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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059915
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】人力駆動車用のハブ
(51)【国際特許分類】
   B60B 27/02 20060101AFI20240423BHJP
   B62J 6/12 20060101ALI20240423BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20240423BHJP
   F16C 33/58 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B60B27/02 E
B62J6/12
F16C19/16
F16C33/58
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030056
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2019156867の分割
【原出願日】2019-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】500073951
【氏名又は名称】シマノ(シンガポール)プライベートリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】タン ヤン ハン
(72)【発明者】
【氏名】タン チュン シン
(57)【要約】
【課題】より強度の高い人力駆動車用のハブを提供する。
【解決手段】ハブは、人力駆動車用のハブであって、軸部材と、前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、前記軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、前記最小内径は、4.5mmから5.5mmに設定され、前記最大外径は、前記最小内径に対して230%以上の範囲に設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のハブであって、
軸部材と、
前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、
前記軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、
前記最小内径は、4.5mmから5.5mmに設定され、
前記最大外径は、前記最小内径に対して230%以上の範囲に設定される、ハブ。
【請求項2】
前記最大外径は、前記最小内径に対して365%以下の範囲に設定される、請求項1に記載のハブ。
【請求項3】
人力駆動車用のハブであって、
軸部材と、
前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、
前記軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、
前記最小内径は、11.5mmから12.5mmに設定され、
前記最大外径は、前記最小内径に対して130%以上の範囲に設定される、ハブ。
【請求項4】
前記最大外径は、前記最小内径に対して155%以下の範囲に設定される、請求項3に記載のハブ。
【請求項5】
人力駆動車用のハブであって、
軸部材と、
前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、
前記軸部材は、前記回転体に少なくとも部分的に挿入される第1軸部材、および、前記回転体に少なくとも部分的に挿入される第2軸部材の少なくとも1つを含み、
前記第1軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、
前記第2軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、
前記第1軸部材の前記最小内径は、前記第2軸部材の前記最小内径とは異なり、
前記第1軸部材の前記最大外径は、前記第2軸部材の前記最大外径とは異なり、
前記回転体は、前記第1軸部材と前記第2軸部材とが選択的に挿入されるように構成される、ハブ。
【請求項6】
人力駆動車用のハブであって、
軸部材と、
前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、
前記軸部材は、前記回転体に挿入される被挿入部を含み、
前記被挿入部は、第1部分、および、前記第1部分よりも外径が大きい第2部分を含む、ハブ。
【請求項7】
前記軸部材は、最小内径を有し、
前記軸部材の前記第1部分は、第1最大外径を有し、
前記最小内径は、14.5mmから15.5mmであり、
前記第1最大外径は、前記最小内径に対して120%以上の範囲に設定される、請求項6に記載のハブ。
【請求項8】
