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特開2024-59998ユーザケイパビリティに基づいたセル選択
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059998
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ユーザケイパビリティに基づいたセル選択
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0457 20230101AFI20240423BHJP
   H04W 48/08 20090101ALI20240423BHJP
【FI】
H04W72/0457 110
H04W48/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024034460
(22)【出願日】2024-03-07
(62)【分割の表示】P 2022024737の分割
【原出願日】2018-09-25
(31)【優先権主張番号】1715921.1
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ユーファー
(72)【発明者】
【氏名】スワレス, アルベルト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基地局が、補助上りリンク部分を有するセルを(例えば、異なる周波数上で、および/または異なる技術を使用して)運用するセルラ通信システムを提供する。
【解決手段】セルラ通信システムにおいて、基地局は、セル選択を実行するUE(ユーザ機器)を支援するために、そのカバレッジエリア内におけるUEのオフセットをブロードキャストする。UEは、基地局のセルがセル選択における適切な候補であるか否かを、前記セルの測定、オフセット及び補助上りリンク部分を用いて通信を行うUEのケイパビリティに基づいて決定し、UEが補助上りリンク部分を用いて通信を行うことができる場合、UEはオフセットに基づいてセル(再)選択を行い、UEが補助上りリンク部分を用いて通信を行うことができない場合、UEは前記セル(再)選択におけるオフセットを無視する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
supplementary uplink (SUL)キャリアを有するセルのオフセット値を示す第1の情報を、第1のキャリアと前記SULキャリアを提供するネットワークから受信する受信部と、
第1のパラメータの値が0を超え、かつ、第2のパラメータの値が0を超える場合には、前記SULキャリアを有する前記セルのためのセル選択基準を満たすと判断する処理部と、を備え、
前記処理部は、通信装置が前記SULキャリアをサポートする場合には、前記第1の情報に基づいて前記第1のパラメータを取得する
通信装置。
【請求項2】
前記第1の情報は、前記ネットワークによってブロードキャストされる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1の情報は、system information blockに含まれる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1のパラメータは、Srxlevを示し、
前記第2のパラメータは、Squalを示す、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1のキャリアは、New Radio(NR)キャリアを含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
supplementary uplink (SUL)キャリアを有するセルのオフセット値を示す第1の情報を、第1のキャリアと前記SULキャリアを提供するネットワークから受信し、
第1のパラメータの値が0を超え、かつ、第2のパラメータの値が0を超える場合には、前記SULキャリアを有する前記セルのためのセル選択基準を満たすと判断し、
通信装置が前記SULキャリアをサポートする場合には、前記第1の情報に基づいて前記第1のパラメータを取得する
通信装置の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。特に、本発明は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格、またはこれと同等もしくは派生の規格に従って動作する無線通信システムおよびそのデバイスに関するが、これに限定されない。特に、本発明は、LTE(Long Term Evolution)タイプの通信機器を備える、いわゆるNR(New Radio)/NG(Next Generation)/5Gタイプの通信機器間でのUL(UpLink:上りリンク)共有、およびSUL(Supplementary UpLink:補助上りリンク)キャリア周波数の提供および使用をサポートするメカニズムに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
3GPP規格の最新動向は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワークおよびE-UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)のLTE(Long Term Evolution)と呼ばれ、一般に4Gとも呼ばれる。さらに、5GおよびNR(New Radio)という用語は、種々のアプリケーションおよびサービスをサポートすることが期待される開発中の通信技術を指す。5Gネットワークの種々の詳細は、例えば、NGMN(Next Generation Mobile Networks)アライアンスによるNGMN 5G White Paper V1.0に説明されており、当該文書は、https://www.ngmn.org/5g-white-paper.htmlから入手可能である。3GPPは、いわゆる3GPP NextGen(Next Generation) RAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)および3GPP NGC(NextGen Core:次世代コア)ネットワークによって5Gをサポートすることを意図している。
【0003】
3GPP規格では、NodeB(またはLTEにおける「eNB」、5Gにおける「gNB」など)は、通信デバイス(ユーザ機器または「UE」)がコアネットワークに接続し、他の通信デバイスまたはリモートサーバと通信を行うための基地局である。通信デバイスとしては、例えば、モバイル電話、スマートフォン、ユーザ機器、パーソナルデジタルアシスタント、ラップトップ/タブレットコンピュータ、ウェブブラウザ、電子書籍リーダなどのモバイル通信デバイスが含まれる。このようなモバイル(または一般的には固定の)デバイスは、通常、ユーザによって操作される(ただし、いわゆる「モノのネット」のデバイス、および同様のマシンタイプの通信デバイスをネットワークに接続することも可能である)。説明の簡略化のため、本出願において、基地局という用語はそのような任意の基地局を指し、モバイルデバイスまたはUEという用語は、そのような任意の通信デバイスを指すものとする。コアネットワーク(例えば、LTEの場合はEPC、NR/5Gの場合はNGC)は、加入者管理、モビリティ管理、課金、セキュリティ、および呼セッション管理(など)の機能を統括し、通信デバイスをインターネットなどの外部ネットワークに接続させる。
【0004】
3GPP TR(Technical Report)23.799 V14.0.0には、3GPP規格のRelease 14用に検討されているNextGen(5G)システムにおいて可能なアーキテクチャと一般的な手順とが説明されている。3GPPでは、(NR無線技術を用いる)新しい(5G)無線アクセスネットワーク用の100GHzまでの周波数帯域を、Rel-15のNRキャリアあたり400MHzの最大チャネル帯域幅で使用する可能性についても、検討を進めている。特定の高周波数帯域(例えば、mmWave帯域)に関連付けられた厳しいチャネル減衰特性を克服するために、指向性ビームフォーミングと大規模アンテナ技術を使用してもよい。「大規模アンテナ」という用語はアレイ状に配置された多数(例えば、100本以上)のアンテナ素子を備えるアンテナを指す。このような大規模アンテナは、複数のユーザと同時に通信を行う場合に使用するのが効果的であり、それによりMU-MIMO(Multi-User Multiple-Input and Multiple-Output)送信が容易になる。MU-MIMOの場合、基地局はTRP(Transmission and Reception Point:送受信ポイント)と呼ばれてもよい。
【0005】
周波数の異なる複数のUL(UpLink:上りリンク)キャリアをUEに構成してもよいという提案がされており、当該キャリアには、第1の周波数の少なくとも1つのLTEキャリアと、第2の異なるキャリア周波数の少なくとも1つのNRキャリアとが含まれる。サポートされる一例において、UEは、(所与の時間において)LTEキャリアとNRキャリアとで構成される所定のキャリアのペアのうち一方のULキャリア上でのみ動作するように制限される場合がある。しかしながら、UEが2つのULキャリア(またはより多くのULキャリア)上で同時に動作することもサポートされている。
【0006】
