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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059948
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】自動走行システム及び自動走行方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240423BHJP
   G05D 1/648 20240101ALI20240423BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G05D1/43
G05D1/648
A01B69/00 301
A01B69/00 303M
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031954
(22)【出願日】2024-03-04
(62)【分割の表示】P 2022115170の分割
【原出願日】2019-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】西井 康人
(57)【要約】
【課題】同じ圃場に対して複数の走行経路が設定された場合でも、複数の走行経路の位置調整が不要であり、かつ、複数の走行経路を効率的に管理できる構成を提供する。
【解決手段】自動走行システムは、制御部と、表示制御部と、を備える。制御部は、直線経路及び旋回経路を含む第1走行経路に沿って作業車両を自動走行させる第1モードと、直線経路のみで構成される第2走行経路に沿って作業車両を自動走行させる第2モードと、を変更可能である。表示制御部は、第1モードにおいて作業車両が行った作業の作業履歴と、第2モードにおいて作業車両が行った作業の作業履歴との少なくとも一方を表示部73に表示させる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線経路及び旋回経路を含む第1走行経路に沿って作業車両を自動走行させる第1モードと、直線経路のみで構成される第2走行経路に沿って前記作業車両を自動走行させる第2モードと、を変更可能な制御部と、
前記第1モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴と、前記第2モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴との少なくとも一方を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える自動走行システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記第1モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴と、前記第2モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴と、を併合して前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の自動走行システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1モードで前記作業車両を自動走行させた後に前記第2モードで前記作業車両を自動走行させることが可能であり、
前記表示制御部は、前記第2モードで自動走行中も前記第1モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の自動走行システム。
【請求項4】
直線経路及び旋回経路を含む第1走行経路に沿って作業車両を自動走行させる第1モードと、直線経路のみで構成される第2走行経路に沿って前記作業車両を自動走行させる第2モードと、を変更することと、
前記第1モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴と、前記第2モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴との少なくとも一方を表示部に表示させることと、
を有する自動走行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、作業車両を走行経路に沿って自動走行させる自動走行システム及び自動走行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行システムを用いて作業車両を自律的に走行させるためには、事前に走行経路を作成する必要がある。特許文献1には、圃場内の2点をオペレータが指定することで、これらの2点を通る基準線を延長した直線経路を作成し、この直線経路を並べて配置して走行経路(旋回を含まない走行経路)を作成する方法が開示されている。特許文献2には、圃場の作業領域に配置された直線経路と、直線経路同士を接続する旋回経路と、を含む走行経路(旋回を含む走行経路)を作成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4948098号公報
