(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059869
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】メッセンジャーRNAの皮下送達
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20240423BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240423BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240423BHJP
C12N 15/56 20060101ALI20240423BHJP
C12N 15/52 20060101ALI20240423BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P3/00
A61P7/04
A61P21/00
A61P25/00
A61P9/00
A61P27/02
A61P7/00
A61K9/16
A61K47/22
A61K47/18
C12N15/56
C12N15/52 Z
C12N15/88 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027984
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2020564205の分割
【原出願日】2019-05-14
(31)【優先権主張番号】62/671,820
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】カーブ, シュリラング
(72)【発明者】
【氏名】デローサ, フランク
(72)【発明者】
【氏名】バブサー, ザーナ
(72)【発明者】
【氏名】ハートレイン, マイケル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療用mRNAの皮下送達方法を提供する。
【解決手段】メッセンジャーRNA(mRNA)をそれを必要とする対象に皮下送達するための方法であって、前記方法が、前記対象に、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAと、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAと、を含む組成物を皮下投与することを含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセンジャーRNA(mRNA)をそれを必要とする対象に皮下送達するための方法であって、前記方法が、前記対象に、
タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAと、
ヒアルロニダーゼをコードするmRNAと、を含む組成物を皮下投与することを含む、方法。
【請求項2】
タンパク質またはポリペプチドをコードする前記mRNAが治療用mRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒアルロニダーゼが哺乳類ヒアルロニダーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記哺乳類ヒアルロニダーゼがウシヒアルロニダーゼである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳類ヒアルロニダーゼがヒトヒアルロニダーゼである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒアルロニダーゼmRNAが、配列番号9、10、および12のいずれか一つから選択される配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記治療用mRNAまたはヒアルロニダーゼmRNAが、一つ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記治療用mRNAまたは前記ヒアルロニダーゼmRNAが、個別にキャップされ、テールされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記治療用mRNAおよび前記ヒアルロニダーゼmRNAが、一つ以上の脂質ナノ粒子に封入される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記一つ以上の脂質ナノ粒子がカチオン性脂質を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カチオン性脂質が、cKK-E12(3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン)、OF-02、ターゲット23、ターゲット24、ICE、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2-ジオレイニル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA、DLin-KC2-DMA、ジアルキルアミノ系、イミダゾール系、およびグアニジニウム系カチオン性脂質からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記一つ以上の脂質ナノ粒子がPEG修飾脂質を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記PEG修飾脂質が、前記脂質内の総脂質ナノ粒子の総脂質の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%を構成する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記脂質ナノ粒子がリポソームを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記治療用mRNAおよび前記ヒアルロニダーゼmRNAが、単一のリポソームに封入される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記治療用mRNAが、前記ヒアルロニダーゼmRNA組成物とは別の組成物で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記治療用mRNAおよび前記ヒアルロニダーゼmRNAが、単一の製剤で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記治療用mRNAおよび前記ヒアルロニダーゼmRNAが、個別の製剤で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記治療用mRNAおよび前記ヒアルロニダーゼmRNAが、個別に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒアルロニダーゼmRNA mRNAが、前記治療用mRNA組成物の投与前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、前記治療用mRNA組成物の投与の0.1時間、0.2時間、0.3時間、0.4時間、0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、第一のmRNA組成物の投与の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記治療用mRNAが、肝臓で発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記治療用mRNAが、肺で発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記治療用mRNAが、腎臓で発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記治療用mRNAが、皮下組織で発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記治療用mRNAが、血清で発現される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記mRNAを皮下投与することが、皮下注射を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒアルロニダーゼmRNAを皮下投与することが、局所投与を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
in vivoタンパク質発現のためのメッセンジャーRNA(mRNA)送達方法であって、
対象に皮下注射を介して
a)タンパク質をコードするmRNAと、
b)ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAと、を投与することを含む、方法。
【請求項31】
対象における疾患、障害、または症状を治療するための方法であって、タンパク質またはポリペプチドをコードする治療用mRNA、およびヒアルロニダーゼをコードするヘルパーmRNAを前記対象に皮下送達することを含み、前記治療用mRNAをコードするタ
ンパク質またはポリペプチドが前記対象において欠損している、方法。
【請求項32】
前記治療用mRNAが、肝臓で発現される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記治療用mRNAが、肺で発現される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患、障害、または症状が、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)欠損症(フェニルケトン尿症、PKU)、アルギニノコハク酸シンターゼ1(ASS1)欠損症、エリスロポエチン(EPO)欠損症、ファブリー病;血友病性疾患(例えば、血友病B(FIX)、血友病A(FVIII));SMN1関連脊髄性筋萎縮症(SMA);筋萎縮性側方硬化症(ALS);GALT関連ガラクトース血症;アルポート症候群を含むCOL4A5関連障害;ガラクトセレブロシダーゼ欠損症;X連鎖副腎白質ジストロフィー;フリートライヒ運動失調症;ペリツェウス・メルツバッハ病;TSC1およびTSC2関連結節性(脳)硬化症;サンフィリポB症候群(MPS IIIB);脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群、および脆弱X早期卵巣不全症候群を含むFMR1関連障害;プラダー・ウィリー症候群;遺伝性出血性毛細管拡張症(AT);ニーマン・ピック病タイプC1;若年型神経セロイドリポフスチノーシス(JNCL)、若年バッテン病、サンタヴォリ・ハルティア病、ヤンスキー・ビールショースキー病、ならびにPTT-1およびTPP1欠損症を含む、神経セロイドリポフスチン症関連疾患;中枢神経系ミエリン形成不全/白質消失病を伴うEIF2B1、EIF2B2、EIF2B3、EIF2B4、およびEIF2B5関連小児期運動失調;CACNA1AおよびCACNB4関連一過性運動失調症2型;古典的レット症候群、MECP2関連重度新生児脳症、およびPPM-X症候群を含むMECP2関連障害;CDKL5関連非定型レット症候群;ケネディ病(SBMA);皮質下梗塞および白質脳症(CADASIL)を伴うノッチ-3関連常染色体優性脳動脈症;SCN1AおよびSCN1B関連の発作障害;アルパーズ・フッテンロッハー症候群、POLG関連感覚性運動失調型ニューロパチー、構音障害、および眼麻痺、ならびにミトコンドリアDNA欠失を伴う常染色体優性および劣性の進行性外眼筋麻痺を含む、ポリメラーゼG関連障害;X連鎖副腎低形成;X連鎖無ガンマグロブリン血症;ウィルソン病から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患がオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記治療用mRNAが、ヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)をコードする、請求項1または31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月15日に出願された米国仮出願第62/671,820号に対する優先権を主張するものであり、当該出願はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
配列表
本明細書は、(「MRT-1252WO_ST25」という名称のテキスト(.txt)ファイルとして2019年5月13日に電子的に提出された)配列表を参照する。当該テキストファイルは、2019年5月13日に作成されたものであり、サイズは26,169バイトである。配列表の全内容が、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
メッセンジャーRNA療法(MRT)は、様々な疾患の治療にますます重要なアプローチとなっている。MRTは、治療を必要とする患者にメッセンジャーRNA(mRNA)を投与し、患者体内でmRNAによってコードされるタンパク質を産生するものである。脂質ナノ粒子は、mRNAの効率的なin vivo送達のため、mRNAを送達するために一般的に使用されており、現在では、特定のmRNA担持脂質ナノ粒子を静脈内送達を介して全身送達することが可能となっている。しかしながら、患者の快適性及びコンプライアンスを高めるためには、治療用mRNAの皮下送達方法の改善が非常に必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、とりわけ、皮下投与を介してmRNAを効果的にin vivoで送達するための改善された方法および組成物を提供する。詳細には、治療用mRNAの循環への効率的な曝露のため、治療対象のタンパク質をコードするmRNAを、ヒアルロニダーゼなどの細胞外基質を分解できる酵素をコードするmRNAと共に皮下注射する。本明細書に記載されるように、ヒアルロニダーゼをコードする第二のmRNAと共に投与されるとき、治療対象タンパク質をコードする第一のmRNAは、特に肝臓において、in vivoでのその効率的なタンパク質発現を伴う、第一の治療用mRNAの予想外に効率的な送達をもたらす。mRNAは脂質ナノ粒子(LNP)に封入されている。一部の実施形態では、治療用mRNAは脂質ナノ粒子(LNP)内に封入されている。一部の実施形態では、治療用mRNAおよびヒアルロニダーゼの両方は、脂質ナノ粒子(LNP)内に封入されている。ヒアルロニダーゼは小分子およびタンパク質薬剤の皮下送達を増強するために使用されているが、ヒアルロニダーゼが、mRNA、特に脂質ナノ粒子(LNP)に封入されたmRNAの皮下送達を促進させるのに効果的であるかどうかは、LNP-mRNA製剤のサイズがかなり異なることやその複雑性の観点から、発明者による最近の調査の前にはわからなかった。多くのmRNA担持LNPは、約100nmに近いか、または約100nmのサイズを持ち、これは典型的なタンパク質(典型的な抗体を含有するタンパク質は平均20nm未満のサイズを有する)の少なくとも五倍大きいサイズである。ヒアルロニダーゼをコードするmRNAの存在下でのmRNA-LNPの送達が、mRNA-LNPの皮下取込みおよび送達を増強するのに有効であるかどうかはさらに不明であった。出願人の出願である(参照により本明細書に全体が援用される)2017年10月11日に出願されたPCT/US17/61176において最近初めて報告された、ヒアルロニダーゼ酵素を用いた皮下送達後の効率的なmRNA送達及び肝臓における高いタンパク質発現を考慮すると、本発明は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症など
の代謝性疾患の治療に特に有用である。治療用mRNAを送達するために、同じまたは別個の製剤中のヒアルロニダーゼをコードするmRNAを使用すると、治療用mRNAの堅牢かつ持続的な送達および分布を、驚くべき容易さと費用対効果とともに達成することができる。理論に拘束されることを望まないが、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、投与部位で容易に分布し、翻訳され、次いで、in situで翻訳されたヒアルロニダーゼの機能の結果として、治療用mRNAの取り込みおよび効率的な分布を助ける可能性が高い。本出願で提供されるヒアルロニダーゼを用いる投与は、mRNAの皮下送達の効率を増加させ、これは、静脈内(IV)または筋肉内(IM)などの他の投与経路に比べてより患者にやさしく、医療コストを削減し、病院における患者のコンプライアンスおよびスループットを向上させることができる。
【0005】
一態様では、本発明は、メッセンジャーRNA(mRNA)を、それを必要とする対象に皮下送達するための方法を提供し、方法は、当該対象に、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNA、およびヒアルロニダーゼをコードするmRNAを含む組成物を皮下投与することを含む。
【0006】
一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAは、治療用mRNAである。一部の実施形態では、mRNAによってコードされるタンパク質またはポリペプチド、すなわち、本明細書に記載される治療用mRNAは、エリスロポエチン(EPO)、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、アルギニノコハク酸シンターゼ1(ASS1)、α1-抗トリプシン(A1AT)、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、カルボキシペプチダーゼN、アルファガラクトシダーゼ(GLA)、オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ(OTC)、ヒト成長ホルモン(hOtt)、SLC3A1コードタンパク質、SLC3A9コードタンパク質、COL4A5コードタンパク質、FXNコードタンパク質、GNSコードタンパク質、HGSNATコードタンパク質、NAGLUコードタンパク質、SGSHコードタンパク質、MUTコードタンパク質メチルマロニルCoAムターゼおよびATP7Bコードタンパク質ATPase 2からなる群から選択されるタンパク質またはポリペプチドをコードする。
【0007】
一部の実施形態では、治療用mRNAである、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAは、約0.5kb、1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、11kb、12kb、13kb、14kb、または15kb以上の長さを有する。
【0008】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、ウシヒアルロニダーゼ、ブタヒアルロニダーゼ、ウマヒアルロニダーゼ、ヒツジヒアルロニダーゼおよびヒトヒアルロニダーゼから選択される哺乳類ヒアルロニダーゼをコードする、ヘルパーmRNAである。
【0009】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、配列番号9、10、または12に対して少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0010】
一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、個別にキャップされ、テールされる。
【0011】
一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)内に封入されている。
【0012】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、cKK-E12(3,6-ビス(4-(ビス(
2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン)、OF-02、ターゲット23、ターゲット24、ICE、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA、DODAC、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOGS、DODMA、DMDMA、DODAC、DLenDMA、DMRIE、CLinDMA、CpLinDMA、DMOBA、DOcarbDAP、DLinDAP、DLincarbDAP、DLinCDAP、K-K-DMA、DLin-K-XTC2-DMA、DLin-KC2-DMA、ジアルキルアミノ系、イミダゾール系、およびグアニジン系カチオン性脂質からなる群から選択されるカチオン性脂質を含む。
【0013】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、一つ以上の非カチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、該一つ以上の非カチオン性脂質は、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)、DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
一部の実施形態では、リポソームはPEG化脂質を含む。一部の実施形態では、PEG化脂質は、リポソーム内の総脂質の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%を構成する。一部の実施形態では、PEG化脂質は、リポソーム内の総脂質の少なくとも5%を構成する。一部の実施形態では、PEG化脂質は、リポソーム内の総脂質の約5%を構成する。一部の実施形態では、PEG化脂質は、リポソーム内の総脂質の10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、または3%以下を構成する。一部の実施形態では、PEG化脂質は、リポソーム内の総脂質の5%以下を構成する。
【0015】
一部の実施形態では、mRNAは、非修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、mRNAは、一個以上の修飾ヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、該一個以上の修飾ヌクレオチドは、シュードウリジン、N-1-メチル-シュードウリジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、4’チオウリジン、4’-チオシチジン、および/または2-チオシチジンを含む。
【0016】
一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、ナノ粒子(LNP)内に封入されている。一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、別個のLNP内に封入されている。一部の実施形態では、タンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、非同一の組成物を有する別個のLNP内に封入されている。
【0017】
一部の実施形態では、治療用mRNAおよびヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、同時に投与される。一部の実施形態では、治療用mRNAおよびヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、連続して投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、治療用mRNA組成物の投与の0.1時間、0.2時間、0.3時間、0.4時間、0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間前に投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、治療用mRNA組成物の投与の1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、または6時間前に投与される。
【0018】
一部の実施形態では、治療用mRNAによってコードされるタンパク質は肝臓で発現される。一部の実施形態では、治療用mRNAによってコードされるタンパク質は、腎臓内で発現される。一部の実施形態では、治療用mRNAによってコードされるタンパク質は、肺内で発現される。一部の実施形態では、治療用mRNAによってコードされるタンパク質は、血清中で検出可能である。一部の実施形態では、治療用mRNAによってコードされるタンパク質の発現は、単回投与の少なくとも24時間後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、または1週間後に検出可能である。
【0019】
一部の実施形態では、治療用mRNAは、体重で、少なくとも0.5mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、治療用mRNAは、体重で、約1mg/Kg、約2mg/Kg、約3mg/Kg、約4mg/Kg、約5mg/Kg、約6mg/Kg、約7mg/Kg、約8mg/Kg、約9mg/Kg、約10mg/kg、約11mg/Kg、約12mg/Kg、約13mg/Kg、約14mg/Kg、約15mg/Kg、約16mg/Kg、約17mg/Kg、約18mg/Kg、約19mg/Kg、約20mg/Kg、約25mg/Kg、約30mg/Kg、または約50mg/Kgで投与される。
