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特開2024-60035血管の出血制御及び切断を同時に行うための外科用クリップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060035
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】血管の出血制御及び切断を同時に行うための外科用クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024037365
(22)【出願日】2024-03-11
(62)【分割の表示】P 2021507670の分割
【原出願日】2019-08-13
(31)【優先権主張番号】62/718,114
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521047937
【氏名又は名称】マイケル ジーゲンターラー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジーゲンターラー
(57)【要約】
【課題】血管の切断及び出血の制御を同時に行うための外科用クリップを提供する。
【解決手段】本発明の外科用クリップには、それぞれ平坦面及び切断面を含む2つの脚部と、2つの脚部を結合するように構成された湾曲部とが含まれる。血管の分割及び出血の制御を同時に行う外科用クリップを取り付けるためのアプリケータには、2つの外科用クリップを同時に保持する2つの掴み具と、2つの掴み具に2つの外科用クリップに変形力を及ぼさせる2つの柄部とが含まれる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の切断及び出血の制御を同時に行うための外科用クリップであって、
それぞれ平坦面及び切断面を含む2つの脚部と、
前記2つの脚部を結合するように構成された湾曲部と、
を含む、前記外科用クリップ。
【請求項2】
前記2つの脚部のうちの一方の前記切断面は前記2つの脚部のうちの他方の前記切断面に対してずれている、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項3】
前記2つの脚部のそれぞれの上で、前記切断面は前記平坦面に隣接している、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項4】
前記外科用クリップが閉状態にあるとき、前記2つの脚部のそれぞれの前記切断面は、ハサミ切断動作の間に前記血管を切断するために互いを回避するように構成されている、請求項2に記載の外科用クリップ。
【請求項5】
前記外科用クリップが閉状態にあるとき、前記2つの脚部のそれぞれの前記平坦面は前記血管の内腔を塞ぐように構成されている、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項6】
前記外科用クリップは単一片の材料から形成されている、請求項1に記載の外科用クリップ。
【請求項7】
前記材料は、ステンレス鋼、チタン、タラナム、プラチナ、金属の合金、またはポリマー材料のうちの1種である、請求項6に記載の外科用クリップ。
【請求項8】
前記材料は、前記外科用クリップが取り付けられた身体によって受け入れ可能である、請求項6に記載の外科用クリップ。
【請求項9】
血管の分割及び出血の制御を同時に行う外科用クリップを取り付けるためのアプリケータであって、
2つの外科用クリップを同時に保持するように構成された2つの掴み具と、
前記2つの掴み具に前記2つの外科用クリップに変形力を及ぼさせるように構成された2つの柄部と、を含む、前記アプリケータ。
【請求項10】
前記2つの掴み具は、少なくとも前記2つの外科用クリップを互いに接近させて所定の距離に保持する少なくとも2つの溝であって、前記掴み具が前記2つの外科用クリップに前記変形力を及ぼしたときに組織を切断するためのハサミ切断動作を可能にする、前記少なくとも2つの溝を含む、請求項9に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記2つの掴み具はさらに、前記2つの切断用外科用クリップのいずれかの側または両側に1つ以上のさらなるクリップを保持するための少なくとも1つ以上のさらなる溝を含む、請求項10に記載のアプリケータ。
【請求項12】
前記2つの掴み具は、少なくとも2つの外科用クリップを互いにずらして保持して、前記外科用クリップを置く間に前記外科用クリップの刃先が組織と接触しないように覆うように構成されている、請求項9に記載のアプリケータ。
