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特開2024-5991アクチュエータ、ハプティクスデバイス、およびハプティクスシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005991
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】アクチュエータ、ハプティクスデバイス、およびハプティクスシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240110BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B25J19/00 A
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106511
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】原 將人
(72)【発明者】
【氏名】長屋 竜也
(72)【発明者】
【氏名】島田 卓
(72)【発明者】
【氏名】林下 歩樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 椎奈
【テーマコード(参考)】
3C707
5E555
【Fターム(参考)】
3C707LV22
5E555AA29
5E555BA08
5E555BB08
5E555BE17
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】触覚を効果的に提示する。
【解決手段】第1流体の流入に応じて突出する伸縮部と、互いに少なくとも一部が仕切られた、それぞれ前記第1流体を流出入させる複数のユニットと、を備え、前記複数のユニットのうちの少なくとも1つの動作に基づいて、前記伸縮部を突出させるとともに、前記伸縮部の突出状態における前記伸縮部の頂部の位置を、前記動作に対応付けられている方向へ変位可能である。
【選択図】図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体の流入に応じて突出する伸縮部と、
互いに少なくとも一部が仕切られた、それぞれ前記第1流体を流出入させる複数のユニットと、を備え、
前記複数のユニットのうちの少なくとも1つの動作に基づいて、前記伸縮部を突出させるとともに、前記伸縮部の突出状態における前記伸縮部の頂部の位置を、前記動作に対応付けられている方向へ変位可能であるアクチュエータ。
【請求項2】
前記ユニットは、
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の領域を仕切り、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された電界により前記第1電極および前記第2電極に対する相対位置が変化するセパレータとを備え、
前記複数のユニットのうちの少なくとも1つにおける前記セパレータの変位と、前記伸縮部の頂部の位置が変位する方向とが対応付けられている請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記複数のユニットに含まれる第1ユニットが備える第1電極と、前記第1ユニットの直下の第2ユニットが備える第2電極とは共有されている請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記伸縮部は、前記セパレータと前記第1電極との間の第1空間を移動することが可能な第1流体の移動に起因して初期状態と突出状態とが切り替わる請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記セパレータは、前記第2電極に近づく動作により、前記第2電極と前記セパレータとの間の第2空間に存在する第2流体を押し出し、
前記複数のユニットの少なくとも1つから押し出された前記第2流体によって前記伸縮部の頂部の位置を偏らせる請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記複数のユニットが積層されており、
前記複数のユニットが備える前記第1電極および前記第2電極は開口部を有しており、
前記伸縮部は、最も上に位置した前記ユニットが備える前記第2電極の開口部に位置しており、
前記複数のユニットは、前記セパレータと前記第1電極との間の第1空間を有しており、
各ユニットの前記第1空間は、前記開口部を介して連通している請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記複数のユニットのうち少なくとも1つの前記ユニットから押し出された第2流体が流入することにより膨張する膨張部を備え、
前記膨張部が膨張して前記伸縮部を押圧することにより、前記伸縮部の頂部の位置を偏らせる請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
複数の前記膨張部を備え、
前記複数の膨張部のそれぞれは、
前記複数のユニットのいずれかから押し出された前記第2流体が流入し、
前記伸縮部を互いに異なる方向に押圧する
請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記膨張部が膨張したときの高さは、前記伸縮部が突出したときの前記伸縮部の高さよりも低い請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記膨張部は、最も上に位置した前記ユニットが備える前記第2電極上に位置している請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記膨張部の水平方向の膨張率は、鉛直方向の膨張率よりも大きい請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記膨張部の前記伸縮部に近い領域の膨張率は、前記膨張部の前記伸縮部に遠い領域の膨張率よりも大きい請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記複数の膨張部のうち1つの前記膨張部を膨張させることにより、前記伸縮部を変形させる請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記複数の膨張部のうち2つ以上の前記膨張部を膨張させることにより、前記伸縮部を変形させる請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記複数の膨張部は、互いに連通していない請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記膨張部の内部の空間と連通する空間は、密閉空間となっている、請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記複数のユニットは、前記第1電極および前記第2電極の端部から、前記膨張部の内部の前記第2流体を、前記第2電極と前記セパレータとの間の第2空間に受け入れる請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項18】
前記セパレータが前記第2電極に近づく動作に伴い、前記第1電極と前記セパレータとの間の第1空間に前記第1流体を引き込む請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項19】
前記膨張部の、前記伸縮部と対向する側とは反対側から前記第2流体が流入する請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項20】
前記膨張部の前記伸縮部側の形状は、最上層の前記ユニットが備える前記第2電極の前記開口部の形状に沿った形状である請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項21】
前記アクチュエータを平面視した場合に、前記膨張部における前記第2流体が流出入する流出入口の幅は、最上層の前記ユニットが備える前記第2電極の前記開口部の幅よりも大きい請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項22】
前記第1電極と前記第2電極との間の距離を維持するスペーサをさらに備えている請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項23】
前記スペーサとして、前記伸縮部に近い位置にある第1スペーサと、前記第1スペーサよりも前記伸縮部から遠い位置にある第2スペーサとを備えている請求項22に記載のアクチュエータ。
【請求項24】
前記アクチュエータを平面視した場合に、前記複数のユニットが備える前記第1スペーサは、互いに異なる位置に設けられている請求項23に記載のアクチュエータ。
【請求項25】
前記複数のユニットの前記開口部の開口幅は、前記複数のユニットが配置される層が下層になるにつれて小さくなる請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項26】
前記第2電極が有する前記開口部の開口幅は、前記第1電極が有する前記開口部の開口幅よりも大きい請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項27】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の領域を仕切り、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された電界により前記第1電極および前記第2電極に対する相対位置が変化するセパレータと、
前記セパレータの変位に伴い、前記セパレータと前記第1電極との間の第1空間を移動することが可能な第1流体が移動することに起因して初期状態と突出状態とが切り替わる伸縮部とを備え、
前記第2電極と前記セパレータとの間の第2空間を移動する第2流体を利用して前記伸縮部の頂部の位置を偏らせるアクチュエータ。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか1項に記載のアクチュエータが少なくとも1つ搭載されたハプティクスデバイス。
【請求項29】
請求項28に記載のハプティクスデバイスと、
前記ハプティクスデバイスに通信可能に接続された画像表示装置と、を備えるハプティクスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザに触覚を与えるアクチュエータなどに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、静電力によって電極間の距離を変化させることにより流体の流れを生み出し、当該流体の圧力により伸縮部を突出させることで、ユーザに触覚を与えるアクチュエータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公報第2021/0316446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
触覚を効果的に提示することができるアクチュエータが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るアクチュエータは、第1流体の流入に応じて突出する伸縮部と、
互いに少なくとも一部が仕切られた、それぞれ前記第1流体を流出入させる複数のユニットと、を備え、前記複数のユニットのうちの少なくとも1つの動作に基づいて、前記伸縮部を突出させるとともに、前記伸縮部の突出状態における前記伸縮部の頂部の位置を、前記動作に対応付けられている方向へ変位可能である。
【0006】
本開示の一態様に係るアクチュエータは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の領域を仕切り、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された電界により前記第1電極および前記第2電極に対する相対位置が変化するセパレータと、前記セパレータの変位に伴い、前記セパレータと前記第1電極との間の第1空間を移動することが可能な第1流体が移動することに起因して初期状態と突出状態とが切り替わる伸縮部とを備え、前記第2電極と前記セパレータとの間の第2空間を移動する第2流体を利用して前記伸縮部の頂部の位置を偏らせる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、触覚を効果的に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1に係るハプティクスシステムの要部構成を示すブロック図である。
図2】本開示の実施形態1に係るアクチュエータの上面図である。
図3図2のIII-III線の矢視断面図である。
図4図2のIV-IV線の矢視断面図である。
図5図2のV-V線の矢視断面図である。
図6図3に示す断面図における第1ユニットを拡大した図である。
図7図4に示す断面図における第1ユニットを拡大した図である。
図8図6において点線で囲んだ領域の拡大図である。
図9】本開示の実施形態1に係る第1電極の第1開口部付近を拡大した断面図である。
図10図4のX-X線の矢視断面図である。
図11図3に示す断面図における第2ユニットを拡大した図である。
図12図5に示す断面図における第2ユニットを拡大した図である。
図13図5のXIII-XIII線の矢視断面図である。
図14図3に示す断面図における第3ユニットを拡大した図である。
図15図4に示す断面図における第3ユニットを拡大した図である。
図16図4のXVI-XVI線の矢視断面図である。
図17図3に示す断面図における第4ユニットを拡大した図である。
図18図5に示す断面図における第4ユニットを拡大した図である。
