(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059876
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】創傷および皮膚障害を治療するためのタラ肝油で構成される局所用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/60 20060101AFI20240423BHJP
A61K 35/407 20150101ALI20240423BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20240423BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240423BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20240423BHJP
A61K 33/14 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240423BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240423BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20240423BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240423BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240423BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A61K35/60
A61K35/407
A61K36/88
A61K9/08
A61K31/202
A61K33/14
A61K47/14
A61K47/44
A61K38/39
A61K31/375
A61K47/38
A61K45/00
A61P25/04
A61P29/00
A61P17/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024028102
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2021505627の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】62/761,951
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/776,258
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】522408016
【氏名又は名称】オメザ・ホールディングズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OMEZA HOLDINGS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】グリスコム・ベトル・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ハーリン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ガードナー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フィッシュオイルの魚臭を大幅に減少させ、配合物が異なる相に分離しない、皮膚障害および創傷を治療するための局所用組成物を提供する。
【解決手段】本組成物には、タラ肝油、ヘンプシードオイル、モノラウリン、中鎖トリグリセリド(「MCT」)、遊離脂肪酸、海塩、ならびにレッドパーム濃縮物、ココナッツオイル、およびレッドパーム油、ならびにそれらの組み合わせからな群から選択される植物油、ならびに任意選択でフィッシュコラーゲン、パルミチン酸アスコルビル、増粘剤、例えば、ミツロウ、レッドパーム濃縮物、およびセチルエステルが含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10cP~約100cPの範囲の粘度および約20mN/m~約35mN/mの範囲の表面張力を有する油性溶液を含み、タラ肝油、フィッシュコラーゲン、ヘンプシードオイル、モノラウリン、中鎖トリグリセリド(「MCT」)、遊離脂肪酸(「FFA」)、ならびにレッドパーム濃縮物、ココナッツオイル、およびパーム油からなる群から選択される植物油、ならびに海塩および濃厚剤、ならびにセチルエステルで構成され、無水かつ均質である、医薬組成物であって、前記タラ肝油が、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルが、約15重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、MCTが、約6重量%~約12重量%の量で存在し、フィッシュコラーゲンが、約35重量%~約50重量%の範囲の量で存在し、遊離脂肪酸が、約0.5重量%~約1.5重量%で存在し、セチル酸が、約0.8重量%~3重量%で存在し、前記植物油が、8重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、前記タラ肝油、ヘンプシードオイル、フィッシュコラーゲン、モノラウリン、海塩、MCT、遊離脂肪酸、および植物油の合計が、前記組成物の約80重量%~約100重量%の範囲であり、MCTとFFAとの重量比が、約5:1~約15:1の範囲であり、海塩が、約0.2重量%~約1重量%で存在し、前記海塩は、平均サイズが約74ミクロン未満である結晶を有し、モノラウリンとセチルエステルとの重量比が、約0.8:~約2.5:1の範囲であり、前記組成物が、不飽和トリグリセリドを含有し、前記MCTと不飽和トリグリセリドとの重量比が、1.0未満であり、前記組成物が、オメガ3およびオメガ6脂肪酸でも構成され、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1.0~約3.0の範囲であり、ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約2:1~約1:1の範囲である、組成物。
【請求項2】
ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が約1:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フィッシュコラーゲンおよび前記タラ肝油の重量の合計が、約50重量%~約65重量%の範囲である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記フィッシュコラーゲン対とラ肝フィッシュオイルとの重量比が、約2.5~約5.5の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
FFAが、約0.8重量%~約1.4重量%の範囲の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
MCTが、約7重量%~約9重量%の範囲の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
MCTとFFAとの重量比が、約10:1~6:1の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1,2~約2.5の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1.5~約1.9の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
レッドパーム濃縮物が、約0.20~約0.4重量%の範囲の量で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
ヘンプオイルが、約12~約14重量%の範囲の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ミツロウが追加で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ミツロウが、約2重量%~約6重量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
パルミチン酸アスコルビルが追加で存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
パルミチン酸アスコルビルが、約0.3~約0.6重量%の範囲の量で存在する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
親水コロイド組成物MCT、粗製ココナッツオイル、タラ肝油、ヘンプオイル、および親水コロイドであって、前記タラ肝油が、約7~15重量%の量で存在し、ヘンプオイルが、約7~15重量%の量で存在し、ヘンプオイルとタラ肝油との比が、約2:1~約1:1の範囲であり、MCTが、約30~約45重量%の量で存在し、粗製ココナッツオイルが、約30重量%~約45重量%の量で存在し、MCTと粗製ココナッツオイルとの重量比が、約0.8:1~1.2:であり、親水コロイドが、約10重量%~約50重量%の範囲の量で存在し、前記ココナッツオイル、MCT、親水コロイド、ヘンプオイル、およびタラ肝油の合計が、約90重量%~約100重量%の範囲であり、前記組成物が、フィッシュコラーゲンを含まず、前記組成物が、不飽和トリグリセリドを含み、前記MCTと不飽和トリグリセリドとの重量比が、0.8超であり、前記組成物が、オメガ6およびオメガ3脂肪酸でも構成され、前記オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1:1~約3:1の範囲である、親水コロイド組成物。
【請求項17】
前記ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約1:1~約1.5:1である、請求項16に記載の親水コロイド組成物。
【請求項18】
前記ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約1:1である、請求項16または17に記載の親水コロイド組成物。
【請求項19】
前記オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1.5~約1.9の範囲である、請求項16~18のいずれか一項に記載の親水コロイド組成物。
【請求項20】
MCTオイルが、約35重量%~約42重量%の範囲の量で存在し、粗製ココナッツオイルが、約35重量%~約42重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルが、約8重量%~約12重量%の量で存在し、タラ肝油が、約8重量%~約12重量%の範囲の量で存在し、前記親水コロイドが。約15重量%~約40重量%の量で存在する、請求項16~19のいずれか一項に記載の親水コロイド組成物。
【請求項21】
前記MCTと粗製ココナッツオイルとの重量比が、約1:1である、請求項16~20のいずれか一項に記載の親水コロイド組成物。
【請求項22】
前記オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1.5~約1.9の範囲である、請求項16~21のいずれか一項に記載の親水コロイド組成物。
【請求項23】
前記親水コロイドがカルボキシメチルセルロースである、請求項16~22のいずれか一項に記載の親水コロイド組成物。
【請求項24】
MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、疎水性鎮痛剤、植物油、ヘンプオイル、およびタラ肝油を含む鎮痛剤組成物であって、ヘンプオイルが、約10重量%~約35重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油が、約10重量%~約35重量%の範囲の量で存在し、疎水性鎮痛剤が、約0.6重量%~約1.2重量%の範囲の量で存在し、MCTオイルが、約20~約40重量%の範囲の量で存在し、C8/C10脂肪酸が、約0.1~約1.0重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンが、約0.3~約2.0重量%の範囲の量で存在し、植物油が、約10重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、セチルエステルが、約0.5~約2.5重量%の範囲の量で存在し、前記MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、疎水性鎮痛剤、植物油、ヘンプオイル、およびタラ肝油の合計が、前記組成物の約80重量%~約100重量%の範囲であり、前記組成物が、不飽和トリグリセリドを含有し、前記MCTと不飽和トリグリセリドとの重量比が、0.8未満であり、前記組成物が、オメガ6およびオメガ3脂肪酸でも構成され、前記オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1:1~約3:1の範囲であり、ヘンプオイル対タラ肝油が、約1:1~約2:1の範囲であり、前記組成物が、フィッシュコラーゲンを含まない、鎮痛剤組成物。
【請求項25】
ヘンプオイルが、前記組成物の約22重量%~約30重量%の範囲の量で存在する、請求項24に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項26】
タラ肝油が、前記組成物の約22重量%~約30重量%の範囲の量で存在する、請求項24または25に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項27】
前記ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約1.5:1~約1:1である、請求項24~26のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項28】
前記ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約1:1である、請求項24~27のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項29】
C8/C10遊離脂肪酸が、前記組成物の約0.20重量%~約0.50重量%の範囲の量で存在する、請求項24~28のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項30】
C8/C10遊離脂肪酸が、前記組成物の約0.25重量%~約0.35重量%の範囲の量で存在する、請求項24~29のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項31】
MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比が、約90:1~140:1の範囲である、請求項24~30のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項32】
MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比が、約100:1~120:1の範囲である、請求項24~31のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項33】
モノラウリンが、約0.3重量%~約0.99重量%の範囲の量で存在する、請求項24~32のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項34】
モノラウリンが、前記組成物の約0.5重量%~約0.75重量%の範囲の量で存在する、請求項24~33のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項35】
モノラウリンが、前記組成物の約0.55重量%~約0.65重量%の範囲の量で存在する、請求項24~34のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項36】
セチルエステルが、前記組成物の約1重量%~3重量%の範囲の量で存在する、請求項24~35のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項37】
セチルエステルとモノラウリンとの重量比が、約1:0.5~約1:0.7の範囲である、請求項24~36のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項38】
存在する植物油の量が、前記組成物の約12重量%~約17重量%の範囲である、請求項24~37のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項39】
前記オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1.5~約1.9の範囲である、請求項24~38のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項40】
前記鎮痛剤がロジカインである、請求項24~39のいずれか一項に記載の鎮痛剤組成物。
【請求項41】
皮膚保護剤であって、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在するヘンプオイルと、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在するタラ肝油と、約30重量%~約50重量%の範囲の量で存在するMCTオイルと、約0.1~約1.0重量%の範囲の量で存在するC8/C10脂肪酸と、約0.3~約2.0重量%の範囲の量で存在するモノラウリンと、約30重量%~約50重量%の範囲の量で存在する植物油と、約0.5~約2.5重量%の範囲の量で存在するセチルエステルと、を含み、前記MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、植物油の合計が、前記組成物の約80重量%~約100重量%の範囲であり、ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約1:1~約2:1の範囲であり、前記組成物が、不飽和トリグリセリドを含有し、前記MCTと不飽和トリグリセリドとの重量比が、0.8超であり、前記組成物が、オメガ6およびオメガ3脂肪酸でも構成され、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1:1~約3:1の範囲であり、前記組成物が、フィッシュコラーゲンを含まない、皮膚保護剤。
【請求項42】
ヘンプオイルが、前記組成物の約7重量%~約13重量%の範囲の量で存在する、請求項41に記載の皮膚保護剤。
【請求項43】
ヘンプオイルが、前記組成物の約9重量%~約11重量%の範囲の量で存在する、請求項41または42に記載の皮膚保護剤。
【請求項44】
ヘンプオイルが、前記組成物の約10重量%で存在する、請求項41~43のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項45】
タラ肝油が、前記組成物の約7重量%~約13重量%の範囲の量で存在する、請求項41~44のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項46】
タラ肝油が、前記組成物の約9重量%~約11重量%で存在する、請求項41~45のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項47】
タラ肝油が、前記組成物の約10重量%で存在する、請求項41~46のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項48】
前記ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約1:1~約1.5:1である、請求項41~47のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項49】
前記ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約1:1である、請求項41~48のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項50】
前記C8/C10遊離脂肪酸が、前記組成物の約0.15重量%~約1.00重量%の範囲の量で存在する、請求項41~49のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項51】
前記C8/C10遊離脂肪酸が、約0.20重量%~約0.50重量%で存在する、請求項41~50のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項52】
前記C8/C10遊離脂肪酸が、約0.25重量%~約0.35重量%で存在する、請求項41~51のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項53】
MCTが、前記組成物の約30重量%~約50重量%の範囲の量で存在する、請求項41~52のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項54】
MCTが、前記組成物の約35重量%~約45重量%の範囲の量で存在する、請求項41~53のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項55】
前記MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比が、約90:1~140:1の範囲である、請求項41~54のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項56】
前記MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比が、約100:1~120:1の範囲である、請求項41~55のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項57】
モノラウリンが、前記組成物の約0.3重量%~約0.99重量%の範囲の量で存在する、請求項41~56のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項58】
モノラウリンが、前記組成物の約0.5重量%~約0.75重量%で存在する、請求項41~57のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項59】
モノラウリンが、前記組成物の約0.55重量%~約0.65重量%で存在する、請求項41~58のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項60】
セチルエステルが、前記組成物の約0 1重量%~3重量%の範囲の量で存在する、請求項41~59のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項61】
前記セチルエステルとモノラウリンとの重量比が、約1:0.5~約1:0.7の範囲である、請求項41~60のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項62】
存在する植物油の量が、前記組成物の約35重量%~約45重量%の範囲である、請求項41~61のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項63】
存在する植物油の量が、前記組成物の約36重量%~約40重量%の範囲である、請求項41~62のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項64】
前記オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1;1~約1.5:1の範囲である、請求項41~63のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項65】
前記植物油が、粗製ココナッツオイルおよびRBDパーム油を含むが、レッドパーム濃縮物を含まず、前記粗製ココナッツオイルとRBDパーム油との重量比が、0.55~0.45の範囲である、請求項41~64のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項66】
前記粗製ココナッツオイルとRBDパーム油との重量比が、約0.52~約0.48の範囲である、請求項41~65のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項67】
前記植物油が、レッドパーム濃縮物、粗製ココナッツオイル、およびRBDパーム油を含む、請求項41~64のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【請求項68】
前記RBDパーム油と粗製ココナッツオイルとの重量比が、約0.55~約0.45の範囲である、請求項67に記載の皮膚保護剤。
【請求項69】
前記RBDパーム油と粗製ココナッツオイルとの重量比が、約0.52~約0.48の範囲である、請求項67または68に記載の皮膚保護剤。
【請求項70】
前記レッドパーム濃縮物が、前記組成物の約0.01重量%~約0.20重量%の範囲の量で存在する、請求項67~69のいずれか一項に記載の皮膚保護剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月13日に出願されたUSSN 62/761,951および2018年12月6日に出願されたUSSN 62/776,258の利益を主張するものであり、その両方の内容は参照により援用される。
【0002】
本開示は、オメガ3脂肪酸を含有するフィッシュオイル、例えばタラ肝油、ヘンプシードオイル、中鎖トリグリセリド(「MCT」)、ならびにレッドパーム濃縮物、ココナッツオイル、およびレッドパームオレイン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される植物油、ならびに任意選択でフィッシュコラーゲン、遊離脂肪酸(「FFA」)、海塩、パルチミン酸アスコルビル、モノラウリン、セチルエステル、および増粘剤、例えばミツロウで構成される、創傷および皮膚障害を治療するための局所用組成物に関する。オメガ6脂肪酸は本組成物に固有である。
【背景技術】
【0003】
タラ肝油を含むフィッシュオイルは、他の成分のなかでも、オメガ3脂肪酸を含有する。オメガ3(n-3)脂肪酸は、炎症が根本的原因である疾患および状態に関連し得る様々な抗炎症作用および免疫調節作用を有する。炎症は、身体が自己防御を試みることであり、有害な刺激を除去し、治癒過程を開始することが目的である。炎症は、急性炎症と慢性炎症とに分けられ、急性炎症は、急速に開始し、すぐに重症化する。急性炎症の例は、例えば、急性気管支炎または急性虫垂炎であり得る。慢性炎症は、例えば、原因物質の除去の失敗、自己抗原に対する自己免疫反応、または持続する低強度の慢性刺激物であり得る。しかしながら、慢性炎症は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、癌、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの重篤な疾患に発展し得る。
【0004】
オメガ3脂肪酸は、出生前であっても、あらゆる段階で生命に不可欠である。これらは、体内のすべての細胞膜の必須の構成要素であり、その存在は、十分な細胞膜を維持するために必要である。また、これらは、大部分の生物学的機能の調節にも寄与する。
【0005】
非常に長鎖のオメガ3多価不飽和脂肪酸(PUFA)の最も豊富な食物源は、フィッシュオイルに由来する。脂肪酸は、食物脂肪の構成要素であり、実質的にトリグリセリドの形態で貯蔵される。しかしながら、体はこれらの脂肪酸を産生することができず、食物源またはサプリメントからこれらを得る必要がある。4つの脂肪酸、アルファ-リノレン酸(ALA:C18:2(n3))、ステアリドン酸(SDA:C18:4(n3))、エイコサペンタエン酸(EPA:C20:5(n3))、ドコサヘキサエン酸(DHA:C22:6(n3))がオメガ3ファミリーを構成する。ALAおよびSDAは、例えば、クルミ類、一部の種類の豆類、ヘンプシードオイル、亜麻仁油、およびオリーブオイル中に見出される。EPAおよびDHAは、フィッシュオイルおよびサプリメントを含む、魚中に見出される。
【0006】
レゾルビンおよびプロテクチンは、EPAおよびDHAに由来する酸素化代謝物であり、炎症細胞の除去および炎症応答が必要なくなった後の組織の回復に寄与する分子機序の一部である。アスピリン治療により、強力な抗炎症シグナルを持つレソルビンへのEPAおよびDHAの変換が促進されることが示されている。その作用が発揮される機序は依然として議論の的となっているが、該酸素化代謝物は、ナノモルおよびピコモル範囲の濃度であっても強力な抗炎症作用および免疫調節作用を有するため、重要な役割を果たしているようである。組織が正常に戻ると、レゾルビンおよびプロテクチンは、リポイドおよびマレシンなどのさらなる酸素化代謝物とともに、白血球および細胞残屑を除去することで炎症の解消を促進する。
【0007】