前記第1最大外径は、前記最小内径に対して125%以下の範囲に設定される、請求項7に記載のハブ。
【請求項9】
前記軸部材は、最小内径を有し、
前記軸部材の前記第2部分は、第2最大外径を有し、
前記最小内径は、14.5mmから15.5mmであり、
前記第2最大外径は、前記最小内径に対して130%以上の範囲に設定される、請求項6から8のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項10】
前記第2最大外径は、前記最小内径に対して140%以下の範囲に設定される、請求項9に記載のハブ。
【請求項11】
前記回転体を前記軸部材に回転可能に支持する軸受けをさらに備え、
前記軸受けは、前記軸部材に設けられる玉押し、前記回転体に設けられる玉受け、および、前記玉押しと前記玉受けとの間に配置される複数の球体を含む、請求項6から10のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項12】
前記軸受けは、前記回転体内に異物が入り込むことを抑制する突起を有する、請求項11に記載のハブ。
【請求項13】
前記突起は、前記軸部材の径方向外側に向けて突出するように構成される、請求項12に記載のハブ。
【請求項14】
前記軸部材と前記回転体との間に配置される発電機構をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項15】
前記発電機構は、前記軸部材に設けられるステータ、および、前記回転体に設けられる磁石を含む、請求項14に記載のハブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用のハブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、人力駆動車用のハブの一例を開示している。特許文献1のハブは、軸部材、および、軸部材と相対回転するように軸部材と同軸に設けられる回転体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-46538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より強度の高い人力駆動車用のハブを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用のハブは、人力駆動車用のハブであって、軸部材と、前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、前記軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、前記最小内径は、4.5mmから5.5mmに設定され、前記最大外径は、前記最小内径に対して230%以上の範囲に設定される。
上記第1側面の人力駆動車用のハブによれば、最大外径が上記範囲に含まれるため、強度が高い。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記最大外径は、前記最小内径に対して365%以下の範囲に設定される。
上記第2側面の人力駆動車用のハブによれば、最大外径が上記範囲に含まれるため、軸部材の径方向に関する寸法が大きくなりにくい。
【0007】
本発明の第3側面に従う人力駆動車用のハブは、人力駆動車用のハブであって、軸部材と、前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、前記軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、前記最小内径は、11.5mmから12.5mmに設定され、前記最大外径は、前記最小内径に対して130%以上の範囲に設定される。
上記第3側面の人力駆動車用のハブによれば、最大外径が上記範囲に含まれるため、強度が高い。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記最大外径は、前記最小内径に対して155%以下の範囲に設定される。
上記第4側面の人力駆動車用のハブによれば、最大外径が上記範囲に含まれるため、軸部材の径方向に関する寸法が大きくなりにくい。
【0009】
本発明の第5側面に従う人力駆動車用のハブは、人力駆動車用のハブであって、軸部材と、前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、前記軸部材は、前記回転体に少なくとも部分的に挿入される第1軸部材、および、前記回転体に少なくとも部分的に挿入される第2軸部材の少なくとも1つを含み、前記第1軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、前記第2軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、前記第1軸部材の前記最小内径は、前記第2軸部材の前記最小内径とは異なり、前記第1軸部材の前記最大外径は、前記第2軸部材の前記最大外径とは異なり、前記回転体は、前記第1軸部材と前記第2軸部材とが選択的に挿入されるように構成される。
