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特開2024-59991商品管理システム、管理装置、及び商品管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059991
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】商品管理システム、管理装置、及び商品管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240423BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034185
(22)【出願日】2024-03-06
(62)【分割の表示】P 2022560763の分割
【原出願日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2020185832
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 匠
(72)【発明者】
【氏名】高木 一行
(57)【要約】      (修正有)
【課題】陳列ゾーンから商品を取ったユーザを特定し易くする商品管理システム、管理装置及び商品管理方法を提供する。
【解決手段】商品管理システムは、陳列ゾーンZに陳列される商品Pを掛ける又は保持する器具Hに設けられ、器具Hが陳列ゾーンZから取られた際に第1識別信号を無線で送信する器具送信機200と、陳列ゾーンZから商品Pと共に器具Hを取り出し得るユーザの背面側の位置に設けられ、第2識別信号を無線で送信する少なくとも1つの背面送信機400と、器具送信機200及び少なくとも1つの背面送信機400のいずれかからユーザの端末装置100が受信する識別信号に基づいて、陳列ゾーンZから取られた商品Pをユーザと対応付ける処理を行う管理装置30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列ゾーンに陳列される商品が取り出されたことを示す情報を取得したことに応じて第1識別信号を無線で送信する送信機と、
前記陳列ゾーンから前記商品を取り出し得るユーザの端末装置が、前記送信機から受信する前記第1識別信号に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行う管理装置と、を備える
商品管理システム。
【請求項2】
前記ユーザの背面側の位置に設けられ、第2識別信号を無線で送信する少なくとも1つの背面送信機をさらに備え、
前記管理装置は、前記送信機及び前記少なくとも1つの背面送信機のいずれかから前記端末装置が受信する識別信号に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行う、
請求項1に記載の商品管理システム。
【請求項3】
陳列ゾーンに陳列される商品が取り出されたことを示す情報を取得したことに応じて第1識別信号を無線で送信する送信機と、
前記陳列ゾーンから前記商品を取り出し得るユーザの端末装置と、
管理装置と、を有し、
前記端末装置は、前記送信機から前記第1識別信号を受信したことに応じて、前記第1識別信号及び前記端末装置の識別子を含む第1取得情報を送信し、
前記管理装置は、前記端末装置から受信する前記第1取得情報に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行う
商品管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記送信機が送信する前記第1識別信号を前記端末装置が受信したことに応じて、前記陳列ゾーンから前記商品を取った人物として前記ユーザを特定する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の商品管理システム。
【請求項5】
前記送信機は、正面ユーザを対象とする狭範囲に前記第1識別信号を送信し、
前記管理装置は、前記送信機が狭範囲に送信する前記第1識別信号を前記端末装置が受信したことに応じて、前記陳列ゾーンから前記商品を取った人物として前記ユーザを特定する
請求項4に記載の商品管理システム。
【請求項6】
前記陳列ゾーン側に設けられ、前記送信機から前記第1識別信号を受信する陳列ゾーン側受信機をさらに備え、
前記管理装置は、前記陳列ゾーン側受信機が受信する前記第1識別信号にさらに基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行う
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の商品管理システム。
【請求項7】
陳列ゾーンに陳列される商品が取り出されたことを示す情報を取得したことに応じて第1識別信号を無線で送信する送信機を有する商品管理システムで用いる管理装置であって、
前記陳列ゾーンから前記商品を取り出し得るユーザの端末装置が前記第1識別信号を受信したことに応じて送信する情報であって、前記第1識別信号及び前記端末装置の識別子を含む第1取得情報を、前記端末装置から受信する受信部と、
前記第1取得情報に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行うプロセッサと、を備える
管理装置。
【請求項8】
送信機が、陳列ゾーンに陳列される商品が取り出されたことを示す情報を取得したことに応じて第1識別信号を無線で送信することと、
前記陳列ゾーンから前記商品を取り出し得るユーザの端末装置が、前記送信機から前記第1識別信号を受信したことに応じて、前記第1識別信号及び前記端末装置の識別子を含む第1取得情報を送信することと、
管理装置が、前記端末装置から受信する前記第1取得情報に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行うことと、を有する
商品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品管理システム、管理装置、及び商品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、無線タグが付された商品を陳列するための陳列ゾーンに、無線タグに対する読取りを行うリーダライタアンテナを設ける技術が記載されている。このような技術によれば、リーダライタアンテナにより無線タグの情報を読取ることでリアルタイムの商品管理ができるとされている。
【0003】
特許文献2には、ビーコン装置からビーコン信号(識別信号)を受信する端末装置であって、受信したビーコン信号に基づいて自端末の現在位置を推定する端末装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-207445号公報
【特許文献2】特開2015-224943号公報
【発明の概要】
【0005】
第1の態様に係る商品管理システムは、陳列ゾーンに陳列される商品を掛ける又は保持する器具に設けられ、前記器具が前記陳列ゾーンから取られた際に第1識別信号を無線で送信する器具送信機と、前記陳列ゾーンから前記商品と共に前記器具を取り出し得るユーザの背面側の位置に設けられ、第2識別信号を無線で送信する少なくとも1つの背面送信機と、前記器具送信機及び前記少なくとも1つの背面送信機のいずれかから前記ユーザの端末装置が受信する識別信号に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行う管理装置と、を備える。
