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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060058
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/046 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G06F3/046 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038714
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2022579169の分割
【原出願日】2021-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】小谷 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】野村 優
(72)【発明者】
【氏名】小野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 誠司
(72)【発明者】
【氏名】西野 圭
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
(57)【要約】
【課題】光源基板及びセンサ基板がそれぞれ有する配線同士の電磁干渉に伴う電磁ノイズの発生を抑制可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置(10)は、複数のLED82が二次元的に配設される光源基板50と、X方向及び/又はY方向に延びて配設される複数のループコイル(70,72)が形成され、複数のループコイル(70,72)と電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、電子ペンにより指示される二次元位置を検出するセンサ基板(52)と、を備える。光源基板50とセンサ基板(52)とが平行関係を保ちながら対向配置され、光源基板50上において、LED82のそれぞれに接続されるライン配線86が、X方向及びY方向の両方に対して傾斜するD方向に沿って引き回される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が二次元的に配設される光源基板と、
第1方向及び/又は該第1方向と交差する第2方向に延びて配設される複数のループコイルが形成され、前記複数のループコイルと電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、前記電子ペンにより指示される二次元位置を検出するセンサ基板と、
を備え、
前記光源基板と前記センサ基板とが平行関係を保ちながら対向配置され、
前記光源基板上において、前記発光素子のそれぞれに接続されるライン配線が、前記第1方向及び前記第2方向の両方に対して傾斜する第3方向に沿って引き回される、表示装置。
【請求項2】
前記複数のループコイルは、前記第1方向に並んで配設されて前記第2方向に延びる第1ループコイル群と、前記第2方向に並んで配設されて前記第1方向に延びる第2ループコイル群と、を含み、
前記第1ループコイル群及び前記第2ループコイル群は、互いに交差して二次元格子をなすように配設される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数のループコイルは、ブロック状に膨出する先端部を有するとともに、前記先端部が二次元格子をなすように配設される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光源基板の直上に配置されて表示面を有する液晶パネルと、
前記表示面を介して固定することで前記液晶パネルを上方から支持する透明保護板と、
前記透明保護板を支持する支持フレームを有するとともに、前記光源基板及び前記センサ基板を収容するケーシングと、
をさらに備え、
前記支持フレーム及び前記液晶パネルは、平面視にて重複しないように設けられる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源基板及びセンサ基板を含んで構成される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示装置の技術分野において、発光素子アレイを表示パネルの背面側に配置して面光源を構成するダイレクト方式のバックライトが知られている(例えば、特許文献1~3を参照)。以下、発光素子アレイが実装される電子回路基板のことを「光源基板」という場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-258770号公報
【特許文献2】特開2016-066598号公報
【特許文献3】特開2019-016631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した表示装置に対して筆記機能を付与すべく、表示パネルの背面側に位置検出センサが組み込まれる場合がある。この種のセンサの方式として、例えば、一又は二次元的に配列された複数のループコイルを通じて、位置指示器から送出される交番磁界を検出する電磁誘導方式(いわゆる、EMR方式)が挙げられる。以下、位置検出センサが実装された電子回路基板のことを「センサ基板」という場合がある。
【0005】
