(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060056
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】物干装置
(51)【国際特許分類】
D06F 53/00 20060101AFI20240423BHJP
D06F 53/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
D06F53/00 B
D06F53/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038614
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2019184536の分割
【原出願日】2019-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 育也
(57)【要約】
【課題】コンパクトな物干装置を提供する。
【解決手段】 物干装置は、ロープが巻き回されたドラムと、固定される壁面に隣接して設けられ前記ロープが出入りする出入面を有するとともに、前記ドラムを収納する筐体と、前記出入面に設けられた門型のガイド部材であって、内側に設けられ前記ロープが通される孔部と、前記壁面と交差する方向に延びかつ前記孔部に向けて凸になる円弧面を有する一対の柱部と、前記一対の柱部の前記壁面側の端部とは反対側の端部で前記一対の柱部同士の間に渡され、かつ前記孔部に向けて凸になる円弧面を有する梁部と、を有するガイド部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープが巻き回されたドラムと、
固定される壁面に隣接して設けられ前記ロープが出入りする出入面を有するとともに、前記ドラムを収納する筐体と、
前記出入面に設けられた門型のガイド部材であって、内側に設けられ前記ロープが通される孔部と、前記壁面と交差する方向に延びかつ前記孔部に向けて凸になる円弧面を有する一対の柱部と、前記一対の柱部の前記壁面側の端部とは反対側の端部で前記一対の柱部同士の間に渡され、かつ前記孔部に向けて凸になる円弧面を有する梁部と、を有するガイド部材と、
を備える物干装置。
【請求項2】
前記梁部は、前記壁面から遠ざかる方向に凸になったアーチ状をなした請求項1に記載の物干装置。
【請求項3】
前記ガイド部材と前記壁面との間に介在されるスペーサ部であって、前記孔部の周囲の一部を規定して前記孔部と前記壁面との間に隙間を確保するスペーサ部を備える請求項1又は請求項2に記載の物干装置。
【請求項4】
前記壁面とは異なる壁面に固定される受け部を備え、
前記ロープは、前記ドラムとは反対側の端部に設けられ、前記受け部に引っ掛けられるグリップ部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の物干装置。
【請求項5】
ロープが巻き回されたドラムと、
前記ロープの引き出し方向に沿う方向に並んで配置される複数の固定部であって、壁面への固定に用いられる複数の固定部を有する第1フレームと、
前記第1フレームを間に挟んだ両側に設けられ、前記第1フレームに係合可能な第2フレームと、
前記第2フレームとの間に前記ドラムを収納するように第2フレームに固定される第3フレームであって、前記ドラムを回転可能に支持する支軸を有する第3フレームと、
を備える物干装置。
【請求項6】
前記第1フレームは、前記第2フレームに向けて突出した第1係合部を有し、
前記第2フレームは、前記第1フレームを収納可能な収納部と、前記第1係合部と係合可能な第2係合部であって、前記壁面に沿う方向に相対移動する前記第1係合部と係合・離脱可能で、前記壁面と交差する方向に相対移動する前記第1係合部と係合・離脱不能な第2係合部と、を有する請求項5に記載の物干装置。
【請求項7】
前記第1フレームは、前記収納部に収納可能な第1部分と、前記第1部分と交差する方向に前記第1部分から延びる第2部分であって、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した位置で前記第2フレームと当接する第2部分と、を有する請求項6に記載の物干装置。
【請求項8】
前記第2部分は、前記第2フレームと前記第2部分とを固定する第2固定部を有する請求項7に記載の物干装置。
【請求項9】
前記ドラムは、その回転時に抵抗となるブレーキ部を内蔵し、
前記第2フレームは、前記収納部を間に挟む部分同士を連結する連結部であって、前記ブレーキ部を固定して回転する前記ドラムとともに前記ブレーキ部が連れ回りすることを阻止する連結部を有する請求項8に記載の物干装置。
【請求項10】
前記連結部は、前記収納部の底部を規定する請求項9に記載の物干装置。
【請求項11】
前記ドラムは、ラチェット状の歯車部を有し、
前記第2フレームおよび前記第3フレームのいずれか一方には、前記歯車部に係合するストッパー部と、前記歯車部に対する前記ストッパー部の係合を解除する解除部と、が取り付けられる請求項5~10のいずれか1項に記載の物干装置。
【請求項12】
