(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059959
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】多発性骨髄腫の治療のためのCD38に対する抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240423BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240423BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20240423BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240423BHJP
C12N 5/12 20060101ALI20240423BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240423BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240423BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240423BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240423BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240423BHJP
A01K 67/0278 20240101ALI20240423BHJP
A01H 1/00 20060101ALI20240423BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240423BHJP
C07K 16/42 20060101ALI20240423BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240423BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240423BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240423BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240423BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240423BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240423BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K14/47
C12N15/63 Z
C12N5/12
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12P21/08
A01K67/0278
A01H1/00 A
C07K16/46
C07K16/42
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K47/68
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 T
G01N33/574 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024032651
(22)【出願日】2024-03-05
(62)【分割の表示】P 2022167345の分割
【原出願日】2006-03-23
(31)【優先権主張番号】PA200500429
(32)【優先日】2005-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】60/667,579
(32)【優先日】2005-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/696,163
(32)【優先日】2005-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/728,561
(32)【優先日】2005-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ウィーアス ミシェル デ
(72)【発明者】
【氏名】グラウス イヴォ
(72)【発明者】
【氏名】オプリンス ジュディス
(72)【発明者】
【氏名】パレン ポール パレン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンケル ジャン ヴァン デ
(72)【発明者】
【氏名】フュクト マーティン ヴァン
(57)【要約】
【課題】多発性骨髄腫の治療に有用な抗体医薬を提供する。
【解決手段】ヒト血液細胞、特に多発性骨髄腫等の悪性形質細胞表面に多量に発現するCD38抗原に結合する、単離されたヒトモノクローナル抗体、ならびに関連抗体に基づく組成物および分子。また、ヒト抗体を含む薬学的組成物、ならびにヒト抗体を用いるための治療法および診断法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下によってコードされるヒトCD38に結合する抗体
(i)それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(ii)それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(iii)それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;または
(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)に示されたような配列の保存的配列改変である、それらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸。
【請求項2】
配列番号:10に示されたような配列を有するVH CDR3を含むヒトCD38に結合する抗体。
【請求項3】
配列番号:5に示されたような配列を有するVL CDR3および配列番号:10に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、請求項2記載の抗体。
【請求項4】
軽鎖可変領域が配列番号:3に示されたような配列を有するVL CDR1、配列番号:4に示されたような配列を有するVL CDR2、および配列番号:5に示されたような配列を有するVL CDR3を含み、ならびに重鎖可変領域が配列番号:8に示されたような配列を有するVH CDR1、配列番号:9に示されたような配列を有するVH CDR2、および配列番号:10に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒト軽鎖可変領域ならびにヒト重鎖可変領域を含む、請求項2記載の抗体。
【請求項5】
配列番号:2に示されたようなアミノ酸配列を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項6】
配列番号:2に示されたような配列に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項7】
配列番号:7に示されたようなアミノ酸配列を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項8】
配列番号:7のVH CDR1~VH CDR3領域にわたるアミノ酸配列を含むVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項9】
配列番号:7に示されたような配列に対する、または配列番号:7のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項10】
配列番号:7に示されたような配列と比較して、または配列番号:7のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域と比較して、1~3のアミノ酸置換、欠失、または付加などの、1~5のアミノ酸置換、欠失、または付加を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項11】
請求項5で定義されたようなVL領域、および請求項7で定義されたようなVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項12】
配列番号:20に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項13】
配列番号:15に示されたような配列を有するVL CDR3、および配列番号:20に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、請求項12記載の抗体。
【請求項14】
軽鎖可変領域が配列番号:13に示されたような配列を有するVL CDR1、配列番号:14に示されたような配列を有するVL CDR2、および配列番号:15に示されたような配列を有するVL CDR3を含み、ならびに重鎖可変領域が配列番号:18に示されたような配列を有するVH CDR1、配列番号:19に示されたような配列を有するVH CDR2、および配列番号:20に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒト軽鎖可変領域ならびにヒト重鎖可変領域を含む、請求項12記載の抗体。
【請求項15】
配列番号:12に示されたようなアミノ酸配列を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項16】
配列番号:12による配列に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項17】
配列番号:17に示されたようなアミノ酸配列を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項18】
配列番号:17のVH CDR1~VH CDR3領域にわたるアミノ酸配列を含むVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項19】
配列番号:17に示されたような配列に対する、または配列番号:17のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項20】
配列番号:17に示されたような配列と比較して、または配列番号:17のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域と比較して、1~3のアミノ酸置換、欠失、または付加などの、1~5のアミノ酸置換、欠失、または付加を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項21】
請求項15で定義されたようなVL領域、および請求項17で定義されたようなVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項22】
配列番号:30で示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項23】
配列番号:25に示されたような配列を有するVL CDR3、および配列番号:30に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、請求項22記載の抗体。
【請求項24】
軽鎖可変領域が配列番号:23に示されたような配列を有するVL CDR1、配列番号:24に示されたような配列を有するVL CDR2、および配列番号:25に示されたような配列を有するVL CDR3を含み、ならびに重鎖可変領域が配列番号:28に示されたような配列を有するVH CDR1、配列番号:29に示されたような配列を有するVH CDR2、および配列番号:30に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒト軽鎖可変領域ならびにヒト重鎖可変領域を含む、請求項22記載の抗体。
【請求項25】
配列番号:22に示されたようなアミノ酸配列を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項26】
配列番号:22による配列に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項27】
配列番号:27に示されたようなアミノ酸配列を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項28】
配列番号:27のVH CDR1~VH CDR3領域にわたるアミノ酸配列を含むVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項29】
配列番号:27による配列に対する、または配列番号:27のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項30】
配列番号:27に示されたような配列と、または配列番号:27のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域と比較して、1~3のアミノ酸置換、欠失、または付加などの、1~5のアミノ酸置換、欠失、または付加を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項31】
請求項25で定義されたようなVL領域、および請求項27で定義されたようなVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体。
【請求項32】
ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、および
それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合しない、
ペプチド。
【請求項33】
位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満、5%未満、または1%未満などの、50%未満である、請求項32記載のペプチド。
【請求項34】
ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、および
それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合しない、
ペプチド。
【請求項35】
位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満、5%未満、または1%未満などの、50%未満である、請求項34記載のペプチド。
【請求項36】
それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する、請求項32~35のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項37】
位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の75%~125%に相当する、請求項36記載のペプチド。
【請求項38】
以下の結合特徴を保有する、ヒトCD38(配列番号:31)に結合するペプチド:(i)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合し、(ii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合し、および(iii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する。
【請求項39】
以下の結合特徴を保有する、ヒトCD38(配列番号:31)に結合するペプチド:(i)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合せず、(ii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合せず、(iii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する。
【請求項40】
本明細書の実施例17に記載されたようなELISAの使用によってEC50を決定する、請求項33、35、または37のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項41】
CD38との結合について、請求項1(i)記載の抗体と競合するペプチド。
【請求項42】
本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって競合を決定し、吸収によって、または本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断(cross-blocking)測定の使用によって評価されるような少なくとも90%のシグナルによって競合を定義し、蛍光によって評価されるような少なくとも90%のシグナルによって競合を定義する、請求項41記載のペプチド。
【請求項43】
エピトープが請求項1記載の抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合するペプチド。
【請求項44】
ヒトCD38(配列番号:31)の領域SKRNIQFSCKNIYRおよび領域EKVQTLEAWVIHGGに特異的に結合するペプチド。
【請求項45】
請求項1記載の抗体と実質的に同じヒトCD38との結合に関する特異的結合特徴を有するペプチド。
【請求項46】
1つまたは複数の以下の特徴を保有する、ヒトCD38に結合するペプチド:
(i)CD38のアンタゴニストとして作用し;
(ii)本明細書の実施例18に記載された方法によって決定されるような末梢血単核細胞の有意な増殖を誘導せず;
(iii)本明細書の実施例19に記載された方法によって決定されるようなヒト単球または末梢血単核細胞による有意なIL-6の放出を誘導せず;
(iv)本明細書の実施例20に記載された方法によって決定されるようなヒトT細胞または末梢血単核細胞による検出可能なIFN-γの放出を誘導せず;
(v)本明細書の実施例12に記載された方法によって37℃で5~15分以内にCHO-CD38細胞によって内在化されるように;CD38発現細胞によって内在化され;
(vi)本明細書の実施例5に記載された方法によって決定されるような、ダウディ-luc細胞において10ng/ml以下などの、15ng/ml以下のEC50値を有し、およびMM細胞において50ng/ml、30ng/ml、または10ng/ml以下などの、75ng/ml以下のEC50値を有するような;ADCCを誘導し;
(vii)本明細書の実施例6に記載された方法によってダウディ-luc細胞またはCHO-CD38細胞において1μg/ml以下などの、5μg/ml以下のEC50値を有するような;CDCを補体の存在下で誘導し;
(viii)cGDPRの合成を阻害し;
(ix)cADPRの合成を阻害し;
(x)本明細書の実施例20に記載されたような表面プラズモン共鳴によって決定されるような、例えば、7×10-9M~10-10Mの範囲にある、10-8M~10-11Mの範囲にあるような、10-8M以下の親和性(KD)でヒトCD38と結合する。
【請求項47】
本明細書の実施例24に記載されたような分光光度法によって決定されるような、3μg/mlの濃度で90分後に少なくとも30%などの、少なくとも25%だけcGDPRの合成を阻害する、請求項46記載のペプチド。
【請求項48】
Munshi et al., J. Biol. Chem. 275, 21566-21571 (2000) に記載されたHPLC法によって決定されるような、3μg/mlの濃度で90分後に少なくとも30%などの、少なくとも25%だけcADPRの合成を阻害する、請求項46記載のペプチド。
【請求項49】
ヒトモノクローナル抗体である、請求項32~48のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項50】
それが、IgG1抗体、好ましくはIgG1、κ抗体、またはIgM抗体、好ましくはIgM、κ抗体などの、全長IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM抗体であるという点で特徴付けられる、請求項1~31、または49のいずれか一項記載の抗体。
【請求項51】
以下を含む単離されたヒトモノクローナル抗体
(i)ヒト抗体がヒトCD38に結合する、ヒトHv1263/3M28(VHI)生殖系列配列由来の重鎖可変領域アミノ酸配列およびヒトL15(VκI)生殖系列配列由来の軽鎖可変領域アミノ酸配列;または、
(ii)ヒト抗体がヒトCD38に結合する、ヒトVH3-DP-47/V3-23(VHIII)生殖系列配列由来の重鎖可変領域アミノ酸配列およびヒトL6(VκI)生殖系列配列由来の軽鎖可変領域アミノ酸配列。
【請求項52】
ペプチドが真核細胞においてグリコシル化されている、請求項1~51のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項53】
抗体断片または単鎖抗体である、請求項1~31または49~51のいずれか一項記載の抗体。
【請求項54】
放射性同位元素を付着させるためのキレート剤リンカーをさらに含む、請求項1~53のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項55】
実質的に単離された形態にある、請求項1~54のいずれか一項記載のペプチド。
【請求項56】
請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドをコードする単離された核酸。
【請求項57】
請求項1~56のいずれか一項記載のペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター。
【請求項58】
以下を含む発現ベクター
(i)配列番号:1のVLヌクレオチド配列、
(ii)配列番号:6のVHヌクレオチド配列、
(iii)配列番号:1のVLヌクレオチド配列および配列番号:6のVHヌクレオチド配列;
(iv)配列番号:11のVLヌクレオチド配列;
(v)配列番号:16のVHヌクレオチド配列;
(vi)配列番号:11のVLヌクレオチド配列および配列番号:16のVHヌクレオチド配列;
(vii)配列番号:21のVLヌクレオチド配列;
(viii)配列番号:26のVHヌクレオチド配列;または
(ix)配列番号:21のVLヌクレオチド配列および配列番号:26のVHヌクレオチド配列。
【請求項59】
ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項57または58記載の発現ベクター。
【請求項60】
ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列がIgG1抗体をコードする、請求項59記載の発現ベクター。
【請求項61】
以下を含む、ヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマ
(i)それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖およびヒト重鎖核酸;
(ii)それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(iii)それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;または
(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)に示されたような配列の保存的配列改変である、それらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸。
【請求項62】
以下を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマ
(i)配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:7に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(ii)配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(iii)配列番号:22に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:27に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;または
(iv)(i)(ii)もしくは(iii)に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列およびヒト重鎖可変アミノ酸配列の保存的配列改変。
【請求項63】
以下を含む、ヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマ
(i)それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖およびヒト重鎖核酸;
(ii)それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(iii)それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;または
(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)に示されたような配列の保存的配列改変である、それらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸。
【請求項64】
以下を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマ
(i)配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:7に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(ii)配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(iii)配列番号:22に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:27に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;または
(iv)(i)(ii)もしくは(iii)に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列およびヒト重鎖可変アミノ酸配列の保存的配列改変。
【請求項65】
請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドを産生する真核宿主細胞または原核宿主細胞。
【請求項66】
請求項57~60のいずれか一項記載の発現ベクターを含む真核宿主細胞または原核宿主細胞。
【請求項67】
検出可能な量の請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドを産生する、ヒト重鎖およびヒト軽鎖をコードする核酸を含むトランスジェニック非ヒト動物またはトランスジェニック植物。
【請求項68】
細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドを含む免疫コンジュゲート。
【請求項69】
細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した単量体IgM抗体である、請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドを含む免疫コンジュゲート。
【請求項70】
請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドおよびヒトエフェクター細胞に対する結合特異性を含む二重特異性分子または多重特異性分子。
【請求項71】
請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドおよびCD3、CD4、CD138、IL-15R、膜結合TNF-αもしくは受容体結合TNF-α、ヒトFc受容体、または膜結合IL-15もしくは受容体結合IL-15に対する結合特異性を含む二重特異性分子または多重特異性分子。
【請求項72】
請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項68もしくは69記載の免疫コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項73】
1つまたは複数のさらなる治療薬剤を含む請求項72記載の薬学的組成物。
【請求項74】
CD38を発現する細胞の成長および/または増殖を阻害する方法であって、細胞の成長および/または増殖が阻害されるように、請求項1~55のいずれか一項記載のペプチド、請求項68もしくは69記載の免疫コンジュゲート、請求項72もしくは73記載の薬学的組成物、または請求項57~60のいずれか一項記載の発現ベクターを投与する工程を含む方法。
【請求項75】
対象におけるCD38を発現する細胞が関与する疾患または障害を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、請求項1~55のいずれか一項記載のペプチド、請求項68もしくは69記載の免疫コンジュゲート、請求項72もしくは73記載の薬学的組成物、または請求項57~60のいずれか一項記載の発現ベクターを投与する工程を含む方法。
【請求項76】
対象におけるCD38を発現する細胞が関与する疾患または障害を予防する方法であって、予防を必要とする対象に、請求項1~55のいずれか一項記載のペプチド、請求項68もしくは69記載の免疫コンジュゲート、請求項72もしくは73記載の薬学的組成物、または請求項57~60のいずれか一項記載の発現ベクターを投与する工程を含む方法。
【請求項77】
疾患または障害が関節リウマチである、請求項75または76記載の方法。
【請求項78】
疾患または障害が多発性骨髄腫である、請求項75または76記載の方法。
【請求項79】
対象に1つまたは複数のさらなる治療薬剤を投与する工程を含む、請求項74~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
1つまたは複数のさらなる治療薬剤が、化学療法薬剤、抗炎症薬剤、または免疫抑圧薬剤および/もしくは免疫調整薬剤より選択される、請求項79記載の方法。
【請求項81】
1つまたは複数のさらなる治療薬剤が、シスプラチン、ゲフィチニブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、サリドマイド、パミドロネート、ゾレドロン酸、クロドロネート、リセンドロネート、イバンドロネート、エチドロネート、アレンドロネート、チルドロネート、三酸化ヒ素、レナリドマイド、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム、スベロイラニリドヒドロキサム酸、およびSCIO-469からなる群より選択される、請求項79記載の方法。
【請求項82】
試料における、CD38抗原の存在、またはCD38を発現する細胞を検出するためのインビトロ法であって、以下の工程を含む方法:
a)ペプチドとCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、試料を請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドと接触させる工程;および
b)複合体の形成を検出する工程。
【請求項83】
試料における、CD38抗原の存在、またはCD38を発現する細胞を検出するためのキットであって、請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドを含むキット。
【請求項84】
対象における、CD38抗原、またはCD38を発現する細胞を検出するためのインビボ法であって、以下の工程を含む方法:
a)ペプチドとCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、請求項1~55のいずれか一項記載のペプチドを投与する工程;および
b)形成された複合体を検出する工程。
【請求項85】
請求項1~31、49~51、または53のいずれか一項記載の抗体に結合する抗イデオタイプ抗体。
【請求項86】
試料における請求項1~31、49~51、または53のいずれか一項記載の抗体のレベルを検出するための請求項85記載の抗イデオタイプ抗体の使用。
【請求項87】
試料におけるCD38に対するヒトモノクローナル抗体のレベルを検出するための請求項85記載の抗イデオタイプ抗体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、特異的特徴を有し、およびとりわけ多発性骨髄腫を治療するために有用である、CD38に結合する抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多発性骨髄腫は、低い増殖指数および延長した寿命を有する分泌形質細胞の骨髄における潜在的な蓄積によって特徴付けられるB細胞悪性腫瘍である。本疾患は、最終的に骨および骨髄を攻撃し、骨格系全体にわたる多発性の腫瘍および病変を結果的にもたらす。
【0003】
全ての癌のおよそ1%、および全ての血液学的悪性腫瘍の10%強が、多発性骨髄腫(MM)に原因があるとすることができる。MMの発症は老人人口において増加し、診断の時点の年齢中央値は約61歳である。
【0004】
現在利用可能な多発性骨髄腫のための治療には、化学療法、幹細胞移植、サロミド(登録商標)(サリドマイド)、ベルケード(登録商標)(ボルテゾミブ)、アレディア(登録商標)(パミドロネート)、およびゾメタ(登録商標)(ゾレドロン酸)が含まれる。ビンクリスチン、BCNU、メルファラン、シクロホスファミド、アドリアマイシン、およびプレドニソンまたはデキサメタゾンなどの化学療法薬剤の組み合わせを含む、現在の治療プロトコルは、わずか約5%の完全寛解率しかもたらさず、ならびに生存中央値は診断の時点からおよそ36~48か月である。高用量の化学療法に引き続いて自己骨髄または末梢血単核細胞移植を用いる最近の進歩によって、完全寛解率および寛解持続時間が増加している。しかし、全体的な生存はわずかに延びているに過ぎず、および治癒の証拠は得られていない。最終的に、単独でまたはステロイドとの併用でインターフェロン-α(IFN-α)を用いる維持療法の下ですら、全てのMM患者が再発する。
【0005】
MMのための利用可能な化学療法治療計画の有効性は、低い細胞増殖率および多重薬物耐性の発達によって限定される。90%を上回るMM患者について、本疾患は化学耐性になる。結果として、形質細胞上の表面抗原を標的する養子免疫療法を目指した代替治療計画が模索されている。
【0006】
CD38はそのような悪性形質細胞上に発現する抗原の例であり、および多発性骨髄腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞急性リンパ球性白血病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、原発性全身性アミロイドーシス、マントル細胞リンパ腫、前リンパ球性/骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、濾胞性リンパ腫、NK細胞白血病、および形質細胞白血病を含むが、これらに制限されない、様々な悪性血液学的疾患で発現している。CD38の発現は、前立腺の腺上皮、膵臓の島細胞、耳下腺を含む、腺の管上皮、気管支上皮細胞、精巣および卵巣の細胞、ならびに結腸直腸腺腫瘍の腫瘍上皮を含む、異なる起源の上皮/内皮細胞上で報告されている。CD38発現が関与し得る、疾患には、肺の気管支上皮癌腫、(乳房の管および小葉の上皮層の悪性増殖から発展する)乳癌、b細胞(インスリノーマ)から発展する、膵臓腫瘍、消化管の上皮から発展する腫瘍(例えば、腺癌腫および扁平上皮細胞癌腫)が含まれるが、これらに制限されない。CNSにおいて、神経芽細胞腫がCD38を発現している。その他の疾患には、前立腺の癌腫、精巣の精上皮腫、および卵巣癌が含まれる。
【0007】
通常、CD38は血液細胞によって、および固形組織で発現されている。血液細胞に関しては、骨髄胸腺細胞の大部分はCD38+であり、休止および循環T細胞ならびに休止および循環B細胞はCD38-であり、ならびに活性化した細胞はCD38+である。CD38はまた、およそ80%の休止NK細胞および休止単球上に、ならびにリンパ節胚中心リンパ芽球、形質B細胞、および幾つかの濾胞内細胞上に発現している。CD38は樹状細胞によっても発現されることができる。かなりの割合の正常骨髄細胞、特定の前駆細胞が、CD38を発現している。加えて、臍帯血細胞の50~80%はCD38+であり、および人生の最初の2~3年間のヒト血液ではその状態のままである。リンパ芽球前駆細胞に加えて、CD38はまた、赤血球上および血小板上に発現している。
【0008】
固形組織に関しては、CD38は、消化管で上皮内細胞および固有層リンパ球によって、脳のプルキンエ細胞および神経原線維のもつれによって、前立腺の上皮細胞、膵臓のβ細胞、骨の破骨細胞、目の網膜細胞、ならびに平滑筋および横紋筋の筋鞘によって、発現されている。
【0009】
CD38に属するものとみなされる機能には、接着およびシグナリング事象における受容体仲介ならびに(外)酵素活性の両方が含まれる。外酵素として、CD38は、環状ADP-リボース(cADPR)およびADPRの形成だけでなく、ニコチンアミドおよびニコチン酸-アデニンジヌクレオチドリン酸(NAADP)の形成のための基質としてのNAD+を用いる。cADPRは小胞体からのCa2+動員のためのセカンドメッセンジャーとして作用することが示されている。Ca2+を介したシグナリングに加え、CD38シグナリングは、T細胞およびB細胞上の抗原-受容体複合体、またはその他の種類の受容体複合体、例えばMHC分子、とのクロストークを介して生じ、ならびにこのように幾つかの細胞応答に関与するだけでなく、IgG1のスイッチングおよび分泌にも関与している。
【0010】
抗CD38抗体は、例えばLande R, et al., Cell Immunol. 220 (1), 30-8 (2002)(非特許文献1)、Ausiello CM, et al., Tissue Antigens. 56 (6), 539-47 (2000)(非特許文献2)、およびCotner T, et al., Int J Immunopharmacol. 3 (3), 255-68 (1981)(非特許文献3)などの文献に記載されている。CD38は、CD38に結合する分子によって活性化され得、またはCD38に結合する分子によって活性化され得ない、多数の機能を有する。例えば、マウス抗CD38抗体IB4は、CD38に関するアゴニスト特性を有する。IB4は、Jurkat細胞におけるCa2+動員によって示されるようなT細胞活性化を誘導し(Zubiaur M, et al., J Immunol. 159 (1), 193-205 (1997)(非特許文献4))、末梢血単核細胞(PBMC)の有意な増殖を誘導し、有意なIL-6レベルの放出を誘導し、および検出可能なIFN-γレベルの放出を誘導する(Lande(非特許文献1)、Zubiaur Morra(非特許文献4)、Ansiello(非特許文献2) 前記)ことが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Lande R, et al., Cell Immunol. 220 (1), 30-8 (2002)
【非特許文献2】Ausiello CM, et al., Tissue Antigens. 56 (6), 539-47 (2000)
【非特許文献3】Cotner T, et al., Int J Immunopharmacol. 3 (3), 255-68 (1981)
【非特許文献4】Zubiaur M, et al., J Immunol. 159 (1), 193-205 (1997)
【発明の概要】
【0012】
本発明は、以下によってコードされるヒトCD38に結合する抗体を提供する
(i)それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(ii)それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(iii)それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;または
(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)に示されたような配列の保存的配列改変である、それらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸。
【0013】
本発明は、配列番号:10に示されたような配列を有するVH CDR3を含むヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0014】
本発明は、配列番号:5に示されたような配列を有するVL CDR3および配列番号:10に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0015】
本発明は、軽鎖可変領域が配列番号:3に示されたような配列を有するVL CDR1、配列番号:4に示されたような配列を有するVL CDR2、および配列番号:5に示されたような配列を有するVL CDR3を含み、ならびに重鎖可変領域が配列番号:8に示されたような配列を有するVH CDR1、配列番号:9に示されたような配列を有するVH CDR2、および配列番号:10に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒト軽鎖可変領域ならびにヒト重鎖可変領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0016】
本発明は、配列番号:2に示されたようなアミノ酸配列を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0017】
本発明は、配列番号:2に示されたような配列に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0018】
本発明は、配列番号:7に示されたようなアミノ酸配列を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0019】
本発明は、配列番号:7のVH CDR1~VH CDR3領域にわたるアミノ酸配列を含むVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0020】
本発明は、配列番号:7に示されたような配列に対する、または配列番号:7のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0021】
本発明は、配列番号:7に示されたような配列と比較して、または配列番号:7のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域と比較して、1~3のアミノ酸置換、欠失、または付加などの、1~5のアミノ酸置換、欠失、または付加を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0022】
本発明は、上で定義されたようなVL領域、および上で定義されたようなVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0023】
本発明は、配列番号:20に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0024】
本発明は、配列番号:15に示されたような配列を有するVL CDR3、および配列番号:20に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0025】
本発明は、軽鎖可変領域が配列番号:13に示されたような配列を有するVL CDR1、配列番号:14に示されたような配列を有するVL CDR2、および配列番号:15に示されたような配列を有するVL CDR3を含み、ならびに重鎖可変領域が配列番号:18に示されたような配列を有するVH CDR1、配列番号:19に示されたような配列を有するVH CDR2、および配列番号:20に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒト軽鎖可変領域およびヒト重鎖可変領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0026】
本発明は、配列番号:12に示されたようなアミノ酸配列を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0027】
本発明は、配列番号:12による配列に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0028】
本発明は、配列番号:17に示されたようなアミノ酸配列を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0029】
本発明は、配列番号:17のVH CDR1~VH CDR3領域にわたるアミノ酸配列を含むVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0030】
本発明は、配列番号:17に示されたような配列に対する、または配列番号:17のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0031】
本発明は、配列番号:17に示されたような配列と比較して、または配列番号:17のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域と比較して、1~3のアミノ酸置換、欠失、または付加などの、1~5のアミノ酸置換、欠失、または付加を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0032】
本発明は、上で定義されたようなVL領域、および上で定義されたようなVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0033】
本発明は、配列番号:30で示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0034】
本発明は、配列番号:25に示されたような配列を有するVL CDR3、および配列番号:30に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0035】
本発明は、軽鎖可変領域が配列番号:23に示されたような配列を有するVL CDR1、配列番号:24に示されたような配列を有するVL CDR2、および配列番号:25に示されたような配列を有するVL CDR3を含み、ならびに重鎖可変領域が配列番号:28に示されたような配列を有するVH CDR1、配列番号:29に示されたような配列を有するVH CDR2、および配列番号:30に示されたような配列を有するVH CDR3を含む、ヒト軽鎖可変領域およびヒト重鎖可変領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0036】
本発明は、配列番号:22に示されたようなアミノ酸配列を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0037】
本発明は、配列番号:22による配列に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVL領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0038】
本発明は、配列番号:27に示されたようなアミノ酸配列を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0039】
本発明は、配列番号:27のVH CDR1~VH CDR3領域にわたるアミノ酸配列を含むVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0040】
本発明は、配列番号:27による配列に対する、または配列番号:27のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域に対する少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0041】
本発明は、配列番号:27に示されたような配列と、または配列番号:27のVH CDR1~VH CDR3にわたる領域と比較して、1~3のアミノ酸置換、欠失、または付加などの、1~5のアミノ酸置換、欠失、または付加を有するVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0042】
本発明は、上で定義されたようなVL領域、および上で定義されたようなVH領域を含む、ヒトCD38に結合する抗体を提供する。
【0043】
本発明は、ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、およびそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合しないペプチドを提供する。
【0044】
本発明は、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満、5%未満、または1%未満などの、50%未満である、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0045】
本発明は、ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、およびそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合しないペプチドを提供する。
【0046】
本発明は、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満、5%未満、または1%未満などの、50%未満である、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0047】
本発明は、それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0048】
本発明は、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の75%~125%に相当する、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0049】
本発明は、以下の結合特徴を保有する、ヒトCD38(配列番号:31)に結合するペプチドを提供する。(i)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合し、(ii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合し、および(iii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する。
【0050】
本発明は、以下の結合特徴を保有する、ヒトCD38(配列番号:31)に結合するペプチドを提供する。(i)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合せず、(ii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合せず、(iii)それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する。
【0051】
本発明は、本明細書の実施例17に記載されたようなELISAの使用によってEC50を決定する、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0052】
本発明は、CD38との結合について、上の態様(i)による抗体と競合するペプチドを提供する。ある態様において、吸収によって、または本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断(cross-blocking)測定の使用によって評価されるような少なくとも90%のシグナルによって定義し、蛍光によって評価されるような少なくとも90%のシグナルによって定義する、競合を、本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって決定する。
【0053】
本発明は、そのエピトープが上で定義されたような抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合するペプチドを提供する。
【0054】
本発明は、ヒトCD38(配列番号:31)の領域SKRNIQFSCKNIYRおよび領域EKVQTLEAWVIHGGに特異的に結合するペプチドを提供する。
【0055】
本発明は、上で定義されたような抗体と実質的に同じヒトCD38との結合に関する特異的結合特徴を有するペプチドを提供する。
【0056】
本発明は、抗体が1つまたは複数の以下の特徴を保有する、CD38に結合するペプチドを提供する。
(i)CD38のアンタゴニストとして作用し;
(ii)本明細書の実施例18に記載された方法によって決定されるような末梢血単核細胞の有意な増殖を誘導せず;
(iii)本明細書の実施例19に記載された方法によって決定されるようなヒト単球または末梢血単核細胞による有意なIL-6の放出を誘導せず;
(iv)本明細書の実施例20に記載された方法によって決定されるようなヒトT細胞または末梢血単核細胞による検出可能なIFN-γの放出を誘導せず;
(v)本明細書の実施例12に記載された方法によって37℃で5~15分以内にCHO-CD38細胞によって内在化されるように;CD38発現細胞によって内在化され;
(vi)本明細書の実施例5に記載された方法によって決定されるような、ダウディ-luc細胞において10ng/ml以下などの、15ng/ml以下のEC50値を有し、およびMM細胞において50ng/ml、30ng/ml、または10ng/ml以下などの、75ng/ml以下のEC50値を有するような;ADCCを誘導し;
(vii)本明細書の実施例6に記載された方法によってダウディ-luc細胞またはCD38-CHO細胞において1μg/ml以下などの、5μg/ml以下のEC50値を有するような;CDCを補体の存在下で誘導し;
(viii)cGDPRの合成を阻害し;
(ix)cADPRの合成を阻害し;
(x)本明細書の実施例20に記載されたような表面プラズモン共鳴によって決定されるような、例えば、7×10-9M~10-10Mの範囲にある、10-8M~10-11Mの範囲にあるような、10-8M以下の親和性(KD)でヒトCD38と結合する。
【0057】
本発明は、本明細書の実施例24に記載されたような分光光度法によって決定されるような、3μg/mlの濃度で90分後に少なくとも30%などの、少なくとも25%だけcGDPRの合成を阻害する、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0058】
本発明は、Munshi et al., J. Biol. Chem. 275, 21566-21571(2000)に記載されたHPLC法によって決定されるような、3μg/mlの濃度で90分後に少なくとも30%などの、少なくとも25%だけcADPRの合成を阻害する、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0059】
ある態様において、上で定義されたようなペプチドは、ヒトモノクローナル抗体である。
【0060】
本発明は、それが、IgG1抗体、好ましくはIgG1、κ抗体、またはIgM抗体、好ましくはIgM、κ抗体などの、全長IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM抗体であるという点で特徴付けられる、上で定義されたような抗体を提供する。
【0061】
本発明は、以下を含む単離されたヒトモノクローナル抗体を提供する
(i)ヒト抗体がヒトCD38に結合する、ヒトHv1263/3M28(VHI)生殖系列配列由来の重鎖可変領域アミノ酸配列およびヒトL15(VκI)生殖系列配列由来の軽鎖可変領域アミノ酸配列;または、
(ii)ヒト抗体がヒトCD38に結合する、ヒトVH3-DP-47/V3-23(VHIII)生殖系列配列由来の重鎖可変領域アミノ酸配列およびヒトL6(VκI)生殖系列配列由来の軽鎖可変領域アミノ酸配列。
【0062】
本発明は、真核細胞においてグリコシル化されている、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0063】
ある態様において、本発明による抗体は、抗体断片または単鎖抗体である。
【0064】
本発明は、放射性同位元素を付着させるためのキレート剤リンカーをさらに含む、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0065】
本発明は、実質的に単離された形態にある、上で定義されたようなペプチドを提供する。
【0066】
本発明は、上で定義されたようなペプチドをコードする単離された核酸を提供する。
【0067】
本発明は、上で定義されたようなペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクターを提供する。
【0068】
本発明は、以下を含む発現ベクターを提供する
(i)配列番号:1のVLヌクレオチド配列、
(ii)配列番号:6のVHヌクレオチド配列、
(iii)配列番号:1のVLヌクレオチド配列および配列番号:6のVHヌクレオチド配列;
(iv)配列番号:11のVLヌクレオチド配列;
(v)配列番号:16のVHヌクレオチド配列;
(vi)配列番号:11のVLヌクレオチド配列および配列番号:16のVHヌクレオチド配列;
(vii)配列番号:21のVLヌクレオチド配列;
(viii)配列番号:26のVHヌクレオチド配列;または
(ix)配列番号:21のVLヌクレオチド配列および配列番号:26のVHヌクレオチド配列。
【0069】
本発明は、ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、上で定義されたような発現ベクターを提供する。
【0070】
本発明は、ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列がIgG1抗体をコードする、上で定義されたような発現ベクターを提供する。
【0071】
本発明は、以下を含む、ヒト軽鎖およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する
(i)それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖およびヒト重鎖核酸;
(ii)それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(iii)それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;または
(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)に示されたような配列の保存的配列改変である、それらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸。
【0072】
本発明は、以下を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する
(i)配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:7に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(ii)配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(iii)配列番号:22に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:27に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;または
(iv)(i)(ii)(iii)に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列およびヒト重鎖可変アミノ酸配列の保存的配列改変。
【0073】
本発明は、以下を含む、ヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する
(i)それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖およびヒト重鎖核酸;
(ii)それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;
(iii)それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸;または
(iv)(i)、(ii)、もしくは(iii)に示されたような配列の保存的配列改変である、それらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸。
【0074】
本発明は、以下を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する
(i)配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:7に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(ii)配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;
(iii)配列番号:22に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、および配列番号:27に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列;または
(iv)(i)(ii)もしくは(iii)に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列およびヒト重鎖可変アミノ酸配列の保存的配列改変。
【0075】
本発明は、上で定義されたようなものによるペプチドを産生する真核宿主細胞または原核宿主細胞を提供する。
【0076】
本発明は、上で定義されたような発現ベクターを含む真核宿主細胞または原核宿主細胞を提供する。
【0077】
本発明は、検出可能な量の上で定義されたようなペプチドを産生する、ヒト重鎖およびヒト軽鎖をコードする核酸を含むトランスジェニック非ヒト動物またはトランスジェニック植物を提供する。
【0078】
本発明は、細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した上で定義されたようなペプチドを含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0079】
本発明は、細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した単量体IgM抗体である、上で定義されたようなペプチドを含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0080】
本発明は、上で定義されたようなペプチドおよびヒトエフェクター細胞に対する結合特異性を含む二重特異性分子または多重特異性分子を提供する。
【0081】
本発明は、上で定義されたようなペプチドおよびCD3、CD4、CD138、IL-15R、膜結合TNF-αもしくは受容体結合TNF-α、ヒトFc受容体、または膜結合IL-15もしくは受容体結合IL-15に対する結合特異性を含む二重特異性分子または多重特異性分子を提供する。
【0082】
本発明は、上で定義されたようなペプチドまたは上で定義されたような免疫コンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0083】
本発明は、1つまたは複数のさらなる治療薬剤を含む上で定義されたような薬学的組成物を提供する。
【0084】
本発明は、CD38を発現する細胞の成長および/または増殖を阻害する方法であって、該細胞の成長および/または増殖が阻害されるように、上で定義されたようなペプチド、上で定義されたような免疫コンジュゲート、上で定義されたような薬学的組成物、または上で定義されたような発現ベクターを投与する工程を含む方法を提供する。
【0085】
本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する疾患または障害を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、上で定義されたようなペプチド、上で定義されたような免疫コンジュゲート、上で定義されたような薬学的組成物、または上で定義されたような発現ベクターを投与する工程を含む方法を提供する。
【0086】
本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する疾患または障害を予防する方法であって、予防を必要とする対象に、上で定義されたようなペプチド、上で定義されたような免疫コンジュゲート、上で定義されたような薬学的組成物、または上で定義されたような発現ベクターを投与する工程を含む方法を提供する。
【0087】
ある態様において、疾患または障害は関節リウマチである。
【0088】
ある態様において、疾患または障害は多発性骨髄腫である。
【0089】
ある態様において、方法は、対象に1つまたは複数のさらなる治療薬剤を投与する工程を含む。
【0090】
ある態様において、1つまたは複数のさらなる治療薬剤は、化学療法薬剤、抗炎症薬剤、または免疫抑圧薬剤および/もしくは免疫調整薬剤より選択される。
【0091】
ある態様において、1つまたは複数のさらなる治療薬剤は、シスプラチン、ゲフィチニブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、サリドマイド、パミドロネート、ゾレドロン酸、クロドロネート、リセンドロネート、イバンドロネート、エチドロネート、アレンドロネート、チルドロネート、三酸化ヒ素、レナリドマイド、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム、スベロイラニリドヒドロキサム酸、およびSCIO-469からなる群より選択される。
【0092】
本発明は、試料における、CD38抗原の存在、またはCD38を発現する細胞を検出するためのインビトロ法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
a)ペプチドとCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、試料を上で定義されたようなペプチドと接触させる工程;および
b)複合体の形成を検出する工程。
【0093】
本発明は、試料における、CD38抗原の存在、またはCD38を発現する細胞を検出するためのキットであって、上で定義されたようなペプチドを含むキットを提供する。
【0094】
本発明は、対象における、CD38抗原、またはCD38を発現する細胞を検出するためのインビボ法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
a)ペプチドとCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、上で定義されたようなペプチドを投与する工程;および
b)形成された複合体を検出する工程。
【0095】
本発明は、上で定義されたような抗体に結合する抗イデオタイプ抗体を提供する。
【0096】
ある態様において、抗イデオタイプ抗体を、試料における上で定義されたような抗体のレベルを検出するために使用する。
【0097】
ある態様において、抗 抗イデオタイプを、試料におけるCD38に対するヒトモノクローナル抗体のレベルを検出するために使用する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】
図1Aは、フローサイトメトリーで測定した場合の-003、-005およびアイソタイプ対照抗体HuMab-KLHのCD38トランスフェクトCHO(CHO-CD38)細胞への結合を示す。実験の仕組みは実施例4に記載されている。
図1Bは、フローサイトメトリーで測定した場合の-024およびアイソタイプ対照抗体HuMab-KLHのCD38トランスフェクトCHO(CHO-CD38)細胞への結合を示す。実験の仕組みは実施例4に記載されている。
【
図2】
図2Aは、フローサイトメトリーで測定した場合の-003、-005およびHuMab-KLHのダウディ細胞への結合を示す。実験の仕組みは実施例4に記載されている。
図2Bは、フローサイトメトリーで測定した場合の-024およびHuMab-KLHのダウディ細胞への結合を示す。実験の仕組みは実施例4に記載されている。
【
図3】フローサイトメトリーで測定した場合の-003、-005、-024およびHuMab-KLHの多発性骨髄腫細胞への結合を示す。実験の仕組みは実施例4に記載されている。
【
図4】
図4Aは、リツキシマブおよびHuMab-KLHと比較した場合の-003および-005のADCCによるダウディ細胞の溶解を誘導する能力を示す。実験の仕組みは実施例5に記載されている。
図4Bは、リツキシマブおよびHuMab-KLHと比較した場合の-024のADCCによるダウディ細胞の溶解を誘導する能力を示す。実験の仕組みは実施例5に記載されている。
【
図5】
図5Aは、HuMab-KLHと比較した場合の-003、-005、および-024のADCCによる新鮮な多発性骨髄腫腫瘍細胞の溶解を誘導する能力を示す。実験の仕組みは実施例5に記載されている。
図5Bは、HuMab-KLHと比較した場合の-003、-005、および-024のADCCによる新鮮な形質細胞白血病腫瘍細胞の溶解を誘導する能力を示す。実験の仕組みは実施例5に記載されている。
【
図6】HuMab-KLHと比較した場合の-003および-005のADCCによるJK6L(多発性骨髄腫細胞株)細胞の溶解を誘導する能力を示す。実験の仕組みは実施例5に記載されている。
【
図7】HuMab-KLHと比較した場合の-003および-005のADCCによるAMO-1(多発性骨髄腫細胞株)細胞の溶解を誘導する能力を示す。実験の仕組みは実施例5に記載されている。
【
図8】HuMab-KLHと比較した場合の-003および-005によって誘導されたダウディ-luc細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
【
図9】
図9Aは、HuMab-KLHと比較した場合の-003および-005によって誘導されたCHO-CD38細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
図9Bは、HuMab-KLHと比較した場合の-024によって誘導されたCHO-CD38細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
【
図10A】-003、-005、およびHuMab-KLHの存在下における3%難治性腫瘍細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
【
図10B】-003、-005、およびHuMab-KLHの存在下における9%難治性腫瘍細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
【
図10C】-003、-005、およびHuMab-KLHの存在下における30~40%腫瘍細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
【
図10D】-003、-005、およびHuMab-KLHの存在下における70%腫瘍細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
【
図10E】-024およびHuMab-KLHの存在下における多発性骨髄腫細胞のCDC介在性溶解を示す。実験の仕組みは実施例6に記載されている。
【
図11】-003および-005がCD38への結合を交差遮断しないことを示す。実験の仕組みは実施例7に記載されている。
【
図12】
図12Aは、-003によるマクロファージ、リンパ球、および形質B細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図12Bは、-003による気管支上皮の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図12Cは、-003による筋細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図12Dは、-003によるカニクイザルリンパ球様組織の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
【
図13】
図13Aは、-005によるマクロファージ、リンパ球、および形質B細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図13Bは、-005による気管支上皮の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図13Cは、-005による筋細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図13Dは、-005によるカニクイザルリンパ球様組織の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
【
図14】
図14Aは、CD31による肝臓内皮細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図14Bは、vWFによる肝臓内皮細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図14Cは、抗KLHによる肝臓内皮細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図14Dは、-003による肝臓内皮細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
図14Eは、-005による肝臓内皮細胞の免疫組織学的染色を示す。実験の仕組みは実施例10に記載されている。
【
図15A】フローサイトメトリーで測定されたカニクイザルリンパ球に対するHuMab-KLHと比較した-003および-005の交差反応性を示す。実験の仕組みは実施例11に記載されている。
【
図15B】フローサイトメトリーで測定されたカニクイザル単球に対するHuMab-KLHと比較した-003および-005の交差反応性を示す。実験の仕組みは実施例11に記載されている。
【
図15C】フローサイトメトリーで測定されたアカゲザルPBMCに対するHuMab-KLHと比較した-003および-005の交差反応性を示す。実験の仕組みは実施例11に記載されている。
【
図16】
図16Aは、EtBrクエンチングで測定された-003の内在化を示す。実験の仕組みは実施例12に記載されている。
図16Bは、EtBrクエンチングで測定された-005の内在化を示す。実験の仕組みは実施例12に記載されている。
【
図17A】インビボSCIDルシフェラーゼ画像撮影で測定された抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)およびHuMab-KLHと比較した-003および-005により引き起こされた予防設定における腫瘍細胞の増殖の阻害を示す。実験の仕組みは実施例13に記載されている。
【
図17B】インビボSCIDルシフェラーゼ画像撮影で測定された抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)およびHuMab-KLHと比較した-003および-005により引き起こされた治療設定Iにおける腫瘍細胞の増殖の阻害を示す。実験の仕組みは実施例13に記載されている。
【
図17C】インビボSCIDルシフェラーゼ画像撮影で測定された抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)およびHuMab-KLHと比較した-003および-005により引き起こされた治療設定IIにおける腫瘍細胞の増殖の阻害を示す。実験の仕組みは実施例13に記載されている。
【
図17D】インビボSCIDルシフェラーゼ画像撮影で測定されたHuMab-KLHと比較した-003および-024により引き起こされた治療設定IIIにおける腫瘍細胞の増殖の阻害を示す。実験の仕組みは実施例13に記載されている。
【
図18】クロスリンクを伴うまたは伴わない抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)およびHuMab-KLHと比較した-003および-005によるアポトーシスの誘導を示す。実験の仕組みは実施例14に記載されている。
【
図19】抗KLH(HuMab-KLH)または-005による処置後、14日目の移植されたRA-SCIDマウス異種移植片におけるCD38陽性細胞についての組織学的得点を示す。方法は実施例15に記載されている。
【
図20】抗KLHまたは-005による処置後、14日目の移植されたRA-SCIDマウス異種移植片におけるCD138陽性細胞についての組織学的得点を示す。方法は実施例15に記載されている。
【
図21】移植前(A)、または抗KLH(B)、もしくは-005(C)による処置後の異種移植片におけるB細胞のCD38染色を示す。方法は実施例15に記載されている。
【
図22】移植前(A)、または抗KLH(B)、もしくは-005(C)による処置後の異種移植片におけるB細胞のCD138染色を示す。方法は実施例15に記載されている。
【
図23A】ELISAで測定された場合の野生型および突然変異体ヒトCD38への-003および-005の結合を示す。T237A突然変異体ヒトCD38への-003および-005の結合。方法は実施例17に記載されている。
【
図23B】ELISAで測定された場合の野生型および突然変異体ヒトCD38への-003および-005の結合を示す。Q272R突然変異体ヒトCD38への-003および-005の結合。方法は実施例17に記載されている。
【
図23C】ELISAで測定された場合の野生型および突然変異体ヒトCD38への-003および-005の結合を示す。S274F突然変異体ヒトCD38への-003および-005の結合。方法は実施例17に記載されている。
【
図24】HuMab-KLHと比較したヒトPBMCの増殖(A)、IL-6産生(B)、およびIFNγ産生(C)に対する-003および-005の効果を示す。方法はそれぞれ実施例18、19、20に記載されている。
【
図25A】様々な濃度の抗KLHの存在下におけるcGDPリボースの酵素的産生を示す。方法はそれぞれ実施例23に記載されている。
【
図25B】様々な濃度の-003の存在下におけるcGDPリボースの酵素的産生を示す。方法はそれぞれ実施例23に記載されている。
【
図25C】様々な濃度の-005の存在下におけるcGDPリボースの酵素的産生を示す。方法はそれぞれ実施例23に記載されている。
【
図25D】様々な濃度の-024の存在下におけるcGDPリボースの酵素的産生を示す。方法はそれぞれ実施例23に記載されている。
【
図26A】CHO-CD38細胞のCDCにおける-003、-005、およびMorphosys抗体TH-3079の間の比較を示す。
【
図26B】ダウディ細胞のCDCにおける-003、-005、およびMorphosys抗体TH-3079の間の比較を示す。
【
図26C】ダウディ細胞のADCCにおける-003、-005、およびMorphosys抗体TH-3079の間の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
発明の詳細な説明
本発明は、多発性骨髄腫などの、CD38を発現する細胞が関与する様々な障害の治療、診断および予防において有用であり得る、CD38に結合するペプチド(「CD38BP」)を提供する。
【0100】
ある態様において、本発明のCD38BPは抗体-003である。抗体-003は、配列番号:2の配列からなるVL領域および配列番号:7の配列からなるVH領域を有するヒトモノクローナルIgG1抗体である。
【0101】
ある態様において、本発明のCD38BPは抗体-005である。抗体-005は、配列番号:12の配列からなるVL領域および配列番号:17の配列からなるVH領域を有するヒトモノクローナルIgG1抗体である。
【0102】
ある態様において、本発明のCD38BPは抗体-024である。抗体-024は、配列番号:22の配列からなるVL領域および配列番号:27の配列からなるVH領域を有するヒトモノクローナルIgG1抗体である。
【0103】
抗体は、6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を主に通じて標的抗原と相互作用する。この理由のために、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも個々の抗体間で多様である。CDR配列は多くの抗体-抗原相互作用の原因であるので、異なる特性を有する異なる抗体由来のフレームワーク配列に継ぎ足された特定の天然の抗体由来のCDR配列を含む発現ベクターを構築することによって、特定の天然の抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現することが可能である(例えば、Riechmann, L. et al., Nature 332, 323-327 (1998)、Jones, P. et al., Nature 321, 522-525 (1986)、およびQueen, C. et al., PNAS USA 86, 10029-10033 (1989) 参照)。
【0104】
抗体重鎖CDR3ドメインが抗原に対する抗体の結合特性/親和性に特に重要な役割を果たしていることは当技術分野において周知であるので(Ditzel HJ, et al., J Immunol. 157 (2), 739-49 (1996)、Barbas SM et al., J. Am. Chem. Soc. 116, 2161-2162 (1994)、およびBarbas SM et al., Proc Natl Acad Sci USA 92 (7), 2529-33 (1995))、本発明のCD38BPは、-003または-005または-024の重鎖CDR3を含んでもよい。本発明のCD38BPはまた、-003または-005または-024の重鎖CDR3および軽鎖CDR3を含んでもよい。本発明のCD38BPは、それぞれ、-003および-005および-024のCDR2をさらに含んでもよい。本発明のCD38BPは、それぞれ、-003および-005および-024のCDR1をさらに含んでもよい。
【0105】
本発明は、CD38との結合について-003と競合する、CD38BPを提供する。
【0106】
本発明は、CD38との結合について-005と競合する、CD38BPを提供する。
【0107】
本発明は、CD38との結合について-024と競合する、CD38BPを提供する。
【0108】
ある態様において、実施例の項に記載されたようなELISAの使用によって、競合を決定する。
【0109】
ある態様において、実施例の項に記載されたようなFACSの使用によって、競合を決定する。
【0110】
本発明は、そのエピトープが-003または-005または-024によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合するCD38BPを提供する。
【0111】
本発明は、-003または-005または-024と実質的に同じヒトCD38との結合に関する特異的結合特徴を有するCD38BPを提供する。