【0006】
第2の態様に係る管理装置は、陳列ゾーンに陳列される商品を掛ける又は保持する器具に設けられ、前記器具が前記陳列ゾーンから取られた際に第1識別信号を無線で送信する器具送信機と、前記陳列ゾーンから前記商品と共に前記器具を取り出し得るユーザの背面側の位置に設けられ、第2識別信号を無線で送信する少なくとも1つの背面送信機と、を有する商品管理システムで用いる管理装置であって、前記器具送信機及び前記少なくとも1つの背面送信機のいずれかから前記ユーザの端末装置が受信する識別信号に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行うプロセッサを備える。
【0007】
第3の態様に係る商品管理方法は、陳列ゾーンに陳列される商品を掛ける又は保持する器具に設けられる器具送信機が、前記器具が前記陳列ゾーンから取られた際に第1識別信号を無線で送信することと、前記陳列ゾーンから前記商品と共に前記器具を取り出し得るユーザの背面側の位置に設けられる少なくとも1つの背面送信機が、第2識別信号を無線で送信することと、管理装置が、前記器具送信機及び前記少なくとも1つの背面送信機のいずれかから前記ユーザの端末装置が受信する識別信号に基づいて、前記陳列ゾーンから取られた前記商品を前記ユーザと対応付ける処理を行うことと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る商品管理システムの構成を示す図である。
図2】一実施形態に係る陳列ゾーン側受信機、背面送信機、及び背面受信機の配置例を示す図である。
図3】一実施形態に係る器具送信機の構成を示す図である。
図4】一実施形態に係る背面送信機の構成を示す図である。
図5】一実施形態に係る端末装置の構成を示す図である。
図6】一実施形態に係る管理装置の構成を示す図である。
図7】一実施形態に係る商品管理システムの第1動作例を示す図である。
図8】一実施形態に係る商品管理システムの第2動作例を示す図である。
図9】一実施形態に係る商品管理システムの第3動作例を示す図である。
図10】一実施形態に係る商品管理システムの実施例を示す図である。
図11】各ユーザにおける端末装置の位置の組み合わせを示す図である。
図12】ビーコン信号の広範囲送信を示す図である。
図13】ビーコン信号を狭範囲に送信した場合及び広範囲に送信した場合の受信状況を示す図である。
図14】(4)のケースについて示す図である。
図15】ユーザB、Cがそれぞれハンガーを取ったと仮定した場合を示す図である。
図16】(8)のケースについて示す図である。
図17】距離に基づくユーザの特定方法を示す図である。
図18】距離に基づくユーザの特定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特許文献1に記載の技術は、陳列ゾーンにある商品を管理できるものの、陳列ゾーンから商品を取った人物を特定できない。あるユーザが商品に興味を示し、この商品を陳列ゾーンから取った場合を想定すると、このユーザを特定できれば、このユーザに対して商品情報を提供するといったサービスを提供できると考えられる。
【0010】
ユーザを特定するための方法として、陳列ゾーンから取られた商品側からビーコン信号を送信させ、このビーコン信号をユーザの端末装置が受信し、ビーコン情報及びユーザ情報を端末装置からサーバ(管理装置)に送信する方法が考えられる。これにより、陳列ゾーンから商品を取ったユーザをサーバが特定できる。
【0011】
しかしながら、ユーザの背面側に端末装置がある場合、例えば、ユーザがズボンの後ろポケット(いわゆる、尻ポケット)に端末装置を入れているような場合、端末装置がビーコン信号を受信できないため、陳列ゾーンから商品を取ったユーザを特定できないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、陳列ゾーンから商品を取ったユーザを特定し易くすることを目的とする。
【0013】
図面を参照して実施形態に係る商品管理システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0014】
(商品管理システムの構成)
まず、一実施形態に係る商品管理システムの構成について説明する。一実施形態に係る商品管理システムは、店舗において扱われる商品を管理するためのシステムである。以下の実施形態において、店舗がアパレル店舗であり、商品が被服である一例について説明する。但し、店舗は、商品を扱う店舗であればどのような店舗であってもよく、例えばスーパーマーケット等であってもよい。
【0015】
図1は、一実施形態に係る商品管理システム1の構成を示す図である。
【0016】
図1に示すように、店舗において、商品Pを陳列するための陳列ゾーンZが設けられている。陳列ゾーンZには、商品Pと、この商品Pを掛ける又は保持する器具Hとのセットが少なくとも1つ配置される。以下の実施形態において、陳列ゾーンZが、ハンガーのラック600(図2参照)により構成される一例について説明する。但し、陳列ゾーンZは、商品Pを陳列するためのゾーンであればどのようなゾーンであってもよく、例えば陳列棚又はショーケース等であってもよい。
【0017】
一実施形態において、器具Hは、商品Pが掛けられるハンガーである。以下の実施形態において、器具Hがハンガーである一例について主として説明する。但し、器具Hは、商品Pを掛ける又は保持するための器具であればどのようなものでもよい。器具Hは、例えばトレー又は商品固定具等であってもよい。
【0018】
商品管理システム1は、端末装置100と、器具送信機200と、陳列ゾーン側受信機300と、背面送信機400と、背面受信機500と、管理装置30とを有する。
【0019】
端末装置100は、陳列ゾーンから商品Pと共に器具Hを取り出し得るユーザが所持する無線通信装置である。例えば、端末装置100は、スマートフォン、タブレット端末、又はウェアラブル端末等であってもよい。以下の実施形態において、端末装置100がスマートフォンである一例について説明する。端末装置100は、無線回線を介してネットワーク10と接続されている。ネットワーク10は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、及びインターネットのうち少なくとも1つを含む。なお、図1において、端末装置100として3つの端末装置(A、B、C)を例示しているが、端末装置100は、1つ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0020】
器具送信機200は、器具Hに設けられる装置である。例えば、器具送信機200は、器具Hの表面に取り付けられる。器具送信機200は、自機に対応する器具H(及び商品P)が陳列ゾーンZから取られた際に識別信号を無線で送信する。識別信号とは、自機を識別する識別子(ID)を含む無線信号をいう。以下において、このような識別信号を「ビーコン信号」と呼び、器具Hの一例としてのハンガーに設けられる器具送信機200が送信するビーコン信号を適宜「ハンガービーコン信号」と呼ぶ。ハンガービーコン信号は、第1識別信号の一例である。なお、図1において、器具送信機200として3つの器具送信機(a、b、c)を例示しているが、器具送信機200は、1つ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0021】