前記ドラムは、前記歯車部の内側に設けられた凹部であって、前記ロープを前記ドラムに巻き付ける方向にトルクを発生するばねを内蔵可能な凹部を有する請求項11に記載の物干装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物等を室内干しすることが可能な物干装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯物を引っかけるロープを引き出し可能な室内物干具が開示されている。この室内物干具は、室内の対向する壁面間にロープを掛け渡し、このロープに対して洗濯物を掛け吊るすことができる。室内物干具は、ロープが巻き回されたドラムと、ドラムを取り囲むカバーケースと、カバーケースの前面に設けられたロープの引き出し口と、ロープの引き出し口とドラムとの間に設けられた滑車と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロープ引き出し口をカバーケースの前面に設けるために、ドラムとロープ引き出し口との間に大型の滑車を設ける必要がある。しかしながら、このように大型の滑車を設けると、この滑車の分だけカバーケースの厚み寸法や高さ寸法が増大してしまう問題がある。
従って、本発明の課題は、コンパクトな物干装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の物干装置は、ロープが巻き回されたドラムと、
固定される壁面に隣接して設けられ前記ロープが出入りする出入面を有するとともに、前記ドラムを収納する筐体と、
前記出入面に設けられた門型のガイド部材であって、内側に設けられ前記ロープが通される孔部と、前記壁面と交差する方向に延びかつ前記孔部に向けて凸になる円弧面を有する一対の柱部と、前記一対の柱部の前記壁面側の端部とは反対側の端部で前記一対の柱部同士の間に渡され、かつ前記孔部に向けて凸になる円弧面を有する梁部と、を有するガイド部材と、
を備える。
【0006】
また、本発明(2)の物干装置は、(1)記載の物干装置であって、前記梁部は、前記壁面から遠ざかる方向に凸になったアーチ状をなしている。
【0007】
また、本発明(3)の物干装置は、(1)又は(2)記載の物干装置であって、前記ガイド部材と前記壁面との間に介在されるスペーサ部であって、前記孔部の周囲の一部を規定して前記孔部と前記壁面との間に隙間を確保するスペーサ部を備える。
【0008】
また、本発明(4)の物干装置は、(1)~(3)記載の物干装置であって、前記壁面とは異なる壁面に固定される受け部を備え、
前記ロープは、前記ドラムとは反対側の端部に設けられ、前記受け部に引っ掛けられるグリップ部を有する。
【0009】
また、本発明(5)の物干装置は、ロープが巻き回されたドラムと、
前記ロープの引き出し方向に沿う方向に並んで配置される複数の固定部であって、壁面
への固定に用いられる複数の固定部を有する第1フレームと、
前記第1フレームを間に挟んだ両側に設けられ、前記第1フレームに係合可能な第2フレームと、
前記第2フレームとの間に前記ドラムを収納するように第2フレームに固定される第3フレームであって、前記ドラムを回転可能に支持する支軸を有する第3フレームと、
を備える。
【0010】
また、本発明(6)の物干装置は、(5)記載の物干装置であって、前記第1フレームは、前記第2フレームに向けて突出した第1係合部を有し、
前記第2フレームは、前記第1フレームを収納可能な収納部と、前記収納部に設けられ前記第1係合部と係合可能な第2係合部であって、前記壁面に沿う方向に相対移動する前記第1係合部と係合・離脱可能で、前記壁面と交差する方向に相対移動する前記第1係合部と係合・離脱不能な第2係合部と、を有する。
【0011】
また、本発明(7)の物干装置は、(6)記載の物干装置であって、前記第1フレームは、前記収納部に収納可能な第1部分と、前記第1部分と交差する方向に前記第1部分から延びる第2部分であって、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した位置で前記第2フレームと当接する第2部分と、を有する。
【0012】
また、本発明(8)の物干装置は、(7)記載の物干装置であって、前記第2部分は、前記第2フレームと前記第2部分とを固定する第2固定部を有する。
【0013】
また、本発明(9)の物干装置は、(8)記載の物干装置であって、前記ドラムは、その回転時に抵抗となるブレーキ部を内蔵し、
前記第2フレームは、前記収納部を間に挟む部分同士を連結する連結部であって、前記ブレーキ部を固定して回転する前記ドラムとともに前記ブレーキ部が連れ回りすることを阻止する連結部を有する。
【0014】
また、本発明(10)の物干装置は、(9)記載の物干装置であって、前記連結部は、前記収納部の底部を規定する。
【0015】
また、本発明(11)の物干装置は、(5)~(10)のいずれか1項に記載の物干装置であって、前記ドラムは、ラチェット状の歯車部を有し、
前記第2フレームおよび前記第3フレームのいずれか一方には、前記歯車部に係合するストッパー部と、前記歯車部に対する前記ストッパー部の係合を解除する解除部と、が取り付けられる。
【0016】
また、本発明(12)の物干装置は、(11)記載の物干装置であって、前記ドラムは、前記歯車部の内側に設けられた凹部であって、前記ロープを前記ドラムに巻き付ける方向にトルクを発生するばねを内蔵可能な凹部を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンパクトな物干装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の物干装置を前方から示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す物干装置を一部分解して後方から示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す物干装置を一部分解して前方から示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す物干装置を分解して後方から示す斜視図である。
【
図5】
図1に示す物干装置を分解して後方から示す斜視図である。
【
図6】