【0112】
本発明は、配列番号:3から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0113】
本発明は、配列番号:4から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0114】
本発明は、配列番号:5から本質的になるVL CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0115】
本発明は、配列番号:5から本質的になるVL CDR3および配列番号:3から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0116】
本発明は、配列番号:5から本質的になるVL CDR3および配列番号:4から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0117】
本発明は、配列番号:5から本質的になるVL CDR3および配列番号:4から本質的になるVL CDR2および配列番号:3から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0118】
本発明は、配列番号:8から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0119】
本発明は、配列番号:9から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0120】
本発明は、配列番号:10から本質的になるVH CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0121】
本発明は、配列番号:10から本質的になるVH CDR3および配列番号:8から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0122】
本発明は、配列番号:10から本質的になるVH CDR3および配列番号:9から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0123】
本発明は、配列番号:10から本質的になるVH CDR3および配列番号:9から本質的になるVH CDR2および配列番号:8から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0124】
本発明は、配列番号:13から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0125】
本発明は、配列番号:14から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0126】
本発明は、配列番号:15から本質的になるVL CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0127】
本発明は、配列番号:15から本質的になるVL CDR3および配列番号:13から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0128】
本発明は、配列番号:15から本質的になるVL CDR3および配列番号:14から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0129】
本発明は、配列番号:15から本質的になるVL CDR3および配列番号:14から本質的になるVL CDR2および本質的に配列番号:13からなるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0130】
本発明は、配列番号:18から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0131】
本発明は、配列番号:19から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0132】
本発明は、配列番号:20から本質的になるVH CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0133】
本発明は、配列番号:20から本質的になるVH CDR3および配列番号:18から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0134】
本発明は、配列番号:20から本質的になるVH CDR3および配列番号:19から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0135】
本発明は、配列番号:20から本質的になるVH CDR3および配列番号:19から本質的になるVH CDR2および配列番号:18から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0136】
本発明は、配列番号:23から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0137】
本発明は、配列番号:24から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0138】
本発明は、配列番号:25から本質的になるVL CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0139】
本発明は、配列番号:25から本質的になるVL CDR3および配列番号:23から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0140】
本発明は、配列番号:25から本質的になるVL CDR3および配列番号:24から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0141】
本発明は、配列番号:25から本質的になるVL CDR3および配列番号:24から本質的になるVL CDR2および配列番号:23から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0142】
本発明は、配列番号:28から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0143】
本発明は、配列番号:29から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0144】
本発明は、配列番号:30から本質的になるVH CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0145】
本発明は、配列番号:30から本質的になるVH CDR3および配列番号:28から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0146】
本発明は、配列番号:30から本質的になるVH CDR3および配列番号:29から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0147】
本発明は、配列番号:30から本質的になるVH CDR3および配列番号:29から本質的になるVH CDR2および配列番号:28から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0148】
本発明は以下を含むCD38BPを提供する
(a)互いに独立に、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5から本質的になる、3つのVL CDRを含む第1のVL領域;ならびに
(b)互いに独立に、配列番号:8、配列番号:9、および配列番号:10から本質的になる、3つのVH CDRを含む第1のVH領域。
【0149】
本発明は以下を含むCD38BPを提供する
(a)互いに独立に、配列番号:13、配列番号:14、および配列番号:15から本質的になる、3つのVL CDRを含む第1のVL領域;ならびに
(b)互いに独立に、配列番号:18、配列番号:19、および配列番号:20から本質的になる、3つのVH CDRを含む第1のVH領域。
【0150】
本発明は以下を含むCD38BPを提供する
(a)互いに独立に、配列番号:23、配列番号:24、および配列番号:25から本質的になる、3つのVL CDRを含む第1のVL領域;ならびに
(b)互いに独立に、配列番号:28、配列番号:29、および配列番号:30から本質的になる、3つのVH CDRを含む第1のVH領域。
【0151】
ある態様において、VL領域およびVH領域は、ペプチドの同じ鎖上に存在する。
【0152】
さらなる態様において、VL領域およびVH領域は、柔軟性のあるリンカーによって隔てられている。
【0153】
ある態様において、VL領域およびVH領域は、ペプチドの別々の鎖上に存在する。
【0154】
さらなる態様において、VL領域およびVH領域は、免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈にあるペプチドの別々の鎖上に存在する。
【0155】
ある態様において、VL領域中の3つのCDRおよびVH領域中の3つのCDRが協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように、第1のVL領域および第1のVH領域を配向する。
【0156】
さらなる態様において、ペプチドは、第2のVL領域および第2のVH領域が協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与する、第1のVL領域と同一の第2のVL領域ならびに第1のVH領域と同一の第2のVH領域を含む。
【0157】
本発明は、-003または-005または-024のVL領域の機能変異体であるVL領域を含むCD38BPを提供する。
【0158】
ある態様において、CD38BPのVL領域はそれぞれ、配列番号:2または配列番号:12または配列番号:22による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる。ある態様において、CD38BPはそれぞれ、-003または-005または-024のエピトープ結合特徴の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する。
【0159】
本発明は、-003または-005または-024のVH領域の機能変異体であるVH領域を含むCD38BPを提供する。
【0160】
ある態様において、CD38BPのVH領域はそれぞれ、配列番号:7または配列番号:17または配列番号:27による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる。ある態様において、CD38BPはそれぞれ、-003または-005または-024のエピトープ結合特徴の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する。
【0161】
本発明は、-003または-005または-024のCDRの機能変異体である少なくとも1つのCDRを含むCD38BPを提供する。
【0162】
ある態様において、ペプチドのCDRの少なくとも1つはそれぞれ、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:8、配列番号:9、もしくは配列番号:10による配列、または配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:19、もしくは配列番号:20による配列、または配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:28、配列番号:29、もしくは配列番号:30による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる。ある態様において、CD38BPはそれぞれ、-003または-005または-024のエピトープ結合特徴の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する。
【0163】
ある態様において、CD38BPは、-003または-005または-024の親和性、結合力、または特異性の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する。
【0164】
ある態様において、CD38BPは、CD38との結合について、-003または-005または-024のいずれかと競合する。さらなる態様において、実施例の項に記載されたようなELISAの使用によって、競合を決定する。別のさらなる態様において、実施例の項に記載されたようなFACSの使用によって、競合を決定する。
【0165】
ある態様において、CD38BPは、そのエピトープが-003または-005または-024によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合する。
【0166】
ある態様において、CD38BPは、-003または-005または-024よりも大きい親和性でヒトCD38に結合する。
【0167】
ある態様において、CD38BPは、-003または-005または-024と実質的に同じ特異的CD38結合特徴を有する。
【0168】
ある態様において、CD38BPは、その他のCD38結合ペプチドが実質的にない。
【0169】
ある態様において、本発明のCD38BPは抗体である。さらなる態様において、CD38BPはヒト抗体である。別のさらなる態様において、CD38BPはヒト化抗体である。別のさらなる態様において、CD38BPはキメラ抗体である。
【0170】
ある態様において、本発明の抗体はモノクローナル抗体である。
【0171】
ある態様において、本発明の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM抗体である。さらなる態様において、抗体はIgG1である。さらなる態様において、抗体はIgG1、κ抗体である。別のさらなる態様において、抗体はIgMである。さらなる態様において、抗体はIgM、κ抗体である。
【0172】
ある態様において、本発明の抗体は、抗体断片または単鎖抗体である。
【0173】
ある態様において、CD38BPは真核細胞においてグリコシル化されている。
【0174】
ある態様において、CD38BPは、放射性同位元素を付着させるためのキレート剤リンカーをさらに含む。
【0175】
ある態様において、CD38BPは実質的に単離された形態にある。
【0176】
本発明は、本発明のCD38BPをコードする単離された核酸配列を提供する。
【0177】
本発明は、本発明のCD38BPをコードする核酸配列を含む発現ベクターを提供する。
【0178】
ある態様において、発現ベクターは、配列番号:1のVLヌクレオチド配列、配列番号:6のVHヌクレオチド配列、または配列番号:1のVLヌクレオチド配列および配列番号:6のVHヌクレオチド配列を含む。
【0179】
ある態様において、発現ベクターは、配列番号:11のVLヌクレオチド配列、配列番号:16のVHヌクレオチド配列、または配列番号:11のVLヌクレオチド配列および配列番号:16のVHヌクレオチド配列を含む。
【0180】
ある態様において、発現ベクターは、配列番号:21のVLヌクレオチド配列、配列番号:26のVHヌクレオチド配列、または配列番号:21のVLヌクレオチド配列および配列番号:26のVHヌクレオチド配列を含む。
【0181】
さらなる態様において、発現ベクターは、ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む。
【0182】
さらなる態様において、ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列は、IgG1抗体をコードする。
【0183】
本発明は、配列番号:1に示されたような可変軽鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:6に示されたような可変重鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖核酸は配列番号:1に示されたようなヌクレオチド配列を含み、およびヒト重鎖核酸は配列番号:6に示されたようなヌクレオチド配列を含む。
【0184】
本発明は、配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:7に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖可変領域は配列番号:2に示されたようなアミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖可変領域は配列番号:7に示されたようなアミノ酸配列を含む。
【0185】
本発明は、配列番号:1に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、またはその保存的配列改変、および配列番号:6に示されたようなヒト重鎖核酸、またはその保存的配列改変によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する。ある態様において、ヒトモノクローナル抗CD38抗体は、配列番号:1に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、および配列番号:6に示されたようなヒト重鎖可変核酸によってコードされる。
【0186】
本発明は、配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:7に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖可変領域およびヒト重鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖は配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖は配列番号:7に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列を含む。
【0187】
本発明は、配列番号:11に示されたような可変軽鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:16に示されたような可変重鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖核酸は配列番号:11に示されたようなヌクレオチド配列を含み、およびヒト重鎖核酸は配列番号:16に示されたようなヌクレオチド配列を含む。
【0188】
本発明は、配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:17に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖可変領域は配列番号:12に示されたようなアミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖可変領域は配列番号:17に示されたようなアミノ酸配列を含む。
【0189】
本発明は、配列番号:11に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、またはその保存的配列改変、および配列番号:16に示されたようなヒト重鎖核酸、またはその保存的配列改変によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する。ある態様において、ヒトモノクローナル抗CD38抗体は、配列番号:11に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、および配列番号:16に示されたようなヒト重鎖可変核酸によってコードされる。
【0190】
本発明は、配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖可変領域およびヒト重鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖は配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖は配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列を含む。
【0191】
本発明は、配列番号:21に示されたような可変軽鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:26に示されたような可変重鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖核酸は配列番号:21に示されたようなヌクレオチド配列を含み、およびヒト重鎖核酸は配列番号:26に示されたようなヌクレオチド配列を含む。
【0192】
本発明は、配列番号:22に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:27に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖可変領域は配列番号:22に示されたようなアミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖可変領域は配列番号:27に示されたようなアミノ酸配列を含む。
【0193】
本発明は、配列番号:21に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、またはその保存的配列改変、および配列番号:26に示されたようなヒト重鎖核酸、またはその保存的配列改変によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する。ある態様において、ヒトモノクローナル抗CD38抗体は、配列番号:21に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、および配列番号:26に示されたようなヒト重鎖可変核酸によってコードされる。
【0194】
本発明は、配列番号:22に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:27に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖可変領域およびヒト重鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマを提供する。ある態様において、ヒト軽鎖は配列番号:22に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖は配列番号:27に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列を含む。
【0195】
本発明は、本発明のCD38BPを産生する真核宿主細胞または原核宿主細胞を提供する。
【0196】
本発明は、本発明の発現ベクターを含む真核宿主細胞または原核宿主細胞を提供する。
【0197】
本発明は、検出可能な量の本発明のCD38BPを産生する、ヒト重鎖およびヒト軽鎖をコードする核酸を含むトランスジェニック非ヒト動物またはトランスジェニック植物を提供する。
【0198】
本発明は、細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した本発明のCD38BPを含む免疫コンジュゲートを提供する。ある態様において、ペプチドは、細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した単量体IgM抗体である。
【0199】
本発明は、本発明のCD38BPおよびヒトエフェクター細胞に対する結合特異性を含む二重特異性分子または多重特異性分子を提供する。ある態様において、ヒトエフェクター細胞に対する結合特異性は、CD3、CD4、CD138、IL-15R、膜結合TNF-αもしくは受容体結合TNF-α、ヒトFc受容体、または膜結合IL-15もしくは受容体結合IL-15に対する結合特異性である。
【0200】
本発明は、本発明のCD38BPに結合する抗イデオタイプ抗体を提供する。
【0201】
本発明は、試料におけるCD38に対するヒトモノクローナル抗体のレベルを検出するための本発明の抗イデオタイプ抗体の使用を提供する。
【0202】
以下は、本発明の選択された態様のリストである。
【0203】
態様1:それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトCD38に結合する抗体。
【0204】
態様2:それぞれ、配列番号:1および配列番号:6に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトCD38に結合する抗体。
【0205】
態様3:それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトCD38に結合する抗体。
【0206】
態様4:それぞれ、配列番号:11および配列番号:16に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトCD38に結合する抗体。
【0207】
態様5:それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトCD38に結合する抗体。
【0208】
態様6:それぞれ、配列番号:21および配列番号:26に示されたようなそれらの可変領域におけるヌクレオチド配列を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトCD38に結合する抗体。
【0209】
態様7:CD38との結合について態様2による抗体と競合するペプチド。
【0210】
態様8:本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって競合を決定する、態様7によるペプチド。
【0211】
態様9:本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断測定の使用によって競合を決定する、態様7によるペプチド。
【0212】
態様10:そのエピトープが態様2による抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合するペプチド。
【0213】
態様11:態様2による抗体と実質的に同じヒトCD38との結合に関する特異的結合特徴を有するペプチド。
【0214】
態様12:配列番号:3から本質的になるVL CDR1を含むペプチド。
【0215】
態様13:配列番号:4から本質的になるVL CDR2を含むペプチド。
【0216】
態様14:配列番号:5から本質的になるVL CDR3を含むペプチド。
【0217】
態様15:そのペプチドが配列番号:3から本質的になるVL CDR1も含む、態様14によるペプチド。
【0218】
態様16:そのペプチドが配列番号:4から本質的になるVL CDR2も含む、態様14によるペプチド。
【0219】
態様17:そのペプチドが配列番号:3から本質的になるVL CDR1も含む、態様16によるペプチド。
【0220】
態様18:配列番号:8から本質的になるVH CDR1を含むペプチド。
【0221】
態様19:配列番号:9から本質的になるVH CDR2を含むペプチド。
【0222】
態様20:配列番号:10から本質的になるVH CDR3を含むペプチド。
【0223】
態様21:そのペプチドが配列番号:8から本質的になるVH CDR1も含む、態様20によるペプチド。
【0224】
態様22:そのペプチドが配列番号:9から本質的になるVH CDR2も含む、態様20によるペプチド。
【0225】
態様23:そのペプチドが配列番号:8から本質的になるVH CDR1も含む、態様22によるペプチド。
【0226】
態様24:以下を含むペプチド
(a)互いに独立に、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5から本質的になる、3つのVL CDRを含む第1のVL領域;ならびに
(b)互いに独立に、配列番号:8、配列番号:9、および配列番号:10から本質的になる、3つのVH CDRを含む第1のVH領域。
【0227】
態様25:VL領域およびVH領域が、ペプチドの同じ鎖上に存在する、態様24によるペプチド。
【0228】
態様26:VL領域およびVH領域が、柔軟性のあるリンカーによって隔てられている、態様25によるペプチド。
【0229】
態様27:VL領域およびVH領域が、ペプチドの別々の鎖上に存在する、態様24によるペプチド。
【0230】
態様28:VL領域およびVH領域が、免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈にあるペプチドの別々の鎖上に存在する、態様27によるペプチド。
【0231】
態様29:VL領域中の3つのCDRおよびVH領域中の3つのCDRが協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように、第1のVL領域および第1のVH領域を配向する、態様24~28のいずれかによるペプチド。
【0232】
態様30:第2のVL領域および第2のVH領域が協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与する、第1のVL領域と同一の第2のVL領域および第1のVH領域と同一の第2のVH領域を含む、態様29によるペプチド。
【0233】
態様31:態様2の抗体のVL領域の機能変異体であるVL領域を含むペプチド。
【0234】
態様32:ペプチドのVL領域が、配列番号:2による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様31によるペプチド。
【0235】
態様33:態様2の抗体のVH領域の機能変異体であるVH領域を含むペプチド。
【0236】
態様34:ペプチドのVH領域が、配列番号:7による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様33によるペプチド。
【0237】
態様35:態様2の抗体のCDRの機能変異体である少なくとも1つのCDRを含むペプチド。
【0238】
態様36:ペプチドの少なくとも1つのCDRが、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:8、配列番号:9、または配列番号:10による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様35によるペプチド。
【0239】
態様37:態様2の抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する、態様31~36のいずれかによるペプチド。
【0240】
態様38:態様2の抗体の親和性、結合力、または特異性の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する、態様31~36のいずれかによるペプチド。
【0241】
態様39:そのペプチドがヒトCD38に特異的に結合する、態様12~38のいずれかによるペプチド。
【0242】
態様40:そのペプチドがCD38との結合について態様2による抗体と競合する、態様12~39のいずれかによるペプチド。
【0243】
態様41:本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって競合を決定する、態様40によるペプチド。
【0244】
態様42:本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断測定の使用によって競合を決定する、態様7によるペプチド。
【0245】
態様43:そのエピトープが態様2による抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合する、態様39によるペプチド。
【0246】
態様44:態様2による抗体よりも大きい親和性でヒトCD38に結合する、態様39~43のいずれかによるペプチド。
【0247】
態様45:態様2による抗体と実質的に同じ特異的CD38結合特徴を有する、態様39~43のいずれかによるペプチド。
【0248】
態様46:CD38結合ペプチドに、その他のCD38結合ペプチドが実質的にない、態様39~45のいずれかによるペプチド。
【0249】
態様47:ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、およびそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合しないペプチド。
【0250】
態様48:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の50%未満である、態様47によるペプチド。
【0251】
態様49:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満である、態様48によるペプチド。
【0252】
態様50:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の5%未満である、態様49によるペプチド。
【0253】
態様51:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の1%未満である、態様50によるペプチド。
【0254】
態様52:ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、およびそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合しないペプチド。
【0255】
態様53:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の50%未満である、態様52によるペプチド。
【0256】
態様54:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満である、態様53によるペプチド。
【0257】
態様55:それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合しない態様47~51のいずれかによるペプチド。
【0258】
態様56:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の50%未満である、態様55によるペプチド。
【0259】
態様57:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満である、態様56によるペプチド。
【0260】
態様58:それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する、態様47~57のいずれかによるペプチド。
【0261】
態様59:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の75%を上回る、態様58によるペプチド。
【0262】
態様60:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の85%を上回る、態様59によるペプチド。
【0263】
態様61:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の90%を上回る、態様60によるペプチド。
【0264】
態様62:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の95%を上回る、態様61によるペプチド。
【0265】
態様63:CD38との結合について態様4による抗体と競合するペプチド。
【0266】
態様64:本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって競合を決定する、態様63によるペプチド。
【0267】
態様65:本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断測定の使用によって競合を決定する、態様63によるペプチド。
【0268】
態様66:そのエピトープが態様4による抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合するペプチド。
【0269】
態様67:態様4による抗体と実質的に同じCD38との結合に関する特異的結合特徴を有するペプチド。
【0270】
態様68:配列番号:13から本質的になるVL CDR1を含むペプチド。
【0271】
態様69:配列番号:14から本質的になるVL CDR2を含むペプチド。
【0272】
態様70:配列番号:15から本質的になるVL CDR3を含むペプチド。
【0273】
態様71:そのペプチドが配列番号:13から本質的になるVL CDR1も含む、態様70によるペプチド。
【0274】
態様72:そのペプチドが配列番号:14から本質的になるVL CDR2も含む、態様70によるペプチド。
【0275】
態様73:そのペプチドが配列番号:13から本質的になるVL CDR1も含む、態様72によるペプチド。
【0276】
態様74:配列番号:18から本質的になるVH CDR1を含むペプチド。
【0277】
態様75:配列番号:19から本質的になるVH CDR2を含むペプチド。
【0278】
態様76:配列番号:20から本質的になるVH CDR3を含むペプチド。
【0279】
態様77:そのペプチドが配列番号:18から本質的になるVH CDR1も含む、態様76によるペプチド。
【0280】
態様78:そのペプチドが配列番号:19から本質的になるVH CDR2も含む、態様76によるペプチド。
【0281】
態様79:そのペプチドが配列番号:18から本質的になるVH CDR1も含む、態様78によるペプチド。
【0282】
態様80:以下を含むペプチド
(a)互いに独立に、配列番号:13、配列番号:14、および配列番号:15から本質的になる、3つのVL CDRを含む第1のVL領域;ならびに
(b)互いに独立に、配列番号:18、配列番号:19、および配列番号:20から本質的になる、3つのVH CDRを含む第1のVH領域。
【0283】
態様81:VL領域およびVH領域が、ペプチドの同じ鎖上に存在する、態様80によるペプチド。
【0284】
態様82:VL領域およびVH領域が、柔軟性のあるリンカーによって隔てられている、態様81によるペプチド。
【0285】
態様83:VL領域およびVH領域が、ペプチドの別々の鎖上に存在する、態様80によるペプチド。
【0286】
態様84:VL領域およびVH領域が、免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈にあるペプチドの別々の鎖上に存在する、態様83によるペプチド。
【0287】
態様85:VL領域中の3つのCDRおよびVH領域中の3つのCDRが協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように、第1のVL領域および第1のVH領域を配向する、態様80~84のいずれかによるペプチド。
【0288】
態様86:第2のVL領域および第2のVH領域が協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与する、第1のVL領域と同一の第2のVL領域および第1のVH領域と同一の第2のVH領域を含む、態様85によるペプチド。
【0289】
態様87:態様4の抗体のVL領域の機能変異体であるVL領域を含むペプチド。
【0290】
態様88:ペプチドのVL領域が、配列番号:12による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様87によるペプチド。
【0291】
態様89:態様4の抗体のVH領域の機能変異体であるVH領域を含むペプチド。
【0292】
態様90:ペプチドのVH領域が、配列番号:17による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様89によるペプチド。
【0293】
態様91:態様4の抗体のCDRの機能変異体である少なくとも1つのCDRを含むペプチド。
【0294】
態様92:ペプチドの少なくとも1つのCDRが、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:18、配列番号:19、または配列番号:20による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様91によるペプチド。
【0295】
態様93:態様4の抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する、態様87~92のいずれかによるペプチド。
【0296】
態様94:態様4の抗体の親和性、結合力、または特異性の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する、態様87~92のいずれかによるペプチド。
【0297】
態様95:そのペプチドがヒトCD38に特異的に結合する、態様68~94のいずれかによるペプチド。
【0298】
態様96:そのペプチドがCD38との結合について態様4による抗体と競合する、態様68~95のいずれかによるペプチド。
【0299】
態様97:本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって競合を決定する、態様96によるペプチド。
【0300】
態様98:本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断測定の使用によって競合を決定する、態様96によるペプチド。
【0301】
態様99:そのエピトープが態様4による抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合する、態様95によるペプチド。
【0302】
態様100:態様4による抗体よりも大きい親和性でヒトCD38に結合する、態様95~99のいずれかによるペプチド。
【0303】
態様101:態様4による抗体と実質的に同じ特異的CD38結合特徴を有する、態様95~99のいずれかによるペプチド。
【0304】
態様102:CD38結合ペプチドに、その他のCD38結合ペプチドが実質的にない、態様95~101のいずれかによるペプチド。
【0305】
態様103:ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、およびそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)に結合しない、態様63~102のいずれかによるペプチド。
【0306】
態様104:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の50%未満である、態様103によるペプチド。
【0307】
態様105:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満である、態様104によるペプチド。
【0308】
態様106:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の5%未満である、態様105によるペプチド。
【0309】
態様107:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の1%未満である、態様106によるペプチド。
【0310】
態様108:ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、およびそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合しないペプチド。
【0311】
態様109:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の50%未満である、態様108によるペプチド。
【0312】
態様110:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満である、態様109によるペプチド。
【0313】
態様111:それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度には、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:33)に結合しない態様103~107のいずれかによるペプチド。
【0314】
態様112:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の50%未満である、態様111によるペプチド。
【0315】
態様113:位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:34)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の10%未満である、態様112によるペプチド。
【0316】
態様114:それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度に、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)に結合する、態様103~113のいずれかによるペプチド。
【0317】
態様115:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の75%を上回る、態様114によるペプチド。
【0318】
態様116:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の85%を上回る、態様115によるペプチド。
【0319】
態様117:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の90%を上回る、態様116によるペプチド。
【0320】
態様118:位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換された、突然変異体ヒトCD38(配列番号:32)へのペプチドの結合のEC50が、ヒトCD38(配列番号:31)へのペプチドの結合のEC50の95%を上回る、態様117によるペプチド。
【0321】
態様119:CD38との結合について態様6による抗体と競合するペプチド。
【0322】
態様120:本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって競合を決定する、態様119によるペプチド。
【0323】
態様121:本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断測定の使用によって競合を決定する、態様119によるペプチド。
【0324】
態様122:そのエピトープが態様6による抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合するペプチド。
【0325】
態様123:態様6による抗体と実質的に同じCD38との結合に関する特異的結合特徴を有するペプチド。
【0326】
態様124:配列番号:23から本質的になるVL CDR1を含むペプチド。
【0327】
態様125:配列番号:24から本質的になるVL CDR2を含むペプチド。
【0328】
態様126:配列番号:25から本質的になるVL CDR3を含むペプチド。
【0329】
態様127:そのペプチドが配列番号:23から本質的になるVL CDR1も含む、態様126によるペプチド。
【0330】
態様128:そのペプチドが配列番号:24から本質的になるVL CDR2も含む、態様126によるペプチド。
【0331】
態様129:そのペプチドが配列番号:23から本質的になるVL CDR1も含む、態様128によるペプチド。
【0332】
態様130:配列番号:28から本質的になるVH CDR1を含むペプチド。
【0333】
態様131:配列番号:29から本質的になるVH CDR2を含むペプチド。
【0334】
態様132:配列番号:20から本質的になるVH CDR3を含むペプチド。
【0335】
態様133:そのペプチドが配列番号:28から本質的になるVH CDR1も含む、態様132によるペプチド。
【0336】
態様134:そのペプチドが配列番号:29から本質的になるVH CDR2も含む、態様132によるペプチド。
【0337】
態様135:そのペプチドが配列番号:28から本質的になるVH CDR1も含む、態様134によるペプチド。
【0338】
態様136:以下を含むペプチド
(a)互いに独立に、配列番号:23、配列番号:24、および配列番号:25から本質的になる、3つのVL CDRを含む第1のVL領域;ならびに
(b)互いに独立に、配列番号:28、配列番号:29、および配列番号:30から本質的になる、3つのVH CDRを含む第1のVH領域。
【0339】
態様137:VL領域およびVH領域が、ペプチドの同じ鎖上に存在する、態様136によるペプチド。
【0340】
態様138:VL領域およびVH領域が、柔軟性のあるリンカーによって隔てられている、態様137によるペプチド。
【0341】
態様139:VL領域およびVH領域が、ペプチドの別々の鎖上に存在する、態様136によるペプチド。
【0342】
態様140:VL領域およびVH領域が、免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈にあるペプチドの別々の鎖上に存在する、態様139によるペプチド。
【0343】
態様141:VL領域中の3つのCDRおよびVH領域中の3つのCDRが協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように、第1のVL領域および第1のVH領域を配向する、態様136~140のいずれかによるペプチド。
【0344】
態様142:第2のVL領域および第2のVH領域が協調的に会合し、ヒトCD38上の抗原性決定因子に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与する、第1のVL領域と同一の第2のVL領域および第1のVH領域と同一の第2のVH領域を含む、態様141によるペプチド。
【0345】
態様143:態様6の抗体のVL領域の機能変異体であるVL領域を含むペプチド。
【0346】
態様144:ペプチドのVL領域が、配列番号:22による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様143によるペプチド。
【0347】
態様145:態様6の抗体のVH領域の機能変異体であるVH領域を含むペプチド。
【0348】
態様146:ペプチドのVH領域が、配列番号:27による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様145によるペプチド。
【0349】
態様147:態様6の抗体のCDRの機能変異体である少なくとも1つのCDRを含むペプチド。
【0350】
態様148:ペプチドの少なくとも1つのCDRが、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:28、配列番号:29、または配列番号:30による配列に対する少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる、態様147によるペプチド。
【0351】
態様149:態様6の抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する、態様143~148のいずれかによるペプチド。
【0352】
態様150:態様6の抗体の親和性、結合力、または特異性の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を有する、態様143~148のいずれかによるペプチド。
【0353】
態様151:そのペプチドがヒトCD38に特異的に結合する、態様124~150のいずれかによるペプチド。
【0354】
態様152:そのペプチドがCD38との結合について態様6による抗体と競合する、態様124~151のいずれかによるペプチド。
【0355】
態様153:本明細書の実施例8または9に記載されたようなELISAの使用によって競合を決定する、態様152によるペプチド。
【0356】
態様154:本明細書の実施例7に記載されたような交差遮断測定の使用によって競合を決定する、態様152によるペプチド。
【0357】
態様155:そのエピトープが態様6による抗体によっても特異的に結合される、CD38エピトープに特異的に結合する、態様151によるペプチド。
【0358】
態様156:態様6による抗体よりも大きい親和性でヒトCD38に結合する、態様151~155のいずれかによるペプチド。
【0359】
態様157:態様6による抗体と実質的に同じ特異的CD38結合特徴を有する、態様151~155のいずれかによるペプチド。
【0360】
態様158:CD38結合ペプチドに、その他のCD38結合ペプチドが実質的にない、態様151~157のいずれかによるペプチド。
【0361】
態様159:CD38のアゴニストではない、態様1~158のいずれかによるペプチド。
【0362】
態様160:末梢血単核細胞の有意な増殖を誘導しない、態様1~159のいずれかによるペプチド。
【0363】
態様161:ヒト単球または末梢血単核細胞による有意なIL-6の放出を誘導しない、態様1~160のいずれかによるペプチド。
【0364】
態様162:ヒトT細胞または末梢血単核細胞による検出可能なIFN-γ放出を誘導しない、態様1~161のいずれかによるペプチド。
【0365】
態様163:抗体である、態様7~162のいずれかによるペプチド。
【0366】
態様164:ヒト抗体である、態様1~6、または163のいずれかによる抗体。
【0367】
態様165:ヒト化抗体である、態様1~6、または163のいずれかによる抗体。
【0368】
態様166:キメラ抗体である、態様1~6、または163のいずれかによる抗体。
【0369】
態様167:モノクローナル抗体である、態様1~6、または163~166のいずれかによる抗体。
【0370】
態様168:それがIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM抗体であるという点で特徴付けられる、態様1~6、または163~166のいずれかによる抗体。
【0371】
態様169:それがIgG1抗体であるという点で特徴付けられる、態様168による抗体。
【0372】
態様170:IgG1、κ抗体である、態様169による抗体。
【0373】
態様171:それがIgM抗体であるという点で特徴付けられる、態様168による抗体。
【0374】
態様172:IgM、κ抗体である、態様171による抗体。
【0375】
態様173:真核細胞においてグリコシル化されている、態様2~172のいずれかによるペプチド。
【0376】
態様174:抗体断片または単鎖抗体である、態様1~6、または163~173のいずれかによる抗体。
【0377】
態様175:放射性同位元素を付着させるためのキレート剤リンカーをさらに含む、態様1~174のいずれかによるペプチド。
【0378】
態様176:実質的に単離された形態にある、態様1~175のいずれかによるペプチド。
【0379】
態様177:態様1~175のいずれかによるペプチドをコードする単離された核酸。
【0380】
態様178:態様1~175のいずれかによるペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター。
【0381】
態様179:配列番号:1のVLヌクレオチド配列、配列番号:6のVHヌクレオチド配列、または配列番号:1のVLヌクレオチド配列および配列番号:6のVHヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【0382】
態様180:配列番号:11のVLヌクレオチド配列、配列番号:16のVHヌクレオチド配列、または配列番号:11のVLヌクレオチド配列および配列番号:16のVHヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【0383】
態様181:ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、態様179または180による発現ベクター。
【0384】
態様182:ヒト抗体の軽鎖の定常領域、重鎖の定常領域、または軽鎖および重鎖両方の定常領域をコードするヌクレオチド配列がIgG1抗体をコードする、態様181による発現ベクター。
【0385】
態様183:配列番号:1に示されたような可変軽鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:6に示されたような可変重鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマ。
【0386】
態様184:ヒト軽鎖核酸が配列番号:1に示されたようなヌクレオチド配列を含み、およびヒト重鎖核酸が配列番号:6に示されたようなヌクレオチド配列を含む、態様183によるハイブリドーマ。
【0387】
態様185:配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:7に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマ。
【0388】
態様186:ヒト軽鎖可変領域が配列番号:2に示されたようなヌクレオチド配列を含み、およびヒト重鎖可変領域が配列番号:7に示されたようなヌクレオチド配列を含む、態様185によるハイブリドーマ。
【0389】
態様187:配列番号:1に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、またはその保存的配列改変、および配列番号:6に示されたようなヒト重鎖可変核酸、またはその保存的配列改変によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマ。
【0390】
態様188:ヒトモノクローナル抗CD38抗体が、配列番号:1に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、および配列番号:6に示されたようなヒト重鎖核酸によってコードされる、態様187によるトランスフェクトーマ。
【0391】
態様189:配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:7に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖可変領域およびヒト重鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマ。
【0392】
態様190:ヒト軽鎖が配列番号:2に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖が配列番号:7に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列を含む、態様189によるトランスフェクトーマ。
【0393】
態様191:配列番号:11に示されたような可変軽鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:16に示されたような可変重鎖領域におけるヌクレオチド配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖核酸およびヒト重鎖核酸によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマ。
【0394】
態様192:ヒト軽鎖核酸が配列番号:11に示されたようなヌクレオチド配列を含み、およびヒト重鎖核酸が配列番号:16に示されたようなヌクレオチド配列を含む、態様191によるハイブリドーマ。
【0395】
態様193:配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するハイブリドーマ。
【0396】
態様194:ヒト軽鎖可変領域が配列番号:12に示されたようなヌクレオチド配列を含み、およびヒト重鎖可変領域が配列番号:17に示されたようなヌクレオチド配列を含む、態様193によるハイブリドーマ。
【0397】
態様195:配列番号:11に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、またはその保存的配列改変、および配列番号:16に示されたようなヒト重鎖可変核酸、またはその保存的配列改変によってコードされるヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマ。
【0398】
態様196:ヒトモノクローナル抗CD38抗体が、配列番号:11に示されたようなヒト軽鎖可変核酸、および配列番号:16に示されたようなヒト重鎖核酸によってコードされる、態様195によるトランスフェクトーマ。
【0399】
態様197:配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変、および配列番号:17に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列、またはその保存的配列改変を含むヒト軽鎖可変領域およびヒト重鎖可変領域を有するヒトモノクローナル抗CD38抗体を産生するトランスフェクトーマ。
【0400】
態様198:ヒト軽鎖が配列番号:12に示されたようなヒト軽鎖可変アミノ酸配列を含み、およびヒト重鎖が配列番号:17に示されたようなヒト重鎖可変アミノ酸配列を含む、態様197によるトランスフェクトーマ。
【0401】
態様199:態様1~175のいずれかによるペプチドを産生する真核宿主細胞または原核宿主細胞。
【0402】
態様200:態様178による発現ベクターを含む真核宿主細胞または原核宿主細胞。
【0403】
態様201:検出可能な量の態様1~175のいずれかによるペプチドを産生する、ヒト重鎖およびヒト軽鎖をコードする核酸を含むトランスジェニック非ヒト動物またはトランスジェニック植物。
【0404】
態様202:細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した態様1~174のいずれかによるペプチドを含む免疫コンジュゲート。
【0405】
態様203:細胞毒性薬剤、放射性同位元素、または薬物に結合した単量体IgM抗体である、態様1~168または態様171~174のいずれかによるペプチドを含む免疫コンジュゲート。
【0406】
態様204:態様1~175のいずれかによるペプチドおよびヒトエフェクター細胞に対する結合特異性を含む二重特異性分子または多重特異性分子。
【0407】
態様205:態様1~175のいずれかによるペプチドおよびCD3、CD4、CD138、IL-15R、膜結合TNF-αもしくは受容体結合TNF-α、ヒトFc受容体、または膜結合IL-15もしくは受容体結合IL-15に対する結合特異性を含む二重特異性分子または多重特異性分子。
【0408】
態様206:態様1~176のいずれかによるペプチド、または態様202~205のいずれかによる免疫コンジュゲート、および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【0409】
態様207:1つまたは複数のさらなる治療薬剤を含む態様206による薬学的組成物。
【0410】
態様208:CD38を発現する細胞の成長および/または増殖を阻害する方法であって、該細胞の成長および/または増殖が阻害されるように、態様1~176のいずれかによるペプチド、態様202~205のいずれかによる免疫コンジュゲート、態様206もしくは207による薬学的組成物、または態様178~182のいずれかによる発現ベクターを投与する工程を含む方法。
【0411】
態様209:対象におけるCD38を発現する細胞が関与する疾患または障害を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、治療的有効量の態様1~176のいずれかによるペプチド、態様202~205のいずれかによる免疫コンジュゲート、態様206もしくは207による薬学的組成物、または態様178~182のいずれかによる発現ベクターを投与する工程を含む方法。
【0412】
態様210:対象におけるCD38を発現する細胞が関与する疾患または障害を予防する方法であって、予防を必要とする対象に、治療的有効量の態様1~176のいずれかによるペプチド、態様202~205のいずれかによる免疫コンジュゲート、態様206もしくは207による薬学的組成物、または態様178~182のいずれかによる発現ベクターを投与する工程を含む方法。
【0413】
態様211:疾患または障害が関節リウマチである、態様209または態様210による方法。
【0414】
態様212:疾患または障害が多発性骨髄腫である、態様209または態様210による方法。
【0415】
態様213:対象に1つまたは複数のさらなる治療薬剤を投与する工程を含む、態様209~212のいずれかによる方法。
【0416】
態様214:1つまたは複数のさらなる治療薬剤が、化学療法薬剤、抗炎症薬剤、または免疫抑圧薬剤および/もしくは免疫調整薬剤より選択される、態様213による方法。
【0417】
態様215:1つまたは複数のさらなる治療薬剤が、シスプラチン、ゲフィチニブ、セツキシマブ、リツキシマブ、ベバシズマブ、エルロチニブ、ボルテゾミブ、サリドマイド、パミドロネート、ゾレドロン酸、クロドロネート、リセンドロネート、イバンドロネート、エチドロネート、アレンドロネート、チルドロネート、三酸化ヒ素、レナリドマイド、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム、スベロイラニリドヒドロキサム酸、およびSCIO-469からなる群より選択される、態様213による方法。
【0418】
態様216:試料における、CD38抗原の存在、またはCD38を発現する細胞を検出するためのインビトロ法であって、以下の工程を含む方法:
a)抗体とCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、試料を態様1~176のいずれかによるペプチドと接触させる工程;および
b)複合体の形成を検出する工程。
【0419】
態様217:ペプチドが抗体である、態様216によるインビトロ法。
【0420】
態様218:試料における、CD38抗原の存在、またはCD38を発現する細胞を検出するためのキットであって、態様1~176のいずれかによるペプチドを含むキット。
【0421】
態様219:対象における、CD38抗原、またはCD38を発現する細胞を検出するためのインビボ法であって、以下の工程を含む方法:
a)抗体とCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、態様1~176のいずれかによるペプチドを投与する工程;および
b)形成された複合体を検出する工程。
【0422】
態様220:ペプチドが抗体である、態様219によるインビボ法。
【0423】
態様221:態様2、4、または163~174のいずれかによるペプチドに結合する抗イデオタイプ抗体。
【0424】
態様222. 試料における態様2、4、または163~174のいずれかによるペプチドのレベルを検出するための態様221による抗イデオタイプ抗体の使用。
【0425】
態様223. 試料におけるCD38に対するヒトモノクローナル抗体のレベルを検出するための態様221による抗イデオタイプ抗体の使用。
【0426】
「CD38」および「CD38抗原」という用語は、本明細書において互換的に用いられ、ならびに細胞によって天然に発現される、またはCD38遺伝子をトランスフェクトした細胞上に発現される、ヒトCD38の任意の変異体、アイソフォーム、および種ホモログを含む。当技術分野において認識されるような、CD38の同義語には、ADPリボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1、Cd38-rs1、サイクリックADP-リボースヒドロラーゼ1、I-19、NIM-R5抗原が含まれる。
【0427】
本明細書において記載されるCD38結合ペプチドおよびCD38でないペプチドの両方に関するペプチドという用語は、任意の好適なペプチドを含み、ならびに特に明記しない限り、または文脈上矛盾しない限り、その他のポリペプチドおよびタンパク質という用語と同義的に用いることができる;ただし、各々の種類のそれぞれのアミノ酸ポリマーを含む分子が有意な相違と関連し、およびそれによって本発明の個々の態様を形成することができるということを読み手が認識するものとする(例えば、複数のポリペプチド鎖から構成される、抗体などのペプチドは、例えば、単鎖抗体、ペプチド免疫アドヘシン、または単鎖免疫原性ペプチドとは有意に異なる)。それゆえに、本明細書において、ペプチドという用語は通常、(タンパク質分子中のアミノ酸の数および関連する鎖の数に関して)任意の好適なサイズおよび組成の任意の好適なペプチドを指すものとして理解されるべきである。さらに、本明細書において記載される発明の方法および組成物の文脈にあるペプチドは、特に明記しない限り、または文脈上矛盾しない限り、非天然および/または非L-アミノ酸残基を含んでもよい。
【0428】
本明細書においてさらに議論されることになるが、特に明記しない限り、または文脈上矛盾しない限り、ペプチドという用語(ならびにポリペプチドおよび/またはタンパク質という用語の個々の態様として議論される場合)は、誘導体化したペプチド分子も包含する。簡潔に述べると、本発明の文脈において、誘導体は、(例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成、もしくはアミド形成によって)ペプチドの1つもしくは複数のアミノ酸残基が化学的に改変され、または1つもしくは複数の非アミノ酸の有機および/もしくは無機の原子置換基もしくは分子置換基(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)基、(任意で、β-アラニン、γ-アミノブチル酸(GABA)、L/D-グルタミン酸、およびそれらと同様のものなどのスペーサー残基もしくはスペーサー基によってペプチドのアミノ酸配列と連結され得る)親油性置換基、フルオロフォア、ビオチン、放射性核種など)と会合したペプチドであり、ならびに特に明記しない限り、または文脈上矛盾しない限り、非必須アミノ酸残基、非天然アミノ酸残基、および/または非L-アミノ酸残基を同じようにまたは代わりに含んでもよい(しかしながら、そのような誘導体は、それ自体および自ずと、本発明の独立な素性と考えられてもよく、ならびにそのような分子をペプチドの意味に含めることは、裸のタンパク質とそのような誘導体の間の任意の種類の同等性を含意するためにというよりもむしろ本発明を記載する際の利便性のためになされるということが再度認識されるべきである)。そのようなアミノ酸残基の非限定的な例として、例えば、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリジン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、およびスタチンハロゲン化アミノ酸が含まれる。
【0429】
抗原結合ペプチドは、抗原と関連する生理的効果を誘導、促進、増強、および/もしくはさもなければ調整し;ELISA、ウェスタンブロット、もしくは本明細書において記載されたおよび/もしくは当技術分野において公知のその他の同様に好適なタンパク質結合技術による検出を可能にし、ならびに/またはさもなければ相当な期間(例えば、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、約1~24時間、約1~36時間、約1~48時間、約1~72時間、約1週間、もしくはそれより長く)の後で検出可能なほどにそれに結合するのに十分なかなりの量の時間の間、細胞条件下および/または生理的条件下で、所与の抗原の一部に特異的に結合する任意のペプチドを指す。
【0430】
CD38結合ペプチド、またはCD38BPは、抗原CD38に特異的に結合する抗原結合ペプチドである。ある態様において、実施例4に記載された方法の使用によって、CD38BPのCD38への結合を決定する。
【0431】
免疫グロブリンという用語は、4つ全てがジスルフィド結合で相互接続された、1対の軽(L)低分子量鎖および1対の重(H)鎖という、2対のポリペプチド鎖からなる構造的に関連のある糖タンパク質の部類を指す。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けされている。例えば、Fundamental Immunology第7章(Paul, W編, 第2版, Raven Press, N.Y.(1989))を参照されたい。簡潔に述べると、各々の重鎖は、典型的には重鎖可変領域(本明細書においてVHと略す)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、典型的には3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3から構成される。各々の軽鎖は、典型的には軽鎖可変領域(本明細書においてVLと略す)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、典型的には1つのドメイン、CLから構成される。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる、超可変の領域(または配列および/もしくは構造的に定義されたループが超可変性であることができる超可変領域)にさらに細かく分けることができる。
【0432】
各々のVH領域およびVL領域は、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で整列した、3つのCDRおよび4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196, 901-917(1987)も参照)。典型的には、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991)に記載された方法によって、この領域におけるアミノ酸残基の付番を行う(Kabatと同様のまたはKabatによる可変ドメイン残基付番などの語句は、本明細書において重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに関するこの付番体系を指す)。この付番体系を用いると、ペプチドの実際の線状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮、または可変ドメインのFRもしくはCDRへの挿入に対応するより少ないアミノ酸またはさらなるアミノ酸を含んでもよい。例えば、重鎖可変ドメインは、VH CDR2の残基52の後ろの1アミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)ならびに重鎖FR残基82の後ろの挿入残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、および82cなど)を含んでもよい。抗体の配列が「標準的な」Kabat付番配列と相同な領域におけるアラインメントによって、所与の抗体について、残基のKabat付番を決定してもよい。
【0433】
本発明の文脈における抗体(Ab)という用語は、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間もしくはそれより長く、約48時間もしくはそれより長く、約3、4、5、6、7日もしくはそれより長い日数などのようなかなりの期間、または(抗体の抗原への結合と関連する生理的反応を誘導、促進、増強、および/もしくは調整するのに十分な時間などの)任意のその他の機能的に定義された期間の間、典型的な生理的条件下で、抗原に特異的に結合する能力を有する、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の断片、またはそのいずれかの誘導体を指す。
【0434】
免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体(Ab)の定常領域は、(エフェクター細胞などの)免疫系の様々な細胞および古典的補体系の第1成分(CIq)を含む、宿主組織または宿主因子への免疫グロブリンの結合を仲介する可能性がある。
【0435】
抗CD38抗体は、二重特異性抗体、ダイアボディ、または同様の分子であってもよい(ダイアボディの記載については、例えば、PNAS USA 90(14), 6444-8(1993)参照)。実際、本発明によって提供される、二重特異性抗体、ダイアボディ、およびそれらと同様のものは、CD38の一部に加えて、任意の好適な標的に結合してもよい。
【0436】
上で示されたように、本明細書における抗体という用語は、特に明記しない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の断片を含む。全長抗体の断片によって抗体の抗原結合機能を発揮することができるということが示されている。「抗体」という用語の中に包含される結合断片の例として、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる1価の断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む2価の断片である、F(ab)2断片およびF(ab')2断片;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインから本質的になるFd断片;(iv)抗体の単一腕のVLドメインおよびVHドメインから本質的になるFv断片;(v)VHドメインから本質的になる、dAb断片(Ward et al., Nature 341, 544-546(1989));(vi)単離された相補性決定領域(CDR);ならびに(vii)任意で合成リンカーによって繋がれ得る2つまたはそれより多くの単離されたCDRの組み合わせが含まれる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされているが、VL領域およびVH領域が対を成して1価の分子(単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)として公知、例えば、Bird et al., Science 242, 423-426(1988)およびHustin et al., PNAS USA 85, 5879-5883(1988)参照)を形成する、単一のタンパク質鎖としてそれらを生成できるようにする合成リンカーによって、組換え法を用いて、それらをつなぐことができる。特に言及しない限り、または文脈上明示しない限り、そのような単鎖抗体を、抗体という用語に包含する。ダイアボディなどの、その他の形態の単鎖抗体を、抗体という用語の中に含める。そのような断片は通常、抗体の意味の中に含まれているが、それらはまとめておよび各々独立に本発明の独自の素性であり、異なる生物学的特性および有用性を示す。本発明の文脈におけるこれらのおよびその他の有用な抗体をさらに本明細書において議論する。
【0437】
抗体という用語は通常、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体およびヒト化抗体などの、抗体様ポリペプチド、抗体に対する抗イデオタイプ(抗-Id)抗体、ならびに酵素的切断、ペプチド合成、および組換え技術などの、任意の公知の技術によって提供される抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体断片(抗原結合断片)も含むということもまた理解されるべきである。作製されたような抗体は任意のアイソタイプを保有することができる。
【0438】
抗CD38抗体は、抗原CD38に特異的に結合する、上記のような抗体である。
【0439】
「エピトープ」という用語は、抗体への特異的結合が可能なタンパク質決定基を意味する。エピトープは通例、アミノ酸または糖側鎖などの化学的に活性のある表面の分子の集団からなり、および通例、特異的な電荷特徴だけでなく、特異的な3次元構造特徴も有する。変性溶媒の存在下、前者への結合は失われるが、後者への結合は失われないという点で、立体配座的エピトープおよび非立体配座的エピトープは区別される。エピトープは、結合に直接的に関与するアミノ酸残基(エピトープの免疫優勢な構成要素とも呼ばれる)および特異的に抗原に結合するペプチドによって効果的に遮断されるアミノ酸残基などの(言い換えると、アミノ酸残基が、特異的に抗原に結合するペプチドの足跡の範囲にある)、結合に直接的には関与しない、その他のアミノ酸残基を含んでもよい。
【0440】
「二重特異性分子」という用語は、2つの異なる結合特異性を有する、タンパク質、ペプチド、またはタンパク質もしくはペプチド複合体などの、任意の作用物質を含むよう意図されている。例えば、本分子は、(a)細胞表面抗原および(b)エフェクター細胞の表面上のFc受容体と結合し、または相互作用してもよい。「多重特異性分子」という用語は、2つより多くの異なる結合特異性を有する、例えば、タンパク質、ペプチド、またはタンパク質もしくはペプチド複合体などの、任意の作用物質を含むよう意図されている。例えば、本分子は、(a)細胞表面抗原、(b)エフェクター細胞の表面上のFc受容体、および(c)少なくとも1つのその他の構成要素と結合し、または相互作用してもよい。したがって、本発明は、CD38を指向し、およびエフェクター細胞上のFc受容体などの、その他の細胞表面抗原または標的を指向する二重特異的分子、三重特異的分子、四重特異的分子、およびその他の多重特異的分子を含むが、これらに限定されない。
【0441】
「二重特異性抗体」という用語は、二重特異性分子である、任意の抗CD38抗体を含むよう意図されている。「二重特異性抗体」という用語はまた、ダイアボディを含む。ダイアボディは、VHドメインおよびVLドメインは単一ポリペプチド鎖上に発現しているが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを用い、それによってドメインを別の鎖上の相補性領域と対合させ、および2つの抗原結合部位を創り出している、2価の、二重特異性抗体である(例えば、Holliger, P. et al., PNAS USA 90, 6444-6448(1993), Poljak, R. J. et al., Structure 2, 1121-1123(1994)参照)。
【0442】
本明細書において用いられる場合、「エフェクター細胞」という用語は、免疫反応の認知相および活性化相とは対照的に、免疫反応のエフェクター相に関与する免疫細胞を指す。例示的な免疫細胞には、例えば、(B細胞および細胞溶解性T細胞(CTL)を含むT細胞)リンパ球、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、多形核細胞、顆粒球、肥満細胞、ならびに好塩基球などの、骨髄起源またはリンパ起源の細胞が含まれる。エフェクター細胞の中には、特異的Fc受容体を発現し、かつ特異的免疫機能を実行するものがある。幾つかの態様において、エフェクター細胞は、好中球がADCCを誘導することができるような、抗体依存性細胞毒性(ADCC)を誘導することができる。例えば、FcRを発現する、単球、マクロファージは、標的細胞の特異的殺傷および免疫系のその他の構成要素に対する抗原の提示、または抗原を提示する細胞への結合に関与する。幾つかの態様において、エフェクター細胞は、標的抗原、標的細胞、または微生物を貪食してもよい。エフェクター細胞上の特定のFcRの発現を、サイトカインなどの体液性因子によって調節することができる。例えば、FcγRIの発現は、インターフェロンγ(IFN-γ)および/またはG-CSFによって上方制御されることが分かっている。この増強された発現によって、FcγRIを持つ細胞の標的に対する細胞毒性活性が増大する。エフェクター細胞は、標的抗原または標的細胞を貪食または溶解することができる。
【0443】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書において用いられる場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する抗体を含むよう意図されている。本発明のヒト抗体には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム突然変異生成もしくは部位特異的突然変異生成によってまたはインビボでの体細胞突然変異によって導入された突然変異)が含まれてもよい。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書において用いられる場合、マウスなどの、別の哺乳動物種の生殖系列由来のCDRがヒトフレームワーク配列に継ぎ足された抗体を含むよう意図されていない。
