(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059860
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】結合固体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/10 20060101AFI20240423BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20240423BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240423BHJP
B22F 10/34 20210101ALI20240423BHJP
B22F 10/50 20210101ALI20240423BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240423BHJP
B22F 10/37 20210101ALI20240423BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240423BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20240423BHJP
B22F 7/04 20060101ALI20240423BHJP
B22F 3/14 20060101ALI20240423BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20240423BHJP
B22F 7/08 20060101ALI20240423BHJP
B22F 12/41 20210101ALI20240423BHJP
【FI】
B22F3/10 A
B22F1/05
B22F10/28
B22F10/34
B22F10/50
B22F1/00 K
B22F1/00 L
B22F1/00 M
B22F1/00 N
B22F1/00 S
B22F10/37
B33Y10/00
B22F3/105
B22F7/04 A
B22F7/04 B
B22F3/14
B22F3/24 D
B22F7/08 C
B22F12/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】73
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027791
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2023506754の分割
【原出願日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2021041553
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521109109
【氏名又は名称】株式会社SUN METALON
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】西岡 和彦
(72)【発明者】
【氏名】景山 宏治
(57)【要約】
【課題】容易に固体に金属固体を結合可能である結合固体の製造方法を提供する。
【解決手段】固体上に金属粉末を配置することと、金属粉末の周囲の少なくとも一部を金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化し、固体上に金属固体を形成することと、を含む、結合固体の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体上に金属粉末を配置することと、
前記金属粉末の周囲の少なくとも一部を前記金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、
前記周囲の少なくとも一部が前記高融点材料で覆われた前記金属粉末にマイクロ波を照射して前記金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化し、前記固体上に金属固体を形成することと、
を含む、結合固体の製造方法。
【請求項2】
前記金属固体上に前記金属粉末を配置することと、
前記金属固体上の前記金属粉末の周囲の少なくとも一部を前記高融点材料で覆うことと、
前記周囲の少なくとも一部が前記高融点材料で覆われた前記金属固体上の前記金属粉末にマイクロ波を照射して前記金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化し、前記金属固体上に追加の金属固体を形成することと、
をさらに含む、請求項1に記載の結合固体の製造方法。
【請求項3】
積層された前記金属固体が形成される、請求項2に記載の結合固体の製造方法。
【請求項4】
前記高融点材料が、前記金属粉末より前記マイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項5】
前記高融点材料が、前記金属粉末が前記マイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯で前記マイクロ波を吸収する吸収材料を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項6】
前記高融点材料が、
前記金属粉末より前記マイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料と、
前記金属粉末が前記マイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯で前記マイクロ波を吸収する吸収材料と、
を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項7】
前記高融点材料が、1質量%から70質量%の前記吸収材料を含む、請求項6に記載の結合固体の製造方法。
【請求項8】
前記断熱材料が、酸化物を含む、請求項4、6及び7のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項9】
前記断熱材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項4、6、7、及び8のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項10】
前記吸収材料が、炭素材料を含む、請求項5、6、及び7のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項11】
前記吸収材料が、炭素、黒鉛、炭化ケイ素、炭素樹脂、及び金属炭化物からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項5、6、7、及び10のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項12】
前記金属粉末が、金属を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項13】
前記金属粉末が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項14】
前記金属粉末が、金属化合物を含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項15】
前記金属粉末が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項16】
前記金属粉末が、合金成分をさらに含む、請求項12から15のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項17】
前記合金成分が、ケイ素、マンガン、クロム、ニッケル、炭素、ホウ素、銅、アルミニウム、チタン、ニオブ、バナジウム、亜鉛及び硫黄からからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項16に記載の結合固体の製造方法。
【請求項18】
前記金属粉末の平均粒子径が200μm以下である、請求項1から17のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項19】
前記金属粉末が金属酸化物を含み、前記金属粉末にマイクロ波を照射することにおいて、前記金属粉末が還元される、請求項1から18のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項20】
前記金属粉末が金属酸化物を含み、前記金属粉末にマイクロ波を照射することにおいて、前記金属粉末が焼結される、請求項1から19のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項21】
前記高融点材料が型又は容器をなしている、請求項1から20のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項22】
前記金属粉末が圧粉体をなしている、請求項1から21のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項23】
前記金属粉末にマイクロ波を照射することの前に、前記金属粉末に圧力を加えることをさらに含む、請求項1から22のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項24】
前記圧力が0.1MPaから2000MPaである、請求項23に記載の結合固体の製造方法。
【請求項25】
前記金属粉末にマイクロ波を照射している間、前記金属粉末に圧力を加えることをさらに含む、請求項1から24のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項26】
前記圧力が0.1MPaから2000MPaである、請求項25に記載の結合固体の製造方法。
【請求項27】
前記金属粉末にマイクロ波を照射することの後に、前記金属粉末に圧力を加えることをさらに含む、請求項1から26のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項28】
前記圧力が0.1MPaから2000MPaである、請求項27に記載の結合固体の製造方法。
【請求項29】
前記金属粉末にマイクロ波を照射することが、不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項1から28のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項30】
前記金属粉末にマイクロ波を照射することが、還元雰囲気下で行われる、請求項1から29のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項31】
前記金属粉末が金属酸化物を含み、前記金属粉末にマイクロ波を照射する前に、前記金属酸化物を還元することをさらに含む、請求項1から30のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項32】
前記金属粉末の周囲の少なくとも一部を前記金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことが、
前記高融点材料の層を形成することと、
前記高融点材料の層に凹部を形成することと、
前記凹部に前記固体と前記金属粉末を入れることと、
を含む、請求項1から31のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項33】
前記高融点材料の層に前記凹部を形成することが、
前記高融点材料の層の一部を硬化することと、
前記高融点材料の層の未硬化部分を除去することと、
を含む、請求項32に記載の結合固体の製造方法。
【請求項34】
前記高融点材料の層の前記一部を硬化することが、前記高融点材料の層の前記一部に硬化性材料を含めることを含む、請求項33に記載の結合固体の製造方法。
【請求項35】
前記高融点材料の層の前記一部に硬化性材料を含侵させる、請求項34に記載の結合固体の製造方法。
【請求項36】
光照射により、前記高融点材料の層の前記一部を硬化する、請求項31から35のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項37】
第1の固体と第2の固体の間に結合用金属を配置することと、
前記結合用金属の周囲の少なくとも一部を前記結合用金属の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、