図4に示す物干装置のガイド部材を示す底面図である。
【
図8】
図7に示すガイド部材のF8-F8線の位置に沿った断面図である。
【
図9】
図1に示す物干装置の筐体と受け部との位置関係の一例を示す上面図である。
【
図10】
図1に示す物干装置の筐体と受け部との位置関係の他の例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下
図1~
図10を参照して、本発明の物干装置の実施形態について説明する。本発明の物干装置は、内部からロープを引き出して使用可能であり、住居の室の壁面に固定して利用される。また、物干装置は、前記壁面とは異なる他の壁面に固定された受け部との間に、このロープを張り渡すことができ、当該ロープに洗濯物等を引っ掛けて、洗濯物等を室内に干すことが可能である。
【0020】
図1~
図5に示すように、物干装置11は、壁面12に固定された第1フレーム13と、壁面12と第1フレーム13との間に介在されるパッキン14と、第1フレーム13を間に挟んだ両側に設けられた第2フレーム15と、第2フレーム15との間にドラム16を収納するように第2フレーム15に固定される第3フレーム17と、ロープ18と、第2フレーム15と第3フレーム17との間に位置されロープ18が巻き回されたドラム16と、ドラム16の内側に配置される渦巻ばね21(ぜんまいばね)と、渦巻ばね21が配置される側とは反対側の位置でドラム16に内蔵されるブレーキ部22と、第2フレーム15と第3フレーム17との間に設けられるガイド部材23と、ドラム16の歯車部64に係合可能なストッパー部24と、ストッパー部24のドラム16への係合を解除する解除部25と、ドラム16に隣接して設けられる小滑車26と、これらの各構造物を収納する筐体27と、筐体27とは独立に設けられ壁面12とは異なる第2壁面28に固定される受け部31(
図9参照)と、を備える。
【0021】
筐体27は、箱状に形成されている。筐体27は、物干装置11が固定される室の壁面12と対向する前面32と、前面32および壁面12に隣接する4個の側面33と、を有する。4個の側面33のうち、一つは、ロープ18が出入りする出入面34を構成する。出入面34は、開口部35を有しており、この開口部35に対してガイド部材23の一部(口金部87)と第1フレーム13の第2部分37とが嵌め入れられる。筐体27は、樹脂材料や金属材料によって形成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等によって形成されることがさらに好ましい。
【0022】
ロープ18は、ロープ本体18Aと、ロープ本体18Aのドラム16から遠い位置の端部に設けられたグリップ部18Bと、を有する。ロープ本体18Aの直径は、例えば、0.3~3.0mmであることが好ましい。
【0023】
図2、
図3に示すように、第1フレーム13は、断面「L」字形に形成されており、上下方向に細長く形成されている。第1フレーム13は、上下方向に細長く延びる第1部分36と、第1部分36とは交差する方向に第1部分36から延びる第2部分37と、を有する。第1フレーム13の第1部分36は、ロープ18の引き出し方向に沿う方向(上下方向、鉛直方向)に並んで配置される複数の固定部38を有する。複数の固定部38は、壁面12への固定に用いられる。固定部38のそれぞれは、第1部分36に形成された貫通孔38Aと、貫通孔38Aに通される図示しないねじ(ボルト)と、を有する。貫通孔38Aの二つは、円形であり、貫通孔38Aの他の一つは、横方向に細長く延びた長穴状に形成される。このため、長穴状の貫通孔38Aに対応する位置で、ねじを壁面12に締結する位置が多少ずれた場合でも、ユーザは、第1フレーム13の傾きを微調整できる。
【0024】
第2部分は、第1係合部45と第2係合部46とが係合した位置で第2フレーム15と当接できる。第2部分37は、方形に切欠かれた切欠部41と、切欠部41に隣接して設けられガイド部材23と壁面12との間に介在されるスペーサ部42と、切欠部41の周囲に設けられる凸部43と、凸部43に設けられ雌ねじが形成されたねじ孔44と、を有する。この切欠部41の内側に後述するガイド部材23の口金部87が嵌め入れられる。スペーサ部42は、孔部94の周囲の一部を規定して孔部94と壁面12との間に隙間を確保する。
【0025】
凸部43は、ガイド部材23の口金部87の周囲に設けられた凹部88に対して嵌め入れられ、第1フレーム13に対して、第2フレーム15、第3フレーム17、およびガイド部材23等の構造物の位置を決めることができる。第2部分37は、第2フレーム15と第2部分37とを固定する第2固定部47を有する。第2固定部47は、ねじ孔44と、ガイド部材23の雌ねじ穴91と、ねじ孔44および雌ねじ穴91に通される図示しないねじと、によって構成される。
【0026】
第1部分36は、側面に第2フレーム15と係合するために、第2フレーム15に向けて突出した複数の第1係合部45を有する。第1係合部45のそれぞれは、第2フレーム15に向けて外側に突出する爪状に形成される。第1係合部45のそれぞれは、例えば、台形の断面形状を有し、この台形の斜面に相当する位置に第2係合部46と当接する第1当接面を有する。第1当接面は、外側に行くにつれて壁面12から遠ざかるように、壁面12に対して斜めに形成される。
【0027】
第2フレーム15は、第1フレーム13に係合可能に構成される。
図2から
図5に示すように、第2フレーム15は、略平板状をなしている。第2フレーム15は、平板状の第2フレーム本体51と、第2フレーム本体51の中央部に壁面12側から窪むように設けられた収納部52と、第2フレーム本体51の角部に設けられた3個の支柱53と、収納部52の底部を規定するように第2フレーム本体51に設けられた連結部54と、ストッパー部24を回転可能に支持する第1回転軸55と、解除部25を回転可能に支持する第2回転軸56と、を有する。
