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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005997
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】透明導電性フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/08 20060101AFI20240110BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C23C14/08 K
C23C14/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106519
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】藤野 望
(72)【発明者】
【氏名】鴉田 泰介
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 寛行
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA11
4K029AA25
4K029BA45
4K029BA47
4K029BA50
4K029BA58
4K029BA60
4K029BB02
4K029CA06
4K029DC05
4K029DC09
4K029DC16
4K029GA01
4K029JA10
(57)【要約】
【課題】生産性に優れる透明導電性フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】透明導電性フィルム3の製造方法は、長尺の基材1の厚み方向一方面に、透明導電層2を形成する。透明導電性フィルム3の製造方法は、基材1を準備する第1工程と、真空雰囲気下で、基材1の厚み方向一方面に、透明導電層2の一部を形成する第2工程と、真空雰囲気下で、透明導電層2の一部を加熱しながら、透明導電層2の一部の厚み方向一方面に、透明導電層2の残部を形成する第3工程とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の基材の厚み方向一方面に、透明導電層を形成する透明導電性フィルムの製造方法であって、
前記基材を準備する第1工程と、
真空雰囲気下で、前記基材の厚み方向一方面に、透明導電層の一部を形成する第2工程と、
真空雰囲気下で、前記透明導電層の一部を加熱しながら、前記透明導電層の一部の厚み方向一方面に、前記透明導電層の残部を形成する第3工程とを備える、透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第3工程の後に、前記透明導電層を加熱する第4工程を備える、請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項3】
真空雰囲気下で、前記第4工程を実施する、請求項2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項4】
大気雰囲気下で、前記第4工程を実施する、請求項2に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記第3工程では、成膜ロールの表面に接触する前記基材に対して、前記透明導電層を形成し、前記成膜ロールを加熱することにより、前記透明導電層の一部を加熱する、請求項1~4のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記第2工程では、独立した成膜室に配置されたターゲットによって、透明導電層の一部が形成され、
前記第3工程では、独立した成膜室に配置されたターゲットによって、透明導電層の残部が形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記第3工程を終了した前記透明導電層が、結晶質である、請求項1~4のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項8】
クリプトンガスを含む希ガスの存在下において、前記第2工程および/または前記第3工程を実施する、請求項1~4のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロールトゥロール方式により、基材フィルム上に透明導電層を積層して、導電性フィルムを製造する方法が知られている。
【0003】
このような方法として、例えば、ロールトゥロール方式により、長尺のPETフィルム基材を搬送しながら、非晶質の透明導電性膜をスパッタリングにより形成して、その後、非晶質の透明導電性膜が形成されたPETフィルム基材を加熱して、透明導電性膜を結晶化させ、透明導電性フィルムを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-146244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、透明導電性フィルムの製造方法には、より一層、高い生産性が要求される。
【0006】
本発明は、生産性に優れる透明導電性フィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、長尺の基材の厚み方向一方面に、透明導電層を形成する透明導電性フィルムの製造方法であって、前記基材を準備する第1工程と、真空雰囲気下で、前記基材の厚み方向一方面に、透明導電層の一部を形成する第2工程と、真空雰囲気下で、前記透明導電層の一部を加熱しながら、前記透明導電層の一部の厚み方向一方面に、前記透明導電層の残部を形成する第3工程とを備える、透明導電性フィルムの製造方法である。
【0008】
本発明[2]は、前記第3工程の後に、前記透明導電層を加熱する第4工程を備える、上記[1]に記載の透明導電性フィルムの製造方法を含んでいる。
【0009】
本発明[3]は、真空雰囲気下で、前記第4工程を実施する、上記[2]に記載の透明導電性フィルムの製造方法を含んでいる。
【0010】
本発明[4]は、大気雰囲気下で、前記第4工程を実施する、上記[2]に記載の透明導電性フィルムの製造方法を含んでいる。
【0011】
本発明[5]は、前記第3工程では、成膜ロールの表面に接触する前記基材に対して、前記透明導電層を形成し、前記成膜ロールを加熱することにより、前記透明導電層の一部を加熱する、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法を含んでいる。
【0012】
本発明[6]は、前記第2工程では、独立した成膜室に配置されたターゲットによって、透明導電層の一部が形成され、前記第3工程では、独立した成膜室に配置されたターゲットによって、透明導電層の残部が形成される、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法を含んでいる。
【0013】
本発明[7]は、前記第3工程を終了した前記透明導電層が、結晶質である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法を含んでいる。
【0014】
