IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-配線回路基板 図1
  • 特開-配線回路基板 図2
  • 特開-配線回路基板 図3
  • 特開-配線回路基板 図4
  • 特開-配線回路基板 図5
  • 特開-配線回路基板 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060046
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】配線回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240423BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240423BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K1/03 610N
H05K3/28 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038115
(22)【出願日】2024-03-12
(62)【分割の表示】P 2019166948の分割
【原出願日】2019-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松富 亮人
(72)【発明者】
【氏名】程野 将行
(57)【要約】
【課題】高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図れた配線回路基板を提供すること。
【解決手段】配線回路基板1は、ベース絶縁層2と、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に配置される導体層3と、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に、導体層3を被覆するように配置されるカバー絶縁層4と、ベース絶縁層2の厚み方向他方面および幅方向両側面と、カバー絶縁層4の厚み方向一方面および幅方向両側面とに配置されるシールド層5とを備える。ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4の少なくとも一方が、多孔質樹脂層10を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に配置される導体層と、
前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に、前記導体層を被覆するように配置されるカバー絶縁層と、
前記ベース絶縁層の厚み方向他方面および幅方向両側面と、前記カバー絶縁層の厚み方向一方面および幅方向両側面とに配置されるシールド層と
を備え、
前記ベース絶縁層および前記カバー絶縁層の少なくとも一方が、多孔質樹脂層を有することを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
前記導体層の厚み方向他方面と前記ベース絶縁層の厚み方向他方面との距離T1に対する、前記導体層の厚み方向一方面と前記カバー絶縁層の厚み方向一方面との距離T2の比(T2/T1)が、0.9以上、1.1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記多孔質樹脂層が、独立気泡構造を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記多孔質樹脂層の空孔率が、50%以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記多孔質樹脂層の材料が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記ベース絶縁層および前記カバー絶縁層が、多孔質樹脂層からなることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項7】
前記ベース絶縁層が、前記多孔質樹脂層からなり、
前記カバー絶縁層は、
前記導体層の厚み方向一方面および幅方向両側面と、前記ベース絶縁層の厚み方向一方面において厚み方向に投影したときに前記導体層に重ならない部分に接触する接着剤層と、
前記接着剤層の厚み方向一方面に接触する前記多孔質樹脂層とを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気伝送路として同軸ケーブルが用いられている。
【0003】
例えば、導体と、その外周面に配置されるジャケット層(絶縁層)と、その外周面に配置されるシールド層とを備える高周波電力伝送用同軸ケーブルが提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。特許文献1に記載の高周波電力伝送用同軸ケーブルでは、ジャケット層が、中実な架橋ポリエチレン樹脂からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-22146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、高周波電力伝送用同軸ケーブルには、高周波信号のより高い伝送効率および薄型化が求められる。