【0028】
収納部52は、第1フレーム13の第1部分36の形状に倣って、略四角形に窪むように形成される。収納部52は、第1フレーム13の第1部分36を収納可能である。収納部52の底部を規定する部分の一部は、貫通穴で構成されている。
【0029】
連結部54は、第2フレーム15の収納部52を間に挟む部分同士を連結するように設けられる。連結部54は、収納部52の底部の一部を規定している。連結部54は、ブレーキ部22の支持片75を回転しないように保持可能な窪み部を有する。窪み部は、支持片75に対して相補的な形状に窪んでいる。連結部54は、支持片75を介して、ブレーキ部22を固定して回転するドラム16とともにブレーキ部22が連れ回りすることを阻止する。
【0030】
収納部52は、その内周面に、第1フレーム13の複数の第1係合部45と係合する複数の第2係合部46を有する。収納部52に第1部分36がきっちりと嵌め入れられた装着位置において、複数の第2係合部46は、複数の第1係合部45に当接するように設けられている。したがって、複数の第2係合部46は、装着位置において複数の第1係合部45と係合する。
【0031】
複数の第2係合部46のそれぞれは、第1フレーム13に向けて内側に突出する爪状に形成される。第2係合部46は、第1係合部45の形状とは相補的な形状を有する。すな
わち、第2係合部46は、例えば、台形の断面形状を有し、この台形の斜面に相当する位置に第1係合部45と当接する第2当接面を有する。第2当接面は、外側に行くにつれて壁面12から遠ざかるように、壁面12に対して斜めに形成される。第2係合部46は、第1係合部45よりも壁面12に近い位置に設けられている。このため、第1フレーム13が装着位置にあるときに、壁面12と交差する方向に関して、第2フレーム15が第1フレーム13から脱落してしまうことが防止される。第2係合部46は、壁面12に沿う方向に相対移動する第1係合部45と係合・離脱可能で、壁面12と交差する方向に相対移動する第1係合部45と係合・離脱不能である。
【0032】
図2から
図5に示すように、第3フレーム17は、第1フレーム13および第2フレーム15と対向するように設けられている。第3フレーム17は、第2フレーム15との間にドラム16を収納するように第2フレーム15に固定される。第3フレーム17は、平板状の第3フレーム本体61と、第3フレーム本体61の中央部に設けられた円柱形の支軸62と、を有する。支軸62は、その直径部分を分断するようにスリット63を有する。スリット63および支軸62の周囲に対して、渦巻ばね21の内周部が巻き掛けられて固定される。また、支軸62に対してドラム16が回転可能に支持される。ドラム16の後述する第1凹部71に対して渦巻ばね21が収納される。第3フレーム17は、第2フレーム15の支柱53に対してねじ止め等で固定される。第3フレーム17が第2フレーム15に固定された状態で、第3フレーム17と第2フレーム15との間にドラム16が保持される。
【0033】
第1フレーム13、第2フレーム15、および第3フレーム17は、いずれも金属材料によって形成されることが好ましく、例えば、亜鉛合金ダイキャストやアルミ合金ダイキャストによって形成されることがさらに好ましい。
【0034】
図4、
図5等に示すように、ドラム16は、例えば、樹脂材料によって円筒形に形成される。ドラム16は、ラチェット状の歯車が外周部に形成された歯車部64と、歯車部64に隣接して設けられた円柱形の軸部65と、軸部65よりも小さい直径を有するロープ収納部66と、ロープ収納部66から外側に広がったフランジ部67と、歯車部64および軸部65の内側に設けられた第1凹部71と、第1凹部71を覆う蓋体72と、ロープ収納部66の内部に設けられた第2凹部73と、を有する。ロープ収納部66は、ロープ18の端部が固定される図示しないフックを有する。ロープ収納部66の周囲に、ロープ18が一方向(時計回り方向又は反時計回り方向)に巻き回される。フランジ部67および軸部65は、ロープ18がロープ収納部66から脱落しないように、支軸62の延びる方向に関して両側からロープ18を挟んで保持できる。
【0035】
第1凹部71の内側に渦巻ばね21が収納され、蓋体72によって渦巻ばね21が密閉される。渦巻ばね21の内周部は、支軸62に固定される。渦巻ばね21の外周部は、ドラム16に固定されている。渦巻ばね21は、第1凹部71に収納された状態で、ドラム16に対して一方向に向かうトルクを付与できる。すなわち、渦巻ばね21は、ロープ18をドラム16に巻き付ける方向にトルクを発生できる。
【0036】
第2凹部73の内側にブレーキ部22が内蔵される。ブレーキ部22は、一般的なオイルダンパーで構成される。ブレーキ部22は、ディスク状のブレーキ部本体74と、ブレーキ部本体74を固定的に支持する突起を含む支持片75と、を有する。ブレーキ部22では、例えば、第2凹部73の内周面に形成された歯車に対してブレーキ部本体74の歯車が係合する。このとき、ブレーキ部本体74は、支持片75(突起)によって、ドラム16に対して連れ回りしないように支持される。このため、ブレーキ部22は、ドラム16が回転する際に所定の抵抗力を発生できる。
【0037】
図2から
図5に示すように、ストッパー部24は、爪状の先端部76Aと先端部76Aとは反対側の小片76Bとを有するストッパー部本体76と、ストッパー部本体76の先端部76Aをドラム16の歯車部64に当接する方向に付勢するねじりコイルバネ77と、を有する。ストッパー部本体76は、第1回転軸55に対して回転可能に構成されている。ねじりコイルバネ77は、第1回転軸55の周囲を取り囲むように第1回転軸55に装着される。
