(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059919
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】非常に単純化された沸騰水反応器のための非常用復水器
(51)【国際特許分類】
G21C 15/18 20060101AFI20240423BHJP
G21C 9/004 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G21C15/18 A
G21C15/18 B
G21C9/004
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030381
(22)【出願日】2024-02-29
(62)【分割の表示】P 2023025963の分割
【原出願日】2018-06-11
(31)【優先権主張番号】15/635,400
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】マークイノ,ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ハント,ブライアン,エス
(72)【発明者】
【氏名】ダールグレン,クリスター、エヌ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】原子炉内で作動および作動するために、電力供給されたデジタル制御装置を必要としない緊急冷却剤システムを提供する。
【解決手段】原子炉は所望の冷却及び圧力解放を提供するために非常用復水器システムを含む。非常用復水器は凝縮器が原子炉から熱を伝達することができる冷却剤を保持する別個のチャンバ内に浸漬される。チャンバは複数の非常用復水器のために隣接する冷却剤リザーバに選択的に接続することができる。逆止弁は冷却剤がリザーバから非常用復水器にのみ流れることを可能にし得る。受動スイッチは逆止弁および他の絶縁構成要素を動作させることができる。非常用復水器は冷却剤流のために反応器への/からの入口及び出口を開くことによって作動させることができる。流体制御および/または圧力パルス送信機は反応器状態を監視し、そのような流れを開くことによって個々の非常用復水器を選択的に活性化することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉と、
前記原子炉に接続する少なくとも1つの一次冷却材ループと、
前記原子炉に接続する非常用復水器システムと
を備え、前記非常用復水器システムは、
熱交換器と、
前記原子炉を前記熱交換器の入口に接続する蒸気ラインと、
前記熱交換器の出口を前記原子炉に接続する復水戻りラインと、
を備え、前記入口は前記出口の垂直上方に位置する、電気を商業的に生成するための原子炉システム。
【請求項2】
前記非常用復水器システムは、
冷却剤チャンバ内に少なくとも1つの非常用復水器と、
冷却剤プールと、
前記冷却剤プールと前記冷却剤チャンバとを接続、及び隔離するために、開放、及び閉鎖が可能な、前記冷却剤プールと前記冷却剤チャンバとの間の流路と
を含み、前記非常用復水器は、原子炉冷却剤から前記冷却剤チャンバへ熱を伝達するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記非常用復水器システムは、複数の前記非常用復水器を含み、各非常用復水器は、複数の冷却剤チャンバのうちの1つにあり、各冷却剤チャンバは、開放、及び閉鎖が可能な 流路によって前記冷却剤プールに接続されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記非常用復水器システムは、
前記冷却剤チャンバから前記冷却剤プールへの冷却剤の流れを防止する逆止弁と、
前記冷却剤チャンバと前記冷却剤プールとの間の相対的な冷却剤レベルを決定し、前記相対的な冷却剤レベルに基づいて前記逆止弁を作動させるように構成されたスイッチと、
をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記スイッチは受動的であり、前記冷却剤チャンバ内の第1フロートと前記冷却剤プール内の第2フロートとを含み、
前記第1フロートの相対位置が前記第2フロートの上方にあるときに前記冷却剤チャンバを隔離するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記原子炉を囲む格納容器をさらに備え、
前記非常用復水器システムは前記格納容器の外側にあり、
前記格納容器および前記非常用復水器システムは地下にあり、前記格納容器の内部には、開放冷却剤源または能動冷却剤ポンプが存在せず、