本発明[8]は、クリプトンガスを含む希ガスの存在下において、前記第2工程および/または前記第3工程を実施する、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムの製造方法を含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透明導電性フィルムの製造方法では、第2工程において、透明導電層の一部を形成し、また、第3工程において、透明導電層の一部を加熱しながら、透明導電層の残部を形成する。第3工程において、透明導電層の一部が加熱されているため、透明導電層の一部とともに、透明導電層の残部が結晶化する。つまり、第3工程において、透明導電層の形成、および、透明導電層の結晶化を同時にできる。そのため、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の透明導電性フィルムの製造方法の一実施形態で用いられるフィルム製造装置の一実施形態の概略図を示す。
図2図2は、本発明の透明導電性フィルムの製造方法の変形例で用いられるフィルム製造装置の一実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の透明導電性フィルムの製造方法の一実施形態は、長尺の基材1を、長手方向に搬送しながら、長尺の基材1の厚み方向一方面に、透明導電層2を形成する。
【0018】
以下、この方法で用いられるフィルム製造装置の一実施形態について、図1を参照して、説明する。
【0019】
<フィルム製造装置>
図1において、紙面左右方向は、搬送方向である。紙面右側は、搬送方向下流側である。紙面左側は、搬送方向上流側である。なお、搬送方向は、隣り合うユニット間における搬送方向であって、各ユニット内での搬送方向ではない。紙厚方向は、幅方向である。紙面手前側は、幅方向一方側である。紙面奥側は、幅方向他方側である。紙面上下方向は、上下方向である。紙面上側は、上側である。紙面下側は、下側である。
【0020】
フィルム製造装置10は、長尺の透明導電性フィルム3を製造するための装置である。フィルム製造装置10は、図1に示すように、送出ユニット5と、スパッタユニット6と、第1アニールユニット7と、巻取ユニット8とを備える。
【0021】
[送出ユニット]
送出ユニット5は、送出ロール11と、第1ガイドロール12と、送出チャンバー13とを備える。
【0022】
送出ロール11は、長尺の基材1を送出するための回転軸を有する円柱部材である。送出ロール11は、フィルム製造装置10の搬送方向最上流に配置されている。送出ロール11には、送出ロール11を回転させるためのモータ(図示せず)が接続されている。
【0023】
第1ガイドロール12は、送出ロール11から送出される長尺の基材1をスパッタユニット6にガイドする回転部材である。第1ガイドロール12は、送出ロール11の搬送方向下流側かつ第2ガイドロール14(後述)の搬送方向上流側に配置されている。
【0024】
送出チャンバー13は、送出ロール11および第1ガイドロール12を収容するケーシングである。送出チャンバー13には、内部を真空可能とする真空ユニットが設けられている(図示せず)。
【0025】
[スパッタユニット]
スパッタユニット6は、送出ユニット5から搬送される長尺の基材1に、スパッタリング法により透明導電層2の一部を積層(形成)する。スパッタユニット6は、送出ユニット5の搬送方向下流側かつ第1アニールユニット7の搬送方向上流側に、これらと隣接するように配置されている。スパッタユニット6は、第2ガイドロール14と、第3ガイドロール15と、第1成膜ロール16と、複数の第1成膜室17(図1では4つの第1成膜室17)と、第4ガイドロール18と、第1チャンバー19とを備える。
【0026】
第2ガイドロール14は、送出ユニット5(第1ガイドロール12)から搬送される長尺の基材1を第3ガイドロール15にガイドする回転部材である。第2ガイドロール14は、第1ガイドロール12の搬送方向下流側かつ第3ガイドロール15の搬送方向上流側に配置されている。
【0027】
第3ガイドロール15は、第2ガイドロール14から搬送される長尺の基材1を第1成膜ロール16にガイドする回転部材である。第3ガイドロール15は、第2ガイドロール14の搬送方向下流側かつ第1成膜ロール16の搬送方向上流側に配置されている。
【0028】
第1成膜ロール16は、長尺の基材1に透明導電層2の一部を積層(形成)するための回転軸を有する円柱部材である。第1成膜ロール16は、長尺の基材1を第1成膜ロール16の周面に沿って搬送する。第1成膜ロール16は、第3ガイドロール15の搬送方向下流側かつ第4ガイドロール18の搬送方向上流側に配置されている。
【0029】
複数の第1成膜室17は、第1成膜ロール16の側方および下方に、第1成膜ロール16の周方向に並び、第1成膜ロール16と対向配置されている。具体的には、複数の第1成膜室17(第1成膜室17A~第1成膜室17D)は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、隣接して配置されている。
【0030】
また、各第1成膜室17は、壁40によって、区画されている。つまり、各第1成膜室17は、独立した成膜室である。
【0031】
また、各第1成膜室17には、第1ターゲット31が配置されている。第1ターゲット31は、任意の電源(例えば、直流電源や交流電源)を用いて、電力を印加することができる。また、電力を印加するために、第1ターゲット31の、第1成膜ロール16と反対の側にはマグネットが配置されている(図示せず)。つまり、第2工程では、独立した第1成膜室17に配置された第1ターゲット31によって、透明導電層2の一部が形成される。そのため、各第1成膜室17(各第1ターゲット31)に対して、独立した成膜条件(例えば、放電出力、および、スパッタリングガス)を設定することができる。
【0032】
第1ターゲット31は、透明導電層2を構成する原子を含む材料から形成されており、好ましくは、透明導電層2の材料から形成されている。第1ターゲット31は、第1成膜ロール16の付近に配置されている。具体的には、第1ターゲット31は、第1成膜ロール16の下側に、第1成膜ロール16と間隔を隔てて対向配置されている。
【0033】
そして、複数の第1ターゲット31(第1ターゲット31A~第1ターゲット31D)は、第1成膜ロール16の周方向に並び、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0034】
第4ガイドロール18は、第1成膜ロール16から搬送される長尺の基材1(透明導電層2の一部が積層(形成)された長尺の基材1)を、第1アニールユニット7にガイドする回転部材である。第4ガイドロール18は、第1成膜ロール16の搬送方向下流側かつ第5ガイドロール20(後述)の搬送方向上流側に配置されている。
【0035】
第1チャンバー19は、第2ガイドロール14、第3ガイドロール15、第1成膜ロール16、複数の第1成膜室17、および、第4ガイドロール18を収容するケーシングである。第1チャンバー19には、内部を真空可能とする真空ユニットが設けられている(図示せず)。
【0036】
[第1アニールユニット]
第1アニールユニット7は、スパッタユニット6から搬送される長尺の基材1(透明導電層2の一部が積層(形成)された長尺の基材1)を、加熱しながら、スパッタリング法により透明導電層2の残部を積層(形成)する。第1アニールユニット7は、スパッタユニット6の搬送方向下流側かつ巻取ユニット8の搬送方向上流側に、これらと隣接するように配置されている。第1アニールユニット7は、第5ガイドロール20と、第6ガイドロール21と、第2成膜ロール22と、複数の第2成膜室23(図1では3つの第2成膜室23)と、第7ガイドロール24と、第2チャンバー25とを備える。
