(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059897
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】コンベア
(51)【国際特許分類】
B65G 21/00 20060101AFI20240423BHJP
B65G 21/20 20060101ALI20240423BHJP
B65G 15/00 20060101ALI20240423BHJP
B65B 59/04 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
B65G21/00 C
B65G21/20 C
B65G15/00
B65B59/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024029337
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2021186149の分割
【原出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】今浦 博志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンベア本体の着脱が簡単にでき、清掃作業性がよく、ハムなどの食品を搬送することに好適なコンベアを提供する。
【解決手段】メインフレーム341aを水平にした状態で、搬出側プーリ320を支持する可動サブフレーム343aを、軸347aを中心に回動させて、搬出側プーリ320がメインフレーム341aより下側にし、平ベルト330aとタイミングベルト351が弛緩状態になった非装着状態のコンベア本体30aを、メインフレーム341aの第1係合突起344aが第1取付板362aの第1係合凹部363aに係合させるとともに、可動サブフレーム343aの第2係合突起364aを第2取付板346aのガイド部367aに臨ませた状態で、コンベア本体30aの軸34付近を下方に押し込むことで、第2係合突起364aがガイド部367aによってガイドされて第2係合凹部365aに係合し、装着状態になるようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を隔てて配置された搬入側プーリと、搬出側プーリを備えるとともに、
前記搬入側プーリと搬出側プーリを両側から挟んだ状態で前記搬入側プーリと搬出側プーリを回転可能に支持する一対の長尺フレームと、
前記搬入側プーリと搬出側プーリの間に掛け渡された平ベルトを有するコンベア本体と、
前記コンベア本体を支持する一対の第1取付板と、
前記コンベア本体を前記一対の第1取付板より搬出側で支持する一対の第2取付板と、
前記搬入側プーリと搬出側プーリの間に掛け渡された平ベルトに駆動力を付与する駆動モータを備えるコンベアであって、
前記一対の長尺フレームが、一対のメインフレームと、一対の可動サブフレームを備え、
この一対の可動サブフレームが前記搬出側プーリを支持するとともに、前記一対のメインフレームに対し鉛直面内で軸を中心に回転可能に軸支されていて、
前記メインフレームが、それぞれ外側に突出する第1係合突起を備え、
前記可動サブフレームが、それぞれ外側に突出する第2係合突起を備え、
前記第1取付板が、それぞれ前記第1係合突起が位置決め状態で係合される第1係合凹部を備え、
前記第2取付板が、それぞれ前記第2係合突起が位置決め状態で係合される第2係合凹部と、前記第2係合突起を前記第2係合凹部にガイドするガイド部を備え、
前記コンベア本体は、前記一対のメインフレームを水平にしたとき、前記搬出側プーリが前記一対のメインフレームより下方に位置するように、前記一対の可動サブフレームを、前記軸を中心に回転させるとともに、前記平ベルトを弛緩状態にした前記第1取付板および第2取付板への非装着状態と、
この非装着状態から前記第1係合突起が前記第1係合部に係合され、かつ、前記第2係合突起を前記ガイド部に臨ませた状態で前記軸を前記第2取付板に向かって下降させることによって、前記第2係合突起が前記ガイド部によってガイドされて前記第2係合部に係合されるとともに、前記平ベルトが搬送可能状態に張架される、前記第1取付板および第2取付板への装着状態を選択可能にされていることを特徴とするコンベア。
【請求項2】
前記コンベア本体は、前記搬入側プーリおよび搬出側プーリが、それぞれ左右のプーリ部と、左右のプーリ部の間に設けられたギア部を備え、
前記搬入側プーリおよび搬出側プーリの前記左右のプーリ部間にそれぞれ前記平ベルトが張架され、