【0038】
解除部25は、円筒形の解除部本体81と、解除部本体81と一体的に設けられたレバー82と、解除部本体81の外周面に回動可能に設けられたピボット部83と、ピボット部83に設けられたばね84と、を有する。レバー82は、筐体27に設けられた開口85から外部に露出されており、ユーザによって指が掛けられる。ピボット部83は、ばね84を介してストッパー部の小片76Bに当接できる。
【0039】
ガイド部材23は、出入面34に設けられている。
図6、
図7に示すように、ガイド部材23は、ガイド部材本体86と、ガイド部材本体86に設けられた門型の口金部87と、ガイド部材本体86で口金部87の近傍に設けられた凹部88と、凹部88に設けられ雌ねじが形成された雌ねじ穴91と、ガイド部材本体86から横方向に向けて腕状に延びた腕部92と、を有する。口金部87は、ガイド部材本体86の周囲の部分よりも突出して形成されており、第1フレーム13の第2部分37の切欠部41の内側に嵌り込むことができる。凹部88は、ガイド部材本体86の周囲の部分よりも窪んで形成される。ガイド部材23は、金属材料によって一体的に形成されることが好ましく、例えば、亜鉛合金ダイキャストやアルミ合金ダイキャストによって形成されることがさらに好ましい。なお、本実施形態では、ガイド部材23は、腕部92と一体に形成されているが、この形態に限られるものではない。ガイド部材23は、腕部92と別体に設けられていてもよい。
【0040】
腕部92は、第3フレーム17の支軸62の方向に沿って延びた枢軸93を有する。枢軸93は、小滑車26を回転可能に支持できる。
【0041】
ガイド部材23の口金部87は、門型に形成されている。口金部87は、内側に設けられロープ18が通される孔部94と、壁面12と交差する方向に延びる一対の柱部95と、一対の柱部95の壁面12側の端部とは反対側の端部で一対の柱部95同士の間に渡される梁部96と、を有する。孔部94の外縁は、一対の柱部95と、梁部96と、第1フレーム13の第2部分37のスペーサ部42(切欠部41)と、によって規定されている。
【0042】
図6、
図7に示すように、一対の柱部95のそれぞれは、孔部94に向けて凸になる円弧面(円弧断面)を有する。この円弧面(円弧断面)は、どのような円弧であってもよい。柱部95の円弧面の断面は、例えば、半円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、孔部94に向けて凸になる放物線形であってもよい。柱部95の円弧面の断面を半円形にした場合に、柱部95の曲率半径は、例えば、3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがさらに好ましい。
【0043】
柱部95の断面は、柱部95に引っ掛かったロープ18の1か所に負荷が集中しないように、極端に突出した角がない形状であればよく、例えば、6角形以上の多角形(6角形、8角形、10角形、12角形等)断面であってもよい。
【0044】
図6に示すように、梁部96は、壁面12から遠ざかる方向に凸になったアーチ状をなしている。
図8に示すように、梁部96は、孔部94に向けて凸になる円弧面(円弧断面)を有する。この円弧面(円弧断面)は、どのような円弧であってもよい。梁部96の円弧面の断面は、例えば、半円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、孔部94に
向けて凸になる放物線形であってもよい。梁部96の円弧面の断面を半円形にした場合に、梁部96の曲率半径は、例えば、3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがさらに好ましい。
【0045】
梁部96の断面は、梁部96に引っ掛かったロープ18の1か所に負荷が集中しないように、極端に突出した角がない形状であればよく、例えば、6角形以上の多角形(6角形、8角形、10角形、12角形等)断面であってもよい。
【0046】
図2、
図4に示すように、小滑車26は、ロープ18が巻きかけられるテーパ面97を有する。小滑車26は、渦巻ばね21の作用によってドラム16に巻き取られるロープ18を、テーパ面97を介してドラム16のロープ収納部66の所定の位置にガイドする。小滑車26は、ロープ18に対して所定の回転抵抗を付与して、ロープ18が勢いよく戻ることを防止できる。テーパ面97のうち、最も半径が小さくなる部分の曲率半径は、3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがさらに好ましい。
【0047】
図2から
図5に示すように、パッキン14は、弾性体によってシート状に形成されている。パッキン14は、ゴム材料やその他の合成樹脂材料によって形成されることが好ましい。パッキン14は、第1フレーム13の第2貫通孔101(固定部38を構成しない貫通孔)に嵌め入れられる複数の突起部102と、第1フレーム13の固定部38のねじが通される複数の穴部103と、を有する。穴部103の一つは、第1フレーム13の貫通孔38Aに対応して、横方向に細長い長穴状に形成される。
【0048】
図9、
図10に示すように、受け部31は、一対のフック部104を有する。一対のフック部104は、ロープ18のグリップ部18Bを引っかけて保持することができる。これによって、物干装置11が固定された壁面12と、受け部31が固定された壁面(第2壁面12)と、の間でロープ18を張り渡すことができる。
【0049】
図2、
図3を参照して、本実施形態の物干装置11を壁面12に設置する設置方法について説明する。