【特許文献2】特開2017-211734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、圃場の形状及びオペレータの要望等の様々な事情により、旋回を含まない走行経路と旋回を含む走行経路の両方が同じ圃場に対して作成されることがある。また、これらの走行経路の位置(詳細には直線経路の位置)が合っていない場合、走行経路の位置を調整する必要がある。また、これらの走行経路は同じ圃場に対して作成されているため、効率的に管理されることが望ましい。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、同じ圃場に対して複数の走行経路が設定された場合でも、複数の走行経路の位置調整が不要であり、かつ、複数の走行経路を効率的に管理できる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る自動走行システムは、制御部と、表示制御部と、を備える。前記制御部は、直線経路及び旋回経路を含む第1走行経路に沿って作業車両を自動走行させる第1モードと、直線経路のみで構成される第2走行経路に沿って前記作業車両を自動走行させる第2モードと、を変更可能である。前記表示制御部は、前記第1モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴と、前記第2モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴との少なくとも一方を表示部に表示させる。
【0007】
一態様に係る自動走行方法は、直線経路及び旋回経路を含む第1走行経路に沿って作業車両を自動走行させる第1モードと、直線経路のみで構成される第2走行経路に沿って前記作業車両を自動走行させる第2モードと、を変更することと、前記第1モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴と、前記第2モードにおいて前記作業車両が行った作業の作業履歴との少なくとも一方を表示部に表示させることと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る領域登録システムに備えられる田植機の側面図。
図2】田植機の平面図。
図3】田植機及び無線通信端末のブロック図。
図4】第1走行経路を示す図。
図5】第2走行経路を示す図。
図6】第1走行経路及び第2走行経路の一方から他方を作成する処理を示す図。
図7】第1走行経路の作成時に行われる処理を示すフローチャート。
図8】第2走行経路の作成時に行われる処理を示すフローチャート。
図9】第1走行経路と第2走行経路を切り替えて作業を行うことが想定される圃場の形状を示す図。
図10】自律走行に関する処理を示すフローチャート。
図11】モードの切替えの前後に無線通信端末に表示される画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る圃場作業システムで使用される田植機1の側面図である。図2は、田植機1の平面図である。図3は、田植機1及び無線通信端末7のブロック図である。
【0010】
本実施形態の自律走行システム100は、圃場において作業を行う作業車両として田植機1を使用し、オペレータが無線通信端末7等を用いて指示を行うことで、この田植機1に自律走行させつつ、田植機1に作業(苗の植付作業)を行わせるものである。なお、本発明における圃場作用機は、田植機1に限定されるものではなく、例えば、播種機、トラクタ、コンバイン等を使用することができる。
【0011】
自律走行とは、田植機1が備える制御部により走行に関する装置が制御されることで、予め定められた経路に沿うように少なくとも操舵が自律的に行われることを意味する。また、操舵に加え、車速又は作業機による作業等が自律的に行われる構成であってもよい。自律走行には、田植機1に人が乗っている場合と、田植機1に人が乗っていない場合が含まれる。
【0012】
図1及び図2に示すように、田植機1は、車体部11と、前輪12と、後輪13と、植付部14と、を備えている。前輪12及び後輪13は、それぞれ、車体部11に対して左右1対で設けられている。
【0013】
車体部11は、ボンネット21を備えている。ボンネット21は、車体部11の前部に設けられている。ボンネット21の内部には、エンジン22が設けられている。
【0014】
エンジン22が発生させた動力は、ミッションケース23を介して前輪12及び後輪13に伝達される。この動力は、ミッションケース23と、車体部11の後部に配置されたPTO軸24と、を介して、植付部14にも伝達される。
【0015】
車体部11は、運転座席25と、複数の操作部材と、を更に備えている。運転座席25には、オペレータが座ることができる。運転座席25は、車体部11の前後方向において前輪12と後輪13の間に配置されている。複数の操作部材は、操舵ハンドル26と、変速操作ペダル27と、植付クラッチレバー30と、を有している。
【0016】
操舵ハンドル26を操作することにより、田植機1を操舵することができる。変速操作ペダル27を操作することにより、田植機1の走行速度(車速)を調節することができる。植付クラッチレバー30を操作することにより、植付クラッチがPTO軸24(即ち植付部14)へ動力を伝達する伝達状態と、植付クラッチがPTO軸24(即ち植付部14)へ動力を伝達しない遮断状態と、を切り替えることができる。
【0017】
植付部14は、車体部11の後方に配置されている。植付部14は、昇降リンク機構31を介して車体部11に連結されている。昇降リンク機構31は、トップリンク31a及びロワーリンク31bを含む平行リンクにより構成されている。
【0018】
昇降リンク機構31において、ロワーリンク31bには、昇降装置の昇降シリンダ32が連結されている。前記昇降装置は、昇降シリンダ32を伸縮させることによって、植付部14を車体部11に対して上下に昇降させることができる。なお、昇降シリンダ32は、本実施形態においては油圧シリンダとしているが、電動シリンダとしてもよい。また、前記昇降装置は、シリンダ以外のアクチュエータにより植付部14を昇降させるものであってもよい。