前記格納容器および前記非常用復水器システムを地震遮蔽するサイロをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記非常用復水器システムの少なくとも1つの非常用復水器を作動させるように構成された選択的活性分離システムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記選択的活性分離システムは、複数の流体制御装置を含み、前記非常用復水器システムは、複数の非常用復水器を含み、前記流体制御装置の各々は、反応器圧力設定点において前記非常用復水器のうちの1つを作動させるように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記反応器圧力設定点は、前記非常用復水器の各1つが異なる反応器圧力で作動されるように、前記流体制御装置の各々に対して異なる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記選択的活性分離システムが、原子炉水位設定点において前記非常用復水器システム
の非常用復水器に構成された圧力パルス送信機を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記原子炉は、最大1000メガワット-熱定格沸騰水型原子炉である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記原子炉は、核燃料の炉心を収容する圧力反応器を含み、前記圧力反応器は高さと幅の比率が3.9を超える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記原子炉を完全に取り囲む不浸透性の格納容器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記原子炉の外側、かつ前記格納容器の内側に液体の冷却剤プールは存在しない、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記格納容器の内側にポンプは存在しない、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記格納容器と前記原子炉とは地下に延びている、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
地下に延び、前記原子炉、前記格納容器、及び前記非常用復水器システムを収容するサイロをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記熱交換器は、下方に延びて冷却剤チャンバに沈められた複数の垂直チャネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記蒸気ラインは前記複数の垂直チャネルのうちの異なる垂直チャネルを分割して水平方向に延び、前記復水戻りラインは前記異なる垂直チャネルからの流れを単一の流れに結合し、直接前記原子炉に接続し、前記一次冷却材ループとは離して接続する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記非常用復水器システムは、前記原子炉から前記非常用復水器システムに流入する流体が前記非常用復水器システムから前記原子炉にのみ逆流できるように、前記原子炉とループを形成する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
非常に単純化された沸騰水反応器のための非常用復水器。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来技術の経済的に簡略化された沸騰水型原子炉(ESCBWR)において原子力発電用の燃料41及び原子炉内構造物の様々な構成を有する原子炉圧力容器42を収容する格納容器36の概略図である。反応器42は、従来、核分裂を介して数千メガワットの熱エネルギーを生成することができる。反応器42は、上部ドライウェル54及び下部ドライウェル3を含むドライウェル51内に位置し、ドライウェル3は、外部構成要素及び人員のために、反応器42の周囲及び下方に空間を提供する。原子炉42は、典型的には数十メートルの高さであり、地面レベルからの自然循環冷却及び構築を容易にするために、格納容器36は地上高さよりも高い。ベースマット内部溶融阻止および冷却可能デバイスと呼ばれる犠牲溶融層1は、反応器1の真下に配置されて、潜在的な落下破片、溶融反応器構造、および/または冷却剤を冷却し、格納容器36の下の地面への進行を防止する。
【0003】
いくつかの異なるプールおよび流路は、プラント内の冷却能力の損失を伴う過渡の場合、原子炉26に流体冷却剤を提供するために、格納容器36内部の緊急炉冷却剤システムを構成する。例えば、格納容器36は、環状または他の様式で反応器42を囲む圧力抑制チャンバ58と、抑制プール59を保持することとを含むことができる。抑制プール59は、主蒸気ラインからの蒸気を凝縮及び放熱のために抑制プール59に分流するために使用される緊急蒸気ベントを含み、格納容器36の過熱及び過加圧を防止する。抑制プール59はまた、ドライウェル54に流入する流体が抑制プール59内に排出されるか、またはポンプされることを可能にする流路を含むことができる。抑制プール59は、冷却材事故の喪失後に格納容器36から熱または圧力を除去するように構成された他の熱交換器またはドレインをさらに含むことができる。緊急炉心冷却システムラインおよびポンプ10は、抑制プール59から原子炉42内に冷却剤を注入して、失われた給水および/または他の緊急冷却剤供給を行うことができる。