タイミングベルトが、前記搬入側プーリおよび搬出側プーリのギア部と、前記駆動モータの駆動力によって駆動するタイミングプーリとに噛み合うように張架されるとともに、
前記タミングベルトは、前記コンベア本体が前記非装着状態にあるとき、前記平ベルトとともに弛んだ状態となり、前記装着状態にあるとき、前記平ベルトとともに張架となるように構成されている請求項1に記載のコンベア。
【請求項3】
前記タイミングプーリが、前記コンベア本体の下方に設けられている請求項2に記載のコンベア。
【請求項4】
前記ガイド部が、前記第2取付板の上方から臨めるとともに、前記第2係合凹部側に向かって下降するテーパ部を備えている請求項1に記載のコンベア。
【請求項5】
前記メインフレームが、前記コンベア本体を装着状態にしたとき、可動サブフレームに当接する可動サブフレームの旋回止めのストッパを備えている請求項1に記載のコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スライスされたハムを包装用フィルムに形成されたポケットに投入してスライス食品を生産する場合、1~2mのハム原木を一定の厚さでスライスし、スライス片を所定枚数重ねた後、コンベアに送り出す。
【0003】
コンベアに送り出された未包装のスライス食品は、複数台のコンベアで構成された搬送装置によって包装機まで搬送された後、包装用フィルムのポケットに投入され、更にカバーフィルムで密閉されて商品の形態となる。
【0004】
上述の工程によってスライス食品を生産する場合、生産性を高めるために、複数本(例えば4本)のハム原木を1つの切断刃で切断している。その際、スライスされたハム間のピッチと、包装用フィルムに形成されたポケットのピッチが異なり、またスライスの状態によってハムが落下する位置が微妙にずれる。そのため、コンベアに載置されたスライス食品を、そのまま包装機に搬送した場合、スライス食品がフィルムのポケットにうまく投入できない。
【0005】
上述の問題を解決するため、従来の搬送装置では、ハム原木が切断された後、スライス食品の位置を搬送方向と直交する幅方向にずらして、包装用フィルムのポケットに正確に収容されるようにしている。
【0006】
一方、上述の用途に使用される搬送装置は、スライス食品を搬送するコンベアが搬送方向と直交する幅方向に、間隔を置いて複数台(例えば4台)設置されるため、横幅が広くなり、スペースの確保が難しくなる。
【0007】
そこで、発明者は、スライス食品の位置調整用として適切な、幅の狭いコンベアを提案した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のコンベアは、スライス食品搬送用の平ベルトを2分割すると共に、その間に平ベルト駆動用の歯車を配置したもので、平ベルトの側面には何も配置されていないため、コンベアの幅を、スライス食品を搬送する上で必要な最小限に留めることができる。
【0010】
また特許文献1に記載のコンベア装置は、スライス食品と接する平ベルト、プーリおよびフレームを、簡単に筐体から取り外して洗浄できるため、保守作業が楽になる利点を有する。
【0011】
しかし、その反面、平ベルトを支持するフレームが平ベルト間に露出しているため、スライス食品の搬送中にその一部が垂れてフレームに接触することがあり、それがブレーキとなって、次のコンベアに引き渡すタイミングが遅れ、予定した位置がずれることがある。
【0012】
同様に、フレームに接触する場所によっては、スライス食品が回転して位置がずれ、スライス食品を、包装用フィルムのポケットに正確に投入するという本来の目的が果たせなくなる。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、スライス食品とフレームとの接触によるコンベアの減速やスライス食品の位置ずれを防止できるコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため本発明に係るコンベアは、所定の間隔を隔てて配置された搬入側プーリと、搬出側プーリを備えるとともに、前記搬入側プーリと搬出側プーリを両側から挟んだ状態で前記搬入側プーリと搬出側プーリを回転可能に支持する一対の長尺フレームと、前記搬入側プーリと搬出側プーリの間に掛け渡された平ベルトを有するコンベア本体と、前記コンベア本体を支持する一対の第1取付板と、前記コンベア本体を前記一対の第1取付板より搬出側で支持する一対の第2取付板と、前記搬入側プーリと搬出側プーリの間に掛け渡された平ベルトに駆動力を付与する