BostonのBrigham and Women’s Hospitalで最近行われた研究により、オメガ3は、実際に、本来の脂肪酸自体よりも10,000倍強力な化合物に変換することが明らかになった。これらの化合物には、体内の炎症応答を終止させるのに役立つレゾルビンが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フィッシュオイルの使用に伴う問題のひとつは、フィッシュオイルに付随する強い魚臭がいつまでも残ることである。この長続きする魚臭を理由に、多くの局所用組成物は、活性成分としてフィッシュオイルを含有しない。さらに、フィッシュオイルが局所用組成物に含有されている場合でも、消費者は、この長続きする臭気を理由に、これらの組成物を使用することに消極的である。しかしながら、発明者らは、魚臭を実質的に排除する配合を見出した。
【0009】
本発明はまた、特に、フィッシュコラーゲン、植物油、および種子油を含有する組成物を用いる場合の別の問題も解決する。食用油と粉末コラーゲンとの混合物には、固有の欠点がある。粉末コラーゲンは、噴霧乾燥され、極めて多孔性である(比重0.3)。溶融したオイル/ワックスの混合物は、冷却時に細孔を貫通し、ゲルを形成し得る。これらの混合物の問題は、冷却されたペーストを、例えば充填機にポンプ注入するとき、オイルが細孔上の外部ポンプ圧によって搾出されることである。ペーストは、遊離オイルと、コラーゲン、ワックス、および一部のオイルの不動固体とに分離する。最終結果として、これらの濃厚なペーストは、有用な包装材に充填することができなくなる。
【0010】
本発明は、これらの問題を解決する。より具体的には、本明細書に記載の局所用組成物は、皮膚を保湿すると同時に皮膚疾患および創傷を治療するための有効な医薬品および医薬デバイスである。加えて、本明細書に記載の局所用配合物は、フィッシュオイルの魚臭を除去するかまたは大幅に減少させる。さらに、本明細書に記載の配合物は、異なる相に分離しない。例えば、コラーゲンを含有する組成物の場合、本明細書に記載の配合物は、これらのバイアルおよび他の有用な医薬包装材を充填するための条件下で、遊離オイルと、コラーゲン、ワックス、および一部のオイルの不動固体とに分離せず、かつ貯蔵中にいずれのオイルもバイアルまたは包装材の壁に滲出することなく、バイアルまたは他の医薬包装材から容易に分注される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本開示は、タラ肝油、ヘンプオイル、中鎖トリグリセリド(「MCT」)、ならびにレッドパーム濃縮物、ココナッツオイル、およびパーム油、例えば、レッドパーム油、RBDパーム油、および同様のもの、およびそれらの組み合わせから選択される植物油、ならびに任意選択でモノラウリン、C8/C10遊離脂肪酸(「遊離脂肪酸」または「FFA」)、フィッシュコラーゲン、および増粘剤、例えばミツロウ、海塩、セチルエステル、親水コロイド、例えばカルボキシメチルセルロース、および鎮痛剤を含む、局所用医薬組成物を記載し、該組成物は、無水かつ均質である。一実施形態では、タラ肝油は、約5重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約5重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、上記で定義した植物油は、約10重量%~約50重量%の範囲の量で存在し、MCTは、約5重量%~約45重量%の範囲であり、MCTとFFAとの該重量比は、存在する場合、約4:1~約140:1の範囲であり、海塩は、存在する場合、約0.2重量%~約1.0重量%の範囲であり、該海塩は、典型的には、約200未満のタイラーメッシュスクリーン、つまり約74ミクロン未満の平均粒径に粉砕され、モノラウリンとセチルエステルとの重量比は、存在する場合、約0.3:1~約2.5:1の範囲であり、セチルエステルは、存在する場合、約0.8重量%~最大3重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油、ヘンプシードオイル、モノラウリン、海塩、MCT、遊離脂肪酸、および植物油の総和は、組成物の約40重量%~約100重量%の範囲である。別の実施形態では、タラ肝油は、約5重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約5重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、上記で定義した植物油は、約10重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、MCTとFFAとの該重量比は、約4:1~約140:1の範囲であり、海塩は、存在する場合、約0.2重量%~約1.0重量%の範囲であり、該海塩は、典型的には、約200未満のタイラーメッシュスクリーン、つまり約74ミクロン以下の平均粒径に粉砕され、モノラウリンとセチルエステルとの重量比は、存在する場合、約0.3:1~約2.5:1の範囲であり、セチルエステルは、存在する場合、約0.8重量%~最大3重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油、ヘンプシードオイル、モノラウリン、海塩、MCT、遊離脂肪酸、および植物油の総和は、組成物の約40重量%~約100重量%の範囲である。別の実施形態では、MCTとオレイン酸(主にパーム油由来)との重量比は、存在する場合、1超である。さらなる実施形態では、本明細書に記載の組成物において、本明細書に記載の親水コロイド組成物および皮膚保護剤組成物、例えば、皮膚保護剤Aおよび皮膚保護剤Bにおいて、本開示の組成物中に存在するMCTと合計不飽和トリグリセリド(他の植物油およびタラ肝油由来)の重量の総和との重量比は、0.8超であり、別の実施形態では、1超である。本明細書に記載の他の組成物において、特にコラーゲン含有組成物および鎮痛薬を含有する組成物において、MCTと本開示に存在する合計の不飽和トリグリセリドとの重量比は、0.8未満である。さらなる実施形態では、MCTとオレイン酸との重量比は、合計一価不飽和トリグリセリドlの重量の総和に対するMCTの重量比より大きく、また前者と後者との間の差は0.3超である。一実施形態では、ヘンプオイルとタラ肝油との重量比は、約2:1~約1:1の範囲であり、別の実施形態では、約1:1である。別の実施形態では、高オレインのレッドパーム油は、ココナッツオイルのみ、またはレッドパーム油から抽出されたカロチノイドが豊富でビタミンが豊富な画分であるレッドパーム濃縮物と組み合わせたココナッツオイルで置き換えられる。レッドパーム濃縮物は、約0.1重量%~約2重量%の範囲で存在する。本明細書に記載の配合物のすべてに関して、ヘンプオイルおよびタラ肝油がオメガ6脂肪酸を含有するため、オメガ6脂肪酸は、本明細書に記載の配合物のすべてに存在する。オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は、約1.0~3.0であり、別の実施形態では、約1.2~約2.5、さらなる実施形態では、約1.5~約2.0の範囲である。
【0012】
一実施形態では、本開示の組成物は、あらゆるフィッシュコラーゲンを含むいかなるコラーゲンも含有せず、本組成物は、無水であり均質な単相性の液体である。本組成物がコラーゲンを含有しない場合、本組成物は、本明細書で上記に定義されるように、タラ肝油、ヘンプオイル、MCT、および植物油、ならびに任意選択でFFA、モノラウリン、およびセチルエステルを含む。一実施形態では、タラ肝油は、約5重量%~約40重量%、別の実施形態では、約8重量%~約35重量%、別の実施形態では、約20%~約30重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約8重量%~約35重量%、別の実施形態では、約20重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、上記で定義した植物油は、約10重量%~約40重量%、別の実施形態では、約10重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油、ヘンプシードオイル、MCT、および植物油の重量の総和は、組成物の約80重量%~約100重量%の範囲である。別の実施形態では、MCTとFFAとの重量比は、FFAが存在する場合、約70:1~約140:1の範囲であり、別の実施形態では、モノラウリンとセチルエステルとの重量比は、両方が存在する場合、約0.3~約1:1の範囲であり、セチルエステルは、存在する場合、約0.8重量%~最大3重量%の範囲の量で存在する。一実施形態では、MCTとオレイン酸との重量比は1超であり、MCTと本開示の組成物に存在する合計の一価不飽和トリグリセリドとの重量比は1超であり、前者の重量比は後者の重量比より大きく、前者と後者と間の差は0.3超である。別の実施形態では、遊離脂肪酸が存在する場合、タラ肝油、ヘンプオイル、モノラウリン、MCT、遊離脂肪酸、および植物油の重量の総和は、組成物の約80重量%~約100重量%の範囲である。
【0013】
別の実施形態では、フィッシュコラーゲンが存在する。この実施形態では、本医薬組成物は、約10cP~約100cPの範囲の粘度および約20mN/m~約35mN/mの範囲の表面張力を有する油性溶液を含み、本組成物は、タラ肝油、ヘンプオイル、モノラウリン、中鎖トリグリセリド(「MCT」)、遊離脂肪酸、セチルエステル、ならびにレッドパーム濃縮物、ココナッツオイル、およびレッドパーム油とRBDパーム油とを含むパーム油、およびそれらの組み合わせから選択される植物油、ならびに任意選択で海塩、ならびに任意選択で濃厚剤、例えばミツロウを含み、該組成物は、無水かつ均質である。一実施形態では、タラ肝油は、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約15重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、MCTは、約6重量%~約12重量%の範囲の量で存在し、遊離脂肪酸は、約0.5重量%~約1.5重量%の範囲の量で存在し、フィッシュコラーゲンは、約35重量%~約50重量%の範囲の量で存在し、上記で定義した植物油は、約8重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油、ヘンプシードオイル、フィッシュコラーゲン、モノラウリン、海塩、MCT、遊離脂肪酸、および植物油の総和は、組成物の約80重量%~約100重量%の範囲である。一実施形態では、MCTとFFAとの重量比は約5:1~約15:1の範囲であり、海塩は約0.2%~約1.0重量%の範囲であり、モノラウリンとセチルエステルとの重量比は、セチルエステルが存在する場合、約0.8:1~約2.5:1の範囲であり、セチルエステルは、約0.8重量%~最大3重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、MCTの重量とオレイン酸の重量との重量比は1超であり、MCTの重量と本組成物に存在する一価不飽和トリグリセリドの総量の重量との重量比は1超であり、前者の重量比は後者の重量比より大きい。さらに、一実施形態では、前者と後者との間の差は0.3超である。コラーゲンで構成される組成物は、少なくとも2つの融点、すなわち、少なくとも5℃以上離れた低い方の融点および高い方の融点を有する。さらに、一実施形態では、トリグリセリドのすべて(飽和および不飽和の両方)とフィッシュコラーゲンとの該重量比は、約0.9:1~約1.1:1の範囲であり、別の実施形態では、約1:1である。一実施形態では、本組成物は共晶組成物である。別の実施形態では、ヘンプオイルとタラ肝油との重量比は、約2:1~約1:1の範囲であり、別の実施形態では、約1:1である。オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は、約1.0~約3.0の範囲であり、別の実施形態では、約1.2~約2.5、さらなる実施形態では、約1.5~約2.0の範囲である。
【0014】
本開示の別の態様は、酸敗魚臭を、タラ肝油およびフィッシュコラーゲンを含む局所用医薬組成物から実質的に除去することを対象とし、該方法は、該組成物に、セチルエステル、モノラウリン、およびヘンプシードオイルを、該組成物中のヘンプシードオイルとタラ肝油との重量比が約1:1~約2:1の範囲であり、フィッシュコラーゲンとモノラウリンとの重量比が約9:1~約12:1の範囲であり、セチルエステルが約1重量%~約3重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンおよびヘンプシードオイルおよびセチルエステルの重量の総和とタラ肝油の重量との比が約1:2~約2:1の範囲であるように、加えることを含む。別の実施形態では、本開示は、酸敗魚臭を、フィッシュコラーゲンまたは他のコラーゲンを含まずにタラ肝油を含む局所用医薬組成物から除去するための方法を対象とし、該方法は、ヘンプシードオイルおよびモノラウリンおよびセチルエステルを、ヘンプシードオイルとタラ肝油との重量比が約2:1~約1:1の範囲であり、タラ肝油とモノラウリンとの重量比が約2:1~約20:1の範囲であり、セチルエステルの量が約1重量%~約3重量%の範囲であり、セチルエステル、レッドパーム濃縮物、モノラウリン、およびヘンプシードオイルの重量の総和とタラ肝油との重量比が約1:2~約2:1の範囲であるように、加えることを含む。
【0015】
別の態様では、本開示の組成物は、リドカインなどの痛み止めを含む油溶性薬物用の薬物担体である。一実施形態では、担体として本開示の組成物に存在する薬物の量は、組成物の約0.5%~約4%の範囲である。
【0016】
加えて、本開示の態様は、有効量の本明細書に記載の組成物のいずれかを局所的に適用することによって、対象の皮膚障害または創傷を治療することを対象とする。
【0017】
目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と組み合わせて考慮することで、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】4日間成熟させた黄色ブドウ球菌を接種した生体外ブタ皮膚創傷バイオフィルムモデル上での細菌の殺滅に対する実施例11の局所用組成物の有効性のグラフ図である。この実施例では、植物油は、パーム油を含まないレッドパーム濃縮物およびココナッツオイルである。
【
図2】パルミチン酸アスコルビルの添加が実施例20の配合物の曇り点に及ぼす影響のグラフ図である。
【
図3】塩およびオイルの浸潤への影響を模式的に図示する。
図3は、本開示の配合物中のコラーゲン(1)のスタックを図示する。
【
図4】
図4は、粗い立方体塩結晶(2)がコラーゲン(1)の間隔に及ぼす影響を図示する。
【
図5】
図5は、粉砕した塩(3)がコラーゲン(1)の間隔に及ぼす影響を図示する。
【
図6】
図6は、低濃度の塩(2)がコラーゲン(1)の間隔に及ぼす影響を図示する。
【
図7】
図7は、高濃度の塩(2)がコラーゲン(1)の間隔に及ぼす影響を図示する。
【
図8】
図8は、組成物の4つの共晶温度のうちの3つを示す、実施例26のコラーゲンで構成される医薬組成物の冷却応答のグラフである。
【0019】
これらの図は、本出願の開示の主題を例示するのに役立つが、本出願の開示は、そのように限定されるものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に上述したように、タラ肝油から得られる有用な成分は、非常に長い(例えば、C18超の)オメガ3脂肪酸である。オメガ3脂肪酸は、様々な海洋生物から分離することができる。例えば、オメガ3脂肪酸は、フィッシュオイル、藻類、オキアミオイルに見られる。本明細書で定義されるとき、「タラ肝油」は、タラの肝臓から抽出されたオイルを指す。栄養上重要なオメガ3脂肪酸には、α-リノレン酸(ALA)(18炭素の多価不飽和脂肪酸)、ステアリドン酸(SDA)(18炭素の多価不飽和脂肪酸)、エイコサペンタエン酸(EPA)(多価不飽和脂肪中20炭素)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)(22炭素の多価不飽和脂肪酸)が挙げられる。
【0021】
本明細書で定義されるとき、互換的である「C8/C10脂肪酸の混合物」、「C8/C10脂肪酸」および「(複数の)C8/C10脂肪酸」、または「遊離脂肪酸」もしくは「FFA」という用語は、遊離C8脂肪酸もしくは遊離C10脂肪酸、またはその混合物を指す。本明細書で使用されるとき、脂肪酸は、カプリル酸(C8脂肪酸)、カプリン酸(C10脂肪酸)、またはそれらの混合物である。一実施形態では、遊離脂肪酸は、カプリル酸とカプリン酸との混合物である。一実施形態では、C8脂肪酸とC10脂肪酸との混合物中、重量による存在するC8脂肪酸の量は、重量による存在するC10脂肪酸の量よりも大きい。例えば、一実施形態では、C8脂肪酸とC10脂肪酸との重量比は約1.8~約1.1の範囲であり、一方で別の実施形態では、約1.6~約1.3の範囲である。カプリン脂肪酸/カプリル脂肪酸は、典型的には、ココナッツオイルに由来する天然の生成物である。市販生成物は、約53重量%~約63重量%のC8、および約47重量%~約37重量%のC10の範囲である。例えば、一実施形態では、C8脂肪酸とC10脂肪酸との重量比は約53:47~約63:37の範囲であり、これは、約1.13~約1.71の範囲の比である。
【0022】
「C8/C10脂肪酸の中鎖トリグリセリド(複数可)」、「(複数の)C8/C10脂肪酸の中鎖トリグリセリド(複数可)」、「C8およびC10脂肪酸の混合物の中鎖トリグリセリド」、「C8/C10トリグリセリド」、または「C8/C10 MCT」もしくは「MCT」という用語は、互換的であり、C8脂肪酸のトリグリセリド、C10脂肪酸のトリグリセリド、もしくはC12脂肪酸のトリグリセリド、またはそれらの混合物を指す。加えて、C8トリグリセリドという用語はC8脂肪酸のトリグリセリドを指し、C10トリグリセリドという用語はC10脂肪酸のトリグリセリドを指す。一実施形態では、これは、存在するC8脂肪酸のトリグリセリドの重量による量が、存在するトリグリセリドC10の重量による量よりも大きい、C8脂肪酸およびC10脂肪酸のトリグリセリドの混合物である。MCTはC8およびC10トリグリセリド以外の追加のトリグリセリドを含むことが理解される。MCTは、概して約C6~C12の長さである3つの脂肪酸鎖が結合しているトリグリセリド骨格を含む。しかしながら、当業者には理解されるように、異なる背景においては、より短いまたはより長い鎖が本用語に含まれてもよいが、これらのより長いまたはより短い鎖は、ごくわずかな量、例えば、通常は3重量%未満で存在する。MCTのトリグリセリド骨格に結合する3つの中鎖脂肪酸は、同一であってもよいが、そうでなくてもよい。中鎖脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよいが、好ましくは飽和である。本発明の中鎖トリグリセリドを含む中鎖脂肪酸の例には、C6(カプロン酸脂肪酸)、C8(カプリル脂肪酸)、C10(カプリン酸脂肪酸)、およびC12(ラウリン酸脂肪酸)、ならびにそれらの混合物が含まれる。一実施形態では、MCTは、約60%のC8トリグリセリドおよび約40%のC10トリグリセリドの混合物から、約70%のC8トリグリセリドおよび約30%のトリグリセリドC10の混合物までを含む。別の実施形態では、これは、約51重量%のC8トリグリセリドおよび約49重量%のC10トリグリセリドから、約70重量%のC8トリグリセリドから約30重量%のC10トリグリセリドの混合物を含み、別の実施形態では、これは、約55重量%のC8トリグリセリドおよび約45重量%のC10トリグリセリドから、約65重量%のC8トリグリセリドから約35重量%のC10トリグリセリドを含む。さらに、本明細書の上記に示すように、本開示のMCTは、C6もしくはC4脂肪酸またはC12もしくはC14もしくはC16脂肪酸などの短鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸のトリグリセリドを微量で含んでもよいが、短鎖脂肪酸または長鎖脂肪酸は、微量、例えば、約3重量%未満で存在する。別の実施形態では、MCTはC12脂肪酸のトリグリセリドを含有しない。
【0023】
C8/C10脂肪酸の中鎖トリグリセリド(複数可)は、脂肪酸をグリセロールでエステル化することで、当該技術分野で既知の化学技法によって調製される。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「パームオレイン」という用語は、「パーム油」という用語と同義であり、互換的に使用される。「パーム油」という用語は、分留によって半固体パーム油から分離される液体部分である。本明細書で使用されるとき、この用語は、レッドパームオレインおよびスーパーレッドパームオレインを含む。液体部分は調理用油として販売され、固体部分は「パームステアリン」として知られている。パームオレインを再び分留して、C18:0(飽和C18脂肪酸)およびいくらかのC16:0(飽和C16脂肪酸)の固体画分を冷却および除去するなどして、より多くの液体画分を得るとき、これは、「スーパーパームオレイン」または「CP6」(曇り点6℃、すなわち、6Cで分離が生じたことを意味する)として知られる。パームスーパーオレインは、その後固体となるパームオレインと比較して低温に耐えることができる。パームオレインは熱帯諸国で調理用油として一般に使用されている。しかし、温帯諸国における問題は、寒冷な気候により、混濁および結晶化が生じる傾向にあることである。この問題を解決するために、パームオレインを、より多い不飽和植物油とブレンドする。この混合形態は、幅広い気候で使用でき、低温安定性がより良好である。また、これらのブレンドは非ブレンド形態よりも安価である。米ぬか、落花生、および菜種から抽出した植物油を、パームオレインをブレンドして、品質および安定性の面で優れた形態が得られる。
【0025】
レッドパーム油およびパーム油は、ヤシの実の内果皮(軟質の果肉)から得られ、パーム核油は種子(パーム核油)から得られる。これらのオイルは大きく異なる。レッドパーム油は、あらゆる種子作物の中で最高レベルの抗酸化物質を有する。内に存在するカロチノイド(ベータ-カロチン画分はビタミンA前駆体である)、トコフェロール、およびトコトリエノール(ビタミンE)により、レッドパーム油にその特徴的な色がつく。カロチノイドは明るい赤色であり、トコフェロールおよびトコトリエノールは黄色であり、これらが一緒になると、レッドパーム油がオレンジ色/赤色になる。これらの色の濃い化合物は、皮膚に容易に吸収されず、皮膚表面、および化合物が接触するあらゆる衣服または寝具表面に染みをつける。パーム油を精製すると、カロチノイド(主にベータ-カロチンおよびリコピン)が除去され、RBD(精製、漂白、脱臭された)パーム油である残ったパーム油は、ビタミンEが残存し、カロチノイドが除去されるため、黄色である。パーム油という用語は、RBDパーム油およびレッドパーム油を含むが、「レッドパーム油」および「レッドパームオレイン」という用語は、RBDパーム油を含まないことを理解されたい。さらに、「RBD」パーム油という用語は、レッドパーム油を含まない。
【0026】
一実施形態では、パーム油、レッドパームオレイン、ならびにスーパーレッドパームオレインおよびRBDパーム油は、少量の飽和C18脂肪酸を含有する。少量とは、0.5重量%未満を意味する。
【0027】
モノラウリンは、本明細書で使用されるとき、グリセロールモノラウレート、グリセリルラウレート、または1-ラウロイル-グリセロールとしても知られる。これはモノグリセリドである。これは、グリセロールおよびラウリン酸から形成されるモノエステルである。その化学式はC15H30O4である。
【0028】
セチルエステルという用語は、本明細書で定義されるとき、セチルアルコール、およびC14、C16、またはC18脂肪酸から形成される非分岐エステルである。脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよい。本明細書で使用されるとき、セチルエステルは、C14、C16、もしくはC18脂肪酸のエステル、またはそれらの混合物、およびセチルアルコールを指す。セチルエステルは、クジラの脂肪に見られる天然のワックスと同様の組成および化学特性を有する合成ワックスである。セチルエステルに見られるエステルには、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチルミリスチン酸、およびステアリン酸ステアリルが含まれる。一実施形態では、セチルエステルは、典型的にはRita Corporation,Crystal Lake,ILから調達される、セチルエステルNF、CAS 540-10-3、2598-99-4、EINECS 208-736、220-000-6である。
【0029】
海塩は、本明細書で使用されるとき、海水の蒸発から生成される塩である。本明細書で使用される海塩は、精製されていても精製されていなくてもよい。海塩の色および様々な風味は、塩が収穫される水に見られるその地域の泥および藻類に起因する。例えば、韓国およびフランスからのブティックソルトの中にはピンク色がかった灰色のものがあり、インドからのものには黒色のものもある。海塩の化学組成は、典型的には、海水に溶解したイオンと同じである。一実施形態では、以下のイオンが乾燥重量パーセントで存在する:ナトリウム30.8、カリウム1.1、マグネシウム3.7、カルシウム1.2、塩化物55.5、硫酸塩7.7。このため、本明細書で使用される海塩は、最低でも、これら前述のイオンを含有する。しかしながら、ある研究によると、合成海塩中のチタン、銀、コバルト、および鉛などの微量元素の量は、海水に含まれるものよりもはるかに多いことが分かった。差の大きさは、最大で104倍にもなり得る。未精製の海塩は、少量のマグネシウムおよびハロゲン化カルシウムおよび硫酸塩、微量の藻類生成物、耐塩性細菌、ならびに堆積物粒子を含有する。カルシウム塩およびマグネシウム塩は、わずかに苦いニュアンスを付与し、未精製の海塩を吸湿性する(すなわち、覆いのない状態で貯蔵された場合、空気から徐々に水分を吸収する)。藻類生成物は、軽い「潮風」の匂いに寄与するものであり、後者は有機臭素化合物由来である。堆積物は、その割合がソースに応じて異なり、塩にくすんだ灰色の外観を与える。しかしながら、一実施形態では、これは、200タイラーメッシュスクリーンを通過するように粉砕された、粉砕海塩である。
【0030】
コラーゲンは、動物における結合組織を構成する主要なタンパク質成分であり、コラーゲン三重らせん構造を有することを特徴とする。合計で30種類以上のコラーゲンが報告されており、これらは、それぞれ、I型、II型などと呼称される。I型コラーゲンは、真皮、靭帯、腱、骨などの主成分であり、II型コラーゲンは、関節軟骨の主成分である。さらに、IV型コラーゲンは、すべての上皮組織の下層である基底膜に主に含有される。I型コラーゲンは、体内で最も豊富に存在するコラーゲンである。
【0031】
本開示では、使用されるフィッシュコラーゲンは、コラーゲン加水分解物(以下、コラーゲンペプチドと称されることもある)であり、魚の皮膚由来のコラーゲンを、酸、アルカリ、または酵素で加水分解することによって得られる低分子量のコラーゲンを指す。例えば、フィッシュコラーゲン加水分解物は、魚の皮膚を酸またはアルカリ溶液に浸漬してゼラチンを抽出し、抽出したゼラチンを酵素または酸で処理することによって得ることができる。ゼラチンは、酸またはアルカリで前処理した後、熱加水分解によって可溶化したコラーゲンを指す。一実施形態では、コラーゲンは、冷水魚などの海洋生物に由来する。冷水魚は、汚染されていない水から得られ、陸上の動物に関連する疾患を有しない。
【0032】
本開示で使用されるコラーゲンは、Tg(ガラス転移温度)が37℃(正常体温)未満である。実際には、これは、冷水源からの海洋コラーゲンであればいずれも許容されることを意味する。例は、タラ由来のコラーゲンなどのフィッシュコラーゲンである。一方、ウシ、ブタ、ウマのコラーゲンは有用ではなく、本明細書で使用されるコラーゲンの定義に含まれない。
【0033】
「オイル」という用語は、単独で使用される場合、フィッシュオイル、C8/C10トリグリセリド、および/植物油、ならびにそれらの混合物の組み合わせを指す。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「ココナッツオイル」という用語は、粗製ココナッツオイルおよび精製されたココナッツオイルを含む一般的な用語である。ココナッツオイルは、ココナッツに由来する最低限の加工しか施されていない原料油であり、本明細書で使用される場合、「粗製ココナッツオイル」である。精製ココナッツオイルは、精製、漂白、および脱臭されたココナッツオイルであり、本明細書では精製ココナッツオイルまたはRBDココナッツオイルと称される。精製ココナッツオイルは、粗製ココナッツオイルよりも融点が高い。逆のことが示されない限り、「ココナッツオイル」という用語には、粗製ココナッツオイルと精製ココナッツオイルとの両方が含まれる。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「ヘンプシードオイル」および「ヘンプオイル」という用語は同義語である。これは、ヘンプシード、特にコールドプレスしたヘンプシードを圧搾することにより、調製する。未精製のヘンプオイルは、深緑色から透き通った薄緑色であり、ナッツのような風味がある。しかしながら、一実施形態では、本明細書で使用されるヘンプオイルは、テトラヒドロカンナビノールを実質的に含まないように精製される。これは、テトラヒドロカンナビノール(THC)を実質的に含まない種類のアサから製造される。製造過程で、種子油をプレスする前にTHCが除去される。一実施形態では、ヘンプオイルは、最大1重量%のTHC、別の実施形態では、0.1重量%以下のTHC、またさらなる実施形態では、存在するとしても0.01重量%未満のTHCを含有する。別の実施形態では、THCは、例えば10ppm未満など、検出可能ではない。これは、オメガ6脂肪酸であるガンマ-リノレン酸、およびオメガ3脂肪酸であるアルファ-リノレン酸を含有する。
【0036】