【0004】
図1に示すように、重力駆動冷却システム(GDCS)プール37は、さらに、配管57を介して反応器42に冷却剤を供給することができる。受動的な封じ込め冷却システム(PCCS)プール65は、原子炉の減圧によって生成された蒸気などの、格納容器36内部の蒸気を、より低い格納圧力または主蒸気ライン遮断に凝縮し、凝縮した流体をGDCSプール37に戻すことができる。隔離冷却システム(IC)プール66は、反応器42からの圧力で直接蒸気を取り出し、再循環のために再凝縮器42に戻すために凝縮することができる。これらの安全システムは、必要な冷却剤を供給し、熱を除去し、及び/又は圧力を低減することによって、原子炉42及び格納容器36内の全ての他の構造の過熱及び損傷を防止する効果の各々に、様々な反応器設計における任意の組み合わせで使用することができる。いくつかの追加のシステムが、典型的には、格納容器36の内部に存在し、いくつかの他の補助システムが、関連技術のESBWRにおいて使用される。このようなESBRSは、その全体が参照により本明細書に援用されるGE Hitachi Nuclear Energy、6月1日、2011年6月のESBWRプラントの一般的記述の中に記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態は、漏れまたは故障のリスクが最小である一体的に調整可能な接続を介して原子炉に接続する非常用復水器システムを有する単純化された原子炉を含む。このようにして、例示的な原子炉は、非常用復水器システムから効果的に完全に隔離することができる。例示的な実施形態の非常用復水器システムは、隔離された冷却剤に浸漬された1つ以上の絶縁凝縮器を含み、その結果、凝縮器は、原子炉から作動冷却剤又は減速材を受け取るときに、没入型冷却剤に熱を伝達することができる。没入型冷却剤は、1つまたは複数の別個の非常用復水器を供給する別個の冷却剤貯蔵器から引き出すことができる。障壁は、様々な非常用復水器間の流れを防止し得る。例えば、逆止弁は、冷却剤がリザーバから非常用復水器にのみ流れることを可能にし、没入型冷却剤レベルが高すぎる場合には2つを分離し、過度に高温で、放射性の高い等である非常用復水器について説明する。
【0006】
スイッチは、非常用復水器とリザーバとの間の冷却剤レベルを受動的に監視し、リザーバ内のフロートの相対的な高低に基づく流れと、非常用復水器を囲む冷却剤とを選択的に許容することができる。フロートの移動は、逆止弁および/または非常用復水器自体を作動させることができる。実施例のシステムにおける非常用復水器は、凝縮器を通って反応器に/から流体ループを開くことによって作動させることができる。例えば、流体制御及び/又は圧力パルス送信器は、反応器条件を監視し、個々の非常用復水器を選択的に作動させ、反応器をトリップ及び/又は隔離し、及び/又は検出された反応器圧力、冷却剤レベル等、に基づいてプラントの残りをトリップさせてもよい。そのような受動的で信頼性の高いセンサは、運転が設計ベースからそれる場合、不特定の冷却能力を有する安全な運転停止状態にプラントを置くことができる。例示的な実施形態の非常用復水器システムは、他の冷却剤源を有していなくてもよい、格納容器を有する地下サイロ内の格納容器の外側に配置されてもよい。
【0007】
例示的な実施形態は、添付の図面を詳細に説明することによってより明らかになり、同様の要素は、例示のみを目的として与えられ、したがって、それらが示す用語を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来の原子炉格納容器および内部構造物の概略図である。
【
図2】非常に単純化された沸騰水型原子炉システムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図3】例示的な実施形態のリアクタシステムにおいて使用可能な例示的な実施形態のICSシステムの図である。
【
図4】例示的な実施形態の選択的活性分離システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これは、特許文献であるため、一般的に、それを読むときに構築の広範な規則が適用されるべきである。本明細書に記載され示された全ては、以下に添付される特許請求の範囲に含まれる主題の一例である。本明細書で開示される任意の特定の構造的および機能的詳細は、単に例を作成および使用する方法を説明するためのものにすぎない。本明細書に具体的に開示されていないいくつかの異なる実施形態および方法は、請求項の範囲内に入り得る。したがって、特許請求の範囲は、多くの代替形態で実施可能であり、本明細書に記載の例のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0010】
