(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059866
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20220101AFI20240423BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20240423BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/04847
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027936
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2022092337の分割
【原出願日】2014-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】川口 晃生
(72)【発明者】
【氏名】池増 悟
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異なる操作を明確かつ容易に切り分けて行うことができること。
【解決手段】表示装置100は、表示部112上にタッチパネルからなる操作部111が重ねて設けられる。この表示装置100は、操作部111の一部を押下する第1の操作を受け付ける第1受付部101と、第1の操作による一部の押下後、基準時間内に操作部111の他の部分を複数押下する第2の操作を受け付ける第2受付部102と、第1の操作により表示に関する処理内容を決定し、第2の操作により処理内容に関する変化の度合いを決定する決定部103と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに対する第1のタッチ操作によって表示されている画像の処理内容を決定し、前記タッチパネルに対する少なくとも方向性を有する前記第1のタッチ操作とは位置が異なる第2のタッチ操作によって前記処理内容の変化の方向を決定する決定手段と、
決定された前記処理内容及び前記変化の方向に基づき前記画像を変化させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記第2のタッチ操作は、複数回のタッチ操作による前記タッチパネル上で一方あるいは他方に向かう前記方向性を有し、
前記決定手段は、
前記第2のタッチ操作によるタッチ位置の前記方向性の違いに基づき、前記処理内容の変化の方向を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記第1のタッチ操作および前記第2のタッチ操作は、ユーザの片手の複数の各指による前記タッチパネルのタッチであり、
前記決定手段は、
第1の指で前記第1のタッチ操作を行った第1位置に対し、第2の指以降の複数の指で前記第2のタッチ操作を行った際の各タッチ位置が前記第1位置から離れるかあるいは近づくかの方向性の違いに基づき、前記処理内容の変化の方向を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
タッチパネルを有する表示制御装置が実施する表示制御方法において、
タッチパネルに対する第1のタッチ操作によって表示されている画像の処理内容を決定し、前記タッチパネルに対する少なくとも方向性を有する前記第1のタッチ操作とは位置が異なる第2のタッチ操作によって前記処理内容の変化の方向を決定し、
決定された前記処理内容及び前記変化の方向に基づき前記画像を変化させる、
処理を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチ操作により表示制御を行う表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラムに関する。ただし、この発明の利用は、表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラムに限らない。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、指などの操作により表示制御を行うタッチパネルがある。例えば、指の操作により接触したタッチ領域で操作種別を取得し、指が触れたタッチ面積に基づき、操作量を決定する技術がある(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、複数の指のタッチ操作の仕方で操作量を可変させることができなかった。例えば、従来の技術では、タッチする指の数で操作量を変更できても、タッチした指の大きさ等により各人別に操作量が異なることとなる。