図2、
図3では、説明のために、筐体27、第1フレーム13、第2フレーム15、および第3フレーム17等を分解して示しているが、実際には、筐体27、第2フレーム15、および第3フレーム17は、予め一体になった構造物として組み立てられている。
【0050】
ユーザは、物干装置11を設置したい壁面12に対して、固定部38(貫通孔38A、ねじ)によってパッキン14とともに第1フレーム13を固定する。このとき、パッキン14は、壁面12と第1フレーム13との間に挟まれるように設置される。ユーザは、このように壁面12に固定された第1フレーム13に対して、筐体27、第2フレーム15、および第3フレーム17が一体になった構造物を取り付ける。より詳細には、第1フレーム13の第1部分36を第2フレーム15の収納部52に収納するように、第1フレーム13に対して当該一体になった構造物を上方から差し込むようにする。これによって、第1フレーム13に対して第2フレーム15がスライド移動して、第1フレーム13の第2部分37に対して、第2フレーム15の下面およびガイド部材23が当接する。また、ガイド部材23の凹部88に対して第1フレーム13の凸部43が差し込まれる。これによって、第1フレーム13に対して当該一体になった構造物の位置が決められる。
【0051】
その際、第1フレーム13の第1係合部45(第1当接面)に対して第2フレーム15の第2係合部46(第2当接面)が係合する。この状態において、一体になった構造物は、第1フレーム13に対して、壁面12に沿った方向である上方向に移動させることはできるが、壁面12と交差する方向には移動させることができない。ユーザは、この状態で、第1フレーム13の第2部分37のねじ孔44およびガイド部材本体86の雌ねじ穴9
1に対してねじを締結して、当該一体になった構造物を第1フレーム13に固定する。これによって、壁面12に対する物干装置11の設置が簡単かつ短時間で完了する。ユーザは、壁面12とは異なる第2壁面12に、ロープ18のグリップ部18Bが引っかけられる受け部31を固定することができる。
【0052】
続いて、
図9、
図10等を参照して、本実施形態の物干装置11の作用について説明する。
【0053】
図9の使用態様では、受け部31は、室の壁面12とは異なる第2壁面12であって、第1壁面12と対向する第2壁面12に固定されている。ユーザは、物干装置11からロープ18を引き出して、受け部31の一対のフック部104に対してロープ18のグリップ部18Bを引っかけることができる。このようにして、ロープ18が室内に張り渡される。この状態で、ユーザは、ロープ18に対して洗濯物等を干すことができる。
【0054】
このとき、第1フレーム13の複数の固定部38は、ロープ18の引き出し方向に沿った上下方向に並んでいる。このために、ユーザが壁面12から離れる方向に向けてロープ18をドラム16から勢いよく引き出した場合でも、各固定部38において働く力のモーメントを最小限にすることができる。これによって、固定部38にかかる負荷を低減できる。
【0055】
口金部87は、門型に形成されており、円弧面を有する一対の柱部95と、円弧面を有する梁部96と、を有しているために、ロープ18をドラム16から引き出す際に、ロープ18を正面方向(
図8で2個の矢印で示される方向およびそれらの間の方向)や横方向(
図7で円弧面に沿う2個の矢印で示される方向およびそれらの間の方向)といったどの方向に引き出した場合でも、口金部87付近において、ロープ18の一か所に大きなテンションがかかってしまうことがない。このため、ロープ18が切断されてしまう不具合を生じることがない。なお、壁面12に近づく方向にロープ18を引くことはないため、壁面12側の孔部94の縁(切欠部41)には、円弧面が存在しない。
【0056】
本実施形態では、ドラム16を支持する支軸62を第3フレーム17に設け、壁面12に固定するための固定部38を、第3フレーム17と対向する第1フレーム13に設けている。そして、第3フレーム17と一体化された第2フレーム15が第1フレーム13に対してスライド式に固定される。このため、支軸62と固定部38とが同一のフレーム上に設置されず、支軸62に支持されるドラム16と固定部38とが干渉することない。このため、ドラム16と重なる位置に固定部38を設置することができ、ドラム16の外側に固定部38が配置された従来技術に比して、筐体27をコンパクトにすることができる。
【0057】
本実施形態では、小滑車26が設けられているものの、小滑車26は、ドラム16と平行に設けられ、且つドラム16の厚さの範囲内に収められている。このため、小滑車26を設けた場合でも、筐体27の厚さ寸法が増大してしまうことがない。
【0058】
本実施形態の物干装置11において、ロープ18を筐体27内に収納する場合には、ユーザがレバー82を指で回動させる。これによって、解除部25が回動して、ピボット部83およびばね84がストッパー部24の小片76Bに当接する。これによって、ストッパー部24が回動してドラム16の歯車部64に対するストッパー部24の先端部76Aの係合が解除される。これによって、渦巻ばね21に駆動によって、ドラム16が回転し、ロープ収納部66にロープ18が巻き取られる。このとき、ブレーキ部22のブレーキ力と、小滑車26の回転抵抗によって、ロープ18が巻き取られるスピードが減じられる。これによって、ロープ18を回収する際に、ロープ18の先端に位置するグリップ部1
8Bが暴れてしまうことが防止される。