第1 、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用するとき、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0011】
要素が別の要素に「接続」、「結合」、「嵌合」、「取り付け」、「固定」などと呼ばれる場合、他の要素に直接接続でき、または介在要素が存在する場合があることを理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続」、「直接結合」などと呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様の方法で解釈する必要がある(たとえば、「間」対「直接」、「隣接」対「直接隣接」など)。同様に、「通信接続」などの用語には、無線で接続されているかどうかにかかわらず、中間デバイス、ネットワークなどを含む2つの電子デバイス間の情報交換およびルーティングのすべてのバリエーションが含まれる。
【0012】
本明細書で使用されるように、単数形「a」 、「an」 、および「the」は、明示的に別段の指示がない限り、単数形および複数形の両方を含むことが意図される。「備える」、「含む」、および/または「含んでいる」等の用語は、述べられた特徴、特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、それ自体は、1つまたは複数の他の特徴、特性、ステップ、動作、要素、成分および/またはそのグループの存在または追加を排除しないことが理解されよう。
【0013】
以下で説明する構造および動作は、図面に記載および/または記載された順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つの動作および/または図は、関与する機能/動作に応じて、実際には同時に実行されてもよく、ときには逆の順序で実行されてもよい。同様に、以下で説明する例示的な方法内の個々の動作は、以下で説明する単一の動作とは別にループまたは他の一連の動作を提供するように、個々にまたは順次に実行され得る。以下で説明する特徴および機能を有する任意の実施形態または方法は、任意の実行可能な組合せで、例示的な実施形態の範囲内に入ると推定されるべきである。
【0014】
発明者らは、従来の補助または緊急冷却剤システムが、典型的には、原子炉内で作動および作動するために、電力供給されたデジタル制御装置を必要とすることを認識した。そのような緊急システムは、通常、ポンプおよび/または能動弁を必要とし、適切な動作を監視する。いくつかの多様な冷却剤システムを用いて、活性化プロトコルを達成し、個々の安全システムを選択的に作動させるために、複雑な論理および制御が必要とされ得る。これらのシステムは、典型的には、即時型原子炉アクセスのための格納容器内に配置され、大型かつ複雑な格納容器を必要とする。これらの新たに認識された問題ならびに他の問題を克服するために、発明者らは、例示的な実施形態によって可能にされる固有の解決策を本発明者らによって認識されたこれらおよび他の問題に対処するために以下に説明する例示的な実施形態および方法を開発した。
【0015】
本発明は、分離冷却システム、それを含むプラント、およびそのようなシステムおよびプラントを動作させる方法である。本発明とは対照的に、以下で説明するいくつかの例示的な実施形態および例示的方法は、本発明と一緒におよび/またはそれに関連して使用され得る様々な異なる構成のほんの一部を例示する。
【0016】
図2は、例示的な実施形態の反応器システム100の概略図であり、例示的な実施形態の反応器142、例示的な実施形態の格納容器136、及び関連する冷却及び発電システムを含む。システム100は、同様に、商業発電のための非常に単純化された沸騰水型原子炉のためのHunt、Daygren、及びMarquoの共同所有のアプリケーション15585162に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0017】
図2には示されていないが、例示的な実施形態のシステム100として、高圧および低圧タービン、発電機、スイッチヤード、凝縮器、冷却塔またはヒートシンクなどの従来の発電設備および既知の発電設備を使用することができ、例えば任意の発電設備と同様の方法で主給水ライン120および主蒸気ライン125に接続することができる。例示的な実施形態の格納容器136は、弾力性のある不透過性の材料で構成されるが、一過性または事故のシナリオの場合に放射性物質および植物成分の移動を制限するためである。
【0018】