前記周囲の少なくとも一部が前記高融点材料で覆われた前記結合用金属にマイクロ波を照射して前記結合用金属を加熱し、当該結合用金属を焼結又は溶融固化し、前記第1の固体と前記第2の固体を結合することと、
を含む、結合固体の製造方法。
【請求項38】
前記結合用金属が粉末である、請求項37に記載の結合固体の製造方法。
【請求項39】
前記結合用金属が固体である、請求項37に記載の結合固体の製造方法。
【請求項40】
前記結合用金属が液体である、請求項37に記載の結合固体の製造方法。
【請求項41】
前記高融点材料が、前記結合用金属より前記マイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料を含む、請求項37から40のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項42】
前記高融点材料が、前記結合用金属が前記マイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯で前記マイクロ波を吸収する吸収材料を含む、請求項37から40のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項43】
前記高融点材料が、
前記結合用金属より前記マイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料と、
前記結合用金属が前記マイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯で前記マイクロ波を吸収する吸収材料と、
を含む、請求項37から40のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項44】
前記高融点材料が、1質量%から70質量%の前記吸収材料を含む、請求項43に記載の結合固体の製造方法。
【請求項45】
前記断熱材料が、酸化物を含む、請求項41、43及び44のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項46】
前記断熱材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項41、43、44、及び45のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項47】
前記吸収材料が、炭素材料を含む、請求項42、43、及び44のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項48】
前記吸収材料が、炭素、黒鉛、炭化ケイ素、炭素樹脂、及び金属炭化物からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項42、43、44、及び47のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項49】
前記結合用金属が、金属を含む、請求項37から48のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項50】
前記結合用金属が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項37から49のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項51】
前記結合用金属が、金属化合物を含む、請求項37から50のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項52】
前記結合用金属が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項37から51のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項53】
前記結合用金属が、合金成分をさらに含む、請求項49から52のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項54】
前記合金成分が、ケイ素、マンガン、クロム、ニッケル、炭素、ホウ素、銅、アルミニウム、チタン、ニオブ、バナジウム、亜鉛及び硫黄からからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項53に記載の結合固体の製造方法。
【請求項55】
前記結合用金属が粉末であり、前記結合用金属の平均粒子径が200μm以下である、請求項37から54のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項56】
前記結合用金属が金属酸化物を含み、前記結合用金属にマイクロ波を照射することにおいて、前記結合用金属が還元される、請求項37から55のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項57】
前記結合用金属が金属酸化物を含み、前記結合用金属にマイクロ波を照射することにおいて、前記結合用金属が焼結される、請求項37から56のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項58】
前記高融点材料が型又は容器をなしている、請求項37から57のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項59】
前記結合用金属が圧粉体をなしている、請求項38又は39に記載の結合固体の製造方法。
【請求項60】
前記結合用金属にマイクロ波を照射することの前に、前記結合用金属に圧力を加えることをさらに含む、請求項37から59のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項61】
前記圧力が0.1MPaから2000MPaである、請求項60に記載の結合固体の製造方法。
【請求項62】
前記結合用金属にマイクロ波を照射している間、前記結合用金属に圧力を加えることをさらに含む、請求項37から61のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項63】
前記圧力が0.1MPaから2000MPaである、請求項62に記載の結合固体の製造方法。
【請求項64】
前記結合用金属にマイクロ波を照射することの後に、前記結合用金属に圧力を加えることをさらに含む、請求項37から63のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項65】
前記圧力が0.1MPaから2000MPaである、請求項64に記載の結合固体の製造方法。
【請求項66】
前記結合用金属にマイクロ波を照射することが、不活性ガス雰囲気下で行われる、請求項37から65のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項67】
前記結合用金属にマイクロ波を照射することが、還元雰囲気下で行われる、請求項37から66のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項68】
前記結合用金属が金属酸化物を含み、前記結合用金属にマイクロ波を照射する前に、前記金属酸化物を還元することをさらに含む、請求項37から67のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項69】
前記結合用金属の周囲の少なくとも一部を前記結合用金属の融点より融点が高い高融点材料で覆うことが、
前記高融点材料の層を形成することと、
前記高融点材料の層に凹部を形成することと、
前記凹部に前記第1及び第2の固体と前記結合用金属を入れることと、
を含む、請求項37から68のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【請求項70】
前記高融点材料の層に前記凹部を形成することが、
前記高融点材料の層の一部を硬化することと、
前記高融点材料の層の未硬化部分を除去することと、
を含む、請求項69に記載の結合固体の製造方法。
【請求項71】
前記高融点材料の層の前記一部を硬化することが、前記高融点材料の層の前記一部に硬化性材料を含めることを含む、請求項70に記載の結合固体の製造方法。
【請求項72】
前記高融点材料の層の前記一部に硬化性材料を含侵させる、請求項71に記載の結合固体の製造方法。
【請求項73】
光照射により、前記高融点材料の層の前記一部を硬化する、請求項70から72のいずれか1項に記載の結合固体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合固体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日用品、家電製品、及び工作機械等に用いられる金属固体部品は、鋳塊や金属鋼片などを加工して製造されている。鋳塊や金属鋼片を加工するプロセスは、様々な工程を含み、複雑である。また、鋳塊や金属鋼片を加工するプロセスは、様々な加工業者にまたがることもある。そのため、鋳塊や金属鋼片を加工するプロセスは、間に、物流による搬送が含まれることがある。したがって、鋳塊や金属鋼片を加工するプロセスは、コストが高い。また、鋳塊や金属鋼片を加工するプロセスにおいて、一つの工程が滞ると、下流の工程が全て滞ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-158790号公報
【特許文献2】特開2017-145151号公報
【特許文献3】特開2009-035776号公報
【特許文献4】特開2013-216943号公報
【特許文献5】特開2017-145151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、容易に金属固体を製造可能である金属固体の製造方法を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、容易に固体に金属固体を結合可能である結合固体の製造方法、及び容易に固体どうしを接続可能である結合固体の製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、金属粉末の周囲の少なくとも一部を金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化することと、を含む、金属固体の製造方法が提供される。
【0006】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末の周囲の少なくとも一部を高融点材料で覆うことと、金属粉末を焼結又は溶融固化することと、を繰り返してもよい。
【0007】
上記の金属固体の製造方法において、積層された金属固体が形成されてもよい。
【0008】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料が、金属粉末よりマイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料を含んでいてもよい。
【0009】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料が、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収する吸収材料を含んでいてもよい。
【0010】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料が、金属粉末よりマイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料と、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収する吸収材料と、を含んでいてもよい。
【0011】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料が、1質量%から70質量%の吸収材料を含んでいてもよい。
【0012】
上記の金属固体の製造方法において、断熱材料が、酸化物を含んでいてもよい。
【0013】
上記の金属固体の製造方法において、断熱材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0014】
上記の金属固体の製造方法において、吸収材料が、炭素材料を含んでいてもよい。
【0015】
上記の金属固体の製造方法において、吸収材料が、炭素、黒鉛、炭化ケイ素、炭素樹脂、及び金属炭化物からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0016】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が、金属を含んでいてもよい。