【0037】
第5ガイドロール20は、スパッタユニット6(第4ガイドロール18)から搬送される長尺の基材1(透明導電層2の一部が積層(形成)された長尺の基材1)を第6ガイドロール21にガイドする回転部材である。第5ガイドロール20は、第4ガイドロール18の搬送方向下流側かつ第6ガイドロール21の搬送方向上流側に配置されている。
【0038】
第6ガイドロール21は、第5ガイドロール20から搬送される長尺の基材1を第2成膜ロール22にガイドする回転部材である。第6ガイドロール21は、第5ガイドロール20の搬送方向下流側かつ第2成膜ロール22の搬送方向上流側に配置されている。
【0039】
第2成膜ロール22は、長尺の基材1に透明導電層2の残部を積層(形成)するための回転軸を有する円柱部材である。第2成膜ロール22は、長尺の基材1を第2成膜ロール22の周面に沿って搬送する。第2成膜ロール22は、第6ガイドロール21の搬送方向下流側かつ第7ガイドロール24の搬送方向上流側に配置されている。
【0040】
複数の第2成膜室23は、第2成膜ロール22の側方および下方に、第2成膜ロール22の周方向に並び、第2成膜ロール22と対向配置されている。具体的には、複数の第2成膜室23(第2成膜室23A~第2成膜室23C)は、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、隣接して配置されている。
【0041】
また、各第2成膜室23は、壁40によって、区画されている。つまり、各第2成膜室23は、それぞれ独立した成膜室である。
【0042】
また、各第2成膜室23には、第2ターゲット32が配置されている。つまり、第3工程では、独立した第2成膜室23に配置された第2ターゲット32によって、透明導電層2の残部が形成される。そのため、各第2成膜室23(各第2ターゲット32)に対して、独立した成膜条件(例えば、放電出力、および、スパッタリングガス)を設定することができる。
【0043】
第2ターゲット32は、透明導電層2を構成する原子を含む材料から形成されており、好ましくは、透明導電層2の材料から形成されている。第2ターゲット32は、第2成膜ロール22の付近に配置されている。具体的には、第2ターゲット32は、第2成膜ロール22の下側に、第2成膜ロール22と間隔を隔てて対向配置されている。
【0044】
そして、複数の第2ターゲット32(第2ターゲット32A~第2ターゲット32C)が、第2成膜ロール22の周方向に並び、搬送方向上流側から搬送方向下流側に順に、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0045】
第7ガイドロール24は、第2成膜ロール22から搬送される長尺の透明導電性フィルム3を、巻取ユニット8にガイドする回転部材である。第7ガイドロール24は、第2成膜ロール22の搬送方向下流側かつ第8ガイドロール26(後述)の搬送方向上流側に配置されている。
【0046】
第2チャンバー25は、第5ガイドロール20、第6ガイドロール21、第2成膜ロール2、複数の第2成膜室23、および、第7ガイドロール24を収容するケーシングである。第2チャンバー25には、内部を真空可能とする真空ユニットが設けられている(図示せず)。
【0047】
[巻取ユニット]
巻取ユニット8は、第8ガイドロール26と、巻取ロール27と、巻取チャンバー28とを備える。巻取ユニット8は、スパッタユニット6の搬送方向下流側に、スパッタユニット6と隣接するように配置されている。
【0048】
第8ガイドロール26は、第1アニールユニット7から搬送される長尺の透明導電性フィルム3を巻取ロール27にガイドする回転部材である。第8ガイドロール26は、第7ガイドロール24の搬送方向下流側かつ巻取ロール27の搬送方向上流側に配置されている。
【0049】
巻取ロール27は、透明導電性フィルム3を巻き取るための回転軸を有する円柱部材である。巻取ロール27は、フィルム製造装置10の搬送方向最下流に配置されている。巻取ロール27は、巻取ロール27を回転させるためのモータ(図示せず)が接続されている。
【0050】
巻取チャンバー28は、第8ガイドロール26および巻取ロール27を収容するケーシングである。巻取チャンバー28には、内部を真空可能とする真空ユニットが設けられている(図示せず)。
【0051】
<透明導電性フィルムの製造方法>
次に、フィルム製造装置10を用いて透明導電性フィルム3を製造する方法の一実施形態を説明する。
【0052】
透明導電性フィルム3の製造方法は、長尺の基材1を、長手方向に搬送しながら、長尺の基材1の厚み方向一方面に、透明導電層2を形成する。
【0053】
詳しくは、透明導電性フィルム3の製造方法は、長尺の基材1を準備する第1工程と、真空雰囲気下で、長尺の基材1の厚み方向一方面に、透明導電層2の一部を形成する第2工程と、真空雰囲気下で、透明導電層2の一部を加熱しながら、透明導電層2の一部の厚み方向一方面に、透明導電層2の残部を形成する第3工程とを備える。
【0054】
[第1工程]
第1工程では、長尺の基材1を準備する。
【0055】
長尺の基材1としては、例えば、長尺の高分子フィルムが挙げられる。高分子フィルムの材料としては、例えば、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂(アクリル樹脂および/またはメタクリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、および、ポリスチレン樹脂が挙げられる。オレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、シクロオレフィンポリマーが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、および、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメタクリレートが挙げられる。長尺の基材1の材料としては、好ましくは、ポリエステル樹脂、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0056】
長尺の基材1の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上、また、例えば、500μm以下である。
【0057】
長尺の基材1の厚みが、上記下限以上であれば、搬送性およびハンドリングに優れる。
【0058】
長尺の基材1の厚みが、上記上限以下であれば、生産性に優れる。
【0059】
また、長尺の基材1の短手方向長さ(幅方向長さ)は、例えば、100mm以上、好ましくは、200mm以上、また、例えば、5000mm以下、好ましくは、2000mm以下である。
【0060】
また、長尺の基材1の厚み方向一方面および/または厚み方向他方面には、予め、機能層を配置することができる。長尺の基材1の厚み方向一方面に機能層を配置する場合には、例えば、透明導電性フィルム3は、長尺の基材1と、機能層と、透明導電層2とを、厚み方向一方側に向かって順に備える。また、長尺の基材1の厚み方向他方面に機能層を配置する場合には、透明導電性フィルム3は、例えば、機能層と、長尺の基材1と、透明導電層2とを、厚み方向一方側に向かって順に備える。
