。従って追加的な装置なしに電気回路ないしソフトウェアによりクラッチの状態を検出することができる。もちろん、ロータ35にエンコーダのごとき構造を取り付け、非接触センサにより回転角を検出してもよく、これらの構造および装置はモータ5に内蔵することができる。外部に情報を読み出すべく、図5,6に示すごとく、モータ5は給電のためのケーブル37とは独立したケーブル39を備えてもよい。これらは車体への組み込みを容易にすることに寄与する。あるいはエンコーダはロータリメンバ45のごとく外部に露出しうる部材に添付されていてもよく、車体側から情報を読み取ってもよい。その場合でも車体側に大きな設計変更を要せず、またその取り付けも煩雑ではない。
【0049】
各実施形態においてロータないしロータリメンバは必然的に大径であってその周速度も大であるから、アクチュエータはスラスト部材を迅速に駆動でき、従ってクラッチを迅速に連結・脱連結することができる。油圧シリンダや従来のモータカム機構に比べて、優れたレスポンスを提供することができる。
【0050】
幾つかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正ないし変形をすることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15