陳列ゾーン側受信機300は、陳列ゾーンZ側に設けられる装置である。例えば、陳列ゾーン側受信機300は、陳列ゾーンZの一例としてのハンガーラックに取り付けられてもよいし、ハンガーラックの周辺に取り付けられてもよい。陳列ゾーン側受信機300は、器具送信機200からハンガービーコン信号を受信する。陳列ゾーン側受信機300は、無線回線又は有線回線を介してネットワーク10と接続されている。陳列ゾーン側受信機300は、受信したハンガービーコン信号に関する取得情報を管理装置30に送信する。なお、図1において、陳列ゾーン側受信機300が1つである一例を示しているが、陳列ゾーン側受信機300は、2つ以上であってもよい。
【0022】
背面送信機400は、陳列ゾーンZから商品Pと共に器具Hを取り出し得るユーザの背面側の位置に設けられる装置である。例えば、背面送信機400は、店舗の壁に取り付けられてもよいし、専用の支持具に取り付けられてもよい。背面送信機400は、無線回線又は有線回線を介してネットワーク10と接続されている。背面送信機400は、ビーコン信号を無線で送信する。例えば、背面送信機400は、器具Hが陳列ゾーンZから取られた際に、管理装置30からの指令に応じてビーコン信号を送信する。背面送信機400が送信するビーコン信号を適宜「背面ビーコン信号」と呼ぶ。背面ビーコン信号は、第2識別信号の一例である。なお、図1において、背面送信機400として3つの背面送信機(α、β、γ)を例示しているが、背面送信機400は、1つ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。但し、背面送信機400の数は、陳列ゾーンZの前に同時に存在し得るユーザの最大数と同数であることが好ましい。
【0023】
背面受信機500は、背面送信機400に対応して設けられる装置である。例えば、背面受信機500は、背面送信機400の上方に設けられる。背面受信機500は、店舗の天井に取り付けられてもよいし、専用の支持具に取り付けられてもよい。背面受信機500は、無線回線又は有線回線を介してネットワーク10と接続されている。背面受信機500は、器具送信機200からハンガービーコン信号を受信し、受信したハンガービーコン信号に関する取得情報を管理装置30に送信する。
【0024】
管理装置30は、商品Pを管理する装置である。管理装置30は、インターネットに接続されたクラウドサーバであってもよいし、店舗に設けられるPC(Personal Computer)であってもよい。管理装置30は、ネットワーク10を介して、端末装置100、陳列ゾーン側受信機300、背面送信機400、及び背面受信機500と通信する。管理装置30は、器具送信機200及び背面送信機400のいずれかから端末装置100が受信するビーコン信号に基づいて、陳列ゾーンZから取られた商品Pをユーザと対応付ける処理を行う。具体的には、管理装置30は、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザを特定し、特定したユーザと当該商品Pとを対応付ける。
【0025】
図2は、陳列ゾーン側受信機300、背面送信機400、及び背面受信機500の配置例を示す図である。
【0026】
図2に示す例において、陳列ゾーン側受信機300は、陳列ゾーンZを構成するラック600の周辺に設けられる。
【0027】
背面送信機400は、陳列ゾーンZに対面する店舗の壁又はガラス面に設けられる。図2に示す例において、3つの背面送信機400(α、β、γ)が水平方向に間隔をおいて設けられている。
【0028】
背面受信機500は、背面送信機400の上方に設けられる。図2に示す例において、3つの背面受信機500(α、β、γ)が水平方向に間隔をおいて設けられている。具体的には、背面受信機500(α)は背面送信機400(α)の上方に位置し、背面受信機500(β)は背面送信機400(β)の上方に位置し、背面受信機500(γ)は背面送信機400(γ)の上方に位置する。
【0029】
(器具送信機の構成)
次に、一実施形態に係る器具送信機200の構成について説明する。図3は、一実施形態に係る器具送信機200の構成を示す図である。
【0030】
図3に示すように、器具送信機200は、ビーコン送信機210と、検知部220と、バッテリ230と、コントローラ240とを有する。
【0031】
ビーコン送信機210は、自器具Hの移動が検知されたことに基づくハンガービーコン信号を送信する。以下において、ハンガービーコン信号としてブルートゥース(登録商標)の規格に基づくBTビーコンを用いる一例について主として説明する。但し、信号は、BTビーコンに限定されるものではなく、BT以外の無線通信規格に準拠する識別信号を用いてもよい。
【0032】
検知部220は、陳列ゾーンZから自器具Hが取り出されたことを検知し、検知結果を示す信号をコントローラ240に出力する。例えば、検知部220は、自器具Hが取り出されたことを示す加速度を検知するための加速度センサを含んでもよい。検知部220は、自器具H(ハンガー)が陳列ゾーンZ(ハンガーラック)に掛けられているかに応じてオン/オフするスイッチを含んでもよい。また、検知部220は、自器具H(ハンガー)が陳列ゾーンZ(ハンガーラック)に掛けられた際の物理量(例えば、質量等)の変化を検知するセンサを含んでもよい。
【0033】
バッテリ230は、器具送信機200の各部に供給する電力を蓄える。
【0034】
コントローラ240は、器具送信機200における各種の機能を制御する。コントローラ240は、少なくとも1つのメモリ242と、メモリ242と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ241とを有する。メモリ242は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ241における処理に用いる情報と、プロセッサ241により実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサ241は、メモリ242に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0035】
コントローラ240は、陳列ゾーンZから自器具Hが取り出されたことを検知部220が検知したとき、ハンガービーコン信号を送信するようにビーコン送信機210を制御する。コントローラ240は、ビーコン送信機210の送信電力及び送信指向性の少なくとも一方を制御することにより、ハンガービーコン信号の送信範囲(電波の到達範囲)を切り替える。
【0036】
第1に、コントローラ240は、狭範囲にハンガービーコン信号を送信するようにビーコン送信機210を制御する。例えば、狭範囲は、自器具H(ハンガー)の正面に存在し得る正面ユーザを対象とする範囲である。
【0037】
第2に、コントローラ240は、狭範囲でのハンガービーコン信号の送信が終了した後、広範囲にハンガービーコン信号を送信するようにビーコン送信機210を制御する。広範囲は、狭範囲よりも広い範囲であればよいが、例えば、正面ユーザと該正面ユーザに隣接する隣接ユーザとを対象とする範囲である。