さらに、NRの観点(例えば、NRセルの端部近く)からキャリアの下りリンクリソースのみが存在する場合や、NR周波数を使用することが最適ではない場合(例えば、UEがNR帯域幅全体を使用できない場合、または使用する必要がない場合)をサポートするために、(例えばLTE周波数にわたって)SUL(Supplementary UpLink:補助上りリンク)周波数を設けることが提案されている。
【0007】
3GPPでは、LTEコンポーネントキャリアの帯域幅内におけるLTE ULとNR ULの共存(およびLTE DLとNR DLの共存)をサポートすることが検討されている。したがって、LTEとNRの間で(少なくともNRスペクトルが6GHz未満である場合に)共有される周波数を、SUL周波数とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の提案/合意の1つ以上を効率的かつ効果的な方法でサポートまたは改善する方法およびこれに関連付けられた装置を提供することを目的とする。
【0009】
具体的には、本発明者らは、現在の仮定に基づいて、NR下りリンクおよびNR上りリンクのそれぞれのカバレッジ間において非対称性/不均衡が発生する可能性が高いと認識するに至った。言い換えれば、下りリンクと上りリンクがNRにおいて動作する方法によって、下りリンクにおいて、上りリンクよりも大幅に大きなエリアにサーブすることが可能である(対応するすべてのパラメータがほぼ同一の場合)。これにより、一部のUEは特定の基地局からDL通信を受信することができるが、当該基地局にUL通信を正常に送信することができない。さらに、UEがNR ULリソースを使用して基地局に対して送信を行うことができる場合であっても、場合によっては(少なくともNR帯域幅全体を使用することのできないUEの場合)、ULリソースの利用効率は比較的低いままである。
【0010】
このような非対称性/不均衡は、例えば、3.5GHz NR帯域のTDD(Time Division Duplex:時分割複信)を使用する場合に見られ、以下の仮定が該当する:
-(128/256アンテナ要素を備え、64T64Rの典型的な構成を有する)大規模MIMOが使用されている;
-ビームスイーピングやその他の手法(パワーブースティングなど)によって、DL内のすべてのNR物理共通および制御チャネルが、NR-PDSCH(NR Physical Downlink Shared Channel:NR物理下りリンク共有チャネル)の最大ビーム形成範囲でのカバレッジと一致するか、または超えることが予想される;
-UL/DLトラフィックの非対称性がDLに大きく偏ることが予想される(例えば、1:3から1:10);
-このようなトラフィックの非対称性をサポートするために、UL/DL送信時間も高度に非対称となる(例えば、少なくとも1:3);
-UE電力がDL電力よりも大幅に低く、かつ固定されている一方で、DL電力は、基地局によって使用帯域幅に合わせてスケーリングすることもできる。
【0011】
上述に鑑みると、想定されるUL(例えば、NR物理上りリンク共有チャネルであり、「NR-PUSCH」とも呼ばれる)のカバレッジは、DLよりも10から15dB低いことが考えられる(TDDにおいて、1:3の下りリンク向けのUL/DLフレーム構成、および1:10のPUSCH/PDSCHデータレート非対称性)。
【0012】
ビームフォーミングによって、3.5GHzでのPDSCHのカバレッジは、対象とする相対的なデータレートに応じて、低FDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)帯域(例えば、2000MHz未満で動作するLTE帯域)のULカバレッジに非常に似たものとなる。
【0013】
このような非対称性/不均衡は、3.5GHzキャリアと低FDD帯域(またはSUL帯域)を適宜ペアリングすることで対処可能であるが、SULが配置される場合には、セルの測定およびセルの選択が依然として問題となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様において、本発明は、セルラ通信システム内のUE(User Equipment:ユーザ機器)によって実行される方法であって、UL(UpLink:上りリンク)通信をULおよびDL通信用の第1のキャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかで受信するように構成された基地局によって運用されるセルの選択に使用するセル選択情報を上記基地局から受信すること、上記第1のキャリアで送信された信号の測定を行うこと、および上記第1のキャリアの測定、上記受信したセル選択情報、および上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行う上記UEのケイパビリティに基づいて上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを決定することを含み、上記セル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1のセル選択情報と、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2のセル選択情報とを含む、方法を提供する。
【0015】
他の態様において、本発明は、セルラ通信システム内のUE(User Equipment:ユーザ機器)によって実行される方法であって、RAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)から、UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1キャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成された、上記RANの基地局によって運用されるセルの測定に使用する測定設定を受信すること、上記受信した測定設定に基づいて上記第1のキャリアで送信された信号の測定を行うこと、および上記第1のキャリアの測定と、上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行う上記UEのケイパビリティとに基づいて、上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを決定することを含み、上記測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1の測定設定と、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2の測定設定とを含む、方法を提供する。
【0016】
一態様において、本発明は、セルラ通信システム内の基地局によって実行される方法であって、UL(UpLink:上りリンク)通信をULおよびDL通信用の第1のキャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかで受信するように構成された上記基地局によって運用されるセルの選択に使用するセル選択情報をUE(User Equipment:ユーザ機器)に送信することを含み、上記セル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1キャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1のセル選択情報と、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2のセル選択情報とを含む、方法を提供する。
【0017】
さらに他の態様において、本発明は、セルラ通信システム内のRAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)装置によって実行される方法であって、UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1キャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成された上記RANの基地局によって運用されるセルの測定に使用する測定設定をUE(User Equipment:ユーザ機器)に送信すること、および上記測定設定に対応する測定結果を受信することを含み、上記測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記測定の結果を上記RAN装置に報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1の測定設定と、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記測定の結果を上記RAN装置に報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2の測定設定とを含む、方法を提供する。
【0018】
本発明の例示的な態様は、対応する装置と、システムと、プログラム可能なプロセッサをプログラムして上記記載の例示的な態様に記載の方法および特許請求の範囲に記載の可能性を実施させ、好適に適合したコンピュータをプログラムして任意の請求項に記載の装置を提供させるように動作可能な命令を格納する、コンピュータ読取可能な記憶媒体などのコンピュータプログラム製品とに及ぶ。
【0019】