【0006】
しかし、特許文献1の記載の高周波電力伝送用同軸ケーブルでは、ジャケット層が、中実な架橋ポリエチレン樹脂からなるので、伝送効率の向上にも限界がある。
【0007】
また、特許文献1の記載の高周波電力伝送用同軸ケーブルは、そもそも、同軸ケーブルの構造を有するため、薄型化が困難であるという不具合がある。
【0008】
本発明は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図れた配線回路基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、ベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に配置される導体層と、前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に、前記導体層を被覆するように配置されるカバー絶縁層と、前記ベース絶縁層の厚み方向他方面および幅方向両側面と、前記カバー絶縁層の厚み方向一方面および幅方向両側面とに配置されるシールド層とを備え、前記ベース絶縁層および前記カバー絶縁層の少なくとも一方が、多孔質樹脂層を有する、配線回路基板を含む。
【0010】
本発明(2)は、前記導体層の厚み方向他方面と前記ベース絶縁層の厚み方向他方面との距離T1に対する、前記導体層の厚み方向一方面と前記カバー絶縁層の厚み方向一方面との距離T2の比(T2/T1)が、0.9以上、1.1以下である、(1)に記載の配線回路基板を含む。
【0011】
本発明(3)は、前記多孔質樹脂層が、独立気泡構造を有する、(1)または(2)に記載の配線回路基板を含む。
【0012】
本発明(4)は、前記多孔質樹脂層の空孔率が、50%以上である、(1)~(3)のいずれか一項に記載の配線回路基板を含む。
【0013】
本発明(5)は、前記多孔質樹脂層の材料が、ポリイミド樹脂である、(1)~(4)のいずれか一項に記載の配線回路基板を含む。
【0014】
本発明(6)は、前記ベース絶縁層および前記カバー絶縁層が、多孔質樹脂層からなる、(1)~(5)のいずれか一項に記載の配線回路基板を含む。
【0015】
本発明(7)は、前記ベース絶縁層が、前記多孔質樹脂層からなり、前記カバー絶縁層は、前記導体層の厚み方向一方面および幅方向両側面と、前記ベース絶縁層の厚み方向一方面において厚み方向に投影したときに前記導体層に重ならない部分に接触する接着剤層と、前記接着剤層の厚み方向一方面に接触する前記多孔質樹脂層とを備える、(1)~(6)のいずれか一項に記載の配線回路基板を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の配線回路基板では、ベース絶縁層およびカバー絶縁層の少なくとも一方が、多孔質樹脂層を有するので、高周波信号の伝送効率を向上できる。
【0017】
本発明の配線回路基板は、ベース絶縁層およびカバー絶縁層が層状であるので、薄型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の配線回路基板の第1実施形態の断面図である。
図2図2A図2Fは、図1に示す配線回路基板の製造工程図であり、図2Aが、他方側シールド層とベース絶縁層とを準備する工程、図2Bが、導体層を配置する工程、図2Cが、カバー絶縁層を配置する工程、図2Dが、一方側シールド層を配置する工程、図2Eが、開口部を形成する工程、図2Fが、側部シールド層を配置する工程を示す。
図3図3は、図1に示す配線回路基板の変形例(導体層が複数の配線を含む態様)の断面図である。
図4図4は、本発明の配線回路基板の第2実施形態(カバー絶縁層が多孔質樹脂層および接着剤層を含む態様)の断面図である。
図5図5A図5Fは、図4に示す配線回路基板の製造工程図であり、図5Aが、接着剤層を配置する工程、図5Bが、カバー絶縁層を接着剤層に接触させる工程、図5Cが、開口部を形成する工程、図5Dが、側部シールド層を配置する工程を示す。
図6図6は、図4に示す配線回路基板の変形例(導体層が複数の配線を含む態様)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
本発明の配線回路基板の第1実施形態を、図1を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、配線回路基板1は、例えば、信号(電気信号)を伝送する伝送路であり、好ましくは、高周波信号(具体的には、周波数が1GHz以上、さらには、周波数が2GHz以上、また、100GHz以下の信号)を伝送する高周波伝送路(高周波信号の伝送用ケーブル)である。配線回路基板1は、伝送方向に沿って延びる平帯形状をする。また、配線回路基板1は、伝送方向に直交する断面視において、所定の厚みを有し、幅方向(伝送方向および厚み方向に直交する方向)に広がる略矩形状を有する。配線回路基板1は、ベース絶縁層2と、導体層3と、カバー絶縁層4と、シールド層5とを備える。