また、操作量の変更のためタッチ面積を増減させるべく各指のタッチの強さを可変させる等、操作に手間がかかる、という課題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の表示制御装置は、タッチパネルに対する第1のタッチ操作によって表示されている画像の処理内容を決定し、前記タッチパネルに対する少なくとも方向性を有する前記第1のタッチ操作とは位置が異なる第2のタッチ操作によって前記処理内容の変化の方向を決定する決定手段と、決定された前記処理内容及び前記変化の方向に基づき前記画像を変化させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の表示制御方法は、タッチパネルを有する表示制御装置が実施する表示制御方法において、タッチパネルに対する第1のタッチ操作によって表示されている画像の処理内容を決定し、前記タッチパネルに対する少なくとも方向性を有する前記第1のタッチ操作とは位置が異なる第2のタッチ操作によって前記処理内容の変化の方向を決定し、決定された前記処理内容及び前記変化の方向に基づき前記画像を変化させる、処理を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の表示制御プログラムは、上記表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる表示装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかる表示装置の処理例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施例1にかかる指の操作に基づく倍率変更の表示制御を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施例2にかかる指の操作に基づく倍率変更の表示制御を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施例2にかかる指の操作に基づく倍率変更の表示制御例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施例3にかかる指の操作に基づくスクロール量変更の表示制御を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施例3にかかる指の操作に基づくスクロール量変更の表示制御例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施例4にかかる指の操作に基づくスクロール変更の表示制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる表示制御装置、表示制御方法および表示制御プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施の形態にかかる表示装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。表示装置100は、タッチパネル等の操作部111が表示部112上に重ねて設けられてなる。表示部112の表示画面の座標位置と、操作部111の操作面の座標位置はタッチパネル制御部(不図示)によって同一座標とされている。この表示装置100は、第1受付部101と、第2受付部102と、決定部103と、を有する。
【0011】
第1受付部101は、ユーザにより操作部111の一部を押下(タッチ)する第1の操作を受け付ける。第2受付部102は、第1受付部101によって受け付けたユーザによる操作部111の一部の押下後、基準時間内に操作部111の他の部分を複数押下する第2の操作を受け付ける。
【0012】
ここで、第2受付部102は、第1の操作後、基準時間内での第2の操作を受け付けるため、ユーザが操作部111から一旦指を離した場合であっても、基準時間内に操作部111の他の部分の押下があれば第2の操作として受け付ける。これにより、ユーザは、例えば、第1の操作で表示に関する表示種別の設定の操作と、第2の操作で表示の操作量の設定の操作とを時間的に切り分けて操作することができ、異なる操作を明確かつ容易に切り分けて行うことができるようになる。
【0013】
決定部103は、第1の操作により処理内容を決定し、第2の操作により決定した処理の変化の方向と、変化の度合いを決定する。例えば、第1の操作が地図等縮尺の拡大/縮小である場合、第2の操作では、決定された拡大/あるいは縮小について、縮尺の変化の度合いを決定する。このほか、第1の操作が地図等のスクロールである場合、第2の操作では、このスクロール量を決定する。第2の操作の変化量は、時間あたりの表示内容の変化の速度を示す。決定部103により決定された処理内容と、処理内容に対する変化の度合いは、タッチパネル制御部に出力されて表示部112の表示内容が制御される。
【0014】
また、決定部103は、第2の操作による複数の指の押下の方向(指が並ぶ方向)により、処理の方向を決定し、押下の数により変化の度合いを決定することもできる。
【0015】
また、決定部103は、第2の操作に基づく操作量を操作時、すなわち指を操作部111に押下(接触)させたときのみ変化の度合いを決定するに限らない。すなわち、指を操作部111に押下したことにより、処理内容に対する変化の度合いを決定して表示部112上での実際の表示内容を変化させるが、この後、操作部111から指を離したときにも処理の変化の度合いを再度決定してもよい。
【0016】
図2は、実施の形態にかかる表示装置の処理例を示すフローチャートである。表示装置100は、第1受付部101により、ユーザによる操作部111の一部を押下する第1の操作を待機する(ステップS201:Noのループ)。ここで、ユーザによる操作部111の第1の操作があれば(ステップS201:Yes)、ステップS202に移行する。
【0017】