上記第5側面の人力駆動車用のハブによれば、1つの回転体に対して複数の軸部材を選択的に使用できるため、生産性が向上する。
【0010】
本発明の第6側面に従う人力駆動車用のハブは、人力駆動車用のハブであって、軸部材と、前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、前記軸部材は、前記回転体に挿入される被挿入部を含み、前記被挿入部は、第1部分、および、前記第1部分よりも外径が大きい第2部分を含む。
上記第6側面の人力駆動車用のハブによれば、第2部分を含むため、強度が高い。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記軸部材は、最小内径を有し、前記軸部材の前記第1部分は、第1最大外径を有し、前記最小内径は、14.5mmから15.5mmであり、前記第1最大外径は、前記最小内径に対して120%以上の範囲に設定される。
上記第7側面の人力駆動車用のハブによれば、第1最大外径が上記範囲に含まれるため、強度が高い。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記第1最大外径は、前記最小内径に対して125%以下の範囲に設定される。
上記第8側面の人力駆動車用のハブによれば、第1最大外径が上記範囲に含まれるため、軸部材の径方向に関する寸法が大きくなりにくい。
【0013】
前記第6から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記軸部材は、最小内径を有し、前記軸部材の前記第2部分は、第2最大外径を有し、前記最小内径は、14.5mmから15.5mmであり、前記第2最大外径は、前記最小内径に対して130%以上の範囲に設定される。
上記第9側面の人力駆動車用のハブによれば、第2最大外径が上記範囲に含まれるため、強度が高い。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記第2最大外径は、前記最小内径に対して140%以下の範囲に設定される。
上記第10側面の人力駆動車用のハブによれば、第2最大外径が上記範囲に含まれるため、軸部材の径方向に関する寸法が大きくなりにくい。
【0015】
前記第6から第10側面のいずれか1つに従う第11側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記回転体を前記軸部材に回転可能に支持する軸受けをさらに備え、前記軸受けは、前記軸部材に設けられる玉押し、前記回転体に設けられる玉受け、および、前記玉押しと前記玉受けとの間に配置される複数の球体を含む。
上記第11側面の人力駆動車用のハブによれば、軸部材に対して回転体を好適に回転させることができる。
【0016】
前記第11側面に従う第12側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記軸受けは、前記回転体内に異物が入り込むことを抑制する突起を有する。
上記第12側面の人力駆動車用のハブによれば、部品点数を削減できる。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記突起は、前記軸部材の径方向外側に向けて突出するように構成される。
上記第13側面の人力駆動車用のハブによれば、回転体内に異物が入り込むことを好適に抑制できる。
【0018】
前記第1から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記軸部材と前記回転体との間に配置される発電機構をさらに備える。
上記第14側面の人力駆動車用のハブによれば、利便性を向上できる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面の人力駆動車用のハブにおいて、前記発電機構は、前記軸部材に設けられるステータ、および、前記回転体に設けられる磁石を含む。
上記第15側面の人力駆動車用のハブによれば、簡素に構成できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のハブによれば、より強度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の人力駆動車用のハブの断面図。
図2】第1実施形態の人力駆動車用のハブの断面図。
図3図1の第1軸部材の斜視図。
図4図2の第2軸部材の斜視図。
図5図1のステータおよび磁石の分解斜視図。
図6】第2実施形態の人力駆動車用のハブの断面図。
図7図6の軸部材の斜視図。
図8図7の軸部材に第3位置決部材が取り付けられた状態の部分断面図。
図9図6の玉押しの斜視図。
図10図9のD10-D10線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0023】