【0021】
ベース絶縁層2は、幅方向に長い断面視略矩形状を有する。
【0022】
ベース絶縁層2の厚みT1は、導体層3の厚み方向他方面とベース絶縁層2の厚み方向他方面との距離T1である。具体的には、ベース絶縁層2の厚みT1は、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、75μm以下である。また、配線回路基板1の厚みT0に対するベース絶縁層2の厚みT1の比(T1/T0)は、例えば、0.15以上、好ましくは、0.3以上であり、また、例えば、0.6以下、好ましくは、0.45以下である。
【0023】
ベース絶縁層2の幅W1は、ベース絶縁層2の幅方向両側面間の距離W1である。具体的には、ベース絶縁層2の幅W1は、例えば、100μm以上、好ましくは、250μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、350μm以下である。配線回路基板1の幅W0に対するベース絶縁層2の幅W1の比(W1/W0)は、例えば、0.8以上、好ましくは、0.9以上であり、また、例えば、1以下、好ましくは、0.99以下である。
【0024】
ベース絶縁層2の幅W1に対する厚みT1の比(T1/W1)は、例えば、2.0以下、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1.0以下であり、また、例えば、0.1以上である。
【0025】
ベース絶縁層2の寸法が上記範囲にあれば、配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図られる。
【0026】
ベース絶縁層2は、多孔質樹脂層10(図1の括弧書き参照)である。多孔質樹脂層10は、微細な空孔(気孔)を多数有している。多孔質樹脂層10は、好ましくは、独立気泡構造を有する。多孔質樹脂層10が独立気泡構造を有する場合には、配線回路基板1における高周波信号の伝送効率を向上できる。
【0027】
ベース絶縁層2の多孔質樹脂層10における空孔率は、例えば、50%以上、好ましくは、60%以上、より好ましくは、70%以上、さらに好ましくは、80%以上であり、また、例えば、100%未満である。多孔質樹脂層10の空孔率は、国際公開2018/186486号公報に記載に従って、測定される。多孔質樹脂層10の空孔率が上記した下限以上であれば、配線回路基板1における高周波信号の伝送効率を向上できる。
【0028】
ベース絶縁層2の多孔質樹脂層10における平均孔径は、例えば、10μm以下、好ましくは、5μm以下であり、また、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上である。多孔質樹脂層10における平均孔径は、国際公開2018/186486号公報に記載に従って、測定される。
【0029】
ベース絶縁層2の多孔質樹脂層10の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの樹脂が挙げられる。好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0030】
熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂(熱硬化性ポリイミド樹脂)、熱硬化性フッ化ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、フッ素樹脂(含フッ素オレフィンの重合体(具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など))、液晶ポリマー(LCP)などが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、ポリイミド樹脂が挙げられる。多孔質樹脂層10の材料が、ポリイミド樹脂であれば、低コストおよび低誘電率を確保しつつ、配線回路基板1における高周波信号の伝送特性を向上できる。
【0031】
ベース絶縁層2の周波数10GHzにおける誘電率は、例えば、3.0以下、好ましくは、2.5以下、より好ましくは、2.0以下である。
【0032】
導体層3は、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に配置されている。具体的には、導体層3は、ベース絶縁層2の厚み方向一方面における中央部に接触している。導体層3は、例えば、1つの配線13である。
【0033】
断面視において、ベース絶縁層2の厚み方向一方面における中央部(導体層3が接触する部分)より幅方向一方側に位置する一方側部分11の長さL1に対する、ベース絶縁層2の厚み方向一方面における中央部(導体層3が接触する部分)より幅方向他方側に位置する他方側部分12の長さL2の比(L2/L1)は、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上であり、また、例えば、1.1以下、好ましくは、1.05以下である。