【0444】
本明細書において用いられる場合、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を持っているトランスジェニックマウスを免疫することによって、またはヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって、抗体がヒト免疫グロブリン配列を用いた系から得られ、および選択されたヒト抗体が、生殖系列VH可変領域遺伝子断片またはVL可変領域遺伝子断片によってコードされたアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列中少なくとも95%などの、少なくとも90%、少なくとも97%などの、例えば少なくとも96%、または少なくとも99%などの、例えば少なくとも98%同一ならば、ヒト抗体は特定の生殖系列配列「に由来」している。典型的には、特定のヒト生殖系列VH可変領域遺伝子断片またはVL可変領域遺伝子断片由来のヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列との、わずか5アミノ酸の違いなどの、わずか10アミノ酸残基の違い、例えば、わずか4、3、2、または1アミノ酸の違いを示すと考えられる。
【0445】
キメラ抗体は、1つの抗体由来の1つまたは複数の領域、および別の種に由来する1つまたは複数のその他の抗体由来の1つまたは複数の領域を含む抗体である。1価のキメラ抗体は、キメラL鎖とのジスルフィド架橋を通して会合したキメラH鎖によって形成された二量体(HL)である。2価のキメラ抗体は、少なくとも1つのジスルフィド架橋を通して会合した2つのHL二量体によって形成されたテトラマー(H2L2)である。また、例えば、オリゴマー化するCH領域(例えば、IgM H鎖、またはμ鎖由来)を利用することによって、多価のキメラ抗体を産生してもよい。典型的には、キメラ抗体は、重鎖および/もしくは軽鎖の一部が特定の種由来の抗体における配列と同一もしくは相同であり、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属し、その一方、鎖の残りの部分は別の種に由来する抗体における配列と同一もしくは相同であり、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体だけでなく、それらが所望の生物学的活性を発揮する限り、そのような抗体の断片も指す(例えば、米国特許第4,816,567号およびMorrison et al., PNAS USA 81, 6851-6855(1984)参照)。キメラ抗体を当技術分野において周知の組換え過程によって産生する(例えば、Cabilly et al., PNAS USA 81, 3273-3277(1984)、Morrison et al., PNAS USA 81, 6851-6855(1984)、Boulianne et al., Nature 312, 643-646(1984)、欧州特許第125023号、Neuberger et al., Nature 314, 268-270(1985)、欧州特許第171496号、欧州特許第173494号、国際公開公報第86/01533号、欧州特許第184187号、Sahagan et al., J. Immunol. 137, 1066-1074(1986)、国際公開公報第87/02671号、Liu et al., PNAS USA 84, 3439-3443(1987)、Sun et al., PNAS USA 84, 214-218(1987)、Better et al., Science 240, 1041-1043(1988)、およびHarlow et al., Antibodies: A Loboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,(1988)参照)。
【0446】
ヒト化抗体は、重鎖および軽鎖のフレームワークドメインならびに定常ドメイン中のある種のアミノ酸が、ヒトにおける免疫反応を回避または廃止するように突然変異されている、非ヒト種に由来する抗体である。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含むキメラ抗体である。大体において、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来残基が、特異性、および親和性などの所望の抗原結合特徴を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種の超可変領域由来残基(ドナー抗体)で置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。幾つかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基と交換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にまたはドナー抗体に見出されない残基を含んでもよい。これらの改変は、抗体性能をさらに最適化するために施される。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのループに対応し、かつFR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFR領域である、少なくとも1つの、および典型的には2つの、可変ドメインの実質的に全てを含むと考えられる。ヒト化抗体は任意で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれをも含むと考えられる。さらに詳細については、Jones et al., Nature 321, 522-525(1986)、Riechmann et al., Nature 332, 323-329(1988)、およびPresta, Curr. Op. Struc. Biol. 2, 593-596(1992)を参照されたい。
【0447】
「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書において用いられる場合、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一結合特異性および親和性を提示する。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する単一結合特異性を提示する抗体を指す。ヒトモノクローナル抗体を、不死化細胞と融合した、ヒト重鎖トランスジーンおよび軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスなどの、トランスジェニック非ヒト動物または導入染色体性(transchromosomal)非ヒト動物から得られたB細胞を含むハイブリドーマで作製してもよい。モノクローナル抗体は、mAbと略してもよい。
【0448】
「組換えヒト抗体」という用語は、本明細書において用いられる場合、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックまたは導入染色体性(マウスなどの)動物またはそこから調製されたハイブリドーマ(本明細書において別の場所でさらに記載する)から単離された抗体、(b)トランスフェクトーマからのような、抗体を発現するよう形質転換された宿主細胞から単離された抗体、(c)組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列のその他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意のその他の手段によって調製、発現、作製、もしくは単離された抗体などの、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離された全てのヒト抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。ある種の態様において、しかしながら、そのような組換えヒト抗体をインビトロ突然変異生成(または、ヒトIg配列のトランスジェニック動物を用いる場合、インビボ体細胞突然変異生成)に供してもよく、およびしたがって組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列およびVL配列に由来しかつヒト生殖系列VH配列およびVL配列に関連するものの、インビボにおけるヒト抗体生殖系列レパートリーに天然には存在し得ない、配列である。
【0449】
本明細書において用いられる場合、「異種抗体」は、そのような抗体を産生するトランスジェニック非ヒト生物との関連において定義される。この用語は、非ヒト動物からならない生物に見出され、および通常トランスジェニック非ヒト動物の生物以外の種から見出されるアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。
【0450】
「単離された抗体」は、本明細書において用いられる場合、異なる抗原特異性を有するその他の抗体が実質的にない抗体を指すよう意図されている(例えば、CD38に特異的に結合する単離された抗体は、CD38以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。ヒトCD38のエピトープ、アイソフォーム、または変異体に特異的に結合する単離された抗体は、しかしながら、例えばその他の種由来の、その他の関連抗原(CD38種ホモログ)に対する交差反応性を有してもよい。さらに、単離された抗体は、その他の細胞性物質および/または化学物質が実質的になくてもよい。本発明のある態様において、異なる特異性を有する「単離された」モノクローナル抗体の組み合わせを、十分に定義された組成物中で組み合わせる。
【0451】
本明細書において用いられる場合、「特異的結合」とは、所定の抗原に結合する、抗体などの、抗原結合ペプチドを指す。典型的には、抗体などの、抗原結合ペプチドは、組換えCD38をリガンドとしておよび抗体を分析物として用いて、BIAcore3000計器で表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって決定した場合、約10-7Mもしくはそれ未満、約10-8Mもしくはそれ未満など、約10-9Mもしくはそれ未満など、約10-10Mもしくはそれ未満、または約10-11Mもしくはさらにそれ未満のKDに対応する親和性で結合する。抗原結合ペプチドは、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性よりも、少なくとも10倍低く、例えば少なくとも100倍低いような、例えば少なくとも1000倍低く、例えば少なくとも10,000倍低いような、例えば少なくとも100,000倍低いKDに対応する親和性で所定の抗原に結合してもよい。親和性がより低い量は、抗原結合ペプチドのKDに依存し、それゆえ、抗原結合ペプチドのKDが非常に低い(すなわち、抗原結合ペプチドが極めて特異的である)場合、抗原に対する親和性が非特異的抗原に対する親和性よりも低い量は少なくとも10,000倍である。「抗原を認識する抗原結合ペプチド」および「抗原に特異的な抗原結合ペプチド」という語句は、本明細書において、「抗原に特異的に結合する抗原結合ペプチド」という用語と互換的に用いられる。同様に、「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」という語句は、本明細書において、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と互換的に用いられる。
【0452】
「kd」(sec-1)という用語は、本明細書において用いられる場合、特定の抗体-抗原反応の解離平衡速度定数を指すよう意図されている。該値はkoff値とも称される。
【0453】
「ka」(M-1×sec-1)という用語は、本明細書において用いられる場合、特定の抗体-抗原反応の会合平衡速度定数を指すよう意図されている。
【0454】
「KD」(M)という用語は、本明細書において用いられる場合、特定の抗体-抗原反応の解離平衡定数を指すよう意図されている。
【0455】
「KA」(M-1)という用語は、本明細書において用いられる場合、特定の抗体-抗原反応の会合平衡定数を指すよう意図され、およびkaをkdで割ることによって得られる。
【0456】
本明細書において用いられる場合、「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM)を指す。
【0457】
本明細書において用いられる場合、「アイソタイプスイッチング」とは、抗体のクラス、またはアイソタイプが、1つの免疫グロブリンクラスからその他の免疫グロブリンクラスの1つに変化する現象を指す。
【0458】
本明細書において用いられる場合、「スイッチしていないアイソタイプ」とは、アイソタイプスイッチングが起こっていない時に産生される重鎖のアイソタイプクラスを指し;スイッチしていないアイソタイプをコードするCH遺伝子は、典型的には、機能的に再配置したVDJ遺伝子のすぐ下流の最初のCH遺伝子である。アイソタイプスイッチングは、古典的アイソタイプスイッチングまたは非古典的アイソタイプスイッチングとして分類されている。古典的アイソタイプスイッチングは、トランスジーンにおける少なくとも1つのスイッチ配列領域が関わる組換え事象によって生じる。非古典的アイソタイプスイッチングは、例えば、ヒトσμとヒトのΣμ(δ関連欠失)間の相同組換えによって生じてもよい。とりわけ、トランスジーン間の組換えおよび/または染色体間の組換えなどの、代わりの非古典的スイッチング機構が生じ、およびアイソタイプスイッチングを引き起こしてもよい。
【0459】
本明細書において用いられる場合、「スイッチ配列」という用語は、スイッチ組換えを担うそれらのDNA配列を指す。典型的にはμスイッチ領域である、「スイッチ供与体」配列は、スイッチ組換えの間に欠失されるべき構築物領域の5'(すなわち、上流)にあると考えられる。「スイッチ受容体」領域は、欠失されるべき構築物領域と交換定常領域(例えば、γ、εなど)の間にあると考えられる。組換えが常に生じる特異的部位はないので、最終的な遺伝子配列は典型的には、構築物から予測可能ではないと考えられる。
【0460】
本明細書において用いられる場合、「グリコシル化パターン」は、タンパク質に、より具体的には免疫グロブリン(抗体)タンパク質に共有結合で付着した炭水化物単位のパターンと定義される。異種抗体のグリコシル化のパターンが、トランスジーンのCH遺伝子が由来した種よりも非ヒトトランスジェニック動物の種におけるグリコシル化のパターンに類似していると当業者が認識すると考えられる場合、異種抗体のグリコシル化パターンは、非ヒトトランスジェニック動物の種によって産生される抗体上に天然に生じるグリコシル化パターンと実質的に類似していると特徴付けてもよい。
【0461】
「天然の」という用語は、対象物に適用されるように本明細書において用いられる場合、対象物を自然界で見つけることができるという事実を指す。例えば、自然界にある源から単離することができ、かつ実験室で人によって意図的に改変されていない(ウイルスを含む)生物中に存在するポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は天然である。
【0462】
「再配置された」という用語は、本明細書において用いられる場合、Vセグメントがそれぞれ、本質的に完全なVHドメインもしくはVLドメインをコードする立体配座中のD-JセグメントまたはJセグメントのすぐ隣に位置している重鎖または軽鎖免疫グロブリン座の立体配置を指す。再配置された免疫グロブリン(抗体)遺伝子座は生殖系列DNAとの比較によって同定することができ;再配置された座は少なくとも1つの組換えられたヘプタマー/ノナマー相同性要素を有すると考えられる。
【0463】
「再配置していない」または「生殖系列立体配置」という用語は、Vセグメントとの関連で本明細書において用いられる場合、VセグメントがDセグメントまたはJセグメントのすぐ隣になるように組換えられていない立体配置を指す。
【0464】
「核酸分子」という用語は、本明細書において用いられる場合、DNA分子およびRNA分子を含むよう意図されている。核酸分子は1本鎖または2本鎖であってもよいが、好ましくは2本鎖DNAである。核酸は、細胞全体に、細胞溶解物に存在してもよく、または部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在してもよい。アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および当技術分野において周知のその他の技術などの、標準的技術によって、その他の細胞性核酸もしくはタンパク質などの、その他の細胞成分またはその他の汚染物質から精製された場合、核酸は「単離される」または「実質的に純粋である」。F. Ausubel et al., 編, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley InterScience New York(1987)を参照されたい。
【0465】
それが別の核酸配列との機能的関係に置かれている場合、核酸は「機能的に連結されて」いる。例えば、それが配列の転写に影響を与える場合、プロモーターまたはエンハンサーは、コード配列に機能的に連結されている。調節配列の転写に関して、機能的に連結されたとは、連結されているDNA配列が連続的であり、および2つのタンパク質コード領域をつなぐ必要がある場合には、連続的でかつリーディングフレームにあるということを意味する。スイッチ配列については、機能的に連結されたとは、配列がスイッチ組換えをもたらすことができるということを示す。
【0466】
本明細書において用いられる場合、(例えば細胞に関して)「増殖を阻害する」という用語は、抗CD38抗体などの、CD38BPと接触していない同じ細胞の増殖と比較して、抗CD38抗体などの、CD38BPと接触した時の任意の測定可能な細胞増殖の減少、例えば少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または100%の細胞培養の増殖の阻害、を含むよう意図されている。
【0467】
本明細書において用いられる場合、(例えばCD38に対するCD38結合パートナーの結合の阻害/遮断に関して)「結合を阻害する」および「結合を遮断する」という用語は互換的に用いられ、かつ部分的な阻害/遮断および完全な阻害/遮断の両方を包含する。CD38に対するCD38結合相手の結合の阻害/遮断によって、阻害または遮断を伴わずにCD38結合パートナーがCD38に結合する時に生じる細胞シグナリングの正常レベルもしくは種類が低下または変化してもよい。阻害および遮断はまた、抗CD38抗体などの、CD38BPと接触していないリガンドの増殖と比較して、抗CD38抗体などの、CD38BPと接触した時の任意の測定可能なCD38に対するCD38結合パートナーの結合親和性の減少、例えば少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%、または100%のCD38に対するCD38結合パートナーの結合の阻害を含むよう意図されている。
【0468】
「標的細胞」は、本発明の(例えば、ヒトモノクローナル抗CD38抗体、および/またはCD38を指向する二重特異性分子もしくは多重特異性分子などの、CD38BPを含む)組成物によって標的することができる対象(例えばヒトまたは動物)における任意の望ましくない細胞を意味すると考えられる。幾つかの態様において、標的細胞は、CD38を発現または過剰発現する細胞である。CD38を発現する細胞には、典型的には、髄質胸腺細胞、活性化したT細胞およびB細胞、80%の休止NK細胞および単球、リンパ節胚中心リンパ芽球、形質B細胞および幾つかの濾胞内細胞、樹状細胞、正常骨髄細胞、特定の前駆細胞、50~80%の臍帯血細胞、赤血球、ならびに血小板などの、造血細胞が含まれる。CD38は、腸の上皮内細胞および固有層リンパ球などの、非造血細胞によって、脳のプルキンエ細胞および神経線維のもつれによって、前立腺の上皮細胞、膵臓のβ-細胞、骨の破骨細胞、目の網膜細胞、ならびに平滑筋および横紋筋の筋鞘によって、発現される可能性もある。悪性細胞に関して、CD38は、多発性骨髄腫、原発性または二次性形質細胞白血病、B細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞急性リンパ球性白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症、原発性全身性アミロイドーシス、マントル細胞リンパ腫、前リンパ球性/骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、濾胞性リンパ腫、およびNK細胞白血病を含むが、これらに制限されない、様々な悪性血液疾患で発現している。
【0469】
本明細書において用いられる場合、「ベクター」という用語は、別の核酸をそれが連結されているところに移すことができる核酸分子を指すよう意図されている。ある種類のベクターは、その中にさらなるDNAセグメントをライゲートし得る環状2本鎖DNAループを指す、「プラスミド」である。別の種類のベクターは、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノムの中にライゲートし得る、ウイルスベクターである。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自律的複製をすることができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム性の哺乳動物ベクター)。宿主細胞への導入によって、(非エピソーム性の哺乳動物ベクターなどの)その他のベクターは、宿主細胞のゲノムに組み入れられることができ、およびそれによって宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが機能的に連結される遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」(または単に、「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技術において有用性のある発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。プラスミドは最も一般的に用いられるベクターの形態であるので、本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」を互換的に用いてもよい。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たす、(複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスなどの)ウイルスベクターなどの、その他の形態の発現ベクターを含むよう意図されている。
【0470】
本明細書において用いられる場合、「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターが導入された細胞を指すよう意図されている。そのような用語は特定の対象細胞だけでなくそのような細胞の子孫も指すよう意図されているということが理解されるべきである。突然変異または環境的影響のいずれかによって、ある種の改変が後の世代で生じ得るので、そのような子孫は実際、親細胞と同一ではない可能性があるが、本明細書において用いられる「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。例えば、組換え宿主細胞には、CHO細胞、NS/0細胞、およびリンパ球細胞などの、トランスフェクトーマが含まれる。
【0471】
「調節配列」という用語は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー、およびその他の発現制御エレメント(例えばポリアデニル化シグナル)を含むよう意図されている。そのような調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif.(1990)に記載されている。調節配列の選択を含む、発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞の選別、所望のタンパク質の発現のレベルなどのような要素に依存し得るということが当業者には正しく理解されると考えられる。哺乳動物宿主細胞発現のための調節配列の例として、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、およびポリオーマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を導くウイルスエレメントが含まれる。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはβ-グロビンプロモーターなどの、非ウイルス調節配列を用いてもよい。
【0472】
本明細書において用いられる場合、「対象」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などのような、哺乳動物および非哺乳動物を含む。
【0473】
様々な形態の「トランスフェクション」という用語は、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクション、リポフェクチントランスフェクション、およびそれらと同様の技術などの、原核細胞または真核細胞宿主細胞への外来DNAの導入のために一般的に用いられる幅広い種類の技術を包含するよう意図されている。
【0474】
本明細書において用いられる場合、「トランスフェクトーマ」という用語は、CHO細胞、NS/0細胞、HEK293細胞、植物細胞、または酵母細胞を含む、菌類などの、抗体を発現する組換え真核宿主細胞を含む。
【0475】
「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などのような、哺乳動物および非哺乳動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などのような、哺乳動物および非哺乳動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などのような、哺乳動物および非哺乳動物を含む。
【0476】
「トランスジェニック、非ヒト動物」という用語は、(動物の天然ゲノムDNAに組み入れられているかまたは組み入れられていないかのいずれかの)1つまたは複数の重鎖および/または軽鎖トランスジーンまたはトランスクロモソームゲノムを有し、かつ完全なヒト抗体を発現することができる非ヒト動物を指す。例えば、トランスジェニックマウスは、CD38抗原および/またはCD38を発現する細胞で免疫された場合に、マウスがヒト抗CD38抗体を産生するように、ヒト軽鎖トランスジーンおよびヒト重鎖トランスジーンまたはヒト重鎖トランスクロモソームを有することができる。ヒト重鎖トランスジーンは、例えばHCo7もしくはHCo12のような、HuMAbマウスなどの、トランスジェニックマウスについての場合と同様に、マウスの染色体DNAに取り入れられることができ、またはヒト重鎖トランスジーンは、国際公開公報第02/43478号に記載されているような導入染色体性KMマウスについての場合と同様に、染色体外で維持されることができる。(本明細書において「トランスジェニックマウス」と総称される)そのようなトランスジェニックマウスおよび導入染色体性マウスは、V-D-J組換えおよびアイソタイプスイッチングを経ることによって、(IgG、IgA、IgM、IgD、および/またはIgEなどの)所与の抗原に対する多数のアイソタイプのヒトモノクローナル抗体を産生することができる。トランスジェニック、非ヒト動物はまた、例えば本遺伝子を動物の乳で発現する遺伝子に機能的に連結することによって、そのような特定の抗体をコードする遺伝子を導入することにより、特定の抗原に対する抗体の産生に用いることができる。
【0477】
本明細書における特異性という用語は、抗CD38抗体などの、CD38結合ペプチドが、(抗CD38抗体などの、その他のCD38BPによって結合されるその他のエピトープを含む)CD38のその他の部分との検出可能な反応性をほんのわずかしか有さないまたは全く有さないのに対し、CD38内のエピトープを認識する能力を指す。特異性は、本発明において記載されたような競合アッセイ法によって、相対的に決定することができる。特異性は、本明細書において記載されたような任意のエピトープ同定/特徴解析技術または当技術分野において公知のそれらの同等物によって、より具体的に決定することができる。
【0478】
特定の抗原決定基に対する特異的抗体は、それでもやはり、CD38とのある生物学的文脈に存在し得るその他の生体分子と交差反応する可能性がある。より典型的には、抗CD38抗体などの、CD38BPは、その他の種由来のCD38ホモログと交差反応する可能性がある。いずれかのまたは両方の文脈において、典型的にそのような交差反応性抗体は、関連がある構造および/または環境要因に関して、ヒトCD38に選択的である。
【0479】
本明細書における選択性という用語は、特定の領域、標的、またはペプチド;典型的には、1つまたは複数のその他の生物学的分子、構造、細胞、組織などとは対立するものとしての、CD38における領域またはエピトープに対する、抗CD38抗体などの、CD38BPの優先的結合を指す。ある態様において、本発明の、抗CD38抗体などの、CD38BPは、大腸癌細胞の文脈におけるCD38の部分に選択的である(すなわち、抗CD38抗体は、大腸癌細胞のその他の構成要素よりもCD38の部分に選択的に結合すると考えられる)。
【0480】
本発明のCD38BPは典型的には、少なくとも実質的に単離された形態で使用および提供される。実質的に単離された分子は、それが属する分子の部類に関してそれが見出される組成物において優勢種である分子である(すなわち、それは、組成物中の分子の種類の少なくとも約50%を構成し、および典型的には、組成物中の分子、例えばペプチド、の種の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれより多くを構成すると考えられる(例えば、組成物は、全ての存在するペプチド種の文脈において、CD38BPについて少なくとも約98%、98%、または99%均一性を示すと考えられる))。
【0481】
単離された分子は、(約1%より大きい、約2%より大きい、約3%より大きい、または約5%より大きいなどの)かなりのレベルの、CD38BPを産生する細胞または動物内に含まれる非CD38結合生体分子(または本発明のCD38BPの結合および/もしくは活性に干渉し得るCD38結合分子)などの、任意の異質でかつ望ましくない生理学的因子と会合していない分子を指す。単離された分子はまた、(自動であれ、手動であれ、または両方であれ)ヒトの介入によるそのような精製の段階を経た任意の分子を指す。1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む組成物でのような、本発明によって提供される様々な組成物の多くにおいて、CD38BPは(例えば、大量の薬学的に許容される担体、安定化剤、および/または防腐剤を含む組成物の場合に)、組成物中の全分子種の数の点では比較的少量で存在してもよい。場合によっては、BSAなどの、さらなるペプチドを、それまでに精製したCD38BPと共にそのような組成物中に含めてもよい。しかしながら、組成物のそのようなさらなる構成物質が、CD38BPの意図された用途に対して許容されるならば、そのような組成物は依然として、単離されたCD38BPを含むと記載することができる。
【0482】
本発明のCD38BPは典型的には、異なる抗原特異性を有するCD38BPなどの、その他のCD38BPを実質的に含まない。しかしながら、本発明は、異なる特異性および特徴のある多数のCD38BPを含む組成物も実際に提供する(例えば、本発明は、異なる特異性および/または選択性特徴を有するCD38BPの「カクテル」を提供する)。
【0483】
「処置」は、症状および疾患状態を緩和、改善、または根絶(治療)するという目的を伴う有効量の薬学的活性のある本発明の化合物の投与を意味する。
【0484】
ある態様において、本発明は、配列番号:2の配列から本質的になるVL領域を含むCD38BPを提供する。
【0485】
ある態様において、本発明は、配列番号:6の配列から本質的になるVH領域を含むCD38BPを提供する。
【0486】
ある態様において、本発明は、配列番号:2の配列から本質的になるVL領域および配列番号:6の配列から本質的になるVH領域を含むCD38BPを提供する。
【0487】
ある態様において、本発明は、配列番号:3の配列から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0488】
ある態様において、本発明は、配列番号:4の配列から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0489】
ある態様において、本発明は、配列番号:5の配列から本質的になるVL CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0490】
ある態様において、本発明は、配列番号:8の配列から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0491】
ある態様において、本発明は、配列番号:9の配列から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0492】
ある態様において、本発明は、配列番号:10の配列から本質的になるVH CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0493】
ある態様において、本発明は、それぞれ配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5の配列から本質的になるVL CDR(VL CDR1、CDR2、およびCDR3)を含むCD38BPを提供する。
【0494】
ある態様において、本発明は、それぞれ配列番号:8、配列番号:9、および配列番号:10の配列から本質的になるVH CDR(VH CDR1、CDR2、およびCDR3)を含むCD38BPを提供する。
【0495】
ある態様において、本発明は、以下を含むCD38BPを提供する
(a)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVL CDRの間隔に近い)配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5の配列から本質的になる、3つのVL CDRならびに
(b)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVH CDRの間隔に近い)配列番号:8、配列番号:9、および配列番号:10の配列から本質的になる3つのVH CDR。
【0496】
さらなる態様において、本発明は、CD38BPのVL領域およびVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むCD38BPを提供する。別のさらなる態様において、本発明は、VLおよびVH領域が免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈において別々の鎖上に提示され、ならびにVL CDR1、CDR2、CDR3ならびにVH CDR1、CDR2、およびCDR3が協調的に会合してCD38上の抗原決定基に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように配向されているCD38BPを提供する。別のさらなる態様において、本発明は、CD38BPが2つの同一な抗原決定基結合部位を含むように、2組の可変ドメイン(会合した別々の鎖上の会合したVLおよびVHドメインの組)を含むCD38BPを提供する。
【0497】
本段落において記載された任意のそのようなCD38BPは、少なくとも一部は、配列番号:2の配列を含むVL領域および配列番号:7の配列を含むVH領域を有する抗体と同様のエピトープ特異性、選択性、およびその他の特徴を有することが期待され、ならびに、したがって、多発性骨髄腫の処置に有用である可能性がある。
【0498】
ある態様において、本発明は、配列番号:12の配列から本質的になるVL領域を含むCD38BPを提供する。
【0499】
ある態様において、本発明は、配列番号:17の配列から本質的になるVH領域を含むCD38BPを提供する。
【0500】
ある態様において、本発明は、配列番号:12の配列から本質的になるVL領域および配列番号:17の配列から本質的になるVH領域を含むCD38BPを提供する。
【0501】
ある態様において、本発明は、配列番号:13の配列から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0502】
ある態様において、本発明は、配列番号:14の配列から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0503】
ある態様において、本発明は、配列番号:15の配列から本質的になるVL CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0504】
ある態様において、本発明は、配列番号:18の配列から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0505】
ある態様において、本発明は、配列番号:19の配列から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0506】
ある態様において、本発明は、配列番号:20の配列から本質的になるVH CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0507】
ある態様において、本発明は、それぞれ配列番号:13、配列番号:14、および配列番号:15の配列から本質的になるVL CDR(VL CDR1、CDR2、およびCDR3)を含むCD38BPを提供する。
【0508】
ある態様において、本発明は、それぞれ配列番号:18、配列番号:19、および配列番号:20の配列から本質的になるVH CDR(VH CDR1、CDR2、およびCDR3)を含むCD38BPを提供する。
【0509】
ある態様において、本発明は、以下を含むCD38BPを提供する
(a)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVL CDRの間隔に近い)配列番号:13、配列番号:14、および配列番号:15の配列から本質的になる、3つのVL CDRならびに
(b)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVH CDRの間隔に近い)配列番号:18、配列番号:19、および配列番号:20の配列から本質的になる3つのVH CDR。
【0510】
さらなる態様において、本発明は、CD38BPのVL領域およびVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むCD38BPを提供する。別のさらなる態様において、本発明は、VLおよびVH領域が免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈において別々の鎖上に提示され、ならびにVL CDR1、CDR2、CDR3ならびにVH CDR1、CDR2、およびCDR3が協調的に会合してCD38上の抗原決定基に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように配向されているCD38BPを提供する。別のさらなる態様において、本発明は、CD38BPが2つの同一な抗原決定基結合部位を含むように、2組の可変ドメイン(会合した別々の鎖上の会合したVLおよびVHドメインの組)を含むCD38BPを提供する。
【0511】
本段落において記載された任意のそのようなCD38BPは、少なくとも一部は、配列番号:12の配列を含むVL領域および配列番号:17の配列を含むVH領域を有する抗体と同様のエピトープ特異性、選択性、およびその他の特徴を有することが期待され、ならびに、したがって、多発性骨髄腫の処置に有用である可能性がある。
【0512】
ある態様において、本発明は、配列番号:22の配列から本質的になるVL領域を含むCD38BPを提供する。
【0513】
ある態様において、本発明は、配列番号:27の配列から本質的になるVH領域を含むCD38BPを提供する。
【0514】
ある態様において、本発明は、配列番号:22の配列から本質的になるVL領域および配列番号:27の配列から本質的になるVH領域を含むCD38BPを提供する。
【0515】
ある態様において、本発明は、配列番号:23の配列から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0516】
ある態様において、本発明は、配列番号:24の配列から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0517】
ある態様において、本発明は、配列番号:25の配列から本質的になるVL CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0518】
ある態様において、本発明は、配列番号:28の配列から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0519】
ある態様において、本発明は、配列番号:29の配列から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0520】
ある態様において、本発明は、配列番号:30の配列から本質的になるVH CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0521】
ある態様において、本発明は、それぞれ配列番号:23、配列番号:24、および配列番号:25の配列から本質的になるVL CDR(VL CDR1、CDR2、およびCDR3)を含むCD38BPを提供する。
【0522】
ある態様において、本発明は、それぞれ配列番号:28、配列番号:29、および配列番号:30の配列から本質的になるVH CDR(VH CDR1、CDR2、およびCDR3)を含むCD38BPを提供する。
【0523】
ある態様において、本発明は、以下を含むCD38BPを提供する
(a)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVL CDRの間隔に近い)配列番号:23、配列番号:24、および配列番号:25の配列から本質的になる、3つのVL CDRならびに
(b)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVH CDRの間隔に近い)配列番号:28、配列番号:29、および配列番号:30の配列から本質的になる3つのVH CDR。
【0524】
さらなる態様において、本発明は、CD38BPのVL領域およびVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むCD38BPを提供する。別のさらなる態様において、本発明は、VLおよびVH領域が免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈において別々の鎖上に提示され、ならびにVL CDR1、CDR2、CDR3ならびにVH CDR1、CDR2、およびCDR3が協調的に会合してCD38上の抗原決定基に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように配向されているCD38BPを提供する。別のさらなる態様において、本発明は、CD38BPが2つの同一な抗原決定基結合部位を含むように、2組の可変ドメイン(会合した別々の鎖上の会合したVLおよびVHドメインの組)を含むCD38BPを提供する。
【0525】
本段落において記載された任意のそのようなCD38BPは、少なくとも一部は、配列番号:22の配列を含むVL領域および配列番号:27の配列を含むVH領域を有する抗体と同様のエピトープ特異性、選択性、およびその他の特徴を有することが期待され、ならびに、したがって、多発性骨髄腫の処置に有用である可能性がある。
【0526】
ある態様において、本発明は、N末端残基および/またはC末端アミノ酸残基の1つ、2つ、もしくは3つが失われている、配列番号:3または配列番号:13または配列番号:23による配列から本質的になるVL CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0527】
ある態様において、本発明は、N末端残基の1つもしくは2つおよび/またはC末端アミノ酸残基の1つ、2つ、もしくは3つが失われている、配列番号:4または配列番号:14または配列番号:24による配列から本質的になるVL CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0528】
ある態様において、本発明は、N末端残基および/またはC末端アミノ酸残基の1つ、2つ、3つ、もしくは4つが失われている、配列番号:5または配列番号:15または配列番号:25による配列から本質的になるVL CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0529】
ある態様において、本発明は、N末端残基の1つ、2つ、3つ、もしくは4つおよび/またはC末端アミノ酸残基の1つ、2つ、もしくは3つが失われている、配列番号:8または配列番号:18または配列番号:28による配列から本質的になるVH CDR1を含むCD38BPを提供する。
【0530】
ある態様において、本発明は、そのN末端アミノ酸残基の1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つおよび/またはそのC末端アミノ酸残基の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つが失われている、配列番号:9または配列番号:19または配列番号:29による配列から本質的になるVH CDR2を含むCD38BPを提供する。
【0531】
ある態様において、本発明は、N末端の1つ、2つ、もしくは3つのアミノ酸残基および/またはC末端の1つ、2つ、3つ、もしくは4つのアミノ酸残基が失われている、配列番号:10または配列番号:20または配列番号:30による配列から本質的になるVH CDR3を含むCD38BPを提供する。
【0532】
本発明はまた、これらの「切断された」CDR配列が互いにおよび/または本明細書において記載されたその他のCDR配列と組み合わされているCD38BPを提供する。
【0533】
ある態様において、本発明は、以下を含むCD38BPを提供する
(a)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVL CDRの間隔に近い)配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5の配列から本質的になる、3つのVL CDRならびに
(b)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVH CDRの間隔に近い)配列番号:8、配列番号:9、および配列番号:10の配列から本質的になる3つのVH CDR。
【0534】
さらなる態様において、本発明は、CD38BPのVL領域およびVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むCD38BPを提供する。
【0535】
さらなる態様において、本発明は、VLおよびVH領域が免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈において別々の鎖上に提示され、ならびにVL CDR1、CDR2、CDR3ならびにVH CDR1、CDR2、およびCDR3が協調的に会合してCD38上の抗原決定基に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように配向されているCD38BPを提供する。さらなる態様において、本発明は、CD38BPが2つの同一な抗原決定基結合部位を含むように、2組の可変ドメイン(会合した別々の鎖上の会合したVLおよびVHドメインの組)を含むCD38BPを提供する。本段落において記載された任意のそのようなCD38BPは、少なくとも一部は、配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体と同様のエピトープ特異性、選択性、およびその他の特徴を有することが期待される。
【0536】
ある態様において、本発明は、以下を含むCD38BPを提供する
(a)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVL CDRの間隔に近い)配列番号:13、配列番号:14、および配列番号:15の配列から本質的になる、3つのVL CDRならびに
(b)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVH CDRの間隔に近い)配列番号:18、配列番号:19、および配列番号:20の配列から本質的になる3つのVH CDR。
【0537】
さらなる態様において、本発明は、CD38BPのVL領域およびVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むCD38BPを提供する。
【0538】
さらなる態様において、本発明は、VLおよびVH領域が免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈において別々の鎖上に提示され、ならびにVL CDR1、CDR2、CDR3ならびにVH CDR1、CDR2、およびCDR3が協調的に会合してCD38上の抗原決定基に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように配向されているCD38BPを提供する。さらなる態様において、本発明は、CD38BPが2つの同一な抗原決定基結合部位を含むように、2組の可変ドメイン(会合した別々の鎖上の会合したVLおよびVHドメインの組)を含むCD38BPを提供する。本段落において記載された任意のそのようなCD38BPは、少なくとも一部は、配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体と同様のエピトープ特異性、選択性、およびその他の特徴を有することが期待される。
【0539】
ある態様において、本発明は、以下を含むCD38BPを提供する
(a)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVL CDRの間隔に近い)配列番号:23、配列番号:24、および配列番号:25の配列から本質的になる、3つのVL CDRならびに
(b)単独で、CD38BP中で互いに近接近している(例えば、野生型の抗CD38抗体におけるVH CDRの間隔に近い)配列番号:28、配列番号:29、および配列番号:30の配列から本質的になる3つのVH CDR。
【0540】
さらなる態様において、本発明は、CD38BPのVL領域およびVH領域の間に位置する柔軟性のあるリンカーを含むCD38BPを提供する。
【0541】
さらなる態様において、本発明は、VLおよびVH領域が免疫グロブリンフォールドタンパク質の文脈において別々の鎖上に提示され、ならびにVL CDR1、CDR2、CDR3ならびにVH CDR1、CDR2、およびCDR3が協調的に会合してCD38上の抗原決定基に選択的におよび/または特異的に結合するのに寄与するように配向されているCD38BPを提供する。さらなる態様において、本発明は、CD38BPが2つの同一な抗原決定基結合部位を含むように、2組の可変ドメイン(会合した別々の鎖上の会合したVLおよびVHドメインの組)を含むCD38BPを提供する。本段落において記載された任意のそのようなCD38BPは、少なくとも一部は、配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体と同様のエピトープ特異性、選択性、およびその他の特徴を有することが期待される。
【0542】
本発明はまた、実施例の抗体のVL領域、VH領域、または1つもしくは複数のCDRの機能変異体を含むCD38BPを提供する。CD38BPの文脈において用いられるVL、VH、またはCDRの機能変異体は依然として、もとの抗体の親和性/結合力および/または特異性/選択性の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくはそれより多く)をCD38BPに保持し、ならびに場合によっては、そのようなCD38BPはもとの抗体よりも大きい親和性、選択性、および/または特異性と関連してもよい。
【0543】
ある態様において、本発明は、配列番号:2または配列番号:12または配列番号:22による配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VLを含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、ならびに配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、ならびに配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:2または配列番号:12または配列番号:22の変異体VL配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0544】
ある態様において、本発明は、配列番号:3または配列番号:13または配列番号:23のいずれか1つによる配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VL CDR1を含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:2または配列番号:12または配列番号:22の変異体VL配列を有する抗体などの、それぞれ配列番号:3または配列番号:13または配列番号:23の変異体VL CDR1配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0545】
ある態様において、本発明は、配列番号:4または14のいずれか1つによる配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VL CDR2を含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:2または配列番号:12または配列番号:22の変異体VL配列を有する抗体などの、それぞれ配列番号:4または配列番号:14または配列番号:24の変異体VL CDR2配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0546】
ある態様において、本発明は、配列番号:5または配列番号:15または配列番号:25のいずれか1つによる配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VL CDR3を含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:2または配列番号:12または配列番号:22のVL配列を有する抗体などの、それぞれ配列番号:5または配列番号:15または配列番号:25の変異体VL CDR3配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0547】
ある態様において、本発明は、配列番号:7または配列番号:17または配列番号:27のいずれか1つによる配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VHを含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:7のVH配列および配列番号:2のVL配列を有する抗体、または配列番号:17のVH配列および配列番号:12のVL配列を有する抗体、または配列番号:27のVH配列および配列番号:22のVL配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:7または配列番号:17または配列番号:27の変異体VH配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0548】
ある態様において、本発明は、配列番号:8または配列番号:18または配列番号:28のいずれか1つによる配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VH CDR1を含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:7のVH配列および配列番号:2のVL配列を有する抗体、または配列番号:17のVH配列および配列番号:12のVL配列を有する抗体、または配列番号:27のVH配列および配列番号:22のVL配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:7または配列番号:17または配列番号:27の変異体VH配列を有する抗体などの、それぞれ配列番号:8または配列番号:18または配列番号:28の変異体VH CDR1配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0549】
ある態様において、本発明は、配列番号:9または配列番号:19または配列番号:29のいずれか1つによる配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VH CDR2を含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:7のVH配列および配列番号:2のVL配列を有する抗体、または配列番号:17のVH配列および配列番号:12のVL配列を有する抗体、または配列番号:27のVH配列および配列番号:22のVL配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:7または配列番号:17または配列番号:27の変異体VH配列を有する抗体などの、それぞれ配列番号:9または配列番号:19または配列番号:29の変異体VH CDR2配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0550】
ある態様において、本発明は、配列番号:10または配列番号:20または配列番号:30のいずれか1つによる配列に対する少なくとも60%などの、少なくとも約50%、例えば少なくとも約75%などの、少なくとも約70%、例えば少なくとも約85%などの、少なくとも約80%、例えば少なくとも約95%などの、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する配列から本質的になる変異体VH CDR3を含むCD38BPであって、それぞれ配列番号:7のVH配列および配列番号:2のVL配列を有する抗体、または配列番号:17のVH配列および配列番号:12のVL配列を有する抗体、または配列番号:27のVH配列および配列番号:22のVL配列を有する抗体のような、それぞれ配列番号:7または配列番号:17または配列番号:27の変異体VH配列を有する抗体などの、それぞれ配列番号:10または配列番号:20または配列番号:30の変異体VH CDR3配列を有する抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)を有するCD38BPを提供する。
【0551】
2つの配列間のパーセント同一性は、配列によって共有される同一位置の数の関数であり(すなわち、%相同性=同一位置の#/位置の総#×100)、2つの配列の最適アラインメントのために導入される必要がある、ギャップの数、および各々のギャップの長さを考慮に入れている。2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定を、下の非限定的な実施例に記載されたような、数学的アルゴリズムを用いて遂行してもよい。
【0552】
NSWgapdna. CMPマトリックス、ならびに40、50、60、70、または80というギャップ加重および1、2、3、4、5、または6という長さ加重を使用し、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムを用いて、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性を決定してもよい。また、PAM120加重残基表、12というギャップ長さペナルティー、および4というギャップペナルティーを使用し、ALIGNプログラム(第2版)に組み入れられたE. Meyers and W. Miller, Comput. Appl. Biosci 4, 11-17(1988)のアルゴリズムを用いて、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間のパーセント同一性を決定してもよい。加えて、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、ならびに16、14、12、10、8、6、もしくは4というギャップ加重および1、2、3、4、5、もしくは6という長さ加重を使用し、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み入れられたNeedleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48, 444-453(1970)アルゴリズムを用いて、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性を決定してもよい。
【0553】
本発明の核酸およびタンパク質配列を、例えば、関連配列を同定するために公共データベースに対する検索を実施するための「クエリー配列」としてさらに用いてもよい。そのような検索を、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215, 403-10(1990)のNBLASTおよびXBLASTプログラム(第2版)を用いて実施してもよい。本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、得点=100、語長=12である、NBLASTプログラムで、BLASTヌクレオチド検索を行なってもよい。本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、得点=50、語長=3である、XBLASTプログラムで、BLASTタンパク質検索を行なってもよい。比較目的のためのギャップのあるアラインメントを得るために、Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25(17), 3389-3402(1997)に記載されたように、Gapped BLASTを利用してもよい。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを用いてもよい。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0554】
CDR変異体の配列は、主に保存的置換によって、もとの抗体配列のCDRの配列と異なってもよく;例えば、少なくとも約35%、約50%またはそれより多く、約60%またはそれより多く、約70%またはそれより多く、約75%またはそれより多く、約80%またはそれより多く、約85%またはそれより多く、約90%またはそれより多く、約95%またはそれより多く(例えば、約65~99%)の変異体における置換は、保存的アミノ酸残基交換である。本発明の文脈において、以下の3つの表の1つまたは複数に反映されたアミノ酸の部類内の置換によって、保存的置換を定義してもよい:
【0555】
【0556】
【0557】
【0558】
より大きい保存的置換のグループ化には:バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、およびアスパラギン-グルタミンが含まれる。また、例えば、Creigton(1984)Proteins: Structure and Molecular Properties(第2版、1993), W.H. Freeman and Companyに記載された原理を用いて、アミノ酸のさらなるグループを公式化してもよい。
【0559】
本発明のある態様において、疎水度/親水性特性および残基の重さ/大きさの点における保存もまた、実施例の抗体のCDRと比較して、変異体CDRにおいて実質的に保持される(例えば、配列の重さの部類、疎水度得点、または両方は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれより大きく(例えば、約65~99%)保持される)。例えば、保存的残基置換は、同じようにまたは代わりに、当技術分野において公知である、強くまたは弱く基づいた重さに基づく保存グループの交換に基づいてもよい。
【0560】
また、類似した残基の保持を、同じようにまたは代わりに、BLASTプログラム(例えば、NCBIを通じて入手可能なBLAST2.2.8)の使用によって決定されるように、類似性得点によって測定してもよい。好適な変異体は典型的には、もとのペプチドに対する少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれを上回るような、少なくとも約45%(例えば、約70~99%)の類似性を示す。
【0561】
上の、定義されたグループに示された置換よりもあまり保存されていない置換を選択することによって、実質的な機能の変化を加えてもよい。例えば、変更の領域におけるペプチドの構造、例えば、α-ヘリックス、もしくはβ-シート構造;標的部位にある分子の電荷もしくは疎水性;または側鎖の大部分、により大きく影響を与える、非保存的置換を加えてもよい。ペプチドの特性における最も大きい変化を産生することが通常期待される置換は、1)例えば、セリルまたはスレオニルなどの、親水性残基が、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、もしくはアラニルなどの、疎水性残基の代わりに(または例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、もしくはアラニルなどの、疎水性残基によって)置換されている置換;2)システインもしくはプロリンが、任意のその他の残基の代わりに(または任意のその他の残基によって)置換されている置換;3)例えば、リシル、アルギニル、もしくはヒスチジルなどの、電気的に正の側鎖を有する残基が、例えば、グルタミルもしくはアスパルチルなどの、電気的に負の残基の代わりに(または例えば、グルタミルもしくはアスパルチルなどの、電気的に負の残基によって)置換されている置換;または4)フェニルアラニンなどの、かさばった側鎖を有する残基が、例えば、グリシンなどの、側鎖を有さない残基の代わりに(または例えば、グリシンなどの、側鎖を有さない残基によって)置換されている置換である。したがって、機能/構造における顕著な変化が望ましい場合には、これらのおよびその他の非保存的置換をペプチド変異体に導入してもよく、ならびに機能/構造の保存が望ましい場合には、そのような変化を回避する。
【0562】
置換変異体を作製するための便利な方法は、当技術分野において公知の方法を用いるファージを使用する親和性成熟である。改変のための候補となる超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング突然変異生成を行なって抗原結合に大いに寄与する超可変領域部位を同定してもよい。あるいはまたはさらに、抗原-抗体複合体の結晶構造を解析して、抗体と抗原の間の接触点を同定することは有益である可能性がある。そのような接触残基および近隣残基は、置換のための好適な候補である可能性が高い。
【0563】
超可変領域挿入を行なって変異体抗体を作製する場合、公知の抗体における当該の超可変領域の長さの典型的な範囲を考慮に入れるべきである。例えば、軽鎖可変ドメインの第1の超可変領域について、例えばKabat et al., 前記、によれば、典型的には、全体として約9~20(例えば、約10~17)残基を有する、挿入を、実質的に同様でかつそれによって期待される適切な大きさを保持しながら、もとの抗体のVL CDR1配列に導入してもよい。同様に、VL CDR2は典型的には、約5~10残基の全体の長さを有し;VL CDR3は典型的には、約7~20残基の長さを有し;VH CDR1は典型的には、約10~15残基の長さを有し;VH CDR2は典型的には、約15~20残基の長さを有し;およびVH CDR3は典型的には、約6~30残基の長さ(例えば、3~25残基)を有する。VH領域における挿入は典型的には、VH CDR3および典型的には、Kabatに記載されているようなアラインメントおよび番号付けを用いると、もとのVH CDR3の残基97~102周辺などの(例えば、もとのVH CDR3配列の残基番号100に隣接する、または配列上C末端側にある)、ドメインのC末端付近になされる。とりわけ、標的抗原に対するもとの抗体の最初の結合親和性が、ランダムに産生された抗体変異体を容易にスクリーニングし得るほどのものである場合、その超可変領域に挿入されたアミノ酸残基を有する抗体変異体をランダムに調製してもよい。例えば、ファージディスプレイは、そのようなランダム変異体をスクリーニングする便利な方法を提供する。
【0564】
CDR変異体の設計、構築、および/または評価の際に、CDR領域がエピトープに対するより良い結合を可能にするように変化し得るという事実に注意が払われてもよい。抗体CDRは典型的には、抗原のタンパク質表面に突き出ることができるフィンガー、またはエピトープが嵌る、その他のパラトープ構造をおそらくは含む、相補的表面を提供することによって働く。エピトープがしっかりと嵌らない場合、抗体は最良の親和性を提供しない可能性がある。しかしながら、エピトープと同様に、多くの場合、この結合の多くの割合を占めるパラトープ構造における2、3の鍵残基がある。したがって、CDR配列は、同じペプチドについて抗体間で長さおよび組成が顕著に変わっていてもよい。多くの場合、そのようなエピトープ結合に大いに寄与するものとなる、(例えば、VH CDR3配列の文脈における)チロシン残基などの、ある種の残基が、典型的にはCDR変異体で保持されるということを当業者は認識すると考えられる。
【0565】
CDR領域の変異体はまた、(置換または挿入のいずれかによって)抗原に存在する1つまたは複数のアミノ酸残基と抗体に存在する1つまたは複数のアミノ酸残基の間の接触またはエネルギー的に好都合な相互作用を増大させる1つまたは複数のアミノ酸残基を導入することによって、抗原ともとの抗体の間のアミノ酸接触と比較して、抗原と抗体変異体の間のアミノ酸接触を増大させる可能性がある。関心対象のアミノ酸相互作用を、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、およびイオン相互作用より選択してもよい。
【0566】
当業者は、本発明の抗体のCDR変異体を含むCD38BPの設計および選択において有用なさらなる原理を知っていると考えられる。
【0567】
実施例の抗体のCDRの変異体である、CDR変異体の文脈において、特に抗CD38抗体またはその断片の変異体CDRの文脈において、CDR構造ループ構造を支持し、および/もしくは正しい方向に置くのに必要とされる残基を、典型的には保持してもよい;CDR構造ループの約10オングストロームの範囲内に収まる残基は、典型的には改変してもよく、もしくは保存的アミノ酸残基置換によってのみ改変してもよい(が、任意で、約5オングストローム2もしくはそれを上回る水溶媒接近可能表面もまた保有するこの領域の残基のみを、典型的には改変してもよく、もしくは保存的アミノ酸残基置換によってのみ改変してもよい);ならびに/またはCDR構造ループ様構造が変異体で保持されるように、アミノ酸配列は、(あるとすれば)典型的には限られた数の挿入および/もしくは欠失だけを受けてもよい(関連する技術および関係する原理の記載が、例えばSchiweck et al., J Mol Biol. 268(5), 934-51(1997)、Morea, Biophys Chem. 68(1-3), 9-16(1997)、Shirai et al., FEBS Lett. 399(1-2), 1-8(1996)、Shirai et al., FEBS Lett. 455(1-2), 188-97(1999)、Reckzo et al., Protein Eng. 8(4), 389-95(1995)、およびEigenbrot et al., J Mol Biol. 229(4), 969-95(1993)に提供されている。国際公開公報第03/048185号、国際公開公報第03/070747号、および国際公開公報第03/027246号も参照されたい)。
【0568】
変異体抗体を作製するために使用し得るさらなる技術には、定向進化ならびに例えば、米国特許第20040009498号、Marks et al., Methods Mol Biol. 248, 327-43(2004)、Azriel-Rosenfeld et al., J Mol Biol. 335(1), 177-92(2004)、Park et al., Biochem Biophys Res Commun. 275(2), 553-7(2000)、Kang et al., Proc Natl Acad Sci USA. 88(24), 11120-3(1991)、Zahnd et al., J Biol Chem. 279(18), 18870-7(2004)、Xu et al., Chem Biol. 9(8), 933-42(2002)、Border et al., Proc Natl Acad Sci USA. 97(20), 10701-5(2000)、Crameri et al., Nat Med. 2(1), 100-2(1996)に記載されているおよび例えば国際公開公報第03/048185号により一般的に記載されているようなその他の変異体作成技術が含まれる。
【0569】
作製された抗体変異体を任意の好適なスクリーニング技術に供してもよく、および1つまたは複数の関連アッセイ法において好適でかつ望ましく優れた特性を有する抗体をさらなる開発のために選択してもよい。
【0570】
上に記載したようなCDR配列を含むCD38BPは、配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、ならびに/または配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、ならびに/または配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体の親和性/結合力および/または特異性/選択性の少なくとも相当な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくはそれより多く)を保持しながら、任意の好適な数および組み合わせのそのようなVLおよびVH CDRを含んでもよいが、ヒト患者における免疫原性、エピトープに対する親和性、増大した半減期などのような、その他の特徴では異なっていてもよい。場合によっては、そのようなCD38BPは、もとの抗体よりも大きい親和性、選択性、および/または特異性と関連していてもよい。ある態様において、決して完全な組のVL CDRおよび/またはVH CDRとはいえないものが本発明のCD38BPの中に存在する。ある態様において、全てのVL CDRおよび/またはVH CDRが存在する。
【0571】
-003および-005および-024と比較して本発明の変異体CD38BPにおいて変化しまたは保持され得る、抗体のその他の機能的特性の例は:
(1)CD38への高親和性結合;
(2)CD38からの低解離速度;
(3)CD38標的へのCD38結合の阻害もしくは遮断;
(4)CD38を発現するT細胞もしくはB細胞の削除;
(5)CD55/59陰性細胞もしくはCD55/59陽性細胞のいずれかの高レベルのCDCの誘導;
(6)CD38への結合による脂質ラフトへの移行;
(7)T細胞の寛容化;
(8)CD38を発現するT細胞またはB細胞の増殖の阻害;
(9)CD38の内在化;
(10)CD38酵素活性の阻害もしくは誘導;
(11)CD38誘導性シグナル伝達の阻害もしくは誘導;
(12)サイトカイン産生の阻害もしくは誘導;
(13)T細胞もしくはB細胞分化の阻害もしくは遮断;
(14)アポトーシスの誘導もしくはアポトーシスからの救出;
(15)NK細胞による溶解誘導の減衰もしくは強化;
(16)膵臓のβ細胞によるインスリン産生の誘導もしくは阻害;
(17)CD38を発現する腫瘍細胞を有する対象の長期の生存;および/または
(18)適当なエフェクター細胞と混合された場合のCD38標的のADCCの誘導である。本発明はまた、CD38への結合について、(抗体-003などの)配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または(抗体-005などの)配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または(抗体-024などの)配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体と競合し(競争的に阻害し)または交差競合する(すなわち、エピトープ結合を相対的に部分的に阻害する)それらの能力に関して特徴付けられるCD38BPを提供する。
【0572】
そのようなCD38BPは、例えば、配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体によって結合されるエピトープと同一のまたは重なり合うエピトープに結合する抗体に由来する、Fab断片であってもよい。それが由来する抗体は競合するけれども、mAb分子と比較してその相対的に小さい大きさのために、そのようなFab断片は、CD38への結合について該抗体とそれほど競合しない可能性がある。それでもやはり、そのようなCD38BPは、(例えば、免疫コンジュゲートCD38BPの文脈における細胞毒素、放射性核種またはそれらと同様のものを標的する文脈において)CD38のすぐ近くの領域を同様に標的するのに有用である可能性がある。それゆえ、そのようなCD38BPは、本発明の方法の文脈において有用である可能性があり、およびしたがって、本発明によって提供もされる。
【0573】
2つまたはそれより多くのCD38BPによるCD38またはCD38の部分への結合についての競合を任意の好適な技術によって決定してもよい。ある態様において、競合は、例えば実施例7、8、および9に記載されたように決定される。
【0574】
本発明の文脈における競合は、結合パートナーに結合する別の分子の存在下で特定の分子が特定の結合パートナーに結合する傾向における任意の検出可能なほどに有意な低下を指す。典型的には、競合は、十分量の2つまたはそれより多くの競合CD38BPおよびCD38分子を用いた、例えば(実施例の項に記載されているような)ELISA解析またはFACS解析によって決定されるような、別のCD38BPの存在によって引き起こされる、CD38BPと
(a)ある形態のCD38(例えば、「処理された」、「成熟した」、「未処理の」、「処理されない」、もしくは「未成熟な」CD38);
(b)ある形態の遊離のCD38(例えば、インビボ処理によって産生されたCD38断片);
(c)CD31などの、CD38と会合する別のペプチド、およびCD38から構成されたヘテロ二量体ペプチド;
(d)CD38ならびにcAMP、NAD+、および/もしくはcADPRなどの、1つもしくは複数の基質の複合体;
(e)CD31などの、可溶性リガンドと一緒に二量体化したCD38、CD31などの、可溶性リガンドと一緒に会合したCD38、および/もしくは可溶性リガンドと一緒のCD38の処理された二量体;または
(f)CD38の部分、
との間の結合における、少なくとも約15%などの、少なくとも約10%低下、または少なくとも約20%低下を意味する。1つより多いCD38に対して、および/または例えば、様々な被験断片に位置する十分に提示された線状のエピトープもしくはCD38だけでなく十分に大きいCD38断片でも提示される立体配座的エピトープの場合などの、CD38の特定の領域の抗体結合特性がその断片に保持されている文脈において、1つより多いCD38の部分に対して、競合がCD38BP間に存在し得る場合がある可能性もある。
【0575】
競合の評価は典型的には、第1の量の第1の分子;第2の量の第1の分子;ならびに第3の量の第3の分子(または第1および第2の分子に関する新しい結合データと合理的に比較し得る結合研究によって実際の同時期のデータの代理であると決定された標準)を用いた相対的な阻害結合の評価を伴い、第1、第2、および第3の量は全て、その他の存在分子に対する問題の分子の選択性および/または特異性に関する情報を与える比較を行なうのに十分である。第1、第2、および第3の量はCD38BPおよび潜在的標的の性質と共に変化する可能性があり、およびそれゆえに問題になる。例えば、実施例の項に記載されている評価と同様の、ELISA評価について、競合が存在するかどうかを評価するのに、約5~50μg(例えば、約10~50μg、約20~50μg、約5~20μg、約10~20μgなど)のCD38BPおよび/またはCD38標的が必要とされる。条件もまた結合に好適であるべきである。典型的には、生理的条件または生理的に近い条件(例えば、約20~40℃の温度、約7~8のpHなど)が、CD38BP:CD38結合に好適である。
【0576】
ELISAおよび/またはFACS解析で決定された場合、競合が約5%よりも有意に大きい相対阻害を表すことがよくある。より高い閾値の相対阻害を、(例えば、競合解析を用いて、CD38に結合する別のペプチドまたは分子(例えば、CD31抗原、EndoCAM、GPIIA'、PECAM-1、血小板/内皮細胞接着分子、または天然の抗CD38抗体とも呼ばれる、CD31などのCD38の天然の結合パートナー)の結合を遮断するという意図された機能について設計された新しい抗体を選択またはスクリーニングする場合などの)特定の文脈において好適なレベルの競合であることの基準/決定因子として設定することが望ましい可能性がある。したがって、例えば、抗体を十分に競合的であると考える前に、少なくとも約10%相対阻害が検出され;少なくとも約15%相対阻害が検出され;または少なくとも約20%相対阻害が検出される競合性についての基準を設定することが可能である。競合抗体に属するエピトープが抗原内で近くに位置する場合、競合は、約40%を上回るCD38結合の相対阻害(例えば、少なくとも約50%阻害などの、少なくとも約45%阻害、例えば少なくとも約60%阻害などの、少なくとも約55%阻害、例えば少なくとも約70%阻害などの、少なくとも約65%阻害、例えば少なくとも約80%阻害などの、少なくとも約75%阻害、例えば少なくとも約90%阻害などの、少なくとも約85%阻害、例えば少なくとも約95%阻害、またはそれより高いレベルの相対阻害)を表す可能性がある。
【0577】
競合を、ある分子と2つの潜在的結合パートナーの間の交差反応の逆のものと考えてもよい。ある種の態様において、本発明のCD38BPは、1つもしくは複数のCD38の残基または領域に特異的に結合するだけでなく、その他のペプチド、ペプチド領域、分子と交差反応もしない、例えば、本発明は、CD157とも呼ばれる、BST-1(骨髄ストローマ細胞抗原-1)およびMo5などの、CD38に対する相同性を有するタンパク質と交差反応しない抗CD38抗体;または多発性骨髄腫に関与しない組織などの、正常組織の文脈におけるCD38と交差反応しない抗CD38抗体を提供する。典型的には、交差反応の欠如は、好適なアッセイ条件下で十分量の分子を用いてELISAおよび/またはFACS解析で評価した場合、分子間の約5%未満の相対競合阻害を意味する。
【0578】