【請求項13】
血管切断及びクランピングシステムであって、
血管の切断及びクランピングを同時に行うように構成された一対の外科用クリップであって、前記一対の外科用クリップはそれぞれが、
それぞれ平坦面及び切断面を含む2つの脚部と、
前記2つの脚部を結合するように構成された湾曲部と、を含む前記一対の外科用クリップと、
アプリケータであって、前記一対の外科用クリップを互いに接触させて保持し、前記一対の外科用クリップを変形させるように圧力を印加して前記外科用クリップに前記血管の切断及びクランピングを同時に行わせるように構成された前記アプリケータと、を含む、前記血管切断及びクランピングシステム。
【請求項14】
前記一対の外科用クリップは同じ断面プロファイルを有する、請求項13に記載の血管切断及びクランピングシステム。
【請求項15】
前記一対の外科用クリップは異なる断面プロファイルを有する、請求項13に記載の血管切断及びクランピングシステム。
【請求項16】
前記一対の外科用クリップは互いの鏡像である断面プロファイルを有する、請求項15に記載の血管切断及びクランピングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願では、仮出願第62/718,114号(2018年8月13日に出願)からの優先権に対する利益を主張する。なお、この文献の全体の内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、外科手術中に出血を防止または制御するために用いる外科用クリップに関する。具体的には、本開示は、血管の切断及び出血の制御を同時に行う外科用クリップに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
外科用クリップは、ステンレス鋼、チタン、タラナム、プラチナなどの金属、または金属の合金から形成され得るか、またはポリマー材料から形成され得る埋め込み型装置である。外科用クリップは20世紀の前半から使用されており、低侵襲外科手術の出現に伴って種々の外科訓練の間で広範囲に使用されている。
【0004】
外科手術の間、外科用クリップをクリップアプリケータを用いて配置する。クリップアプリケータは、外科用クリップを所望の場所(典型的に血管)に配置するとともに、外科用クリップを血管を塞ぐためのその最終形状に変形させる手術用器具である。クリップアプリケータはハサミ状の柄部とプライヤ状の先端部とを有している。両方によって、外科用クリップをその開位置に保持するとともに、外科用クリップに力を及ぼして、外科用クリップをその最終的な閉位置に変形させる。
【0005】
外科用クリップを血管上に置いて血管の内腔を塞ぐために閉じると、出血過多の危険を伴うことなく血管が安全に分割され得る。血管の典型的な分割では、血管を分割すべき場所の両側に外科用クリップを置く。外科用クリップを置いた後、血管をたとえばハサミを用いて分割する。これには3つの別個のステップが伴う。第1の外科用クリップを置くこと、第2の外科用クリップを置くこと、及び血管を分割することである。したがって、手術室の技師は外科用器具を3回手渡す必要があり、毎回、新しい外科用クリップをクリップアプリケータに装着しなければならず、時間がかかる可能性がある。たとえば、骨格化された方法で冠状動脈バイパス移植術を行うために乳動脈を採取する間、内乳動脈の複数の小さい側枝を分割して、これらの分割のそれぞれに対して3つのステップを行う必要がある。その結果、プロセスは冗長かつ時間のかかるものとなる。
【0006】
血管の分割に必要なステップの数を減らす試みとしては、外科用クリップアプリケータにブレードを含め、ブレードの両側に外科用クリップを配置することが考えられる。この結果、アプリケータは2つのクリップを同時に置いて、2つのクリップの間で血管を分割することができる。しかし、この解決方法は技術的に複雑であり、専用のクリップアプリケータが必要である。そのため、実施されたことはない。
【発明の概要】
【0007】
本開示では、従来の外科用クリップを用いて血管を分割するために必要な3つのステップをたった1回のステップに減らす新しい外科用クリップについて説明する。したがって、本開示は、出血の制御及び血管の分割を同時に行う外科用クリップに関する。また本開示は、外科用クリップ用のアプリケータであって、最小限の2つの外科用クリップを保持して両方のクリップを血管に同時に適用することにより、血管の分割を単一ステップに減らすアプリケータに関する。
【0008】