「無水」という用語は、本明細書で使用されるとき、本開示の組成物の含水量を指す。本明細書で定義されるとき、本組成物の含水量は、遊離水、すなわち、基質に化学的に結合しない水を指す。定義されるように、組成物は、約0.5重量%未満の遊離水を含有する。例えば、フィッシュコラーゲンは、噴霧乾燥の副生成物として、最大8重量%の結合水を有してもよい。一実施形態では、8%の結合水分で40%のフィッシュコラーゲンがある場合、組成物の総水分は3.2%の結合水となるが、遊離水分含有量は、取るに足らない量、例えば、0.5重量%未満である。
【0037】
本明細書に定義されるとき、「均質」という用語は、本明細書に記載の組成物に関連する場合、組成物中の成分が、室温で、および凍結/解凍による酷使の後に組成物全体に実質的に均一に分布していることを意味する。
【0038】
「共晶組成物」という用語は、同じ原料から構成される任意の他の組成物よりも低い温度で溶融する単一の化学組成を有する化学化合物または元素の混合物である。共晶を含む組成物は共晶組成物として知られ、その溶融温度は共晶温度として知られる。
【0039】
タラ肝油は、タラ、例えば、タイセイヨウダラ(Gadus morhua)またはタイヘイヨウダラ(Gadus microcephalus)に由来する。どちらのタラ肝油も許容されるが、タイヘイヨウダラのオイルが好ましく、これは、ベーリング海の水に汚染がなく、重金属がほとんどないためである。タイヘイヨウダラの肝油は、ライン捕獲したタラから得られる。すぐに取り出された肝臓は、その栄養素を保持するために船上で凍結される。冷凍した肝臓は、海岸にある加工工場に移され、ほとんど臭気のない市販用タラ肝油に加工および圧搾入される。本明細書で使用されるとき、「タラ肝油」という用語は、タラに由来するオイルを指す。
【0040】
「融点」という用語は、本明細書で使用されるとき、3つの趣旨で使用される。これは、ひとつの趣旨では、通常の意味、すなわち、固体が溶融して液体を形成するときの温度である。しかしながら、本明細書に記載の油性組成物の多くについて、特定の融点を決定または測定することは困難である。それらの場合、特定の組成物に応じて、以下の定義のうちの1つが適用される。例えばフィッシュコラーゲンの非存在下でヘンプオイルから構成される油性組成物についてなど、いくつかの場合には、融点は、温度が低下するにつれて油性組成物が混濁するときに定義される。油性組成物がヘンプオイルおよびコラーゲンを含む組成物などの他の例では、融点は、温度が上昇するときに粘度に目に見える変化があるときに定義される。3つの定義はすべて適用可能である可能性があるが、本明細書で考察する組成物に関する融点という用語は、本出願の目的では、組成物が、従来の定義のように溶融する温度、または混濁する温度、または粘度に目に見える変化がある温度のいずれかである。
【0041】
本明細書で定義されるように、様々な範囲の数または比が本明細書に提供される。範囲には、エンドポイント(約という用語によって修飾される場合には、プラスまたはマイナス5%)だけでなく、それらの間の整数および分数のすべても含まれることを理解されたい。このため、例えば、範囲が5重量%~10重量%の範囲として定義される場合、本明細書に記載の開示の教示の目的では、値は、エンドポイントである5重量%および10重量%だけでなく、それらの間のすべての整数および分数および実数も含み、これらの値のひとつひとつが本明細書に記載されるものと理解されたい。
【0042】
逆のことが示されない限り、「組成物」および「配合物」という用語は、単独で、または例えば局所用などの他の用語と組み合わせて、同義であり、互換的に使用することができる。
【0043】
逆のことが示されない限り、「薬物」および「薬」という用語は同義である。
【0044】
「熱傷」という用語は、熱、火炎、化学物質、電気、または放射線との接触により生じる組織の損傷を指す。第1度熱傷は発赤を、第2度熱傷は発疱疹(水疱性斑点)を、第3度熱傷は壊死(全皮膚をとおした細胞死)を示す。
【0045】
「治療」または「治療すること」は、本明細書で使用されるとき、完全な除去、および創傷または皮膚状態の症状のいずれかの臨床的にまたは定量的に測定可能な治癒または緩和を指す。
【0046】
「治療有効量」は、創傷を治療するために対象に投与されると、創傷、熱傷、または皮膚状態に対する望ましい治療をもたらすのに十分な組成物の量を意味する。「治療有効量」は、特定の組成物、状態およびその種類および重症度、ならびに治療される対象の年齢、体重などに応じて変化することになる。「有効量」を含む実際の量は、治療される特定の障害、障害の重症度、患者の大きさおよび健康、ならびに投与経路を含むがこれに限定されない、多数の条件に応じて変化することになる。経験のある医師であれば、医学分野で既知の方法を使用して、適切な量を容易に決定することができる。経験のある医師であれば、本明細書に記載の組成物の各々の治療レジメンおよび適用回数を容易に決定することができる。
【0047】
「局所」という用語は、本明細書に記載の組成物を、組成物を身体部分の表面に適用することによって投与または送達することを指す。例えば、組成物は、皮膚に、創傷、熱傷、または皮膚状態の表面に、皮膚内に、または粘膜内に適用することによって、局所的に投与することができる。
【0048】
「患者」または「対象」は、動物を指し、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、類人猿、ウサギ、ウシ、アシカなどを含み得る。哺乳動物対象は、成人、小児、乳児、および新生児を含む、あらゆる発達段階にあり得る。
【0049】
「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書で使用されるとき、生命体に著しい刺激をもたらさず、記載される本発明の組成物のペプチドの生物学的活性および特性を無効にしない材料を説明する。担体は、治療される哺乳動物への投与に好適とするために、純度が十分に高く、毒性が十分に低い必要がある。担体は、不活性であってもよく、薬学的利益を保有してもよい。「賦形剤」、「担体」、または「ビヒクル」という用語は、本明細書に記載の薬学的に許容される組成物の配合および投与に好適な担体材料を指すように、互換的に使用される。本明細書で有用な担体およびビヒクルは、非毒性であり、他の成分と相互作用しない、当該技術分野で既知の任意の材料を含む。下記に記載される組成物のすべては、任意選択で、薬学的に許容される担体を含有してもよい。
【0050】
逆のことが示されない限り、割合は重量により、比は重量比である。
【0051】
「約」という用語は、本明細書で使用されるとき、数または数値範囲の前に使用される場合、その数または範囲の値の±5%の量を指す。例えば、約9~約11の範囲を指す場合、8.65~11.55の範囲であることが理解される。
【0052】
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、複数への言及を含む。
【0053】
「肉芽形成」という用語は、小さな赤色の粒状の隆起が、治癒過程において皮膚の剥けた表面に形成される過程を指す。
【0054】
さらに、本明細書で使用されるとき、「成分」および「原料」という用語は、同義であり、互換的に使用される。加えて、本明細書で使用されるとき、「濃厚剤(thickener)」および「増粘剤(thickening agent)」という用語は、同義であり、互換的に使用される。
【0055】
「コラーゲン組成物」という用語は、本明細書で使用されるとき、本明細書に記載されるようにコラーゲンを含有し、任意選択でその薬学的に許容される担体を有する、下記に記載の任意の組成物を指す。「親水コロイド組成物」という用語は、本明細書に記載されるように親水コロイドを含み、任意選択で薬学的に許容される担体を有する組成物を指す。本明細書で使用されるとき、「親水コロイド」という用語は、好適に自然発生する親水コロイド、または半合成親水コロイド、または1つ以上の親水コロイドの組み合わせのいずれかを指す。疎水性水不溶性親水コロイドの例には、トラガカントガム、エチルセルロース(例えば、エチルセルロース100)、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース(例えば、K100LV、K4M、K15M)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、酢酸セルロース(例えば、酢酸セルロースCA-398-10 NF)、酢酸フタル酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース、オキシポリゼラチン、ペクチンなどが含まれるが、これらに限定されない。好適には、親水コロイドは粒子の形態であるが、創傷表面を覆うように適用するために平坦なシートに圧延することができる。
【0056】
本開示の一実施形態は、局所用組成物、および任意選択で、フィッシュコラーゲンを含むコラーゲンを含有しないその薬学的に許容される担体を対象とする。この実施形態の局所用医薬組成物は、タラ肝油、MCT、ヘンプオイル、および植物油、ならびに任意選択でC8/C10遊離脂肪酸、モノラウリン、およびセチルエステルを含み、かつ任意選択で、薬学的に許容される担体が存在してもよい。一実施形態では、タラ肝油は、約5重量%~約35重量%(例えば、約10重量%~約35重量%)の範囲の量で存在し、MCTは、約20~約50重量%、例えば、約20重量%~約40重量%)の範囲の量で存在し、C8/C10脂肪酸は、存在する場合、約0.1~約2.0重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約5重量%~約45重量%(例えば、約10重量%~約35重量%)の範囲の量で存在し、モノラウリンは、存在する場合、約0.3~約2.0重量%の範囲の量で存在し、植物油は、例えば約10重量%~約30重量%など、約10重量%~約45重量%の範囲の量で存在し、セチルエステルは、存在する場合、約0.5~約2.5重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、タラ肝油は、約20~約30重量%の範囲の量で存在し、MCTは、約25~約35重量%の範囲の量で存在し、C8/C10脂肪酸は、存在する場合、約0.3~約1.2重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約20~約30重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンは、存在する場合、約0.5~約1.0重量%の範囲の量で存在し、植物油は、約10重量%~約40重量%の範囲の量で存在し、セチルエステルは、存在する場合、約0.75~約1.5重量の範囲の量で存在する。
【0057】
フィッシュコラーゲンが存在しない実施形態では、タラ肝油は、組成物の約5重量%~約35重量%、別の実施形態では、組成物の約7重量%~約30重量%、別の実施形態では、組成物の約8重量%~約28%の範囲の量で存在する。
【0058】
さらに、フィッシュコラーゲンが存在しない一実施形態では、C8/C10遊離脂肪酸は、存在する場合、約0.15重量%~約1.00重量%、別の実施形態では、約0.20重量%~約0.50重量%、別の実施形態では、約0.25重量%~約0.35重量%の範囲の量で存在する。
【0059】
別の実施形態では、フィッシュコラーゲンが存在しない場合、MCTは、約20重量%~約45重量%の範囲の量で存在する。
【0060】
さらに、一実施形態では、フィッシュコラーゲンが存在しない場合、MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比は、存在する場合、約8:1~約140:1の範囲である。
【0061】
ヘンプオイルは、フィッシュコラーゲンを含むコラーゲンが存在しない実施形態では、組成物の約5重量%~約35重量%、別の実施形態では、組成物の約8重量%~約30重量%、別の実施形態では、組成物の約8.5重量%~約28%の範囲の量で存在する。
【0062】
一実施形態では、フィッシュコラーゲンが存在しない場合、ヘンプオイルおよびタラ肝油は、それぞれ、約1:1~約2:1の重量比で、別の実施形態では、約1:1~約1.5:1の重量比で存在し、さらに別の実施形態では、それらは両方とも、ほぼ等しい重量、すなわち、重量により約1:1で存在する。
【0063】
モノラウリンの機能は、存在する場合、フィッシュコラーゲンの有無にかかわらず、本明細書に記載の配合物中で、タラ肝油の望ましくない酸敗臭を低減するのに役立つ。しかしながら、束縛されることを意図するものではないが、これは、ヘンプオイルおよびセチルエステルの存在下でこの機能を行う。一実施形態では、フィッシュコラーゲンの非存在下で、モノラウリンは、存在する場合、組成物の重量の1重量%未満の量で存在する。別の実施形態では、フィッシュコラーゲンの非存在下で、モノラウリンは、存在する場合、約0.3重量%~約0.99重量%、別の実施形態では、フィッシュコラーゲンの非存在下で、組成物の約0.5重量%~約0.75重量%、なおさらなる実施形態では、組成物の約0.55重量%~約0.65重量%の範囲の量で存在する。
【0064】
加えて、発明者らは、フィッシュコラーゲンの存在下および非存在下で本明細書に記載の組成物中の魚臭を除去するのを助ける別の原料がセチルエステルであることも見出した。一実施形態では、フィッシュコラーゲンの非存在下で、セチルエステルは、存在する場合、約0.5重量%~3重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態で、フィッシュコラーゲンの非存在下で、セチルエステルは、組成物の約1重量%~3重量%の範囲の量で存在する。
【0065】
フィッシュコラーゲンを含有しない実施形態では、両方の成分が存在する場合、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は1:1超である。フィッシュコラーゲンが存在しない実施形態では、両方の成分が存在する場合、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は、約1:0.5~約1:0.7の範囲であり、フィッシュコラーゲンが存在しないさらなる実施形態では、約5:3のおよその重量比にある。
【0066】
発明者らは、フィッシュコラーゲンを含有する、またはフィッシュコラーゲンが存在しない本明細書に記載の組成物における酸敗フィッシュオイルを減少させる別の手段が、タラ肝油の使用量を減らすことであることを見出した。これは、ヘンプオイルの使用によってもたらされる。ヘンプオイルは、オメガ3脂肪酸の供給源である。フィッシュオイルは、非常に長鎖のオメガ3脂肪酸(C>18)を提供し、ヘンプオイルは、長鎖のオメガ3脂肪酸(C=18)を提供する。身体は、オメガ3脂肪酸を酵素的に摂取し、鎖長を短くするか長くして、例えばプロスタグランジンを作製する。オメガ3脂肪酸がC18である場合、伸長プロセスにより、炎症性および抗炎症性化合物が生成される。オメガ3脂肪酸が既にC>20である場合には、生成される産物はすべて抗炎症性である。創傷は、例えば出血を制御するためにいくつかの炎症性化合物を、また例えば血液排出に対する抵抗を低減することによって血流を増加させるために抗炎症性化合物を必要とする。
【0067】
フィッシュコラーゲンを含有するおよびフィッシュコラーゲンが存在しない本開示の組成物において、発明者らは、タラ肝油に加えてヘンプシードオイルを使用することが有利であることを見出した。この組み合わせにより、C18+C20オメガ3脂肪酸の最も有効な比が得られる。しかしながら、炎症性副生成物と臭気制御を伴う抗炎症性生成物との間にはトレードオフもある。それでもなお、フィッシュコラーゲンで構成されるおよびフィッシュコラーゲンが存在しない組成物において、C18+C20のオメガ3脂肪酸の組み合わせにより、魚の悪臭が低減する。このため、より多量のヘンプオイルを使用することで、タラ肝油の量が少なくて済む。したがって、上記で説明したように、タラ肝油と比べてより多くのヘンプオイルを利用することによって、フィッシュコラーゲンを含有するおよびフィッシュコラーゲンが存在しない本配合物は、タラ肝油の酸敗臭を低減する。フィッシュコラーゲンを含有するおよび/またはフィッシュコラーゲンの非存在下での本開示の組成物中の残留タラ肝油に関して、モノラウリンとセチルエステルとの比が上記の重量比にある限り、タラ肝油の残留酸敗魚臭はかなり減少するかまたは除去される。このため、例えば、フィッシュコラーゲンを含有しない配合物については、タラ肝油とモノラウリンおよびセチルエステルの重量の総和との重量比は、約20:1~約10:1、別の実施形態では、約18:1~約14:1の範囲であり、別の実施形態では、約16:1である。これらの成分の量は、コラーゲンが存在するかどうかによる。コラーゲンの非存在下で、モノラウリンは、約50:1~約40:1、別の実施形態では、約46:1~約42:1の範囲のタラ肝油とモノラウリンとの重量比で混合される。フィッシュコラーゲンを含有するまたはフィッシュコラーゲンの非存在下での組成物におけるモノラウリンのレベルが低い場合、所望の臭気効果は実現されない。フィッシュコラーゲンを含有するまたはフィッシュコラーゲンの非存在下での組成物におけるモノラウリンのレベルが高い場合、二相の粘着性流体を成すシロップ状のゲルが形成される。しかしながら、フィッシュコラーゲンを含有するまたはフィッシュコラーゲンの非存在下での医薬組成物に存在し得るモノラウリンの最大量があり、モノラウリンは、タラ肝油で構成されるオイル組成物の2重量%を超えてはならない。この量を超えると、モノラウリンは不安定なゲルを形成する。フィッシュコラーゲンを含有するまたはフィッシュコラーゲンの非存在下での組成物における一実施形態では、モノラウリンは、2重量%を超えず、別の実施形態では、組成物の重量で1重量%を超えない。しかしながら、存在する場合、モノラウリンは、フィッシュコラーゲンを含有するまたはフィッシュコラーゲンの非存在下での組成物中に、0.5重量%を超える量で存在すべきである。
【0068】
フィッシュコラーゲンの存在下および非存在下両方での本開示の実施形態は、局所用組成物に使用される場合、皮膚を保湿しながら、タラ肝油に関連する酸敗魚臭を低減または除去することである。フィッシュオイル組成物に、ヘンプオイル、セチルエステル、およびMCT、およびモノラウリンを加えることで、酸敗魚臭が低減または完全に除去され、組成物を患者の皮膚に適用すると、創傷または皮膚障害のサイズが減少し、患者の皮膚が保湿されることが見出された。加えられるこれらの成分の量は、コラーゲンが存在するかどうかによる。
【0069】
加えて、発明者らは、フィッシュコラーゲンが存在するか否かにかかわらず、魚臭を除去するのに役立つ別の原料がセチルエステルであることも見出した。一実施形態では、フィッシュコラーゲンの存在下または非存在下で、セチルエステルは、存在する場合、約0.5重量%~3重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、セチルエステルは、フィッシュコラーゲンが存在するか否かにかかわらず、存在する場合、組成物の約1重量%~約2.5%の範囲の量で存在する。コラーゲンが存在しない配合物を含む一実施形態では、局所用組成物は、タラ肝油を約20重量%~約35重量%の範囲の量で含み、モノラウリンは、約0.5重量%~約2重量%の範囲の量で存在し、セチルエステルは、約1重量%~約2.5重量%の範囲の量で存在する。コラーゲンを含まない配合物では、重量による存在するセチルエステルの量は、重量によるモノラウリンの存在する量よりも大きい。
【0070】
セチルエステルも魚臭を低減するが、コラーゲンを含有しない局所用タラ肝油組成物中でモノラウリンと組み合わせて使用すると、酸敗魚臭を低減する相乗効果がある。コラーゲンを含有しない実施形態では、フィッシュオイル1グラムあたり、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は、約1:1~約2:1、別の実施形態では、約1.3:1~約1.8:1であり、さらなる実施形態では、約1.6:1~約1.7:1の範囲である。とはいえ、この組み合わせは、モノラウリンまたはセチルエステルのみよりも魚臭の除去により効果的である。さらに、セチルエステルを配合物に加えることで、手触りの非常に良い、絹のように滑らかな皮膚表面(仕上がり)が創出される。
【0071】
束縛されることを意図するものではないが、コラーゲンを含有するおよびコラーゲンを含有しない本明細書に記載のタラ肝油で構成される組成物に対して、モノラウリンは、ゲル化に影響するので、加工助剤として作用すると考えられる。モノラウリンは、タラ肝油が傷んでいない皮膚に吸収されるのを助ける。タラ肝油が吸収される速度が速いほど、酸化臭の発生は少なくなる。
【0072】
コラーゲンが存在しないまたは存在する下記に記載の配合物に関して、束縛されることを意図するものではないが、モノラウリンは、オメガ3脂肪を角質層に運ぶのを助け、酸化する可能性のある脂肪のわずかな残留分しか皮膚表面上に残さないと考えられる。セチルエステルワックスにより、酸化する可能性のある脂肪上および遊離脂肪酸(FFA)上に、遅乾性の臭気密封層がもたらされる。最終結果は、約30秒後に無臭となる。
【0073】
本明細書に記載のコラーゲンを含有しない医薬組成物は、レッドパーム油およびRBDパーム油を含むパーム油、精製ココナッツオイルを含むココナッツオイル、およびレッドパーム濃縮物、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される植物油を含む。これらの組成物に存在する植物油の量は、約10重量%~約45重量%、別の実施形態では、約12重量%~約40重量%の範囲である。
【0074】
コラーゲンを含有しない組成物における一実施形態では、ココナッツオイルは、存在する唯一の植物油であってもよく、またはレッドパーム濃縮物との組み合わせではあるが、パーム油の非存在下で、存在してもよい。この組み合わせにより、オレイン脂肪酸(パーム油由来)の量が減少し、これがラウリン酸(粗製ココナッツオイル由来のC12:0)で置き換えられる。ラウリン酸トリグリセリドは、オレイン酸トリグリセリドよりも優れた皮膚保湿剤である。ビタミンEは、強固な皮膚の健康にとって不可欠なビタミンとして広く認識されているので、固有の高濃度のビタミンEを有するパーム油を、ビタミンEを有しないココナッツオイルで置き換えることは、直観に反するものである。パーム油をココナッツオイルおよびレッドパーム濃縮物で置き換えると、皮膚保湿剤からの均質なオイルが、創傷治癒生成物で最もよく作用する、病原体の増殖を妨害するオイルに変化することが見出された。
【0075】
別の実施形態では、コラーゲンが存在しない組成物において、植物油は、RBDパーム油を含み、これは上記で示される量で存在する。一部の実施形態では、植物油はRBDパーム油のみを含んでもよい。本明細書に記載されるように、ないしは、レッドパーム濃縮物はカロチノイドを含有する。束縛されることを意図するものではないが、カロチノイドは、異なる条件下で抗酸化物質と酸化促進物質との両方として作用し得る。カロチノイドの抗酸化特性は周知である。さらに、カロチノイドは、酸素濃度の関数として抗酸化物質から酸化促進物質へと挙動を切り換えることができると考えられる。このため、酸素障壁包装材中の組成物におけるカロチノイドは、抗酸化物質として挙動し、フィッシュオイルを保護することになる。次いで、組成物が空気に曝露された創傷上に広げられると、カロチノイドは酸化促進物質となり得る。酸化カロチノイドの一部は、反応性酸素種(ROS)となる。フリーラジカル抗菌化合物であるROSは、次に、
図1に示すように、感染した創傷の病原体濃度を減少させるのに役立つ。組成物が、MCTのような高速吸収性化合物と、タラ肝油のような緩徐吸収性化合物との混合物である場合、カロチノイドは、抗酸化物質および酸化促進物質の両方として作用する。MCTが吸収されると、カロチノイドおよびタラ肝油が皮膚表面で濃縮されて、感染部位でのカロチノイドの微小濃度が上昇する。創傷床の肉芽形成の高速化、および創傷閉鎖の高速化が観察される。
【0076】
異なる抗酸化物質、例えば、ビタミンEおよびパルミチン酸アスコルビルは、各々が独自の作用機序を有するので、これらを加えることにより、組成物の抗酸化能が増大すると考えられる。このため、ビタミンEが豊富なパーム油を、有意な濃度のビタミンEを含有しない無ビタミンEココナッツオイルで置き換え、レッドパーム濃縮物を加えると、インビトロの抗酸化能が増大する(酸素障壁包装材と併用する)が、インビボの抗酸化能は減少し、治癒速度に悪影響を与えることなく感染が制御されるように酸化促進ROSが十分に増大する。MCTを粗製ココナッツオイルおよびカロチノイドに加えると、感染の可能性がある表面上にROSが濃縮されることで、治癒過程が加速される。本配合物のように、同じ組成物を貯蔵および流通中の抗酸化物質、ならびに組成物を創傷に適用する際の酸化促進物質源である抗菌ROSとなるように使用することは、直観に反するものである。
【0077】
パーム油をレッドパーム濃縮物と併用すると、パーム油のビタミンEとカロチノイドとが連携して、カロチノイドを抗酸化物質状態に保つ。ビタミンEは、いずれの死滅も生じる前にROSを吸収し、フリーラジカル伝播を終結させる。このため、細菌死滅は観察されない。しかし、ココナッツオイルでパーム油を置き換えると、ビタミンEは混合物中に存在しなくなる。カロチノイドは酸素障壁包装材中では抗酸化物質であり、皮膚に適用されて空気に曝露すると酸化促進物質となる。ビタミンEはほとんどないため、カロチノイドで産生されたROSはクエンチされず、細菌を死滅させる。多重対数の細菌死滅が観察される。
【0078】
ココナッツオイルが存在する実施形態では、レッドパーム濃縮物は、1重量%未満で存在する。一実施形態では、これは、約0.5重量%~約0.1重量%の範囲、別の実施形態では、約0.26重量%の量で存在する。
【0079】
別の実施形態では、コラーゲンを有しない組成物において、植物油はRBDパーム油であり、レッドパーム油またはレッドパーム濃縮物を有しない。この実施形態では、RBDパームは、約18重量%~約10重量%、別の実施形態では、約16重量%~約12重量%、別の実施形態では、約15重量%~約13重量%のおよその範囲で存在する。この実施形態は、無傷の皮膚に対する使用に望ましい。パーム油中のビタミンEは、無傷の皮膚に有利に使用され、皮膚へのレッドパーム濃縮物の適用からくる皮膚上の赤色/オレンジ色のいずれの色素残留も、消費者により欠陥と認識される。これは、前述の臭気密封性の絹のように滑らかなフィルムによる急速な吸収により、タラ肝油およびヘンプシードオイル由来の局所用オメガ3脂肪酸を無傷の皮膚にもたらすための消費者に受け入れられる組成物となる。
【0080】
フィッシュコラーゲンを含むコラーゲンを含有しない本発明の組成物は、本明細書で定義される、MCT、粗製ココナッツオイル、タラ肝油、ヘンプオイル、および親水コロイド、本明細書で定義されるように、任意選択で薬学的に許容される担体で構成される。実施形態では、使用され得る親水コロイドは、カルボキシメチルセルロース、または本明細書に列挙される親水コロイドうちのいずれかである。重量%の数字は、最終親水コロイド絆創膏の100%オイル画分(最終包帯重量の約12%で加えられる)のみに基づく。一実施形態では、この組成物は、約7~15重量%の範囲の量のタラ肝油、約7~15重量%の範囲の量のヘンプオイル(ヘンプオイルとタラ肝油との比は本明細書で定義されるとおりである)、約30重量%~約45重量%の量のMCT、約30重量%~約45重量%の量の粗製ココナッツオイル(MCTと粗製ココナッツオイルとの重量比は、約0.8:1~1.2:1の範囲、別の実施形態では、約1:1である)を含む。次いで、ブレンドしたオイル混合物を、親水コロイド絆創膏の100%となるように、約12重量%で親水コロイド混合物に加える。押出しされ、圧延され、ロールされ、冷却された最終親水コロイドを処理すると、粘着面上にプラスチックフィルムでラミネートされた後、密閉されたパウチに挿入される可撓性シートとなる。使用者は、パウチを開けて包帯を取り出し、フィルムを剥がし、創傷および周辺の創傷周囲または熱傷もしくは皮膚状態の位置およびそれに隣接した無傷の皮膚領域の上に親水コロイド組成物を貼り付ける。親水コロイドは、こうして、創傷、熱傷、または皮膚の状態、および周辺の創傷周囲の保護カバーとなる。親水コロイドは保護カバーであるため、それ以上の包帯剤は必要ない。患者は通常の活動を継続する。定期的に、例えば、7日後など、医師によって決定されるように、親水コロイドは創傷、熱傷、または皮膚状態の側から剥がされ、廃棄される。医師の決定により追加の治療が必要とされる場合、本発明に従う別の親水コロイド組成物が使用される。最終絆創膏は、オイル、親水コロイド、粘着付与剤、加工助剤、水、および親水コロイドを皮膚に接着させるために典型的に使用される他の原料、例えば、創傷周囲用および様々な加工助剤の混合物である。親水コロイドは、約10重量%~約50重量%の範囲の量で存在する。ココナッツオイル、MCT、親水コロイド、ヘンプオイル、およびタラ肝油の総和は、最終親水コロイド包帯剤の約5重量%~約15重量%の範囲である。別の実施形態では、MCTオイルは、オイル画分の約35重量%~約42重量%の範囲の量で存在し、粗製ココナッツオイルは、35重量%~約42重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約8重量%~約12重量%の量で存在し、タラ肝油は、約8重量%~約12重量%の範囲の量で存在し、カルボキシメチルセルロースなどの親水コロイドは、最終親水コロイド包帯剤の約15重量%~約40重量%の量で存在する。親水コロイドで構成される組成物は、親水コロイド組成物としても知られることを理解されたい。
【0081】
一実施形態では、ヘンプオイルおよびタラ肝油は、それぞれ、約1:1~約2:1の重量比で、別の実施形態では、約1:1~約1.5:1の重量比で存在し、さらに別の実施形態では、それらは両方とも、ほぼ等しい量、すなわち、重量により約1:1で存在する。
【0082】
