(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059895
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ビーム障害回復プロシージャのためのリソース割当て
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20240423BHJP
H04W 74/0833 20240101ALI20240423BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20240423BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20240423BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240423BHJP
H04W 72/231 20230101ALI20240423BHJP
H04W 72/232 20230101ALI20240423BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W74/0833
H04W72/1268
H04W72/0446
H04W72/0453
H04W72/231
H04W72/232
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024029073
(22)【出願日】2024-02-28
(62)【分割の表示】P 2023068654の分割
【原出願日】2018-09-20
(31)【優先権主張番号】17193906.9
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タオ ミン-フン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】クゥァン クゥァン
(72)【発明者】
【氏名】シャー リキン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビーム障害回復プロシージャが開始されるのを容易にする移動端末、基地局及び方法を提供する。
【解決手段】移動端末は、ビーム障害回復信号を送信するためのPRACHリソースの構成を受信する送受信機と、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するプロセッサと、を備え、ビーム障害回復プロシージャが、送受信機がPRACHリソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。構成は、PRACHリソースが有効である時間期間を示すタイマと、複数のPRACHリソースのうちのサブセット中のPRACHリソースの数を示す標識と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時に、ビーム障害回復信号を送信するための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースの構成を受信する送受信機と、
動作時に、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャ(BFR)を開始するプロセッサと、
を備え、
前記ビーム障害回復プロシージャが、前記送受信機が前記PRACHリソースを使用して前記ビーム障害回復信号を送信することを含み、
前記構成は、前記PRACHリソースが有効である時間期間を示すタイマと、複数のPRACHリソースのうちのサブセット中のPRACHリソースの数を示す標識と、を含み、
前記送受信機は、動作時、前記送信に使用する前記PRACHリソースを、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な前記複数のPRACHリソースのうち、前記標識に基づいて、前記サブセットに制限し、
前記タイマがカウントダウンされた結果失効した場合、前記PRACHリソースの使用が不可になる、
移動端末。
【請求項2】
前記複数のPRACHリソースのうちの前記サブセットが、
・ 前記移動端末によって前記複数のアップリンクビーム上で送信されるアップリンク参照信号またはサウンディング参照信号(SRS)と、
・ 前記基地局によって前記複数のダウンリンクビーム上で送信されるダウンリンク参照信号またはCSI-RSの測定値に関する前記移動端末による、報告またはチャネルステータス情報(CSI)報告と、
のうちの少なくとも一方に基づいて前記移動端末に排他的に割り当てられる、
請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記複数のPRACHリソースのうちの前記サブセットを形成するPRACHリソースの数が、1つ、2つ、または3つのPRACHリソースに対応する、
請求項1または2に記載の移動端末。
【請求項4】
前記複数のPRACHリソースのうちの前記サブセットを形成するPRACHリソースの数が、前記移動端末の低レートの位置変化と高レートの位置変化とを区別する前記移動端末のモビリティ状態に対応する、
請求項1または2に記載の移動端末。
【請求項5】
前記移動端末の前記モビリティ状態が、
・ 時間期間にわたって前記基地局によって前記移動端末に送信される前記ダウンリンクビームについての再構成コマンドの数と、
・ 時間期間にわたる前記移動端末中での位置決め測定から決定されて前記基地局にシグナリングされる位置変化の回数と、
のうちの少なくとも一方に基づいて決定される、
請求項4に記載の移動端末。
【請求項6】
前記標識が、
・ 無線リソース構成(RRC)メッセージと、
・ 媒体アクセス制御(MAC)制御エレメント(CE)と、
・ ダウンリンク制御情報(DCI)と、
のうちの少なくとも1つの中で受信される、請求項1に記載の移動端末。
【請求項7】
前記PRACHリソースの前記構成が、
・ 無線リソース構成(RRC)接続再構成もしくはRRC接続セットアップメッセージと、
・ ダウンリンク媒体アクセス制御(MAC)制御エレメント(CE)と、
・ ダウンリンク制御情報(DCI)と、
・ パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)の制御プロトコルデータユニット(PDU)と、
のうちの1つを介して受信されることを含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の移動端末。
【請求項8】
PRACHリソースの前記構成が、新しい構成が受信されるまで有効である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の移動端末。
【請求項9】
前記送受信機が、動作時、前記ビーム障害回復プロシージャのためのPRACHリソースの構成を前記基地局が(再)開始するための標識を送信し、前記PRACHリソースの構成を(再)開始するための前記標識が、
・ しきい値未満のサービングダウンリンクビームの品質または電力をシグナリングするチャネルステータス情報(CSI)報告と、
・ 前記PRACHリソースの構成を(再)開始するよう求める明示的な要求をシグナリングする、RRCメッセージまたはアップリンクMAC CEのいずれかの形の個別送信と
のうちの少なくとも一方である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の移動端末。
【請求項10】
ビーム障害回復信号を送信するための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースの構成を受信するステップと、
ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャ(BFR)を開始するステップと、
を含み、
前記ビーム障害回復プロシージャが、前記PRACHリソースを使用して前記ビーム障害回復信号を送信することを含み、
前記構成は、前記PRACHリソースが有効である時間期間を示すタイマと、複数のPRACHリソースのうちのサブセット中の個別アップリンクリソースの数を示す標識と、を含み、
前記送信に使用する前記PRACHリソースを、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な前記複数のPRACHリソースのうち、前記標識に基づいて、前記サブセットに制限し、
前記タイマがカウントダウンされた結果失効した場合、前記PRACHリソースの使用が不可になる、
方法。
【請求項11】
動作時に、ビーム障害回復信号を移動端末が送信するための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースの構成を送信する送受信機と、
動作時に、ビーム障害回復プロシージャ(BFR)を実施するプロセッサと、
を備え、
前記ビーム障害回復プロシージャは、前記送受信機が、前記PRACHリソースを使用した前記ビーム障害回復信号を前記移動端末から受信することを含み、
前記構成は、前記PRACHリソースが有効である時間期間を示すタイマと、複数のPRACHリソースのうちのサブセット中のPRACHリソースの数を示す標識と、を含み、
前記PRACHリソースが、基地局によって前記移動端末に排他的に割り当てられることが可能な前記複数のPRACHリソースのうきひょうしきにもとづいて前記サブセットに制限され、
前記タイマがカウントダウンされた結果失効した場合、前記PRACHリソースの使用が不可になる、
基地局。
【請求項12】
動作時に、ビーム障害回復信号を移動端末が送信するための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースの構成を送信するステップと、
動作時に、ビーム障害回復プロシージャ(BFR)を実施するステップと、
を備え、
前記ビーム障害回復プロシージャは、前記PRACHリソースを使用した前記ビーム障害回復信号を前記移動端末から受信することを含み、
前記構成は、前記PRACHリソースが有効である時間期間を示すタイマと、複数のPRACHリソースのうちのサブセット中のPRACHリソースの数を示す標識と、を含み、
前記PRACHリソースが、基地局によって前記移動端末に排他的に割り当てられることが可能な前記複数のPRACHリソースのうち、前記標識に基づいて、前記サブセットに制限され、
前記タイマがカウントダウンされた結果失効した場合、前記PRACHリソースの使用が不可になる、
方法。
【請求項13】
移動端末の処理を制御する集積回路であって、前記処理が、動作時、
ビーム障害回復信号を送信するための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースの構成を受信する処理と、
ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャ(BFR)を開始する処理と、
を含み、
前記ビーム障害回復プロシージャが、前記ランダムアクセスチャネルリソースを使用して前記ビーム障害回復信号を送信することを含み、
前記構成は、前記ランダムアクセスチャネルリソースが有効である時間期間を示すタイマと、複数のランダムアクセスチャネルリソースのうちのサブセット中のランダムアクセスチャネルリソースの数を示す標識と、を含み、
前記送信に使用する前記ランダムアクセスチャネルリソースを、基地局によって前記移動端末に排他的に割り当てられることが可能な前記複数のランダムアクセスチャネルリソースのうち、前記標識に基づいて、前記サブセットに制限する処理を含み、
前記タイマがカウントダウンされた結果失効した場合、前記ランダムアクセスチャネルリソースの使用が不可になる、
集積回路。
【請求項14】
基地局の処理を制御する集積回路であって、前記処理が、動作時、
動作時に、ビーム障害回復信号を移動端末が送信するための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースの構成を送信する処理と、
ビーム障害回復プロシージャ(BFR)を実施する処理と、
を含み、
前記ビーム障害回復プロシージャは、前記PRACHリソースを使用した前記ビーム障害回復信号を前記移動端末から受信することを含み、
前記構成は、前記PRACHリソースが有効である時間期間を示すタイマと、複数のPRACHリソースのうちのサブセット中のPRACHリソースの数を示す標識と、を含み、
前記PRACHリソースが、前記基地局によって前記移動端末に排他的に割り当てられることが可能な前記複数のPRACHリソースのうち、前記標識に基づいて、前記サブセットに制限され、