たとえば、本開示の典型的な態様によるクリップアプリケータには、2つの外科用クリップを保持するための2つの掴み具が含まれる。隣接する外科用クリップを分割すべき血管上に進めた後、アプリケータは、2つの掴み具を合わせることによって両方のクリップを同時に閉じる。外科用クリップは互いに非常に近い位置にあり、アプリケータの掴み具が閉じたときに、それらの間でハサミ切断動作が実現される。1つの典型的な実施形態では、外科用クリップは互いに接触していてもよい。したがって、アプリケータ内に余分なブレード、または他の切断メカニズムを含む必要がない。外科用クリップ自体によって、血管を切断すること及び血管の内腔を塞ぐことの両方が実行される。この結果、血管の各側で生じる出血を制御し、同時に血管を切断することが、従来の外科用クリップとともに使用されるような別個のブレードまたは別個のハサミを必要とすることなく可能になる。
【0009】
1つの典型的な態様では、血管の切断及び出血の制御を同時に行うための外科用クリップには、それぞれ平坦面及び切断面を含む2つの脚部と、2つの脚部を結合するように構成された湾曲部とが含まれる。
【0010】
別の典型的な態様では、血管の分割及び出血の制御を同時に行う外科用クリップを取り付けるためのアプリケータには、2つの外科用クリップを同時に保持するように構成された2つの掴み具と、2つの掴み具に2つの外科用クリップに変形力を及ぼさせるように構成された2つの柄部とが含まれる。
【0011】
別の典型的な態様では、アプリケータは、中央の切断クリップ対のいずれかの側または両側で中央の切断クリップ対の外側に1つ以上のクリップを保持して、さらなる安定性を加え、血管の閉塞に対するさらなる安全性を含み、さらに切断クリップが滑る危険性を下げる。
【0012】
本発明及びその付随する利点の多くをより完全に理解することは、それらが以下の詳細な説明を添付図面と共に考慮して参照することでより良好に理解されるため、容易になされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】3つの異なるサイズの従来の外科用クリップ及びそれらの対応するアプリケータを例示する図である。
図1B】3つの異なるサイズの従来の外科用クリップを開から閉までの種々の状態で例示する図である。
図2A】本開示の典型的な態様による外科用クリップの3次元図である。
図2B】本開示の典型的な態様による外科用クリップの側面図である。
図2C】本開示の典型的な態様による閉状態の外科用クリップの正面図である。
図2D】本開示の典型的な態様による2つの外科用クリップの断面図である。
図2E】本開示の典型的な態様による2つの外科用クリップの断面図である。
図2F】本開示の典型的な態様による2つの外科用クリップの断面図である。
図2G】本開示の典型的な態様による外科用クリップの3次元図である。
図2H】本開示の典型的な態様による外科用クリップの3次元図である。
図3A】本開示の典型的な態様による外科用クリップを適用するときの第1のステップを示す図である。
図3B】本開示の典型的な態様による外科用クリップを適用するときの第2のステップを示す図である。
図3C】本開示の典型的な態様による外科用クリップを適用するときの第3のステップを示す図である。
図3D】本開示の典型的な態様による外科用クリップを適用するときの第4のステップを示す図である。
図3E】本開示の典型的な態様による外科用クリップを適用するときの第5のステップを示す図である。
図3F】本開示の典型的な態様による外科用クリップを適用するときの第6のステップを示す図である。
図3G】本開示の典型的な態様による外科用クリップを適用するときの第7のステップを示し、両方のクリップが、分割された血管の各端部にあることを示す図である。
図4図4Aは、本開示の典型的な態様による外科用クリップの断面図を例示する図であり、図4Bは、本開示の典型的な態様による外科用クリップの別の断面図を例示する図であり、図4Cは、本開示の典型的な態様による外科用クリップの断面図を例示する図であり、図4Dは、本開示の典型的な態様による外科用クリップの断面図を例示する図である。
図5A】本開示の典型的な態様による外科用クリップの3次元図を例示する図である。
図5B】本開示の典型的な態様による外科用クリップの別の3次元図を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に図面を参照して、いくつかの図の全体を通して同様の参照数字は同一部分または対応する部分を指定する。図1に、従来の外科用クリップ及びそのアプリケータを例示する。例示したように、外科用クリップは、キャリア1、2、3内で積み重ねられていてもよく、種々の応用例を考慮して種々のサイズであってもよい。同様に、外科用クリップ用のアプリケータ4、5、6は、種々のサイズの外科用クリップに適応するために種々のサイズで提供される。