【0061】
長尺の基材1の厚み方向一方面に配置する機能層としては、例えば、ハードコート層、光学調整層などが挙げられる。長尺の基材1の厚み方向他方面に配置する機能層としては、例えば、アンチブロッキング層が挙げられる。
【0062】
ハードコート層は、ハードコート組成物から形成される。
【0063】
ハードコート組成物は、樹脂、および、必要により、粒子を含有する。
【0064】
樹脂としては、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン樹脂)などが挙げられ、好ましくは、硬化性樹脂が挙げられる。硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線(具体的には、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂、および、加熱により硬化する熱硬化性樹脂が挙げられ、好ましくは、活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂は、例えば、分子中に重合性炭素-炭素二重結合を有する官能基を有するポリマーが挙げられる。そのような官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基(メタクリロイル基および/またはアクリロイル基)が挙げられる。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂が挙げられる。(メタ)アクリル系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート、および、エポキシアクリレートが挙げられる。樹脂は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0065】
粒子としては、例えば、無機粒子、および、有機粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、金属酸化物粒子および炭酸塩粒子が挙げられる。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、および、酸化錫が挙げられる。炭酸塩粒子としては、例えば、炭酸カルシウムが挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル樹脂粒子が挙げられる。粒子は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0066】
そして、ハードコート組成物は、樹脂および必要により配合される粒子を混合することにより得られる。
【0067】
また、ハードコート組成物には、必要により、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を配合することができる。
【0068】
ハードコート層を形成するには、ハードコート組成物の希釈液を長尺の基材1の厚み方向一方面に塗布し、乾燥後、紫外線照射により、ハードコート組成物を硬化させる。
【0069】
これにより、ハードコート層を形成する。
【0070】
ハードコート層の厚みは、耐擦傷性の観点から、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、3μm以下である。
【0071】
なお、ハードコート層の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて、断面観察により測定することができる。
【0072】
このような場合には、得られる透明導電性フィルム3は、長尺の基材1と、ハードコート層と、透明導電層2とを順に備える。
【0073】
光学調整層は、透明導電層2のパターン視認を抑制したり、透明導電性フィルム3内の界面での反射を抑制しつつ、透明導電性フィルム3に優れた透明性を確保するために、透明導電性フィルム3の光学物性(例えば、屈折率)を調整する層である。
【0074】
光学調整層は、例えば、光学調整組成物から形成される。
【0075】
光学調整組成物は、上記した樹脂および上記した粒子を含有する。
【0076】
樹脂としては、ハードコート組成物で挙げた樹脂が挙げられる。
【0077】
粒子としては、ハードコート組成物で挙げた粒子が挙げられる。
【0078】
そして、光学調整組成物は、樹脂および粒子を混合することにより得られる。
【0079】
光学調整組成物は、さらに、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を含有することができる。
【0080】
光学調整層を形成するには、光学調整組成物の希釈液を長尺の基材1の厚み方向一方面に塗布し、乾燥後、紫外線照射により、光学調整組成物を硬化させる。
【0081】
これにより、光学調整層を形成する。
【0082】
光学調整層の厚みは、耐擦傷性の観点から、例えば、5nm以上、好ましくは、10nm以上、より好ましくは、50nm以上であり、また、例えば、500nm以下、好ましくは、200nm以下、より好ましくは、100nm以下である。光学調整層の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて、断面観察により測定することができる。
【0083】
このような場合には、得られる透明導電性フィルム3は、長尺の基材1と、光学調整層と、透明導電層2とを順に備える。
【0084】
アンチブロッキング層は、透明導電性フィルム3を厚み方向に積層した場合などに、互いに接触する複数の透明導電性フィルム3のそれぞれの表面に耐ブロッキング性を付与する。
【0085】
アンチブロッキング層の材料は、例えば、アンチブロッキング組成物である。
【0086】
アンチブロッキング組成物としては、例えば、特開2016-179686号公報に記載の混合物が挙げられる。
【0087】
アンチブロッキング層を形成するには、アンチブロッキング組成物の希釈液を長尺の基材1の厚み方向他方面に塗布し、乾燥後、紫外線照射により、アンチブロッキング組成物を硬化させる。
【0088】
これにより、アンチブロッキング層を形成する。
【0089】
アンチブロッキング層の厚みは、例えば、0.1μm以上であり、また、例えば、10μm以下である。
【0090】
このような場合には、得られる透明導電性フィルム3は、アンチブロッキング層と、長尺の基材1と、透明導電層2とを順に備える。
【0091】
長尺の基材1には、1層または2層以上の機能層を配置することができ、好ましくは、長尺の基材1には、予め、ハードコート層を配置する。
【0092】
そして、長尺の基材1を送出ロール11に配置する。すなわち、長尺の基材1がロール状に巻回されたロール体を、送出ロール11に装着する。
【0093】
これにより、長尺の基材1を準備する。
【0094】
[第2工程]
第2工程では、真空雰囲気下で、長尺の基材1の厚み方向一方面に、透明導電層2の一部を形成する。
【0095】
第2工程では、まず、長尺の基材1を長手方向に搬送する。
【0096】
長尺の基材1を長手方向に搬送するには、送出ロール11および巻取ロール27をモータにより回転駆動させて、長尺の基材1を送出ロール11から送り出し、第1ガイドロール12、第2ガイドロール14、第3ガイドロール15、第1成膜ロール16、第4ガイドロール18、第5ガイドロール20、第6ガイドロール21、第2成膜ロール22、第7ガイドロール24、および、第8ガイドロール26で順に搬送して、巻取ロール27により巻き取る。