本明細書(特許請求の範囲を含む)に開示されるおよび/または図面に示される各特徴は、他の開示されるおよび/または図示される特徴とは独立して(または組み合わせて)本発明に組み込まれてもよい。特に、特定の独立請求項に従属する請求項の特徴は、任意の組み合わせで、または個別にその独立請求項に導入することができるが、限定的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
ここで、添付図面を参照して、本発明の例示的な実施形態の例を説明する。
図1図1は、本発明を適用可能なタイプのセルラ通信システムを簡略化した概略図である。
図2図2は、図1に示すシステムの補助上りリンクを簡略化した概略図である。
図3図3は、図1に示すシステムの一部を構成するユーザ機器を簡略化したブロック図である。
図4図4は、図1に示すシステムの一部を構成する無線アクセスネットワーク装置を簡略化したブロック図である。
図5a図5aは、図1のシステムにおいて補助上りリンクキャリアを設ける複数の例示的な方法の簡略図である。
図5b図5bは、図1のシステムにおいて補助上りリンクキャリアを設ける複数の例示的な方法の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(概要)
図1は、通信ネットワーク1を概略的に示し、ここで、UE(User Equipment:ユーザ機器)3(モバイル電話および/または他の通信デバイス)は、図示の例において、LTE基地局または「eNB」5-1、およびNR/5G基地局または「gNB」5-2を含むRAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)装置5を介して、適切なRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)を使用して、互いに通信を行うことができる。この例では、UE3は、RAN5のeNB5部分を介して、少なくともLTE無線アクセス技術をサポートするLTE UE3-1として通信を行うことができる。UE3は、RAN5のgNB5-2部分を介して、1つまたは複数の5G無線アクセス技術をサポートするNR/5G UE3-2として通信を行うこともできる。しかしながら、UE3はLTEのケイパビリティを有する必要はなく、5Gのケイパビリティのみをサポートしてもよいものとする。UE3は、集約されたセル(またはCAにおける「コンポーネントキャリア」)を介した同時通信を行うために、複数セルのリソース(LTEセルおよびNRセルのリソースを含む)を束ねるCA(Carrier Aggregation)を実行可能であってもよい。所定のUE3に割り当て可能な帯域幅を増やすためにCAを使用してもよく、この場合、下りリンクに使用されるセルとは異なるセルを介してSUL(Supplementary UpLink:補助上りリンク)リソースを提供するために、CAを使用してもよい。
【0022】
当業者が理解するように、図1には、(3つの有効なUE構成を有する)1つのモバイルデバイス3および1つの基地局5が例示目的で示されているが、通常のシステム実装時には、他の基地局およびモバイルデバイスも含まれる。例えば、LTEおよびNRセルは、それぞれ異なる基地局を介して適宜提供してもよい。
【0023】
この例では、RANのeNB5-1とgNB5-2は、1つまたは複数の関連付けられたセルを運用する各基地局と同一位置に配置される。UE3は、適切なセル(位置に応じて、または信号の状態、サブスクリプションデータ、ケイパビリティなど適宜他の要因に応じて)との接続を、当該セルを運用する適切な基地局5-1および5-2と無線リソース制御(RRC)接続を確立することにより行うことができる。
【0024】
RAN5は、適切なインタフェースを介してコアネットワーク7に接続される。コアネットワーク7は、gNB5-2を介してUE3の通信をサポートするために必要なNR/5G機能を備える。コアネットワーク7は、例えば、コントロールプレーン管理、ユーザプレーン管理、モビリティ管理などを行う機能を備える。コアネットワーク7は、eNB5-1を介してUE3の通信をサポートするためのEPC機能を部分的または完全に備える。
【0025】
UE3およびRAN5は、複数のキャリア(または「コンポーネントキャリア」)を用いて、UE3からRAN5へUL(UpLink:上りリンク)通信を行うとともに、RAN5からUE3へDL(DownLink:下りリンク)通信を行うように構成される。これらのULおよびDLキャリアは、複数の異なるキャリア周波数上で動作する。この例では、ULキャリアには、SUL(Supplementary UpLink:補助上りリンク)周波数(図示の例ではF1)、上のSULキャリアと、可能であれば少なくとも1つの他の周波数(例えば、SULキャリアのものとは異なる、対応するUL周波数(F2と、DLおよびUL通信の両方がF3に構成されている場合には、F3も可能)上のNR ULキャリア)とが含まれる。この例では、SULキャリアは、LTEで使用される範囲の周波数上にあるため、LTEとNRとで適宜共有することができる(例えば、LTE ULとNR ULがLTE周波数のULサブフレームを共有する場合)。しかしながら、SULキャリアは個別NR ULキャリアであって、かつLTEに通常使用されない周波数範囲で動作してもよいし、あるいは、SULキャリアは、NR UL専用に使用されるLTE帯域/キャリアであってもよいものとする。ULキャリアには、他のULキャリア(例えば、別の周波数のLTE専用のULキャリア)が含まれてもよい。DLキャリアは、この例では、UL(UpLink:上りリンク)周波数とは異なる周波数(F3)でNR DL送信を行うための少なくとも1つのキャリアと、NR DL周波数とは異なる周波数(Fn)でLTE DL送信を行うための少なくとも1つのキャリアを含む。
【0026】
図2は、NR帯域/高周波数(左)にDLおよびUL部分を持ち、LTE帯域/低周波数(右)にSULを持つNRセルの例を示す。この例では、SULは、NR技術によって動作しながらも、LTE帯域(例えば、キャリアF1)で動作する。この図に示すように、セル全体(ULおよびDLの両方)を見た場合、SULを有するセルは、SULを有さないセル(すなわち、左側の図のみを見た場合)よりもカバレッジが大きいが、これは、NRカバレッジは、DLカバレッジおよびULカバレッジの両方を有する領域(左側の小さい点線領域)においてのみ完全に使用可能であるためである。NRキャリアとSULとは説明の目的のために図2に別々に示されているが、これらは通常同一の基地局装置(例えば、gNB5-2)によって運用されるものとする。
【0027】
より詳細には、NR-PDSCHのカバレッジは、(同一または同様の条件下では)NR-PUSCHのカバレッジよりも10から15dB程度高くなる。これは、展開されたシステムにおいて、同一セルにおいて、NR-PUSCHを介したUE3から基地局5への正常な上りリンク送信が保証される最大距離よりもさらに基地局5から遠方のNR-PDSCHを、UE3が受信できる可能性があることを意味する。これは、上述した、NR下りリンクとNR上りリンクのそれぞれのカバレッジの非対称性/不均衡による(例えば、下りリンク上のビームフォーミングおよび/または基地局5による電力スケーリングによる)ものである。
【0028】
ただし、この例では、SULは異なる周波数(キャリア)を介して提供され、これは、好ましくは、NR-PDSCH周波数(キャリア)よりもUE3のULカバレッジをさらに向上させることのできる周波数である。具体的には、より低い周波数帯域(例えば、LTEキャリアF1)を用いて、NR-PDSCHのカバレッジに匹敵するカバレッジを有するSULを提供してもよい(例えば、これらは実質的に同一であってもよい)。したがって、右側に示すように、UE3は、SULを使用して、(NR-)PUSCHおよび(NR-)PUCCHを介して信号を送信することができる。
【0029】
なお、図2は、いわゆるSRS(Sounding Reference Signal:サウンディング参照信号)も図示し、これは、UE3によって上りリンク方向に送信される参照信号である。この例では、SRSはSULを介して送信されるが、NR帯域で送信してもよい。SRSは、基地局5がより広い帯域幅にわたって上りリンクチャネル品質を推定するために使用され、UE3のタイミング調整手順の一部として上りリンクタイミングを推定するのに使用されることもある(例えば、上りリンクにPUSCH/PUCCH送信がない場合)。
【0030】
事実上、基地局5は、UE3を、下りリンクキャリア(例えば、NR)およびSULキャリア(例えば、LTE)をコンポーネント/補完キャリアとして使用し、当該キャリアの両方を使用して基地局5と通信を行うように構成する。したがって、この例では、SULをサポートするUEは、SULをサポートしないUEよりも、比較的大きく有用な(ULとDLを束ねた)セルカバレッジの利を得ることができる。NRセルにSULコンポーネントを設けるということは、NRセルのキャリアと、コンポーネントキャリアとしてのSUL帯域とでキャリアアグリゲーション(CA)を行うことに類似しているものとする。
【0031】
このようなSULは、NR無線アクセス技術でのみ使用するスタンドアローンSULとして提供してもよいものとする(この場合、当該SULの上りリンクリソースはLTE UEと共有されない)。ただし、SULは、NR UEとLTE UEの両方で使用する共有SULとして提供してもよい。共有SULを用いる場合、2つのオプションがある:
-SULとLTE ULの両方を(同時に)UE3に構成しない;および
-LTEとSULの両方をUE3に構成する(この場合、SULとLTE ULは、TDM/FDMを介して同一のスペクトルを共有してもよい)。
【0032】