【0015】
図1Aに、種々の寸法の21a~c、22a~c、23a~cの従来の外科用クリップを、完全に開いている状態21a~23aから完全に閉じている状態21c~23cまでの異なる状態で例示する。図1Bでは、一番上の外科用クリップ21が最大で、一番下の外科用クリップ23が最小である。また、左側の外科用クリップ21a、22a、23aは完全に開いており、一方で右側の外科用クリップ21c、22c、23cは完全に閉じている。外科用クリップを、サイズとは関係なく、開いた状態で血管上に進めて、外科用クリップが血管を囲むようにする。図1Bの右側に示すように(21c、22c、23c)、外科用クリップが閉じているとき、外科用クリップは血管を挟んで閉じて、出血を防ぐ。このようなクリップは、外科手術後に身体内に残される場合がある。クリップを取り出してもよいし、または身体によって受け入れ可能な材料で形成してもよいことは、当業者であれば理解することである。
【0016】
図2Aは、本開示の典型的な態様による外科用クリップの3次元図である。図2Aにおいて、外科用クリップの各脚部200には刃先202及び平坦部分204が含まれる。外科用クリップの脚部200上の刃先202は、ハサミ切断動作によって外科用クリップが取り付けられた血管を切断するように互いを回避している。図2Bに、各脚部200の刃先202は各脚部200の平坦部分204に対して高くなっていることを示す。図2Cから分かるように、刃先202は反対側にあるため、外科用クリップの脚部200を合わせたときに、それらは互いを回避してハサミ切断動作を行なうことができる。
【0017】
図2Dは、外科用クリップ300及び400が閉状態にあるときの本開示の典型的な態様による外科用クリップ300及び400の断面図である。この図に例示するように、外科用クリップ300及び400が閉じているとき、刃先202は互いを回避して血管を切断する。同時に、平坦部分204が互いに合って、血管を塞ぐとともに、出血を防ぐ。理解されるように、図2Dの断面図は単なる典型であり、本開示の範囲から逸脱することなく他の断面プロファイルが可能である。たとえば図2E及び2Fに例示したものである。理解されるように、平坦部分204の表面に適用される正確なパターンまたはテクスチャは本開示に対する限定ではなく、他のパターンまたはテクスチャも可能である。
【0018】
さらに、図2D~2Fはそれぞれ、2つのクリップ300及び400を、血管を切断/クランプするために用いるときに配置されるように並べて例示している。クリップ300及び400は接触してまたは接触せずに互いに近くてもよく、好ましくは単一アプリケータによって適用される。これについては以下でより詳細に説明する。当業者であれば理解するように、本明細書で説明するクリップのいずれかを、図2D~2Fに例示するように一対のクリップとして用いてもよい。図2E~2Fに、クリップ300及び400が同じ断面プロファイルまたは互いの鏡像の断面プロファイルを有する場合を例示する。しかし、これらは本開示で説明する本発明の必要条件ではない。理解されるように、2つのクリップ300及び400は、断面が互いに完全に異なっていてもよい。したがって、血管を切断する/クランプするために用いられる一対のクリップの特定の断面プロファイルは、本開示に対する限定ではない。
【0019】
図2Gに、本開示の典型的な態様による外科用クリップを例示する。図2Gの外科用クリップは、各脚部200の平坦部分204上に、テクスチャ加工またはパターニングされた表面が含まれる。このテクスチャ加工またはパターニングされた表面によって、血管上にクリップを取り付けたときの外科用クリップの滑りが防がれる。図2Gには刃先202も例示する。図2Gに例示したパターンでは、外科用クリップの脚部200のそれぞれ上に一連の歯が含まれる。理解されるように、一方の脚部の歯が他方の脚部の歯に対してずれて、クリップを閉じたときにそれらが他方の脚部の歯と噛み合うように、歯を形成してもよい。また一方の脚部の歯が他方の脚部の歯と位置が合って、クリップを閉じたときにそれらが噛み合わないように、歯を形成してもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、他のパターンも可能である。
【0020】