図19図5のXIX-XIX線の矢視断面図である。
図20図4に示す断面図における、第1セパレータが第2電極に、第2セパレータが第1電極に、第3セパレータが第4電極に、第4セパレータが第4電極にそれぞれ引き付けられた様子を示す上記アクチュエータの断面図である。
図21図5に示す断面図における、第1セパレータが第2電極に、第2セパレータが第1電極に、第3セパレータが第4電極に、第4セパレータが第4電極にそれぞれ引き付けられた様子を示す上記アクチュエータの断面図である。
図22】上記アクチュエータの一動作例における頂部の移動を示す上面図である。
図23】上記動作例における膨張部の頂部の移動を示す上記アクチュエータの上面図である。
図24】本開示の実施形態2に係るアクチュエータの上面図である。
図25図24のXXV-XXV線の矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態におけるハプティクスシステム300Aの要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、ハプティクスシステム300Aは、装着型ハプティクスデバイス100Aと、画像表示装置200とを備えている。ハプティクスシステム300Aは、画像表示装置200が表示する画像に応じた疑似触覚を、装着型ハプティクスデバイス100Aが備えるアクチュエータ1により与えるシステムである。装着型ハプティクスデバイス100Aは、ハプティクスデバイスの一例である。画像表示装置200は、VR(Virtual Reality)装置であってよいし、その他の画像表示装置であってよい。
【0010】
装着型ハプティクスデバイス100Aは、例えば、VRなどの仮想空間での疑似触覚をユーザに提示するために用いられてよい。装着型ハプティクスデバイス100Aは、ユーザに触覚を提示するためのアクチュエータ1を搭載している。装着型ハプティクスデバイス100Aは、ハプティクスグローブまたはハプティクスウェアなどであってよい。装着型ハプティクスデバイス100Aは、アクチュエータ1が1つ搭載されていてもよいし、複数搭載されていてもよく、例えば、装着型ハプティクスデバイス100Aにマトリックス状に複数のアクチュエータ1が搭載されてもよい。
【0011】
図2は、本実施形態におけるアクチュエータ1の上面図である。図3は、図2のIII-III線の矢視断面図である。図4は、図2のIV-IV線の矢視断面図である。図5は、図2のV-V線の矢視断面図である。図3図5は、アクチュエータ1の初期状態を示している。以降の説明では、説明の便宜上、図2におけるX軸方向をアクチュエータ1の左右方向、Y軸方向をアクチュエータ1の前後方向、Z軸方向をアクチュエータ1の上下方向として説明する。また、図2における、+X軸方向を右方向、-X軸方向を左方向、+Y軸方向を後方向、-Y軸方向を前方向、+Z軸方向を上方向、-Z軸方向を下方向として説明する。上面とは、注目する部材の上側の面を意味し、下面とは、注目する部材の下側の面を意味する。
【0012】
ここで、アクチュエータ1の構成の詳細を説明するに先立って、アクチュエータ1の機能の概要について説明する。アクチュエータ1は、図3図5に示すように、第1ユニットU1、第2ユニットU2、第3ユニットU3、および第4ユニットU4を備えている。第1ユニットU1、第2ユニットU2、第3ユニットU3、および第4ユニットU4は、互いの空間の少なくとも一部が仕切られている。言い換えれば、第1ユニットU1、第2ユニットU2、第3ユニットU3、および第4ユニットU4は、互いに少なくとも一部が独立している空間を有している。
【0013】
アクチュエータ1では、第1ユニットU1、第2ユニットU2、第3ユニットU3、および第4ユニットU4が、この順にアクチュエータ1の上側から積層された積層体10を形成している。積層体10の各ユニットは、内部に流体を有しており、この流体を流出入させることができる。本実施形態では、各ユニットは、その内部に配され、内部空間を仕切るセパレータを有している。セパレータによって区切られた各ユニットの内部空間のそれぞれには、流体が配されている。その結果、セパレータを変位させることによって、流体の流出入を制御することができる。
【0014】
アクチュエータ1において、図2図5に示すように、第1ユニットU1は第2電極12を有しており、第2電極12は第1ユニットU1の上面として機能することができる。アクチュエータ1は、第2電極12の上面側に、第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104を備えている。第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104は、内部への流体の流入によって膨張することができる。
【0015】
第2電極12は、上下方向に貫通する第1開口部12aを有している。第1ユニットU1は、第2電極12の第1開口部12aに配された伸縮部20aを有している。伸縮部20aは、第2電極12の第1開口部12aを介して流入してくる流体によって、伸縮することができる。
【0016】
アクチュエータ1では、第1ユニットU1~第4ユニットU4のうちの少なくとも1つのユニットが動作することによって、当該少なくとも1つのユニット内の流体を伸縮部20aへ流出させる。そして、アクチュエータ1は、アクチュエータ1の各構成要件がこの動作と連携することによって、第1流体の流入によって突出した伸縮部20aの頂部の位置を、この動作に対応付けられた方向へ変位させることができる。このように、複数のユニットの少なくとも一部が他のユニットから独立しているため、単一のユニットの異なる方向への動作によって伸縮部20aの頂部の位置を変位させる場合と比較して、伸縮部20aの変位の状態を鮮明にすることができ、触覚を効果的に提示することができる。また、アクチュエータ1は、触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに感じさせることができるようになっている。
【0017】
本実施形態のアクチュエータ1では、第1ユニットU1~第4ユニットU4のうちの少なくとも1つのユニットにおいて、当該ユニットのセパレータが変位することにより、第1流体F1が当該ユニットから中央空間MSに押し出される。この第1流体F1から受ける圧力に応じて、第1ユニットU1が備える第1セパレータ20の伸縮部20aが外側に向けて突出する(図20および図21参照)。同時に、第1ユニットU1~第4ユニットU4のうちの少なくとも1つのユニットにおいて、当該ユニットのセパレータが変位することにより、第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104の少なくとも1つの膨張部に第2流体F2が流入し、当該膨張部が膨張する。膨張した膨張部は、突出した伸縮部20aを押圧することにより、伸縮部20aの頂部Pの位置が変位する(図22参照)。以下に、アクチュエータ1の構成および動作例について詳細に説明する。
【0018】
<アクチュエータ1の構成>
<第1ユニットU1>
図6は、図3に示す断面図における第1ユニットU1を拡大した図である。図7は、図4に示す断面図における第1ユニットU1を拡大した図である。図6および図7に示すように、第1ユニットU1は、第1電極11と、第2電極12と、第1セパレータ20と、第1スペーサ31と、第2スペーサ32とを備えている。第1ユニットU1は、積層体10を構成するユニットのうち、最も上に位置したユニットである。
【0019】
第1電極11は、電圧が印加可能となっている板状の電極である。第1電極11は、第1ユニットU1の下面の少なくとも一部として機能する。第1電極11は、後述する第1セパレータ20よりも大きい剛性を有している。図8は、図6において点線で囲んだ領域Dの拡大図である。第1電極11は、例えば、図8に示すように、絶縁層111と、絶縁層111上に配された導電層112とを有している。絶縁層111は、例えば、樹脂材料またはセラミック材料を用いて、従来の方法によって作製されてよい。樹脂材料は、例えば、ポリエチレンフタレート、エポキシ樹脂などであってよい。セラミック材料は、例えば、シリカ、アルミナなどであってよい。絶縁層111の厚みは、例えば、10μm~1000μmに設定することができる。
【0020】
導電層112は、絶縁層111の両面に導電性材料を成膜することにより作製されてよい。導電層112は、例えば、アルミニウム、銅などであってよい。導電性材料を用いた成膜方法としては、蒸着、スパッタなどの一般的な成膜方法を用いることができる。導電層112は、10nm~1000nmの厚みで成膜されてよい。
【0021】
第1電極11と後述する第1セパレータ20との間は導通しないように構成されている。換言すると、第1ユニットU1は、少なくとも導電層112と後述する第1セパレータ20とが当接する領域において、導電層112と後述する第1セパレータ20との間に絶縁構造を有している。当該絶縁構造として、第1電極11は、少なくとも第1セパレータ20と接する領域において、絶縁層を備えていてもよい。絶縁層は、第1電極11における第1セパレータ20側の面全域に形成されていてもよい。当該絶縁層は、例えば、導電層112上に積層される、10μm~100μmの厚みを有する絶縁性樹脂フィルムであってよい。当該絶縁性樹脂フィルムに用いられる樹脂は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)であってよい。第1電極11には、外部回路との接続用配線を形成するために、電極パターンが形成されている。電極パターンは、フォトリソプロセスにより形成されてよい。
【0022】
絶縁層111が、樹脂材料またはセラミック材料で構成される場合、絶縁層111のヤング率は、例えば、1GPa以上1000GPa以下に設定されてよい。この場合、比較的に剛性の大きい絶縁層111の表面に導電層112が成膜されることで、第1電極11の剛性を大きくすることができる。
【0023】
第1電極11は、上記の構成に限られるものではなく、金属板によって構成されてもよい。
【0024】
第1電極11の形状は特に限定されるものではない。例えば、第1電極11は、Z軸方向から見たときの形状が矩形であってもよいし、円形状であってもよい。本実施形態における第1電極11は、Z軸方向から見たときに矩形となっている。
【0025】
第1電極11は、図6および図7に示すように、上下方向に開口した第1開口部11aを中央部に有していてもよい。第1開口部11aは、第1流体F1が移動する通路として機能する。第1開口部11aは、ドリル、打ち抜き、レーザなどの穿孔プロセスにより形成されてよい。第1開口部11aの周辺部は、エッジ部での放電を回避するために、100μm~900μm程度、電極パターンが形成されていない領域を備えていてもよい。
【0026】
アクチュエータ1を平面視したときの第1開口部11aの形状は、特に限定されるものではなく、円形状であってもよく、矩形であってもよい。本実施形態における第1開口部11aは、円形状になっている。第1開口部11aが円形状である場合、第1開口部11aの大きさは、直径が1mm~9mmであってもよい。第1開口部11aは、ドリル、打ち抜き、レーザなどの穿孔プロセスにより形成されてよい。
【0027】
第1開口部11aの上側開口の大きさは、第1開口部11aの下側の開口の大きさと同じであってもよいし、異なっていてもよい。図9は、本実施形態における第1電極11の第1開口部11a付近を拡大した断面図である。本実施形態における第1開口部11aは、図9に示すように、上側開口の大きさが、下側開口の大きさよりも小さくなっている。第1開口部11aの形状は、後述する第2電極12の第1開口部12aと異なっていてもよい。すなわち、本開示のアクチュエータを構成する各電極の開口部の形状は、開口部ごとに異なっていてもよい。開口部の形状は、加工方法および/または加工時間を適宜設定することによって調整することができる。
【0028】
第2電極12は、第1電極11と対向して配置されている板状の電極である。第2電極12は、第1ユニットU1の上面の少なくとも一部として機能する。第2電極12は、電圧が印加可能となっている。第2電極12は、第1セパレータ20よりも大きい剛性を有している。第2電極12は、図9に示すように、絶縁層121と、絶縁層121上に配された導電層122とを有していてもよい。アクチュエータ1は、少なくとも導電層122と後述する第1セパレータ20とが当接する領域において、導電層122と後述する第1セパレータ20との間に絶縁構造を有している。例えば、第2電極12は、少なくとも第1セパレータ20と接する領域において、絶縁層を備えていてもよい。絶縁層は、第2電極12における第1セパレータ20側の面全域に形成されていてもよい。第2電極12は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第1電極11よりも広い面積を有している。第2電極12は、第1電極11と同様のプロセスにより形成されてよい。
【0029】
第2電極12は、上下方向に開口した第1開口部12aを中央部に有している。第1開口部12aは、第1流体F1が移動する通路として機能する。第1開口部12aの形状は、特に限定されるものではなく、円形状であってもよく、矩形であってもよい。本実施形態における第1開口部12aは、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第1電極11の第1開口部11aと同じ形状になっている。第1開口部12aは、第1電極の第1開口部11aと同様のプロセスにより形成されてよい。第2電極12は、第1開口部12aの周辺部に、エッジ部での放電を回避するために、100μm~900μm程度、電極パターンが形成されていない領域を備えていてもよい。
【0030】