【0019】
植付部14は、植付入力ケース部33と、複数の植付ユニット34と、苗載台35と、複数のフロート36と、予備苗台37と、を備えている。植付部14は、各植付ユニット34に対して苗を苗載台35から順次供給し、苗の植付けを連続的に行うことができる。
【0020】
各植付ユニット34は、植付伝動ケース部41と、回転ケース部42と、を有している。植付伝動ケース部41には、PTO軸24及び植付入力ケース部33を介して動力が伝達される。
【0021】
回転ケース部42は、植付伝動ケース部41に回転可能に取り付けられている。回転ケース部42は、植付伝動ケース部41の車幅方向の両側に配置されている。各回転ケース部42の一側には、2つの植付爪43が取り付けられている。
【0022】
2つの植付爪43は、田植機1の進行方向に並べられている。2つの植付爪43は、回転ケース部42の回転に伴い変位する。2つの植付爪43が変位することにより、1条分の苗の植付が行われる。
【0023】
苗載台35は、複数の植付ユニット34の前上方に配置されている。苗載台35は、苗マットを載置可能である。苗載台35は、当該苗載台35に載置された苗マットの苗を各植付ユニット34に対して供給できるように構成されている。
【0024】
具体的には、苗載台35は、車幅方向に往復するように横送り移動可能に(横方向にスライド可能に)構成されている。また、苗載台35は、当該苗載台35の往復移動端で苗マットを間欠的に下方に縦送り搬送可能に構成されている。
【0025】
フロート36は、植付部14の下部に揺動可能に設けられている。フロート36は、植付部14の植付姿勢を圃場表面に対して安定させるために、当該フロート36の下面を圃場表面に接触させることができる。
【0026】
予備苗台37は、車体部11に対して左右1対で設けられている。予備苗台37は、ボンネット21の車幅方向外側に配置されている。予備苗台37は、予備のマット苗を収容した苗箱を搭載可能である。
【0027】
左右1対の予備苗台37の上部同士は、上下方向及び車幅方向に延びる連結フレーム28によって連結されている。連結フレーム28の車幅方向の中央に、筐体29が設けられている。筐体29の内部には、測位アンテナ61と、慣性計測装置62と、通信アンテナ63と、が設けられている。
【0028】
測位アンテナ61は、衛星測位システム(GNSS)を構成する測位衛星からの電波を受信することができる。この電波に基づいて公知の測位計算が行われることにより、田植機1の位置を取得することができる。
【0029】
慣性計測装置62は、3つのジャイロセンサ(角速度センサ)と、3つの加速度センサと、を有している。慣性計測装置62が検出する田植機1の角速度及び加速度が補助的に用いられることによって、田植機1の測位結果の精度が高められる。
【0030】
通信アンテナ63は、図3に示す無線通信端末7と無線通信を行うためのアンテナである。
【0031】
図3に示すように、制御部50は、図示しない演算装置、記憶装置、及び入出力部等を備える。記憶装置には、各種のプログラム及びデータ等が記憶されている。演算装置は、各種のプログラムを記憶装置から読み出して実行することができる。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、制御部50を、走行制御部51及び作業機制御部52として動作させることができる。制御部50は、1つのハードウェアであってもよいし、互いに通信可能な複数のハードウェアであってもよい。また、制御部50には、上記の慣性計測装置62に加え、位置取得部64と、通信処理部65と、車速センサ66と、舵角センサ67と、植付クラッチセンサ68と、が接続されている。
【0032】
位置取得部64は、測位アンテナ61に電気的に接続されている。位置取得部64は、測位アンテナ61が受信した測位信号から、田植機1の位置を例えば緯度及び経度の情報として取得する。位置取得部64は、図示しない基準局からの測位信号を適宜の方法で受信した上で、公知のGNSS-RTK法を利用して測位を行う。しかしながら、これに代えて、例えばディファレンシャルGNSSを用いた測位、又は単独測位等が行われてもよい。あるいは、無線LAN等の電波強度に基づく位置取得又は慣性航法による位置取得等が行われてもよい。
【0033】
通信処理部65は、通信アンテナ63に電気的に接続されている。この通信処理部65は、適宜の方式で変調処理又は復調処理を行って、無線通信端末7との間でデータの送受信を行うことができる。
【0034】
車速センサ66は、田植機1の車速を検出することができる。車速センサ66は、田植機1の適宜の位置、例えば前輪12の車軸に設けられる。この場合、車速センサ66は、前輪12の車軸の回転に応じたパルスを発生させる。車速センサ66で得られた検出結果のデータは、制御部50へ出力される。
【0035】
舵角センサ67は、前輪12の舵角を検出することができる。舵角センサ67は、田植機1の適宜の位置、例えば前輪12に設けられた図示しないキングピンに設けられる。なお、舵角センサ67は、操舵ハンドル26に設けられてもよい。舵角センサ67で得られた検出結果のデータは、制御部50へ出力される。
【0036】
植付クラッチセンサ68は、上記の植付クラッチレバー30の動作位置を検出するセンサである。植付クラッチセンサ68の検出結果は制御部50へ出力される。制御部50は、植付クラッチセンサ68の検出結果に基づいて、植付作業を行っているか否かを特定できる。植付クラッチセンサ68で得られた検出結果のデータは、制御部50へ出力される。
【0037】