【0038】
(背面送信機の構成)
次に、一実施形態に係る背面送信機400の構成について説明する。図4は、一実施形態に係る背面送信機400の構成を示す図である。
【0039】
図4に示すように、背面送信機400は、通信インターフェイス410と、ビーコン送信機420と、コントローラ430とを有する。
【0040】
通信インターフェイス410は、有線回線又は無線回線を介してネットワーク10と接続される。通信インターフェイス410は、管理装置30からの指令を受信すると、受信した指令をコントローラ430に出力する。
【0041】
ビーコン送信機420は、コントローラ430の制御下で背面ビーコン信号を送信する。上述のように、背面ビーコン信号としてはBTビーコンを用いることとしている。但し、信号は、BTビーコンに限定されるものではなく、BT以外の無線通信規格に準拠する識別信号を用いてもよい。
【0042】
コントローラ430は、背面送信機400における各種の機能を制御する。コントローラ430は、少なくとも1つのメモリ432と、メモリ432と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ431とを有する。メモリ432は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ431における処理に用いる情報と、プロセッサ431により実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサ431は、メモリ432に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0043】
コントローラ430は、通信インターフェイス410が管理装置30から受信する指令に基づいて、背面ビーコン信号を送信するようにビーコン送信機420を制御する。コントローラ430は、ビーコン送信機420の送信電力及び送信指向性の少なくとも一方を制御することにより、背面ビーコン信号の送信範囲(電波の到達範囲)を切り替える。
【0044】
第1に、コントローラ430は、起動指令又は狭範囲送信指令を通信インターフェイス410が管理装置30から受信すると、狭範囲に背面ビーコン信号を送信するようにビーコン送信機420を制御する。例えば、狭範囲は、自機の正面に存在し得る正面ユーザを対象とする範囲である。
【0045】
第2に、コントローラ430は、狭範囲での背面ビーコン信号の送信が終了した後、広範囲に背面ビーコン信号を送信するようにビーコン送信機420を制御する。広範囲は、狭範囲よりも広い範囲であればよいが、例えば、正面ユーザと該正面ユーザに隣接する隣接ユーザとを対象とする範囲である。
【0046】
(端末装置の構成)
次に、一実施形態に係る端末装置100の構成について説明する。図5は、一実施形態に係る端末装置100の構成を示す図である。
【0047】
図5に示すように、端末装置100は、無線通信機110と、ビーコン受信機120と、ユーザインターフェイス130と、コントローラ150とを有する。
【0048】
無線通信機110は、無線回線を介してネットワーク10と接続される。無線通信機110は、例えばセルラ通信規格又は無線LAN規格に基づく無線通信をネットワーク10と行う。
【0049】
ビーコン受信機120は、ビーコン信号(ハンガービーコン信号、背面ビーコン信号)を受信し、受信したビーコン信号をコントローラ150に出力する。
【0050】
ユーザインターフェイス130は、端末装置100を所持するユーザとのインターフェイスとして機能する。ユーザインターフェイス130は、コントローラ150の制御下でユーザに対する通知を行う。ユーザインターフェイス130は、ディスプレイ及びスピーカのうち少なくとも一方を含む。
【0051】
バッテリ140は、端末装置100の各部に供給する電力を蓄える。
【0052】
コントローラ150は、端末装置100における各種の機能を制御する。コントローラ150は、少なくとも1つのメモリ152と、メモリ152と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ151とを有する。メモリ152は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ151における処理に用いる情報と、プロセッサ151により実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサ151は、メモリ152に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0053】
コントローラ150は、ビーコン受信機120がビーコン信号を受信すると、受信したビーコン信号に含まれるIDを取得し、取得したIDとユーザIDとを含む取得情報を管理装置30に送信するように無線通信機110を制御する。ユーザIDとは、ユーザを識別可能なIDであればよく、例えば、ユーザ識別番号、メールアドレス、電話番号、又は端末メーカ・製造番号をユーザIDとして用いることができる。
【0054】
無線通信機110は、自端末のユーザが陳列ゾーンZから取った商品Pに関連する商品情報を管理装置30から受信してもよい。コントローラ150は、無線通信機110が管理装置30から受信した商品情報をユーザに通知するようにユーザインターフェイス130を制御してもよい。
【0055】
(管理装置の構成)
次に、一実施形態に係る管理装置30の構成について説明する。図6は、一実施形態に係る管理装置30の構成を示す図である。
【0056】
図6に示すように、管理装置30は、通信インターフェイス31と、コントローラ32とを有する。
【0057】
通信インターフェイス31は、有線回線又は無線回線を介してネットワーク10と接続される。通信インターフェイス31は、端末装置100の取得情報、陳列ゾーン側受信機300の取得情報、及び背面受信機500の取得情報を受信し、受信した取得情報をコントローラ32に出力する。
【0058】
コントローラ32は、管理装置30における各種の機能を制御する。コントローラ32は、少なくとも1つのメモリ322と、メモリ322と電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサ321とを有する。メモリ322は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサ321における処理に用いる情報と、プロセッサ321により実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサ321は、メモリ322に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0059】
コントローラ32は、端末装置100の取得情報、陳列ゾーン側受信機300の取得情報、及び背面受信機500の取得情報に基づいて、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザを特定し、特定したユーザと当該商品Pと対応付ける処理を行う。コントローラ32は、当該商品Pに関連する商品情報を管理装置30から受信してもよい。
【0060】
(商品管理システムの動作例)
次に、一実施形態に係る商品管理システム1の動作例について説明する。
【0061】