駆動モータを備えるコンベアであって、前記一対の長尺フレームが、一対のメインフレームと、一対の可動サブフレームを備え、この一対の可動サブフレームが前記搬出側プーリを支持するとともに、前記一対のメインフレームに対し鉛直面内で軸を中心に回転可能に軸支されていて、前記メインフレームが、それぞれ外側に突出する第1係合突起を備え、前記可動サブフレームが、それぞれ外側に突出する第2係合突起を備え、前記第1取付板が、それぞれ前記第1係合突起が位置決め状態で係合される第1係合凹部を備え、前記第2取付板が、それぞれ前記第2係合突起が位置決め状態で係合される第2係合凹部と、前記第2係合突起を前記第2係合凹部にガイドするガイド部を備え、前記コンベア本体は、前記一対のメインフレームを水平にしたとき、前記搬出側プーリが前記一対のメインフレームより下方に位置するように、前記一対の可動サブフレームを、前記軸を中心に回転させるとともに、前記平ベルトを弛緩状態にした前記第1取付板および第2取付板への非装着状態と、この非装着状態から前記第1係合突起が前記第1係合部に係合され、かつ、前記第2係合突起を前記ガイド部に臨ませた状態で前記軸を前記第2取付板に向かって下降させることによって、前記第2係合突起が前記ガイド部によってガイドされて前記第2係合部に係合されるとともに、前記平ベルトが搬送可能状態に張架される、前記第1取付板および第2取付板への装着状態を選択可能にされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るコンベアを用いれば、コンベア本体を簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るコンベアの平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るコンベアの組み立ての手順を説明する図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るコンベアの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図6】スライス食品搬送装置の機能を説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るコンベアおよびそれが組み込まれたスライス食品搬送装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
<スライス食品搬送装置の構成と機能>
本実施の形態に係るコンベアについて説明する前に、
図6を参照して、本実施の形態に係るコンベアを構成要素とするスライス食品搬送装置について説明する。
【0019】
図6は、スライス食品搬送装置の概略構成を示す平面図である。スライス食品搬送装置10は、スライス装置5の下方に設置された第1のコンベア1と、その下流に配置された第2のコンベア2、本発明のコンベアである第3のコンベア30からなるコンベアユニット3および第4のコンベア4で構成されている。
【0020】
図6を参照して、原木Wがスライスされてから、包装機(図示せず)に配置された包装用フィルムのポケットに投入されるまでの手順を簡単に説明する。図中、矢印はスライス食品の搬送方向を示している。
【0021】
前述したように、1~2mの円柱状の原木Wを4本用意し、スライス装置5において、原木Wを一定の速度で移送し、円板状の切断刃51を自転させながら公転させると、原木Wが先端から順次所定の厚さでスライスされ、円形のスライス片が作製される。
【0022】
原木Wは、図示しない原木移送機構によって左側に移送される。原木Wは、紙面に向って右側が上、左側が下になるように傾斜しており、切断刃51によってスライスされたスライス片は、整列用の第1のコンベア1上に落下する。
【0023】
第1のコンベア1を静止させた状態でスライスを繰り返せば、コンベア上に複数枚のスライス片が重なった状態で積層される。一方、第1のコンベア1を若干移動させながらスライスを繰り返すと、コンベア上にスライス片がずらした状態で積層される。スライス片をいずれの形態で整列させるかは、包装用フィルムへの実装状態にあわせて決定される。なお、スライス食品には、厚みのある1枚のスライス片を包装用フィルムのポケットに収納したものもある。
【0024】
第1のコンベア1上に積層された未包装のスライス食品Sは、次のスライスに備えてコンベア上を空けるため、第2のコンベア2に移載される。第1のコンベア1と第2のコンベア2の搬送速度は等しく、かつ隣接して設置され、搬送面の高さがほぼ等しいため、スライス食品Sの円滑な移載が可能である。