第1実施形態および第2実施形態において、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。一例では、人力駆動車は、電気エネルギーを用いて人力駆動車の推進を補助するアシスト装置を含む自転車(e-bike)である。より具体的には、シティサイクルである。人力駆動車の構成は、任意に変更可能である。人力駆動車は、アシスト装置を省いて構成できる。言い換えれば、人力駆動車は人力駆動力によってのみ駆動される通常の自転車であってもよい。人力駆動車の種類は、ロードバイク、マウンテンバイク、または、クロスバイクであってもよい。
【0024】
<第1実施形態>
図1図5を参照して、人力駆動車用のハブ10について説明する。以下では、人力駆動車用のハブ10をハブ10と称する場合がある。ハブ10は、例えば、ハブダイナモとして構成される。ハブ10は、人力駆動車用のハブ10であって、軸部材12と、軸部材12と相対回転するように軸部材12と同軸に設けられる回転体14と、を備える。ハブ10は、好ましくは、軸部材12と回転体14との間に配置される発電機構16をさらに備える。ハブ10は、好ましくは、中間部材18、第1軸受け20、第2軸受け22、第1位置決部材24、および、第2位置決部材26をさらに備える。軸部材12は、図1に示されるように、回転体14に少なくとも部分的に挿入される第1軸部材28、および、図2に示されるように、回転体14に少なくとも部分的に挿入される第2軸部材30の少なくとも1つを含む。回転体14は、第1軸部材28と第2軸部材30とが選択的に挿入されるように構成される。ハブ10は、第1軸部材28および第2軸部材30以外、共通の部品を使用することによって、回転体14に対して第1軸部材28および第2軸部材30を選択的に挿入できるように構成される。以下では、第1軸部材28および第2軸部材30を軸部材12と称する場合がある。
【0025】
軸部材12は、例えば、ハブ軸である。軸部材12は、例えば、円筒形状である。回転体14は、例えば、ハブシェルである。回転体14は、外周部に前輪または後輪のスポークと連結するためのフランジ14Aを備える。回転体14は、例えば、円筒形状である。中間部材18は、例えば、円筒形状である。中間部材18には、軸部材12が挿入される。中間部材18は、第1中間部材18Aおよび第2中間部材18Bを備える。第1中間部材18Aは、軸部材12の軸方向において、第1軸受け20と第1位置決部材24との間に配置される。第2中間部材18Bは、軸部材12の軸方向において、第2軸受け22と第2位置決部材26との間に配置される。
【0026】
第1軸受け20および第2軸受け22は、回転体14を軸部材12に対して回転可能に支持する。第1軸受け20および第2軸受け22は、回転体14の内周部と軸部材12の外周部との間に設けられる。第1軸受け20は、軸部材12の軸方向における一方の端部に近い位置に設けられる。第2軸受け22は、軸部材12の軸方向における他方の端部に近い位置に設けられる。
【0027】
第1位置決部材24は、例えば、環状に形成される。第1位置決部材24は、軸部材12に相対回転不能に取り付けられる。第1位置決部材24は、軸部材12の軸方向において、発電機構16のステータ16Aの一方の端部に取り付けられる。第1位置決部材24は、ステータ16Aの軸方向の移動を規制する。第2位置決部材26は、例えば、環状に形成される。第2位置決部材26は、軸部材12に相対回転不能に取り付けられる。第2位置決部材26は、軸部材12の軸方向において、ステータ16Aの他方の端部に取り付けられる。第2位置決部材26は、ステータ16Aの軸方向の移動を規制する。第2位置決部材26は、第1位置決部材24よりも厚さが薄い。
【0028】
図1および図3に示されるように、第1軸部材28は、回転体14に挿入される被挿入部28A、および、被挿入部28Aの端部から突出する縮径部28Bを備える。被挿入部28Aは、縮径部28Bよりも最大外径が大きい。図1に示されるように、縮径部28Bは、人力駆動車のフレームFに回転不能に支持される。第1軸部材28は、例えば、クイックリリース機構28Xによって、フレームFに着脱可能に固定される。図3に示されるように、第1軸部材28の外周面には、軸方向に延びる溝28Cが設けられる。溝28Cには、ステータ16Aのコイル36から延びる電気配線が収納される。
【0029】
図2および図4に示されるように、第2軸部材30は、回転体14に挿入される被挿入部30A、および、被挿入部30Aの端部から突出する縮径部30Bを備える。被挿入部30Aは、縮径部30Bよりも最大外径が大きい。第2軸部材30の外周面には、軸方向に延びる溝30Cが設けられる。溝30Cには、ステータ16Aのコイル36から延びる電気配線が収納される。
【0030】
軸部材12は、最小内径と最大外径とを有する。詳細には、図1に示されるように、第1軸部材28は、最小内径LAおよび最大外径LBを有する。最小内径LAは、縮径部28Bの最小の内径である。最大外径LBは、被挿入部28Aの最大の外径である。最小内径LAは、4.5mmから5.5mmに設定される。最大外径LBは、最小内径LAに対して230%以上の範囲に設定される。最小内径LAに対する最大外径LBの割合は、任意に選択可能である。最大外径LBは、好ましくは、最小内径LAに対して365%以下の範囲に設定される。