【0097】
これにより、長尺の基材1が、ロールトゥロール方式にて、送出ロール11から巻取ロール27まで搬送方向に搬送される。
【0098】
搬送速度は、例えば、0.5m/分以上、好ましくは、1m/分以上、より好ましくは、2.0m/分以上であり、また、例えば、50m/分以下、好ましくは、20m/分以下、より好ましくは、15m/分以下である。
【0099】
次いで、長尺の基材1を長手方向に搬送しながら、真空雰囲気下で、長尺の基材1の厚み方向一方面に、透明導電層2の一部を形成する。
【0100】
具体的には、長尺の基材1は、第1成膜ロール16の表面に周方向に沿って接触しながら搬送される。そして、搬送される長尺の基材1に対して、真空雰囲気下で、スパッタリングを実施する。すなわち、スパッタユニット6を作動させて、長尺の基材1に透明導電層2の一部を形成する。
【0101】
具体的には、真空下の第1チャンバー19の内部(複数の第1成膜室17の内部)に、スパッタリングガスとしての希ガスを供給するとともに、電圧を印加して、ガスを第1ターゲット31(第1ターゲット31A~第1ターゲット31D)に衝突させる。その結果、第1成膜ロール16の側方および下方において、搬送方向上流側から搬送されてくる長尺の基材1の下面(一方面)に、第1ターゲット31(第1ターゲット31A~第1ターゲット31D)からはじき出されたターゲット材料が付着され、透明導電層2の一部が形成される。
【0102】
つまり、この方法では、透明導電層2の一部は、長尺の基材1を第1成膜ロール16の周面に沿って搬送しながら、スパッタリングによって形成される。
【0103】
また、上記したように、第2工程は、スパッタリングガス(希ガス)の存在下で実施する。
【0104】
希ガスとしては、例えば、アルゴンガス、クリプトンガス、および、キセノンガス、好ましくは、クリプトンガス、および、キセノンガス、より好ましくは、クリプトンガスが挙げられる。つまり、より好ましくは、製造コストおよび生産性の観点から、第2工程は、クリプトンガスを含む希ガスの存在下で実施する。詳しくは、クリプトンは、アルゴンよりも重原子であり、また、アルゴンよりも高電圧になるため、スパッタリングの速度が速くなり、その結果、生産性が向上する。
【0105】
また、スパッタリングガスの種類は、各第1成膜室17に、個別に選択でき、好ましくは、第1成膜室17A~第1成膜室17Dにおいて、クリプトンガスを選択する。
【0106】
また、スパッタリング法によって、透明導電層2を配置する場合には、スパッタリングガス(希ガス)が透明導電層2に取り込まれる。つまり、透明導電層2は、希ガス原子(好ましくは、クリプトン原子)を含む。
【0107】
透明導電層2において、希ガス原子(好ましくは、クリプトン原子)の含有量は、例えば、0.5原子%以下であり、好ましくは、0.2原子%以下、より好ましくは、0.1原子%以下、さらに好ましくは、0.1原子%未満である。
【0108】
上記含有量の下限は、蛍光X線分析装置により、希ガス原子の存在を確認できたときに対応する割合であり、少なくとも、0.0001原子%以上である。
【0109】
また、スパッタリングガスとして、上記希ガスととも、反応性ガス(例えば、酸素ガス)を併用することもできる。
【0110】
反応性ガスの流量は、各第1成膜室17に対して、個別に調整できる。希ガスおよび反応性ガスの総量に対する反応性ガスの流量は、例えば、0.1流量%以上、好ましくは、0.5流量%以上、また、例えば、5.0流量%以下、好ましくは、4.0流量%以下である。また、好ましくは、第1成膜室17Aの反応性ガスの流量は、第1成膜室17B~各第1成膜室17Dの反応性ガスの流量よりも低く調整される。
【0111】
また、印加される出力(放電出力)は、各第1成膜室17に対して、個別に調整できる。放電出力は、例えば、0.1W/mm以上、好ましくは、0.5W/mm以上、より好ましくは、1.0W/mm以上、また、例えば、20W/mm以下、好ましくは、10W/mm以下、より好ましくは、7.0W/mm以下である。また、好ましくは、第1成膜室17Aの放電出力は、第1成膜室17B~各第1成膜室17Dの放電出力よりも低く調整される。また、印加される電圧(成膜電圧)は、各第1成膜室17に対して、個別に調整できる。成膜電圧の絶対値は、例えば、10V以上、好ましくは、100V以上、また、例えば、600V以下、好ましくは、500V以下、好ましくは、400V以下である。また、好ましくは、第1成膜室17Aの成膜電圧は、第1成膜室17B~各第1成膜室17Dの成膜電圧よりも低く調整される。
【0112】
第1ターゲット31の材料、すなわち、透明導電層2(透明導電層2の一部)の材料は、例えば、インジウム系酸化物(例えば、インジウムスズ複合酸化物、インジウム亜鉛複合酸化物、および、インジウムガリウム複合酸化物)アンチモンスズ複合酸化物などの金属酸化物、例えば、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル、窒化クロム、窒化ガリウムおよびこれらの複合窒化物などの金属窒化物、例えば、金、銀、銅、ニッケルおよびこれらの合金などの金属などが挙げられ、好ましくは、インジウム系酸化物が挙げられ、より好ましくは、インジウムスズ複合酸化物が挙げられる。
【0113】
つまり、好ましくは、透明導電層2(透明導電層2の一部)は、インジウム系酸化物を主成分として含み、より好ましくは、インジウムスズ複合酸化物を主成分として含む。
【0114】
透明導電層2(透明導電層2の一部)は、インジウム系酸化物を主成分として含むと、透明導電層2の比抵抗を低くできる。
【0115】
透明導電層2(透明導電層2の一部)の材料としてインジウムスズ複合酸化物を用いる場合、酸化スズの含有割合は、酸化スズおよび酸化インジウムの合計量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、2質量%以上、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
【0116】
酸化スズの含有割合が上記した下限以上であれば、低抵抗化が促進される。酸化スズの含有割合が上記した上限以下であれば、透明導電層2(透明導電層2の一部)は、強度および結晶性に優れる。
【0117】
また、第1ターゲット31からはじき出されたターゲット材料は、長尺の基材1に衝突して、熱エネルギーを生じるため、この方法では、第1成膜ロール16によって、透明導電層2の一部を冷却し、透明導電層2の一部の結晶化を抑制する。
【0118】
詳しくは、第1成膜ロール16の温度は、例えば、-20℃以上、好ましくは、-10℃以上、また、例えば、50℃以下、好ましくは、20℃以下、より好ましくは、0℃以下である。
【0119】
第1成膜ロール16の温度が、上記下限以上または上記上限以下であれば、透明導電層2(透明導電層2の一部)十分に冷却することができ、透明導電層2(透明導電層2の一部)の結晶化を抑制できる(非晶質の透明導電層2の一部を得ることができる。)。
【0120】
[第3工程]
第3工程では、真空雰囲気下で、透明導電層2の一部を加熱しながら、透明導電層2の一部の厚み方向一方面に、透明導電層2の残部を形成する。
【0121】