(1)第1動作例
第1動作例において、管理装置30は、器具送信機200が送信するハンガービーコン信号を端末装置100が受信したことに応じて、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として、当該端末装置100のユーザを特定する。
【0062】
例えば、管理装置30は、器具送信機200が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を端末装置100が受信したことに応じて、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として、当該端末装置100のユーザを特定する。
【0063】
器具送信機200が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を端末装置100が受信した場合、当該端末装置100が当該ユーザの体の前側(又は横側)にあり、当該ユーザが陳列ゾーンZから商品Pを取った人物であるとみなすことができる。
【0064】
図7は、商品管理システム1の第1動作例を示す図である。
【0065】
図7に示すように、ステップS101において、器具送信機200は、自機に対応する器具H(及び商品P)が陳列ゾーンZ(ラック600)から取られたことを検知する。
【0066】
ステップS102において、器具送信機200は、ステップS101での検知に応じて、ハンガーIDを含むハンガービーコン信号を狭範囲に送信する。第1動作例では、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の前側(又は横側)に、当該ユーザの端末装置100があるものとする。このため、当該端末装置100は、器具送信機200が狭範囲に送信するビーコン信号を受信可能である。
【0067】
ステップS103において、端末装置100は、器具送信機200から受信したハンガービーコン信号に含まれるハンガーIDと、当該端末装置100のユーザIDとを含む取得情報を管理装置30に送信する。管理装置30は、端末装置100から取得情報を受信する。
【0068】
ステップS104において、管理装置30は、ステップS103で受信した取得情報に含まれるユーザIDに対応するユーザを、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として特定する。
【0069】
ステップS105において、管理装置30は、ステップS103で受信した取得情報に含まれるハンガーIDに基づいて、陳列ゾーンZから取られた商品Pの商品IDを導出する。例えば、管理装置30は、ハンガーIDと商品IDとを対応付ける対応付け情報を予め保持し、この対応付け情報を用いてハンガーIDを商品IDに変換する。或いは、ハンガーID及び商品IDが共通化されている場合、管理装置30は、ハンガーIDをそのまま商品IDとして用いてもよい。或いは、ハンガーIDの一部が商品IDとして用いられている場合、管理装置30は、ハンガーIDから商品IDを抽出してもよい。
【0070】
ステップS106において、管理装置30は、ステップS105で導出した商品IDを、ステップS104で特定したユーザのユーザIDと対応付ける。すなわち、管理装置30は、陳列ゾーンZからどの商品Pがどのユーザにより取られたのかを把握する。
【0071】
ステップS107において、管理装置30は、陳列ゾーンZから取られた商品Pに関連する商品情報を、特定したユーザの端末装置100に送信してもよい。
【0072】
(2)第2動作例
上述の第1動作例において、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の前側(又は横側)に、当該ユーザの端末装置100があるものとしていた。しかしながら、当該ユーザの背面側に端末装置100がある場合、例えば、ユーザがズボンの後ろポケット(いわゆる、尻ポケット)に端末装置100を入れているような場合、端末装置100がハンガービーコン信号を受信できず、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザを特定できない。
【0073】
第2動作例では、管理装置30は、陳列ゾーン側受信機300がハンガービーコン信号を受信した場合、背面送信機400から背面ビーコン信号を送信させる。具体的には、管理装置30は、起動指令(ビーコン送信指令であってもよい)を背面送信機400に送信する。
【0074】
管理装置30は、器具送信機200が送信するハンガービーコン信号を端末装置100が受信せず、且つ、背面送信機400が送信する背面ビーコン信号を1つの端末装置100が受信したことに応じて、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として、当該1つの端末装置100のユーザを特定する。
【0075】
例えば、管理装置30は、器具送信機200が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を端末装置100が受信せず、且つ、背面送信機400が狭範囲に送信する背面ビーコン信号を1つの端末装置100が受信したことに応じて、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として、当該1つの端末装置100のユーザを特定する。
【0076】
器具送信機200が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を端末装置100が受信できない場合、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の背面側に端末装置100があるとみなすことができる。
【0077】
また、背面送信機400が狭範囲に送信する背面ビーコン信号を1つの端末装置100だけが受信した場合、当該1つの端末装置100が、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の背面側にある端末装置100であるとみなすことができる。
【0078】
これにより、管理装置30は、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の背面側に、当該ユーザの端末装置100がある場合であっても、背面送信機400が送信する背面ビーコン信号を利用して、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物を特定できる。
【0079】
図8は、商品管理システム1の第2動作例を示す図である。ここでは、上述の第1動作例との相違点を主として説明する。
【0080】
図8に示すように、ステップS201において、器具送信機200は、自機に対応する器具H(及び商品P)が陳列ゾーンZ(ラック600)から取られたことを検知する。
【0081】
ステップS202において、器具送信機200は、ステップS201での検知に応じて、ハンガーIDを含むハンガービーコン信号を狭範囲に送信する。第2動作例では、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の背面側に、当該ユーザの端末装置100があるものとする。このため、当該端末装置100は、器具送信機200が狭範囲に送信するビーコン信号を受信できない。