ある態様において、本発明は、CD38またはその部分への結合について、抗体-003などの、配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体と競合するCD38BPを提供する。
【0579】
ある態様において、本発明は、CD38またはその部分への結合について、抗体-005などの、配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体と競合するCD38BPを提供する。
【0580】
ある態様において、本発明は、CD38またはその部分への結合について、抗体-024などの、配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体と競合するCD38BPを提供する。
【0581】
本明細書において他の場所で議論されたように、特に明記しない限りまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、CD38BPのCD38への結合に対する言及は、CD38の構造が存在する立体配座の文脈における;または線状エピトープの文脈におけるような、任意の好適な文脈における結合を指すよう意図されている。もちろん、そのような文脈の限定されたサブセットにおける結合が、本発明によって提供される任意のCD38BPに関する重要な特徴である可能性がある。
【0582】
競合阻害によってCD38BP特異性を決定するためのさらなる方法を、例えばHarlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,(1988)、Colligan et al.,編., Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley InterScience N.Y.,(1992, 1993)、およびMuller, Meth. Enzymol..92, 589-601(1983)に見出すことが可能である。
【0583】
ヒトCD38は、(1)ヒトCD38内の単一ペプチド鎖の中に含まれるペプチド抗原決定基;(2)1つもしくは複数の特定の鎖上の隣接していないアミノ酸および/もしくは(典型的には鎖のそれぞれのアミノ酸配列がヒトCD38ポリペプチド配列に沿ってばらばらに位置する)空間的に隣接しているが別々のペプチド鎖上に存在するアミノ酸からなる立体配座抗原決定基;(3)全体もしくは一部のいずれかとして、炭水化物基などの、ヒトCD38に共有結合的に付加される分子構造からなる翻訳後抗原決定基;または(4)(1)~(3)の組み合わせを含み得る、多数の異なるエピトープを含む。
【0584】
本発明の文脈におけるエピトープには、免疫グロブリンに特異的に結合することができる任意のペプチドまたはペプチド誘導体決定基が含まれる。エピトープは、任意の好適な(CD38の線状配列に関する)位置、(折り畳まれたCD38、またはその断片に関する)配向、アミノ酸組成(およびその結果、少なくとも一部として、電荷)にある、任意の好適な数のアミノ酸を含んでもよい。したがって、例えば、エピトープは、CD38の1次配列に関して1つまたは複数の隣接しているまたは隣接していない位置にある、約3~10アミノ酸、典型的には3~8アミノ酸から構成されていてもよい(例えば、エピトープは、CD38の中の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの隣接していない位置に分布した2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、または8つのアミノ酸残基から本質的になっていてもよい)。あるいは、例えば、エピトープは、(単独でまたは近接するCD38ドメインの部分と組み合わせて)CD38の中の約5~40の隣接しているアミノ酸残基(例えば、約7~30アミノ酸残基、約5~20アミノ酸残基、または約3~15アミノ酸残基)の領域によって定義されると考えてもよい。エピトープによっては、たった1つのアミノ酸残基またはほんの2つ、3つのアミノ酸残基が、1つまたは複数のCDR認識に必要不可欠である(ならびにそれによってCD38BP:CD38抗原親和性および結合力に最も重要である)場合があってもよい。その他の残基もまたエピトープに多少より少なく寄与し得るということを認識しつつ、そのようなものとして、1つまたは複数のそのような必要不可欠な残基に基づいて、エピトープを特徴付けてもよい。アミノ酸の領域によって定義されるエピトープの場合、それに対して特異的な少なくとも幾つかのCD38BPに対するエピトープの「損失」を結果としてもたらすことなく、残基が適当な異なる残基による置換を受けてもよいように、領域中の1つまたは複数のアミノ酸が抗体結合にほんの少ししか寄与しないまたは無視できるほどすら寄与しないということがあってもよい。
【0585】
ある態様において、本発明は、(抗体-003などの)配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または(抗体-005などの)配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または(抗体-024などの)配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体によっても特異的に結合されるCD38エピトープに特異的に結合する、抗CD38抗体などの、CD38BPを提供する。配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体のCDR、または配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体のCDR、または配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体のCDRと異なる1つまたは複数のCDRを有するCD38BPが、それぞれ配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、ならびに配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、ならびに配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体と同じエピトープに依然として特異的であり得るということが可能である。幾つかのそのような場合において、問題のCD38BPは、エピトープの特定の構造もしくは領域を認識してもよく、またはそれぞれ配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、ならびに配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、ならびに配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体よりもエピトープの特定の構造もしくは領域に対して特異的/選択的であってもよい。
【0586】
(抗体-003などの)配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または(抗体-005などの)配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または(抗体-024などの)配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体によって結合されるCD38エピトープを、標準的なマッピングおよび特徴付け技術によって同定してもよく、そのさらなる微妙な点を任意の好適な技術によって同定してもよく、その数多くの例が当業者に利用可能である。これらの技術はまた、通常CD38BPに対するエピトープを同定および/または特徴付けするために用いてもよい。そのようなマッピング/特徴付け方法の一例として、CD38タンパク質中の露出したアミン/カルボキシルの化学修飾を用いたエピトープ「フットプリンティング」によって、抗CD38抗体に対するエピトープを決定してもよい。そのようなフットプリンティング技術の1つの特定の例は、受容体およびリガンドタンパク質アミドプロトンの水素/重水素交換、結合、ならびに逆交換が生じ、タンパク質結合に関与する骨格アミド基が逆反応から保護され、およびしたがって重水素化されたままであると考えられる、HXMS(マススペクトロメトリーによって検出される水素-重水素交換)の使用である。この時点で、消化によるタンパク質分解、高速マイクロボア高性能液体クロマトグラフィー分離、および/またはエレクトロスプレーイオン化マススペクトロメトリーによって、関連領域を同定してもよい。例えば、Ehring H, Analytical Biochemistry, 267(2) 252-259(1999)および/またはEngen, J.R. and Smith, D.L.(2001)Anal. Chem. 73, 256A-265Aを参照されたい。好適なエピトープ同定技術の別の例は、典型的には遊離抗原および抗体などの、抗原結合ペプチドと複合体を形成した抗原の2次元NMRスペクトルにおけるシグナルの位置を比較する、核磁気共鳴エピトープマッピング(NMR)である。抗原は典型的には、選択的に15Nで同位体標識され、その結果NMRスペクトル中には、抗原に対応するシグナルのみが見られ、かつ抗原結合ペプチドからのシグナルは見られない。抗原結合ペプチドとの相互作用に関与するアミノ酸が起源である抗原シグナルは、典型的には遊離抗原と比べて複合体のスペクトルにおける位置をシフトさせると考えられ、および結合に関与するアミノ酸をそのように同定してもよい。例えば、Ernst Schering Res Found Workshop.(44), 149-67(2004)、Huang et al., Journal of Molecular Biology 281(1), 61-67(1998)、およびSaito and Patterson, Methods. 9(3), 516-24(1996)を参照されたい。
【0587】
エピトープマッピング/特徴付けはまた、マススペクトロメトリー法を用いて行なってもよい。例えば、Downward, J Mass Spectrom. 35(4), 493-503(2000)およびKiselar and Downard, Anal Chem. 71(9), 1792-801(1999)を参照されたい。
【0588】
プロテアーゼ消化技術もまた、エピトープマッピングおよび同定技術の文脈において有用である可能性がある。例えば37℃およびpH 7~8でのCD38の終夜(O/N)消化に対して約1:50の比でトリプシンを用いることによるような、プロテアーゼ消化、その後ペプチド同定のためのマススペクトロメトリー(MS)解析によって、抗原決定基関連領域/配列を決定してもよい。トリプシン消化に供された試料およびCD38BPとインキュベートし、その後例えばトリプシンによる消化に供された(それによって結合物の足跡を示す)試料の比較により、CD38BPによってトリプシン切断から保護されたペプチドをその後同定してもよい。キモトリプシン、ペプシンなどのその他の酵素を、同じようにまたは代わりに、同様のエピトープ特徴付け方法で用いてもよい。これらの測定において(抗体-003などの)配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または(抗体-005などの)配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または(抗体-024などの)配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体と有意に同じ結果を与えるCD38BPを、それぞれ(抗体-003などの)配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、または(抗体-005などの)配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、または(抗体-024などの)配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体と同じエピトープに結合する抗体であると見なす。同様の技術の議論のために、例えば、Manca, Ann Ist Super Sanita. 27(1), 15-9(1991)を参照されたい。
【0589】
一方がビオチン化される2つの抗体によるCD38への競合的結合によるエピトープマッピングは、関連する抗原決定基領域を同定するための別の方法である。
【0590】
PEPSCANに基づく酵素結合免疫アッセイ法によるCD38の線状およびループ化ペプチドへの抗体の結合は、関連する抗原決定基領域を同定するための別の方法であり、例えばSlootstra-JW et al., Mol-Divers. 1, 87-96(1996)を参照されたい。
【0591】
部位特異的突然変異誘発は、関連する抗原決定基領域を同定するための別の方法であり、例えばPolyak and Deans, Blood 99, 3956-3962(2002)を参照されたい。
【0592】
様々なファージディスプレイ技術もまた、エピトープを同定するのに用いられてもよい。例えば、Wang and Yu, Curr Drug Targets. 5(1), 1-15(2004)、Burton, Immnotechnology. 1(2), 87-94(1995 Aug)、Cortese et al., Immunotechnology. 1(2), 87-94(1995)、およびIrving et al., Curr Opin Chem Biol. 5(3), 314-24(2001)を参照されたい。また議論のために、改変したファージライブラリー関連技術によってコンセンサスエピトープを同定してもよい(http://www.cs.montana.edu/~mumey/papers/jcb03.pdf参照)。
【0593】
エピトープをマッピングする際に潜在的に役立つその他の技術には、結晶学技術、(1970年代~1980年代にPoljakおよびその他によって開発されたX線回折/配列研究技術などの)X線回折技術、ならびにMultipin Peptide Synthesis Technologyの適用が含まれる。配列解析および3次元構造解析およびドッキングなどのコンピュータに基づく方法もまた、抗原決定基を同定するために用いてもよい。例えばまた、個々のモノクローナル抗体のFab断片の構造のドッキングを伴うCD38の構造を用いた分子モデリングによって、エピトープを決定してもよい。これらのおよびその他のマッピング法は、Epitope Mapping A Practical Approach(Westwood and Hay編)2001 Oxford University Pressで議論されている。
【0594】
ある態様において、本発明は、(抗体-003などの)配列番号:2のVL配列および配列番号:7のVH配列を有する抗体、(抗体-005などの)配列番号:12のVL配列および配列番号:17のVH配列を有する抗体、ならびに(抗体-024などの)配列番号:22のVL配列および配列番号:27のVH配列を有する抗体より選択される1つまたは複数のmAbの実質的に同じ特異的CD38結合特徴を有するCD38BPを提供する。
【0595】
マッピング研究によって、ヒトCD38に対して作製された幾つかのモノクローナル抗体が、CD38のC末端領域(220~296)におけるエピトープに結合することが示されている(Hoshino et al.およびFerrero et al.)。この領域内で、3つのアミノ酸の違いがヒトCD38配列とカニクイザルCD38配列の間に見出されており:ヒトのT237、Q272、およびS274は、カニクイザルのA238、R273、およびF275に対応する。-005はカニクイザル組織に結合しない(実施例10および11に示されている)。限られた数のアミノ酸の違いが、ヒトCD38配列とサルCD38配列の間に存在し、例えばタンパク質のカルボキシ末端部分において、例えば以下の3つのアミノ酸の違いが、ヒトCD38配列とカニクイザルCD38配列の間に存在し:ヒトCD38のT237、Q272、およびS274は、カニクイザルCD38のA238、R273、およびF275に対応する(配列番号:21および配列番号:22を比較されたい)。-005は、それが野生型ヒトCD38に結合するのと同じ程度には、配列番号:31の位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換されている(Q272R)、突然変異体huCD38タンパク質には結合せず、または配列番号:31の位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換されている(S274F)、突然変異体huCD38タンパク質に結合しない(実施例17に示されている)。-005の結合は特に、位置S274Fのアミノ酸置換によって無効になる。
【0596】
したがって、本発明は、ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、かつそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度までは、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換されている(配列番号:33)、突然変異体ヒトCD38に結合しない、ペプチドを提供する。
【0597】
本発明はまた、ヒトCD38(配列番号:31)に結合し、かつそれがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度まで、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換されている(配列番号:34)、突然変異体ヒトCD38に結合しない、ペプチドを提供する。
【0598】
「同じ程度まで」という用語は、ペプチドの突然変異体ヒトCD38への結合が、ペプチドの野生型ヒトCD38への結合よりも有意に低いように解釈されるべきである。ペプチドのCD38分子(野生型および突然変異体)への結合は、多数の方法で決定されてもよく、ならびに突然変異体への結合が、野生型への結合よりも「有意に低い」のかどうかを決定することは、当業者の共通で一般的な知識の範囲内である。例えばELISA、放射性免疫アッセイ法、BIAcore、またはフローサイトメトリーなどの、ペプチドの別のペプチドへの結合を決定するための数多くの異なる技術が、当業者に利用可能である。
【0599】
結合を決定する1つの方法は、ペプチドの変異体タンパク質への結合および野生型タンパク質への結合のEC50を決定し、ならびにその後得られた値を比較することによるものである。結合を決定する別の方法は、飽和濃度での結合の大きさ(例えば結合シグナルのプラトー)を検討することによるものであり、または例えばBIAcoreによって反応速度論的な速度定数KonおよびKoffを決定することによるものである。
【0600】
ある態様において、問題のペプチドのCD38タンパク質(野生型または突然変異体)への結合は、実施例17に記載されたようなELISAの使用によるものである。
【0601】
ある態様において、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換されている(配列番号:34)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の50%未満である。ある態様において、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換されている(配列番号:34)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の10%未満である。ある態様において、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換されている(配列番号:34)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の5%未満である。ある態様において、位置274のセリン残基がフェニルアラニン残基で置換されている(配列番号:34)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の1%未満である。
【0602】
ある態様において、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換されている(配列番号:33)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の50%未満である。ある態様において、位置272のグルタミン残基がアルギニン残基で置換されている(配列番号:33)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の10%未満である。
【0603】
ある態様において、本発明によるペプチドは、それがヒトCD38(配列番号:31)に結合するのと同じ程度まで、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換されている(配列番号:32)、突然変異体ヒトCD38に結合する。ある態様において、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換されている(配列番号:32)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の75%を上回る。ある態様において、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換されている(配列番号:32)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の85%を上回る。ある態様において、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換されている(配列番号:32)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の90%を上回る。ある態様において、位置237のスレオニン残基がアラニン残基で置換されている(配列番号:32)、ペプチドの変異体ヒトCD38への結合のEC50は、ペプチドのヒトCD38(配列番号:31)への結合のEC50の95%を上回る。
【0604】
より具体的で可能性の高いCD38における抗原決定基領域を同定するために、様々な予測的解析方法を適用してもよい。第1の分析的アプローチにおいて、(1)高度に疎水度が高い領域(Kyte-Doolittle法を用いる);(2)Protrusion Index法によって測定されるような抗原性;(3)Parker法によって決定されるような抗原性;(4)Hopp/Woods法によって決定されるような抗原性;および(5)Goldman, Engleman, and Steitzによって測定されるような疎水性について、CD38を解析してもよい。1つまたは複数のこれらの特性を示すことに基づいて、長さ10~40アミノ酸の範囲に及ぶ配列を選択してもよい。このアプローチの理論的根拠は、多くの理想的なB細胞エピトープが、親水性で、表面配向性で、かつ柔軟な、長さ約8~10アミノ酸の配列であるという一般的コンセンサスである。
【0605】
本発明は、そのような方法で同定されたCD38のCD38領域に特異的なCD38BPを提供する。さらに、これらの配列の末端を、本明細書において記載されたその他の解析によって位置付けられた予測的抗原決定基領域と比較して、具体的で可能性の高いさらなる抗原決定基含有領域を提供してもよい。これらの抗原決定基領域へのCD38BP結合が本発明の別の特色であると考えられてもよい場合、その他の同様の比較を容易に行なって、可能性の高いさらなる抗原決定基領域を提供してもよい。
【0606】
ある態様において、本発明のCD38BPは抗体である。本発明によって提供されるCD38結合免疫グロブリン分子の非限定的な例には、(a)(i)ヒトB細胞表面抗原特異性を有する可変領域およびヒト定常領域を含む2つの同一なキメラ重鎖ならびに(ii)2つの同一な全ての(すならち、非キメラの)ヒト軽鎖:を含む完全な機能的免疫グロブリン分子;(b)(i)示されたような可変領域およびヒト定常領域を含む2つの同一なキメラ重鎖ならびに(ii)2つの同一な全ての(すならち、非キメラの)非ヒト軽鎖:を含む完全な機能的免疫グロブリン分子;(c)一価抗体、すなわち、(i)示されたような可変領域およびヒト定常領域を含む2つの同一なキメラ重鎖ならびに(ii)その一方のみが重鎖の可変領域と同じ特異性を有する、2つの異なる軽鎖:を含む完全な機能的免疫グロブリン分子が含まれる。結果として得られる抗体分子は、その一方の端にのみ結合し、およびそれゆえに二価結合をすることができない。別の例示として、本発明によって提供される免疫グロブリン様ペプチドを、以下に含むと言ってもよい:(a)免疫グロブリン全体;(b)scFv;(c)モノクローナル抗体;(d)ヒト抗体;(e)キメラ抗体;(f)ヒト化抗体;(g)Fab断片;(h)Fab'断片;(i)F(ab')2断片;(j)Fv分子;および(k)ジスルフィド結合Fv分子。
【0607】
ある態様において、本発明のCD38BPはポリクローナル抗体である。ある態様において、本発明のCD38BPはモノクローナル抗体である。さらなる態様において、本発明のCD38BPはヒトモノクローナル抗体である。別のさらなる態様において、本発明のCD38BPはヒト化抗体である。別のさらなる態様において、本発明のCD38BPはキメラ抗体である。別のさらなる態様において、本発明のCD38BPは、ヒトとは異なる哺乳動物種が完全に起源であるモノクローナル抗体である。さらなる態様において、本発明のCD38BPは完全にマウスのモノクローナル抗体である。
【0608】
モノクローナル抗体は、一様な構造および特異性を有する均一な抗体集団を含む組成物を指す。典型的には、モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体、すなわち、少量で存在し得る起こり得る天然の突然変異を除いて同一である集団を含む個々の抗体の集団から得られた抗体である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、および各々のモノクローナル抗体は典型的には単一のエピトープを指向し、それは典型的には異なるエピトープに対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的である。抗体がモノクローナルであるということは、任意の特定の方法による抗体の産生が必要とされると解されるべきではない。例えば、本発明のモノクローナル抗体を、最初にKohler et al., Nature 256, 495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって産生してもよく、または組換えDNA法によって産生してもよい。また、例えば、Clackson et al., Nature 352, 624-628(1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol. 222, 581-597(1991)に記載された技術を用いて、モノクローナル抗体をファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
【0609】
モノクローナル抗体を任意の好適な源から得てもよい。したがって、例えば、モノクローナル抗体を、例えば表面上に抗原を発現する細胞、または関心対象の抗原をコードする核酸の形態にある、関心対象の抗原で免疫したマウスから得られたマウス脾臓B細胞から調製したハイブリドーマから得てもよい。また、モノクローナル抗体を、免疫したヒトまたはラット、イヌ、霊長類などのような非ヒト哺乳動物の抗体発現細胞に由来するハイブリドーマから得てもよい。
【0610】
あるいは、クローニングした抗体遺伝子を、昆虫細胞だけでなく、単鎖Fv抗体の産生用の、大腸菌(E.coli)、藻類などの、微生物のような、原核細胞も含む、その他の発現系で発現させることができる。さらに、ヒツジおよびウサギ由来の乳、もしくはメンドリ由来の卵などにおいて、トランスジェニック非ヒト動物で、またはトランスジェニック植物で、抗体を産生することができる。例えば、Verma, R., et al., J. Immunol. Meth. 216, 165-181(1998);Pollock, et al., J. Immunol. Meth. 231, 147-157(1999);およびFischer, R., et al., Biol. Chem. 380, 825-839(1999)を参照されたい。
【0611】
ある態様において、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を持つトランスジェニックまたは導入染色体性マウスを用いて、CD38に対するヒトモノクローナル抗体を作製してもよい。そのようなトランスジェニックおよび導入染色体性マウスは、それぞれ、本明細書においてHuMAbマウスおよびKMマウスと称されるマウスを含み、ならびに本明細書において「トランスジェニックマウス」と総称される。そのようなマウスで作製されたヒトモノクローナル抗体をHuMabと略記してもよい。
【0612】
HuMAbマウスは、内在性μおよびγ鎖座を不活性化する標的突然変異と共に、再配置されていないヒト重(μおよびγ)鎖ならびにκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ座を含む(Lonberg, N. et al., Nature 368, 856-859(1994))。したがって、マウスはマウスIgMまたはκの発現の低下を示し、ならびに免疫に反応して、導入されたヒト重鎖および軽鎖トランスジーンが、クラススイッチングおよび体細胞突然変異を経て高親和性のヒトIgG、κモノクローナル抗体を生み出す(Lonberg, N. et al.,(1994)、前記;Lonberg, N. Handbook of Experimental Pharmacology 113, 49-101(1994)、Lonberg, N. and Haszar, D., Intern. Rev. Immunol. Vol. 13 65-93(1995)、およびHarding, F. and Lonberg, N. Ann. N.Y. Acad. Sci 764 536-546(1995)に概説されている)。HuMAbマウスの調製は、Taylor, L. et al., Nucleic Acids Research 20, 6287-6295(1992)、Chen, J. et al., International Immunology 5, 647-656(1993)、Tuaillon et al., J. Immunol. 152, 2912-2920(1994)、Taylor, L. et al., International Immunology 6, 579-591(1994)、Fishwild, D. et al., Nature Biotechnology 14, 845-851(1996)に詳細に記載されている。米国特許第5,545,806号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,789,650号、米国特許第5,877,397号、米国特許第5,661,016号、米国特許第5,814,318号、米国特許第5,874,299号、米国特許第5,770,429号、米国特許第5,545,807号、国際公開公報第98/24884号、国際公開公報第94/25585号、国際公開公報第93/1227号、国際公開公報第92/22645号、国際公開公報第92/03918号、および国際公開公報第01/09187号も参照されたい。
【0613】
Hco7マウスは、それらの内在性軽鎖(κ)遺伝子における(Chen et al., ENBO J. 12, 821-830(1993)に記載されたような)JKD破壊、それらの内在性重鎖遺伝子における(国際公開公報第01/14424号の実施例1に記載されたような)CMD破壊、(Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-851(1996)に記載されたような)KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン、および(米国特許第5,770,429号に記載されたような)Hco7ヒト重鎖トランスジーンを有する。
【0614】
HCo12マウスは、それらの内在性軽鎖(κ)遺伝子における(Chen et al., ENBO J. 12, 821-830(1993)に記載されたような)JKD破壊、それらの内在性重鎖遺伝子における(国際公開公報第01/14424号の実施例1に記載されたような)CMD破壊、(Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-851(1996)に記載されたような)KCo5ヒトκ軽鎖トランスジーン、および(国際公開公報第01/14424号の実施例2に記載されたような)Hco12ヒト重鎖トランスジーンを有する。KMマウス系統において、内在性マウスκ軽鎖遺伝子は、Chen et al., ENBO J. 12, 811-820(1993)に記載されたようにホモ接合性に破壊され、および内在性マウス重鎖遺伝子は、国際公開公報第01/01987号の実施例1に記載されたようにホモ接合性に破壊されている。このマウス系統は、Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-851(1996)に記載されたような、ヒトκ軽鎖トランスジーン、KCo5を持つ。このマウス系統はまた、国際公開公報第02/43478号に記載されたような第14番染色体断片hCF(SC20)から構成されるヒト重鎖トランスクロモソームを持つ。
【0615】
KMマウスは、ヒト重鎖トランスクロモソームおよびヒトκ軽鎖トランスジーンを含む。マウスの免疫によって、マウス免疫グロブリンではなくヒト免疫グロブリンの産生がもたらされるように、内在性のマウス重鎖および軽鎖遺伝子もKMマウスにおいて破壊されている。KMマウスの構築およびヒト免疫グロブリンを作製するためのそれらの使用は、国際公開公報第02/43478号に詳細に記載されている。
【0616】
これらのトランスジェニックマウス由来の脾臓細胞を用いて、周知の技術によって、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製してもよい。そのようなトランスジェニック哺乳動物、CD38BPの発現をコードする操作可能な核酸配列を含む哺乳動物、1つまたは複数のCD38をコードする核酸配列を安定にトランスフェクトした哺乳動物、およびそれらと同様の哺乳動物は、本発明のさらなる特色である。
【0617】
本発明のヒトモノクローナルもしくはポリクローナル抗体、またはその他の種が起源である本発明の抗体はまた、関心対象の免疫グロブリン重鎖および軽鎖配列についてトランスジェニックである別の非ヒト哺乳動物または植物の作製ならびにそこからの回収可能な形態での抗体の産生を通じて、トランスジェニックで作製してもよい。哺乳動物でのトランスジェニック産生に関連して、抗体を、ヤギ、ウシ、またはその他の哺乳動物の乳で産生し、およびヤギ、ウシ、またはその他の哺乳動物の乳から回収してもよい。例えば、米国特許第5,827,690号、米国特許第5,756,687号、米国特許第5,750,172号、および米国特許第5,741,957号を参照されたい。
【0618】
さらに、本発明のヒト抗体またはその他の種由来の本発明の抗体を、当技術分野において周知の技術を用いて、ファージディスプレイ、レトロウイルスディスプレイ、リボソームディスプレイ、およびその他の技術を含むが、これらに限定されるわけではない、ディスプレイ型の技術を通じて作製してもよく、ならびに結果として得られる分子を、そのような技術が当技術分野において周知であるので、親和性成熟などの、さらなる成熟に供してもよい(例えばHoogenboom et al., J. Mol. Biol. 227, 381(1991)(ファージディスプレイ)、Vaughan et al., Nature Biotech 14, 309(1996)(ファージディスプレイ)、Hanes and Plucthau, PNAS USA 94, 4937-4942(1997)(リボソームディスプレイ)、Parmley and Smith, Gene 73, 305-318(1988)(ファージディスプレイ)、Scott TIBS 17, 241-245(1992)、Cwirla et al., PNAS USA 87, 6378-6382(1990)、Russel et al., Nucl. Acids Reseaech 21, 1081-1085(1993)、Hoogenboom et al., Immunol. Reviews 130, 43-68(1992)、Chiswell and McCafferty TIBTECH 10, 80-84(1992)、および米国特許第5,733,743号参照)。ディスプレイ技術を利用してヒトのではない抗体を産生する場合、そのような抗体を、例えば本明細書において他の場所に記載したように、ヒト化してもよい。
【0619】
本発明のヒト化モノクローナル抗体を、ヒト抗体由来の定常ドメインを非ヒト種の可変ドメインに融合することによって作製してもよい。ヒト化抗体の作り方の例を、例えば米国特許第6,054,297号、米国特許第5,886,152号、および米国特許第5,877,293号に見出すことが可能である。ヒト免疫グロブリンに対して動物由来モノクローナル抗体よりも大きい相同性を有するように、ヒト化抗体を設計する。「移入(import)」(動物)可変ドメイン由来の非ヒトアミノ酸残基を典型的にはヒト「骨格」にトランスフェクトする。Winterおよび同僚の方法(Jones et al., Nature 321, 522-525(1986)、Riechmann et al., Nature 322, 323-327(1988)、Verhoeyen et al., Science 239, 1534-1536(1988))に従って、齧歯類の相補性決定領域(「CDR」)またはCDR配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって、ヒト化を本質的に行なってもよい。したがって、そのような「ヒト化」抗体において、ヒト可変ドメインのCDR部分は、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。したがって、ヒト化抗体は典型的には、幾つかのCDR残基およびおそらくは幾つかのフレームワーク残基が、齧歯類抗体の類似部位由来の残基によって置換されているヒト抗体である。ヒト化抗体を作る際に用いられるべき、軽鎖および重鎖両方の、ヒト可変ドメインの選別は、抗原性を低下させるのに重要である。いわゆる「最良適合(best-fit)」法に従って、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を、公知のヒト可変ドメイン配列の全てのライブラリーに対してスクリーニングする。その後、齧歯類の配列に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体用のヒトフレームワーク(FR)として受け入れる(Sims et al., J. Immunol. 151, 2296(1993)、Chothia et al., J. Mol. Biol. 196, 901(1987))。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを用いる。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に用いてもよい(Carter et al., PNAS USA 89, 4285(1992)、Presta et al., J. Immunol. 151, 2623(1993))。
【0620】
ヒト化抗体が抗原に対する高い親和性およびその他の好都合な生物学的特性を保持するということもまた典型的に重要である。この目的を達成するために、もとの配列およびヒト化した配列の3次元モデルを用いたもとの配列および様々な概念的ヒト化産物の解析の処理によって、ヒト化抗体を調製してもよい。3次元の免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、かつ当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列のあり得る3次元立体配座構造を例示および提示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの提示の調査によって、候補免疫グロブリン配列の機能発揮におけるある種の残基のありそうな役割の解析、すなわち候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の解析が可能になる。このように、直接的かつ最も実質的に抗原結合に影響を及ぼすのはCDR残基であるが、FR残基がレシピエントから選択および組み合わされ、かつ標的抗原に対する増大した親和性などの、所望の抗体特徴を最大化するように配列を移入してもよい。
【0621】
マウス抗体またはその他の種由来の抗体を、任意の好適な技術、当技術分野において既に周知である多数の好適な技術を用いて、ヒト化または霊長類化してもよい(例えばWinter and Harris Immunol Today 14, 43-46(1993)およびWright et al., Crit. Reviews in Immunol. 125-168(1992)参照)。関心対象の抗体を組換えDNA技術によって人工的に作製し、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメイン、および/またはフレームワークドメインを対応するヒト配列で置換してもよい(国際公開公報第92/02190号ならびに米国特許第5,530,101号、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号、米国特許第5,693,792号、米国特許第5,714,350号、および米国特許第5,777,085号参照)。
【0622】
また、Winterおよび同僚の方法(Jones et al., Nature 321, 522-525(1986)、Riechmann et al., Nature 322, 323-327(1988)、Verhoeyen et al., Science 239, 1534-1536(1988))に従って、齧歯類のCDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって、抗体のヒト化を行なってもよい。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、ある意味では、実質的に決してインタクトでないヒト可変ドメインを非ヒト種由来の対応する配列によって置換した、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際のところ、ヒト化抗体は典型的には、幾つかのCDR残基およびおそらくは幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位由来の残基によって置換されているヒト抗体である。
【0623】
また、キメラ免疫グロブリン遺伝子の構築のためのIg cDNAの使用が当技術分野において公知である(例えばLiu et al., PNAS USA 84, 3439(1987)およびJ. Immunol. 139, 3521(1987)参照)。mRNAをハイブリドーマまたは抗体を産生するその他の細胞から単離し、かつcDNAを生成するために用い:特異的プライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によって関心対象のcDNAを増幅してもよい(米国特許第4,683,195号および米国特許第4,683,202号)。あるいは、ライブラリーを作製およびスクリーニングし、関心対象の配列を単離する。その後、抗体の可変領域をコードするDNA配列をヒト定常領域配列に融合する。(可変領域だけでなく)ヒト定常領域の配列もKabat et al.,(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, N.I.H.刊行物 第91-3242号に見出すことが可能であり、およびhttp://www.biochem.ucl.ac.uk/~martin/abs/GeneralInfo.htmlで、より最新かつ関連するデータにアクセスすることができる。アイソタイプの選別は典型的には、補体固定、または抗体依存性細胞性細胞毒性における活性などの、所望のエフェクター機能によって導かれると考えられる。例示的なアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4である。ヒト軽鎖定常領域、κまたはλのいずれかを用いてもよい。その後、従来の方法によって、キメラの、ヒト化抗体を発現させてもよい。
【0624】
本発明のCD38BPは、多量体化に関して任意の好適な形態にあってもよい。抗CD38抗体および抗体断片は、IgM抗体と関連する形態などの高度に多量体化した形態にない場合、少なくともヘテロ三量体の形態にあってもよい。その他の態様において、CD38BPは二量体または単量体として提示されてもよい。本発明の単量体CD38BPを、例えば、多量体のペプチド組成物を形成するように任意の好適な技術によって改変してもよい。
【0625】
望ましい場合、本発明の抗CD38抗体のクラスを公知の方法でスイッチしてもよい。例えば、もともとはIgMであった本発明の抗体を、本発明のIgG抗体にクラススイッチしてもよい。さらに、クラススイッチング技術を用いて、あるIgGサブクラスを別のIgGサブクラスへ、例えばIgG1からIgG2へ、変換してもよい。したがって、様々な治療的使用のために、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、またはIgM抗体へのアイソタイプスイッチングによって、本発明の抗体のエフェクター機能を変化させてもよい。
【0626】
ある態様において、本発明の抗体はIgG1抗体、例えばIgG1、κまたはIgG1、λアイソタイプである。別の態様において、本発明の抗体はIgG3抗体、例えばIgG3、κまたはIgG3、λアイソタイプである。別の態様において、本発明の抗体はIgG4抗体、例えばIgG4、κまたはIgG4、λアイソタイプである。別の態様において、本発明の抗体はIgA1またはIgA2抗体である。別の態様において、本発明の抗体はIgM抗体である。
【0627】
抗CD38抗体を、ヒトリンパ球に由来するmRNAから調製したヒトVLおよびVH cDNAで作られ得る、scFvファージディスプレイライブラリーなどの、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから回収してもよい。そのようなライブラリーを調製およびスクリーニングするための方法は当技術分野において公知である。ファージディスプレイライブラリーを作製するための市販されているキットが多数ある。抗体ディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングする際に使用し得るその他の方法および試薬もある(例えば米国特許第5,223,409号、国際公開公報第92/18619号、国際公開公報第91/17271号、国際公開公報第92/20791号、国際公開公報第92/15679号、国際公開公報第93/01288号、国際公開公報第92/01047号、国際公開公報第92/09690号、Fuchs et al., Bio/Technology 9, 1370-1372(1991)、Hay et al., Hum. Antibod. Hybridomas 3, 81-85(1992)、Huse et al., Science 246, 1275-1281(1989)、McCafferty et al., Nature 348, 552-554(1990)、Griffiths et al., EMBO J 12, 725-734(1993)、Hawkins et al., J. Mol. Biol. 226, 889-896(1992)、Clackson et al., Nature 352, 624-628(1991)、Gram et al., PNAS USA 89, 3576-3580(1992)、Garrad et al., Bio/Technology 9, 1373-1377(1991)、Hoogenboom et al., Nuc Acid Res 19, 4133-4137(1991)、およびBarbas et al., PNAS USA 88, 7978-7982(1991)参照)。好適なVLおよびVH核酸配列を任意の好適な方法を用いて選択してもよい。例えば、VLおよびVH核酸を、国際公開公報第93/06213号に記載されたエピトープインプリンティング法を利用することによって選択してもよい。例えば国際公開公報第92/01047号、McCafferty et al., Nature 348, 552-554(1990)、およびGriffiths et al., EMBO J 12, 725-734(1993)に記載されている方法のような、公知でかつ好適な方法を(抗原としてのヒトCD38を含むペプチドと共に)用いて、scFvライブラリーなどの、抗体ライブラリーを調製およびスクリーニングしてもよい。そのような抗体ライブラリーおよびその他のCD38BPの組み合わせ(ライブラリー、プールなど)は;抗原性ペプチド、小分子、その他の抗CD38抗体(例えば、競合アッセイ法のために)、およびそれらと同様のもののためのスクリーニング法における;ならびに/または診断的方法および組成物における道具として、より包括的な免疫反応を提供するために治療的に使用し得る本発明の特色である(例えば、任意でその他の抗体を伴うそのような抗体のパネルを含む免疫アッセイチップを標準的技術によって調製してもよい)。ひとたび最初のヒトVLおよびVHセグメントが選択されれば、CD38を含むペプチドの結合について異なる対の最初に選択されたVLおよびVHセグメントをスクリーニングする、「種々雑多な組み合わせの」実験を行ない、望ましいVL/VH対の組み合わせを選択してもよい。例えば、ペプチドの反応性を、ELISAまたはその他の好適なエピトープ解析法によって決定してもよい(そのような技術および原理の議論については、例えばScott, J.K. and Smith, G.P. Science 249, 386-390(1990)、Cwirla et al., PNAS USA 87, 6378-6382(1990)、Felici et al., J. Mol. Biol. 222, 301-310(1991)、およびKuwabara et al., Nature Biotechnology 15, 74-78(1997)を参照されたい)。抗体を、抗原に対するそれらの親和性によって、および/または抗原からの解離というそれらの反応速度論(オフレート)によって選択してもよい(例えばHawkins et al., J. Mol. Biol. 226, 889-896(1992)参照)。
【0628】
抗CD38抗体の質および/または多様性をさらに改良するために、自然の免疫反応の間の抗体の親和性成熟の原因であるインビボ体細胞突然変異過程に類似した過程において、例えばVHおよび/またはVLのCDR3領域内で、VL/VH対のVLおよびVHセグメントをランダムに突然変異させてもよい。それぞれVH CDR3またはVL CDR3に相補的なPCRプライマーを用いてVHおよびVL領域を増幅することによって、このインビトロ親和性成熟を遂行してもよく、結果として得られるPCR産物が、ランダムな突然変異がVHおよび/またはVL CDR3領域に導入されたVHおよびVLセグメントをコードするように、特定の位置で4つのヌクレオチド塩基のランダムな混合物によって、典型的にはそのプライマーを「スパイク」する。これらのランダムに突然変異したVHおよびVLセグメントを、CD38を含むペプチドへの結合について再スクリーニングしてもよい。
【0629】
スクリーニング後、選択された抗体をコードする核酸をディスプレイパッケージから(例えば、ファージゲノムから)回収し、および標準的な組換えDNA技術によって適当なベクターにサブクローニングしてもよい。望ましい場合、そのような抗体をコードする核酸をさらに操作して、その他の抗体型またはCD38BPを作製してもよい。コンビナトリアルライブラリーのスクリーニングによって単離された組換え抗体を発現させるために、典型的には抗体をコードする配列を含む核酸を組換え発現ベクターにクローニングし、かつ核酸の発現および抗体の産生に好適な条件下で、適当な宿主細胞(哺乳動物細胞、酵母細胞など)に導入する。
【0630】
また、関心対象の抗原を、マイクロタイタープレートまたはビーズなどの、固体表面上に固定化するパニング技術を用いて、ヒト単鎖Fv(scFv)およびFab抗体断片などの、高親和性抗体ペプチドをそのようなライブラリーから単離してもよい(例えばBarbas and Burton, Trends. Biotechnol. 14, 230-234(1996)およびAujame et al., Hum. Antibodies 8, 155-68(1997))。大きいナイーブのライブラリーのファージディスプレイもまた、免疫を伴わないで直接的にヒト抗体を単離することを可能にする(例えばde Haard et al., J. Biol. Chem. 274(26), 18218-18230(1999)参照)。
【0631】
ある態様において、本発明は、変異体抗CD38抗体を提供する。「変異体」抗CD38抗体は、CDRまたはVHおよび/もしくはVL配列の1つまたは複数の好適なアミノ酸残基の変更、すなわち置換、欠失、挿入、または末端配列付加によって(典型的には免疫により作製される)もとの抗体と異なる抗体である(ただし、もとの抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な量が、そのような変化によって、改良されないまでも、保持されるものとする)。
【0632】
抗体変異体における変異を、1つの変異体抗体の中のフレームワーク領域、定常ドメイン、および/または可変領域(もしくは1つもしくは複数のそのCDR)の各々に生じさせてもよい。あるいは、変異を、フレームワーク領域、可変領域(もしくは1つのそのCDR)、または定常ドメインの1つだけに生じさせてもよい。変異体VL、VH、または特定のCDR配列を含むCD38BPを作製する際に置換または欠失のために好適な残基を同定するために、Cunningham and Wells, Science 244, 1081-1085(1989)に記載されているような、アラニンスキャニング突然変異生成技術を用いてもよいが、その他の好適な突然変異生成技術も適用してもよい。また、Reidhaar-Olson and Sauer, Science 241, 53-57(1988)またはBowie and Sauer, PNAS USA 86, 2152-2156(1989)によって開示された方法のような、突然変異生成およびスクリーニングに関する公知の方法を用いて、複数のアミノ酸置換を行ない、および試験してもよい。
【0633】
したがって、例えば、抗体変異体において、1つまたは複数のCDRの中にのような、もとの抗体の1つまたは複数の超可変領域の中にまたは近くに、1つまたは複数のアミノ酸残基を導入または挿入してもよい。抗CD38抗体変異体は、任意の数の挿入されたアミノ酸残基を含んでもよく、ただし再び、もとの抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な量が保持されるものとする。例えば、本発明の抗CD38抗体変異体は、約1~30の挿入されたアミノ酸残基、例えば約2~10、例えば2~5などの、または約1~5などの、例えば約1~10の挿入されたアミノ酸残基を含んでもよい。同様に、例えば、本発明の抗CD38抗体変異体は、約1~30の欠失したアミノ酸残基、例えば約2~10、例えば2~5などの、または約1~5などの、例えば約1~10の欠失したアミノ酸残基を含んでもよい。同様に、例えば、本発明の抗CD38抗体変異体は、約1~30の置換されたアミノ酸残基、例えば約2~10、例えば2~5などの、または約1~5などの、例えば約1~10の置換されたアミノ酸残基を含んでもよい。同様に、例えば、本発明の抗CD38抗体変異体は、約1~30の末端配列アミノ酸残基付加、例えば約2~10、例えば2~5などの、または約1~5などの、例えば約1~10の末端配列アミノ酸残基付加を含んでもよい。本発明の抗体変異体はまた、2つまたはそれより多くのそのような挿入、欠失、置換、および末端配列アミノ酸残基付加を含んでもよく、ただし変異体は、1つまたは複数のCD38エピトープに関して、もとの抗体の親和性、特異性、および/または選択性の少なくとも相当な割合を保有するものとする。
【0634】
抗体変異体の選択に関する考察(例えば、アミノ酸残基の機能的特徴の保存、親水度特徴に基づくアミノ酸残基の保存、および/または重さ/大きさを基礎としたアミノ酸残基の保存)は、本明細書の別の場所に記載されている。典型的には、保存的置換変異などの、アミノ酸配列変更は、望ましくはもとの配列の構造的特徴を実質的に変化させない(例えば、交換アミノ酸は、もとの配列の機能を特徴付ける2次構造を破壊する傾向があるべきではない)。当業者によって認識されるポリペプチドの2次構造および3次構造の例は、例えば、Proteins, Structures, and Molecular Principles(Creighton, 編, W. H. Freeman and Company, New York(1984))、Introduction to Protein Structure(C. Branden and J. Tooze, 編, Garland Publishing, New York, N.Y.(1991))、およびThornton et al., Nature 354, 105(1991)に記載されている。ペプチド変異体の設計および構築に関するさらなる原理は、例えばCollinet et al., J Biol Chem 275(23), 17428-33(2000)で議論されている。
【0635】
(例えば、部位指向性突然変異生成により)抗体をコードする核酸に適当なヌクレオチド変化を導入することによって、または化学的ペプチド合成によって、抗体のアミノ酸配列変異体を得てもよい。そのような変異体には、例えば、本明細書における実施例の抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/または本明細書における実施例の抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、および/または本明細書における実施例の抗体のアミノ酸配列内の残基の置換、および/または本明細書における実施例の抗体のアミノ酸配列内の残基の末端配列付加が含まれる。所望の変異体に達するように、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせを行ってもよく、ただし変異体は、もとの抗体のエピトープ結合特徴の少なくとも相当な割合を保有するものとする。また、もとの抗体に対する、アミノ酸配列変化は、グリコシル化部位の数または位置を変えることによるような、もとの抗体に対する変異体抗体の翻訳後過程を変更してもよい。
【0636】
本発明の変異体抗体は、CDRにおけるような、超可変領域における変更を含んでもよい。そのようなCDR変異体を含むCD38BPの例は、本明細書の別の場所に記載されており、および、上記のように、そのようなCD38BPは抗体である。
【0637】
本発明の変異体抗体は、超可変領域の外側、例えばFc領域の中にある、フレームワーク(FR)の変更を含んでもよく、その変更は、抗体の機能的または薬物動態的な特性を変えるなどの、好都合な特性と関連し得る。例えば、フレームワーク領域または定常ドメインにおける置換もしくはその他の改変(挿入、欠失、末端配列付加、もしくはその任意の組み合わせ)は、もとの抗体に対する変異体抗体の半減期の増大と関連してもよく、またはもとの抗体に対して変異体抗体の免疫原性を変更し、別の分子への共有結合的もしくは非共有結合的結合のための部位を提供し、もしくは例えばC1q結合およびCDCの減少もしくは増大、もしくはFcγR結合および抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)の減少もしくは増大を結果的もたらす、補体固定のような特性を変更するようなされてもよい。例えば、重鎖定常領域のアミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320、および322の1つまたは複数で置換を行ない、それによって未改変の抗体と比べて抗原への結合は保持するものの、エフェクター機能の変更を引き起こしてもよく、米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号を参照されたい。さらなる参照が、ADCCを増大させる変更されたFc領域を有する抗体を開示している国際公開公報第00/42072号、ならびに抗体がFcRIに結合する能力を変更し、およびそれによって抗体がC1qに結合する能力を減少させ、それが今度は抗体が補体を固定する能力を減少させるCH2ドメインのN末端領域における突然変異を有する抗体を開示している国際公開公報第94/29351号に対してなされてもよい。さらに、Shields et al., J. Biol. Chem. 276, 6591-6604(2001)によって、例えばT256A/S298A、S298A/E333A、およびS298A/E333A/K334Aなどの、FcγRIII結合を改良する、組み合わせ変異体が教示されている。
【0638】
また、分子がインタクトのCH2ドメインまたはインタクトのIg Fc領域を含まないように、Ig定常ドメインまたはIg様定常ドメインのサルベージ受容体エピトープを改変することによって、抗体のインビボ半減期を改良してもよく、米国特許第6,121,022号および米国特許第6,194,551号を参照されたい。さらに、例えば、スレオニンを位置252のロイシンの代わりに、スレオニンを位置254のセリンの代わりに、スレオニンを位置256のフェニルアラニンの代わりに置換することによるなど、Fc領域に突然変異を作ることによって、インビボ半減期を増大させてもよく、米国特許第6,277,375号を参照されたい。
【0639】
ある態様において、本発明は、合理的設計を通じて抗体の中の潜在的T細胞エピトープが低下または削除されている変異体抗CD38抗体を提供する。したがって、例えば、ある態様において、本発明は、潜在的T細胞エピトープが削除されている「脱免疫した」抗CD38抗体を提供する。脱免疫した抗CD38抗体の設計および構築を、任意の好適な公知の技術によって遂行してもよい(例えば、脱免疫された抗体を調製するための方法に関して国際公開公報第9852976号を参照されたい)。本発明に従って、そのようなCD38BP(例えば、抗CD38変異体抗体)を投与する場合、ヒトでの免疫原性は削除または実質的に低下されていると期待される。
【0640】
その他のフレームワーク突然変異には、タンパク質分解に対する感受性を低下させ、酸化に対する感受性を低下させ、および/または関連する変異体抗体にその他の物理化学的もしくは機能的特性を付与し、もしくは関連する変異体抗体上のその他の物理化学的もしくは機能的特性を改変し得る配列変化が含まれてもよい。
【0641】
フレームワークにおけるアミノ酸配列変異はまた、もとの抗体に対して変異体抗体におけるグリコシル化パターンの変更を結果としてもたらす。変更するということによって、もとの抗体に見出される1つもしくは複数の炭水化物部分を欠失すること、および/またはもとの抗体に存在しない1つもしくは複数のグリコシル化部位を付加することが意味される。抗体のグリコシル化は典型的には、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、トリペプチド配列アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニンは、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着のための共通認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のどちらか一方の存在によって、潜在的グリコシル化部位が作製される可能性がある。O結合型グリコシル化は、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用し得るが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニン、へのN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースなどの糖の付着を指す。それが1つまたは複数の上記の(N結合型グリコシル化部位のための)トリペプチド配列を含むように、アミノ酸配列を変更することによって抗体へのグリコシル化部位の付加を簡便に遂行してもよい。また、初めの抗体の(O結合型グリコシル化部位のための)配列への1つもしくは複数のセリンもしくはスレオニン残基の付加、または初めの抗体の(O結合型グリコシル化部位のための)配列への1つもしくは複数のセリンもしくはスレオニン残基による置換によって、変更を行なってもよい。
【0642】
また、今度はNK細胞の存在下で抗体のADCCの増大を結果としてもたらすと考えられるFcγRIIIに対するFcの親和性の増強を行なうためにFcの位置297のAsnに付着した炭水化物に通例付着するフコース単位を付加しないトランスフェクトーマで抗体を発現させてもよく、Shield et al., J. Biol. Chem. 277, 26733(2002)を参照されたい。フコシル化に焦点を当ててグリコシル化を改変するその他の方法は、Kyowaに対する国際公開公報第00/61739号に記載されている。さらに、CDCを改変するために、ガラクトロシル化の改変がなされてもよい。さらなる参照が、GntIIIを発現するよう人工的に改変され、変更されたグライコフォームおよび改良されたADCC活性を有するモノクローナル抗体の発現を結果的にもたらすCHO細胞株を開示している国際公開公報第99/54342号およびUmana et al., Nat. Biotechnol. 17, 176(1999)に対してなされてもよい。
【0643】
新規の抗CD38抗体を調製するためのその他の潜在的に好適な技術には、CDRウォーキング突然変異生成、抗体鎖シャッフリング、「節約」突然変異生成(Balint and Larrick, Gene 137, 109-118(1993))、およびその他の親和性成熟技術が含まれる(例えばWu et al., PNAS USA 95, 6037-42(1998)参照)。レパートリークローニング法もまた、変異体抗体の産生に有用である可能性がある(例えば国際公開公報第96/33279号参照)。
【0644】
CDR変異体を作製するための公知の技術が多数あり、そのうちの任意の好適な技術または組み合わせを、実施例の抗体のCDRのCDR変異体を作製するための本発明の文脈において用いてもよい。そのような技術の例として、Studnicka et al., Protein Enginnering 7, 805-814(1994)に記載されたような非必須残基の除去(Soderlind et al., Immunotechnology. 4(3-4), 279-85(1999)も参照)、CDRウォーキング突然変異生成およびその他の人為的親和性成熟技術(例えばYang et al., Journal of Molecular Biology 254(3), 392-403(1995)参照)、CDRシャッフリング技術が含まれ、CDRシャッフリング技術は典型的には、任意で合成オリゴヌクレオチドを含む多様な組の遺伝子鋳型からCDRを増幅し、VL、VHおよび/またはCDRの定常領域を増幅し、ならびに様々な断片を(1本鎖または2本鎖の形式で)混合し、かつポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってまとめ、マスターフレームワークに導入されたシャッフルされたCDRを持つ遺伝子産物をコードする1組の抗体断片を産生し、マスターフレームワークは、全長産物の産出を保証するために挿入された制限部位の向こうにある部位にアニールする外側のプライマーを用いて増幅し、全長産物は選別したベクターに挿入され、および変異体CDRを含むタンパク質の発現のために用いられる。例えば、NMR溶液構造の比較による、変異体/模擬構造およびもとの配列の構造の重ね合わせによって、適当な構造を決定してもよい。CDR配列の合理的設計のための有用な方法は、例えば国際公開公報第91/09967号および国際公開公報第93/16184号に記載されている。そのような方法のさらなる例は、本明細書の別の場所で提供されている。
【0645】
本発明はまた、本発明の(変異体抗体を含む)抗体の断片を提供し、その断片はCD38に結合する能力を有する(CD38結合断片)。したがって、CD38BPには、天然の抗体と関連する完全な四量体構造に満たないものを含む抗体様分子が含まれる。抗体断片は、全長抗体の一部、通常その抗原結合領域または可変領域、を含む任意のペプチドであってもよい(これには、例えば、本発明の抗体由来のCDR、その変異体、または抗原断片がCD38結合について本発明の抗体と競合するのを可能にするその他のCDRを含むヒト化抗体が含まれる)。ある態様において、抗体断片は、抗体分子の一部から本質的になる、または抗体分子の一部からのみなるペプチドを指す。ある態様において、本発明は、本発明の抗体の1つまたは複数のVH CDRを含む重鎖可変ドメインの少なくとも一部および任意で本発明の抗体の1つまたは複数のVL CDRを含む軽鎖可変ドメインも含む抗体断片であって、重鎖可変ドメイン、および任意で軽鎖可変ドメインが、免疫グロブリン定常ドメインなどの、さらなる部分に任意で融合している抗体断片を提供する。定常ドメイン配列を重鎖および/または軽鎖配列に付加し、部分長の重鎖および/または軽鎖を有する種を形成させてもよい。IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE定常領域を含む、任意の抗体アイソタイプの定常領域、またはその部分をこの目的のために用いてもよい。
【0646】
CD38結合抗体断片の例として、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片が含まれる。本発明の文脈における抗体断片にはまた、CDR、およびそれと同様のものを含むペプチドが含まれる。ある態様において、本発明は、本明細書において記載された重鎖CDRのいずれかを含む第1のポリペプチドおよび本明細書において記載された軽鎖CDRのいずれかを含む第2のポリペプチドを含む抗体断片であって、2つのポリペプチド鎖が1つまたは複数の鎖間ジスルフィド結合によって共有結合で結合されている抗体断片を提供する。ある態様において、本発明は、Fab、Fab'、Fab'-SH、Fv、および/またはF(ab')2断片より選択される、そのような特色を有する2鎖抗体断片を提供する。
【0647】
従来の技術を用いて抗体を断片化してもよく、および断片を抗体全体について上記と同じ様式で有用性についてスクリーニングしてもよい。例えば、抗体をペプシンで処置することによって、F(ab')2断片を作製してもよい。結果として得られるF(ab')2断片を、ジスルフィド架橋を低下させるように処置して、Fab'断片を産生してもよい。IgG抗体をパパインで処置することによって、Fab断片を得てもよく;IgG抗体のペプシン消化によって、Fab'断片を得てもよい。また、チオエーテル結合またはジスルフィド結合を介して下に記載されたようなFab'を結合することによって、Fab'断片を産生してもよい。Fab'断片はF(ab')2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することによって得られる抗体断片である。F(ab')2断片を、ジチオスレイトールなどの、還元薬剤で処置することによって、Fab'断片を得てもよい。また、組換え細胞でのそのようなペプチドをコードする核酸の発現によって、抗体断片ペプチドを作製してもよい(例えばEvans et al., J. Immunol. Meth. 184, 123-38(1995)参照)。例えば、F(ab')2断片の一部をコードするキメラ遺伝子は、H鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域、それに続くそのような切断された抗体断片分子を生み出すための翻訳終止コドンをコードするDNA配列を含むことができると考えられる。
【0648】
CD38BPにはまた、一価抗体および単鎖抗体が含まれる。単鎖抗体は、重鎖および軽鎖Fv領域が接続されているペプチドである。ある態様において、本発明は、本発明の抗CD38抗体のFvの中の重鎖および軽鎖が、1つのペプチド鎖において(典型的には約10、12、15、またはそれより多くのアミノ酸残基の)柔軟性のあるペプチドリンカーでつながれている単鎖Fv(scFv)を提供する。そのような抗体を産生する方法は、例えば米国特許第4,946,778号、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, 113巻, Rosenburg and Moore編, Springer-Verlag, New York, 269-315頁(1994)の中のPluckthun、Bird et al., Science 242, 423-426(1988)、Huston et al., PNAS USA 85, 5879-5883(1988)、およびMcCafferty et al., Nature 348, 552-554(1990)に記載されている。1つのVHおよびVLのみを用いる場合、単鎖抗体は一価であってもよく、2つのVHおよびVLを用いる場合、単鎖抗体は二価であってもよく、または2つより多くのVHおよびVLを用いる場合、単鎖抗体は多価であってもよい。
【0649】
本発明のある態様において、CD38BPを誘導体化し、または別の機能性分子、例えば(Fab'断片などの)別のペプチドもしくはタンパク質に結合し、複数の結合部位または標的エピトープに結合する二重特異性または多重特異性分子を作製してもよい。例えば、本発明の抗体は、別の抗体、ペプチド、または結合擬似体などの、1つまたは複数のその他の結合分子に(例えば化学的共役、遺伝的融合、非共有結合的会合によって、または別の方法で)機能的に結合していてもよい。ある態様において、CD38BPは本発明の抗体である。
【0650】
したがって、本発明には、少なくとも1つのCD38に対する第1の結合特異性および第2の標的エピトープに対する第2の結合特異性を含む二重特異性および多重特異性分子が含まれる。本発明のある態様において、第2の標的エピトープは、Fc受容体、例えばヒトFcγRI(CD64)もしくはヒトFcα受容体(CD89)、またはT細胞受容体、例えばCD3である。ある態様において、本発明は、FcγR、FcαR、またはFcεR発現エフェクター細胞(例えば、単球、マクロファージ、もしくは多形核細胞(PMN))、およびCD38を発現する標的細胞の両方に結合することができる二重特異性および多重特異性分子を提供する。これらの二重特異性および多重特異性分子は、CD38発現細胞をエフェクター細胞に標的し、かつCD38発現細胞の食作用、抗体依存的細胞性細胞毒性(ADCC)、サイトカイン放出、またはスーパーオキシドアニオンの発生などの、Fc受容体を介するエフェクター細胞活性を誘発する。
【0651】
本発明の二重特異性および多重特異性分子にはさらに、抗Fc結合特異性および抗CD38結合特異性に加えて、第3の結合特異性が含まれてもよい。ある態様において、第3の結合特異性は、例えば、細胞毒性活性に関与する表面タンパク質に結合し、およびそれによって標的細胞に対する免疫反応を増大させる分子などの、抗増強因子(EF)部分である。「抗増強因子部分」は、例えば、抗原または受容体などの、所与の分子に結合し、およびそれによってFc受容体または標的細胞抗原に対する結合決定基の効果の増強を結果的にもたらす抗体、機能性抗体断片、またはリガンドであってもよい。「抗増強因子部分」は、Fc受容体または標的細胞に結合してもよい。あるいは、抗増強因子部分は、第1および第2の結合特異性が結合する実体とは異なる実体に結合してもよい。例えば、抗増強因子部分は、(例えば、CD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD40、ICAM-1、または標的細胞に対する免疫反応の増大を結果的にもたらすその他の免疫細胞を介して)細胞毒性T細胞に結合してもよい。
【0652】
ある態様において、本発明の二重特異性および多重特異性分子は、結合特異性として、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、またはscFvを含む、少なくとも1つのさらなる抗体を含む。さらなる抗体はまた、軽鎖もしくは重鎖二量体、またはLadner et al.,に、米国特許第4,946,778号に記載されたようなFvもしくは単鎖構築物などの任意のその最小断片であってもよい。抗体はまた、米国特許第2003/0118592号および米国特許第2003/0133939号に開示されたような結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質であってもよい。
【0653】
ある態様において、Fc受容体に対する結合特異性はヒトモノクローナル抗体によって与えられ、その結合はヒト免疫グロブリンG(IgG)によって遮断されない。本明細書において用いられる場合、「IgG受容体」という用語は、第1番染色体に位置する8つのγ鎖遺伝子のいずれかを指す。これらの遺伝子は、3つのFc*受容体クラス:FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)にグループ化される合計12の膜貫通または可溶性受容体アイソフォームをコードする。ある態様において、Fcγ受容体は、ヒト高親和性FcγRIである。これらのモノクローナル抗体の産生および特徴付けは、Fanger et al.,によって、国際公開公報第88/00052号、および米国特許第4,954,617号に記載されている。これらの抗体は、受容体のFcγ結合部位とは異なる部位でFcγRI、FcγRII、またはFcγRIIIのエピトープに結合し、およびしたがって、それらの結合は生理学的レベルのIgGによって実質的に遮断されない。本発明において有用な特異的抗FcγRI抗体は、mAb22、mAb32、mAb44、mAb62、およびmAb197である。その他の態様において、抗Fcγ受容体抗体は、mAb22のヒト化形態(H22)である。H22抗体の産生および特徴付けは、Graziano, R. F. et al., J. Immunol. 155(10), 4996-5002および国際公開公報第94/10332号に記載されている。H22抗体産生細胞株は、HA022CL1という名称の下で1992年11月4日にAmerican Type Culture Collectionに寄託され、およびアクセッション番号CRL 11177を有する。
【0654】
ある態様において、Fc受容体に対する結合特異性は、例えばFcα受容体(FcαI(CD89))などの、ヒトIgA受容体に結合する抗体によって与えられ、その結合は、ある態様において、ヒト免疫グロブリンA(IgA)によって遮断されない。「IgA受容体」という用語は、第19番染色体上に位置する1つのα-遺伝子(FcαRI)の遺伝子産物を含むよう意図されている。この遺伝子は、幾つかの選択的スプライスによる55~110kDaの膜貫通アイソフォームをコードすることが公知である。FcαRI(CD89)は、単球/マクロファージ、好酸性および好中性顆粒球上に構成的に発現しているが、非エフェクター細胞集団上には発現していない。FcαRIは、IgA1およびIgA2の両方に対する中間の親和性を有し、親和性はG-CSFまたはGM-CSFなどのサイトカインへの曝露によって増大する(Morton H. C. et al., Critical Reviews in Immunology 16, 423-440(1996))。IgAリガンド結合ドメインの外側でFcαRIと結合する、A3、A59、A62、およびA77として同定された、4つのFcαRI特異的モノクローナル抗体が記載されている(Monteiro, R. C. et al., J. Immunol. 148, 1764(1992))。
【0655】
それらが(1)例えば、単球、PMN、マクロファージ、および樹状細胞などの、免疫エフェクター細胞上で主に発現し;(2)高レベルで発現し(例えば細胞当たり5,000~100,000);(3)細胞毒性活性(例えば、ADCC、食作用)のメディエーターであり;ならびに(4)それらに標的される、自己抗原を含む、抗原の抗原提示の増強を仲介するので、FcαRI、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIII、とりわけFcγRIIおよびFcγRIIIは、本発明での使用のための誘因受容体の例である。
【0656】
ある態様において、本発明のCD38BPは、多重特異性抗CD38抗体または抗体様分子であり、その特定の例は、少なくとも一部はCD38に含まれるエピトープに特異的な少なくとも1組のVH配列およびVL配列鎖、ならびに第2のエピトープに特異的な第2の少なくとも1組のVH配列およびVL配列鎖を含む二重特異性抗体である。二重特異性抗体におけるVHおよびVL配列は、抗CD38 VHおよびVL領域、変異体VHおよび/もしくはVL配列、またはCDR配列の好適な組み合わせおよび関心対象のエピトープへの結合を提供するのに十分なその他の配列などの、VHおよび/もしくはVL領域の好適な部分に対応する完全なVHおよびVL配列を含んでもよい。
【0657】
例示的な二重特異性抗体分子は、(i)一方がCD38に対する特異性およびもう一方が一緒にコンジュゲートされた第2の標的に対する特異性を有する2つの抗体、(ii)CD38に対して特異的な1つの鎖および第2の分子に対して特異的な第2の鎖を有する1つの抗体、ならびに(iii)CD38および第2の分子に対して特異性を有する単鎖抗体を含む。典型的には、第2の標的/第2の分子は、CD38以外の分子である。ある態様において、第2の分子は、腫瘍胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原(PSA)、RAGE(腎性抗原)、α-フェトタンパク質、CAMEL(メラノーマ上のCTL認識抗原)、(MAGE-B5、-B6、-C2、-C3、およびD;Mage-12;CT10;NY-ESO-1、SSX-2、GAGE、BAGE、MAGE、およびSAGEなどの)CT抗原、ムチン抗原(例えば、MUC1、ムチン-CA125など)、ガングリオシド抗原、チロシナーゼ、gp75、C-myc、Mart1、MelanA、MUM-1、MUM-2、MUM-3、HLA-B7、ならびにEp-CAMなどの癌抗原/腫瘍関連抗原である。ある態様において、第2の分子は、α5β3インテグリンなどの、癌関連インテグリンである。ある態様において、第2の分子は、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、上皮増殖因子(EGF)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、アンジオジェニン、およびその受容体、特に癌進行と関連する受容体(例えばHER1~HER4受容体のうちの1つ)などの、血管新生因子またはその他の癌関連増殖因子である。本明細書において議論されるその他の癌進行関連タンパク質もまた、好適な第2の分子である可能性がある。ある態様において、第2の分子は、CD138などの多発性骨髄腫の表面上に発現した分子である。
【0658】
ある態様において、本発明の二重特異性抗体は、ダイアボディである。
【0659】
二重特異性抗体にはまた、クロスリンク抗体または「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲートにおける一方の抗体がアビジンと結合し、および他方がビオチンと結合していてもよい。そのような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に標的するよう提案されている(例えば米国特許第4,676,980号を参照されたい)。任意の簡便なクロスリンク法を用いて、ヘテロコンジュゲート抗体を作製してもよい。好適なペプチドクロスリンク薬剤および技術は、当技術分野において周知であり、ならびにそのような薬剤および技術の例は、例えば米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0660】