ベース絶縁層2における一方側部分11の長さL1と、他方側部分12の長さL2とが略同一であることが好適である。一方側部分11および他方側部分12の寸法が上記範囲にあれば、配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図られる。
【0034】
配線13は、幅方向に長い断面視略矩形状を有する。
【0035】
導体層3の材料は、特に限定されず、例えば、銅、鉄、銀、金、アルミニウム、ニッケル、それらの合金(ステンレス、青銅)などの金属が挙げられる。低い電気抵抗を得る観点から、好ましくは、銅、金が挙げられる。
【0036】
導体層3の厚みT3は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。配線回路基板1の厚みT0に対する導体層3の厚みT3の比(T3/T0)は、例えば、0.5以下、好ましくは、0.3以下、より好ましくは、0.2以下であり、また、例えば、0.01以上、好ましくは、0.05以上である。
【0037】
導体層3(配線13)の幅W3は、ベース絶縁層2の幅W1より狭い。導体層3の幅W3は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。ベース絶縁層2の幅W1に対する導体層3の幅W3の比(W3/W1)は、例えば、0.75以下、好ましくは、0.50以下、より好ましくは、0.25以下であり、また、例えば、0.01以上、好ましくは、0.05以上である。導体層3において幅W3に対する厚みT4の比(T4/W3)は、例えば、0.75以下、好ましくは、0.5以下であり、また、例えば、0.01以上である。
【0038】
導体層3の寸法が上記範囲にあれば、配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図られる。
【0039】
導体層3は、中実な緻密層である。そのため、導体層3の空孔率は、実質的に0%である。
【0040】
カバー絶縁層4は、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に、導体層3を被覆するように配置される。具体的には、カバー絶縁層4は、導体層3の周囲のベース絶縁層2の厚み方向一方面と、導体層3の厚み方向一方面および幅方向両側面とに接触している。なお、導体層3の周囲のベース絶縁層2は、厚み方向に投影したときに、ベース絶縁層2において、導体層3の重ならない部分である。カバー絶縁層4は、断面視において、厚み方向他方側に向かって開放される略コ字(U字)形状を有する。カバー絶縁層4の厚み方向一方面は、平坦である。カバー絶縁層4の幅方向両側面のそれぞれは、ベース絶縁層2の幅方向両側面のそれぞれと面一である。
【0041】
カバー絶縁層4の厚みT2は、導体層3の厚み方向一方面とカバー絶縁層4の厚み方向一方面との距離T2である。カバー絶縁層4の厚みT2は、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、75μm以下である。また、配線回路基板1の厚みT0に対するカバー絶縁層4の厚みT2の比(T1/T0)は、例えば、0.15以上、好ましくは、0.3以上であり、また、例えば、0.6以下、好ましくは、0.45以下である。カバー絶縁層4の寸法が上記範囲にあれば、配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図られる。
【0042】
ベース絶縁層2の厚みT1に対するカバー絶縁層4の厚みT2の比(T2/T1)は、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上であり、また、例えば、1.1以下、好ましくは、1.05以下である。ベース絶縁層2の厚みT1に対するカバー絶縁層4の厚みT2の比(T2/T1)が、上記した下限以上、上限以下であれば、高周波信号の高い伝送効率を確保できる。
【0043】
ベース絶縁層2の厚みT1が、ベース絶縁層2に面するシールド層5(後述する他方側シールド層6)から導体層3までの長さであり、また、カバー絶縁層4の厚みT2が、カバー絶縁層4に面するシールド層5(後述する一方側シールド層7)から導体層3までの長さであり、それらの比(T2/T1)が、0.9以上、1.1以下であれば、上記した2つの長さを実質的に同一することができる。換言すれば、カバー絶縁層4の厚みT2は、ベース絶縁層2の厚みT1と略同一にできる。
【0044】
そのため、ベース絶縁層2に面するシールド層5(他方側シールド層6)より厚み方向他方側からの磁界の導体層3への影響を、カバー絶縁層4に面するシールド層5(一方側シールド層7)より厚み方向一方側からの磁界の導体層3への影響で相殺できる。そのため、外部の磁界が導体層3に及ぼす影響を抑制できる。その結果、この配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率をより一層向上できる。
【0045】