走行制御部51は、田植機1の走行に関する自動制御を行うことができる。例えば、走行制御部51は、車速制御及び操舵制御を行うことができる。走行制御部51は、車速制御及び操舵制御の両方を同時に行ってもよいし、操舵制御のみを行うようにしてもよい。後者の場合、田植機1の車速は、オペレータが変速操作ペダル27を用いて操作する。
【0038】
車速制御では、予め定められた条件に基づいて田植機1の車速が調整される。車速制御は、具体的には、走行制御部51が、車速センサ66の検出結果により得られた現在の車速を目標の車速に近づける制御を行う。この制御は、ミッションケース23内の変速装置の変速比、及び、エンジン22の回転速度のうち、少なくとも一方を変更することにより実現される。なお、この車速制御は、田植機1が停止するように車速をゼロにする制御も含む。
【0039】
操舵制御とは、予め定められた条件に基づいて田植機1の舵角を調整する制御である。操舵制御は、具体的には、走行制御部51が、舵角センサ67の検出結果により得られた現在の舵角を目標の舵角に近づける制御を行う。この制御は、例えば、操舵ハンドル26の回転軸に設けられた操舵アクチュエータを駆動することにより実現される。なお、操舵制御に関しては、走行制御部51が、操舵ハンドル26の回動角度ではなく、田植機1の前輪12の操舵角を直接調整してもよい。
【0040】
作業機制御部52は、予め定められた条件に基づいて植付部14の動作(昇降動作又は植付作業等)を制御可能である。
【0041】
無線通信端末7は、タブレット端末であり、通信アンテナ71と、通信処理部72と、表示部73と、操作部74と、制御部80と、を備える。なお、無線通信端末7はタブレット端末に限るものではなく、スマートフォン又はノートパソコンであってもよい。無線通信端末7は、後述のように田植機1の自律走行に関する様々な処理を行うが、これらの処理の少なくとも一部を田植機1の制御部50が行うこともできる。逆に、田植機1の制御部50が行う自律走行に関する様々な処理の少なくとも一部を無線通信端末7が行うこともできる。
【0042】
通信アンテナ71は、田植機1と無線通信を行うための近距離通信用のアンテナと、携帯電話回線及びインターネットを利用した通信を行うための携帯通信用アンテナと、を含んで構成されている。通信処理部72は、通信アンテナ71に電気的に接続されている。通信処理部72は、適宜の方式で変調処理又は復調処理を行って、無線通信端末7又は他の機器との間でデータの送受信を行うことができる。従って、例えば制御部50又は制御部80に記憶される情報の一部を外部のサーバに記憶させることもできる。
【0043】
表示部73は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、画像を表示可能に構成されている。表示部73は、例えば、自律走行に関する情報、田植機1の設定に関する情報、各種センサの検出結果、及び警告情報等を表示することができる。操作部74は、タッチパネルと、ハードウェアキーと、を含んでいる。タッチパネルは、表示部73に重ねて配置されており、オペレータの指等による操作を検出可能である。ハードウェアキーは、無線通信端末7の筐体の側面又は表示部73の周囲等に配置されており、オペレータが押圧することで操作可能である。なお、無線通信端末7は、タッチパネルとハードウェアキーの何れか一方のみを備える構成であってもよい。
【0044】
制御部80は、図示しない演算装置、記憶装置、及び入出力部等を備える。記憶装置には、各種のプログラム及びデータ等が記憶されている。演算装置は、各種のプログラムを記憶装置から読み出して実行することができる。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、制御部80を、記憶部81、第1走行経路作成部82、第2走行経路作成部83、連動経路作成部84、表示制御部85、及び経路選択部86として動作させることができる。制御部80の各部が行う処理は後述する。
【0045】
次に、図4及び図5を参照して、圃場及び自律走行用の走行経路について説明する。圃場には、作業領域と枕地領域とが含まれている。作業領域は圃場の中央部に位置しており、作業を行うための領域である。枕地領域は、作業領域の外側に位置しており、作業領域で適切に作業を行うために使用される領域である。例えば、枕地領域は、圃場に進入した田植機1を作業領域での作業の開始位置に移動させるために用いられる。更に、枕地領域は、田植機1を旋回させるための領域としても用いられる。
【0046】
圃場の位置及び形状は、田植機1を圃場の外周に沿って走行させた際の位置情報の推移に基づいて作成されている。なお、田植機1を実際に走行させずに、例えば表示部73に表示された地図上でユーザが範囲を指定することで、圃場の位置及び形状が作成されてもよい。また、本実施形態では圃場に関する情報は無線通信端末7に記憶されているが、上述したサーバに記憶されていてもよい。この場合、無線通信端末7は、このサーバから圃場に関する情報を取得する。
【0047】
本実施形態では、田植機1を自律走行させるための走行経路として、第1走行経路91と、第2走行経路92と、が作成される。以下では、第1走行経路91と第2走行経路92を合わせて「走行経路」と称することがある。初めに、第1走行経路91について説明する。第1走行経路91は、第1走行経路作成部82又は連動経路作成部84によって作成される。図4に示すように、第1走行経路91は、複数の第1直線経路91a及び複数の旋回経路91bを含んで構成されている。また、第1走行経路91には、開始位置(図4のS)と、終了位置(図4のG)と、が設定される。
【0048】