【0082】
他方、ステップS202において、陳列ゾーン側受信機300は、器具送信機200が狭範囲に送信するビーコン信号を受信する。
【0083】
ステップS203において、陳列ゾーン側受信機300は、器具送信機200から受信したハンガービーコン信号に含まれるハンガーIDと、陳列ゾーン側受信機300のID(受信機ID)とを含む取得情報を管理装置30に送信する。管理装置30は、陳列ゾーン側受信機300から取得情報を受信する。
【0084】
ステップS204において、管理装置30は、端末装置100から取得情報を受信せずに、陳列ゾーン側受信機300から取得情報を受信したことに応じて、起動指令(ビーコン送信指令であってもよい)を背面送信機400に送信する。ここで、陳列ゾーンZが複数存在する場合を想定すると、管理装置30は、陳列ゾーン側受信機300からの取得情報に含まれるIDに基づいて、商品Pが取られた陳列ゾーンZを特定し、特定した陳列ゾーンZに対応する背面送信機400に対して起動指令を送信してもよい。
【0085】
ステップS205において、背面送信機400は、管理装置30からの起動指令の受信に応じて、自機のID(送信機ID)を含む背面ビーコン信号を狭範囲に送信する。ここで、複数の背面送信機400が背面ビーコン信号を狭範囲に送信し得るが、背面ビーコン信号を受信した端末装置100が1つだけであるとする。
【0086】
ステップS206において、端末装置100は、ステップS205で受信した背面ビーコン信号に含まれる送信機IDと、当該端末装置100のユーザIDとを含む取得情報を管理装置30に送信する。管理装置30は、端末装置100から取得情報を受信する。
【0087】
ステップS207において、管理装置30は、ステップS206で端末装置100から受信した取得情報に含まれるユーザIDに対応するユーザを、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として特定する。
【0088】
ステップS208において、管理装置30は、ステップS203で陳列ゾーン側受信機300から受信した取得情報に含まれるハンガーIDに基づいて、陳列ゾーンZから取られた商品Pの商品IDを導出する。商品IDの導出方法は、上述の第1動作例と同様である。
【0089】
ステップS209において、管理装置30は、ステップS208で導出した商品IDを、ステップS207で特定したユーザのユーザIDと対応付ける。すなわち、管理装置30は、陳列ゾーンZからどの商品Pがどのユーザにより取られたのかを把握する。
【0090】
ステップS210において、管理装置30は、陳列ゾーンZから取られた商品Pに関連する商品情報を、特定したユーザの端末装置100に送信してもよい。
【0091】
なお、図8の動作では、複数の背面送信機400が背面ビーコン信号を狭範囲に送信し得るものの、背面ビーコン信号を受信した端末装置100が1つだけであると仮定している。
【0092】
しかしながら、複数の背面送信機400が狭範囲に送信する背面ビーコン信号を複数のユーザの端末装置100が受信する場合があり得る。例えば、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の背面側に端末装置100があり、陳列ゾーンZの前に複数のユーザが存在し、当該複数のユーザがそれぞれ自身の端末装置100を背面側に保持している場合、当該複数のユーザの端末装置100が背面ビーコン信号を受信するため、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物を一意に特定できない。
【0093】
このような場合、管理装置30は、器具送信機200が広範囲に送信するハンガービーコン信号の受信状況に基づいて、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物を当該複数のユーザの中から特定する。
【0094】
例えば、管理装置30は、器具送信機200が広範囲に送信するハンガービーコン信号を特定の端末装置100が受信したことに応じて、当該複数のユーザのうち、当該特定の端末装置100のユーザに隣接するユーザを、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として特定する。
【0095】
このように、器具送信機200が広範囲に送信するハンガービーコン信号の受信状況に基づいてユーザの絞り込みを行うことにより、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物を特定できる。
【0096】
(3)第3動作例
上述の第2動作例において、器具送信機200が広範囲に送信するハンガービーコン信号の受信状況に基づいてユーザの絞り込みを行う一例について説明した。しかしながら、このような絞り込みを試みても、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物を一意に特定できない場合があり得る。
【0097】
第3動作例では、管理装置30は、複数の背面受信機500におけるハンガービーコン信号の受信状況にさらに基づいて、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物を特定する。例えば、管理装置30は、複数の背面送信機400が狭範囲に送信する背面ビーコン信号を複数のユーザの端末装置100が受信し、器具送信機200が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を当該複数のユーザの端末装置100が受信しない場合、背面受信機500を利用することで、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物を特定する。
【0098】
第3動作例において、管理装置30は、複数の背面受信機500におけるハンガービーコン信号の受信状況(例えば受信電力)から、器具送信機200と当該複数の背面受信機500のそれぞれとの間の距離を導出する。
【0099】
ここで、ハンガービーコン信号の送信電力が既知である場合、管理装置30は、背面受信機500におけるハンガービーコン信号の受信電力と当該送信電力との差により伝搬損失を算出し、この伝搬損失を距離に換算する。ハンガービーコン信号の送信電力が既知でない場合、ハンガービーコン信号の送信電力がハンガービーコン信号に含まれていてもよい。或いは、管理装置30は、ハンガービーコン信号の受信電力自体を、距離を示す情報として用いてもよい。
【0100】
そして、管理装置30は、複数の背面受信機500のうち当該距離が最も短い背面受信機500(すなわち、ハンガービーコン信号の受信電力が最も大きい背面受信機500)を特定する。管理装置30は、特定した背面受信機500に対応する背面送信機400が狭範囲に送信する背面ビーコン信号を受信した端末装置100のユーザを、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として特定する。このような特定処理を行うことにより、上述のようなユーザの絞り込みが困難な場合であっても、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として特定できる。
【0101】
図9は、商品管理システム1の第3動作例を示す図である。ここでは、上述の第2動作例との相違点を主として説明する。