次に、第2受付部102が第1の操作後、基準時間内で第2受付部102がユーザによる操作部111に対する第2の操作があったかを判断する(ステップS202)。第2受付部102は、第1の操作後、基準時間内(例えば1秒以内)で、第2の操作がなかった場合(ステップS202:No)、ステップS201に戻る。一方、第1の操作後、基準時間内(例えば1秒以内)で、第1の押下位置と異なる位置で複数の指の押下があった場合、第2の操作があったと判断する(ステップS202:Yes)。
【0018】
次に、決定部103は、第1の操作により処理内容を決定する(ステップS203)。例えば、第1の操作で表示されている地図に対する処理として縮尺を拡大する処理が選択されればこの縮尺拡大を決定する。
【0019】
次に、決定部103は、第2の操作により処理内容(地図の縮尺拡大)に対する変化の度合い(変化量)を決定する。例えば、第2の操作では、複数の指の数により地図の縮尺の拡大率を決定する(ステップS204)。具体的には、操作部111を押下した指の数が多いほど、拡大率を増加させる。例えば、2本の指で押下されれば拡大率は2倍、3本の指で押下されれば拡大率は3倍、と決定する。
【0020】
以上の実施の形態によれば、操作部を押下する指の本数に基づいて表示処理する際の変化の度合いを変更することができる。この際、ユーザは、先に第1の操作で処理内容を決定した後、基準時間内であれば一旦指を操作部から離してもよい。この基準時間内で再度指を操作部に触れることにより、第2の操作として検出され、この第2の操作では、第1の操作で決定された処理内容に対する変化の度合いを指の本数に基づき決定することができる。すなわち、第1の操作後操作部から指を離してもよく、基準時間内であれば、決定部は、第1の操作で決定した処理内容を保持し、第2の操作を受け付けるため、ユーザは、第1の操作による処理内容の決定のための操作と、第2の操作による変化の度合いの決定のための操作と、を分離して操作できるようになり、明確で容易な操作性を実現できるようになる。
【0021】
また、決定部は、第2の操作による複数の押下の方向(指が並ぶ方向)により、処理の方向を決定することもできる。例えば、第1の操作で地図の縮尺が決定された場合、画面上でほぼ右方向に沿って順番に複数の指が押下された場合には、押下された指の数だけ縮尺を拡大する決定を行い、逆に画面上でほぼ左方向に沿って順番に複数の指が押下された場合には、押下された指の数だけ縮尺を縮小する決定を行う。この際、複数の押下の回数により変化の度合い(2つの指であれば縮尺時の縮尺量やスクロール時のスクロール量)を決定することができる。
【0022】
このほか、決定部は、第2の操作で一旦複数の指を操作部に押下させて変化量を決定し、表示内容をこの変化量で変化させた後、指を操作部から離したときの状態も含めて決定した処理の変化の度合いを決定することができる。例えば、第2の操作で操作部に押下させて所定の拡大率(3倍)として表示制御した後、押下している指の数を1本減らせば、減らした分だけ変化の度合いを減らし、表示の縮尺を縮小(2倍に変更)させることができる。
【0023】
このように、実施の形態によれば、操作部上で指をスライド等させずに、複数の指を押下するだけで、処理内容と、処理内容に対する変化の度合いを簡単に決定することができ、簡単な操作で表示内容を制御できるようになる。
【実施例0024】
次に、本発明の各実施例について説明する。各実施例では、上述の表示装置100をユーザの車両に搭載されたナビゲーション装置300を用いて構成した例を説明する。
【0025】
(ナビゲーション装置300のハードウェア構成)
図3は、実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、通信I/F314、GPSユニット315、各種センサ316、カメラ317、を備えている。各構成部301~317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
【0026】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、経路探索プログラム等を記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
【0027】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、例えば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0028】
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
【0029】
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データ、車両情報、画像、走行履歴などが挙げられる。地図データは、ナビゲーションシステムにおいて経路探索するときに用いられ、建物、河川、地表面、エネルギー補給施設などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をリンクやノードなどであらわす道路形状データなどを含むベクタデータである。
【0030】
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、例えば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
【0031】
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、ディスプレイ313の表示画面上に重ねて設けられる透明なタッチパネルを用いる。