【0017】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0018】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が、金属化合物を含んでいてもよい。
【0019】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでいてもよい。
【0020】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が、合金成分をさらに含んでいてもよい。
【0021】
上記の金属固体の製造方法において、合金成分が、ケイ素、マンガン、クロム、ニッケル、炭素、ホウ素、銅、アルミニウム、チタン、ニオブ、バナジウム、亜鉛及び硫黄からからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0022】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末の平均粒子径が200μm以下であってもよい。
【0023】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が金属酸化物を含み、金属粉末にマイクロ波を照射することにおいて、金属粉末が還元されてもよい。
【0024】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が金属酸化物を含み、金属粉末にマイクロ波を照射することにおいて、金属粉末が焼結されてもよい。
【0025】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料が型又は容器をなしていてもよい。
【0026】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が圧粉体をなしていてもよい。
【0027】
上記の金属固体の製造方法が、金属粉末にマイクロ波を照射することの前に、金属粉末に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0028】
上記の金属固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0029】
上記の金属固体の製造方法が、金属粉末にマイクロ波を照射している間、金属粉末に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0030】
上記の金属固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0031】
上記の金属固体の製造方法が、金属粉末にマイクロ波を照射することの後に、金属粉末に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0032】
上記の金属固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0033】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末にマイクロ波を照射することが、不活性ガス雰囲気下で行われてもよい。
【0034】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末にマイクロ波を照射することが、還元雰囲気下で行われてもよい。
【0035】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末が金属酸化物を含み、金属粉末にマイクロ波を照射する前に、金属酸化物を還元することをさらに含んでいてもよい。
【0036】
上記の金属固体の製造方法において、金属粉末の周囲の少なくとも一部を金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことが、高融点材料の層を形成することと、高融点材料の層に凹部を形成することと、凹部に金属粉末を入れることと、を含んでいてもよい。
【0037】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料の層に凹部を形成することが、高融点材料の層の一部を硬化することと、高融点材料の層の未硬化部分を除去することと、を含んでいてもよい。
【0038】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料の層の一部を硬化することが、高融点材料の層の一部に硬化性材料を含めることを含んでいてもよい。
【0039】
上記の金属固体の製造方法において、高融点材料の層の一部に硬化性材料を含侵させてもよい。
【0040】
上記の金属固体の製造方法において、光照射により、高融点材料の層の一部を硬化させてもよい。
【0041】
また、本発明の態様によれば、金属粉末と、金属粉末の周囲の少なくとも一部を覆う、金属粉末の融点より融点が高い高融点材料と、が配置されるためのステージと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化するためのマイクロ波照射部と、を備える、金属固体の製造装置が提供される。
【0042】
上記の金属固体の製造装置が、ステージ上に高融点材料を配置するための高融点材料配置部をさらに備えていてもよい。
【0043】
上記の金属固体の製造装置において、高融点材料配置部が、ステージ上に高融点材料を塗布してもよい。
【0044】
上記の金属固体の製造装置において、高融点材料配置部が、ステージ上に、高融点材料の層を積層してもよい。
【0045】
上記の金属固体の製造装置が、高融点材料の少なくとも一部に硬化性材料を添加するための硬化性材料添加部をさらに備えていてもよい。
【0046】
上記の金属固体の製造装置が、高融点材料の少なくとも一部を硬化するための硬化装置をさらに備えていてもよい。
【0047】
上記の金属固体の製造装置が、未硬化の高融点材料を除去するための未硬化材料除去部をさらに備えていてもよい。
【0048】
上記の金属固体の製造装置が、ステージ上に金属粉末を配置するための金属粉末配置部をさらに備えていてもよい。
【0049】
上記の金属固体の製造装置において、金属粉末配置部が、ステージ上に金属粉末を塗布してもよい。
【0050】
上記の金属固体の製造装置において、金属粉末配置部が、高融点材料の凹部に金属粉末を配置してもよい。
【0051】
上記の金属固体の製造装置が、ステージ上に配置された金属粉末に圧力を加えるための加圧部をさらに備えていてもよい。
【0052】
上記の金属固体の製造装置において、加圧部が、マイクロ波照射部が金属粉末にマイクロ波を照射する前に、金属粉末に圧力を加えてもよい。
【0053】
上記の金属固体の製造装置において、加圧部が、マイクロ波照射部が金属粉末にマイクロ波を照射している間、金属粉末に圧力を加えてもよい。
【0054】
上記の金属固体の製造装置において、加圧部が、マイクロ波照射部が金属粉末にマイクロ波を照射した後に、金属粉末に圧力を加えてもよい。
【0055】
上記の金属固体の製造装置が、金属粉末に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給部をさらに備えていてもよい。
【0056】
上記の金属固体の製造装置が、金属粉末に還元ガスを供給するための還元ガス供給部をさらに備えていてもよい。
【0057】
上記の金属固体の製造装置が、ステージ上に高融点材料を配置するための高融点材料配置部と、ステージ上に金属粉末を配置するための金属粉末配置部と、をさらに備え、(1)高融点材料配置部と金属粉末配置部が、ステージ上に、高融点材料で囲まれた金属粉末を配置し、(2)マイクロ波照射部が金属粉末を焼結又は溶融固化してもよい。当該金属固体の製造装置が、(1)と(2)の組み合わせを繰り返してもよい。
【0058】
上記の金属固体の製造装置において、金属粉末が金属酸化物を含み、マイクロ波照射部が金属粉末にマイクロ波を照射する前に、金属酸化物を還元する還元装置をさらに備えていてもよい。
【0059】
本発明の態様によれば、固体上に金属粉末を配置することと、金属粉末の周囲の少なくとも一部を金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化し、固体上に金属固体を形成することと、を含む、結合固体の製造方法が提供される。
【0060】
上記の結合固体の製造方法が、金属固体上に金属粉末を配置することと、金属固体上の金属粉末の周囲の少なくとも一部を高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属固体上の金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化し、金属固体上に追加の金属固体を形成することと、をさらに含んでいてもよい。
【0061】
上記の結合固体の製造方法において、積層された金属固体が形成されてもよい。
【0062】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、金属粉末よりマイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料を含んでいてもよい。
【0063】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収する吸収材料を含んでいてもよい。
【0064】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、金属粉末よりマイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料と、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収する吸収材料と、を含んでいてもよい。
【0065】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、1質量%から70質量%の吸収材料を含んでいてもよい。
【0066】
上記の結合固体の製造方法において、断熱材料が、酸化物を含んでいてもよい。
【0067】
上記の結合固体の製造方法において、断熱材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0068】
吸収材料が、炭素材料を含んでいてもよい。
【0069】
上記の結合固体の製造方法において、吸収材料が、炭素、黒鉛、炭化ケイ素、炭素樹脂、及び金属炭化物からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0070】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が、金属を含んでいてもよい。
【0071】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0072】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が、金属化合物を含んでいてもよい。
【0073】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでいてもよい。
【0074】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が、合金成分をさらに含んでいてもよい。
【0075】
上記の結合固体の製造方法において、合金成分が、ケイ素、マンガン、クロム、ニッケル、炭素、ホウ素、銅、アルミニウム、チタン、ニオブ、バナジウム、亜鉛及び硫黄からからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0076】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末の平均粒子径が200μm以下であってもよい。
【0077】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が金属酸化物を含み、金属粉末にマイクロ波を照射することにおいて、金属粉末が還元されてもよい。
【0078】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が金属酸化物を含み、金属粉末にマイクロ波を照射することにおいて、金属粉末が焼結されてもよい。
【0079】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が型又は容器をなしていてもよい。