【0025】
スライス食品Sは、更に、搬送方向と直交する幅方向の位置を調整するため、4台の小コンベア30で構成された第3のコンベア3に移載される。下流に設置された包装機(図示せず)において、スライス食品Sは搬送方向と直交する方向に4列並んだ状態で包装される。そのため、包装用フィルムには、搬送方向と直交する方向にスライス食品Sを収納する4列のポケットが、均等な位置にピッチP2で形成されている。
【0026】
スライス装置5で4本の原木Wをスライスする際には、単一の切断刃51を用いて4本の原木Wを切断する制約上、第1のコンベア1に落下し、整列した4枚のスライス食品間のピッチP1は、包装用フィルムに形成されたポケットのピッチP2より狭い。このため、位置調整用のコンベアユニット3で、スライス食品S間のピッチを拡げると共に、フィルムのポケットの位置と一致させる必要がある。
【0027】
図6のスライス食品搬送装置10では、位置調整用のコンベアユニット3を、搬送方向と直交する方向に設置された、本実施の形態に係る4台のコンベア30で構成し、各コンベア30で搬送する間に、スライス食品Sの各位置を、搬送方向と直交する方向にずらして、包装用フィルムのポケットの位置と一致させている。
【0028】
このようにして搬送方向と直交する幅方向の位置が調整された4個のスライス食品Sは、第4のコンベア4に移載され、包装機(図示せず)に向けて搬送された後、それぞれ、包装用フィルムの4つのポケットに投入され、その後、カバーフィルムで密閉される。
【0029】
<位置調整用コンベアの構成と動作>
次に、
図1~
図3を参照して、位置調整用のコンベアユニット3を構成する、本実施の形態に係るコンベア30について説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係るコンベア30を上方から見た図、
図2は、同コンベア30を正面から見た一部断面図、
図3は同コンベア30を側面から見た一部断面図である。
【0031】
前述の
図6に示したように、本実施の形態では、4個のスライス食品Sを同時に作製・搬送する形態を採用しており、それぞれのスライス食品Sを搬送するコンベア30が、第2のコンベア2の下流側に並置されている。若干の隙間を隔てて並置された4台のコンベア30は、同一の構成を備えている。
【0032】
図1は、そのうちの1台のコンベア30を上方から見た図である。
このコンベア30は、コンベア本体30aが、平行に設けられた一対の長尺フレーム340a、340bを備えている。
一対の長尺フレーム340a、340bは、長手方向の一端部間に搬入側プーリ310が支持され、長手方向の他端部間に搬出側プーリ320が支持されている。
【0033】
搬入側プーリ310は、一対のプーリ部310a、310bを両側部に備え、中央部にギア部352を備えている。
搬出側プーリ320は、一対のプーリ部320a、320bを両側部に備え、中央部にギア部353を備えている。
【0034】
プーリ部310aおよびプーリ部320a間には平ベルト330aが巻回され、プーリ部310bおよびプーリ部320b間には平ベルト330bが巻回されている。
ギア部352、ギア部353には、後述するタイミングプーリ354の回転駆動力が伝達されて回転するタイミングベルト351が噛み合うように巻回されている。
【0035】
図1および
図2に示すように、長尺フレーム340a(340b)は、メインフレーム341a(341b)と、その前後に取り付けられた固定サブフレーム342a(342b)と、可動サブフレーム343a(343b)を備えている。
そのうちメインフレーム341a、341bは、断面がL字状の長尺の金属板を、側面が対向する状態で、金属棒で作製された2本のピン344および345で連結したものであり、それぞれの上面で平ベルト330a、330bを支持している。
ピン344は、
図1に示すように、その両端部が第1係合突起344a、344bとなるように、メインフレーム341a、341bから外側に突出している。
【0036】
また、メインフレーム341a、341bは、
図3に示すように、支持板361で連結された一対の第1取付板362a、362bを介して筐体370に取り付けられ、可動サブフレーム343は、一対の第2取付板364a、364bを介して筐体370に取り付けられている。
そして、第1取付板362a(362b)は、
図2、
図3に示すように、その上部に第1係合凹部363a(362b)を備えている。