再度図1を参照すると、基地局5は、そのカバレッジエリア内のUEがSUL(および/または結果として生じる可能性のある、より大きなカバレッジエリア)を使用することの利を得ることができるように、当該UEの初期セルアクセスを容易にするように構成される。
【0033】
3GPPシステムでは、基地局5が、どのUE3がキャンプを行うための特定のセル(例えば、UE3がRRCアイドルモードまたは非アクティブモードで動作する場合)を選択するか否かを評価できるかに基づいて、当該基地局5に関連付けられたセル選択基準「S」を計算するための適切な情報(例えば、使用するパラメータおよび/またはUE測定)をブロードキャストし、これにより、セル選択および初期セルアクセスが促進される。同様に、そのようなセル選択基準Sは、適切なハンドオーバーセル(例えば、隣接セル)を選択する場合に使用してもよい。セル選択基準Sは一連の副基準を含み、これは、例えば、セル選択受信(RX)レベル値(dB)を指定する副基準である「Srxlev」と、セル選択品質値(dB)を指定する副基準である「Squal」とで構成される。所定のセルについて、Srxlev>0およびSqual>0が成立する場合、当該セルについてセル選択基準Sが満たされる。
【0034】
有利には、このシステムでは、UE3(SULが可能であると想定する)は、そのセルについてのセル選択基準Sが満たされていない場合であっても、SULコンポーネントを有する適切な(NR)セルを選択することができるため、SULを介して得ることのできる、(セルのみを介した場合よりも)比較的大きな上りリンクカバレッジの利を得ることができる。
【0035】
より詳細には、基地局5は、隣接セルの基地局のセルに対するUE3の初期アクセスを容易にするのに適したセル選択基準Sを送信(ブロードキャスト)するように構成される。この場合のセル選択基準Sは、基地局5によってブロードキャストされるシステム情報内のSUL関連オフセットおよびSUL情報(例えば、帯域、チャンネル番号など)を含む。したがって、事実上、UE3は、セル選択基準Sを(オフセットによって示される量だけ)緩和することで、本来(オフセットを勘案しない、当該セル選択基準Sのみに基づくと)最小セル選択基準を満たさないセルを選択するように構成してもよい。図2に示す例では、左側の図に示す点線領域(ULおよびDLの両方をそのNRキャリア(例えば、F2/F3)を介して提供することのできるgNB5-2のカバレッジを表す)の代わりに、UE3は、右側の図に示す大きな点線領域(SUL(例えば、F1)のカバレッジを表す)内のセルを選択することができるという利点を受けて、キャリア(この例では、F1+F3)を(例えば、キャリアアグリゲーションによって)束ねて、UL通信およびDL通信の両方を行うことができる。
【0036】
別の場合において、オフセットは、(最小セル選択基準を満たしてはいるが)SUL関連オフセットを考慮に入れなければ最良セルとして選択されないセルを、UE3が選択するのを助けるのに有用である(すなわち、特定のセルがUE3によって選択される可能性を高めるためにオフセットを使用してもよい)。
【0037】
有利には、オフセットは、UE3によってSの2つの副基準(SrxlevおよびSqual)のいずれか一方または両方に適用されてもよく、それぞれのオフセット数値は異なってもよい。
【0038】
したがって、UE3は、選択したセルとともに提供されるSULの効果を考慮に入れて、適切なセル(例えば、キャンプ用)を選択することができる。一方で、セルにSULが提供されていない場合(またはUE3がそのSULセルの組み合わせを使用することができない場合)、UE3は、通常の方法でセル選択基準Sを適用することができ、これにより、UE3がそのセルのPUSCHの外側にいる間に(PDSCHのカバレッジ内であるか否かに関わらず)NRセルを選択するのを防止することができる。特定のセルにSULが提供されているかどうかを考慮に入れて、UE3が適切なセル選択を行うのを助けるために、このシステムの基地局は、関連付けられた任意のSUL情報と適用可能なSULオフセットとを含む、当該基地局のセルに適用可能な周波数設定を互いに共有するように構成されている。そのような情報(周辺SUL情報)は、UE3がアイドルモードセルを(再)選択するのを支援するために、各基地局5によってブロードキャストされてもよい。さらに、基地局5がUE3を(例えば、接続モードモビリティ手順の一部として)セル測定用に設定する場合、基地局5は、任意のそのような周辺SUL情報(例えば、オフセット)を当該測定設定に含む(または適用する)こともできる。
【0039】
(SUL)オフセットは、周波数固有のオフセット(例えば、当該周波数上のすべてのNRセルが同一/類似のSULとペアリングする場合)、またはセル固有のオフセット(それ以外の場合など)を含んでよいものとする。
【0040】
UE3は、例えば、UE3がSULのケイパビリティがあり、かつ特定のキャリアの組み合わせをサポートする場合のみ、および/または、UE3が主に下りリンク(または上りリンク)データを有する場合などの条件下で、および/または、UE3に関連付けられた優先度および/またはUE3が利用するサービスに応じて、そのセル選択時においてSULオフセット/情報を適用するように構成してもよいものとする。
【0041】
(ユーザ機器)
図3は、図1に示すUE3の主な構成要素(例えば、モバイル電話、他のユーザ機器など)を示すブロック図である。図示のように、UE3は、1つまたは複数のアンテナ33を介してRAN5の基地局5-1および5-2機能と信号の送受信を行うように動作可能なトランシーバ回路31を有する。モバイルデバイス3は、モバイルデバイス3の動作を制御するコントローラ37を有する。コントローラ37はメモリ39に関連付けられ、トランシーバ回路31に接続されている。UE3は、動作するうえで必ずしも必要ではないが、慣習的なモバイル電話の標準の機能(ユーザインタフェース35など)をすべて備えてよいことは明らかであり、当該機能は、ハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアのいずれか1つまたはこれらの任意の組み合わせによって適宜提供されてもよい。ソフトウェアは、メモリ39に事前にインストールしてもよいし、および/または、例えば、通信ネットワークを介して、またはRMD(Removable Data Storage Device:リムーバブルデータ格納デバイス)から、ダウンロードしてもよい。
【0042】
コントローラ37は、この例では、メモリ39内に格納されたプログラム命令またはソフトウェア命令によってUE3全体の動作を制御するように構成される。図示のように、これらのソフトウェア命令は、特に、オペレーティングシステム41、互換性のある無線アクセスネットワークにアクセスするための複数の無線アクセス技術モジュール(LTEモジュール44やNR/5Gモジュール45など)を備える通信制御モジュール43、補助上りリンクモジュール46、およびモビリティ管理モジュール47を含む。
【0043】
通信制御モジュール43は、UE3と、基地局5-1および5-2との間の通信(ならびに、モバイルデバイスやネットワークノードなど、基地局5-1および5-2に接続されるさらに別の通信デバイスとの間の通信)を制御する動作が可能である。LTEモジュール44は、UEをLTE UE3-1として運用する役割を担い、特に、現行のLTE規格に従って動作するeNB5-1(例えば、3G/4G基地局)およびそのような基地局に接続する他のノード/デバイスとの通信を管理する。NR/5Gモジュール45は、UEをNR/5G UE3-2として運用する役割を担い、特に、NextGen(5G)規格に従って動作するgNB5-2およびそのようなNextGen基地局に接続する他のノード/デバイスとの通信を管理する。
【0044】
補助上りリンクモジュール46は、UE3を、適切なSULを介して構成および通信を行うように制御する動作が可能である。そのような通信は、例えば、PUSCHおよび/またはPUCCH(NR-PUSCH/NR-PUCCHを含む)を使用したメッセージの生成、送信、および受信を含んでもよい。他の箇所で詳細に説明されているように、UE3は、その補助上りリンクモジュール46を使用して、SULが有効化された特定のセルに関連付けられたオフセットを含む、SULに必要なパラメータを(例えば、基地局5によってブロードキャストされるシステム情報/セル選択基準Sから)取得することができる。
【0045】
モビリティ管理モジュール47は、UE3のモビリティ(セル選択など)に関する手順(測定および報告を含む)を制御する動作が可能である。モビリティ管理モジュール47は、特定のセルを選択可能か否かを検討する際に任意のSUL固有のパラメータ(補助上りリンクモジュール46からのオフセットおよび/または他のSUL情報)を考慮に入れるように動作可能である。
【0046】
(RAN装置(基地局))
図4は、図1に示すRAN装置(基地局5)の主要構成要素を示すブロック図である。図示のように、RAN装置5は、1つ以上のアンテナ53、隣接する基地局と信号の送受信を行うための少なくとも1つの基地局インタフェース55、およびコアネットワーク7と信号の送受信を行うための少なくとも1つのコアネットワークインタフェース56を介して通信デバイス(UE3など)と信号の送受信を行うためのトランシーバ回路51を有する。
【0047】