【0080】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が圧粉体をなしていてもよい。
【0081】
上記の結合固体の製造方法が、金属粉末にマイクロ波を照射することの前に、金属粉末に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0082】
上記の結合固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0083】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末にマイクロ波を照射している間、金属粉末に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0084】
上記の結合固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0085】
上記の結合固体の製造方法が、金属粉末にマイクロ波を照射することの後に、金属粉末に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0086】
上記の結合固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0087】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末にマイクロ波を照射することが、不活性ガス雰囲気下で行われてもよい。
【0088】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末にマイクロ波を照射することが、還元雰囲気下で行われてもよい。
【0089】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末が金属酸化物を含み、金属粉末にマイクロ波を照射する前に、金属酸化物を還元することをさらに含んでいてもよい。
【0090】
上記の結合固体の製造方法において、金属粉末の周囲の少なくとも一部を金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことが、高融点材料の層を形成することと、高融点材料の層に凹部を形成することと、凹部に固体と金属粉末を入れることと、を含んでいてもよい。
【0091】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料の層に凹部を形成することが、高融点材料の層の一部を硬化することと、高融点材料の層の未硬化部分を除去することと、を含んでいてもよい。
【0092】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料の層の一部を硬化することが、高融点材料の層の一部に硬化性材料を含めることを含んでいてもよい。
【0093】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料の層の一部に硬化性材料を含侵させてもよい。
【0094】
上記の結合固体の製造方法において、光照射により、高融点材料の層の一部を硬化してもよい。
【0095】
本発明の態様によれば、第1の固体と第2の固体の間に結合用金属を配置することと、結合用金属の周囲の少なくとも一部を結合用金属の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた結合用金属にマイクロ波を照射して結合用金属を加熱し、当該結合用金属を焼結又は溶融固化し、第1の固体と第2の固体を結合することと、を含む、結合固体の製造方法が提供される。
【0096】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が粉末であってもよい。
【0097】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が固体であってもよい。
【0098】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が液体であってもよい。
【0099】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、結合用金属よりマイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料を含んでいてもよい。
【0100】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、結合用金属がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収する吸収材料を含んでいてもよい。
【0101】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、結合用金属よりマイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料と、結合用金属がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収する吸収材料と、を含んでいてもよい。
【0102】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が、1質量%から70質量%の吸収材料を含んでいてもよい。
【0103】
上記の結合固体の製造方法において、断熱材料が、酸化物を含んでいてもよい。
【0104】
上記の結合固体の製造方法において、断熱材料が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、及び酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0105】
上記の結合固体の製造方法において、吸収材料が、炭素材料を含んでいてもよい。
【0106】
上記の結合固体の製造方法において、吸収材料が、炭素、黒鉛、炭化ケイ素、炭素樹脂、及び金属炭化物からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0107】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が、金属を含んでいてもよい。
【0108】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0109】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が、金属化合物を含んでいてもよい。
【0110】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が、鉄、ニッケル、銅、金、銀、アルミニウム、及びコバルトからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでいてもよい。
【0111】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が、合金成分をさらに含んでいてもよい。
【0112】
上記の結合固体の製造方法において、合金成分が、ケイ素、マンガン、クロム、ニッケル、炭素、ホウ素、銅、アルミニウム、チタン、ニオブ、バナジウム、亜鉛及び硫黄からからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0113】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が粉末であり、結合用金属の平均粒子径が200μm以下であってもよい。
【0114】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が金属酸化物を含み、結合用金属にマイクロ波を照射することにおいて、結合用金属が還元されてもよい。
【0115】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が金属酸化物を含み、結合用金属にマイクロ波を照射することにおいて、結合用金属が焼結されてもよい。
【0116】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料が型又は容器をなしていてもよい。
【0117】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が圧粉体をなしていてもよい。
【0118】
上記の結合固体の製造方法が、結合用金属にマイクロ波を照射することの前に、結合用金属に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0119】
上記の結合固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0120】
上記の結合固体の製造方法が、金属粉末にマイクロ波を照射している間、金属粉末に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0121】
上記の結合固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0122】
上記の結合固体の製造方法が、結合用金属にマイクロ波を照射することの後に、結合用金属に圧力を加えることをさらに含んでいてもよい。
【0123】
上記の結合固体の製造方法において、圧力が0.1MPaから2000MPaであってもよい。
【0124】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属にマイクロ波を照射することが、不活性ガス雰囲気下で行われてもよい。
【0125】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属にマイクロ波を照射することが、還元雰囲気下で行われてもよい。
【0126】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属が金属酸化物を含み、結合用金属にマイクロ波を照射する前に、金属酸化物を還元することをさらに含んでいてもよい。
【0127】
上記の結合固体の製造方法において、結合用金属の周囲の少なくとも一部を結合用金属の融点より融点が高い高融点材料で覆うことが、高融点材料の層を形成することと、高融点材料の層に凹部を形成することと、凹部に第1及び第2の固体と結合用金属を入れることと、を含んでいてもよい。
【0128】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料の層に凹部を形成することが、高融点材料の層の一部を硬化することと、高融点材料の層の未硬化部分を除去することと、を含んでいてもよい。
【0129】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料の層の一部を硬化することが、高融点材料の層の一部に硬化性材料を含めることを含んでいてもよい。
【0130】
上記の結合固体の製造方法において、高融点材料の層の一部に硬化性材料を含侵させてもよい。
【0131】
上記の結合固体の製造方法において、光照射により、高融点材料の層の一部を硬化してもよい。
【発明の効果】
【0132】
本発明によれば、容易に金属固体を製造可能である金属固体の製造方法を提供可能である。また、本発明によれば、容易に固体に金属固体を結合可能である結合固体の製造方法、及び容易に固体どうしを接続可能である結合固体の製造方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る金属固体の製造装置の模式的斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る金属固体の製造方法の模式的工程図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る金属固体の製造方法の模式的工程図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る金属固体の製造方法の模式的工程図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る金属固体の製造方法の模式的工程図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る金属固体の製造方法の模式的工程図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る金属固体の製造方法の模式的工程図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る金属固体の製造装置の模式的斜視図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る金属固体の製造装置の模式的斜視図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る金属固体の製造装置の模式的斜視図である。