第2電極12は、図2に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第1電極11と重ならない領域に、上下方向に開口し、第1膨張部101~第4膨張部104に対してそれぞれ開口する、第2開口部12b、第3開口部12c、第4開口部12d、および、第5開口部12eを有していてもよい。
【0031】
第2開口部12bは、図2図4および図7に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第2電極12の中心から左方向(-X軸方向)に離れた位置に形成されてよい。第2開口部12bは、前後方向(Y軸方向)に延伸した形状であってよい。第2開口部12bは、第1膨張部101に第2流体F2を流出入させる流出入口として機能する。
【0032】
第3開口部12cは、図2および図5に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第2電極12の中心から前方向(-Y軸方向)に離れた位置に形成されてよい。第3開口部12cは、左右方向(X軸方向)に延伸した形状であってよい。第3開口部12cは、第2膨張部102に第2流体F2を流出入させる流出入口として機能する。
【0033】
第4開口部12dは、図2図4および図7に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第2電極12の中心から右方向(+X軸方向)に離れた位置に形成されてよい。第4開口部12dは、Y軸方向(前後方向)に延伸した形状であってよい。第4開口部12dは、第3膨張部103に第2流体F2を流出入させる流出入口として機能する。
【0034】
第5開口部12eは、図2および図5に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第2電極12の中心から後方向(+Y軸方向)に離れた位置に形成されてよい。第5開口部12eは、X軸方向(左右方向)に延伸した形状であってよい。第5開口部12eは、第4膨張部104に第2流体F2を流出入させる流出入口として機能する。
【0035】
第2開口部12b、第3開口部12c、第4開口部12d、および、第5開口部12eは、第1電極の第1開口部11aと同様のプロセスにより形成されてよい。第2電極12は、第2開口部12b、第3開口部12c、第4開口部12d、および、第5開口部12eの周辺部に、エッジ部での放電を回避するために、100μm~900μm程度、電極パターンが形成されていない領域を備えていてもよい。
【0036】
本開示の一態様のアクチュエータ1では、第1電極11における第1開口部11aの上側開口と下側開口の大きさが同程度であり、第2電極12における第1開口部12aの上側開口が下側開口よりも小さく設定されてよい。言い換えれば、第1電極11における第1開口部11aの上側開口の大きさと下側開口の大きさとの差が、第2電極12における第1開口部12aの上側開口の大きさと下側開口の大きさとの差よりも小さく設定されてよい。なお、第2電極12の第1開口部12aの大きさを、第1電極11の第1開口部11aの大きさよりも小さくしてもよい。その結果、第2電極12の第1開口部12aから後述する第1流体F1が流出する際に流出圧力を大きくすることができる。
【0037】
第1セパレータ20は、第1電極11と第2電極12との間の領域を仕切ることができる。言い換えれば、第1セパレータ20は、第1流体F1および第2流体F2が互いに交じり合わないように第1電極11と第2電極12との間に仕切りを形成することができる。第1セパレータ20は、第1電極11および/または第2電極12に印加される電圧の変化に応じて、第1電極11および第2電極12に対する相対位置が変化可能な部材である。第1セパレータ20は、例えば、膜状の部材である。第1セパレータ20は、アクチュエータ1Aを平面透視したときに、第1電極11および第2電極12と重複するように配されている。言い換えれば、第1セパレータ20は、上下方向において第1電極11と第2電極12とに挟まれるように位置している。第1セパレータ20は、アクチュエータ1を平面視したときに、第1電極11の外形と略同じ大きさの外形となるように構成されてよい。
【0038】
図8に示すように、第1セパレータ20は、可撓性部材21と2つの電極層22とを有していてもよい。可撓性部材21の厚みは、電極層22の厚みよりも小さくてもよい。可撓性部材21の厚みは、例えば10μm~100μm程度に設定することができる。電極層22の厚みは、例えば10nm~1000nm程度に設定することができる。第1セパレータ20が備える電極層22は、1層でもよい。
【0039】
可撓性部材21は、可撓性を有している。可撓性部材21は、例えば、シリコーン、ウレタン、アクリルなどのエラストマー材料を含んでいてもよい。可撓性部材21は、伸縮性を有していてもよい。
【0040】
電極層22は、可撓性部材21を上下方向から挟むように、可撓性部材21の上面側および下面側の表面に位置している。電極層22は、可撓性部材21の表面に、銀または銅などを含む導電性インクを印刷することにより形成されてよい。電極層22は、導電性を有しており、外部回路から電圧が印加可能となっている。電極層22は、第1セパレータ20のうち、第1電極11と第2電極12との間の領域にのみ設けられていてもよい。すなわち、第1セパレータ20のうち、アクチュエータ1を平面視したときに、第2電極12の第1開口部12aに対応する領域には、電極層22が設けられていなくてもよい。
【0041】
図8に示すように、第1セパレータ20は、第1電極11および第2電極12に対向して配置されている。換言すれば、第1セパレータ20の電極層22が、第1電極11の導電層112および第2電極12の導電層122と対向している。これにより、第1電極11の導電層112または第2電極12の導電層122と、第1セパレータ20の電極層22との間に電位差が生じたときに、第1セパレータ20が上記電位差によって生じる電界によって第1電極11または第2電極12に対して変位可能になっている。
【0042】
電極層22は、可撓性部材21の表面全体を覆うように設けられていてもよいし、可撓性部材21の表面の一部を多くように設けられていてもよい。例えば、電極層22は、アクチュエータ1を平面視したときに、アクチュエータ1の外側に向かうにつれて、可撓性部材21の表面を覆う面積が大きくなる、換言すれば、電極層22の密度が大きくなっていてもよい。この場合、第1電極11および第2電極12は、アクチュエータ1を平面視したときに、第1セパレータ20において電極層22が設けられている領域と対向する領域にのみ導電層112を有していてもよい。
【0043】
前述したように、アクチュエータ1は、少なくとも第1電極11と第1セパレータ20とが当接する領域、および第2電極12と第1セパレータ20とが当接する領域において絶縁構造を有している。絶縁構造の一例として、第1セパレータ20は、少なくとも第1電極11と第1セパレータ20とが当接する領域、および第2電極12と第1セパレータ20とが当接する領域において絶縁層を備えていてもよい。絶縁層は、第1セパレータ20における第1電極11側の面、および第2電極12側の面全域に形成されていてもよい。あるいは、第1セパレータ20は、絶縁性を有する2つの可撓性部材が電極層を挟む構成を有していてもよい。絶縁層は、第1電極11および第2電極12と、第1セパレータ20のいずれかが備えていてもよいし、第1電極11および第2電極12と、第1セパレータ20の両方が備えていてもよい。
【0044】
本実施形態にアクチュエータ1では、第1セパレータ20は、可撓性部材21の上面側および下面側の両方の面に電極層22が形成されていたが、本開示のアクチュエータはこれに限られない。本開示の一態様のアクチュエータでは、可撓性部材21の上面側または下面側の面に電極層22が形成される構成であってもよい。
【0045】
第1ユニットU1は、第2電極12の第1開口部12aを覆う伸縮部20aを有している。本実施形態では、上述した通り、における第1セパレータ20は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第2電極12の第1開口部12aに対応する領域が、伸縮性を有する可撓性部材21である。すなわち、伸縮部20aは、第1セパレータ20が備える伸縮性を有する可撓性部材21のうち、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第2電極12の第1開口部12aに対応する領域である。可撓性部材21を、伸縮性を有する伸縮部20aと、伸縮性の小さい、または伸縮性がほとんどない部分との組み合わせによって構成してもよい。
【0046】
本実施形態における第1セパレータ20は、可撓性部材21の表面のうち、第1電極11または第2電極12に対向するすべての領域において、電極層22を有しているが、本開示のアクチュエータはこれに限られない。本開示の一態様にアクチュエータでは、可撓性部材21の表面のうち、第1電極11または第2電極12に対向する一部の領域において、電極層22を有していてもよい。本実施形態の第1セパレータ20は、可撓性部材21の表面に配された電極層22を有しているが、本開示の一態様として、第1セパレータ20は、導電性材料を内部に有する可撓性部材21を有していてもよいし、可撓性部材21を有さずに電極層22のみを有していてもよい。第1セパレータ20が導電性材料を内部に有する可撓性部材21を備える態様である場合、第1セパレータ20は、例えば、導電性高分子フィルムなどであってもよい。
【0047】
本実施形態では、第1ユニットU1は、少なくとも1つの第1スペーサ31および少なくとも1つの第2スペーサ32を有する。少なくとも1つの第2スペーサ32は、少なくとも1つの第1スペーサ31よりも伸縮部20aから遠い位置にある。言い換えれば、少なくとも1つの第1スペーサ31は、少なくとも1つの第2スペーサ32よりも伸縮部20aに近い位置にある。
【0048】
少なくとも1つの第1スペーサ31および少なくとも1つの第2スペーサ32は、図6に示すように、第1電極11と第2電極12との間に配置されており、第1電極11と第2電極12との間の距離を略一定に維持する。第1電極11と第2電極12とは、平行に配置される必要はなく、第1セパレータ20が変位可能な空間を維持できればよい。第1スペーサ31および第2スペーサ32は、剛性を有している。これにより、第1電極11と第2電極12との間の距離を略一定に維持することができる。
【0049】
第1スペーサ31および第2スペーサ32は、例えば、シリコーン、アクリルなどの絶縁性の樹脂材料で形成することができる。なお、例えば、第1電極11の絶縁層111または第2電極12の絶縁層121が上方または下方に突出する突出部を有しており、当該突出部を第1スペーサ31または第2スペーサ32としてもよい。
【0050】
第1電極11と第2電極12との距離を維持できれば、第1ユニットU1は、1つのスペーサを有していてもよい。一方で、第1ユニットU1は、3つ以上のスペーサを有していてもよい。すなわち、第1ユニットU1は、少なくとも1つのスペーサを有していればよい。
【0051】
図10は、図4のX-X線の矢視断面図である。図10では、理解しやすいように、第2電極12の第1開口部12aが形成される領域を点線で示している。また、図10では、第1セパレータ20の図示を省略している。
【0052】
図10に示すように、第1スペーサ31は、第2電極12の第1開口部12aの周囲に配されている。また、第1スペーサ31は、第1電極11の第1開口部11aの周囲に配されている。本実施形態におけるアクチュエータ1では、第2電極12の第1開口部12aの周囲であって、Z軸方向から見たときに矩形状のアクチュエータ1の2つの対角線に沿って4つの第1スペーサ31が設けられている。換言すれば、第1スペーサ31は、第1開口部12aの縁部に配置されている。複数の第1スペーサ31が、第1開口部12aの中央を始点とする放射状の仮想的な4つ以上の直線に沿って配置されていてもよい。この場合、複数の第1スペーサ31のそれぞれは、仮想的な直線に沿って延伸していてもよい。また、複数の第1スペーサ31は、第1開口部12aの周方向に周期的に配されていてもよい。また、複数の第1スペーサ31は、第1開口部12aの中央を中心にして点対称に配置されてもよい。アクチュエータ1は、アクチュエータ1を平面視したときに、第1開口部12aの周囲において第1スペーサ31が設置されていない領域が、第1スペーサ31が設置されている領域よりも大きくなっていてもよい。これにより、第1流体F1が後述する第1流体空間S1に流出入しやすくできる。なお、第1スペーサ31が設けられている箇所および第1スペーサ31の数はこれに限られるものではない。
【0053】
第2スペーサ32は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第1電極11の外周部に沿って設けられている。第1スペーサ31は、伸縮部20aに近い位置にあり、第2スペーサ32は、第1スペーサ31よりも伸縮部20aから遠い位置にある。
【0054】
図6に示すように、第1スペーサ31の上端部31aの少なくとも一部は、第1セパレータ20を介して第2電極12に当接している。言い換えれば、第1セパレータ20のうち、第2電極12の第1開口部12aの周囲の一部の領域は、第2電極12と第1スペーサ31の上端部31aとによって狭持されている。第1スペーサ31の下端部31bは、第1電極11に当接している。上記の構成により、第1スペーサ31は、第1電極11と第2電極12との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、伸縮部20aの外縁形状の一部を画定する役割も有している。
【0055】