RAN装置5は、RAN装置5の動作を制御するコントローラ57を有する。コントローラ57はメモリ59に関連付けられている。必ずしも図4に示されてはいないが、RAN装置5がセルラ電話ネットワーク基地局の標準の機能をすべて有することは明らかであり、当該機能は、ハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアのいずれか1つまたはこれらの任意の組み合わせによって適宜提供されてもよい。ソフトウェアは、メモリ59に事前にインストールしてもよいし、例えば、通信ネットワーク1を介して、またはリムーバブルデータ格納デバイス(RMD)から、ダウンロードしてもよい。コントローラ57は、この例では、メモリ59内に格納されたプログラム命令またはソフトウェア命令によってRAN装置5の全体的な動作を制御するように構成される。図示のように、これらのソフトウェア命令は、特に、オペレーティングシステム61、対応する基地局の機能を提供するための複数の基地局モジュール(eNBモジュール65、gNBモジュール67など)を備える通信制御モジュール63、および補助上りリンク管理モジュール68を含む。
【0048】
通信制御モジュール63は、RAN装置5と、UE3との間の通信(およびRAN装置5に接続される他のネットワークエンティティとの間の通信)を制御する動作が可能である。eNBモジュール65は、RAN装置5をeNB5-1として運用する役割を担い、特に、特に、UE3(および/または1つ以上のLTE専用UE)が現行のLTE規格に従って動作する場合に通信を管理する。gNBモジュール67は、RAN装置5をgNB5-2として運用する役割を担い、特に、UE3(および/または1つまたは複数のNR専用UE)がNextGen(5G)規格に従ってNR UEとして動作する場合に通信を管理する。
【0049】
補助上りリンク管理モジュール68は、基地局5のカバレッジエリア内のUE3を、適切なSUL(セル選択および関連付けられた測定設定を含む)を介して通信を行うように制御する動作が可能である。例えば、補助上りリンク管理モジュール68は、PUSCHおよび/またはPUCCH(NR-PUSCH/NR-PUCCHを含む)を使用してメッセージを生成、送信、および受信することができる。該当する場合、補助上りリンク管理モジュール68は、ブロードキャストされるシステム情報を介して、UEに、SUL関連オフセットおよび/または他の情報(自局用、およびオプションとして隣接セル用)を提供してもよい。
【0050】
上の説明では、理解を容易にするため、UE3および基地局5は、複数の個別モジュール(通信制御モジュールやSUL/SUL管理モジュールなど)を備えるものとして説明された。これらのモジュールは、例えば、本発明を実施するために既存のシステムに変更を加えた特定のアプリケーションについては上述のような方法で提供することができるが、例えば最初から発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムなどの他のアプリケーションについては、これらのモジュールをオペレーティングシステムまたはコード全体に組み込んでもよく、この場合、これらのモジュールは個別のエンティティとして認識されなくてもよい。
【0051】
(動作:SUL(Supplementary UpLink:補助上りリンク)の提供)
図5aは、基地局のカバレッジエリア内のユーザ機器に対し、(少なくともDLの場合)NRキャリアとともにSULを提供する例示的なシナリオを示す。具体的には、この例では、適切なNRセルを介して、80MHzのDL(またはDL/UL)キャリアを提供する(この場合はTDDを使用するが、他のシステムではFDDを使用してもよい)。例えば、基地局5のNR-PUSCHカバレッジ内(図2の小さな点線の円)に位置するいくつかのUE(この例では、「UE1」と示されるUE)は、下りリンク通信と上りリンク通信の両方にNRキャリアを使用するように構成してもよい。
【0052】
しかしながら、一部のUE(この例では、「UE2」と示されるUE)は、下りリンク通信(または下りリンクと上りリンク通信の両方)にNRキャリアを使用し、上りリンク通信に適切なSULキャリアを使用するように構成してもよい。この例では、SULは追加の10MHzキャリアを介して(適切なFDD帯域幅を使用して)提供され、互換性のあるUEは、基地局5との通信を行う際に、SULとNRキャリアとを束ねるまたは(CAを使用して)集約するように構成してもよい。
【0053】
ビームフォーミング(および/またはgNB5-2で使用できる他の手法)によって、3.5GHzでのNR-PDSCHのカバレッジは、(相対的なデータレートなどに応じて)低FDD(LTEなど)帯域のULカバレッジに酷似する場合がある。したがって、有利には、このような3.5GHzキャリアと低FDD帯域(SUL帯域)とをペアリングすることで、基地局5の全体的なカバレッジが改善する可能性がある。
【0054】
図5bは、UE3に適切なSULを提供するために、NRキャリアをLTEキャリア(または、より低帯域の可能性がある別のNRキャリア)と組み合わせることのできる可能性のある複数の方法を(点線によって)示す。1つのオプション(「シナリオ1」と表示)として、NRのみにおいて使用するスタンドアローンSULがある。図5b中に「シナリオ2」と示される別のオプションでは、SULは、複数の無線アクセス技術(例えば、TDMまたはFDMのいずれかを使用するNRおよびLTE)で共有されてもよい。このシナリオは、共有または「非スタンドアローン」SULと呼ばれてもよい。しかしながら、図5bに示す可能性の組み合わせはいずれも(異なるUEまたはUEのグループのための)同一基地局/RAN内でも可能であるものとする。
【0055】
(動作:SULが配置される場合のセルの(再)選択)
図1に示すシステムの例においてスタンドアローンSULを使用する場合、基地局5は、基地局のセルに対するUE3の初期アクセスを容易にすることのできる適切なセル選択基準Sを送信(ブロードキャスト)するように有利に構成してもよい。具体的には、この場合のセル選択基準Sは、基地局5によってブロードキャストされるシステム情報内のSUL関連オフセットおよびSUL情報(例えば、帯域、ARFCN(Absolute Radio Frequency Channel Number:絶対無線周波数チャネル番号)など)を含む。したがって、事実上、UE3は、セル選択基準Sを(オフセットによって示される量だけ)緩和することで、本来(オフセットを勘案しない、当該セル選択基準Sのみに基づくと)最小セル選択基準を満たさないセルを(そのモビリティ管理モジュール47を使用して)選択するように構成してもよい。
【0056】
有利には、オフセットは、UE3によってSの2つの副基準(SrxlevおよびSqual)のいずれか一方または両方に適用されてもよく、それぞれのオフセット数値は異なってもよい。
【0057】
基地局5によってブロードキャストされたシステム情報の受信時にUE3がモビリティ手順の一部としてセル選択を行う場合、UE3は、以下のアクションの1つ以上を(そのSULモジュール46を使用して)実行するように構成される:
-オフセットを適用する(例えば、UE3がSULのケイパビリティがあり、かつ特定のキャリアの組み合わせをサポートする場合);
-UE3が主に下りリンクデータのみを有する場合に、オフセット/緩和したSを適用する;および
-UE3の優先度が高い、UE3が使用/要求するサービスの優先度が高い、またはUE3が特定のサービスを使用する場合に、オフセット/緩和したSを適用する。
【0058】
これにより、UE3は、選択したセルとともに提供されるSULの効果を考慮に入れて、キャンプに適したセルを(そのモビリティ管理モジュール47を使用して)選択することができる。一方で、セルにSULが提供されていない場合(またはUE3がそのSULセルの組み合わせを使用することができない場合)、UE3は、通常の方法でセル選択基準Sを適用することができ、これにより、UE3がそのセルのPUSCHの外側にいる間に(PDSCHのカバレッジ内であるか否かに関わらず)NRセルを選択するのを防止することができる。
【0059】
アイドルモードモビリティ(スタンドアローンSULシナリオ)の場合、UE3と基地局5は、UEによるセル選択/再選択手順の一部として、以下のアクションを実行するように構成される:
-基地局5は、関連付けられた任意のSUL情報およびSULに適用可能なオフセットを含む、隣接(セル/基地局)で使用される周波数設定を(そのSUL管理モジュール68を使用して)取得する(これは、例えばOAM(Operation And Maintenance:運用および保守)または周辺情報交換手順を介して行ってもよい);
-基地局5は、SULおよび/またはSUL周波数情報の任意のオフセットを含む、(複数の)NR隣接周波数および(複数の)セルに関する情報を(その通信制御モジュール63を使用して、システム情報内で)ブロードキャストする;
-候補セルにSULが存在する場合(かつUE3がSULのケイパビリティがある/当該特定のSULを使用可能である場合)、UE3(例えば、通信制御モジュール43を使用して必要なシステム情報を取得した後)は、(SULモジュール46を使用して)オフセットを適用する;および
-UE3は、そのセルに適用可能なSUL情報を取得するために、測定(隣接)セルのシステム情報を読み取る必要もある。
【0060】
特定の(隣接)基地局のセルのSUL構成には、主に3つのオプションがあるものとする。
ケース1:特定のNR周波数(F3など)で動作する全てのセルが関連付けられたSULを有しない(または、少なくとも一部のUEでSULを無効化する);
ケース2:すべてのセルが同一周波数(例えば、F1)上でSULを有する(この場合、SULに関するオフセットは周波数固有であってもよい);および