前記タイマがカウントダウンされた結果失効した場合、PRACHコンテンションフリーリソースの使用が不可になる、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動端末が、移動通信システム中で基地局と通信しているときにダウンリンクビーム障害イベントを検出したのに応答してビーム障害回復信号を送信するための、アップリンクリソース割当てに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))は、第5世代(5G)とも呼ばれる次世代セルラー技術に関する技術仕様の次リリース(リリース15)に焦点を合わせている。
【0003】
3GPP技術仕様グループ(TSG)無線アクセスネットワーク(RAN)ミーティング#71(ヨーテボリ、2016年3月)において、RAN1、RAN2、RAN3、およびRAN4を含む最初の5G検討項目「Study on New Radio Access Technology(新しい無線アクセス技術の検討)」が承認されたが、これは、最初の5G規格を定義するリリース15作業項目(WI)になると予想される。
【0004】
5G新無線(NR)の目的の1つは、エンハンストモバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼低レイテンシ通信(URLLC)、マッシブマシンタイプ通信(mMTC)を少なくとも含む、非特許文献1(www.3gpp.orgで入手可能であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において定義されるすべての使用シナリオ、要件、および展開シナリオに対処する単一の技術フレームワークを提供することである。
【0005】
例えば、eMBB展開シナリオは、屋内ホットスポット、密集都市、郊外、都市部広域、および高速を含み得る。URLLC展開シナリオは、産業制御システム、モバイルヘルスケア(リモート監視、診断、および治療)、車両のリアルタイム制御、スマートグリッドのための広域監視制御システムを含み得る。mMTCは、スマートウェアラブルおよびセンサネットワークなど、時間クリティカルでないデータ転送を用いる多数のデバイスを伴うシナリオを含み得る。
【0006】
別の目的は、将来の使用ケース/展開シナリオを予期した前方互換性である。Long Term Evolution(LTE)に対する後方互換性は必要とされず、このことは、完全に新しいシステム設計、および/または新規特徴の導入を容易にする。
【0007】
NR検討項目に関する技術報告の1つ(非特許文献2)において要約されているように、基本的な物理レイヤ信号波形は、直交周波数分割多重化(OFDM)に基づくことになる。ダウンリンクとアップリンクの両方で、サイクリックプレフィックス使用OFDM(CP-OFDM)ベースの波形がサポートされる。少なくとも40GHzまでのeMBBアップリンクについては、CP-OFDM波形に対する補足として離散フーリエ変換(DFT)拡散OFDM(DFT-S-OFDM)ベースの波形もサポートされる。
【0008】
NR検討項目に関する別の技術報告(非特許文献3)において要約されているように、マルチアンテナ方式が、ビーム管理プロシージャのセットに依拠する。このプロシージャにより、送受信ポイント(TRP)および/またはUEは、ビーム決定、ビーム測定、ビーム報告、およびビームスイーピングを含めて、DLおよびUL送信/受信に使用できるビームのセットを取得および維持することができる。
【0009】
NRにおける設計ターゲットの1つは、ダウンリンクとアップリンクの両方でシングルユーザおよびマルチユーザMIMOをサポートする基地局によるカバレッジを増大させながら、基本的な物理レイヤ信号波形を通信において利用することである。この目的で、3GPP TSG RAN1 WG1ミーティング#89(中華人民共和国、杭州、2017年5月15~19日)において、ビーム障害が検出された場合のビーム障害回復メカニズムを含むビーム管理プロシージャを採用することが合意された。このメカニズムは、上位レイヤにおける無線リンク障害プロシージャとは別である。
【0010】
「ダウンリンク」という用語は、上位ノードから下位ノードへ(例えば、基地局から中継ノードまたはUEへ、中継ノードからUEへ、等)の通信のことを指す。「アップリンク」という用語は、下位ノードから上位ノードへ(例えば、UEから中継ノードまたは基地局へ、中継ノードから基地局へ、等)の通信のことを指す。「サイドリンク」という用語は、同レベルのノード間(例えば、2つのEU間、または2つの中継ノード間、または2つの基地局間)の通信のことを指す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】3GPP TSG RAN TR 38.913 v14.1.0, "Study on Scenarios and Requirements for Next Generation Access Technologies", Dec. 2016
【非特許文献2】3GPP TSG TR 38.801 v2.0.0, "Study on New Radio Access Technology; Radio Access Architecture and Interfaces", March 2017
【非特許文献3】3GPP TSG TR 38.802 V2.0.0, "Study on New Radio (NR) Access Technology; Physical Layer Aspects"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ある非限定的で例示的な実施形態は、ロバストな(信頼できる)方式で、すなわち個別アップリンク無線リソースをより効率的に(状況依存的に)利用することによって、ビーム障害回復プロシージャが開始されるのを容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ある一般的な態様では、本明細書で開示される技法は、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で基地局と通信するための移動端末を特色とし、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この移動端末は、動作時に、ビーム障害回復信号を送信するための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信する送受信機と、動作時に、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するプロセッサとを備え、ビーム障害回復プロシージャは、送受信機が、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0014】
一般的または具体的な実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして実装され得ることに留意されたい。
【0015】
開示される実施形態の追加の利益および利点が、本明細書および図から明らかであろう。これらの利益および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得られてよく、そのような利益および/または利点のうちの1つまたは複数を得るために実施形態および特徴のすべてが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】移動端末および基地局の構造を示すブロック図である。
【
図2】一般的な展開シナリオにおける4ステップのビーム障害回復プロシージャのコンテキストでのビーム障害回復プロシージャ開始を例証する概略図である。
【
図3】3GPP NR展開シナリオにおける4ステップのビーム障害回復プロシージャのコンテキストでのビーム障害回復プロシージャ開始を例証する概略図である。
【
図4】3GPP NR展開シナリオにおける2ステップのビーム障害回復プロシージャのコンテキストでのビーム障害回復プロシージャ開始を例証する概略図である。
【
図5】ビーム障害回復プロシージャの開始のための物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)における個別アップリンク無線リソースを概略的に例証する図である。
【
図6】ビーム障害回復プロシージャの開始のための物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)における個別アップリンク無線リソースを概略的に例証する図である。
【
図7a】3GPP NR展開シナリオにおけるダウンリンクビーム障害の主要な原因を例証する概略図である。
【
図7b】3GPP NR展開シナリオにおけるダウンリンクビーム障害の主要な原因を例証する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
別の一般的な態様では、本明細書で開示される技法は、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で基地局と通信するための別の移動端末を特色とし、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性を有する。この移動端末は、動作時に、ビーム障害回復信号を送信するための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信する送受信機と、動作時に、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するプロセッサとを備え、ビーム障害回復プロシージャは、送受信機が、上記割当ての個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0018】
さらに他の一般的な態様では、本明細書で開示される技法は、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で基地局と通信するように構成された移動端末によって実施される、ビーム障害回復プロシージャを開始するための方法を特色とし、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この方法は、ビーム障害回復信号を送信するための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信するステップと、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するステップとを含み、ビーム障害回復プロシージャは、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0019】
さらに別の一般的な態様では、本明細書で開示される技法は、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して基地局と通信するように構成された移動端末によって実施される、ビーム障害回復プロシージャを開始するための別の方法を特色とし、アップリンクビームおよびダウンリンクビームのそれぞれは、異なる指向性を有する。この方法は、ビーム障害回復信号のための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信すること、および、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始することを含み、ビーム障害回復プロシージャは、上記割当ての個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0020】
TR38.913において識別されるように、NRに関する様々な使用ケース/展開シナリオは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジの点で種々の要件を有する。これらの要件を念頭に置けば、NRは、LTEと比較してさらにより高いカバレッジを目指すべきである。
【0021】
3GPP RAN1#85では、カバレッジを保証するための重要な技術として、ビームベースの送信がNRに関して広範に論じられた。ビーム管理については、TRP内とTRP間の両方のビームフォーミングプロシージャが考察されることが合意され、ビームフォーミングプロシージャは、TRPビームフォーミング/ビームスイーピングあり/なし、およびUEビームフォーミング/ビームスイーピングあり/なしで、以下の潜在的な使用ケース、すなわち、UE移動、UE回転、ビームブロッキング(TRPにおけるビームの変化およびUEにおける同じビーム、TRPにおける同じビームおよびUEにおけるビームの変化、または、TRPにおけるビームの変化およびUEにおけるビームの変化)に従って考察されるが、他のケースも排除されない。さらに、事前取得されたビーム情報あり/なしの、ビーム(例えば、TRPビームおよび/またはUEビーム)管理プロシージャ(例えば、ビーム決定および変更プロシージャ)、すなわちデータと制御の両方の送信/受信についてのプロシージャを検討することも合意された。プロシージャは、データと制御とについて同じである場合とそうでない場合がある。