第2スペーサ32の上端部32aの少なくとも一部は、第2電極12に当接している。第2スペーサ32の下端部32bは、第1セパレータ20を介して第1電極11に当接している。言い換えれば、第1セパレータ20の端部(換言すれば、第1セパレータ20の外縁部)は、第1電極11と第2スペーサ32の下端部32bとによって狭持されている。上記の構成により、第2スペーサ32は、第1電極11と第2電極12との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、第1セパレータ20の端部を第1電極11に対して固定する役割も有している。第1セパレータ20の端部は、第1電極11に対して固定されていればよく、第2スペーサ32によって固定されていなくてもよい。
【0056】
上記の構成となっていることにより、第2電極12を上側、第1電極11を下側とした場合、第1セパレータ20の第2電極12に対する固定位置は、第1セパレータ20の第1電極11に対する固定位置よりも高い位置となっている。
【0057】
図6に示すように、第1セパレータ20は、第2電極12の第1開口部12aの周囲において第1スペーサ31の上端部31aによって第2電極12に押しつけられた状態となっており、外縁部が第2スペーサ32の下端部32bによって第1電極11に押しつけられた状態となっている。これにより、第1セパレータ20は、第1電極11および第2電極12との間の領域を仕切っている。
【0058】
以降の説明では、図6に示すように、第1セパレータ20と第1電極11との間の空間を第1流体空間S1(第1空間)とし、第1セパレータ20と第2電極との間の空間を第2流体空間S2(第2空間)として説明する。また、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第1開口部12aが形成される領域であって、伸縮部20aと、ベース基板80と間の空間を中央空間MSとして説明する。第1流体空間S1は、後述する第1流体F1が充填されている空間である。第2流体空間S2は、後述する第2流体F2が充填されている空間である。第1流体空間S1は、第1ユニットU1の外縁部である第2スペーサ32から第2電極12の第1開口部12aに向かうにつれて上下方向の幅が大きくなっている。一方で、第2流体空間S2は、第2電極12の第1開口部12aに向かうにつれて上下方向の幅が小さくなっている。
【0059】
第2スペーサ32は、第2流体空間S2と外空間とを連通する連通路32cを備えている。図10を参照しつつ連通路32cが形成されている位置について説明する。本実施形態におけるアクチュエータ1では、アクチュエータ1をZ軸方向から平面透視した場合、第2スペーサ32は、第1流体空間S1および第2流体空間S2を画定する囲繞形状をなしている。囲繞形状とは、例えば、矩形、円形、楕円形であるが、特に限定されない。図10に示す例では、第2スペーサ32は、矩形の囲繞形状をなしている。連通路32cは、当該矩形の左側の辺の中央に設けられている。連通路32cは、図10に示すように前記囲繞形状を分断するように設けられていてもよいし、第2スペーサ32の側面を左右方向に貫通する開口部として設けられていてもよい。本実施形態では、連通路32cは、第2スペーサ32がなす矩形のそれぞれの辺の中央に設けられている。この場合、アクチュエータ1Aを平面透視したときに、連通路32cと第1開口部12aの中心とを結ぶ直線上に第1スペーサ31が存在していない。連通路32cが設けられる箇所は、図10に示す箇所に限られるものではなく、後述する第1外空間OS1と第2流体空間S2とを連通させることができるのであれば第2スペーサ32が形成する矩形の左側の面のいずれの箇所に設けられてよい。例えば、連通路32cは、第1スペーサ31と対向する位置に形成されてもよい。換言すれば、アクチュエータ1を平面透視したときに、第1スペーサ31が第1開口部12aと連通路32cとの間に位置するように構成されていてもよい。これにより、第2流体空間S2に充填されていた第2流体F2が第2流体空間S2から連通路32cを介して流出するときに、連通路32cから遠い領域においても第2流体F2が残存しないようにすることができる。また、連通路32cの個数は、1つに限られず、2つ以上であってもよい。
【0060】
図10に示すように、第1ユニットU1は、第1ユニットU1をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に第1スペーサ31が設けられていない領域を有している。これにより、第1ユニットU1は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に、第1流体空間S1と中央空間MSとを連通する流路が形成されている。そのため、第1流体空間S1と中間空間MSとは連通している。
【0061】
<第2ユニットU2>
図11は、図3に示す断面図における第2ユニットU2を拡大した図である。図12は、図5に示す断面図における第2ユニットU2を拡大した図である。図11および図12に示すように、第2ユニットU2は、第1電極11と、第3電極13と、第2セパレータ50と、第1スペーサ51と、第2スペーサ52とを備えている。本実施形態における第2ユニットU2は、第1電極11を第1ユニットU1と共有していている。これにより、積層体10の厚みを薄くすることができる。本開示の一態様では、第2ユニットU2は、第1ユニットU1と共有しない電極を第1電極11に代えて備えていてもよい。
【0062】
第3電極13は、電圧が印加可能となっている板状の電極である。第3電極13は、第1電極11の、第2電極12が位置する側とは反対側に位置しており、第1電極11と対向して配置されている。第3電極13は、後述する第2セパレータ50よりも大きい剛性を有している。第3電極13は、第1電極11と同じ材質および構成を有していてもよい。第3電極13は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときの形状が第1電極11と同じ形状となっていてもよい。第3電極13は、第1電極11と同様のプロセスで形成されてもよい。
【0063】
第3電極13は、上下方向に開口した第1開口部13aを中央部に有している。第1開口部13aの形状は、第1電極11の第1開口部11aと同じ形状であってよい。
【0064】
第2セパレータ50は、第1電極11と第3電極13との間の領域に配置されている。第2セパレータ50は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第1電極11と略同じ大きさとなるように構成されてよい。第2セパレータ50は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aが形成されている領域以外の領域に配置されてよい。第2セパレータ50は、第1セパレータ20と同様に、可撓性部材21と2つの電極層22とを有していてもよい。
【0065】
第1スペーサ51および第2スペーサ52は、図11に示すように、第1電極11と第3電極13との間に配置されており、第1電極11と第3電極13との間の距離を略一定に維持する。第1電極11と第3電極13とは、平行に配置される必要はなく、第2セパレータ50が変位可能な空間を維持できればよい。第1スペーサ51および第2スペーサ52は、第1スペーサ31と同じ材質および構造であってよい。
【0066】
図13は、図5のXIII-XIII線の矢視断面図である。図13では、理解しやすいように、第2電極12の第1開口部12aが形成される領域を点線で示している。また、図13では、第2セパレータ50の図示を省略している。
【0067】
図13に示すように、第1スペーサ51は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第1スペーサ31と同じ位置に設けられてもよいし、第1スペーサ31とは互いに異なる位置に設けられていてもよい。この場合、複数の第1スペーサ51は、第1開口部13aの中央を始点とする放射状の仮想的な4つ以上の直線に沿って配置されていてもよい。
【0068】
図11に示すように、第1スペーサ51の上端部51aは、第1電極11に当接している。第1スペーサ51の下端部51bの少なくとも一部は、第2セパレータ50を介して第3電極13に当接している。言い換えれば、第2セパレータ50のうち、第3電極13の第1開口部13aの周囲の一部の領域は、第3電極13と第1スペーサ51によって挟持されている。第1スペーサ51は、第1電極11と第3電極13との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、第1開口部13aの周囲において第2セパレータ50の一部を第3電極13に対して固定する役割も有している。
【0069】
第2スペーサ52は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第3電極13の外周部に沿って設けられている。第2スペーサ52の上端部52aの少なくとも一部は、第2セパレータ50を介して第1電極11に当接している。言い換えれば、第2セパレータ50の端部は、第1電極11と第2スペーサ52によって挟持されている。第2スペーサ52の下端部52bは、第3電極13に当接している。上記の構成により、第2スペーサ52は、第1電極11と第3電極13との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、第2セパレータ50の端部を第1電極11に対して固定する役割も有している。
【0070】
図11に示すように、第2セパレータ50は、第3電極13の第1開口部13aの周囲において第1スペーサ51の下端部51bによって第3電極13に押しつけられた状態となっており、外縁部が第2スペーサ52の上端部52aによって第1電極11に押しつけられた状態となっている。上記の構成となっていることにより、第2セパレータ50は、第1電極11および第3電極13との間の領域を仕切っている。以降の説明では、図11に示すように、第2セパレータ50と第1電極11との間の空間を第1流体空間S3(第1空間)とし、第2セパレータ50と第3電極13との間の空間を第2流体空間S4(第2空間)として説明する。第1流体空間S3は、第1流体F1が充填されている空間である。第2流体空間S4は、第2流体F2が充填されている空間である。
【0071】
第2スペーサ52は、第2流体空間S4と外空間とを連通する連通路52cを備えている。図13に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から平面透視した場合、第2スペーサ52は、矩形の囲繞形状をなしている。連通路52cは、当該矩形の前側の辺の中央に設けられている。連通路52cの形状および個数は、第1ユニットU1の連通路32cと同じであってよい。
【0072】
図13に示すように、第2ユニットU2は、第2ユニットU2をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に第1スペーサ51が設けられていない領域を有している。これにより、第2ユニットU2は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に、第1流体空間S3と中央空間MSとを連通する流路が形成されている。そのため、第1流体空間S3と中央空間MSとは連通している。
【0073】
<第3ユニットU3>
図14は、図3に示す断面図における第3ユニットU3を拡大した図である。図15は、図4に示す断面図における第3ユニットU3を拡大した図である。図14および図15に示すように、第3ユニットU3は、第3電極13と、第4電極14と、第3セパレータ60と、第1スペーサ61と、第2スペーサ62とを備えている。第3ユニットU3は、第3電極13を第2ユニットU2と共有している。
【0074】
第4電極14は、電圧が印加可能となっている板状の電極である。第4電極14は、第3電極13の、第1電極11が位置する側とは反対側に位置しており、第3電極13と対向して配置されている。第4電極14は、後述する第3セパレータ60よりも大きい剛性を有している。第4電極14は、第1電極11と同じ材質および構成を有していてもよい。第4電極14は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときの形状が第1電極11と同じ形状となっていてもよい。第4電極14は、第1電極11と同様のプロセスによって形成されてよい。
【0075】
第4電極14は、上下方向に開口した第1開口部14aを中央部に有している。第1開口部14aの形状は、第1電極11の第1開口部11aと同じ形状であってよい。
【0076】
第3セパレータ60は、第3電極13と第4電極14との間の領域に配置されている。第3セパレータ60は、第2セパレータ50と同じ材質および構造であってよい。
【0077】
第1スペーサ61および第2スペーサ62は、図14に示すように、第3電極13と第4電極14との間に配置されており、第3電極13と第4電極14との間の距離を略一定に維持する。第3電極13と第4電極14とは、平行に配置される必要はなく、第3セパレータ60が変位可能な空間を維持できればよい。第1スペーサ61および第2スペーサ62は、第1スペーサ31と同じ材質および構造であってよい。
【0078】
図16は、図4のXVI-XVI線の矢視断面図である。図16では、理解しやすいように、第2電極12の第1開口部12aが形成される領域を点線で示している。また、図16では、第3セパレータ60の図示を省略している。
【0079】
図16に示すように、第1スペーサ61は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第1スペーサ31と同じ位置に設けられてもよい。
【0080】
図14に示すように、第1スペーサ61の上端部61aの少なくとも一部は、第3セパレータ60を介して第3電極13に当接している。第1スペーサ61の下端部61bは、第4電極14に当接している。言い換えれば、第3セパレータ60のうち、第3電極13の第1開口部13aの周囲の一部の領域は、第3電極13と第1スペーサ61によって挟持されている。第1スペーサ61は、第3電極13と第4電極14との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、第1開口部13aの周囲において第3セパレータ60の一部を第3電極13に対して固定する役割も有している。