第1直線経路91aは、直線状の経路であり、例えば圃場又は作業領域の輪郭の一辺(例えば短辺)に平行である。第1直線経路91aは圃場内に収まるように作成される。なお、本実施形態では、第1直線経路91aは、作業領域内に収まるように作成されてもよいし、作業領域から僅かにハミ出すように作成されてもよい。第1直線経路91aは、田植機1が作業領域を直線移動するための経路であるため、少なくとも一部が作業領域と重なるように作成される。第1直線経路91aの配置間隔は、例えば作業幅、オーバーラップ長さ(隣接する作業範囲を車幅方向にどの程度重複させるかを示す長さ)、及び作業間隔(隣接する作業範囲を車幅方向にどの程度の間隔を空けるかを示す長さ)等に基づいて決定される。
【0049】
旋回経路91bは、第1直線経路91a同士を接続する経路である。本実施形態では、旋回経路91bは、隣接する第1直線経路91a同士を接続するが、更に離れた第1直線経路91a同士を接続してもよい。また、本実施形態の旋回経路91bは、田植機1に180度の旋回を行わせることで、田植機1を反転させて次の第1直線経路91aに到達させる経路である。これに代えて、旋回経路91bは、田植機1に90度の旋回を行わせた後に後退させて、その後に前進させて更に90度の旋回を行わせることで田植機1を反転させることで、次の第1直線経路91aに到達させる経路(いわゆるフィッシュテールターンを行う経路)であってもよい。このように、第1走行経路作成部82は、開始位置、終了位置、圃場の位置、作業領域の位置、第1直線経路91aの配置間隔、及び旋回方法に基づいて第1走行経路91を作成する。なお、これらの条件の少なくとも1つを省略してもよいし、他の条件を追加してもよい。
【0050】
次に、第2走行経路92について説明する。第2走行経路92は、第2走行経路作成部83又は連動経路作成部84によって作成される。図5に示すように、第2走行経路92は、複数の第2直線経路92aで構成されている。第2走行経路92は、直線部分のみを自律走行させることを目的とした経路である。旋回については、オペレータが意図したタイミングで手動で(操舵ハンドル26を操作することで)行われる。また、第2走行経路92には、開始位置と終了位置は設定されない。以下では、第1直線経路91aと第2直線経路92aとを合わせて単に「直線経路」と称することがある。
【0051】
第2直線経路92aは、直線状の経路であり、第1直線経路91aと同様、例えば圃場又は作業領域の輪郭の一辺(例えば短辺)に平行である。本実施形態の第2直線経路92aは、圃場からハミ出すように作成されているが、圃場内のみに作成されていてもよい。第2直線経路92aの間隔は、第1直線経路91aと同様の基準で定められる。第2直線経路92aが作成される本数は特に限定されない。本実施形態の第2直線経路92aは、圃場と全く重ならない位置にも作成されているが、圃場と重なる位置にのみ作成されていてもよい。第2走行経路作成部83は、例えばオペレータが指定した2つの位置を接続することで線分を作成し、その線分を延長するとともに、上記の配置間隔で並べることで第2走行経路92を作成する。
【0052】
連動経路作成部84は、第1走行経路作成部82による第1走行経路91の作成に連動して第2走行経路92を作成する第1連動機能を有する。更に、連動経路作成部84は、第2走行経路作成部83による第2走行経路92の作成に連動して第1走行経路91を作成する第2連動機能を有する。なお、第1連動機能及び第2連動機能は、個別に有効/無効の設定ができるように構成されている。
【0053】
初めに、第1連動機能について説明する。第1連動機能が有効である場合、連動経路作成部84は、図6に示すように、第1走行経路91から1本の第1直線経路91aを抽出する(図5の中央の図)。本実施形態では、開始位置を含む1本の第1直線経路91aが抽出されるが、他の第1直線経路91aが抽出されてもよい。次に、連動経路作成部84は、抽出した第1直線経路91aを延長して第2直線経路92aを作成する。
【0054】
最後に、連動経路作成部84は、第2直線経路92aを第1直線経路91aと同じ配置間隔で更に作成する。このようにして、連動経路作成部84は、第2走行経路92を作成する。この方法で第2走行経路92を作成することで、第1直線経路91aと、第2直線経路92aと、が重なる(直線経路の位置が一致する)。
【0055】
なお、第2直線経路92aの長さは、固定値であってもよいし、該当する圃場の大きさに応じて定められた値であってもよい。また、第2直線経路92aを配置する本数は、固定値であってもよいし、該当する圃場の大きさに応じて定められた値であってもよい。
【0056】
次に、第2連動機能について説明する。第2連動機能が有効である場合、連動経路作成部84は、図5に示すように、第2走行経路92の第2直線経路92aから、作業領域と重なるものであって、かつ、最も端に配置されているものを抽出する。そして、連動経路作成部84は、作業領域の大きさに基づいて第2直線経路92aの長さを調整する(短くする)ことで、第1直線経路91aを作成する(図5の中央の図)。なお、圃場及び作業領域等が登録されていない場合、第2走行経路92が作成できない。従って、連動経路作成部84は、その旨を表示部73に表示する。
【0057】
次に、連動経路作成部84は、第2直線経路92aと同じ配置間隔で、作業領域と重なる範囲に第1直線経路91aを並べて配置する。最後に、連動経路作成部84は、開始位置、終了位置、及び旋回方法等に基づいて、旋回経路91bを作成する。なお、連動経路作成部84は、これらの条件が予め設定されている場合は、その設定を用いる。連動経路作成部84は、必要な条件が欠けている場合は、必要な条件をオペレータに入力させるための画面を表示する。
【0058】
第1連動機能及び第2連動機能による走行経路の作成方法は一例であり、上記と異なる方法で走行経路を作成してもよい。
【0059】