【0022】
その後、RAN1#88では、以下の合意に達した。すなわち、ビーム障害イベントは、関連する制御チャネルのビームペアリンクの品質が十分に低下したときに発生する(例えば、しきい値との比較、関連するタイマの時間切れ)。ビーム障害が発生したとき、ビーム障害から回復するためのメカニズムがトリガされる。注:ビームペアリンクは、便宜上使用されるものであり、仕様において使用される場合もあり、そうでない場合もある。以下の事項は、継続検討FFS(for further study)のままとなった。すなわち、NR-PDSCHに関連するビームペアリンクの品質を、品質が追加的に含むことができるかどうか;複数のY個のビームペアリンクが構成されたときに、Y個のビームペアリンクのうちのX(≦Y)個が一定のしきい値を下回ってビーム障害条件を満たせばビーム障害が宣言され得ること;関連するNR-PDCCHのサーチスペース(UE固有対共通);UEがNR-PDCCHについての複数のビームペアリンクを監視するように構成された場合にNR-PDCCHについてのシグナリングメカニズムがどんなものか、である。さらに、このようなしきい値の正確な定義はFFSであり、このようなメカニズムをトリガするための他の条件も排除されない。
【0023】
また、UEによってビーム障害を検出するため、およびUEによって新しい潜在的なビームを識別するために、以下の信号を構成できることも合意されたが、信号への参照はFFSのままである。信号は、例えば、ビーム管理のためのRS、ファインタイミング/周波数トラッキングのためのRS、SSブロック、PDCCH(グループ共通PDCCHおよび/またはUE固有PDCCHを含む)のDM-RS、PDSCHのDM-RSである。ビーム障害イベントが発生し、新しい潜在的なビームがUEによってサービングセル中で検出されなかった場合、UEがL3に標識を提供するか否か、またこの標識が無線リンク障害イベントにリンクするか否かはFFSのままである。注:無線リンク障害を宣言するための基準は、RAN2が決めることである。また、このような標識の必要性もFFSである。NRは、RACHおよび/もしくはFFSスケジューリング要求を含むシンボル中で、または他の示されるシンボル中で、回復目的の要求を送るためのリソースを構成することをサポートする。
【0024】
次いで、RAN1#88Bisでは、UEビーム障害回復メカニズムが以下の側面を含むことが合意された。すなわち、ビーム障害の検出、新しい候補ビームの識別、ビーム障害回復要求の送信であり、UEは、ビーム障害回復要求に対するgNBの応答を監視する。ビーム障害の検出では、UEは、ビーム障害検出RSを監視して、ビーム障害トリガ条件が満たされたかどうかを評価する。ビーム障害検出RSは、ビーム管理のための周期的なCSI-RSを少なくとも含み、ビーム管理においてサウンディング信号SS-ブロックも使用される場合は、サービングセル内のSS-ブロックが考慮されることが可能である。しかし、ビーム障害を宣言するためにどんなトリガ条件があるかはFFSのままにされている。
【0025】
新しい候補ビームの識別に関しては、UEがビーム識別RSを監視して新しい候補ビームを見つけることも合意された。ビーム識別RSは、NWによって構成される場合は、ビーム管理のための周期的なCSI-RSを含み、かつ/または、ビーム管理においてSS-ブロックも使用される場合は、周期的なCSI-RSとサービングセル内のSS-ブロックとを含む。
【0026】
ビーム障害回復要求の送信に関しては、ビーム障害回復要求によって搬送される情報が以下のうちの少なくとも一方を含むことも合意された。すなわち、UEを識別することと新規gNB TXビーム情報とに関する明示的/非明示的な情報と、UEを識別することと新しい候補ビームが存在するか否かとに関する明示的/非明示的な情報と、のうちの少なくとも一方である。UEビーム障害を示す情報、および追加情報、例えば新しいビームの品質は、FFSのままにされた。ビーム障害回復要求の送信のための、チャネル間の選択範囲限定が、PRACH、PUCCH、PRACH様(例えば、プリアンブルシーケンスのパラメータがPRACHとは異なる)を含むことが合意された。ビーム障害回復要求リソース/信号は、追加的に、スケジューリング要求に使用されてもよい。
【0027】
これに関して、UEは、制御チャネルサーチスペースを監視してビーム障害回復要求に対するgNBの応答を受信するが、制御チャネルサーチスペースが、サービングBPLに関連する現在の制御チャネルサーチスペースと同じである可能性があるか異なる可能性があるか、および/または、gNBがビーム障害回復要求送信を受信しなかった場合にどんなUEの反応がさらにあるかは、FFSである。
【0028】
このように、上で論じたビーム障害回復プロシージャは、ダウンリンクビーム障害イベント後にUEとgNB(すなわちTRP)との間の接続を再確立する効率的な方法、すなわち無線リンク障害を上位レイヤに宣言する必要なしに再確立する方法を容易にすると結論づけられよう。しかしながら、このビーム障害回復プロシージャは、無線リンク障害イベントがトリガされる前に素早くUEが行動できるようにする手段をプロシージャが提供する場合にのみ、うまくいくことが認識されていた。
【0029】
言い換えれば、ビーム障害後の回復の概念は、UEがダウンリンクビームについてのビーム障害を検出した後、gNBとUEとの間の通信を回復するのに使用できる代替(すなわち候補)ダウンリンクビームをUEがgNBに対して示すというプロシージャの上に成り立つ。したがって、このプロシージャは、UEが代替(すなわち候補)ダウンリンクビームをgNBに対して示すことがまだできることに依拠する。しかしこれは、ダウンリンクビーム障害が発生した後の短い時間期間にわたってしか可能でない。
【0030】
したがって、本開示の非限定的な例示的実施形態の1つは、ダウンリンクビームとアップリンクビームとの間の内在的な対応の結果として生じるどんな悪化影響も回避するために、UEがビーム障害回復プロシージャをできるだけ素早く開始することによってビーム障害検出イベントに応答するのを可能にすることになるロバストなメカニズムを提案する。
【0031】
提案されるロバストなメカニズムは、gNBとUEとの間の通信におけるビーム障害の発生源または原因に目を向けるとき、さらによりよく理解することができる。この理解は一般に、以下のシナリオに制限されないが、3GPP NRの展開シナリオ、すなわち、指向性および/またはカバレッジを改善するためにビームの概念が導入される場合のシナリオに基づく。これは、3GPP NRが動作するように意図される、想定される非常に高い周波数帯域(ミリ波)に鑑みて、特に有利である。
【0032】
図7aおよび7bに示すように、gNBは、複数のビーム(例えば、ビーム#0~ビーム#4)上で通信するように構成されることが可能である。これは、UEによる初期アクセスに必要である。gNBとUEとの間の接続を確立した後、gNBは、単一のビーム(「ダウンリンクサービングビーム」または「ダウンリンクビーム」と称される)上のダウンリンクを用いてUEにサーブする。とはいえ、複数ビームシナリオ、すなわち、例えば容量を増大させるために、gNBが2つ以上の別々のビームを介したダウンリンクを用いてUEにサーブするシナリオも、想定される可能性があることを理解されたい。
【0033】
同様に、UEは、複数のビーム(例えば、ビーム#0~ビーム#4)上で通信するように構成されることが可能である。これも、UEによる初期アクセスに等しく必要である。接続を確立した後は、UEは、やはり単一のビーム(「アップリンクサービングビーム」または「アップリンクビーム」と称される)上のアップリンクを用いてgNBへのアップリンクトラフィックを送っている。しかし、この単一のアップリンクサービングビームは、ダウンリンクがサーブされるビームと同じとは限らない。アップリンクでもまた、複数ビームシナリオが想定される可能性があり、したがって、本開示はどんな点においても限定されないものと解釈されたい。
【0034】
一般に、ダウンリンクとアップリンクのサービングビームのペアは、gNBとUEとの間のダウンリンクおよびアップリンク通信に適した特性を有すると仮定することができる。多くの場合、ダウンリンクサービングビームとアップリンクサービングビームのペア間に指向性の対応があること、すなわち、ダウンリンクとアップリンクのサービングビームのペアは逆の方向および同様のカバレッジを有するビームであることは、容易に理解することができる。
【0035】
このコンテキストで、3GPP NRにおけるgNBが1つまたは複数のTRP(送信/受信ポイント、またはTx/Rxポイント)を用いて構成され、各TRPが、特定の方向および特定のカバレッジを有するダウンリンクおよび/またはアップリンクサービングビームにリンクされることに言及するものとする。したがって、マルチビーム構成では、gNBは必然的に、1つよりも多いTRPを用いて構成されることになる。すなわち、異なる方向および/またはカバレッジを有するビームを送信/受信できるように構成されることになる。
【0036】
ビーム障害の発生源または原因に戻るが、ビーム障害の主要な原因の1つ(
図7a参照)は、gNBとUEとの間およびその逆におけるサービングビームの伝搬を妨げる障害物であることが、図からすぐに導出される。ビーム障害の別の主要な原因(
図7b参照)は、UEがgNBに対して移動し、その結果、ビームが不適切な方向に伝搬することである。
【0037】
このように理解した上で、しかしこれらの主要な原因は両方とも、必ずしもダウンリンクとアップリンクのサービングビームのペアに同様にして影響を及ぼすとは限らないことを認識することができる。言い換えれば、アップリンク通信にサーブするビームの方向以外の方向のビーム上でダウンリンク通信がサーブされる場合、ダウンリンクビームとアップリンクビームのうちの一方のみがビーム障害を被っていることは大いにあり得る。
【0038】
さらに、障害物とgNBとの間の距離に対して、障害物とUEとの間の距離がより近い場合に、アップリンクサービングビームは近い距離でビーム障害を被らないが、ダウンリンクサービングビームはより遠い距離でビーム障害を被る、という場合もあり得る。
【0039】
したがって、ビーム障害回復プロシージャの必要があること、すなわち、ダウンリンクサービングビームはビーム障害を被るがアップリンクサービングビームは依然として動作するという状況でこの必要があることが、容易に認識された。この状況では、ダウンリンク通信にサーブするための代替(すなわち候補)ダウンリンクビームを示すビーム障害回復要求が、UEによって送られてよい。
【0040】
本開示は、ダウンリンクビーム障害イベントの検出にUEが応答できるようにするとともに、ビーム障害回復プロシージャの開始のためにブロックされる(割り振られる)アップリンク無線リソースの量を削減する、ロバストなメカニズムを提供する。このメカニズムは、ビーム障害回復プロシージャがコンテンションフリー物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースまたはコンテンションフリー物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースに依拠する場合の、3GPP NRにおける提言されるシナリオに特に適する。
【0041】
このシナリオから明らかなように、ビーム障害回復プロシージャにコンテンションフリーPRACHまたはPUCCHリソースを使用することは、利点ならびに欠点を有する。アップリンクビーム上でコンテンションフリーリソースに依拠すると、ビーム障害イベントがダウンリンクビームについて検出されたことをgNBにシグナリングするためのUEによる迅速なアクセスが容易になる。しかし、いつ、どの指向性条件下で無線リンク障害が検出されるかは不確実であるため、UEは、ビーム障害回復プロシージャをうまく開始するために、UEに対する潜在的に利用可能なすべての組合せが割り当てられなければならないことになる。
【0042】