第2取付板364a、364bは、その上部にガイド部367a、367bと、このガイド部367a、367bに連続するように設けられた第2係合凹部365a、365bを備えている。
また、ガイド部367a、367bは、
図2、
図4に示すように、第2取付板364a、364bの上方から臨めるとともに、第2係合凹部365a、365b側に向かって下降するテーパ部367cを備えている。
【0037】
図2に示すように、金属板で作製された一対の固定サブフレーム342a、342bは、ビスによってメインフレーム341a、341bの搬入側端部に固定され、その先端に軸受を介してプーリ310が取り付けられている。
【0038】
一方、金属板で作製され、搬出側端部に取り付けられた一対の可動サブフレーム343a、343bは、金属棒で作製されたピン346、347で連結され、一体化している。
ピン346は、その両端部が、第2係合突起346a、346bを形成するように、それぞれ可動サブフレーム343a、343bから外側に突出している。
ピン347は、その両端部が、軸347a、347bを形成するように、それぞれ可動サブフレーム343a、343bから外側に突出している。
【0039】
可動サブフレーム343a、343bは、
図4に示すように、メインフレーム341a、341bに対して軸347a、347bを中心に鉛直面内で回転できるように構成されている。
したがって、コンベア本体30aは、後で詳述するように、
図4(a)に示す非装着状態と、
図4(c)に示す装着状態を選択可能となっている。
【0040】
メインフレーム341の搬出側端部には、ストッパ348が形成されており、このストッパ348が可動サブフレーム343a、343bの上部に当接することで、可動サブフレーム343a、343bの旋回は止まり、平ベルト330a、330bの上面(搬送面)が水平状態に維持される。なお、コンベア本体30aの筐体370への取付方法については、後に、
図4を用いて詳述する。
【0041】
図2に示すように、搬入側プーリ310は、固定サブフレーム342a、342bの側面に軸受を介して回転可能な状態で支持され、かつ
図3に示すように回転軸を共有している。
【0042】
一方、メインフレーム341の搬出側の端部側面には、可動サブフレーム343a、343bが軸347a、347bによって回転可能な状態で取り付けられている。前述したように、1対の可動サブフレーム343a、343bはピン346、347で連結され、一体化している。
【0043】
搬出側プーリ320は、サブフレーム343a、343bの先端に軸受を介して支持されており、搬入側プーリ310と同様に、回転軸を共有している。
【0044】
図1に示したように、左右の平ベルト330a、330bの間には、平ベルト駆動用のタイミングベルト351が配置されている。そしてタイミングベルト351は、搬入側プーリ310のギア部352、搬出側プーリ320のギア部353、および取付板366を介して筐体370に取り付けられたタイミングプーリ354に巻回されている。
【0045】
後述するように、筐体370内に設置されたモータ381の回転駆動力は、筐体内および筐体370の外面に取り付けられた回転伝達機構を介してタイミングベルト351に伝達され、左右の平ベルト330a、330bを駆動する。
【0046】
図2および
図3を参照して、平ベルト330a、330bの回転伝達機構について説明する。筐体370の内部空間には、搬入側プーリ310および搬出側プーリ320を回転させて平ベルト330a、330bを駆動するモータ381と回転伝達機構が収容されている。なお、図にはボルト、ナット等の締結用部材や軸受が記載されているが、それぞれの機能は周知であるため、説明を省略する。
【0047】
筐体370の空洞部には、モータ381と一体となったギアボックス382が、取付金具371を介して壁面に取り付けられ、更にプーリ385が、取付金具372を介して壁面に取り付けられている。
【0048】
モータ381の回転力は、ギアボックス382、タイミングプーリ383、タイミングベルト384、タイミングプーリ385、回転軸386、タイミングプーリ387およびタイミングベルト388を介して、取付板366に取り付けられたタイミングプーリ389に伝達され、更に、タイミングプーリ389と同軸回転するタイミングプーリ354およびタイミングベルト351を介してギア部352および353に伝達される。
【0049】
上述したように、2本の平ベルト330a、330bは、タイミングベルト351を挟んで左右に分かれて設けられており、左側の平ベルト330aはプーリ310a、320aによって回転駆動され、右側の平ベルト330bはプーリ310b、320bによって回転駆動される。