【0032】
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、例えば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
【0033】
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313としては、例えば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0034】
カメラ317は、車両外部の例えば、道路を含む映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、例えば、カメラ317によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU301において画像解析したり、映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力したりする。
【0035】
通信I/F314は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、CANやLIN(Local Interconnect Network)などの車内通信網や、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F314は、例えば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System:登録商標)/ビーコンレシーバなどである。
【0036】
GPSユニット315は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット315の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、例えば、緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0037】
各種センサ316は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、傾斜センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ316の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0038】
図1に示した表示装置100は、
図3に記載のナビゲーション装置300のROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行することによって、上述した
図1の第1受付部101~決定部103が行う表示制御(表示の処理内容の決定および、決定された処理内容に対する変化の度合いの決定、および決定内容にしたがったディスプレイ313上での表示制御)の機能を実現する。
【0039】
(実施例1)
図4は、実施例1にかかる指の操作に基づく倍率変更の表示制御を説明する図である。ナビゲーション装置300のディスプレイ313上には、入力デバイス(タッチパネル)311として重ねて設けられている。
【0040】
そして、ディスプレイ313の表示画面上には地図データが表示されており、表示画面の左側には、表示に対する処理内容(図示の例では縮尺変更)を決定するための操作釦(群)401が表示されている。操作釦401の一つとして、地図データの縮尺の倍率を拡大する倍率拡大釦401aと、倍率を縮小する倍率縮小釦401bとがそれぞれ表示されているとする。
【0041】
入力デバイス(タッチパネル)311は、ディスプレイ313に表示されたこれら操作釦401等に対する押下操作時には、押下された座標位置を検出し、例えば、倍率拡大釦401a部分の押下時には倍率拡大の操作であることを検出する。
【0042】
ナビゲーション装置300が行う表示制御は、上述した処理内容の決定と、決定した処理内容に対する変化の度合いの決定、とを含み、以下これらの決定処理について主に説明する。
【0043】
例えば、ユーザが地図データの縮尺の倍率を縮小する例を用いて説明すると、ユーザは、まず第1の操作として、倍率縮小釦401bを例えば人差し指Bで押下する(図中のtouch1の箇所)。これにより、タッチパネル311は、倍率縮小釦401bの押下を検出し、CPU301は、表示の処理内容として倍率縮小を決定する。このとき、第1の操作により、地図データは1/2に縮小表示される。
【0044】
次に、ユーザは、さらに縮小倍率を変更するときには、さらに第2の操作を行う。この際、ユーザは、第1の操作で押下した指(人差し指B)以外の指を用いて、タッチパネル311上の操作釦(群)401が配置された位置以外の位置(地図データの任意の箇所)を押下する。
【0045】
ここで、ユーザが第1の操作に用いた押下中の人差し指B以外(この例では中指C)でタッチパネル311上を押下(図中のtouch2の箇所)すると、合計2本の指が押下され縮小倍率をさらに変更(例えば1/3倍に)できる。この後、さらに他の薬指Dでタッチパネル311上を押下(図中のtouch3の箇所)すると、合計3本の指がタッチパネル311上で押下され縮小倍率をさらに変更(例えば1/4倍に)できる。この後、さらに他の小指Eでタッチパネル311上を押下(図中のtouch4の箇所)すると、合計4本の指がタッチパネル311上で押下され縮小倍率をさらに変更(例えば1/5倍に)できる。