この不確実性の結果、各UEは、提案されるコンテンションフリー物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)リソースまたはコンテンションフリー物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースの場合には特に、膨大な量の個別アップリンク無線リソースをブロックすることになる。各gNBによってサーブされることになる想定される多数のUEに鑑みて、この結果、他の目的に使用できない個別アップリンク無線リソースのオーバーヘッドが大きくなる。したがって、このアプローチは、リソース(特に、乏しいリソース)が近い将来にUE中で使用されることが必要とされ予想される場合にのみリソースがgNBによって割り当てられる(したがってブロックされる)ことになる既存の設計原理と、明確に対立する。
【0043】
本開示は、これらの欠点を緩和するための解決法でありながらもなお、ロバストな(信頼できる)方式で、すなわち個別アップリンク無線リソースをより効率的に(状況依存的に)利用することによって、ビーム障害回復プロシージャが開始されるのを可能にする解決法を提供する。
【0044】
一般に、本開示は、潜在的に利用可能なすべてのコンステレーションについてではなく、ビーム障害が検出された場合に遭遇すると(実際に)予想される、関連性のあるコンステレーションのみについて、個別アップリンク無線リソースを利用してビーム障害回復プロシージャを開始するためのデバイスおよび方法を提供する。関連性のあるコンステレーションは時間とともに変化し得るので、個別アップリンク無線リソースは、大きいシグナリングオーバーヘッドを被ることなくフレキシブルに(再)割当てされることが可能である。
【0045】
この目的で、gNBが、ビーム障害回復プロシージャの開始に専用にされたアップリンク無線リソースを、制限的に、ただし効率的にUEに割り当てることが提言される。すなわちこれは、gNBによってUEに排他的または非排他的に割り当てられることが可能な、潜在的に利用可能なすべてのアップリンクビームのサブセットのみに、ビーム障害回復信号のシグナリングを制限することによって、行われる。個別アップリンク無線リソースをサブセットに、例えば、最大10個などの潜在的に利用可能なアップリンクビームのうちの1つ、2つ、または3つのアップリンクビームに制限した後は、これらの個別アップリンク無線リソースをブロックしてもワイヤレス通信システムの動作を損なうことがはるかに少ない。
【0046】
とりわけ、これは、ビーム障害回復信号が完全なビームスイーピング方式で(すなわち、潜在的に利用可能なすべてのアップリンクビームをビーム障害回復信号の送信に連続的に利用して)送信される、ビーム障害回復プロシージャの代替アプローチとは効果的に対照をなす。このビームスイーピングには、潜在的に利用可能なすべてのアップリンクビーム上で個別アップリンク無線リソースを割り当てる(したがってブロックする)ことが必要とされるであろう。
【0047】
加えて、これらの個別アップリンク無線リソースを(再)割当てするための効率的なメカニズムであって、gNBが最も適切な個別アップリンク無線リソースのみをUEに確実に割り当てるようにすることができるメカニズムを採用することが提言される。各(実際の)状況につき、UEは依然として、ダウンリンクビーム障害イベントの検出時にビーム障害回復プロシージャを開始できなければならない。このコンテキストでは、個別アップリンク無線リソースの(再)割当てが所与の時間期間後に失効した場合、または個別アップリンク無線リソースの(再)割当てが周期的に更新された場合には、ブロックするのを低減するのが有利であることがある。
【0048】
図1は、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して相互と通信する移動端末110と基地局160とを含むワイヤレス通信システムのブロック図を例証する。言い換えれば、移動端末110と基地局160との間の通信は、ダウンリンクとアップリンクの(サービング)ビームのペア150上で行われている。
【0049】
本開示のコンテキストで、ビームという用語は、特定の(所定の)指向性および/またはカバレッジを有すると解釈されたい。各アップリンクビームならびに各ダウンリンクビームは、異なる指向性および/またはカバレッジを有し、その結果、送信機は、異なる(空間的)位置にある受信機に信号を送信することができる。言い換えれば、各アップリンクビームならびに各ダウンリンクビームは、異なる空間パラメータ(例えば、利得および/またはビーム幅)を有する。
【0050】
移動端末110は送受信機120を備え、送受信機120は、動作時、ビーム障害回復(BFR)プロシージャのために、ビーム障害回復信号を送るための個別アップリンク無線リソースの割当てを基地局160から受信する。さらに、移動端末110はプロセッサ130を備え、プロセッサ130は、動作時、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始する。ビーム障害回復プロシージャは、送受信機120が、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を基地局160に送信することを含む。
【0051】
とりわけ、移動端末110に割り当てられる個別アップリンク無線リソースは、基地局160によって排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに送信を制限する。これにより、個別アップリンク無線リソースのすべてではなくサブセットのみが、別の移動端末によって排他的な方式で使用されなくなる。
【0052】
別法として、移動端末110に割り当てられる個別アップリンク無線リソースは、基地局160によって非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに送信を制限する。これにより、ここでもまた、個別アップリンク無線リソースのすべてではなくサブセットのみが、別の移動端末によって非排他的な方式で使用されなくなる。
【0053】
本開示のコンテキストでは、アップリンクビーム上の個別アップリンク無線リソースの排他的割当てと非排他的割当てとが区別される。排他的割当ては、同じ時間期間にわたって、同じアップリンクビームを含めた同じ個別アップリンク無線リソースが他のどの移動端末にも割り当てられないという意味で解釈されるべきである。対照的に、非排他的割当ては、同じ時間期間にわたって、同じアップリンクビームを含めた同じ個別アップリンク無線リソースが他の移動端末に割り当てられる可能性があるという意味で解釈されるべきである。
【0054】
基地局160は送受信機170を備え、送受信機170は、動作時、ビーム障害回復(BFR)プロシージャのために、ビーム障害回復信号を移動端末110が送るための個別アップリンク無線リソースの割当てを移動端末110に送信する。さらに、基地局160はプロセッサ180を備え、プロセッサ180は、動作時、送受信機170が割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用したビーム障害回復信号を移動端末110から受信するのに応答して、ビーム障害回復プロシージャを実施する。
【0055】
とりわけ、ここでもまた、基地局160によって割り当てられる個別アップリンク無線リソースは、移動端末110に排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに送信を制限する。これにより、個別アップリンク無線リソースのすべてではなくサブセットのみが、別の移動端末によって排他的な方式で使用されなくなる。
【0056】
別法として、基地局160によって割り当てられる個別アップリンク無線リソースは、移動端末110に非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに送信を制限する。これにより、ここでもまた、個別アップリンク無線リソースのすべてではなくサブセットのみが、別の移動端末によって非排他的な方式で使用されなくなる。
【0057】
ビーム障害回復プロシージャの開始、特に個別アップリンク無線リソースの割当てについて、
図2に関してさらに詳細に説明する。特に、この図は、本開示を例示的な4ステップのビーム障害回復プロシージャのコンテキストで表している。とりわけ、本開示は、いかなる点においても限定されないものと解釈されたい。
【0058】
図2では、移動端末110(UEとも称される)と基地局160(gNBとも称される)が、ダウンリンクとアップリンクの(サービング)ビーム150のペアを使用してワイヤレス通信ネットワーク中で通信している。特に、ダウンリンクビームとアップリンクビームのペアは、移動端末110中で基地局160によって構成できる複数のダウンリンクビームのうちの1つと複数のアップリンクビームのうちの1つとである。
【0059】
ビーム障害回復プロシージャのために、個別アップリンク無線リソースが基地局160によって移動端末110に割り当てられる(
図2 S01)。前に触れたように、これらのアップリンク無線リソースの割当ては、ビーム障害回復シグナリングと共に使用されるのに専用にされる。言い換えれば、このようにアップリンク無線リソースを専用にすることにより、アップリンク無線リソースが異なるコンテキストで使用されないようにすることができる。いずれの場合でも、アップリンク無線リソースを専用にすることで、基地局160は、個別アップリンク無線リソース上でビーム障害回復シグナリングを受信したときに、関連する機能を識別(認識)して開始する(すなわちビーム障害回復プロシージャを開始する)ことができる。
【0060】
加えて、個別アップリンク無線リソースの割当ては、ビーム障害回復プロシージャの目的で移動端末110の識別情報(例えば、無線ネットワーク端末識別子(RNTI))をビーム障害回復プロシージャの後続メッセージに含めるよう移動端末110に命じる基地局160からの命令を含んでもよい。これは、個別アップリンク無線リソースが移動端末110に排他的にではなく非排他的に割り当てられる場合に特に有利な可能性があるが、これについては後でさらに論じる。
【0061】
その後、移動端末110は、ダウンリンク(DLとも称される)ビーム障害イベント、すなわち、基地局160と移動端末110とがそれを介して相互と通信しているビームペア150のうちのダウンリンク(サービング)ビームについてのビーム障害を検出する。ビーム障害の2つの主要な原因、すなわち障害物およびUE移動については、上ですでに論じた。
【0062】
さらに、移動端末110がダウンリンク(サービング)ビームについてのビーム障害イベントを検出するための方法は多くあり、例えば、この(サービング)ダウンリンクビーム上の参照信号受信電力RSRPまたは参照信号受信品質RSRQを測定し、測定値が所与のしきい値を下回ったと決定することによる方法がある。移動端末110がダウンリンク(サービング)ビームについてのビーム障害イベントを検出するための他の方法は、所与の(カウントダウン)タイマの経過を含み得る。すなわち、所与の(カウントダウン)タイマによって定義される時間期間内に周期的な制御データおよび/またはユーザデータが受信されなかったときである。
【0063】
これに関して、ビーム障害イベントは、移動端末110中で直接的に(すなわち測定によって)または間接的に(すなわちタイマの経過によって)検出され得るイベントとして理解することができる。
【0064】
ダウンリンクビーム障害イベントの検出に応答して、移動端末110は、ビーム障害回復信号を基地局160に送信する(
図2 S02)。とりわけ、ビーム障害回復信号は、上述の割り当てられた個別アップリンク無線リソースを使用する。すでに前に触れたように、個別アップリンク無線リソースが使用されることにより、基地局160は、関連する機能をすぐに識別(認識)して開始する(すなわちビーム障害回復プロシージャを開始する)ことができる。
【0065】
アップリンクビーム数が、障害回復信号が送信される際に使用されるサブセットを形成するアップリンクビーム数よりも多い場合は、移動端末110は、この信号をビームスイーピング方式で送信してもよい。しかしこれは、利用可能かもしれないすべてのアップリンクビームのサブセットへの制限により、完全な(部分的でない)ビームスイーピング方式で送信されるビーム障害回復信号よりも効率的である。
【0066】
最も重要なのは、個別アップリンク無線リソースの割当てが、潜在的に利用可能な複数のアップリンクビームのサブセットに送信を制限することである。このようにアップリンクビームのサブセットに制限することは、個別アップリンク無線リソースが基地局160によって移動端末110に排他的に割り当てられるか非排他的に割り当てられるかにかかわらず施行される。個別アップリンク無線リソースは、サブセット、例えば、最大10個などの潜在的に利用可能なアップリンクビームのうちの1つ、2つ、または3つのアップリンクビームに制限されてよい。