【0050】
タイミングベルト351によって回転駆動されるギア部352、353は、プーリ部310a、310bおよびプーリ部320a、320bと同軸であるため、ギア部352、353が回転すると、プーリ部310a、310bおよびプーリ部320a、320bが同一速度で回転し、平ベルト330aおよび平ベルト330b上に載置されたスライス食品Sが、第2のコンベア2側から第4のコンベア4側に搬送される。
【0051】
平ベルト330a,330bの間に配置された駆動用のタイミングベルト351は、平ベルト330a、330bと同速度で移動する。このため、スライス食品Sの搬送中に、その一部が垂れてタイミングベルト351に接触したとしても、それがブレーキとなって次のコンベアへの移載のタイミングがずれることはない。同様に、搬送途中でスライス食品Sが回転したり横方向にずれたりすることもない。
【0052】
更に、平ベルト330a、330bの左右両端の幅を、スライス食品Sが中心から若干ずれる場合を考慮した上で、最小限の値に設定できるため、複数のコンベアを並べて設置する場合のスペースを小さくできる。
【0053】
筐体370の空洞部には、上述した回転伝達機構以外に、コンベア30を水平面内で旋回させる回転伝達機構が設置されている。
図2および
図3に示すように、筐体370は、円柱状の支柱390を介して基台(図示せず)に取り付けられており、支柱390の軸を中心に、水平面内で回転できるように構成されている。
【0054】
具体的には、支柱390の上端には、複数の歯車で構成されたギアボックス391が取り付けられており、ギアボックス391に隣接して設置されたモータ392の回転を筐体370に伝達し、筐体370を支柱390の軸回りに旋回させる。モータ392の制御については、後に
図5を参照して説明する。
【0055】
次に、コンベア部30aを筐体370に取り付ける際の手順について、
図4を参照して説明する。コンベア30は、衛生上の観点より、スライス食品を搬送する都度、洗浄する必要がある。このため、コンベア30は、コンベア部30aが、簡単に分解し、かつ組み立てることができるように構成されている。
【0056】
前述したように、コンベア部30aは、第1取付板362a、362bおよび第2取付板364a、364bを介して筐体370に取り付けられている。
すなわち、
図2に示すように、メインフレーム341a、341bの第1係合突起344a、344bが第1係合凹部363a、363bに係合され、可動サブフレーム343a、343bの第2係合突起364a、364bが第2係合凹部365a、365bに係合されて、
図1および
図2に示すように装着状態となる。
【0057】
コンベア部30aを筐体370に取りつける際には、まず一対の平ベルト330a、330bを一対のプーリ310と320の間にかける。
図4(a)に示したように、この状態では、可動サブフレーム343a、343bの先端が自重で下方に垂れ下がっており、平ベルト330a、330bの長さにゆとりがあるため、簡単にプーリ部310a(310b)と、プーリ部320a(320b)の間にかけることができる。併せて、タイミングベルト351を、2つのギア部352と353の間にかける。この状態で、タイミングベルト351は、
図4(a)に示すように、弛んだ状態になっている。
【0058】
すなわち、
図4(a)に示すように、メインフレーム341の側面から突出した第1係合突起344a(344b)を、第1取付板364a(364b)の上部に形成された第1係合凹部363a、363bに係合させた状態で、
図4(b)に示すように、可動サブフレーム343a、343bの第2係合突起364a、364bをガイド部367a(367b)に臨ませた状態で、
図4(b)において矢印で示すように、ピン346を364a、364b方向に下降させる。
この下降によって、可動サブフレーム343a、343bの先端が矢印のように、軸47a(347b)を中心に回転し、第2係合突起364a、364bがガイド部367a(367b)によって、第2係合凹部365a、365bに向かってガイドされる。
【0059】
そして、
図4(c)に示したように、第2係合突起364a、364bが第2係合凹部365a、365bに完全に係合状態となることで、コンベア本体30aが、装着状態となる。また、この装着状態では、可動サブフレーム343a(343b)の上面がメインフレーム341a(341b)のストッパ348a(348b)に当接し、可動サブフレーム343a(343b)の回転が停止し、その後、メインフレーム341a(341b)と可動サブフレーム343a(343b)は直線状に配置され、かつ水平状態を保つ。また、平ベルト330a(330b)およびタイミングベルト351が張設状態になる。