次に、第1走行経路作成部82、第2走行経路作成部83、及び連動経路作成部84が走行経路を作成する際の流れについて図7及び図8を参照して簡単に説明する。図7は、第1走行経路91の作成時に行われる処理を示すフローチャートである。図8は、第2走行経路92の作成時に行われる処理を示すフローチャートである。
【0060】
第1走行経路91は、オペレータによる第1走行経路の作成指示があった場合(S101)、上述した方法で第1走行経路91を作成する(S102)。次に、連動経路作成部84は、第1連動機能が有効か無効かを判定する(S103)。第1連動機能が無効である場合、記憶部81は、第1走行経路作成部82が作成した第1走行経路91を圃場に関連付けて記憶する(S104)。「圃場に関連付けて記憶」とは、例えば圃場の識別情報と、走行経路の識別情報と、を対応付けて記憶することである。第1連動機能が有効である場合、連動経路作成部84は、上述したように、第1走行経路91を用いて第2走行経路92を作成する(S105)。次に、第1走行経路91及び第2走行経路92の両方が圃場に関連付けられて記憶部81に記憶される(S106)。
【0061】
なお、本実施形態では、第1連動機能の有効/無効は事前に設定しておく構成である。これに代えて又は加えて、第1走行経路の作成時に、第1連動機能の有効/無効を選択できる構成であってもよい。例えば、第1走行経路の作成画面において、第2走行経路を同時に作成する旨のチェックボックスを設けてもよい。オペレータがこのチェックボックスにチェックを入れることで、第1連動機能が有効となる。また、第1走行経路91に連動して第2走行経路92を作成したことは、表示部73に表示してもよいし、表示しなくてもよい。
【0062】
図8には、図7とは逆に、第2走行経路92の作成指示があった場合の処理が示されている。図8のS201からS206の処理は、図7のS101からS106の処理と対応しており、第1と第2を入れ替えただけであるため、説明を省略する。また、第1連動機能に関する変形例は、第2連動機能に対しても適用可能である。
【0063】
次に、図9から図11を参照して、走行経路の切替えについて説明する。初めに、図9を参照して、走行経路を切り替える必要が生じる状況の一例について説明する。図9は、第1走行経路91と第2走行経路92を切り替えて作業を行うことが想定される圃場の形状を示す図である。
【0064】
図9に示す圃場は台形状であり、それに伴って作業領域も台形状である。図9に示す例では、作業領域の左側の輪郭に対して右側の輪郭が傾斜している。また、作業領域の左側に平行な第1直線経路91aが作成されている。そのため、作業領域の右端近傍において、第1直線経路91aと、作業領域の右側の輪郭(斜辺)と、が交差する。その結果、経路と作業領域がなす角が90度から大きく離れる。また、第1走行経路91が圃場の端部に近づくことになる。そのため、図9に2点鎖線で示す部分は自律走行用の経路としては設定できないことがある。従って、この2点鎖線で示す部分は、第2走行経路92を用いて走行することとなる。
【0065】
なお、圃場及び作業領域の形状が台形以外であっても、第1走行経路91と第2走行経路92を切り替える必要が生じることがある。ここで、第1走行経路91は、田植機1を確実に旋回させるために余裕を持った位置に(例えば圃場の端部又は障害物等から十分離れた位置に)旋回経路91bが作成される。そのため、例えば圃場内に障害物がある状況で第1走行経路91を作成する場合、作業を行うことができる範囲が狭くなる可能性がある。そのため、障害物を迂回又は回避する部分のみについては、第2走行経路92を用いてオペレータが手動で田植機1を旋回させることが好ましい可能性がある。
【0066】
また、従来では、第1走行経路91及び第2走行経路92を作成した場合であっても、2つの走行経路が別々に管理されていた。従って、走行経路を切り替えるためには、第1走行経路91を用いた自律走行の終了後、経路の一覧等の画面を表示し、オペレータが第2走行経路92を探して選択する必要があった。また、第1走行経路91と第2走行経路92が個別に作成されていたため、通常は、第1直線経路91aと第2直線経路92aの位置が合っていなかった。重複作業及び作業漏れを防止するため、第1直線経路91aと第2直線経路92aの位置を合わせる必要がある。そのため、経路の調整作業も必要となっていた。
【0067】
次に、図10及び図11を参照して、本実施形態の自律走行システム100により走行経路を切り替えて作業を行う処理の流れを説明する。図10は、自律走行に関する処理を示すフローチャートである。図11は、モードの切替えの前後に無線通信端末7に表示される画面を示す図である。また、以下では、第1走行経路91を用いて作業を行うことを第1モードと称し、第2走行経路92を用いて作業を行うことを第2モードと称する。
【0068】
初めに、オペレータは、操作部74を操作して自律走行を開始する指示を行う。制御部80は、オペレータによる自律走行の指示を受け付けると(S301)、第1モード及び第2モードの何れで作業を行うかをオペレータに選択させる画面を表示部73に表示する(S302)。本実施形態では、第1モード、第2モード等と記載されたボタンをオペレータに選択させる構成であるが、経路を表示してオペレータに選択させる構成であってもよい。
【0069】
次に、制御部80(経路選択部86)は、オペレータが選択したモードに応じた走行経路を選択する(S303)。つまり、制御部80(経路選択部86)は、オペレータが第1モードを選択した場合は第1走行経路91を選択し、オペレータが第2モードを選択した場合は第2走行経路92を選択する。制御部80は、自律走行を開始する旨の指示及び選択した経路等を田植機1へ送信することで、田植機1に自律走行を開始させる(S304)。