【0020】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードする約0.1~100mgのmRNAが投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードする約0.5~90mgのmRNAが投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードする約1~80mgのmRNAが投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードする約2~70mgのmRNAが投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードする約3~60mgのmRNAが投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードする約4~50mgのmRNAが投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードする約5~50mgのmRNAが投与される。
【0021】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、送達される治療用RNA 1mg当たり少なくとも約1Uのヒアルロニダーゼ酵素の予想量を生成する翻訳のため、同等の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼmRNAは、少なくとも2U/mgの送達される治療用RNA、少なくとも5U/mgの治療用RNA、少なくとも10U/mgの治療用RNA、少なくとも20U/mgの治療用RNA、少なくとも30U/mgの治療用RNA、少なくとも40Uの治療用RNA、少なくとも50Uの治療用RNA、少なくとも100Uの治療用RNA、少なくとも200Uの治療用RNA、少なくとも300Uの治療用RNA、少なくとも400Uの治療用RNA、少なくとも500Uの治療用RNA、少なくとも1000Uの治療用RNA、少なくとも2000Uの治療用RNA、少なくとも3000Uの治療用RNA、少なくとも4000Uの治療用RNA、少なくとも5000Uの治療用RNAと同等の用量で投与される。一態様では、本発明は、対象における疾患、障害、または症状を治療するための方法であって、タンパク質またはポリペプチドをコードする治療用mRNA、およびヒアルロニダーゼをコードするヘルパーmRNAを該対象に皮下送達することを含み、治療用mRNAコードタンパク質またはポリペプチドは対象において欠損している、方法を提供する。本明細書における疾患、障害、または症状は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症
、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)欠損症(フェニルケトン尿症、PKU)、アルギニノコハク酸シンターゼ1(ASS1)欠損症、エリスロポエチン(EPO)欠損症、ファブリー病;血友病性疾患(例えば、血友病B(FIX)、血友病A(FVIII));SMN1関連脊髄性筋萎縮症(SMA);筋萎縮性側方硬化症(ALS);GALT関連ガラクトース血症;アルポート症候群を含むCOL4A5関連障害;ガラクトセレブロシダーゼ欠損症;X連鎖副腎白質ジストロフィー;フリートライヒ運動失調症;ペリツェウス・メルツバッハ病;TSC1およびTSC2関連結節性(脳)硬化症;サンフィリポB症候群(MPS IIIB);脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群、および脆弱X早期卵巣不全症候群を含むFMR1関連障害;プラダー・ウィリー症候群;遺伝性出血性毛細管拡張症(AT);ニーマン・ピック病タイプC1;若年型神経セロイドリポフスチノーシス(JNCL)、若年バッテン病、サンタヴォリ・ハルティア病、ヤンスキー・ビールショースキー病、ならびにPTT-1およびTPP1欠損症を含む、神経セロイドリポフスチン症関連疾患;中枢神経系ミエリン形成不全/白質消失病を伴うEIF2B1、EIF2B2、EIF2B3、EIF2B4、およびEIF2B5関連小児期運動失調;CACNA1AおよびCACNB4関連一過性運動失調症2型;古典的レット症候群、MECP2関連重度新生児脳症、およびPPM-X症候群を含むMECP2関連障害;CDKL5関連非定型レット症候群;ケネディ病(SBMA);皮質下梗塞および白質脳症(CADASIL)を伴うノッチ-3関連常染色体優性脳動脈症;SCN1AおよびSCN1B関連の発作障害;アルパーズ・フッテンロッハー症候群、POLG関連感覚性運動失調型ニューロパチー、構音障害、および眼麻痺、ならびにミトコンドリアDNA欠失を伴う常染色体優性および劣性の進行性外眼筋麻痺を含む、ポリメラーゼG関連障害;X連鎖副腎低形成;X連鎖無ガンマグロブリン血症;ウィルソン病から選択される。
【0022】
一態様では、本開示は、mRNA療法によるオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症の治療方法を提供する。本方法は、OTCタンパク質をコードするメッセンジャーRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAを含む皮下送達用の組成物を、治療を必要とする対象に投与することを含む。
【0023】
一部の実施形態では、OTC mRNAはナノ粒子内に封入されている。一部の実施形態では、ナノ粒子は脂質ベースまたはポリマーベースのナノ粒子である。一部の実施形態では、脂質ベースのナノ粒子はリポソームである。
【0024】
一部の実施形態では、皮下注射は、対象の肝臓においてOTCタンパク質の発現をもたらす。
【0025】
一部の実施形態では、皮下注射はmRNAを肝細胞に送達する。一部の実施形態では、皮下注射は、肝細胞におけるOTC発現をもたらす。
【0026】
一部の実施形態では、皮下注射は、対象の血清中においてOTCタンパク質の発現をもたらす。
【0027】
一部の実施形態では、mRNAによってコードされるタンパク質の発現は、投与の少なくとも24時間後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、または1カ月後に検出可能である。
【0028】
一部の実施形態では、mRNA投与後のOTC発現は、機能的アッセイにより検出され得る。
【0029】
一部の実施形態では、当該組成物の投与は、対照レベルと比較して、対象血清中のOTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルの増加を生じさせる。一部の実施形態では、
対照レベルは、治療前の対象におけるベースライン血清OTCタンパク質の発現レベルまたは活性レベルである。一部の実施形態では、対照レベルは、治療を行わないOTC患者における血清OTCタンパク質の平均の発現レベルまたは活性レベルを示す参照値である。
【0030】
一部の実施形態では、当該組成物の投与は、対照のオロチン酸値と比較して、対象における尿オロチン酸値の低下を生じさせる。一部の実施形態では、対照オロチン酸値は、治療前の対象におけるベースライン尿オロチン酸値である。一部の実施形態では、対照オロチン酸値は、治療を行わないOTC患者における平均尿オロチン酸値を示す参照値である。
【0031】
一部の実施形態では、当該組成物の投与は、対照シトルリン値と比較して、対象血清中のシトルリン値の増加を生じさせる。一部の実施形態では、対照シトルリン値は、治療前の対象におけるベースライン血清シトルリン値である。一部の実施形態では、対照シトルリン値は、治療を行わないOTC患者における平均血清シトルリン値を示す参照値である。
【0032】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAが、同時に注射される。
【0033】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAが、一つの組成物で注射される。
【0034】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAが、個別の組成物で注射される。
【0035】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAが、連続的に注射される。
【0036】
一部の実施形態では、OTCタンパク質をコードするmRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAが、20ml未満、15ml未満、10ml未満、5ml未満、4ml未満、3ml未満、2ml未満、または1ml未満の体積で注射される。
【0037】
一部の実施形態では、皮下注射は、週に一回以下の頻度で実施される。一部の実施形態では、皮下注射は、月に二回以下の頻度で実施される。一部の実施形態では、皮下注射は月に一回以下の頻度で実施される。
【0038】
別の態様では、本発明は、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードするmRNAと、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAとを含む、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症を治療するための組成物を提供する。
【0039】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、20mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、18mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、16mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、14mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、12mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、10mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、9mg/mL以下の用量で投与される。一部の
実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、8mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、7mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、6mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、5mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、4mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、3mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、2mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、1mg/mL以下の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素をコードするmRNAは、1~20mg/mLの範囲の用量で投与される。
【0040】
一部の実施形態では、mRNAはナノ粒子内に封入されている。
【0041】
一部の実施形態では、ナノ粒子は脂質ベースまたはポリマーベースのナノ粒子である。
【0042】
一部の実施形態では、組成物は液体形態である。
【0043】
別の実施形態では、組成物は凍結乾燥粉末である。
【0044】
一態様では、本発明は上述の組成物を含む容器を提供する。容器はバイアルまたはシリンジである。シリンジは、単一皮下投与のために予め充填されていてもよい。バイアルは、組成物の凍結乾燥粉末または液体形態を含んでもよい。
【0045】
本出願において、「または」の使用は、他に記載がない限り、「および/または」を意味する。本出願において使用される場合、用語「含む(comprise)」、ならびに「含んでいる(comprising)」および「含み(comprises)」などの用語の変化形は、他の添加物、成分、整数、または工程を除外することを意図するものではない。本出願において使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は同意語として用いられている。両方の用語は、当業者によって理解される任意の通常のゆらぎを網羅することを意味する。
【0046】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において明らかになる。しかしながら、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示すが、単に例示のために与えられるものであり、制限するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲内の様々な変更および修正は、当業者には明らかになるであろう。
【0047】
定義
本発明をより容易に理解するために、特定の用語を最初に以下に定義する。以下の用語および他の用語の追加の定義は、明細書全体を通して定められている。
【0048】
動物:本明細書で使用される場合、用語「動物」は、動物界の任意のメンバーを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階でのヒトを意味する。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階での非ヒト動物を意味する。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、ゲッ齒類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、及び/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物には、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、及び/または蠕虫類が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝
子組換え動物、及び/またはクローンであり得る。
【0049】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、対象となる一つ以上の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、記述された参照値に類似する値を指す。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に明記しない限り、または文脈からそうでないことが明らかでない限り(そのような数が可能値の100%を超える場合を除く)、記述された参照値のいずれかの方向(より大きいかまたは小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満の値の範囲を指す。
【0050】
送達:本明細書で使用される際に、用語「送達」は、局所送達および全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そしてその標的組織内で保持される状況(「局所分布」または「局所送達」とも称される)、mRNAが標的組織に送達され、そのコードされたタンパク質が発現され、そして患者の循環系(例えば、血清)内に分泌され、そして全身に分布され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分布」または「全身送達」とも称される)を包含する。
【0051】
封入:本明細書で使用される場合、用語「封入」または文法上の相当語句は、ナノ粒子内に個々のmRNA分子を閉じ込めるプロセスを指す。
【0052】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、mRNAをポリペプチドへと翻訳すること、複数のポリペプチドをインタクトなタンパク質(例えば、酵素)へと構築すること、及び/またはポリペプチドもしくは完全に構築されたタンパク質(例えば、酵素)の翻訳後修飾をすることを指す。この用途において、用語「発現」及び「産生」ならびに文法的等価物は互換的に使用される。
【0053】
半減期:本明細書で使用される場合、用語「半減期」は、核酸またはタンパク質の濃度または活性などの量が、ある期間の開始時に測定された値の半分まで下がるのに要する時間である。
【0054】
ヒアルロニダーゼ:本明細書で使用される場合、用語「ヒアルロニダーゼ」は、ヒアルロン酸(ヒアルロナン)を分解することができる酵素のファミリーを指す。
【0055】
改善する、増加させる、または低減する:本明細書で使用される場合、「改善」、「増加」、もしくは「低減」という用語、または文法的等価物は、本明細書に記載される治療の開始前の同一個体での測定値、または本明細書に記載される治療を受けていない対照被験体(または複数の対照被験体)での測定値などのベースライン測定値に対する相対的な値を示唆するものである。「対照被験体」とは、治療を受けている対象と同じ疾患形態を患っており、治療を受けている対象とほぼ同じ年齢の対象のことである。
【0056】
in vitro:本明細書で使用される場合、用語「in vitro」は、多細胞生物体内ではなく、例えば、試験管または反応容器中、細胞培養液中などの人工的な環境で生じる事象を意味する。
【0057】
in vivo:本明細書で使用される場合、用語「in vivo」は、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物体内で生じる事象を意味する。細胞型系の文脈において、該用語は、生細胞内で生じる事象を意味するのに(例えばin vitro系の対語として)使用され得る。
【0058】
局所分布または局所送達:本明細書において使用される場合、「局所分布」、「局所送達」またはその文法的に均等な用語は、組織特異的な送達または分布を指す。典型的には、局所分布または局所送達は、細胞内で翻訳および発現される、または分泌が限定的で、患者の循環系へ入ることを回避する、mRNAにコードされるタンパク質(たとえば酵素)を必要とする。
【0059】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、少なくとも一つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。本明細書で使用されるmRNAは、修飾および未修飾の両方のRNAを包含する。mRNAは一つ以上のコード領域および非コード領域を含み得る。mRNAは、自然源から精製されてもよく、組換え発現系を用いて産生されてもよく、また任意選択的に精製、化学合成などをされてもよい。必要に応じて、例えば、化学的に合成された分子の場合、mRNAは、化学修飾された塩基または糖類、骨格修飾などを有する類似体といった、ヌクレオシド類似体を含み得る。mRNA配列は、別段に示されない限り、5’から3’の方向に提示される。一部の実施形態では、mRNAは、天然のヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン);化学的に修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基);介在塩基(intercalated base);修飾された糖類(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース);ならびに/または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート及び5’-N-ホスホルアミダイト結合)を含む。
【0060】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、提供される組成物が、例えば、実験、診断、予防、美容、及び/または治療目的のために投与され得る任意の生物体を意味する。典型的な患者としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒトなどの哺乳類)が挙げられる。一部の実施形態では、患者はヒトである。ヒトには、出生前及び出生後の形態が含まれる。
【0061】
医薬的に許容される:本明細書で使用される際に、用語「医薬的に許容される」は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、炎症刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的なベネフィット/リスクの比率に相応で、ヒトおよび動物の組織に接触させて使用することに適した物質を指す。
【0062】
皮下投与:本明細書で使用される場合、「皮下投与」または「皮下注射」という用語は、皮膚と筋肉の間の組織層である皮下組織へのボーラス注射を意味する。
【0063】
対象:本明細書で使用される際に、用語「対象」は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、または霊長類)を指す。ヒトには、出生前及び出生後の形態が含まれる。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は患者である場合があり、これは、疾患の診断または治療のために医療機関に来院するヒトを意味する。用語「対象」は、本明細書において「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患または障害に罹患している可能性があるか、またはそれに感受性を有するが、疾患または障害の症状を表していてもいなくてもよい。
【0064】
実質的に:本明細書で使用される際に、用語「実質的に」は、目的の特徴または特性の全てもしくはほぼ全ての範囲または程度を示す、定性的な状態を意味する。生物学分野の当業者であれば、生物学的および化学的な現象が、完了することおよび/もしくは完了の域に到達すること、または絶対的な結果を達成もしくは回避することが、仮にあったとしても稀であることを理解するであろう。したがって、用語「実質的に」は、本明細書において、多くの生物学的および化学的現象に固有の潜在的な完全性の欠如を捉えるのに用いられる。
【0065】
全身分布または全身送達:本明細書で使用される際に、用語「全身分布」、「全身送達」、または文法的等価物は、全身もしくは生物体全体に影響を及ぼす送達または分布のメカニズムまたはアプローチを意味する。典型的には、全身分布または全身送達は、身体の循環系、例えば、血流を介して成し遂げられる。「局所分布または局所送達」の定義と比較される。
【0066】
標的組織:本明細書で使用される場合、用語「標的組織」は、治療されるべき疾患の影響を受ける任意の組織を意味する。一部の実施形態では、標的組織には、疾患に関連する病態、症状、または特徴を呈する組織が含まれる。
【0067】
治療用mRNA:本明細書で使用される場合、治療用mRNAという用語は、mRNA療法向けのmRNAを指すために使用される。治療用mRNAは、治療を必要とする対象において欠損しているタンパク質またはポリペプチドをコードするmRNAを指しうる。それは、例えば第二のmRNAに対する送達の時系列に関するいかなる推定も含まずに、本明細書全体を通して「第一のmRNA」という用語と互換的に使用される。
【0068】
治療有効量:本明細書で使用される際に、「治療有効量」の治療剤という用語は、疾患、障害、および/もしくは状態に罹患しているか、または感受性を有する対象に投与される場合に、その疾患、障害、および/または状態を治療する、診断する、予防する、および/またはその開始を遅延させるのに十分な量を意味する。当業者は、治療有効量が典型的には少なくとも一つの単位用量を含む投与レジメンによって投与されることを理解するものとなる。
【0069】
治療:本明細書で使用される際に、用語「治療する」、「治療」または「治療している」とは、特定の疾患、障害、および/または状態のうち一つまたは複数の症状または特徴を、部分的にまたは完全に軽減する、寛解させる、緩和する、抑制する、予防する、その開始を遅延させる、その重症度を低減する、および/またはその発症率を低減するために使用される任意の方法を指す。疾患の徴候を示していない対象、および/または疾患の初期の徴候のみを示している対象に対して、その疾患に関連する病態を発症させるリスクを減少させることを目的として、治療が行われる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は特に、対象のmRNA(第一のmRNA)をヒアルロニダーゼ酵素をコードする第二のmRNAとともに投与することによる、皮下経路を介したメッセンジャーRNA療法のための改善されたmRNA送達方法および組成物を提供する。第二のmRNAは、細胞の取り込みおよびmRNAの分布を助けるか、または増強する。mRNAペイロードは、処置した動物の肝臓(および他の器官または組織)に効率的に送達された。こうしたヒアルロニダーゼを用いる方法は、それを用いなければ不耐性となる薬剤の新規な送達プロファイルを作成するのに大きな利点を有する。
【0071】
本発明は特に、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)タンパク質をコードする
mRNAおよびヒアルロニダーゼ酵素をコードする第二のmRNAを、治療を必要とする対象に皮下注射を介して投与することによって、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症を治療するための方法および組成物を提供する。また、本発明を使用して、様々な他の疾患、障害、および症状、特に代謝の疾患、障害、および症状を治療することができる。