フィッシュコラーゲンなどのコラーゲンを含有しない本発明の他の組成物は、リドカインなどの油溶性鎮痛剤で構成される。油溶性鎮痛剤とは、本明細書に記載の医薬組成物に完全に可溶性または実質的に完全に可溶性の疼痛緩和剤である薬剤であることを意味する。油溶性薬物の例には、リドカイン、ベンゾカイン、および麻酔性オピオイドが含まれる。一実施形態では、鎮痛剤組成物は、MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、疎水性鎮痛剤、例えばリドカイン、植物油、例えば、RBDパーム油、レッドパーム濃縮物および同様のもの、ヘンプオイル、およびタラ肝油、ならびに任意選択的に薬学的に許容される担体を含む。一実施形態では、ヘンプオイルは、約8重量%~約35重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油は、約8重量%~約35重量%の範囲の量で存在し、疎水性鎮痛剤は、0.6重量%~約1.2重量%の範囲の量で存在し、MCTオイルは、約20~約40重量%の範囲の量で存在し、C8/C10脂肪酸は、約0.1~約1.0重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンは、存在する場合、約0.3~約2.0重量%の範囲の量で存在し、植物油は、約10重量%~約30重量%、例えば、約10重量%~約30重量%などの範囲の量で存在し、セチルエステルは、存在する場合、約0.5~約2.5重量%の範囲の量で存在し、MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、疎水性鎮痛剤、RBDパーム油などの植物油、レッドパーム濃縮物、ヘンプオイル、およびタラ肝油の総和は、組成物の約80重量%~約100重量%の範囲である。
【0083】
ヘンプオイルは、一実施形態では、組成物の約20重量%~約35重量%、別の実施形態では、組成物の約22重量%~約30重量%、別の実施形態では、組成物の約24重量%~約28%の範囲の量で存在する。
【0084】
タラ肝油は、一実施形態では、組成物の約20重量%~約35重量%、別の実施形態では、組成物の約22重量%~約30重量%、別の実施形態では、組成物の約24重量%~約28%の範囲の量で存在する。
【0085】
一実施形態では、ヘンプオイルおよびタラ肝油は、それぞれ、約1:1~約2:1の重量比で、別の実施形態では、約1:1~約1.5:1の重量比で存在し、さらに別の実施形態では、それらは両方とも、ほぼ等しい重量、すなわち、重量により約1:1で存在する。
【0086】
さらに、一実施形態では、C8/C10遊離脂肪酸は、存在する場合、約0.15重量%~約1.00重量%、別の実施形態では、約0.20重量%~約0.50重量%、別の実施形態では、約0.25重量%~約0.35重量%の範囲の量で存在する。
【0087】
別の実施形態では、MCTは、約20重量%~約40重量%の範囲の量で存在する。
【0088】
さらに、一実施形態では、MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比は、約90:1~約140:1、別の実施形態では、約100:1~約120:1の範囲である。
【0089】
一実施形態では、モノラウリンは、組成物の1重量%未満の量で存在する。別の実施形態では、モノラウリンは、約0.3重量%~約0.99重量%、別の実施形態では、組成物の約0.5重量%~約0.75重量%、なおさらなる実施形態では、組成物の約0.55重量%~約0.65重量%の範囲の量で存在する。
【0090】
一実施形態では、セチルエステルは、約0.5重量%~3重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、セチルエステルは、組成物の約1重量%~3重量%の範囲の量で存在する。
【0091】
一実施形態では、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は1:1超である。一実施形態では、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は、約1:0.5~約1:0.7の範囲であり、さらなる実施形態では、約5:3のおよその重量比にある。
【0092】
存在する植物油の量は、約10重量%~約20重量%、別の実施形態では、約12重量%~約17重量%、別の実施形態では、約14重量%~約16重量%の範囲である。
【0093】
本明細書で定義されるとき、鎮痛剤組成物は、いずれのコラーゲンも親水コロイドも含有せず、親水コロイド組成物は、いずれの鎮痛剤もコラーゲンも含まない。
【0094】
コラーゲンを含有しない本開示の別の組成物は皮膚保護剤であり、本明細書では皮膚保護剤組成物と称される。皮膚保護剤組成物は、いずれの親水コロイドも鎮痛剤もコラーゲンも含有しない。しかしながら、これは、任意選択で、薬学的に許容される担体を追加で含んでもよい。
【0095】
皮膚保護剤組成物は2種類ある。一方の皮膚保護剤組成物は、皮膚保護剤Bとして識別される。一実施形態では、ヘンプオイルは、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油は、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイル、MCTオイルは、約30~約50重量%の範囲の量で存在し、C8/C10脂肪酸は、約0.1~約1.0重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンは、約0.3~約2.0重量%の範囲の量で存在し、植物油は、約30重量%~約50重量%の範囲の量で存在し、セチルエステルは、約0.5~約2.5重量%の範囲の量で存在し、MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、植物油、例えば、RBDパーム油、ココナッツオイル、およびヘンプオイル、ならびにタラ肝油の総和は、組成物の約80重量%~約100重量%の範囲である。
【0096】
ヘンプオイルは、一実施形態では、組成物の約7重量%~約13重量%の範囲の量、別の実施形態では、組成物の約9重量%~約11重量%、別の実施形態では、組成物の約10重量%で存在する。
【0097】
タラ肝油は、一実施形態では、組成物の約7重量%~約13重量%の範囲の量、別の実施形態では、組成物の約9重量%~約11重量%、別の実施形態では、組成物の約10重量%で存在する。
【0098】
一実施形態では、ヘンプオイルおよびタラ肝油は、それぞれ、約1:1~約2:1の重量比で、別の実施形態では、約1:1~約1.5:1の重量比で存在し、さらに別の実施形態では、それらは両方とも、ほぼ等しい重量、すなわち、重量により約1:1で存在する。
【0099】
さらに、一実施形態では、C8/C10遊離脂肪酸は、約0.15重量%~約1.00重量%、別の実施形態では、約0.20重量%~約0.50重量%、別の実施形態では、約0.25重量%~約0.35重量%の範囲の量で存在する。
【0100】
別の実施形態では、MCTは、約30重量%~約50重量%、別の実施形態では、約35重量%~約45重量%の範囲の量、別の実施形態では、約40重量%で存在する。
【0101】
さらに、一実施形態では、MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比は、約90:1~約140:1、別の実施形態では、約100:1~約120:1の範囲である。
【0102】
一実施形態では、モノラウリンは、組成物の1重量%未満の量で存在する。別の実施形態では、モノラウリンは、約0.3重量%~約0.99重量%、別の実施形態では、組成物の約0.5重量%~約0.75重量%、なおさらなる実施形態では、組成物の約0.55重量%~約0.65重量%の範囲の量で存在する。
【0103】
一実施形態では、セチルエステルは、約0.5重量%~3重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、セチルエステルは、組成物の約1重量%~3重量%の範囲の量で存在する。
【0104】
一実施形態では、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は、1:1超であり、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は、約1:0.5~約1:0.7の範囲であり、さらなる実施形態では、約5:3のおよその重量比にある。
【0105】
存在する植物油の量は、約30重量%~約50重量%、別の実施形態では、約35重量%~約45重量%、別の実施形態では、約36重量%~約40重量%の範囲である。この皮膚保護剤では、粗製ココナッツオイルの量は、RBDパーム油よりも大きい量で存在し、粗製ココナッツオイルとRBDパーム油との重量比は、約0.55~約0.45、別の実施形態では、約0.52~約0.48の範囲であり、別の実施形態では約1:1である。
【0106】
他の皮膚保護剤組成物は、皮膚保護剤Aとして識別される。皮膚保護剤Bと皮膚保護剤Aの主な違いは、皮膚保護剤Aが、植物油として、粗製ココナッツオイルおよびRBDパーム油に加えて、レッドパーム濃縮物を含むことである。加えて、下記で説明するように、粗製ココナッツオイルとRBDパーム油との重量比が逆転する。
【0107】
一実施形態では、ヘンプオイルは、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油は、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイル、MCTオイルは、約30~約50重量%の範囲の量で存在し、C8/C10脂肪酸は、約0.1~約1.0重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンは、約0.3~約2.0重量%の範囲の量で存在し、植物油は、約30重量%~約50重量%の範囲の量で存在し、セチルエステルは、約0.5~約2.5重量%の範囲の量で存在し、MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、植物油、例えば、RBDパーム油、ココナッツオイル、およびレッドパーム濃縮物、ヘンプオイル、ならびにタラ肝油の総和は、組成物の約80重量%~約100重量%の範囲である。
【0108】
ヘンプオイルは、一実施形態では、組成物の約7重量%~約13重量%の範囲の量、別の実施形態では、組成物の約9重量%~約11重量%、別の実施形態では、組成物の約10重量%で存在する。
【0109】
タラ肝油は、一実施形態では、組成物の約7重量%~約13重量%の範囲の量、別の実施形態では、組成物の約9重量%~約11重量%、別の実施形態では、組成物の約10重量%で存在する。
【0110】
一実施形態では、ヘンプオイルおよびタラ肝油は、それぞれ、約1:1~約2:1の重量比で、別の実施形態では、約1:1~約1.5:1の重量比で存在し、さらに別の実施形態では、それらは両方とも、ほぼ等しい重量、すなわち、重量により約1:1で存在する。
【0111】
さらに、一実施形態では、C8/C10遊離脂肪酸は、約0.15重量%~約1.00重量%、別の実施形態では、約0.20重量%~約0.50重量%、別の実施形態では、約0.25重量%~約0.35重量%の範囲の量で存在する。
【0112】
別の実施形態では、MCTは、約30重量%~約50重量%、別の実施形態では、約35重量%~約45重量%の範囲の量、別の実施形態では、約40重量%で存在する。
【0113】
さらに、一実施形態では、MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比は、約90:1~約140:1、別の実施形態では、約100:1~約120:1の範囲である。
【0114】
一実施形態では、モノラウリンは、組成物の1重量%未満の量で存在する。別の実施形態では、モノラウリンは、約0.3重量%~約0.99重量%、別の実施形態では、組成物の約0.5重量%~約0.75重量%、なおさらなる実施形態では、組成物の約0.55重量%~約0.65重量%の範囲の量で存在する。
【0115】
一実施形態では、セチルエステルは、約0.5重量%~3重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、セチルエステルは、組成物の約1重量%~3重量%の範囲の量で存在する。
【0116】
一実施形態では、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は1:1超である。別の実施形態では、セチルエステルとモノラウリンとの重量比は、約1:0.5~約1:0.7の範囲であり、さらなる実施形態では、約5:3の重量比である。
【0117】
存在する植物油の量は、約30重量%~約50重量%、別の実施形態では、約35重量%~約45重量%、別の実施形態では、約36重量%~約40重量%の範囲である。この皮膚保護剤では、RBDパーム油の量は、粗製ココナッツオイルよりも大きい量で存在し、RBDパーム油と粗製ココナッツオイルとの重量比は、約0.55~約0.45、別の実施形態では、約0.52~約0.48の範囲であり、別の実施形態では約1:1である。
【0118】
また、皮膚保護剤Aは、レッドパーム濃縮物も含む。これは、組成物の約0.01重量%~約0.20重量%、別の実施形態では、約0.05重量%~約0.15重量%、別の実施形態では、約0.08重量%~約0.12重量%の範囲の量で存在する。
【0119】
コラーゲンを有しない本明細書に記載の局所用組成物は、当該技術分野で認識されている技術によって調製される。例えば、これらは、存在する場合にはセチルエステルおよびモノラウリンが溶融するまで、容器中、約40℃~約80℃の範囲の温度にて、不活性ガスの存在下で、任意選択で加熱しながら、上記で説明した成分を十分に混合することによって調製される。ビタミンの破壊を防ぐために、加熱時間は最小限にすること。混合容器内のヘッドスペースは、アルゴン、ヘリウム、および窒素などの不活性ガスであること。一実施形態では、アルゴンが使用される。アルゴンには空気より重いという利点があり、混合容器のヘッドスペースに酸素が侵入するのを防ぐ。溶融が達成されたら、組成物は室温に冷却される。室温により溶融物が固化すると、混合物は単相流体であるため、添加の順序は重要ではない。均質なオイルが形成される。この第1の局所用配合物は、酸敗魚臭を呈さない。
【0120】
コラーゲンを含有しない本発明の組成物は、単相無水オイルである。濁り度は、10NTU未満である。これは、9.9など約10NTU~約5、別の実施形態では、約4NTU~約2NTUの範囲である。さらに、コラーゲンの非存在下での組成物における本開示の組成物の粘度は、30cP未満である。これは、約20~約40cPの範囲である。
【0121】
上記の配合物は、芳香剤または香料など、下記に記載される追加の成分を含有してもよい。例えば、芳香剤または香料が存在する場合、これらは約0.01重量%~約1.5重量%で存在する。
【0122】
一実施形態では、コラーゲンが存在しない本開示の組成物の粘度は、25℃で約15~約30センチポアズ、別の実施形態では、約24~約29センチポアズの範囲であり、さらなる実施形態では、約27.5センチポアズである。
【0123】
上記に記載の組成物のすべては、リノール酸などのオメガ6脂肪酸を含有する。上記に記載の組成物のすべてにおいて、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は、約1.0~約3.0、別の実施形態では、約1.2~約2.5、さらなる実施形態では、約1.4~約2.0、さらなる実施形態では、約1.5~約1.9の範囲である。
【0124】
さらなる実施形態では、コラーゲンが存在しない本明細書に記載の組成物において、MCTと本開示の組成物に存在する総不飽和トリグリセリド(他の植物油およびタラ肝油由来)の重量の総和との重量比は、0.8超または0.8未満のいずれか、別の実施形態では、1超または1未満である。疎水性鎮痛剤組成物および親水コロイド組成物を含有する組成物について、前述の重量比は、0.8未満、例えば、約0.4~約0.7である。一方、親水コロイドおよび皮膚保護剤は、重量比が、0.8超、例えば、約1.0以上、例えば、約1.0~約2.2である。
【0125】
上記の考察の大部分は、フィッシュコラーゲンを含有しない組成物に関する。本開示の別の配合物は、コラーゲンを含有するものである。
【0126】
第2の種類の局所用配合物は、タラ肝油およびモノラウリン、MCTおよびC8/C10遊離脂肪酸、およびヘンプオイル、および任意選択で薬学的に許容される担体に加えて、コラーゲンを含む。コラーゲンはより多量な原料のうちの1つであるため、コラーゲンが存在しない場合、他の原料の各々の量も組成物に対して変化する。一実施形態では、タラ肝油は、約10重量%~約14重量%の範囲の量で存在し、コラーゲンは、約35%~約50重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンは、約2~約5重量%の範囲の量で存在し、MCTは、約6~約10重量%の範囲の量で存在し、C8/C10遊離脂肪酸は、約0.5~約1.5重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約14~約10重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、タラ肝油は、約11重量%~約13重量%の範囲の量で存在し、コラーゲンは、約40%~約45重量%の範囲の量で存在し、モノラウリンは、約3.8~約4.4重量%の範囲の量で存在し、MCTは、約7~約9重量%の範囲の量で存在し、C8/C10遊離脂肪酸は、約0.8~約1.5重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約13~約11重量%の範囲の量で存在する。
【0127】
フィッシュコラーゲンおよびタラ肝油の両方が組成物に存在する実施形態では、タラ肝油およびフィッシュコラーゲンの総和は、組成物の50重量%超である。一実施形態では、タラ肝フィッシュオイルおよびフィッシュコラーゲンの総和は、約50%~約65重量%、他の実施形態では、約52%~約60重量%の範囲である。加えて、フィッシュコラーゲンとタラ肝フィッシュオイルとの重量比は、約2.5~約5.5の範囲、別の実施形態では、約3~約5、さらなる実施形態では、約3.5~約4.4、さらなる実施形態では、約3.6~約3.7の範囲である。
【0128】
コラーゲンが存在する一実施形態では、コラーゲンは、約35重量%~約50重量%、別の実施形態では、約40重量%~約45重量%の範囲の量で存在する。
【0129】
コラーゲンが存在する一実施形態では、タラ肝油は、約5重量%~約15重量%、別の実施形態では、約8重量%~約13重量%、別の実施形態では、約11重量%~約12重量%の範囲の量で存在する。
【0130】
さらに、フィッシュコラーゲンが存在する一実施形態では、C8/C10遊離脂肪酸は、約0.5重量%~約1.5重量%、別の実施形態では、約0.8重量%~約1.4重量%の範囲の量で存在する。
【0131】
フィッシュコラーゲンが存在する別の実施形態では、MCTは、約6重量%~約12重量%、別の実施形態では、約7重量%~約9重量%の量で存在する。束縛されることを意図するものではないが、MCTの役割は、本配合物の非常に長いトリグリセリドを可溶化して、それらがコラーゲン細孔内に流入するのを可能にすることであると考えられる。
【0132】
さらに、フィッシュコラーゲンが存在する一実施形態では、MCTとC8/C10遊離脂肪酸との重量比は、約10:1~約6:1の範囲である。
【0133】
一実施形態では、フィッシュコラーゲンが存在する場合、レッドパーム濃縮物も存在する。レッドパーム濃縮物(例えば、ExcelVite,Edison NJから入手)は、トコトリエノール/トコフェロール複合体(ビタミンE)およびマルチカロチノイドの自然発生混合物の赤味を帯びた植物油懸濁液である。これは、主に、アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール、デルタ-トコトリエノール、アルファ-カロチン、およびベータ-カロチンからなる。レッドパーム濃縮物は、通常のレッドパーム油の100倍濃縮されている。総ビタミンE(トコトリエノールおよびトコフェロール)と総混合カロチンとの比(2:1)は、レッドパーム油中で天然に見出されるものとまったく同じである。また、レッドパーム濃縮物は、レッドパーム油(Elaeis guineensis)に天然に見出される、ガンマカロチン、リコピン、天然植物スクアレン、および植物ステロールなどの他の植物栄養素の混合物も含有する。レッドパーム濃縮物は、粘性であり、明るい赤色/オレンジ色で、ヒトの皮膚に染みをつける。
【0134】
カロチノイドは、低酸素環境中では抗酸化物質であり、高酸素環境中では酸化促進物質である。この二重の作用は、任意選択でオメガオイルと組み合わせると、驚くべきバイオフィルム妨害技術にすることができる。例えば、皮膚の表面上のカロチノイドは、部分的に酸化し、カロチノイドフリーラジカルを形成することができる。当業者であれば、産生された反応性酸素種(ROS)が自然界で最も活性な種のうちの1つであり、病原体を含む細菌の不活化に絶大な効果があることを認識する。従来、ROSは、あらゆる種類の分子妨害および予期せぬ事象につながり得るため望ましくないが、発明者らは、破れた皮膚の外面では、それらが創傷包帯剤における病原体の制御を助けるのに望ましい場合があることを見出した。
【0135】
ROSの皮膚への進入を防ぐが、外部病原体制御機序は無傷のまま残すことが目的である。これを発明者らは達成した。
【0136】
実際に、存在する場合、束縛されることを意図するものではないが、フィッシュコラーゲンを含む組成物とフィッシュコラーゲンを含有しない組成物との両方において、レッドパーム濃縮物は、最大0.12%の濃度(「最大%」)で皮膚に進入すると考えられる。0.12%を超える濃度では、レッドパーム濃縮物は、外皮を目に見える形でオレンジ色に染色し、これにより、最大濃度のレッドパーム濃縮物が皮膚に進入し、残りが拒絶されて皮膚表面に沈着したことが示唆される。
【0137】
束縛されることを意図するものではないが、拒絶された濃縮物は、表面上のROS形成の影響を受けやすく、一方で最大%は、皮膚表面直下の抗酸化物質であると考えられる。そうであれば、表面ROSが創傷包帯剤においてバイオフィルムを妨害し、病原体を殺滅することが予期されるが、いずれかのROSが皮膚に進入すると、抗酸化物質の最大*%がROSを終結させ、ROSによる組織損傷を防止するであろう。この予想外の利益により、レッドパーム濃縮物は、非常に低いレベル(0.12%w/w超)で影響力のある原料に変換される。例えば、「リドカイン洗浄」と特定される実施例に示される組成物は、0.1重量%~0.4重量%、例えば0.26重量%のレッドパーム濃度を有し、インビトロのブタバイオフィルム試験で3~7logの殺滅を示す。その上、皮膚の色は、目に見えてオレンジ色に染色される。さらに、皮膚保護剤Eは、0.1%のレッドパーム濃縮物を有し、いずれのlogの殺滅活性も示さず、いずれの皮膚色変化も示さない。
【0138】
本発明の組成物において、コラーゲン組成物中に存在する場合、レッドパーム濃縮物は、0.12重量%超、別の実施形態では、少なくとも0.20重量%、しかし0.4重量%以下の量で存在する。これらの濃度では、本発明のコラーゲン組成物は、皮膚の色がわずかにオレンジ色ではあるが、実際の創傷に展開された際の創傷包帯剤中の細菌増殖または病原活性のいずれの兆候も示さない。
【0139】
束縛されることを意図するものではないが、0.12重量%以上の量で存在するレッドパーム濃縮物を含有するコラーゲン含有配合物に関して、周知の抗酸化物質であるビタミンA、C、D、およびEは、摂取されたか局所的かを問わず、全身を遊走すると考えられる。これにより、局所的に適用された脂溶性抗酸化分子が、真皮を通って表面から離れて遊走することが示唆される。不飽和トリグリセリド、特にPUFA(多価不飽和脂肪酸)オイルも、周知の抗酸化化合物であり、である。これらの化合物は、体内で他の化合物、例えば、プロスタグランジンに酵素的に変換される必須脂肪酸(EFA)を含む。他の不飽和トリグリセリドは、単に細胞によって代謝され、消費されて、間接的に局所脂肪を皮膚表面から離して移動させる。抗酸化物質が豊富な無水脂質混合物の正味の影響は、真皮に進入し、消費または変換されて、皮膚の表面直下に抗酸化物質が乏しい領域を残すことである。不動性カロチノイド画分を有する無水脂質基材中の0.12%超のレッドパーム濃縮物は、独自に、表面直下と皮膚表面とに同時に定着する。抗酸化性/酸化促進性の二重の性質により、望ましくない表面病原性バイオフィルムを妨害するための外部ROSと、表面下の生存組織のROS妨害を防止するための内部ROSターミネーターとが創出される。これにより、表面が損傷した皮膚の創傷治癒が加速する。
【0140】
レッドパーム濃縮物の配合は、ブレンドされたオイルが臭気を伴わずに皮膚に浸透する必要があるため、簡単なことではない。レッドパーム油は皮膚用配合物において周知であるが、皮膚への浸透と併せたカロチノイドの適量は、天然の濃度とは異なる。そのため、黄色パーム油(RBD)および粗製ココナッツオイルを、無傷の皮膚(病原菌制御の問題が少ない)のためにはより少量のレッドパーム濃縮物と、破れた皮膚(病原性バイオフィルム制御が大きな問題である)のためにはより多量のレッドパーム濃縮物と、また徐放性コラーゲン基質には中等レベルのレッドパーム濃縮物と、ブレンドする。
【0141】
フィッシュコラーゲンが存在する実施形態では、ヘンプオイルは、約15~約10重量%の範囲の量で存在し、別の実施形態では、ヘンプオイルは、約14~約12重量%の範囲の量で存在し、さらなる実施形態では、ヘンプオイルは、約12重量%の量で存在する。
【0142】
フィッシュコラーゲンが存在する場合、一実施形態では、海塩が、約0.7~約1.2重量%の範囲の量で存在し、別の実施形態では、これは、約0.8~約1.0重量%の範囲の量で存在し、さらに別の実施形態では、約0.9重量%である。海塩は、無水基質中の加工助剤である。本配合物では、海塩は、粉砕海塩として加えられる。海塩結晶の平均サイズは約0.74ミクロン未満であり、別の実施形態では、平均サイズは約37ミクロン未満である。下記に記載されるように、コラーゲンがオイル/ワックス混合物と混合され、室温に冷却された後に、粉砕海塩が加えられる。海塩は、窒素ブランケット下で泡立てている間に加えられる。海塩は、乾燥コラーゲン/オイル/窒素ガス混合物を、凍結/解凍安定性の押出しパテにするように機能する。この流動能力は、難治性創傷の治療において重要である。難治性創傷は、予測できない割目および裂溝を有する。すべての創傷表面内および表面上に流入することができる無水混合物が、創傷治癒に特に有利である。
【0143】
フィッシュコラーゲンが存在する実施形態では、モノラウリンは、約2~約6重量%、別の実施形態では、約3~約5重量%の範囲の量、またさらなる実施形態では、約4重量%で存在する。実際の配合物は、モノラウリン濃度と相互作用的である。モノラウリンゲル(約3.5%超)は、準安定な基質を作製する構造を形成する。ゲルが形成されると、理想量のコラーゲンが、混錬の容易さと押出の容易さの関数となる。
【0144】
モノラウリンをフィッシュコラーゲンと混合する場合、生油中の望ましくないゲル化は、オイルを無水基材中のコラーゲンに結合させるのを助ける上で有益となる。
【0145】
フィッシュコラーゲンが存在しない組成物と同様に、フィッシュコラーゲンが存在する組成物では、セチルエステルが任意選択で存在する。このため、コラーゲンを含有する組成物における本開示の実施形態では、セチルエステルは任意選択で存在する。つまり、セチルエステルは0重量%~3重量%で存在する。セチルエステルは、それが存在する実施形態では、約0.5重量%~約2.5重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、セチルエステルは、組成物の約1重量%~約2.5重量%の範囲の量で存在する。
【0146】
フィッシュコラーゲンが存在しない配合物と同様に、フィッシュコラーゲンがタラ肝フィッシュオイルとともに存在する局所用組成物には、酸敗魚臭がない。モノラウリン、ヘンプオイル、およびセチルエステルを加えることは、内容が参照により組み込まれる、コラーゲンが存在しない配合物について考察する際に上記で付与した理由と同じ理由で、悪臭のある魚臭を減少させるのに役立つ。このため、一実施形態では、本開示は、フィッシュコラーゲンおよびタラ肝油で構成される医薬組成物中の魚臭を減少させる方法を対象とし、本方法は、モノラウリン、ヘンプオイル、および任意選択であるが好ましくはセチルエステルを有効量で組み合わせて組成物に加えることを含む。一実施形態では、組成物がフィッシュコラーゲンを含有する場合、存在するモノラウリンの量は、医薬組成物中のフィッシュコラーゲンおよびタラ肝油の総和の1グラムあたり約0.06~約0.08の範囲であり、ヘンプオイルの量は、約0.2~約0.3の範囲であり、セチルエステルの量は、約0.02~約0.04の範囲である。別の実施形態では、存在するモノラウリンの量は、医薬組成物のフィッシュコラーゲンおよびタラ肝油の総和の1グラムあたり約0.07であり、ヘンプオイルの量は、約0.22であり、セチルエステルの量は、約0.037である。
【0147】
フィッシュコラーゲンが存在する実施形態では、魚肝油、フィッシュコラーゲン、C8/C10脂肪酸、MCTの総和は、組成物の約80重量%~100重量%の範囲である。
【0148】
一実施形態では、コラーゲン含有組成物において、本開示の局所用組成物の追加の成分は、ミツロウ、カンデイラ(candeilla)ワックス、カルナウバワックス、セレシンワックス、微結晶ワックス、ゾセライト(ozokerite)ワックス、パラフィンワックス、ローレルワックス、米ぬかワックス、Vegeriteワックス、および他の高融点ワックスなどの濃厚剤である。これらの濃厚剤ワックスの存在は、コラーゲン含有組成物中、5℃超で分離している少なくとも2つの融点を有する組成物を創出するのに役立つ。一実施形態では、濃厚剤はミツロウである。ミツロウなどの濃厚剤は、約2重量%~約6重量%の範囲の量で存在し、別の実施形態では、約3重量%~約4重量%の範囲の量で存在し、さらなる実施形態では、約3重量%~約4重量%の範囲の量で存在する。