【0102】
図9に示すように、ステップS301において、器具送信機200は、自機に対応する器具H(及び商品P)が陳列ゾーンZ(ラック600)から取られたことを検知する。
【0103】
ステップS302において、器具送信機200は、ステップS301での検知に応じて、ハンガーIDを含むハンガービーコン信号を狭範囲(又は広範囲)に送信する。第3動作例では、陳列ゾーンZから商品Pを取ったユーザの体の背面側に、当該ユーザの端末装置100があるものとする。このため、当該端末装置100は、器具送信機200が送信するビーコン信号を受信できない。
【0104】
他方、ステップS302において、陳列ゾーン側受信機300は、器具送信機200が送信するビーコン信号を受信する。
【0105】
ステップS303において、複数の背面受信機500は、器具送信機200が送信するビーコン信号を受信する。
【0106】
ステップS304において、陳列ゾーン側受信機300は、器具送信機200から受信したハンガービーコン信号に含まれるハンガーIDと、陳列ゾーン側受信機300のID(受信機ID)とを含む取得情報を管理装置30に送信する。管理装置30は、陳列ゾーン側受信機300から取得情報を受信する。
【0107】
ステップS305において、複数の背面受信機500のそれぞれは、器具送信機200から受信したハンガービーコン信号に含まれるハンガーIDと、自機のID(受信機ID)と、当該ハンガービーコン信号の受信状態情報(例えば受信電力値)とを含む取得情報を管理装置30に送信する。管理装置30は、複数の背面受信機500のそれぞれから取得情報を受信する。
【0108】
ステップS306において、管理装置30は、端末装置100から取得情報を受信せずに、陳列ゾーン側受信機300から取得情報を受信したことに応じて、起動指令(ビーコン送信指令であってもよい)を背面送信機400に送信する。
【0109】
ステップS307において、背面送信機400は、管理装置30からの起動指令の受信に応じて、自機のID(送信機ID)を含む背面ビーコン信号を狭範囲に送信する。ここで、複数の背面送信機400が背面ビーコン信号を狭範囲に送信し、複数のユーザの端末装置100が背面ビーコン信号を受信したとする。
【0110】
ステップS308において、背面ビーコン信号を受信した複数の端末装置100のそれぞれは、ステップS307で受信した背面ビーコン信号に含まれる送信機IDと、当該端末装置100のユーザIDとを含む取得情報を管理装置30に送信する。管理装置30は、当該複数の端末装置100のそれぞれから取得情報を受信する。
【0111】
ステップS309において、管理装置30は、ステップS305で各背面受信機500から受信した取得情報に含まれる受信状態情報に基づいて、器具送信機200との距離が最も短い背面受信機500を特定する。また、管理装置30は、ステップS308で各端末装置100から受信した取得情報に含まれる送信機IDに基づいて、各端末装置100に対応する背面送信機400を特定する。そして、管理装置30は、器具送信機200との距離が最も短い背面受信機500に対応する背面送信機400から背面ビーコン信号を受信した端末装置100のユーザを、陳列ゾーンZから商品Pを取った人物として特定する。
【0112】
ステップS310において、管理装置30は、ステップS304で陳列ゾーン側受信機300から受信した取得情報に含まれるハンガーIDに基づいて、陳列ゾーンZから取られた商品Pの商品IDを導出する。商品IDの導出方法は、上述の第1動作例と同様である。
【0113】
ステップS311において、管理装置30は、ステップS310で導出した商品IDを、ステップS309で特定したユーザのユーザIDと対応付ける。すなわち、管理装置30は、陳列ゾーンZからどの商品Pがどのユーザにより取られたのかを把握する。
【0114】
ステップS312において、管理装置30は、陳列ゾーンZから取られた商品Pに関連する商品情報を、特定したユーザの端末装置100に送信してもよい。
【0115】
(実施例)
次に、上述の商品管理システム1の実施例について説明する。図10は、商品管理システム1の実施例を示す図である。
【0116】
図10に示すように、本実施例では、陳列ゾーンZ(ラック600)に対面する背面送信機400の数が3つであり、且つ陳列ゾーンZの前にA、B、Cという人物(ユーザ)が存在するものとする。
【0117】
ユーザAは端末装置100(A)を自身の体の前側又は背面側で保持する。ユーザBは端末装置100(B)を自身の体の前側又は背面側で保持する。ユーザCは端末装置100(C)を自身の体の前側又は背面側で保持する。
【0118】
図10において、ユーザAが端末装置100(A)を自身の体の前側で保持し、ユーザBが端末装置100(B)を自身の体の前側で保持し、ユーザCが端末装置100(C)を自身の体の背面側で保持する状態を示している。以下において、このような状態を「前、前、後」と表記することがある。
【0119】
ここで、ユーザBが正面の器具H(ハンガー)を取るとする。器具送信機200、背面送信機400(α)、背面送信機400(β)、及び背面送信機400(γ)のそれぞれは、ビーコン信号を狭範囲(すなわち、正面の端末装置100が受信できる範囲)に送信する。
【0120】
図11は、各ユーザにおける端末装置100の位置の組み合わせを示す図である。「A(α)」という表記は、ユーザAの端末装置100(A)が背面送信機400(α)の背面ビーコン信号を受信したことを表している。
【0121】
(1)、(2)、(5)、(6)に示すように、ユーザBが正面の器具H(ハンガー)を取り、ユーザBが自身の体の前側で端末装置100(B)を保持する場合、器具送信機200が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を端末装置100(B)が受信する。このため、管理装置30は、ハンガーを取った人物としてユーザBを特定可能である。
【0122】
(3)、(4)、(7)、(8)に示すように、器具送信機200が狭範囲に送信するハンガービーコン信号をどの端末装置100も受信しない場合、ハンガーを取った人物が背面側に端末装置100を保持していることになる。
【0123】
(3)では、背面送信機400が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を受信したのが端末装置100(B)のみであるため、管理装置30は、ハンガーを取った人物としてユーザBを特定可能である。
【0124】
他方、(4)、(7)、(8)では、背面送信機400が狭範囲に送信するハンガービーコン信号を複数の端末装置100が受信しているため、管理装置30は、ハンガーを取った人物を一意に特定できない。このため、図12に示すように、ビーコン信号の送信を広範囲(すなわち、正面ユーザとその隣に位置するユーザが所持する端末装置100が受信できる範囲)に切り替えることで、ユーザの位置関係(並び)を把握する処理が行われる。
【0125】
図13は、ビーコン信号を狭範囲(小)に送信した場合及び広範囲(大)に送信した場合の受信状況を示す図である。上述のように、ビーコン信号の狭範囲送信で、ハンガーを取った人物を一意に特定できないのは(4)、(7)、(8)のケースである。ここで、(4)、(7)は、ハンガーを取ったユーザBが背面側に端末装置100(B)を保持し、もう1人のユーザも背面側に端末装置100を保持するケースである。