【0072】
本発明の様々な態様は、以下のセクションで詳細に説明される。セクションの使用は、本発明を限定することを意味しない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、他に記載がない限り、「および/または」を意味する。
【0073】
ヒアルロニダーゼ酵素
様々なヒアルロニダーゼ酵素を使用して、本発明を実施してもよい。例えば、ヒアルロニダーゼには作用機序に基づく三つの群がある。それらの群のうちの二つはエンド-β-N-アセチル-ヘキソサミニダーゼ類である。一つの群には、基質の加水分解を利用する脊椎動物酵素類が含まれる。脊椎動物のヒアルロニダーゼ類(EC 3.2.1.35)は、触媒として基質の加水分解を利用するエンド-β-N-アセチル-ヘキソサミニダーゼ類である。脊椎動物のヒアルロナン類はまた、トランスグリコシダーゼ活性を有し、HA鎖を架橋する能力と、HA鎖とChSまたはChとを架橋し得る能力を持つ。脊椎動物のヒアルロニダーゼ類は、非進行性のエンド分解(endolytic)プロセスを通してHAを分解し、多くの場合、四糖類を生成する。哺乳類のヒアルロニダーゼ類は、グリコシダーゼファミリー56と呼ばれる炭水化物活性酵素(CAZy)群のメンバーであり、β1,4グリコシド結合においてHAの触媒作用で加水分解を利用するエンド-β-アセチル-ヘキソサミニダーゼ類として定義される。
【0074】
第二の群は、主に細菌性であり、グリコシド結合をβ脱離して不飽和結合を導入する機能を有するエリミナーゼ類を含む。また、細菌性ヒアルロニダーゼ類は、エンド-β-アセチル-ヘキソサミニダーゼ類であるが、リアーゼ機構を利用する。これらは異なるCAZyファミリーに属し、多糖類リアーゼファミリー8に属する。一般的に、これらの多糖類リアーゼ類(EC 4.2.2.*)はβ脱離によって切断し、新しい非還元末端に二重結合をもたらす。ヒアルロン酸リアーゼ類(EC 4.2.2.1;細菌性Hyal)は、ファミリー8内の一つのサブグループのみからなり、コンドロイチンABCリアーゼ類(EC 4.2.2.4)、コンドロイチンACリアーゼ類(EC 4.2.2.5)、およびキサンタンリアーゼ類(EC 4.2.2.12)も含む。これらの細菌性酵素類、ヒアルロニダーゼ類、コンドロイチナーゼ類、およびキサンタナーゼ類は全て、有意な配列的、構造的および機械的な相同性を共有している。
【0075】
第三の群はエンドβ-グルクロニダーゼ類である。これらは、環形動物のヒルや特定の甲殻類で見られる。
【0076】
また、ヒトゲノムのヒアルロニダーゼ様配列であるHyal-1、Hyal-2、Hyal-3、Hyal-4、およびPH-20/Spam1、ならびに偽遺伝子Phyal1(翻訳されず)をコードする六つの既知の遺伝子があり、その全ての相同性の程度が高い。マウスは同様に、ヒト遺伝子と高い相同性の程度を有するヒアルロニダーゼ類をコードする六つの遺伝子を持つ(Stern et al.,Chem.Rev.2006,106(3):818-839)。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼはまた、他の任意の動物性物質を含まない滅菌調製物としてウシまたはブタから得ることができる。
【0077】
ウシPH-20は一般的に使用されるヒアルロニダーゼであり、適度に純粋な形態で市販されている(シグマカタログ番号H3631、タイプVI-S、ウシ精巣由来、3,0
00~15,000NFU(National Formulary Unit)単位/mgの活性有)。
【0078】
注射用ヒアルロニダーゼは、粉末形態または溶液で市販されている。例えば、FDA承認されたウシ精巣ヒアルロニダーゼ酵素は、無色無臭の溶液として入手可能である。
【0079】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼの国際単位は、0.1mgの国際標準調製物の活性として定義されてもよく、以下の反応に基づく1混濁度軽減単位(TRU)(Humphrey JH et al.,“International Standard for Hyaluronidase,”Bull World Health Organ.1957;16(2):291-294)に等しい:
ヒアルロニダーゼ
ヒアルロン酸----------------->二糖類と単糖類+小ヒアルロン酸断片
したがって、ヒアルロニダーゼ活性の一単位は、2.0mlの反応混合物において、pH5.3にて37℃で毎分0.330のA600の変化を引き起こす(45分アッセイ)。%透過率は600nmで算出され、光経路は1cmである。
【0080】
一部の実施形態では、人工的に合成されたウシヒアルロニダーゼPH-20 mRNAを本目的のために使用しうる。
【0081】
一部の実施形態では、本明細書で使用されるウシヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号9(GenBankID番号:BC110183.1)に対する80%を超える配列同一性を有する。一部の実施形態では、本明細書で使用されるウシヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号9に対する90%を超える配列同一性を有する。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号9に対する、91%を超える、92%を超える、93%を超える、94%を超える、95%を超える、または98%を超える配列同一性を有する。一部の実施形態では、本明細書で使用されるウシヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号9に対する100%の同一性を有する。一部の実施形態では、ウシヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号10(GenBankID番号:BC110183.1、cds配列)に対し、約90%同一であるPH-20ヒアルロニダーゼをコードする。一部の実施形態では、PH-20ヒアルロニダーゼをコードしたmRNAは、配列番号10の配列に対する、91%を超える、92%を超える、93%を超える、94%を超える、95%を超える、または98%を超える配列同一性を有する。一部の実施形態では、ウシヒアルロニダーゼは、配列番号10に対する100%の同一性を有する。一部の実施形態では、ウシヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。(GenBank ID番号:AAI10184.1)。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号11に対する、91%を超える、92%を超える、93%を超える、94%を超える、95%を超える、または98%を超える配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードする。
例示的なウシヒアルロニダーゼmRNA配列を以下に示す。
GGTTTATCTCTGTTCTTGGTGAGGAGACAGACAGAATTGACTGCTGTGCTCATCCGC GAGGGTAAATGTG CTCAGCTCTT TATGGAGTAGTGGAGACGGGCAGAGATGACAAGATGAAGCAACTTGCAAAACATTCCTAAATACGAAGGAAGAAGAATATTTAAATGAAATCATCATTATTCATTTTTATCCATCAAAGTGGCTTCATTCTGTGTTCATATCTTGCATCAAATATTAGGTACACCAAAGCGTGTAGGAGAAAAAAGTGCCTTTCACAGTCATCGCTCTTTGTGATGAGAATGCTGAGGCGCCACCAT
ATCTCCTTTCGGAGCTTTGCTGGGTCTAGCGGAACACCCCAGGCAGTGTTCACCTTCCTTCTGCTTCCGTGTTGTTTGGCTCTGGACTTCAGAGCACCCCCTCTTATTTCAAACACTTCTTTCCTCTGGGCCTGGAATGCCCCAGTTGAACGTTGTGTTAACAGAAGATTTCAACTACCTCCAGATCTGAGACTCTTCTCTGTAAAAGGAAGCCCCCAGAAAAGTGCTACCGGACAATTTATTACATTATTTTATGCTGATAGACTTGGCTACTATCCTCATATAGATGAAAAAACAGGCAAAACCGTATTCGGAGGAATTCCCCAGTTGGGAAACTTAAAAAGTCATATGGAGAAAGCAAAAAATGACATTGCCTATTACATACCAAATGACAGCGTGGGCTTGGCGGTCATTGACTGGGAAAACTGGAGGCCTACCTGGGCAAGAAACTGGAAACCTAAAGATGTTTACAGGGATGAGTCAGTTGAGTTGGTTCTGCAAAAAAATCCGCAACTCAGTTTCCCAGAGGCTTCCAAGATTGCAAAAGTGGATTTTGAGACAGCAGGAAAGAGTTTCATGCAAGAGACTTTAAAACTGGGAAAATTACTTCGGCCAAATCACTTATGGGGTTATTATCTTTTTCCTGATTGTTACAATCATAATCATAACCAACCTACTTACAATGGAAATTGCCCTGATGTGAAAAAAGGAGAAATGATGATCTCGAGTGGTTGTGGAAGGAAAGCACTGCCCTTTTCCCTTCTGTTTATTTGAATATCAGGTTAAAATCTACTCAAAATGCTGCCTTGTATGTTCGTAATCGTGTCCAGGAAGCCATTCGGTTGTCTAAAATAGCGAGTGTCGAAAGTCCACTTCCGGTTTTTGTATATGCCCGTCCAGTTTTTACTGATGGGTCTTCAACATATCTTTCTCAGGGTGACCTTGTGAATTCGGTTGGTGAGATCGTTTCTCTAGGTGCCTCTGGGATTATAATGTGGGGCAGTCTCAATCTAAGCTTATCTATGCAATCTTGCATGAACCTAGGCACT
TACTTGAACACTACACTGAATCCTTACATAATCAACGTCACCCTAGCCGCCAAAATGTGCAGCCAAGTGCTTTGCCACAATGAAGGAGTGTGTACAAGGAAACACTGGAATTCAAGCGACTATCTTCACCTGAACCCAATGAATTTTGCTATTCAAACTGGGGAAGGTGGAAAATACACAGTACCTGGGACAGTCACACTTGAAGACTTGCAAAAGTTTTCTGATACATTTTATTGCAGTTGTTATGCCAACATCCACTGTAAGAAGAGAGTTGATATAAAAAATGTTCATAGTGTTAACGTGTGTATGGCAGAAGACATTTGTATAGACAGCCCTGTGAAGTTACAACCCAGTGATCATTCCTCCAGCCAGGAGGCATCTACTACCACCTTCAGCAGTATCTCACCCTCCACTACAACTGCCACAGTATCTCCATGTACTCCTGAGAAACACTCCCCTGAGTGCCTCAAAGTCAGGTGTTCGGAAGTCATCCCCAACGTCACCCAAAAGGCGTGTCAAAGTGTTAAATTGAAGAACATTTCCTATCAGTCACCTATTCAAAATATTAAAAATCAAACAACCTATTAAAATTAAATTCAGTAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGAAAAAAAAAAAAAAA(配列番号9)
ウシヒアルロニダーゼmRNA配列の別の例は以下の通り。
ATGAGAATGCTGAGGCGCCACCATATCTCCTTTCGGAGCTTTGCTGGGTCTAGCGGAACACCCCAGGCAGTGTTCACCTT
CCTTCTGCTTCCGTGTTGTTTGGCTCTGGACTTCAGAGCACCCCCTCTTATTTCAAACACTTCTTTCCTCTGGGCCTGGAATGCCCCAGTTGAACGTTGTGTTAACAGAAGATTTCAACTACCTCCAGATCTGAGACTCTTCTCTGTAAAAGGAAGCCCCCAGAAAAGTGCTACCGGACAATTTATTACATTATTTTATGCTGATAGACTTGGCTACTATCCTCATATAGATGAAAAAACAGGCAAAACCGTATTCGGAGGAATTCCCCAGTTGGGAAACTTAAAAAGTCATATGGAGAAAGCAAAAAATGACATTGCCTATTACATACCAAATGACAGCGTGGGCTTGGCGGTCATTGACTGGGAAAACTGGAGGCCTACCTGGGCAAGAAACTGGAAACCTAAAGATGTTTACAGGGATGAGTCAGTTGAGTTGGTTCTGCAAAAAAATCCGCAACTCAGTTTCCCAGAGGCTTCCAAGATTGCAAAAGTGGATTTTGAGACAGCAGGAAAGAGTTTCATGCAAGAGACTTTAAAACTGGGAAAATTACTTCGGCCAAATCACTTATGGGGTTATTATCTTTTTCCTGATTGTT
ACAATCATAATCATAACCAACCTACTTACAATGGAAATTGCCCTGATGTAGAAAAAAGGAGAAATGATGATCTCGAGTGGTTGTGGAAGGAAAGCACTGCCCTTTTCCCTTCTGTTTATTTGAATATCAGGTTAAAATCTACTCAAAATGCTGCCTTGTATGTTCGTAATCGTGTCCAGGAAGCCATTCGGTTGTCTAAAATAGCGAGTGTCGAAAGTCCACTTCCGGTTTTTGTATATGCCCGTCCAGTTTTTACTGATGGGTCTTCAACATATCTTTCTCAGGGTGACCTTGTGAATTCGGTTGGTGAGATCGTTTCTCTAGGTGCCTCTGGGATTATAATGTGGGGCAGTCTCAATCTAAGCTTATCTATGCAATCTTGCATGAACCTAGGCACTTACTTGAACACTACACTGAATCCTTACATAATCAACGTCACCCTAGCCGCCAAAATGTGCAGCCAAGTGCTTTGCCACAATGAAGGAGTGTGTACAAGGAAACACTGGAATTCAAGCGACTATCTTCACCTGAACCCAATGAATTTTGCTATTCAAACTGGGGAAGGTGGAAAATACACAGTACCTGGGACAGTCACACTTGAAGACTTGCAAAAGTTTTCTGATACATTTTATTGCAGTTGTTATGCCAACATCCACTGTAAGAAGAGAGTTGATATAAAAAATGTTCATAGTGTTAACGTGTGTATGGCAGAAGACATTTGTATAGACAGCCCTGTGAAGTTACAACCCAGTGATCATTCCTCCAGCCAGGAGGCATCTACTACCACCTTCAGCAGTATCTCACCCTCCACTACAACTGCCACAGTATCTCCATGTACTCCTGAGAAACACTCCCCTGAGTGCCTCAAAGTCAGGTGTTCGGAAGTCATCCCCAACGTCACCCAAAAGGCGTGTCAAAGTGTTAAATTGAAGAACATTTCCTATCAGTCACCTATTCAAAATATTAAAAATCAAACAACCTATTA(配列番号10)
例示的な翻訳されたタンパク質配列は以下の通り:
MRMLRRHHISFRSFAGSSGTPQAVFTFLLLPCCLALDFRAPPLISNTSFLWAWNAPVERCVNRRFQLPPDLRLFSVKGSPQKSATGQFITLFYADRLGYYPHIDEKTGKTVFGGIPQLGNLKSHMEKAKNDIAYYIPNDSVGLAVIDWENWRPTWARNWKPKDVYRDESVELVLQKNPQLSFPEASKIAKVDFETAGKSFMQETLKLGKLLRPNHLWGYYLFPDCYNHNHNQPTYNGNCPDVEKRRNDDLEWLWKESTALFPSVYLNIRLKSTQNAALYVRNRVQEAIRLSKIASVESPLPVFVYARPVFTDGSSTYLSQ
GDLVNSVGEIVSLGASGIIMWGSLNLSLSMQSCMNLGTYLNTTLNPYIINVTLAAKMCSQVLCHNEGVCTRKHWNSSDYLHLNPMNFAIQTGEGGKYTVPGTVTLEDLQKFSDTFYCSCYANIHCKKRVDIKNVHSVNVCMAEDICIDSPVKLQPSDHSSSQEASTTTFSSISPSTTTATVSPCTPEKHSPECLKVRCSEVIPNVTQKACQSVKLKNISYQSPIQNIKNQTTY(配列番号11)。
【0082】
一部の実施形態では、人工的に合成されたヒトヒアルロニダーゼmRNAは、治療用mRNAの皮下送達のために投与される。治療用mRNAの皮下送達のために投与されるヒトヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号12(GenBankID番号:AF040710)に対する80%を超える配列同一性を有する。一部の実施形態では、本明細書で使用されるヒトヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号12に対する90%を超える配列同一性を有する。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号12に対する、91%を超える、92%を超える、93%を超える、94%を超える、95%を超える、または98%を超える配列同一性を有する。一部の実施形態では、本明細書で使用されるヒトヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号12に対する100%の同一性を有する。一部の実施形態では、ヒトヒアルロニダーゼmRNAは、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも約90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。(GenBank ID番号:AAC70915.1)。一部の実施形態では、mRNAは、配列番号13に対する、91%を超える、92%を超える、93%を超える、94%を超える、95%を超える、または98%を超える配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードする。
例示的なヒトヒアルロニダーゼmRNA配列を以下に示す。
ATGACCACGCAACTGGGCCCAGCCCTGGTGCTGGGGGTGGCCCTGTGCCTGGGTTGTGGCCAGCCCCTACCACAGGTCCCTGAACGCCCCTTCTCTGTGCTGTGGAATGTACCCTCAGCACACTGTGAGGCCCGCTTTGGTGTGCACCTGCCACTCAATGCTCTGGGCATCATAGCCAACCGTGGCCAGCATTTTCACGGTCAGAACATGACCATTTTCTACAAGAACCAACTCGGCCTCTATCCCTACTTTGGACCCAGGGGCACAGCTCACAATGGGGGCATCCCCCAGGCTTTGCCCCTTGACCGCCACCTGGCACTGGCTGCCTACCAGATCCACCACAGCCTGAGACCTGGCTTTGCTGGCCCAGCAGTGCTGGATTGGGAGGAGTGGTGTCCACTCTGGGCTGGGAACTGGGGCCGCCGCCGAGCTTATCAGGCAGCCTCTTGGGCTTGGGCACAGCAGGTATTCCCTGACCTGGACCCTCAGGAGCAGCTCTACAAGGCCTATACTGGCTTTGAGCAGGCGGCCCGTGCACTGATGGAGGATACGCTGCGGGTGGCCCAGGCACTACGGCCCCATGGACTCTGGGGCTTCTATCACTACCCAGCCTGTGGCAATGGCTGGCATAGTATGGCTTCCAACTATACCGGCCGCTGCCATGCAGCCACCCTTGCCCGCAACACTCAACTGCATTGGCTCTGGGCCGCCTCCAGTGCCCTCTTCCCCAGCATCTACCTCCCACCCAGGCTGCCACCTGCCCACCACCAGGCCTTTGTCCGACATCGCCTGGAGGAGGCCTTCCGTGTGGCCCTTGTTGGGCACCGACATCCCCTGCCTGTCCTGGCCTATGTCCGCCTCACACACCGGAGATCTGGGAGGTTCCTGTCCCAGGATGACCTTGTGCAGTCCATTGGTGTGAGTGCAGCACTAGGGGCAGCCGGCGTGGTGCTCTGGGGG
GACCTGAGCCTCTCCAGCTCTGAGGAGGAGTGCTGGCATCTCCATGACTACCTGGTGGACACCTTGGGCCCCTATGTGATCAATGTGACCAGGGCAGCGATGGCCTGCAGTCACCAGCGGTGCCATGGCCACGGGCGCTGTGCCCGGCGAGATCCAGGACAGATGGAAGCCTTTCTACACCTGTGGCCAGACGGCAGCCTTGGAGATTGGAAGTCCTTCAGCTGCCACTGTTACTGGGGCTGGGCTGGCCCCACCTGCCAGGAGCCCAGCCTGGGCCTAAAGAAGCAGTATAAAGCCAGGGCCCCTGCCACTGCCTCTTCTTTTCCCTGCTGCCACTTTTCCAGTCCTGGAACTACTCTGTCCCACTCTTGCTCTATTCAGTTTACAGTCAACCCTCCCAAGCACACACCCCGCTTCCCTTGGAATCCCTGA(配列番号12)
例示的なヒトヒアルロニダーゼタンパク質配列を以下に示す。
MTTQLGPALVLGVALCLGCGQPLPQVPERPFSVLWNVPSAHCEARFGVHLPLNALGIIANRGQHFHGQNMTIFYKNQLGLYPYFGPRGTAHNGGIPQALPLDRHLALAAYQIHHSLRPGFAGPAVLDWEEWCPLWAGNWGRRRAYQAASWAWAQQVFPDLDPQEQLYKAYTGFEQAARALMEDTLRVAQALRPHGLWGFYHYPACGNGWHSMASNYTGRCHAATLARNTQLHWLWAASSALFPSIYLPPRLPPAHHQAFVRHRLEEAFRVALVGHRHPLPVLAYVRLTHRRSGRFLSQDDLVQSIGVSAALGAAGVVLWGDLSLSSSEEECWHLHDYLVDTLGPYVINVTRAAMACSHQRCHGHGRCARRDPGQMEAFLHLWPDGSLGDWKSFSCHCYWGWAGPTCQEPSLGLKKQYKARAPATASSFPCCHFSSPGTTLSHSCSIQFTVNPPKHTPRFPWNP(配列番号13)
【0083】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼの全長または断片をコードするmRNAが使用される。
【0084】
ヒアルロニダーゼの例示的な組換えヒアルロニダーゼ用量は、約1単位~50,000単位である。したがって、ヒアルロニダーゼmRNAは、40,000U未満、30,000U未満、20,000U未満、10,000U未満、9000U未満、8000U未満、7000U未満、6000U未満、5000U未満、4000U未満、3000U未満、2000U未満、1000U未満、900U未満、800U未満、700U未満、600U未満、または500U未満、の量のタンパク質に翻訳されるように同等の用量で投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼmRNAは、少なくとも1U、少なくとも5U、少なくとも10U、少なくとも20U、少なくとも30U、少なくとも40U、少なくとも50U、少なくとも60U、少なくとも70U、少なくとも80U、少なくとも100U、または少なくとも150Uのタンパク質に翻訳されるように同等の用量で投与される。他の一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼmRNAは、少なくとも160U、少なくとも180U、少なくとも200U、少なくとも220U、少なくとも240U、少なくとも260U、少なくとも280U、少なくとも300U、少なくとも320U、少なくとも340U、少なくとも360U、少なくとも380U、または少なくとも400Uのタンパク質に翻訳されるように同等の用量で投与される。一つ以上の実施形態では、ブタ(豚)ヒアルロニダーゼを1単位~50,000単位の範囲の用量で使用する。ヒアルロニダーゼmRNAは、40,000U未満、30,000U未満、20,000U未満、10,000U未満、9000U未満、8000U未満、7000U未満、6000U未満、5000U未満、4000U未満、3000U未満、2000U未満、1000U未満、900U未満、800U未満、700U未満、600U未満、または50
0U未満、の量のタンパク質に翻訳されるように同等の用量で投与される。ヒアルロニダーゼmRNAが、少なくとも1U、少なくとも5U、少なくとも10U、少なくとも20U、少なくとも30U、少なくとも40U、少なくとも50U、少なくとも60U、少なくとも70U、少なくとも80U、少なくとも100U、または少なくとも150Uのタンパク質に翻訳されるように同等の用量で投与される、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法。他の一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼmRNAは、少なくとも160U、少なくとも180U、少なくとも200U、少なくとも220U、少なくとも240U、少なくとも260U、少なくとも280U、少なくとも300U、少なくとも320U、少なくとも340U、少なくとも360U、少なくとも380U、または少なくとも400Uのタンパク質に翻訳されるように同等の用量で投与される。