【0031】
図2に示されるように、第2軸部材30は、最小内径LCおよび最大外径LDを有する。最小内径LCは、縮径部30Bの最小の内径である。最大外径LDは、被挿入部30Aの最大の外径である。最小内径LCは、11.5mmから12.5mmに設定される。最大外径LDは、最小内径LCに対して130%以上の範囲に設定される。最小内径LCに対する最大外径LDの割合は、任意に選択可能である。最大外径LDは、好ましくは、最小内径LCに対して155%以下の範囲に設定される。第1軸部材28の最小内径LAは、第2軸部材30の最小内径LCとは異なる。第1軸部材28の最大外径LBは、第2軸部材30の最大外径LDとは異なる。第1軸部材28の最大外径LBと、第2軸部材30の最大外径LDとは、同じであってもよい。最大外径LBが最大外径LDと同じ場合であっても、最大外径LBは、最小内径LAに対して230%以上の範囲に設定される。最大外径LDが最大外径LBと同じ場合であっても、最大外径LDは、最小内径LCに対して130%以上の範囲に設定される。
【0032】
発電機構16は、軸部材12および回転体14の一方に設けられるステータ16A、ならびに、軸部材12および回転体14の他方に設けられる磁石16Bを含む。本実施形態では、発電機構16は、軸部材12に設けられるステータ16A、および、回転体14に設けられる磁石16Bを含む。
【0033】
ステータ16Aは、軸部材12の外周部に、軸部材12に対して相対回転不能に設けられる。ステータ16Aは、第1ヨーク32、第2ヨーク34、および、コイル36を有する。ステータ16Aは、コイル36が巻き付けられるボビン38をさらに備える。
【0034】
図5に示されるように、第1ヨーク32は、少なくとも1つの第1ヨーク片40を含む。第1ヨーク32は、軸部材12の周方向に並ぶ2つ以上の第1ヨーク片40を含む。第1ヨーク32は、例えば、18個の第1ヨーク片40を含む。第1ヨーク片40は、軸部材12の周方向に等間隔に配置される。第1ヨーク片40は、ボビン38に設けられる凹部38Aに嵌め込まれることによって、互いの位置関係が保持される。
【0035】
第2ヨーク34は、少なくとも1つの第2ヨーク片42を含む。第2ヨーク34は、軸部材12の周方向に並ぶ2つ以上の第2ヨーク片42を含む。第2ヨーク34は、例えば、18個の第2ヨーク片42を含む。第2ヨーク片42は、第1ヨーク片40とは別体に形成される。第1ヨーク片40の材料と第2ヨーク片42の材料とは、同一であることが好ましい。第1ヨーク片40および第2ヨーク片42は、同一の形状を有することが好ましい。第1ヨーク片40の数および第2ヨーク片42の数は等しい。第2ヨーク片42は、軸部材12の周方向に等間隔に配置される。第2ヨーク片42は、ボビン38に設けられる凹部38Aに嵌め込まれることによって互いの位置関係が保持される。
【0036】
磁石16Bは、極が周方向に並ぶように回転体14に設けられる。磁石16Bは、回転体14に対して相対回転不能に回転体14の内周部に設けられる。図5に示されるとおり、磁石16Bは、第1磁石44および第2磁石46を有する。第1磁石44は、円筒形状の第1支持部材48の内周部に複数の磁石44Aが取り付けられることによって形成される。第2磁石46は、円筒形状の第2支持部材50の内周部に複数の磁石46Aが取り付けられることによって形成される。第1磁石44および第2磁石46は、好ましくは、ネオジウム磁石、焼結磁石、または、ボンド磁石である。
【0037】
第1磁石44および第2磁石46は、第1磁石44の極と第2磁石46の極とが軸部材12の周方向においてずれるように配置される。第1磁石44および第2磁石46は、軸部材12の周方向においてそれぞれのS極とN極とが互い違いになるように配置される。このため、軸部材12の軸方向において、第1磁石44のS極と第2磁石46のS極とは並ばず、第1磁石44のN極と第2磁石46のN極とは並ばない。第1磁石44は、軸部材12の径方向において第1ヨーク片40と対向可能である。第1ヨーク片40の数および第1磁石44の極の数は等しい。第2磁石46は、軸部材12の径方向において第2ヨーク片42と対向可能である。第2ヨーク片42の数および第2磁石46の極の数は等しい。第1磁石44の極の数および第2磁石46の極の数は等しい。
【0038】
第1実施形態の人力駆動車用のハブ10によれば、次のような効果が得られる。
第1実施形態のハブ10は、第1軸部材28および第2軸部材30以外の部品が共通化されている。回転体14に対して第1軸部材28および第2軸部材30を選択的に挿入できるため、ハブ10を異なる仕様に容易に変更できる。このため、利便性が高められる。
【0039】
<第2実施形態>
図6から図10を参照して、第2実施形態の人力駆動車用のハブ60について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0040】