【0081】
第2スペーサ62は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第4電極14の外周部に沿って設けられている。第2スペーサ62の上端部62aは、第3電極13に当接している。第2スペーサ62の下端部62bの少なくとも一部は、第3セパレータ60を介して第3電極13に当接している。言い換えれば、第3セパレータ60の端部は、第4電極14と第2スペーサ62によって挟持されている。上記の構成により、第2スペーサ62は、第3電極13と第4電極14との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、第3セパレータ60の端部を第4電極14に対して固定する役割も有している。
【0082】
図14に示すように、第3セパレータ60は、第4電極14の第1開口部14aの周囲において第1スペーサ61の上端部61aによって第3電極13に押しつけられた状態となっており、外縁部が第2スペーサ62の下端部62bによって第4電極14に押しつけられた状態となっている。上記の構成となっていることにより、第3セパレータ60は、第3電極13および第4電極14との間の領域を仕切っている。以降の説明では、図14に示すように、第3セパレータ60と第4電極14との間の空間を第1流体空間S5(第1空間)とし、第3セパレータ60と第3電極13との間の空間を第2流体空間S6(第2空間)として説明する。第1流体空間S5は、第1流体F1が充填されている空間である。第2流体空間S6は、第2流体F2が充填されている空間である。
【0083】
第2スペーサ62は、第2流体空間S6と外空間とを連通する連通路52cを備えている。図16に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から平面透視した場合、第2スペーサ62は、矩形の囲繞形状をなしている。連通路62cは、当該矩形の右側の辺の中央に設けられている。連通路62cの形状および個数は、第1ユニットU1の連通路32cと同じであってよい。
【0084】
図16に示すように、第3ユニットU3は、第3ユニットU3をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に第1スペーサ61が設けられていない領域を有している。これにより、第3ユニットU3は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に、第1流体空間S5と中央空間MSとを連通する流路が形成されている。そのため、第1流体空間S5と中央空間MSとは連通している。
【0085】
<第4ユニットU4>
図17は、図3に示す断面図における第4ユニットU4を拡大した図である。図18は、図5に示す断面図における第4ユニットU4を拡大した図である。図17および図18に示すように、第4ユニットU4は、第4電極14と、第5電極15と、第4セパレータ70と、第1スペーサ71と、第2スペーサ72とを備えている。第4ユニットU4は、第4電極14を第3ユニットU3と共有している。
【0086】
第5電極15は、電圧が印加可能となっている板状の電極である。第5電極15は、第4電極14の、第3電極13が位置する側とは反対側に位置しており、第4電極14と対向して配置されている。第5電極15は、後述する第4セパレータ70よりも大きい剛性を有している。第5電極15は、第1電極11と同じ材質および構成を有していてもよい。第5電極15は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときの形状が第1電極11と同じ形状となっていてもよい。第5電極15は、第1電極11と同様のプロセスによって形成されてよい。
【0087】
第5電極15は、上下方向に開口した第1開口部15aを中央部に有している。第1開口部15aの形状は、第1電極11の第1開口部11aと同じ形状であってよい。
【0088】
第4セパレータ70は、第4電極14と第5電極15との間の領域に配置されている。第4セパレータ70は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第1電極11と略同じ大きさとなるように構成されてよい。第4セパレータ70は、第2セパレータ50と同じ材質および構造であってよい。
【0089】
第1スペーサ71および第2スペーサ72は、図17に示すように、第4電極14と第5電極15との間に配置されており、第4電極14と第5電極15との間の距離を略一定に維持する。第4電極14と第5電極15とは、平行に配置される必要はなく、第4セパレータ70が変位可能な空間を維持できればよい。第1スペーサ71および第2スペーサ72は、第1スペーサ31と同じ材質および構造であってよい。
【0090】
図19は、図5のXIX-XIX線の矢視断面図である。図19では、理解しやすいように、第2電極12の第1開口部12aが形成される領域を点線で示している。また、図19では、第4セパレータ70の図示を省略している。
【0091】
図19に示すように、第1スペーサ71は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第1スペーサ31と同じ位置に設けられてもよい。
【0092】
図17に示すように、第1スペーサ71の上端部71aは、第4電極14に当接している。第1スペーサ71の下端部71bの少なくとも一部は、第4セパレータ70を介して第5電極15に当接している。言い換えれば、第4セパレータ70のうち、第5電極15の第1開口部15aの周囲の一部の領域は、第5電極15と第1スペーサ71によって挟持されている。第1スペーサ71は、第4電極14と第5電極15との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、第1開口部15aの周囲において第4セパレータ70の一部を第5電極15に対して固定する役割も有している。
【0093】
第2スペーサ72は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに第5電極15の外周部に沿って設けられている。第2スペーサ72の上端部72aの少なくとも一部は、第4セパレータ70を介して第4電極14に当接している。言い換えれば、第4セパレータ70の端部は、第4電極14と第2スペーサ72によって挟持されている。第2スペーサ72の下端部72bは、第5電極15に当接している。上記の構成により、第2スペーサ72は、第4電極14と第5電極15との間の距離を維持するスペーサとして機能するとともに、第4セパレータ70の端部を第4電極14に対して固定する役割も有している。
【0094】
図17に示すように、第4セパレータ70は、第5電極15の第1開口部15aの周囲において第1スペーサ71の下端部71bによって第5電極15に押しつけられた状態となっており、外縁部が第2スペーサ72の上端部72aによって第4電極14に押しつけられた状態となっている。上記の構成となっていることにより、第4セパレータ70は、第4電極14および第5電極15との間の領域を仕切っている。以降の説明では、図17に示すように、第4セパレータ70と第4電極14との間の空間を第1流体空間S7(第1空間)とし、第4セパレータ70と第5電極15との間の空間を第2流体空間S8(第2空間)として説明する。第1流体空間S7は、第1流体F1が充填されている空間である。第2流体空間S8は、第2流体F2が充填されている空間である。
【0095】
第2スペーサ72は、第2流体空間S8と外空間とを連通する連通路72cを備えている。図19に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から平面透視した場合、第2スペーサ72は、矩形の囲繞形状をなしている。連通路72cは、当該矩形の後側の辺の中央に設けられている。連通路72cの形状および個数は、第1ユニットU1の連通路32cと同じであってよい。
【0096】
図19に示すように、第4ユニットU4は、第4ユニットU4をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に第1スペーサ71が設けられていない領域を有している。これにより、第4ユニットU4は、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、第2電極12の第1開口部12aの周囲に、第1流体空間S7と中央空間MSとを連通する流路が形成されている。そのため、第1流体空間S1、第1流体空間S3、第1流体空間S5、および、第1流体空間S7は、第1電極11、第3電極13、第4電極14にそれぞれ形成された第1開口部11a、第1開口部13aおよび第1開口部14aを介して連通している。
【0097】
図4に示すように、第4ユニットU4が備える第5電極15は、ベース基板80に載置されている。ベース基板80には、第1電極11~第5電極15、ならびに、第1セパレータ20、第2セパレータ50、第3セパレータ60および第4セパレータ70が備える電極層22に対して電圧を印加するための配線が搭載されている。ベース基板80が備える配線と、各電極および各セパレータとの間は、電気的に接続されている。当該構成は、例えば、フィルム配線などを介して各ユニット内の配線部材とベース基板80とを接続する、もしくは、ユニット内の配線自体をフィルムに形成して、当該フィルムをユニットの外に引き出し、ベース基板80に接合することにより実現されてよい。
【0098】
アクチュエータ1は、図4および図5に示すように、積層体10を囲む側壁81を備えている。側壁81は、ベース基板80と第1電極11との間に設けられている。側壁81は、積層体10の外縁から離れた位置に設けられている。
【0099】
アクチュエータ1は、図3および図10に示すように、積層体10、側壁81、第2電極12およびベース基板80によって画定される空間を、互いに連通しない4つの空間に分割する、第1分割部91、第2分割部92、第3分割部93および第4分割部94を備えている。
【0100】
第1分割部91~第4分割部94は、図3に示すように、第1電極11の下面からとベース基板80上面にかけて設けられている。
【0101】
第1分割部91は、積層体10と側壁81との間の領域の左前の角において、積層体10と側壁81とを接続してよい。これにより、連通路32cを含む空間と、連通路52cを含む空間とが連通しないようになっている。第1分割部91は、連通路32cを含む空間と、連通路52cを含む空間とが連通しないようにできるのであれば、積層体10と側壁81との間の領域のどの箇所に設けられてもよい。
【0102】
第2分割部92は、積層体10と側壁81との間の領域の右前の角において、積層体10と側壁81とを接続してよい。これにより、連通路52cを含む空間と、連通路62cを含む空間とが連通しないようになっている。第2分割部92は、連通路52cを含む空間と、連通路62cを含む空間とが連通しないようにできるのであれば、積層体10と側壁81との間の領域のどの箇所に設けられてもよい。
【0103】
第3分割部93は、積層体10と側壁81との間の領域の右後の角において、積層体10と側壁81とを接続してよい。これにより、連通路62cを含む空間と、連通路72cを含む空間とが連通しないようになっている。第3分割部93は、連通路62cを含む空間と、連通路72cを含む空間とが連通しないようにできるのであれば、積層体10と側壁81との間の領域のどの箇所に設けられてもよい。
【0104】
第4分割部94は、積層体10と側壁81との間の領域の左後の角において、積層体10と側壁81とを接続してよい。これにより、連通路32cを含む空間と、連通路72cを含む空間とが連通しないようになっている。第4分割部94は、連通路32cを含む空間と、連通路72cを含む空間とが連通しないようにできるのであれば、積層体10と側壁81との間の領域のどの箇所に設けられてもよい。
【0105】
以降の説明では、図4および図10に示すように、第2電極12、ベース基板80、積層体10、側壁81、第1分割部91および第4分割部94によって画定される空間を第1外空間OS1と称する。また、第2電極12、ベース基板80、積層体10、側壁81、第1分割部91および第2分割部92によって画定される空間を第2外空間OS2と称する。また、第2電極12、ベース基板80、積層体10、側壁81、第2分割部92および第3分割部93によって画定される空間を第3外空間OS3と称する。また、第2電極12、ベース基板80、積層体10、側壁81、第3分割部93および第4分割部94によって画定される空間を第4外空間OS4と称する。
【0106】
上記のように構成されることにより、第2電極12、ベース基板80、および側壁81によって画定される空間は、互いに連通しない下記(1)~(5)の5つの空間に分割されている。
【0107】
(1)第1ユニットU1の第2流体空間S2および第1外空間OS1により構成される空間、
(2)第2ユニットU2の第2流体空間S4および第2外空間OS2により構成される空間、
(3)第3ユニットU3の第2流体空間S6および第3外空間OS3により構成される空間、
(4)第4ユニットU4の第2流体空間S8および第4外空間OS4により構成される空間、ならびに、
(5)第1ユニットU1の第1流体空間S1、第2ユニットU2の第1流体空間S3、第3ユニットU3の第1流体空間S5、第4ユニットU4の第1流体空間S7、および、中央空間MSによって構成される空間。
【0108】
上記(1)~(4)の空間のそれぞれには、第2流体F2としての空気が充填されている。ただし、上記(1)~(4)の空間のそれぞれに充填される第2流体F2は、空気に限定されるものではなく、各空間を移動可能な流体であれば特に限定されるものではない。上記(1)~(4)の空間のそれぞれは、第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104と連通している。