【0070】
自律走行の開始後、制御部80は、モード切替条件を満たすか否かを判定する(S305)。モード切替条件とは、第1モードと第2モードの切替えが実行可能な条件である。モード切替条件は、例えば、田植機1が自律走行中でないこと、田植機1と無線通信端末7が通信可能であること、同じ圃場に2以上の走行経路が関連付けて記憶されていること、異常が発生していないこと等が含まれている。
【0071】
制御部80は、モード切替条件を満たすと判定した場合、図11に示すモード切替ボタンを有効化する(S306)。例えば、モード切替条件を満たさない場合はモード切替ボタンがグレーアウトして操作不能であり、モード切替条件を満たす場合はモード切替ボタンが操作可能となる。あるいは、モード切替条件を満たす場合にのみモード切替ボタンが表示される構成であってもよい。また、自律走行に関するトップ画面にモード切替ボタンが表示されてもよいし、所定のボタンを押した場合に表示される設定画面にモード切替ボタンが表示されてもよい。
【0072】
制御部80は、モード変更の指示があるか否か(即ち、オペレータがモード切替ボタンを操作したか否か)を判定する(S307)。制御部80は、モード変更の指示があったと判定すると、再びステップS303の処理を行う。即ち、変更された走行経路が経路選択部86によって選択され、自律走行が開始される。
【0073】
このように、モード切替ボタンを用いることで、簡単な操作でモード変更を行うことができる。特に、本実施形態では2つの走行経路が関連付けて記憶されているので、同じ圃場に関連付けられている他の走行経路を自動的に検出できる。従って、オペレータが走行経路の一覧から該当する走行経路を選択する手間が不要となる。また、2つの走行経路が同じ圃場に関連付けて記憶されているので、例えばある圃場を削除した場合に、関連する2つの走行経路を一括して削除することもできる。また、ある圃場に対して作成した走行経路をまとめて表示可能となるため、走行経路の確認を容易に行うことができる。
【0074】
次に、図11を参照して、走行履歴について説明する。走行履歴とは、走行経路に沿って田植機1が走行した領域を示す。本実施形態では、田植機1が走行した領域であって、かつ、作業が行われた領域を作業履歴として管理する。従って、作業履歴は、走行履歴の一種である。作業が行われたか否かは、作業機の動作(例えば植付クラッチの動作状態)に基づいて判定される。
【0075】
従来では、第1走行経路91に沿って走行した際の作業履歴と、第2走行経路92に沿って走行した際の作業履歴と、は個別に管理されていた。しかし、両者は同じ圃場に対して行われた作業であり、統一して管理する方が好ましい。特に、田植機1では、作業履歴から残りの作業領域を計算し、必要な苗マット量を計算して準備することがある。従って、従来では、第1走行経路91の作業履歴と、第2走行経路92の作業履歴と、を照らし合わせたりして、必要な苗マット量を計算する必要があり、オペレータにとって多大な手間となっていた。
【0076】
これに対し、本実施形態では、両者の作業履歴を統一して管理可能である。また、制御部80(表示制御部85)は、走行中の走行経路と、作業履歴と、を重ね合わせて表示部73に表示することができる。図11の上側の図には、走行経路の切替前(第1走行経路91を用いた自律走行中)の作業履歴が示されている。なお、斜線が記載された領域が作業履歴である。図11の下側の図には、走行経路の切替後(第2走行経路92を用いた自律走行中)の作業履歴が示されている。図11の下側の図に示すように、走行経路の切替後であっても、走行経路の切替前の作業履歴が表示制御部85によって表示部73に表示されている。このように、本実施形態では、走行経路を切り替えても作業履歴が引き継がれるので、作業履歴を適切に管理できる。そのため、例えば必要な苗マット量を容易に計算できる。
【0077】
また、本実施形態では、走行経路ではなく圃場に関連付けて作業履歴が記憶されている。従って、例えば作業履歴を削除する処理を行った場合、第1走行経路91と第2走行経路92の何れの走行経路を用いて自律走行を行う場合であっても、この作業履歴の削除が反映される。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態の自律走行システム100は、第1走行経路作成部82と、第2走行経路作成部83と、連動経路作成部84と、記憶部81と、経路選択部86と、走行制御部51と、を備える。第1走行経路作成部82は、圃場で田植機1を走行させるための走行経路であり、間隔を空けて圃場内に収まるように配置される複数の第1直線経路91aと、第1直線経路91a同士を接続する旋回経路91bと、を含む第1走行経路91を作成可能である。第2走行経路作成部83は、圃場で田植機1を走行させるための走行経路であり、間隔を空けて配置される複数の第2直線経路92aで構成される第2走行経路92を作成可能である。連動経路作成部84は、第1走行経路作成部82による第1走行経路91の作成に連動して、少なくとも一部が第1直線経路91aと重なる第2直線経路92aを作成して第2走行経路92を作成する機能、及び、第2走行経路作成部83による第2走行経路92の作成に連動して、第2直線経路92aと重なる第1直線経路91aを含む第1走行経路91を作成する機能の少なくとも一方を有する。記憶部81は、第1走行経路作成部82又は第2走行経路作成部83が作成した走行経路と、連動経路作成部84が作成した走行経路と、を関連付けて記憶する。経路選択部86は、入力された指示に応じて、第1走行経路91又は第2走行経路92を択一的に選択する。走行制御部51は、経路選択部86が選択中の走行経路の少なくとも一部に沿って田植機1を自律走行させる。