ケース3:いくつかのセルがSULありで動作し、いくつかのセルがSULなしで動作する(この場合、SULに関するオフセットはセル固有であってもよい)。
【0061】
接続モードモビリティの場合、少なくとも2つのオプションがある(スタンドアローンおよび共有SULシナリオの両方に適用可能)。
【0062】
上述のアイドルモードモビリティの場合と同様に、第1のオプションでは、基地局5は、周辺で使用される周波数設定、関連付けられた任意のSUL情報、およびSULに適用可能なオフセットを取得する(上記のケース1から3が適用される)。
【0063】
RRC接続のUE3の場合、基地局5は、候補NR周波数(例えば、SULがF1で提供される場合、F3)について、1つまたは複数の測定対象とともに、適切な測定設定を送信するように構成される。例えば、タイプ「B2」の測定対象を使用して、追加gNBに適した測定を設定することができる(測定対象B2は、3GPPにおいて、「PCellが閾値1よりも悪化し、RAT間隣接セルが閾値2よりも良くなる」ものと定義されている)。しかしながら、任意の適切な測定対象を使用してもよいものとする。
【0064】
UE3がSULのケイパビリティを有するか否かを基地局5が把握していないと仮定すると、基地局5は、SULに関連付けられた適切なオフセットとSUL情報とを測定設定/測定対象に適用する。
【0065】
UE3は、測定中のセルの測定結果にSULオフセットを適用するように構成される(例えば、UE3が、指定の測定対象(この例ではNRキャリアF3など)を作業中に指定のSULを使用することができる場合)。
【0066】
例えば、第2のオプションでは、UE3がSULのケイパビリティを有するか否かを基地局5が把握している場合、基地局5は、UE3がSULをサポートする場合のみ、当該SULに関連付けられた適切なオフセットとSUL情報とを測定設定/測定対象に適用してもよい(別の場合、基地局5は、SULオフセット/情報なしで測定を設定してもよい)。言い換えると、基地局5は、UE3の測定/報告イベントを構成する間、カバレッジ差を考慮するように構成されてもよい、すなわち、SULオフセットを他の既存のオフセットにマージしてもよい。したがって、この場合、UE3は、セル選択時にオフセット/SUL情報を適用するか否かを考慮する必要はない(これは、オフセット/SUL情報が基地局5によって既に適用されているためである)。
【0067】
(変形例および代替案)
以上、例示的な実施形態を詳細に説明した。当業者が理解するように、上記例示的な実施形態については複数の変形例および代替案が可能であり、そのようにして具現化された発明の利を得ることができる。説明のため、これらの変形例および代替案の例を一部のみ説明する。
【0068】
例えば、例示的なシステムとして、eNBおよびgNBが同一位置に配置され、複数のハードウェアおよびソフトウェアモジュールを共有する基地局(RAN装置)を説明するが、eNBとgNBは、それぞれ専用のハードウェアとソフトウェアを備える別個のものであってもよいものとする。RAN装置は、既知の5Gの開発に従って、UEと通信を行う少なくとも1つのDU(Distributed Unit:分散(または「リモート」)ユニット)と、DUおよびコアネットワーク間に位置するCU(Central Unit:中央ユニット)とで、機能を分割してもよい。例えば、上位レイヤの機能をCUによって提供し、下位レイヤの機能をDUによって提供してもよい。
【0069】
本明細書で使用する「コンポーネントキャリア」または「キャリア」という用語は、個別の時間/周波数リソース(例えば、PRB(Physical Resource Block:物理リソースブロック))をスケジュールすることのできる個別の通信(または「送信」)帯域幅を表し、ULキャリアおよびDLキャリアを指すものとする。本コンテキストにおける「キャリア」という用語は、「サブキャリア」と同義ではない。「サブキャリア」という用語は、上述のようにセルラ通信システムにおいて使用される周波数の最小単位を表し、通常、所定の通信時間間隔(例えば、TTI(Transmission Time Interval:送信時間間隔)、ミニスロット、スロット、サブフレームなど)内でグループ(通常PRBと呼ばれる)単位で割り当てられる。したがって、コンポーネントキャリアは、複数(通常は数十個)のPRBで構成される送信帯域幅(UL、DL、または両方)を表し、各PRBは複数(通常12個など多数)のサブキャリアを含む。言い換えれば、各キャリアに関連付けられた送信帯域幅は、通常、数百のサブキャリアで構成される。
【0070】
上述の例示的な実施形態では、SULは低LTE帯域にわたって提供される。ただし、SULは事実上NRキャリアであり、したがって、NR無線アクセス技術を使用することができる(適宜LTE無線アクセス技術も使用することができる)。複数の展開例において、SULによって使用される周波数帯域はNRキャリアによって使用される帯域と同一であってもよいものとする。
【0071】
接続モードモビリティに関する上の説明では、RAT間測定対象を例として用いた。しかしながら、異なるキャリアで使用される無線アクセス技術および周波数帯域に応じて、RAT内測定対象または周波数内測定対象を測定対象に含んでもよいものとする。
【0072】
SULは、事実上(NR)セルの補完部分である。通常、1つのセルはDLキャリアとULキャリアで構成される(FDDの場合、DLとULは異なる周波数上に存在するが、TDDの場合、DLとULは同一周波数上の異なるサブフレームセットである)。SULを備えたセルは、通常のDLおよびUL部分に加えて、SUL部分をさらに有してもよいものとする。つまり、SULは必ずしもスタンドアローンセルでなくともよい。SULは、特定のセル構成で提供してもよく、その場合、システム情報をブロードキャストすることで特定のセルがSUL部分を有することを(例えば、DLシステム情報内で)示してもよい。
【0073】
UEは、セルのDL部分を検出/測定し、当該測定に基づいて、このセルを選択するか、あるいは潜在的なHO決定のために当該セルを報告するかを決定するように構成されている。UEは、SULを介してセルに接続する一方で、SULまたは通常のUL部分(または両方)を上りリンク送信に使用してもよい。
【0074】
セルにSULが構成されている場合、UEは当該セルについてのセル選択/再選択/ハンドオーバーをDL部分の測定に基づいて行い、SUL固有のオフセット(など)を当該DL測定に適用してもよいものとする。
【0075】
上述の例示的な実施形態では、複数のソフトウェアモジュールを説明した。当業者が理解するように、ソフトウェアモジュールは、コンパイルされたまたはコンパイルされていない形式で提供してもよいし、コンピュータネットワークを介した信号として、または記録媒体上で、対象の装置(UE、RAN、eNB、gNBなど)に供給してもよい。さらに、このソフトウェアの一部またはすべてによって実行される機能は、1つまたは複数の専用ハードウェア回路を使用して実行してもよい。しかしながら、ソフトウェアモジュールは、基地局またはモバイルデバイスの更新を高速化するため、その使用が推奨される。
【0076】
本明細書で説明した装置の一部を形成する各コントローラは任意の適切な形態の処理回路を含んでもよく、これには、例えば以下が含まれる(限定的ではない):1つまたは複数のハードウェア実装されたコンピュータプロセッサ;マイクロプロセッサ;CPU(Central Processing Unit:中央処理装置);ALU(Arithmetic Logic Unit:算術論理ユニット);IO(Input/Output:入出力)回路;内部メモリ/キャッシュ(プログラムおよび/またはデータ);処理レジスタ;通信バス(例えば、制御、データおよび/またはアドレスバス);DMA(Direct Memory Access)機能;およびハードウェアまたはソフトウェア実装されたカウンタ、ポインタ、タイマなど。
【0077】
UEは、上記情報(その基地局によって運用されるセルの選択に用いる情報であって、当該基地局はULおよびDL通信用の第1のキャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成されている)を、システム情報ブロードキャスト中で受信してもよい。
【0078】
第1のセル選択情報は、UEがUL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に第1のキャリアの測定と比較するための少なくとも1つのセル選択パラメータを含んでもよく、第2のセル選択情報は、UEが当該UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に第1のキャリアの測定と比較するためのセル選択パラメータに適用する少なくとも1つのオフセットを含んでもよい。
【0079】
当該少なくとも1つのオフセットは、セル固有のオフセット(例えば、セルおよび/または補助キャリアに依存する)および/または周波数固有のオフセットを含んでもよい。
【0080】
当該少なくとも1つのセル選択パラメータは、受信信号レベル値(例えば「Srxlev」)および信号品質値(例えば「Squal」)の少なくとも一方を含んでもよい。
【0081】
UEによって実行される方法は、当該決定に基づいて、当該セルでのキャンプ、セルの(再)選択、およびサービングセルのセットへの当該セルの追加(例えば、キャリアアグリゲーション)の少なくとも1つを実行することをさらに含んでもよい。
【0082】