【0149】
コラーゲンを含有する組成物の目的は、有用な包装材にポンプ注入し、貯蔵および発送し、その後、創傷床に容易に押し出すことができる生成物を作製することである。ミツロウなどの増粘剤は、既に濃厚な生成物をさらに濃厚にする。予想外のことに、セチルエステル、ミツロウクス、およびモノラウリンの混合物は、組成物中に2つの異なる融点温度を創出し、一実施形態では、これらは共晶温度である。より高い温度およびより低い温度の融点は、コラーゲン細孔を塞ぎ、流通中のオイルの脱出を防止する。より低い融点温度により、組成物が創傷内で軟化し、創傷面に密着することを可能にする。
【0150】
コラーゲン含有組成物の別の実施形態では、パルミチン酸アスコルビル(「AP」)が追加で存在する。これは接着剤である。以下に記載のとおりである。コラーゲン含有組成物において、パルミチン酸アスコルビルは、組成物の約0.3~約0.6重量%で存在し、別の実施形態では、約0.5重量%で存在する。パルミチン酸アスコルビルは、ミツロウなどの増粘剤と比べて融点がはるかに高い。これは、パルミチン酸アスコルビルが凍結するときに、立体障害によりそのコラーゲン細孔深部への進入が防止されるように、大きな頭部基を有する。代わりに、パルミチン酸アスコルビルとオイルとが、高密度のゲルを形成する。ゲルはコラーゲン細孔を貫通しない。束縛されることを意図するものではないが、このゲルは、代わりにコラーゲン細孔の外側をコーティングして、接着剤のように作用すると考えられる。オイル/ワックス混合物が細孔内に閉じ込められると、球状噴霧乾燥コラーゲンが「一緒に接着」される。充填された細胞は、一緒に結合して、均一なペースト状の外観を付与する。
【0151】
加えて、束縛されることを意図するものではないが、パルミチン酸アスコルビルは、コラーゲン基質からの長期のオイル浸潤を停止または遅延すると考えられる。AP混合物は、160°F(71.1℃)で清澄となる。フィッシュコラーゲンを加える場合、混合物はAP凝固点以下でクエンチされる。APは、「トッツィーポップ(Tootsie Pop)」のような形状であるため、コラーゲン細孔への進入が立体的に妨害される。代わりに、AP脂肪酸エステルが各コラーゲン顆粒の外側をコーティング(その上に沈殿)すると考えられる。ミツロウまたは他の増粘剤および他の線状エステルが沈殿するとき、これらは移動性油脂であり、APが凍結して細孔穴を塞ぐ前に、コラーゲン顆粒の内部細孔を貫通し、空気に取って代わる。
【0152】
加えて、海塩が、コラーゲン孔からのオイルの浸潤を防止する役割を果たす。束縛されることを意図するものではないが、海塩を本明細書に記載の量で加えることにより、浸潤の防止が機械的に助けられるが、これはAPと組み合わせた場合のみであると考えられる。微細に粉砕した塩は、隣接するコラーゲン球体間の間隔に収まり、「細孔を塞ぐ」。APがコラーゲン表面に張り付くため、塩が間隔に張り付き、同じく浸潤を止める。APがないと、塩は基質を横切って底部に流れ落ち、その結果、浸潤が発生する。APの存在により、これが防止される。しかしながら、塩が少なすぎても(0.3重量%未満)オイルが浸潤し、塩が多すぎても(1.8重量%超)オイルが浸透する。一実施形態では、塩濃度は約0.9+0.3重量%である。束縛されることを意図するものではないが、塩が少なすぎると「穴」が完全に塞がれないと考えられる。塩が多すぎると、穴が「伸張」し、隣接する球体間に新しい通路が創出される。0.9+0.3重量%では、穴は塞がり、通路は伸張しないため、APは塩結晶が定位置に接着した状態を維持する。
【0153】
このため、APおよび海塩は、熱応力がかかったコラーゲン基質を間接的に安定させる機械的加工助剤である。少量のバッチ(0.8kg/3.5クオート、混合ボウルの体積の約25%)を泡立てることで、塩と冷凍された室温の基質とを緊密に混合し、間隔を塞ぐための時間および加えられたエネルギーを生じさせる。
【0154】
加えて、海塩を粉砕すること。塩結晶の平均サイズは、約200タイラーメッシュスクリーン(約74ミクロン)~約300Tタイラーメッシュスクリーン(約37ミクロン)の範囲である。このサイズ範囲内の塩粒子も、コラーゲン基質の間隔を塞ぐ。より大きな塩粒子、貯蔵および流通中に包装容器の底部に移行し、使い捨てバイアルの押出し排出を妨げる。
【0155】
一実施形態では、任意選択で存在するコラーゲン含有組成物の別の成分は、植物油である。フィッシュコラーゲンを含有しない組成物のように、植物油は、レッドパーム油およびRBDパーム油を含むパーム油、粗製または精製ココナッツオイルを含むココナッツオイル、およびレッドパーム濃縮物、ならびにそれらの組み合わせで構成され、これらは、約7重量%~約30重量%、別の実施形態では、約8重量%~約20重量%、さらなる実施形態では、約8.5重量%~約15重量%の範囲で存在する。
【0156】
コラーゲンを含有する組成物における一実施形態では、ココナッツオイルは、レッドパーム濃縮物との組み合わせで、しかしパーム油の非存在下で、存在する。この実施形態では、ココナッツオイルは、約7~約13重量%の範囲の量で存在し、別の実施形態では、約9重量%~約11重量%の範囲の量で存在し、別の実施形態では、約10重量%の量で存在する。これらの実施形態におけるレッドパーム濃縮物は、約0.05重量%~約1重量%、別の実施形態では、約0.08重量%~約0.25重量%の範囲、別の実施形態では、約0.2重量%の量で存在する。ココナッツオイルとレッドパーム濃縮物とのこの組み合わせにより、オレイン脂肪酸(パーム油由来)の量が減少し、これがラウリン酸(粗製ココナッツオイル由来のC12:0)で置き換えられる。ラウリン酸トリグリセリドは、オレイン酸トリグリセリドよりも優れた皮膚保湿剤である。ビタミンEは、強固な皮膚の健康にとって不可欠なビタミンとして広く認識されているので、固有の高濃度のビタミンEを有するパーム油を、ビタミンEを有しないココナッツオイルで置き換えることは、直観に反するものである。パーム油をココナッツオイルおよびレッドパーム濃縮物で置き換えると、皮膚保湿剤からの均質なオイルが、創傷治癒生成物で最もよく作用する、病原体の増殖を妨害するオイルに変化することが見出された。
【0157】
束縛されることを意図するものではないが、パーム油濃縮物に存在するカロチノイドは、異なる条件下で抗酸化物質と酸化促進物質との両方として作用し得る。カロチノイドの抗酸化特性は周知である。さらに、カロチノイドは、酸素濃度の関数として抗酸化物質から酸化促進物質へと挙動を切り換えることができると考えられる。このため、酸素障壁包装材中の組成物におけるカロチノイドは、抗酸化物質として挙動し、フィッシュオイルを保護することになる。次いで、組成物が空気に曝露された創傷上に広げられると、カロチノイドは酸化促進物質となり得る。酸化カロチノイドの一部は、反応性酸素種(ROS)となる。フリーラジカル抗菌化合物であるROSは、次に、
図1に示すように、感染した創傷の病原体濃度を減少させるのに役立つ。組成物が、MCTのような高速吸収性化合物と、タラ肝油のような緩徐吸収性化合物との混合物である場合、カロチノイドは、抗酸化物質および酸化促進物質の両方として作用する。MCTが吸収されると、カロチノイドおよびタラ肝油が皮膚表面で濃縮されて、感染部位でのカロチノイドの微小濃度が上昇する。創傷床の肉芽形成の高速化、および創傷閉鎖の高速化が観察される。
【0158】
異なる抗酸化物質、例えば、ビタミンEおよびパルミチン酸アスコルビルは、各々が独自の作用機序を有するので、これらを加えることにより、組成物の抗酸化能が増大すると考えられる。このため、ビタミンEが豊富なパーム油を、有意な濃度のビタミンEを含有しない無ビタミンEココナッツオイルで置き換え、レッドパーム濃縮物を加えると、インビトロの抗酸化能が増大する(酸素障壁包装材と併用する)が、インビボの抗酸化能は減少し、治癒速度に悪影響を与えることなく感染が制御されるように酸化促進ROSが十分に増大する。MCTを粗製ココナッツオイルおよびカロチノイドに加えると、感染の可能性がある表面上にROSが濃縮されることで、治癒過程が加速される。本配合物のように、同じ組成物を貯蔵および流通中の抗酸化物質、ならびに組成物を創傷に適用する際の酸化促進物質源である抗菌ROSとなるように使用することは、直観に反するものである。
【0159】
パーム油をレッドパーム濃縮物と併用すると、パーム油のビタミンEとカロチノイドとが連携して、カロチノイドを抗酸化物質状態に保つ。ビタミンEは、いずれの死滅も生じる前にROSを吸収し、フリーラジカル伝播を終結させる。このため、細菌死滅は観察されない。しかし、ココナッツオイルでパーム油を置き換えると、ビタミンEは混合物中にわずかとなる。カロチノイドは酸素障壁包装材中では抗酸化物質であり、皮膚に適用されて空気に曝露すると酸化促進物質となる。ビタミンEはほとんどないため、カロチノイドで産生されたROSはクエンチされず、細菌を死滅させる。多重対数の細菌死滅が観察される。
【0160】
一実施形態では、ココナッツオイルは、本明細書に記載のフィッシュコラーゲンで構成される組成物に存在する唯一の植物油である。一実施形態では、ココナッツオイルは、存在する唯一の植物油である場合、約7~約13重量%の範囲の量で存在し、別の実施形態では、約9重量%~約11重量%の範囲の量で存在し、別の実施形態では、約10重量%の量で存在する。ココナッツオイルは、本質的に、飽和中鎖長トリグリセリドを含有する。ココナッツオイルの融点は室温に近い。冷却時、ココナッツオイルはゆっくりと凍結する。この融点により、ココナッツオイルとフィッシュコラーゲン/ワックスとの混合物を泡立てて、安定した「ホイップバター」にすることができる。不活性ガスブランケット下で泡立てると、比重が約0.81から約0.78に下降する。この小さな変化により、周囲温度での粘度が、「硬いファッジ」(親指および人差し指の圧力では押し出せない)から、濃厚であるが親指および人差し指の圧力で押し出すことができる約65,000cPに減少する。
【0161】
フィッシュコラーゲンが存在する本開示のオイル画分組成物は、25℃で35mN/m未満の表面張力を有する。本開示の一実施形態では、表面張力は、25℃で約30mN/m~約40mN/mの範囲である。例えば、一実施形態では、表面張力は、25℃で約31.7mN/mである。オイルワックス混合物が細孔に浸透し、元の空気に完全に取って代わるには、低い表面張力が必須である。高温混合中、コラーゲン細孔比重は、約0.3から約0.81まで増加した後、安定し、すべてのガスが置き換えられたことが示される。残留している細孔中空気が残ることを許容すると、これによりフィッシュオイルが酸化し、流通中に酸敗し、トリグリセリドがエポキシドまたは他の酸化生成物となり得るので、創傷治癒には許容できないものとなる。このため、コラーゲンを含有する組成物において、空気は、実質的にそこから除去される。つまり、空気は、組成物の0.1重量%未満、別の実施形態では、0.01重量%未満、さらなる実施形態では、組成物の0.001重量%未満で存在する。
【0162】
フィッシュコラーゲンが存在する実施形態では、本開示の組成物において、存在するオレイン酸の量に対するMCTの重量比は、約2:1~約0.2:1、別の実施形態では、約1.5:1~約0.5:1の範囲である。別の重要な比は、C8/10 MCT[粗製ココナッツオイル中の製造C8/10および天然C8/10由来(約14%)]と存在するすべての不飽和トリグリセリドの量の重量の総和との重量比である。換言すると、C8:0+C10:0(MCT)の総和は、すべての不飽和トリグリセリド(モノ+PUFA)の総和よりも小さい。本明細書の上で記載されるように、すべての不飽和トリグリセリドの総和に対するMCTの重量比は、0.8未満である。
【0163】
これらの2つの比(総和)の差が1超である場合に、結果として得られる組成物が、オイルをバイアルに包装する目的で活用することができる少なくとも2つの融点を有するようになる。
【0164】
コラーゲンを含有する本開示の組成物は、混濁したペーストである。これらは取扱が非常に困難である。しかしながら、活用され得る本開示のコラーゲン含有組成物の特性は、本開示の組成物が、少なくとも5℃で分離している少なくとも2つの融点を有すること、およびより低い融点が37℃未満であり、より高い融点が37℃超であることである。
【0165】
束縛されることを意図するものではないが、これらの2つの比の差が約1超である場合に、結果として得られる組成物が、10℃超で分離している2つの異なる融点を有するようになると考えられる。実施形態において、これらの組成物は、少なくとも2つの共晶融点を有する共晶組成物である。少なくとも2つの融点を有するというこの特性により、本発明の組成物は、医薬品として非常に有用となる。
【0166】
コラーゲンを含有する本開示の組成物は、多孔質ペーストではない。充填機をとおしてポンプ注入することで多孔質ペーストを剪断すると、細孔が圧縮され、閉じ込められたオイルが各細孔から押し出され得る。その結果、二相の「還元オイル凝固体」および遊離オイルができる。一貫したバイアル充填が達成できず、FDAに準拠した加工は実行不可能である。一方で、高融点パルミチン酸アスコルビル、MCT、および低表面張力油と組み合わせてフィッシュコラーゲンを含有する本開示の組成物における二重凝固点により、高温加工中に細孔を完全に充填することになるオイルワックス混合物が作製される。束縛されることを意図するものではないが、温度が低下すると、オイル/ワックス混合物が凍結し、閉じ込められたオイルでコラーゲン細孔が塞がれると考えられる。オイル分により、細孔が過充填される。MCTは、細孔から離れ、フィッシュコラーゲン塊に直接吸収されて、細孔に保持される遊離オイルの量を減少させる。一実施形態では、コラーゲンに対する総トリグリセリド(飽和トリグリセリドおよび不飽和トリグリセリド)の重量の総和は、約0.9~約1.1の範囲であり、別の実施形態では、約1:1である。この重量比が、本明細書の範囲、特に約1:1にあると、細孔は充填され、MCTはフィッシュコラーゲン塊に吸収される。同時に、パルミチン酸アスコルビル/オイル混合物により、細孔が充填された球状のコラーゲン顆粒がコーティングされ、それらが一緒に接着されて、硬質の周囲温度の固体が作製される。この固体は、市販の充填機では加工できないが、オイルを浸潤させない。ココナッツオイルにより、冷却された硬質の固体を、典型的なホバート型泡立てミキサー中、不活性ガスブランケット下で泡立てることができるようになる。こうして、硬質固体に、安定した不活性ガスポケットが散りばめられるようになる。ガスを含んだ粘度は、約65,000cPと依然として濃厚であるが、これは、Muller GMBH,Rheinfelden Germanyなどの市販のペーストドラム排出システムを用いて、使い捨てバイアルにポンプ注入することができる。このため、二点融点オイル/ワックス混合物(例えば、ミツロウ、ココナッツオイル、モノラウリン、およびセチルエステルNF)、MCT、およびパルミチン酸アスコルビルの予想外の組み合わせにより、泡立て、ポンプ注入、押出し、およびオイル浸潤を伴わない創傷床での流動性が可能となる。
【0167】
第2の融点(より低い融点)は、生成物が使用される際に重要となる。医療関係者は、ペーストを、25℃で創傷床に、または第2の融点を上回る37℃で皮膚障害に分注する。37℃では、フィッシュコラーゲンを含有する組成物が溶解し、ペーストは流動性になる。流動性ペーストは、ペーストの「ストライプ」として押し出される。束縛を意図するものではないが、こうして体温となったストライプは、弛緩し、実際の創傷床の間隔および凹凸に流入すると考えられる。しかし、包装された生成物が流通中に高温逸脱を経験し得るという点で、現実は依然としてより複雑である。温度が約45℃に上昇すると、泡立てにより組み込まれた不活性ガスの一部が失われ、生成物が増粘する。しかし、増粘は、既に充填されたバイアルから押し出すことができないほどではない。本明細書に記載の比の範囲内にあるフィッシュコラーゲンおよびトリグリセリドで構成される組成物の組み合わせは、高融点温度と低融点温度との間で少なくとも5℃分離している、少なくとも2つの融点を有する。パルミチン酸アスコルビルおよびMCTにより、機械加工、流通安定性、および医師にとって行いやすい分注、そして最後に完全な創傷床被覆が可能となる。
【0168】
このため、本開示のオイル/ワックス/コラーゲン混合物は、より高い融点が37℃超であり、より低い融点が37℃以下であるように、少なくとも10℃で分離している、少なくとも2つの融点温度、例えば、少なくとも2つの共晶温度を有する。その上、フィッシュコラーゲンを含有する本開示の組成物において、より低い融点は、より高い融点から、少なくとも5℃、別の実施形態では、少なくとも10℃、別の実施形態では、少なくとも13℃で分離している。
【0169】
本発明のコラーゲン含有組成物は油性組成物である。25℃で、オイル/ワックス混合物の表面張力は35mN/m未満である。一実施形態では、フィッシュコラーゲンで構成される本明細書に記載の組成物の表面張力は、25℃で、約29mN/m~約33mN/m、なおさらなる実施形態では、約31mN/m~約32mN/mの表面張力を有する。
【0170】
一実施形態では、無水オイルとして、いずれの乳化剤も、本開示のフィッシュコラーゲン組成物中に存在しない。しかしながら、融点温度をさらに分離するのを助ける加工助剤がある。これらの加工助剤の例は、リノール酸エチルおよびクエン酸トリエチルである。存在する場合、これらは、典型的には、各々約1~約3重量%、一実施形態では、各々約2%で存在する。当業者であれば、コラーゲンを有する組成物が、細孔から空気を除外し、加工および流通中にオイルを細孔内に保持し、長期安定性のために細孔を密閉し、親指/人差し指による容易な押出を可能にし、次いで、組成物を創傷床の凹凸の上に密着させて、創傷床の完全な被覆を確実にするように、慎重に均衡調整されることを認識するであろう。
【0171】
コラーゲンが存在する組成物とコラーゲンが存在しない組成物との両方において、ヘンプシードオイル、粗製ココナッツオイル、およびパーム油は、患者の皮膚に適用されたときに滑らかな質感を提供する。しかしながら、コラーゲンが組成物に存在する場合、追加の利点も存在する。本明細書に示される量で存在する場合、滲出も観察されない。束縛されることを意図するものではないが、これらのオイルのC8-C22トリグリセリドがコラーゲン細孔に進入し、そこに留まると考えられる(ポンプ剪断の非存在下)。長鎖トリグリセリド(C18-C22)は、コラーゲン細孔に貯蔵され、安定である(ポンプ剪断の非存在下)。室温の飽和液体(C6-C10)は、細孔内に留まらず、フィッシュコラーゲン塊自体に直接吸収される。一価不飽和トリグリセリド、例えば、オレイン酸トリグリセリド(C18:1)は、細孔内に留まる。フィッシュコラーゲン塊に吸収されたオイルは滲出しない(室温の不飽和液体は漏出する)ため、この特質は重要である。溶液は、パーム油(35~50%のC18:1)を粗製ココナッツオイル(6.5%のC18:1)で置き換えるためのものであった。これにより、MCTとC18:1との比が増加し、浸潤の約90%が排除された。パルミチン酸アスコルビルを加えると、残りの浸潤が排除された。総トリグリセリド(飽和および不飽和)とフィッシュコラーゲンとの重量比を、本明細書に記載の重量比、例えば約1:1の重量比に増加させること、および不活性ガスを泡立てることにより、生成物が創傷床内または皮膚状態上を流動できるようになった。
【0172】
フィッシュコラーゲンは有効成分であるため、配合目的は、フィッシュコラーゲンの重量%を最大化することである。オイルにより、フィッシュコラーゲンが流動する。浸潤を防止し、創傷床pHの制御を助け、病原体を阻害するために、ワックス、海塩、泡立て、および加工助剤が必要である。一実施形態では、トリグリセリドとフィッシュコラーゲンとの理想的な重量比は、約1:1である。様々なトリグリセリドを雑多に組み合わせることは、コラーゲン送達に大きく影響しない。一実施形態では、トリグリセリドとフィッシュコラーゲンとの比は、1.1~1.2の範囲であり、商業用実施形態では、その比は約1:1.01である。換言すると、総トリグリセリドとコラーゲンとの重量比を、本明細書に記述される範囲、例えば、約1:1のトリグリセリドとフィッシュコラーゲンとの重量比にすることは、有益ではあるが、生成物を製造可能にし、かつ使用者によって使いやすくするためには、複雑な一連の加工助剤が必要となる。
【0173】
加えて、コラーゲン含有組成物の粘度は、25℃で約60,000cP~約85,000cP、別の実施形態では、約65,000cP~約80,000cP、さらなる実施形態では、約70,000cP~約75,000cPの範囲である。
【0174】
フィッシュコラーゲンを含有する上記に記載の組成物のすべては、リノール酸などのオメガ6脂肪酸を含有する。コラーゲンで構成される上記に記載の組成物のすべてにおいて、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は、約1.0~約3.0、別の実施形態では、約1.2~約2.5、さらなる実施形態では、約1.4~約2.0、さらなる実施形態では、約1.5~約1.9の範囲である。
【0175】
フィッシュコラーゲンで構成される上記に記載の組成物のすべては、MCTと本開示の組成物に存在する総一価不飽和トリグリセリド(他の植物油およびタラ肝油由来)の重量の総和との重量比が、1.0未満、別の実施形態では、0.8未満である。
【0176】
一実施形態では、フィッシュコラーゲンを含有する本開示の組成物は、当該技術分野で認められている手順によって調製される。例えば、コラーゲンおよび海塩および任意の芳香剤を除くすべての成分は、成分を均一に溶解し、均一なペーストを形成するのに十分な温度で攪拌しながら、一緒に混合される。典型的には、組成物は、約130°F~約200°F、一実施形態では、約150°F~約170°Fの範囲、別の実施形態では、約140°Fの温度で加熱される。コラーゲンは、130°Fを超える温度、例えば、約150°F~約170°Fの温度で加えられ、コラーゲンは他の成分と混合される。実質的に均質な場合、コラーゲンの細孔がオイルで充填されるときに(これには、約10~約20分かかる)、組成物が室温に冷却される。組成物には、粉砕海塩が周囲温度で加えられる。一実施形態では、これは、不活性雰囲気中、例えば、窒素などの不活性ガスの存在下で添加され、組成物は、組成物が実質的に均質になるまで再び混合される。
【0177】
遊離脂肪酸が皮膚刺激物であることは周知である。従来技術の配合物は、遊離脂肪酸が中和され除去されたトリグリセリドを使用する。しかしながら、皮膚は、病原性感染に対する最初の防御として、遊離脂肪酸、およびワックスである皮脂を産生する。一実施形態では、コラーゲンが存在する場合、セチルエステルとC8/C10脂肪酸との重量比は約3:1である。この重量比では、C8/C10脂肪は刺激性ではない。より低い比率(例えば、1:1)では、組成物は、その後の刺激の指標であるチクチクする皮膚感覚を生む。より高い比率(例えば、4:1)では、抗菌的利益はなかった。約3:1の重量比により、臭気も皮膚刺激もない、絹のように滑らかな仕上がりが維持された。このため、遊離脂肪酸は、害を与えることなく皮膚の酸性被層を補強する。別の実施形態では、重量比は約2:1である。過剰なモノラウリンを加えて、相安定性のためのコラーゲン基質中のワックス濃度を増加させる。過剰なモノラウリンは周知であるが、論争の的になっている抗菌剤であるため、過剰なモノラウリンをコラーゲン基質(洗い流さない生成物)に加える。モノラウリンは、例えば、母乳中の抗菌剤である。論争というのは、モノラウリンは、活性が迅速ではなく、またすべてを殺滅すものではなく、したがって現在のFDAの抗菌活性の定義を満たさないことである。しかしながら、創傷ケア環境では、時間のかかる有効性は大きな利益である。モノラウリンは、病原体が阻害されると同時に共生細菌が繁栄するように、細菌の「遊び場」を「揺り動かす」。
【0178】
セチルエステルも加工助剤である。コラーゲン基質は、25℃で本質的に安定ではないという点で、準安定性混合物である。医師は、創傷中に押し出され、すべての間隔に流入することができるパテを望む。FDAが、完全に均質な生成物を審査するために用いられる。これらの競合する要求は、実際には実行が困難である。コラーゲン基質では、セチルエステルは、オイルが「滲出」しないように基質を濃厚にするために、3%まで及び得る。海塩は、パテの稠度を維持するために、本明細書に記載の濃度に調整することができる。一実施形態では、材料の増減率割は非常に小さく、相安定性/粘度変化は大きい。当業者であれば、収穫の季節によって自然の生成物が変化するときには、小さな変化が必要になり得ることを認識する。加工および包装中、生成物は、滲出を防いで絶対的な一貫性を維持するために、冷却された状態に保たれる。単位用量パックに充填されたら、医師は、可撓性パッケージを混錬して、一時的な均質性を達成し、パテ様の流動を持たせることができる。
【0179】
フィッシュコラーゲンが存在する本開示の一実施形態では、組成物は、MCTオイル、FFA、モノラウリン、セチルエステル、ミツロウなどの濃厚剤、粗製ココナッツオイル、パルミチン酸アスコルビル、レッドパーム濃縮物、ヘンプオイル、タラ肝油、フィッシュコラーゲン、および粉砕海塩を含む。一実施形態では、MCTは、約6重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、FFAは、約1.0重量%~約1.7重量%の量で存在し、セチルエステルは、約1.8重量%~約2.5重量%の量で存在し、モノラウリンは、約3重量%~約6重量%の範囲の量で存在し、ミツロウなどの増粘剤は、約2重量%~約8重量%の範囲の量で存在し、粗製ココナッツオイルは、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、レッドパーム濃縮物は、約0.1重量%~約0.3重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルは、約9重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、タラ肝油は、約9重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、パルチミン酸アスコルビルは、約0.2重量%~約1重量%の範囲の量で存在し、フィッシュコラーゲンは、約40重量%~約45重量%の範囲の量で存在し、粉砕海塩は、約0.7重量%~約1.2重量%の範囲であり、上で特定した原料の重量の総和は、該組成物の約90重量%~約100重量%の範囲である。下記に記載されるように、追加の原料が存在してもよい。例えば、一実施形態では、クエン酸トリエチルおよび/またはリノール酸エチルなどの加工助剤は、合計で約3重量%~約5重量%の範囲の量で存在する。しかしながら、成分の重量の合計は、組成物の100重量%に等しい。一実施形態では、ヘンプオイルとタラ肝油との重量比は、約1:1~約1.5:1の範囲であり、別の実施形態では、約1:1である。一実施形態では、MCTとFFAとの重量比は、約4:1~約10:1の範囲である。さらに、別の実施形態では、モノラウリンとセチルエステルとの重量比は、約1.5:1~約2.5:1の範囲であり、別の実施形態では、約2:1である。一実施形態では、トリグリセリドのすべての重量の総和とフィッシュコラーゲンとの重量比は、約0.9~約1.1:1の範囲であり、別の実施形態では、約1:1である。別の実施形態では、組成物は、約10重量%~約12重量%の範囲の量の粗製ココナッツオイル、約7重量%~約9重量%の範囲の量のMCT、約10重量%~約14重量%の範囲の量のヘンプオイル、約10重量%~約14重量%の範囲の量のタラ肝油、約4重量%~約5重量%の範囲の量のモノラウリン、約2重量%~約3重量%の範囲の量のセチルエステル、約1.1重量%~約1.5重量%の範囲のFFA、約3重量%~約5重量%の範囲のミツロウなどの増粘剤、約40重量%~約42重量%の範囲のフィッシュコラーゲン、約0.8重量%~約1.0重量%の範囲の海塩、約0.2重量%のレッドパーム濃縮物を含み、上で特定した原料の総計は、組成物の約90~約100%の範囲である。一実施形態では、この組成物の粘度は、25℃で約60,000cP~約90,000cP、別の実施形態では約65,000cP~約80,000cPの範囲であり、さらなる実施形態では約70,000cPである。本明細書で使用されるとき、本実施形態の範囲内に含まれる本開示のいずれの組成物も、組成物Dとして識別される。
【0180】
コラーゲンを含む組成物およびコラーゲンを含まない組成物の両方とも、無水である。
【0181】
コラーゲンを含む組成物およびコラーゲンを含まない組成物の両方において、ワックス化合物であるセチルエステルは、皮膚上に臭気密封性フィルムを形成する。これとMCTとが、魚臭を低減するのを助ける。束縛されることを意図するものではないが、MCTは、多価不飽和トリグリセリドの大部分を皮膚内に引き込むが、すべてではないと考えられる。さらに、セチルエステルは、残留する多価不飽和脂肪酸トリグリセリド上に絹のように滑らかなフィルムを形成し、それらを酸化から保護すると考えられる。なおさらに、酸化異臭は、セチルエステルフィルムを通過して鼻に達することができないと考えられる。一実施形態では、フィッシュコラーゲンを含有する組成物と、フィッシュコラーゲンが存在しない組成物との両種類において、組成物は、酸敗魚臭をさらに隠すために芳香剤または香料を含有してもよいが、存在する場合、香料または芳香剤は、約2重量%未満、例えば、約0.5重量%~約1.5重量%などで存在する。
【0182】
上記で示されるように、本開示の局所用組成物は、タラ肝油の魚の酸敗魚臭を実質的に除去する。束縛されることを意図するものではないが、酸敗臭ではなく魚臭は、トリメチルアミンの存在によって引き起こされると考えられる。本明細書に記載の本組成物中のトリメチルアミンの濃度は、タラ肝油に存在するものと比べて大幅に低下すると考えられる。一実施形態では、コラーゲンが存在するか否かにかかわらず、本組成物中のトリメチルアミンの濃度は10ppm未満である。