したがって、本明細書における議論は抗体に焦点を当てるが、本発明のCD38BPが対応する完全抗体の抗原結合特性の少なくとも相当な割合を保持するという条件で、適当な場合、抗体の態様および特色を、Fab断片、Fab'断片、およびscFvペプチドなどの、抗体断片、抗体様ペプチド(CDRを含むペプチド)、二重および多重特異性抗体、ならびにその他のCD38BPに等しく適用し得るということが理解されるべきである。場合によっては、抗体断片はより低い抗原結合親和性と関連してもよいが、親和性における任意のそのような損失を相殺し得るその他の好都合な特色を提供してもよい。
【0661】
本発明のCD38BP、および特に抗CD38抗体を、補体固定の能力を提供するか、否かというそれらの能力に基づいて選択してもよい。以下を含むが、これらに限定されるわけではない、補体固定およびCDCができる多数の抗体のアイソタイプがあり:マウスIgM、マウスIgG2a、マウスIgG2b、マウスIgG3、ヒトIgM、ヒトIgG1、およびヒトIgG3。補体固定およびCDCをなさないアイソタイプには、ヒトIgG2およびヒトIgG4が含まれるが、これらに限定されるわけではない。アイソタイプ決定および抗体の補体固定およびCDC機能特徴を改変するためのその他の方法は、当技術分野において公知である。
【0662】
本発明のCD38BPはまた、抗CD38抗体の1つまたは複数のCDRが、本分子と共有結合的にまたは非共有結合的に会合した分子である、免疫アドヘシンを含む。免疫アドヘシンは、より大きいペプチド鎖の一部としてCDRを取込んでもよく、別のポリペプチド鎖にCDRを共有結合的に結合してもよく、または非共有結合的にCDRを取込んでもよい。CDRによって、免疫アドヘシンがCD38に特異的に結合することが可能になる。
【0663】
本発明はまた、CD38BP融合タンパク質を提供する。CD38BP融合タンパク質は、CD38内に少なくとも部分的に含まれる少なくとも1つのドメイン(例えば、抗CD38抗体VHドメイン、VLドメイン、または特定のそのCDR)ならびに少なくとも1つの非相同でかつ典型的には実質的に類似していないアミノ酸配列(例えば、CD38特異的/選択的配列に対する約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、または約20%未満のアミノ酸配列同一性)に特異的および/または選択的である任意の好適なアミノ酸配列または配列の組み合わせを含んでもよく、それは、CD38特異的/選択的配列のみに帰することができない検出可能な生物学的機能および/または特徴(例えば、インビボ半減期の増大、蛍光、特定の型の細胞への標的化の増大など)を融合タンパク質に与える。そのような融合タンパク質の機能的配列を柔軟性のあるリンカーによって分離してもよい。第2の配列はまた、細胞毒性のあるペプチドまたはアポトーシス性ペプチドに由来してもよい。第2の配列はまた、診断的特性を付与してもよい。そのような配列の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの容易に可視化される酵素に由来する配列が含まれる。
【0664】
また、エピトープタグを含むことによって、CD38BP融合タンパク質を特徴付けてもよい。エピトープタグ配列は、CD38BPの文脈において、それに対する抗体を作り得るが、それが(エピトープタグを欠くもとのCD38BPと比べて)CD38BPの活性(選択性、特異性、親和性、および/または生物学的活性)に実質的に干渉しない程度に十分に短いエピトープを提供するのに十分な残基を有するアミノ酸配列である。エピトープタグは望ましくは、抗エピトープタグ抗体がその他のエピトープと実質的に交差反応しないように十分に独特である。好適なタグポリペプチドは通常、少なくとも約6アミノ酸残基、および通例約8~50アミノ酸残基の間(例えば、約9~30残基)を有する。エピトープタグの例として、flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Field et al., Mol. Cell. Biol. 8, 2159-2165(1988));c-mycタグおよびそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7、および9E10抗体(Evan et al., Mol. Cell. Biol. 5(12), 3610-3616(1985))ならびにヘルペス単純ウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborsky et al., Protein Engineering 3(6), 547-553(1990))が含まれる。ある種の態様において、エピトープタグは「サルベージ受容体結合エピトープ」である。本明細書において用いられる場合、「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のインビボ血清半減期を増大させる原因であるIgG分子(例えばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
【0665】
本発明のCD38BPにはCD38BP誘導体も含まれる。誘導体は、ペプチドの1つもしくは複数のアミノ酸残基が(例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成、もしくはアミド形成によって)化学的に改変され、または1つもしくは複数の異種置換基(例えば、脂溶性置換基、PEG部分、好適な有機部分リンカーによって結合されたペプチド側鎖など)と共有結合的に会合しているペプチドである。ペプチドはまた、細胞毒素、化学療法薬物、免疫抑圧剤、または放射性同位元素などの、治療的部分とコンジュゲートしてもよい(いわゆる免疫コンジュゲート)。一般に、任意の好適な数のそのような改変アミノ酸の含有および/またはそのようなコンジュゲートされた置換基との会合によって、本明細書において記載されるCD38BPを改変してもよい。誘導体化されていないもとのCD38BPと関連するCD38選択性および/または特異性を少なくとも実質的に保持する能力によって、この文脈一般における好適性を決定する。1つまたは複数の改変アミノ酸の含有は、例えば、(a)ポリペプチド血清半減期を増大させ、(b)ポリペプチド抗原性を低下させ、または(c)ポリペプチド保存安定性を増大させる際に、好都合である可能性がある。アミノ酸を、例えば、組換え産生の間、翻訳時もしくは翻訳後に改変し(例えば、哺乳動物細胞における発現の間のN-X-S/TモチーフでのN結合型グリコシル化)、または合成的手段によって改変する。改変アミノ酸の非限定的な例として、グリコシル化アミノ酸、硫酸化アミノ酸、プレニル化(例えば、ファルネシル化、ジェラニルジェラニル化)アミノ酸、アセチル化アミノ酸、アシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、カルボキシル化アミノ酸、リン酸化アミノ酸、およびそれらと同様のアミノ酸が含まれる。当業者にアミノ酸の改変の指導をするのに適切な参照が文献中に豊富にある。例となるプロトコルが、Walker(1998)Protein Protocols On Cd-Rom, Humana Press, Towata, NJに見出される。改変アミノ酸を、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分とコンジュゲートした/アミノ酸、および有機誘導体化薬剤とコンジュゲートしたアミノ酸より選択してもよい。
【0666】
さらに、抗体を、例えばそれらの循環半減期を増大させるために、ポリマーへの共有結合的コンジュゲーションによって、化学的に改変してもよい。例示的なポリマー、およびそれらをペプチドに付着させる方法は、例えば米国特許第4,766,106号、米国特許第4,179,337号、米国特許第4,495,285号、および米国特許第4,609,546号に例示されている。さらなる実例となるポリマーには、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)(例えば、約2,000から約20,000の間などの、例えば、約3,000から12,000の、約1,000から約40,000の間の分子量を有するPEG)が含まれる。
【0667】
ある態様において、本発明は、放射性核種、酵素、酵素基質、補因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチドタグ、または磁気粒子より選択される第2の分子にコンジュゲートされたCD38BPを提供する。ある態様において、CD38BPを、1つまたは複数の抗体断片、核酸(オリゴヌクレオチド)、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調整因子、キレート剤、ホウ素化合物、光活性薬剤、色素、およびそれらと同様のものにコンジュゲートしてもよい。これらおよびその他の好適な薬剤を本発明のCD38BPに直接的にかまたは間接的にかのいずれかで結合してもよい。第2の薬剤の間接的結合の1つの例は、スペーサー部分による結合である。これらのスペーサーは、今度は、不溶性または可溶性のいずれかであってもよく(例えば、Diener et al., Science 231, 148(1986)参照)、ならびに標的部位でおよび/または特定の条件下でCD38BPからの薬物放出を可能にするよう選択されてもよい。CD38BPに結合し得る治療薬剤のさらなる例として、レクチンおよび蛍光ペプチドが含まれる。
【0668】
ある態様において、1つまたは複数の放射性標識アミノ酸を含むCD38BP誘導体を提供する。放射性標識CD38BPを診断的目的および治療的目的の両方に用いてもよい(放射性標識分子へのコンジュゲーションは別のあり得る特色である)。ポリペプチドのための標識の非限定的な例として、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、125I、131I、および186Reが含まれるが、これらに限定されない。放射性標識アミノ酸および関連するペプチド誘導体を調製するための方法は、当技術分野において公知である(例えばJunghans et al., Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655-686(第2版, Chafner and Longo, 編, Lippincott Raven(1996))に、ならびに米国特許第4,681,581号、米国特許第4,735,210号、米国特許第5,101,827号、米国特許第5,102,990号(米国再発行特許第35,500号)、米国特許第5,648,471号、および米国特許第5,697,902号参照)。例えば、クロラミンT法によって、放射性同位元素をコンジュゲートしてもよい。
【0669】
診断的文脈において好都合な放射性核種は、インジウム放射性同位元素であり、および治療的適用の文脈においては、細胞毒性のある、イットリウム放射性同位元素である。光子を放射する放射性同位元素は、一般に、診断的(放射性免疫シンチグラフィー(RIS))方法に好都合である。オージェ電子は、非常に短い路長(5~10nm)を有し、および細胞毒性があるためには内在化される必要がある(例えばAdelstein et al., Nucl. Med. Biol. 14, 165-169(1987)参照)。したがって、そのような同位元素にコンジュゲートされたペプチドは、診断的方法において有用である可能性はあるが、治療的文脈においては内在化されるペプチドのみをオージェ電子を放射する放射性同位元素として考慮すべきである。α粒子は、治療薬剤として効果的であるためには細胞の近くに(3~4細胞直径以内に)ある必要がある(High Dose Cancer Therapy Armitage et al.,(編).の中のVriesendorp et al.,「Radioimmunoglobulin therapy」(WilliamsおよびWilkins, Baltimore, Md. 1992))。それらの短距離放射は、典型的には近隣の正常細胞に照射しないと考えられるので、オージェ電子およびα放射体の両方が高い選択性を有すると考えてもよい。
【0670】
放射性金属111Inおよび90Y、は、それぞれ、純粋なγ-放射体および純粋なβ-放射体である。最も一般に用いられるオージェ電子の放射体である、ヨウ素-125は、約60日の半減期を有し、および多くの場合(脱ハロゲン化により)インビボの免疫コンジュゲートによって放出される。臨床的使用のために最も一般的に考慮されるα放射体である、アスタチン-211およびビスマス-212は、比較的短い半減期(それぞれ、7.2hおよび1.0h)を有し、ならびに最初のα放射の後に免疫コンジュゲートによって保持され得ない放射性同位体へと崩壊する(Wilbur, Antibiot. Immunoconjug. Radiopharm. 4, 5-97(1991))。診断的適用のために、インジウム-111またはテクネチウム-99mで標識したCD38BPを用いてもよい。これらの同位体の両方が、画像撮影のために適当なエネルギー、(100~250keV)の範囲内のγ線を放射する。この範囲を下回るエネルギーは典型的には、外部の画像撮影装置に達するのに十分な貫通性がない。より高いエネルギーレベルは、平行にするのが難しく、および乏しい解像度の診断画像を提供する。99Tcの短い半減期は、典型的にはその使用を速やかな腫瘍摂取を有する免疫コンジュゲートに制限する。
【0671】
ある態様において、第1のおよび第2の放射性同位元素とコンジュゲートされた第1のおよび第2のCD38BPを提供する。別の態様において、2つの放射性同位元素とコンジュゲートされた1つのCD38BPを提供する。2つの別々の放射性同位元素を、例えば1つは画像撮影用におよび1つは治療用に用いる利点は、それが外来患者処置を容易にするということである。純粋なβ-放射体などの、治療的同位体によって放射される放射線は、典型的には標的された細胞の近くに大部分吸収されると考えられるが、診断的に用いられる少量の放射能は、放射線の危険性を示さない。
【0672】
放射性同位体をCD38BPに直接的にまたは間接的に付着させてもよい。例えば、放射性同位体125I、131I、99Tc、186Re、および188Reを、アミノ酸官能基を通じて(抗体を含む)タンパク質に共有結合させてもよい。放射性ヨウ素について、それは、通例チロシン上に見られるフェノール基を通じている。これを遂行するための数多くの方法がある:クロラミン-T(例えばGreenwood et al., Biochem J. 89, 114-123(1963)参照)およびロドゲン(Salacinski et al., Anal. Biochem. 117, 136-146(1981))。TcおよびRe同位体を、システインのスルフヒドリル基を通じて共有結合させてもよい(例えばGriffiths et al., Cancer Res. 51, 4594-4602(1991)参照)。しかしながら、人体は多くの場合これらの共有結合を壊し、放射性同位元素を循環系に放出することができるので、そのような組成物は診断目的に比較的よく適している可能性がある。
【0673】
CD38BPはまた、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびそれらと同様の酵素などの、検出のために有用な酵素で標識してもよい。CD38BPはまた、ビオチンで標識し、およびしたがってアビジンまたはストレプトアビジン結合の間接的測定を通じて検出してもよい。CD38BPはまた、2次的なレポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、2次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなど)で標識してもよい。酵素コンジュゲート候補のさらなる例として、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、α-グリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
【0674】
さらなる例示的な標識部分には通常、スピン標識分子およびその他の診断的価値のある標識部分が含まれるが、これらに限定されない。
【0675】
ある態様において、本発明は、クロスリンクされたCD38BP誘導体を提供する。例えば、少なくともその一方が(同じ型のまたは例えば、二重特異性抗体を作製するために異なる型の)CD38に特異的/選択的である、2つまたはそれより多くの抗体をクロスリンクすることによって、そのようなCD38BP誘導体を産生してもよい。好適なクロスリンカーには、適当なスペーサーによって分離された2つの明瞭に反応性のある基を有する、ヘテロ二官能性であり(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシニミドエステル)、またはホモ二官能性(例えば、ジスクシニミジルスベリン酸)クロスリンカーが含まれる。そのようなリンカーは、Pierce Chemical Company, Rockford, IIIから入手可能である。
【0676】
CD38BPはまた、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルもしくはエチル基、または炭水化物基などの、任意の好適な種類の化学基とコンジュゲートしてもよい。CD38BPの生物学的特徴を改良するために、例えば血清半減期、溶解度、および/または組織結合を増大させるために、これらのおよびその他の好適なコンジュゲートされた基を用いてもよい。
【0677】
CD38BP誘導体は、(a)CD38BPもしくはそのサブユニット(例えば、抗CD38抗体H鎖、L鎖、もしくは抗CD38特異的/選択的なその断片)のN末端側もしくはC末端側の適当な置換基もしくは側鎖または(b)CD38BPの中の糖鎖に放射性同位元素、タンパク質、またはその他の薬剤/部分/化合物を化学的にコンジュゲートすることによって、産生してもよい(例えば、Osamu Kanemitsuにより編集され、Chijin Shokanにより出版されたAntidody Engineering Handbook(1994)を参照されたい)。誘導体はまた、適当な場合、内部にある残基または糖におけるコンジュゲーションによって作製してもよい。
【0678】
CD38BPはまた、例えばフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、塩化5-ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニル、ランタニドリン光体、およびそれらと同様のものを含む、蛍光化合物などの、検出薬剤で誘導体化してもよい。好適な蛍光標識のさらなる例として、125Eu標識、イソチオシアネート標識、フィコエリスリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、o-フタルデヒド標識、フルオレサミン標識など、が含まれる。化学発光標識の例として、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、エクオリン標識など、が含まれる。
【0679】
ある態様において、CD38BP誘導体は、コンジュゲートされた核酸または核酸関連分子を含む。本発明の1つのそのような面において、コンジュゲートされた核酸は、細胞毒性リボヌクレアーゼである。ある態様において、コンジュゲートされた核酸は、アンチセンス核酸である(例えば、本発明の併用組成物または併用投与法における独立した構成要素でもあり得る、S100A10標的化アンチセンス-例えばZhang et al., J. Biol Chem. 279(3), 2053-62(2004)参照)。ある態様において、コンジュゲートされた核酸は、阻害的RNA分子(例えば、siRNA分子)である。ある態様において、コンジュゲートされた核酸は、免疫刺激性核酸(例えば、免疫刺激性CpGモチーフ含有DNA分子)である。ある態様において、コンジュゲートされた核酸は、腫瘍抑制遺伝子、抗癌ワクチン、抗癌サイトカイン、またはアポトーシス薬剤の発現をコードする発現カセットである。そのような誘導体はまた、植物毒素および細菌毒素などの、1つまたは複数の細胞毒性タンパク質の発現をコードする核酸のコンジュゲーションを含む。
【0680】
ある態様において、CD38BPは機能性核酸分子にコンジュゲートされている。機能性核酸分子には、アンチセンス分子、干渉核酸分子(例えば、siRNA分子)、アプタマー、リボザイム、3重鎖形成分子、および外部ガイド配列が含まれる。機能性核酸分子は、標的分子が保有する特定の活性の影響因子、阻害剤、調整因子、および刺激因子として作用してもよく、または機能性核酸分子は任意のその他の分子とは無関係の新規活性を保有してもよい。アンチセンス分子の設計および使用に役立つ方法および技術の代表的なサンプルを、以下の非限定的な米国特許のリストに見出すことができる:米国特許第5,135,917号、米国特許第5,294,533号、米国特許第5,627,158号、米国特許第5,641,754号、米国特許第5,691,317号、米国特許第5,780,607号、米国特許第5,786,138号、米国特許第5,849,903号、米国特許第5,856,103号、米国特許第5,919,772号、米国特許第5,955,590号、米国特許第5,990,088号、米国特許第5,994,320号、米国特許第5,998,602号、米国特許第6,005,095号、米国特許第6,007,995号、米国特許第6,013,522号、米国特許第6,017,898号、米国特許第6,018,042号、米国特許第6,025,198号、米国特許第6,033,910号、米国特許第6,040,296号、米国特許第6,046,004号、米国特許第6,046,319号、および米国特許第6,057,437号。
【0681】
ある態様において、CD38BPはアプタマーにコンジュゲートされている。アプタマーは、例えば特定の方法で、標的分子と相互作用する分子である。典型的にはアプタマーは、折り畳まれて、ステムループまたはG-カルテットなどの、明確な2次構造および3次構造になる長さ15~50塩基の範囲にまで及ぶ小さい核酸である。アプタマーは、ATP(米国特許第5,631,146号)およびテオフィリン(米国特許第5,580,737号)などの、小分子だけでなく、逆転写酵素(米国特許第5,786,462号)およびトロンビン(米国特許第5,543,293号)などの、巨大分子にも結合することができる。様々な異なる標的分子に結合するアプタマーの作り方および使用法の代表的な例を、以下の非限定的な米国特許のリストに見出すことができる:米国特許第5,476,766号、米国特許第5,503,978号、米国特許第5,631,146号、米国特許第5,731,424号、米国特許第5,780,228号、米国特許第5,792,613号、米国特許第5,795,721号、米国特許第5,846,713号、米国特許第5,858,660号、米国特許第5,861,254号、米国特許第5,864,026号、米国特許第5,869,641号、米国特許第5,958,691号、米国特許第6,001,988号、米国特許第6,011,020号、米国特許第6,013,443号、米国特許第6,020,130号、米国特許第6,028,186号、米国特許第6,030,776号、および米国特許第6,051,698号。
【0682】
ある態様において、本発明はリボザイムにコンジュゲートされているCD38BPを提供する。リボザイムは、分子内または分子間のいずれかで、化学反応を触媒することができる核酸分子である。リボザイムはしたがって、触媒核酸である。ヌクレアーゼまたは核酸ポリメラーゼ型の反応を触媒する多数の異なる型のリボザイムがあり、それらは(a)ハンマーヘッドリボザイム(例えば、米国特許第5,334,711号、米国特許第5,436,330号、米国特許第5,616,466号、米国特許第5,633,133号、米国特許第5,646,020号、米国特許第5,652,094号、米国特許第5,712,384号、米国特許第5,770,715号、米国特許第5,856,463号、米国特許第5,861,288号、米国特許第5,891,683号、米国特許第5,891,684号、米国特許第5,985,621号、米国特許第5,989,908号、米国特許第5,998,193号、米国特許第5,998,203号、国際公開公報第9858058号、国際公開公報第9858057号、および国際公開公報第9718312号に記載されている)、(b)ヘアピンリボザイム(例えば、米国特許第5,631,115号、米国特許第5,646,031号、米国特許第5,683,902号、米国特許第5,712,384号、米国特許第5,856,188号、米国特許第5,866,701号、米国特許第5,869,339号、および米国特許第6,022,962号に記載されている)、および(c)テトラヒメナリボザイム(例えば、米国特許第5,595,873号および米国特許第5,652,107号に記載されている)などの、自然系で見出されるリボザイムに基づいている。自然系では見出されないが、新規に特定の反応を触媒するよう人工的に作られた多数のリボザイムもある(その例が、例えば米国特許第5,580,967号、米国特許第5,688,670号、米国特許第5,807,718号、および米国特許第5,910,408号に記載されている)。リボザイムは典型的にはRNAまたはDNA基質を切断し、およびより一般的にはRNA基質を切断する。リボザイムは典型的には、その後の切断を伴う標的基質の認識および結合を通じて、核酸基質を切断する。この認識は、多くの場合、カノニカルなまたは非カノニカルな塩基対相互作用にほとんど基づいている。標的基質の認識は標的基質配列に基づくので、この特性はリボザイムを核酸の標的特異的切断に特に良い候補にする。様々な異なる反応を触媒するリボザイムの作り方および使用法の代表的な例を、以下の非限定的な米国特許のリストに見出すことができる:米国特許第5,646,042号、米国特許第5,693,535号、米国特許第5,731,295号、米国特許第5,811,300号、米国特許第5,837,855号、米国特許第5,869,253号、米国特許第5,877,021号、米国特許第5,877,022号、米国特許第5,972,699号、米国特許第5,972,704号、米国特許第5,989,906号、および米国特許第6,017,756号。
【0683】
ある態様において、本発明は、3重鎖形成機能核酸にコンジュゲートされているCD38BPを提供する。そのような核酸分子は、2本鎖核酸または1本鎖核酸のいずれかと相互作用することができる。3重鎖分子が標的領域と相互作用する場合、3重鎖と呼ばれる構造が形成され、そこではDNAの3つの鎖が、Watson-Crick塩基対およびHoogsteen塩基対の両方に依存する複合体を形成する。3重鎖分子は、高い親和性および特異性で、標的領域に結合することができる。様々な異なる標的配列に結合する3重鎖形成分子の作り方および使用法の代表的な例を、以下の非限定的な米国特許のリストに見出すことができる:米国特許第5,176,996号、米国特許第5,645,985号、米国特許第5,650,316号、米国特許第5,683,874号、米国特許第5,693,773号、米国特許第5,834,185号、米国特許第5,869,246号、米国特許第5,874,566号、および米国特許第5,962,426号。
【0684】
ある態様において、CD38BPは外部ガイド配列にコンジュゲートされている。外部ガイド配列(EGS)は、標的分子を切断する、RNasePによって認識される複合体を形成する標的核酸分子に結合する分子である。選別したRNA分子を特異的に標的するようにEGSを設計してもよい。RNAsePは細胞内で転移RNA(tRNA)をプロセッシングするのに役立つ。標的RNA:EGS複合体に自然のtRNA基質を模倣させるEGSを用いることによって事実上全てのRNA配列を切断するように細菌RNAsePを補充することができる。(議論のために、例えば国際公開公報第92/03566号およびForster and Altman, Science 238, 407-409(1990)を参照されたい)。様々な異なる標的分子の切断を容易にするEGS分子の作り方および使用法の代表的な例を、以下の非限定的な米国特許のリストに見出すことができる:米国特許第5,168,053号、米国特許第5,624,824号、米国特許第5,683,873号、米国特許第5,728,521号、米国特許第5,869,248号、および米国特許第5,877,162号。
【0685】
ある態様において、CD38BPは、CD38介在性の疾患または状態に関与する遺伝子発現産物などの、標的遺伝子発現産物の作用に干渉するよう標的される、siRNAまたはその他のRNAi分子(例えば、約20~25ヌクレオチドの阻害的2本鎖(ds)RNA分子)などの、干渉核酸分子にコンジュゲートされている。干渉核酸分子の産生および利用のための方法は、例えばNishikura, Cell. 107(4), 415-8(2001)、Fjose et al., Biotechnol Annu Rev. 7, 31-57(2001)、Hanon, Nature 418, 244-51(2002)、Brantl, Biochim Biophys Acta. 1575(1-3), 15-25(2002)、Tuschl, Chembiochem. 2(4), 239-45(2001)、Caplen, Expert Opin Biol Ther. 3(4), 575-86(2003)、Lu et al., Curr Opin Mol Ther. 5(3), 225-34(2003)、Shuey et al., Drug Discov Today. 7(20), 1040-6(2002)、Shi, Trends Genet. 19(1), 9-12(2003)、Kovar et al., Semin Cancer Biol. 13(4), 275-81(2003)、Lavrey et al., Curr Opin Drug Discov Devel. 6(4), 561-9(2003)、Clewey, Commun Dis Public Health. 6(2), 162-3(2003)、Duxbury et al., J Surg Res. 117(2), 339-44(2004)、Caplen et al., Ann N Y Acad Sci. 1002, 56-62(2003)、国際公開公報第01/75164号、米国特許第6,506,559号、米国特許第20040086884号、米国特許第20040077574号、米国特許第20040063654号、米国特許第20040033602号、米国特許第20030167490号、米国特許第20030157030号、米国特許第20030114409号、米国特許第20030108923号、米国特許第20040014113号、米国特許第20020132788号に与えられている。
【0686】
ある態様において、CD38BPは腫瘍標的ドメインペプチドまたは分子にコンジュゲートされている。ある態様において、CD38BPは腫瘍標的因子VII配列にコンジュゲートされている。
【0687】
Hunter et al., Nature 144, 945(1962)、David et al., Biochemistry 13, 1014(1974)、Pain et al., J. Immunol. Meth. 40, 219(1981)、およびNygren, J. Histchem. and Cytochem. 30, 407(1982)によって記載された方法を含む、上に記載された分子などの、コンジュゲート分子をCD38BPにコンジュゲートするための当技術分野において公知の任意の方法を利用してもよい。任意の好適な方法によって、結合/コンジュゲーションを遂行してもよい。例えば、共有結合的な結合はジスルフィド結合の形態を取る(必要かつ好適な場合、望ましくは分子のCD38結合活性に干渉しない、余分のシステイン残基を含むようにCD38BPを人工的に改変することができると考えられる)。改変されたCD38BPのシステインに反応するスルフヒドリル基で誘導体化された、毒素分子は、CD38BPペプチドと共に免疫コンジュゲートを形成してもよい。あるいは、固相ポリペプチド技術を用いて、スルフヒドリル基をCD38BPに直接導入してもよい。例えば、ペプチドへのスルフヒドリル基の導入は、Hiskey, Peptides 3, 137(1981)に記載されている。タンパク質へのスルフヒドリル基の導入は、Maasen et al., Eur. J. Biochem. 134, 32(1983)に記載されている。ひとたび正確なスルフヒドリル基が存在すれば、細胞毒素およびCD38BPを精製し、両方の硫黄基を還元し;(例えば約1:5~1:20の比で)細胞毒素およびリガンドを混合し;ならびに室温で完了するまで(通常約20~30分)ジスルフィド結合形成を進行させてもよい。その後、未反応リガンドおよび毒素分子を除去するために、混合物をリン酸緩衝化生理食塩水に対して透析し、またはSephadexなどの樹脂でクロマトグラフィーを行なってもよい。
【0688】
細胞毒性化合物上の反応基の使用を通じて、またはクロスリンク薬剤の使用を通じて、数多くの種類の細胞毒性化合物をタンパク質につなげてもよい。アミンとのインビボでの安定な共有結合を形成すると考えられる一般的な反応基は、イソチオシアネートである(Means et al., Chemical modifications of proteins(Holden-Day, San Francisco 1971)105-110頁)。この基は、リジンのε-アミン基と優先的に反応する。マレイミドは、システイン上のスルフヒドリル基との安定なインビボ共有結合を形成させるために一般に用いられる反応基である(Ji., Methods Enzymol 91, 580-609(1983))。モノクローナル抗体は典型的には、放射性金属イオンとの共有結合を形成することができないが、抗体に共有結合的に結合されるキレート薬剤の使用を通じて、放射性金属イオンを間接的に抗体に付着させる可能性がある。キレート薬剤は、アミノ酸残基のアミン(Meares et al., Anal. Biochem. 142, 68-78(1984))およびスルフヒドラル基(Koyama, Chem. Abstr. 120, 217262t(1994))を通じて、ならびにまた炭水化物基(Rodwell et al., PNAS USA 83, 2632-2636(1986)、Quadri et al., Nucl. Med. Biol. 20, 559-570(1993))を通じて付着させてもよい。これらのキレート薬剤は、一方は金属イオンに結合し、および他方はキレートを抗体につなぐ、2種類の官能基を含むので、それらは一般に二官能性キレート薬剤と称される(Sundberg et al., Nature 250, 587-588(1974))。
【0689】
2つの反応性官能基を有するクロスリンク薬剤は、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性として分類される。ホモ二官能性クロスリンク薬剤の例として、スルフヒドリル基と反応するビスマレイミドヘキサン(BMH)(Chen et al., J Biol Chem 266, 18237-18243(1991))およびアミノ基と反応するエチレングリコールビス[スクシンイミジルスクシエート](EGS)(Browning et al., J. Immunol. 143, 1859-1867(1989))が含まれる。ヘテロ二官能性クロスリンカーの例として、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)(Myers et al., J. Immunol. Meth. 121, 129-142(1989))が含まれる。これらの方法論は単純であり、かつ一般に利用されている。
【0690】
治療薬剤または診断薬剤を、同じようにまたは代わりに、ジスルフィド結合形成を介して、還元した抗体構成要素のヒンジ領域で付着させてもよい。代わりとして、N-スクシニル 3-(2-ピリジルジチオ)プロプリオネート(SPDP)などの、ヘテロ二官能性クロスリンカーを用いて、そのようなペプチドを抗体構成要素に付着させてもよい。Yu et al., Int. J. Cancer 56, 244(1994)。そのようなコンジュゲーションに関する一般的技術は、当技術分野において周知である。例えば、Wong, Chemistry Of Protein Conjugation And Crosslinking(CRC Press 1991)、Monoclonal Antibodies:Principles And Applications, Birch et al.,(編)(Wiley-Liss, Inc. 1995)の中のUpeslacis et al.,「Modification of Antibodies by Chemical Methods」、Monoclonal Antibodies:Production, Engineering And Clinical Application, Ritter et al.,(編)(Cambridge University Press 1995)の中のPrice,「Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies」を参照されたい。
【0691】
幾つかの態様において、立体障害を低下させるために、様々な長さのスペーサー腕によって、標識およびその他のコンジュゲート置換基をCD38BPアミノ酸配列に付着させてもよい。
【0692】
抗CD38BP mAbに結合するヒト免疫グロブリン定常領域に特異的な抗体などの、CD38BPと反応するその他の標識抗体(2次抗体)と組み合わせて、非標識CD38BPを用いてもよい。あるいは、CD38BPを直接的に標識してもよい。放射性核種、蛍光、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、リガンド(特にハプテン)などによる標識などの、幅広い種類の標識を、CD38BPの直接的または間接的標識に利用してもよい。
【0693】
アミノ酸配列挿入には、1つまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入だけでなく、長さ1残基から100またはそれより多くの残基を含むポリペプチドにまで及ぶアミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合も含まれる。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグに融合された抗体が含まれる。抗体分子のその他の挿入変異体には、抗体のN末端またはC末端への酵素もしくはポリペプチドまたは抗体の血清半減期を増大させるPEGの融合が含まれる。CD38BPを含むそのような抗CD38抗体融合タンパク質および同様の融合タンパク質は本発明の別の特色である。
【0694】
ある態様において、本発明は、細胞毒素、化学療法薬物、免疫抑圧剤、または放射性同位元素などの、治療部分にコンジュゲートされた本発明の、ヒト抗CD38抗体などの、CD38BPを含む分子を提供する。そのようなコンジュゲートは、本発明において「免疫コンジュゲート」と称される。1つまたは複数の細胞毒素を含む免疫コンジュゲートは、「免疫毒素」と称される。
【0695】
細胞毒素または細胞毒性薬剤には、細胞に有害な(例えば、殺傷する)任意の薬剤が含まれる。当技術分野において周知であるこれらの部類の薬物、およびそれらの作用の機構の記載については、Goodman et al., Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis Of Therapeutics, 第8版, Macmillan Publishing Co., 1990を参照されたい。抗体免疫毒素の調製に関するさらなる技術は、例えばVietta, Immunol. Today 14, 252(1993)および米国特許第5,194,594号に提供されている。
【0696】
本発明の免疫コンジュゲートを形成するための好適な治療薬剤には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、(メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、クラドリビンなどの)代謝拮抗剤、(メクロレタミン、チオエパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC、シスプラチン、およびカルボプラチンのような、その他のプラチナ誘導体などの)アルキル化薬剤、(ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、カリケアミシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC)などの)抗生物質、ジフテリア毒素ならびに(ジフテリアA鎖およびその活性断片およびハイブリッド分子などの)関連分子、(リシンAまたは脱グリコシル化リシンA鎖毒素などの)リシン毒素、コレラ毒素、志賀様毒素(SLT-I、SLT-II、SLT-IIV)、LT毒素、C3毒素、志賀毒素、百日咳毒素、破傷風毒素、大豆Bowman-Birkプロテアーゼ阻害剤、緑膿菌外毒素、アロリン、サポリン、モデクシン、ゼラニン、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリアオフィシナリス(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゼロニン、マイトジェリン、レストリクトシン、フェノマイシン、ならびにエノマイシン毒素が含まれる。本明細書の別の場所に記載されたような本発明のCD38BPと組み合わせて投与し得る、治療薬剤もまた、本発明のCD38BPへのコンジュゲーションに有用な治療部分の候補である可能性がある。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。そのようなタンパク質には、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、もしくはジフテリア毒素などの、酵素的に活性のある毒素、もしくはその活性断片;腫瘍壊死因子もしくはインターフェロン-γなどのタンパク質;または例えば、リンホカイン、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、もしくはその他の増殖因子およびミトコンドリアから単離されたアポトーシス誘導タンパク質などの生体反応改変因子が含まれてもよい。
【0697】
ある態様において、細胞毒性薬剤は、カリケアミシン、90Y、125I、および131Iである。
【0698】
本発明のCD38BPにコンジュゲートされ得る治療的細胞毒素のその他の例として、カリケアミシンおよびデュオカルマイシンが含まれる。上で示したように、薬物部分は古典的な化学的治療薬剤に限定されると解する必要はない。例えば、薬物部分は所望の生物学的活性を保有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。例えば、そのようなタンパク質には、例えば、ホスホリパーゼCなどの、ホスホリパーゼ酵素のような、細胞表面で活性のある薬剤が含まれてもよい。
【0699】
毒素の溶解部分は典型的には、本発明の抗体または抗体断片のFab断片に容易につながれてもよい。その他の好適なコンジュゲート分子には、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNaseI、ブドウ球菌エンテロトキシン-A、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ジフテリア毒素、および緑膿菌毒素が含まれる。例えば、Pastan et al., Cell 47, 641(1986)およびGoldenberg, Calif. A Cancer Journal for Clinicians 44, 43(1994)を参照されたい。本発明での使用に好適なさらなる毒素が、当業者に公知である(例えば米国特許第6,077,499号参照)。
【0700】
様々な二官能性タンパク質結合薬剤を用いて、抗体などの、CD38BPのコンジュゲート、およびそのような細胞毒性部分を作製してもよい。そのような試薬の例として、SPDP、IT、ジメチルアジピミデートHClなどのイミドエステルの二官能性誘導体、ジスクシンイミジルスベリン酸などの活性エステル、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなどのビス-アジド化合物、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなどのビス-ジアゾニウム誘導体、トリレン2,6-ジイソシアネートなどのジイソシアネート、および1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなどのビス-活性フルオリン化合物、ならびに抗有糸分裂薬剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、およびビノレルビン)が含まれる。
【0701】
そのような治療部分を、抗体などの、CD38BPにコンジュゲートするための技術は周知であり、例えばMonoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al.,(編), 243-56頁(Alan R. Liss Inc. 1985)の中のArnon et al.,「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、Controlled Drug Delivery(第2版), Robinson et al.,(編), 623-53頁(Marcel Dekker, Inc. 1987)の中のHellstrom et al.,「Antibodies For Drug Delivery」、Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al.,(編), 475-506頁(1985)の中のThorpe,「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al.,(編), 303-16頁(Academic Press 1985)の中の「Analysis, Results, And Future Prospective Of Therapeutic Use Of Radiolabeled Antobody In Cancer Therapy」、およびThorpe et al.,「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates」, Immunol. Rev. 62, 119-58(1982)を参照されたい。
【0702】
ある態様において、本発明は、混合毒素にコンジュゲートされたCD38BPを提供する。混合毒素分子は、2つの異なる(典型的にはポリペプチド)毒素に由来する分子である。通常、ペプチド毒素は、少なくとも1つの酵素的に活性のあるドメイン、および少なくとも1つの転位ドメインという、一般化された真核細胞結合の原因である1つまたは複数のドメインを含む。結合および転位ドメインは、それぞれ細胞認識および毒素侵入に必要である。転位ドメインを有することが公知である天然のタンパク質には、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素A、およびおそらくはその他のペプチド毒素が含まれる。ジフテリア毒素および緑膿菌外毒素Aの転位ドメインは、十分に特徴付けされており(例えばHoch et al., PNAS USA 82, 1692(1985), Colombatti et al., J. Biol. Chem. 261, 3030(1986)およびDeleers et al., FEBS Lett. 160, 82(1983)参照)、ならびにその他の分子におけるそのようなドメインの存在および位置は、Hwang et al., Cell 48, 129(1987)およびGray et al., PNAS USA 81 2645(1984)によって利用された方法などの方法によって決定してもよい。これらの技術を考慮して、例えば、大腸菌志賀様毒素(Calderwood et al., PNAS USA 84, 4364(1987))の酵素的に活性のあるAサブユニットをジフテリア毒素の転位ドメイン(アミノ酸残基202から460の全体にわたる)に、および米国特許第5,906,820号に記載されたような、特定の細胞型を標的する分子に融合することによって、有用な混合毒素ハイブリッド分子を形成してもよい。3つの部分のハイブリッドの標的部分は、分子を標的細胞に特異的に付着させ、およびジフテリア毒素転位部分は志賀様毒素の酵素的に活性のあるAサブユニットを標的細胞に挿入するために作用することができる。ジフテリア毒素のような、志賀様毒素の酵素的に活性のある部分は、タンパク質合成を妨害する細胞のタンパク質合成機構に作用し、したがって標的細胞を殺傷する。
【0703】
本発明による免疫コンジュゲートはまた、多発性骨髄腫などの、CD38関連疾患を処置するための細胞毒性のある放射性調合薬を作製するために、例えば、ヨウ素-131、イットリウム-90、またはインジウム-111などの、放射性同位元素を含んでもよい。
【0704】
ある態様において、本発明のヒト抗体などの、CD38BPは、抗体が放射性同位元素にコンジュゲートされるのを可能にする、例えばチウキセタンなどの、リンカーキレート剤に付着している。
【0705】
さらに有用なコンジュゲート置換基には、抗癌レチノイドが含まれる。タキサンコンジュゲート(例えばJaime et al., Anticancer Res. 21(2A), 1119-28(2001)参照)、シスプラチンコンジュゲート、タプシガーギンコンジュゲート、リノール酸コンジュゲート、カリケアミシンコンジュゲート(例えばDamle et al., Curr Opin Pharmacol. 3(4), 386-90(2003)参照)、ドキソルビシンコンジュゲート、ゲルダナマイシンコンジュゲート、およびそれらと同様のものもまた、癌の処置を促進する際に有用である可能性がある(一般に、Trail et al., Cancer Immunol Immunother. 52(5), 328-37(2003)参照)。
【0706】
ある態様において、本発明は、本発明の抗CD38抗体に対して作製された2次抗体または抗イデオタイプ抗体を提供する。2次抗体は、抗CD38抗体に特異的で、かつ典型的には抗CD38抗体に対して作製された、抗体を指す。抗イデオタイプ(Id)抗体は、一般に抗体の抗原結合部位と関連する独特の決定基を認識する抗体を指す。抗CD38mAbの源と同じ種および遺伝子型の動物を、抗Idが調製されているmAbで免疫することによって、Id抗体を調製してもよい。免疫された動物は典型的には、これらのイデオタイプ決定基に対する抗体(抗Id抗体)を産生することによって、免疫抗体のイデオタイプ決定基を認識し、および免疫抗体のイデオタイプ決定基に反応することができる。そのような抗体は、例えば米国特許第4,699,880号に記載されている。そのような抗体は、本発明のさらなる特色である。
【0707】
また、いわゆる抗-抗Id抗体を産生する、また別の動物における免疫反応を誘導するための「免疫原」として、抗Id抗体を用いてもよい。抗-抗Id抗体は、抗Id抗体を誘導した、最初のmAbとエピトープが同一であってもよい。したがって、mAbのイデオタイプ決定基に対する抗体を用いることによって、同一の特異性の抗体を発現するその他のクローンを同定することが可能である。本発明の抗CD38抗体およびその他のCD38BPに関して本明細書の別の場所に記載された技術などの、任意の好適な技術によって、抗Id抗体が多様になり(それによって抗Id抗体変異体を産生する)、および/または誘導体化されてもよい。例えば、抗Id mAbを、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などの担体と結合し、およびBALB/cマウスを免疫するために用いてもよい。これらのマウス由来の血清は典型的には、最初の/もとのCD38抗体と同一ではないにせよ類似した結合特性を有する抗-抗Id抗体を含むと考えられる。
【0708】
ある態様において、本発明は、CD38BPをコードする核酸を提供する。CD38BPをコードする核酸は、任意の好適な特徴を有し、かつ任意の好適な特色またはその組み合わせを含んでもよい。したがって、例えば、CD38BPをコードする核酸は、DNA、RNA、またはそのハイブリッドの形態にあってもよく、および非天然の塩基、改変された骨格(例えば、核酸の安定性を促進するホスホチオエート骨格)、または両方を含んでもよい。核酸は好都合には、標的宿主細胞における所望の発現、複製、および/または選択を促進する特色を含む。そのような特色の例として、複製構成要素の起点、選択遺伝子構成要素、プロモーター構成要素、エンハンサーエレメント構成要素、ポリアデニル化配列構成要素、ターミネーター構成要素、およびそれらと同様のものが含まれる。
【0709】
ある態様において、本発明は、CD38BPをコードする核酸を含むベクターを提供する。ベクターは、CD38BPをコードする核酸の発現、CD38BPペプチドの産生、標的細胞のトランスフェクション/形質転換、CD38BPをコードする核酸の複製を促進し、核酸の安定性を促進し、核酸および/もしくは形質転換/トランスフェクト細胞の検出を促進し、またはさもなければCD38BPをコードする核酸に対して有利な生物学的機能を与える送達ビヒクルを指す。本発明の文脈におけるベクターは、染色体ベクター、非染色体ベクター、および合成核酸ベクター(好適な組の発現制御エレメントを含む核酸配列)を含む、任意の好適なベクターであってもよい。そのようなベクターの例として、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクター、ならびにウイルス核酸(RNAまたはDNA)ベクターが含まれる。ある態様において、例えば、(例えばSykes and Johnston, Nat Biotech 17, 355-59(1997)に記載されているような)線状の発現エレメント、(例えば米国特許第6,077,835号および/もしくは国際公開公報第00/70087号に記載されているような)凝縮した核酸ベクター、pBR322、pUC19/18、またはpUC118/119などのプラスミドベクター、(例えばSchakowski et al., Mol Thr 3, 793-800(2001)に記載されているような)「小型(midge)」最小サイズの核酸ベクターを含む、裸のDNAまたはRNAベクターに、または(例えば国際公開公報第00/46147号、Benvenisty and Reshef, PNAS USA 83, 9551-55(1986)、Wigler et al., Cell 14, 725(1978)、およびCoraro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7, 603(1981)に記載されているような)CaPO4沈殿構築物などの、沈殿した核酸ベクター構築物として、CD38BPをコードする核酸が含まれる。そのような核酸ベクターおよびその使い方は、当技術分野において周知である(例えば米国特許第5,589,466号および米国特許第5,973,972号参照)。
【0710】
ある態様において、ベクターは、細菌細胞でのCD38BPの発現に好適である。そのようなベクターの例として、例えば、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現を導くベクター(例えばBlueScript(Stratagene)、pINベクター(Van HeekeおよびSchuster, J Biol Chem 264, 5503-5509(1989))、pETベクター(Novagen, Madison WI)、およびそれらと同様のベクターなどの多機能性大腸菌クローニングおよび発現ベクター)が含まれる。
【0711】
発現ベクターは、同じようにまたは代わりに、酵母系での発現に好適なベクターであってもよい。酵母系での発現に好適な任意のベクターを利用してもよい。例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)での使用のために好適なベクターには、α因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHなどの構成的または誘導型プロモーターを含むベクターが含まれる(F. Ausubel et al., 編, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley InterScience New York(1987)、およびGrant et al., Methods in Enzymol 153, 516-544(1987):に概説されている)。
【0712】
核酸および/またはベクターはまた、新生ポリペプチド鎖などの、ポリペプチドを所望の細胞コンパートメント、膜、もしくは細胞小器官に標的することができ、またはペリプラズム空間へのもしくは細胞培養用培地中へのポリペプチドの分泌を導く、分泌/局在化配列をコードする核酸配列を含んでもよい。そのような配列は当技術分野において公知であり、ならびに分泌リーダーまたはシグナルペプチド、細胞小器官標的配列(例えば、核局在配列、ER保持シグナル、ミトコンドリア移行配列、葉緑体移行配列)、膜局在化/アンカー配列(例えば、転送停止配列、GPIアンカー配列)、およびそれらと同様のものを含む。
【0713】
CD38BPをコードする核酸は、任意の好適なプロモーター、エンハンサー、およびその他の発現を容易にするエレメントを含み、または任意の好適なプロモーター、エンハンサー、およびその他の発現を容易にするエレメントと関連してもよい。そのようなエレメントの例として、強力な発現プロモーター(例えば、ヒトCMV IEプロモーター/エンハンサーと同様にRSV、SV40、SL3-3、MMTV、およびHIV LTRプロモーター)、効果的なポリ(A)終結配列、大腸菌でのプラスミド産生のために複製の起点、選択可能なマーカーとしての抗生物質耐性遺伝子、ならびに/または便利なクローニング部位(例えば、ポリリンカー)が含まれる。核酸はまた、CMV IEなどの構成的プロモーターに対立するものとしての誘導性プロモーターを含んでもよい(当業者は、そのような用語が、実際に特定の条件の下での遺伝子発現の程度の記述子であるということを認識すると考えられる)。
【0714】
ある態様において、ウイルスベクターを介して、核酸を宿主細胞または宿主動物に位置付け、および/または送達してもよい。任意の好適なウイルスベクターをこの点において用いてもよく、および幾つかは当技術分野において公知である。ウイルスベクターは、単独でまたは1つもしくは複数のウイルスタンパク質と組み合わせて、所望の宿主細胞における本発明の核酸の送達、複製、および/または発現を容易にする、任意の数のポリヌクレオチドを含んでもよい。ウイルスベクターは、ウイルスゲノム、ウイルスタンパク質/核酸コンジュゲート、ウイルス様粒子(VLP)、米国特許第5,849,586号および国際公開公報第97/04748号に記載されたベクターと同様のベクター、またはウイルス核酸および本発明の核酸を含むインタクトのウイルス粒子の全てまたは一部を含むポリヌクレオチドであってもよい。ウイルス粒子ウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子または改変ウイルス粒子を含んでもよい。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターアンプリコンなどの、複製および/または発現のために別のベクターまたは野生型ウイルスの存在を必要とするベクターであってもよい(すなわち、それはヘルパー依存性ウイルスであってもよい)。典型的には、そのようなウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子、またはトランスジーンの能力を増大させ、もしくは核酸のトランスフェクションおよび/もしくは発現を助けるようにそのタンパク質および/もしくは核酸含有量が改変されたウイルス粒子から本質的になる(そのようなベクターの例として、ヘルペスウイルス/AAVアンプリコンが含まれる)。典型的には、ウイルスベクターは、通例ヒトに感染するウイルスに類似し、および/または通例ヒトに感染するウイルスに由来する。この点で好適なウイルスベクター粒子には、例えば、(アデノウイルス科のウイルスのうちのまたはアデノウイルス科のウイルスに由来する任意のウイルスを含む)アデノウイルスベクター粒子、アデノ随伴ウイルスベクター粒子(AAVベクター粒子)、またはその他のパルボウイルスおよびパルボウイルスベクター粒子、パピローマウイルスベクター粒子、フラビウイルスベクター、αウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、レンチウイルスベクターを含む、レトロウイルスベクターが含まれる。そのようなウイルスおよびウイルスベクターの例は、例えばFields et al.,(編), Virology Raven Press Ltd, New York(第3版, 1996および第4版, 2001)、Encyclopedia of Virology, R. G. Webster et al., 編, Academic Press(第2版, 1999)、Fundamental Virology, Fields et al., 編, Lippincott-Raven(第3版, 1995)、Levine,「Viruses」, Scientific American Library No. 37(1992)、Medical Virology, D. O. White et al.,(編), Acad. Press(第2版 1994)、およびIntroduction to Modern Virology, Dimock, N. J. et al., 編, Blackwell Scientific Publication, Ltd.(1994)の中にある。
【0715】
本発明のポリヌクレオチドおよび本明細書において記載された方法と共に利用し得るウイルスベクターには、例えばCarter, Curr Opinion Biotech 3, 533-539(1992)およびMuzcyzka, Curr Top Microbiol Immunol 158, 97-129(1992)におけるような、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。AAVベクターのさらなる種類および側面は、例えばCarter, Contrib. Microbiol. 4, 85-86(2000)、Smith-Arica, Curr. Cardiol. Rep. 3(1), 41-49(2001)、Taj, J. Biomed. Sci. 7(4), 279-91(2000)、Vigna et al., J. Gene Med. 2(5), 308-16(2000)、Klimatcheva et al., Front. Biosci. 4, D481-96(1999)、Lever et al., Biochem. Soc. Trans. 27(6), 841-47(1999)、Snyder, J Gene Med. 1(3), 166-75(1999)、Gerich et al., Knee Surg. Sports Traumatol. Arthrosc. 5(2), 118-23(1998)、およびDuring, Adv. Drug Deliv. Review 27(1), 83-94(1997)、ならびに米国特許第4,797,368号、米国特許第5,139,941号、米国特許第5,173,414号、米国特許第5,614,404号、米国特許第5,658,785号、米国特許第5,858,775号、および米国特許第5,994,136号に記載されている。例えば、米国特許第4,797,368号およびLaughlin et al., Gene 23, 65-73(1983)に示された方法を用いて、アデノ随伴ウイルスベクターを構築および/または精製してもよい。
【0716】
本発明のポリヌクレオチドおよび方法と共に利用し得る別の種類のウイルスベクターは、パピローマウイルスベクターである。好適なパピローマウイルスベクターは当技術分野において公知であり、および例えば、Hewson, Mol Med Today 5(1), 8(1999)、Stephens, Biochem J. 248(1), 1-11(1987)、および米国特許第5,719,054号に記載されている。パピローマウイルスベクターの例は、例えば国際公開公報第99/21979号に与えられている。αウイルスベクターは、その他の文脈における遺伝子送達ベクターであってもよい。αウイルスベクターは当技術分野において公知であり、および例えばCarter, Curr Opinion Biotech 3, 533-539(1992)、Muzcyzka, Curr Top Microbiol Immunol. 158, 97-129(1992)、Schlesinger, Expert Opin Biol Ther. 1(2), 177-91(2001)、Polo et al., Dev Biol(Basel). 104, 181-5(2000)、Wahlfors et al., Gene Ther. 7(6), 472-80(2000)、Colombage et al., Virology. 250(1), 151-63(1998)、ならびに国際公開公報第01/81609号、国際公開公報第00/39318号、国際公開公報第01/81553号、国際公開公報第95/07994号、ならびに国際公開公報第92/10578号に記載されている。
【0717】
別のグループのウイルスベクターは、ヘルペスウイルスベクターである。ヘルペスウイルスベクターの例は、例えばLachmann et al., Curr Opin Mol Thr 1(5), 622-32(1999)、Fraefel et al., Adv Virus Res. 55, 425-51(2000)、Huard et al., Neuromuscul 7(5), 299-313(1997)、Glorioso et al., Annu Rev Microbiol. 49, 675-710(1995)、Latchman, Mol Biotechnol. 2(2), 179-95(1994)、およびFrenkel et al., Gene Ther. 1(Suppl 1), S40-6(1994)のみならず米国特許第6,261,552号および米国特許第5,599,691号にも記載されている。
【0718】
レンチウイルスベクターを含む、レトロウイルスベクターもまた、特定の文脈において有利な遺伝子送達ビヒクルである可能性がある。当技術分野において公知の数多くのレトロウイルスベクターがある。レトロウイルスベクターの例は、例えばMiller, Curr Top Microbiol Immunol 158, 1-24(1992), Salmons and Gunzburg, Human Gene Therapy 4, 129-141(1993)、Miller et al., Methods in Enzvmolosv 217, 581-599(1994)、Weber et al., Curr Opin Mol Ther. 3(5), 439-53(2001)、Hu et al., Pharmacol Rev. 52(4), 493-511(2000)、Kim et al., Adv Virus Res. 55, 545-63(2000)、Palu et al., Rev Med Virol. 10(3), 185-202(2000)、およびTakeuchi et al., Adv Exp Med Biol. 465, 23-35(2000)のみならず、米国特許第6,326,195号、米国特許第5,888,502号、米国特許第5,580,766号、および米国特許第5,672,510号にも記載されている。
【0719】
アデノウイルスベクターもまた、遺伝子移転のための好適なウイルスベクターである可能性がある。アデノウイルスベクターは、当技術分野において周知であり、ならびに例えばGraham et al., Mol Biotechnol 33(3), 207-220(1995)、Stephenson, Clin Diagn Virol 10(2-3), 187-94(1998)、Jacobs, Clin Sci(Lond). 85(2), 117-22(1993)、米国特許第5,922,576号、米国特許第5,965,358号、および米国特許第6,168,941号、ならびに国際公開公報第98/22588号、国際公開公報第98/56937号、国際公開公報第99/15686号、国際公開公報第99/54441号、および国際公開公報第00/32754号に記載されている。本発明の実施に有用な、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、シンドビスウイルスベクターは、例えばJolly Cancer Gene Therapy, 1, 51-64(1994)、Latchman Molec Biotechnol 2, 179-195(1994)、およびJohanning et al., Nucl Acids Res 23, 1495-1501(1995)に記載されている。
【0720】
その他の好適なウイルスベクターには、ポックスウイルスベクターが含まれる。そのようなベクターの例は、例えばBerencsi et al., J Infect Dis 183(8), 1171-9(2001)、Rosenwirth et al., Vaccine 19(13-14), 1661-70(2001)、Kittlesen et al., J Immunol 164(8), 4204-11(2000)、Brown et al., Gene Ther 7(19),1680-9(2000)、Kanesa-thasan et al., Vaccine 19(4-5), 483-91(2000)、Sten, Drua 60(2), 249-71(2000)、で議論されている。ワクシニアウイルスベクターは、ポックスウイルスベクターであってもよい。そのようなベクターおよびその使用の例は、例えばVenugopal et al., Res Vet Sci 57(2), 188-193(1994)、Moss Dev Biol Stand 82, 55-63(1994)、Weisz et al., Mol Cell Biol 43, 137-159(1994)、Mahr and Payne, Immunobioloev 184(2-3), 126-146(1992)、Hruby, Clin Microbiol Rev 3(2), 153-170 (1990)、ならびに国際公開公報第92/07944号、国際公開公報第98/13500号、および国際公開公報第89/08716号に与えられている。
【0721】
本発明のその他の特色には、そのような核酸、ベクター、またはそのいずれかもしくは両方の組み合わせを含む酵母細胞、細菌細胞、および哺乳動物細胞(例えば、不死化哺乳動物細胞)が含まれる。例えば、ある態様において、本発明は、本発明のCD38BPの発現をコードする配列を含む細胞ゲノムに安定に組込まれた核酸を含む細胞を提供する。ある態様において、本発明は、本発明のCD38BPの発現をコードする配列を含む、プラスミド、コスミド、ファージミド、または線状の発現エレメントなどの、組込まれない核酸を含む細胞を提供する。
【0722】
本発明はまた、-003および-005および-024に特異的なCD38の抗原決定基部分などの、本発明のCD38BPに特異的なCD38の上記の抗原決定基部分のいずれかを含む免疫原性ペプチドを提供する。そのような免疫原を用いて、積極的な免疫療法投薬計画を含む方法において直接的免疫反応を引き出してもよい。本発明はさらに、そのようなCD38免疫原を含む融合タンパク質、ならびに(免疫グロブリンドメイン配列の含有によって)融合タンパク質の半減期を向上させ;(例えば、蛍光ペプチド配列、レポーター酵素配列、エピトープタグ、ヘキサヒスチジン配列、もしくはそれらと同様のものを含むことによって)融合タンパク質の検出および/もしくは精製を容易にし;(例えば、標的細胞の受容体に特異的なリガンドもしくはリガンドの部分を含むことによって)融合タンパク質の標的化を促進し;(例えば、癌抗原もしくはその免疫原性断片に対応する)別々の免疫反応を促進し;細胞毒性薬剤であり;または任意のその組み合わせを達成する(例えば、熱ショック融合タンパク質パートナーは、融合タンパク質の類似していない、異種抗原部分に対して発生した免疫反応を増大させるが、その一方で融合タンパク質のインビボ半減期も増大させる)融合パートナー配列を提供する。融合タンパク質はまた、特にドメイン間で、1つまたは複数の切断部位を含んでもよい。
【0723】
そのようなペプチドの変異体、およびそのような免疫原性ペプチドまたは免疫原性ペプチド変異体は、本発明のさらなる特色である(例えば、抗体、毒素、放射性同位元素、細胞毒性薬剤、または細胞増殖抑制薬剤などのその他の分子的実体への化学的共役、遺伝的融合、非共有結合的会合、およびそれらと同様のことによって、そのようなCD38免疫原性ペプチド誘導体を改変してもよい)。CD38エピトープ配列を含む、ペプチドミミトープ(mimitope)もまた、例えば、ワクチン候補として有用である可能性がある。そのようなペプチドは、抗CD38抗体の精製に有用である可能性がある。本明細書に記載されたB細胞エピトープ配列に加えて、そのようなペプチドを、同じようにまたは代わりに、1つまたは複数の抗CD38 T細胞エピトープを含むように人工的に改変しまたは選択してもよい。当技術分野において公知の任意の好適な技術によって(例えば、T細胞エピトープ予測ソフトウェアの適用によって)、そのようなエピトープを同定してもよい。
【0724】
ある態様において、本発明は、そのような免疫原性ペプチドをコードする核酸を提供する。また、そのような核酸を、複製欠損標的ベクター(例えば、標的核酸ベクターまたは複製欠損、標的アデノウイルスベクター)などの、好適なベクターで宿主に送達してもよい。本発明はまた、1つまたは複数のそのような免疫原性ペプチドおよび/または免疫原性ペプチドをコードする核酸の組成物を提供する。
【0725】
本発明のCD38BPには、中和抗体などの、「中和」CD38BPが含まれる。「中和CD38BP」および「中和抗体」という用語は、CD38関連ペプチドの生物学的活性を実質的に阻害または削除することができるCD38BPまたは抗体を指す。典型的には、中和抗CD38抗体などの、中和CD38BPは、-003または-005または-024のおよそ等量の投与によるそのような細胞の阻害と同じに近いまたは-003または-005または-024のおよそ等量の投与によるそのような細胞の阻害より大きい程度に、酵素活性、シグナル伝達、サイトカイン発現の誘導、増殖もしくは分化の誘導、または溶解の誘導などの、CD38の機能を、直接的または間接的に、阻害してもよい。
【0726】
本発明のCD38BPは、CD38に少なくとも部分的に含まれる1つまたは複数のエピトープに対する任意の好適な親和性および/または結合力を有してもよい。親和性は、そのようなエピトープへのCD38BPの結合の強度を指す。典型的には、親和性は、[Ab]×[Ag]/[Ab-Ag]と定義される、解離定数Kdで測定され、式中、[Ab-Ag]は抗体-抗原複合体(またはCD38BP-抗原複合体)のモル濃度であり、[Ab]は結合していない抗体(またはCD38BP)のモル濃度であり、および[Ag]は結合していない抗原のモル濃度である。親和性定数Kaは、1/Kdによって定義される。競合阻害によって特異性および親和性を決定するための好適な方法を、例えばHarlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,(1988)、Colligan et al., 編, Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley InterScience N.Y.,(1992, 1993)、およびMuller, Meth. Enzymol. 92, 589-601(1983)に見出すことができる。
【0727】
CD38BP、および特に本発明の抗CD38抗体は、約104~約1010M-1の範囲のCD38に少なくとも部分的に含まれる少なくとも1つのエプトープに対する親和性を有してもよい。本明細書において免疫反応するという用語は、典型的には約10-4Mを下回る解離定数KdでのCD38エピトープへのCD38BPの結合を指す。
【0728】
CD38BPは、少なくとも-003および-005および-024と同じ程度に大きいCD38に対する親和性を有してもよく、ならびにある態様において、少なくとも-003および-005および-024と同じに近い程度に大きい親和性を有する。本明細書の別の場所に記載された方法のいずれか、または当技術分野におけるそれらの公知の同等物によって、親和性を決定してもよい。親和性を決定するのに使用し得る1つの方法の例は、MunsonおよびPollard, Anal. Biochem, 107, 220(1980)のスキャッチャード(Scatchard)解析で提供されている。また、平衡法(例えば酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)または放射性免疫アッセイ法(RIA))または反応速度論的アッセイ法(例えばBIACORE(商標)解析)によって、結合親和性を決定してもよい。
【0729】
典型的には、本発明の、抗CD38抗体などの、CD38BPの解離定数は、約100nM未満、約50nM未満、約10nM未満、約5nMもしくはそれ未満、約1nMもしくはそれ未満、約0.5nMもしくはそれ未満、約0.1nMもしくはそれ未満、約0.01nMもしくはそれ未満であり、または約0.001nMもしくはそれ未満ですらある。
【0730】
本発明の、抗CD38抗体などの、CD38BPは、抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)および補体介在性細胞毒性(CDC)アッセイ法によって決定し得るような、-003および-005および-024と類似した機能的特徴を示す(例えば米国特許第5500362号参照)。
【0731】
ある態様において、本発明によるペプチドは、CD38のアゴニストとしては作用せず、CD38のアンタゴニストとして作用する。CD38のアゴニストは、CD38に帰せられる機能の1つまたは複数を活性化する、分子である。そのような機能には、接着およびシグナリング事象における受容体仲介ならびに(外)酵素活性が含まれてもよい。さらに、外酵素として、CD38は環状ADP-リボース(cADPR)およびADPRの形成のための基質としてだけでなく、ニコチンアミドおよびニコチン酸-アデニンジヌクレオチドリン酸(NAADP)の形成のための基質としてもNAD+を用いる。cADPRは小胞体からのCa2+動員のための2次メッセンジャーとして作用することが示されている。Ca2+を介するシグナリングに加えて、CD38シグナリングは、TおよびB細胞上の抗原-受容体複合体または例えば、MHC分子などの、その他の種類の複合体とのクロストークによって生じ、ならびにこのように幾つかの細胞性反応に関与するが、IgG1のスイッチングおよび分泌にも関与する。
【0732】
ある態様において、本発明によるペプチドは、PBMCの有意な増殖を誘導しない。ある態様において、本発明によるペプチドは、有意なIL-6レベルの放出を誘導しない。ある態様において、本発明によるペプチドは、検出可能なIFN-γレベルの放出を誘導しない。Ausiello et al., Tissue antigens 56, 538-547(2000)に記載されたように、そのようなアッセイ法を測定してもよい。
【0733】
本発明の抗CD38抗体だけでなく、本発明のCD38BPもまた、任意の好適な種類の細胞または動物における組換え発現によって調製してもよい。
【0734】
組換えヒト抗体などの、組換え抗体などの、組換えCD38BPには、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現されたヒト抗体などの、抗体などの、CD38BPなどの、組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されたヒト抗体などの、抗体などの、CD38BPが含まれる。
【0735】
組換えヒト抗体などの、組換え抗体にはまた、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、トランスジェニック動物などの、動物から単離された抗体、またはヒト免疫グロブリンをコードする核酸配列のヒト免疫グロブリンをコードする核酸およびヒト免疫グロブリンをコードする遺伝子に対して外因性のその他の核酸配列へのスプライシングを伴う任意のその他の手段によって調製され、発現され、作製され、または単離された抗体が含まれる。組換えヒト抗体は典型的には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、特定の態様において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異生成(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックの動物を用いる場合、インビボ体細胞突然変異生成)に供され、ならびにしたがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来し、およびヒト生殖系列VHおよびVL配列に関連するものの、インビボのヒト抗体生殖系列レパートリーの中に自然には存在し得ない配列であってもよい。両方の種類のヒト抗体が本発明によって提供される。
【0736】
組換えタンパク質産生のための好適な方法が当技術分野において公知であり、例えばSambrook and Russell(編), Molecular Cloning, 第3版, 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, USAを参照されたい。
【0737】
同様に、抗体産生のための好適な方法が当技術分野において公知であり、ならびに例えばHarlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,(1988)、Harlow and Lane: Using Antibodies: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999))、米国特許第4,376,110号、およびAusubel et al., 編, Current Protocols In Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wisley InterScience N.Y.,(1987, 1992)に記載された方法を含む。最初にKohler et al., Nature 256, 495(1975)によって記載されたハイブリドーマ法を用いて、またはその他の周知の、後に開発された方法によって、モノクローナル抗体を作製してもよい(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies: Principle and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986)参照)。本発明の抗CD38抗体の産生に有用なハイブリドーマもまた本発明によって提供される。任意の好適な種類の骨髄腫、異種骨髄腫、ホブラストイド(phoblastoid)細胞、形質細胞腫、またはその他のその同等物、および任意の好適な種類の抗体発現細胞を用いて、化学的融合、電気的融合、または任意のその他の好適な技術によって、そのようなハイブリドーマを形成してもよい。また、形質転換された不死化B細胞は、本発明の抗体を効果的に産生するために用いられてもよく、およびまた本発明によって提供される。エプスタインバーウイルス、または形質転換遺伝子による形質転換などの、標準的技術によって、そのような細胞を産生してもよい。(例えば、Kennett R. H. et al.,によって編集されたMonoclonal Antibodies, Plenum Press, N.Y. 1980, 19-33頁の「Continuously Proliferating Human Cell Lines Synthesizing Antibody of Predetermined Specificity」, Zurawaki, V. R. et al.,を参照されたい。)したがって、安定的かつ持続的なおよび/または不死化した抗CD38抗体発現細胞および細胞株は、本発明の特色である。CD38BPをコードする核酸またはCD38BP断片をコードする核酸を含む真核および原核細胞(例えば、酵母細胞、持続的および/または不死化哺乳動物細胞株(例えば、リンパ様球抗体産生細胞由来細胞株)、植物細胞、昆虫細胞、ならびに大腸菌細胞などの、細菌細胞など)が、本発明によって提供される。本発明の抗ヒトCD38抗体を発現する、非ヒト霊長類、齧歯類(例えば、重症複合免疫不全(SCID)マウスおよびその他の免疫欠陥動物系統などの改変されたその系統を含む-ハムスター、モルモット、およびラット)、イヌなどのような、トランスジェニック動物もまた、本発明によって提供される。