カバー絶縁層4の幅W2は、ベース絶縁層2の幅W1と同一である。配線回路基板1の幅W0に対するカバー絶縁層4の幅W2の比(W2/W0)は、例えば、0.8以上、好ましくは、0.9以上であり、また、例えば、1以下、好ましくは、0.99以下である。カバー絶縁層4の幅W2に対する厚みT2の比(T2/W2)は、例えば、2.0以下、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1.0以下であり、また、例えば、0.1以上である。カバー絶縁層4の寸法が上記範囲にあれば、配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図られる。
【0046】
カバー絶縁層4は、多孔質樹脂層10である。カバー絶縁層4の多孔質樹脂層10は、ベース絶縁層2の多孔質樹脂層10と同様の構造(独立気泡構造)、物性(空孔率、平均孔径および誘電率)および材料(樹脂)(好ましくは、ポリイミド樹脂)等を有する。
【0047】
シールド層5は、断面視において、ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4の外周面を被覆する。具体的には、シールド層5は、ベース絶縁層2の厚み方向他方面および幅方向両側面と、カバー絶縁層4の厚み方向一方面および幅方向両側面とに配置されている。ベース絶縁層2の幅方向一側面に配置されるシールド層5と、カバー絶縁層4の幅方向一側面に配置されるシールド層5とは、厚み方向に連続する。ベース絶縁層2の幅方向他側面に配置されるシールド層5と、カバー絶縁層4の幅方向他側面に配置されるシールド層5とは、厚み方向に連続する。そのため、シールド層5は、断面視において、略矩形枠形状を有する。
【0048】
また、シールド層5は、グランド層(接地層)であって、図示しない伝送方向の一端部で、接地されている(0電位になっている)。
【0049】
シールド層5の厚みT4は、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.1μm以上であり、また、例えば、18μm以下、好ましくは、12μm以下である。なお、シールド層5の厚みT4は、断面視において、ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4の周方向にわたって略同一である。配線回路基板1の厚みT0に対するシールド層5の厚みT4の比(T4/T0)は、例えば、0.1以下、好ましくは、0.01以下、より好ましくは、0.001以下であり、また、例えば、0.0001以上である。また、導体層3の厚みT3に対するシールド層5の厚みT4の比(T4/T3)は、例えば、1以下、好ましくは、0.1以下、より好ましくは、0.01以下であり、また、例えば、0.0001以上である。
【0050】
シールド層5の材料は、導体層3の材料と同様である。シールド層5は、中実な緻密層である。そのため、シールド層5の空孔率は、実質的に0%である。
【0051】
次に、この配線回路基板1の製造方法の一例を、図2A図2Fを参照して説明する。なお、以下の各工程のそれぞれは、例えば、国際公開2018/186486号公報に記載に従って実施することができる。
【0052】
図2Aに示すように、まず、この方法では、他方側シールド層6と、その厚み方向一方面に配置されるベース絶縁層2とを準備する。なお、他方側シールド層6は、シールド層5に含まれる層であって、ベース絶縁層2の厚み方向他方面に配置される部分である。ベース絶縁層2が他方側シールド層6に予め積層された積層体を準備できる。また、まず、他方側シールド層6を準備し、次いで、ベース絶縁層2を他方側シールド層6の厚み方向一方面に配置することもできる。
【0053】
図2Bに示すように、次いで、この方法では、導体層3を、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に配置する。例えば、アディティブ法またはサブトラクティブ法などによって、配線13を有する導体層3をベース絶縁層2の厚み方向一方面に形成する。
【0054】
図2Cに示すように、次いで、この方法では、カバー絶縁層4を、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に、導体層3を被覆するように配置する。
【0055】
図2Dに示すように、次いで、この方法では、一方側シールド層7を、カバー絶縁層4の厚み方向一方面に配置する。例えば、めっき、スパッタリングなどによって、一方側シールド層7を、カバー絶縁層4の厚み方向一方面の全面に形成する。なお、一方側シールド層7は、シールド層5に含まれる層であって、カバー絶縁層4の厚み方向一方面に配置される部分である。
【0056】