例えば、格納容器136は、一体的に形成されたコンクリート構造であってもよく、潜在的には、補強用内部スチールまたは鉄筋骨格、数インチまたはフィートの厚さであってもよい。あるいは、例えば、以下に説明するように、格納容器136は比較的小さくてもよいので、非常に高価または複雑に製造されないよう、全体に鋼体を使用してもよく、それにより格納容器136の強度、放射線遮蔽、および寿命が向上する。
【0019】
図2に示すように、例示的な実施形態の格納容器136は、地下にあってもよく、潜在的には、原子炉サイロ190内に収容されてもよい。コンクリート蓋191または以下のような他の表面シールドレベルで、接地90は、例示的な実施形態の反応器142および格納容器136を収容するサイロ190を包囲してもよい。サイロ190および蓋191は、地面から遭遇する任意の衝撃波を最小にするように地震学的に隔離または硬化することができる。したがって、例示的なIC 300および/または制御システム165などのサイロ190内の地震事象の影響は最小化される。
図2に示すように地下の場合には、例示的な実施形態のシステム100は、非常に小さな打撃ターゲットを提示してもよく、及び/又は表面衝撃及び爆発に対して硬化されてもよい。さらに、地下の場合、例示的な実施形態のシステム100は、放射性放出に対する追加の封じ込めを行っても良く、緊急冷却の場合、より容易な放出が可能になる。図示されていないが、これらの利点を失うことなく、任意の発電機器を地上に接続することができ、および/またはそのような機器を地面より下に配置することもできる。
【0020】
後述する例示的な実施形態の反応器142のより小さいサイズに基づけば、例示的な実施形態の格納容器136は、ESBWRを含む既存の原子力発電所に対してコンパクトで簡素化することができる。従来の動作および緊急用機器は、GDCS、PCCS、サプレッションプール、BIMCS、バックアップバッテリ、ウェットウェル(wetwell)、トリイ(trii)、等を含むが、格納容器136から全体を省略してもよい。格納容器136は、燃料交換及び保守のために反応器142へのアクセスを可能にするシールド191の下の単一の上部アクセスポイントのような、より少ないアクセスポイントを通してアクセス可能であってもよい。例示的な実施形態の反応器142およびコア141の比較的小さい体積は、格納容器136内への燃料再配置のための現実的なシナリオが存在しないので、床停止および冷却のためのBiMACを必要としない場合がある。それにもかかわらず、例示的な実施形態の格納容器136は、図に示されるように、任意の再配置されたコアを収容及び冷却するのに十分な床厚及び広がり面積を有してもよい2.さらに、格納容器136を貫通する全貫通部は、格納容器136からの漏洩の危険性を低減又は効果的に排除するために最小化及び/又は隔離されてもよい。
【0021】
例示的な実施形態の反応器142は、原子炉の内部構造および高さにおける承認されたESBWR設計と同様に、沸騰水型反応器であってもよい。反応器142は、例えば1000メガワット-熱未満で動作する、例えば比例的に小さいコア141で600メガワット以上の電気を生成するESBRSの1/5体積より小さくてもよい。例えば、例示的な実施形態の反応器142は、約28メートルの高さ及びわずか3メートルの直径であってもよく、内部はESBWRの内部にマッチングするが、横方向には比例してスケールダウンすることにより、約900メガワットの熱及び300メガワットの電気定格で動作する。あるいは、例えば、反応器142は、約3. 9の高さ対幅比を有するESBWRと同じ割合であってもよく、より小さい体積に縮小されてもよい。もちろん、他の寸法は、例えば2. 7、または2. 0などのより小さい高さ対幅比で、反応器内部のより小さいサイズまたは適切な流路構成で自然循環を可能にし得る、例示的な実施形態の反応器142で使用可能である。
【0022】
例示的な実施形態の反応器142を比較的大きく高く維持することにより、例示的な実施形態の反応器142において公知のESBWRsによって達成される自然循環効果を維持することができる。同様に、より小さい反応器142を、関連する冷却装置で地下に配置してもよい。および/または小さい反応器142により、炉心141内のより小さい燃料在庫に起因する過熱および損傷の危険性をより少なくすることができる。さらに、より低い電力定格を有するより小さい例示的な実施形態の反応器142は、より簡単な起動、停止、および/または低減された電力動作をより容易に満たし、エネルギー需要によりよく一致させることができる。
【0023】
主給水ライン120及び主蒸気ライン125等の冷却剤ループは、反応器142に流入することができ、それにより発電用の減速材、冷却剤、及び/又は伝熱流体を提供する。緊急冷却剤源、1つまたは複数の例示的な実施形態の非常用復水器システム(IC)300などは、ライン120からの給水の損失の際に、反応器142に緊急冷却をさらに提供することができる。例示的な実施形態のIC300は、例示的な実施形態の反応器142からの蒸気入口162と、反応器142への凝縮物戻り163とを含むことができる。反応器142へのこれらの接続の各々は、格納容器136内の反応器142に一体的に接続され、故障リスクが無視できるような隔離弁200を使用することができる。