【0109】
上記(5)の空間には、第1流体F1が充填されている。第1流体F1は、上記(5)の空間を移動可能な流体であれば特に限定されるものではないが、例えば、絶縁性オイルなどの誘電性流体であってよい。
【0110】
第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104について詳細に説明する。図2図4および図5に示すように、これらの膨張部は、アクチュエータ1の第2電極12の上面側に備えられており、内部に第2流体F2が流入することにより膨張する。第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104のそれぞれは、第2流体F2の流入によって、少なくとも水平方向に膨張可能になっている。その結果、各膨張部は、上下方向へ突出した伸縮部20aを水平方向から押圧することができ、ひいては突出状態の伸縮部20aの頂部Pの位置を変位させることができる。
【0111】
第1膨張部101は、例えば、伸縮性を有するフィルムによって構成されてよい。この場合、第1膨張部101は、第2電極12に形成された第2開口部12bを覆うように、外周部が第2電極12と接着されていてもよい。この場合、第1膨張部101は、第1ユニットU1~第4ユニットU4のうち最上層の第1ユニットU1が備える第2電極12上に位置する。図2に示すように、第1膨張部101の外周の一部は、第1開口部12aの外周に沿って接着されていてもよい。この場合、第1膨張部101の外周の一部は、第1開口部12aの形状に沿った形状となる。第1膨張部101の素材は、例えば、厚みが10μm~100μmのポリエチレンなどのフィルムであってもよいし、厚みが10μm~100μmのシリコーン、ウレタン、アクリルなどのエラストマー材料であってもよいし、厚みが10μm~1000μmのポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレン、シリコーン、ウレタンまたはアクリルとを合成したフィルムであってもよい。第1膨張部101は、アクチュエータ1を平面視したときの形状は、特に限定されるものではないが、図2に示すように三角形状であってもよいし、棒状であってもよい。
【0112】
第1膨張部101が第2開口部12bを覆っているため、第1膨張部101と第2電極12とによって形成される空間(以降では、当該空間を第1膨張部101の内部の空間とも称する)は、第2開口部12bを介して第1外空間OS1と連通している。したがって、第1ユニットU1の第2流体空間S2、第1外空間OS1、および、第1膨張部101の内部の空間によって画定される空間は、密閉空間となっている。換言すれば、第1膨張部101の内部の空間と連通する空間は、密閉空間となっている。
【0113】
第2膨張部102は、図2および図5に示すように、第2電極12に形成された第3開口部12cを覆うように、外周部が第2電極12と接着されていてもよい。第2膨張部102のその他の構成は、第1膨張部101と同じであってよい。第2膨張部102が第3開口部12cを覆っているため、第2膨張部102の内部の空間は、第3開口部12cを介して第2外空間OS2と連通している。
【0114】
第3膨張部103は、図2および図4に示すように、第2電極12に形成された第4開口部12dを覆うように、外周部が第2電極12と接着されていてもよい。第3膨張部103のその他の構成は、第1膨張部101と同じであってよい。第3膨張部103が第4開口部12dを覆っているため、第3膨張部103の内部の空間は、第4開口部12dを介して第3外空間OS3と連通している。
【0115】
第4膨張部104は、図2および図5に示すように、第2電極12に形成された第5開口部12eを覆うように、外周部が第2電極12と接着されていてもよい。第4膨張部104のその他の構成は、第1膨張部101と同じであってよい。第4膨張部104が第5開口部12eを覆っているため、第4膨張部104の内部の空間は、第5開口部12eを介して第4外空間OS4と連通している。
【0116】
上記(1)~(4)の空間が完全に密閉された空間である場合、第2流体F2の熱膨張などにより、各空間の内圧が変化し、アクチュエータ1の動作に影響する虞がある。そのため、第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104にピンホール程度の穴を形成し、第1膨張部101、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104の内部と外部と連通させてもよい。これにより、内圧の増減を抑制しつつ、アクチュエータ1の動作が正常に行われるようにすることができる。
【0117】
制御部40は、図1に示すように、第1電極11~第5電極15の電位、および、第1セパレータ20~第4セパレータ70が有する電極層22の電位を制御する。制御部40は、画像表示装置200と無線または有線通信により通信可能となっており、画像表示装置200から指示を受信する。制御部40は、画像表示装置200からの指示に基づいて、第1電極11~第5電極15の電位、および、第1セパレータ20~第4セパレータ70が有する電極層22の電位を制御してもよい。
【0118】
<アクチュエータ1の動作例>
次に、アクチュエータ1の動作例について説明する。初期状態では、第1電極11~第5電極15の電位、および、第1セパレータ20~第4セパレータ70が有する電極層22の電位は全て同じ電位となっているものとする。ここでは、例として、初期状態における第1電極11~第5電極15の電位、および、第1セパレータ20~第4セパレータ70が有する電極層22の電位が0Vであるとして説明する。
【0119】
本動作例では、制御部40が画像表示装置200から、図2に示す左側から右側に向けて触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに与えるよう指示を受けたものとして説明する。この場合、制御部40は、第1セパレータ20が第2電極12に引き付けられるように、第1電極11の電位、第2電極12の電位、および第1セパレータ20の電極層22の電位を制御する。例として、制御部40は、第1電極11の電位および第1セパレータ20の電極層22の電位を0Vのままとし、第2電極12の電位が正の電位(例えば、300~500V)となるように制御してもよい。ここで、上記のように、第1セパレータ20は、導電性を有する可撓性部材21を備えている。そのため、上記のように制御部40が各電圧を制御することにより、第1セパレータ20は、第1電極11と第2電極12とに挟まれた領域において、第1電極11と第2電極12との間に形成された電界により、第1セパレータ20の電極層22と電位差がある第2電極12に引き付けられるように変位する。
【0120】
また、制御部40は、第2セパレータ50が第3電極13に引き付けられるように、第3電極13の電位、および第2セパレータ50の電極層22の電位を制御してもよい。具体的には、制御部40は、第3電極13の電位および第2セパレータ50の電極層22の電位が正の電位となるように制御してもよい。これにより、第2セパレータ50は、第2セパレータ50の電極層22と電位差がある第1電極11に引き付けられるように変位する。
【0121】
また、制御部40は、第3セパレータ60が第4電極14に引き付けられるように、第4電極14の電位、および第3セパレータ60の電極層22の電位を制御してもよい。具体的には、制御部40は、第4電極14の電位を0Vのままとし、第3セパレータ60の電極層22の電位が正の電位となるように制御してもよい。これにより、第3セパレータ60は、第3セパレータ60の電極層22と電位差がある第4電極14に引き付けられるように変位する。
【0122】
また、制御部40は、第4セパレータ70が第4電極14に引き付けられるように、第5電極15の電位、および第4セパレータ70の電極層22の電位を制御してもよい。具体的には、制御部40は、第5電極15の電位および第4セパレータ70の電極層22の電位が正の電位となるように制御してもよい。これにより、第4セパレータ70は、第4セパレータ70の電極層22と電位差がある第4電極14に引き付けられるように変位する。
【0123】
制御部40は、上記の各電極の電位の制御を順次行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0124】
図20は、図4に示す断面図における、第1セパレータ20が第2電極12に、第2セパレータ50が第1電極11に、第3セパレータ60が第4電極14に、第4セパレータ70が第4電極14にそれぞれ引き付けられた様子を示すアクチュエータ1の断面図である。図21は、図5に示す断面図における、第1セパレータ20が第2電極12に、第2セパレータ50が第1電極11に、第3セパレータ60が第4電極14に、第4セパレータ70が第4電極14にそれぞれ引き付けられた様子を示すアクチュエータ1の断面図である。
【0125】
図20に示すように、第1セパレータ20が第2電極12に引き付けられると、第1セパレータ20と第1電極11との間の空間である第1流体空間S1の容積が大きくなる。その結果、中央空間MSに充填されていた第1流体F1の一部が第1流体空間S1に引き込まれる。同時に、第1セパレータ20が第2電極12に引き付けられると、第1セパレータ20と第2電極12との間の空間である第2流体空間S2の容積が小さくなる。上述のように、第2スペーサ32は、第2流体空間S2と第1外空間OS1とを連通する連通路32cを備えている。そのため、第2流体空間S2に充填されていた第2流体F2が連通路32cを介して第1外空間OS1に押し出される。これにより、第1外空間OS1の内部の圧力が上昇する。第1外空間OS1の内部の圧力が上昇すると、第1外空間OS1に存在していた第2流体F2の一部が、第2電極12の第2開口部12bを介して第1膨張部101の内部に押し出される。その結果、第1膨張部101の内部の圧力が上昇し、第1膨張部101が膨張する。
【0126】
また、第2セパレータ50が第1電極11に引き付けられると、図21に示すように、第2セパレータ50と第1電極11との間の空間である第1流体空間S3の容積が小さくなる。その結果、第1流体空間S3に充填されていた第1流体F1が中央空間MSに押し出される。同時に、第2セパレータ50が第1電極11に引き付けられると、第2セパレータ50と第3電極13との間の空間である第2流体空間S4の容積が大きくなる。これにより、第2流体空間S4の圧力が低下する。このため、第2膨張部102の内部に存在していた第2流体F2の一部が第2外空間OS2および第2流体空間S4に引き込まれ、第2膨張部102が収縮する。このとき、第2ユニットU2は、第1電極11および第3電極13の端部(すなわち、外縁部)から、第2膨張部102の内部に存在していた第2流体F2の一部を第2流体空間S4に受け入れてよい。これにより、第2セパレータ50が変位する際に、第2流体空間S4内の圧力の変化を小さくすることができる。その結果、第2セパレータ50が変位しやすくなっている。
【0127】
第2セパレータ50の変位により起こる現象と同じように、第3セパレータ60が第4電極14に引き付けられると、図20に示すように、第1流体空間S5に充填されていた第1流体F1が中央空間MSに押し出される。同時に、第3膨張部103の内部に存在していた第2流体F2の一部が第3外空間OS3および第2流体空間S6に引き込まれ、第3膨張部103が収縮する。
【0128】
第2セパレータ50の変位により起こる現象と同じように、第4セパレータ70が第4電極14に引き付けられると、図21に示すように、第1流体空間S7に充填されていた第1流体F1が中央空間MSに押し出される。同時に、第4膨張部104の内部に存在していた第2流体F2の一部が第4外空間OS4および第2流体空間S8に引き込まれ、第4膨張部104が収縮する。
【0129】
上述のように、第1セパレータ20、第2セパレータ50、第3セパレータ60および第4セパレータ70を変位させると、中央空間OSに充填されていた第1流体F1が第1流体空間S1に引き込まれる。同時に、第1流体空間S3、第1流体空間S5および第1流体空間S7に充填されていた第1流体F1の一部が中央空間OSに押し出される。その結果、中央空間MSには、図3図5に示す初期状態における容積よりも大きい容積の第1流体F1が充填される。その結果、中央空間MSの内部の圧力が大きくなる。換言すれば、第1流体にF1に圧力が付与される。これにより、伸縮性を有する第1セパレータ20の伸縮部20aが、第2電極12の第1開口部12aから外空間に向けて膨張し、アクチュエータ1の一部が第1開口部12aから突出した突出状態となる。すなわち、伸縮部20aは、第1流体F1の移動に起因して初期状態と突出状態とが切り替わる。第1開口部12aから突出した伸縮部20aは、アクチュエータ1を備えたウェアラブル装置を装着したユーザの皮膚に接触することにより、ユーザに対して触覚を与える。本実施形態のアクチュエータ1は、第1セパレータ20、第2セパレータ50、第3セパレータ60および第4セパレータ70を変位させることにより、伸縮部20aの初期状態と突出状態とを切り替える事ができる。これにより、伸縮部20aの突出状態から初期状態への変化を、伸縮部20a自体の張力に依存することなく実現することができる。そのため、突出状態から初期状態への切り替えを高速に行いたい場合にも、第1電極11~第5電極15に対して大きな電圧を印加する必要がなく、ユーザに対して安全に触覚を与えることができる。さらに、ユーザに与える触覚の制御の自在性が高いため、よりリアルな触覚をユーザに与えることができる。
【0130】