【
図11】
図11は、実施例1で得られた金属固体の写真である。
【
図12】
図12は、実施例2で得られた金属固体の写真である。
【
図13】
図13は、実施例3で得られた金属固体の写真である。
【
図14】
図14は、実施例4で得られた金属固体の写真である。
【
図15】
図15は、実施例5で得られた金属膜でコーティングされた固体の写真である。
【
図16】
図16は、実施例6で得られた金属膜でコーティングされた固体の写真である。
【
図17】
図17は、実施例7で得られた金属膜でコーティングされた固体の写真である。
【
図18】
図18は、実施例8で得られた結合固体の写真である。
【
図19】
図19は、実施例10で得られた結合固体の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。ただし、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0135】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る金属固体の製造方法は、金属粉末の周囲の少なくとも一部を金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化することと、を含む。マイクロ波は、例えば周波数が300MHz以上30GHz以下の電磁波である。金属粉末の高融点材料で覆われている部分において、金属粉末と高融点材料が密着していることが好ましい。
【0136】
金属粉末の材料は、金属単体を含んでいてもよいし、合金等の金属化合物を含んでいてもよい。金属の例としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、及びコバルト(Co)が挙げられる。鉄(Fe)の焼結温度は例えば1200℃である。鉄(Fe)の融点は1538℃である。ニッケル(Ni)の焼結温度は例えば1200℃である。ニッケル(Ni)の融点は1495℃である。銅(Cu)の焼結温度は例えば800℃である。銅(Cu)の融点は1085℃である。金(Au)の焼結温度は例えば800℃である。金(Au)の融点は1064℃である。銀(Ag)の焼結温度は例えば750℃である。銀(Ag)の融点は962℃である。アルミニウム(Al)の焼結温度は例えば500℃である。アルミニウム(Al)の融点は660℃である。コバルト(Co)の焼結温度は例えば1100℃である。コバルト(Co)の融点は1455℃である。
【0137】
金属粉末の材料は、1種類の金属を含んでいてもよいし、複数種類の金属を含んでいてもよい。金属化合物の例としては、複数の金属元素からなる合金、金属元素と非金属元素からなる合金、金属の酸化物、金属の水酸化物、金属の塩化物、金属の炭化物、金属のホウ化物、及び金属の硫化物が挙げられるが、特に限定されない。金属粉末は、合金成分として、例えば、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、炭素(C)、ホウ素(B)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、及び硫黄(S)等を含んでいてもよい。金属粉末の材料は、周囲の高融点材料よりもマイクロ波の吸収特性に優れることが好ましい。これにより、金属粉末が周囲の高融点材料よりもマイクロ波で加熱されやすくなる。
【0138】
金属粉末の平均粒子径は、例えば200μm以下、190μm以下、あるいは180μm以下である。金属粉末の平均粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法により測定された、体積基準における累積粒度分布におけるメディアン径D50を指す。好ましくは、金属粉末の粒度分布は、D10/D50>0.5かつD50/D90>0.5である。金属粉末の平均粒子径が200μm以下であると、金属粉末がマイクロ波を吸収しやすい傾向にある。
【0139】
高融点材料は、金属粉末よりマイクロ波の透過性が高く、金属粉末よりマイクロ波を吸収する程度が低い断熱材料を含んでいてもよい。断熱材料は、金属粉末の融点より高い融点を有する。断熱材料は、マイクロ波を吸収する程度が低いことにより、マイクロ波を照射されても発熱の程度が低く、断熱効果を発揮する。また、断熱材料は、金属粉末より融点が高いため、マイクロ波を照射されても、形状が安定する。そのため、マイクロ波を照射された金属粉末が、焼結又は溶融している間も、断熱材料を含む高融点材料は、形状が安定し得る。
【0140】
断熱材料は、金属の酸化物を含んでいてもよいし、半金属の酸化物を含んでいてもよい。金属及び半金属の酸化物の例としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び酸化チタン(TiO2)が挙げられるが、特に限定されない。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)の融点は2072℃である。酸化ケイ素(SiO2)の融点は1710℃である。酸化マグネシウム(MgO)の融点は2852℃である。断熱材料は、これらの化合物であってもよい。
【0141】
高融点材料は、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収する吸収材料を含んでいてもよい。吸収材料は、金属粉末の融点より高い融点を有する。吸収材料がマイクロ波を吸収する温度帯の少なくも一部は、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より低い。金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯は、例えば、300℃以上1200℃以下、450℃以上1100℃以下、あるいは600℃以上800℃以下である。吸収材料がマイクロ波を吸収する温度帯は、例えば、100℃以上1000℃以下、250℃以上900℃以下、あるいは400℃以上600℃以下である。
【0142】
吸収材料がマイクロ波を吸収する温度帯の少なくも一部は、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯と重なっていることが好ましい。吸収材料は、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収するため、金属粉末より早く発熱する。そのため、吸収材料は、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯に達するまでに、金属粉末を加熱することが可能である。したがって、高融点材料が吸収材料を含むと、金属粉末の温度がマイクロ波を吸収する温度帯に達するのが速くなり、金属粉末の加熱時間を短縮することが可能である。また、吸収材料は、金属粉末がマイクロ波を吸収する温度帯より少なくとも一部が低い温度帯でマイクロ波を吸収するため、高融点材料が必要以上に加熱されることを抑制することが可能である。そのため、マイクロ波を照射された金属粉末が、焼結又は溶融している間も、吸収材料を含む高融点材料は、形状が安定し得る。
【0143】
吸収材料は、例えば、炭素材料を含む。炭素材料の例としては、カーボンブラック、非晶質カーボン、黒鉛、炭化ケイ素、炭素樹脂、及び金属炭化物が挙げられるが、特に限定されない。吸収材料は、これらの化合物であってもよい。吸収材料は、揮発成分を含まないことが好ましい。吸収材料が揮発成分を含まないことにより、マイクロ波が揮発成分に吸収されることを回避することが可能である。
【0144】
高融点材料は、金属粉末を還元する還元材料を含んでいてもよい。還元材料は、金属粉末の融点より高い融点を有する。還元材料の例としては、炭素、及び炭化ケイ素が挙げられる。吸収材料として使用される炭素材料が、還元材料としても機能し得る。
【0145】
高融点材料は、断熱材料のみからなっていてもよいし、吸収材料のみからなっていてもよいし、還元材料のみからなっていてもよいし、これらの組み合わせを含んでいてもよい。また、断熱材料、吸収材料、及び還元材料は、それぞれ、性質及び機能が重複する場合がある。例えば、炭素材料は、吸収材料としても機能するし、還元材料としても機能する。
【0146】
高融点材料が、断熱材料及び吸収材料を含む場合、断熱材料と吸収材料の質量割合は、1:1か、断熱材料の質量割合が吸収材料の質量割合より大きいことが好ましい。例えば、高融点材料における吸収材料の質量割合は、1質量%以上、2質量%以上、あるいは5質量%以上であり、70質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、あるいは10質量%以下である。高融点材料における吸収材料の質量割合を50質量%以下にすることにより、高融点材料におけるマイクロ波の透過性を確保すること、及び金属粉末の焼結又は溶融固化の速度を適切にすることが可能となる。
【0147】
マイクロ波を照射される金属粉末が圧粉体である場合、高融点材料は、固体粉末等であって、流動性を有していてもよい。所望の3次元形状に圧粉体に金属粉末を成形したのち、圧粉体の少なくとも一部を高融点材料で覆い、その後、高融点材料で覆われた圧粉体にマイクロ波を照射することにより、圧粉体が焼結し、冶金により、所望の形状の金属固体が製造される。あるいは、高融点材料で覆われた圧粉体にマイクロ波を照射し、その後、冷却することにより、圧粉体が溶融固化し、所望の形状の金属固体が製造される。圧粉体は周囲の全体を高融点材料で覆われてもよい。圧粉体を覆う高融点材料の厚み、体積等は、マイクロ波の透過性に基づいて、適当に設定することが可能である。
【0148】
金属粉末を圧粉体に成形する際には、金属粉末に、例えば、0.1MPa以上、1MPa以上、100MPa以上、あるいは200MPa以上であり、2000MPa以下、1900MPa以下、あるいは1800MPa以下の圧力を加えてもよい。加圧することにより、製造される金属固体が緻密になる傾向にある。加圧方法としては、一軸成型、冷間静水圧加圧(CIP)成型、熱間等方圧加圧法(HIP)成型、及びローラー加圧などが挙げられる。
【0149】
マイクロ波を照射される金属粉末が流動性を有する場合、高融点材料が型又は容器等の固体をなしていてもよい。例えば、マイクロ波を照射される金属粉末全体が粉末であってもよいし、金属粉末の一部が圧粉体であってもよい。高融点材料がなす、所望の3次元形状に対応する型又は容器の凹部に金属粉末を入れて、金属粉末の少なくとも一部を高融点材料がなす型又は容器で覆い、その後、高融点材料がなす型又は容器で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射することにより、金属粉末が焼結し、所望の形状の金属固体が製造される。なお、本開示において、凹部は、貫通孔を含む。あるいは、高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射し、その後、冷却することにより、圧粉体が溶融固化し、所望の形状の金属固体が製造される。金属粉末は周囲の全体を高融点材料がなす型又は容器で覆われてもよい。圧粉体を覆う高融点材料がなす型又は容器の厚み、体積等は、マイクロ波の透過性に基づいて、適当に設定することが可能である。高融点材料がなす型又は容器に入れられる金属粉末は、位置により、組成を変えてもよい。例えば、位置により、金属粉体をなす金属の種類や、金属粉体の合金成分を変更してもよい。
【0150】
高融点材料がなす型又は容器に金属粉末を入れた後、マイクロ波を照射する前に、金属粉末に、例えば、0.1MPa以上、1MPa以上、100MPa以上、あるいは200MPa以上であり、2000MPa以下、1900MPa以下、あるいは1800MPa以下の圧力を加えてもよい。加圧することにより、製造される金属固体が緻密になる傾向にある。加圧方法としては、一軸成型、冷間静水圧加圧(CIP)成型、熱間等方圧加圧法(HIP)成型、及びローラー加圧などが挙げられる。
【0151】