また、この状態においては、プーリ部310a(310b)、プーリ部320a(320b)間に巻回された平ベルト330a(330b)の張力により、軸347a(347b)を中心として、可動サブフレーム343a(343b)を上方に回転させようとする力が働くが、ストッパ348によって可動サブフレーム343a(343b)の回転が阻止される。結果として、メインフレーム341a(341b)と可動サブフレーム343a(343b)は、締結具を用いて相互を固定することなく、直線状の配置が維持され、かつ水平に保持される。
【0060】
一方、
図4(c)に示すように、メインフレーム341a(341b)が水平に保持された時点では、タイミングベルト351は、ギア部352、353およびタイミングプーリ354の間に張架され、平ベルト330a(330b)によってスライス食品Sを搬送する準備が完了する。その後、コントローラ6の指示によりスライス食品Sの搬送が開始される。
【0061】
搬送作業の終了後、洗浄のため、コンベア本体30aを筐体370から取り外す際には、
図4(a)~(c)に示す手順を逆に行えば,コンベア本体30aが、
図4(a)に示す平ベルト330a,330bおよびタイミングベルト351が弛んだ状態の非装着状態となり、各部材を簡単に筐体370から取り外すことができる。
【0062】
次に、
図5を参照して、コンベア30の制御系について説明する。コンベア30の制御は、コントローラ6と、1台の駆動用モータ381および旋回用モータ392を用いて説明すれば足りるが、前述したように、4台のコンベア30は連携してスライス食品Sの位置を調節するため、ここでは4台のコンベア30を制御する構成について説明する。
【0063】
コンベア30の制御系は、コントローラ66、カメラ7およびモータ81~88で構成されており、各部材の間は信号伝達用および電力供給用のケーブル(図示せず)で接続されている。
【0064】
具体的には、搬送方向に対して右側に配置されたコンベア30の筐体70には、モータ81と82が、次のコンベア30の筐体70にはモータ83と84が、さらに次のコンベア30の筐体70にはモータ85と86が、搬送方向に対して最も左側に配置されたコンベア30の筐体70にはモータ87と88がそれぞれ収容されている。
【0065】
図2に示したコンベア30の構成部材のうち、モータ381がモータ81、83、85および87に相当し、同じくモータ392がモータ82、84、86および88に相当する。
【0066】
複数のコンベア30の上方には、第2のコンベア2からコンベア30に移載されたスライス食品Sの画像を撮影するカメラ7が設置されている。
図6の2点鎖線で囲んだ領域7Rは、カメラ7の撮影エリアを示している。カメラ7で撮影されたスライス食品Sの画像データはコントローラ6に入力される。
【0067】
図5に示すように、コントローラ6は、画像認識部61、制御部72、記憶部63、入力部64および表示部65で構成され、一般的なパーソナルコンピュータによって実現されている。
【0068】
画像認識部61および制御部62の機能は、記憶部63に記憶されたソフトウェアによって実現される。画像認識部61は、カメラ7で撮影した画像からスライス食品Sの画像を取り出し、円の中心の幅方向の位置データを算出する。更に、算出した位置データと、予め記憶部63に記憶された位置データ、具体的には、前述の4つのスライス食品Sの中心の位置データとを比較し、その差分を算出する。
【0069】
制御部62は、画像認識部61で算出した差分の位置データに基づいて各コンベア30の旋回用モータ82、84、86および88を制御し、コンベア30で搬送され、第4のコンベア4に引き渡される際のスライス食品Sの幅方向の位置が予定された位置になるように、それぞれのコンベア30を旋回させる。
【0070】
入力部64はキーボードやマウスで構成され、基準となる位置データ等を入力するのに用いられる。また表示部65は液晶ディスプレイ等で構成され、カメラ7で撮影したスライス食品Sの画像や算出された位置データを表示するのに用いられる。
【0071】
図5および
図6を参照して、本実施の形態に係るコンベア30の動作を説明する。
【0072】
スライス装置5によるスライス動作が繰り返され、第1の搬送手段1上に所定枚数重なった状態で載置された未包装のスライス食品Sは、第1のコンベア1と第2のコンベア2を同一速度で駆動することにより、コンベア30に移載される。