【0085】
一つ以上の実施形態では、ヒアルロニダーゼは治療用mRNAと同時に投与される。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼは、mRNAの投与の前に投与され得る。一部の実施形態では、mRNAとヒアルロニダーゼ酵素とは同一製剤の一部である。一部の実施形態では、RNAとヒアルロニダーゼ酵素とは、別個の製剤として注射される。
【0086】
一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは、水溶液で投与され得る。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAは生理食塩水中にある。一部の実施形態では、ヒアルロニダーゼ酵素はmRNA製剤の一部であり、同じ溶液中に含まれ、この溶液はmRNA封入脂質ナノ粒子を含む。一部の実施形態では、mRNA封入脂質とヒアルロニダーゼ酵素とを含む凍結乾燥調製物が治療用途のために製剤化される。
【0087】
メッセンジャーRNA(mRNA):
本発明を使用して、任意のmRNAを送達することができる。本明細書で使用される場合、mRNAは、コードされるタンパク質を翻訳するためにDNAからリボソームに情報を伝えるタイプのRNAである。mRNAは様々な公知の方法のいずれかにより合成され得る。たとえば本発明に従うmRNAは、in vitro転写(IVT)を介して合成することができる。簡潔に述べると、IVTは多くの場合、プロモーターを含む直線状または環状のDNA鋳型、一群のリボヌクレオチド三リン酸塩、DTTおよびマグネシウムイオンを含み得る緩衝系、ならびに適切なRNAポリメラーゼ(たとえば、T3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼ)、DNAseI、ピロホスファターゼ、ならびに/またはRNAse阻害剤を用いて行われる。厳密な条件は具体的なアプリケーションに従い変化するであろう。
【0088】
一部の実施形態では、in vitroで合成されたmRNAは、製剤および封入前に精製されて、mRNA合成中に使用された様々な酵素および他の試薬を含む望ましくない不純物が除去されてもよい。
【0089】
本発明を使用して、様々な長さのmRNAを送達することができる。一部の実施形態では、本発明を使用して、長さ約1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、11kb、12kb、13kb、14kb、15kb、または20kb以上のin vitro合成されたmRNAを送達することができる。一部の実施形態では、本発明を使用して、長さ約1~20kb、約1~15kb、約1~10kb、約5~20kb、約5~15kb、約5~12kb、約5~10kb、約8~20kb、または約8~15kbの範囲のin vitro合成されたmRNAを送達することができる。
【0090】
本発明を使用して、未修飾のmRNA、または安定性を一般的に強化する一つ以上の修飾を含むmRNAを送達することができる。一部の実施形態では、修飾は、修飾ヌクレオ
チド、修飾糖リン酸骨格、ならびに5’および/または3’非翻訳領域(UTR)から選択される。
【0091】
一部の実施形態では、mRNAの修飾は、RNAのヌクレオチドの修飾を含み得る。本発明による修飾mRNAは、たとえば骨格修飾、糖修飾、または塩基修飾を含み得る。一部の実施形態では、mRNAは、以下に限定されないが、プリン類(アデニン(A)、グアニン(G))またはピリミジン類(チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U))をはじめとする天然ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体(修飾ヌクレオチド)から合成されてもよく、ならびに例えば1-メチルアデニン、2-メチルアデニン、2-メチルチオ-N-6-イソペンテニル-アデニン、N6-メチル-アデニン、N6-イソペンテニル-アデニン、2-チオ-シトシン、3-メチル-シトシン、4-アセチル-シトシン、5-メチル-シトシン、2,6-ジアミノプリン、1-メチル-グアニン、2-メチル-グアニン、2,2-ジメチル-グアニン、7-メチル-グアニン、イノシン、1-メチル-イノシン、シュードウラシル(pseudouracil)(5-ウラシル)、ジヒドロウラシル、2-チオ-ウラシル、4-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-ウラシル、5-フルオロ-ウラシル、5-ブロモ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル、5-メチル-2-チオ-ウラシル、5-メチル-ウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチルアミノメチル-ウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5’-メトキシカルボニルメチル-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、1-メチルシュードウラシル、キューオシン、ベータ-D-マンノシル-キューオシン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、ならびにホスホロアミデート類、ホスホロチオエート類、ペプチドヌクレオチド類、メチルホスホネート類、7-デアザグアノシン、5-メチルシトシンおよびイノシンなどのプリン類ならびにピリミジン類の修飾ヌクレオチド類似体または誘導体として合成されてもよい。こうした類似体の調製は、米国特許第4,373,071号、同第4,401,796号、同第4,415,732号、同第4,458,066号、同第4,500,707号、同第4,668,777号、同第4,973,679号、同第5,047,524号、同第5,132,418号、同第5,153,319号、第5,262,530号および第5,700,642号(その開示は参照によりその全範囲において本明細書に含まれる)から当業者に公知である。
【0092】
一部の実施形態では、mRNAはRNA骨格修飾を含んでもよい。典型的には、骨格修飾は、RNAに含まれるヌクレオチドの骨格のリン酸塩が化学的に修飾される修飾である。例示的な骨格修飾として、典型的には、以下に限定されないが、メチルホスホネート、メチルホスホルアミデート、ホスホルアミデート、ホスホロチオエート(例えば、シチジン5’-O-(1-チオフォスフェート))、ボラノリン酸塩、正荷電グアニジウム基などからなる群由来の修飾が挙げられ、これは、ホスホジエステル結合を他のアニオン基、カチオン基、または中性基で置き換えることに基づくことを意味する。
【0093】
一部の実施形態では、mRNAは糖修飾を含み得る。典型的な糖修飾は、mRNAが有するヌクレオチドの糖の化学修飾であり、糖修飾として、以下に限定されないが、2’-デオキシ-2’-フルオロ-オリゴリボヌクレオチド(2’-フルオロ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-フルオロ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-デオキシ-2’-デアミン-オリゴリボヌクレオチド(2’-アミノ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アミノ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-O-アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’-O-メチルシチジン5’-三リン酸、2’-メチルウリジン5’-三リン酸)、2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド、及びこれらの異性体
(2’-アラシチジン5’-三リン酸、2’-アラウリジン5’-三リン酸)、またはアジド三リン酸(2’-アジド-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アジド-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)からなる群から選択される糖修飾が挙げられる。
【0094】
一部の実施形態では、mRNAはヌクレオチドの塩基の修飾(塩基修飾)を含み得る。塩基修飾を含む修飾されたヌクレオチドは、塩基修飾ヌクレオチドとも称される。こうした塩基修飾ヌクレオチドの例として、以下に限定されないが、2-アミノ-6-クロロプリンリボシド5’-三リン酸、2-アミノアデノシン5’-三リン酸、2-チオシチジン5’-三リン酸、2-チオウリジン5’-三リン酸、4-チオウリジン5’-三リン酸、5-アミノアリルシチジン5’-三リン酸、5-アミノアリルウリジン5’-三リン酸、5-ブロモシチジン5’-三リン酸、5-ブロモウリジン5’-三リン酸、5-ヨードシチジン5’-三リン酸、5-ヨードウリジン5’-三リン酸、5-メチルシチジン5’-三リン酸、5-メチルウリジン5’-三リン酸、6-アザシチジン5’-三リン酸、6-アザウリジン5’-三リン酸、6-クロロプリンリボシド5’-三リン酸、7-デアザアデノシン5’-三リン酸、7-デアザグアノシン5’-三リン酸、8-アザアデノシン5’-三リン酸、8-アジドアデノシン5’-三リン酸、ベンゾイミダゾールリボシド5’-三リン酸、N1-メチルアデノシン5’-三リン酸、N1-メチルグアノシン5’-三リン酸、N6-メチルアデノシン5’-三リン酸、O6-メチルグアノシン5’-三リン酸、プソイドウリジン5’-三リン酸、ピューロマイシン5’-三リン酸、またはキサントシン5’-三リン酸が挙げられる。
【0095】
mRNA合成には、5’末端への「キャップ」及び3’末端への「テール」の付加が含まれるのが典型的である。キャップの存在は、大半の真核生物細胞に見られるヌクレアーゼへの耐性を付与するのに重要である。「テール」の存在は、エキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護するのに役立つものである。
【0096】
したがって、一部の実施形態では、mRNAは、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には次のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの一つを除去して二つの末端リン酸を残し、次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5-’5’逆三リン酸結合を生成し、次いで、グアニンの7-窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。2’-O-メチル化は、7-メチルグアノシン三リン酸塩残基の後の第一の塩基および/または第二の塩基で生じうる。キャップ構造の例には、m7GpppNp-RNA、m7GpppNmp-RNAおよびm7GpppNmpNmp-RNA(式中、mは2’-O-メチル残基を示す)が含まれるが、これに限定されない。
【0097】
一部の実施形態では、mRNAは、3’ポリ(A)テール構造を含む。mRNAの3’末端のポリAテールは多くの場合、約10~300個のアデノシンヌクレオチド(例えば、約10~200個のアデノシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンヌクレオチド)を含む。一部の実施形態では、mRNAは3’ポリ(C)テール構造を含む。mRNAの3’末端の好適なポリCテールは多くの場合、約10~200個のシトシンヌクレオチド(例えば、約10~150個のシトシンヌクレオチド、約10~100個のシトシンヌクレオチド、約20~70個のシトシンヌクレオチド、約20~60個のシトシンヌクレオチド、または約10~40個のシトシンヌクレオチド)を含む。ポリCテールは、ポリAテールに付加され得るか、またはポリAテールを置換し得る。
【0098】
一部の実施形態では、mRNAは、5’および/または3’非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域には、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす一つ以上の要素、例えば、鉄応答要素が含まれる。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、長さ約50~500のヌクレオチドであり得る。
【0099】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞中のmRNAの位置の安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの一つ以上の結合部位のうちの一つ以上を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、長さ約50~500ヌクレオチドであるか、またはそれ以上の長さであり得る。
【0100】
キャップ構造
一部の実施形態では、mRNAは、5’キャップ構造を含む。5’キャップは、典型的には次のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの一つを除去して二つの末端リン酸を残し、次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸に付加されて5’-5’逆三リン酸結合を生成し、次いで、グアニンの7-窒素がメチルトランスフェラーゼによりメチル化される。キャップ構造の例としては、m7G(5’)ppp(5’)A、G(5’)ppp(5’)A、及びG(5’)ppp(5’)Gが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
天然に存在するキャップ構造は7-メチルグアノシンを含み、これは、三リン酸架橋を介して第一の転写ヌクレオチドの5’末端に連結され、その結果、m7G(5’)ppp(5’)N(Nは任意のヌクレオシドである)のジヌクレオチドキャップをもたらす。in vivoにおいて、キャップは酵素を用いて付加される。キャップは、核に付加され、酵素グアニリルトランスフェラーゼによる触媒作用を受ける。RNAの5’末端へのキャップの付加は、転写の開始直後に生じる。末端ヌクレオシドは、グアノシンであるのが典型的であり、全ての他のヌクレオチドとは逆の方向になっており、すなわち、G(5’)ppp(5’)GpNpNpである。
【0102】
in vitro転写により生成されたmRNAに対する普遍的なキャップは、m7G(5’)ppp(5’)Gであり、これをin vitroでのT7 RNAポリメラーゼまたはSP6 RNAポリメラーゼを用いた転写においてジヌクレオチドキャップとして使用し、その5’末端にキャップ構造を有するRNAが取得される。キャップされたmRNAの一般的なin vitro合成方法では、転写の開始因子として、形態がm7G(5’)ppp(5’)G(「m7GpppG」)である予め形成されたジヌクレオチドが用いられている。
【0103】
従来より、in vitro翻訳実験に使用される合成ジヌクレオチドキャップの通常の形態は、アンチリバースキャップ類似体(「ARCA」)または修飾されたARCAであり、これは、2’OH基または3’OH基が-OCH3で置換される、修飾されたキャップ類似体であるのが一般的である。
【0104】
さらなるキャップ類似体として、m7GpppG、m7GpppA、m7GpppC;非メチル化キャップ類似体(例えば、GpppG);ジメチル化キャップ類似体(例えば、m2,7GpppG)、トリメチル化キャップ類似体(例えば、m2,2,7GpppG)、ジメチル化対称キャップ類似体(例えば、m7Gpppm7G)、またはアンチリバースキャップ類似体(例えば、ARCA;m7、2’OmeGpppG、m72’dGpppG、m7,3’OmeGpppG、m7,3’dGpppG、及びそれらの四リン酸誘導体)からなる群から選択される化学構造が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Jemielity,J.et al.,“Novel ‘anti-reve
rse’ cap analogs with superior translational properties”,RNA,9:1108-1122(2003)を参照のこと)。
【0105】
一部の実施形態では、好適なキャップは7-メチルグアニル酸(「m7G」)であり、これは、三リン酸架橋を介して第一の転写ヌクレオチドの5’末端に連結され、その結果、m7G(5’)ppp(5’)N(Nは任意のヌクレオシドである)をもたらすものである。本発明の実施形態に利用されるm7Gキャップの好適な実施形態は、m7G(5’)ppp(5’)Gである。
【0106】
一部の実施形態では、キャップはキャップ0構造である。キャップ0構造は、塩基1及び塩基2に結合したリボースの2’-O-メチル残基を欠く。一部の実施形態では、キャップはキャップ1構造である。キャップ1構造は、塩基2に2’-O-メチル残基を有する。一部の実施形態では、キャップはキャップ2構造である。キャップ2構造は、塩基2及び塩基3の両方に結合した2’-O-メチル残基を有する。
【0107】
様々なm7Gキャップ類似体が当該技術分野において公知であり、その多くは市販されている。これらには、上述のm7GpppG、ならびにARCA 3’-OCH3及び2’-OCH3キャップ類似体が含まれる(Jemielity,J.et al.,RNA,9:1108-1122(2003))。本発明の実施形態において使用するためのさらなるキャップ類似体として、N7-ベンジル化ジヌクレオシド四リン酸類似体(Grudzien,E.et al.,RNA,10:1479-1487(2004)に記載)、ホスホロチオエートキャップ類似体(Grudzien-Nogalska,E.,et al.,RNA,13:1745-1755(2007)に記載)、ならびに米国特許第8,093,367号及び同第8,304,529号(参照により本明細書に援用される)に記載されるキャップ類似体(ビオチン化キャップ類似体を含む)が挙げられる。
【0108】
テール構造
多くの場合、「テール」の存在はエキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護するという役割を果たす。ポリAテールは、天然のメッセンジャーセンスRNAおよび合成センスRNAを安定させると考えられている。したがって、ある実施形態では、長いポリAテールをmRNA分子に付加することにより、そのRNAをさらに安定化することができる。ポリAテールは、当該技術分野において認識されている様々な技術を使用して付加することができる。例えば、長いポリAテールは、ポリAポリメラーゼを使用して合成RNAまたはin vitro転写RNAに付加することができる(Yokoe,et al.Nature Biotechnology.1996;14:1252-1256)。転写ベクターが、長いポリAテールをコードすることもできる。加えて、ポリAテールは、PCR産物から直接転写することによって付加することができる。ポリAは、RNAリガーゼを用いてセンスRNAの3’末端にライゲーションすることもできる(例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press:1991
edition)を参照のこと)。
【0109】
一部の実施形態では、mRNAは3’テール構造を含む。テール構造は典型的に、ポリ(A)テールおよび/またはポリ(C)テールを含む。mRNAの3’末端上のポリAテールまたはポリCテールは、典型的には、少なくとも50個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも150個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも200個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌ
クレオチド、少なくとも250個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも300個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも350個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも400個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも450個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも500個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも550個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも650個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも700個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも750個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも800個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも850個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも900個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも950個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、または少なくとも1kbのアデノシヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチドをそれぞれ含む。一部の実施形態では、ポリAテールまたはポリCテールはそれぞれ、約10~800個のアデノシンヌクレオチドまたはシトシンヌクレオチド(例えば、約10~200個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~300個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~400個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~500個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~550個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約50~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約100~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約150~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約200~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約250~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約300~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約350~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約400~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約450~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約500~600個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンヌクレオチドもしくはシトシンヌクレオチド)であり得る。一部の実施形態では、テール構造は、本明細書に記載の様々な長さを有するポリ(A)テールおよびポリ(C)テールの組み合わせを含む。一部の実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアデノシンヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のシトシンヌクレオチドを含む。
【0110】
一部の実施形態では、ポリAテールまたはポリCテールの長さを調節して、本発明の修飾センスmRNA分子の安定性を制御し、それにともなってタンパク質の転写を制御する。例えば、ポリAテールの長さはセンスmRNA分子の半減期に影響を及ぼし得るため、ポリAテールの長さを調節して、ヌクレアーゼに対するmRNAの耐性のレベルを改変し、それによって、標的細胞におけるポリヌクレオチドの発現及び/またはポリペプチドの産生の時間経過を制御してもよい。
【0111】
5’および3’の非翻訳領域
一部の実施形態では、mRNAは、5’および/または3’非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域には、mRNAの安定性または翻訳に影響を及ぼす一つ以上の要素、例えば、鉄応答要素が含まれる。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、長さ約50~500のヌクレオチドであり得る。