【0046】
ここで、CPU301は、第1の操作後、基準時間内(例えば1秒以内)に第2の操作があれば、押下された指の数に応じた変化の度合いに応じた縮小倍率に変更させる。このため、第1の操作で押下した指(人差し指B)を離しても、基準時間内にタッチパネル311上の操作釦401以外の箇所(地図データの任意の箇所)を押下(上記例では中指C)すれば、第2の操作として検出することができる。
【0047】
このように、第2の操作で押下する指の本数を増やすだけで、第1の操作で決定した処理内容(この例では倍率縮小)の度合いを増加させることができる。
【0048】
このような倍率縮小時には、タッチパネル311を押下する指の本数を増やすにしたがい、倍率縮小の度合いを増加できる。同様に、倍率拡大時には、タッチパネル311を押下する指の本数を増やすにしたがい、倍率拡大の度合いを増加できる。
【0049】
また、上記例では、第2の操作でタッチパネル311を押下した状態までについて説明したが、押下している指の本数を減らせば、CPU301は、それまでと逆の表示制御を行うことができる。例えば、
図4に示す4本の指BCDEを用いた押下後に一つの指(例えば小指E)だけを離したときには、それまでの倍率縮小の制御を倍率拡大(3本に対応する1/4倍に)することができる。このように、片手の各指をタッチパネル311上で押下する指の数を変更させるだけで、決定した処理内容の変化の度合いを任意に拡大縮小することができるようになる。
【0050】
さらには、いずれか1本の指だけでも押下状態として保持しておけば、以降において再度の変化の度合いを押下した指の数に応じて増減させることができる。
【0051】
この際、第2の操作では、単にタッチパネル311に対し各指の位置で順番に押下していくだけでよく、決められた釦位置などの押下を行わずに表示の処理内容に対する変化(上記例では倍率縮小)を指の負担なく(例えば指を広げて操作する等が不要で)簡単に操作できるようになる。
【0052】
(実施例2)
図5は、実施例2にかかる指の操作に基づく倍率変更の表示制御を説明する図である。実施例2では、第2の操作により順番に押下したときの指の方向により、処理内容に関する変化の方向と、前記処理内容に関する変化の度合いと、を決定する構成である。
【0053】
この実施例2では、ディスプレイ313上には、実施例1のような2つの釦(倍率拡大釦401a、倍率縮小釦401b)を設けず、一つの倍率変更釦401cだけを表示させればよい。
【0054】
そして、ユーザは、まず第1の操作として、倍率変更釦401cを例えば人差し指Bで押下する(図中のtouch1の箇所)。この状態では、CPU301は、第1の操作による表示の処理内容として倍率変更が決定されるが、処理内容の変化の方向(倍率の拡大あるいは縮小)についてはまだ決定しない。
【0055】
次に、ユーザは、倍率拡大を行う場合と、倍率縮小を行う場合とで、異なる方向に沿って複数の指を順次押下していく。これにより、CPU301は、処理内容の変化の方向を決定する。
【0056】
例えば、倍率拡大を行うときには、ユーザは、第1の操作で押下した指(人差し指B)以外の複数の指を用いて、タッチパネル311上の操作釦401以外の箇所(地図データの任意の箇所)を押下する。
【0057】
ここで、ユーザが第1の操作に用いた押下中の人差し指B以外(この例では中指C)で、タッチパネル311上で倍率変更釦401cに近い場所を押下(図中のtouch2の箇所)した場合、CPU301は、以降の押下方向が右方向と判断し、この場合、処理内容の変化の方向として倍率拡大を決定する。倍率変更釦401cの座標位置に対し所定距離までの範囲の座標位置はあらかじめ近い場所として設定しておく。同時に、CPU301は、処理内容の変化の度合いが例えば2倍拡大として第2の処理内容を決定する。
【0058】
この状態でさらに、他の薬指Dでタッチパネル311上を押下(図中のtouch3の箇所)すれば、合計3本の指がタッチパネル311上で押下され(この際の押下方向も右方向)、拡大倍率をさらに変更(例えば3倍に)できる。同様に、この後、さらに他の小指Eでタッチパネル311上を押下(図中のtouch4の箇所)すれば、拡大倍率を4倍に変更できる。
【0059】
一方、倍率縮小を行うときには、ユーザが第1の操作に用いた押下中の人差し指Bの位置から離れた場所を押下(図中のtouch4の箇所で小指Eを押下)した場合、CPU301は、以降の押下方向が左方向と判断し、この場合、例えば倍率縮小と第1の処理内容を決定する。同時に、CPU301は、処理内容の変化の度合いが例えば縮小倍率を1/2倍として第2の処理内容を決定する。
【0060】
この状態でさらに、小指Eから左側に位置する箇所を他の薬指Dで押下(図中のtouch3の箇所)すれば、縮小倍率をさらに変更(例えば1/3倍に)できる。同様に、この後、さらに薬指Dより左側に位置する他の中指Cでタッチパネル311上を押下(図中のtouch2の箇所)すれば縮小倍率を1/4倍に変更できる。
【0061】
図6は、実施例2にかかる指の操作に基づく倍率変更の表示制御例を示すフローチャートである。CPU301が実行する倍率変更の決定処理を主に記載してある。はじめに、CPU301は、倍率変更釦401cの押下を検出すると(ステップS601)、倍率変更釦401c以外の場所に対する2回目の押下の位置の検出を待つ(ステップS602)。この際、実施例2のように、ユーザは、倍率変更釦401cの押下後、この倍率変更釦401c部分の押下を離してもよいし、実施例1のように、倍率変更釦401cを押下しながら他の指で2回目の押下を行ってもよい。