【0073】
コンベア30において
図6に示す位置まで搬送されたスライス食品Sは、カメラ7によって撮影され、画像データがコントローラ6に送られる。コントローラ6の画像認識部61は、受信した画像データからスライス食品Sの画像を抽出すると共に、スライス食品Sの中心の位置データ(Y座標)を算出する。更に、算出された位置データを、記憶部63に記憶された位置データと比較し、差分データを算出する。
【0074】
コントローラ6の制御部62は、画像認識部61によって算出された位置データに基づいて各コンベア30の旋回用モータ82、84、86、88を駆動し、コンベア30を旋回させて、コンベア4に引き渡されるスライス食品Sの幅方向の位置(Y座標)が記憶部63に記憶された位置と一致するように調節する。
【0075】
上述したように、スライス装置5でスライスされた食品Sが第1のコンベア1上に落下する位置は、切断刃で切断される状態によって若干ずれるが、コンベア30による搬送の都度、ずれの程度に応じて幅方向(Y座標)の位置が修整される。
【0076】
一方、搬送方向(X座標)の位置については、第4のコンベア4の下流に配された4台の小コンベア(図示せず)によって、4個のスライス食品Sの搬送方向の位置が揃い、かつ前後が等間隔になるように調節されるが、この機能は、既存のスライス食品搬送装置の基本的機能の一つであるため、ここでは説明を省略する。
【0077】
上述した処理により、包装機においてスライス食品Sが包装用フィルムのポケットに投入される際には、搬送方向(X軸)および幅方向(Y軸)の位置がポケットの位置と一致しているため、スライス食品を確実にポケットに投入することができる。
【0078】
以上説明したように、本実施の形態に係るコンベアを用いれば、スライスされた食品がフレームと接触することによって平ベルトが減速したり、平ベルトに対してスライス食品の位置がずれたりすることを防止できる。結果として、スライス食品を、包装用フィルムのポケットに正確に投入できる。
【0079】
-2また、スライス食品と接する平ベルト、プーリおよびフレームを簡単に筐体から取り外して洗浄できることから、搬送装置の保守作業が楽になる。
【0080】
なお、上述した実施の形態では、4本の食品原木を同時にスライスするスライス装置に対応して、コンベアユニット3を4台のコンベア30で構成したが、コンベア30の数は4台に限定されない。それ以上の数の食品原木を同時にスライスする場合は、原木の数に対応した数の小コンベアで構成すればよい。
【0081】
また、上述した実施の形態において、第4のコンベアに載置されたスライス食品の位置データを取得する手段としてカメラを用いたが、これに限定されない。例えば、線状に配列された光電センサを小コンベアと第2のコンベアの間に配置し、スライス食品によって光が遮られた位置によってスライス食品の位置データを取得するようにしてもよい。
【0082】
更に、上述した実施の形態では、円形のスライス食品を搬送する場合について説明したが、本発明に係る搬送装置は、円形のスライス食品に限定されず、楕円形や四角形のスライス食品の搬送にも適用できることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
S スライス食品
W 食品原木
1、2、4、30 コンベア
3 コンベアユニット
5 スライス装置
6 コントローラ
7 カメラ
10 スライス食品搬送装置
61 画像認識部
62 制御部
63 記憶部
64 入力部
65 表示部
81、83、85、87 駆動用モータ
82、84、86、88 旋回用モータ
30 コンベア
30a コンベア本体
310 搬入側プーリ
310a、310b プーリ部
320 搬出側プーリ
320a、320b プーリ部
330a、330b 平ベルト
340a、340b 長尺フレーム
341a、341b メインフレーム
342a、342b 固定サブフレーム
343a、343b 可動サブフレーム
344、345、346,347 ピン
344a、344b 第1係合突起
346a、346b 第2係合突起
348 ストッパ
351、384、388 タイミングベルト
352、353 ギア部
354、385、389 タイミングプーリ
362a、362b 第1取付板
364a、364b 第2取付板
363a、363b 第1係合凹部
365a、365b 第2係合凹部
367a、367b ガイド部
367c テーパ部
368a、367b ストッパ
370 筐体
381、392 モータ
390 支柱