図20および図21に示すように、第1膨張部101が膨張したときの高さは、伸縮部20aが突出したときの伸縮部20aの高さよりも低くてもよい。これにより、伸縮部20aがユーザの皮膚に接触する際に、第1膨張部101がユーザの皮膚に接触する可能性を低減させることができる。その結果、ユーザに対して不要な触覚を与える可能性を低減することができる。
【0131】
図22は、本動作例における頂部Pの移動を示す上面図である。上述のように、第2電極12に近づくように第1セパレータ20を変位させると、第2流体空間S2に存在する第2流体F2が押し出され、押し出された第2流体F2によって第1膨張部101が膨張する。膨張した第1膨張部101は、アクチュエータ1を平面視したときに、第1開口部12aにはみ出すように突出してもよい。これにより、図22に示すように、第1膨張部101が第1開口部12aから突出した伸縮部20aを右方向に押圧する。その結果、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、伸縮部20aの頂部Pが第1開口部12aの中央から右方向に偏った位置に変位する。換言すれば、第1ユニットU1から押し出された第2流体F2によって伸縮部20aの頂部Pの位置を偏らせる。これにより、左側から右側に向けて触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに与えることができる。
【0132】
第1膨張部101の水平方向(換言すれば、伸縮部20aが突出する方向に垂直な方向)の膨張率は、鉛直方向(換言すれば、伸縮部20aが突出する方向)よりも大きくてもよい。当該構成によれば、第1膨張部101の内部に第2流体F2が流入したときに、水平方向に膨張しやすくなる。そのため、第1膨張部101が伸縮部20aに押圧する力を大きくすることができる。第1膨張部101の部分的な膨張率は、膨張率の異なる材料によって第1膨張部101を形成することによって、調整することができる。
【0133】
第1膨張部101の伸縮部に20a近い領域の膨張率は、第1膨張部101の伸縮部20aに遠い領域の膨張率よりも大きくてもよい。当該構成によれば、第1膨張部101の内部に第2流体F2が充填されたときに、伸縮部に20a近い領域において膨張しやすくなる。そのため、第1膨張部101が伸縮部20aに押圧する力を大きくすることができる。
【0134】
上述した第1膨張部101の構成については、第2膨張部102、第3膨張部103および第4膨張部104についても同様に適用することができる。
【0135】
図2に示すように、第2開口部12bは、第2電極12の外縁部に近い位置に設けられている。言い換えれば、第2開口部12bは、アクチュエータ1を平面したときに、第1膨張部101における、伸縮部20aと対向する側とは反対側の外縁部に位置している。これにより、アクチュエータ1では、第1膨張部101のうち伸縮部20aと対向する側とは反対側から第2流体F2が流入する。これにより、伸縮部20aが突出した後に、第1膨張部101の伸縮部に20a近い領域が膨張する。その結果、第1膨張部101による伸縮部20aの押圧を、伸縮部20aが突出した後に行いやすくなる。上記の構成および効果については、第3開口部12c、第4開口部12dおよび第5開口部12eについても同様である。
【0136】
上述のように、第1膨張部101の外周の一部は、第1開口部12aの形状に沿った形状となっていてもよい。これにより、第1膨張部101は、膨張したときに、伸縮部20aを伸縮部20aの外形に沿った面で押圧することができる。その結果、伸縮部20aを所望する方向(右方向)以外の方向に押圧する可能性を低減することができる。その結果、伸縮部20aの頂部Pを所望する方向以外へ移動する可能性を低減することができる。
【0137】
本実施形態におけるアクチュエータ1では、図2に示すように、アクチュエータ1をZ軸方向から平面視した場合に、第1膨張部101における第2流体F2が流出入する流出入口である第2開口部12bの幅(すなわち、第2開口部12bの上下方向の長さ)は、第1開口部11aの幅(すなわち、第1開口部11aの直径)よりも大きくてもよい。
【0138】
次に、アクチュエータ1の他の動作例について説明する。本動作例では、制御部40が画像表示装置200から、図2に示す左下側から右上側に向けて触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに与えるよう指示を受けたものとして説明する。
【0139】
この場合、制御部40は、第1セパレータ20が第2電極12に、第2セパレータ50が第3電極13に、第3セパレータ60が第4電極14に、第4セパレータ70が第4電極14にそれぞれ引き付けられるように、第1電極11~第5電極15の電位、および、第1セパレータ20~第4セパレータ70が有する電極層22の電位を制御する。例として、制御部40は、第1電極11、第4電極14、第1セパレータ20の電極層22および第2セパレータ50の電極層22の電位を0Vのままとし、第2電極12、第3電極13、第5電極15、第3セパレータ60の電極層22および第4セパレータ70の電極層22の電位を正の電位となるように制御してもよい。
【0140】
上記のように制御部40が各電位を制御することにより、第1セパレータ20が第2電極12に引き付けられる。これにより、中央空間MSに充填されていた第1流体F1の一部が第1流体空間S1に引き込まれる。同時に、第2流体空間S2に充填されていた第2流体F2の一部が第1膨張部101の内部の空間に流入することにより、第1膨張部101が膨張する。
【0141】
第1セパレータ20の変位により起こる現象と同じように、第2セパレータ50が第3電極13に引き付けられると、中央空間MSに充填されていた第1流体F1の一部が第1流体空間S3に引き込まれる。同時に、第2流体空間S4に充填されていた第2流体F2の一部が第2膨張部102の内部の空間に流入することにより、第2膨張部102が膨張する。
【0142】
第3セパレータ60および第4セパレータ70が第4電極に引き付けられるように変位することにより起こる現象は上述のとおりである。
【0143】
本動作例では、制御部40は、中央空間MSに充填されていた第1流体F1が第1流体空間S1および第1流体空間S3に引き込まれる体積が、第1流体空間S5および第1流体空間S7から中央空間MSに押し出される体積よりも少なくなるように、各電位を制御してもよい。これにより、中央空間MSには、初期状態における容積よりも大きい容積の第1流体F1が充填される。その結果、中央空間MSの内部の圧力が大きくなる、アクチュエータ1の一部が第1開口部12aから突出した突出状態となる。
【0144】
図23は、本動作例における頂部Pの移動を示すアクチュエータ1の上面図である。上述のように、第1セパレータ20、第2セパレータ50、第3セパレータ60および第4セパレータ70を変化させると、第1膨張部101第2膨張部102が膨張する。これにより、図23に示すように、第1膨張部101が伸縮部20aを右方向に押圧するとともに、第2膨張部102が伸縮部20aを後方向に押圧する。これにより、アクチュエータ1をZ軸方向から見たときに、伸縮部20aの頂部Pが第1開口部12aの中央から右後ろ方向に偏った位置に変位する。これにより、図2に示す左下側から右上側に向けて触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに与えることができる。
【0145】
以上のように、本実施形態におけるアクチュエータ1は、第1流体F1から受ける圧力に応じて突出する伸縮部20aと、第1流体F1に圧力を付与する第1ユニットU1~第4ユニットU4が積層された積層体10とを備える。そして、アクチュエータ1は、第1ユニットU1~第4ユニットU4の複数の動作と、伸縮部20aの突出状態における伸縮部20aの頂部Pの位置が偏る方向が、予め対応づけられている。
【0146】
上記の構成によれば、第1ユニットU1~第4ユニットU4のうちの少なくとも1つの動作に基づいて、伸縮部を突出させるとともに、突出した伸縮部20aの頂部Pの位置を、第1ユニットU1~第4ユニットU4のうちの少なくとも1つの動作に対応付けられている方向へ変位可能である。その結果、触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに与えることができる。これにより、アクチュエータ1は、触覚を効果的に提示することができるアクチュエータとなっている。
【0147】
本実施形態におけるアクチュエータ1では、第1ユニットU1~第4ユニットU4の各ユニットは、2つの電極と、当該2つの電極との間の領域を仕切り、上記2つの電極の間に形成された電界により上記2つの電極に対する相対位置が変化するセパレータとを備え、第1ユニットU1~第4ユニットU4のうちの少なくとも1つにおける上記セパレータの変位と、伸縮部20aの頂部Pの位置が偏る方向とが対応付けられていている。具体的には、第1ユニットU1の第1セパレータ20の変位、および第3ユニットU3の第3セパレータ60の変位によって、伸縮部20aの頂部Pの位置を左右方向に偏らせることができる。また、第2ユニットU2の第2セパレータ50の変位、および第4ユニットU4の第4セパレータ70の変位によって、伸縮部20aの頂部Pの位置を前後方向に偏らせることができる。
【0148】
本実施形態におけるアクチュエータ1は、4つの膨張部(第1膨張部101~第4膨張部104)を備えている。第1膨張部101~第4膨張部104は、第1ユニットU1~第4ユニットU4から押し出された第2流体F2がそれぞれ流入することにより、伸縮部20aを互いに異なる方向に押圧する。上記の構成により、第1ユニットU1~第4ユニットU4が備える第1セパレータ20、第2セパレータ50、第3セパレータ60および第4セパレータ70が変位する方向を制御することにより、様々な方向に向けて触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに与えることができる。
【0149】
本実施形態のアクチュエータ1は、第1膨張部101~第4膨張部104は、互いに連通していなくてもよい。これにより、第1ユニットU1~第4ユニットU4のいずれかから押し出された第2流体F2が流入して膨張する膨張部を1つにすることができる。その結果、ユーザに触覚を精度良く付与することができる。本開示の一態様のアクチュエータ1では、第1膨張部101~第4膨張部104は、互いに連通していてもよい。この場合においても、開口部から第2流体F2が流入する膨張部が優先的に膨張するため、当該膨張部によって伸縮部20aが押圧される。
【0150】
本実施形態におけるアクチュエータ1は、下記のようにも表現することができる。すなわち、アクチュエータ1は、(1)第1電極11と、(2)第2電極12と、(3)第1電極11と第2電極12との間の領域を仕切り、第1電極11と第2電極12との間に形成された電界により第1電極11および第2電極12に対する相対位置が変化する第1セパレータ20と、(4)第1セパレータ20の変位に伴い、第1セパレータ20と第1電極11との間の第1流体空間S1を移動することが可能な第1流体F1が移動することに起因して初期状態と突出状態とが切り替わる伸縮部20aとを備え、第2電極12と第1セパレータ20との間の第2流体空間S2を移動する第2流体F2を利用して伸縮部20aの頂部Pの位置を偏らせる。
【0151】
上記の構成によれば、第1流体F1が移動することにより伸縮部20aの初期状態と突出状態とを切り替えるとともに、第2流体F2を利用して伸縮部20aの頂部Pの位置を偏らせる。その結果、触覚を感じる位置が移動するように触覚をユーザに与えることができる。
【0152】
本実施形態におけるアクチュエータ1では、第1膨張部101は、第2電極12に形成された第2開口部12bを覆うように、外周部が第2電極12と接着されており、第2開口部12bから第1膨張部101の内部に第2流体F2が流出入する構成であったが、本開示のアクチュエータはこれに限られない。本開示の一態様のアクチュエータでは、第1膨張部101が第2開口部12bに近い領域にのみ設けられてもよい。この場合、第2開口部12bから流入した第2流体F2を第1膨張部101に導入する、剛性を有する導入部を備えていてもよい。これにより、第1膨張部101の体積が小さくなるため、第1膨張部101を膨張するために必要な第2流体F2の量を少なくすることができる。そのため、第2流体F2を第1膨張部101に送り出す第2流体空間S2の体積を小さくすることができる。換言すれば、第1電極11と第2電極12との間の距離を小さくすることができる。これにより、第2流体F2を第1膨張部101に押し出すために第1電極11および第2電極12に対して大きな電圧を印加する必要がないため、ユーザに対して安全に触覚を与えることができる。
【0153】
本開示の一態様のアクチュエータでは、第2電極12の上面側に、第1膨張部101~第4膨張部104を第2電極12とともに挟むように設けられた、剛性を有する平板を備えていてもよい。これにより、第2流体F2が流入して第1膨張部101~第4膨張部104が膨張する際に、上下方向への膨張が制限されることにより、水平方向に膨張しやすくできる。これにより、伸縮部20aの押圧力を高くすることができる。
【0154】
本実施形態のアクチュエータ1では、第1セパレータ20の伸縮部20aが、アクチュエータ1から突出する構成であったが、本開示のアクチュエータはこれに限られない。本開示の一態様のアクチュエータでは、アクチュエータから突出する伸縮性を有する伸縮部を第1セパレータ20とは別に備えている構成であってもよい。この場合、第1セパレータ20は、アクチュエータ1を平面視したときに、第2電極12の第1開口部12aが形成されている領域以外の領域に配置されていればよい。ただし、本実施形態のアクチュエータ1のように、第1セパレータ20が伸縮部20aを備える構成、すなわち、第1セパレータ20と伸縮部20aが一連の部材となっていることにより、アクチュエータ1の構成を簡素化することができる。
【0155】