高融点材料を型又は容器等の固体にする際には、高融点材料に光硬化性樹脂等の硬化性材料を分散させ、高融点材料と光硬化性樹脂の混合物に光を照射して、高融点材料と光硬化性樹脂の混合物を硬化してもよい。光硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合、高融点材料と光硬化性樹脂の混合物に紫外線を照射する。光の照射時間は、例えば、1時間以上、2時間以上、あるいは3時間以上である。高融点材料と光硬化性樹脂の混合物における光硬化性樹脂の質量割合は、例えば、1%以上、2%以上、あるいは3%以上であり、10%以下、9%以下、あるいは8%以下である。高融点材料と光硬化性樹脂の混合物における光硬化性樹脂の質量割合を1%以上10%以下にすることにより、硬度を確保し、かつ、マイクロ波の透過性を確保することが可能となり得る。硬化性材料は、熱硬化性であってもよい。この場合、高融点材料と熱硬化性材料の混合物を加熱して、高融点材料と熱硬化性材料の混合物を硬化してもよい。
【0152】
マイクロ波を照射される金属粉末と高融点材料の両方が粉末である場合、金属粉末と高融点材料を積層し、その後、積層された金属粉末と高融点材料にマイクロ波を照射してもよい。金属粉末と高融点材料を積層した後、マイクロ波を照射する前に、積層された金属粉末と高融点材料に、例えば、0.1MPa以上、1MPa以上、100MPa以上、あるいは200MPa以上であり、2000MPa以下、1900MPa以下、あるいは1800MPa以下の圧力を加えてもよい。加圧することにより、製造される金属固体が緻密になる傾向にある。加圧方法としては、一軸成型、冷間静水圧加圧(CIP)成型、熱間等方圧加圧法(HIP)成型、及びローラー加圧などが挙げられる。
【0153】
金属粉末にマイクロ波を照射している間、金属粉末に圧力を加えてもよい。加えられる圧力は、例えば、0.1MPa以上、1MPa以上、100MPa以上、あるいは200MPa以上であり、2000MPa以下、1900MPa以下、あるいは1800MPa以下である。
【0154】
金属粉体を焼結又は溶融固化した後、形成された金属固体に圧力を加えてもよい。この場合、金属固体が熱を有し、雰囲気温度まで冷却される前であって、雰囲気温度より温度が高い状態で圧力を加えることが好ましい。加えられる圧力は、例えば、0.1MPa、1MPa以上、100MPa以上、あるいは200MPa以上であり、2000MPa以下、1900MPa以下、あるいは1800MPa以下である。加圧することにより、製造される金属固体が緻密になる傾向にある。加圧方法としては、一軸成型、冷間静水圧加圧(CIP)成型、熱間等方圧加圧法(HIP)成型、及びローラー加圧などが挙げられる。
【0155】
金属粉体が金属酸化物を含む場合、還元材料を含む高融点材料で覆われた金属粉体にマイクロ波を照射することにより、金属酸化物は還元される。金属粉体を焼結温度以上であって、融点の付近まで加熱すると、ち密な焼結体が得られやすい。したがって、金属粉体を、マイクロ波によって、1400℃以上、あるいは1500℃以上まで加熱してもよい。金属粉体を溶融固化する場合は、金属粉末を、融点以上まで加熱すればよい。なお、金属粉体にマイクロ波を照射する前に、当該金属の酸化物粉体を予め還元してもよい。例えば、金属酸化物粉体と炭素粉体を混合し、金属酸化物粉体と炭素粉体の混合物を加熱することにより、金属酸化物粉体を還元することが可能である。還元された金属粉体は、例えば、磁石によって、炭素粉体から分離することが可能である。
【0156】
金属粉末を加熱することは、不活性ガス雰囲気下で行われてもよい。不活性ガスの例としては、アルゴン(Ar)、及びヘリウム(He)が挙げられる。また、金属粉末を加熱することは、中性ガス雰囲気下で行われてもよい。中性ガスの例としては、窒素(N2)、乾燥水素(H2)、及びアンモニア(NH3)が挙げられる。また、金属粉末を加熱することは、還元雰囲気下で行われてもよい。還元雰囲気を供する還元性ガスとしては、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、及び炭化水素ガス(CH4、C3H8、C4H10など)が挙げられる。高融点材料が型又は容器をなしている場合、高融点材料がなす型又は容器の内部に、不活性ガス、中性ガス、あるいは還元性ガスを供給してもよい。
【0157】
上記の金属粉末の周囲の少なくとも一部を高融点材料で覆うことと、金属粉末を焼結又は溶融固化することと、を繰り返し、積層された金属固体を形成してもよい。また、上記の方法で得らえた金属固体を、研磨してもよい。また、上記の方法で得らえた金属固体を、例えばコアにして、周囲に金属粉体を配置し、さらに金属粉体の周囲に高融点材料を配置して、マイクロ波を照射することを繰り返してもよい。これにより、金属固体をスケールアップすることが可能である。また、マイクロ波を照射する毎に、金属粉体及び高融点材料のそれぞれの組成を変更してもよい。例えば、マイクロ波を照射する毎に、金属粉体の合金成分を変更してもよい。
【0158】
第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、
図1に示すように、金属粉末と、金属粉末の周囲の少なくとも一部を覆う、金属粉末の融点より融点が高い高融点材料と、が配置されるステージ10と、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化するためのマイクロ波照射部20と、を備える。第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、例えば、上述した第1実施形態に係る金属固体の製造方法を実施可能である。
【0159】
ステージ10は、金属粉末と、高融点材料と、を配置可能であれば、特に限定されない。ステージ10は、互いに垂直な3軸方向に移動可能であってもよい。例えば、ステージ10は、重力方向及び水平方向に移動可能であってもよい。
【0160】
第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、ステージ10上に高融点材料を配置する高融点材料配置部31をさらに備えていてもよい。高融点材料配置部31は、ステージ10上に高融点材料を塗布してもよい。高融点材料配置部31は、ステージ10上に高融点材料の層を形成してよい。高融点材料配置部31は、互いに垂直な3軸方向に移動可能であってもよい。例えば、高融点材料配置部31は、重力方向及び水平方向に移動可能であってもよい。例えば、
図2(a)から
図2(c)に示すように、高融点材料配置部31は、ステージ10上を移動しながら粉体の高融点材料をステージ10上に塗布し、高融点材料の層101をステージ10上に形成してもよい。
【0161】
図1に示すように、第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、高融点材料の少なくとも一部に硬化性材料を添加する硬化性材料添加部32をさらに備えていてもよい。硬化性材料添加部32は、高融点材料の硬化させる部分に、硬化性材料を添加し、高融点材料の硬化させない部分には、硬化性材料を添加しない。硬化性材料は、例えば液体であり、硬化性材料添加部32は、高融点材料の硬化させる部分に、硬化性材料を含侵させてもよい。硬化性材料添加部32は、互いに垂直な3軸方向に移動可能であってもよい。例えば、硬化性材料添加部32は、重力方向及び水平方向に移動可能であってもよい。例えば、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、硬化性材料添加部32は、ステージ10上の高融点材料の層101上を移動しながら、高融点材料の層101に硬化性材料をパターニングしながら塗布し、高融点材料の層101の硬化させない部分102に硬化性材料を添加せず、高融点材料の層101の硬化させる部分に硬化性材料を添加してもよい。硬化性材料添加部32は、例えばインクジェットノズルを備え、バインダージェッティング方式で、硬化性材料を高融点材料に添加してもよい。
【0162】
高融点材料配置部31と、硬化性材料添加部32と、は、一体化していてもよい。
【0163】
図1に示すように、第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、高融点材料の少なくとも一部を硬化する硬化装置40をさらに備えていてもよい。高融点材料が光硬化性材料を含む場合、硬化装置40は光源である。高融点材料が熱硬化性材料を含む場合、硬化装置40は熱源である。硬化装置40は、互いに垂直な3軸方向に移動可能であってもよい。例えば、硬化装置40は、重力方向及び水平方向に移動可能であってもよい。
図3(c)に示すように、硬化装置40は、硬化性材料の硬化に必要なエネルギーを高融点材料の層101に照射して、高融点材料の層101の少なくとも一部を硬化する。硬化装置40は、高融点材料の層101の全面に一括してエネルギーを照射してもよいし、高融点材料の層101をスキャンしながらエネルギーを照射してもよい。
【0164】
図1に示すように、第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、未硬化の高融点材料を除去する未硬化材料除去部50をさらに備えていてもよい。例えば、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、未硬化材料除去部50は、高融点材料の層101の未硬化で粉体の部分102に風圧を加えて、未硬化で粉体の部分102を高融点材料の層101から除去し、高融点材料の層101に凹部103を形成させてもよい。
【0165】
図1に示すように、第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、ステージ10上に金属粉末を配置する金属粉末配置部33をさらに備えていてもよい。金属粉末配置部33としては、リコータが使用可能である。金属粉末配置部33は、ステージ10上に金属粉末を塗布してもよい。金属粉末配置部33は、互いに垂直な3軸方向に移動可能であってもよい。例えば、金属粉末配置部33は、重力方向及び水平方向に移動可能であってもよい。例えば、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、金属粉末配置部33は、ステージ10上の高融点材料の層101の凹部103に金属粉末200を配置してもよい。ステージ10上の高融点材料の層101の凹部103が形成されていない部分の表面に配置された金属粉末は、ローラーやブラシ等で除去してもよい。
【0166】
高融点材料配置部31と、金属粉末配置部33と、は、一体化していてもよい。硬化性材料添加部32と、金属粉末配置部33と、は、一体化していてもよい。高融点材料配置部31と、硬化性材料添加部32と、金属粉末配置部33と、は、一体化していてもよい。
【0167】
図1に示すように、第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、ステージ10上に配置された金属粉末に圧力を加える加圧部60をさらに備えていてもよい。
図5(c)に示すように、加圧部60は、マイクロ波を照射される前の金属粉末200に圧力を加える。加圧方法としては、一軸成型、冷間静水圧加圧(CIP)成型、熱間等方圧加圧法(HIP)成型、及びローラー加圧などが挙げられる。ローラー加圧の場合、加圧部60の加圧先端がローラー式で、ローラーをステージ10に加圧させた状態で、ステージ10をスライドさせるような、加圧手法を選択してもよい。
【0168】
例えば
図6に示すように、マイクロ波照射部20は、ステージ10上の高融点材料の層101の凹部103に配置された金属粉末200に、マイクロ波を照射する。マイクロ波照射部20は、金属粉末200の全面に一括してマイクロ波を照射してもよいし、金属粉末200をスキャンしながらマイクロ波を照射してもよい。第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、金属粉末に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部をさらに備えていてもよい。不活性ガス供給部は、金属粉末200が少なくともマイクロ波に照射されている間、金属粉末200の周囲に不活性ガスを供給する。第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、金属粉末に還元ガスを供給する還元ガス供給部をさらに備えていてもよい。還元ガス供給部は、金属粉末200が少なくともマイクロ波に照射されている間、金属粉末200の周囲に還元ガスを供給する。第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、金属粉末に還元ガスを供給する中性ガス供給部をさらに備えていてもよい。中性ガス供給部は、金属粉末200が少なくともマイクロ波に照射されている間、金属粉末200の周囲に中性ガスを供給する。不活性ガス供給部と、還元ガス供給部と、は、一体化していてもよい。不活性ガス供給部と、中性ガス供給部と、は、一体化していてもよい。還元ガス供給部と、中性ガス供給部と、は、一体化していてもよい。