セルは、NR(New Radio)または(例えば、4Gキャリアと共有されない、関連付けられた通信帯域幅を有する)5Gキャリアを備えてもよい。この場合、補助キャリアは、NR(New Radio)または5Gキャリアとのアグリゲーションのための4GまたはLTE(Long Term Evolution)キャリアであってもよい。当該補助キャリアは、複数のユーザ機器および/または複数のセル間で共有してもよい。
【0083】
第1のキャリアは、第1の無線アクセス技術(例えば、NR(New Radio)または5G無線アクセス技術)に関連付けられた周波数帯域において運用してもよく、補助キャリアは、第2の無線アクセス技術(例えば、LTE(Long Term Evolution)無線アクセス技術)に関連付けられた周波数帯域において運用してもよい。第1キャリアと第2キャリアは、(運用される周波数帯域に関係なく)同一の無線アクセス技術を使用してもよい。
【0084】
上述した第1の測定設定は、UEがUL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に第1のキャリアの測定と比較するための少なくとも1つの閾値を識別する情報を含んでもよく、第2の測定設定は、UEがUL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に第1のキャリアの測定と比較するための少なくとも1つの閾値に適用する少なくとも1つのオフセットを識別する情報を含んでもよい。UEによって実行される方法は、基地局から当該オフセットを識別する情報を受信することをさらに含んでもよい。
【0085】
第1のキャリアの測定は、受信信号レベル値の測定および信号品質値の測定のうちの少なくとも一方を含んでもよい。UEは、個別シグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control:無線リソース制御)シグナリング)によって少なくとも当該第1の測定設定を受信してもよい。
【0086】
測定設定情報は、無線アクセス技術間(RAT間)で隣接セルを測定するための測定対象(例えば、「B2」測定対象)、RAT内隣接セルを測定するための測定対象、および周波数内隣接セルを測定するための測定対象の少なくとも1つを含んでもよく、補助キャリアは、隣接セルを含む。
【0087】
基地局は、隣接する基地局および/またはOAMエンティティから当該第2の測定設定に関する情報を取得してもよい。RAN装置は、NRまたは5G基地局(gNB)またはLTE基地局(eNB)を備えてもよい。
【0088】
種々の他の変更は、当業者にとって明らかであるため、ここでは更に詳細な説明は省略する。
【0089】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0090】
(付記1)
セルラ通信システム内のUE(User Equipment:ユーザ機器)によって実行される方法であって、
UL(UpLink:上りリンク)通信をULおよびDL通信用の第1のキャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかで受信するように構成された基地局によって運用されるセルの選択に使用するセル選択情報を上記基地局から受信すること、
上記第1のキャリアで送信された信号の測定を行うこと、および
上記第1のキャリアの測定、上記受信したセル選択情報、および上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行う上記UEのケイパビリティに基づいて上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを決定することを含み、
上記セル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1のセル選択情報と、
上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2のセル選択情報とを含む、方法。
【0091】
(付記2)
システム情報のブロードキャスト中で上記情報を受信することをさらに含む、付記1に記載の方法。
【0092】
(付記3)
上記第1のセル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記第1のキャリアの測定と比較するための少なくとも1つのセル選択パラメータを含み、上記第2のセル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記第1のキャリアの測定と比較するための上記セル選択パラメータに適用する少なくとも1つのオフセットを含む、付記1または付記2に記載の方法。
【0093】
(付記4)
上記少なくとも1つのオフセットは、セル固有の(例えば、上記セルおよび/または上記補助キャリアに依存する)オフセットおよび/または周波数固有のオフセットを含む、付記3に記載の方法。
【0094】
(付記5)
上記少なくとも1つのセル選択パラメータは、受信信号レベル値(例えば、「Srxlev」)および信号品質値(例えば、「Squal」)のうち少なくとも1つを含む、付記3または付記4に記載の方法。
【0095】
(付記6)
上記決定に基づいて、上記セルでのキャンプ、上記セルの(再)選択、およびサービングセルのセットへの上記セルの追加(例えば、キャリアアグリゲーション)のうち少なくとも1つを行うことをさらに含む、付記1から付記5のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
(付記7)
上記セルは、NR(New Radio)または(例えば、4Gキャリアと共有されない、関連付けられた通信帯域幅を有する)5Gキャリアを含む、付記1から付記6のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
(付記8)
上記補助キャリアは、NR(New Radio)または5Gキャリアとのアグリゲーションのための4GまたはLTE(Long Term Evolution)キャリアである、付記7に記載の方法。
【0098】
(付記9)
上記補助キャリアは、複数のユーザ機器および/または複数のセル間で共有される、付記1から付記8のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
(付記10)
上記第1のキャリアは、第1の無線アクセス技術(例えば、NR(New Radio)または5G無線アクセス技術)に関連付けられた周波数帯域で運用され、上記補助キャリアは、第2の無線アクセス技術(例えば、LTE(Long Term Evolution)無線アクセス技術)に関連付けられた周波数帯域で運用される、付記1から付記9のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
(付記11)
セルラ通信システム内のUE(User Equipment:ユーザ機器)によって実行される方法であって、
RAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)から、UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1キャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成された、上記RANの基地局によって運用されるセルの測定に使用する測定設定を受信すること、
上記受信した測定設定に基づいて上記第1のキャリアで送信された信号の測定を行うこと、および
上記第1のキャリアの測定と、上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行う上記UEのケイパビリティとに基づいて、上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを決定することを含み、
上記測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1の測定設定と、
上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2の測定設定とを含む、方法。
【0101】
(付記12)
上記第1の測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記第1のキャリアの測定と比較するための少なくとも1つの閾値を識別する情報を含み、上記第2の測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記第1のキャリアの測定と比較するための少なくとも1つの閾値に適用する少なくとも1つのオフセットを識別する情報を含む、付記11に記載の方法。
【0102】
(付記13)
上記オフセットを識別する情報を上記基地局から受信することをさらに含む、付記12に記載の方法。
【0103】
(付記14)
上記第1のキャリアの測定は、受信信号レベル値の測定および信号品質値の測定のうち少なくとも1つを含む、付記11から付記13のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
(付記15)
少なくとも上記第1の測定設定を個別シグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control:無線リソース制御)シグナリング)によって受信することをさらに含む、付記11から付記14のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
(付記16)