【0112】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナル、細胞中のmRNAの位置の安定性に影響を及ぼすタンパク質の結合部位、またはmiRNAの一つ以上の結合部位のうちの一つ以上を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、長さ約50~500ヌクレオチドであるか、またはそれ以上の長さであり得る。
【0113】
例示的な3’および/または5’のUTR配列は、センスmRNA分子の安定性を強化するために、安定なmRNA分子(例えば、グロビン、アクチン、GAPDH、チューブリン、ヒストン、またはクエン酸回路酵素)から誘導されてもよい。例えば、5’UTR配列は、ヌクレアーゼ耐性を改善するため、及び/またはポリヌクレオチドの半減期を改善するために、CMV最初期1(IE1)遺伝子またはその断片の部分配列を含み得る。ポリヌクレオチドをさらに安定化させるために、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’末端または非翻訳領域にヒト成長ホルモン(hGH)またはその断片をコードする配列を含めることも想定される。一般に、これらの修飾は、ポリヌクレオチドの安定性及び/または薬物動態特性(例えば、半減期)を、それらの未修飾の対応物に比べて改善するものであり、例えば、in vivoヌクレアーゼ消化に対するポリヌクレオチド耐性を改善するように行われる修飾を含む。
【0114】
in vitro転写反応からもたらされたmRNAが、一部の実施形態で望ましい一方、細菌、真菌、植物、および/または動物から産生されたmRNAを含む、mRNAの他の供給源が、本発明の範囲内であると意図される。
【0115】
本発明を使用して、様々なタンパク質をコードするmRNAを送達することができる。本発明に適したmRNAの非限定的な例には、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS1)、ホタルルシフェラーゼ(FFL)、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、およびオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)などの標的タンパク質をコードするmRNAが含まれる。
【0116】
mRNA配列の例
一部の実施形態では、本発明は、標的タンパク質欠損の治療を目的に、標的タンパク質をコードするmRNAを対象に送達するための方法および組成物を提供する。例示的なmRNA配列を以下に示す。
コンストラクト設計:
X-mRNAコード配列-Y
5’および3’のUTR配列
X(5’UTR配列)=
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACG(配列番号1)
Y(3’UTR配列)=
CGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU(配列番号2)
または
GGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAAGCU(配列番号3)
コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)メッセンジャーRNA配列の全長の例を以下に示す:
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACGAUGCUGUUCAACCUUCGGAUCUUGCUGAACAACGCUGCGUUCCGGAAUGGUCACAACUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGCCAGCCGCUCCAGAACAAGGUGCAGCUCAAGGGGAGGGACCUCCUCACCCUGAAAAACUUCACCGGAGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGCUGUCAGCCGACCUCAAAUUCCGGAUCAAGCAGAAGGGCGAAUACCUUCCUUUGCUGCAGGGAAAGUCCCUGGGGAUGAUCUUCGAGAAGCGCAGCACUCGCACUAGACUGUCAACUGAAACCGGCUUCGCGCUGCUGGGAGGACACCCCUGCUUCCUGACCACCCAAGAUAUCCAUCUGGGUGUGAACGAAUCCCUCACCGACACAGCGCGGGUGCUGUCGUCCAUGGCAGACGCGGUCCUCGCCCGCGUGUACAAGCAGUCUGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCCUCCAUUCCUAUCAUUAAUGGAUUGUCCGACCUCUACCAUCCCAUCCAGAUUCUGGCCGAUUAUCUGACUCUGCAAGAACAUUACAGCUCCCUGAAGGGGCUUACCCUUUCGUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUUCUGCACAGCAUUAUGAUGAGCGCUGCCAAGUUUGGAAUGCACCUCCAAGCAGCGACCCCGAAGGGAUACGAGCCAGACGCCUCCGUGACGAAGCUGGCUGAGCAGUACGCCAAGGAGAACGGCACUAAGCUGCUGCUCACCAACGACCCUCUCGAAGCCGCCCACGGUGGCAACGUGCUGAUCACCGAUACCUGGAUCUCCAUGGGACAGGAGGAGGAAAAGAAGAAGCGCCUGCAAGCAUUUCAGGGGUACCAGGUGACUAUGAAAACCGCCAAGGUCGCCGCCUCGGACUGGACCUUCUUGCACUGUCUGCCCAGAAAGCCCGAAGAGGUGGACGACGAGGUGUUCUACAGCCCGCGGUCGCUGGUCUUUCCGGAGGCCGAAAACAGGAAGUGGACUAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCCCUGCUGACCGAUUACUCCCCGCAGCUGCAGAAACCAAAGUUCUGACGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU(配列番号4)。
コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)メッセンジャーRNA配列の全長の例を以下に示す:
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACGAUGCUGUUCAACCUUCGGAUCUUGCUGAACAACGCUGCGUUCCGGAAUGGUCACAACUUCAUGGUCCGGAACUUCAGAUGCGGCCAGCCGCUCCAGAACAAGGUGCAGCUCAAGGGGAGGGACCUCCUCACCCUGAAAAA
CUUCACCGGAGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGCUGUCAGCCGACCUCAAAUUCCGGAUCAAGCAGAAGGGCGAAUACCUUCCUUUGCUGCAGGGAAAGUCCCUGGGGAUGAUCUUCGAGAAGCGCAGCACUCGCACUAGACUGUCAACUGAAACCGGCUUCGCGCUGCUGGGAGGACACCCCUGCUUCCUGACCACCCAAGAUAUCCAUCUGGGUGUGAACGAAUCCCUCACCGACACAGCGCGGGUGCUGUCGUCCAUGGCAGACGCGGUCCUCGCCCGCGUGUACAAGCAGUCUGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCCUCCAUUCCUAUCAUUAAUGGAUUGUCCGACCUCUACCAUCCCAUCCAGAUUCUGGCCGAUUAUCUGACUCUGCAAGAACAUUACAGCUCCCUGAAGGGGCUUACCCUUUCGUGGAUCGGCGACGGCAACAACAUUCUGCACAGCAUUAUGAUGAGCGCUGCCAAGUUUGGAAUGCACCUCCAAGCAGCGACCCCGAAGGGAUACGAGCCAGACGCCUCCGUGACGAAGCUGGCUGAGCAGUACGCCAAGGAGAACGGCACUAAGCUGCUGCUCACCAACGACCCUCUCGAAGCCGCCCACGGUGGCAACGUGCUGAUCACCGAUACCUGGAUCUCCAUGGGACAGGAGGAGGAAAAGAAGAAGCGCCUGCAAGCAUUUCAGGGGUACCAGGUGACUAUGAAAACCGCCAAGGUCGCCGCCUCGGACUGGACCUUCUUGCACUGUCUGCCCAGAAAGCCCGAAGAGGUGGACGACGAGGUGUUCUACAGCCCGCGGUCGCUGGUCUUUCCGGAGGCCGAAAACAGGAAGUGGACUAUCAUGGCCGUGAUGGUGUCCCUGCUGACCGAUUACUCCCCGCAGCUGCAGAAACCAAAGUUCUGAGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAAGCU(配列番号5)。
コドン最適化されたヒトオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)メッセンジャーRNA配列全長の別の例を以下に示す:
GGACAGAUCGCCUGGAGACGCCAUCCACGCUGUUUUGACCUCCAUAGAAGACACCGGGACCGAUCCAGCCUCCGCGGCCGGGAACGGUGCAUUGGAACGCGGAUUCCCCGUGCCAAGAGUGACUCACCGUCCUUGACACGAUGCUGUUUAACCUGAGAAUUCUGCUGAACAACGCCGCGUUCAGGAACGGCCACAAUUUCAUGGUCCGCAACUUUAGAUGCGGACAGCCUCUCCAAAACAAGGUCCAGCUCAAGGGGCGGGACUUGCUGACCCUUAAGAACUUUACCGGCGAAGAGAUCAAGUACAUGCUGUGGUUGUCAGCGGACCUGAAGUUCCGCAUCAAGCAGAAAGGGGAGUAUCUGCCGCUGCUCCAAGGAAAGUCGCUCGGCAUGAUCUUCGAGAAGCGCUCGACCAGAACCCGGCUGUCCACUGAAACUGGUUUCGCCCUUCUGGGUGGACACCCUUGUUUCCUGACAACCCAGGACAUCCAUCUGGGCGUGAACGAAAGCCUCACUGACACCGCCAGGGUGCUGAGCUCCAUGGCCGACGCUGUCCUUGCCCGGGUGUACAAGCAGUCCGAUCUGGACACUCUGGCCAAGGAAGCGUCCAUCCCGAUCAUUAACGGACUGUCCGACCUGUACCACCCGAUCCAGAUUCUGGCCGACUACCUGACCUUGCAAGAGCACUACAGCUCACUGAAGGGCUUGACCCUGAGCUGGAUCGGCGACGGAAACAACAUUCUGCAUUCGAUCAUGAUGUCCGCGGCCAAGUUCGGAAUGCAUCUGCAGGCCGCAACUCCCAAGGGAUACGAACCUGAUGCGUCCGUGACUAAGCUGGCCG
AGCAGUACGCAAAGGAAAACGGCACCAAGCUGCUGCUGACCAACGACCCGCUCGAAGCUGCCCACGGAGGGAACGUGCUCAUUACCGACACUUGGAUCUCCAUGGGGCAGGAAGAAGAGAAGAAGAAGCGGCUCCAGGCAUUCCAGGGUUACCAGGUCACCAUGAAAACGGCCAAAGUGGCCGCUUCGGAUUGGACUUUCCUCCACUGCCUUCCCCGCAAACCUGAGGAAGUGGAUGAUGAAGUGUUCUACUCCCCACGCUCCCUCGUGUUCCCCGAGGCCGAGAAUCGGAAGUGGACCAUUAUGGCCGUGAUGGUGUCACUGCUGACCGACUACAGCCCCCAACUGCAAAAGCCGAAGUUCUGACGGGUGGCAUCCCUGUGACCCCUCCCCAGUGCCUCUCCUGGCCCUGGAAGUUGCCACUCCAGUGCCCACCAGCCUUGUCCUAAUAAAAUUAAGUUGCAUCAAGCU(配列番号6)
コドン最適化ヒトASS1(CO-hASS1)コード配列の例
AUGAGCAGCAAGGGCAGCGUGGUGCUGGCCUACAGCGGCGGCCUGGACACCAGCUGCAUCCUGGUGUGGCUGAAGGAGCAGGGCUACGACGUGAUCGCCUACCUGGCCAACAUCGGCCAGAAGGAGGACUUCGAGGAGGCCCGCAAGAAGGCCCUGAAGCUGGGCGCCAAGAAGGUGUUCAUCGAGGACGUGAGCCGCGAGUUCGUGGAGGAGUUCAUCUGGCCCGCCAUCCAGAGCAGCGCCCUGUACGAGGACCGCUACCUGCUGGGCACCAGCCUGGCCCGCCCCUGCAUCGCCCGCAAGCAGGUGGAGAUCGCCCAGCGCGAGGGCGCCAAGUACGUGAGCCACGGCGCCACCGGCAAGGGCAACGACCAGGUGCGCUUCGAGCUGAGCUGCUACAGCCUGGCCCCCCAGAUCAAGGUGAUCGCCCCCUGGCGCAUGCCCGAGUUCUACAACCGCUUCAAGGGCCGCAACGACCUGAUGGAGUACGCCAAGCAGCACGGCAUCCCCAUCCCCGUGACCCCCAAGAACCCCUGGAGCAUGGACGAGAACCUGAUGCACAUCAGCUACGAGGCCGGCAUCCUGGAGAACCCCAAGAACCAGGCCCCCCCCGGCCUGUACACCAAGACCCAGGACCCCGCCAAGGCCCCCAACACCCCCGACAUCCUGGAGAUCGAGUUCAAGAAGGGCGUGCCCGUGAAGGUGACCAACGUGAAGGACGGCACCACCCACCAGACCAGCCUGGAGCUGUUCAUGUACCUGAACGAGGUGGCCGGCAAGCACGGCGUGGGCCGCAUCGACAUCGUGGAGAACCGCUUCAUCGGCAUGAAGAGCCGCGGCAUCUACGAGACCCCCGCCGGCACCAUCCUGUACCACGCCCACCUGGACAUCGAGGCCUUCACCAUGGACCGCGAGGUGCGCAAGAUCAAGCAGGGCCUGGGCCUGAAGUUCGCCGAGCUGGUGUACACCGGCUUCUGGCACAGCCCCGAGUGCGAGUUCGUGCGCCACUGCAUCGCCAAGAGCCAGGAGCGCGUGGAGGGCAAGGUGCAGGUGAGCGUGCUGAAGGGCCAGGUGUACAUCCUGGGCCGCGAGAGCCCCCUGAGCCUGUACAACGAGGAGCUGGUGAGCAUGAACGUGCAGGGCGACUACGAGCCCACCGACGCCACCGGCUUCAUCAACAUCAACAGCCUGCGCCUGAAGGAGUACCACCGCCUGCAGAGCAAGGUGACCGCCAAGUGA(配列番号7)
コドン最適化ヒトPAH(CO-hPAH)コード配列の例
AUGAGCACCGCCGUGCUGGAGAACCCCGGCCUGGGCCGCAAGCUGAGCGACUUCGGCCAGGAGACCAGCUACAUCGAGGA
CAACUGCAACCAGAACGGCGCCAUCAGCCUGAUCUUCAGCCUGAAGGAGGAGGUGGGCGCCCUGGCCAAGGUGCUGCGCCUGUUCGAGGAGAACGACGUGAACCUGACCCACAUCGAGAGCCGCCCCAGCCGCCUGAAGAAGGACGAGUACGAGUUCUUCACCCACCUGGACAAGCGCAGCCUGCCCGCCCUGACCAACAUCAUCAAGAUCCUGCGCCACGACAUCGGCGCCACCGUGCACGAGCUGAGCCGCGACAAGAAGAAGGACACCGUGCCCUGGUUCCCCCGCACCAUCCAGGAGCUGGACCGCUUCGCCAACCAGAUCCUGAGCUACGGCGCCGAGCUGGACGCCGACCACCCCGGCUUCAAGGACCCCGUGUACCGCGCCCGCCGCAAGCAGUUCGCCGACAUCGCCUACAACUACCGCCACGGCCAGCCCAUCCCCCGCGUGGAGUACAUGGAGGAGGAGAAGAAGACCUGGGGCACCGUGUUCAAGACCCUGAAGAGCCUGUACAAGACCCACGCCUGCUACGAGUACAACCACAUCUUCCCCCUGCUGGAGAAGUACUGCGGCUUCCACGAGGACAACAUCCCCCAGCUGGAGGACGUGAGCCAGUUCCUGCAGACCUGCACCGGCUUCCGCCUGCGCCCCGUGGCCGGCCUGCUGAGCAGCCGCGACUUCCUGGGCGGCCUGGCCUUCCGCGUGUUCCACUGCACCCAGUACAUCCGCCACGGCAGCAAGCCCAUGUACACCCCCGAGCCCGACAUCUGCCACGAGCUGCUGGGCCACGUGCCCCUGUUCAGCGACCGCAGCUUCGCCCAGUUCAGCCAGGAGAUCGGCCUGGCCAGCCUGGGCGCCCCCGACGAGUACAUCGAGAAGCUGGCCACCAUCUACUGGUUCACCGUGGAGUUCGGCCUGUGCAAGCAGGGCGACAGCAUCAAGGCCUACGGCGCCGGCCUGCUGAGCAGCUUCGGCGAGCUGCAGUACUGCCUGAGCGAGAAGCCCAAGCUGCUGCCCCUGGAGCUGGAGAAGACCGCCAUCCAGAACUACACCGUGACCGAGUUCCAGCCCCUGUACUACGUGGCCGAGAGCUUCAACGACGCCAAGGAGAAGGUGCGCAACUUCGCCGCCACCAUCCCCCGCCCCUUCAGCGUGCGCUACGACCCCUACACCCAGCGCAUCGAGGUGCUGGACAACACCCAGCAGCUGAAGAUCCUGGCCGACAGCAUCAACAGCGAGAUCGGCAUCCUGUGCAGCGCCCUGCAGAAGAUCAAGUAA(配列番号8)
【0117】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、標的タンパク質の相同体または類似体をコードし得る。例えば、標的タンパク質の相同体または類似体は、実質的な標的タンパク質の活性を保持しながら、野生型または天然型の標的タンパク質と比較した場合に一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含む修飾標的タンパク質であってもよい。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、上記の例示的な配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上相同であるアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、標的タンパク質と実質的に同一であるタンパク質をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、上記の例示的な配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、標的タンパク質の断片または一部をコードする。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは標的タンパク質の断片または一部をコードし、該タンパク質の断片または一部は、野生型タンパク質
と類似した標的活性を依然として維持している。一部の実施形態では、本発明に適したmRNAは、上記の例示的な配列に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるヌクレオチド配列を有する。
【0118】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、別のタンパク質に融合した標的タンパク質(例えばN末端またはC末端融合物)の全長、断片、または一部を含む融合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、標的タンパク質の全長、断片、または一部をコードするmRNAに融合したタンパク質は、シグナル配列または細胞標的化配列をコードする。
【0119】
脂質ナノ粒子
本発明によると、mRNAはナノ粒子に封入されるかまたは複合体化され得る。一部の実施形態では、ナノ粒子は、「送達ビヒクル」、「移送ビヒクル」、またはそれらの文法的等価物とも称される。
【0120】
様々な実施形態によると、好適なナノ粒子として、以下に限定されないが、ポリエチレンイミン(PEI)などのポリマー系担体、脂質ナノ粒子およびリポソーム、ナノリポソーム、セラミド含有ナノリポソーム、プロテオリポソーム、天然および合成由来のエキソソーム、天然層状体、合成層状体および半合成層状体、ナノ粒子、カルシウムリン-ケイ酸塩ナノ粒子、リン酸カルシウムナノ粒子、二酸化ケイ素ナノ粒子、微結晶微粒子、半導体ナノ粒子、ポリ(D-アルギニン)、ゾルゲル、ナノデンドリマー、デンプンベース送達系、ミセル、エマルジョン、ニオソーム、多ドメインブロックポリマー(ビニルポリマー、ポリプロピルアクリル酸ポリマー、動的多抱合体)、乾燥粉末製剤、プラスミド、ウイルス、リン酸カルシウムヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、ならびに他の指向性タグが挙げられる。
【0121】
一部の実施形態では、mRNAは一個以上のリポソーム内に封入される。本明細書において使用される場合、「リポソーム」という用語は、任意の層状、多重層状、または固形のナノ粒子小胞を指す。典型的には、本明細書において使用されるリポソームは、一種以上の脂質を混合することにより、または一種以上の脂質とポリマーを混合することにより形成され得る。ゆえに本明細書において使用される「リポソーム」という用語は、脂質系ナノ粒子およびポリマー系ナノ粒子の両方を包含する。一部の実施形態では、本発明に適したリポソームは、カチオン性または非カチオン性脂質、コレステロール系脂質、および/またはPEG修飾脂質を含む。
【0122】
PEG化脂質
一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、一種以上のPEG化脂質を含む。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質およびN-オクタノイル-スフィンゴシン-l-[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)-2000](C8 PEG-2000セラミド)を含めた誘導体化されたセラミド(PEG-CER)などの誘導体化脂質も、本発明により企図される。企図されるPEG修飾脂質は、長さがC6~C20のアルキル鎖を有する脂質に共有結合された長さ最大5kDaのポリエチレングリコール鎖を含むが、これに限定されない。一部の実施形態では、PEG修飾またはPEG化脂質は、PEG化コレステロールまたはPEG-2Kである。一部の実施形態では、特定の有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEGセラミドである。
【0123】
PEG修飾リン脂質および誘導体化脂質は、リポソーム内の総脂質の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%を構成し得
る。
【0124】
カチオン性脂質
本明細書で使用される場合、語句「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を有する多数の脂質種のいずれかを指す。いくつかのカチオン性脂質は文献に記載されており、その多くは市販されている。本発明の組成物及び方法で使用するのに特に好適なカチオン性脂質は、国際特許公開第2010/053572号(具体的には、段落[00225]に記載されているC12-200)及び国際公開第2012/170930号に記載されているものを含み、その両方の文献は、参照により本明細書に援用される。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法に適したカチオン性脂質は、例えば、(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-l-イル)テトラコサ-15,18-ジエン-1-アミン(HGT5000)、(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-4,15,18-トリエン-l-アミン(HGT5001)、及び(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-5,15,18-トリエン-1-アミン(HGT5002)などの、2012年3月29日に出願された米国仮特許出願第61/617,468号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたイオン化可能なカチオン性脂質を含む。
【0125】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適したカチオン性脂質は、3,6-ビス(4-(ビス((9Z,12Z)-2-ヒドロキシオクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン(OF-02)などのカチオン性脂質を含む。