【0169】
図1に示すように、第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、ステージ10上に配置された金属粉末の温度を計測する温度計71を備えていてもよい。温度計71としては、放射温度計が利用可能である。放射温度計は、金属粉末の材料の放射率に基づき、金属粉末の温度を計測する。温度計71は、高融点材料の温度も計測してもよい。温度計71で計測される金属粉末の温度に基づいて、マイクロ波照射部20が照射するマイクロ波を制御してもよい。また、第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、マイクロ波照射部20が照射するマイクロ波を検出するマイクロ波検出器72を備えていてもよい。マイクロ波検出器72で検出されるマイクロ波の特性に基づいて、マイクロ波照射部20が照射するマイクロ波を制御してもよい。
【0170】
図1に示す加圧部60は、金属粉末200がマイクロ波に照射された後、金属粉末200に圧力を加えてもよい。加圧方法としては、一軸成型、冷間静水圧加圧(CIP)成型、熱間等方圧加圧法(HIP)成型、及びローラー加圧などが挙げられる。ローラー加圧の場合、加圧部60の加圧先端がローラー式で、ローラーをステージ10に加圧させた状態で、ステージ10をスライドさせるような、加圧手法を選択してもよい。
【0171】
図6に示すステージ10上の高融点材料の層101の凹部103に配置され、マイクロ波を照射された金属粉末200は、その後、冷却され、焼結又は溶融固化し、金属固体となる。なお、高融点材料の層101の凹部103のエッジの部分の近傍の金属粉末200は、加熱されやすい傾向にある。そのため、凹部103のエッジの部分の近傍においては、高融点材料に含まれる吸収材料の質量割合を、他の部分より低くしてもよい。
【0172】
第1実施形態に係る金属固体の製造装置のステージ10及びマイクロ波照射部20等は、筐体に収納されていてもよい。
【0173】
第1実施形態に係る金属固体の製造装置は、焼結又は溶融固化した金属固体と、金属固体を囲む高融点材料の層101の上に、金属粉体を囲む高融点材料の層101を形成し、金属粉体を焼結又は溶融固化することを繰り返してもよい。これにより、1回のマイクロ波の照射で形成される金属固体の厚みが薄くても、金属固体が積層され、厚みのある金属固体を製造することが可能である。金属粉体を囲む高融点材料の層101を形成する毎に、高融点材料の層101に形成される凹部の形状を変えることで、複雑な三次元形状を有する金属固体を製造することが可能である。
【0174】
すなわち、
図7に示すように、ステージ10上に1層目の高融点材料の層101Aを形成し、高融点材料の層101Aの凹部に、金属粉体200Aを配置する。次に、金属粉体200Aにマイクロ波を照射し、金属粉体200Aを1層目の金属固体201Aにする。次に、1層目の高融点材料の層101Aの上に2層目の高融点材料の層101Bを形成し、高融点材料の層101Bの凹部に、金属粉体200Bを配置する。ここで、高融点材料の層101Bの凹部からは、1層目の金属固体201Aが露出しており、金属粉体200Bは、1層目の金属固体201Aの表面と接触する。次に、金属粉体200Bにマイクロ波を照射し、金属粉体200Bを2層目の金属固体201Bにする。この際、2層目の金属固体201Bは、1層目の金属固体201Aに固着する。以後、同様の工程を繰り返すことにより、金属固体が積層される。
【0175】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る結合固体の製造方法は、固体上に金属粉末を配置することと、金属粉末の周囲の少なくとも一部を金属粉末の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた金属粉末にマイクロ波を照射して金属粉末を加熱し、当該金属粉末を焼結又は溶融固化し、固体上に金属固体を形成することと、を含む。
【0176】
固体の材料は特に限定されないが、融点が金属粉末より高い材料が好ましい。固体の材料の例としては、融点が金属粉末より高い金属が挙げられる。固体の形状は特に限定されない。固体の形状の例としては、平板、直方体、及び円柱が挙げられる。例えば、固体は、平坦な表面を有していてもよいし、曲がっている表面を有していてもよい。
【0177】
金属粉末、及び高融点材料は、第1実施形態と同じであり得る。金属粉末及び高融点材料の配置方法は、第1実施形態と同じであり得る。金属粉末と高融点材料の相対的な配置は、第1実施形態と同じであり得る。また、マイクロ波の照射条件は、第1実施形態と同じであり得る。
【0178】
固体上に金属粉末を配置する方法は、特に限定されない。リコータを用いて、固体上に金属粉末を配置してもよい。固体の複数の表面の少なくとも一部の上に金属粉末を配置してもよい。固体の全てを覆うように金属粉末を配置してもよい。固体上に配置される金属粉末の層の厚みは、形成される金属固体の厚みに応じて、適宜設定される。固体上に配置される金属粉末の層の厚みは、例えば、一定である。ステージ上に配置された高融点材料の層に凹部を設け、高融点材料の層の凹部の中に固体を配置し、固体上に金属粉末を配置してもよい。あるいは、固体上に金属粉末を配置した後、少なくとも金属粉末の周囲に高融点材料を配置してもよい。
【0179】
マイクロ波を照射する前に、固体上の金属粉末に圧力を加えてもよい。加圧方法は、第1実施形態と同じであり得る。金属粉末がマイクロ波に照射された後、金属粉末に圧力を加えてもよい。
【0180】
固体上の金属粉末を焼結又は溶融固化することにより、固体上に金属固体が形成される。これにより、固体に、金属固体が結合される。形成される金属固体は、膜状であってもよい。固体のコーティングを目的として、固体上に金属固体を形成してもよい。
【0181】
固体上に形成された金属固体上に、さらに金属固体を形成することを繰り返してもよい。金属固体が膜状であり、固体上に多層膜が形成されてもよい。
【0182】
第2実施形態に係る結合固体の製造方法は、第1実施形態で説明した金属固体の製造装置によって実施されてもよい。
【0183】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る結合固体の製造方法は、第1の固体と第2の固体の間に結合用金属を配置することと、結合用金属の周囲の少なくとも一部を結合用金属の融点より融点が高い高融点材料で覆うことと、周囲の少なくとも一部が高融点材料で覆われた結合用金属にマイクロ波を照射して結合用金属を加熱し、当該結合用金属を焼結又は溶融固化し、第1の固体と第2の固体を結合することと、を含む。
【0184】
第1及び第2の固体の材料は特に限定されないが、融点が金属粉末より高い材料が好ましい。第1及び第2の固体の材料の例としては、融点が金属粉末より高い金属が挙げられる。第1及び第2の固体のそれぞれの形状は、特に限定されない。第1及び第2の固体は、互いに接触可能な表面を有していてもよい。第1の固体は、第2の固体と嵌合可能な形状を有していてもよい。第1の固体は、第2の固体に挿入可能な形状を有していてもよい。
【0185】
結合用金属は、粉末であってもよいし、固体であってもよいし、液体であってもよい。結合用金属が固体である場合、結合用金属は、第1の固体の接合面と第2の固体の接合面の間に挿入可能な形状を有し得る。結合用金属が液体である場合、液体は粘性を有していてもよい。粉末又は固体である結合用金属を加熱して、液体にしてもよい。
【0186】
結合用金属の材料は、第1実施形態で説明した金属粉末と同じであり得る。高融点材料は、第1実施形態と同じであり得る。第1の固体の接合面と第2の固体の接合面の間に結合用金属を配置し、少なくとも結合用金属の周囲に高融点材料の配置を配置する。高融点材料の配置方法は、第1実施形態と同じであり得る。結合用金属と高融点材料の相対的な配置は、第1実施形態における金属粉末と高融点材料の相対的な配置と同じであり得る。なお、結合用金属と高融点材料の間に、第1の固体又は第2の固体が配置されていてもよい。マイクロ波の照射条件は、第1実施形態と同じであり得る。
【0187】
第1及び第2の固体の間に結合用金属を配置する方法は、特に限定されない。結合用金属が粉末又は液体である場合は、第1の固体の接合面と第2の固体の接合面の間に結合用金属を注入してもよい。結合用金属が固体である場合は、第1の固体の接合面と第2の固体の接合面の間に結合用金属を挿入してもよい。あるいは、結合用金属が粉末、液体、固体のいずれであっても、第1の固体の接合面に結合用金属を配置した後、結合用金属上に第2の固体の接合面を接触させてもよい。
【0188】
ステージ上に配置された高融点材料の層に凹部を設け、高融点材料の層の凹部の中に第1の固体を配置し、第1の固体上に結合用金属と第2の固体を順次配置してもよい。あるいは、第1の固体と第2の固体の間に結合用金属を配置した後、少なくとも結合用金属の周囲に高融点材料を配置してもよい。
【0189】
マイクロ波を照射する前に、第1及び第2の固体の間に配置された結合用金属に圧力を加えてもよい。例えば、第1及び第2の固体の少なくとも一方に圧力を加えて、結合用金属に圧力を加えてもよい。結合用金属がマイクロ波に照射された後、結合用金属に圧力を加えてもよい。
【0190】
第1及び第2の固体の間の結合用金属を焼結又は溶融固化することにより、第1の固体と第2の固体が結合される。
【0191】
第3実施形態に係る結合固体の製造方法は、第1実施形態で説明した金属固体の製造装置によって実施されてもよい。
【0192】
上記のように本発明を実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、
図1に示す加圧部60は、配置された金属粉末200の全面に加圧してもよい。あるいは、
図8に示すように、配置された金属粉末200の表面積より小さい接触面積を有する加圧部60が、移動しながら金属粉末200に連続的に加圧してもよい。加圧方法としては、一軸成型、冷間静水圧加圧(CIP)成型、熱間等方圧加圧法(HIP)成型、及びローラー加圧などが挙げられる。ローラー加圧の場合、
図9に示すように、加圧部60がローラーを備え、ローラーをステージ10に加圧させた状態で、ローラーをステージ10上で移動させる、あるいはステージ10をスライドさせるような、加圧手法を選択してもよい。また、例えば、
図10に示すように、実施形態に係る金属固体の製造装置は、金属粉体がマイクロ波を照射される前に金属粉体を還元する還元装置80を備えていてもよい。還元装置80は、例えば加熱装置であり、金属粉体を加熱して、金属粉体を還元する。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【実施例0193】
(実施例1)
高融点材料の層を形成した。高融点材料は93質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)の粉体と7質量%の炭素(C)の粉体からなっていた。高融点材料の層の表面の凹部が設けれる部分を円形のアルミ板で覆い、高融点材料の層の表面に硬化性材料を噴射し、高融点材料の層のアルミ板で覆われていない部分に、硬化性材料を浸透させた。硬化性材料は、50質量%のUV硬化性樹脂(AMZLAB GmbH製 Standard Photopolymer Resin)と50質量%のエタノールを含んでいた。その後、高融点材料の層にUV光を照射し、高融点材料の層に浸透した硬化性樹脂を硬化させた。アルミ板で覆われ、硬化されたなかった高融点材料は、エアシャワーにより除去した。これにより、高融点材料の層に、円柱状の凹部が形成された。円柱状の凹部の底面の直径は7.0mm、深さは4.0mmであった。
【0194】
高融点材料の層に設けられた凹部に、金属粉末(平均粒子径45μm)を充填した。金属粉末は、100%の鉄(Fe)からなっていた。プレス機を用いて、金属粉末と、金属粉末を取り囲む高融点材料に、250MPaの圧力をかけた。空気雰囲気下で、高融点材料と金属粉末に、700Wのマイクロ波を180秒照射し、金属粉末を1350℃(推定値)まで加熱した。金属粉末が焼結して得られた金属固体の写真を
図11に示す。得られた金属固体は、円柱状であり、底面の直径は7.0mm、高さは4.0mmであった。得られた金属固体の密度は4.5g/cm
2であり、相対密度(=密度/真密度)は58%であった。
【0195】
(実施例2)