上記測定設定情報は、無線アクセス技術間(RAT間)隣接セルを測定するための測定対象(例えば、「B2」測定対象)、RAT内隣接セルを測定するための測定対象、および周波数内隣接セルを測定するための測定対象のうち少なくとも一つを含み、上記補助キャリアは上記隣接セルを含む、付記11から付記15のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
(付記17)
セルラ通信システム内の基地局によって実行される方法であって、
UL(UpLink:上りリンク)通信をULおよびDL通信用の第1のキャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかで受信するように構成された上記基地局によって運用されるセルの選択に使用するセル選択情報をUE(User Equipment:ユーザ機器)に送信することを含み、
上記セル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1キャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1のセル選択情報と、
上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2のセル選択情報とを含む、方法。
【0107】
(付記18)
セルラ通信システム内のRAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)装置によって実行される方法であって、
UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1キャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成された上記RANの基地局によって運用されるセルの測定に使用する測定設定をUE(User Equipment:ユーザ機器)に送信すること、および
上記測定設定に対応する測定結果を受信することを含み、
上記測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記測定の結果を上記RAN装置に報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1の測定設定と、
上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記測定の結果を上記RAN装置に報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2の測定設定とを含む、方法。
【0108】
(付記19)
隣接する基地局および/またはOAM(Operations And Maintenance:運用および保守)エンティティから上記第2の測定設定に関する情報を取得することを含む、付記18に記載の方法。
【0109】
(付記20)
上記RAN装置は、NR(New Radio)または5G基地局(gNB)を含む、付記11から付記19のいずれか一項に記載の方法。
【0110】
(付記21)
上記RAN装置は、LTE(Long Term Evolution)基地局(eNB)を含む、付記11から付記20のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
(付記22)
セルラ通信システム用のUE(User Equipment:ユーザ機器)であって、
上記UEは、トランシーバおよびコントローラを具備し、
上記トランシーバは、UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1のキャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成された基地局によって運用されるセルの選択に使用するセル選択情報を上記基地局から受信するように構成され、
上記コントローラは、上記第1のキャリアで送信された信号の測定を行い、上記第1のキャリアの測定、上記受信したセルの選択情報、および上記UL通信の補助キャリアを用いて通信を行う上記UEのケイパビリティに基づいて上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを決定するように構成され、
上記セル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1のセル選択情報と、
上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2のセル選択情報とを含む、UE。
【0112】
(付記23)
セルラ通信システム用のUE(User Equipment:ユーザ機器)であって、
上記UEは、トランシーバおよびコントローラを具備し、
上記トランシーバは、RAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)から、UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1キャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成された、上記RANの基地局によって運用されるセルの測定に使用する測定設定を受信するように構成され、
上記コントローラは、上記受信した測定設定に基づいて、上記第1のキャリアで送信された信号の測定を行い、上記第1のキャリアの測定と、上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行う上記UEのケイパビリティとに基づいて、上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを決定するように構成され、
上記測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1の測定設定と、
上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記測定の結果を上記RANに報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2の測定設定とを含む、UE。
【0113】
(付記24)
セルラ通信システム用の基地局であって、
上記基地局は、トランシーバおよびコントローラを具備し、
上記コントローラは、上記基地局によって運用されるセルの選択に使用するセル選択情報をUE(User Equipment:ユーザ機器)に送信するように構成され、上記基地局は、UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1のキャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成され、
上記セル選択情報は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1キャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1のセル選択情報と、
上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記基地局のセルがセル(再)選択における適切な候補であるか否かを上記第1キャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2のセル選択情報を含む、基地局。
【0114】
(付記25)
セルラ通信システム用のRAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)の装置であって、
上記RAN装置は、トランシーバおよびコントローラを具備し、
上記トランシーバは、UL(UpLink:上りリンク)およびDL通信用の第1キャリアまたはUL通信用の補助キャリアのいずれかでUL通信を受信するように構成された上記RANの基地局によって運用されるセルの測定に使用する測定設定をUE(User Equipment:ユーザ機器)に送信し、
上記測定設定に対応する測定結果を受信するように構成され、
上記測定設定は、上記UEが上記UL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができない場合に上記測定の結果を上記RAN装置に報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第1の測定設定と、
UEがUL通信用の補助キャリアを用いて通信を行うことができる場合に上記測定の結果を上記RAN装置に報告するか否かを上記第1のキャリアの測定に基づいて決定することに使用する第2の測定設定と、を含むRAN装置。
【0115】
(付記26)
付記24に記載の少なくとも1つの基地局または付記25に記載の少なくとも1つの装置、および付記22または付記23に記載の少なくとも1つのユーザ機器を具備する、セルラ通信システム。
【0116】
(付記27)
プログラム可能なデバイスを、付記24に記載の基地局または付記25に記載の装置、または付記22または付記23に記載のユーザ機器として構成するためのコンピュータによって実行可能な命令を具備する、コンピュータによって実行可能なプログラム。
【0117】
本出願は、2017年9月29日に出願された英国特許出願第1715921.1号に基づく優先権の利益に基づいており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。

図1
図2
図3
図4
図5a
図5b