【0183】
コラーゲンが存在するまたは存在しない上記に記載の本開示の組成物において、一実施形態では、混合物には、MCT+ココナッツオイルなどの植物油と組み合わせたオメガ脂肪酸が提供され、ここでは、MCTおよびココナッツオイルなどの植物油の重量の総和は、存在する場合、総トリグリセリドの重量の25%超である。上記に記載されるように、MCTは、長鎖脂肪を、角質層をとおして引き込むと考えられる。本開示の組成物は、フィッシュコラーゲンが存在するか否かにかかわらず、酸化可能な脂肪を表面に放置して酸敗皮膚臭を創出することなく、より長い脂肪(定義:C>C14)を角質層をとおして運ぶことができる。これは、MCT+ココナッツオイルなどの植物油(C<C14)の総和を総トリグリセリド(すべてのトリグリセリド鎖長の総和)の25%より多くすることで、C<C14の溶解作用により、C>C14が角質層をとおして真皮内に引き込まれることにより生じる。
【0184】
これは、本開示における4つの例示的な生成物の例示的な比の表である。
【表1】
【0185】
加えて、セチルエステルを加えると、半密閉性ワックスコーティングがもたらされ、これが、あらゆる残留表面不飽和トリグリセリドが吸収前に酸化をするのを防ぐ。この特質は、オメガ3トリグリセリドが酸化すると(酸敗臭)必須脂肪酸ではなくなるため、重量である。これは、何らかの他の酸化長鎖化合物となる。
【0186】
フィッシュコラーゲンを含有するか否かにかかわらず、本開示の組成物は、皮膚の状態または創傷の治療に有用な薬物、特に、痛み止め有効量の鎮痛剤の担体として使用することができる。例えば、本開示の組成物は、組織を麻痺させ、皮膚の状態または創傷に関連する疼痛を減少させる薬を含有してもよい。存在する場合、薬物は、その望ましい効能に有効な量で存在する。このため、例えば、リドカインが薬物である場合、これは、皮膚の状態または創傷の疼痛を減少させるための量で存在する。例えば、一実施形態では、これは、組成物の約0.5重量%~約1.5重量%の範囲の量で存在する。
【0187】
本明細書に記載の組成物は、皮膚に局所的に適用される。「局所」投与は、局所的な、皮膚および/または創傷への局所的な外部投与を意味する。組成物は、治療を必要とする皮膚の領域もしくは創傷のすべてもしくは一部に、または皮膚領域もしくは創傷の周辺に、直接局所的投与されてもよい。
【0188】
フィッシュコラーゲンが存在するか否かにかかわらず、本発明の組成物には、幅広い任意選択の成分/原料が含まれ得る。例えば、組成物は、吸収剤、研磨剤、凝固防止剤、消泡剤、抗菌剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、化学添加剤、殺生物剤、変性剤、美容収斂剤、薬物収斂剤、外用鎮痛剤、膜形成剤、湿潤剤、乳白剤、芳香剤、顔料、着色剤、エッセンシャルオイル、不透明化剤、フレグランス、顔料、着色料、エッセンシャルオイル、皮膚感覚惹起剤、皮膚軟化剤、皮膚鎮静剤、pH調整剤、可塑剤、防腐剤、防腐剤エンハンサー、推進剤、還元剤、追加の皮膚調整剤、皮膚浸透促進剤、皮膚保護剤、溶媒、懸濁剤、乳化剤、増粘剤、可溶化剤、日焼け止め剤(sunscreen)、日焼け防止剤(sunblock)、紫外線吸収剤または散乱剤、サンレスタンニング剤、抗酸化物質および/またはラジカルスカベンジャー、キレート剤、隔離剤、抗ニキビ剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン、脱毛剤、落屑剤/角質除去剤、有機ヒドロキシ酸、ビタミンおよびその誘導体、ならびに天然エキスを含んでもよい。かかる他の物質は、当該技術分野で既知である。かかる物質の非排他的な例は、Harry’s Cosmedcology,7th Ed.,Harry&Wilkinson(Hill Publishers,London 1982)において、Pharmaceutical Dosage Forms-Disperse Systems;Lieberman,Rieger&Banker,Vols.1(1988)&2(1989);Marcel Decker,Inc.において、The Chemistry and Manufacture of Cosmetics,2nd.ed.,deNavarre(Van Nostrand 1962-1965)、およびThe Handbook of Cosmetic Science and Technology,1st Ed.Knowlton&Pearce(Elsevier 1993)において説明されている。
【0189】
組成物は、ゲル、軟膏、クリーム、バーム、またはローションとして配合され得る。組成物は、これらの形態のうちのいずれか1つで投与されてもよく、オイル含浸ワイプまたはスプレー、例えば、バッグオンバルブ型エアロゾルスプレーを含むエアロゾルスプレーとして投与されてもよい。局所投与も、液体スプレー、エアロゾル、もしくはイオン導入を介して、またはリポソーム、マイクロバブル、および/もしくはマイクロカプセルの使用によって達成され得る。ゲル、軟膏、およびクリームは、添加剤とともに、例えば、好適な増粘剤(例えば、ワックス、ミツロウ、PEG4000、PEG600、固形パラフィン)および/またはゲル化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC))を加えた水性または油性基材とともに配合されてもよい。ローションは、水性または油性基材などの添加剤とともに配合することができ、また一般的に、1つ以上の安定化剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、カルボキシメチルセルロース)、油溶性分散剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、プロピレングリコール)、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、キトサン、アッカシア、カルボキシメチルセルロース、トラガカント、ペクチン)、増粘剤、および/または着色剤を含有する。いくつかの実施形態では、例えば、局所用組成物は、プルロニックゲル、ポラキサマーゲル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびそれらの混合物を含むセルロース誘導体を含有するヒドロゲル、ならびにポリアクリル酸(カルボポール)を含有するヒドロゲルを含み得る。実施形態はまた、局所用化粧品または医薬調製物に従来使用されているクリーム/軟膏、例えば、セトマクロゴール乳化軟膏に基づくクリームを含んでもよい。上記の担体には、アルギン酸塩(濃厚剤または刺激剤として)、ベンジルアルコールなどの防腐剤、リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウムなどのpHを制御するための緩衝液、塩化ナトリウムなどの浸透圧を調整するための薬剤、およびEDTAなどの安定剤が含まれてもよい。また、ビタミンEなどの油溶性抗酸化物質、およびアスタキサンチンが存在してもよい。ビタミンDなどの油溶性ビタミンを加えることができる。バニラ、レモンオイル、およびラベンダーなどの油溶性芳香剤、ならびに油溶性着色剤などの油溶性香料を加えてもよい。加えて、皮脂も加えることができる。さらに、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、および塩化ベンザルコニウムが存在してもよい。
【0190】
安定した配合物は、上述のように、ゲル、軟膏、液体、クリーム、または同様のものとして、皮膚または創傷に直接適用することができる。あるいは、安定した配合物は、創傷包帯剤の形態で投与され、本開示の組成物は、創傷包帯剤上に適用され、その後、本開示の組成物を伴う創傷包帯剤は、皮膚状態または創傷の部位で皮膚の領域を被覆するように適用される。本明細書で使用される場合、「創傷包帯剤」および「包帯剤」という用語は、保護、吸収、排膿、細胞環境の改善などのために創傷に対して調製され、適用される場合の任意の基材を広義に指し、フィルム(例えば、ポリウレタンフィルム)、親水コロイド(例えば、ポリウレタンフォームに結合させた親水性コロイド粒子)、ヒドロゲル(例えば、少なくとも約60%の水を含有する架橋ポリマー)、フォーム(親水性または疎水性)、アルギン酸カルシウム(例えば、アルギン酸カルシウム由来の繊維の不織布複合材)、シリコーン、コラーゲン、ケラチン、およびセロファン(例えば、可塑剤を有するセルロース)を含む、市販されている多種類の基材および/または裏打ちのうちのいずれか1つを含んでもよい。例えば、安定した配合物は、包帯剤ガーゼまたは基質などの固体接触層の表面に適用され得るか、または固体接触層に組み込まれ得る。好適なガーゼ包帯剤には、例えば、様々な吸収度を有する乾燥した織布または不織布スポンジ、スワブ、絆創膏、および覆いが含まれてもよい。例示的な布地組成物には、例えば、綿、ポリエステル、またはレーヨンが含まれてもよい。ある特定の実施形態では、ガーゼおよび不織布包帯剤は、バルクの滅菌または非滅菌状態で、接着性境界を伴ってまたは伴わずに、利用可能であってもよい。ある特定の実施形態では、包帯剤はまた、例えば、生理食塩水、油、亜鉛塩、ワセリン、ゼロフォーム、およびスカーレットレッドを含む、1つ以上の追加の医薬活性化合物および/または担体剤を含む。
【0191】
コラーゲンを含有するかコラーゲンを含有しないかにかかわらず、本明細書に記載の配合物に存在し得る他の添加剤には、例えば、抗酸化物質および防腐剤が含まれる。抗酸化物質の例には、トコフェロール、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸、およびエデト酸塩、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤の例には、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、安息香酸、およびソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
本発明の実施形態において、組成物は、治療活性化合物、ならびに薬学的および/または美容的に許容される希釈剤、賦形剤、または担体のうちのいずれか1つ以上を含み得る。安定した配合物を含む組成物は、本明細書に記載される局所適用のために配合され、単回使用に好適な気密容器内に密封され得る。かかる組成物は、例えば、本明細書に記載の皮膚状態および/または創傷および/または熱傷のうちのいずれか、例えば、皮膚状態および/または創傷を治療するために使用され得る。
【0193】
本発明の組成物は、創傷および皮膚状態および熱傷の治療に有用である。本明細書で使用されるとき、創傷は、皮膚が切れるまたは破れる哺乳動物の生体組織への損傷として定義される。これには、切開、切り傷、紙による切り傷、剃り傷などが含まれる。しかしながら、本明細書で定義される場合、創傷は、出血を伴っても伴わなくてもよい。本明細書に記載の組成物によって治療可能な創傷の例には、切開(切開痕を含む)、裂傷、擦過傷(皮膚擦傷、微小皮膚擦傷など)、潰瘍、および同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、創傷は糖尿病性創傷潰瘍である。
【0194】
一実施形態では、フィッシュコラーゲンを有する組成物は、軽度創傷の止血剤として使用される。例えば、大腿動脈アクセス処置の後、内容が参照により組み込まれる米国特許第8,353,929号に記載されているように、
図22で該特許に記載されている装置を創傷の閉鎖に使用することができ、本明細書に記載のフィッシュコラーゲンペーストで粉末止血剤を置き換える。この実施形態では、ペーストは、閉鎖装置による機械的な皮膚の圧迫によって引き起こされる凹凸のために形作られる。フィッシュコラーゲンは、血液および滲出液を吸収し、該特許に記載の創傷の即時の止血を生じさせる。
【0195】
創傷は、偶発的な損傷の結果であっても、医療処置の帰結であってもよい。創傷は切開痕であってもよい。創傷は、美容整形手術の過程におけるものなど、虚血性組織弁であってもよい。創傷は、他の美容整形手術、例えば、皮膚擦傷、微小皮膚擦傷、化学的剥離、レーザーリサーフェシングなどの過程で生じるものであってもよい。創傷は慢性損傷であってもよい。
【0196】
本発明の組成物は、ひび割れた皮膚および他の皮膚疾患の治療に有用である。皮膚疾患の例には、座瘡、乾癬、湿疹、皮膚炎、脱毛症、酒さ、熱傷、ひび割れた皮膚、ツタウルシ、帯状疱疹、および同様のものが挙げられる。
【0197】
「座瘡」という用語は、皮膚の毛穴が塞がれる、および/またはそれによって炎症を起こす任意の皮膚状態を含むことを意味する。座瘡という用語には、面皰、炎症を起こした丘疹、表在性嚢胞、および膿疱を含む表在性座瘡、ならびに深層化し炎症を起こしたモジュールおよび膿嚢胞を含む深層化座瘡が含まれるが、これらに限定されない。具体的な座瘡状態には、尋常性座瘡、面皰座瘡(acne comedo)、丘疹状座瘡、月経前座瘡、思春期前座瘡、毒物性座瘡、化粧品性座瘡、整髪料性座瘡、洗剤性座瘡、表皮剥離性座瘡、グラム陰性座瘡、酒さ性座瘡、須毛部仮性毛包炎、毛包炎、口囲皮膚炎、口周囲皮膚炎、および化膿性汗腺炎などが挙げられるが、これらに限定されない。座瘡は、面皰、丘疹、膿疱、炎症性結節、表在性膿嚢胞、および(極端な場合には)管状化し深層化し炎症を起こし、ときに化膿した嚢を特徴とする、一般的な炎症性毛嚢脂腺疾患である。座瘡には、座瘡の経過および重症度を何らかの形で決定する、ホルモン、角質化、皮脂、および細菌間の相互作用が関与する。多くの場合、座創は、アンドロゲンの増加により毛嚢脂腺のサイズおよび活性が増加する思春期に始まる。最も初期の顕微鏡的変化は、毛嚢内角質増殖であり、これにより、毛嚢脂腺胞の閉塞が生じ、その結果、皮脂、ケラチン、および微生物、特にPropionibacterium acnesで構成される面皰が形成される。P.acnes由来のリパーゼは、皮脂中のトリグリセリドを分解して、小胞壁を刺激する遊離脂肪酸(FFA)を形成する。皮脂分泌物の貯留および小胞の拡張が嚢胞形成をもたらし得る。
【0198】
皮膚疾患には、分化および増殖を伴う角質化障害に関連する皮膚状態、特に、尋常性座瘡、面皰性または多型性座瘡、結節嚢胞性座瘡、集簇性座瘡、老人性座瘡、および日光、薬物、または職業性座瘡などの二次性座瘡;他の種類の角質化障害、特に、魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエー病、掌蹠角皮症、白板症および白板症様状態、または苔癬および扁平苔癬;炎症性または免疫アレルギー性成分を有する皮膚障害、具体的には、皮膚か、粘膜か、爪か、すべての形態の乾癬、および乾癬性リウマチ、および湿疹または呼吸器アトピーなどの皮膚アトピー、乾皮症、皮膚の炎症、日光紅斑、または表皮および真皮の他の皮膚障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
乾癬は、角化細胞の過形成を特徴とする皮膚状態であり、表皮の肥厚および赤い鱗状の斑の存在を生じさせる。この慢性疾患の病変は、典型的には、寛解および増悪に供される。いくつかのパターンがあり、そのうち尋常性乾癬が最も一般的である。滴状乾癬は、雨滴状の病変が体幹および四肢に散在し、小児に最も頻度の高い形態であり、膿疱性乾癬は、通常、手掌および足裏に限局する。古典的な炎症性病変は、銀色の鱗屑で覆われた個々の紅色丘疹および紅斑から、鱗屑が除去されたときに出血する鱗状の掻痒性斑まで様々である。乾癬は、細胞増殖が個体の通常の10倍まで増加する状態である。皮膚は、3つの皮膚層内の細胞で構成される人体の最も大きい部分である。皮膚層の各々は、外層が主に死んだ組織で形成され、それが自然に正常な速度で廃棄される、絶え間なく成長している状態にある。下層からの細胞の置換えは、細胞分裂および成熟によって達成され、ここで、細胞は、個体の年齢、性別、および/または健康に応じて変化する速度で上方および外側に移動する。乾癬は、細胞の代謝回転を増加させ、その結果、細胞成長および細胞死の速度を増加させる。この細胞成長および細胞死の速度の増加により、すべての組織成分の合成の増加を伴う損傷および/または障害が生じ、皮膚または他の組織および罹患領域内の細胞の生合成能にかけられる負担をさらに増大させ得る。
【0200】
湿疹および皮膚炎という用語は、通常は痒みのある病変の発赤、腫脹、漏出、錆化、または鱗化を通常伴う、皮膚の重度の炎症に一般的に使用される名称である。湿疹は、接触性皮膚炎(皮膚と原因との接触に起因する)、または「アトピー」もしくはアレルギーである個体におけるアトピー性皮膚炎の形態をとってもよい。頭皮が侵されている場合、本障害は、脂漏性皮膚炎として知られる。皮膚炎は、化学物質、植物、靴、衣服、金属化合物、さらには皮膚炎の治療に使用される薬によって引き起こされ得る。アトピー性皮膚炎環境温度では、湿度の変化、細菌性皮膚感染、空気中のアレルゲン、および衣類、例えば羊毛すべてが、皮膚炎を引き起こし得る。一実施形態では、本明細書に記載のコラーゲンペーストは、皮膚用スクラブとして使用される。粉砕海塩およびフィッシュコラーゲンにより、損傷した細胞および死滅した細胞が皮膚表面から優しく削り落とされる。同時に、オイルが吸収される。損傷した細胞の機械的除去と並行する生存細胞の給餌との組み合わせにより、使用者にすぐに明らかとなる、生き生きとした柔らかい絹のような感触が、皮膚にもたらされる。
【0201】
脱毛症は、頭皮および他箇所の毛髪の喪失が生じる皮膚疾患である。通常は、1つ以上の小さく丸い滑らかな一区画から始まり、あらゆる年齢の男女に生じる。1つまたはいくつかのスポットにおける毛髪の喪失は一般的であるが、すべての頭髪の喪失(全頭性脱毛症)またはあらゆる体毛の喪失(全身性脱毛症)もあり得、これはまれである。
【0202】
皮膚疾患である酒さは原因不明である。これは、顔面の中央部3分の1に生じるのが通常で、皮膚の発赤、目立つ脈管化、丘疹、膿疱、および腫脹、ならびに紅潮(flushing)および赤面(blushing)の傾向を引き起こす。しかしながら、酒さは、胸部、頸部、背部、または頭皮を含む身体の他の部位にも生じ得る。皮膚付近の血管が拡張し、それをとおしてより目に見えるようになり、毛細血管拡張症をきたす。結果として生じる丘疹および膿疱は、十代の座瘡に類似しており、頻繁にそれと誤診される。座瘡とは異なり、酒さにはブラックヘッドまたはホワイトヘッドがない。しかしながら、酒さは、すべての年齢層および男女に発症し得、女性に頻度が高いが、男性ではより重症となる傾向にある。顔面の紅潮および赤面の領域は、酒さに影響される。不安、恥ずかしさ、またはストレスなどの情緒的要因が、酒さを誘発または悪化させ得る。加えて、環境または気候の変動によりフレアアップが生じることがあり、紫外線曝露は酒さを悪化させることが知られている。さらに、食事も酒さを悪化させることが知られている。辛い食べ物、アルコール飲料、熱い飲み物、および喫煙は、フレアアップを引き起こすことが知られている。酒さは、審美的合併症であるだけではない。酒さは慢性疾患であり、その進行の逆転はまれにしか確認されていない。治療しないと、病状がひどくなり、広がる。治療していない酒さは、球形の赤みのある鼻および炎症を起こした頬を特徴とする、鼻瘤腫と呼ばれる外観を損なう鼻疾患を引き起こし得る。重症の鼻瘤腫には、適時の治療により回避され得る侵襲的な処置である外科手術が必要となり得る。進行した酒さの別の問題は眼である。酒さに罹患している人は、結膜炎、目の焼けるような痛みおよびざらつきである結膜炎を経験し得る。治療をしないと、角膜を損傷し、視力を損ない得る酒さ性角膜炎などの深刻な合併症を引き起こし得る。
【0203】
熱傷は、皮膚の完全性が破断する種類のものである。熱傷は、この組織で確立され得る疼痛が最も強い過程のうちの1つであり、その回復および疼痛治療を助けるために協調した療法の確立が必要とされる。熱傷は、いくつかの要因によって引き起こされ得、そのなかには、高温または低温への曝露、化学物質への曝露、電気、放射線への曝露、および機械的摩擦がある。熱傷の重症度およびそのリスクは、罹患組織の量および到達深度に応じて評価される。罹患組織の量は、熱傷体表面(BCS)の割合で表される。この種類の評価では、熱傷は、小、中、大、または特大の熱傷に分けることができ、熱傷は、それぞれ、15%より少ないBCS、15%~最大49%のBCS、50%~最大69%のBCS、70%以上のBCSの領域である。罹患領域の伸長は、熱傷患者の年齢に従って熱傷の割合を考慮に入れるLund-Browderスキームによって決定される。罹患領域の伸長を決定するために最も使用される別の規則は、前述のものよりも効率は悪いが、記憶しやすく、緊急事態に非常に多く採用されている、Wallace RuleまたはRule of Ninesとして知られるものである。この規則は、患部に対して9または9の倍数に相当する値を適用し、各上肢について9%、頭部について9%、各下肢下について18%、各胴体面について18%、生殖器について1%とする。
【0204】
第1度、第2度、および第3度としての分類は、熱傷深度に対応する。第1度傷害は、血行動態の変化は生じないが、水疱またはフリクテンを伴わずに患部の充血が見られる、皮膚最外層(表皮)を侵す熱傷に相当する。この種類の傷害は、日光または熱水から生じる紅斑において認められ得る。第2度傷害は、熱湯処理から生じるものまたは過熱された液体から生じる熱傷害など、真皮の一部の表皮のいずれかを侵し、水疱またはフリクテンの形成を主に特徴するものである。第3度傷害は、皮膚層(表皮および真皮)の全体性を脅かし、多くの場合、皮下細胞組織、筋肉組織、および骨組織などの他の組織に影響を与え得る。第3度熱傷は、すべての熱傷害の中で最も重度とされ、変形性傷害を生じさせる。深度が深いため、疼痛を伴うメッセージを発する働きをする神経終末が排除される。自然な回復プロセスに必要な構造およびオルガネラが排除されるため、これらの種類の熱傷には、破壊された組織を再構築するために移植が必要とされる。熱傷は皮膚を侵す創傷であるため、傷害を受けた組織の再生および再構築という前述の複雑な過程が発生する。罹患領域の再上皮化の速度またはグレードは、侵された領域が大きいほど小さく、傷害が体表面を10%または15%以上覆う場合、回復時間が大幅に延長する。
【0205】
熱傷外傷の直後に、炎症過程が発生し、この過程において、様々な薬剤が送達されて、創傷表面上で活性化されたフィブリンおよび血小板の堆積を生じさせる。有機物質が豊富な基質がもたらされ、これは、外傷後に起こり得る敗血症に起因して症例を悪化させることが多い細菌および他の外からの物質を囲い込むことができる。この炎症過程の間、大量の滲出液が熱傷領域から露出するため、患者が激しい水分喪失をきたし、熱傷の伸長および深度によっては、重度の脱水症例が生じ得る。炎症過程は隣接する組織にまで及び、これは、元は無傷であったこれらの組織の機能を脅かす因子である。
【0206】
広範かつ深部の熱傷は、患部からはるかに離れて伸長する変化、例えば、解剖学的、代謝的、生理的、内分泌的、および免疫変化などを引き起こし、これには特別なケアが必要となる。著しい体液喪失、炎症性マルチメディエーターの送達、および細菌による汚染が発生する。細菌および炎症性メディエーターは、循環を介して中心臓器に広まると、心臓の危機、消化管粘膜の完全性の喪失、および極端な場合では多臓器不全を引き起こし得る。
【0207】
重度の熱傷害後に発生する血行動態の変化には、心拍出量の減少および循環血漿量の減少があり、すべて循環血液量減少性ショックに寄与する。炎症性メディエーター(サイトカイン、プロスタグランジン、一酸化窒素、スーパーオキシドイオンを含む)は、組織へのさらなる損傷を引き起こすことに関与している。局所的な利益にもかかわらず、かかるメディエーターは、著しく高いレベルに達すると望ましくない効果を誘導すると考えられる。例として、組織へのより大きな損傷が、マクロファージおよび活性化白血球のタンパク質分解酵素およびスーパーオキシドイオンの送達によって引き起こされ得る。
【0208】
このため、熱傷は、一連の自然な有機的機序に不均衡が生じ、脅かされている組織のみに限らず、影響を受け得る多数の臓器に関与する皮膚状態である。加えて、大規模な熱傷害は、基礎代謝率の急激な上昇を引き起こす。熱傷患者に見られる大規模な身体の窒素喪失は、主に熱傷した皮膚からタンパク質が滲出することにより、また、かかる異化ストレス状況の下で、身体タンパク質が、生命体が必要とする総エネルギーの15~20%の産生に使用される代謝基質となり得ることにより、生じる。これらの異常に加えて、ホルモン値が、正常またはわずかに増加したレベルのインスリンの存在下で、カテコラミン(cathecolamine)、コルチゾール、およびグルカゴンの増加に伴って変化する。これらのホルモン変化は、タンパク分解および脂肪分解の増加を促進する。このため、複雑なプロセス全体が、不均衡を特徴とする。熱傷を受けた哺乳動物の皮膚を素早く回復させることは、その正常な有機機能を回復させるために最も重要なことである。一実施形態では、リドカインをオイル混合物に加えて、単相流体ができるまで加工中に加熱する。熱傷の被害者は、さらなる損傷を止めるために、即時の炎症応答を有する。抗炎症性オイルを適用すると、血流が増加し、血管の血圧により損傷した小嚢が拡張するため、鋭い疼痛が生じ得る。疼痛を軽減し、損傷した領域への血流を再開させるために、コラーゲンを含有するまたはコラーゲンを含有しない本開示の組成物に、低レベルのリドカイン(例えば、約0.8重量%)を加える。
【0209】
他の皮膚状態には、乾燥した/ひび割れた皮膚が含まれ得る。加えて、膣の乾燥および勃起不全も本組成物によって治療可能である。束縛されることを意図するものではないが、これらは部分的に循環機能障害である。組成物がこれらの部位感受性領域で吸収されると、リンパ系および静脈系の炎症が減少することで循環が増加する。血流が増加する。
【0210】
別の実施形態では、組成物は、脚、腹、腕、および頭への末梢動脈の狭窄である末梢動脈疾患(PAD)の治療を対象とする。末梢動脈疾患(PAD)を有する対象の血管外科手術の後、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかの局所用組成物を、手術が行われた領域に適用することができる。例えば、PADが脚にある場合、脚の血管外科手術後、本明細書に記載の組成物を、皮膚表面での血液循環を増加させるために、脚の下腿皮膚に局所的に適用する。例えば、組成物をスプレーとして適用してもよい。
【0211】
このため、本明細書に開示の方法は、環境状態の影響に対して皮膚を治療または改善するのに有用である。本発明の態様によれば、一方または両方の種類の組成物、すなわち、コラーゲンを有するまたは有しない本明細書に記載の化合物は、ひび割れた皮膚または他の皮膚状態または創傷を含む患者の身体の少なくとも一部に局所的に適用される。
【0212】
様々な治療が用いられ得る。最も懸念される皮膚表面は、顔の皮膚表面、手および腕の皮膚表面、足および下肢の皮膚表面、ならびに頸部および胸部の皮膚表面など、典型的には衣服で被覆されていない皮膚表面である傾向にある。特に、額、口周囲、顎、眼窩周囲、鼻、および/または頬の皮膚表面を含む顔の皮膚表面が、本明細書に記載の組成物で治療されてもよい。
【0213】
治療方法は、組成物(複数可)を、以前に特定された治療を必要とする皮膚の領域、またはひび割れた皮膚もしくは他の皮膚障害の出現の予防、治療、もしくは減少が求められている領域に適用することを含んでもよい。組成物(複数可)の適用のレジメンは多数存在する。組成物(複数可)は、医師によって処方されるように、治療期間中、少なくとも1日1回、1日2回、または1日のうちでより頻繁に適用されてもよい。1日2回適用する場合、1回目の適用と2回目の適用とは、少なくとも1時間~12時間あける。
【0214】
典型的には、組成物(複数可)は、朝におよび/または就寝前の夜に適用され得る。
【0215】
治療期間は、皮膚の外観の改善をもたらすのに十分な時間であることが理想である。治療期間は、少なくとも1週間であってもよく、一部の実施形態では、治療期間は、約4週間、8週間、または12週間、またはそれ以上継続してもよい。ある特定の実施形態では、治療期間は、複数月(すなわち、3~12か月)または複数年にわたることになる。一実施形態では、組成物は、少なくとも4週間、8週間、または12週間の治療期間中、少なくとも1日1回適用される。一実施形態では、組成物は、少なくとも4週間、8週間、または12週間の治療期間中、少なくとも1日2回適用される。
【0216】
組成物の各々の有効量は、治療される領域に局所的に適用される。用量は、個体および皮膚の状態によって異なる。理想的な用量は、皮膚が吸収できる限り多くの組成物を提供する量である。皮膚の表面にある組成物の過剰量は、酸敗し得る。絹のように滑らかで無臭の仕上がりが、皮膚上で24時間持続する。皮膚状態および/または創傷を治療するための投薬レジメンは、患者の年齢、体重、性別、および医学的状態、状態の重症度、薬理学的考慮事項、例えば、使用される特定の組成物の活性、効能、薬物動態、および毒性プロファイルを含む、様々な因子に従って選択される。
【0217】
用量は、単回適用で投与されても、分割適用で投与されてもよい。用量は、1回投与されてもよく、または適用が反復されてもよい。適用は、皮膚および/または創傷の治癒が促進されるまで、毎週反復されてもよく、あるいは治癒が遅延または停滞する場合に、反復適用が行われてもよい。用量は、1~7日間隔またはそれ以上で適用されてもよい。慢性皮膚状態または創傷の場合、反復適用は、例えば、1日1回以上、毎週、または2週間に1回、または毎月、または任意の他の頻度で、例えば、治癒が遅延または停滞する場合にはそのときに、行われてもよい。一部の兆候には、毎時間の適用など、より頻繁な投薬が用いられてもよい。
【0218】