高融点材料の第1層を形成した。高融点材料は93質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)の粉体と7質量%の炭素(C)の粉体からなっていた。高融点材料の第1層の表面の凹部が設けれる部分を円形のアルミ板で覆い、高融点材料の第1層の表面に硬化性材料を噴射し、高融点材料の第1層のアルミ板で覆われていない部分に、硬化性材料を浸透させた。硬化性材料は、50質量%のUV硬化性樹脂(AMZLAB GmbH製 Standard Photopolymer Resin)と50質量%のエタノールを含んでいた。その後、高融点材料の第1層にUV光を照射し、高融点材料の第1層に浸透した硬化性樹脂を硬化させた。アルミ板で覆われ、硬化されたなかった高融点材料は、エアシャワーにより除去した。これにより、高融点材料の第1層に、円柱状の凹部が形成された。円柱状の凹部の底面の直径は7.0mm、深さは4.2mmであった。
【0196】
高融点材料の第1層に設けられた凹部に、金属粉末を充填した。金属粉末は、100%の鉄(Fe)からなっていた。プレス機を用いて、金属粉末と、金属粉末を取り囲む高融点材料に、250MPaの圧力をかけた。空気雰囲気下で、高融点材料と金属粉末に、700Wのマイクロ波を180秒照射し、金属粉末を1350℃(推定値)まで加熱し、円柱状の金属固体を得た。
【0197】
高融点材料の第1層の上に、高融点材料の第2層を形成した。高融点材料は93質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)と7質量%の炭素(C)からなっていた。高融点材料の第2層の表面の凹部が設けれる部分であって、高融点材料の第1層で取り囲まれている金属固体の真上を円形のアルミ板で覆い、高融点材料の第2層の表面に硬化性材料を噴射し、高融点材料の第2層のアルミ板で覆われていない部分に、硬化性材料を浸透させた。硬化性材料は、50質量%のUV硬化性樹脂(AMZLAB GmbH製 Standard Photopolymer Resin)と50質量%のエタノールを含んでいた。その後、高融点材料の第2層にUV光を照射し、高融点材料の第2層に浸透した硬化性樹脂を硬化させた。アルミ板で覆われ、硬化されたなかった高融点材料は、エアシャワーにより除去した。これにより、高融点材料の第2層に、円柱状の凹部が形成された。円柱状の凹部の底面の直径は7.0mm、深さは2.4mmであった。高融点材料の第2層に設けられた凹部から、高融点材料の第1層で取り囲まれている金属固体の上面が露出した。
【0198】
高融点材料の第2層に設けられた凹部に、金属粉末を充填した。金属粉末は、100%の鉄(Fe)からなっていた。プレス機を用いて、金属粉末と、金属粉末を取り囲む高融点材料に、250MPaの圧力をかけた。空気雰囲気下で、高融点材料と金属粉末に、700Wのマイクロ波を180秒照射し、金属粉末を1350℃(推定値)まで加熱し、円柱状の金属固体を得た。この際、高融点材料の第1層で取り囲まれている金属固体と、高融点材料の第2層で取り囲まれている金属固体と、は、結合した。
【0199】
金属粉末が焼結して得られた金属固体の写真を
図12に示す。得られた金属固体は、円柱状であり、底面の直径は7.0mm、高さは6.6mmであった。得られた金属固体の密度は4.1g/cm
2であり、相対密度は52%であった。
【0200】
(実施例3)
高融点材料の層を形成した。高融点材料は93質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)の粉体と7質量%の炭素(C)の粉体からなっていた。高融点材料の層の表面の凹部が設けれる部分を三角形のアルミ板で覆い、高融点材料の層の表面に硬化性材料を噴射し、高融点材料の層のアルミ板で覆われていない部分に、硬化性材料を浸透させた。硬化性材料は、50質量%のUV硬化性樹脂(AMZLAB GmbH製 Standard Photopolymer Resin)と50質量%のエタノールを含んでいた。その後、高融点材料の層にUV光を照射し、高融点材料の層に浸透した硬化性樹脂を硬化させた。アルミ板で覆われ、硬化されたなかった高融点材料は、エアシャワーにより除去した。これにより、高融点材料の層に、三角柱状の凹部が形成された。三角柱状の凹部の底面の底辺の長さは8.0mm、深さは1.4mmであった。
【0201】
高融点材料の層に設けられた凹部に、金属粉末を充填した。金属粉末は、100%の鉄(Fe)からなっていた。プレス機を用いて、金属粉末と、金属粉末を取り囲む高融点材料に、250MPaの圧力をかけた。空気雰囲気下で、高融点材料と金属粉末に、500Wのマイクロ波を70秒照射し、金属粉末を1250℃(推定値)まで加熱した。金属粉末が焼結して得られた金属固体の写真を
図13に示す。得られた金属固体は、三角柱状であり、底面の底辺の長さは8.0mm、高さは1.4mmであった。得られた金属固体の密度は4.5g/cm
2であり、相対密度は58%であった。
【0202】
(実施例4)
高融点材料の層を形成した。高融点材料は93質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)の粉体と7質量%の炭素(C)の粉体からなっていた。高融点材料の層の表面の凹部が設けれる部分を四角形のアルミ板で覆い、高融点材料の層の表面に硬化性材料を噴射し、高融点材料の層のアルミ板で覆われていない部分に、硬化性材料を浸透させた。硬化性材料は、50質量%のUV硬化性樹脂(AMZLAB GmbH製 Standard Photopolymer Resin)と50質量%のエタノールを含んでいた。その後、高融点材料の層にUV光を照射し、高融点材料の層に浸透した硬化性樹脂を硬化させた。アルミ板で覆われ、硬化されたなかった高融点材料は、エアシャワーにより除去した。これにより、高融点材料の層に、四角柱状の凹部が形成された。四角柱状の凹部の底面の1辺の長さは7.2mm、深さは1.9mmであった。
【0203】
高融点材料の層に設けられた凹部に、金属粉末を充填した。金属粉末は、100%の鉄(Fe)からなっていた。プレス機を用いて、金属粉末と、金属粉末を取り囲む高融点材料に、250MPaの圧力をかけた。空気雰囲気下で、高融点材料と金属粉末に、500Wのマイクロ波を70秒照射し、金属粉末を1250℃(推定値)まで加熱した。金属粉末が焼結して得られた金属固体の写真を
図14に示す。得られた金属固体は、四角柱状であり、底面の1辺の長さは7.2mm、高さは1.9mmであった。得られた金属固体の密度は4.5g/cm
2であり、相対密度は58%であった。
【0204】
(実施例5)
99.8%の銅(Cu)からなる円柱状の固体を用意した。固体の直径は7mm、高さは10mmであった。固体の上に、99.8%の銅(Cu)の粉体に250MPaの圧力を加えて製造した圧粉体を配置した。圧粉体の形状は円柱状であり、直径は10mm、高さは2mmであった。圧粉体は、固体の中心と圧粉体の中心が一致するように配置された。
【0205】
固体と圧粉体の周囲に、高融点材料の層を形成した。高融点材料は93質量%の酸化アルミニウム(Al2O3)の粉体と7質量%の炭素(C)の粉体からなっていた。高融点材料の層の表面に硬化性材料を噴射し、高融点材料に、硬化性材料を浸透させた。硬化性材料は、50質量%のUV硬化性樹脂(AMZLAB GmbH製 Standard Photopolymer Resin)と50質量%のエタノールを含んでいた。その後、高融点材料の層にUV光を照射し、高融点材料の層に浸透した硬化性樹脂を硬化させた。
【0206】
固体と圧粉体に20MPaの圧力を加えながら、高融点材料で覆われている圧粉体に、700Wのマイクロ波を85秒照射し、圧粉体を800℃(推定値)まで加熱した。圧粉体が焼結して銅の金属膜(金属固体)でコーティングされた固体の写真を
図15に示す。固体と金属膜とは、強固に結合していた。
【0207】
(実施例6)
工具鋼鋼材(SKD61)からなる円柱状の固体を用意した。固体の直径は10mm、高さは4mmであった。固体の上に、工具鋼鋼材(SKD61)の粉体に1750MPaの圧力を加えて製造した圧粉体を配置した。圧粉体の形状は円柱状であり、直径は10mm、高さは4mmであった。圧粉体は、固体の中心と圧粉体の中心が一致するように配置された。
【0208】
実施例5と同様に、固体と圧粉体の周囲に、高融点材料の層を形成した。
【0209】
固体と圧粉体に20MPaの圧力を加えながら、高融点材料で覆われている圧粉体に、400Wのマイクロ波を1500秒照射し、圧粉体を1200℃(推定値)まで加熱した。圧粉体が焼結して工具鋼鋼材の金属膜(金属固体)でコーティングされた固体の写真を
図16に示す。固体と金属膜とは、強固に結合していた。
【0210】
(実施例7)
炭素鋼鋼材(S45C)からなる円柱状の固体を用意した。固体の直径は10mm、高さは10mmであった。固体の上に、アルミニウム合金(A6061)の粉体に250MPaの圧力を加えて製造した圧粉体を配置した。圧粉体の形状は円柱状であり、直径は10mm、高さは4mmであった。圧粉体は、固体の中心と圧粉体の中心が一致するように配置された。
【0211】
実施例5と同様に、固体と圧粉体の周囲に、高融点材料の層を形成した。
【0212】
固体と圧粉体に20MPaの圧力を加えながら、高融点材料で覆われている圧粉体に、200Wのマイクロ波を1500秒照射し、圧粉体を400℃(推定値)まで加熱した。圧粉体が焼結してアルミニウム合金の金属膜(金属固体)でコーティングされた固体の写真を
図17に示す。固体と金属膜とは、強固に結合していた。
【0213】
(実施例8)
99.8%の銅(Cu)からなる円柱状の第1の固体を用意した。第1の固体の直径は10mm、高さは10mmであった。第1の固体の上に、99.8%の銅(Cu)の粉体に250MPaの圧力を加えて製造した圧粉体を結合用金属として配置した。圧粉体の形状は円柱状であり、直径は10mm、高さは3mmであった。圧粉体は、第1の固体の中心と圧粉体の中心が一致するように配置された。圧粉体の上に、99.8%の銅(Cu)からなる円柱状の第2の固体を配置した。第2の固体の直径は10mm、高さは6mmであった。第2の固体は、圧粉体の中心と第2の固体の中心が一致するように配置された。
【0214】
実施例5と同様に、第1の固体、圧粉体、及び第2の固体の周囲に、高融点材料の層を形成した。
【0215】
高融点材料で覆われている圧粉体に、700Wのマイクロ波を135秒照射し、圧粉体を800℃(推定値)まで加熱した。圧粉体が焼結して第1の固体と第2の固体が結合した結合固体の写真を
図18に示す。第1の固体と第2の固体とは、強固に結合していた。
【0216】
(実施例9)
工具鋼鋼材(SKD61)からなる円柱状の第1の固体を用意した。第1の固体の直径は10mm、高さは10mmであった。第1の固体の上に、工具鋼鋼材(SKD61)の粉体に1750MPaの圧力を加えて製造した圧粉体を結合用金属として配置した。圧粉体の形状は円柱状であり、直径は10mm、高さは3mmであった。圧粉体は、第1の固体の中心と圧粉体の中心が一致するように配置された。圧粉体の上に、工具鋼鋼材(SKD61)からなる円柱状の第2の固体を配置した。第2の固体の直径は10mm、高さは6mmであった。第2の固体は、圧粉体の中心と第2の固体の中心が一致するように配置された。
【0217】
実施例5と同様に、第1の固体、圧粉体、及び第2の固体の周囲に、高融点材料の層を形成した。
【0218】
圧力を加えずに、高融点材料で覆われている圧粉体に、400Wのマイクロ波を2000秒照射し、圧粉体を1200℃(推定値)まで加熱した。第1の固体と第2の固体とは、強固に結合していた。
【0219】
(実施例10)
工具鋼鋼材(SKD61)からなる円柱状の第1の固体を用意した。第1の固体の直径は10mm、高さは4mmであった。第1の固体の上に、工具鋼鋼材(SKD61)の固体を結合用金属として配置した。結合用金属の形状は円柱状であり、直径は10mm、高さは4mmであった。結合用金属は、第1の固体の中心と結合用金属の中心が一致するように配置された。結合用金属の上に、工具鋼鋼材(SKD61)からなる円柱状の第2の固体を配置した。第2の固体の直径は10mm、高さは4mmであった。第2の固体は、結合用金属の中心と第2の固体の中心が一致するように配置された。
【0220】
実施例5と同様に、第1の固体、結合用金属、及び第2の固体の周囲に、高融点材料の層を形成した。
【0221】
第1の固体、結合用金属、及び第2の固体に20MPaの圧力を加えながら、高融点材料で覆われている結合用金属に、400Wのマイクロ波を2000秒照射し、結合用金属を1200℃(推定値)まで加熱した。結合用金属が溶融固化して第1の固体と第2の固体が結合した結合固体の写真を
図19に示す。第1の固体と第2の固体とは、強固に結合していた。
10・・・ステージ、20・・・マイクロ波照射部、31・・・高融点材料配置部、32・・・硬化性材料添加部、33・・・金属粉末配置部、40・・・硬化装置、50・・・未硬化材料除去部、60・・・加圧部、101・・・層、102・・・部分、103・・・凹部、200・・・金属粉末