ハブ60は、人力駆動車用のハブ60であって、軸部材62と、軸部材62と相対回転するように軸部材62と同軸に設けられる回転体14と、を備える。軸部材62は、例えば、ハブ軸である。軸部材62は、例えば、円筒形状である。軸部材62は、回転体14に挿入される被挿入部64を含む。被挿入部64は、第1部分64A、および、第1部分64Aよりも外径が大きい第2部分64Bを含む。図7に示されるように、軸部材62の外周面には、軸方向に延びる溝62Aが設けられる。溝62Aには、コイル36から延びる電気配線が収納される。軸部材62は、最小内径LEを有する。最小内径LEは、第1部分64Aの最小の内径である。軸部材62の第1部分64Aは、第1最大外径LFを有する。最小内径LEは、14.5mmから15.5mmである。最小内径LEに対する第1最大外径LFの割合は任意に選択可能である。第1最大外径LFは、好ましくは、最小内径LEに対して120%以上の範囲に設定される。第1最大外径LFは、好ましくは、最小内径LEに対して125%以下の範囲に設定される。軸部材62の第2部分64Bは、第2最大外径LGを有する。最小内径LEに対する第2最大外径LGの割合は、任意に選択可能である。第2最大外径LGは、好ましくは、最小内径LEに対して130%以上の範囲に設定される。第2最大外径LGは、好ましくは、最小内径LEに対して140%以下の範囲に設定される。
【0041】
図8に示されるように、第2部分64Bには、第3位置決部材68が設けられる。第3位置決部材68は、第1実施形態の第2位置決部材26に代えて設けられる。第3位置決部材68は、第1位置決部材24と同様の形状である。第3位置決部材68は、軸部材62に対して相対回転できないように第2部分64Bに取り付けられる。第2実施形態では、第3位置決部材68が配置されるため、中間部材18のうちの第2中間部材18Bが省略される。
【0042】
ハブ60は、好ましくは、回転体14を軸部材62に回転可能に支持する軸受け72をさらに備える。軸受け72は、第1実施形態の第1軸受け20に代えて設けられる。軸受け72は、第1位置決部材24よりも軸部材62の一方の端部に近い位置に設けられる。軸受け72は、軸部材62に設けられる玉押し74、回転体14に設けられる玉受け76、および、玉押し74と玉受け76との間に配置される複数の球体78を含む。複数の球体78の外径は、第2軸受け22の球体22Aの外径よりも小さい。
【0043】
軸受け72は、好ましくは、回転体14内に異物が入り込むことを抑制する突起80を有する。突起80は、例えば、回転体14の開口14Bから回転体14内に異物が入り込むことを抑制する。軸受け72において、突起80が設けられる箇所は任意に選択できる。図9および図10に示される例では、突起80は玉押し74に設けられる。図6に示されるように、突起80は、軸部材62の軸方向において、玉押し74のうちの球体78を支持する玉支持部74Aよりも回転体14の開口14Bに近い位置に設けられる。別の例では、突起80は玉受け76に設けられる。突起80は、好ましくは、軸部材62の径方向外側に向けて突出するように構成される。突起80の先端80Aと回転体14の内周面14Cとの間には隙間が形成される。換言すれば、突起80の先端80Aと回転体14の内周面14Cとは、接触していない。
【0044】
第2実施形態の人力駆動車用のハブ60によれば、次のような効果が得られる。
第2実施形態のハブ60は、第1実施形態のハブ10に対して軸部材62以外の部品が概ね共通化されている。また、必要に応じて軸受け72および第3位置決部材68に変更があってもよい。軸受け72、および、第3位置決部材68等の少数の部品を変更することによって、回転体14に対して第1軸部材28、第2軸部材30、および、軸部材62を選択的に挿入できるため、ハブ60を異なる仕様に容易に変更できる。このため、利便性が高められる。
【0045】
<変形例>
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用のハブが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用のハブは、例えば、以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
・ステータ16Aを回転体14に設け、磁石16Bを軸部材12、62に設けることもできる。この場合、ステータ16Aに生じた電流は、好ましくは、スリップリングを介して外部に出力されるように構成される。
【0047】
ハブ10は、軸部材12、62の中心軸心に沿う軸方向において、回転体14と並べて配置されるフリーホイールをさらに備えていてもよい。フリーホイールは、軸部材12、62まわりに回転可能に回転体14と連結される。一例では、フリーホイールは、リアスプロケットに伝達された駆動力を回転体14に伝達し、回転体14とともに軸部材12、62まわりに回転する。フリーホイールは、第1回転方向の回転を回転体14に伝達するように構成され、かつ、第1回転方向とは反対の回転方向である第2回転方向の回転を回転体14に伝達しないように構成される。
【符号の説明】
【0048】