本実施形態のアクチュエータ1では、4つのユニット(第1ユニットU1~第4ユニットU4)によって構成される積層体10を備える構成であったが、本開示のアクチュエータはこれに限られない。本開示の一態様のアクチュエータ1では、積層体10を構成するユニットの個数は、複数であればよく、2つであってもよいし、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。積層体10が少なくとも2つのユニットで構成されることにより、少なくとも1つの方向に触覚を感じる位置が移動する触覚をユーザに付与することができる。本開示の一態様のアクチュエータ1では、8つのユニットにより積層体10が構成されるとともに、当該8つのユニットから第2流体F2が流入することによりそれぞれ伸縮部20aを異なる方向から押圧するように伸縮部20aの八方に配された8つの膨張部を有する構成であってもよい。
【0156】
本実施形態のアクチュエータ1では、第1セパレータ20は、第2電極12の第1開口部12aの周囲において第2電極12に固定されており、外縁部において第1電極11に固定されていたが、本開示のアクチュエータはこれに限られない。本開示の一態様のアクチュエータは、例えば、第1セパレータ20が第2電極12の第1開口部12aの周囲および外縁部において、第1電極11および第2電極12との間に固定される構成であってもよい。
【0157】
本開示の一態様のアクチュエータでは、第1電極11~第5電極15が可撓性を有し、各電極間に形成された電界により第1電極11~第5電極15が撓むことにより、第1セパレータ20、第2セパレータ50、第3セパレータ60および第4セパレータ70を変位させる構成であってもよい。
【0158】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0159】
図24は、本実施形態におけるアクチュエータ1Aの上面図である。図25は、図24のXXV-XXV線の矢視断面図である。
【0160】
図25に示すように、アクチュエータ1Aは、実施形態1における第1電極11、第3電極13、第4電極14および第5電極15に代えて、第1電極11A、第3電極13A、第4電極14Aおよび第5電極15Aを備えている。
【0161】
第2電極12、第1電極11A、第3電極13A、第4電極14Aおよび第5電極15Aは、中央領域MSを形成する開口部である第1開口部12a、第1開口部11a、第1開口部13a、第1開口部14aおよび第1開口部15aの幅が、上層から下層に向かうにつれて小さくなるように設けられている。例えば、第1電極11Aの第1開口部11aの幅(例えば、第1開口部11aが円形状である場合は第1開口部11aの直径)は、第2電極12の第1開口部12aの幅よりも小さくなるように設けられている。
【0162】
上記の構成を有することにより、第1ユニットU1~第4ユニットU4の中央部の開口部は、ユニットが配置される層が下層になるにつれて小さくなっている。例えば、第2ユニットU2の上層の電極である第1電極11の第1開口部11aは、第1ユニットU1の上層の電極である第2電極12の第1開口部12aよりも小さくなっている。これにより、中央空間MSは、下方向に向かうにつれて、断面積が段階的に小さくなっている。そのため、第1ユニットU1の第1流体空間S1、第2ユニットU2の第1流体空間S3、第3ユニットU3の第1流体空間S5、および/または、第4ユニットU4の第1流体空間S7から押し出された第1流体F1が伸縮部20aに向かう方向(すなわち、上方向)に移動しやすくなる。その結果、第1流体F1により伸縮部20aを突出させやすくなる。
【0163】
本実施形態におけるアクチュエータ1Aでは、図25に示すように、第1ユニットU1~第4ユニットU4の各ユニットにおいて、上層の電極の第1開口部の開口幅が下層の電極の第1開口部の開口幅よりも大きくなっていてもよい。例えば、第1ユニットU1では、上層の第2電極12の第1開口部12aの開口幅が下層の第1電極11の第1開口部11aの開口幅よりも大きくなっていてもよい。これにより、アクチュエータ1AをZ軸方向から見たときに、第1電極11Aの第1開口部11aの外周の内側に第2電極12の上面が存在する。そのため、第1流体空間S1から押し出された第1流体F1は、第2電極12の第1開口部12aよりも下方向に移動できず、伸縮部20aに向かう方向(すなわち、上方向)に移動しやすくなる。その結果、第1流体F1により伸縮部20aを突出させやすくなる。
【0164】
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0165】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るアクチュエータは、第1流体の流入に応じて突出する伸縮部と、互いに少なくとも一部が仕切られた、それぞれ前記第1流体を流出入させる複数のユニットと、を備え、前記複数のユニットのうちの少なくとも1つの動作に基づいて、前記伸縮部を突出させるとともに、前記伸縮部の突出状態における前記伸縮部の頂部の位置を、前記動作に対応付けられている方向へ変位可能である。
【0166】
本開示の態様2に係るアクチュエータは、上記の態様1において、前記ユニットは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の領域を仕切り、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された電界により前記第1電極および前記第2電極に対する相対位置が変化するセパレータとを備え、前記複数のユニットのうちの少なくとも1つにおける前記セパレータの変位と、前記伸縮部の頂部の位置が変位する方向とが対応付けられていてもよい。
【0167】
本開示の態様3に係るアクチュエータは、上記の態様2において、前記複数のユニットに含まれる第1ユニットが備える第1電極と、前記第1ユニットの直下の第2ユニットが備える第2電極とは共有されていてもよい。
【0168】
本開示の態様4に係るアクチュエータは、上記の態様2または3において、前記伸縮部は、前記セパレータと前記第1電極との間の第1空間を移動することが可能な第1流体の移動に起因して初期状態と突出状態とが切り替わる構成であってもよい。
【0169】
本開示の態様5に係るアクチュエータは、上記の態様2から4のいずれかにおいて、前記セパレータは、前記第2電極に近づく動作により、前記第2電極と前記セパレータとの間の第2空間に存在する第2流体を押し出し、前記複数のユニットの少なくとも1つから押し出された前記第2流体によって前記伸縮部の頂部の位置を偏らせる構成であってもよい。
【0170】
本開示の態様6に係るアクチュエータは、上記の態様2から5のいずれかにおいて、前記複数のユニットが積層されており、前記複数のユニットが備える前記第1電極および前記第2電極は開口部を有しており、前記伸縮部は、最も上に位置した前記ユニットが備える前記第2電極の開口部に位置しており、前記複数のユニットは、前記セパレータと前記第1電極との間の第1空間を有しており、各ユニットの前記第1空間は、前記開口部を介して連通している構成であってもよい。
【0171】
本開示の態様7に係るアクチュエータは、上記の態様6において、前記複数のユニットのうち少なくとも1つの前記ユニットから押し出された第2流体が流入することにより膨張する膨張部を備え、前記膨張部が膨張して前記伸縮部を押圧することにより、前記伸縮部の頂部の位置を偏らせる構成であってもよい。
【0172】
本開示の態様8に係るアクチュエータは、上記の態様7において、複数の前記膨張部を備え、前記複数の膨張部のそれぞれは、前記複数のユニットのいずれかから押し出された前記第2流体が流入し、前記伸縮部を互いに異なる方向に押圧する構成であってもよい。
【0173】
本開示の態様9に係るアクチュエータは、上記の態様7または8において、前記膨張部が膨張したときの高さは、前記伸縮部が突出したときの前記伸縮部の高さよりも低い構成であってもよい。
【0174】
本開示の態様10に係るアクチュエータは、上記の態様7から9のいずれかにおいて、前記膨張部は、最も上に位置した前記ユニットが備える前記第2電極上に位置している構成であってもよい。
【0175】
本開示の態様11に係るアクチュエータは、上記の態様7から10のいずれかにおいて、前記膨張部の水平方向の膨張率は、鉛直方向の膨張率よりも大きい構成であってもよい。
【0176】
本開示の態様12に係るアクチュエータは、上記の態様7から11のいずれかにおいて、前記膨張部の前記伸縮部に近い領域の膨張率は、前記膨張部の前記伸縮部に遠い領域の膨張率よりも大きい構成であってもよい。
【0177】
本開示の態様13に係るアクチュエータは、上記の態様8において、前記複数の膨張部のうち1つの前記膨張部を膨張させることにより、前記伸縮部を変形させる構成であってもよい。
【0178】
本開示の態様14に係るアクチュエータは、上記の態様8において、前記複数の膨張部のうち2つ以上の前記膨張部を膨張させることにより、前記伸縮部を変形させる構成であってもよい。
【0179】
本開示の態様15に係るアクチュエータは、上記の態様8において、前記複数の膨張部は、互いに連通していない構成であってもよい。
【0180】
本開示の態様16に係るアクチュエータは、上記の態様7から15のいずれかにおいて、前記膨張部の内部の空間と連通する空間は、密閉空間となっている構成であってもよい。
【0181】
本開示の態様17に係るアクチュエータは、上記の態様7から16のいずれかにおいて、前記複数のユニットは、前記第1電極および前記第2電極の端部から、前記膨張部の内部の前記第2流体を、前記第2電極と前記セパレータとの間の第2空間に受け入れる構成であってもよい。
【0182】
本開示の態様18に係るアクチュエータは、上記の態様7から17のいずれかにおいて、前記セパレータが前記第2電極に近づく動作に伴い、前記第1電極と前記セパレータとの間の第1空間に前記第1流体を引き込む構成であってもよい。
【0183】
本開示の態様19に係るアクチュエータは、上記の態様7から18のいずれかにおいて、前記膨張部の、前記伸縮部と対向する側とは反対側から前記第2流体が流入する構成であってもよい。
【0184】
本開示の態様20に係るアクチュエータは、上記の態様7から19のいずれかにおいて、前記膨張部の前記伸縮部側の形状は、最上層の前記ユニットが備える前記第2電極の前記開口部の形状に沿った形状であってもよい。
【0185】
本開示の態様21に係るアクチュエータは、上記の態様7から20のいずれかにおいて、前記アクチュエータを平面視した場合に、前記膨張部における前記第2流体が流出入する流出入口の幅は、最上層の前記ユニットが備える前記第2電極の前記開口部の幅よりも大きい構成であってもよい。
【0186】
本開示の態様22に係るアクチュエータは、上記の態様2から21のいずれかにおいて、前記第1電極と前記第2電極との間の距離を維持するスペーサをさらに備えている構成であってもよい。
【0187】
本開示の態様23に係るアクチュエータは、上記の態様22において、前記スペーサとして、前記伸縮部に近い位置にある第1スペーサと、前記第1スペーサよりも前記伸縮部から遠い位置にある第2スペーサとを備えている構成であってもよい。
【0188】
本開示の態様24に係るアクチュエータは、上記の態様23において、前記アクチュエータを平面視した場合に、前記複数のユニットが備える前記第1スペーサは、互いに異なる位置に設けられていてもよい。
【0189】
本開示の態様25に係るアクチュエータは、上記の態様6において、前記複数のユニットの前記開口部の開口幅は、前記複数のユニットが配置される層が下層になるにつれて小さくなる構成であってもよい。
【0190】
本開示の態様26に係るアクチュエータは、上記の態様6または25において、前記第2電極が有する前記開口部の開口幅は、前記第1電極が有する前記開口部の開口幅よりも大きい構成であってもよい。
【0191】
本開示の態様27に係るアクチュエータは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間の領域を仕切り、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された電界により前記第1電極および前記第2電極に対する相対位置が変化するセパレータと、前記セパレータの変位に伴い、前記セパレータと前記第1電極との間の第1空間を移動することが可能な第1流体が移動することに起因して初期状態と突出状態とが切り替わる伸縮部とを備え、前記第2電極と前記セパレータとの間の第2空間を移動する第2流体を利用して前記伸縮部の頂部の位置を偏らせる。
【0192】
本開示の態様28に係るハプティクスデバイスは、上記態様1から27のいずれかのアクチュエータが少なくとも1つ搭載されている。
【0193】
本開示の態様29に係るハプティクスシステムは、上記態様28のハプティクスデバイスと、前記ハプティクスデバイスに通信可能に接続された画像表示装置と、を備える。
【符号の説明】
【0194】
1、1A アクチュエータ
10 積層体
11、11A 第1電極
11a、12a、13a、14a、15a 第1開口部
12 第2電極
13、13A 第3電極
14、14A 第4電極
15、15A 第5電極
20 第1セパレータ
20a 伸縮部
31、51、61、71 第1スペーサ
32、52、62、72 第2スペーサ
50 第2セパレータ
60 第3セパレータ
70 第4セパレータ
100 装着型ハプティクスデバイス(ハプティクスデバイス)
101 第1膨張部
102 第2膨張部
103 第3膨張部
104 第4膨張部
200 外部装置
300A ハプティクスシステム
F1 第1流体
F2 第2流体
S1、S3、S5、S7 第1流体空間(第1空間)
S2、S4、S6、S8 第2流体空間(第2空間)
U1 第1ユニット
U2 第2ユニット
U3 第3ユニット
U4 第4ユニット
図1
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