【0067】
しかし、ビーム障害回復信号を受信した後、これによって基地局160は、移動ビーム障害を端末110が検出したダウンリンクビームについてのビーム障害回復プロシージャを完了できる状態には(まだ)ならない。前に論じたように、ビーム障害回復プロシージャはまた、ビーム障害を回復させるのに使用できる代替(候補)ダウンリンクビームを移動端末110が基地局160に対して明示的または非明示的に示すのを可能にするメッセージを送信することも含む。
【0068】
この目的で、基地局160は、ビーム障害回復制御信号を移動端末110に送信する(
図2 S03)。この制御信号は、代替(候補)ダウンリンクビームの送信を移動端末110が行えるようなアップリンクグラントを含む可能性が最も高い。ただし、この制御信号はアップリンクグラントのみに制限されない。
【0069】
加えて、この制御信号はまた、ビーム障害回復プロシージャの目的で移動端末110の識別(例えば、無線ネットワーク端末識別子(RNTI))をビーム障害回復プロシージャの後続メッセージに含めるよう移動端末110に命じる基地局160からの命令を含んでもよい。これは、個別アップリンク無線リソースが移動端末110に排他的にではなく非排他的に割り当てられる場合に特に有利な可能性があるが、これについては後でさらに論じる。
【0070】
移動端末110は、受信したアップリンクグラントを参照して、ビーム障害回復要求を基地局160に送信する(
図2 S04)。この要求は、移動端末110を識別することと基地局160に対する新規ダウンリンクビーム候補情報とに関する明示的または非明示的な情報、および、移動端末110を識別することと新規ダウンリンクビーム候補が存在するか否かとに関する明示的または非明示的な情報、のうちの少なくとも一方を含む。
【0071】
この情報を用いて、基地局170は、ダウンリンクビーム上のビーム障害から回復することができる。すなわち、これは例えば、明示的または非明示的に示された新規ダウンリンクビーム候補情報のうちの1つに復帰することによって行うことができる。新規ダウンリンク候補ビームに関するこの情報は、例えば、潜在的に利用可能なすべてのダウンリンクビーム上で基地局160によって継続的に送信されるダウンリンク参照信号から得ることができる。移動端末110は、これらのダウンリンク参照信号を測定することによって新規ダウンリンクビーム候補を識別することができる。
【0072】
基地局160は、ビーム障害回復要求に応答して、ビーム障害回復応答を移動端末110に送信する(
図2 S05)。この応答は、移動端末110によって前に送信されたビーム障害回復要求に対する応答である。特に、この応答が移動端末110によって受信されて初めて、移動端末110は、新規ダウンリンクビーム候補を示す情報がうまく受信されて実行に移されたことを知る。
【0073】
とりわけ、移動端末110から基地局160170に送信されたビーム障害回復要求が基地局160に対するどんな新規ダウンリンクビーム候補情報も含まない(その代わり、要求は、新規ダウンリンクビーム候補が存在しないという情報を含む)ときでも、首尾よいビーム障害回復は可能である。この場合は、基地局160自体170によって新しいダウンリンク(サービング)ビームが決定される。
【0074】
特に、移動端末110がどんな新規ダウンリンクビーム候補も提案しなかったときは、代わりに基地局160が、移動端末110とのその通信をどのダウンリンクビームに回復させるかを決定してよい。このために、基地局は、移動端末110から(前に)得たダウンリンク参照信号(3GPP NR術語では、例えばCSI-RS)の測定値に関する報告を参照してよい。
【0075】
基地局160は、新しいダウンリンクビームを決定するとさらに、新しいダウンリンクビームを移動局110に通知しなければならない。そして初めて、基地局160と移動端末110の両方が、新しいダウンリンク(サービング)ビームと現在のアップリンク(サービング)ビームとの同じ新しいペアに復帰することができる。したがって、新しいダウンリンクビームの決定後、基地局160は、この新しいダウンリンクビームに関する情報も、移動端末110へのビーム障害回復応答に含める。
【0076】
例えば、基地局160からのビーム障害回復応答は、新しいダウンリンク(サービング)ビームとしての新しいダウンリンクビームを含む新しいビームペアに移動端末110が通信を切り替える時点をマークしてよい。さらに他の例では、所与の時間期間内に基地局160からのビーム障害応答がない場合、移動端末110は、ビーム障害回復プロシージャが成功しなかったと決定することになり、したがって無線リンク障害イベントを上位レイヤにシグナリングすることになる。
【0077】
要約すると、4ステップのビーム障害回復プロシージャに関する記述を
図2との関連で提供している。すなわち、図のステップS02、S03、S04、およびS05は、プロシージャの4つの個別ステップに似る。言い換えれば、図のステップS01は、より準備的な性質があり、この意味で4ステップのビーム障害回復プロシージャの一部とは見なされない。
【0078】
ビーム障害回復プロシージャのこの完全な提示とは無関係に、本開示は、ビーム障害回復プロシージャを開始する(終結するのではない)ためのロバストで効率的なメカニズムを提言することに焦点が合わせられていることを、再び強調するものとする。このように焦点が狭いため、図のステップS03、S04、およびS05は、この効果を達成するためのオプションと見なされなければならない。プロシージャがうまく完了するか否かによってビーム障害回復プロシージャの開始がよりロバストまたは効率的になることはなく、本明細書で説明される焦点との関連性はまったくない。
【0079】
排他的および非排他的な割当て
前述のように、基地局160は、個別アップリンク無線リソースを移動端末110に排他的または非排他的な方式で割り当てることができる。これは些細なことに見えるが、以下から明らかになるであろうように、ビーム障害回復プロシージャに対して大きい影響を有する。
【0080】
排他的な割当てについて考察すると、基地局160は、
図2のS02でビーム障害回復信号を受信した後は、
図2のS03でどの移動端末に向けて制御信号を送らなければならないかを正確に知っている。個別アップリンク無線リソースは1つの移動端末110のみに排他的に割り当てられるので、基地局160は、個別アップリンク無線リソースから、これを使用していた移動端末110を導出することができる。したがって、基地局160は、後続の制御信号110をやはりこの移動端末110に向けて送ることができる。
【0081】
非排他的な割当てについて考察すると、基地局160は、
図2のS02でビーム障害回復信号を受信した後、
図2のS03でどの移動端末に向けて制御信号を送らなければならないかを(したがって)知らない。この目的で、ビーム障害回復信号が受信されるコンテキストを基地局160が調べ、どの移動端末から信号を受信したかを基地局160が推論しようとすることが提案される。すぐに明らかになるように、少数の移動端末、例えば2つの移動端末のみに個別アップリンク無線リソースがたとえ非排他的にでも割り当てられた場合は、どの移動端末から信号が受信されたかはコンテキストによってより容易に明らかになる。
【0082】
可能性の1つは、潜在的に利用可能な複数のアップリンクビームすべてのうちのサブセットのみが、ビーム障害回復信号のための個別アップリンク無線リソースとして基地局に割り当てられることと結びつく。例えば、1つなどのアップリンクビームが、2つなどの移動端末のそれぞれにサブセットとして非排他的な方式で割り当てられる場合は、このサブセットは、信号の発信源である可能性のある移動端末の数を削減する。
【0083】
しかしながら、この可能性については、基地局は依然として、削減された数の移動端末のうちのどの移動端末が、非排他的に割り当てられた個別アップリンク無線リソースを使用したか、およびそのリソース上でビーム障害回復信号を(実際に)送信したかを、コンテキストに基づいて、例えば一番最近のビームステータス更新に基づいて予測しなければならない。ここですでに、サブセットはやはり、信号の発信源である移動端末を基地局がよりよく識別するのを可能にすることが理解されよう。
【0084】
信号がどの移動端末を発信源とするかを基地局が(妥当な確実度で)予測することができないかまたは予測し損なった場合は、基地局は、
図2のS02のビーム障害回復制御信号を、1つよりも多い移動端末に送信すると決定することができる。上の例では、同じ個別アップリンク無線リソースが非排他的に両方に割り当てられた、2つの移動端末に送信すると決定することができる。
【0085】
この場合、前に論じたように、移動端末の識別情報を後続メッセージすなわちビーム障害回復要求(すなわち
図2のS04の)に含めるよう移動端末に命じられれば有利である。ビーム障害回復要求に含められたこの識別情報から、基地局は、ビーム障害回復プロシージャが実施されるべき正しい移動端末を推断することができる。正しく予測されなかった他の移動端末に対しては、基地局はビーム障害回復プロシージャを停止することになる。
【0086】
別の可能性は、追加の制御情報が付加されることをそれ自体が必要とする個別アップリンク無線リソース上で、ビーム障害回復信号が送信され得ることと結びつく。この付加された制御情報を基地局が使用して、信号の発信源としての移動端末を識別すればよい。
【0087】
これは、例えば、ビーム障害回復信号が物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)を介して送信される場合である。PUCCHの3GPP NR仕様は、移動端末が、所与のフォーマットのアップリンク制御情報(UCI)を送信するだけでなく、各移動端末に一意に割り振られた送信復調参照信号DM-RSもそれに付加するよう規定する。
【0088】
したがって、基地局は、PUCCH上のUCI中でビーム障害回復信号を受信すると、この信号を送信した移動端末をDM-RSから識別することができる。ここでもまた、コンテキストは、基地局が
図2のS03で後続のビーム障害回復制御信号を正しい移動端末に向けて送るべく移動端末を識別するための決め手となる。
【0089】
次に
図3では、3GPP NR展開シナリオを仮定する。より詳細には、この図は、UEとgNBとがダウンリンクビームとアップリンクビームのペアを介して通信する、4ステップのビーム障害回復プロシージャのコンテキストにおけるビーム障害回復プロシージャの開始を図示している。ここでもまた、ダウンリンクとアップリンクの(サービング)ビームのペアは、gNBによってUE中で構成できる複数のダウンリンクビームのうちの1つとアップリンクビームのペアのうちの一方とである。
【0090】
ビーム障害回復プロシージャのために、個別アップリンク無線リソースがgNBによってUEに割り当てられる(
図3 S11)。前に触れたように、アップリンク無線リソースの割当ては、ビーム障害回復シグナリングと共に使用されるのに専用にされる。この目的で、gNBは、無線リソース構成(RRC)接続再構成メッセージをUEに送信する。別法として、RRC接続セットアップメッセージが割当ての目的で使用されてもよい。
【0091】
別の例では、個別アップリンク無線リソースは、ダウンリンク媒体アクセス制御(MAC)制御エレメント(CE)と、ダウンリンク制御情報(DCI)と、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)の制御プロトコルデータユニット(PDU)とを介してUEに割り当てられる。特に、PDCP制御PDUは、RRC接続再構成メッセージと比較してオーバーヘッドがわずかに低いという利点も有する。したがって、この結果、シグナリング速度をさらに高めることができる。
【0092】
単一のメッセージを介した割当てとは別に、割当てはまた、個別アップリンク無線リソースを構成する第1のメッセージと、構成をアクティブ化する第2の後続メッセージとによって達成されることも可能である。この場合、UEはgNBから、RRC接続セットアップまたは再構成メッセージを介して個別アップリンク無線リソースの構成を受信し、(その後)MAC CEとDCIとPDCP制御PDUとのうちの1つを介して構成からの個別アップリンク無線リソースのアクティブ化を受信する。
【0093】
このメッセージは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)の個別アップリンク無線リソースへの参照を含んでよく、すなわち、コンテンションフリーリソースのうちの1つ、好ましくは、アップリンクビーム上の時間および周波数参照を有するコンテンションフリープリアンブルシーケンスへの参照を含んでよい。
【0094】