【0126】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適したカチオン性脂質は、3-(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)-6-(4-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ブチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット23)、3-(5-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-6-(5-((2-ヒドロキシドデシル)(2-ヒドロキシウンデシル)アミノ)ペンタン-2-イル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ターゲット24)などの名称「核酸の送達のための生分解性脂質」の国際公開第2015/184256号A2(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるカチオン性脂質を含む。
【0127】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適したカチオン性脂質は、名称「メッセンジャーRNAの送達のための脂質製剤」の国際公開第2013/063468号と米国仮出願に記載されるカチオン性脂質を含み、その両方の文献は、参照により本明細書に援用される。
【0128】
一部の実施形態では、本発明に適した一種以上のカチオン性脂質は、N-[l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、または「DOTMA」であってもよい。(Feigner et al.(Proc.Nat’l Acad.Sci.84,7413(1987);米国特許第4,897,355号)。他の好適なカチオン性脂質として、例えば、5-カルボキシスペルミルグリジンジオクタデシルアミド(carboxyspermylglycinedioctadecylamide)すなわち「DOGS」、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムすなわち「DOSPA」(Behr et al.Proc.Nat.’l Acad.Sci.86,6982(1989);米国特許第5,171,678号、米国特許第5,33
4,761号)、l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパンすなわち「DODAP」、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパンすなわち「DOTAP」が挙げられる。
【0129】
さらなる例示的なカチオン性脂質として、l,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DSDMA」、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DODMA」、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DLinDMA」、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパンまたは「DLenDMA」、N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリドまたは「DODAC」、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミドまたは「DDAB」、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロプ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミドまたは「DMRIE」、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-l-(シス,シス-9,12-オクタデカジエノキシ)プロパンまたは「CLinDMA」、2-[5’-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチル-l-(シス,シス-9’,l-2’-オクタデカジエノキシ)プロパンまたは「CpLinDMA」、N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミンまたは「DMOBA」、1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパンまたは「DOcarbDAP」、2,3-ジリノレオイルオキシ-N,N-ジメチルプロピルアミンまたは「DLinDAP」、l,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパンまたは「DLincarbDAP」、l,2-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパンまたは「DLinCDAP」、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[l,3]-ジオキソランまたは「DLin-DMA」、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[l,3]-ジオキソランまたは「DLin-K-XTC2-DMA」、及び2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,l 2-ジエン-1-イル)-l,3-ジオキソラン-4-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン(DLin-KC2-DMA))(国際公開第2010/042877号;Semple
et al.,Nature Biotech.28:172-176(2010)を参照のこと)、またはこれらの混合物が挙げられる。(Heyes,J.,et al.,J Controlled Release 107:276-287(2005);Morrissey,DV.,et al.,Nat.Biotechnol.23(8):1003-1007(2005);PCT公開第WO2005/121348A1号)。一部の実施形態では、カチオン性脂質のうちの一つ以上は、イミダゾール部分、ジアルキルアミノ部分、またはグアニジウム部分のうちの少なくとも一つを含む。
【0130】
一部の実施形態では、一つ以上のカチオン性脂質は、XTC(2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン)、MC3(((6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル 4-(ジメチルアミノ)ブタノアート)、ALNY-100((3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン))、NC98-5(4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N1,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザヘキサデカン-1,16-ジアミド)から選択されてもよい。
【0131】
用語「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を有する多数の脂質またはリピドイドのいずれかを指す。
【0132】
本発明の組成物および方法で使用するための適切なカチオン性脂質には、本明細書に参
照によって援用される国際特許公開第2010/14474号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、以下の化合物構造を有する、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル 4-(ジメチルアミノ)ブタン酸塩:
【化1】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0133】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される、国際特許公開第2013/149140号に記載されるイオン化可能なカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のうちの一つのカチオン性脂質
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して水素、任意で置換された、可変飽和または不飽和C
1-C
20アルキル、および任意で置換された、可変飽和または不飽和C
6-C
20アシルからなる群から選択され、式中、L
1およびL
2は、それぞれ独立して水素、任意で置換されたC
1-C
30アルキル、任意で置換された可変不飽和C
1-C
30アルケニル、および任意で置換されたC
1-C
30アルキニルからなる群から選択され、式中、mおよびoはそれぞれ独立して、ゼロおよび任意の正の整数(例えば、mは3)であり、式中、nはゼロまたは任意の正の整数(例えば、nは1)である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z、18Z)-N,N-ジメチル-6-(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-l-イル)テトラコサ-15,18-ジエン-1-アミン(「HGT5000」):
【化3】
(HGT-5000)
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z、18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-4,15,18-トリエン-l-アミン(「HGT5001」):
【化4】
(HGT-5001)
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有する、カチオン性脂質および(15Z、18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-5,15,18-トリエン-1-アミン(「HGT5002」):
【化5】
(HGT-5002)
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0134】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される、国際特許公開第2010/053572号に、アミノアルコールリピドイドとして記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化6】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0135】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2016/118725号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化7】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0136】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2016/118724号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化8】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0137】
本発明の組成物および方法において使用するための他の好適なカチオン性脂質は、14,25-ジトリデシル15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタンの式を有するカチオン性脂質、およびその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0138】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2013/063468号および国際特許公開第2016/205691号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化9】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、R
Lは独立して任意で置換されたC
6-C
40アルケニルである。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化10】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化11】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化12】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化13】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0139】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2015/184256号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化14】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、各Xは独立してOまたはSであり;各Yは独立してOまたはSであり;各mは独立して0~20であり;各nは独立して1~6であり;各R
Aは独立して水素、任意で置換されるC1-50アルキル、任意で置換されるC2-50アルケニル、任意で置換されるC2-50アルキニル、任意で置換されるC3-10カルボシクリル、任意で置換される3~14員のヘテロシクリル、任意で置換されるC6-14アリール、任意で置換される5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンであり、各R
Bは独立して水素、任意で置換されるC1-50アルキルと、任意で置換されるC2-50アルケニル、任意で置換されるC2-50アルキニル、任意で置換されるC3-10カルボシクリル、任意で置換される3~14員のヘテロシクリル、任意で置換されるC6-14アリール、任意選択的に置換される5~14員のヘテロアリールまたはハロゲンである。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を
有するカチオン性脂質「ターゲット23」:
【化15】
(ターゲット23)
【0140】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0141】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2016/004202号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化16】
またはその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化17】
またはその薬学的に許容可能な塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化18】
またはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0142】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照により援用される、J.McClellan,M.C.King,Cell 2010,141,210-217およびWhitehead et al.,Nature Communications(2014)5:4277に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化19】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0143】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2015/199952号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化20】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化21】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化22】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化23】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化24】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化25】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化26】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化27】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化28】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化29】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化30】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化31】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化32】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0144】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2017/004143号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構
造を有するカチオン性脂質:
【化33】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化34】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化35】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化36】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化37】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化38】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化39】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化40】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化41】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化42】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化43】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化44】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化45】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化46】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化47】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化48】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化49】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0145】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2017/075531号に記載されるカチオ
ン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化50】
またはその薬学的に許容可能な塩を含み、式中、L
1またはL
2のうちの一つは、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-、または-NR
aC(=O)O-であり;もう一つのL
1またはL
2は、-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-または-NR
aC(=O)O-または直接結合であり; G
1およびG
2は、それぞれ独立して非置換C
1-C
12アルキレンまたはC
1-C
12 アルケニレンであり;G
3はC
1-C
24アルキレン、C
1-C
24アルケニレン、C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニレンであり;R
aはHまたはC
1-C
12アルキルであり;R
1およびR
2はそれぞれ独立してC
6-C
24アルキルまたはC
6-C
24アルケニルであり;R
3はH、OR
5、CN、-C(=O)OR
4、-OC(=O)R
4または-NR
5 C(=O)R
4であり、R
4はC
1-C
12アルキルであり;R
5はHまたはC
1-C
6アルキルであり;xは0、1または2である。
【0146】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2017/117528号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化51】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化52】
およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化53】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0147】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2017/049245号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の式のうちの一つのカチオン性脂質:
【化54】
およびその薬学的に許容される塩を含む。これら四つの式のうちのいずれか一つについて、R
4は、-(CH
2)
nQおよび-(CH
2)
nCHQRから独立して選択され、Qは、-OR、-OH、-O(CH
2)
nN(R)
2、-OC(O)R、-CX
3、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)
2R、-N(H)S(O)
2R、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(H)C(O)N(R)
2、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)
2、-N(H)C(S)N(R)
2、-N(H)C(S)N(H)(R)、および複素環からなる群から選択され、nは1、2または3である。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化55】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化56】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化57】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化58】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0148】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2017/173054号および国際特許公開第2015/095340号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化59】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法
は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化60】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化61】
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物及び方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質:
【化62】