【0062】
このステップS602では、CPU301は、倍率変更釦401cの押下後、基準時間だけ次の2回目の押下を待つ。そして、倍率変更釦401cの押下後、基準時間内に次の押下がなければ(ステップS602:Case1)、倍率変更の動作をキャンセルし(ステップS603)、処理を終了する。
【0063】
また、倍率変更釦401cの押下後、基準時間内に倍率変更釦401cに近い位置(
図5の例ではtouch2)が押下されれば(ステップS602:Case2)、CPU301は、倍率変更の処理を拡大に決定する(ステップS604)。また、倍率変更釦401cの押下後、基準時間内に倍率変更釦401cから遠い位置(
図5の例ではtouch4)が押下されれば(ステップS602:Case3)、CPU301は、倍率変更の処理を縮小に決定する(ステップS610)。
【0064】
ステップS604側の倍率拡大の処理では、ステップS602による2回目の押下から所定時間内に3回目の押下があるか判断する(ステップS605)、3回目の押下がなければ(ステップS605:No)、押下されている指の数は2本であり、拡大倍率を2倍に決定し(ステップS606)、処理を終了する。一方、3回目の押下があれば(例えば
図5のtouch3、ステップS605:Yes)、ステップS607に移行する。
【0065】
ステップS607では、ステップS605の後所定時間内に4回目の押下があるか判断する(ステップS607)、4回目の押下がなければ(ステップS607:No)、押下されている指の数は3本であり、拡大倍率を3倍に決定し(ステップS608)、処理を終了する。一方、4回目の押下があれば(例えば
図5のtouch4、ステップS607:Yes)、押下されている指の数は4本であり、拡大倍率を4倍に決定し(ステップS609)、処理を終了する。
【0066】
ステップS610側の倍率縮小の処理では、ステップS602による2回目の押下から所定時間内に3回目の押下があるか判断する(ステップS611)、3回目の押下がなければ(ステップS611:No)、押下されている指の数は2本であり、縮小倍率を1/2倍に決定し(ステップS612)、処理を終了する。一方、3回目の押下があれば(例えば
図5のtouch3、ステップS611:Yes)、ステップS613に移行する。
【0067】
ステップS613では、ステップS610の後所定時間内に4回目の押下があるか判断する(ステップS613)、4回目の押下がなければ(ステップS613:No)、押下されている指の数は3本であり、縮小倍率を1/3倍に決定し(ステップS614)、処理を終了する。一方、4回目の押下があれば(例えば
図5のtouch2、ステップS613:Yes)、押下されている指の数は4本であり、縮小倍率を1/4倍に決定し(ステップS615)、処理を終了する。
【0068】
このように、実施例2では、第2の操作時の複数の指の押下方向によって、第1の操作での処理内容の決定を同時に行うことができるようになる。
【0069】
上記の実施例1、2のいずれにおいても、第1の操作後、第2の操作を行うまでは、基準時間分の猶予がある。この際、第1の操作後一旦指を離してもよく、基準時間内に再度指を押下すればよいため、第1の操作による処理内容の決定と、第2の操作による処理内容の変化の度合いの決定とを指を離すことで、感覚的および時間的に分離して切り分けて操作できるようになる。例えば、第1の操作で用いた指を第2の操作時に再度用いてもよい。例えば、第1の操作で倍率縮小釦401b(touch1)を人差し指Bで押下した後、この人差し指Bを一旦離し、第2の操作で再度人差し指Bでtouch2の部分を押下してもよい。
【0070】
(実施例3)
図7は、実施例3にかかる指の操作に基づくスクロール量変更の表示制御を説明する図である。上記の実施例では倍率変更について説明したが、実施例3では、スクロール量変更について説明する。スクロール変更でも、基本的に上記実施例同様に複数の指の押下によりスクロールに関する表示制御(処理内容の決定と、決定した処理内容の変化量の決定)とを行う。
【0071】
図示のように、地図データのスクロールの場合、処理内容を決定する釦は設けていない。この場合、CPU301は、ディスプレイ313上の中心位置に十時型の指標Xを表示し、この指標Xから離れた位置を押下した場合、押下した位置がディスプレイ313の中心位置となるように表示画面(地図データ)をスクロールする制御を行う。
【0072】
ここで、はじめに指が触れた位置がディスプレイ313の中心位置となるように表示画面(地図データ)をスクロールする制御を行う。
図7の例では、はじめに、人差し指Bでtouch1の箇所を押下した場合、CPU301は、touch1の位置がディスプレイ313の中心位置となるように制御する(第1の操作に相当)。このとき、スクロール速度は通常速度(1倍)とする。
【0073】
第1の操作以降、複数の指が押下された場合、CPU301は、以降の指の数で第2の操作、すなわち、変化の度合い(スクロール速度)を決定する。
図7に示すように、touch1の部分を人差し指Bで押下した状態のままで、他の中指Cでtouch2の部分を押下した場合、2本の指による押下であり、CPU301は、例えば、第2の操作としてスクロール速度を通常速度の2倍に変更(増加)させる。この後、薬指Dを加えた3本の指による押下ではスクロール速度を通常速度の3倍、小指Eを加えた4本の指による押下ではスクロール速度を通常速度の4倍に変更する。