【0059】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。物干装置11は、ロープ18が巻き回されたドラム16と、固定される壁面12に隣接して設けられロープ18が出入りする出入面34を有するとともに、ドラム16を収納する筐体27と、出入面34に設けられた門型のガイド部材23であって、内側に設けられロープ18が通される孔部94と、壁面12と交差する方向に延びかつ孔部94に向けて凸になる円弧面を有する一対の柱部95と、一対の柱部95の壁面12側の端部とは反対側の端部で一対の柱部95同士の間に渡され、かつ孔部94に向けて凸になる円弧面を有する梁部96と、を有するガイド部材23と、を備える。
【0060】
この構成によれば、ガイド部材23の柱部95および梁部96のいずれにも円弧面が設けられるため、ロープ18を筐体27の外部に引き出す際に、ガイド部材23付近でロープ18の1か所に大きなテンションがかかってしまうことを防止できる。これによって、ガイド部材23付近においてロープ18が切断される不具合を生じることを防止できる。また、ロープ18が壁面12に隣接する面である出入面34で出入りされるために、筐体27の前面からロープ18が引き出される従来例に比して、大径の滑車の構成を省略することができる。これによって、筐体27の厚み寸法が増大することを防止して、コンパクトな物干装置11を実現できる。
【0061】
この場合、梁部96は、壁面12から遠ざかる方向に凸になったアーチ状をなしている。この構成によれば、柱部95と梁部96との境界にロープ18が引っ掛かることがなく、これによって、この位置でロープ18の1か所に大きなテンションがかかってしまうことを防止できる。このため、ガイド部材23付近の位置でロープ18が切断されてしまう不具合を生じることをより確実に防止できる。
【0062】
この場合、物干装置11は、ガイド部材23と壁面12との間に介在されるスペーサ部42であって、孔部94の周囲の一部を規定して孔部94と壁面12との間に隙間を確保するスペーサ部42を備える。この構成によれば、ロープ18が引き出されるガイド部材23およびその内側の孔部94を壁面12からある程度離間させて配置することができる。これによって、ユーザが掴みやすい位置にロープ18を配置することができ、ユーザフレンドリーな物干装置11を実現できる。
【0063】
この場合、物干装置11は、壁面12とは異なる壁面に固定される受け部31を備え、ロープ18は、ドラム16とは反対側の端部に設けられ、受け部31に引っ掛けられるグリップ部18Bを有する。この構成によれば、グリップ部18Bを介して受け部31に対して簡単にロープ18を引っかけることができるため、ユーザフレンドリーな物干装置11を実現できる。
【0064】
物干装置11は、ロープ18が巻き回されたドラム16と、ロープ18の引き出し方向に沿う方向に並んで配置される複数の固定部38であって、壁面12への固定に用いられる複数の固定部38を有する第1フレーム13と、第1フレーム13を間に挟んだ両側に設けられ、第1フレーム13に係合可能な第2フレーム15と、第2フレーム15との間にドラム16を収納するように第2フレーム15に固定される第3フレーム17であって、ドラム16を回転可能に支持する支軸62を有する第3フレーム17と、を備える。
【0065】
この構成によれば、複数の固定部38を有する第1フレーム13と、支軸62を有する第3フレーム17とが別体に構成され、第1フレーム13に対して第2フレーム15が係合可能であるために、ドラム16の設置高さの範囲内に複数の固定部38を配置できる。これによって、筐体27の高さ寸法を低減して筐体27をコンパクトにすることができる
。また、複数に分割されたフレームによって複数の固定部38と支軸62とが干渉しないように配置されるために、筐体27の厚み寸法を低減して筐体27のコンパクト化を実現できる。
【0066】
この場合、第1フレーム13は、第2フレーム15に向けて突出した第1係合部45を有し、第2フレーム15は、第1フレーム13を収納可能な収納部52と、第1係合部45と係合可能な第2係合部46であって、壁面12に沿う方向に相対移動する第1係合部45と係合・離脱可能で、壁面12と交差する方向に相対移動する第1係合部45と係合・離脱不能な第2係合部46と、を有する。
【0067】
この構成によれば、第1フレーム13に対する第2フレーム15の着脱方向を、壁面12に沿う方向のみにすることができる。これによって、ユーザがロープ18を壁面12から遠ざかる方向に引っ張った場合でも、第1フレーム13から第2フレーム15が脱落してしまうような不具合を生じることを防止できる。
【0068】
この場合、第1フレーム13は、収納部52に収納可能な第1部分36と、第1部分36と交差する方向に第1部分36から延びる第2部分37であって、第1係合部45と第2係合部46とが係合した位置で第2フレーム15と当接する第2部分37と、を有する。この構成によれば、第1フレーム13に対して第2フレーム15を装着する際に、第2部分37によって第1フレーム13を位置決めすることができる。これによって、後の工程で第1フレーム13と第2フレーム15とをねじ止め固定する場合等に、ねじを締結し易くでき、ユーザフレンドリーな物干装置11を実現できる。
【0069】
この場合、第2部分37は、第2フレーム15と第2部分37とを固定する第2固定部47を有する。この構成によれば、第2固定部47によって、第2フレーム15が壁面12に沿う方向に抜けてしまうことを防止できる。
【0070】
この場合、ドラム16は、その回転時に抵抗となるブレーキ部22を内蔵し、第2フレーム15は、収納部52を間に挟む部分同士を連結する連結部54であって、ブレーキ部22を固定して回転するドラム16とともにブレーキ部22が連れ回りすることを阻止する連結部54を有する。
【0071】