一実施形態では、フィッシュコラーゲンを含まない組成物のみのいずれかが、創傷または皮膚状態に適用されてもよく、別の実施形態では、本明細書に記載のようにフィッシュコラーゲンを含む組成物が、皮膚状態または創傷に適用されてもよく、あるいは本明細書に記載のようにコラーゲンを含有しない1つ以上の異なる組成物の組み合わせ、または本明細書に記載のフィッシュコラーゲンで構成される1つ以上の組成物の組み合わせが、創傷または皮膚状態に適用されてもよく、あるいは本明細書に記載のようにコラーゲンで構成される組成物の組み合わせと本明細書に記載のようにコラーゲンを含有しない組成物とが、創傷または皮膚状態に適用されてもよい。
【0219】
一実施形態では、両方の種類の組成物が治療レジメンにおいて創傷または皮膚状態に適用される。一実施形態では、最初に、鎮痛剤組成物が、有効量で、治療される皮膚の領域に局所的に適用されて、創傷、熱傷、または皮膚状態の部位から発せられる疼痛を麻痺させる。より具体的には、鎮痛剤組成物は、それに局所的に適用される。過剰な吸収されないオイルおよび腐肉は拭き取られる。鎮痛剤組成物は、破れた表面を麻痺させるまで、創傷または熱傷または皮膚状態の上に留まらせる。これには、通常、約15~30分かかる。加えて、鎮痛剤組成物は、皮膚状態または創傷または熱傷に関連する壊死組織の除去にも役立つ。束縛されることを意図するものではないが、MCTの溶解作用により、壊死組織の弛緩が支援されると考えられる。この成分はオイルであるため、噴出させることができる容器に貯蔵される。また、組成物を創傷に吹き付けることで、壊死組織が機械的に除去される。弛緩した壊死組織およびあらゆる吸収されていない組成物は、創傷床位置または皮膚状態もしくは熱傷部位から、滅菌ガーゼまたはワイプで拭き取られる。任意選択で、外科用メスを用いて、さらなる壊死組織を、創傷もしくは皮膚状態の床または熱傷の部位から鋭利に創面切除されてもよい。創傷が閉鎖し始め、かつ/または皮膚状態が消失し始め、熱傷の部位が治癒し始めると、新たな生存組織で既存の壊死組織が置き換えられるため、鋭利な創面切除の必要性は減少する。
【0220】
次に、本明細書に記載されるコラーゲン組成物は、有効量で、創傷、皮膚状態、または熱傷の部位に適用されて、創傷、熱傷、または皮膚状態を治療し、肉芽形成を生じさせる。コラーゲン組成物により、肉芽形成が促進される。この組成物は非常に粘性であるため、その適用は、ストライプ、すなわち、創傷または皮膚状態上の個々のスポットとして堆積されることになる。しかしながら、コラーゲン含有組成物は、創傷床または皮膚状態の表面または熱傷の部位の凹凸の中に流入するまで、体温により軟化し、隣接するストライプと結合して、創傷床表面または皮膚状態もしくは熱傷がある位置の表面全体の切れ目ないコーティングを形成する。コラーゲン組成物は、ガーゼまたは非粘着性包帯剤またはバンドエイドなどで被覆される。定期的に、例えば、週1回またはそれより頻繁に、創傷を検査して、創傷に完全な肉芽形成が起きているかどうかを確認する。創傷に完全な肉芽形成が起きていない場合、古いコラーゲン組成物を新しいコラーゲン組成物で置き換え、再び被覆する。治療開始時は、創傷または皮膚状態をより頻繁に検査し、創傷または皮膚状態の治癒および肉芽形成が始まったら、検査および新たなコラーゲン組成物によるコラーゲン組成物の交換の頻度を下げる。医師などの当業者であれば、創傷、熱傷、または皮膚状態の重症度、患者の年齢、患者の健康、および創傷、熱傷、または皮膚状態のその深度を含む大きさ、ならびに同様のものなどの様々な因子に基づいて、その決定を行うことができる。古いコラーゲン組成物を新たなコラーゲン組成物で置き換えるプロセスは、創傷または皮膚状態または熱傷の部位の完全な肉芽形成が生じるまで、反復される。創傷または皮膚状態または熱傷の完全な肉芽形成が生じたら、本明細書に記載される皮膚保護剤組成物を、創傷床表面または皮膚状態もしくは熱傷の表面の部位に適用する。皮膚保護剤組成物は、それらの部位に局所的に適用される。これは、創傷、熱傷、または皮膚状態の部位、および創傷周囲などのその領域に隣接する無傷の皮膚を、これらの部位を感染および/もしくはROS種から保護するために、ならびに/または細菌などの病原体の成長を遅らせるために有効な量で、完全に被覆する。一実施形態では、これらの部位は、皮膚保護剤組成物で飽和状態である。本明細書で定義される皮膚保護剤AまたはBのいずれを利用してもよい。しかしながら、肉芽形成が存在する場合は、皮膚保護剤Aが好ましい。過剰なオイルおよび腐肉は拭き取られる。次に、本明細書に記載される親水コロイド組成物を適用して、皮膚保護剤が適用された領域を被覆する。上記に記載されるように、親水コロイド組成物は、粘着面上にプラスチックフィルムでラミネートされた後、密閉されたパウチに挿入される可撓性シートである。親水コロイド組成物の適用後、使用者は、パウチを開封し、フィルムを剥がし、創傷、熱傷、または皮膚状態の部位を被覆している皮膚保護剤組成物の上に親水コロイド組成物を置く。治療有効量の親水コロイド組成物が部位に適用される。親水コロイド組成物は、例えば創傷周囲、または別の実施形態では、その部位との境界であるまたはそれに隣接するまたはそれに近接する領域、例えば、その部位の周辺の直径最大6インチまでの領域など、皮膚保護剤組成物が適用される領域、およびそれに隣接する領域を完全に被覆する。定期的に、創傷が検査され、医療従事者がそのように決定する場合、皮膚保護剤組成物および親水コロイド組成物が前と同様に再適用される。ここでも、皮膚保護剤組成物および親水コロイド組成物の除去および再適用の頻度は、医師によって決定され、患者の健康および年齢、創傷または皮膚状態または熱傷のサイズ、ならびに創傷、皮膚状態、または熱傷からの排膿、患者の性別などを含む多くの因子に依存する。このため、この親水コロイド組成物は、オイル混合物を一定期間にわたって放出する徐放性組成物または制御放出性組成物である。この親水コロイド組成物は、吸収および滲出を行い、これが吸収および滲出を行う際に、オイルが放出される。このため、この親水コロイドは、体自体の滲出液産生によって調節されるオイルの放出を調節する働きをする。創傷が閉じたら、皮膚保護剤Aの代わりに皮膚保護剤Bが使用され得る。
【0221】
古い皮膚保護剤および親水コロイド組成物を除去するプロセスは、創傷が治癒し、再構成が完了するまで反復される。典型的には、親水コロイドおよび皮膚保護剤の変化は、およそ週1回生じる。また、典型的には、創傷の再構成には約2年かかるが、完全な治癒および再構成のための期間は、創傷のサイズ、患者の年齢および健康、ならびに同様のものなど、様々な因子に応じて異なることになる。
【0222】
第1のステップの前または最後のステップの後、皮膚保護剤は、皮膚状態または創傷に近接するが、皮膚状態または創傷の上ではない領域に適用される。皮膚保護剤は、創傷または皮膚状態のサイズの直径の約2倍、皮膚状態または創傷から最大約6インチである近接領域上に配置され、その後、それに近接する領域全体の上に配置される。例えば、創傷または皮膚状態または熱傷が四肢または手指または足指にある場合、皮膚保護剤は、それぞれ、実質的に、四肢、手指、または足指の残りの部分の上に、局所的に適用される。これが、肩部、背部、または腹部にある場合には、皮膚保護剤は、それぞれ、実質的に、肩部、背部、または腹部の残りの部分の上に局所的に適用され得る。その機能は、創傷または皮膚状態の近接領域にある古い死んだ皮膚および死にかけている皮膚を落とし、新しい生存している皮膚状態を表面に出すことである。束縛されることを意図するものではないが、この組成物が吸収されると、抗炎症性オメガ3オイルにより、血管系における炎症の低減が支援されると考えられる。血管系、特に微小毛細血管が弛緩して、皮膚全体の血流量が増加する。血流量が増加すると、創傷のより迅速な治癒が支援される。
【0223】
上記に記載されるように、親水コロイド組成物または皮膚保護剤AおよびBなどの一部の組成物についてのMCTの重量と不飽和トリグリセリドの重量との重量比は0.8より大きく、一方でコラーゲン組成物および鎮痛剤組成物などの他の組成物では、その比は0.8未満である。0.8という値は変曲点であることが分かった。より具体的には、0.8未満の比では、生成物は粘着性であり、特徴的な魚臭を有し、0.8超の比では、オイルは真皮に進入し、ますます絹のように滑らかで無臭となることが判明した。
【0224】
比の操作は、MCT、ヘンプ、およびタラ肝油によって推進される。つまり、オメガ3をより多く加えると、臭気が強く粘着性となり、MCTをより多く加えると、絹のように滑らかで無臭となる。
【0225】
オメガオイル(オメガ3、オメガ6、オメガ9)は、創傷治癒および皮膚の健康に影響を与える身体から産生される化学物質の重要な前駆体である。しかし、オメガ類が増加すると、ブレンドされたオイルは使用時に不快なものとなる。MCTを加えることで、この問題は改善されるが、完全には解決されない。広範な試験の後、発明者らは、0.8比の重要性を見出した。
【0226】
0.8の重要性を特定することの結果は、非常に有用かつ実用的である。比が0.8未満(例えば、鎮痛剤組成物およびコラーゲン組成物)である場合、創傷床の肉芽形成に必要なオメガオイルがより多くなる(臭気および粘着性に対する懸念が少ない場合)。オメガ6とオメガ3との理想的な比の範囲は、約1.0~約3.0、別の実施形態では、約1~約2.0の範囲である。オメガ濃度が高いと、創傷床は湿潤状態に保たれ、肉芽形成がさらに促進される。このため、創傷床の肉芽形成には、低い比が有用である。
【0227】
本プロセスは、毎日の包帯剤の交換(患者による)が企図されるほどに、排膿に応じて非常に低刺激性である。自己分解性創面切除は自然に生じる。
【0228】
しかし、創傷床などの部位が新たな肉芽形成で充填されると、創傷は閉鎖しなければならない。これには、創傷周囲または皮膚を一緒に引き寄せ、創傷表面にわたって連続した外皮を創出するのを助けるために、その部位の乾燥した表面が必要となる。このため、オイルを浸透させ、水分を逃がし、部位を無臭に保つために(健康な皮膚の患者指標)、比率を0.8超にする必要がある。
【0229】
治療因子に関して、新しい治療は、皮膚状態に応じて様々であり得る。皮膚に基礎感染が見受けられる場合、およびレッドパーム濃縮物を有する無水オイルは0.12%の過剰であり、罹患した皮膚を治療するために使用される。本明細書に記載されるように、カルテノイドは、部分的に皮膚内に分割され、部分的に表面上に集中する。表面カルテノイドは酸化促進物質になる。反応性酸素種(ROS)は、抗酸化物質のように作用して病原体カルテノイドの減少を支援し、これが皮膚に進入するいずれのROSもクエンチするように創出される。このため、表面は滅菌され、表面下の組織は無傷である。
【0230】
束縛されることを意図するものではないが、短鎖長(C8/C10トリグリセリド)および多価不飽和オイルは皮膚に急速に吸収されると考えられる。長鎖オメガ3多価不飽和脂肪(PUFA)は、身体によって酵素的に修飾されて、正常な身体機能に有用な化合物になる。PUFAはまた、天然の抗炎症化合物である。そのため、これにより、真皮の排液を行う皮内毛細血管の抵抗が低下する。腫脹が減少し、表面循環が増加する。(治療した皮膚に目に見える赤みのある色があり、血流量の増加に関連する温度上昇がある。)また、C8/10脂肪は、急速に吸収され、正常な代謝に有用である。
【0231】
束縛されることを意図するものではないが、モノラウリンは、PUFAが真皮に急速に吸収され、それにより皮膚表面上で酸化しないようにするのを助けるための加工助剤であると考えられる。
【0232】
さらに、束縛されることを意図するものではないが、セチルエステルは、吸収されず、酸化を受けないワックスである。これは、緩徐に吸収された不飽和脂肪(C18:1など)を被覆し、その酸化防止を助ける。タラ肝油には、C18:0脂肪がいくらか存在する。これが、ワックス被覆層の一部となる。
【0233】
レッドパーム濃縮物を含む組成物の利点として、そのカロチノイドにより、組成物が、壊死組織を、健康な組織とは異なるように染色し、これにより、医師は、創傷または皮膚状態を見つけ、生存組織のみの治療に集中することができる。
【0234】
プロセスが簡便であるため、医師は、このプロセスを自宅で実施できるように患者を訓練することができる。
【0235】
本出願の実施形態は、親水コロイド組成物、コラーゲン組成物、鎮痛剤組成物、および皮膚保護剤Aまたは皮膚保護剤Bのいずれかまたはその両方である皮膚保護剤組成物を含む別々の容器で構成されるキットを対象とする。別の実施形態では、各成分を含む容器は、スクイーズ容器であり、好ましくは、先端が切り取り可能な先細の容器である。キットには、本明細書に記載される創傷または皮膚状態を治療するための方法に関する指示が添付される。
【0236】
コラーゲン組成物はまた、熱傷の治療に使用することができる。熱傷は非常に疼痛が強く、記載のようにまず鎮痛剤を含有するオイルで治療される。疼痛の軽減後、例えば、15~30分後、コラーゲン組成物を創傷床に局所的に配置する。皮膚保護剤Aおよび/またはBによる創傷周囲の治療は、治療1~3回分延期する。即時治療を行うと血流が増加し、疼痛が誘導される。一定期間の後、治癒が始まった時など医師が決定した時点で、熱傷部位は、本明細書に記載されるように、任意の他の創傷のように治療される。
【0237】
束縛されることを意図するものではないが、本明細書に記載のコラーゲン基質コラーゲン組成物は、オイルをフィッシュコラーゲンに組み込み、これが、創傷に水分を加えることなくコラーゲンの投与を可能にすると考えられる。バターのような質感により、コラーゲンが複雑な創傷空洞の間隔に流入する。
【0238】
海塩は、創傷滲出液を導電性にするという点で特別な役割を有すると考えられる。創傷周囲の電荷は負であり、創部床の電荷は正である。反対の電荷が引き寄せられ、これが、創傷周囲を創傷床上に引き寄せて、創傷を閉鎖する傾向がある。
【0239】
また、創傷拡張の根本原因である創傷滲出液中の酵素によって創傷周囲の皮膚が攻撃されるため、創傷周囲/創傷床の界面は脆弱であると考えられる。束縛されることを意図するものではないが、フィッシュコラーゲンは創傷滲出液を吸収するとさらに考えられ、C8/C10脂肪酸により、pHが低下して、MMP(基質メタロプロテアーゼタンパク質)などの酵素が阻害される。最終の効果は、創傷滲出液を、より治癒しやすくなるように調整することである。
【0240】
束縛されることを意図するものではないが、C12トリグリセリドは水分喪失の制御に役立つと考えられる。また、モノラウリンは、創傷床における細菌負荷を制御するのに役立つと考えられる。創傷は滅菌すべきではなく、生物汚染度の均衡をとるべきである。細菌は、治癒過程を支援する酵素を創出する。
【0241】
本開示のコラーゲン基質は、医療従事者が経時的に創傷体積を定量化することができるように、単位用量として加えられることが最良である。しかしながら、これは、瓶、複数回使用用チューブ、または他のバルクディスペンサーから加えられる。
【0242】
各生成品を互いに独立して使用することはできるが、一緒に使用すると相乗効果がある。
【0243】
C8/C10トリグリセリドは、他のすべてとは独立して、皮膚の循環を増加させる。この利益は、下肢を出入りする血流が将来の皮膚の崩壊を防ぐのに役立つため、創傷が治癒した後、特に重要である。
【0244】
コラーゲン基質は、創傷内のコラーゲンの豊富な供給源であり、周知の方法で皮膚構造を再建するのに役立つ。これをホイップバターのような無水生成物として適用すると、創傷体積に充填され得るコラーゲンの質量が増加する。
【0245】
鎮痛剤組成物、コラーゲン組成物、皮膚保護剤組成物、および親水コロイド組成物生成物の4つの組成物すべてが系として使用されるときに、相乗効果がもたらされる。コラーゲンは、創傷床および熱傷または皮膚状態の部位に構造を提供するのに役立つ。すべてのオイルの総和により、下肢、創傷周囲、ならびに熱傷、皮膚状態、および創傷床の部位への血流が増加する。C8/C10脂肪酸、カロチノイド、およびモノラウリンは、有益な自己溶解性酵素の生成に必要な細菌活性を変わらず保持しながら、病原菌数を制御するのに役立つ。海塩により、継続的に、反対に荷電した表面皮膚が創傷床に向かって移行し、創傷閉鎖が加速される。
【0246】
包装材も、タラ肝オイル混合物の臭気に影響し得る。包装は、容器内が無酸素状態であり、容器をとおして酸素が移動しないようにする必要がある。
【0247】
エアロゾル缶は、推進剤により油が非常に小さな液滴へと霧状になり、オイルが溜まることなく皮膚上に広がることができるため、特に価値のある容器である。これは、皮膚への吸収を加速して、オメガ3脂肪の酸素への曝露をさらに制限するのに役立つ。
【0248】
コラーゲンを含有するか否かにかかわらず、本開示の組成物はまた、薬物が油溶性または親油性である限り、鎮痛剤以外の他の薬剤の担体として使用することができる。本明細書で使用される「親油性」という用語は、薬物が完全に純親油性であるか、または親水性および親油性両方の性質を有するが、親水性の性質よりも親油性の性質をより強く有することを示唆する。したがって、親油性という用語は、非極性の水不混和性有機溶媒における排他的な溶解性から、これらの溶媒と非水性の水不混和性溶媒との両方において溶解性を有する複合体に及ぶ溶解性を包含する。本発明の組成物の親油性の勾配は、n-オクタノール/水、またはn-オクタノール/緩衝液、またはn-オクタノール/生理食塩水を使用する分配係数を参照することにより確立される(King and Blau,J.Nucl.Med.,21,147-152(1980)、Oldendorf,ibid,19,1182(1978)、およびProc.Soc.Exp.Biol.Med.,147,813-816(1974))。概して、約10超、特に100のn-オクタノール/生理食塩水分配係数を有する薬物が、フィッシュコラーゲンを含有するか否かにかかわらず、本組成物に対して担体となり得る有用な薬物である。リドカインに加えて、他の薬物には、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれる。API(活性薬剤)が親油性であることが重要である。非包含的な例には、アンフォテリシンBおよびイトラコナゾールなどの親油性塩が挙げられる。鍵となるのは、本明細書のオイル系が、角質層を変化させて経皮浸透性を改善することができる配合物成分の混合物であることである。
【0249】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示される。
【実施例0250】
実施例1
実施例1では、海塩およびフィッシュコラーゲンを除いて、トリグリセリドおよびミツロウを含む、以下に列挙される様々な成分を、他のトリグリセリドおよび遊離脂肪酸と60℃で十分に混合して、均質な混合物であるオイル溶融物を形成する。その後、オイル溶融物が形成され、均質になったら、海塩およびフィッシュコラーゲンを一緒に混合する。フィッシュコラーゲンは44%、オイルは42.5%である。
【0251】
以下の表は、様々な鎖長の重量パーセントによる各原料を列挙し、次いで各トリグリセリド鎖長の加重平均を計算する。
【表2-1】
【表2-2】
【0252】
これとは別に、様々な重量比を重要な関係について調べることができる。
【0253】
実施例1では、2つの重要な比は、(C8:0+C10:0+C12:0)/オレイン酸:1=1.42およびMCTの重量/(全一価不飽和トリグリセリドの重量の総和)=1.02。
【0254】
すなわち、MCTは、一価不飽和化合物よりも多く、特にオレイントリグリセリドよりも多い。総和トリグリセリド/フィッシュコラーゲンの比=0.96。
【0255】
実施例1は、ミツロウおよびモノラウリンワックスを有する。これらのワックスは2つの共晶を形成し、高い方の共晶温度は45.6℃である。低い方の共晶温度(曇り点として)は32.8℃であり、差は12.8℃となる。
【0256】
ほぼ13℃の融点の差は、一方の共晶が液体であり、他方が固体である処理ウィンドウを定義する。この中間の「ウィンドウ」において、ペーストを充填機に送り込み、個別使用バイアルに供給し得る。
【0257】
増粘剤、例えば、ミツロウ、またはそれに相当するものが増粘剤として使用されない場合には、ウィンドウはなく、バイアル充填は実行不可能である。5超で分けられた少なくとも2つの共晶温度を有するワックスシステムが必要とされる。
【0258】
実施例2
実施例2では、パーム油をココナッツオイルで置き換え、モノラウリンの半分をセチルエステルNFで置き換えたことを除いて実施例1と同様にして、局所用組成物を調製した。フィッシュコラーゲンおよび総和オイルは、実施例1から変化しなかった。結果を以下で表にする。
【表3-1】
【表3-2】
【0259】
実施例2では、同じ2つの重要な比は、MCT/オレイン酸の重量:=4.07、および総和(C8:0+C10:0+C12:0)/総和(全一価不飽和トリグリセリド)=2.31である。全トリグリセリドとフィッシュコラーゲンとの比は0.96であった。
【0260】
レッドパームスーパーオレインをココナッツオイルで置き換えると、C12:0が増加し、C18:1が減少する。このため、パームからココナッツに変えることで、MCTと不飽和トリグリセリドとの比が2倍超になる。この変化は、一価不飽和トリグリセリドが室温の液体であり、オイル/コラーゲン無水混合物から滲出する傾向にあるため、重要である。MCTも室温の液体であるが、フィッシュコラーゲン基質に吸収され、滲出しない。このため、MCTと一価不飽和トリグリセリドとの比は1.0より大きく、貯蔵および流通中にオイルが滲出するのを防ぐ。
【0261】
実施例2でも、融点温度が2つある。高い方の融点温度、例えば、共晶温度は48.9℃であり、低い方の融点温度は25℃であり、差は23.9℃の差となる。
【0262】
実施例2のウィンドウは、実施例1のウィンドウの約2倍である。これは、実施例2の生成物のほうが、供給タンクから密封されたバイアルまでのペースト温度の制御が容易であることを意味する。以下に示すように、ワックスは溶融範囲が異なる。
【表4】
【0263】
当業者であれば、ミツロウおよびモノラウリンは融点がほぼ同じであり、セチルエステルNFは融点がより低い可能性があることを予測するであろう。
【0264】
セチルエステルの添加により、高い方の融点温度が上昇し、同時に低い方の融点温度が低下した。パルミチン酸アスコルビルは、環構造頭部を有する脂肪酸エステルである。融点は直鎖脂肪酸エステルよりもかなり高い。
【0265】
実施例3
フィッシュコラーゲンを加えないことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。手順を以下に概説する。モノラウリン/セチルエステル混合物を加熱し、冷却する。低い方の曇り点を25℃で測定した。同混合物に3.5%のミツロウを加え、高い方の雲り点を決定した。曇り点と共晶点は同じものではないが、曇り点の差および共晶点の差(ウィンドウサイズ)は比較的同じである。
【表5】
【0266】
高い方の曇り点を49.1℃と決定した。
【0267】
実施例4
実施例3のレシピを、セチルエステル有りおよび無しで繰り返した。高い方の雲り点は45.6℃、低い方の雲り点は33.1℃であった。
【0268】
実施例3および4の結果から、以下の結論が導かれる。
【0269】
トリグリセリド溶融物中で異なる融点範囲を有するワックスの混合物が、異なる雲り点を有するであろうことは合理的であるが、より低い融点のワックスを加えることで、高い方の融点、例えば、高い方の共晶雲り点が上昇し、同時に、低い方の融点、例えば、低い方の共晶雲り点が低下することは驚くべきことである。この結果は、バイアルの充填プロセスに影響する。
1.生成物は、高い方の融点、例えば、高い方の共晶曇り点の直下の充填剤供給タンク内の設定点温度で容易に維持することができる。
2.気孔内にオイルを保持している凍結したミツロウが液体となり、ポンプ剪断中にコラーゲンから流出するため、温度が高い方の融点を上回らないようにすべきである。
3.生成物を、バイアル充填機をとおしてポンプで送り込むと(1~2g/バイアル)、幅狭で可撓性の往復式供給ホースにより、生成物が低い方の融点未満に冷却される。
a.ホースはトレースおよび絶縁することができるが、機械停止により、生成物の過熱過剰または冷却過剰のいずれかが生じる。
b.加熱過剰の生成物はバイアル内で分離し、監視員およびユーザーに不安定性を示す。
c.加熱不足の生成物はバイアルに容易に流入せず、バイアルが充填不足となる。
4.より広いウィンドウにより、中間温度の生成物を供給ポンプに導入できるようになる。回避できない冷却は依然として生じるものの、生成物が低い方の融点温度を下回る場合には、そのようなことはない。
【0270】
実施例5
ココナッツオイルでパーム油を置き換えることを除き、実施例3を繰り返す。滲出が減少し、高い方の雲り点が46℃であり、低い方の共晶温度が35℃であったことが分かった。
【表6】
【0271】
実施例6
実施例6では、フィッシュコラーゲンを個々のオイル成分(50:50w/w)と混合し、その後、15時間48.9℃で貯蔵して、滲出を誘発した。様々なオイルを以下で表に示す。
【表7】
【0272】
結果を以下に示す。
オイル滲出[スプレー乾燥させたフィッシュコラーゲンと50:50w/w]
C8/10トリグリセリド:粗い質感、シミの目つきスポットの滲出
粗製ココナッツオイル:滑らか、滲出なし
RBDパーム油CP6:滑らか、滲出なし
ヘンプシードオイル:滑らか、滲出なし
タラ肝油:滑らか、大量の滲出
【0273】
示すように、C8/10混合物は「湿った砂」の質感を有し、ポンプ注入できない。束縛されることを意図するものではないが、コラーゲンは、C8/10を直接吸収し、オイルを細孔内に貯蔵しないと考えられる。余分なオイルは滲出するが、オイル溜りは形成されず、むしろ、試験ビーカーの底部に遊離オイルの「点」が形成される。
【0274】
ココナッツ、パーム、ヘンプシードは、ポンプ注入が容易な滑らかで粗くない質感を有する。滲出はない。束縛されることを意図するものではないが、C12-C18トリグリセリドは、コラーゲン細孔に進入し、そこにとどまる(ポンプ剪断がない場合)と考えられる。長鎖トリグリセリド(C14-18)は、コラーゲン細孔に貯蔵され、安定である(ポンプ剪断がない場合)。
【0275】
タラ肝油はわずかに粘着性があり、試験ビーカーの底部で第2相として蓄積する遊離オイルを漏出させる。非常に長鎖のトリグリセリド(C>18)であるタラ肝油(「CLO」)の43%は、コラーゲンによって完全に吸収されず、コラーゲン細孔に容易に進入しないと考えられる。これらの長鎖化合物は、滲出および粘着性の根本原因である。
【0276】
C8/10は「トリグリセリド溶媒」である。C8/10の役割は、非常に長鎖のトリグリセリドを可溶化してコラーゲン細孔に流入させることである。細孔内に入ると、C8/10は、細孔からコラーゲン基質に直接移動する。
【0277】
パルミチン酸アスコルビルは、脂溶性ビタミンC分子である。
【0278】
実施例7
実施例7は、粗製ココナッツオイルを、モノラウリン単独による実施例3のオイル配合物を使用して高い方および低い方の共晶温度についてRBDパーム油CP6と比較し、次いでセチルエステルを加えて再加熱した後、白色ミツロウを加えて再加熱した。配合物は2つあり、1つ目はRBDパームを含むもの、2つ目は粗製ココナッツオイルを含むものであった。オイルはどちらも8.4%であった。
【0279】
オイル/コラーゲン混合物のオイル画分を、溶状になるまで加熱し、次いで曇り点(濁りの出現)が観察されるまで穏やかに混合しながら冷却した。
【表8】
【0280】
粗製ココナッツオイル(RBDココナッツオイルと同じではない)は、高い方の共晶温度/低い方の共晶温度を31%上昇させた。差が大きいほど、処理ウィンドウが拡大する。粗製ココナッツオイルにより、予想外に処理ウィンドウが広がった。目標ポンプ温度は、低い方の共晶温度を上回り、高い方の共晶温度を下回る49℃(約120°F)である。
【0281】
実施例8
実施例8は、コラーゲン細孔を充填するために必要な時間を間接的に測定した(10分)。
【0282】
ブレンドされた熱油を周囲温度のフィッシュコラーゲンと穏やかに混合すると、粉末が熱油と混合する。ゆっくりとコラーゲンを加える間、温度を高い方の共晶温度より高く維持し、表面張力が低いオイルでコラーゲン細孔内の空気を置き換える。冷却時粘度が高温混合時間とともに増加し、その後、さらなる混合により安定することが分かり、細孔が充填されたことが示された。冷却すると、ワックス混合物は、細孔内の油性流体を濃厚にする。細孔を完全に充填する現象により、冷却された使用済みの生成物が過度に濃厚になり、2mlの使い捨て可撓性バイアルから分注できなくなった。
【0283】
フィッシュコラーゲン%は実施例1から減少したが(44%から40%)、これはマクロ細孔体積を減少させながらマクロオイルの添加を増加させる効果があった(材料のバランスを均衡に保つため)。総和トリグリセリド/フィッシュコラーゲンは1.1であった。
【0284】
【0285】
結果は以下のとおりである。MCT(C8-10トリグリセリド)の重量とオレイン酸(C>18)の重量との重量比は2.6である。48.9℃で15時間経過してもオイルは基質から滲出しない。可撓性バイアルは、48.9℃で商業的に充填することができる。周囲温度で充填したバイアルは、親指と人差し指から優しく圧力をかけることで押し出すことができる。
【0286】
2%のパルミチン酸アスコルビルで2%の粗製ココナッツオイルを置き換える場合、ビタミンCを、ビタミンA、ベータカロテン(ビタミンA前駆体)、およびリコピン(レッドパーム油濃縮物由来)に加えることを除き、実際の結果は同じである。C8-10/C>18比はわずかに低下するが、2.6に丸められる。
【0287】
結果から以下のことが示される。
1.表面張力が低いオイルを、噴霧乾燥したフィッシュコラーゲン細孔の奥深くに浸透するように作製した。
2.多成分ワックスシステムを、熱油を完全に浸透させ、高剪断バイアル充填を温め、流通中に冷滲出が発生しないようにするために考案した。
3.酸敗脂肪臭を防止した。
4.特別な混合装置は不要であり、むしろ標準の二重攪拌器ケトルが処理には十分である。
5.この生成物は、創傷充填剤に関するFDAの要件である電子線滅菌に耐えることができる。
【0288】
実施例9
以下の組成物を、示すように調製する。
【表10】
【0289】
この実験をセチルエステルなしで繰り返す。セチルエステルを含む場合と含まない場合との単一変数実験(オメガオイルBV)では、セチルエステルを含まない場合のオイルを擦り込んだ後の皮膚は、強力な魚臭を有した。セチルエステルを含む同じ配合物は皮膚臭を有しなかった。