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0149】
本発明の組成物および方法で使用するためのその他の適切なカチオン性脂質は、コレステロール系カチオン性脂質を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するイミダゾールコレステロールエステルまたは「ICE」:
【化63】
(ICE)
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0150】
本発明の組成物および方法で使用するための他の適切なカチオン性脂質には、本明細書に参照によって援用される国際特許公開第2012/170889号に記載される切断可能カチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式のカチオン性脂質:
【化64】
,
を含み、式中、R
1は、イミダゾール、グアニジン、アミノ、イミン、エナミン、任意で置換されるアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ)およびピリジルからなる群から選択され、R
2は、以下の二つの式のうちの一つからなる群から選択され:
【化65】
式中、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、任意で置換される可変飽和または不飽和C
6-C
20アルキルおよび任意で置換される可変飽和または不飽和C
6-C
20アシルからなる群から選択され、式中、nは、0または任意の正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4001」:
【化66】
(HGT4001)
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4002」:
【化67】
(HGT4002)
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4003」:
【化68】
(HGT4003)
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4004」:
【化69】
(HGT4004)
およびその薬学的に許容される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4005」:
【化70】
(HGT4005)
およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0151】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、N-[l-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」)を含む。(Feigner et al.(Proc.Nat’l
Acad.Sci.84,7413(1987);本明細書に参照によって援用される、米国特許第4,897,355号)。本発明の組成物および方法のための他の好適なカチオン性脂質は、例えば、5-カルボキシスペルミルグリジンジオクタデシルアミド(carboxyspermylglycinedioctadecylamide)「DOGS」、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウム「DOSPA」(Behr et al.Proc.Nat.’l Acad.Sci.86,6982(1989);米国特許第5,171,678号、米国特許第5,334,761号)、l,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン「DODAP」、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン「DOTAP」を含む。
【0152】
本発明の組成物および方法に適した追加の例示的なカチオン性脂質はまた、l,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DSDMA」);1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DODMA」)、1,2-ジリノレイロキシオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLinDMA」)、l,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLenDMA」)、N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアルネルノニウムブロミド(「DDAB」)、N-(l,2-ジミリチルチルオキシプロップ-3-イル)-N,N-ジメチル
-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」)、3-ジメチルアミノ-2-(コレスト-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-l-(シス,シス-9,12-オクタデカデノキシ)プロパン(「CLinDMA」); 2-[5’-(コレステロール-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチl-l-(シス,シス-9’,l2’-オクタデカデノキシ)プロパン(「CpLinDMA」); N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(「DMOBA」); 1,2-N、N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DOcarbDAP」); 2,3-ジリノレオイロイルオキシ-N,N-ジメチルプロピルアミン(「DLinDAP」)、l,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLincarbDAP」); l,2-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLinCDAP」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[l,3]-ジオキソラン(「DLin-K-DMA」);2-((8-[(3P)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2R)」);(2R)-2-((8-[(3P)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,fsl-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2R)」);(2S)-2-((8-[(3P)-コレスト-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N、fsl-ジメチ3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2S)」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[l,3]-ジオキソラン(「DLin-K-XTC2-DMA」)、および2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,l 2-ジエン- 1-イル)-l,3-ジオキソラン-4-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン(「DLin-KC2-DMA」)を含む(本明細書に参照によって援用される国際公開第2010/042877号参照;Semple et al.,Nature Biotech.28:172-176(2010))。(Heyes,J.,et al.,J Controlled Release 107:276-287(2005);Morrissey,DV.,et al.,Nat.Biotechnol.23(8):1003-1007(2005);国際特許公開WO2005/121348)。一部の実施形態では、カチオン性脂質のうちの一つ以上は、イミダゾール部分、ジアルキルアミノ部分、またはグアニジウム部分のうちの少なくとも一つを含む。
【0153】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した一つ以上のカチオン性脂質は、2,2-ジリノール-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(「XTC」);(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(「ALNY-100」)および/または4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N1,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザヘキサデカン-1,16-ジアミド(「NC98-5」)を含む。
【0154】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子の重量で測定して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する一つ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子のモル%で測定して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する一つ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂
質含有量、例えば、脂質ナノ粒子の重量で測定して、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する一つ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物中の総脂質含有量、例えば、脂質ナノ粒子のモル%で測定して、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する一つ以上のカチオン性脂質を含む。
【0155】
非カチオン性/ヘルパー脂質
本明細書で使用される場合、語句「非カチオン性脂質」は、任意の中性脂質、双性イオン性脂質、または陰イオン性脂質を意味する。本明細書で使用される場合、語句「カチオン性脂質」は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の負電荷を運ぶ多数の脂質種のいずれかを指す。非カチオン性脂質として、以下に限定されないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0156】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の総脂質の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%または70%を構成しうる。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の総脂質の約30~50%(例えば、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。
【0157】
コレステロール系脂質
一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、一種以上のコレステロール系脂質を含む。例として、好適なコレステロール系カチオン性脂質として、例えば、DC-Choi(N,N-ジメチル-N-エチルカルボキサミドコレステロール)、1,4-ビス(3-N-オレイルアミノ-プロピル)ピペラジン(Gao,et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.179,280(1991);Wolf et al.BioTechniques 23,139(1997);米国特許第5,744,335号)、またはICEが挙げられる。一部の実施形態では、コレステロール系脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の総脂質の少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%を構成する。一部の実施形態では、コレステロール系脂質は、重量またはモルで、適切な脂質溶液中の総脂質の約30~50%(例えば、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。
【0158】
カチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール系脂質、およびPEG修飾脂質の例示的組み合わせが実施例のセクションに記載されている。例えば、適切な脂質溶液は、
cKK-E12、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;C12-200、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5000、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5001、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;cKK-E12、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2K;C12-200、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT5000、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2K;またはHGT5001、DPPC、コレステロールおよびDMG-PEG2Kを含み得る。脂質混合物を含むカチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び/またはPEG修飾脂質の選択、ならびにこれらの脂質の相互の相対的モル比は、選択される脂質の特徴、ならびに封入されるべきmRNAの性質および特徴に基づく。さらなる考慮すべき事項には、例えば、選択される脂質のアルキル鎖の飽和度、ならびに大きさ、電荷、pH、pKa、融合性、及び毒性が含まれる。したがって、モル割合はそれらに応じて調節され得る。
【0159】
mRNA担持ナノ粒子
任意の望ましい脂質は、mRNAの封入に適した任意の比で混合されうる。一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール、および/またはPEG化脂質を含む所望の脂質の混合物を含有する。
【0160】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子にmRNAを封入するプロセスは、mRNA溶液と脂質溶液を混合することを含み、該mRNA溶液および/または脂質溶液は、混合前に周囲温度よりも高い所定温度に加熱されて、mRNAを封入する脂質ナノ粒子を形成する(2015年7月2日に出願された「Encapsulation of messenger RNA」と題する米国特許出願公開第14/790,562号、および2014年7月2日に出願された米国仮特許出願第62/020,163号を参照されたく、これらの開示はその全体が本明細書に援用される)。
【0161】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子にmRNAを封入するプロセスは、予め形成した脂質ナノ粒子をmRNAと混合することを含む(2016年11月10日に出願された米国仮特許出願第62/420,413号、および2017年11月1日に出願された米国仮特許出願第62/580,155号を参照されたく、これらの開示は参照により本明細書に援用される)。一部の実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと混合することで、mRNAを細胞内に送達する効率を改善する脂質ナノ粒子が生じる。一部の実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子をmRNAと混合することで、極めて高い封入効率(すなわち、90~95%の範囲)でmRNAを脂質ナノ粒子に封入することになる。一部の実施形態では、予め形成された脂質ナノ粒子とmRNAとを、プロセス全体にわたって脂質/mRNA(N/P)比を一定に維持し、かつ量産化を容易にするポンプシステムを用いて混合している。
【0162】
本発明による好適なリポソームは、様々な大きさに作製することができる。一部の実施形態では、提供されるリポソームは、従来から知られているmRNA封入リポソームよりも小さく作製され得る。一部の実施形態では、リポソームの大きさが減少すると、mRNAの送達効率が高くなる。適切なリポソームの大きさは、標的細胞または標的組織の部位を考慮し、また作製されるリポソームの用途をある程度考慮して選択することができる。
【0163】
一部の実施形態では、適切な大きさのリポソームを選択して、mRNAによりコードされる抗体の全身分布を促進する。一部の実施形態では、特定の細胞または組織へのmRNAのトランスフェクションを限定することが望ましい場合がある。例えば、肝細胞を標的とするには、リポソームは、その寸法が肝臓の肝類洞を覆う内皮層の開窓よりも小さくなるように寸法決定されてもよく、こうした場合、リポソームは、その内皮開窓を容易に貫通して、標的肝細胞に達することができようになる。
【0164】
あるいはまたは加えて、リポソームは、リポソームの寸法が特定の細胞もしくは組織内への分布を制限するか、または意図的に分布しないようにするのに十分な直径であるように寸法決定されてもよい。例えば、リポソームは、その寸法が肝類洞を覆う内皮層の開窓より大きくなるように寸法決定されてもよく、それによって、リポソームの肝細胞への分布を制限する。
【0165】
一部の実施形態では、リポソームの大きさは、リポソーム粒子の最大直径の長さによって決定される。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約250nm以下(例えば、約225nm、200nm、175nm、150nm、125nm、100nm、75nm、または50nm以下)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約10~250nmの範囲(例えば、約10~225nm、10~200nm、10~175nm、10~150nm、10~125nm、10~100nm、10~75nm、または10~50nmの範囲)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約100~250nmの範囲(例えば、約100~225nm、100~200nm、100~175nm、100~150nmの範囲)の大きさを有する。一部の実施形態では、好適なリポソームは、約10~100nmの範囲(例えば、約10~90nm、10~80nm、10~70nm、10~60nm、または10~50nmの範囲)の大きさを有する。特定の実施形態では、好適なリポソームは、約100nm未満の大きさを有する。
【0166】
リポソーム集団の寸法決定に対して、当該技術分野において既知の様々な別の方法を利用することができる。こうした寸法決定方法の一つは、米国特許第4,737,323号に記載されており、この文献は参照によって本明細書に援用される。バス超音波処理またはプローブ超音波処理のいずれかによるリポソーム懸濁液の超音波処理によって、直径が約0.05マイクロメートル未満の小さいULVまでサイズ漸減する。ホモジナイゼーションは別の方法であり、大きいリポソームをより小さいものに断片化するのに剪断エネルギーを利用する。典型的なホモジナイゼーション手順において、MLVは、選択されたリポソームの大きさ、典型的には約0.1~0.5マイクロメートルの大きさが観察されるまで、標準的なエマルジョンホモジナイザーを用いて再循環される。リポソームの大きさは、本明細書に参照によって援用される,Bloomfield,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.,10:421-150(1981)に記載された準電気光散乱(QELS)によって算出され得る。平均リポソーム直径を、形成されたリポソームを超音波処理することによって減少させることができる。断続的な超音波処理サイクルをQELS評価と交互に行って、効率的なリポソーム合成を導くことができる。
【0167】
医薬組成物
in vivoでのmRNAの発現を促進するために、リポソームを含めた脂質ナノ粒子などの送達ビヒクルは、一つ以上の追加の核酸、担体、標的化リガンドまたは安定化試薬と組み合わせて製剤化されても、好適な賦形剤と混合されている薬理学的組成物に製剤化されてもよい。一部の実施形態では、mRNAを封入している脂質ナノ粒子は、ヒアルロニダーゼと同時に投与される。薬物の製剤化及び投与の技術は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,latest editionで知ることができる。
【0168】
提供されるリポソーム封入mRNA、またはリポソーム結合mRNA、及びそれを含む組成物は、対象の臨床状態、投与の部位及び投与方法、投与スケジュール、対象の年齢、性別、体重、ならびに当該技術分野の臨床医に関連する他の要因を考慮して、現在の医療行為に従い投与及び投薬され得る。本明細書における目的に適う「有効量」は、実験臨床
研究、薬理学、臨床、及び医療分野の当業者に既知のこうした適切な考慮すべき事項により決定され得る。一部の実施形態では、投与される量は、症状や、当業者によって疾患の進行、退行、または改善の適切な基準として選択される他の指標を、少なくともいくらか安定化、改善、または排除するのに有効である。例えば、好適な量及び投薬レジメンは、少なくとも一過性タンパク質(例えば、酵素)の産生をもたらすものである。
【0169】
本発明は、皮下組織(皮膚と筋肉の間の組織層)へのボーラス注射といった皮下送達に焦点を当てているが、その他の適切な投与経路として、例えば、経口投与、直腸投与、膣投与、経粘膜投与、気管内もしくは吸入を含む肺投与、または腸投与;皮内注射、経皮(局所)注射、筋肉内注射、髄内注射、ならびにくも膜下腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、もしくは鼻腔内を含めた非経口送達が挙げられる。特定の実施形態では、筋肉内投与は、骨格筋、平滑筋、及び心筋からなる群から選択される筋肉に行う。一部の実施形態では、投与の結果、mRNAが筋細胞に送達される。一部の実施形態では、投与の結果、mRNAが肝細胞(すなわち肝臓細胞)に送達される。特定の実施形態では、筋肉内投与の結果、mRNAが筋細胞に送達される。
【0170】
代替的または追加的に、本発明のリポソームに封入されたmRNAおよび組成物は、全身的な方法ではなく局所的な方法で投与され得る。
【0171】
本発明の提供される方法は、本明細書に記載される治療剤(例えば、治療用タンパク質をコードするmRNA)の治療有効量の単回投与ならびに複数回投与を企図する。治療剤は、対象の状態(たとえばOTC欠損症)の性質、重篤度、及び程度によって規則的な間隔で投与されてもよい。一部の実施形態では、本発明の治療剤(例えば、治療用タンパク質をコードするmRNA)の治療有効量を、規則的な間隔で(例えば、年に一回、六カ月に一回、五カ月に一回、三カ月に一回、隔月(二カ月に一回)、毎月(毎月一回)、隔週(二週間に一回)、月二回、30日に一回、28日に一回、14日に一回、10日に一回、7日に一回、毎週、週二回、毎日、または連続して)、周期的に皮下投与してもよい。
【0172】
一部の実施形態では、提供されるリポソーム及び/または組成物は、その中に含まれるmRNAの徐放に適するように製剤化される。こうした徐放性組成物は、投薬間隔を延長させて対象に適宜投与することができる。例えば、一部の実施形態では、本発明の組成物は、一日二回、毎日、または一日おきに対象に投与される。好適な実施形態では、本発明の組成物は、週二回、週一回、7日に一回、10日に一回、14日に一回、28日に一回、30日に一回、二週間に一回、三週間に一回もしくはより好ましくは四週間に一回、一か月に一回、一か月に二回、六週間に一回、八週間に一回、隔月に一回、三か月に一回、四か月に一回、六か月に一回、八か月に一回、九か月に一回、または毎年対象に投与される。長期間にわたるmRNAの送達または放出のいずれかを行うために、デポ投与(例えば、筋肉内、皮下、硝子体内)用に製剤化される組成物およびリポソームも企図される。好ましくは、採用される徐放手段は、安定性を強化するためにmRNAに施される修飾と組み合わされる。
【0173】
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は、主として、本発明の医薬組成物に含まれる治療剤の総量に基づいている。一般に、治療有効量は、対象に対して意義のある利益を得る(例えば、OTC欠損症を治療、調節、治癒、防止、及び/または改善する)のに十分な量である。例えば、治療有効量は、所望の治療作用及び/または予防作用を得るのに十分な量であり得る。通常、それを必要とする対象に投与される治療剤(例えば、治療用タンパク質をコードするmRNA)の量は、該対象の特徴によって異なる。このような特徴には、対象の状態、疾患重篤度、全般的健康、年齢、性別および体重が含まれる。当業者は、これらおよび他の関連因子に応じて適切な用量を容易に決定することができるであろう。さらに、最適な投薬量範囲を同定するために、客観的および主観的アッセイ
の両方を任意に用いることができる。
【0174】