【0074】
図8は、実施例3にかかる指の操作に基づくスクロール量変更の表示制御例を示すフローチャートである。CPU301が実行するスクロール速度変更の決定処理を主に記載してある。はじめに、CPU301は、地図データ上での指の押下を検出すると(ステップS801)、押下した位置がディスプレイ313の中心位置となるように表示画面(地図データ)をスクロールする制御を行う。
【0075】
この際、CPU301は、1回目の押下から所定時間内に2回目の指の押下があるかを判断する(ステップS802)。2回目の押下がなければ(ステップS802:No)、スクロール速度を通常速度(1倍)としてスクロール開始させ(ステップS803)、処理を終了する。
【0076】
ステップS802において、2回目の押下があれば(
図7の例でtouch2、ステップS802:Yes)ステップS804に移行する。ステップS804では、2回目の押下から所定時間内に3回目の指の押下があるかを判断する(ステップS804)。3回目の押下がなければ(ステップS804:No)、押下されている指の数は2本であり、スクロール速度を通常速度の2倍としてスクロール開始させ(ステップS805)、処理を終了する。
【0077】
ステップS804において、3回目の押下があれば(
図7の例でtouch3、ステップS804:Yes)ステップS806に移行する。ステップS806では、3回目の押下から所定時間内に4回目の指の押下があるかを判断する(ステップS806)。4回目の押下がなければ(ステップS806:No)、押下されている指の数は3本であり、スクロール速度を通常速度の3倍としてスクロール開始させ(ステップS807)、処理を終了する。4回目の押下があれば(
図7の例でtouch4、ステップS806:Yes)、押下されている指の数は4本であり、スクロール速度を通常速度の4倍としてスクロール開始させ(ステップS808)、処理を終了する。
【0078】
この実施例3においても、押下した指の本数を減らす毎にスクロール速度を減少させることができ、また、押下した指の本数の増減に対応してスクロール速度を増減させることができる。
【0079】
(実施例4)
実施例4は、実施例3の変形例である。この実施例4では、複数の指の押下の時間的間隔、あるいは各指の押下の幅に応じてスクロールの速度を変化させる例を説明する。
【0080】
図9は、実施例4にかかる指の操作に基づくスクロール変更の表示制御を説明する図である。まず、複数の指で押下した隣接する位置の間隔に基づきスクロール速度を変更してもよい。実施例2では、1カ所の押下(touch1)の通常速度(1倍)のスクロール量と、2本の指(touch1とtouch2)の際の2倍のスクロール速度とした。
【0081】
実施例4では、隣接する2つの指で押下した位置(touch1とtouch2の間隔L1)に基づき、2本の指(touch1とtouch2)の際の2倍のスクロール速度を基準として、例えば、間隔L1に応じて1.5~2.5倍のスクロール速度とする。これにより、2本の指の間隔L1に応じてスクロール速度を連続可変できるようになる。また、2本の指を押下した状態で間隔L1を変更することで、スクロール速度を変更することもできる。
【0082】
この後、3本目の指を押下した場合、2本目と3本目の押下位置(touch2とtouch3の間隔L2)に基づき、3本の指による押下では通常速度の3倍のスクロール速度を基準として、例えば、間隔L2に応じて2.5~3.5倍のスクロール速度とする。
【0083】
このように隣接する各指を押下する毎に間隔L1、L2に基づくスクロール速度を変更させる場合、隣接する間隔L1、L2だけでスクロール速度を変更させるに限らず、押下した指全体の間隔全体の間隔L1+L2に基づいてスクロール速度を変更させることとしてもよい。
【0084】
以上説明した各実施例では、片手の指を用いた操作例を説明したが、両手を用いてさらに押下本数を増やしてもよく、決定した処理内容の変化の度合いをさらに大きく、および細かく制御できるようになる。
【0085】
そして、各実施例で説明したように、ディスプレイ上のタッチパネルに対し、指を単純に押下するだけで(スライド等の操作やタッチ面積の増減のための押下の強さの調整を不要として)、処理内容(拡大/縮小やスクロール量等)の決定、および決定した処理内容の変化の度合い(倍率やスクロール速度)を簡単に操作できるようになる。この際、押下する指の数の変更で処理内容の変化の度合い(倍率やスクロール速度)を簡単に操作できる。さらには、指を順番に操作したときの押下の方向にしたがい処理内容の変化の度合いを操作することもできるため、操作のために指の押下の仕方を考える必要がなく、直感的に容易に操作できるようになる。
【0086】
また、上記実施例では、表示装置としてナビゲーション装置を用いる構成例を説明したが、他にタッチパネルを有する電子機器、例えば、スマートフォンやタブレット、タッチパネルを備えたPCのディスプレイなどにも同様に適用することができる。ディスプレイの表示面積等が大きければ、それだけ押下可能な指の本数も多くなるため、両手を用いて操作することもできるようになる。
【0087】
なお、本実施の形態で説明した表示の方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。