【0290】
【0291】
コラーゲン基質CKは、コラーゲン基質CGと比較して、コラーゲンの減少、ミツロウの増加、等量のヘンプオイルおよびタラ肝油、ならびにレッドパーム濃縮物の減少を有した。フィッシュコラーゲンに対する総トリグリセリドの総和は1.01である。安定性を向上させ、高温滲出を低減するために、再度わずかに均衡化を行った。
【0292】
一晩熟成させた25℃の生成物を、標準の泡立て器およびキッチン用ミキサーを使用して泡立てて「ホイップバター」にできたことは、予期しないことであった。その結果、生成物がより安定となり、粘度が低下して、よりポンプ送達可能となった。
【0293】
包装をスティックパックに変更し、連続押出ししたコラーゲン基質の円柱の周りに垂直製袋充填シールを巻き付けた。生成物は、容易に充填でき、流通中に滑らかさを保ち、凍結/解凍耐久試験に耐え、親指/人差し指の圧力だけで創傷の裂け目に流れ込むことができた。
【0294】
本生成物が他と一線を画すのは、オイル画分が、低い方の共晶温度よりも少なくとも5℃高い、高い方の共晶温度を有するような、融点が異なるタラ肝油、ヘンプオイル、ワックスの混合物であることである。トリグリセリドの重量の総和/フィッシュコラーゲンの重量は1:1である。さらなる特質は、これが無水薬物/デバイス併用生成物であることである。
【0295】
本配合物は、デバイス(フィッシュコラーゲン)と活性薬物生成物(タラ肝油を含むOTC皮膚保護剤5%~13.56%)との組み合わせである。
【0296】
本生成物は、フェイシャルスクラブとして機能して、角質および乾燥している皮膚を落とし、残った皮膚を「輝かせる」。つまり、乾燥コラーゲンおよび海塩が、角質および乾燥している皮膚を優しく除去すると同時に、オイルが不快な臭いを残さずに皮膚に吸収される。
【0297】
第三者である評価者は、皮膚の若返りを認めた。
【0298】
実施例11
実施例11は、有効成分としてリドカインを含むOTC局所鎮痛薬である。本組成物は、医薬品有効成分のための担体である。これは、タラ肝油、ヘンプオイル、MCT、セチルエステル、および遊離脂肪酸の混合物である。以下のように調製する。
【表12】
【0299】
この配合物を、主要大学において標準化された試験で細菌殺滅について試験した。より重要なこととして、黄色ブドウ球菌を接種し、4日間成熟させた生体外ブタ皮膚創傷バイオフィルムモデル上で、この生成物を試験した。外植片の半数を、1日1回3日間、油性生成物で処理した。各群から6つの外植片を毎日収集し、総細菌量を評定した。結果を
図1に示す。
【0300】
図1において、0日目は、まだ処置を行っていない実験の開始を表す。4日齢の感染は未処理の皮膚上でさらに広がることができた一方、実施例11の配合物で処置した皮膚は約3log減少した。この減少は、実験期間にわたって維持された。平均値は、検出可能な細菌がないいくつかの処理した試料および検出可能な細菌があるその他の試料を表す。観察された差は、p≦1.1×10-6で、各治療日について、スチューデントのt検定により統計的に有意であることが分かった。
【0301】
女性患者が馬から転落し、肩をひどく擦り剥いた。洗浄オイルBZの適用から2週間以内に、創傷は瘢痕化することなく治癒した。健常者の治癒は想定内の事象である。瘢痕化のない治癒は予想外である。
【0302】
第2の事象は、患者がツタウルシの重症例を患った時に生じた。洗浄オイルBZを使用して発疹を処理すると、4日で消散した。4日は、ツタウルシによる発疹の治癒としては短い期間である。
【0303】
第3の事象は、帯状疱疹の発生により生じた。これを洗浄BZで毎日処理すると、3日後に消散した。
【0304】
第4の事象では、自己免疫疾患の患者が潰瘍を生じさせた。実施例11のオイルで3日間治療した後、潰瘍は消散した。
【0305】
第4の実験では、バイオフィルムを96カウントの試験細胞中で誘導し、次いで、洗浄BZおよび適切な対照で処理する。
【0306】
バイオフィルムは4日間で1.3log減少した。
【0307】
第5の実験では、患者は転倒して膝腱を断裂した。脚全体が紫色になった。脚全体への実施例11の適用を4日間行った後、腫脹は収まり、脚はもはや紫色ではなくなった。
【0308】
実施例12
洗浄BZに類似しているが、活性成分であるリドカインを含まないオイルを生成した。
【0309】
オイルを、12%(W/W)で、例えば、ペクチン、または酸性被層のpHである皮膚のpHを約5.5で保った酸ペクチンを含む、従来の周知の親水コロイドゲル化化合物と混合する。下表に示すように手順を準備した。
【表13】
【0310】
組成物を、Sarasota,FLのSarasota Medical Products,Inc.から入手した親水コロイドゲル化化合物を含有する組成物と混合し、約88%の親水コロイドで構成される組成物(以下、「親水コロイド組成物」)を得る。この親水コロイド組成物を創傷上に7日間置いた。親水コロイド包帯剤に細菌増殖はなかった。
【0311】
MCT、モノラウリン、ヘンプオイル、およびタラ肝油、レッドパーム濃縮物、粗製ココナッツオイル、および酸ペクチンの組み合わせにより、包帯剤の生物汚染度の低下が助けられた。
【0312】
実施例13
実施例10のコラーゲン基質CKを使用して、最終的にトンネル創傷となった術後の感染乳癌を処理した。創傷は2週間で完全に消散した。
【0313】
本発明のオイルブレンドを用いたコラーゲン包帯剤が感染創傷を治癒できることは、想定外である。
【0314】
実施例14
実施例14では、オイルブレンドを、薬物有効成分を含ませずに、無傷の皮膚のためのスプレーとして使用した。以下に示すように調製した。
【表14】
【0315】
オメガオイルBYには、レッドパーム濃縮物は含まれない。オイルは、バッグオンバルブ(bag-on-valve)スプレー缶から微細な液滴として、無傷の皮膚に噴霧する。
【0316】
オイルは数秒で吸収され、モノラウリンおよびセチルエステルが、異臭の漏出を防ぐ臭気密封フィルムを皮膚上に形成する。
【0317】
セチルエステルにより、仕上がりが絹のように滑らかで半密封性となり、オイル臭の漏出が防止される。
【0318】
75歳の女性が誤って食洗機のドアを蹴り、1か月で治癒しなかった3インチ×1インチの紫色のあざができた。実施例14のオイルを用いた処置により、あざは7日で消散した。
【0319】
実施例15
粗製ココナッツオイル(精製、漂白、脱臭されていないココナッツオイル)を使用して、オイル混合物中のパーム油を置き換えた。タラ肝油を、OTC皮膚保護剤承認基準(5%~13.56%w/w)を満たすように還元した。合計MCT(例えば、加えたMCT+粗製ココナッツオイルのMCT画分)および遊離脂肪酸が増加した。
【0320】
以下の表は、原料およびその作製手順を列挙する。
【表15】
【0321】
この組成物を、主要大学において標準化された試験で細菌殺滅について試験した。より重要なこととして、黄色ブドウ球菌を接種し、4日間成熟させた生体外ブタ皮膚創傷バイオフィルムモデル上で、この生成物を試験した。外植片の半数を、1日1回3日間、油性生成物で処理した。各群から6つの外植片を毎日収集し、総細菌量を評定した。
【0322】
実施例11の3logの殺滅は、4logの殺滅に増加した。
【0323】
実施例16
オメガオイルBXは、皮膚保護剤のOTC要件を満たす配合物である。
【0324】
配合物の原料およびその調製を以下の表に要約する。
【表16】
【0325】
この組成物を、主要大学において標準化された試験で細菌殺滅について試験した。より重要なこととして、黄色ブドウ球菌を接種し、4日間成熟させた生体外ブタ皮膚創傷バイオフィルムモデル上で、この生成物を試験した。外植片の半数を、1日1回3日間、油性生成物で処理した。各群から6つの外植片を毎日収集し、総細菌量を評定した。
【0326】
また、標準化した試験では、2logの細菌殺滅が達成された。ヘンプオイルを増量し、オメガ3とオメガ6との比を変更した。消費者は臭気プロファイルを好んだ。
【0327】
実施例17
別の配合物を、下表に列挙する原料を用いて調製し、下表に示すように調製した。
【表17】
【0328】
基質CL-1.3は、0.5%の中粉砕海塩を有する。充填機の業務用配管を通して角の周りをポンプ送達すると、無水基質から塩が沈殿した。その後、海塩をより微細に粉砕した。極めて微細に粉砕した海塩を用いたコラーゲン基質CL-1.3は、48.9℃/15時間の耐久試験に完全には合格しなかった。この試験では、1.3オンスのガラス瓶を48.9℃のインキュベーターに15時間置いた。瓶の底部に浸潤がないか検査する。浸潤がある場合、組成物は不合格であり、ない場合は、組成物は合格であった。結果は、オイルが基質から試験容器の底部に滲出した。加えて、タラ肝油(12%)は、米国FDAによりOTC皮膚保護活性成分として定義された。これには、タラ肝油(「CLO」)が流通中に酸化しないことを保証するために(その12%の標的アッセイを保持するために)追加の抗酸化物質が必要であった。パルミチン酸アスコルビルを加え、レッドパーム濃縮物(ビタミンA前駆体およびリコピンの天然源)を加えて、流通中の抗酸化有効性を増大させた。海塩を0.5%に減少させ、配合物の均衡をとった。総和のトリグリセリドとフィッシュコラーゲンとの比は1.01である。
【0329】
コラーゲン基質CL-1.3は、48.9℃/15時間の熱耐久試験後にオイルを滲出させなかった。塩分の減少およびパルミチン酸アスコルビルの追加が安定性に与える影響は予想外であり、海塩濃度試験を実施する必要が生じた(実施例18のとおり)。
【0330】
実施例18
実施例18は、列挙する原料を用いて以下に示すように調製した3つの配合物からなる。
【表18】
【0331】
実施例18では、パルミチン酸アスコルビルおよびレッドパーム濃縮物を一定に保持した。海塩は、0.3%~0.6%、~0.9%で異なった。カプリル酸を減少させて、配合物の均衡を保った。プロセスは変更しなかった。溶解するまで液体を混合/加熱し、フィッシュコラーゲンを混ぜ合わせた後、海塩を微細に粉砕し、一晩冷やし、5分間激しく混合した。本実施例では、1つの試料を、周囲温度で15時間放置し、第2の試料を凍結/解凍条件に曝露させ(4時間冷蔵した後、15時間周囲温度で貯蔵)、第3の試料を48.9℃/15時間に曝露させた。オイルの浸潤を評価した。
【0332】
驚くべきことに、0.3%の海塩は滲出を示し、0.6%および0.9%の海塩は滲出を示さなかった。これは予想とは反対のものであった。
【0333】
比重は約0.8である。粘度は25,000cPである。
【0334】
実施例19
実施例17の配合物を、0.5%のパルミチン酸アスコルビルを排除し、+0.5%のC8 FFA(合計FFA=1.8%)で置き換えたことを除いて、再現した。
【0335】
実施例17に記載した15時間の熱耐久試験を完了した後、透明な試験瓶の底部に滲出オイルがあった。パルチミン酸アスコルビルにより、熱に関連するオイルの滲出が防止された。
【0336】
実施例20
実施例20には、実施例17のオイル/ワックス混合物200gを用いたが、パルミチン酸アスコルビルは加えず、これを、溶融物が透明になるまで加熱した。曇り点が観察され、記録されるまで、溶融物を非常に穏やかに混合しながら(ビーカーを旋回させる)冷却させた。次いで、パルミチン酸アスコルビルを段階的に加え(段階あたり+0.1%)、各添加後の融点を決定した。0%のパルミチン酸アスコルビルの曇り点は64.4℃であった。
【0337】
図2は、パルミチン酸アスコルビルの濃度の関数としての曇り点の増加を示す。
図2に示すように、パルミチン酸アスコルビルを加えるとすぐに曇り点が増加した。0.5%で、曇り点が最大(73.3℃)に達した。その後、曇り点は、パルミチン酸アスコルビルの増加とともに平均66.8℃まで低下した。
【0338】
パルミチン酸アスコルビルがゲル化すると、液体オイルおよび沈下物よりも高密度である。
【0339】
実施例17~20のデータにより示されるように、パルミチン酸アスコルビンと実施例17のオイルとの混合物は、パルミチン酸アスコルビルの融点を低下させる。しかし、パルミチン酸アスコルビルは、ミツロウ共晶に達する前にゲルとして沈殿する。パルミチン酸アスコルビルは沈殿して、多孔質の固体フィッシュコラーゲンの外側をコーティングする。パルミチン酸アスコルビルの雲り点は、オイル混合物とゲルを形成するため、ならびにミツバチ、モノラウリン、およびセチルエステルとの場合のようにワックス状の共晶点固体ではないため、共晶点ではない。
【0340】
束縛されることを意図するものではないが、オイル混合物の表面張力が低いことで、溶融画分が細孔に進入し、細孔内の気体を代置すると考えられる。最初の共晶に達する前に、高温のMCTがフィッシュコラーゲンの細孔から主部へと移動する。第1および第2の共晶より低く冷却すると、ワックスは細孔内で凍結し、溶融オイルの滲出を阻止する。
【0341】
実施例17のコラーゲン基質を約27℃まで完全に冷却すると、混合物は硬化する。不活性ガス環境で激しく混合すると、温度が上昇し、比重が約0.8まで低下する。冷却した泡立てた混合物は、ポンプ送達が容易であり、かつ押出しが容易なペーストである。
【0342】
第2の共晶温度を上回る温度では、オイルの滲出はなかった。加えて、塩が少ないと配合物が不安定になり、塩が多いと安定することが分かった。
【0343】
束縛されることを意図するものではないが、環状脂肪酸エステル(パルミチン酸アスコルビル)の最初の沈殿は立体的に妨害されるため、多孔質コラーゲンの外側で発生すると考えられる。
【化1】
【0344】
その後、続く直鎖状脂肪酸エステル(ミツロウ、モノラウリン、セチルエステルNF)の沈殿は、立体的に妨害されず、噴霧乾燥させたフィッシュコラーゲンの細孔に進入する。
【0345】
【0346】
【0347】
最後に、冷却された混合物が激しく混合されると、すべてのフィッシュコラーゲン球のコーティングされた外側が互いに接触するようになり、その結果、冷却後、顆粒間の間隔内に混入不活性ガスを保持し、滲出オイルをフィッシュコラーゲン細孔内に閉じ込めたままにする粘着性外部パルミチン酸アスコルビルからの凝集物ができる。
【0348】
束縛されることを意図するものではないが、海塩の効果を次で説明する。コラーゲン(1)は球状である。油性基材に重ねると、
図3に示すように、球体間に大きな間隔ができる。粗い立方体塩結晶(2)を加えると、
図4に示すように、間隔が拡張し、漏出のための経路が創出される。最後に塩が粉砕されると(3)、間隔は延伸せず、表面沈殿したアスコルビンパルミチン酸アスコルビルによってコラーゲン球の表面に結合する。これは、
図5に示すように、空の間隔を充填し、浸潤を妨げる。塩(2)レベルが低い場合、
図6に示すように、間隔は充填されず、浸潤ができる。塩(2)レベルが高すぎる場合には、
図7に示すように、間隔が延伸して離隔し、浸潤ができる。
【0349】
海塩は、浸潤安定性に機械的に影響する。理想的な粒径および重量%は、相互作用的であり、明確ではない。
【0350】
実施例21
配合物を以下に示すように調製する。
【表19】
【0351】
配合物に以下の変更を行った。
【0352】
レッドパーム油を0.3%から0.2%に減少させた。
【0353】
粉砕海塩を、0.5%から0.9%に増加させた。
【0354】
C8 FFAを1.3%から1.0%に減少させた。
【0355】
レッドパーム濃縮物を減少させて、基質の色をアンズ色から鮮黄色に変えた。
【0356】
海塩を、人体の等張塩レベルと一致するように調整した。
【0357】
C8 FFAを減少させ、配合物の均衡をとった。合計トリグリセリドの重量/フィッシュコラーゲンの重量の比は1.01である。
【0358】
パルミチン酸アスコルビルおよびレッドパーム濃縮物(主にベータカロチンおよびリコピン)は、ともに、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特に市販(「OTC」)の活性成分であるタラ肝油中のPUFAを保護するのに役立つように設計した抗酸化物質の混合物である。C8 FFAは、創傷床のpHをわずかに酸性に保つのに役立つ。粉砕海塩は、創傷床の等張性を維持するのに役立つ。
【0359】
海塩を微細に粉砕することで、流通中の高温逸脱時の滲出安定性が向上する。
【0360】
実施例22
実施例22のオイル混合物は、軽度の切り傷、擦り傷、および熱傷の疼痛から一時的に保護し、それらを一時的に緩和するように設計される。実施例22では、粗製ココナッツオイルを使用する。リドカインおよびC8遊離脂肪酸は、任意選択の原料である。実施例22の凍結/解凍濁り度は0.2NTUである。対応するMCTの減少を伴う1.0%のリドカイン濃度は、濁度が0.5NTUである。
【表20】
【0361】
実施例22のオイルは、オイル速度およびMCT溶媒作用が、開放創からの壊死組織およびバイオフィルムの除去を助けるように、4mlの酸素障壁バイアルから搾出する。オイル混合物は、オイルおよび任意の活性成分を創傷床に輸送するのに役立つ。
【0362】
少し待ってから、壊死組織および腐肉を、4×4ガーゼを使用して創傷床から拭き取る。リドカインは機械的な腐肉の除去による疼痛を一時的に緩和する。
【0363】
創傷床は、MCTおよび吸収された成分を吸収するが、長鎖脂肪を拒絶する。長鎖脂肪により、顆粒床が半密封性フィルムでコーティングされ、これは、水分喪失を抑えるのに役立つ。
【0364】
オイル混合物は無水であるため、C8遊離脂肪酸(FFA)がプロトン化される。細菌細胞により、FFAが脂質二重層を貫通できるようになる。細胞の水性部分に入ると、FFAは分割し、細胞pHの低下を助ける。細胞増殖が阻害される。
【0365】
実施例23
実施例23は、親水コロイド中の鉱油を置き換える親水コロイドの12%の成分であるように設計したオイル混合物である。オイルを、7日間かけて創傷床表面にゆっくりと放出する。
【表21】
【0366】
オイル混合物を、12%w/wで標準(皮膚pH=7)のCMC/ペクチン親水コロイドに加えて、鉱油を置き換える。ペクチンは、pHが酸性被層のpHより低い任意選択の原料である。酸性ペクチンおよびアルカリ性CMC(カルボキシメチルセルロース)は、pH=5.5±1.0で、吸収された滲出液と緩衝液を生成する。
【0367】
創傷周囲の浸軟の防止を助けるために、バージンパーム油を使用して創傷周囲をコーティングする。
【0368】
実施例24
実施例24では、親水コロイド皮膚接触層とフォームとの間に任意選択のフォーム層を追加する。親水性フォームの裏打ちを追加することにより、滲出の多い創傷を親水コロイドで治療することができるようになる。
【0369】
単相オイルの安定性の問題は、当業者にとっては簡単である。フィッシュコラーゲンをオイルに加える場合、解決策は相当複雑になり、明白ではなくなる。相反する技術的目標が3つある。
【0370】
浸潤制御
パルミチン酸アスコルビルを加えて、コラーゲン球をともに緊密に接着し、すべての浸潤経路の断面積を固着させる。
【0371】
海塩を粉砕して、間隔を塞ぎ、すべての浸潤経路の残りの断面積を最小限に抑える。
【0372】
流動性
窒素ガスを泡立てて周囲温度の剛性基質にし、ポンプ送達または押出しされたときに屈曲し得る可撓性のカプセルかされた気泡を形成する。
【0373】
異なるワックスを加えて、少なくとも5℃で分離した二重融点を創出し、両方の融点が生成物流通中は凍結しているが、低い方の融点は「高温」の創傷床上に広げられると溶解するようにする。
【0374】
有効性
40%超のフィッシュコラーゲンは、創傷床に構造を構築するのを助ける。
【0375】
5%~13.56%のタラ肝油は、創傷床の生皮を一時的に保護する。
【0376】
技術的作業は、3つの非同心円が重なり合う「スイートスポット」を見つけ、次に、該スイートスポットを、スイートスポットが商業的な操作に足りる大きさになるまで、拡大するのに似ている。
【0377】
実施例25
次の組成物を、次のように調製する。
【表22】
【0378】
結果は以下のとおりである。120°F耐久試験ではかなりの浸潤があった。
【0379】
実施例26
次の実施例を、次の組成物を用いて調製する。
【表23】
【0380】
この実験の結果は以下である。
【0381】
粘度は65,000cPであった
120°F耐久試験では浸潤がなかった。
皮膚に臭気はない。
MCTオイルは8%に増加した
生成物は流動性のペーストである。
レッドパーム濃縮物は0.12%w/w超である
生成物は4つの異なる共晶温度を有する
122°-パルミチン酸アスコルビルが凍結する
112°F-ミツロウが凍結する
98.5°F-モノラウリン/セチルエステルNFが凍結する
約75°F-ココナッツオイルが凍結する
【0382】
この実施例に示されるように、CLO、C8 FFA、およびモノラウリンの調整により、第3の共晶温度が、ヒトの体温よりわずかに高い温度(98.6°F)からわずかに低い温度まで低下する結果となった。この小さな変更は、生成物の安定性という点では軽微であるが、生成物の機能性において重要である。
【0383】
より高い温度では、基質は創傷床の凹凸に流入しない。
【0384】
体温をわずかに下回る温度では、基質は軟化し、すべての創傷床表面と密接に接触するようになる。
【0385】
創傷表面へのこの密着は、物理的シートとして適用され、適用時にすべての表面に触れない皮膚代替物とは明確に異なっている。
【0386】
図8は、コラーゲン基質冷却応答を例示し、4つの共晶温度のうちの3つを示す。このグラフは、当業者に既知の方法によって得た。
【0387】
組成物を、ワックスエステル原料(パルミチン酸アスコルビル、ミツロウス、モノラウリン、およびセチルエステルNF)を溶解するのに十分な温度で混合する。混合物を一定速度で穏やかに攪拌し、その間、表面温度を毎分測定する。温度対冷却時間のランチャートをプロットする。線形冷却速度のゾーンは、最良適合線(最大R2)を適合させることによって識別される。共晶温度は、2本の最良適合線が交差するところである(チャートに示されるとおり)。
【0388】
第4の共晶温度(ココナッツオイル)は、その凝固点が実験室の温度とほぼ同じであり、凝結させるのに数日かかるため、測定が困難である。とはいえ、凍結後の粘度変化は明らかである。
【0389】
実施例24との相違点は以下である。
【0390】
MCTオイルは8%に増加した
FFAは1.3%に減少した
モノラウリンは4.3%に増加した
CLOは11.4%に減少した
トリグリセリド/フィッシュコラーゲン比は1.000である
一見したところ極めて軽微なこれらの差異は重要なものである。
充填温度を100°Fに上昇させる
わずかに高い温度により粘度が低下するが、110Fでは、泡立てた基質から気体が放出され、粘度は500,000cP超に跳ね上がる(「ハードチーズ」)
CLOを減少させて、高浸潤トリグリセリドを減少させる
MCTを増加させて、フィッシュコラーゲンに直接吸収されるオイルを増加させる
FFAを増加させて、粘度を低下させる
ワックスを増加させて、細孔を塞ぐ。
トリグリセリド/フィッシュコラーゲン比は1.000で最適化する
【0391】
共晶温度が様々なコラーゲン組成物により、コラーゲン基質が安定し、貯蔵安定的にし、その機能が支援される。束縛されることを意図するものではないが、溶融物をコラーゲン細孔に注入する。パルミチン酸アスコルビル(0.5%)は、凍結して、溶融物を各細孔に部分的に係止する。ミツロウ(4%)が凍結し、溶融物をさらに係止し、加えて各コラーゲン顆粒をワックスで覆う。モノラウリンおよびセチルエステルNF(6.3%)が凍結する。コラーゲン細孔は密封され、細孔は拡大した結晶によって拡張される。各細孔は膨潤する(より球形の形状)。液体オイルは、凍結したワックスによって細孔内に物理的に閉じ込められる。結果として、液体オイルは、漏出できず、容器の底部で収集できない。液体オイルの漏出は、先行技術における顕著な欠陥である。最後に、ココナッツオイル(10%)が凍結し、球形の脂肪含有コラーゲン粒子の各々を結合して流動性ペーストにする。
【0392】
実施例27
親水コロイドで構成される次の組成物を、次のように調製する。
成分 重量%
MCTオイル 4.8
粗製ココナッツオイル 4.8
ヘンプオイル 1.2
タラ肝油 1.2
カルボキシメチルセルロース 50.0
加工助剤、粘着付与剤、水などのその他の成分 38
【0393】
上記の成分を、周囲温度で加熱器付きの13HZ攪拌器に置く。混合物を130°Fまで攪拌しながら加熱する。温度が130°Fに達したら、試料をさらに15分間混合する。濁り度を測定する。得られた混合物からの液体を24クオートのストックポットに排出し、6ガロンのバケツに収集した。
【0394】
MCT/不飽和トリグリセリドの総和の重量比は2.0であり、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は1.51である。
【0395】
実施例28
次の化合物で構成される次の組成物を調製した。
【0396】
化学 重量%
MCTオイル 32
C8 FFA 0.3
モノラウリン 0.6
セチルエステル 1.0
リドカイン 0.8
RBDパーム油 14.6
ヘンプオイル 25.2
タラ肝油 25.2
【0397】
上記の化合物を、周囲温度で加熱器付きの13HZ攪拌器に置いた。混合物を130°Fまで攪拌しながら加熱した。温度が130°Fに達したとき、試料をさらに15分間混合した。濁り度を測定した。得られた混合物からの液体を24クオートのストックポットに排出し、6ガロンのバケツに収集した。
【0398】
MCT/不飽和トリグリセリドの総和の重量比は0.66であり、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は1.6である。
【0399】
破れた皮膚に対しては、オメガ3およびオメガ6の臭気および皮膚への緩徐な移行が開放創の治癒に有益であるため、MCT/不飽和トリグリセリドの総和は0.5~0.75である。
【0400】
実施例29
次の化合物で構成される次の組成物を調製した。
【0401】
化学 重量%
MCTオイル 40
C8 FFA 0.3
RBDパーム油 18
粗製ココナッツオイル 20
ヘンプオイル 10
タラ肝油 10
モノラウリン 0.6
セチルエステル 1.0
ラベンダーオイル 0.02
レモンオイル 0.08
【0402】
上記の化合物を、周囲温度で加熱器付きの13HZ攪拌器に置いた。混合物を130°Fまで攪拌しながら加熱した。温度が130°Fに達したとき、試料をさらに15分間混合した。濁り度を測定した。得られた混合物からの液体を24クオートのストックポットに排出し、冷却させた。混合物が実行温度まで冷却されたら、ラベンダーオイルおよびレモンオイルの芳香剤を加え、混合した。組成物が均質になった後、混合物を6ガロンのバケツに収集した。
【0403】
MCT/不飽和トリグリセリドの総和の重量比は1.1であり、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は1.5である。
【0404】
実施例30
次の化合物で構成される次の組成物を調製した。
【0405】
化学 重量%
MCTオイル 40
C8 FFA 0.3
レッドパーム濃縮物 0.10
RBDパーム油 20
粗製ココナッツオイル 18
ヘンプオイル 10
タラ肝油 10
モノラウリン 0.6
セチルエステル 1.0
【0406】
上記の化合物を、周囲温度で加熱器付きの13HZ攪拌器に置いた。混合物を130°Fまで攪拌しながら加熱した。温度が130°Fに達したとき、試料をさらに15分間混合した。濁り度を測定した。得られた混合物からの液体を24クオートのストックポットに排出し、6ガロンのバケツに収集した。
【0407】
MCT/不飽和トリグリセリドの総和の重量比は1.0であり、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比は1.9である。
【0408】
上記の好ましい実施形態および実施例は、本発明の範囲および趣旨を説明するために付与した。これらの実施形態および実施例により、他の実施形態および実施例が当業者には明らかとなるであろう。他の実施形態および実施例は、本発明の企図の範囲内である。したがって、本発明は、補正された特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
約10cP~約100cPの範囲の粘度および約20mN/m~約35mN/mの範囲の表面張力を有する油性溶液を含み、タラ肝油、フィッシュコラーゲン、ヘンプシードオイル、モノラウリン、中鎖トリグリセリド(「MCT」)、遊離脂肪酸(「FFA」)、ならびにレッドパーム濃縮物、ココナッツオイル、およびパーム油からなる群から選択される植物油、ならびに海塩および濃厚剤、ならびにセチルエステルで構成され、無水かつ均質である、医薬組成物であって、前記タラ肝油が、約5重量%~約15重量%の範囲の量で存在し、ヘンプオイルが、約15重量%~約10重量%の範囲の量で存在し、MCTが、約6重量%~約12重量%の量で存在し、フィッシュコラーゲンが、約35重量%~約50重量%の範囲の量で存在し、遊離脂肪酸が、約0.5重量%~約1.5重量%で存在し、セチル酸が、約0.8重量%~3重量%で存在し、前記植物油が、8重量%~約30重量%の範囲の量で存在し、前記タラ肝油、ヘンプシードオイル、フィッシュコラーゲン、モノラウリン、海塩、MCT、遊離脂肪酸、および植物油の合計が、前記組成物の約80重量%~約100重量%の範囲であり、MCTとFFAとの重量比が、約5:1~約15:1の範囲であり、海塩が、約0.2重量%~約1重量%で存在し、前記海塩は、平均サイズが約74ミクロン未満である結晶を有し、モノラウリンとセチルエステルとの重量比が、約0.8:~約2.5:1の範囲であり、前記組成物が、不飽和トリグリセリドを含有し、前記MCTと不飽和トリグリセリドとの重量比が、1.0未満であり、前記組成物が、オメガ3およびオメガ6脂肪酸でも構成され、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との重量比が、約1.0~約3.0の範囲であり、ヘンプオイルとタラ肝油との重量比が、約2:1~約1:1の範囲である、組成物。