【0126】
図14は、(4)のケースについて示す図である。図14に示すように、ユーザAは端末装置100(A)を自身の体の前側で保持し、ユーザBは端末装置100(B)を自身の体の背面側で保持し、ユーザCは端末装置100(C)を自身の体の背面側で保持する。
【0127】
ここで、背面送信機400(β)が狭範囲に送信する背面ビーコン信号を端末装置100(B)が受信し、背面送信機400(γ)が狭範囲に送信する背面ビーコン信号を端末装置100(C)が受信していることから、管理装置30は、ユーザBが背面送信機400(β)の正面に存在し、ユーザCが背面送信機400(γ)の正面に存在することを把握する。また、器具送信機200が広範囲に送信するハンガービーコン信号を端末装置100(A)が受信していることから、管理装置30は、残りの位置である背面送信機400(α)の正面にユーザAが存在すると判定する。
【0128】
その結果、管理装置30は、ラックの前にユーザが「A、B、C」という並びで存在すると判定する。また、器具送信機200が広範囲に送信するハンガービーコン信号を端末装置100(A)が受信していることから、管理装置30は、ユーザAの付近でハンガーが取られたと判定する。ユーザB、Cがそれぞれハンガーを取ったと仮定して考えると、図15に示すように、ユーザBがハンガーを取らなければ、ユーザAの端末装置100(A)はハンガービーコン信号(広範囲)を受信することはない。つまり、管理装置30は、ユーザBがハンガーを取った人物であると特定できる。
【0129】
管理装置30は、(7)のケースについても、(4)のケースと同様な方法で、ユーザBがハンガーを取った人物であると特定できる。すなわち、管理装置30は、ハンガービーコン信号(広範囲)を受信した端末装置100(C)の周辺の(隣の)ユーザBがハンガーを取った人物であると特定する。
【0130】
しかしながら、管理装置30は、図16に示すように、(8)のケースについてはユーザA、B、Cのいずれも端末装置100を背面側で保持しているため、ハンガービーコン信号(広範囲)をいずれの端末装置100も受信できず、ハンガーを取った人物を一意に特定できない。
【0131】
このため、管理装置30は、背面受信機500を利用し、器具送信機200と各背面受信機500との間の距離を比較することにより、ハンガーを取った人物を特定する。ここで、背面ビーコン信号(狭範囲)の受信状況により、管理装置30は、ユーザAが背面送信機400(α)の正面に存在し、ユーザBが背面送信機400(β)の正面に存在し、ユーザCが背面送信機400(γ)の正面に存在することを把握している。
【0132】
図17に示すように、3つの背面受信機500(α、β、γ)は、器具送信機200からハンガービーコン信号を受信し、管理装置30と協調して距離を算出する。ユーザBがLの位置でハンガーを取った場合、位置Lと背面受信機500(α)の位置との間の距離Lαと、位置Lと背面受信機500(β)の位置との間の距離Lβと、位置Lと背面受信機500(γ)の位置との間の距離Lγとが算出される。
【0133】
ここで、最短の距離が算出された背面受信機500の付近にハンガーを取った人物がいることになる。距離を比較すると、
Lβ < Lα = Lγ
となる。これにより、管理装置30は、背面受信機500(β)の正面付近にいるユーザBを、ハンガーを取った人物として特定する。
【0134】
図18は、器具送信機200と各背面受信機500との間の距離のうち2つの距離の長さが等しくなる場合を示す図である。ここでは、ユーザAがMの位置でハンガーを取ったとする。
【0135】
図18に示す例では、背面ビーコン信号の受信状況は次のようになる。
【0136】
・背面送信機400(α)が狭範囲に背面ビーコン信号を送信: 検出なし
・背面送信機400(β)が狭範囲に背面ビーコン信号を送信: B(β)
・背面送信機400(α)が広範囲に背面ビーコン信号を送信: A(α)、B(α)
・背面送信機400(β)が広範囲に背面ビーコン信号を送信: A(β)、B(β)、C(β)。
【0137】
よって、管理装置30は、ユーザAが背面送信機400(α)と背面送信機400(β)との間に位置すると判定する。
【0138】
また、管理装置30は、距離を比較すると、
Mα = Mβ < Mγ
となる。ここで、管理装置30は、距離Mα及びMβが等しいということは、背面送信機400(α)と背面送信機400(β)との間の位置でハンガーが取られたと判定できる。
【0139】
よって、管理装置30は、ハンガーを取った人物がユーザAであると特定できる。このように、背面送信機400の正面の位置以外でハンガーを手に取った人物も特定できる。
【0140】
(その他の実施形態)
上述の実施形態及び実施例において、器具送信機200が、狭範囲でのハンガービーコン信号の送信が終了した後、広範囲にハンガービーコン信号を送信する一例について説明した。しかしながら、狭範囲送信と広範囲送信との順序を入れ替えてもよい。器具送信機200は、広範囲でのハンガービーコン信号の送信が終了した後、狭範囲にハンガービーコン信号を送信してもよい。同様に、背面送信機400は、広範囲での背面ビーコン信号の送信が終了した後、狭範囲に背面ビーコン信号を送信してもよい。
【0141】
上述の実施例において、陳列ゾーンZ(ラック600)に対面する背面送信機400の数が3つであり、且つ陳列ゾーンZの前に3人の人物(ユーザ)が存在する一例について説明した。しかしながら、背面送信機400の数は、1つ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、陳列ゾーンZの前に存在する人物(ユーザ)の人数は、1人又は2人であってもよいし、4人以上であってもよい。
【0142】
上述の実施形態に係る各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0143】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0144】
本願は、日本国特許出願第2020-185832号(2020年11月6日)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0145】
1 :商品管理システム
10 :ネットワーク
30 :管理装置
31 :通信インターフェイス
32 :コントローラ
100 :端末装置
110 :無線通信機
120 :ビーコン受信機
130 :ユーザインターフェイス
140 :バッテリ
150 :コントローラ
151 :プロセッサ
152 :メモリ
200 :器具送信機
210 :ビーコン送信機
220 :検知部
230 :バッテリ
240 :コントローラ
241 :プロセッサ
242 :メモリ
300 :陳列ゾーン側受信機
321 :プロセッサ
322 :メモリ
400 :背面送信機
410 :通信インターフェイス
420 :ビーコン送信機
430 :コントローラ
431 :プロセッサ
432 :メモリ
500 :背面受信機
600 :ラック
H :器具
P :商品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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