図2Eに示すように、次いで、この方法では、開口部8を、他方側シールド層6、ベース絶縁層2、カバー絶縁層4および一方側シールド層7に形成する。具体的には、他方側シールド層6、ベース絶縁層2、カバー絶縁層4および一方側シールド層7において、厚み方向に投影したときに、導体層3と重ならない領域において、開口部8を形成する。開口部8は、厚み方向に投影したときに、導体層3を挟むように、2つ設けられている。開口部8は、例えば、他方側シールド層6、ベース絶縁層2、カバー絶縁層4および一方側シールド層7を厚み方向に貫通するスリットである。また、開口部8は、伝送方向に沿って延びる。これによって、開口部8の内側に配線回路基板1(側面にシールド層5がまだ形成されていない配線回路基板1)が区画される。配線回路基板1は、開口部8より外側の外側部分から分離される。
【0057】
開口部8の形成は、例えば、レーザー、ダイシングソー、ドリルなどが用いられる。
【0058】
図2Fに示すように、次いで、この方法では、側部シールド層9を、ベース絶縁層2の幅方向両側面と、カバー絶縁層4の幅方向両側面とに形成する。なお、側部シールド層9は、シールド層5に含まれる層である。側部シールド層9の形成方法は、一方側シールド層7の形成方法と同様である。側部シールド層9の厚み方向他端部は、他方側シールド層6の幅方向両端部に連続する。側部シールド層9の厚み方向一端部は、一方側シールド層7の幅方向両端部に連続する。これによって、他方側シールド層6、一方側シールド層7および側部シールド層9からなるシールド層5が形成される。なお、図2Fでは、シールド層5において、他方側シールド層6および側部シールド層9の界面と、一方側シールド層7および側部シールド層9の界面とを明瞭に示しているが、これらは、不明瞭であったり、界面が観察されなくてもよい。
【0059】
これによって、ベース絶縁層2と、導体層3と、カバー絶縁層4と、シールド層5とを備える配線回路基板1を得る。
【0060】
図1に示すように、配線回路基板1の厚みT0は、例えば、600μm以下、好ましくは、300μm以下、より好ましくは、200μm以下であり、また、例えば、10μm以上である。配線回路基板1の幅W0は、例えば、100μm以上、好ましく、600μm以下である。配線回路基板1の幅W0に対する厚みT0の比(T0/W0)は、例えば、6以下、好ましくは、3以下、より好ましくは、1以下であり、また、例えば、0.1以上である。
【0061】
例えば、ベース絶縁層2の厚みT1が50μm、カバー絶縁層4の厚みT2が50μmであり、ベース絶縁層2の厚み方向一方面における一方側部分11の長さL1および他方側部分12の長さL2がともに100μmであり、また、ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4の多孔質樹脂層10が、空孔率が80%であり、ポリイミド樹脂からなる独立気泡構造を有し、厚みT3が12μm、幅W3が50μmである導体層3に10GHzの高周波信号が流れるときの、厚みT0が112μmの配線回路基板1の伝送損失は、例えば、5dB/100mm未満、好ましくは、4dB/100mm以下、より好ましくは、3dB/100mm以下、さらに好ましくは、2.5dB/100mm以下である。そのため、この配線回路基板1は、高周波信号の伝送特性に優れる。
【0062】
<第1実施形態の作用効果>
この配線回路基板1では、ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4が多孔質樹脂層10であるので、高周波信号の伝送効率を向上できる。
【0063】
また、配線回路基板1は、ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4が層状であるので、薄型化できる。
【0064】
また、ベース絶縁層2の厚みT1と、カバー絶縁層4の厚みT2とが、0.9以上、1.1以下であれば、他方側シールド層6(ベース絶縁層2に面するシールド層5)から導体層3までの距離T1と、一方側シールド層7(カバー絶縁層4に面するシールド層5)から導体層3までの距離T2とを実質的に同一にできる。そのため、他方側シールド層6より厚み方向他方側からの磁界の導体層3への影響を、一方側シールド層7より厚み方向一方側からの磁界との影響の導体層3への影響で相殺できる。そのため、外部の磁界が導体層3に及ぼす影響を抑制できる。その結果、この配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率をより一層向上できる。
【0065】
配線回路基板1は、同軸ケーブルに代替する伝送用ケーブルとして好適に用いられる。
【0066】
<第1実施形態の変形例>
以下の各変形例において、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0067】
ベース絶縁層2が、多孔質樹脂層10でなく、緻密な樹脂層(非多孔質樹脂層)であってもよい。または、カバー絶縁層4が、多孔質樹脂層10でなく、緻密な樹脂層(非多孔質樹脂層)であってもよい。要するに、ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4のうち、いずれかが、多孔質樹脂層10であればよい。
【0068】
好ましくは、第1実施形態のように、ベース絶縁層2およびカバー絶縁層4の両方が、多孔質樹脂層10である。第1実施形態であれば、高周波信号の伝送効率をより一層向上でき、併せて、より一層薄型化できる。