【0024】
弁200とは別に、例示的な実施形態の格納容器136は、電力システム、計装、冷却剤浄化ライン、などの任意の他の弁または貫通部の周りに封止されてもよい。格納容器136について、より少ない貫通、より小さいサイズ、内部システムをなくすこと、及び/又は地下配置とすることにより、潜在的に数百psig、例えば300、の反応器圧力まで、漏れの可能性なしに、より高い運転圧力を可能にし得る。
【0025】
例示的な実施形態の反応器システム100に見られるように、いくつかの様々な特徴により、冷却剤の損失の確率を著しく減少でき、応答性および柔軟な発電が可能になり、プラントのフットプリントおよび地上の衝突目標が低減され、および/または原子力プラントの構造および動作が簡略化される。特に、より小さい体積およびコアサイズを有する公知のおよび承認されたESBWR設計要素を使用することによって、例示的な実施形態の反応器142は、ESBWR設計における自然循環などの受動的な安全の仕組みにより利益を得られ、非常に小さく簡略化された例示的な実施形態の格納容器136を実現し、および緊急熱除去のための受動的な非常用復水器166への依存を可能にしている。
【0026】
図3は、例示的な実施形態のプラント100において使用可能な例示的な実施形態のIC300の図である。
図3に示すように、例示的な実施形態のIC 300は、複数の非常用復水器310、320等を含むことができる大リザーバ又はICSプール301と流体接続する。第1の非常用復水器310及び第2の非常用復水器320のみが
図3に示されているが、任意の数の非常用復水器が、ICSプール301から供給することができることが理解される。各非常用復水器310および320は、ICプール301によって補充され得る独立した冷却剤制御およびレベルを有するそれ自体のICSチャンバ311および321を含むことができる。ICS 300はいずれの格納容器の外側にあってもよいので、ICSプール301、非常用復水器310および320、ならびにIC 300の任意の他の構成要素は、プラント状態にかかわらず、保守、検査、緊急補充、および/または動作のために容易に到達され得る。
【0027】
図3に示すように、各非常用復水器310及び320は、原子炉内で生成された蒸気を提供する蒸気入口162によって供給をうけることができる。蒸気は、非常用復水器310内の熱交換器を通過して、蒸気を凝縮して液体水に戻すチャンバ311内の流体(例えば、水)に熱を伝達することができる。次いで、復水戻りライン163によって、この凝縮水が反応器内に逆流し、重力、蒸気慣性、及び蒸気と凝縮水との間の密度勾配によって駆動されることを可能にする。非常用復水器310および320は、
図3に示す2つのマルチチャネル熱交換器を通る二重の分割ループを使用してもよい。あるいは、承認されたESBWRプラントなどからのIC設計のような他の既知の設計を使用することができる。
【0028】
例示的な実施形態においてプラントシステム100(
図2)を設置する場合、100メガワットの熱範囲のような低熱電力反応器を使用すると、単一の非常用復水器310は、反応器全体に冷却能力を有することができる。すなわち、非常用復水器310及び320は、それぞれ、一実施形態の低電力反応器によって生成された蒸気全体を凝縮して、定常液レベルを同じに維持することができる。同様に、非常用復水器は、低い及び/又は変化する容量を有してもよく、任意の数としても良く、それにより安全のマージンを提供することができる。例えば全4つのコンデンサの場合、それぞれ「3x安全マージン」のために合計コアフローが75 %の凝縮能力を有する。
【0029】
各非常用復水器310及び320は、それ自体の蒸気ライン162及び復水戻りライン163と共に示されているが、理解されるように、実際の供給及び戻りは、共有蒸気162及び復水戻りライン163から分岐することができるので、複数の非常用復水器310、320を有するIC 300の全てについて、単一の隔離バルブ200(
図2)のみで済む。各非常用復水器の制御は、蒸気ライン162及び/又は復水戻りライン163上のバルブを介して以下に説明するように個別化されてもよい。あるいは、第1の非常用復水器310および第2の非常用復水器320はそれぞれ、個別の蒸気ライン162および復水戻りライン163を、
図2の例などの別個の隔離弁200で使用することができる。
【0030】