コンテンションフリープリアンブルシーケンスのみに言及する。これは、3GPP NRでは、gNBがこれらのタイプのプリアンブルシーケンスのみをUEに(能動的に)割り振ることによる。対照的に、非コンテンションフリー(コンテンションベースの)プリアンブルシーケンスの場合は、gNBは、これらのシーケンスがビーム障害回復プロシージャの開始のためにUEによって使用されているのかどうか、または(従来の)時間整合プロシージャが実施されているのかどうかを区別することができない。これにより、ビーム障害回復プロシージャを開始するための個別アップリンク無線リソースとしての、非コンテンションフリー(コンテンションベースの)プリアンブルシーケンスのどんな使用も除外される。
【0095】
例えば、
図5に示す構成を仮定すると、メッセージは、アップリンクビーム#1上のプリアンブルシーケンスインデックスS1と時間参照T1と周波数参照F1とを有するPRACHへの参照を含んでよい。これにより、UEがビーム障害回復プロシージャを開始するのに使用できる個別アップリンク無線リソースがUEに割り当てられる。この例では、時間参照T1は、各無線フレーム境界から時間的にずれたスロットを示すオフセットとして理解されるであろう。加えて、周波数参照F1は、リソースブロックのインデックスとして理解されるであろう。
【0096】
別法として、このメッセージはまた、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の個別アップリンク無線リソースへの参照、すなわち、アップリンクビーム上の時間および周波数参照を伴う所与のフォーマットのコンテンションフリーアップリンク制御情報(UCI)への参照を含んでもよい。例えば、
図6に示す構成を仮定すると、メッセージは、ビーム#1上の時間参照T1と周波数参照F1とを有するPUCCHへの参照を含んでよい。
【0097】
両方の例、すなわちコンテンションフリーPRACHまたはPUCCHで、アップリンク無線リソースを専用にすることにより、アップリンク無線リソースが異なるコンテキストで使用されるのを防止することができる。いずれの場合でも、アップリンク無線リソースを専用にすることで、gNBは、個別アップリンク無線リソース上でビーム障害回復シグナリングを受信したときに、関連する機能を識別(認識)して開始する(すなわちビーム障害回復プロシージャを開始する)ことができる。
【0098】
UEは、ビーム障害イベントの検出に応答して、ビーム障害回復信号をgNBに送信する(
図3 S12)。とりわけ、ビーム障害回復信号は、事前に割り当てられた個別アップリンク無線リソース、すなわちコンテンションフリーPRACHまたはPUCCHを使用する。すでに前に触れたように、個別アップリンク無線リソースが使用されることにより、gNBは、関連する機能をすぐに識別(認識)して開始する(すなわちビーム障害回復プロシージャを開始する)ことができる。とりわけ、PRACHリソースはスケジューリング要求(SR)を非明示的に示し、それに対して、所与のフォーマットのUCIはSRを明示的または非明示的に含み得る。
【0099】
gNBは、個別PRACHまたはPUCCHリソースを受信すると、ビーム障害回復プロシージャを開始する。このプロシージャの一部として、gNBは、アップリンクグラントを含む物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)ダウンリンク制御情報(DCI)を送信する(
図3 S13)。PDCCH上のDCIはまた、UEの無線ネットワーク一時識別子(RNTI)でスクランブルがかけられた巡回冗長検査(CRC)フィールドも含む。これにより、UEは、UEに対するDCIがビーム障害回復プロシージャにおいて使用されるようgNBが意図したか否かを検出することができる。
【0100】
UEがアップリンクグラントを受信したと仮定すると、移動端末110は、アップリンクMAC制御エレメントの形でビーム障害回復要求をgNBに送信する(
図3 S14)。この要求は、UEを識別することとgNBに対する新規ダウンリンクビーム候補情報とに関する明示的または非明示的な情報、および、UEを識別することと新規ダウンリンクビーム候補が存在するか否かとに関する明示的または非明示的な情報、のうちの少なくとも一方を含む。
【0101】
最後に、gNBは、ビーム障害回復要求に応答して、確認(例えば応答確認)を含むPDCCH DCIの形でビーム障害回復応答をUEに送信する(
図3 S15)。この応答は、UEによって前に送信されたビーム障害回復要求に対する応答である。特に、この応答がUEによって受信されて初めて、UEは、新規ダウンリンクビーム候補を示す情報がうまく受信されて実行に移されたことを知る。
【0102】
別法として、移動端末がどんな新規ダウンリンクビーム候補も提案しなかったときは、gNBは、新しいダウンリンクビームに関する情報をUEへのビーム障害回復応答に含めてもよい。潜在的に利用可能なダウンリンクビームの数に応じて、この情報もやはり、PDCCH DCIの形の応答の中に収容されてよい。また、次いでgNBとUEの両方は、新しいダウンリンク(サービング)ビームと現在のアップリンク(サービング)ビームとの同じペアに復帰することができ、それによりビーム障害回復プロシージャをうまく完了することができる。
【0103】
次に
図4では、別の3GPP NR展開シナリオを仮定する。より詳細には、この図は、UEとgNBとがダウンリンクとアップリンクの(サービング)ビームのペアを介して通信する、2ステップのビーム障害回復プロシージャのコンテキストにおけるビーム障害回復プロシージャの開始を描いている。ここでもまた、ダウンリンクとアップリンクの(サービング)ビームは、gNBによってUEに対して構成できる複数のダウンリンクビームのうちの1つとアップリンクビームのペアのうちの一方とである。とりわけ、2ステップのビーム障害回復プロシージャは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)からの個別アップリンク無線リソースのみに制限される。
【0104】
このプロシージャは、前の図に示した4ステップのビーム障害回復プロシージャとよく似ている。個別アップリンクリソースの割当てのためのUEとgNBとの間の送信(
図4 S21)およびビーム障害回復応答の送信(
図4 S23)は、前のプロシージャにおけるそれぞれのステップに対応する。さらに、唯一の違いは、ビーム障害回復信号のフォーマットにある(
図4 S22)。
【0105】
ここでは、所与のフォーマットに依存するPUCCH上のアップリンク制御情報(UCI)が、十分な数のビット、例えば、PUCCHフォーマット1a/1bにおける1または2ビット、PUCCHフォーマット2/2a/2bにおける20符号化ビット、さらにはPUCCHフォーマット3における48符号化ビットを含むことができることが利用される。
【0106】
したがって、この例では、UEが、gNBへのビーム障害回復信号として、個別アップリンク無線リソースに似るPUCCHのUCIを送信するだけでなく、ビーム障害回復要求の情報、すなわち、UEを識別することとgNBに対する新規ダウンリンクビーム候補情報とに関する明示的または非明示的な情報、および、UEを識別することと新規ダウンリンクビーム候補が存在するか否かとに関する明示的または非明示的な情報、のうちの少なくとも一方も搬送することが提案される。
【0107】
ロバストな割当てメカニズム
前に論じたように、本開示は、ダウンリンクビーム障害イベントの検出に基地局が応答できるようにするとともに、ビーム障害回復プロシージャの開始のためにブロックされる(割り振られる)アップリンク無線リソースの量を削減する、ロバストなメカニズムに焦点を合わせる。しかし、アップリンク無線リソースの量の削減は、一例では、割り振られる個別アップリンク無線リソースを基地局が注意深く選択することを必要とする。
【0108】
この目的で、基地局は、一番最近の品質および/または電力測定値に基づいて、潜在的に利用可能なすべてのアップリンクビームのうちのサブセットを決定してよい。このコンテキストでは、潜在的に利用可能なすべてのダウンリンクビーム上またはアップリンクビーム上のいずれかでシグナリングされる参照信号を参照するのが有利なことがある。このことから、次いで基地局は、測定された品質および/または電力値を参照してサブセットを選択することができる。
【0109】
3GPP NR展開シナリオを仮定すると、基地局は、アップリンクビームのサブセットの決定のために、潜在的に利用可能なまたは少なくとも最も関連性のあるアップリンクビーム上で移動端末によって送信される潜在的に利用可能なすべてのアップリンク参照信号、好ましくはサウンディング参照信号(SRS)を参照してよい。
【0110】
基地局はまた、このアップリンクビームサブセット決定のために、潜在的に利用可能なすべてのダウンリンクビーム上で基地局によって送信されたダウンリンク参照信号(好ましくはCSI-RS)の測定値について移動端末によって作成される報告(好ましくはチャネルステータス情報(CSI)報告)を参照してもよい。
【0111】
いずれの方法でも、移動端末がダウンリンクビーム障害イベントの検出にロバストに(すなわち基地局がビーム障害回復信号を受信できないというリスクなしに)応答できるようにするという目的に、アップリンクリソースのサブセットが適合することを保証することができる。
【0112】
モビリティ状態
例示的な一実装形態では、アップリンクビームのサブセット上で個別アップリンク無線リソースを割り当てるための効率的なメカニズムに焦点が置かれる。これを達成するために、基地局は、個別アップリンク無線リソースが移動端末に割り当てられる際のサブセットを形成するアップリンクビームの数を変動させる。特に、アップリンクビームの数を変動させることによって、基地局は、移動端末における変動する(実際の)状況(例えば、少数または多数の位置変化)を反映するよう努める。
【0113】
上の議論からわかるように、ビーム障害の主要な原因の1つは、移動端末のモビリティ(すなわち変動する空間的位置)である。移動端末がその位置を高レートで変更するなら、ダウンリンクビーム障害が発生した場合にどれが最も適切な個別アップリンク無線リソースになるかを基地局が予測するのは困難である。言い換えれば、移動端末の位置が激しく変化すると、基地局は、信頼できるビーム障害回復プロシージャの要件を依然として満たすアップリンクビームのサブセット上で個別アップリンク無線リソースを割り当てるのが困難になる。
【0114】
これらの困難を念頭に置き、本開示は、基地局が各移動端末についてのモビリティ状態を維持することを提言する。モビリティ状態は、各移動端末について、所与の時間期間中の少数の位置変化と多数の位置変化とを区別する。言い換えれば、モビリティ状態に基づいて、基地局は、各移動端末について位置変化が(過去に)低レートで発生したか高レートで発生したかを把握することができる。
【0115】
次いで、このモビリティ状態は、基地局によって使用されてサブセット中のアップリンクビームの数が予測され、それにより信頼できるビーム障害回復プロシージャが保証される。このように、潜在的に利用可能なすべてのアップリンクビームのサブセットを形成するアップリンクビームの数は、それぞれの移動端末のモビリティ状態に対応して基地局によって決定されてよい。
【0116】
一例では、すなわち、低い位置変化レートに対応するモビリティ状態を有する移動端末については、基地局は、移動端末の位置が将来も頻繁に変化しないであろうと妥当に予測してよく、したがって、少数のアップリンクビーム(例えば、1つまたは2つのアップリンクビーム)上で個別アップリンク無線リソースを割り当てれば十分である。異なる例では、すなわち、高い位置変化レートに対応するモビリティ状態を有する移動端末については、基地局は対照的に、移動端末の位置が将来も頻繁に変化するであろうと妥当に予測してよく、したがって、多数の(例えば3つ以上の)アップリンクビーム上で個別アップリンク無線リソースを割り当てることが必要になる。
【0117】
例として、モビリティ状態したがって位置変化レートは、基地局から移動端末に送信される、ダウンリンクビームについての再構成コマンド(ビームステアリング)の数に基づいて、基地局と移動端末の両方によって決定されることが可能である。ダウンリンクビームの再構成は基地局において行われるにもかかわらず、移動端末はこれを、再構成コマンドの形で、すなわち、新しいダウンリンクビームを含めるように移動端末のビームペアを再構成することを移動端末に命令する再構成コマンドの形で考慮に入れることになる。
【0118】