【0069】
図3に示すように、導体層3は、複数の配線13を含むことができる。複数の配線13は、幅方向において、互いに間隔を隔てて配置される。好ましくは、複数の配線13は、幅方向において、等間隔が隔てられる。隣り合う配線13の間隔Sは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。また、隣り合う配線13の間隔Sに対する配線13の幅W3の比(W3/S)は、例えば、0.9以上、好ましくは、0.95以上であり、また、例えば、1.1以下、好ましくは、1.05以下である。
【0070】
<第2実施形態>
第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第2実施形態は、特記する以外、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1実施形態、その変形例および第2実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0071】
本発明の配線回路基板の第2実施形態を、図4を参照して説明する。
【0072】
図4に示すように、カバー絶縁層4は、接着剤層15と、多孔質樹脂層10とを備える。カバー絶縁層4は、接着剤層15と、多孔質樹脂層10とを厚み方向一方側に向かって順に備える。好ましくは、カバー絶縁層4は、接着剤層15と、多孔質樹脂層10とのみを備える。
【0073】
接着剤層15は、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に、導体層3を被覆するように配置される。接着剤層15は、導体層3の厚み方向一方面および幅方向両側面と、ベース絶縁層2の厚み方向一方面において厚み方向に投影したときに導体層3に重ならない部分(具体的には、一方側部分11および他方側部分12)に接触する。接着剤層15の厚み方向一方面は、ベース絶縁層2の厚み方向一方面に平行する。接着剤層15の幅方向両側面のそれぞれは、ベース絶縁層2の幅方向両側面のそれぞれと面一である。接着剤層15は、断面視において、厚み方向他方側に向かって開放される略コ字(U字)形状を有する。
【0074】
接着剤層15の材料としては、特に限定されず、例えば、ホットメルト型接着剤、熱硬化型接着剤などの型の接着剤が挙げられる。そのような接着剤として、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。接着剤層15の材料としては、好ましくは、低誘電率である材料が選択される。厚み方向に投影したときに、導体層3に重なる接着剤層15の厚みT5は、例えば、2μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、15μm以下である。カバー絶縁層4の厚みT2に対する接着剤層15の厚みT5の比(T5/T2)は、例えば、10以下、好ましくは、1以下であり、また、例えば、0.01以上、好ましくは、0.1以上である。多孔質樹脂層10の寸法が上記範囲にあれば、配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図られる。
【0075】
カバー絶縁層4における多孔質樹脂層10は、接着剤層15の厚み方向一方面に配置されている。具体的には、カバー絶縁層4は、接着剤層15の厚み方向一方面の全面に接触する。カバー絶縁層4における多孔質樹脂層10は、幅方向に長い断面視略矩形状を有する。多孔質樹脂層10の幅方向両側面のそれぞれは、接着剤層15の幅方向両側面のそれぞれと面一である。多孔質樹脂層10の厚みT6は、接着剤層15の厚み方向一方面と多孔質樹脂層10の厚み方向一方面との距離T6である。カバー絶縁層4における多孔質樹脂層10の厚みT6は、例えば、10μm以上、好ましくは、25μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、75μm以下である。接着剤層15の厚みT5に対する、カバー絶縁層4における多孔質樹脂層10の厚みT6の比(T6/T5)は、例えば、0.1以上、好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。カバー絶縁層4の厚みT2に対する多孔質樹脂層10の厚みT6の比(T6/T2)は、例えば、1以下、好ましくは、0.9以下であり、また、例えば、0.05以上、好ましくは、0.5以上である。多孔質樹脂層10の寸法が上記範囲にあれば、配線回路基板1は、高周波信号の伝送効率を向上できながら、薄型化が図られる。
【0076】
次に、第2実施形態の配線回路基板1の製造方法の一例を、図2Bおよび図5A図5Dを参照して説明する。なお、以下の各工程のそれぞれは、例えば、国際公開2018/186486号公報に記載に従って実施することができる。
【0077】
図2Bに示すように、まず、この方法では、他方側シールド層6と、ベース絶縁層2と、導体層3とを準備する。その後、図5Aに示すように、接着剤層15を、ベース絶縁層2および導体層3に配置する。例えば、接着剤のワニスをベース絶縁層2および導体層3に対して塗布し、その後、乾燥させる。または、剥離シートの表面に予め形成された接着剤層15を、ベース絶縁層2および導体層3に対して転写する。