各非常用復水器310および320は、それぞれ、それ自体のチャンバ311および321を使用することができるので、共通のプール301から引用しているにもかかわらず、冷却剤レベルは、それぞれについて、維持することができる。例えば、プール301とチャンバ311との間の逆止弁340は、プール301からチャンバ311への一方向の流れのみを可能にしてもよい。このようにして、チャンバ311からの蒸発またはボイルオフとなっても、必ずしも他のチャンバ321内のレベルを低下または影響を及ぼすことなく、プール301から補充され得る。同様に、チャンバ311がより高い充填レベルにある場合、逆止弁340は、冷却剤がプール301内に流出させないようにしてもよい。
【0031】
受動スイッチ330は、アクティブまたはDCIS制御なしに、プール301へのチェックバルブ340または他の接続を介して、ICSチャンバが隔離されるべきであるときを検出し得る。受動スイッチ330はさらに、非常用復水器311、321、等非活性化されるべきであるときを示すことができる。例えば、受動スイッチ330は、2つのフロート331、1つはプール301内、及びもう1つはICSチャンバ311内のものを使用することができる。フロートは、液体水などの冷却剤の表面上を移動するので、ピボットのいずれかの側に接合されたときにスイッチ330の位置を移動させることができる。ICSチャンバ311内の冷却剤レベルがプール301よりも低い場合、これをフロート331の位置決めに反映してもよく、スイッチ330はフロート331の間のチェックバルブ340を開き(矢印で示す)、非常用復水器310をアクティブに保ち、ICSチャンバ311を補充する。
【0032】
あるいは、例えば、ICSチャンバ321内の冷却剤レベルがプール301内のレベルを超えると、それにより原子炉冷却剤がICSチャンバ321に入ることができる非常用復水器320の故障または破裂を示し得る。この状況における反対の垂直相対位置にあるフロート331は、スイッチ330を閉じて逆止弁340を閉鎖し(矢印Xで示す)、非常用復水器320を潜在的に不活性化または隔離して、ICSチャンバ321およびプール301へのさらなる反応器漏れおよび/または冷却剤の流れを防止し得る。
【0033】
フロート331は、
図3内の受動スイッチ330によって使用されるが、非常用復水器およびそれらのチャンバの異常または望ましくない状態を検出するために、他の受動モードまたは低故障モードデバイスが使用され得ることが理解される。例えば、相対圧力検出器、放射線検出器、レベルベース冷却剤接触アクチュエータ、温度モニタ等は、非常用復水器がプール301のような共通の冷却剤源から除去されるべきであること及び/又は遮断されるべきであることを示しても良い。
【0034】
同様に、受動スイッチ330または別の検出器は、チャンバ321が沸騰に近づいた場合など、追加のIC冷却または凝縮が必要になるので、追加の非常用復水器を作動させることができる。チャンバ321の隔離を必要とする動作不能または漏れ非常用復水器320のような、例示的な実施形態IC300における望ましくない動作条件の検出時に、逆止弁340とは別に、追加の隔離構造を作動させることができる。非常用復水器310および320を活性化および非活性化する追加のモードについては、
図4に関連して以下に説明する。
【0035】
図4は、例示的な実施形態の選択的活性分離システム165を示す。
図2に見られるように、例示的な実施形態のシステム165は、反応器142、弁200、ICS300、及び/又は格納容器136に接続又は接続されて、その動作を制御することができる。
図4に見られるように、活性分離システム165は、複数の流体制御器166A、164 B、等を含むことができ、各々は、非常用復水器310、320、等と接続されている。2つの流体制御装置および2つの非常用復水器のみが、
図4に示されているように、任意の数が使用され得ることが理解される。流体制御部166A及び166Bは、共通圧力線143を介して反応器142に接続することができる。圧力ライン143は、適切な貫通シール又は流体制御装置166を有する格納容器を貫通して延在してもよい。
【0036】
反応器142内の圧力を反映する圧力ライン143内の圧力設定点において、流体制御166 Aは、非常用復水器310を活性化することができる。圧力設定点は、例えば、原子炉の過熱又は給水又はタービン損失からの隔離に関連する高圧とすることができる。流体制御部166 Aは、弁を直接作動させ、アキュムレータを破裂させ、反応器圧力を受動的に使用して弁を開放し、及び/又は他の方法で、冷却剤ループを設定点で非常用復水器310に確実に開放するように構成されてもよい。
図4に示すように、作動バルブは、復水戻りライン163上のバルブであってもよい。
【0037】
例えば、弁は、隔離弁200(
図2)であってもよい。復水戻りライン163を反応器142または別の弁に接続して、個々の非常用復水器をそのようなラインから分離する。流体制御166Aは、蒸気入口162上の弁をさらに作動させることができ、または蒸気入口162は非常用復水器310に対して常に開いた状態としておくことも可能である。それにより、復水戻り163のための単一の弁のみを開けることで、既に原子炉圧力で非常用復水器310を通って流れていることが、水ハンマーを防止することにつながる。