また例として、モビリティ状態したがって位置変化レートは、位置変化の回数に基づいて決定されることが可能であり、位置変化の回数は、所与の時間期間にわたる移動端末中での位置決め測定から決定され、次いで基地局にシグナリングされることが好ましい。言い換えれば、移動端末自体が、その位置変化レートを、例えば新しいダウンリンクビームがあるかどうかチェックすることを含めて位置決め測定を実施することによって決定し、次いでこの位置変化レートを基地局にシグナリングする。
【0119】
両方の場合に、モビリティ状態は、移動端末がダウンリンクビーム障害イベントの検出にロバストに(すなわち基地局がビーム障害回復信号を受信できないというリスクなしに)応答するのに十分な数のアップリンクビームの選択を容易にする。
【0120】
割当ての最新性
別の例示的な実装形態では、アップリンク無線ビームのサブセット上で個別アップリンク無線リソースを割り当てるための効率的なメカニズムに、やはり焦点が置かれる。これを達成するために、移動端末への個別アップリンク無線リソースの各割当ては、失効時間を有する。これにより、個別アップリンク無線リソースの割当ての最新性、ならびに、限られた時間量にわたってのみリソースがブロックされることを保証することができる。
【0121】
上の議論から明らかなように、個別アップリンク無線リソースを移動局に割り当てる基地局は、移動端末における変動する(実際の)状況(例えば位置変化)に常にうまく対処できるとは限らない。あるアップリンクビームサブセット上での割当ては、ある位置の移動端末には有効だが、別の位置に移動した後の同じ移動端末には有効でないことがある。
【0122】
したがって、本開示は、所与の(短い)時間期間にわたって、また例外的に、新しい(再)割当てが受信されるまでのみ、各割当てが有効であることを提言する。言い換えれば、移動局が基地局からビーム障害回復プロシージャのために個別アップリンクリソースの排他的な割当てを受信するか非排他的な割当てを受信するかにかかわらず、これらのリソースは、限られた時間量にわたってのみブロックされる。
【0123】
これは、個別アップリンク無線リソースが有効である時間期間も示す割当てを、基地局160が移動局110に送信するとき(
図2 S01参照)、基地局160が保証することができる。例えば、個別アップリンク無線リソースの割当てと共に、基地局と移動端末の両方がカウントダウンタイマを開始することができる。このタイマが失効すると、基地局ならびに移動端末は、個別アップリンク無線リソースがもはや使用不可能でありしたがってこれ以上ブロックされ得ないことを知る。
【0124】
しかし、割当てなし、または失効した割当てのみとなる場合を回避するために、移動端末は、基地局がビーム障害回復プロシージャのために個別アップリンク無線リソースの割当てを(再)開始するための標識を、基地局に送信してよい。
【0125】
NR展開シナリオを仮定すると、個別アップリンク無線リソースの割当てを(再)開始するための標識は、所与のしきい値未満のサービングダウンリンクビームの品質もしくは電力をシグナリングする(非明示的な)チャネルステータス情報(CSI)報告であるか、または、個別アップリンク無線リソースの割当てを(再)開始するよう求める明示的な要求をシグナリングする個別送信(好ましくは、RRCメッセージもしくはアップリンクMAC CEのいずれかの形の)である。
【0126】
要約すると、個別アップリンク無線リソースの割当ての失効はさらに、これらのリソースの効率的な使用を改善する。リソースの割当ての失効は、移動局の実際の(現在の)状況を割当てが反映するのにいずれにしても必要である最新性を促進するだけでなく、リソースがブロックされるのも防止し、これは、これらのリソースが排他的な方式で割り当てられる場合に特に有利である。
【0127】
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア、または、ハードウェアと連携するソフトウェアによって実現されることが可能である。前述の各実施形態に関する記述において使用される各機能ブロックは、集積回路などのLSIによって部分的または全体的に実現されることが可能であり、各実施形態において述べた各プロセスは、同じLSIまたはLSIの組合せによって部分的または全体的に制御され得る。LSIはチップとして個別に形成されてもよく、または、1つのチップが機能ブロックの一部もしくはすべてを含むように形成されてもよい。LSIは、それに結合されたデータ入力および出力を備えてよい。ここでのLSIは、集積の程度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIと呼ばれることがある。しかし、集積回路を実装する技法は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用して実現されてもよい。加えて、LSIの製造後にプログラムされることが可能なFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、または、LSI内部に配置された回路セルの接続および設定が再構成されることが可能なリコンフィギャラブルプロセッサが使用されてもよい。本開示は、ディジタル処理またはアナログ処理として実現されることが可能である。半導体技術または他の派生技術の進歩の結果として将来の集積回路技術がLSIに取って代わった場合、機能ブロックは、将来の集積回路技術を使用して統合される可能性もある。バイオ技術が適用されることも可能である。
【0128】
第1の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で基地局と通信するための移動端末が提案され、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この移動端末は、動作時に、ビーム障害回復信号を送信するための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信する送受信機と、動作時に、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するプロセッサとを備え、ビーム障害回復プロシージャは、送受信機が、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0129】
第1の態様と組み合わせることのできる第2の態様によれば、複数のアップリンクビームのサブセットは、移動端末によって複数のアップリンクビーム上で送信されるアップリンク参照信号(好ましくはサウンディング参照信号(SRS))に基づいて、または、基地局によって複数のダウンリンクビーム上で送信されるダウンリンク参照信号(好ましくはCSI-RS)の測定値に関する移動端末による報告(好ましくはチャネルステータス情報(CSI)報告)に基づいて、移動端末に排他的に割り当てられる。
【0130】
第1または第2の態様と組み合わせることのできる第3の態様によれば、複数のアップリンクビームのサブセットを形成するアップリンクビームの数は、1つ、2つ、または3つのアップリンクビームに対応する。
【0131】
第1~第3の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第4の態様によれば、複数のアップリンクビームのサブセットを形成するアップリンクビームの数は、移動端末の低レートの位置変化と高レートの位置変化とを区別する、移動端末のモビリティ状態に対応する。
【0132】
第4の態様と組み合わせることのできる第5の態様によれば、移動端末のモビリティ状態は、時間期間にわたって基地局によって移動端末に送信されるダウンリンクビームについての再構成コマンドの数に基づいて決定されるか、または、時間期間にわたる移動端末中での位置決め測定から決定されて基地局にシグナリングされることが好ましい位置変化の回数に基づいて決定される。
【0133】
第1~第5の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第6の態様によれば、送受信機は動作時、ビーム障害回復プロシージャにおいて使用されることになる複数のアップリンクビームのサブセット中のアップリンクビームの数を示す標識を、ビーム障害回復プロシージャのために追加的に受信する。
【0134】
第1~第6の態様と組み合わせることのできる第7の態様によれば、使用されることになる複数のアップリンクビームのサブセット中のアップリンクビームの数を示す標識は、無線リソース構成(RRC)メッセージ、または媒体アクセス制御(MAC)制御エレメント(CE)、またはダウンリンク制御情報(DCI)中で受信される。
【0135】
第8の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で基地局と通信するための別の移動端末が提言され、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性を有する。この移動端末は、動作時に、ビーム障害回復信号を送信するための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信する送受信機と、動作時に、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するプロセッサとを備え、ビーム障害回復プロシージャは、送受信機が、上記割当ての個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0136】
第8の態様と組み合わせることのできる第9の態様によれば、個別アップリンク無線リソース上のビーム障害回復信号が制限される複数のアップリンクビームのサブセット上で送信することは、移動端末を基地局が識別するのを可能にする。
【0137】
第8または第9の態様と組み合わせることのできる第10の態様によれば、個別アップリンク無線リソースが物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)を含む場合、PUCCH中でビーム障害回復信号と共に復調参照信号DM-RSを送信することは、移動端末を基地局が識別するのを可能にする。
【0138】
第8~第10の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第11の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、移動端末の識別情報をビーム障害回復プロシージャの後続メッセージ中に含めるよう移動端末に命じる命令を含む。
【0139】
第1~第11の態様と組み合わせることのできる第12の態様によれば、個別アップリンク無線リソースは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)のコンテンションフリーリソース(好ましくは、時間および周波数参照を含むコンテンションフリープリアンブルシーケンス)と、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)のコンテンションフリーリソース(好ましくは、時間および周波数参照を含むアップリンク制御情報(UCI))とのうちの一方に対応する。
【0140】
第1~第12の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第13の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、無線リソース構成(RRC)接続再構成またはRRC接続セットアップメッセージと、ダウンリンク媒体アクセス制御(MAC)制御エレメント(CE)と、ダウンリンク制御情報(DCI)と、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)の制御プロトコルデータユニット(PDU)と、のうちの1つを介して受信される。
【0141】
第1~第12の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第14の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、送受信機が動作時に、RRC接続セットアップまたは再構成メッセージを介した個別アップリンク無線リソースの構成と、MAC CE、DCI、およびPDCP制御PDUのうちの1つを介した、構成からの個別アップリンク無線リソースのアクティブ化と、を受信することを含む。
【0142】
第1~第14の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第15の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、時間期間にわたって、または新しい割当てが受信されるまで、のいずれかで有効である。
【0143】