具体的には、長尺の基材1は、第2成膜ロール22の表面に周方向に沿って接触しながら搬送される。そして、搬送される長尺の基材1に対して、真空雰囲気下で、透明導電層2の一部を加熱しながら、スパッタリングを実施する。すなわち、第1アニールユニット7を作動させて、透明導電層2の残部の形成と、透明導電層2の結晶化とを同時に実施する。
【0122】
具体的には、真空下の第2チャンバー25の内部(複数の第2成膜室23の内部)に、スパッタリングガスとしての希ガスを供給するとともに、電圧を印加して、ガスを第2ターゲット32(第2ターゲット32A~第2ターゲット32C)に衝突させる。その結果、第2成膜ロール22の側方および下方において、搬送方向上流側から搬送されてくる長尺の基材1における透明導電層2の一部の下面(一方面)に、第2ターゲット32(第2ターゲット32A~第2ターゲット32C)からはじき出されたターゲット材料が付着され、透明導電層2の残部が形成される。
【0123】
つまり、この方法では、透明導電層2の残部は、長尺の基材1を第1成膜ロール16の周面に沿って搬送しながら、スパッタリングによって形成される。
【0124】
また、上記したように、第3工程は、スパッタリングガス(希ガス)の存在下で実施する。
【0125】
希ガスとしては、第2工程において例示した希ガスが挙げられ、好ましくは、クリプトンガスが挙げられる。つまり、より好ましくは、製造コストおよび生産性の観点から、第3工程は、クリプトンガスを含む希ガスの存在下で実施する。詳しくは、クリプトンは、アルゴンよりも重原子であり、また、アルゴンよりも高電圧になるため、スパッタリングの速度が速くなり、その結果、生産性が向上する。
【0126】
また、スパッタリングガスの種類は、各第2成膜室23に、個別に選択でき、好ましくは、第2成膜室23A~第2成膜室23Cにおいて、クリプトンガスを選択する。
【0127】
反応性ガスの流量は、各第2成膜室23に対して、個別に調整できる。希ガスおよび反応性ガスの総量に対する反応性ガスの流量は、第2工程における反応性ガスの流量と同様である。
【0128】
また、印加される出力(放電出力)は、各第2成膜室23に対して、個別に調整できる。放電出力は、第2工程における放電出力と同様である。透明導電層2の一部の厚みを形成する、各第1成膜室17の合計放電出力の合計に対する、透明導電層2の残部の厚みを形成する、各第2成膜室23の合計放電出力の比(各第2成膜室23の合計放電出力/各第1成膜室17の合計放電出力)は、例えば、0.010以上、好ましくは、0.030以上、より好ましくは、0.050以上、さらに好ましくは、0.060以上、とりわけ好ましくは、0.080以上、特に好ましくは、0.100以上であり、また、例えば、0.800以下、好ましくは、0.500以下、より好ましくは、0.400、さらに好ましくは、0.300以下、とりわけ好ましくは、0.200以下である。印加される電圧(成膜電圧)は、各第2成膜室23に対して、個別に調整できる。成膜電圧は、第2工程における成膜電圧と同様である。
【0129】
第2ターゲット32の材料は、第1ターゲット31の材料と同様である。好ましくは、第2ターゲット32の材料として、インジウム系複合酸化物が挙げられ、より好ましくは、インジウムスズ複合酸化物が挙げられる。
【0130】
また、この方法では、第2成膜ロール22によって、透明導電層2の一部を加熱して、透明導電層2の一部とともに、透明導電層2の残部を結晶化させる。
【0131】
詳しくは、第2成膜ロール22の温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、150℃以上、また、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。
【0132】
これにより、長尺の基材1と、透明導電層2とを、厚み方向一方面に順に備える透明導電性フィルム3が得られる。
【0133】
その後、第2成膜ロール22の下側で作製された透明導電性フィルム3は、第2成膜ロール22および第8ガイドロール26により、搬送方向下流側の巻取ロール27に向かって搬送される。
【0134】
得られた透明導電性フィルム3において、透明導電層2は、好ましくは、結晶質である。透明導電層2が、結晶質であれば、後述する比抵抗を小さくできる。
【0135】
なお、透明導電層2の結晶質性の確認方法については、後述する実施例で詳述する。
【0136】
透明導電層2の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、20nm以上、また、例えば、300nm以下、好ましくは、200nm以下、より好ましくは、170nm以下である。詳しくは、透明導電層2の一部の厚みは、例えば、5nm以上、好ましくは、10nm以上、また、例えば、290nm以下、好ましくは、200nm以下、好ましくは、160nm以下である。また、透明導電層2の残部の厚みは、例えば、1nm以上、好ましくは、5nm以上、より好ましくは、10nm以上、また、例えば、200nm以下、好ましくは、100nm以下である。また、透明導電層2の一部の厚みに対する透明導電層2の残部の厚みの比(透明導電層2の残部の厚み/透明導電層2の一部の厚み)は、例えば、0.01以上、好ましくは、0.03以上、より好ましくは、0.05以上、さらに好ましくは、0.06以上、とりわけ好ましくは、0.08以上、特に好ましくは、0.10以上であり、また、例えば、0.80以下、好ましくは、0.50以下、より好ましくは、0.40、さらに好ましくは、0.30、とりわけ好ましくは、0.20以下である。
【0137】
なお、透明導電層2の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて、透明導電性フィルム3の断面を観察することにより測定することができる。
【0138】
透明導電層2の比抵抗は、例えば、4.0×10-4Ω・cm以下、好ましくは、3.0×10-4Ω・cm以下、より好ましくは、2.2×10-4Ω・cm以下、さらに好ましくは、2.0×10-4Ω・cm以下である。
【0139】
なお、比抵抗は、JIS K7194に準拠して、4端子法により測定した表面抵抗値と、透明導電層2の厚みとを乗ずることにより求めることができる。
【0140】
透明導電層2の表面抵抗値は、例えば、200Ω/□以下、好ましくは、100Ω/□以下、より好ましくは、50Ω/□以下である。
【0141】
透明導電層2の表面抵抗値の下限は、特に限定されない。例えば、透明導電層2の表面抵抗値は、通常、0Ω/□超過、また、1Ω/□以上である。
【0142】
なお、表面抵抗値は、JIS K7194に準拠して、4端子法により測定することができる。
【0143】
<作用効果>
透明導電性フィルム3の製造方法では、第2工程において、透明導電層2の一部を形成し、また、第3工程において、透明導電層2の一部を加熱しながら、透明導電層2の残部を形成する。第3工程において、透明導電層2の一部が加熱されているため、透明導電層2の一部とともに、透明導電層2の残部を結晶化する。つまり、第3工程において、透明導電層2の形成と、透明導電層2の結晶化を同時にできる。そのため、生産性の向上を図ることができる。
【0144】
<変形例>
変形例において、一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態および変形例を適宜組み合わせることができる。
【0145】
一実施形態では、第1成膜室17は、4つであったが、その数は、特に限定されない。