【0038】
別の流体制御部166Bは、設定点において別の非常用復水器320に関連する弁を開放してもよい。あるいは、例えば、流体制御部166 Bは、非常用復水器310の流体制御部166 Aの作動のための設定点が既に作動されている場合にのみ作動されるように、より高い圧力活性化設定値を有してもよい。例えば、非常用復水器310は、受動スイッチ330(
図3)によって決定されるように、漏れ又は作動しないようにしてもよい。受動スイッチ330により、流体制御部166Aによって開放された弁を再閉鎖し、流体制御部166Aを停止し、凝縮器310の蒸気入口弁などの別の弁を閉じたり、さもなければ非常用復水器310をオフラインにしたりしてもよい。
【0039】
非常用復水器310が不適切、動作不能または非活性化される場合、反応器142内の圧力は、冷却または凝縮システムなしで再び上昇し得るが、特に反応器142(
図2)が、過渡事象により遮断弁200によって隔離される場合である。最終的には、圧力は、流体制御弁166Bのより高い設定値まで上昇し、非常用復水器320を作動させ、圧力解放および冷却を提供する。この設定は、任意の数繰り返してもよく、あるいは様々な任意の数、所望の圧力設定値について、独立して動作可能な流体制御166によるものとしてもよい。それにより、抑制され、冗長な量の熱除去および凝縮を反応器142に提供する。
【0040】
図4に示すように、圧力パルス送信器167は、反応器流体ライン144を介して反応器142と接続される。圧力パルス送信器167は、同様に、1つまたはすべての非常用復水器310、320等を作動させることができる。圧力パルス送信器167は、反応器142内の水位を検出し、分離弁200を含む任意の弁を開放及び/又は閉鎖し、非常用復水器310及び/又は320を作動させ、反応器142を主蒸気ライン125から隔離し、反応器142を主給水ライン120等から隔離する受動的機器である。圧力パルス送信機167は、AREVAによるパッシブ圧力パルス送信機の送信機に記載されたタイプであってもよく、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、または別の既知のタイプの圧力パルス送信機であってもよい。
【0041】
圧力パルス送信器167は、圧力の代わりに反応器142内の水位に基づいて弁を作動させてもよい。したがって、圧力パルス送信機167は、安全機能をトリガするために、反応器の機能性および安全性の代替的かつ独立した計量を提供することができる。例えば、圧力パルス送信器167は、原子炉心又は燃料の頂部に接近する異常水位を検出することができ、その時点で、全ての絶縁凝縮器310、320等、これに関連する弁を開くことによって作動させることができる。あるいは、例えば、圧力パルス送信機167は、第1の低原子炉冷却剤レベルでの非常用復水器310、第2のより低い原子炉冷却剤レベルでの非常用復水器320などのシステムを選択的に作動または遮断するように、いくつかの水位設定値で構成されてもよい。さらに、圧力パルス送信器167は、非常用復水器310、320等、を不活性化してもよい。または、高い原子炉冷却剤レベルの検出時に復水戻りライン163または蒸気入口162上のICSバルブを遮断する。
【0042】
図4に示すように、例示的な実施形態では、流体制御166および/または圧力パルス送信機167は、非常用復水器310、320に関連する弁に加えて、主給水ライン120および/または主蒸気ライン125から反応器142を隔離する隔離弁200とインターフェースすることもできる。制御接続168は、非常用復水器、主蒸気、給水等、への流れを制御する様々な弁の動作制御を示すために使用される制御接続は、流体制御及び操作弁を有する単一の本体内に含まれてもよく、又は例えば、弁を開閉するアクチュエータライン又は他の動力式接続部であってもよいことが理解される。同様に、流体制御部166および/または圧力パルス送信機167は、制御ロジックを使用して、弁の組み合わせを選択的に開閉して、プラントを所望の構成にすることができる。例えば、IC 300の作動とともに、主給水120および主蒸気出口125のための隔離弁200を閉じて、単一の流体制御166 Aまたは送信機167によって反応器142を隔離することができる。あるいは、異なる流体制御装置166は、検出された圧力の悪化に基づいて、反応器SCRAMおよび/または主タービントリップをトリガすることを含む異なる構成でプラントを配置してもよい。
【0043】
したがって、例示的な実施形態および方法が説明されるが、例示的な実施形態は、以下の特許請求の範囲内に依然として含まれながら、ルーチン実験を通じて変更および置換され得ることを、当業者は理解されよう。例えば、様々な異なる冷却剤および燃料タイプは、例示的な実施形態および方法に単に例示的な実施形態の適切な動作および燃料供給を介して適合し、特許請求の範囲に含まれる。そのような変形は、これらの特許請求の範囲から逸脱するものと見なされるべきではない。