第15の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第16の態様によれば、個別アップリンクリソースの割当てが有効である時間期間は、割当ての中で示される。
【0144】
第1~第16の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第17の態様によれば、送受信機は、動作時、ビーム障害回復プロシージャのための個別アップリンク無線リソースの割当てを基地局が(再)開始するための標識を送信する。
【0145】
第17の態様と組み合わせることのできる第18の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当てを(再)開始するための標識は、しきい値未満のサービングダウンリンクビームの品質もしくは電力をシグナリングするチャネルステータス情報(CSI)報告であるか、または、個別アップリンク無線リソースの割当てを(再)開始するよう求める明示的な要求をシグナリングする個別送信(好ましくは、RRCメッセージもしくはアップリンクMAC CEのいずれかの形の)である。
【0146】
第19の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で基地局と通信するように構成された移動端末によって実施される、ビーム障害回復プロシージャを開始するための方法が提案され、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この方法は、ビーム障害回復信号を送信するための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信するステップと、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するステップとを含み、ビーム障害回復プロシージャは、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0147】
第19の態様と組み合わせることのできる第20の態様によれば、複数のアップリンクビームのサブセットは、移動端末によって複数のアップリンクビーム上で送信されるアップリンク参照信号(好ましくはサウンディング参照信号(SRS))に基づいて、または、基地局によって複数のダウンリンクビーム上で送信されるダウンリンク参照信号(好ましくはCSI-RS)の測定値に関する移動端末による報告(好ましくはチャネルステータス情報(CSI)報告)に基づいて、移動端末に排他的に割り当てられる。
【0148】
第19または第20の態様と組み合わせることのできる第21の態様によれば、複数のアップリンクビームのサブセットを形成するアップリンクビームの数は、1つ、2つ、または3つのアップリンクビームに対応する。
【0149】
第19~第21の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第22の態様によれば、複数のアップリンクビームのサブセットを形成するアップリンクビームの数は、移動端末の低レートの位置変化と高レートの位置変化とを区別する、移動端末のモビリティ状態に対応する。
【0150】
第19~第22の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第23の態様によれば、移動端末のモビリティ状態は、時間期間にわたって基地局によって移動端末に送信されるダウンリンクビームについての再構成コマンドの数に基づいて決定されるか、または、時間期間にわたる移動端末中での位置決め測定から決定されて基地局にシグナリングされることが好ましい位置変化の回数に基づいて決定される。
【0151】
第19~第23の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第24の態様によれば、この方法は、ビーム障害回復プロシージャにおいて使用されることになる複数のアップリンクビームのサブセット中のアップリンクビームの数を示す標識を、ビーム障害回復プロシージャのために追加的に受信するステップを含む。
【0152】
第24の態様と組み合わせることのできる第25の態様によれば、使用されることになる複数のアップリンクビームのサブセット中のアップリンクビームの数を示す標識は、無線リソース構成(RRC)メッセージ、または媒体アクセス制御(MAC)制御エレメント(CE)、またはダウンリンク制御情報(DCI)中で受信される。
【0153】
第26の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して基地局と通信するように構成された移動端末によって実施される、ビーム障害回復プロシージャを開始するための別の方法が提案され、アップリンクビームおよびダウンリンクビームのそれぞれは、異なる指向性を有する。この方法は、ビーム障害回復信号のための個別アップリンク無線リソースの割当てをビーム障害回復(BFR)プロシージャのために受信するステップと、ダウンリンクビーム障害イベントを検出し、それに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するステップとを含み、ビーム障害回復プロシージャは、上記割当ての個別アップリンク無線リソースを使用してビーム障害回復信号を送信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0154】
第26の態様と組み合わせることのできる第27の態様によれば、個別アップリンク無線リソース上のビーム障害回復信号が制限される複数のアップリンクビームのサブセット上で送信することは、移動端末を基地局が識別するのを可能にする。
【0155】
第26または第27の態様と組み合わせることのできる第28の態様によれば、個別アップリンク無線リソースが物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)を含む場合、PUCCH中でビーム障害回復信号と共に復調参照信号(DM-RS)を送信することは、移動端末を基地局が識別するのを可能にする。
【0156】
第26~第28の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第29の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、移動端末の識別情報をビーム障害回復プロシージャの後続メッセージ中に含めるよう移動端末に命じる命令を含む。
【0157】
第19~第29の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第30の態様によれば、個別アップリンク無線リソースは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)のコンテンションフリーリソース(好ましくは、時間および周波数参照を含むアップリンク制御情報(UCI))とのうちの一方に対応する。
【0158】
第19~第30の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第31の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、無線リソース構成(RRC)接続再構成またはRRC接続セットアップメッセージと、ダウンリンク媒体アクセス制御(MAC)制御エレメント(CE)と、ダウンリンク制御情報(DCI)と、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)の制御プロトコルデータユニット(PDU)と、のうちの1つを介して受信される。
【0159】
第19~第30の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第32の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、RRC接続確立または再構成メッセージを介した個別アップリンク無線リソースの構成と、MAC CE、DCI、およびPDCP制御PDUのうちの1つを介した、構成からの個別アップリンク無線リソースのアクティブ化と、を受信することを含む。
【0160】
第19~第32の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第33の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当ては、時間期間にわたって、または新しい割当てが受信されるまで、のいずれかで有効である。
【0161】
第33の態様と組み合わせることのできる第34の態様によれば、個別アップリンクリソースの割当てが有効である時間期間は、割当ての中で示される。
【0162】
第19~第34の態様のうちの1つと組み合わせることのできる第35の態様によれば、この方法は、ビーム障害回復プロシージャのための個別アップリンク無線リソースの割当てを基地局が(再)開始するための標識を送信するステップを含む。
【0163】
第35の態様と組み合わせることのできる第36の態様によれば、個別アップリンク無線リソースの割当てを(再)開始するための標識は、しきい値未満のサービングダウンリンクビームの品質もしくは電力をシグナリングするチャネルステータス情報(CSI)報告であるか、または、個別アップリンク無線リソースの割当てを(再)開始するよう求める明示的な要求をシグナリングする個別送信(好ましくは、RRCメッセージもしくはアップリンクMAC CEのいずれかの形の)である。
【0164】
第37の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で移動端末と通信するための基地局が提案され、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この基地局は、動作時にビーム障害回復プロシージャを実施するプロセッサを備え、ビーム障害回復プロシージャは、送受信機が、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用したビーム障害回復信号を移動端末から受信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0165】
第38の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で移動端末と通信するための別の基地局が提案され、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この基地局は、動作時にビーム障害回復プロシージャを開始するプロセッサを備え、ビーム障害回復プロシージャは、送受信機が、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用したビーム障害回復信号を移動端末から受信することを含む。個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0166】
第39の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で移動端末と通信するように構成された基地局によって実施される、ビーム障害回復プロシージャを開始するための方法が提案され、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この方法は、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用したビーム障害回復信号を移動端末から受信するのに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するステップを含み、個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。
【0167】
第40の態様によれば、複数のダウンリンクビームのうちの少なくとも1つと複数のアップリンクビームのうちの少なくとも1つとを使用して移動通信システム中で移動端末と通信するように構成された基地局によって実施される、ビーム障害回復プロシージャを開始するための別の方法が提案され、ダウンリンクビームおよびアップリンクビームのそれぞれは、異なる指向性および/またはカバレッジを有する。この方法は、割当てからの個別アップリンク無線リソースを使用したビーム障害回復信号を移動端末から受信するのに応答してビーム障害回復プロシージャを開始するステップを含み、個別アップリンク無線リソースは、基地局によって移動端末に非排他的に割り当てられることが可能な、複数のアップリンクビームのサブセットに、送信を制限する。