図2Hに、本開示の典型的な態様による2つの外科用クリップ300及び400を例示する。図2Hにおいて、各外科用クリップ300及び400の平坦部分204の表面は、前述したようにテクスチャ加工またはパターニングされており、各外科用クリップ300及び400の脚部200の外面も、アプリケータによって保持されている間に外科用クリップ300及び400が滑ることを防ぐために同様になっている。この図から分かるように、2つの外科用クリップ300及び400は並んでいて、それらは、血管を分割すること及び血管の各側をシールして出血を防ぐことを同時に行うことができる。具体的には、外科用クリップ300の刃先302を伴う脚部301は、外科用クリップの刃先を伴わない脚部401と位置が合う。同様に、刃先(図示せず)を伴う外科用クリップ400の脚部402は、外科用クリップ300の脚部303と位置が合う。このように、2つの外科用クリップは互いに接触して置いてもよく、また同じアプリケータを用いて保持して、両方の外科用クリップ300及び400が血管に同時に適用され得るようにしてもよい。図2Hでは、テクスチャ加工された表面を伴う2つのクリップを用いて例示しているが、テクスチャ加工された表面を伴わない2つのクリップを用いてもよいし、またはテクスチャ加工された表面を伴う1つのクリップとテクスチャ加工された表面を伴わない別のクリップとを用いてもよいことは、当業者であれば理解することである。
【0021】
図3Aに、2つの外科用クリップ300及び400(たとえば図2Hに例示したもの)をクリップアプリケータ500に保持した状態を示す。これは、血管(図示せず)に外科用クリップ300及び400を適用するときの第1のステップを表す。外科用クリップ300及び400を、図3Bに例示した第2のステップにおいて、血管600の周りで変形させる。図3Cにおいて、外科用クリップ300及び400は血管600の周りで部分的に閉じている。図3Dにおいて、外科用クリップ300及び400は血管600の周りで完全に閉じている。さらに力を印加して、外科用クリップ300及び400にハサミ切断動作を実行させて(図3E)、クリップアプリケータ500を解除する(図3F)。その結果、血管600が切断されて、外科用クリップ300及び400が血管600の各切断端に取り付けられていることが示されている。図3Gに、血管600の分割が完了した後の堅く適用されたクリップ300を例示する。
【0022】
図4Aに、本開示の典型的な態様による外科用クリップ断面を例示する。図4Aにおいて、クリップの刃先202は、周辺組織に対する接触及び損傷の可能性を回避するために、反対側のクリップ脚部200において埋められるかまたは覆われる。図4Bは、周辺組織に対する接触及び損傷の可能性を回避するために、刃先202が反対側のクリップ脚部によって埋められるかまたは覆われる外科用クリップの別の断面である。理解されるように、本開示の範囲から逸脱することなく、他の外科用クリップ断面が可能である。
【0023】
図5A及び5Bに、周辺組織に対する刃先の露出を防ぐための本開示の典型的な態様による外科用クリップの2つの装着構成を例示する。図5Aに例示するように、クリップ700及び800は互いにわずかにずれて装着されて、各クリップは他方のクリップの切断刃を覆っている。図5Bに、互いに同じ高さに装着された場合に外科用クリップ700及び800の刃先がどのように露出して、血管上にクリップを置く間に組織に損傷を生じさせる危険を招くかを例示する。置かれると、外科用クリップはその閉位置に変形するため、アプリケータが及ぼす圧力によってクリップを同じ高さにすることができる。
【0024】
前述の説明を別個の実施形態と考え得る限りにおいて、別個の実施形態でのこのような説明は単に明瞭を目的として行っている。当業者であれば理解するように、一実施形態を参照して説明した本発明の概念は、他の実施形態を参照して説明したすべての発明概念と容易に結合可能である。
【0025】
また、本明細書で説明した外科用クリップが得られる材料は、本開示に対する限定ではない。したがって、外科用クリップは、ステンレス鋼、チタン、タラナム、プラチナなどの金属、金属の合金、またはポリマー材料から形成してもよい。
【0026】
明らかに、本発明の多くの変更及び変化が、前述の教示を考慮すれば可能である。したがって当然のことながら、添付の請求項の範囲内において、本発明を本明細書で具体的に述べたこと以外で実施してもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の切断及び出血の制御を同時に行うための外科用クリップであって、
それぞれ平坦面及び切断面を含む2つの脚部と、
前記2つの脚部を結合するように構成された湾曲部と、
を含む、前記外科用クリップ。
【外国語明細書】