10、60…ハブ、12、62…軸部材、14…回転体、16…発電機構、16A…ステータ、16B…磁石、28…第1軸部材、30…第2軸部材、64…被挿入部、64A…第1部分、64B…第2部分、72…軸受け、74…玉押し、76…玉受け、78…球体、80…突起。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のハブであって、
軸部材と、
前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、
前記軸部材は、前記回転体に少なくとも部分的に挿入される第1軸部材、および、前記回転体に少なくとも部分的に挿入される第2軸部材の少なくとも1つを含み、
前記第1軸部材は、第1所定最小内径と第1所定最大外径とを有し、
前記第2軸部材は、第2所定最小内径と第2所定最大外径とを有し、
前記第1所定最小内径は、前記第2所定最小内径とは異なり、
前記第1所定最大外径は、前記第2所定最大外径とは異なり、
前記回転体は、前記第1軸部材と前記第2軸部材とが選択的に挿入されるように構成される、ハブ。
【請求項2】
前記第1軸部材の前記第1所定最大外径を有する部分は、前記第1軸部材の軸方向における中央部分を含み、
前記第2軸部材の前記第2所定最大外径を有する部分は、前記第2軸部材の軸方向における中央部分を含む、請求項1に記載のハブ。
【請求項3】
前記第1所定最小内径は、4.5mmから5.5mmに設定され、
前記第1所定最大外径は、前記第1所定最小内径に対して230%以上の範囲に設定され、
前記第2所定最小内径は、11.5mmから12.5mmに設定され、
前記第2所定最大外径は、前記第2所定最小内径に対して130%以上の範囲に設定される、請求項1または2に記載のハブ。
【請求項4】
人力駆動車用のハブであって、
軸部材と、
前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、
前記軸部材は、最小内径と最大外径とを有し、
前記最小内径は、11.5mmから12.5mmに設定され、
前記最大外径は、前記最小内径に対して130%以上の範囲に設定される、ハブ。
【請求項5】
前記軸部材の前記最大外径を有する部分は、前記軸部材の軸方向における中央部分を含む、請求項4に記載のハブ。
【請求項6】
前記最大外径は、前記最小内径に対して155%以下の範囲に設定される、請求項4または5に記載のハブ。
【請求項7】
前記回転体は、前記第1軸部材と、前記第2軸部材と、第3軸部材と、が選択的に挿入されるように構成され、
前記第3軸部材は、前記回転体に挿入される被挿入部を含み、
前記被挿入部は、第1部分、および、前記第1部分よりも外径が大きい、請求項1に記載のハブ。
【請求項8】
人力駆動車用のハブであって、
最小内径および最大外径を有する軸部材と、
前記軸部材と相対回転するように前記軸部材と同軸に設けられる回転体と、を備え、
前記軸部材は、前記回転体に挿入される被挿入部を含み、
前記被挿入部は、第1部分、および、前記第1部分よりも外径が大きい第2部分を含む、ハブ。
【請求項9】
記軸部材の前記第1部分は、第1最大外径を有し、
前記最小内径は、14.5mmから15.5mmであり、
前記第1最大外径は、前記最小内径に対して120%以上の範囲に設定される、請求項に記載のハブ。
【請求項10】
前記軸部材の前記第1最大外径を有する部分は、前記軸部材の軸方向における中央部分を含む、請求項9に記載のハブ。
【請求項11】
前記第1最大外径は、前記最小内径に対して125%以下の範囲に設定される、請求項9または10に記載のハブ。
【請求項12】
記軸部材の前記第2部分は、第2最大外径を有し、
前記最小内径は、14.5mmから15.5mmであり、
前記第2最大外径は、前記最小内径に対して130%以上の範囲に設定される、請求項から11のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項13】
前記第2最大外径は、前記最小内径に対して140%以下の範囲に設定される、請求項12に記載のハブ。
【請求項14】
前記回転体を前記軸部材に回転可能に支持する軸受けをさらに備え、
前記軸受けは、前記軸部材に設けられる玉押し、前記回転体に設けられる玉受け、および、前記玉押しと前記玉受けとの間に配置される複数の球体を含む、請求項から13のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項15】
前記軸受けは、前記回転体内に異物が入り込むことを抑制する突起を有する、請求項14に記載のハブ。
【請求項16】
前記突起は、前記軸部材の径方向外側に向けて突出するように構成される、請求項15に記載のハブ。
【請求項17】
前記軸部材と前記回転体との間に配置される発電機構をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のハブ。
【請求項18】
前記発電機構は、前記軸部材に設けられるステータ、および、前記回転体に設けられる磁石を含む、請求項17に記載のハブ。