【0738】
任意の好適な方法(例えば、リン酸カルシウムで容易になったトランスフェクション、受容体を介した標的およびトランスフェクション、遺伝子銃送達、エレクトロポレーション、デキストランを介したトランスフェクション、リポソームを介したトランスフェクション、プロトプラスト融合、直接的なマイクロインジェクションなどによって細胞内に送達される1つの(または複数の)CD38BPをコードする配列を含む、裸のDNAプラスミドベクター、ウイルスベクター、侵襲性細菌細胞ベクター、またはその他の全細胞ベクターなどによる、トランスフェクション/形質転換)によって、CD38BPをコードする外来性核酸を含む組換え細胞を調製してもよい。細胞を形質転換/トランスフェクションする方法は、当技術分野において周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press,(第2版, 1989および第3版, 2001)ならびにF. Ausubel et al., 編, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley InterScience New York(1987)参照)。そのような組換え細胞は、本発明の特色である。
【0739】
組換えタンパク質発現の宿主として利用可能な細胞株は、当技術分野において周知であり、およびAmerican Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を含む。これらには、とりわけチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NSO、SP2細胞、Hela細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞腫瘍細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、および多数のその他の細胞株が含まれる。使用し得るその他の細胞株は、Sf9細胞などの、昆虫細胞株である。(抗CD38抗体を含む)CD38BPなどの、タンパク質をコードする核酸(または核酸を含むベクター)を哺乳動物宿主細胞に導入した場合、宿主細胞における、CD38BPなどの、タンパク質の発現を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって、または宿主細胞が増殖する培地中へのCD38BPなどの、タンパク質の分泌によって、CD38BPなどの、タンパク質を産生してもよい。標準的なタンパク質精製法を用いて、CD38BPを培地から回収してもよい。また、分泌シグナルなしで直接的に発現させた場合、CD38BPを宿主細胞溶解物から回収してもよい。
【0740】
また、抗CD38抗体などの、CD38BPを、細菌細胞および酵母などの、真核単細胞微生物で産生してもよい。細菌細胞が産生した抗CD38抗体などの、CD38BPは、典型的には通常のグリコシル化を欠き、および細菌細胞が産生した抗CD38抗体はしたがって、ADCC機能および哺乳動物細胞および/または動物において産生された抗CD38抗体と関連する免疫反応のその他の側面(例えば、NK細胞の動員)という点では多少なりとも欠損があってもよい。酵母細胞が産生した抗CD38抗体などの、CD38BPは通常、哺乳動物細胞で産生された抗体と異なる種類のグリコシル化パターンを示す。しかしながら、酵母において効果的なグリコシル化を有する抗体を産生するための方法が、Glycofi, Incなどの会社(Lebanon, NH, USA)によって、現在開発されているところである。Wildt S et al., Nat Rev Microbiol. 3(2), 119-28(2005)も参照されたい。
【0741】
(抗CD38抗体遺伝子を含む)CD38BP遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主に導入した場合、宿主細胞におけるCD38BPの発現および宿主細胞が増殖する培地中へのCD38BP分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することによって、CD38BPを産生する。例えば、免疫親和性カラム精製;硫酸沈殿;クロマトフォーカシング;調製SDS-PAGE、およびそれらと同様の技術を含む当技術分野において公知の任意の数の好適な技術によって、細胞培養、細胞溶解物、および動物から(例えば、抗CD38抗体を産生するトランスジェニック動物の腹水から)の抗体およびその他のCD38BPの精製を達成してもよい。
【0742】
また、例えば、Kohler and Milstein, Nature 256, 495(1975)の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術などの、従来のモノクローナル抗体の方法論を含む、様々なその他の技術によって、本発明のヒトモノクローナル抗体を産生してもよい。また、例えば、ヒト抗体遺伝子のライブラリーを用いたファージディスプレイ技術などの、モノクローナル抗体を産生するためのその他の技術を利用してもよい。ある態様において、マウス系で作製されたハイブリドーマの使用によって本発明の抗CD38抗体を産生する。マウスにおけるハイブリドーマ産生は、非常によく確立された手順である。融合用の免疫脾臓細胞の単離のための免疫プロトコルおよび技術は、当技術分野において公知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)および融合手順もまた公知である。
【0743】
CD38に対する完全にヒトのモノクローナル抗体を作製するために、例えば、Lonberg et al.,(1994), 前記、Fishwild et al.,(1996), 前記、および国際公開公報第98/24884号によって記載されたように、CD38抗原の濃縮調製物および/またはCD38を発現する細胞で、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニックまたは導入染色体性マウス(例えば、HCo12、HCo7、またはKMマウス)を免疫してもよい。あるいは、ヒトCD38をコードするDNAでマウスを免疫してもよい。最初の注入時に、マウスは6~16週齢であってもよい。例えば、CD38抗原の濃縮調製物(5~50μg)を用いて、HuMAbマウスを腹腔内に免疫してもよい。また、CD38抗原の精製調製物または濃縮調製物を用いた免疫によって抗体が結果的にもたらされない事象においては、免疫反応を促進するために、例えば、細胞株などの、CD38を発現する細胞で免疫してもよい。
【0744】
様々な抗原での蓄積経験により、最初に完全フロイントアジュバント中のCD38発現細胞で腹腔内(i.p.)または皮下(s.c.)に免疫し、次いでPBS中のCD38発現細胞で1週間おきに(合計10回まで)i.p.免疫した場合、HuMAbトランスジェニックマウスが一番よく反応することが示されている。免疫プロトコルの間、眼窩後方の採血によって得られている血漿試料で免疫反応をモニターしてもよい。血漿をFACS解析によってスクリーニングしてもよく、および十分な力価の抗CD38ヒト免疫グロブリンを有するマウスを融合に用いてもよい。実施例4のためのCD38発現細胞により静脈内で、ならびに屠殺および脾臓の除去の3日前に、マウスをブーストしてもよい。
【0745】
ヒトCD38に対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製するために、免疫マウス由来の脾臓細胞およびリンパ節細胞を単離し、およびマウス骨髄腫細胞株などの、適当な不死化細胞株に融合してもよい。その後、結果として得られるハイブリドーマを、抗原特異的抗体の産生についてスクリーニングしてもよい。例えば、免疫マウス由来の脾臓リンパ球の単一細胞懸濁を、50% PEG(w/v)によってSP2/0非分泌性のマウス骨髄腫細胞(ATCC, CRL 1581)に融合してもよい。平底マイクロタイタープレート中にウェル当たりおよそ1×105で細胞をプレーティングし、その後、通例の試薬のほかに10%胎仔クローン血清、5~10% origenハイブリドーマクローニング因子(IGEN)、および1×HAT(Sigma)を含む選択培地中で2週間インキュベーションしてもよい。およそ2週間後、HATをHTで置き換えた培地中で細胞を培養してもよい。その後、個々のウェルを、ヒトκ軽鎖を含む抗体についてはELISAで、およびCD38特異性についてはCD38発現細胞を用いたFACS解析でスクリーニングしてもよい。ひとたび大規模なハイブリドーマ増殖が生じれば、通例10~14日後に、培地を観察してもよい。抗体分泌ハイブリドーマを再プレーティングし、再度スクリーニングしてもよく、およびヒトIgGについて依然として陽性である場合には、抗CD38モノクローナル抗体を限界希釈によって少なくとも2回サブクローニングしてもよい。その後、安定サブクローンをインビトロ培養し、特徴付けのために組織培養用培地中で抗体を作製してもよい。
【0746】
また、例えば、当技術分野において周知であるような組換えDNA技術および遺伝子トランスフェクション法の組み合わせを用いて、本発明のヒト抗体を宿主細胞トランスフェクトーマで産生してもよく、例えばMorrison, S., Science 229, 1202(1985)を参照されたい。
【0747】
例えば、抗体、またはその抗体断片を発現させるために、部分的または全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを標準的な分子生物学技術(例えばPCR増幅、部位指向性突然変異生成)によって得てもよく、ならびに遺伝子が転写および翻訳制御配列と機能的に連結されるように発現ベクター内に挿入してもよい。この文脈において、「機能的に連結される」という用語は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するというそれらの意図された機能を果たすように、抗体遺伝子がベクター内にライゲートされるということを意味するよう意図されている。使用される発現宿主細胞と適合するように、発現ベクターおよび発現制御配列を選ぶ。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子を別々のベクターに挿入してもよく、またはより典型的には、両方の遺伝子を同じ発現ベクターに挿入してもよい。標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片およびベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合のブラント末端ライゲーション)によって、抗体遺伝子を発現ベクターに挿入してもよい。VHセグメントがベクター内のCHセグメントに機能的に連結され、かつVLセグメントがベクター内のCLセグメントに機能的に連結されるように、既に所望のアイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域をコードしている発現ベクターにそれらを挿入することによって任意の抗体アイソタイプの全長抗体遺伝子を作製するために、本明細書において記載された抗体の軽鎖および重鎖可変領域を用いてもよい。さらにまたは代わりに、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を容易にするシグナルペプチドをコードする。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングしてもよい。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドであってもよく、または異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来シグナルペプチド)であってもよい。
【0748】
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を可能にし、かつ制御する調節配列を持つ。
【0749】
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製の起点)および選択可能マーカー遺伝子などの、さらなる配列を持ってもよい。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば米国特許第4,399,216号、米国特許第4,634,665号、および米国特許第5,179,017号参照)。例えば、典型的には、選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に対して、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの、薬物に対する抵抗性を付与する。選択可能マーカー遺伝子の例として、(メトトレキサート選択/増幅と共にdhfr宿主細胞において使用するための)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子および(G418選択用の)neo遺伝子が含まれる。
【0750】
軽鎖および重鎖の発現のために、標準的な技術によって、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする。宿主細胞は、原核宿主細胞または哺乳動物などの、真核宿主細胞であってもよい。例えば、抗原結合断片を原核宿主細胞で発現させてもよく、および全長抗体を真核宿主細胞で発現させてもよい。
【0751】
ある態様において、哺乳動物宿主細胞などの、真核細胞で抗体を発現させる。本発明の組換え抗体を発現させるための哺乳動物宿主細胞の例として、(例えばR. J. Kaufman and P. A. Sharp, Mol. Biol. 159, 601-621(1982)に記載されたような、DHFR選択可能マーカーと共に用いられる、Urlaub and Chasin, PNAS USA 77, 4216-4220(1980)に記載された、dhfr-CHOを含む)CHO細胞、NS/0骨髄腫細胞、COS細胞、HEK293細胞、およびSP2.0細胞が含まれる。特に、NS/0骨髄腫細胞の使用に関して、発現系の別の例は、国際公開公報第87/04462号、国際公開公報第89/01036号、および欧州特許第338,841号に開示されているGS(グルタミン合成酵素)遺伝子発現系である。
【0752】
例えば、scFv抗体の産生のための大腸菌などの、微生物のような原核生物、藻類と同様に昆虫細胞を含む、その他の発現系で、CD38BP遺伝子を発現させてもよい。さらに、ヒツジおよびウサギ由来の乳の中もしくはメンドリ由来の卵の中でのように、トランスジェニック非ヒト動物において、またはトランスジェニック植物において、CD38BPを産生してもよい。例えばVerma, R. et al., J. Immunol. Meth. 216, 165-181(1998)、Pollock et al., J. Immunol. Meth. 231, 147-157(1999)、およびFischer, R. et al., Biol. Chem. 380, 825-839(1999)を参照されたい。
【0753】
化学技術(例えばD. M. Kranz et al., PNAS USA 78, 5807(1981)参照)、「ポリドーマ」技術(米国特許第4,474,893号参照)、または組換えDNA技術を用いて、本発明の二重特異性および多重特異性CD38BPを作製してもよい。
【0754】
ハイブリドーマの融合またはFab'断片の結合を含む様々な公知の方法によって、本発明の二重特異性抗体を産生してもよい(例えばSongsivilaiおよびLatchmann, Clin. Exp. Immunol. 79, 315-321(1990)およびKostelny et al., J. Immunol. 148, 1547-1553(1992)参照)。伝統的に、二重特異性抗体の組換え産生は、2つの重鎖が異なる特異性を有する場合、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づく(例えばMilstein and Cuello, Nature 305, 537(1983)参照)。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな取合せのために、これらのハイブリドーマ(クワドローマ)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を産生し、そのうちのただ1つが正確な二重特異性構造を有する。同様の手順が国際公開公報第93/08829号およびTraunecker et al., EMBO J. 10, 3655(1991)に開示されている。
【0755】
異なるアプローチに従って、組換え法または合成法によって、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原組み合わせ部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合する。可変ドメイン配列を典型的には、少なくともヒンジ、CH2、およびCH3領域の部分を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインに融合する。また典型的には、軽鎖結合に必要な部位を含む、第1の重鎖定常領域(CH1)もまた、少なくとも1つの融合ペプチドに存在する。この種類のアプローチのより具体的な例において、一方の腕に第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方の腕に(第2の結合特異性を与える)ハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対を含む二重特異性抗体を産生する。そのような非対称構造は、望まない免疫グロブリン鎖の組み合わせから所望の二重特異性化合物の分離を容易にすることができる(そのようなアプローチは国際公開公報第94/04690号に記載されている)。二重特異性抗体を作製することに関するさらなる詳細のために、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology 121, 210(1986)を参照されたい。
【0756】
別のアプローチにおいて、二重特異性抗体分子の集団を形成するために、1対の抗体分子間の界面を人工的に改変して、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージを最大化してもよい。典型的には、そのような界面は、抗体定常領域のCH3ドメインの少なくとも一部を含む。通常そのような方法において、第1の抗体分子の界面由来のより小さい側鎖を有する1つまたは複数のアミノ酸残基を、(チロシンまたはトリプトファンなどの)より大きい側鎖を有するアミノ酸残基と交換する。大きいアミノ酸側鎖残基を(アラニンまたはスレオニンなどの)より小さい残基と交換することによって、大きい側鎖アミノ酸と同一または同様の大きさの埋め合わせとなる「くぼみ」を第2の抗体分子の界面上に作製する。これによって、ホモ二量体などのその他の望まない最終産物に対してヘテロ二量体の産出を増大させるための機構が提供される。
【0757】
当技術分野において公知の方法を用いて、例えば、抗FcRおよび抗CD38結合特異性などの、構成要素となる結合特異性をコンジュゲートすることによって、本発明の二重特異性および多重特異性分子を調製してもよい。例えば、二重特異性および多重特異性分子の各々の結合特異性を別々に作製し、その後互いにコンジュゲートしてもよい。結合特異性がタンパク質またはペプチドである場合、共有結合的コンジュゲーションのために様々な結合またはクロスリンク薬剤を用いてもよい。クロスリンク薬剤の例として、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオ酢酸(SATA)、5,5'-ジチオビス(2-ニトロベンゼン酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、およびスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)が含まれ、例えばKarpovsky et al., J. Exp. Med. 160, 1686(1984)、Liu, M. A. et al., PNAS USA 82, 8648(1985)を参照されたい。別の例において、Brennan et al., Science 229, 81(1985)は、インタクトの抗体をタンパク質分解的に切断してF(ab')2断片を作製する手順を記載している。これらの断片をジチオール錯化薬剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化し、および分子間ジスルフィド形成を妨害する。その後、作製したFab'断片をチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換してもよい。その後、メルカプトエチルアミンによる還元によって、Fab'-TNB誘導体のうちの1つをFab'-チオールに再転換し、および等モル量のその他のFab'-TNB誘導体と混合して二重特異性抗体を形成させてもよい。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175, 217-225(1992)は、関連技術による、完全にヒト化した二重特異性抗体F(ab')2分子の産生を記載している。その他の方法には、Paulus(Behring Ins. Mitt. No. 78, 118-132(1985))およびGlennie et al., J. Immunol. 139, 2367-2375(1987)によって記載された方法が含まれる。コンジュゲート薬剤の例は、SATAおよびスルホ-SMCCであり、両方ともPierce Chemical Co.(Rockford, IL)から入手可能である。
【0758】
結合特異性が抗体である場合、2つの重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合を介して、それらをコンジュゲートしてもよい。ある態様において、コンジュゲーションの前に、例えば1つの、奇数のスルフヒドリル残基を含むようにヒンジ領域を改変する。
【0759】
あるいは、両方の結合特異性を同じベクターにコードし、ならびに同じ宿主細胞で発現および会合させてもよい。この方法は、二重特異性および多重特異性分子がmAb×mAb、mAb×Fab、Fab×F(ab')2、またはリガンド×Fab融合タンパク質である場合、特に有用である。本発明の二重特異性および多重特異性分子、例えば、二重特異性分子は、単鎖二重特異性抗体、1つの単鎖抗体および結合決定基を含む単鎖二重特異性分子、または2つの結合決定基を含む単鎖二重特異性分子などの、単鎖分子であってもよい。また、二重特異性および多重特異性分子は、単鎖分子であってもよく、または少なくとも2つの単鎖分子を含んでもよい。二重および多重特異性分子を調製するための方法は、例えば米国特許第5,260,203号、米国特許第5,455,030号、米国特許第4,881,175号、米国特許第5,132,405号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,476,786号、米国特許第5,013,653号、米国特許第5,258,498号、および米国特許第5,482,858号に記載されている。
【0760】
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作製および単離するための様々な技術が記載されている。例えば、二重特異的抗体が、ロイシンジッパーを用いて産生されている(例えばKostelny et al., J. Immunol. 148(5), 1547-1553(1992)参照)。遺伝子融合によってFosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドを2つの異なる抗体のFab'部分に結合することができ、および結果として生じる抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して、再び酸化して抗体ヘテロ二量体を形成し得る単量体を形成させることができる。Hollinger et al., PNAS USA 90, 6444-6448(1993)によって記載された「ダイアボディ」技術もまた、二重特異性抗体断片を作るための代わりの機構を提供する。単鎖Fv(sFv)二量体の使用によって二重特異性抗体断片を作るための別の戦略もまた報告されている。例えばGruber et al., J. Immunol. 152, 5368(1994)を参照されたい。
【0761】
加えて、二重特異性抗体を「ダイアボディ」(Hollinger et al., PNAS USA 90, 6444-6448(1993))または「ヤヌシン(Janusins)」(Traunecker et al., EMBO J 10, 3655-3659(1991)およびTraunecker et al., Int J Cancer Suppl 7, 51-52(1992))として形成させてもよい。自明のこととして、二重特異性抗体は、1つの結合部位を有する形態(例えば、それらも本発明によって提供される、Fab、Fab'、およびFv断片)では存在しない。
【0762】
酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)、放射性免疫アッセイ法(RIA)、FACS解析、バイオアッセイ法(例えば、増殖阻害)、またはウェスタンブロットアッセイ法によって、二重特異性および多重特異性分子のそれらの特異的標的への結合を確認してもよい。これらのアッセイ法の各々は通常、関心対象の複合体に特異的な標識試薬(例えば、抗体)を利用することにより、特定の関心対象のタンパク質-抗体複合体の存在を検出する。例えば、FcR-抗体複合体を、例えば、抗体-FcR複合体を認識し、かつ抗体-FcR複合体に特異的に結合する酵素結合抗体または抗体断片などを用いて、検出してもよい。あるいは、様々なその他の免疫アッセイ法のいずれかを用いて、複合体を検出してもよい。例えば、抗体を放射性標識し、および放射性免疫アッセイ法(RIA)で用いてもよい(例えば、Weintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986参照)。γカウンターもしくはシンチレーションカウンターの使用のような手段によってまたはオートラジオグラフィーによって、放射性同位体を検出してもよい。
【0763】
先に述べたように、抗体は、6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を主に通じて標的抗原と相互作用する。本発明は、-003もしくは-005もしくは-024のCDR領域と同一のまたはさもなければ-003もしくは-005もしくは-024のCDR領域に由来するCDR領域を有する抗体を提供する。異なる特性を有する異なる抗体由来のフレームワーク配列上に継ぎ足された-003または-005または-024由来のCDR配列を含む発現ベクターを構築することによって、そのような抗体を作製してもよい。
【0764】
生殖系列抗体遺伝子配列を含む公共のDNAデータベースから、そのようなフレームワーク配列を得ることができる。それらは、B細胞成熟の間にV(D)J接合によって形成される、完全にまとめられた可変遺伝子を含まないと考えられるので、これらの生殖系列配列は、成熟抗体遺伝子配列と異なると考えられる。生殖系列遺伝配列はまた、可変遺伝子の全体にわたって突然変異を含むが典型的にはCDRにおいて一団になった高親和性2次レパートリー抗体の配列と異なると考えられる。例えば、体細胞突然変異は、フレームワーク領域1のアミノ末端部分においておよびフレームワーク領域4のカルボキシ末端部分において比較的頻度が高い。こういう訳で、最初の抗体の結合特異性と同様の結合特異性を有するインタクトの組換え抗体を再作製するために、特定の抗体の全DNA配列を得る必要はない(国際公開公報第99/45962号参照)。この目的のために、CDR領域にまたがる部分的な重鎖および軽鎖配列で典型的には十分である。部分配列を用いて、どの生殖系列可変遺伝子セグメントおよび接合遺伝子セグメントが組換え抗体可変遺伝子に寄与したかを決定する。その後、生殖系列配列を用いて、可変領域の欠けている部分を埋める。重鎖および軽鎖リーダー配列はタンパク質成熟の間に切断され、および最終的な抗体の特性に寄与しない。欠けている配列を付加するために、ライゲーションまたはPCR増幅によって、クローニングしたcDNA配列を合成オリゴヌクレオチドと組み合わせてもよい。あるいは、全可変領域を1組の短い、重なり合う、オリゴヌクレオチドとして合成し、かつPCR増幅によって組み合わせて、完全に合成の可変領域クローンを作製してもよい。この過程は、特定の制限部位の削除もしくは含有、または特定のコドンの最適化などのある種の利点を有する。
【0765】
ハイブリドーマ由来の重鎖および軽鎖転写産物のヌクレオチド配列を用いて、重なり合う組の合成オリゴヌクレオチドを設計し、自然配列と同一のアミノ酸コード能力を有する合成V配列を作製する。合成重鎖およびκ鎖配列は3つの点で自然配列と異なることができ:オリゴヌクレオチド合成およびPCR増幅を容易にするために一続きの繰り返しヌクレオチド塩基が中断され;最適な翻訳開始部位がKozakの規則に従って取り込まれ(Kozak, J. Biol. Chem. 266, 19867-19870(1991));ならびにHindIII部位が翻訳開始部位の上流に人工的に付されている。
【0766】
重鎖および軽鎖可変領域の両方について、対応する非コードオリゴヌクレオチドのおよそ中間点で、最適化したコード鎖配列および対応する非コード鎖配列を30~50ヌクレオチドに分解する。したがって、各々の鎖について、オリゴヌクレオチドをまとめて、150~400ヌクレオチドの部分にまたがる重なり合う2本鎖の組にしてもよい。その後、プールを鋳型として用いて、150~400ヌクレオチドのPCR増幅産物を産生する。典型的には、1つの可変領域オリゴヌクレオチドの組を、2つの重なり合うPCR産物を作製するために別々に増幅する2つのプールに分類する。その後、これらの重なり合う産物をPCR増幅によって組み合わせ、完全な可変領域を形成させる。また、発現ベクター構築物に容易にクローニングできる断片を作製するために、PCR増幅において(κ軽鎖のBbsI部位、またはγ重鎖のAgeI部位を含む)重鎖または軽鎖定常領域の重なり合う断片を含めることが望ましい可能性がある。
【0767】
その後、再構築した重鎖および軽鎖可変領域を、クローニングしたプロモーター配列、リーダー配列、翻訳開始配列、定常領域配列、3'非翻訳配列、ポリアデニル化配列、および転写終結配列と組み合わせて、発現ベクター構築物を形成させる。重鎖および軽鎖発現構築物を1つのベクターに組み合わせ、宿主細胞内に同時にトランスフェクトし、連続的にトランスフェクトし、または別々にトランスフェクトしてもよく、宿主細胞は、その後融合して両方の鎖を発現する宿主細胞を形成させる。
【0768】
同様の手順に従って、現存の成熟抗体に新規の抗原特異性を継ぎ足してもよい。典型的には、CDR供与体抗体と同じ可変生殖系列遺伝子が起源である受容体抗体を選ぶが、その他の受容体抗体もまた選んでもよい。その後、供与体抗体由来の1つまたは複数のCDRを移してもよい。
【0769】
本発明のある態様において、-003および-005および-024の構造的特色を用いて、-003および-005および-024の少なくとも1つの機能的特性、すなわちCD38への結合を保持する、例えばヒト抗CD38抗体などの、構造的に関連のある抗CD38抗体を作製する。より具体的には、-003および-005および-024の1つまたは複数のCDR領域を公知のヒトフレームワーク領域およびCDRと組換えにより組み合わせて、本発明のさらなる、組換えにより人工的に作製した、ヒト抗CD38抗体を作製してもよい。
【0770】
ヒトIgGκの発現ベクターの構築において使用するための例示的なプラスミドを下に記載する。PCR増幅したVκ重鎖およびVκ軽鎖cDNA配列を用いて完全な重鎖および軽鎖ミニ遺伝子を再構築することができるようにプラスミドを構築する。これらのプラスミドを用いて、完全にヒトのIgG1、κまたはIgG4、κ抗体を発現させてもよい。その他の重鎖アイソタイプの発現のために、またはλ軽鎖を含む抗体の発現のために、同様のプラスミドを構築してもよい。
【0771】
本発明のヒト抗CD38抗体などの、本発明のCD38BPを、多数の異なる方法で単離し、および特徴付けしてもよい。例えば、モノクローナル抗体産生のために、選択したハイブリドーマを好適なフラスコで増殖させてもよい。その後、(IgG1アイソタイプ抗体については)プロテインA-セファロース(Pharmacia, Piscataway, NJ)またはIgG3アイソタイプ抗体の場合には抗ヒトIgGコートしたセファロースもしくはプロテインG-セファロースによる親和性クロマトグラフィーの前に、上清を濾過および濃縮してもよい。純度を確認するために、溶出したIgGをゲル電気泳動および高性能液体クロマトグラフィーによって調べてもよい。緩衝溶液をPBSに交換してもよく、および1.43という減衰係数を用いてOD280で濃度を決定してもよい。モノクローナル抗体を分注し、および-80℃で保存してもよい。
【0772】
ヒト抗CD38モノクローナル抗体などの、選択したCD38BPが独特のエピトープに結合するかどうかを決定するために、部位指向性または多部位指向性突然変異生成を用いてもよい。
【0773】
精製した抗体のアイソタイプを決定するために、アイソタイプELISAを行なってもよい。マイクロタイタープレートのウェルを、終夜4℃で10μg/mlの抗ヒトIgによってコーティングしてもよい。5% BSA(ウシ血清アルブミン)によるブロッキングの後で、プレートを、外界温度で2時間、10μg/mlのモノクローナル抗体または精製したアイソタイプ対照と反応させる。その後、ウェルをヒトIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4、IgE、IgA1、IgA2、またはヒトIgM特異的なアルカリホスファターゼをコンジュゲートしたプローブと反応させる。洗浄後、プレートをpNPP基質(1mg/ml)で発色させ、および405nmのODで解析する。
【0774】
免疫マウスの血清中の抗CD38抗体の存在またはCD38を発現する生細胞への(抗CD38抗体を含む)CD38BPの結合を示すために、フローサイトメトリーを用いてもよい。簡潔に述べると、(標準的な増殖条件の下で増殖した)CD38を発現する細胞株を、0.1% BSAおよび0.02%アジ化ナトリウムを含むPBS中の様々な濃度のCD38BPと混合し、および4℃で30分間インキュベートする。洗浄後、1次抗体染色と同じ条件下で、細胞をフルオレセイン標識した抗ヒトIgG抗体と反応させる。光散乱および側方散乱特性を用いて1個の、生細胞にゲートをかけて、フローサイトメーター(例えば、Becton Dickinson FACS装置)でフローサイトメトリーによって試料を解析してもよい。(フローサイトメトリーアッセイ法に加えてまたはフローサイトメトリーアッセイ法の代わりに)蛍光顕微鏡を用いた代わりのアッセイ法を用いてもよい。正に上記の通りに細胞を染色し、かつ蛍光顕微鏡で調べてもよい。この方法は個々の細胞の可視化を可能にするが、抗原の密度によっては感受性を減弱させてしまう可能性がある。
【0775】
ウェスタンブロッティングによって、CD38抗原との反応性について、抗CD38ヒトIgGなどの、CD38BPをさらに試験してもよい。簡潔に述べると、CD38を発現する細胞由来の細胞抽出を調製し、かつドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供してもよい。電気泳動後、分離した抗原をニトロセルロース膜に転写し、20%無脂乳でブロックし、および試験すべきCD38BPでプロービングする。ヒトIgG結合を、抗ヒトIgGアルカリホスファターゼを用いて検出し、およびBCIP/NBT基質錠剤(Sigma Chem. Co., St. Louis, MO)で発色させてもよいが、CD38BPのその他の特異的部分を指向する検出薬剤も用いてもよい。
【0776】
CD38への結合特異性に加えて、(ヒト抗CD38抗体を含む)CD38BPを、インスリン産生、Ca2+放出、サイトカイン産生、溶解誘導、分化、および増殖などの、しかしこれらに制限されない、CD38を発現する細胞の様々な活性を阻害するそれらの能力について試験してもよい。
【0777】
ある態様において、本発明は、CD38に特異的に結合するヒト抗体を発現することができる、トランスジェニックまたは導入染色体性マウスなどの、トランスジェニックおよび導入染色体性非ヒト動物を提供する。特定の態様において、本発明は、CD38を発現する細胞で免疫された場合に、マウスがヒト抗CD38抗体を発現するように、ヒト重鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニックまたは導入染色体性マウスを提供する。本明細書において詳細に記載されたような、例えば、HuMAbマウスなどのトランスジェニックの場合と同様に、ヒト重鎖トランスジーンをマウスの染色体DNAに組み入れてもよい。あるいは、国際公開公報第02/43478号に記載されたような導入染色体性(例えば、KM)マウスの場合のように、ヒト重鎖トランスジーンを染色体外で維持してもよい。そのようなトランスジェニックおよび導入染色体性動物は、V-D-J/V-J組換えおよびアイソタイプスイッチングを経ることによって、複数のアイソタイプのCD38に対するヒトモノクローナル抗体(例えば、IgG、IgA、および/またはIgE)を産生することができる。異種抗体レパートリーによる外来抗原刺激に反応するトランスジェニックまたは導入染色体性非ヒト動物の設計は、トランスジェニック動物に含まれる異種免疫グロブリントランスジーンがB細胞分化の経路の全体にわたって正確に機能するということを必要とする。これは、例えば、異種重鎖トランスジーンのアイソタイプスイッチングを含む。したがって、アイソタイプスイッチングが誘導され、かつ1つまたは複数の以下の抗体遺伝子の特徴が誘導されるようにトランスジーンを構築する:(1)高レベルでかつ細胞型特異的な発現、(2)機能的な遺伝子再配置、(3)対立遺伝子排除の活性化および対立遺伝子排除に対する反応、(4)十分な1次レパートリーの発現、(5)シグナル伝達、(6)体細胞超突然変異、ならびに(7)免疫反応中のトランスジーン抗体座の優位。
【0778】
前述の基準の全てが満たされる必要はない。例えば、トランスジェニック動物の内在性の免疫グロブリン座が機能的に破壊されている態様において、トランスジーンは対立遺伝子排除を活性化する必要はない。さらに、トランスジーンが機能的に再配置された重鎖および/または軽鎖免疫グロブリン遺伝子を含む態様において、機能的な遺伝子再配置という第2の基準は、少なくとも既に再配置されているトランスジーンについては、不必要である。分子免疫学に関する背景については、Fundamental Immunology, 第2版(1989), Paul William E., 編. Raven Press, N.Y.を参照されたい。
【0779】
ある種の態様において、本発明のヒトモノクローナル抗体を作製するために用いられるトランスジェニックまたは導入染色体性非ヒト動物は、トランスジェニック動物の生殖系列の中に、再配置された、再配置されていない、または再配置されたおよび再配置されていない異種免疫グロブリン重鎖および軽鎖トランスジーンの組み合わせを含む。重鎖トランスジーンの各々は少なくとも1つのCH遺伝子を含む。加えて、重鎖トランスジーンは、トランスジェニック動物のB細胞いおいて複数のCH遺伝子をコードする異種トランスジーンのアイソタイプスイッチングを支持することができる機能的なアイソタイプスイッチ配列を含んでもよい。そのようなスイッチ配列は、トランスジーンCH遺伝子の源としての役割を果たす種由来の生殖系列免疫グロブリン座に自然に生じる配列であってもよく、またはそのようなスイッチ配列はトランスジーン構築物を受容するべき種(トランスジェニック動物)で生じる配列に由来してもよい。例えば、マウススイッチ配列はマウススイッチリコンビナーゼ酵素系と共に機能するために最適化されているが、ヒトスイッチ配列ははマウススイッチリコンビナーゼ酵素系と共に機能するために最適化されていないと思われるので、それがマウス重鎖座で自然に生じる配列と同様のスイッチ配列を取り込む場合、トランスジェニックマウスを産生するために用いられるヒトトランスジーン構築物は、より高い頻度のアイソタイプスイッチング事象を産生してもよい。スイッチ配列を、従来のクローニング法によって単離及びクローニングしてもよく、または免疫グロブリンスイッチ領域配列に関する公開された配列情報を基にして設計された重なり合う合成オリゴヌクレオチドから新規に合成してもよい(Mills et al., Nucl. Acids Res. 15, 7305-7316(1991) Sideras et al., Intl. Immunol. 1, 631-642(1989))。前述のトランスジェニック動物の各々について、機能的に再配置された異種重鎖および軽鎖免疫グロブリントランスジーンは、トランスジェニック動物のB細胞のかなりの画分に見出される(少なくとも10%)。
【0780】
本発明のトランスジェニック非ヒト動物を作製するために用いられるトランスジーンには、少なくとも1つの可変遺伝子セグメント、1つの多様性遺伝子セグメント、1つの接合遺伝子セグメント、および少なくとも1つの定常領域遺伝子セグメントをコードするDNAを含む重鎖トランスジーンが含まれる。免疫グロブリン軽鎖トランスジーンは、少なくとも1つの可変遺伝子セグメント、1つの接合遺伝子セグメント、および少なくとも1つの定常領域遺伝子セグメントをコードするDNAを含む。軽鎖および重鎖遺伝子セグメントをコードする遺伝子セグメントは、それらがトランスジェニック非ヒト動物からならない種由来の免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子セグメントをコードするDNAに由来し、または対応するという点で、トランスジェニック動物にとって異種である。本発明のある態様において、個々の遺伝子セグメントが再配置されない、すなわち、機能的な免疫グロブリン軽鎖または重鎖をコードするように再配置されないように、トランスジーンを構築する。そのような再配置されないトランスジーンは、V、D、およびJ遺伝子セグメントの組換え(機能的再配置)を支持し、ならびにCD38抗原に曝露された場合に、トランスジェニック動物の中で結果として生じる再配置された免疫グロブリン重鎖におけるD領域遺伝子セグメントの全てまたは一部の取り込みを支持する。
【0781】
代わりの態様において、トランスジーンは再配置されない「ミニ座」を含む。そのようなトランスジーンは典型的には、V遺伝子セグメントのサブセットだけでなくC、D、およびJセグメントの相当な部分も含む。そのようなトランスジーン構築物において、プロモーター、エンハンサー、クラススイッチ領域、RNA加工用のスプライス供与体配列およびスプライス受容体配列、組換えシグナル、ならびにそれらと同様のものなどの、様々な調節配列は、異種DNAに由来する対応する配列を含む。そのような調節配列を、本発明において用いる同じまたは関連する種由来のトランスジーンに組み入れてもよい。例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを、トランスジェニックマウスで使用するための齧歯類免疫グロブリンエンハンサー配列とトランスジーンにおいて組み合わせてもよい。あるいは、合成調節配列をトランスジーンに組み入れてもよく、そのような合成調節配列は、哺乳動物のゲノムで自然に生じることが公知である機能的DNA配列と相同ではない。合成調節配列は、例えば、スプライス受容体部位またはプロモーター/エンハンサーモチーフの許容配列を特定する規則などの、コンセンサス規則に従って設計する。例えば、ミニ座は、天然の生殖系列Ig座と比べて少なくとも1つの非必須DNA部分(例えば、介在配列;イントロンまたはその部分)の内部(すなわち、該部分の末端においてではない)欠失を有するゲノムの免疫グロブリン座の一部を含む。
【0782】
マウスなどの、トランスジェニックおよび導入染色体性非ヒト動物の例は、理想的には容量を合わせた後でヒトのレパートリーと実質的に同様の、相当なレパートリーを有する免疫グロブリンの産生を示すと考えられる。
【0783】
レパートリーは理想的には、容量を合わせた場合にヒトで示されるレパートリーに近く、通例25~50%またはそれを上回るような、少なくとも約10%程度の多様性を有すると考えられる。通常、マウスゲノムに導入され、かつV(-D-)J遺伝子セグメント再配置および接合領域におけるランダムなヌクレオチド付加によって発生するさらなる多様性により推進される異なるV、J、およびD領域の数に応じて、104~106またはそれを上回るような、少なくとも約1000の異なる免疫グロブリン(理想的にはIgG)が産生されると考えられる。典型的には、免疫グロブリンは、10-9M、10-10M、もしくは10-11M未満、またはさらにそれより低いような、10-8M未満の予め選択された抗原に対する親和性(KD)を示すと考えられる。上記のような、例えばマウスなどの、トランスジェニックおよび導入染色体性非ヒト動物を、例えば、CD38を発現する細胞で免疫してもよい。あるいは、トランスジェニック動物を、ヒトCD38をコードするDNAで免疫してもよい。その後、動物は、スイッチ組換え(シス-スイッチング)を介したクラススイッチングを受け、かつCD38に反応性の免疫グロブリンを発現するB細胞を産生すると考えられる。免疫グロブリンは(「ヒト配列抗体」とも称される)ヒト抗体であると考えられ、重鎖および軽鎖ポリペプチドは、生殖系列によってコードされた配列だけでなく、体細胞突然変異およびV領域組換え接合によっても派生する配列を含み得る、ヒトトランスジーン配列によってコードされる;たとえその他の非生殖系列配列が、体細胞突然変異ならびに特異なV-JおよびV-D-J組換え接合の結果として存在し得るとしても、これらのヒト抗体は、ヒトVLおよびJLまたはVH、DHおよびJH遺伝子セグメントによってコードされたポリペプチド配列と実質的に同一であると称されてもよい。各々の抗体鎖の可変領域は、典型的にはヒト生殖系列V、およびJ遺伝子セグメント、ならびに、重鎖の場合には、ヒト生殖系列V、D、およびJ遺伝子セグメントと少なくとも80パーセント類似し;多くの場合、トランスジーン上に存在するヒト生殖系列配列と少なくとも85パーセント類似し;しばしば、トランスジーン上に存在するヒト生殖系列配列と少なくとも90もしくは95パーセントまたはそれを上回って類似している。しかしながら、非生殖系列配列が体細胞突然変異ならびにVJおよびVDJ接合によって導入されるので、ヒト配列抗体は多くの場合、マウスの生殖系列中のヒトトランスジーンに見出されるようなヒトV、D、またはJ遺伝子セグメントによってコードされない幾つかの可変領域配列を有すると考えられる。典型的には、そのような非生殖系列配列(または個々のヌクレオチド位置)は、CDRの中もしくはCDRの近く、または体細胞突然変異がクラスターをなすことが公知である領域において、クラスターをなす。
【0784】
本発明はまた、本明細書において記載されたようなトランスジェニックまたは導入染色体性非ヒト動物に由来するB細胞を提供する。本B細胞を用いて、高い親和性で(例えば10-8Mより低い解離平衡定数(KD)で)ヒトCD38に結合するヒトモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマを作製してもよい。したがって、ある態様において、本発明は、放射能で標識されたモノクローナル抗体を用いたCD38発現細胞のスキャッチャード(scatchard)解析によって、またはFACS解析を用いた最大値の半分の結合濃度の決定によって、またはBIAcore装置で測定されるような表面プラズモン共鳴を用いた解析によって決定した場合、10-9M、10-10M、もしくは10-11M未満、またはさらにそれより低いような、10-8M未満の親和性(KD)を有するヒト抗体を産生するハイブリドーマを提供する。
【0785】
本発明は、(1)ヒトVL遺伝子セグメントおよびヒトJLセグメントによってコードされるポリペプチド配列と実質的に同一であるポリペプチドを有する軽鎖可変領域、および(2)ヒトCL遺伝子セグメントによってコードされる軽鎖定常領域から構成されるヒト配列軽鎖;ならびにヒトVH遺伝子セグメント、D領域、およびヒトJHセグメントによってコードされるポリペプチド配列と実質的に同一であるポリペプチドを有する(1)重鎖可変領域、および(2)ヒトCH遺伝子セグメントによってコードされる定常領域から構成されるヒト配列重鎖を含む抗CD38抗体を提供する。最初のヒト生殖系列配列が容易に認識され得ないほどに、ヒトD遺伝子が組換えおよび体細胞突然変異事象によって実質的に変化し得るということに留意すべきである。
【0786】
組み入れられたヒト免疫グロブリントランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物におけるヒト可変領域遺伝子セグメントのレパートリーを拡大するための方法であって、ゲノム中に組み入れられたヒト免疫グロブリントランスジーンに存在しないV領域遺伝子セグメントを含むV遺伝子トランスジーンを導入する工程を含む方法によって、CD38に対する高親和性のヒトモノクローナル抗体の開発を容易にすることができる。多くの場合、V領域トランスジーンは、順序が乱れたまたは削除されたV遺伝子セグメントを含み得る、ヒトゲノムで自然に生じ得るような、または組換え法によって別々に継ぎ合わされ得るような、ヒトVHまたはVL(VK)遺伝子セグメントアレイの一部を含む酵母人工染色体(YAC)である。多くの場合、少なくとも5つまたはそれより多くの機能的V遺伝子セグメントがYAC上に含まれる。この変形として、Vレパートリー拡大法によって産生されるトランスジェニック動物であって、V領域トランスジーン上に存在するV領域遺伝子セグメントによってコードされる可変領域配列およびヒトIgトランスジーン上でコードされるC領域を含む免疫グロブリン鎖を発現するトランスジェニック動物を作ることが可能である。Vレパートリー拡大法によって、少なくとも5つの別個のV遺伝子を有するトランスジェニック動物を作製することができ;同様に少なくとも約24のV遺伝子またはそれより多くを含む動物を作製することができる。幾つかのV遺伝子セグメントは非機能的(例えば、偽遺伝子およびそれと同様のもの)であってもよく;これらのセグメントを保持してもよく、または望ましい場合には、当業者に利用可能な方法によって選択的に欠失してもよい。
【0787】
ひとたび、JおよびC遺伝子セグメントを含むヒトIgトランスジーンに実質的に存在しない、拡大されたVセグメントレパートリーを有する機能的YACを含むようにマウス生殖系列を人工的に改変すれば、形質を遺伝させ、かつ拡大されたVセグメントレパートリーを有する機能的YACが異なるヒトIgトランスジーンを有する非ヒト動物生殖系列に混ぜ込まれる背景を含む、その他の遺伝的背景の中に混ぜ込むことができる。拡大されたVセグメントレパートリーを有する複数の機能的YACを生殖系列の中に仕込み、ヒトIgトランスジーン(または複数のヒトIgトランスジーン)と共に働かせてもよい。本明細書においてYACトランスジーンと呼ばれるが、ゲノム中に組み入れられた場合、そのようなトランスジーンは、酵母での自律的複製に必要とされる配列などの、酵母配列を実質的に欠いていてもよく;そのような配列は、酵母での複製がもはや必要ではなくなった後に(すなわち、マウスES細胞またはマウス前接合子(prozygote)への導入前に)、任意で遺伝子工学(例えば、制限消化およびパルスフィールドゲル電気泳動またはその他の好適な方法)によって除去されていてもよい。ヒト配列免疫グロブリン発現という形質を遺伝させる方法は、ヒトIgトランスジーンを有するトランスジェニック動物を飼育する工程、および任意で拡大されたVセグメントレパートリーを有する機能的YACを有する工程も含む。VHおよびVL遺伝子セグメントの両方がYAC上に存在してもよい。トランスジェニック動物を、ヒトIgトランスジーンおよび/またはその他のヒトリンパ球タンパク質をコードするトランスジーンを含む、その他のヒトトランスジーンを持つ背景を含む、専門家によって所望される任意の背景に混ぜ込んでもよい。本発明はまた、拡大されたV領域レパートリーYACトランスジーンを有するトランスジェニックマウスによって産生される高親和性のヒト配列免疫グロブリンを提供する。前述の事項は、本発明のトランスジェニック動物の特定の態様を記載しているが、3つの範疇に分類されているその他の態様も包含される:
I、再配置されていない重鎖および再配置された軽鎖免疫グロブリントランスジーンを含むトランスジェニック動物;
II、再配置されていない重鎖および再配置されていない軽鎖免疫グロブリントランスジーンを含むトランスジェニック動物;ならびに
III、再配置された重鎖および再配置されていない軽鎖免疫グロブリントランスジーンを含むトランスジェニック動物。
【0788】
ある態様において、本発明は、治療的有効量の本発明のCD38BPを含む薬学的組成物を提供する。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, Gennaro, 編, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に開示されている技術などの従来の技術に従って、薬学的組成物を、薬学的に許容される担体または希釈剤だけでなく、任意のその他の公知のアジュバントおよび賦形剤で製剤化してもよい。
【0789】
薬学的に許容される担体または希釈剤だけでなく、任意のその他の公知のアジュバントおよび賦形剤も、本発明の選ばれた化合物および選ばれた投与の様式に好適であるべきである。薬学的組成物の担体およびその他の構成要素に対する好適さを、本発明の選ばれた化合物または薬学的組成物の所望の生物学的特性に対する有意な負の影響の欠如(例えば、抗原結合に対して決して実質的影響がない(10%またはそれを下回る相対阻害、5%またはそれを下回る相対阻害など))に基づいて決定する。
【0790】
本発明の薬学的組成物にはまた、希釈剤、フィルター、塩、緩衝剤、界面活性剤(例えば、Tween-80などの、非イオン性界面活性剤)安定化剤、安定化剤(例えば、糖もしくは無タンパク質アミノ酸)、防腐剤、組織固定剤、可溶化剤、および/または薬学的組成物中の含有に好適なその他の材料が含まれてもよい。
【0791】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の用量レベルを、患者に対して毒性がない状態で、特定の患者、組成物、および投与の様式について所望の治療反応を達成するのに効果的である活性成分の量を得るように変えてもよい。選択される用量レベルは、利用される本発明の特定の組成物、またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与の経路、投与の時間、利用されている特定の化合物の排出の速度、処置の継続期間、利用される特定の組成物と組み合わせて用いられるその他の薬物、化合物、および/または材料、年齢、性別、体重、状態、処置される患者の全体的な健康および以前の病歴、ならびに医療技術分野において周知の同様の因子を含む、様々な薬物動態学的因子に依存すると考えられる。
【0792】
薬学的組成物を任意の好適な経路および様式によって投与してもよい。インビボおよびインビトロで本発明の化合物を投与する好適な経路は当技術分野において周知であり、および当業者によって選択されることができる。
【0793】
本発明の化合物を、経口経路、鼻腔経路、吸入可能経路、(口腔経路、経皮経路、および舌下経路を含む)局所経路、直腸経路、膣経路、ならびに/または非経口経路などの、任意の好適な経路を介して投与してもよい。
【0794】
ある態様において、本発明の薬学的組成物を、例えば、不活性希釈剤または吸収できる食用担体を用いて、経口で投与する。活性成分を、殻の硬いもしくは柔らかいゼラチンカプセルに封入してもよく、圧縮して錠剤にしてもよく、または対象の食事に直接的に取り込ませてもよい。経口投与に好適である本発明の薬学的組成物には、当技術分野において適当であることが公知であるような担体を含む、摂取可能な錠剤、口腔錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁、シロップ、ウエハース、およびそれらと同様のものが含まれる。本発明の経口投与の化合物を投与するために、その不活性化を妨害する材料で化合物をコーティングし、またはその不活性化を妨害する材料と化合物を同時に投与する必要がある可能性がある。
【0795】
ある態様において、本発明の薬学的組成物を鼻腔に投与する。鼻腔投与に好適である本発明の薬学的組成物は、当技術分野において公知であり、ならびに典型的には、スプレー、点鼻薬および吸入剤を含む。
【0796】
ある態様において、本発明の薬学的組成物を局所に投与する。局所投与または経皮投与に好適である本発明の薬学的組成物には、当技術分野において適当であることが公知であるような担体を含む、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。
【0797】
ある態様において、本発明の薬学的組成物を直腸に投与する。直腸投与に好適である本発明の薬学的組成物は、当技術分野において公知であり、ならびにゲル、ペースト、スプレー製剤、および坐薬を含む。
【0798】
ある態様において、本発明の薬学的組成物を膣に投与する。腟内投与に好適である本発明の薬学的組成物には、当技術分野において適当であることが公知であるような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、およびスプレー製剤が含まれる。
【0799】
ある態様において、本発明の薬学的組成物を非経口で投与する。
【0800】
本明細書において用いられる場合、「非経口投与」および「非経口で投与する」という語句は、通例注射による、腸内投与および局所投与以外の投与の様式を意味し、ならびに上皮、静脈内、筋肉内、動脈内、髄膜内、嚢内、眼窩内、心腔内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、髄腔内、胸腔内、硬膜外、および胸骨内の注射および注入を含む。
【0801】
ある態様において、薬学的組成物を静脈内または皮下の注射または注入によって投与する。
【0802】
ある態様において、本発明の化合物を結晶形態で皮下注射によって投与し、Yang et al., PNAS USA, 100(12), 6934-6939(2003)を参照されたい。
【0803】
薬学的組成物を当技術分野において公知の医療機器によって投与してもよい。例えば、ある態様において、米国特許第5,399,163号、米国特許第5,383,851号、米国特許第5,312,335号、米国特許第5,064,413号、米国特許第4,941,880号、米国特許第4,790,824号、および米国特許第4,596,556号で開示された機器のような、無針の皮下注射機器によって投与してもよい。本発明において有用な周知の埋め込みおよびモジュールの例として以下が含まれる:制御された速度で医薬品を施すための埋め込み型微量注入ポンプを開示している、米国特許第4,487,603号;皮膚を通して薬を投与するための治療機器を開示している、米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で医薬品を送達するための医薬品注入ポンプを開示している、米国特許第4,447,233号;持続的な薬物送達のための変流量埋め込み型注入機器を開示している、第4,447,224号;マルチチャンバー区画を有する浸透圧薬物送達系を開示している、米国特許第4,439,196号;および浸透圧薬物送達系を開示している、米国特許第4,475,196号。多くのその他のそのような埋め込み、送達系、およびモジュールは、当業者に公知である。
【0804】
本発明の薬学的組成物を、経口投与、鼻腔投与、(口腔投与、経皮投与、および舌下投与を含む)局所投与、直腸投与、膣内投与、ならびに/または非経口投与などの、特定の投与の経路用に製剤化してもよい。薬学的組成物を、都合良く単位投薬形態で提示してもよく、および薬学の技術分野において公知の任意の方法によって調製してもよい。単一投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせ得る活性成分の量は、処置される対象、および投与の特定の様式に応じて変わると考えられる。単一投薬形態を生成するために担体材料と組み合わせ得る活性成分の量は通常、治療的効果を産生する組成物の量であると考えられる。通常、100パーセントのうち、この量は、例えば、約1%~約30%などの、約0.1%~約70%のような、活性成分の約0.01%~約99%の範囲にまで及ぶと考えられる。
【0805】
選択された投与の経路に関わらず、薬学的に許容される塩の形態もしくは好適な水和形態で使用し得る、本発明の化合物、および/または本発明の薬学的組成物を、当業者に公知の従来の方法によって、薬学的に許容される投薬形態に製剤化してもよい。「薬学的に許容される塩」は、もとの化合物の所望の生物学的活性を保持し、かつ任意の非所望の毒物学的影響を与えない塩を指す(例えばBerge, S. M. et al., J. Pharm. Sci. 66, 1-19(1977)参照)。そのような塩の例として、酸添加塩および塩基添加塩が含まれる。酸添加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸、およびそれらと同様の酸などの、無毒性の無機酸に由来する塩だけでなく、脂肪族モノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、ならびにそれらと同様の酸などの無毒性の有機酸に由来する塩が含まれる。塩基添加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびそれらと同様のものなどの、アルカリ土類金属に由来する塩だけでなく、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン、およびそれらと同様のものなどの、無毒性の有機アミンに由来する塩が含まれる。
【0806】
薬学的に許容される担体には、本発明の化合物と生理学的に適合する任意のおよび全ての好適な溶媒、分散剤、コーティング、抗菌薬剤および抗真菌薬剤、等張性薬剤、抗酸化剤、および吸収遅延薬剤、ならびにそれらと同様のものが含まれる。
【0807】
本発明の薬学的組成物において利用し得る好適な水性および非水性の担体の例として、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、エタノール、デキストロース、(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらと同様のものなどの)ポリオール、ならびにその好適な混合物、オリーブ油、コーン油、ピーナッツ油、綿実油、および胡麻油などの、植物油、カルボキシメチルセルロース、コロイド溶液、トラガカントゴム、ならびにエチルオレアートなどの注射可能な有機エステル、ならびに/または様々な緩衝剤が含まれる。その他の担体は薬学の技術分野において周知である。
【0808】
薬学的に許容される担体には、滅菌注射可能水溶液または滅菌注射可能分散の即時調製用の滅菌水溶液または滅菌分散および滅菌粉末が含まれる。薬学的活性物質のためのそのような溶剤および薬剤の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来の溶剤および薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、本発明の薬学的組成物におけるその使用が包含される。
【0809】
例えば、レシチンなどの、コーティング材料の使用によって、分散の場合には要求される粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持してもよい。
【0810】
本発明の薬学的組成物はまた、例えば(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、およびそれらと同様のものなどの、水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、α-トコフェロール、およびそれらと同様のものなどの、油溶性抗酸化剤;ならびに(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸、およびそれらと同様のものなどの、金属キレート薬剤のような、薬学的に許容される抗酸化剤を含んでもよい。
【0811】
本発明の薬学的組成物はまた、糖、マンニトール、ソルビトール、グリセロールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムなどの、等張性薬剤を組成物中に含んでもよい。
【0812】
薬学的に許容される希釈剤には生理食塩水および水性緩衝液が含まれる。
【0813】
本発明の薬学的組成物はまた、殻の寿命または薬学的組成物の有効性を増強し得る、防腐剤、湿潤薬剤、乳化薬剤、分散薬剤、防腐剤、および緩衝剤などの選ばれた投与の経路に適当な1つまたは複数のアジュバントを含んでもよい。本発明の化合物を、例えばラクトース、スクロース、粉末(例えば、スターチ粉末)、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、滑石、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジン、ならびに/またはポリビニルアルコールと混和してもよい。アジュバントのその他の例は、QS21、GM-CSF、SRL-172、ヒスタミン二塩酸塩、チモカルチン(thymocartin)、Tio-TEPA、モノホスホリル脂質A/マイコバクテリア組成物、ミョウバン、不完全フロイントアジュバント、モンタニドISA、リビアジュバント系、TiterMaxアジュバント、シンテックスアジュバント製剤、免疫刺激複合体(ISCOM)、ゲルブアジュバント、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、リポ多糖、およびポリイノシン酸:ポリシチジル酸である。
【0814】
微生物の存在の妨害を、滅菌手続き、ならびに例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、およびそれらと同様のものなどの、様々な抗菌薬剤および抗真菌薬剤の含有の両方によって確認してもよい。加えて、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤の含有によって、注射可能な薬学的形態の持続的吸収をもたらしてもよい。
【0815】
本発明の化合物を含む本発明の薬学的組成物にはまた、そのための好適な塩が含まれてもよい。任意の好適な形態のアルカリ土類金属塩(例えば、緩衝塩)などの、任意の好適な塩を本発明の化合物の安定化に用いてもよい。好適な塩には、塩化ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、および塩化カルシウムが典型的に含まれる。ある態様において、アルミニウム塩は、本発明の薬学的組成物中の本発明の化合物の安定化に用いられ、そのアルミニウム塩はまた、そのような組成物を患者に投与する場合、アジュバントとしての役割を果たしてもよい。
【0816】
本発明による薬学的組成物は、様々な好適な形態にあってもよい。そのような形態には、例えば、液体溶液(例えば、注射可能溶液および注入可能溶液)、分散または懸濁、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ゲル、クリーム、顆粒、粉末、錠剤、ピル、粉末、リポソーム、デンドリマーおよびその他のナノ粒子(例えばBaek et al., Methods Enzymol. 362, 240-9(2003), Nigavekar et al., Pharm Res. 21(3), 476-83(2004)参照)、ミクロ粒子、ならびに坐薬などの、液体、半固体、および固体投薬形態が含まれる。
【0817】
最適形態は、選ばれた投与の様式、組成物の性質、および治療用途に依存する。製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ロウ、油、脂質、(カチオン性またはアニオン性)脂質含有ビヒクル、DNAコンジュゲート、無水の吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカルボワックスを含む半固体混合物が含まれる。前記のいずれかが、本発明に一致して処置および治療において適当であってもよく、ただし薬学的組成物中の活性成分は製剤によって不活性化されず、ならびに製剤は投与の経路と生理学的に適合し、および投与の経路に耐え得るものとする。薬剤師に周知の賦形剤および担体に関連するさらなる情報については、例えばPowell et al.,「Compendium of excipients for parenteral formulations」 PDA J Pharm Sci Technol. 52, 238-311(1998)およびそこにおける引用を参照されたい。
【0818】
本発明の化合物を、埋め込み、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化送達系を含む、制御放出製剤などの、速やかな放出から化合物を守ると考えられる担体によって調製してもよい。そのような担体には、ゼラチン、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、単独のもしくはロウと一緒のエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生体分解性で、生体適合性のポリマー、または当技術分野において周知のその他の材料が含まれる。そのような製剤の調製のための方法は通常、当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, 編, Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照されたい。
【0819】
ある種の投与の経路によって本発明の組成物を投与するために、化合物をその不活性化を妨害する材料でコーティングし、または化合物をその不活性化を妨害する材料と同時に投与する必要がある可能性がある。例えば、本発明の化合物を適当な担体、例えば、リポソーム、または希釈剤に入れて対象に投与してもよい。リポソームには、従来のリポソームだけでなく、水中油中水型CGFエマルジョンも含まれる(Strejan et al., J. Neuroimmunol. 7, 27(1984))。
【0820】
投与の経路によっては、化合物を不活性化し得る酸およびその他の条件の作用から化合物を守る材料の中に活性化合物をコーティングしてもよい。例えば、化合物を適当な担体、例えば、リポソームに入れて対象に投与してもよい。リポソームには、従来のリポソームだけでなく、水中油中水型CGFエマルジョンも含まれる(Strejan et al., J. Neuroimmunol. 7, 27(1984))。
【0821】
ある態様において、本発明の化合物をインビボにおける適切な分布を確実にするように製剤化してもよい。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの極めて親水性の化合物を排除する。本発明の治療的化合物が(望ましい場合に)BBBを超えることを確実にするために、それらを、例えば、リポソームに製剤化してもよい。リポソームを製造する方法については、例えば米国特許第4,522,811号、米国特許第5,374,548号、および米国特許第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、選択的に特定の細胞または器官に輸送され、それゆえに標的薬物送達を向上させる1つまたは複数の部分を含んでもよい(例えばV. V. Ranade J. Clin. Pharmacol. 29, 685(1989)参照)。例示的な標的部分には、葉酸またはビオチン(例えば米国特許第5,416,016号参照)、マンノシダーゼ(Umezawa et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 153, 1038(1988))、抗体(P. G. Bloeman et al., FEBS Lett. 357, 140(1995)、M. Owais et al., Antimicrob. Agents Chemother. 39, 180(1995))、サーファクタントタンパク質A受容体(Briscoe et al., Am. J. Physiol. 1233, 134(1995))が含まれ、その異なる種には本発明の薬学的組成物だけでなく、発明された分子、p120の構成要素もまた含まれてもよく(Schreier et al., J. Biol. Chem. 269, 9090(1994))、K. Keinanen, M. L. Laukkanen, FEBS Lett. 346, 123(1994)およびJ. J. Killion, I. J. Fidler, Immunomethods 4, 273(1994)も参照されたい。
【0822】
本発明のある態様において、本発明の化合物をリポソームに製剤化してもよい。さらなる態様において、リポソームは標的部分を含む。さらなる態様において、リポソーム中の化合物を所望の領域に近接した部位、例えば、炎症もしくは感染の部位、または腫瘍の部位にボーラス注射によって送達する。組成物は、容易な注射可能性が存在する程度に流動性でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定でなければならず、かつ細菌および真菌などの微生物の汚染作用から守られなければならない。
【0823】
ある態様において、本発明の化合物を、胎盤を超えるそれらの輸送を妨害または低下するように製剤化してもよい。例えば、化合物のPEG化によるまたはF(ab')2断片の使用によるなどの、当技術分野において公知の方法のよって、これを行なってもよい。さらなる参照が、Cunningham-Rundles C et al., J Immunol Methods. 152, 177-190(1992)に対して、およびLandor M., Ann Allergy Asthma Immunol 74, 279-283(1995)に対してなされ得る。
【0824】
非経口投与のための薬学的に許容される担体には、滅菌注射可能水溶液または滅菌注射可能分散の即時調製用の滅菌水溶液または滅菌分散および滅菌粉末が含まれる。薬学的活性物質のためのそのような溶剤および薬剤の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来の溶剤および薬剤が活性成分と不適合である場合を除いて、本発明の薬学的組成物におけるその使用が包含される。また、補助的な活性化合物を組成物中に取込んでもよい。
【0825】
注射用の薬学的組成物は典型的には、製造および保存の条件下で、無菌かつ安定でなければならない。組成物を、高い薬物濃度に好適な溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、またはその他の秩序ある構造として製剤化してもよい。担体は、例えば水、エタノール、(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびそれらと同様のものなどの)ポリオール、ならびにその好適な混合物、オリーブ油などの、植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの、有機エステルを含む水性または非水性の溶媒または分散溶剤であってもよい。適切な流動性を、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合には要求される粒子サイズの維持によって、およびサーファクタントの使用によって維持してもよい。多くの場合、例えば、糖、グリセロール、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムなどの、等張性薬剤を組成物中に含むことが好ましいと考えられる。例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンなどの、吸収を遅延させる薬剤を組成物中に含めることによって、注射可能組成物の持続的吸収をもたらしてもよい。例えば、上で列挙されたような、1つまたは組み合わせの成分と共に適当な溶媒に必要とされる量の活性化合物を取り込むことによって、必要な場合、その後の滅菌化微量濾過によって、滅菌注射可能溶液を調製してもよい。通常、塩基性分散溶剤および例えば、上で列挙されたようなもの由来の、必要とされるその他の成分を含む滅菌ビヒクル中に活性化合物を取り込むことによって分散を調製する。滅菌注射可能溶液の調製用の粉末の場合、調製の方法の例は、以前に滅菌濾過したその溶液由来の活性成分の粉末プラス任意のさらなる所望の成分を産出する真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0826】
上で列挙されたような、1つまたは組み合わせの成分と共に適当な溶媒に必要とされる量の活性化合物を取り込むことによって、必要な場合、その後の滅菌化微量濾過によって、滅菌注射可能溶液を調製してもよい。通常、塩基性分散溶剤および上で列挙されたようなもの由来の、必要とされるその他の成分を含む滅菌ビヒクル中に活性化合物を取り込むことによって分散を調製する。滅菌注射可能溶液の調製用の粉末の場合、調製の方法の例は、以前に滅菌濾過したその溶液由来の活性成分の粉末プラス任意のさらなる所望の成分を産出する真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0827】
本発明の薬学的組成物は、本発明の1つの化合物または本発明の化合物の組み合わせを含んでもよい。したがって、ある態様において、本発明の薬学的組成物には、異なる機構によって作用する本発明の複数の(例えば、2つまたはそれより多くの)化合物の組み合わせ、例えば、主にアポトーシスを誘導することによって作用する別の化合物と組み合わせた主にCDCを誘導することによって作用するある化合物、が含まれる。
【0828】
本発明の(本明細書において記載された抗CD38抗体、免疫コンジュゲート、二重特異性/多重特異性分子、組成物、およびその他の誘導体を含む)CD38BPは、CD38を発現する細胞が関わる障害の診断および処置が関わる数多くのインビトロおよびインビボの診断的および治療的有用性を有する。例えば、抗体を培養中の細胞に、例えば、インビトロもしくはエクスビボで投与し、またはヒト対象に、例えば、インビボで投与し、様々な障害を処置、予防、および診断してもよい。本明細書において用いられる場合、「対象」という用語は、CD38BPに応答するヒトおよび非ヒト動物を含むよう意図されている。対象には、例えば、酵素活性、シグナル伝達、サイトカイン発現の誘導、増殖もしくは分化の誘導、および/もしくは溶解の誘導、ならびに/またはCD38発現細胞の数を削除/低下することなどの、CD38機能を阻害することによって是正または改善し得る障害を有するヒト患者が含まれてもよい。
【0829】
例えば、CD38BPを用いて、インビボまたはインビトロにおける1つまたは複数の以下の生物学的活性を引き出してもよい:ヒトエフェクター細胞の存在下においてCD38を発現する細胞の貪食もしくはADCCを仲介することによって、および補体の存在下においてCD38を発現する細胞のCDCを仲介することによって、CD38を発現する細胞を殺傷することによる、またはアポトーシスによってCD38発現細胞を殺傷することによる、(酵素活性、シグナル伝達、サイトカイン発現の誘導、増殖もしくは分化の誘導、および/または溶解の誘導などの)CD38機能の阻害。
【0830】
また、補体に結合するIgG1、IgG2、もしくは、IgG3、またはIgM由来の部分などの、補体結合部位を有する本発明のCD38BPを含む任意の組成物を補体の存在下で用いてもよい。ある態様において、補体または補体を含む血清の添加によって、本発明のCD38BPおよび適当なエフェクター細胞による標的細胞を含む細胞の集団のエクスビボ処置を補完してもよい。補体タンパク質の結合によって、本発明のCD38BPでコーティングした標的細胞の貪食または溶解を改善してもよい。また、ある態様において、補体によって本発明のCD38BPでコーティングした標的細胞を溶解してもよい。ある態様において、本発明のCD38BPは補体を活性化しない。
【0831】
また、本発明のCD38BPを補体と共に投与してもよい。したがって、本発明の範囲の中には、血清または補体と共にCD38BPを含む組成物がある。これらの組成物において、例えばコンジュゲーションによって、補体をCD38BPの近接近に位置させ、または同時投与に適させてもよい。あるいは、CD38BPおよび補体または血清を別々に投与してもよい。
【0832】
また、本発明のCD38BPを、例えばそのような細胞を標識するために、FcγRまたはCD38を発現する標的細胞に対して用いてもよい。そのような使用のために、CD38BPを、検出することができる分子に結合してもよい。したがって、本発明は、FcγRなどの、Fc受容体、またはCD38を発現する細胞のエクスビボまたはインビトロでの局在を明らかにするための方法を提供する。検出可能な標識は、例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であってもよい。
【0833】
また、例えば、本発明のCD38BPに結合されたエフェクター細胞などの、標的特異的エフェクター細胞を治療薬剤として用いてもよい。標的のためのエフェクター細胞は、マクロファージ、好中球、または単球などのヒト白血球であってもよい。その他の細胞には、好酸球、ナチュラルキラー細胞、およびIgG受容体またはIgA受容体を持つ細胞が含まれる。望ましい場合には、エフェクター細胞を処置すべき対象から得てもよい。標的特異的エフェクター細胞を、生理的に許容される溶液中の細胞の懸濁として投与してもよい。投与される細胞の数は、108~109の桁数にあってもよいが、治療目的によって変わると考えられる。一般に、量は、例えば、CD38を発現する細胞などの、標的細胞における局在化を得、および例えば、貪食または溶解によって細胞を殺傷するのに十分であると考えられる。
【0834】
標的特異的エフェクター細胞による治療を、標的細胞の除去のためのその他の技術と一緒に行なってもよい。例えば、本発明のCD38BPおよび/またはこれらの組成物で武装したエフェクター細胞を用いる抗腫瘍療法を化学療法と一緒に用いてもよい。加えて、併用免疫療法を用いて、2つのはっきりと異なる細胞毒性エフェクター集団を腫瘍細胞拒絶に導いてもよい。例えば、抗FcγRまたは抗CD3に結合されたCD38BPを、IgGまたはIgA特異的結合薬剤と一緒に用いてもよい。また、本発明の二重特異性および多重特異性分子を用いて、細胞表面上の受容体のキャッピングおよび削除によるような、エフェクター細胞上のFcαRまたはFcγRレベルを調整してもよい。抗Fc受容体の混合物もまた、この目的のために用いてもよい。
【0835】
ある態様において、本発明は、試料中のCD38抗原の存在を検出し、またはCD38抗原の量を測定するための方法であって、試料、および対照試料を、CD38BPまたはその部分とCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、CD38に特異的に結合するCD38BPと接触させる工程を含む方法を提供する。その後、対照試料と比べた試料間の異なる複合体形成が試料中のCD38抗原の存在を示す、複合体の形成を検出する。免疫アッセイ法を検出するための方法の例として、ELISA、RIA、FACSアッセイ法、プラズモン共鳴アッセイ法、クロマトグラフィーアッセイ法、組織の免疫組織化学、ウェスタンブロット、および/または免疫沈降を含むが、これらに限定されるというわけではない。