【0146】
一実施形態では、第2成膜室23は、3つであったが、その数は、特に限定されない。
【0147】
一実施形態では、第3工程において、第2成膜ロール22を加熱することにより、透明導電層2の一部を加熱するが、第2成膜ロール22とともに、または、第2成膜ロール22に代えて、加熱ヒータ(図示せず)を用いることもできる。好ましくは、透明導電性フィルム3に対して物理的に接触することにより、透明導電層2に熱を均一に与え、結晶化を促進する観点から、第2成膜ロール22を加熱することにより、透明導電層2の一部を加熱する。
【0148】
また、透明導電性フィルム3の製造方法は、第3工程の後に、透明導電層2を加熱する第4工程を備えることもできる。
【0149】
以下、第4工程を実施できるフィルム製造装置の変形例について、図2を参照して、説明する。
【0150】
フィルム製造装置10は、第1アニールユニット7と、巻取ユニット8との間に、第2アニールユニット9を備える。
【0151】
第2アニールユニット9は、第1アニールユニット7から搬送される透明導電性フィルム3を、加熱する。第2アニールユニット9は、第1アニールユニット7の搬送方向下流側かつ巻取ユニット8の搬送方向上流側に、これらと隣接するように配置されている。
【0152】
第2アニールユニット9は、第9ガイドロール29と、第10ガイドロール30と、加熱ロール31と、第11ガイドロール32と、第3チャンバー33とを備える。
【0153】
第9ガイドロール29は、第1アニールユニット7(第7ガイドロール24)から搬送される透明導電性フィルム3を第10ガイドロール30にガイドする回転部材である。第9ガイドロール29は、第7ガイドロール24の搬送方向下流側かつ第10ガイドロール30の搬送方向上流側に配置されている。
【0154】
第10ガイドロール30は、第9ガイドロール29から搬送される透明導電性フィルム3を加熱ロール31にガイドする回転部材である。第10ガイドロール30は、第9ガイドロール29の搬送方向下流側かつ加熱ロール31の搬送方向上流側に配置されている。
【0155】
加熱ロール31は、透明導電層2を加熱するための回転軸を有する円柱部材である。加熱ロール31は、透明導電性フィルム3を加熱ロール31の周面に沿って搬送する。加熱ロール31は、第10ガイドロール30の搬送方向下流側かつ第11ガイドロール32の搬送方向上流側に配置されている。
【0156】
第11ガイドロール32は、加熱ロール31から搬送される長尺の透明導電性フィルム3を、巻取ユニット8にガイドする回転部材である。第11ガイドロール32は、加熱ロール31の搬送方向下流側かつ第8ガイドロール26の搬送方向上流側に配置されている。
【0157】
第3チャンバー33は、第9ガイドロール29、第10ガイドロール30、加熱ロール31、および、第11ガイドロール32を収容するケーシングである。第3チャンバー33には、内部を真空可能とする真空ユニットが設けられている。
【0158】
そして、第4工程では、第3工程の後に、透明導電層2を加熱する。
【0159】
具体的には、長尺の基材1(透明導電性フィルム3)は、加熱ロール31の表面に周方向に沿って接触しながら搬送される。そして、搬送される長尺の基材1(透明導電性フィルム3)に対して、真空雰囲気下で、透明導電層2を加熱する。すなわち、第2アニールユニット9を作動させて、透明導電層2を結晶化する。
【0160】
より具体的には、加熱ロール31によって、透明導電層2を加熱する。
【0161】
詳しくは、加熱ロール31の温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上、より好ましくは、150℃以上、また、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下である。
【0162】
また、上記した説明では、第4工程において、加熱ロール31を加熱することによって、透明導電層2を加熱するが、加熱ロール31とともに、または、加熱ロール31に代えて、加熱ヒータ(図示せず)を用いることもできる。好ましくは、透明導電層2に熱を均一に与え、結晶化を促進する観点から、加熱ロール31を加熱することによって、透明導電層2の一部を加熱する。
【0163】
また、上記した説明では、真空雰囲気下で、第4工程を実施するが、大気雰囲気下で、第4工程を実施することもできる。詳しくは、スパッタリングと同一工程内で透明導電層2の結晶化を促進し、生産性を向上する観点から、真空雰囲気下が選択され、透明導電層2の酸化を促進することで、安定的に、透明導電層2の結晶化を図る観点から、大気雰囲気下が選択される。
【実施例0164】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0165】
1.透明導電性フィルムの製造
<実施例1>
透明導電性フィルムの製造には、図1に示すフィルム製造装置10を用いた。
[第1工程]
長尺の基材1としてのPETフィルム(厚さ50μm,東レ社製)の厚み方向一方面に、アクリル樹脂を含有する紫外線硬化性樹脂を塗布して塗膜を形成した。次に、紫外線照射によって当該塗膜を硬化させた。これにより、長尺の基材1の厚み方向一方面に、ハードコート層(厚さ2μm)を形成した。次いで、長尺の基材1をロール体として送出ロール11に装着した。これにより、長尺の基材1を準備した。
【0166】
[第2工程]
次いで、送出ロール11および巻取ロール27をモータにより回転駆動させて、長尺の基材1を長手方向に搬送した。このとき、搬送速度は、2.3m/分とした。
【0167】
次いで、長尺の基材1を長手方向に搬送しながら、真空雰囲気下で、スパッタリング(反応性スパッタリング法)を実施した。すなわち、スパッタユニット6を作動させて、長尺の基材1に透明導電層2の一部を形成した。
【0168】
スパッタリング条件は以下の通りである。
[第1成膜室17A]
スパッタリング電源:DC電源
放電出力:1.05W/mm
ターゲット上の水平磁場強度:90mT
スパッタリングガス:成膜室内の水分圧が0.9×10-4Pa以下に至るまで真空排気した後、クリプトンガス(希ガス)および酸素ガス(反応性ガス)を供給
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約2.3流量%
圧力:0.2Pa
[第1成膜室17B~第1成膜室17D]
スパッタリング電源、ターゲット上の水平磁場強度、スパッタリングガスおよび圧力:第1成膜室17Aと同じ
放電出力:6.05W/mm
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約3.6流量%
[ターゲット]
第1ターゲット31A~第1ターゲット31D:酸化インジウムと酸化スズとの焼結体(酸化スズ濃度10質量%のインジウムスズ複合酸化物)
[第1成膜ロール16]
温度:-5℃
【0169】
[第3工程]
長尺の基材1を長手方向に搬送しながら、真空雰囲気下で、透明導電層2の一部を加熱しながら、スパッタリング(反応性スパッタリング法)を実施した。すなわち、第1アニールユニット7を作動させて、透明導電層2の残部の形成と、透明導電層2の結晶化とを同時に実施した。
【0170】
スパッタリングにおける条件は以下の通りである。
[第2成膜室23A~第2成膜室23C]
スパッタリング電源、放電出力、ターゲット上の水平磁場強度、スパッタリングガスおよび圧力:第1成膜室17Aと同じ