【0078】
図5Aに示すように、別途、一方側シールド層7と、その厚み方向他方面に配置される多孔質樹脂層10を準備する。多孔質樹脂層10が一方側シールド層7の厚み方向他方面に予め積層された積層体を準備できる。また、まず、一方側シールド層7を準備し、次いで、多孔質樹脂層10を一方側シールド層7の厚み方向他方面に配置することもできる。
【0079】
図5Aの矢印および図5Bに示すように、次いで、この方法では、多孔質樹脂層10を接着剤層15に接触させる。具体的には、多孔質樹脂層10の厚み方向他方面と、接着剤層15の厚み方向一方面とを接触させる。これにより、カバー絶縁層4の多孔質樹脂層10が、接着剤層15を介して、導体層3およびベース絶縁層2に接着する。同時に、多孔質樹脂層10および接着剤層15を備えるカバー絶縁層4が形成される。
【0080】
図5Cに示すように、次いで、この方法では、開口部8を、他方側シールド層6、ベース絶縁層2、カバー絶縁層4(接着剤層15、多孔質樹脂層10)および一方側シールド層7に形成する。
【0081】
図5Dに示すように、次いで、この方法では、側部シールド層9を形成する。側部シールド層9を、ベース絶縁層2の幅方向両側面と、カバー絶縁層4の幅方向両側面とに形成する。なお、側部シールド層9を、カバー絶縁層4の接着剤層15の幅方向両側面にも形成する。
【0082】
これにより、ベース絶縁層2と、導体層3と、カバー絶縁層4と、シールド層5とを備え、カバー絶縁層4が多孔質樹脂層10および接着剤層15を備える配線回路基板1を得る。
【0083】
<第2実施形態の作用効果>
この配線回路基板1によれば、多孔質樹脂層10をカバー絶縁層4に設けながら、かかる多孔質樹脂層10を、接着剤層15を介してベース絶縁層2および導体層3に簡単に接着できる。そのため、簡便な方法で、配線回路基板1を得ることができる。
【0084】
<第2実施形態の変形例>
以下の各変形例において、上記した第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、第1、第2実施形態およびそれらの変形例を適宜組み合わせることができる。
【0085】
図6に示すように、導体層3は、複数の配線13を含むことができる。
【0086】
図5Aで描画しないが、まず、接着剤層15を、カバー絶縁層4における多孔質樹脂層10の厚み方向他方面に配置し、これをベース絶縁層2および導体層3に対して接触させることもできる。
【符号の説明】
【0087】
1 配線回路基板1
2 ベース絶縁層2
3 導体層3
4 カバー絶縁層4
5 シールド層5
10 多孔質樹脂層10
15 接着剤層15
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース絶縁層と、
前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に配置される導体層と、
前記ベース絶縁層の厚み方向一方面に、前記導体層を被覆するように配置されるカバー絶縁層と、
前記ベース絶縁層の厚み方向他方面および幅方向両側面と、前記カバー絶縁層の厚み方向一方面および幅方向両側面とに配置されるシールド層と
を備え、
前記ベース絶縁層および前記カバー絶縁層の少なくとも一方が、多孔質樹脂層を有し、
前記導体層の厚み方向他方面と前記ベース絶縁層の厚み方向他方面との距離T1が、10μm以上、75μm以下であり、
前記導体層の厚み方向他方面と前記ベース絶縁層の厚み方向他方面との距離T1に対する、前記導体層の厚み方向一方面と前記カバー絶縁層の厚み方向一方面との距離T2の比(T2/T1)が、0.9以上、1.1以下であることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
前記多孔質樹脂層が、独立気泡構造を有することを特徴とする、請求項1記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記多孔質樹脂層の空孔率が、50%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記多孔質樹脂層の材料が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記ベース絶縁層および前記カバー絶縁層が、多孔質樹脂層からなることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記ベース絶縁層が、前記多孔質樹脂層からなり、
前記カバー絶縁層は、
前記導体層の厚み方向一方面および幅方向両側面と、前記ベース絶縁層の厚み方向一方面において厚み方向に投影したときに前記導体層に重ならない部分に接触する接着剤層と、
前記接着剤層の厚み方向一方面に接触する前記多孔質樹脂層とを備えることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の配線回路基板。