【0836】
ある態様において、本発明のCD38BPを用いて循環しているCD38のレベルまたはそれらの膜表面上にCD38を含む細胞のレベルを検出してもよく、その後そのレベルをある種の疾患症状と連結することができる。あるいは、CD38BPを用いてCD38発現細胞の機能を枯渇させ、またはCD38発現細胞の機能と相互作用させ、それによってこれらの細胞が疾患の重要なメディエーターであることを示してもよい。抗体とCD38の間の複合体の形成を可能にする条件の下で、試料および対照試料を抗CD38抗体と接触させることによって、これを達成してもよい。抗体とCD38の間で形成される任意の複合体を、試料および対照において検出および比較する。
【0837】
本発明のCD38BPをインビトロにおける治療的または診断的使用と関連する結合活性について最初に試験してもよい。例えば、フローサイトメトリー解析を用いて、CD38BPを試験してもよい。さらに、少なくとも1つのエフェクターを介するエフェクター細胞活性を誘発する際のCD38BPの活性をアッセイしてもよい。例えば、本発明の抗CD38抗体のCDCおよび/またはアポトーシスを誘発する能力をアッセイしてもよい。CDC、同型接着、分子クラスタリング、またはアポトーシスについてアッセイするためのプロトコルは、当技術分野において周知である。
【0838】
ある態様において、本発明は、インビボもしくはインビトロにおけるCD38発現細胞の存在を検出し、またはインビボもしくはインビトロにおけるCD38発現細胞の量を定量するための方法を提供する。本方法は、(i)検出可能なマーカーにコンジュゲートした本発明のCD38BPを対象に投与する工程;(ii)検出可能マーカーを検出するための手段に対象を曝露させてCD38発現細胞を含む領域を同定する工程を含む。
【0839】
ある態様において、本発明の免疫コンジュゲートを用いて、本発明の免疫コンジュゲートにおける治療部分などの標的化合物を使用することによって、化合物(例えば、治療薬剤、標識、細胞毒素、免疫抑圧剤など)を、それらの表面に結合したCD38を有する細胞に標的してもよい。
【0840】
ある態様において、本発明はまた、(例えば、放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子などの、検出可能な標識によって)CD38を発現する細胞のインビボまたはインビトロでの局在を明らかにするための方法を提供する。
【0841】
ある態様において、本発明は、本発明の免疫毒素を投与することによって、それらの表面に結合したCD38を有する細胞を殺傷するための方法を提供する。
【0842】
本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置または予防するための方法であって、治療的有効量の本発明のCD38BPを、予防を必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。そのようなCD38BPを用いて、ある種の障害と関連するCD38によって誘導される活性を阻害し、またはCD38を発現する細胞の数を削除もしくは低下させる。
【0843】
そのような方法は、障害を処置または予防するのに効果的な量で本発明のCD38BP組成物を対象に投与する工程を伴う。CD38BP組成物を単独でまたは、CD38BP組成物と共にもしくは相乗的に作用してCD38発現細胞が関与する疾患を処置もしくは予防する本発明の別の場所に記載されているような、別の治療薬剤と一緒に投与してもよい。あるいは、免疫コンジュゲートを用いて、細胞毒素または放射性毒素をCD38に標的することにより、それらの表面上に発現したCD38を有する細胞を殺傷してもよい。
【0844】
本発明のある態様において、CD38を発現する細胞が関与する障害は、例えば、B細胞リンパ腫、形質細胞悪性腫瘍、T/NK細胞リンパ腫、および骨髄性悪性腫瘍を含むCD38を発現する細胞の存在によって特徴付けられる障害のような、腫瘍形成性障害であってもよい。
【0845】
そのような腫瘍形成性疾患の例として、前駆体B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫およびB細胞非ホジキンリンパ腫を含むB細胞リンパ腫/白血病;急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、およびB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)などの、成熟B細胞新生物、B細胞急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低悪性度、中悪性度、および高悪性度のFLを含む、濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、結節および脾臓型)、毛様細胞白血病、びまん性大B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞白血病、移植後リンパ増殖性障害、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、ならびに未分化大細胞リンパ腫(ALCL)が含まれる。
【0846】
ある態様において、CD38を発現する細胞が関与する障害は、多発性骨髄腫である。
【0847】
B細胞非ホジキンリンパ腫の例は、リンパ腫様肉芽腫症、原発性滲出性リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、縦隔大B細胞リンパ腫、(γ疾患、μ疾患、およびα疾患を含む)重鎖疾患、シクロスポリンによって誘導されるリンパ腫、およびメトトレキサートによって誘導されるリンパ腫などの、免疫抑圧薬剤による治療によって誘導されるリンパ腫である。
【0848】
本発明のある態様において、CD38を発現する細胞が関与する障害は、ホジキンリンパ腫であってもよい。
【0849】
CD38を発現する細胞が関与する障害の例は、以下を含むT細胞およびNK細胞に由来する悪性腫瘍であってもよい:T細胞前リンパ球性白血病、T細胞大顆粒リンパ球性白血病、攻撃性NK細胞白血病、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸症型T細胞リンパ腫、腸脾T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉症/セザリー症候群、原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ増殖性障害(原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫C-ALCL、リンパ腫様丘疹症、境界病変)、血管免疫芽球性Tリンパ腫、不特定の末梢T細胞リンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫などの、成熟T細胞およびNK細胞新生物。
【0850】
骨髄細胞に由来する悪性腫瘍の例として、急性前骨髄球性白血病を含む、急性骨髄性白血病、および慢性骨髄性白血病を含む、慢性骨髄増殖性疾患が含まれる。
【0851】
本発明のある態様において、CD38を発現する細胞が関与する障害は、CD38発現B細胞、形質細胞、単球、およびT細胞が関与する免疫性障害であってもよい。
【0852】
CD38発現B細胞、形質細胞、単球、およびT細胞が関与する免疫性障害の例として、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、糸球体腎炎、湿疹、喘息、アテローム性動脈硬化症、白血球接着不全症、多発性硬化症、レイノー症候群、シェーグレン症候群、若年発症糖尿病、ライター病、ベーチェット病、免疫複合体性腎炎、IgA腎症、IgM多発神経障害、急性特発性血小板減少症紫斑病および慢性特発性血小板減少症紫斑病などの、免疫介在性血小板減少症、溶血性貧血、筋無力症、狼瘡性腎炎、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ(RA)、アトピー性皮膚炎、天疱瘡、グレーブス病、橋本甲状腺炎、ウェゲナー肉芽腫症、オーメン症候群、慢性腎不全、急性感染性単核球症、多発性硬化症、HIV、ならびにヘルペスウイルス関連疾患などの、自己免疫性障害が含まれる。さらなる例は、重症急性呼吸窮迫症候群および脈絡網膜炎である。さらに、エプスタイン-バーウイルス(EBV)などの、ウイルスによるB細胞の感染によって引き起こされ、または仲介されるような疾患および障害などの、その他の疾患および障害が含まれる。
【0853】
ある態様において、CD38を発現する細胞が関与する障害は、関節リウマチである。
【0854】
自己抗体ならびに/または過度のBおよびTリンパ球活性が目立ち、かつ本発明によって処置し得る炎症性障害、免疫性障害、および/または自己免疫性障害のさらなる例として以下のものが含まれる:
顕微鏡的多発性血管炎、チャーグ-ストラウス症候群、およびその他のANCA関連脈管炎、結節性多発性動脈炎、本質的クリオグロブリン血症性脈管炎、皮膚白血球破砕性血管炎、川崎病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、原発性または孤立性脳血管炎、結節性紅斑、閉塞性血栓動脈炎、(溶血性尿毒症症候群を含む)血栓性血小板減少性紫斑病、ならびに(例えば、B型肝炎、C型肝炎、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、B細胞新生物形成、関節リウマチ、シェーグレン症候群、または全身性紅斑性狼瘡に続発する)皮膚白血球破砕性脈管炎を含む、続発性脈管炎などの、脈管炎およびその他の血管障害、;さらなる例は、結節性紅斑、アレルギー性脈管炎、脂肪織炎、ウェーバー-クリスチャン病、高グロブリン血症性紫斑病、およびバージャー病である;
接触性皮膚炎、線状IgA皮膚病、白斑、壊疽性膿皮症、後天性表皮水疱症、(瘢痕性類天疱瘡および水疱性類天疱瘡を含む)尋常性天疱瘡、(全身性脱毛症および完全脱毛症を含む)円形脱毛症、疱疹状皮膚炎、多形性紅斑、ならびに(血管神経性浮腫およびじんましん様血管炎を含む)慢性自己免疫性じんましんなどの、皮膚障害;
自己免疫性好中球減少症などの、免疫介在性血球減少症、および赤芽球癆;
CNS狼瘡、円盤状紅斑性狼瘡、CREST症候群、混合型結合組織疾患、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、続発性アミロイドーシス、クリオグロブリン血症I型およびII型、線維筋痛、リン脂質抗体症候群、続発性血友病、再発性多発性軟骨炎、サルコイドーシス、スティフマン症候群、ならびにリウマチ熱などの、結合組織障害;さらなる例は好酸球筋膜炎である;
強直性脊椎炎、若年性慢性関節炎、成人性スチル病、およびSAPHO症候群などの、関節炎;さらなる例は、仙腸骨炎、反応性関節炎、スチル病、および痛風である;
再生不良性貧血、(寒冷凝集素症候群を含む)原発性溶血性貧血、CLLまたは全身性紅斑性狼瘡に続発する溶血性貧血;POEMS症候群、悪性貧血、およびヴァルデンストレーム高グロブリン血症性紫斑病などの、血液障害;さらなる例は、無顆粒球症、自己免疫性好中球減少症、フランクリン病、セリグマン病、γ重鎖疾患、胸腺腫およびリンパ腫に続発する新生物随伴症候群、ならびに胸腺腫およびリンパ腫に続発する新生物随伴症候群、ならびに第VIII因子阻害剤形成である;
多発性内分泌障害、などの内分泌障害、およびアジソン病;さらなる例は、自己免疫性低血糖症、自己免疫性甲状腺機能低下症、自己免疫性インスリン症候群、ドケルバン甲状腺炎、およびインスリン受容体抗体介在性インスリン抵抗性である;
セリアック病、ウィップル病、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、および原発性硬化性胆管炎などの、肝-胃腸障害;さらなる例は、自己免疫性胃炎である;
急速進行性糸球体腎炎、連鎖球菌感染後腎炎、グッドパスチャー症候群、膜性糸球体腎炎、およびクリオグロブリン血症性腎炎などの、腎不全;さらなる例は、微小変化疾患である;
自己免疫性神経障害、多発単神経炎、ランバート-イートン筋無力症候群、シデナム舞踏病、脊髄癆、およびギラン-バレー症候群などの、神経障害;さらなる例は、脊髄症/熱帯性痙性不全対麻痺、重症筋無力症、急性炎症性脱髄性多発神経障害、および慢性炎症性脱髄性多発神経障害;多発性硬化症である;
COPD、線維化性肺胞炎、閉塞性細気管支炎、アレルギー性アスペルギルス症、嚢胞性線維症、レフラー症候群、心筋炎、および心膜炎などの、心臓および肺障害;さらなる例は、過敏性肺炎、および肺癌に続発する新生物随伴性症候群である;
気管支喘息および高IgE症候群などの、アレルギー性障害;さらなる例は、一過性黒内障である;
特発性脈絡網膜炎などの、眼科的障害;
(ハンズアンドソックス(hands-and-socks)症候群を含む)パルボウイルスB感染などの、感染性疾患;
再発性流産、再発性胎児消失、および子宮内発育遅延などの、産婦人科的障害;さらなる例は、婦人科新生物に続発する新生物随伴性症候群である;
精巣新生物に続発する新生物随伴性症候群などの、男性生殖器障害;ならびに
同種移植および異種移植拒絶、ならびに移植片対宿主疾患などの、移植に由来する障害。
【0855】
また、上記のような腫瘍形成性障害などの、癌を進行させるリスクを低下させ、そのような癌進展における事象の発生の開始を遅延させ、および/またはそのような癌が寛解期にある場合に再発のリスクを低下させるために、抗体を予防的に投与してもよい。その他の生物学的要因が原因で存在することが公知である腫瘍を突き止めることが困難である患者において、これはとりわけ有用である可能性がある。
【0856】
本発明の組成物は、「治療的有効量の」または「予防的有効量の」CD38BPを含んでもよい。「治療的有効量」は、所望の治療結果を達成するために、必要な投薬量でおよび必要な時間の間、有効な量を指す。治療的有効量のCD38BPは、疾患状態、年齢、性別、および個人の体重、ならびにCD38BPが個人において所望の反応を誘発する能力によって、変化する可能性がある。治療的有効量はまた、抗体または抗体部分の任意の毒性効果または有害効果を治療的に有益な効果が優る量でもある。「予防的有効量」は、所望の予防結果(例えば、障害を進行させる可能性の低下、障害の強度または拡大の低下、差し迫った障害の期間の生存の可能性の増大、疾患状態の開始の遅延など)を達成するために、必要な投薬量でおよび必要な時間の間、有効な量を指す。典型的には、予防的用量は疾患の前にまたは疾患のより早い段階で用いられるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ないと考えられる。
【0857】
また、疾患の進展を安定化するその能力によって、腫瘍治療のための「治療的有効量」を測定してもよい。化合物が癌を阻害する能力を、ヒト腫瘍における有効性の予測となる動物モデル系において評価してもよい。あるいは、化合物のこの特性を、当業者に公知のインビトロアッセイ法により化合物が細胞増殖を阻害するまたはアポトーシスを誘導する能力を調べることによって評価してもよい。治療的有効量の治療化合物は、腫瘍サイズを減少させ、またはさもなければ患者における症状を和らげる可能性がある。当業者は、患者のサイズ、患者の症状の重症度、および選択された特定の組成物または投与の経路などの要因に基いてそのような量を決定することができると考えられる。
【0858】
関節リウマチのための「治療的有効量」は、例えば少なくともACR70改善の予備定義などの、少なくともACR50改善の予備定義のような、患者における少なくともACR20改善の予備定義をもたらす可能性がある。
【0859】
ACR20改善の予備定義は以下のように定義される:
圧痛関節数(TJC)および腫張関節数(SJC)における≧20%改善
ならびに以下の5つの評価のうち3つにおける≧20%改善:患者による疼痛評価(VAS)、患者による全般的評価(VAS)、医師による全般的評価(VAS)、患者の自己評価による障害(HAQ)、急性期反応物質(CRPまたはESR)。
【0860】
ACR50およびACR70をそれぞれ≧50%改善および≧70%改善によって同じように定義する。さらなる詳細についてはAmerican College of Rheumatology Preliminary Definition of Improvement in Rheumatoid ArthritisにおけるFelson et al.,;Arthritis Rheumatism 38, 727-735(1995)を参照されたい。
【0861】
あるいは、関節リウマチのための治療的有効量を、EULARによって定義されたような、DAS28および/またはDAS56を含む、DAS(疾患活性得点)によって測定することができる。
【0862】
最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するように投薬治療計画を適合させる。例えば、治療状況の要件によって示されるように、単回ボーラスを投与してもよく、時間をかけて幾つかに分けた用量を投与してもよく、または用量を比例的に低下もしくは増大させてもよい。非経口組成物を、投与の簡便さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で製剤化してもよい。投薬単位形態は、本明細書において用いられる場合、処置されるべき患者のための単一投薬量として適した物理的に別個の単位を指す;各々の単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療的効果を産生するように計算された既定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態についての明細書は、(a)活性化合物の独特の特徴および達成されるべき特定の治療的効果、ならびに(b)個人における感受性の処置に対するそのような活性化合物を作り上げる技術分野に固有の限界によって、ならびに(a)活性化合物の独特の特徴および達成されるべき特定の治療的効果、ならびに(b)個人における感受性の処置に対するそのような活性化合物を作り上げる技術分野に固有の限界に直接的に依存して、決定される。
【0863】
本発明のCD38BPについての有効投薬量および投薬治療計画は、処置されるべき疾患または状態に依存し、かつ当業者によって決定されてもよい。本発明の化合物の治療的有効量についての例示的で、非限定的な範囲は、約0.1~50mg/kgなどの、約0.1~100mg/kg、約0.1~10mg/kgなどの、例えば約0.1~20mg/kg、約0.3、約1、約3mg/kgなどの、例えば約0.5mg/kgである。
【0864】
当技術分野における普通の技術を有する医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定および指示してもよい。例えば、医師または獣医は、所望の治療的効果を達成するために必要とされるレベルよりも低いレベルでの薬学的組成物において利用される本発明のCD38BPの用量から開始し、および所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることができると考えられる。一般に、本発明の組成物の好適な日用量は、治療的効果を産生するのに有効な最小の用量である化合物の量であると考えられる。そのような有効用量は通常、上記の要因に依存すると考えられる。投与は、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下であってもよく、および例えば標的の部位に近接して投与してもよい。望ましい場合、1日にわたって適当な間隔で別々に投与される2、3、4、5、6、またはそれより多くの分割用量として、任意で、単位投薬形態で、有効な日用量の薬学的組成物を投与してもよい。本発明の化合物が単独で投与されることは可能であるが、上記のような薬学的組成物として化合物を投与することが好ましい。
【0865】
ある態様において、本発明のCD38BPを、200~400mg/m2などの、10~500mg/m2の週投薬量で注入によって投与してもよい。そのような投与を、3~5回などの、例えば1~8回繰り返してもよい。2~12時間などの、2~24時間の期間にわたる連続的注入によって投与を行なってもよい。
【0866】
ある態様において、本発明のCD38BPを、毒性のある副作用を低下させるために、24時間を上回るなどの、長い期間にわたって緩徐な連続的注入によって投与してもよい。
【0867】
ある態様において、本発明のCD38BPを、4~6回などの、8回までの間、例えば300mg、500mg、700mg、1000mg、1500mg、または2000mgなどの、250mg~2000mgの週投薬量で注入によって投与してもよい。2~12時間などの、2~24時間の期間にわたる連続的注入によって投与を行なってもよい。そのような治療計画を、例えば、6か月~12か月後に、必要な場合1回または複数回繰り返してもよい。例えば生物学的試料を採取し、および本発明のCD38BPの抗原結合領域を標的する抗イデオタイプ抗体を用いることにより、投与時の血中の本発明の化合物の量を測定することによって投薬量を決定しまたは適合させてもよい。
【0868】
ある態様において、本発明のCD38BPを、例えば6か月またはそれを上回る期間の間、週1回などの、維持療法によって投与してもよい。
【0869】
ある態様において、本発明のCD38BPを、本発明のCD38BPの1回の注入、それに続く放射性同位元素にコンジュゲートした本発明のCD38BPの注入を含む治療計画によって投与してもよい。治療計画を、例えば、7~9日後に繰り返してもよい。
【0870】
非限定的な例として、本発明による処置を、24、12、8、6、4、もしくは2時間毎の単一用量もしくは分割用量、または任意のその組み合わせを用いて、処置の開始後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、もしくは40日目のうちの少なくとも1日、もしくはあるいは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20週目のうちの少なくとも1週、または任意のその組み合わせで、1日当たり0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、または100mg/kgなどの、約0.1~100mg/kgの量での本発明の化合物の1日投薬量として提供してもよい。
【0871】
また、本発明の薬学的組成物を併用療法で投与してもよく、すなわち、処置されるべき疾患または状態に関連のあるその他の治療薬剤と組み合わせてもよい。そのような投与は、同時的、個別的、または連続的であってもよい。同時投与については、適当な場合、薬剤を1つの組成物としてまたは別々の組成物として投与してもよい。
【0872】
したがって、本発明は、上記のようなCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、1つまたは複数の下記のようなさらなる治療薬剤と組み合わせた本発明のCD38BPを投与する工程を含む方法を提供する。
【0873】
本発明はまた、上記のようなCD38を発現する細胞が関与する障害のための少なくとも1つの化学療法薬剤と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0874】
ある態様において、併用療法には、少なくとも1つの化学療法薬剤、少なくとも1つの抗炎症薬剤、または少なくとも1つの免疫抑圧薬剤および/もしくは免疫調整薬剤と一緒の本発明の組成物の投与が含まれてもよい。
【0875】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび少なくとも1つの化学療法薬剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0876】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび少なくとも1つの化学療法薬剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0877】
ある態様において、本発明は多発性骨髄腫を処置するのための少なくとも1つの化学療法薬剤と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0878】
ある態様において、そのような化学療法薬剤を、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、クラドリビン、および同様の薬剤などの、代謝拮抗物質より選択してもよい。
【0879】
ある態様において、そのような化学療法薬剤を、メクロレタミン、チオエパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC、シスプラチン、およびカルボプラチンのような、その他のプラチナ誘導体、ならびに同様の薬剤などの、アルキル化薬剤より選択してもよい。
【0880】
ある態様において、そのような化学療法薬剤を、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC)、および同様の薬剤などの、抗生物質より選択してもよい。
【0881】
ある態様において、そのような化学療法薬剤を、例えばドセタキセル、およびパクリタキセルなどの、タキサン、ならびに例えばビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびビノレルビンなどの、ビンカアルカロイドのような、抗有糸分裂剤より選択してもよい。
【0882】
ある態様において、そのような化学療法薬剤を、トポテカンなどの、トポイソメラーゼ阻害剤より選択してもよい。
【0883】
ある態様において、そのような化学療法薬剤を、(ゲフィニチブ(イレッサ(登録商標))、セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、HuMax-EGFr(国際公開公報第2002/100348号で開示された2F8)、および同様の薬剤などの)ErbB1(EGFR)の阻害剤、(トランスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))および同様の薬剤などの)ErbB2(Her2/neu)の阻害剤、ならびに同様の薬剤のような、増殖因子阻害剤より選択してもよい。ある態様において、そのような増殖因子阻害剤は、SCH-66336およびR115777などの、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤であってもよい。ある態様において、そのような増殖因子阻害剤は、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))などの、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤であってもよい。
【0884】
ある態様において、そのような化学療法薬剤を、イマニチブ(グリベック、グリーベックSTI571)、ラパチニブ、PTK787/ZK222584、および同様の薬剤などの、チロシンキナーゼ阻害剤より選択してもよい。
【0885】
ある態様において、そのような化学療法薬剤は、ヒストン脱アセチル化阻害剤であってもよい。そのようなヒストン脱アセチル化阻害剤の例として、SAHA(スベロイラニリドヒドロキサム酸)などの、ヒドロキサム酸に基づくハイブリッドポリマー化合物が含まれる。
【0886】
ある態様において、そのような化学療法薬剤は、SCIO-469などの、P38a MAPキナーゼ阻害剤であってもよい。
【0887】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置する方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび少なくとも1つの血管形成、新生血管新生、および/またはその他の血管新生の阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0888】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび少なくとも1つの血管形成、新生血管新生、および/またはその他の血管新生の阻害剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0889】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を治療するのための少なくとも1つの血管形成、新生血管新生、および/またはその他の血管新生の阻害剤と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0890】
そのような血管形成阻害剤の例として、ウロキナーゼ阻害剤、(マリマスタット、ネオバスタット、BAY 12-9566、AG 3340、BMS-275291、および同様の薬剤などの)マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、(TNP-470、スクアラミン、2-メトキシエストラジオール、コンブレタスタチン、エンドスタチン、アンジオスタチン、ペニシルアミン、SCH66336(Schering-Plough Corp, Madison, NJ)、R115777(Janssen Pharmaceutica Inc, Titusville, NJ)、および同様の薬剤などの)内皮細胞遊走および増殖の阻害剤、(ZD6474、SU6668、(VEGF、bFGF、およびアンジオポイエチン-1などの)血管形成作用物質および/またはそれらの受容体に対する抗体、サリドマイド(サロミド(登録商標))、(CC-5013(レナリドマイド、レブリミド(商標))およびCC4047(アクチミド(登録商標))などの)サリドマイド類似体、Sugen 5416、SU5402、(アンジオザイムなどの)抗血管形成リボザイム、(インターフェロンα2aなどの)インターフェロンα、スラミン、ならびに同様の薬剤などの)血管形成増殖因子のアンタゴニスト、(SU011248などの)VEGF-Rキナーゼ阻害剤およびその他の抗血管形成チロシンキナーゼ阻害剤、(ビタキシンおよび同様の薬剤などの)内皮特異的インテグリン/生存シグナルの阻害剤、(テトラチオモリブデート、カプトプリル、および同様の薬剤などの)銅アンタゴニスト/キレート剤、アルボキシアミド-トリアゾル(CAI)、ABT-627、CM101、インターロイキン-12(IL-12)、IM862、PNU145156Eだけでなく、(アンチセンスVEGF-cDNA、アンジオスタチンをコードするcDNA、p53をコードするcDNA、および欠損VEGF受容体-2をコードするcDNAなどの)血管形成を阻害するヌクレオチド分子、ならびに同様の薬剤も含まれる。
【0891】
血管形成、新生血管新生、および/またはその他の血管新生のそのような阻害剤のその他の例は、抗血管形成ヘパリン誘導体および関連分子(例えば、ヘパリナーゼIII)、テモゾロマイド、NK4、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、低酸素誘導因子1の阻害剤、抗血管形成大豆イソフラボン、オルチプラズ、フマジリン、およびその類似体、ソマトスタチン類似体、ポリ硫酸ペントサン、テコガランナトリウム、ダルテパリン、ツムスタチン、トロンボスポンジン、NM-3、コンブレスタチン、カンスタチン、アバスタチン、(抗α-v/β-3インテグリンおよび抗キニノスタチンmAbなどの)その他の関連標的に対する抗体、ならびに同様の薬剤である。
【0892】
ある態様において、本発明は、サリドマイド(サロミド(登録商標))、(CC-5013(レナリドマイド、レブリミド(登録商標))および/またはCC4047(アクチミド(登録商標))などの)サリドマイド類似体と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。さらなる態様において、本発明は、サリドマイドと共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0893】
ある態様において、本発明は、リツキシマブ(リツキサン(登録商標)、マブテラ(登録商標))などの、抗CD20抗体、11B8、2F2、または7D8などの、国際公開公報第2004/035607号で開示されたようなヒトモノクローナル抗CD20抗体と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0894】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、ボルテゾミブ(ベルケード(登録商標))などの、プロテオソーム阻害剤であってもよい。
【0895】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、プレドニソン、プレドニソロン、デキサメタゾンなどのような、コルチコステロイドであってもよい。
【0896】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、プレドニソン、プレドニソロン、デキサメタゾンなどのような、コルチコステロイドであってもよい。
【0897】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、癌抗原/腫瘍関連抗原(例えば、上皮細胞接着分子(EpCAM/TACSTD1)、ムチン1(MUC1)、腫瘍胎児性抗原(CEA)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG-72)、gp100、Melan-A、MART-1、KDR、RCAS1、MDA7)、癌関連ウイルスワクチン(例えば、ヒトパピローマウイルスワクチン)、腫瘍由来熱ショックタンパク質、および同様の作用物質などの、抗癌免疫原であってもよい。本明細書の別の場所に記載された多数のその他の好適な癌抗原/腫瘍関連抗原および当技術分野において公知の同様の分子を、同じようにまたは代わりに、そのような態様において用いてもよい。抗癌免疫原性ペプチドには、BEC2抗イデオタイプ抗体、ミツモマブ(Mitumomab)、セアバック(CeaVac)、および関連抗イデオタイプ抗体、MG7抗体に対する抗イデオタイプ抗体、ならびにその他の抗癌抗イデオタイプ抗体などの抗イデオタイプ「ワクチン」も含まれる(例えばBirebent et al., Vaccine. 21(15), 1601-12(2003)、Li et al., Chin Med J.(Engl). 114(9), 962-6(2001)、Schmitt et al., Hydridoma. 13(5), 389-96(1994)、Maloney et al., Hybridoma. 4(3), 191-209(1985)、Raychardhuri et al., J Immunol. 137(5), 1743-9(1986)、Pohl et al., Int J Cancer. 50(6), 958-67(1992)、Bohlen et al., Cytokines Mol Ther. 2(4), 231-8(1996)、およびMaruyama, J Immunol Methodd. 264(1-2), 121-33(2002)参照)。そのような抗イデオタイプAbを任意で、合成(典型的には不活性)分子担体、タンパク質(例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH))(例えばOchi et al., Eur J Immunol. 17(11), 1645-8(1987)参照)、または細胞(例えば赤血球‐例えばWi et al., J Immunol Methods. 122(2), 227-34(1989)参照)であり得る、担体にコンジュゲートしてもよい。
【0898】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、ビスホスホネートであってもよい。潜在的に好適なビスホスホネートの例は、パミドロネート(アレジカ(登録商標))、ゾレドロン酸(ゾメタ(登録商標))、クロドロネート(ボネフォス(登録商標))、リセンドロネート(アクトネル(登録商標))、イバンドロネート(ボニバ(登録商標))、エチドロネート(ジドロネル(登録商標))、アレンドロネート(フォサマックス(登録商標))、チルドロネート(スケリド(登録商標))、インカドロネート(山之内製薬)、およびミノドロネート(YM529、山之内)である。
【0899】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、コロニー刺激因子であってもよい。好適なコロニー刺激因子の例は、フィルグラスチム(ニューポジェン(登録商標))およびペグフィルグラスチム(ニューラスタ(登録商標))などの、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ならびにサルグラモスチム(リューカイン(登録商標))などの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。
【0900】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、赤血球産生薬剤であってもよい。好適な赤血球産生薬剤の例は、エポエチンα(例えばプロクリット(登録商標)、エポジェン(登録商標)、およびエプレックス(登録商標))ならびにエポエチンβ(例えばネオレコルモン(登録商標))などの、エリスロポイエチン(EPO)ならびに赤血球産生刺激タンパク質(アラネスプ(登録商標))である。
【0901】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、抗癌サイトカイン、ケモカイン、またはその組み合わせであってもよい。好適なサイトカインおよび増殖因子の例として、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-23、IL-24、IL-27、IL-28a、IL-28b、IL-29、KGF、IFNα(例えばIFNα2b)、IFNβ、GM-CSF、CD40L、Flt3リガンド、幹細胞因子、アンセスチム、およびTNFαが含まれる。好適なケモカインには、ヒトCXCおよびC-Cケモカインファミリー由来のIP-10、MCP-3、MIG、およびSDF-1αなどのGlu-Leu-Arg(ELR)陰性ケモカインが含まれてもよい。好適なサイトカインには、サイトカイン誘導体、サイトカイン変異体、サイトカイン断片、およびサイトカイン融合タンパク質が含まれる。
【0902】
本明細書における天然のペプチドをコードする核酸が関与するこれらのおよびその他の方法または使用を、代わりにまたはさらに、米国特許第5,968,502号、米国特許第6,063,630号、および米国特許第6,187,305号、ならびに欧州特許第0505500号に記載されているような、「遺伝子活性化」および相同組換え遺伝子上方制御技術によって行なってもよい。
【0903】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、Fcα受容体またはFcγ受容体の発現または活性を調整し、例えば増強または阻害する、薬剤であってもよい。この使用に好適な薬剤の例として、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、フィルグラスチム(ニューポジェン(登録商標))およびペグフィルグラスチム(ニューラスタ(登録商標))などの、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ならびにサルグラモスチム(リューカイン(登録商標))などの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、ならびに腫瘍壊死因子(TNF)が含まれる。
【0904】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、細胞周期制御/アポトーシス調節因子(「調節薬剤」)であってもよい。細胞周期制御/アポトーシス調節因子には、(i)(NSC 663284のような)cdc-25などの細胞周期制御/アポトーシス調節因子を標的および調節する分子、(ii)(フラボピリドル(L868275、HMR1275)、7-ヒドロキシスタウロスポリン(UCN-01、KW-2401)、およびロスコビチン(R-ロスコビチン、CYC202)などの)細胞周期を過剰刺激するサイクリン依存的キナーゼ、ならびに(iii)(BIBR1532、SOT-095、GRN163、および例えば米国特許第6,440,735号および米国特許第6,713,055号に記載された組成物などの)テロメラーゼ調整因子も含まれる。アポトーシス経路に干渉する分子の非限定的な例として、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)/アポトーシス-2リガンド(Apo-2L)、IL-6産生の阻害をもたらすNF-κB遮断を誘導する薬剤、TRAIL受容体を活性化する抗体、IFN、アンチセンスBcl-2、およびAs2O3(三酸化ヒ素、トリセノックス(登録商標))が含まれる。
【0905】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、抗アンドロゲンおよび抗エストロゲン療法に有用な薬剤などの、ホルモン調節薬剤であってもよい。そのようなホルモン調節薬剤の例は、タモキシフェン、イドキシフェン、フルベストラント、ドロロキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール/エチニル、(フルタミンデ(flutaminde)/ユーレキシン(eulexin)などの)アンチアンドロゲン、(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、メドロキシプロゲステロン/プロベラ、メゲストールアセペート/メゲースなどの)プロゲスチン、(ヒドロコルチゾン、プレドニソンなどの)アドレノコルチコステロイド、黄体ホルモン放出ホルモン(およびその類似体ならびにブセレリンおよびゴセレリンなどのその他のLHRHアゴニスト)、(アナストラゾール/アリミデックス、アミノグルテチミド/シトラデン、エキセメスタンなどの)アロマターゼ阻害剤、(オクトレオチド/サンドスタチンなどの)ホルモン阻害剤、ならびに同様の薬剤である。
【0906】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、抗アレルギー薬剤(例えば腫瘍および癌抗原に対する寛容性を壊す低分子化合物、タンパク質、糖タンパク質、または抗体)であってもよい。そのような化合物の例は、MDX-010(Phan et al., PNAS USA 100, 8372(2003))などの、CTLA-4の活性を遮断する分子である。
【0907】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、ヒト組換え野生型p53/SCH58500などをコードする複製欠損アデノウイルスなどの腫瘍抑圧遺伝子を含む核酸もしくはベクター;癌遺伝子、突然変異し、もしくは規制が外れた遺伝子に標的されたアンチセンス核酸;または突然変異しもしくは規制が外れた遺伝子に標的されたsiRNAであってもよい。腫瘍抑圧遺伝子標的の例として、例えば、BRCA1、RB1、BRCA2、DPC4(Smad4)、MSH2、MLH1、およびDCCが含まれる。
【0908】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、ジーナセンス(オーグメロセン(augmerosen)/G3139)、LY900003(ISIS3521)、ISIS2503、OGX-011(ISIS 112989)、LE-AON/LEraf-AON(リポソーム封入c-rafアンチセンスオリゴヌクレオチド/ISIS-5132)、MG98、およびPKCα、クラスタリン、IGFBP、タンパク質キナーゼA、サイクリンD1、またはBcl-2hを標的するその他のアンチセンス核酸などの、抗癌核酸であってもよい。
【0909】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用する治療薬剤は、抗癌阻害RNA分子であってもよい(例えばLin et al., Curr Cancer Drug Targets. 1(3), 241-7(2001)、Erratum in: Curr Cancer Drug Targets. 3(3), 237(2003)、Lima et al., Cancer Gene Ther. 11(5), 309-16(2004)、Grzmil et al., Int J Oncol. 4(1), 97-105(2004)、Collis et al., Int J Radiat Oncol Biol Phys. 57(2 Suppl), S144(2003)、Yang et al., Oncogene. 22(36), 5694-701(2003)、およびZhang et al., Biochem Biophys Res Commun. 303(4), 1169-78(2003)参照)。
【0910】
本発明の組成物および併用投与法には、そのような癌抗原/腫瘍関連抗原をコードする裸のDNAワクチンなどの、核酸ワクチンの投与も含まれる(例えば米国特許第5,589,466号、米国特許第5,593,972号、米国特許第5,703,057号、米国特許第5,879,687号、米国特許第6,235,523号、および米国特許第6,387,888号参照)。ある態様において、併用投与法および/または併用組成物は、自己ワクチン組成物を含む。ある態様において、併用組成物および/または併用投与法は、全細胞ワクチンまたはサイトカイン発現細胞(例えば組換えIL-2発現線維芽細胞、組換えサイトカイン発現樹状細胞、およびそれらと同様の細胞)を含む(例えばKowalczyk et al., Acta Biochim Pol. 50(3), 613-24(2003)、Reilly et al., Methods Mol Med. 69, 233-57(2002)、およびTirapu et al., Curr Gene Ther. 2(1), 79-89(2002)参照)。本発明の組み合わせ法において有用であり得るそのような自己細胞アプローチの別の例は、(以前はGTOP-99と称されていた)MyVax(登録商標)個別化免疫療法である(Genitope Corporation‐Redwood City, CA, USA)。
【0911】
ある態様において、本発明は、CD38BPをウイルス、ウイルスタンパク質、およびそれらと同様のものと組み合わせ、または同時投与する併用組成物および併用投与法を提供する。通常インビボにおいて1回またはほんの2、3回の複製をすることができ、かつ腫瘍細胞に標的される、複製欠損ウイルスは、例えばそのような組成物および方法の有用な構成要素である可能性がある。そのようなウイルス作用物質は、GM-CSFおよび/またはIL-2などの、免疫刺激物質をコードする核酸を含んでもよい。天然の腫瘍溶解性ウイルスおよびそのような組換え腫瘍溶解性ウイルス(例えばHSV-1ウイルス、レオウイルス、複製欠損アデノウイルスおよび複製感受性アデノウイルスなど)の両方が、そのような方法および組成物の有用な構成要素である可能性がある。したがって、ある態様において、本発明は、CD38BPを腫瘍溶解性ウイルスと組み合わせ、または同時投与する併用組成物および併用投与法を提供する。そのようなウイルスの例として、改変ウイルスであってもよく、または改変ウイルスでなくてもよい、腫瘍溶解性アデノウイルスおよびヘルペスウイルスが含まれる(例えばShah et al., J Neurooncol. 65(3), 203-26(2003)、Stiles et al., Surgery. 134(2), 357-64(2003)、Sunarmura et al., Pancreas. 28(3), 326-9(2004)、Teshigahara et al., J Surg Oncol. 85(1), 42-7(2004)、Varghese et al., cancer Gene Ther. 9(12), 967-78(2002)、Wildner et al., Cancer Res. 59(2), 410-3(1999)、Yamanaka, Int J Oncol. 24(4), 919-23(2004)、およびZwiebel et al., Semin Oncol. 28(4), 336-43(2001)参照)。
【0912】
本発明の併用組成物および併用投与法はまた、「全細胞」および「養子」免疫療法を伴ってもよい。例えば、そのような方法は、免疫系細胞(例えばCD4+および/もしくはCD8+T細胞(例えば腫瘍特異的抗原および/もしくは遺伝的増強によって拡大されたT細胞)などの、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、抗体発現B細胞もしくはその他の抗体産生/提示細胞、樹状細胞(例えば、抗サイトカイン発現組換え樹状細胞、GM-CSFおよび/もしくはFlt3-LなどのDC拡大薬剤と共に培養した樹状細胞、ならびに/もしくは腫瘍関連抗原を充填した樹状細胞)、抗腫瘍NK細胞、いわゆるハイブリッド細胞、またはその組み合わせ)の注入または再注入を含んでもよい。細胞溶解物もまた、そのような方法および組成物において有用である可能性がある。そのような局面で有用であり得る臨床治験における細胞「ワクチン」には、カンバキシン(Canvaxin)(商標)、APC-8015(Dendreon)、HSPPC-96(Antigenics)、およびメラシン(登録商標)細胞溶解物が含まれる。任意でミョウバンなどのアジュバントと混和した、癌細胞から放たれた抗原、およびその混合物(例えばBystryn et al., Clinical Cancer Research Vol. 7, 1882-1887, July 2001参照)もまた、そのような方法および併用組成物における抗生物質であってもよい。
【0913】
ある態様において、本発明のCD38BPを、内部ワクチン接種法の適用と組み合わせて患者に送達してもよい。内部ワクチン接種は、(a)分泌型のタンパク質、糖タンパク質、もしくはその他の産物、(b)膜に会合したもしくは膜に挿入された膜会合型のタンパク質もしくは糖タンパク質もしくはその他の構成要素、および/または(c)細胞内タンパク質もしくはその他の細胞内構成要素を含む(i)全体としての腫瘍細胞または(ii)腫瘍細胞の一部に向けられた免疫反応の誘出を典型的にもたらす、患者における、薬物によって誘導されたまたは放射線によって誘導された腫瘍細胞の細胞死などの、誘導された腫瘍または癌細胞死を指す。内部ワクチン接種によって誘導された免疫反応は、体液性(すなわち、抗体-補体介在性)または細胞介在性(例えば、内部で殺傷された腫瘍細胞もしくはその一部を認識する内在性細胞毒性Tリンパ球の発生および/もしくは増大)であってもよい。放射線療法に加えて、腫瘍細胞死および内部ワクチン接種を誘導するために使用し得る薬物および薬剤の非限定的な例は、従来の化学療法薬剤、細胞周期阻害剤、抗血管形成薬物、モノクローナル抗体、アポトーシス誘導薬剤、およびシグナル伝達薬剤である。
【0914】
上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用するための治療薬剤として関連があり得る、その他の抗癌薬剤の例は、分化誘導薬剤、レチノイン酸、および(すべてtrans位の(all trans)レチノイン酸、13-cisレチノイン酸、および同様の薬剤などの)レチノイン酸類似体、(セオカルシトールおよび同様の薬剤などの)ビタミンD類似体、ErbB3、ErbB4、IGF-IR、インスリン受容体、PDGFRa、PDGFRβ、Flk2、Flt4、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、TRKA、TRKC、c-met、Ron、Sea、Tie、Tie2、Eph、Ret、Ros、Alk、LTK、PTK7、ならびに同様の薬剤である。
【0915】
上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用するための治療薬剤として関連があり得る、その他の抗癌薬剤の例は、カテプシンB、カテプシンD脱水素酵素活性の調整因子、(グルタチルシステインシンターゼおよび乳酸脱水素酵素)グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、ならびに同様の薬剤である。
【0916】
上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用するための治療薬剤として関連があり得る、その他の抗癌薬剤の例は、エストラムスチンおよびエピルビシンである。
【0917】
上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用するための治療薬剤として関連があり得る、その他の抗癌薬剤の例は、17-アリルアミノゲルダナマイシンのようなHSP90阻害剤、PSA、CA125、KSAなど、のような腫瘍抗原に対する抗体、インテグリンβ1のようなインテグリン、VCAMの阻害剤、および同様の薬剤である。
【0918】
上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用するための治療薬剤として関連があり得る、その他の抗癌薬剤の例は、(バルスポダール、PSC 833、およびその他のMDR-1またはp-糖タンパク質阻害剤などの)カルシニューリン阻害剤、(シロリムス、エヴェロリムス、およびラパマイシン)TOR阻害剤、ならびに(FTY720などの)「リンパ球ホーミング」機構の阻害剤、ならびに接着分子阻害剤などの細胞シグナリングに対する効果を有する薬剤(例えば抗LFAなど)である。
【0919】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび放射線療法を投与する工程を含む方法を提供する。
【0920】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび放射線療法を投与する工程を含む方法を提供する。
【0921】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を治療するための放射線療法と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0922】
放射線療法は放射線を含んでもよく、または患者への放射線調合薬の関連投与が提供される。放射線の源は処置されている患者にとって外部であってもよく、または内部であってもよい(放射線処置は、例えば、外部ビーム放射線療法(EBRT)、小線源療法(BT)、または骨格標的放射線療法の形態であってもよい)。そのような方法を実行する際に使用し得る放射能性元素には、例えば、ラジウム、セシウム-137、イリジウム-192、アメリシウム-241、金-198、コバルト-57、銅-67、テクネチウム-99、ヨウ素-123、ヨウ素-131、およびインジウム-111が含まれる。
【0923】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、自己末梢幹細胞または骨髄移植と組み合わせて、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPを投与する工程を含む方法を提供する。
【0924】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、自己末梢幹細胞または骨髄移植と組み合わせて、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPを投与する工程を含む方法を提供する。
【0925】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を治療するための自己末梢幹細胞または骨髄移植と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0926】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、整形外科的介入と組み合わせて、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPを投与する工程を含む方法を提供する。
【0927】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を治療するための自己末梢幹細胞または骨髄移植と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0928】
整形外科的介入は、痛みを制御し、または機能もしくは可動性を保持するのを助けるために、多発性骨髄腫などの、CD38を発現する細胞が関与する障害の処置において有用である可能性がある。そのような介入には、理学療法、骨折を予防もしくは処置するための骨の固定、または骨折を直すための(重大なもしくは軽い)外科的手続きが含まれる。
【0929】
ある態様において、本発明のCD38BPを、腫瘍の内側へのCD38BPまたは併用組成物の接近を促進する1つまたは複数の薬剤の送達と結び付けて投与してもよい。そのような方法を、例えば腫瘍を衰えさせることができる、リラキシンの送達と関連させて行なってもよい(例えば米国特許第6,719,977号参照)。ある態様において、本発明のCD38BPを細胞貫通ペプチド(CPP)と結合させてもよい。(人工的に作製された細胞貫通抗体などの)細胞貫通ペプチドおよび関連ペプチドは、例えばZhao et al., J Immunol Methods. 254(1-2), 137-45(2001)、Hong et al., Cancer Res. 60(23), 6551-6(2000)、Lindgren et al., Biochem J. 377(Pt 1), 69-76(2004)、Buerger et al., J Cancer Res Clin Oncol. 129(12), 669-75(2003)、Pooga et al., FASEB J. 12(1), 67-77(1998)、およびTseng et al., Mol Pharmacol. 62(4), 864-72(2002)に記載されている。
【0930】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび少なくとも1つの抗炎症薬剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0931】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび少なくとも1つの抗炎症薬剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0932】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を治療するための少なくとも1つの抗炎症薬剤と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0933】
ある態様において、そのような抗炎症薬剤を、ステロイド薬物およびNSAID(非ステロイド抗炎症薬物)より選択してもよい。
【0934】
ある態様において、そのような抗炎症薬剤を、アスピリンおよびその他のサリチル酸、(ロフェコキシブおよびセレコキシブなどの)Cox-2阻害剤、(イブプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、スリンダック、ジクロフェナック、ピロキシカム、ケトプロフェン、ジフルニサル、ナブメトン、エトドラック、オキサプロジン、およびインドメタシンなどの)NSAID、抗IL6R抗体、抗IL8抗体、抗IL15抗体、抗IL15R抗体、抗CD4抗体、抗CD11a抗体(例えば、エファリズマブ)、抗α-4/β-1インテグリン(VLA4)抗体(例えば、ナタリズマブ)、炎症性疾患の処置用のCTL4-Ig、プレドニソロン、プレドニソン、メトトレキサートなどの疾患改変抗リウマチ薬物(DMARD)、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、(レフルノミドなどの)ピリミジン合成阻害剤、(アナキンラなどの)IL-1受容体遮断薬剤、(エタネルセプト、インフリキシマブ、およびアダリムマブなどの)TNF-α遮断薬剤、ならびに同様の薬剤より選択してもよい。
【0935】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPならびに少なくとも1つの免疫抑圧薬剤および/または免疫調整薬剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0936】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPならびに少なくとも1つの免疫抑圧薬剤および/または免疫調整薬剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0937】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を治療するための少なくとも1つの免疫抑圧薬剤および/または免疫調整薬剤と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0938】
ある態様において、そのような免疫抑圧薬剤および/または免疫調整薬剤を、シクロスポリン、アザチオプリン、マイコフェノール酸、マイコフェノレートモフェチル、プレドニソンなどのコルチコステロイド、メトトレキサート、金塩、スルファサラジン、抗マラリア薬、ブレキナール、レフルノミド、ミゾリビン、15-デオキシスペルグアリン、6-メルカプトプリン、シクロホスファミド、ラパマイシン、タクロリムス(FK-506)、OKT3、抗胸腺細胞グロブリン、チモペンチン、チモシン-α、および同様の薬剤より選択してもよい。
【0939】
ある態様において、そのような免疫抑圧薬剤および/または免疫調整薬剤を、IL-2受容体のp75に結合する抗体、もしくは例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD28、B7、CD40、CD45、IFNγ、TNF-α、IL-4、IL-5、IL-6R、IL-6;IGF、IGFR1、IL-7、IL-8、IL-10、CD11a、もしくはCD58に結合する抗体、またはそれらのリガンドに結合する抗体などの、免疫抑圧抗体より選択してもよい。
【0940】
ある態様において、そのような免疫抑圧薬剤および/または免疫調整薬剤を、可溶型IL-15R、IL-10、B7分子(B7-1、B7-2、その変異体、およびその断片)、ICOS、OX40、(CTLA4に対する抗体などの)陰性T細胞調節因子の阻害剤、ならびに同様の薬剤より選択してもよい。
【0941】
ある態様において、本発明のCD38BPを、プレドニソンおよびシクロスポリンを組み合わせて;プレドニソン、シクロスポリン、およびアザチオプリンを組み合わせて;またはプレドニソン、シクロスポリン、およびマイコフェノレートモフェチルを組み合わせてのように、2つまたはそれより多くの免疫抑圧薬剤および/または免疫調整薬剤と組み合わせて投与してもよい。
【0942】
ある態様において、本発明は、対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび抗C3b(i)抗体を投与する工程を含む方法を提供する。
【0943】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、処置を必要とする対象に、治療的有効量の本発明のCD38BPおよび抗C3b(i)抗体を投与する工程を含む方法を提供する。
【0944】
ある態様において、本発明は、多発性骨髄腫を治療するための抗C3b(i)抗体と共に投与されるべき薬学的組成物の調製のための本発明のCD38BPの使用を提供する。
【0945】
ある態様において、上記のような障害を処置するための本発明のCD38BPと組み合わせて使用するための治療薬剤を、ヒストン脱アセチル化阻害剤(例えばフェニルブチレート)ならびに/またはDNA修復薬剤(例えばジメリシンなどのDNA修復酵素および関連組成物)より選択してもよい。
【0946】
治療的有効量の本発明のCD38BPの投与を含む上記のような障害を処置するための本発明の方法はまた、抗癌指向性の光力学療法(例えば抗癌レーザー療法‐これは任意で感光薬剤の使用を伴って実施してもよく、例えばZhang et al., J Control Release. 93(2), 141-50(2003)参照)、抗癌音波および衝撃波療法(例えばKambe et al., Hum Cell. 10(1), 87-94(1997)参照)、ならびに/または抗癌栄養補助療法(例えばRoudebush et al., Vet Clin North Am Small Anim Pract. 34(1), 249-69, viii(2004)およびRafi, Nutrition. 20(1), 78-82(2004)参照)を含んでもよい。同様に、本発明のCD38BPを、抗癌指向性の光力学療法(例えば抗癌レーザー療法‐これは任意で感光薬剤の使用を伴って実施してもよい)、抗癌音波および衝撃波療法、ならびに/または抗癌栄養補助療法と共に投与されるべき上記のような障害を処置するための薬学的組成物の調製のために用いてもよい。
【0947】
上記のように、本発明の薬学的組成物を併用療法において投与してもよく、すなわち、別々の薬学的組成物として、または上記のような1つもしくは複数のさらなる治療薬剤と一緒に製剤化した本発明の化合物と共にのいずれかで、処置されるべき疾患または状態に関連する1つまたは複数の薬剤と組み合わせてもよい。そのような併用療法は、より少ない投薬量の本発明の化合物および/または同時投与される薬剤を要求し、したがって様々な単剤療法と関連するあり得る毒性または合併症を回避する可能性がある。
【0948】
ある態様において、本発明は、免疫抑圧サイトカイン、幹細胞増殖因子、(TNFαなどのTNFのような)リンホトキシン、または造血因子などの、免疫抑圧因子とコンジュゲートしたCD38BPを提供する。コンジュゲートとして有用であり得るそのような分子の例として、IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、およびIL-21、(顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))コロニー刺激因子、(IFNα、IFNβ、およびIFNγなどの)インターフェロン、「S1因子」と名付けられた幹細胞増殖因子、エリスロポイエチン、ならびにトロンボポイエチン、その活性断片、その誘導体、その変異体、またはその任意の組み合わせが含まれる。
【0949】
ある態様において、本発明のCD38BPを、CD38のレベル、またはそれらの膜表面上にCD38を含む細胞のレベルを検出することによって、CD38を発現する活性化細胞が発病に積極的な役割を果たす疾患を診断するために、インビボまたはインビトロで用いてもよい。例えば、抗体とCD38の間の複合体の形成を可能にする条件下で、試験されるべき試料を、任意で対照試料と一緒に、CD38BPと接触させることによって、これを達成してもよい。その後、(例えば、ELISAを用いて)複合体形成を検出する。試験試料と一緒に対照試料を用いる場合、複合体を両方の試料において検出し、および試料間の複合体形成の任意の統計的に有意な差は試験試料におけるCD38の存在を示す。
【0950】
より具体的には、本発明は、侵襲性細胞および組織、ならびに本発明のCD38BPによって標的されるその他の細胞の同定、および診断のための、ならびに治療的処置の進捗、処置後の状況、癌を進行させるリスク、癌の進展、およびそれらと同様のもののモニタリングのための方法を提供する。
【0951】
そのような診断アッセイ法のある例において、本発明は、組織中の侵襲性細胞のレベルを診断する方法であって、CD38BPと潜在的なCD38を含む組織の間の免疫複合体を形成する工程、および組織中の侵襲性細胞の存在と相関する免疫複合体の形成を検出する工程を含む方法を提供する。接触を、単離された標識抗体および標準的画像撮影技術を用いて、インビボで行なってもよく、または組織試料上においてインビトロで行なってもよい。
【0952】
CD38BPを用いて、任意の好適な技術によって任意の好適な生物学的試料中のCD38含有ペプチドおよびペプチド断片を検出してもよい。本発明によって提供される従来の免疫アッセイ法の例として、CD38BPを用いたELISA、RIA、FACSアッセイ法、プラズモン共鳴アッセイ法、クロマトグラフィーアッセイ法、組織免疫化学、ウェスタンブロット、および/または免疫沈降が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本発明の抗CD38抗体を用いて、ヒト由来のCD38およびCD38断片を検出してもよい。CD38BPおよび/または2次抗体用の好適な標識には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、放射性材料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。好適な酵素の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれ;好適な補欠分子族複合体の例として、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれ;好適な蛍光材料の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリスリンが含まれ;発光材料の例として、ルミノールが含まれ、ならびに好適な放射性材料の例として、125I、131I、35S、および3Hが含まれる。
【0953】
また、検出可能な物質で標識したCD38ペプチド標準および例えば非標識抗CD38抗体などの、非標識CD38BPを利用した競合免疫アッセイ法によって、CD38BPを生物学的試料でアッセイしてもよい。そのようなアッセイ法において、生物学的試料、標識CD38ペプチド標準、およびCD38BPを組み合わせ、ならびに非標識CD38BPに結合した標識CD38標準の量を決定する。生物学的試料中のCD38の量は、CD38BPに結合した標識CD38標準の量に反比例する。
【0954】
CD38BPは、腫瘍のインビボ画像撮影において特に有用である。CD38と関連する腫瘍のインビボ画像撮影を、任意の好適な技術によって行なってもよい。例えば、99Tc標識または別のγ線放射同位体による標識を用いて、腫瘍中の抗CD38抗体または腫瘍由来の2次的な標識(例えば、FITC標識)CD38BP:CDD38複合体を標識し、および典型的には低エネルギー、高解像度コリメーターまたは低エネルギー汎用コリメーターを用いて、γシンチレーションカメラ(例えば、Elscint Apex 409ECT装置)で画像撮影してもよい。その後、腫瘍中のCD38関連ペプチドの量の指標としての放射能計数について、染色された組織を評価してもよい。そのような技術の使用によって得られた画像を用いて、例えば侵襲性癌細胞の存在に関するバイオマーカーとしてCD38またはCD38断片を用いる文脈において、患者、哺乳動物、または組織におけるCD38の生体分布を評価してもよい。この技術についての変化形として、γカメラ技術に対する画像撮影を改善するための磁気共鳴画像撮影(MRI)の使用が含まれてもよい。同様の免疫シンチグラフィー法および原理は、例えば、Srivastava(編), Radiolabeled Monoclonal Antibodies For Imaging And Therapy(Plenum Press 1988)、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Gennaro et al.,(編), 624-652頁(Mack Publishing Co., 1990)の中のChase,「Medical Applications of Radioisotopes」、およびBiotechnology And Pharmacy 227-49, Pezzuto et al.,(編)(ChapmanおよびHall 1993)の中のBrown,「Clinical Use of Monoclonal Antibodies」に記載されている。また、そのような画像をその他の抗癌薬剤の標的送達に用いてもよく、その例は本明細書において記載されている(例えば、アポトーシス薬剤、毒素、またはCHOP化学療法組成物)。さらに、そのような画像は、同じようにまたは代わりに、腫瘍を除去するための外科的技術に対する基礎としての役割を果たす可能性がある。その上、そのようなインビボ画像撮影技術は、(その他のバイオマーカー、転移などの存在により)患者が腫瘍を有することは同定されているが、従来的な解析技術によって腫瘍を同定することができない状況において、腫瘍の同定および局在化を可能にする可能性がある。これらの方法は全て、本発明の特色である。
【0955】
本発明によって提供されるインビボ画像撮影法およびその他の診断法は、ヒト患者(例えば、癌を有すると以前に診断されていない患者または癌からの回復/寛解の期間の患者)における微小転移の検出に特に有用である。全ての癌細胞の90%までを占め得る、腫瘍癌細胞は、例えば、CD38抗体コンジュゲート組成物によって非常によく染まることが示されている。本明細書において記載されたモノクローナル抗CD38抗体およびその他のCD38BPによる検出は、攻撃性/侵襲性である腫瘍の存在を示す可能性があり、および同じようにまたは代わりに、そのような微小転移に対して関連するモノクローナル抗CD38抗体、CD38BP、または関連組成物による処置を用いる実現可能性の目安を提供する可能性がある。さらに、癌細胞と関連するモノクローナル抗CD38抗体は、好都合なことに、そのような癌関連組織および細胞を、その他の形態のCD38が関連し得る正常細胞と区別することができる。
【0956】
ある態様において、本発明は、本発明の、抗CD38抗体などの、CD38BPを、検出を促進する放射線不透過薬剤とコンジュゲートし、血流への注射などによって、コンジュゲートされた抗体を宿主に投与し、ならびに宿主における標識抗体の存在および場所をアッセイするインビボ画像撮影法を提供する。この技術および本明細書において記載された任意のその他の診断法を通じて、本発明は、ヒト患者またはヒト患者から採取した生物学的試料における疾患関連細胞の存在についてスクリーニングするための方法を提供する。
【0957】
診断的画像撮影のために、中間官能基を用いて、直接的に、または間接的にのいずれかで、放射性同位元素をCD38BPに結合させてもよい。有用な中間官能基には、エチレンジアミンテトラ酢酸およびジエチレントリアミンペンタ酢酸などの、キレート剤が含まれる(例えば米国特許第5,057,313号参照)。放射性同位元素がコンジュゲートされたCD38BPを伴うそのような診断アッセイ法において、検出および正確な測定を可能にすると考えられる、最低半減期、体内での最短保持、および最小量の同位元素の最高の組み合わせに関する同位元素の選別を通じて、典型的には、患者に送達されるコンジュゲートされたペプチドの投薬量を可能な限り低いレベルに維持する。
【0958】
放射性同位元素および放射線不透過薬剤に加えて、磁気共鳴画像撮影(MRI)用の(ビオチン-ストレプトアビジン複合体などの)色素、造影薬剤、蛍光化合物または蛍光分子、および増強薬剤(例えば、常磁性イオン)にコンジュゲートされたCD38BPを用いて、診断法を行なってもよい(例えば、MRI技術およびMRI増強薬剤にコンジュゲートされた抗体の調製を記載している、米国特許第6,331,175号を参照されたい)。そのような診断/検出薬剤を磁気共鳴画像撮影で使用するための薬剤、および蛍光化合物より選択してもよい。抗体などの、CD38BP構成要素に放射性金属または常磁性イオンを充填するために、それを、イオンを結合するための複数のキレート基に付着した長い尾部を有する試薬と反応させる必要がある可能性がある。そのような尾部は、例えば、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエステル、ビスチオセミカルバゾン、ポリオキシム、およびこの目的のために有用であることが公知である同様の基などの、キレート基と結合することができるペンダント基を有するポリリジン、多糖、またはその他の誘導体化された鎖もしくは誘導体化できる鎖などのポリマーであってもよい。標準化学を用いて、キレートをCD38BPに結合させてもよい。キレートを通常、最小限の免疫反応性の損失ならびに最小限の凝集および/または内部クロスリンクを伴って分子への結合の形成を可能にする、基によって、抗CD38抗体などの、CD38BPに結合させる。キレートを抗体にコンジュゲートするためのその他の、よりありふれた方法および試薬が、米国特許第4,824,659号に開示されている。潜在的に有用な金属キレートの組み合わせの例として、放射線画像撮影用の、125I、123I、124I、62Cu、64Cu、18F、111In、67Ga、67Ga、99Tc、94Tc、11C、13N、15O、および76BRなどの、60~4,000keVの一般的エネルギー範囲の診断用同位元素と共に用いられる、2-ベンジル-DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体が含まれる。マンガン、鉄、およびガドリニウムなどの、非放射性金属と複合体形成させた場合、これらのおよび同様のキレートは、CD38BPと結び付けたMRI診断法に有用である可能性がある。NOTA、DOTA、およびTETAなどの大環状キレートは、様々な金属および放射性金属と共に、何よりも特に、それぞれ、ガリウム、イットリウム、および銅という放射性核種と共に、利用されている。環のサイズを関心対象の金属に合わせることによって、そのような金属-キレート複合体を非常に安定にすることが可能である。RAIT用の223Raなどの、核種を安定に結合するための関心対象である、大環状ポリエーテルなどのその他の環型キレートもまた、診断法において好適である可能性がある。
【0959】
したがって、本発明は、(磁気共鳴画像撮影、コンピュータ化断層撮影法、もしくは超音波造影増強薬剤用などの)造影薬剤または例えば、γ放射同位体、β放射同位体、α放射同位体、オージェ電子放射同位体、もしくは陽子放射同位体などであり得る放射性核種にCD38BPをコンジュゲートした診断用CD38BPコンジュゲートを提供する。本発明によって提供される診断的方法および組成物(例えば、診断キット)において有用でもあり得る、さらなる有用なコンジュゲートされたCD38BPは、本明細書に別の場所に記載されている。
【0960】
ある態様において、本発明は、癌の診断のためのキットであって、抗CD38抗体などの、CD38BP、およびCD38BPのCD38ペプチドへの結合を検出するための1つまたは複数の試薬を含む容器を含むキットを提供する。試薬には、例えば、蛍光タグ、酵素タグ、またはその他の検出可能なタグが含まれてもよい。試薬にはまた、2次抗体もしくは3次抗体、または可視化することができる産物を産生する、酵素反応用の試薬が含まれてもよい。ある態様において、本発明は、標識の性質に応じて、好適な容器中の標識されたまたは標識されていない形態の1つまたは複数の本発明の、抗CD38抗体などの、CD38BP、間接的アッセイ用のインキュベーションのための試薬、およびそのようなアッセイ法での検出用の基質または誘導体化薬剤を含む診断キットを提供する。また、対照試薬および使用に関する取扱説明書が含まれてもよい。
【0961】
また、細胞活性の検出用のまたは組織試料もしくは宿主におけるCD38ペプチドの存在を検出するための、コンジュゲートされた/標識された抗CD38抗体などの、CD38BPと共に使用するために、診断キットを供給してもよい。本明細書の別の場所に記載された治療的使用のためのキットにおいてのみならず、そのような診断キットにおいても、CD38BPを典型的には、単独でまたは標的細胞もしくはペプチドに特異的なさらなる抗体と併せてかのいずれかで、容器中に凍結乾燥された形態で提供してもよい。典型的には、薬学的に許容される担体(例えば、不活性希釈剤)および/またはTris緩衝剤、リン酸緩衝剤、もしくは炭酸緩衝剤、安定化剤、防腐剤、殺生物剤、殺生物剤、例えば、血清アルブミンなどの、不活性タンパク質、もしくはそれらと同様のものなどの、その構成要素も(典型的には混合用の別の容器に)含まれ、ならびにさらなる試薬も(また典型的には別の容器に)含まれる。ある種のキットにおいては、典型的には別の容器に存在する、抗CD38抗体またはその他のCD38BPへの結合が可能な2次抗体も含まれる。2次抗体は典型的には、標識にコンジュゲートされ、本発明の抗CD38抗体またはその他のCD38BPと同様のやり方で製剤化される。
【0962】
上でおよび本明細書の別の場所に記載された方法を用いて、CD38BPを用いて癌/腫瘍細胞のサブセットを定義し、かつそのような細胞および関連する組織/増殖を特徴付けてもよい。
【0963】
ある例において、CD38BPまたは抗CD38抗体を、ニトロセルロース、または細胞、細胞粒子、もしくは可溶性タンパク質を固定化することができるその他の固形支持体に添加してもよい。その後、支持体を好適な緩衝剤で洗浄し、引き続き検出可能に標識されたCD38ペプチドまたは抗体で処置してもよい。その後、固相支持体を緩衝剤で2回洗浄し、結合していないペプチドまたは抗体を除去してもよい。その後、公知の方法の工程によって、固形支持体上に結合した標識の量を検出してもよい。
【0964】
曝露された基質と反応する結合酵素を用いて、CD38BPコンジュゲートおよび/または融合タンパク質の文脈において、例えば、分光光度的、蛍光光度的手段によってまたは目視手段によって、検出することができる化学的部分を作製してもよい。CD38BPおよび抗CD38抗体を検出可能に標識するために使用し得る酵素には、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、α-グリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。CD38BPを蛍光化合物で標識することも可能である。蛍光標識抗体を適切な波長の光に曝露させた場合、蛍光によってその存在を検出することが可能である。最も一般的に用いられる蛍光標識化合物の中には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド、およびフルオレサミンがある。
【0965】
また、152Euなどの蛍光放射金属、またはランタニド系列のその他の蛍光放射金属を用いて、抗CD38抗体などの、CD38BPを検出可能に標識してもよい。これらの金属を、例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)またはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などの金属キレート基を用いて、抗CD38抗体に付着させてもよい。
【0966】
また、化学発光化合物に結合させることによって、CD38BPおよび抗CD38抗体を検出可能に標識してもよい。その後、化学発光標識されたCD38-BPの存在を、化学反応の過程の間に発生する発光の存在を検出することによって決定する。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステルである。
【0967】
同様に、生物発光化合物を用いて、CD38BPを標識してもよい。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増大させる生物学的系に見出される化学発光の一種である。発光の存在を検出することによって生物発光タンパク質の存在を決定する。標識という目的のための重要な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびアクオリンである。
【0968】
例えば、検出可能な標識が放射性γ放射体である場合には、シンチレーションカウンターによって、例えば、標識が蛍光材料である場合には、蛍光光度計によって、標識したペプチドまたは抗体、抗体断片もしくは誘導体の検出を遂行してもよい。酵素標識の場合には、酵素に対する基質を利用する熱量測定法によって検出を遂行してもよい。また、同様に調製された標準と比較した基質の酵素反応の程度の目視による比較によって検出を遂行してもよい。
【0969】