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約0.7流量%
[ターゲット]
第2ターゲット32A~第2ターゲット32C:第1ターゲット31Aと同じ
[第2成膜ロール22]
温度:160℃
以上により、透明導電性フィルム3を得た。
【0171】
<実施例2>
実施例1と同様の手順で、透明導電性フィルム3を得た。
【0172】
但し、第2工程において、実施例1と同じ厚みの透明導電層2を得るために、搬送速度を2.1m/分に変更した。
【0173】
また、第2工程において、以下のスパッタリング条件を変更した。
[第1成膜室17A]
スパッタリングガス:成膜室内の水分圧が0.9×10-4Pa以下に至るまで真空排気した後、クリプトンガス(希ガス)および酸素ガス(反応性ガス)を供給
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約2.2流量%
圧力:0.2Pa
[第1成膜室17B~第1成膜室17D]
スパッタリング電源、ターゲット上の水平磁場強度、スパッタリングガスおよび圧力:第1成膜室17Aと同じ
放電出力:6.05W/mm
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約3.4流量%
【0174】
また、第3工程において、以下のスパッタリング条件を変更した。
[第2成膜室23A]
スパッタリング電源、放電出力、ターゲット上の水平磁場強度、スパッタリングガスおよび圧力:第1成膜室17Aと同じ
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約0.7流量%
[第2成膜室23B~第2成膜室23C]
スパッタリングを実施しなかった。
【0175】
<実施例3>
実施例2と同様の手順で、透明導電性フィルム3を得た。但し、第2工程において、実施例2と同じ厚みの透明導電層2を得るために、搬送速度を2.0m/分に変更し、また、第1成膜室17A~第1成膜室17D、および、第2成膜室23Aにおけるスパッタリングガスを、クリプトンガスから、アルゴンガスに変更した。
【0176】
<実施例4>
実施例1と同様の手順で、透明導電性フィルム3を得た。
【0177】
但し、第2工程において、搬送速度を10.2m/分に変更した。
【0178】
また、第2工程において、以下のスパッタリング条件を変更した。
[第1成膜室17Bおよび第1成膜室17C]
【0179】
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約3.9流量%
[第1成膜室17D]
スパッタリングを実施しなかった。
[ターゲット]
第1ターゲット31C:酸化インジウムと酸化スズとの焼結体(酸化スズ濃度3質量%のインジウムスズ複合酸化物)
【0180】
また、第3工程において、以下のスパッタリング条件を変更した。
[第2成膜室23A]
クリプトンガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの流量:約0.7流量%
[第2成膜室23B~第2成膜室23C]
スパッタリングを実施しなかった。
[ターゲット]
第2ターゲット32A:酸化インジウムと酸化スズとの焼結体(酸化スズ濃度3質量%のインジウムスズ複合酸化物)
【0181】
<比較例1>
実施例1と同様の手順で、透明導電性フィルム3を得た。
【0182】
但し、第2工程において、実施例1および2と同じ厚みの透明導電層2を得るために、搬送速度を2.0m/分に変更した。
【0183】
また、第3工程において、以下のスパッタリング条件を変更した。
[第2成膜室23A~第2成膜室23C]
スパッタリングを実施しなかった。
【0184】
<比較例2>
実施例2と同様の手順で、透明導電性フィルム3を得た。
【0185】
但し、第2工程において、実施例3と同じ厚みの透明導電層2を得るために、搬送速度を1.9m/分に変更した。
【0186】
また、第3工程において、以下のスパッタリング条件を変更した。
[第2成膜室23A~第2成膜室23C]
スパッタリングを実施しなかった。
【0187】
<比較例3>
実施例3と同様の手順で、透明導電性フィルム3を得た。
【0188】
但し、第2工程において、実施例4と同じ厚みの透明導電層2を得るために、搬送速度を9.4m/分に変更した。
【0189】
また、第3工程において、以下のスパッタリング条件を変更した。
[第2成膜室23A~第2成膜室23C]
スパッタリングを実施しなかった。
【0190】
2.評価
<透明導電層の厚さ>
各実施例、および、各比較例における透明導電層の厚さを、FE-TEM観察により測定した。具体的には、まず、FIBマイクロサンプリング法により、各実施例、および、各比較例における各透明導電層の断面観察用サンプルを作製した。FIBマイクロサンプリング法では、FIB装置(商品名「FB2200」、Hitachi製)を使用し、加速電圧を10kVとした。次に、断面観察用サンプルにおける透明導電層の厚さを、FE-TEM観察によって測定した。FE-TEM観察では、FE-TEM装置(商品名「JEM-2800」,JEOL製)を使用し、加速電圧を200kVとした。その結果を表1に示す。
【0191】
<透明導電層の結晶性>
各実施例、および、各比較例の透明導電性フィルムを切り出し、ウルトラミクロトームの試料ホルダに固定した。次いで、ITO膜面に対して極鋭角にミクロトームナイフを設置し、切断面がITO膜面と略平行となるように切削して観察試料を得た。この観察試料を、透過型電子顕微鏡を用いて、平面視で結晶粒を観察した(観察倍率は、結晶粒が明瞭に観察できる倍率に調整した。)。観察の結果、結晶粒の存在する領域が、70%以上、100%以下であれば、結晶質であると判定した。ここで、結晶粒の最末端である結晶粒界近傍では、不可避的に結晶性が低くなる場合があり、結晶質であっても、100%である必要性はない。なお、実施例1~3の透明導電層は、略全面に結晶粒が観察された。
【0192】
<搬送速度>
各実施例、および、各比較例を作成する際の成膜環境および条件(スパッタリング電源、放電出力、ターゲット、ターゲット上の水平磁場強度、スパッタリングガス、酸素ガスおよび圧力)において、各実施例、および、各比較例の、透明導電層の厚みを得るために必要となる、基材1の長手方向の搬送速度を求めた。
【0193】
<考察>
実施例1および実施例2と比較例1とでは、第2成膜ロールの条件(放電出力および温度)および搬送速度を除いて、同じ条件である。そして、実施例1および実施例2と比較例1とを比較すると、第2工程において、透明導電層の一部を形成し、第3工程において、透明導電層の一部を加熱しながら、透明導電層の残部を形成した実施例1および実施例2は、第2工程において、透明導電層の全部を形成し、第3工程において、透明導電層を形成しなかった比較例1に比べて、搬送速度が高いとわかる。
【0194】
このことから、第2工程において、透明導電層の一部を形成し、第3工程において、透明導電層の一部を加熱しながら、透明導電層の残部を形成すれば、生産性が向上するとわかる。
【0195】
このことは、実施例3と比較例2との比較、および、実施例4と比較例3との比較でも同様である。
【0196】
【表1】
【符号の説明】
【0197】
1 長尺の基材
2 透明導電層
3 透明導電性フィルム
16 第1成膜ロール
17 第1成膜室
22 第2成膜ロール
23 第2成膜室
図1
図2