【0079】
これにより、2つの走行経路でそれぞれの直線経路の位置が合っているため、走行経路の位置調整が不要となる。また、連動して作成された2つの走行経路が関連付けされるので、これらの走行経路の管理及び作業車両への適用等が容易となる。更に、一方の走行経路の作成時に他方の走行経路が自動的に作成されるので、走行経路を作成する手間を軽減できる。
【0080】
また、本実施形態の自律走行システム100において、第1走行経路作成部82による第1走行経路91の作成に連動して、連動経路作成部84が第2走行経路92を作成する処理には、第1走行経路91の第1直線経路91aを延長して第2直線経路92aとする処理が含まれる。
【0081】
これにより、簡単な処理で第1走行経路91から第2走行経路92を作成できる。特に、第1走行経路91の作成に必要な情報があれば、第2走行経路92が作成できるので、追加の入力等をユーザに求めることなく第2走行経路92を自動的に作成できる。
【0082】
また、本実施形態の自律走行システム100は、表示部73と、表示制御部85と、を備える。表示部73は、経路選択部86が選択中の走行経路と、田植機1の走行履歴と、を表示する。表示制御部85は、経路選択部86が選択する走行経路が切り替えられた場合は、切替前と切替後の走行履歴を併合して表示部に表示する。
【0083】
これにより、走行経路を切り替えた場合においても、圃場全体での走行履歴を簡単に把握することができる。
【0084】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0085】
上記実施形態では、連動経路作成部84は第1連動機能と第2連動機能の両方を有するが、一方のみの機能を有する構成であってもよい。
【0086】
上記実施形態では、走行経路の切替前の走行履歴と、走行経路の切替後の走行履歴と、を区別せずに同じ態様で表示するが、例えば別の色等で表示してもよい。
【0087】
<発明の付記>
本発明の観点によれば、以下の構成の自律走行システムが提供される。即ち、この自律走行システムは、第1走行経路作成部と、第2走行経路作成部と、連動経路作成部と、記憶部と、経路選択部と、走行制御部と、を備える。前記第1走行経路作成部は、圃場で作業車両を走行させるための走行経路であり、間隔を空けて圃場内に収まるように配置される複数の第1直線経路と、前記第1直線経路同士を接続する旋回経路と、を含む第1走行経路を作成可能である。前記第2走行経路作成部は、圃場で作業車両を走行させるための走行経路であり、間隔を空けて配置される複数の第2直線経路で構成される第2走行経路を作成可能である。前記連動経路作成部は、前記第1走行経路作成部による前記第1走行経路の作成に連動して、少なくとも一部が前記第1直線経路と重なる前記第2直線経路を作成して前記第2走行経路を作成する機能、及び、前記第2走行経路作成部による前記第2走行経路の作成に連動して、前記第2直線経路と重なる前記第1直線経路を含む前記第1走行経路を作成する機能の少なくとも一方を有する。前記記憶部は、前記第1走行経路作成部又は前記第2走行経路作成部が作成した走行経路と、前記連動経路作成部が作成した走行経路と、を関連付けて記憶する。前記経路選択部は、入力された指示に応じて、前記第1走行経路又は前記第2走行経路を択一的に選択する。前記走行制御部は、前記経路選択部が選択中の走行経路の少なくとも一部に沿って作業車両を自律走行させる。
【0088】
これにより、2つの走行経路でそれぞれの直線経路の位置が合っているため、走行経路の位置調整が不要となる。また、連動して作成された2つの走行経路が関連付けされるので、これらの走行経路の管理及び作業車両への適用等が容易となる。更に、一方の走行経路の作成時に他方の走行経路が自動的に作成されるので、走行経路を作成する手間を軽減できる。
【0089】
前記の自律走行システムにおいては、前記第1走行経路作成部による前記第1走行経路の作成に連動して、前記連動経路作成部が前記第2走行経路を作成する処理には、前記第1走行経路の前記第1直線経路を延長して前記第2直線経路とする処理が含まれることが好ましい。
【0090】
これにより、簡単な処理で第1走行経路から第2走行経路を作成できる。特に、第1走行経路の作成に必要な情報があれば、第2走行経路が作成できるので、追加の入力等をユーザに求めることなく第2走行経路を自動的に作成できる。
【0091】
前記の自律走行システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この自律走行システムは、表示部と、表示制御部と、を備える。前記表示部は、前記経路選択部が選択中の走行経路と、前記作業車両の走行履歴と、を表示する。前記表示制御部は、前記経路選択部が選択する走行経路が切り替えられた場合は、切替前と切替後の前記走行履歴を併合して前記表示部に表示する。
【0092】
これにより、走行経路を切り替えた場合においても、圃場全体での走行履歴を簡単に把握することができる。
【0093】
本発明の一態様に係る作業車両用システムは、走行経路作成部と、選択部と、を備える。前記走行経路作成部は、圃場で作業車両を走行させるための走行経路であり、間隔を空けて配置される複数の直線経路を作成可能に構成される。前記選択部は、2つの前記直線経路間における前記作業車両の走行態様として、自動で旋回走行する第1モードと、オペレータの操作に応じて手動で旋回走行する第2モードと、の何れかを選択する。
【符号の説明】
【0094】
1 田植機(作業車両)
50 制御部
51 走行制御部
80 制御部
100 自律走行システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11