これらのおよびその他の診断技術を用いて、任意の好適な材料をCD38ペプチドまたはCD38断片についてスクリーニングしてもよい。スクリーニングされ得る材料の例として、例えば、血液、血清、リンパ液、尿、炎症性滲出液、脳脊髄液、羊水、組織抽出液またはホモジネート、およびそれらと同様のものが含まれる。しかしながら、本発明は、これらの試料のみを用いるアッセイ法に限られず、当業者がその他の試料の使用を可能にする好適な条件を決定することが可能である。
【0970】
患者から組織学的標本を除去し、およびそのような標本に、本発明の、抗CD38抗体などの、標識したCD38BPの組み合わせを提供することによって、インサイチュー検出を遂行してもよい。生物学的試料に本発明の、抗CD38抗体(または断片)などの、標識したCD38BPを適用することによってまたは重層することによって、標識した本発明のCD38BP、抗CD38抗体(または断片)を提供してもよい。そのような手続きの使用を通じて、(例えば、癌細胞の拡散を評価する文脈において)CD38またはCD38断片の存在だけでなく、検査した組織におけるそのようなペプチドの分布も決定することが可能である。本発明を用いて、当業者は、そのようなインサイチュー検出を達成するために(染色手続きなどの)任意の幅広い種類の組織学的方法を改変し得るということに容易に気付くと考えられる。
【0971】
本発明はさらに、本発明のCD38BPの販売および/または使用を促進する方法であって、本明細書の別の場所に記載されているような任意の状態または状態の組み合わせの予防または処置における本化合物の使用に関する情報を(薬局チェーン、処方管理者、保険会社、HMO、病院および病院チェーン、その他の健康管理会社、製薬給付管理会社、潜在的な患者、癌患者、かつての癌患者、寛解期の患者、初期治療を行なう医師、看護師、薬学博士、ならびに/または主要なオピニオンリーダーなどの)潜在的関心対象の任意の個人または団体に(配布され、郵送されるなどの印刷された材料によって、広告文字によって、テレビ番組および広告によって、ラジオ番組および広告によって、インターネットサイト投稿によって、電子メールによって、電話による販売によって、訪問販売または対面販売によって、会議、パネル、フォーラムなどに資金を提供しおよび/または会議、パネル、フォーラムなどを主催することによって、販売員および/もしくは医療/科学連絡係のサービスを利用しならびに/または販売員および/もしくは医療/科学連絡係のサービスについて契約することによって、そのような使用に関連する科学的研究および刊行物などに資金を提供しおよび/またはそのような使用に関連する科学的研究および刊行物などを主催することによってのように)配布する工程を含む方法を提供する。
【0972】
本発明はまた、本発明の化合物の薬学的組成物および使用に関する取扱説明書を含むキットを提供する。本キットはさらに、上記のような免疫抑圧試薬、化学療法薬剤、抗炎症薬剤、もしくは放射能毒性薬剤などの、1つもしくは複数のさらなる薬剤、または1つもしくは複数の(相補的な活性を有するCD38BPなどの)さらなる本発明のCD38BPを含んでもよい。本発明のキットにはまた、診断薬剤および/またはその他の治療薬剤が含まれてもよい。ある態様において、本発明のキットには、本発明のCD38BPおよび対象におけるCD38を発現する細胞が関与する障害の状況または存在を診断するための診断方法において使用し得る診断薬剤が含まれる。ある態様において、キットには、高度に安定な組成物と混合して注射可能な組成物を形成し得る薬学的に許容される担体と組み合わせて(凍結乾燥した形態にあるような)高度に安定な形態にある本発明のCD38BPが含まれる。
【0973】
あたかも各々の参照が、個別的および具体的に参照により組み入れられることが示され、かつ本明細書において完全な形で示されるかのようなのと同じ程度まで、本発明において引用された、刊行物、特許出願、および特許を含む、全ての参照は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【0974】
全ての見出しおよび小見出しは便宜のみのために本明細書において用いられ、および決して本発明を限定するものとして解されるべきではない。
【0975】
本明細書において特に指示しない限りまたは特に文脈上明らかに矛盾しない限り、その全てのあり得る変化形における上記の要素の任意の組み合わせが本明細書によって包含される。
【0976】
本発明を記載する文脈における「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」という用語ならびに同様の指示物の使用は、本明細書において特に指示しない限りまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を含むと解されるべきである。
【0977】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特に指示しない限り、単に該範囲に収まる各々の別々の値に個別に言及する速記法としての役割を果たすよう意図され、および各々の別々の値は、あたかもそれが本明細書において個別に列挙されたかのように明細書に組み入れられる。特に述べない限り、本明細書において与えられる正確な値は全て、対応するおよその値の代表例である(例えば、特定の要因または測定に対して与えられた正確で例示的な値は全て、適当な場合に、「約」によって修正される、対応するおよその測定もまた提供すると考えることができる)。
【0978】
本明細書において特に指示しない限りまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、本明細書において記載された方法は全て、任意の好適な順序で行なうことができる。
【0979】
本明細書において提供された任意のおよび全ての実施例、または例示的な言語(例えば、「などの」)の使用は、単に本発明をより良く照らし出すよう意図され、ならびに本明細書において特に指示しない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言語も、それと同様のことが特に明確に述べられない限り、任意の要素が本発明の実施に不可欠であることを示すように解されるべきではない。
【0980】
本明細書における特許文書の引用および組み入れは、便宜のみのためになされ、ならびにそのような特許文書の妥当性、特許性、および/または執行可能性に関するいかなる見方も反映しない。
【0981】
1つの要素または複数の要素に対して「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、または「含む(containing)」などの用語を用いた本発明の任意の態様の本明細書における記載は、本明細書において特に述べない限りまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、その特定の1つの要素または複数の要素「からなる」、その特定の1つの要素または複数の要素「から本質的になる」、またはその特定の1つの要素または複数の要素「を実質的に含む」本発明の同様の態様に対する支持を提供するよう意図されている(例えば、特定の要素を含むものとして本明細書において記載された組成物は、本明細書において特に述べない限りまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、その要素からなる組成物もまた記載するものとして理解されるべきである)。
【0982】
本発明は、適用可能な法によって許可される最大限の程度まで、本明細書において提示された態様で列挙された対象物の全ての修正および同等物を含む。
【0983】
本明細書において引用された特許、係属特許出願、およびその他の刊行物は全て、完全な形で参照により本明細書に組み入れられる。
【0984】
さらなる限定として解されるべきではない以下の実施例によって、本発明をさらに例証する。
【実施例0985】
実施例1
ルシフェラーゼをトランスフェクトした(ダウディ-luc)細胞の製造
(バーキットリンパ腫が起源である)ダウディ細胞の培養を、10% FCS(Optimum C241, Wisent Inc., St. Bruno, QC, Canada)、2mM L-グルタミン、100 IU/mlペニシリン、100mg/mlストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウム(全てGibco BRL, Life Technologies, Paisley, Scotlandから得られた)を補充したRPMI 1640培地で培養した。週に2回、培地を新たに補給した。トランスフェクションの前に、細胞を分割し、および生存率および最適な増殖を確実にするために1~1.5×106細胞/mlで播種した。
【0986】
ルシフェラーゼトランスフェクション
8.2×106 CD38+ ダウディ細胞を、(10% dFCS, Gibco BRLを補充した)350μl RPMI中に取り上げ、およびエレクトロポレーションキュベット(Biorad, Hemel Hempstead, Herts, UK)に移した。その後、GTS(Aldevron, Fargo, ND, USA)からの40μg gWIZルシフェラーゼおよびピューロマイシン耐性を付与する、10μg pPurベクター(BD Biosciences, Alphen a/d Rijn, The Netherlands)を添加した。氷上で10分間細胞を静置した後、細胞をエレクトロポレーションした(250V, 950μF;Gene Pulser II, Biorad Laboratories GmbH, Munchen, Germany)。細胞を再び氷上で静置し、および(10% FCSを補充した)40ml RPMI中に取り上げた。その後、細胞を96ウェル組織培養プレートに全てプレーティングした(ウェル当たり100μl)。48時間後、ピューロマイシン(最終濃度:1μg/ml;Sigma-Aldrich Chemie BV, Zwijndrecht, The Netherlands)を添加した。ピューロマイシン耐性クローンを、24ウェル組織培養プレートでさらに増殖させた。
【0987】
ルシフェラーゼ活性の決定
ルシフェラーゼアッセイ系(#E4030, Promega, Madison, WI, USA)を用いて、細胞のルシフェラーゼ活性を決定した。1×105細胞をエッペンドルフ遠心分離機で遠心分離し(13.500rpm, 1分)、およびペレットを100μl PBS中で洗浄した。遠心分離(13.500rpm, 1分)後、ペレットを20μlレポーター溶解緩衝剤(Promega)で溶解し、凍結および融解した。遠心分離(13,500rpm, 1分)後、20μl上清を廃棄し、および100μlルシフェラーゼアッセイ試薬を(特別のルミノメーターチューブ, Promegaに)添加した。ルミノメーター(LB9507, Berthold, Vilvoorde, Belgium)の中で発光を測定した(10秒)。
【0988】
実施例2
マウスの免疫およびハイブリドーマの作製
-003に関する免疫プロトコル
HCo12マウスを、2週間毎に20μg精製HA-CD38で免疫した。最初の免疫を、100μl完全フロイントアジュバント(CFA)と混合した、100μl PBSの存在下でi.p.で行なった。この最初の免疫の後、その後の精製HA-CD38によるブースト(×13)を、100μl不完全フロイントアジュバント(IFA)と混合した、100μl PBSの存在下で、s.c.およびi.p.を交互にして行なった。力価の発展後、マウスを、PBA中の20μg HA-CD38で、i.v.でブーストした。
【0989】
-005および-024に関する免疫プロトコル
HCo12マウスを、2週間毎にNIH-3T3-CD38トランスフェクト細胞と交互にして20μg精製HA-CD38で免疫した。最初の免疫を、100μl CFAと混合した、100μl PBS中の5×106細胞で、i.p.で行ない、HA-CD38による2回目およびそれに続く免疫を、100μl IFAと混合した、100μl PBSの存在下で、s.c.で行なった。トランスフェクト細胞によるそれに続く免疫を、200μl PBSの存在下で行なった。力価の発展後、マウスを、PBA中の20μg HA-CD38で、i.v.でブーストした。
【0990】
CD38に対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
マウス脾臓細胞をHCo12マウスから単離し、および標準的プロトコルに基づいてPEGでマウス骨髄腫細胞株に融合させた。その後、結果として得られるハイブリドーマを、ELISAによってヒト抗体産生について、ならびにFACS解析によるヒトCD38トランスフェクトNS/0細胞およびELISAによる組換えHA-CD38タンパク質結合を用いて、CD38特異性についてスクリーニングした。それぞれ、-003、-005、および-024という、ヒトモノクローナル抗CD38抗体を発現する3つのハイブリドーマ細胞株を選択した。
【0991】
実施例3
CD38によるNIH細胞のトランスフェクション
NIH-3T3-CD38細胞を産生するためのベクター(pclpuroCD38)をM. Glennie教授(Tenovus Research Laboratory, Southampton General Hospital, Southampton, UK)から得た。NIH-3T3細胞(DSMZ、ACC 59;150,000細胞/ウェル;0.5ml;96ウェル平底プレート、Greiner)を(グルコース[4.5g/l]、10% FCS、L-グルタミン、ピルビン酸Na;BioWhittakerを補充した)DMEM中で24時間培養した。その後、DNA(0.8μg)およびリポフェクトアミン(Invitrogen, Breda, The Netherlands)をDMEM中で希釈し、ならびに混合した(20分、室温)。その後、混合物(100μl)を各ウェルに添加し、およびインキュベートした(終夜、37℃)。
【0992】
CD38発現についてのスクリーニング
NIH-3T3-CD38細胞を(1ml PBS中で)洗浄し、およびトリプシン処理した(200μl、トリプシン-EDTA、BioWhittaker)。その後、1mlのDMEMを添加し、および混合物をピペッティングしてFACSチューブに入れた。遠心分離後(1200rpm、5分)、細胞をFACS緩衝剤(FB;PBS、0.05% BSA、0.02% NaN3)で洗浄し、および1ml FB中で再懸濁した。遠心分離後(1200rpm、5分)、上清を除去し、およびマウス抗ヒトCD38-PEを添加した(1/50希釈、Sanquin、Amsterdam、The Netherlands)。細胞をFB中で2回洗浄した後、フローサイトメトリーによる取得のために細胞をFB中で再懸濁した。
【0993】
拡大および選択
トリプシン処理後、細胞を(グルコース 4.5g/l、2mM L-グルタミン、およびピューロマイシン(2μg/ml) BioWhittakerを補充した)DMEM中のT25フラスコ(Greiner)に移した。ピューロマイシン含有培地にして2週間後、フローサイトメトリーによってピューロマイシン耐性細胞を安定なCD38発現について検査した。NIH-3T3-CD38選択細胞を限界希釈によってサブクローニングした。これらの細胞を拡大した後、15のNIH-3T3-CD38クローン全てをCD38発現についてスクリーニングした。CD38high NIH-3T3-CD38細胞を、使用するまで液体窒素(-80℃)で凍結した。
【0994】
NIH-3T3-CD38細胞の培養
細胞を(グルコース(4.5g/l)、10% FCS、2mM L-グルタミン、ピルビン酸Na、ペニシリン、ストレプトマイシンを補充した)DMEM中で培養した。トリプシン/EDTAの使用によって週に2回、細胞を継代し、および1×106細胞/T75フラスコの濃度で播種した。CD38high NIH-3T3-CD38細胞を、使用するまで液体窒素(-80℃)で凍結した。
【0995】
HA-CD38抗原の精製
セファロース4B(Amersham Bioscience, Uppsala, Sweden)を抗CD38抗体(Serotec, Oxford, UK)と結合した。カラム(カラムチューブHR5/20を12cmベッド高まで詰めた、カラム容量2.4ml;最大流速0.5ml/分)を、少なくとも5カラム容量(CV)のPBSで平衡化した。試料を濾過し、およびカラムに充填した。シグナルがベースラインに戻るまで、PBSでカラムを洗浄した(およそ3CV)。pH 2の0.1Mグリシンで溶出を実行した。1%(v/v) 2M Tris-HCl、pH 9で溶出画分を中性化した。
【0996】
抗CD38抗体の精製
ヒト抗CD38抗体を組織培養上清から精製した。最初に、上清を0.20μMデッドエンドフィルターに通して濾過した。その後、上清を5mlプロテインAカラム(rProtein A FF, Amersham Bioscience)に充填し、0.1Mクエン酸-NaOH、pH 3で溶出した。溶出物を2M Tris-HCl、pH 9で直ちに中性化し、および12.6mMリン酸ナトリウム、140mM NaCl、pH 7.4に対して終夜透析した(B. Braun, Oss, The Netherlands)。透析後、試料を0.20μMデッドエンドフィルターに通して滅菌濾過した。
【0997】
His-CD38バッチの精製
本タンパク質は、CD38の細胞外ドメインの配列を含むDNA構築物を有する、His-CD38発現細胞の細胞培養上清に存在する。付加的なポリHisタグ配列が構築物に含まれ、かつ本タンパク質のN末端に存在する。このタグによって、固定化した金属親和性クロマトグラフィーによる精製が可能になる。この過程において、クロマトグラフィー樹脂上に固定されたキレート剤はCo2+によって電荷を帯びている。実際、6つのヒスチジンアミノ酸を含む配列は、Co2+に強く結合する。それゆえ、Hisタグ付きCD38タンパク質はそのようなカラムに強く結合し、一方培養上清中に存在するその他のタンパク質はカラムを通して流れ出ると考えられ、または洗い流されると考えられる。その後、強く結合した、Hisタグ付きCD38タンパク質を、HisのCo2+への結合と競合する、イミダゾールを含む緩衝剤で溶出する。十分なHis-CD38を精製したら、脱塩カラムによる緩衝剤交換によって、溶出物を本タンパク質から除去する。
【0998】
実施例4
CD38トランスフェクトCHO(CHO -CD38)細胞、ダウディ-luc細胞、および新鮮な多発性骨髄腫(MM)腫瘍細胞への-003、-005、および-024の結合
採取および計数の後、ダウディ-luc細胞、CD38をトランスフェクトしたCHO細胞、および対照CHO細胞をPBS中で再懸濁した(1×10
6細胞/ml)。その後、細胞を96ウェルV底プレート(100μl/ウェル)に置き、およびPBS-BSA(0.1% BSAおよび0.02%アジ化Naを補充したPBS)中で2回洗浄した。その後、PBS-BSA中の50μl抗体溶液を細胞に添加した(4℃、30分)。PBS-BSA中で3回洗浄した後、PBS-BSA中の50μl(1:400希釈)のウサギ抗ヒトIgG-FITC抗体溶液を添加した(4℃、暗所で30分)。細胞を3回洗浄し、およびCHO- CD38細胞およびダウディ-luc細胞へのCD38抗体の特異的結合をフローサイトメトリーで検出した。HuMab-KLH(本明細書の別の場所に記載された免疫プロトコルの使用によりGenmab B. V., Utrecht, The Netherlandsによって作製されたKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に対するヒトモノクローナル抗体)を対照として用いた。
図1および2は、EC
50は異なるが、-003、-005、および-024がCHO-CD38細胞およびダウディ-luc細胞に結合することを示している(表1)。対照CHO細胞への結合は観察されなかった(データは示さない)。
【0999】
新鮮なMM腫瘍細胞をLokhorst博士(Universuty Medical Center Utrecht, Utrecht, The Netherlands)から得た。腫瘍細胞を多発性骨髄腫患者の骨髄からフィコール(BioWhittaker;リンパ球分離培地、カタログ17-829E)勾配遠心分離で単離した。採取および計数の後、MM細胞(100,000細胞/ウェル)を25μl FITC標識CD38特異的抗体および25μl CD138で再懸濁した。インキュベーション(4℃、30分)後、細胞をPBS-BSA中で洗浄し、およびPE標識ヤギ抗マウスIgG(1:200;Jackson ImmunoReseach Europe Ltd. Soham, UK)を添加した。インキュベーション(4℃、30分)およびPBS-BSA中での洗浄後、フローサイトメトリーで蛍光を測定した。
【1000】
図3は、-003、-005、および-024がMM細胞に結合することを示している。
【1001】
(表1)CHO-CD38細胞、ダウディ-luc細胞、および新鮮なMM腫瘍細胞上の抗CD38抗体の結合のEC
50値
【1002】
実施例5
抗体依存性細胞介在性細胞毒性
ダウディ-luc細胞、新鮮な多発性骨髄腫腫瘍細胞、新鮮な形質細胞白血病腫瘍細胞、ならびにJK6LおよびAMO-1多発性骨髄腫細胞(5×106細胞)を、100μCi 51Cr(クロミウム-51;Amersham Biosciences, Europe GmbH, Roosendaal, The Netherlands)を添加した、RPMI++(10% cosmicウシ血清(HyClone, Logan, UT, USA)を補充したRPMI 1640培地)中に回収し、ならびに混合物を37℃水槽で1時間インキュベートした。細胞の洗浄(PBS中で2回、1500rpm、5分)後、細胞をRPMI++中で再懸濁し、およびトリパンブルー排出によってカウントした。細胞を1×105細胞/mlの濃度にした。
【1003】
エフェクター細胞の調製
新鮮な末梢血単核細胞(健常ボランティア, UMC Utrecht, Utrecht, The Netherlands)を、製造元の取扱説明書に従って、フィコール(BioWhittaker;リンパ球分離培地、カタログ17-829E)によって40mlのヘパリン血液から単離した。RPMI++中での細胞の再懸濁の後、トリパンブルー排出によって細胞をカウントし、および1×107細胞/mlの濃度にした。
【1004】
ADCCセットアップ
50μlの51Cr標識した標的細胞をピペッティングして96ウェルプレートに入れ、50μlの抗体を添加し、RPMI++で希釈した最終濃度10、1、0.1、0.01μg/ml)。細胞をインキュベートし(室温、15分)、および50μlエフェクター細胞を添加し、100:1というエフェクター 対 標的比を結果的にもたらした(最大溶解の決定のために、エフェクター細胞の代わりに、100μl 5%Triton-X100を添加し;自然溶解の決定のために、50μl標的細胞および100μl RPMI++を用いた)。細胞をスピンダウンし(500rpm、5分)、およびインキュベートした(37℃、5% CO2、4時間)。細胞をスピンダウンした後(1500rpm、5分)、100μlの上清を採取してマイクロニックチューブに入れ、およびγカウンターでカウントした。パーセンテージ特異的溶解を以下のように計算した:
(cpm試料 - cpm標的細胞のみ)/(cpm最大溶解 - cpm標的細胞のみ)、式中cpmはカウント毎分である。
【1005】
ダウディ-luc細胞において(
図4および表2)、-003、-005、および-024は、ADCCによる溶解を誘導し、ならびに-003および-005は、リツキシマブ(抗CD20 mAb)よりわずかに性能が良い。興味深いことに、(H. Lokhorst博士, UMCU, The Netherlandsから得られた)新鮮な多発性骨髄腫腫瘍細胞を標的細胞として用いる場合、ADCCは-003、-005、および-024によって誘導される(
図5Aおよび表2)。
【1006】
(表2)ADCCにおいて得られたCD38特異的抗体のEC
50値
【1007】
ヒト末梢血単核細胞Erlangenのエンリッチメント
ヒトボランティア(university Erlangen, Erlangen, Germany)由来のヒト血液をRPMI 1640中で2回希釈し、および血液細胞をフィコール上に重層した(リンパ球分離培地1077g/ml、710g、室温、20分;BioWhittaker, Cambrex Bio Science Vervier, Verviers, Belgium, カタログ. 17-829E, ロット番号. 0148 32)。末梢血単核細胞(MNC)を界面から回収し、洗浄し、および(全てBioWhittakerに由来する)10% FCS、2mM L-グルタミン、5U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI 1640培地中で再懸濁し、そこに25mM HEPES(BioWhittaker)を添加した。
【1008】
ADCCセットアップII
標的B細胞(T. Valerius博士, University of Erlangen, Erlangen, Germanyから得られた、新鮮な形質細胞白血病腫瘍細胞、JK6L、およびAMO-1 B細胞株)を20μCi 51Cr(Amersham Biosciences, Uppsala, Sweden)で2時間標識した。RPMI-10中での大規模な洗浄の後、細胞を1×105細胞/mlに合わせた。MNC(50μl)、感作抗体(50μl)、およびRPMI-10(50μl)を丸底マイクロタイタープレート(Greiner Bio-One GmbH, Frickenhausen, Germany)に添加した。新鮮な形質細胞白血病腫瘍細胞、JK6L、およびAMO-1細胞(50μl)を添加し、200μlの最終容量にすることによって、アッセイ法を開始した。40:1というエフェクター 対 標的比(E:T)を用いた。インキュベーション後(3時間、37℃)、遠心分離によってアッセイを停止し、および3通り由来の51Cr放出をシンチレーションカウンターでカウント毎分(cpm)で測定した。細胞性細胞毒性のパーセンテージを以下の公式を用いて計算した:
%特異的溶解=(実験cpm - 基礎cpm)/(最大cpm - 基礎cpm)×100
最大51Cr放出は過塩素酸(3%最終濃度)を標的に添加することにより決定し、ならびに基礎放出は感作抗体およびエフェクター細胞の非存在下で測定した。
【1009】
両方の多発性骨髄腫細胞株(すなわち、JK6LおよびAMO-1)において、CD38発現が低い場合(AMO-1細胞株)でも、溶解が-003および-005の両方によって誘導された(
図6および7)。
【1010】
-003、-005、および-024は形質細胞白血病初代腫瘍細胞のADCCを誘導した(
図5B)。
【1011】
実施例6
補体依存的細胞毒性
ダウディ-luc細胞の採取および計数の後、細胞の生存率は≧90%であるべきである。洗浄(PBS)後、細胞をRPMI-B(1% BSAを補充したRPMI)中で2.0×106細胞/mlで再懸濁する。その後、細胞を96ウェル丸底プレートに1.0×105細胞/ウェル(50μl)で置く。その後、50μl抗体をウェルに添加する(0~100μg/mlの間の最終濃度範囲(RPMI-B中で3倍希釈))。インキュベーション後(室温、15分)、11μlのプールしたヒト血清(18人の健常ドナーのプール)を各ウェルに添加した(37℃、45分)。ウェルを1回再懸濁し、および120μlをFACSチューブ(Greiner)に移した。その後、10μlヨウ化プロピジウム(PI;Sigma-Aldrich Chemie B. V.)をこの懸濁に添加した(10μg/ml溶液)。(PI陽性細胞に対応する)死細胞のパーセンテージの測定によってフローサイトメトリー(FACScalibur(商標), Becton Dickinson, San Diego, CA, USA)で溶解を検出した。
【1012】
図8および表2は、ダウディ-luc細胞の溶解が-005によって誘導されること(~60%最大溶解)、および-003による溶解が非常に高い抗体濃度でのみ見られることを示している。-024はダウディ細胞におけるCDCを誘導しない(データは示さない)。CHO-CD38細胞において、溶解は、-003、-005、および-024の両方によって誘導される(
図9および表3)。-003による溶解はより高い濃度で誘導される。異なるMM患者(A:3%難治性腫瘍細胞、B:9%難治性腫瘍細胞、C:30~40%腫瘍細胞、およびD:70%腫瘍細胞)から得られた、(全てLokhorst博士およびBloem博士、University Medical Center Utrecht, The Netherlandsから得られた)腫瘍細胞において、CDC介在性溶解は、-005の存在下では観察されるが、-003の存在下では観察されない(
図10)。-024もMM腫瘍細胞の溶解を誘導した(
図10E)。
【1013】
(表3)CDCにおいて得られたCD38特異的抗体のEC
50値
【1014】
実施例7
FACSを用いた交差遮断の検討
CHO-CD38細胞を過剰の非標識CD38特異的抗体とインキュベートした(4℃、15分)。その後、細胞をFITC標識CD38特異的抗体(濃度はEC
90に近い、4℃、45分)とインキュベートした。PBS-BSAで細胞を2回洗浄した後、フローサイトメトリーで蛍光を測定した。
図11は、非標識-003はFITC標識-003の結合を遮断するが、FITC標識-005の結合は遮断されないことを示している。また、非標識-005はFITC標識-005の結合を遮断するが、FITC標識-003の結合は遮断されない。それらは結合について競合しないので、-003および-005は異なるエピトープに結合する。
【1015】
実施例8
ELISAを用いた交差遮断の検討
可溶型ヒトCD38をELISAプレートの表面上にコーティングする。コーティングしたCD38を過剰の非標識CD38特異的抗体と約15分間インキュベートし、その後ビオチン化CD38特異的抗体を添加する(濃度はEC90に近い、室温、1時間)。PBS/Tweenで3回洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートしたストレプトアビジンを添加し、および混合物を1時間室温でインキュベートする。複合体は、ABTS溶液の添加により検出することができ、およびHRPを介する基質変換は、OD 405nmでELISA読取機を用いて測定する。
【1016】
実施例9
サンドイッチELISAを用いた交差遮断の検討
CD38特異的抗体をELISAプレートの表面上にコーティングする。プレートに結合した抗体を流体相中で過剰のCD38特異的抗体の存在下でビオチン化可溶型CD38とインキュベートする。PBS/Tweenで洗浄した後、結合したビオチン化CD38を、1時間室温で、HRPコンジュゲートしたストレプトアビジンにより検出する。この複合体は、(PBS/Tweenで洗浄した後)ABTS溶液の添加により検出することができ、およびHRPを介する基質変換は、OD 405nmでELISA読取機を用いて測定する。
【1017】
実施例10
免疫組織化学によるヒト組織のパネルとの反応性およびカニクイザル組織との交差反応性
(H. Niessen博士, Free University Medical Center, Amsterdam, The Netherlandsから得られた)凍結ヒト組織由来切片およびサル組織(Inveresk Research, Glasgow, Scotland)を6μmで切り、および終夜風乾した。これらのクライオスタット切片をアセトン中で固定し(室温、10分)、および風乾した(およそ5分)。その後、内在性ペルオキシダーゼを遮断するために、切片を0.1% H2O2(pH 5.8;Sigma)を含む1×クエン酸/リン酸緩衝剤とインキュベートした。室温で20分後、切片をPBSおよび0.05% Tween-20(PBST、室温、5分;Riedel de-Haen, Germany)で2回洗浄した。その後、切片をアビジンとインキュベートし(室温、15分;DAKO, Glostrup, Denmark)、PBSTで2回洗浄し、および内在性ビオチンを遮断するためにビオチンとインキュベートした(室温、15分;DAKO)。切片をPBSTで2回洗浄した後、切片をPBST++(10%ヒト血清(NHS, CLB, Amsterdam, Netherlands)および10%正常ヤギ血清(NGS;DAKO)を補充したPBST)でプレインキュベートした(室温、20分)。プレインキュベーション血清を吸い取った後、切片を指示された濃度で2% PBST++中で希釈したFITC標識した1次抗体とインキュベートした(室温、60分)。その後、切片を2% PBST++中でウサギ抗FITC(1:1000;DAKO)とインキュベートした(室温、30分)。切片をPBSTで洗浄した後、切片を2% PBST++中でヤギ抗ウサギビオチン(1:400;DAKO)とインキュベートした(室温、30分)。その後、切片を洗浄し、および2% PBST++中でSABC-HRP(1:100;DAKO)とインキュベートした(室温、30分)。切片をPBST中で2回洗浄した後、それらをアミノエチルカルバゾル(AEC)現像溶液(50mM酢酸緩衝剤、pH 4.9、0.01% H2O2;Riedel-de-Haen)とインキュベートした(室温、10分)。最後に、切片をミリポアH2O中(5分)で洗浄し、およびヘマトキシリン(DAKO)で対比染色した。グリセロールの使用(37℃)によって、切片をカバースリップで固定し、および光学顕微鏡(Axiovision-2;Zeiss, Thornwood, NY, USA)で検討した。
【1018】
横紋筋(筋細胞、
図12Cおよび13C)、マクロファージ、リンパ球、および形質B細胞(
図12Aおよび13A)だけでなく、気管上皮も-003および-005で染色される(
図12Bおよび13B)。-024は横紋筋および気管上皮の同様の染色を有するが、染色はより強くない。-003(
図14D)、-005(14E)、または-024(データは示さない)のいずれによっても、内皮細胞の染色は観察されないが、内皮細胞マーカーCD31(
図14A)およびvWF(14B)に対する陽性対照抗体により明らかな染色が観察された。抗KLHを陰性対照として用いた(
図14C)。-003(
図12D)および-024(データは示さない)はカニクイザルリンパ球様組織と交差反応するが、-005(
図13D)は交差反応しない。
【1019】
実施例11
フローサイトメトリーによるカニクイザルおよびアカゲザル末梢血単核細胞(PBMC)との交差反応性
4.5mlショック緩衝剤(1.7mM NH4CL、1mM EDTA)、40ml H2O、および450μl 10% KHCO3を添加することによって、5mlのカニクイザル末梢血(Inveresk Research)を溶解した。溶血後、細胞を遠心分離し(1200rmp、10分)、およびPBS中で3回洗浄した。トリパンブルーで細胞をカウントした後、細胞をPBS-BSA中で再懸濁した(1×106細胞/ml)。
【1020】
17.5mlのアカゲザル末梢血(BPRC, Rijiswijk, The Netherlands)をRPMI 1640で1:1に希釈し、フィコール(1.077g/ml;BioWhittaker, カタログ.17-829E, ロット番号0148 32)上に重層した。遠心分離後(710g、室温、20分)、界面を回収し、およびRPMI中で2回洗浄した。最後の洗浄後、細胞を1×105細胞/50μl の濃度でRPMI 1640中で再懸濁した。
【1021】
細胞を96ウェルプレートに移し(100,000 PBMC/ウェル)、FACS緩衝剤(PBS、0.05% BSA、0.02% NaN3)中で洗浄し、および1次抗体とインキュベートした(4℃、30分)。PBS-BSA中で洗浄後、50μl FITC標識rb抗hIgG(DAKO, Glostrup, Denmark)を添加した(4℃、30分)。最終的に、細胞をFACSチューブ中に150μlの総容量で回収した。FACScalibur(商標)(Becton Dickinson, San Diego, CA, USA)の使用により、試料を測定および解析した。
【1022】
フローサイトメトリーによって、カニクイザルリンパ球(
図15A)および単球(
図15B)に対する-003の交差反応性は示されたが、-005の交差反応性は示されなかった。アカゲザルにおいても、単核細胞に対する-003の交差反応性は観察されたが、-005の交差反応性は観察されなかった(
図15C)。
【1023】
実施例12
内在化実験
CHO-CD38細胞を飽和濃度のFITC標識CD38特異的抗体で染色した(氷上、30分)。(10% FCSを補充したRPMI 1640中での)細胞の洗浄後、一方の細胞プールを内在化させるために37℃まで温め、および他方のプールを氷上に放置した。数分の間隔(0~120分)で、細胞アリコートを取り、および氷冷PBS-BSAに移して内在化を停止させた。試料をPBS-BSAで2回洗浄した後、EtBr(PBS-BSAで希釈した、最終濃度2mg/ml)を試料に添加し、膜に結合したFITCをクエンチングさせた。蛍光をフローサイトメトリーで測定した。
【1024】
図16Aおよび16Bは、-003および-005が37℃で5分以内にCHO-CD38によって内在化されることを示している。
【1025】
実施例13
インビボSCIDルシフェラーゼ実験
このモデルでは、腫瘍細胞にホタルルシフェラーゼをトランスフェクトする。マウスへのルシフェリン(Molecular Probes, Leiden, The Netherlands)の投与により、高感度CCDカメラを用いた生物発光画像撮影によって標識細胞をインビボで検出することができ、Wetterwald et al., American Journal of Pathology 160(3), 1143-1153(2002)を参照されたい。
【1026】
ダウディ細胞にGene Therapy Systems(San Diego, CA)からのgWIZルシフェラーゼをトランスフェクトし、および10% FCS、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム、および1μg/mlピューロマイシン(Sigma)入りのRPMI中で培養した。細胞を、ルシフェラーゼ発現(RLU/1×105細胞で表される)についてはルミノメーターで、およびCD38についてはFACSで解析した。2.5×106ルシフェラーゼトランスフェクトダウディ細胞/マウスをSCIDマウスにi.v.で注射した。マウスを-003、-005、アイソタイプ対照抗体(HuMab-KLH)、またはリツキシマブ(抗CD20抗体)で処置した。抗体を腹腔内に注射した。4つの処置設定を用いた(表4参照)。予防設定においては、抗体(100μg/マウス)および細胞を同時に投与した。治療設定Iにおいては、抗体(300μg/マウス)を細胞の投与後7日目に投与した。治療設定IIにおいては、抗体(10μg/マウス)を細胞の投与後14日目に投与した。治療設定IIIにおいては、抗体(100μg/マウス)を細胞の投与後7日目に投与した。画像撮影のために、ケタミン/キシラジン/アトロピンの混合物の腹腔内注射によって、マウスを麻酔した。合成D-ルシフェリン(ナトリウム塩、Molecular Probes)を25mg/mlの用量でi.p.で与えた。その後、マウスを軽くて堅い箱の中に置き、および3分後、液体窒素で冷やしたCCD検出器であるVersArray 1300B(Roper Scientific)を用いて画像撮影を開始した。ルシフェラーゼから放射される光子を、5分の曝露期間にわたってカウントした。照明の下で、参照のために黒および白の画像を作った。データ回収および画像解析のために、MetaVueソフトウェア(Universal Imaging Corp)を用いた。GraphPad PRISM 3.02版(Graphpad Software Inc)を用いて、ニューマン-クールズ事後検定による分散の一方向解析を用いて、グループ間の違いの統計的有意性を立証した。
【1027】
(表4)インビボルシフェラーゼ実験のための処置設定
【1028】
図17Aおよび17Bは、-003および-005が、抗CD20抗体について観察された阻害と同様に、予防設定および治療設定Iにおいて腫瘍細胞の増殖を阻害することを示している。両抗体ともアイソタイプ対照抗体よりも有意に良好に機能を果たす。また、治療設定IIにおいて、CD38抗体はダウディ-luc腫瘍細胞の増殖の速度を落とす(
図17C)。治療設定IIIにおいて、-003および-024は、ダウディ-luc腫瘍細胞増殖の明らかな阻害を示す(
図17D)。
【1029】
実施例14
アポトーシス
製造元の取扱説明書に従って、アポトーシスアッセイ法を実行した(アネキシン-V-アポトーシスキット, BD Biosciences, Alphen a.d. Rijn, Netherlands)。手短に述べると、CD38 mAbを、5μg/ml -003または-005または抗CD20抗体の濃度で、単独でまたは交差遮断rb-抗hIgG(50μg/ml)の存在下で、2.5×105細胞(0.5ml RPMI++を含む24ウェルプレート中の、ルシフェラーゼトランスフェクトダウディ細胞)に添加した。
【1030】
インキュベーション(37℃、5% CO2、20時間)後、細胞を注意深く採取し、および結合緩衝剤で洗浄した(1200rpm、4℃、5分、BD Biosciences)。ペレットを100μl結合緩衝剤で再懸濁した。その後、5μlアネキシン-V-FITC(BD Biosciences)および10μl PI(BD Biosciences)を懸濁に添加し、ならびに室温で15分間インキュベートした。400μl結合緩衝剤を添加し、および試料を測定した(FL2におけるPI読み出し)。アポトーシス細胞の解析のために、CellQuestプロソフトウェア(BD Biosciences)付きのFACScaliburフローサイトメーターを用いたフローサイトメトリーによって、全てのアネキシン-V陽性細胞をカウントした。解析用に、少なくとも10,000事象を回収した。この集団にはPI陽性細胞だけでなくPI陰性細胞も両方含まれる。
【1031】
図18は、-003および-005がアポトーシスを誘導しないことを示している。しかしながら、クロスリンク後、標的細胞のアポトーシスが観察される。-003は、クロスリンク後、抗CD20抗体(リツキシマブ)によって誘導されるアポトーシスと同様のアポトーシスを誘導した。-005は、クロスリンク後、アポトーシスを誘導することがあまりできなかった。標的細胞としてのRAMOS細胞で同様の結果が得られた(データは示さない)。
【1032】
実施例15
RA-SCIDマウスモデルにおける組織移植片B細胞に対する-005の効果
滑膜組織の移植
Charles River Laboratories Nederland(Maastricht, the Netherlands)から購入した、系統C. B.-17/IcrCrl-SCID-bg、オス/メス、4~12週である、SCIDマウスを標準的条件の温度および照明の下でIVCケージの中で飼い、ならびに不断で実験室食および水を与えた。移植前に、1:1の比のケタミン(NIMATEK, EuroVet)およびキシラジン(Rompun, Bayer)の腹腔内注射によって、マウス(0日目、各実験群において3匹のマウス)を麻酔した。手術バサミを用いて皮膚の小さい切開を作った。関節交換手術を行なっている関節リウマチを有する患者由来の炎症を起こした滑膜組織を、マウスの各々の脇腹に6つの小さい断片(合計2~3mm3)の塊として皮下に移植した。傷はPermacolシアノアクリレート接着剤を用いて閉じた。実験の1日目に、炎症を起こした滑膜移植物中のB細胞を調べるために、残りの滑膜組織を解析した。実験の8日目に200μlの容量で、-005(12mg/kg)または対照抗体(抗KLH、30mg/kg)を(i.v.)注射した。実験の最後(14日目)に、マウスをCO2吸入によって屠殺し、および滑膜移植片を外植した。1つの移植片をさらなる免疫組織化学的解析用にOCT化合物(TissueTek, Sacura Finetek Europe)中で即座に凍結し、および別の移植片をさらなるRNA解析用に液体窒素中での浸漬によって凍結した。
【1033】
免疫組織化学
LEICA CM1900クライオスタットを用いてSuperFrost(Menzel GmbH, Braunschweig)スライド上の5μM凍結切片を調製し、および-80℃で保存した。融解した切片をアセトン中で10分間固定し、室温で乾燥させ、およびPBS中で3×5分洗浄した。全ての工程を室温で行なった。20分間、0.3%過酸化水素および0.1%アジ化ナトリウムを補充したPBSとのインキュベーションによって、内在性ペルオキシダーゼ活性を遮断した。スライドをPBS中で3×5分洗浄し、およびPBS/1% BSA中の10%正常ヒト血清(NHS)/10%正常ウサギ血清(NRbS)と30分間インキュベートした。次に、1% BSA/10% NHS/10% NRbSを補充したPBS中で希釈した1次抗体(マウスmAb)を60分間インキュベートした。PBS中での3×2分の洗浄後、(1% BSA/10% NHS/10% NRbSを補充した)PBS中で1:50に希釈したHRPコンジュゲート(ヤギ抗マウスIg-HRP;DAKO P0447)を30分間添加した。ペルオキシダーゼシグナルは、TSA(商標)ビオチン系(Perkin Elmer Life Sciences, NEL700)を用いて増強した。スライドをPBS中で3×2分洗浄し、および増幅緩衝剤中で1:1600に希釈したビオチニルチラミドと30分間インキュベートした。PBS中での3×2分の洗浄後、(1% BSAを補充した)PBS中で1:400に希釈したストレプトアビジン-HRPを30分間添加した。スライドをPBS中で3×2分洗浄し、およびDAB溶液(DAKO Cytomation K3465)と5分間インキュベートした。呈色反応は蒸留水で停止させた。最後に、スライドをヘマトキシリン(MERCK)で対比染色し、流水で洗浄し、ならびにカイザーのグリセリンおよびカバースリップで覆った。
【1034】
染色強度の得点化
染色した滑膜組織異種移植片の得点化は、2人の熟練の人によって盲検様式で行なわれた。最初に最も強い切片を一連の切片より選択し、およびこの参照切片に最高得点8を与えた。その後、その他の切片における染色強度を、参照切片と比べて、0~8の等級で得点化した。
【1035】
統計解析
染色強度の得点化をクラスカル-ワリス一方向ANOVAによって解析し、続いてGraph Pad Prism第4.01版(Graph Pad Software Inc., San Diego, CA, USA)を用いてダンの多重比較検定を行なった。
【1036】
図19および
図21は、-005による処置後、抗CD38陽性形質細胞の数が低下することを示している。抗CD138による形質細胞の染色によって、-005が形質細胞の数の低下を結果的にもらたすことが確認されている(
図20および22)。
【1037】
実施例16
CD38に対するヒト抗体のコーディング配列のシークエンシング
RNA調製
製造元のプロトコルに従って、RNeasyキット(Qiagen, Westburg, Leusden, Netherlands)で、5×106細胞の抗体-003、-005、および-024をそれぞれ発現するハイブリドーマ細胞株から全RNAを調製した。
【1038】
-003、-005、および-024のcDNA調製
製造元のプロトコルに従って、SMART RACE cDNA増幅キット(Clontech)を用いて、100ng全RNAからRNAの5'RACE相補的DNA(cDNA)を調製した。
【1039】
オリゴヌクレオチドは、Isogen Bioscience(Maarssen, The Netherlands)によって合成および定量化された。プライマーを100pmol/μlまでH2O中で溶解し、および-20℃で保存した。全てのPCRおよびシークエンシングプライマーのまとめを一覧にした(表5)。PCRのために、製造元の取扱説明書に従って、PfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼ(Stratagene, Amesterdam, The Netherlands;製品#600322)を用いた。各反応混合物には、30μlの総容量の(ポリメラーゼを補充した)PCR反応緩衝剤中に、200μM混合dNTP(Roche Diagnostics, Almere, The Netherlands;製品#1814362)、12pmolのリバースプライマー(VH3003-005用のRACEG1A1、VH3003-003用のRACEVHApaI、ならびにVH3003-003およ-005用のRACEVLBsiWI)、7.2pmol UPM-混合物(UPM-混合物:2μM短UPMH3および0.4μM長UPMH3)、0.6μlの5'RACE cDNA鋳型、および1.5ユニットのPfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼが含まれた。35サイクルプログラムを用いてTGradient Thermocycler 96(Whatman Biometrta, Goettingen, Germany;製品# 050-801)によってPCR反応を実行した:95℃で2分間の変性;35サイクルの95℃ 30秒間、55℃ 30秒間、および72℃ 1.5分間;72℃で10分間の最終伸長。適当な場合、さらなる解析または処理まで、PCR混合物を4℃で保存した。
【1040】
【1041】
pGEMT-ベクター系IIにおける-003-2F5 V
H
およびV
L
ならびに-005 V
L
ならびに-024 V
H
およびV
L
のクローニング
反応産物を1% TAEアガロースゲル上での電気泳動によって分離し、およびエチジウムブロマイドで染色した。正確なサイズのバンドをゲルから切り出し、およびQiaexIIゲル抽出キット(Qiagen, カタログ番号20021)を用いて、DNAをアガロースから単離した。
【1042】
200μl dATPおよび2.5ユニットAmplitaq(Perkin Elmer)との10分72℃のインキュベーションによって、ゲルから単離されたPCR断片にA尾部を付け、およびminieluteカラム(Qiagen)を用いて精製した。pGEMT easyベクター系IIキットおよびプロトコル(LJ270, 3/4頁)を用いて、A尾部のあるPCR断片をpGEMTeasyベクター(Promega)にクローニングした。2μlのライゲーション混合物をOneShot DH5αT1Rコンピテント大腸菌(Invitrogen)に形質転換し、およびLB/Amp/IPTG/Xgalプレートにプレーティングした。
【1043】
シークエンシング
それぞれ20(VH-003)、16(VL-003)、15(VL-005)、ならびに6(VHおよびVL-024)の白コロニーを拾い、プラスミドを単離し、ならびにM13リバースプライマーでシークエンシングした後、AGOWA(Berlin, Germany)によってV-領域-003および-024、ならびに-005 VL領域を配列決定した。-005 VH領域は、プライマーHCseq5を用いることによって直接PCR産物で配列決定した。Vector NTI改良型一式(Invitrogen)を用いて配列を解析した。
【1044】
抗体-003、-005、-024、およびMorphosys抗体3079のための発現ベクターの作製
pConG1f0.4(Lonza Biologics, Slough, UK)へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびApaI)ならびに理想的Kozak配列(GCCGCCACC)を導入した、プライマーVH3003-003forおよびRACEVHApaIを用いて、-003のVH領域を含むpGemTプラスミドクローンからPCRで-003のVHコード領域を増幅した。pConG1f0.4ベクターは、ヒトIgG1の重鎖定常領域を含む。HindIIIおよびApaIを用いて、VH PCR断片をpConG1f0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。構築物を配列解析によって調べた。
【1045】
pConG1f0.4へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびApaI)ならびに理想的Kozak配列を導入した、プライマーVH3003-5forおよびRACEVHApaIを用いて、-005のVH領域を含むpGemTプラスミドクローンからPCRで-005のVHコード領域を増幅した。HindIIIおよびApaIを用いて、VH PCR断片をpConG1f0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。構築物を配列解析によって調べた。
【1046】
pConG1f0.4へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびApaI)ならびに理想的Kozak配列を導入した、プライマーVH300324exforおよびRACEVHApaIを用いて、-024のVH領域を含むpGemTプラスミドクローンからPCRで-024のVHコード領域を増幅した。HindIIIおよびApaIを用いて、VH PCR断片をpConG1f0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。構築物を配列解析によって調べた。
【1047】
特許国際公開公報第2005/103083 A2号に公開されたデータに基づき、GeneArt(Regensburg, Germany)で、Morphosys抗体3079のVHコード領域を合成した。コード領域は、発現レベルを増強するためにHEK細胞での発現用にコドン最適化し、ならびにpConG1f0.4へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびApaI)ならびに理想的Kozak配列を導入した。合成VH領域を含むプラスミドをApaIおよびHindIIIで消化し、ならびにVH断片をpConG1f0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。
【1048】
pConKappa0.4(Lonza Biologics)へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびPfl23II)ならびに理想的Kozak配列を導入した、プライマーVL3003-5exforおよびRACEVLBsiWIを用いて、-005のVL領域を含むpGemTプラスミドクローンからPCRで-005のVLコード領域を増幅した。pConKappa0.4ベクターは、κ軽鎖定常領域を含む。HindIIIおよびPfl23IIを用いて、VL PCR断片をpConKappa0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。構築物を配列解析によって調べた。
【1049】
pConKappa0.4へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびPfl23II)ならびに理想的Kozak配列を導入した、プライマーVL3003-3forおよびRACEVLBsiWIを用いて、-003のVL領域を含むpGemTプラスミドクローンからPCRで-003のVLコード領域を増幅した。HindIIIおよびPfl23IIを用いて、VL PCR断片をpConKappa0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。構築物を配列解析によって調べた。
【1050】
pConKappa0.4へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびPfl23II)ならびに理想的Kozak配列を導入した、プライマーVL3003-24-5exforおよびRACEVLBsiWIを用いて、-024のVL領域を含むpGemTプラスミドクローンからPCRで-024のVLコード領域を増幅した。HindIIIおよびPfl23IIを用いて、VL PCR断片をpConKappa0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。構築物を配列解析によって調べた。
【1051】
特許国際公開公報第2005/103083号に公開されたデータに基づき、GeneArtで、Morphosys抗体3079のVLコード領域を合成した。コード領域は、発現レベルを増強するために;HEK細胞での発現用にコドン最適化し、ならびにpConKappa0.4へのクローニングのための好適な制限部位(HindIIIおよびPfl23II)ならびに理想的Kozak配列を導入した。合成VL領域を含む、プラスミドをPfl23IIおよびHindIIIで消化し、ならびにVH断片をpConKappa0.4ベクターに、インフレームで、挿入した。
【1052】
それらの重鎖および軽鎖ベクターを同時トランスフェクトすることによって、実施例17に記載されたように、抗体をHEK-293F細胞で一過性に発現させた。
【1053】
CHO-K1SV細胞における安定細胞株の作製
安定細胞株の作製のために、標準的クローニング技術によって、-003または-005の重鎖および軽鎖ベクターを1つの2重遺伝子ベクター中で組み合わせた。
【1054】
-003または-005の2重遺伝子ベクターを線状化し、および本質的に製造元によって記載されたように、CHO-K1SV(Lonza Biologics)細胞にトランスフェクトした。Lonza Biologicsによって記載されたように、25μM L-メチオニンスルホキシミン(MSX)による選択によって安定細胞株を選択した。最高の産生クローンをCD-CHO(Invitorogen)培地中で選択および繁殖し、ならびに実施例3に記載されたように、抗体を細胞培養用培地から精製した。
【1055】
実施例17
部位指向性突然変異生成を用いたエピトープマッピング
オリゴヌクレオチドは、Isogen Bioscience(Maarssen, The Netherlands)によって合成および定量化された。プライマーを100pmol/μlまでH2O中で溶解し、および-20℃で保存した。全てのPCRおよびシークエンシングプライマーのまとめを表6に示す。PCRのために、製造元の取扱説明書に従って、PfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼ(Stratagene, Amesterdam, The Netherlands)を用いた。各反応混合物には、20μlの総容量の(ポリメラーゼを補充した)PCR反応緩衝剤中に、200μM混合dNTP(Roche Diagnostics, Almere, The Netherlands)、10pmolのフォワードおよびリバース両方のプライマー、100ngのゲノムDNAまたは1 ngのプラスミドDNA、ならびに1ユニットのPfuTurbo(登録商標)Hotstart DNAポリメラーゼが含まれた。32サイクルプログラムを用いてTGradient Thermocycler 96(Whatman Biometrta, Goettingen, Germany)によってPCR反応を実行した:95℃で2分間の変性;30サイクルの95℃ 30秒間、60~70℃勾配(または別の特定のアニーリング温度) 30秒間、および72℃ 3分間;72℃で10分間の最終伸長。適当な場合、さらなる解析または処理まで、PCR混合物を4℃で保存した。
【1056】
1×Tris酢酸EDTA緩衝剤中で、50mlのゲルを用いて、Sambrook(Sambrook, Russell et al., 2000)に従って、アガロースゲル電気泳動を行なった。ゲル中のエチジウムブロマイドの含有およびUV光の下での観察によって、DNAを可視化した。CCDカメラおよび画像解析システム(GeneGnome;Syngene, Westburg B. V.経由, Leusden, The Netherlands)でゲル画像を記録した。
【1057】
製造元の取扱説明書に従って、MinElute PCR精製キット(Qiagen, Westburg B. V.経由, Leusden, The Netherlands;製品# 28006)を用いて、所望のPCR断片の精製を実行した。単離したDNAをUV分光法によって定量化し(下を参照)、およびその質をアガロースゲル電気泳動によって評価した。
【1058】
あるいは、1% Tris酢酸EDTAアガロースゲルを用いて、(例えば複数の断片が存在する場合には)アガロース電気泳動によって、PCRまたは消化産物を分離した。所望の断片をゲルから切り出し、および製造元の取扱説明書に従って、QIAEX IIゲル抽出キット(Qiagen;製品# 20051)を用いて回収した。
【1059】
製造元の取扱説明書に従って、NanoDrop ND-1000分光光度計(Isogen Life Science, Maarssen, The Netherlands)を用いて、核酸の光学密度を決定した。260nm(1 OD260nmユニット=50μg/ml)における光学密度(OD)の解析によって、DNA濃度を測定した。全ての試料について、核酸を溶解する緩衝剤を参照として用いた。
【1060】
制限酵素および補充物をNew England Biolabs(Beverly, MA, USA)またはFermetas(Vilnius, Lithuania)から得、および製造元の取扱説明書に従って用いた。10μlの最終容量の適当な緩衝剤中で5ユニットの酵素でDNA(100ng)を消化した(適当な場合には、反応容量をスケールアップした)。推奨される温度で最低60分間、消化物をインキュベートした。適合しない緩衝剤または温度要求性を伴う制限酵素による2重消化を要求する断片については、消化を連続的に行なった。必要な場合、消化産物をアガロースゲル電気泳動およびゲル抽出によって精製した。
【1061】
製造元の取扱説明書に従って、迅速ライゲーションキット(New England Biolabs)によって、DNA断片のライゲーションを行なった。各ライゲーションについて、ベクターDNAをおよそ3倍のモル過剰のインサートDNAと混合した。
【1062】
製造元の取扱説明書に従って、熱ショック法を用いて、プラスミドDNA(1~5μlのDNA溶液、典型的には2μlのDNAライゲーション混合液)を1ショットDH5α-T1R大腸菌細胞(Invitrogen, Breda, The Netherlands;製品# 12297-016)に形質転換した。次に、50μg/mlアンピシリンを含むルリア-ベルターニ(LB)寒天プレート上に、細胞をプレーティングした。細菌コロニーが明白になるまで、37℃で16~18時間、インキュベートした。
【1063】
ThemoStart PCRマスター混合物(Abgene, Wetsburg経由, Leusden, The Netherlands;製品# AB-938-DC15/b)ならびにプライマーpConG1seq1およびpEE13.4seqrev2(表6)を用いて、コロニーPCRにより、細菌コロニーを所望の配列を含むベクターの存在についてスクリーニングした。選択したコロニーを20μlピペットの先端に軽く触れさせ、および小規模培養用の2ml LB中に暫く触れさせ、その後PCR混合物中で再懸濁した。35サイクルプログラムを用いてTGradient Thermocycler 96によってPCRを行なった:95℃で15分間の変性;35サイクルの94℃ 30秒間、55℃ 30秒間、および72℃ 2分間;続いて72℃で10分の最終伸長工程。適当な場合、アガロースゲル電気泳動による解析まで、PCR混合物を4℃で保存した。
【1064】
製造元の取扱説明書に従って、Qiagen(Westburg経由, Leusden, The Netherlands)からの以下のキットを用いて、プラスミドDNAを大腸菌培養から単離した。バルクプラスミド調製(50~150ml培養)用に、HiSpeedプラスミドMaxiキット(製品# 12663)またはHiSpeedプラスミドMidiキット(製品# 12643)のいずれかを用いた。小規模プラスミド調製(±2ml培養)用に、Qiaprepスピンミニプレップキット(製品# 27106)を用い、およびDNAを(キットにより供給されている)50μl溶出緩衝剤中で溶出した。
【1065】
HA-CD38発現ベクターpEE13.4HACD38の構築
プライマーcd38forhaおよびcd38exrevを用いて、(M. Glennie教授, Tenovus Research Laboratory, Southampton General Hospital, Southampton, UKから得られた)プラスミドpClpuroCD38からヒトCD38の細胞外ドメインを増幅した。このPCR反応によって、HA-タグが導入された。このPCR産物を、プライマーSPHMM38exおよびcd38exrevによる第2のPCR反応のための鋳型として用いた。このPCR反応によって、最適発現のためのシグナルペプチドSPHMM、制限部位、および理想的Kozak配列(GCCGCCACC)が導入された。精製後、このPCR断片を発現ベクターpEE13.4(Lonza Biologics)にクローニングし、および完全コード配列を、プライマーpConKseq1、pEE13.4seqrev、cd38seq1for、およびcd38seq2rev(表6)によるシークエンシングによって確認した。この構築物をpEE13.4HACD38と名付けた。
【1066】
部位指向性突然変異生成
位置237でTがAに突然変異し(T237A、配列番号:32)、位置272でQがRに突然変異し(Q272R、配列番号:33)、位置274でSがFに突然変異している(S274F、配列番号:34)、huCD38の3つの単一突然変異体タンパク質を構築した。製造元の取扱説明書に従って、QuickChange II XL部位指向性突然変異生成キット(Stratagene, Amesterdam, The Netherlands)を用いて、部位指向性突然変異生成を行なった。この方法には、成功している突然変異生成をスクリーニングするためのサイレントの余分な制限部位の導入または制限部位の損失が含まれる(T237A突然変異体については余分なXbaI部位、Q272R突然変異体については余分なBcgI、およびS274F突然変異体についてはSsp1部位の損失)。簡潔に言えば、5μl 10×反応緩衝剤、1μlオリゴヌクレオチドHACD38T237Afor2、HACD38Q272Rfor、またはHACD38S274Ffor(100 pmol/μl)、1μlオリゴヌクレオチドHACD38T237Arev2、HACD38Q272Rrev、またはHACD38S274Frev(100 pmol/μl)、1μl dNTP混合物、3μlQuick溶液、1μlプラスミドpEE13.4HACD38(50 ng/μl)、および1μl PfuUltra HF DNAポリメラーゼを、50μlの総容量中で混合し、ならびに18サイクルプログラムを用いてTGradient Thermocycler 96(Whatman Biometrta, Goettingen, Germany;製品# 050-801)によって増幅した:95℃で1分間の変性;18サイクルの95℃ 50秒間、60℃ 50秒間、および68℃ 10分間。さらなる処理まで、PCR混合物を4℃で保存した。次に、PCR混合物を37℃で60分間、1μl DpnIとインキュベートし、pEE13.4HACD38 WTベクターを消化し、およびさらなる処理まで、4℃で保存した。反応混合物を5μl 3M NaAcおよび125μlエタノールで沈殿させ、-20℃で20分間インキュベートし、および14000×gで4℃で20分間スピンダウンした。DNAペレットを70%エタノールで洗浄し、乾燥させ、および4μl水で溶解した。合計4μl反応容量を、製造元の取扱説明書(Invitrogen)に従って、1ショットTop10 DH5αT1Rコンピテント大腸菌細胞(Invitrogen, Breda, The Netherlands)に形質転換した。次に、50μg/mlアンピシリンを含むルリア-ベルターニ(LB)寒天プレート上に、細胞をプレーティングした。細菌コロニーが明白になるまで、37℃で16~18時間、インキュベートした。プライマーpConG1seq1およびpEE13.4seqrev2(表5)を用いたコロニーPCRによってコロニーをスクリーニングし、および関連する制限酵素で消化して、突然変異原性オリゴヌクレオチドの取り込みをスクリーニングした。各突然変異体について2つの陽性クローンが増殖し、およびプラスミドDNAが単離された。プライマーcd38seq1for、pConG1seq1、およびpEE13.4seqrev2を用いて完全なHACD38コード配列を決定し、突然変異の存在およびさらなる望まない突然変異の不在を確認した。
【1067】
DNAシークエンシング
配列解析のために、プラスミドDNA試料をAGOWA(Berlin, Germany)に送った。VectorNTI改良ソフトウェア(Infomax, Oxford, UK)を用いて、配列を解析した。
【1068】
HEK-293F細胞における一過性発現
フリースタイル(商標)293-F(懸濁増殖および化学的に規定されたスリースタイル培地に適応したHEK-293サブクローン、(HEK-293F))細胞をInvtrogenから得、および293fectin(Invtrogen)を用いて、製造元のプロトコルに従って、pEE13.4HACD38ならびに突然変異T237A、Q272R、およびS274Fを持つ3つの構築物をトランスフェクトした。トランスフェクト細胞の培養上清を抗CD38結合検討のためのELISAで用いた。
【1069】
抗CD38抗体結合
ELISAプレート(Greiner, #655092)を1μg抗HA抗体(Sigma, #H-9658)により4℃で終夜コーティングし、その後2%ニワトリ血清でブロッキングした。トランスフェクトHEK293F細胞の培養上清を希釈し、ELISAプレートに適用し、および室温で1時間インキュベートした。洗浄後、連続希釈のHuMab -003および-005を添加し、および室温で1時間インキュベートした。結合した抗体をHRPコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG抗体で検出した。アッセイをABTS(Roche, # 1112597)で現像し、および分光光度計を用いて405nmで吸収を測定した。
【1070】
図23A~23Cから見ることができるように、-003および-005の両方が野生型ヒトCD38に結合する。-003の結合は、突然変異T237A(
図23A)、Q272R(
図23B)、およびS274F(
図23C)の導入によって影響されなかった。-005は、突然変異T237Aを持つCD38に結合することができた(
図23A)。-005の突然変異Q272RがあるCD38への結合は、EC
50および最大結合能力の両方に関して、ひどく影響された(
図23B)。-005は位置274のセリンがフェニルアラニンによって置き換えられている突然変異体CD38に結合することができなかった(
図23C)。
【1071】
これらのデータは、-003および-005が異なるエピトープに結合することを示している。さらに、これらの検討により、-005のCD38への結合が位置272および274における突然変異に感受性であることが明らかになった。特に、S274はCD38への-005結合に必須である。
【1072】
【1073】
実施例18
PBMCの増殖の誘導
本質的にAusiello et al., Tissue antigen
56, 538-547(2000)に記載されたようなアッセイ法において、-003、-005、および-024を試験した。簡潔に言えば、200μl RPMI
++中の抗体(最終濃度:1.1 - 3.3‐10 - 30μg/ml)の存在下で、平底96ウェルプレートにおいて1×10
5細胞/ウェルで健常ドナー由来PBMCを培養した。IL-15(333ng/mlで;Amgen Inc., Thousand Oaks, CA, USA)による細胞の刺激を陽性対照として用いた。37℃での4日インキュベーション後、30μl
3H-チミジン(16.7μCi/ml)を添加し、および培養を終夜続けた。製造元の取扱説明書に従って、Packard Cobraγカウンター(Packard Instruments, Meriden, DT, USA)を用いて、
3H-チミジン取り込みを評価した。10人のドナーから得られたPBMCの平均cpm(±SEM)として、データを示す。本結果は、-003および-005がPBMCの有意な増殖を誘導しないことを示している(
図24A)。また、-024もPBMCの有意な増殖を誘導しなかった(データは示さない)。
【1074】
実施例19
IL-6の誘導
Ausiello et al., Tissue antigen
56, 538-547(2000)に記載されたようなアッセイ法において、-003、-005、および-024を試験した。簡潔に言えば、500μl RPMI
++中の20μg/mlの抗体および10 ng/ml LPS(Sigma-Aldrich Chemie, Zwijndrecht, The Netherlands)の存在下で、48ウェルプレートにおいて1×10
6細胞/ウェルでPBMCを培養した。37℃での終夜インキュベーション後、上清を採集し、および-20℃で保存した。製造元の取扱説明書に従って、ELISA(IL-6 ELISAキット, U-CyTech Biosciences, Utrecht, The Netherlands)によって、IL-6濃度を評価した。7人のドナーからのpg/ml(±SEM)での平均濃度としてデータを示す。本結果は、-003および-005が有意なIL-6レベルの放出を誘導しないことを示している(
図24B)。また、-024も有意なIL-6レベルの放出を誘導しなかった(データは示さない)。
【1075】
実施例20
IFN-γの放出の誘導
Ausiello et al., Tissue antigen
56, 538-547(2000)に記載されたようなアッセイ法において、-003、-005、および-024を試験した。簡潔に述べると、500μl RPMI
++中の20μgl/mlの抗体および1μg/ml OKT-3(Sanquin, Amsterdam, The Netherlands)の存在下で、48ウェルプレートにおいて1×10
6細胞/ウェルでPBMCを培養した。37℃での終夜インキュベーション後、上清を採集し、および-20℃で保存した。製造元の取扱説明書に従って、ELISA(IFN-γ ELISAキット, U-CyTech Biosciences, Utrecht, The Netherlands)によって、IFN-γ濃度を評価した。9人のドナーからのpg/ml(±SEM)での平均濃度としてデータを示す。本結果は、-003および-005が検出可能なIFN-γレベルの放出を誘導しないことを示している(
図24C)。また、-024も有意なIFN-γレベルの放出を誘導しなかった(データは示さない)。
【1076】
実施例21
組換えCD38への-003および-005の結合の親和性
表面プラズモン共鳴を用いて、CD38への-003および-005の結合を試験した。簡潔に述べると、精製抗体を、アミン結合を介してCM-5センサーチップ(Biacore, Uppsala, Sweden)上に固定化した。HAタグ付きCD38(実施例3参照)を一面に流し、およびBiacore 3000(Biacore)を用いて、チップの表面における屈折指数の変化によって、mAbへの抗原の結合を検出した。-003(表7)および-005(表8)についての会合および速度定数は、3回の実験の平均±SDとして、下にまとめられ、および-003および-005ほ両方がCD38に対する高い親和性を有することを示している。
【1077】
【1078】
【1079】
実施例22
エピトープマッピング
PEPSCAN法を用いたエピトープマッピング
公知の手順(Geysen et al. 1984. Use of peptide synthesis to probe viral antigens for epitopes to a resolution of a single amino acid. Proc Natl Acad Sci USA 81:3998;Slootstra et al. 1996. Structural aspects of antibody-antigen interaction revealed through small random peptide libraries. Mol Divers 1:87;Puijk et al. 2001. Segment synthesis. In PCT, The Netherlands, 1頁)に従って、ヒトCD38のC末端の138アミノ酸を覆う重なり合う20mer線状ペプチドおよび15merループ状ペプチドを合成した。さらに、C末端の配列に基づいて、領域
、領域
、および領域
を覆う異なるサイズの単一ループ状のペプチドを作った。加えて、SKRNIQFSCKNIYRおよびEKVQTLEAWVIHGGから構成される2重ループ状領域を構築するために、余分の組を設計した。ネイティブのシステインをアラニンで置き換えた。クレジットカード形式の小型PEPSCANカードを用いたELISA法において、ペプチドをスクリーニングした。
【1080】
ペプチドの合成
ペプチドを標準的なFmoc化学を用いて合成し、およびスカベンジャーを含むTFAを用いて脱保護した。その後、脱保護ペプチドを、アセトニトリル(1:1[容量/容量])を補充した、重炭酸アンモニウム(20mM、pH 7.9)中の2,6-ビス(ブロモメチル)ピリジンまたは2,4,6-トリス(ブロモメチル)メシチレンの0.5mM溶液を用いて、マイクロアレイ上で反応させた。溶液中で完全に覆いつつ、マイクロアレイを溶液中で30~60分間穏やかに振盪した。最後に、マイクロアレイを過剰のMillipore H2Oで激しく洗浄し、および1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.1% β-メルカプトエタノールを含む破壊緩衝剤を含むPBS(pH 7.2)中で、70℃で30分間、超音波処理し、続いてmillipore H2O中でもう45分間超音波処理した。
【1081】
PEPSCAN ELISA法
共有結合したペプチドを含む、455ウェルクレジットカード形式ポリエチレンカードを(例えば、5%ウマ血清[容量/容量]および5%オボアルブミン[重量/容量]を含むブロッキング溶液中で1:1000に希釈した)血清とインキュベートした(4℃、終夜)。洗浄後、ペプチドをウサギ抗ヒトIgペルオキシダーゼ(1:1000希釈、25℃、1時間)とインキュベートし、ならびに洗浄後ペルオキシダーゼ基質(2,2'-アジノ(azino)-ジ-3-エチルベンズチアゾリンスルホネートおよび2μl/ml 3% H2O2)を添加した。1時間後、CCDカメラおよび画像処理系によって、色現像を測定した。セットアップは、55mmレンズ(ソニーCCDビデオカメラXC-77RR、Niconマイクロnikkor 55mm f/2.8レンズ)付きのCCD-カメラ、カメラアダプター(ソニーカメラアダプターDC-77RR)、および画像処理ソフトウェアパッケージOptimas、第6.5版(Media Cybernetics, Silver Spring, MD 20910, U.S.A.;ペティアムIIコンピュータ系によるOptimas運転)からなる。
【1082】
エピトープ表示のための方法
個々のアミノ酸をヒトCD38アミノ酸配列における最小の固有の単位を表すジペプチドモチーフによって同定した。試験した1164ペプチドの各々に存在する全てのジペプチドモチーフに、それぞれのペプチド全体について得られたELISA値を与えた。ジペプチドモチーフを強い結合から弱い結合まで順位付けるために、各々の個々のモチーフについて得られたELISA値を、1164全ての試験された線状ペプチドおよびループ状ペプチドからの平均ELISA値で割ることによって相対的シグナルを計算し、ならびにこれらを減少している値について分別した。このやり方においては、立体配座的エピトープに対するアミノ酸寄与を考慮した。試験したmAbの各々について、2.5を上回る得点のジペプチドモチーフ(すわなち、これらのモチーフを含むペプチドのELISA値は、1164ペプチド全てで得られたペプチドの平均ELISA値の少なくとも2.5倍である)を全て選択した。データをデコンボリュートし、得点化系によって線状CD38配列上に表された単一アミノ酸寄与を示した。線状CD38配列に沿ってウォーキングすることにより、および参照点として固有のジペプチド単位を用いることにより、CD38アミノ酸がこの組の高得点ペプチドに存在する度に、1点を与えた。
【1083】
-003、-005、および-024は全てヒトCD38の領域SKRNIQFSCKNIYRおよびEKVQTLEAWVIHGGに結合することが分かった。-003はとりわけモチーフRNIQFおよびWVIHを認識し、-005はとりわけモチーフKRNおよびVQTLを認識した。
【1084】
実施例23
酵素活性
本質的にGraeff et al., J. Biol. Chem. 269, 30260-30267(1994)に記載されたようなアッセイ法において、ヒトCD38の酵素活性を測定した。簡潔に述べると、基質NGD+(80μM)を、20mM Tris-HCl、pH 7.0を含む緩衝剤中でCD38(0.6μg/mlヒトCD38のHisタグ付き細胞外ドメイン、His-CD38の精製に関しては実施例3参照)とインキュベートした。cGDPRの産生を410nmの放射波長(300nmにおける励起)で分光光度学的にモニターすることができる。この実施例においては、340±60nmの励起フィルターおよび430±8nmの放射フィルターを用いた。
【1085】
-003、-005、および-024のCD38の酵素活性に対する効果を試験するために、基質NGD+を添加する前に、組換えHis-CD38タンパク質を様々な濃度(30、3、0.3、および0.03μg/ml)の異なる抗体と室温で15分間プレインキュベートした。抗体の添加後の異なる時点(3、6、9、12、30、45、60、75、および90分)で、サイクリックGDPリボース(cGDPR)の産生を記録した。
【1086】
図25Bは、-005がcGDPRの産生に対する著明な阻害効果を有することを示している。90分後、30および3μg/ml -005の添加は、32%および34%低下したcGDPRの産生を結果的にもたらした(表9)。異なるバッチの-005を用いた独立した実験において、同様の結果が観察された。
【1087】
-003(
図25B、表9)、-024(
図25D、表9)、または抗KLH(
図25A、表9)の添加後、cGDPR産生に対する阻害効果は観察されなかった。
【1088】
これらの知見に基づいて、-005はまた、NAD+からのサイクリックADP-リボース(cADPR)の合成を阻害することが期待される。cADPRの合成の阻害は、Munshi et al., J. Biol. Chem. 275, 21566-21571(2000)に記載されたHPLC法に従って、決定することができる。
【1089】
(表9)CD38特異的抗体または抗KLHの存在下におけるcGDPリボース産生
【1090】
実施例24
-003および-005とMorphosys抗体3079との比較
抗体-003および-005をMorphosys抗体3079(TH-3079)と機能的に比較した。Morphosys抗体TH-3079のクローニングおよび発現のための方法は実施例16に記載されている。CDCのための方法は実施例6に記載されている。ADCCのための方法は実施例5に記載されている。
図26Aは、-005および-003およびTH-3079が、CDCを介するCD38トランスフェクトCHO細胞の溶解を誘導し、同様の最大溶解を有することを示している。EC
50値を比較した場合、-005抗体は、CHO-CD38細胞の溶解を誘導する点でTH3079よりも良く、2倍低いEC
50を有する(表10参照)。
【1091】
図26Bは、-005が、CDCを介するダウディ-luc細胞の溶解を誘導する点でTH-3079よりも優れ、-005による最大溶解がTH3079によるよりも2~3倍高いことを示している。EC
50値を比較した場合、-005抗体は、ダウディ-ルシフェラーゼ細胞の溶解を誘導する点でTH-3079と類似している(表10参照)。-003は、有意なCDCを介するダウディ-ルシフェラーゼ細胞の溶解を誘導しない。
【1092】
図26Cは、この実験において、-005、-003、およびTH-3079が、ADCCを介してダウディ標的細胞の溶解を仲介することを示している。(対数)EC
50および最大溶解に相違は見出されなかった(表11、n=5)。
【1093】
(表10)CDCにおけるCD38特異的抗体の最大溶解およびEC50値
【1094】
(表11)ADCCにおけるCD38特異的抗体の最大溶解およびEC
50値