治療有効量は、複数の単位用量を含み得る投薬レジメンで一般的に投与される。任意の特定の治療用タンパク質について、治療有効(および/または有効な投与レジメン内の適切な単位投与量)は、例えば、投与経路に応じて、他の医薬品と組み合わせて変化し得る。また、任意の特定の患者に固有の治療有効量(及び/または単位用量)は、治療される障害及び障害の重篤度;採用される特定の医薬作用剤の活性;採用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事;投与時間、投与経路、及び/または採用される特定のタンパク質の排出または代謝速度;治療期間;ならびに医療分野において周知の類似要因を含む様々な要因に依存し得る。
【0175】
一部の実施形態では、治療有効投与量は、約0.005mg/kg(体重)~500mg/kg(体重)、例えば、約0.005mg/kg(体重)~400mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~300mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~200mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~100mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~90mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~80mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~70mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~60mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~50mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~40mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~30mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~25mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~20mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~15mg/kg(体重)、約0.005mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)の範囲である。
【0176】
一部の実施形態では、治療有効投与量は、約0.1mg/kg(体重)超、約0.5mg/kg(体重)超、約1.0mg/kg(体重)超、約3mg/kg(体重)超、約5mg/kg(体重)超、約10mg/kg(体重)超、約15mg/kg(体重)超、約20mg/kg(体重)超、約30mg/kg(体重)超、約40mg/kg(体重)超、約50mg/kg(体重)超、約60mg/kg(体重)超、約70mg/kg(体重)超、約80mg/kg(体重)超、約90mg/kg(体重)超、約100mg/kg(体重)超、約150mg/kg(体重)超、約200mg/kg(体重)超、約250mg/kg(体重)超、約300mg/kg(体重)超、約350mg/kg(体重)超、約400mg/kg(体重)超、約450mg/kg(体重)超、約500mg/kg(体重)超である。特定の実施形態では、治療有効投与量は1.0mg/kg(体重)である。一部の実施形態では、1.0mg/kg(体重)の治療有効投与量が筋肉内または静脈内に投与される。
【0177】
また、本明細書に開示されるリポソームのうちの一つ以上を含む凍結乾燥された医薬組成物と、例えば、2012年6月8日に出願された国際特許出願PCT/US12/41663に開示されるような、かかる組成物を使用するための関連方法も、本明細書において企図される。当該出願の教示内容はその全体で参照により本明細書に組み込まれる。例えば、本発明による凍結乾燥された医薬組成物は、投与前に戻されるか、またはin vivo.で戻され得る。例えば、凍結乾燥された医薬組成物は、適切な剤形(例えば、ディスク、ロッド、または膜などの皮内剤形)に製剤化され、剤形が個体の体液によってin vivoで経時的に再水和されるように投与され得る。
【0178】
提供されるリポソーム及び組成物は、任意の所望の組織に投与され得る。一部の実施形態では、mRNAを含む提供されるリポソームおよび組成物は皮下に送達され、mRNAは皮下組織以外の細胞または組織型で発現する。一部の実施形態では、提供されるリポソ
ームまたは組成物によって送達される標的タンパク質をコードするmRNAは、リポソームおよび/または組成物が投与された組織で発現する。一部の実施形態では、送達されるmRNAは、リポソーム及び/または組成物が投与された組織とは異なる組織で発現される。送達されるmRNAが送達および/または発現され得る場所となる組織の例としては、限定されないが、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、血清、脳、骨格筋、リンパ節、皮膚、および/または脳脊髄液が挙げられる。
【0179】
一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、投与されるmRNAの発現が増加するか、または対象由来の生体試料におけるmRNAコードタンパク質の活性レベルが、治療もしくは投与前のベースライン発現レベルもしくは活性レベルと比較して増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象由来の生体試料において、提供される組成物のmRNAによりコードされる治療用タンパク質の発現レベルまたは活性レベルが、治療前のベースライン発現レベルまたは活性レベルと比較して増加する。通例、ベースラインレベルは、治療直前に測定される。生体試料としては、例えば、全血、血清、血漿、尿、及び組織試料(例えば、筋肉、肝臓、皮膚線維芽細胞)が含まれる。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、治療用タンパク質(投与されたmRNAによってコードされるタンパク質)の発現レベルまたは活性レベルが、治療直前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象由来の生体試料におけるmRNA発現レベルまたは活性レベルが、治療されていない対象と比較して増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、対象由来の生体試料において、提供される組成物のmRNAによってコードされる治療用タンパク質の発現レベルまたは活性レベルが、治療されていない対象と比較して増加する。
【0180】
様々な実施形態によると、送達されるmRNAの発現の時期を、特定の医学的要求に合うように調整することができる。一部の実施形態では、送達されるmRNAによってコードされるタンパク質の発現は、提供されるリポソーム及び/または組成物の投与の1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週、2週、または1カ月後に検出可能である。
【0181】
一部の実施形態では、提供される組成物の治療有効投与量は、定期的に投与された場合、対象において、治療前のベースラインのシトルリン産生と比較してシトルリン産生の増加をもたらす。典型的には、治療前または治療後のシトルリン値は、例えば血液、血漿もしくは血清、尿、または固形組織抽出物などの対象から取得された生体試料において測定され得る。一部の実施形態では、本発明に従う治療により、生体試料(例えば血漿、血清または尿)中のシトルリン値が、ベースラインのシトルリン値と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、または3倍増加する。
【0182】
本発明によると、提供される組成物の治療有効投与量は、定期的に投与された場合、タンパク質欠損症の少なくとも一つの症状または特徴の強度、重篤度、もしくは頻度の低下をもたらすか、または発症の遅延をもたらす。
【0183】
治療用途
本発明を使用して、様々な疾患、障害、および症状を治療することができる。特に、単一遺伝子障害および、タンパク質をコードするmRNAを投与することにより、一つ以上の疾患関連症状を低減、または疾患症状を改善させる障害が、本発明を用いた治療用途の候補となる。本出願開示に詳述される皮下投与用の例示的な治療用メッセンジャーRNAは、関連する機能を有する、又は記載される疾患または状態に関与する、表1、2、3、
4、5または6に列挙される対応する例示的な遺伝子のいずれかから選択され得る。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【表6-8】
【表6-9】
【表6-10】
【表6-11】
【表6-12】
【表6-13】
【表6-14】
【表6-15】
【表6-16】
【表6-17】
【表6-18】
【表6-19】
【表6-20】
【表6-21】
【表6-22】
【表6-23】
【表6-24】
【表6-25】
【表6-26】
【表6-27】
【表6-28】
【表6-29】
【表6-30】
【表6-31】
【表6-32】
【表6-33】
【表6-34】
【表6-35】
【表6-36】
【表6-37】
【表6-38】
【表6-39】
【表6-40】
【表6-41】
【表6-42】
【表6-43】
【表6-44】
【表6-45】
【表6-46】
【0184】
一部の実施形態では、本発明は、表1に列挙される疾患または障害の治療に有用である。
【0185】
一部の実施形態では、本発明は、ワクチンの送達に有用である。皮下送達されるワクチンは、限定するものではないが、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ炎、麻疹、ムンプス、おたふく風邪、風疹、インフルエンザ菌感染症b型、B型肝炎、インフルエンザ、肺炎球菌感染症、コレラ、A型肝炎、髄膜炎菌性疾患、ペスト、狂犬病、コウモリリッサウイルス、黄熱、日本脳炎、Q熱、結核、腸チフスおよび水痘帯状疱疹を含む感染症に対するワクチンを含む。皮下送達されるワクチンは、癌などの細胞増殖性障害に対するワクチンも含み得る。一部の実施形態では、皮下送達されるワクチンは、リンパ増殖性疾患のための癌ワクチンを含む。一部の実施形態では、癌ワクチンは、本発明の方法を使用して、癌細胞に対する細胞免疫応答を誘導する免疫原性物質をコードする、皮下送達されるmRNAを含む。一部の実施形態では、一つ以上の癌抗原性エピトープを含むMHCクラス特
異的ペプチドをコードするmRNAを含むワクチンは、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAと共に皮下投与され、これはワクチンの優れた全身送達およびより強力な抗原応答をもたらし得る。
【0186】
一部の実施形態では、本発明は、肝疾患、例えばOTC欠損症の治療に有用である。ヒアルロニダーゼ酵素と、OTCタンパク質をコードするmRNAとの同時注射により、対象の肝臓細胞(例えば、肝細胞)におけるOTC酵素(タンパク質)のレベルが、治療前のベースラインレベルと比較して増加する。典型的には、ベースラインレベルは、治療前に(例えば、治療の12カ月前まで、一部の場合においては治療の直前に)測定される。一部の実施形態では、本発明の皮下注射により、肝細胞におけるOTCタンパク質のレベルが、治療前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%増加する。一部の実施形態では、本発明の皮下注射により、肝細胞におけるOTCタンパク質のレベルが、治療をしていない対象の肝臓細胞におけるOTCタンパク質のレベルと比較して増加する。
【0187】
一部の実施形態では、本発明の皮下注射により、対象の血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルが、治療前のベースラインのレベルと比較して増加する。典型的には、ベースラインレベルは、治療前に(例えば、治療の12カ月前まで、一部の場合においては治療の直前に)測定される。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルが、治療直前のベースラインのレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%まで増加する。一部の実施形態では、提供される組成物を投与することにより、血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルが、治療をしていない対象の血漿または血清におけるOTCタンパク質のレベルと比較して増加する。
【0188】
本発明の組成物および方法は、多数の障害を治療するためのmRNAの送達を提供する。特に、本発明の組成物および方法は、肝臓に排出または分泌されるタンパク質および/または酵素の欠損に関する疾患または障害の治療に適している。これらの疾患または障害には、以下に限定されないが、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)欠損症(フェニルケトン尿症(PKU)として従来より知られている)、肝臓の尿素サイクル異常シトルリン血症を引き起こすアルギニノコハク酸シンテターゼ1(ASS1)欠損症、貧血を引き起こすエリスロポエチン(EPO)欠損症(エリスロポエチンは腎臓内および肝臓内の両方で産生されるタンパク質)が含まれる。
【0189】
本発明が有用となる障害には、以下に限定されないが、ファブリー病などの障害;血友病性疾患(例えば、血友病B(FIX)、血友病A(FVIII));SMN1関連脊髄性筋萎縮症(SMA);筋萎縮性側方硬化症(ALS);GALT関連ガラクトース血症;アルポート症候群を含むCOL4A5関連障害;ガラクトセレブロシダーゼ欠損症;X連鎖副腎白質ジストロフィー;フリートライヒ運動失調症;ペリツェウス・メルツバッハ病;TSC1およびTSC2関連結節性(脳)硬化症;サンフィリポB症候群(MPS IIIB);脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/失調症候群、および脆弱X早期卵巣不全症候群を含むFMR1関連障害;プラダー・ウィリー症候群;遺伝性出血性毛細管拡張症(AT);ニーマン・ピック病タイプC1;若年型神経セロイドリポフスチノーシス(JNCL)、若年バッテン病、サンタヴォリ・ハルティア病、ヤンスキー・ビールショースキー病、ならびにPTT-1およびTPP1欠損症を含む、神経セロイドリポフスチン症関連疾患;中枢神経系ミエリン形成不全/白質消失病を伴うEIF2B1、EIF2B2、EIF2B3、EIF2B4、およびEIF2B5関連小児期運動失調;CACNA1AおよびCACNB4関連一過性運動失調症2型;古典的レット症候群、MECP2関連重度新生児脳症、およびPPM-X症候群を含むMECP2関連障害;CDKL5関連非定
型レット症候群;ケネディ病(SBMA);皮質下梗塞および白質脳症(CADASIL)を伴うノッチ-3関連常染色体優性脳動脈症;SCN1AおよびSCN1B関連の発作障害;アルパーズ・フッテンロッハー症候群、POLG関連感覚性運動失調型ニューロパチー、構音障害、および眼麻痺、ならびにミトコンドリアDNA欠失を伴う常染色体優性および劣性の進行性外眼筋麻痺を含む、ポリメラーゼG関連障害;X連鎖副腎低形成;X連鎖無ガンマグロブリン血症;ウィルソン病が含まれる。
【0190】
一部の実施形態では、本発明の核酸、特にmRNAは、細胞外空間に分泌される機能的タンパク質または酵素をコードしてもよい。例えば、分泌されたタンパク質には、クロッティング因子、補体経路成分、サイトカイン、ケモカイン、ケモアトラクタント、タンパク質ホルモン(例えば、EGF、PDF)、血清のタンパク質成分、抗体、分泌トール様受容体などが含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物は、エリスロポエチン、α1-アンチトリプシン、カルボキシペプチダーゼN、またはヒト成長ホルモンをコードするmRNAを含み得る。
【実施例0191】
本発明の特定の化合物、組成物、及び方法について、特定の実施形態に従って具体的に説明してきたが、以下の実施例は、本発明の化合物を単に説明するという役割を果たすものであり、それを制限することを意図するものではない。
【0192】
脂質材料
以下の実施例に記載される製剤は、特に記載しない限り、種々の核酸材料を封入するように設計された、一種以上のカチオン性脂質、ヘルパー脂質(例えば非カチオン性脂質および/またはコレステロール系脂質)、およびPEG化脂質を用いた様々な比率の多成分脂質混合物を含む。プロセス用のカチオン性脂質としては、以下に限定されないが、cKK-E12(3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン)、OF-02、Target23、Target24、ICE、HGT5000、HGT5001、HGT4003、DOTAP(1,2-ジオレイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DODAP(1,2-ジオレイル-3-ジメチルアンモニウムプロパン)、DOTMA(1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン)、DLinDMA(Heyes,J.;Palmer,L.;Bremner,K.;MacLachlan,I.“Cationic lipid saturation influences intracellular delivery of encapsulated nucleic acids” J.Contr.Rel.2005,107,276-287)、DLin-KC2-DMA(Semple,S.C.et al.“Rational Design of Cationic Lipids for siRNA Delivery” Nature Biotech.2010,28,172-176)、C12-200(Love,K.T.et al.“Lipid-like materials for low-dose in vivo gene silencing” PNAS 2010,107,1864-1869)、ジアルキルアミノ系、イミダゾール系、グアニジニウム系などが挙げられ得る。ヘルパー脂質としては、以下に限定されないが、DSPC(1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DPPC(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPE(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DPPE(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DMPE(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)、DOPG(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-(1’-rac-グリセロール))、DOPC(1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホチジルコリン)、コレステロールなどが挙げられ得る。PEG化脂質は、限定するものではないが、C6-C20の長さのアルキル鎖を有する脂
質に共有結合された、長さが最大5kDaのポリ(エチレン)グリコール鎖を含み得る。
【0193】
mRNA材料
一部の実施形態では、標的タンパク質をコードするコドン最適化されたメッセンジャーRNAを、遺伝子をコードするプラスミドDNA鋳型からのin vitro転写により合成し、次いで、5’キャップ構造(Cap1)(FFechter,P.; Brownlee,G.G.“Recognition of mRNA cap structures by viral and cellular proteins” J.Gen.Virology 2005,86,1239-1249)および3’ポリ(A)を付加した。各mRNA生成物に存在する5’および3’非翻訳領域はそれぞれXおよびYとして表され、上述の通り定義される。
【0194】
実施例1.マウスにおけるホタルルシフェラーゼタンパク質のin vivo発現
本実施例は、ホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNA担持LNPを投与する例示的な方法、および標的組織におけるホタルルシフェラーゼをin vivoで分析するための方法を示す。20mg/kgのヒアルロニダーゼmRNAと共に製剤化された20mg/kgのFFLをコードするmRNA封入LNPで、野生型マウスを皮下送達により処置した。FFLタンパク質によって産生された発光が、皮下投与3、24、48時間後に観察された。
これらのマウスの肝臓における活性FFLタンパク質が首尾よく産生したことを表す顕著な発光が観察された。さらに、持続的FFL活性が少なくとも24時間維持され、強度の減少はわずかか、または全くなかった。
【0195】
実施例2.マウスにおける発現hOTCのin vivo活性
本実施例は、OTC KO spfashマウスにおける、ヒトOTC(hOTC)mRNA担持脂質ナノ粒子を用いた、ヒアルロニダーゼ無しの静脈内投与とヒアルロニダーゼをコードするmRNA有り・無しでの皮下投与の比較を示す。この実施例では、hOTCおよびヒアルロニダーゼmRNAは同じ製剤中に存在し、したがって同時に投与される。カスタムex vivo活性アッセイを使用したシトルリン産生レベルの測定から決定される通り、hOTCタンパク質は酵素的に活性であることが示される。一般的に、シトルリンの産生を使用して、発現したhOTCタンパク質の活性を評価することができる。hOTC mRNAを封入した脂質ナノ粒子の20mg/kgでの単回用量を、ヒアルロニダーゼ有り・無しで皮下送達(20mg/kg)した24時間後に、マウスの肝臓抽出物におけるhOTCタンパク質のシトルリン活性を測定した。生理食塩水で処理したOTC KOマウスの肝臓におけるシトルリン活性も測定した。ヒアルロニダーゼmRNA共製剤なしのhOTC mRNAの皮下投与後には、有意なhOTCタンパク質活性が観察されなかった。これらの動物におけるhOTCタンパク質活性は、生理食塩水で処理された動物に見られる活性と同様であった。対照的に、hOTCタンパク質活性(シトルリンタンパク質レベルによって証明される)は、hOTC mRNA LNP組成物を静脈内投与したマウスの肝臓と、ヒアルロニダーゼをコードするmRNAと共製剤化されたhOTC mRNA LNP組成物を皮下投与したマウスの肝臓において同様であった。OTC mRNA発現の頑健性に対するヒアルロニダーゼmRNA用量依存性は、様々な用量の製剤中のヒアルロニダーゼmRNAを使用して試験しうる。
【0196】
実施例3.マウスにおけるCO-hOTC mRNA送達のin vivoでの有効性
本実施例は、OTC KO spfashマウスにおいて、CO-hOTC(コドン最適化されたヒトOTC)mRNA担持脂質ナノ粒子を用いた、ヒアルロニダーゼ無しの静脈内投与対、ヒアルロニダーゼをコードするmRNA有り・無しでの皮下投与の比較を示す。皮下送達された、ヒアルロニダーゼmRNAと共製剤化されたCO-hOTC mRNA脂質ナノ粒子は、皮下送達されたヒアルロニダーゼをコードするmRNA無しのmR
NA脂質ナノ粒子よりも効果的である。
【0197】
様々な治療群の肝臓におけるCO-hOTC mRNAコピー数を比較することによって、投与の効率を算出した。マウスの肝臓におけるCO-hOTC mRNAコピー数を、20mg/kgのCO-hOTC mRNAおよび20mg/kgのヒアルロニダーゼmRNA(配列番号12)LNP製剤の単回皮下投与の24時間後に測定した。対照セットは、ヒアルロニダーゼmRNA無しのOTC mRNAを含む。比較のため、CO-hOTC mRNAコピー数はまた、CO-hOTC mRNA LNP溶液が0.50mg/kgで静脈内注射された24時間後に、マウスの肝臓において測定された。生理食塩水で処理した野生型(WT)マウス、生理食塩水で処理したOTC KOマウス、およびhOTC LNP溶液を用いて静脈内で、ヒアルロニダーゼを含まないhOTC LNP製剤を用いて皮下で、またはヒアルロニダーゼと共製剤化されたhOTC LNPを用いて皮下で処置されたOTC KOマウスの肝臓において、mOTC mRNAコピー数を測定した。
【0198】
実施例4.マウスにおけるヒトエリスロポエチン(hEPO)のin vivo発現
本実施例は、開示された方法を用いて、mRNAをコードするhEPOの皮下投与後のヒトエリスロポエチン(hEPO)タンパク質発現の例示的な時間経過を、同一のものを静脈内投与した場合と比較して示す。
【0199】
雄のCD1マウスに、1日目に一回、hEPO mRNA担持脂質ナノ粒子を投与量1mg/kgで静脈内投与するか、または5mg/kgのヒアルロニダーゼ mRNAと共製剤化したhEPO mRNA担持脂質ナノ粒子を5mg/kgの用量で皮下投与した。ヒトEPOタンパク質発現を、hEPO特異的ELISAにより血清試料で4日間検査した。
【0200】
mRNA投与(1日目)の6時間後および2日目でのマウスの静脈内投与群と皮下投与群の両方で、高レベルのEPOタンパク質発現が観察された。この発現レベルは、同じmRNA LNPの静脈内投与と比較される。
【0201】
均等物
当業者は、日常的な実験作業を越えない手法を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するか、または確認できるものとなる。本発明の範囲は、上記の記載に限定されることは意図されず、むしろ以下の特許請求の範囲に記述されるとおりである。