この構成によれば、ブレーキ部22によって、ロープ18が筐体27の内部に勢いよく戻ることを防止することができ、ドラム16が巻き戻る際に、ロープ18の先端が暴れてしまうことを防止することができる。
【0072】
この場合、連結部54は、収納部52の底部を規定する。この構成によれば、連結部54に、ブレーキ部22を固定する機能と、収納部52に収納された第1フレーム13を収納部52内に保持する機能と、の両方の機能を持たせることができる。これによって、物干装置11の部品点数を削減して、物干装置11をコンパクト化することができる。
【0073】
この場合、ドラム16は、ラチェット状の歯車部64を有し、第2フレーム15および第3フレーム17のいずれか一方には、歯車部64に係合するストッパー部24と、歯車部64に対するストッパー部24の係合を解除する解除部25と、が取り付けられる。この構成によれば、ロープ18の巻き戻り防止機能をラチェット式のストッパーによって実現できる。
【0074】
この場合、ドラム16は、歯車部64の内側に設けられた凹部であって、ロープ18をドラム16に巻き付ける方向にトルクを発生するばねを内蔵可能な凹部を有する。この構成によれば、ロープ18を回収するためのトルクを発生するばねを歯車部64の内側の凹
部に配置することができ、物干装置11内のスペースを有効活用して物干装置11をコンパクト化できる。
【0075】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。すなわち、本実施形態では、第2フレーム15に第1回転軸55および第2回転軸56を設け、第2フレーム15にストッパー部24および解除部25を設けているが、ストッパー部24および解除部25の配置はこれに限られるものではない。第3フレーム17に第1回転軸55および第2回転軸56を設け、第3フレーム17にストッパー部24および解除部25を設けても当然によい。
【符号の説明】
【0076】
11 物干装置
12 壁面
13 第1フレーム
14 パッキン
15 第2フレーム
16 ドラム
17 第3フレーム
18 ロープ
18A ロープ本体
18B グリップ部
21 渦巻ばね
22 ブレーキ部
23 ガイド部材
24 ストッパー部
25 解除部
26 小滑車
27 筐体
28 第2壁面
31 受け部
32 前面
33 側面
34 出入面
35 開口部
36 第1部分
37 第2部分
38 固定部
38A 貫通孔
41 切欠部
42 スペーサ部
43 凸部
44 ねじ孔
45 第1係合部
46 第2係合部
47 第2固定部
51 第2フレーム本体
52 収納部
53 支柱
54 連結部
55 第1回転軸
56 第2回転軸
61 第3フレーム本体
62 支軸
63 スリット
64 歯車部
65 軸部
66 ロープ収納部
67 フランジ部
71 第1凹部
72 蓋体
73 第2凹部
74 ブレーキ部本体
75 支持片
76 ストッパー部本体
76A 先端部
76B 小片
77 ねじりコイルバネ
81 解除部本体
82 レバー
83 ピボット部
84 ばね
85 開口
86 ガイド部材本体
87 口金部
88 凹部
91 雌ねじ穴
92 腕部
93 枢軸
94 孔部
95 柱部
96 梁部
97 テーパ面
101 第2貫通孔
102 突起部
103 穴部
104 フック部
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープが巻き回されたドラムと、
前記ロープの引き出し方向に沿う方向に並んで配置される複数の固定部であって、壁面への固定に用いられる複数の固定部を有する第1フレームと、
前記第1フレームを収納可能な収納部を間に挟んだ両側に設けられ、前記第1フレームに係合可能な第2フレームと、
前記第2フレームとの間に前記ドラムを収納するように第2フレームに固定される第3フレームであって、前記ドラムを回転可能に支持する支軸を有する第3フレームと、
前記ドラムが回転する際に所定の抵抗力を付与するブレーキ部と、
前記第2フレームの前記収納部を間に挟む部分同士を連結する連結部であって、前記ブレーキ部を固定して前記ドラムとともに前記ブレーキ部が連れ回りすることを阻止する連結部と、
を備える物干装置。
【請求項2】
前記第1フレームは、前記第2フレームに向けて突出した第1係合部を有し、
前記第2フレームは、前記第1フレームを収納可能な収納部と、前記第1係合部と係合可能な第2係合部であって、前記壁面に沿う方向に相対移動する前記第1係合部と係合・離脱可能で、前記壁面と交差する方向に相対移動する前記第1係合部と係合・離脱不能な第2係合部と、を有する請求項1に記載の物干装置。
【請求項3】
前記第1フレームは、前記収納部に収納可能な第1部分と、前記第1部分と交差する方向に前記第1部分から延びる第2部分であって、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した位置で前記第2フレームと当接する第2部分と、を有する請求項2に記載の物干装置。
【請求項4】
前記第2部分は、前記第2フレームと前記第2部分とを固定する第2固定部を有する請求項3に記載の物干装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記収納部の底部を規定する請求項4に記載の物干装置。
【請求項6】
前記ドラムは、ラチェット状の歯車部を有し、
前記第2フレームおよび前記第3フレームのいずれか一方には、前記歯車部に係合するストッパー部と、前記歯車部に対する前記ストッパー部の係合を解除する解除部と、が取り付けられる請求項1~5のいずれか1項に記載の物干装置。
【請求項7】
前記ドラムは、前記歯車部の内側に設けられた凹部であって、前記ロープを前記ドラムに巻き付ける方向にトルクを発生するばねを内蔵可能な凹部を有する請求項6に記載の物干装置。