上記した光源基板及びセンサ基板はいずれも、自身が有する機能(つまり、発光機能又は検出機能)を発揮するため、表示パネルにより近い位置であって表示パネルと平行になるように配置されることが望ましい。そのため、両方の基板が互いに平行かつ対向して配置されるような装置構成が採用され得る。ところが、このような配置関係によれば、光源基板に実装されるライン配線と、センサ基板に実装されるコイル配線との間の電磁干渉が生じやすくなるという問題が生じる。その結果、コイル配線に電磁ノイズが混入することで、検出精度の低下やセンサ基板の誤作動につながるおそれがある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源基板及びセンサ基板がそれぞれ有する配線同士の電磁干渉に伴う電磁ノイズの発生を抑制可能なセンサ基板及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明におけるセンサ基板は、複数の発光素子が二次元的に配設される発光素子アレイと、電磁誘導方式の電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、前記電子ペンによる指示位置を検出するための複数のループコイルと、を備え、前記発光素子アレイに接続されるライン配線は、前記複数のループコイルがなすコイル配線と部分的に共通化される。
【0008】
第2の本発明における表示装置は、複数の発光素子が二次元的に配設される光源基板と、第1方向及び/又は該第1方向と交差する第2方向に延びて配設される複数のループコイルが形成され、前記複数のループコイルと電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、前記電子ペンにより指示される二次元位置を検出するセンサ基板と、を備え、前記光源基板と前記センサ基板とが平行関係を保ちながら対向配置され、前記光源基板上において、前記発光素子のそれぞれに接続されるライン配線が、前記第1方向及び前記第2方向の両方に対して傾斜する第3方向に沿って引き回される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源基板及びセンサ基板がそれぞれ有する配線同士の電磁干渉に伴う電磁ノイズの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の各実施形態に共通する表示装置の断面図である。
図2】第1実施形態における表示装置の要部を示す分解斜視図である。
図3図2のセンサ基板が有する回路構成の一例を示す図である。
図4図2の光源基板が有する配線構造の一例を示す図である。
図5図4の配線構造による作用効果を示す図である。
図6】第1実施形態の変形例におけるセンサ基板の回路構成図である。
図7】第2実施形態における表示装置の要部を示す分解斜視図である。
図8図7の光源付きセンサ基板が有する配線構成の一部を示す第1図である。
図9図7の光源付きセンサ基板が有する配線構成の一部を示す第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0012】
[全体構成]
図1は、本発明の各実施形態に共通する表示装置10の断面図である。ここでは、バックライトモジュールを搭載しない、いわゆる「オープンセル」と呼ばれる半製品を用いて、表示装置10が組み立てられる場合を想定している。この表示装置10は、具体的には、ケーシング12と、基板群14と、液晶パネル16と、透明保護板18と、を含んで構成される。ケーシング12は、低背な直方体形状の背面カバー20と、断面形状が略H字である支持フレーム30と、を組み合わせて構成される。
【0013】
背面カバー20は、上方に開口するとともに、底部22と面接触させた状態にて基板群14を収容する。支持フレーム30は、額縁状の枠部32と、枠部32の外側から下方に突出する第1突出部34と、枠部32の内側から下方に突出する第2突出部36と、を備える。第1突出部34は、背面カバー20の側部24と係合可能に構成される。第2突出部36は、基板群14を上側から押さえることで基板群14を固定可能に構成される。
【0014】
基板群14は、少なくとも、発光機能及びペン検出機能を発揮する複数の基板が積層されてなる。発光機能とは、液晶パネル16の裏面から表面に向かって照明光(いわゆる、バックライト)を発する機能である。ペン検出機能とは、電磁誘導(EMR)方式の電子ペンにより指示された位置を検出する機能である。
【0015】
透明保護板18は、液晶パネル16の表示面を保護するための光透過率が高い板状の部材であり、例えばガラスなどから構成される。透明保護板18の裏面には、光学接着層40を介して液晶パネル16が接着される。すなわち、透明保護板18は、表示面を介して固定することで液晶パネル16を上方から支持する。なお、光学接着層40の材料として、例えば、光学透明粘着シート(OCA:Optical Clear Adhesive)又は光学透明樹脂(OCR;Optical Clear Resin)が用いられる。
【0016】
また、透明保護板18の裏面には、液晶パネル16の固定部分よりも外側の位置に、複数の凸部42が形成される。支持フレーム30は、凹部38と凸部42とが係合した状態にて透明保護板18を固定及び支持する。この場合、支持フレーム30及び液晶パネル16は、平面視にて重複しない位置関係下にある。以下、この理由について説明する。
【0017】
例えば、支持フレーム30が、第2突出部36から内側に向かって垂直に突出して、液晶パネル16を下方から部分的に支持する構造も採用し得る。ところが、表示装置10の使用時にユーザが透明保護板18を下方に押圧することで、液晶パネル16の非表示面が支持フレーム30に当接し、液晶パネル16の周縁部が歪む場合がある。これにより、液晶による遮光機能が部分的に発揮できない状態になり、基板群14から発する照明光が、液晶パネル16の周縁部を通じて漏れ出す可能性がある。その結果、表示装置10の表示品位が低下してしまう。
【0018】
そこで、図1の表示装置10は、基板群14と、基板群14の直上に配置されて表示面を有する液晶パネル16と、表示面を介して固定することで液晶パネル16を上方から支持する透明保護板18と、透明保護板18を支持する支持フレーム30を有するとともに、基板群14を収容するケーシング12を備える。そして、支持フレーム30及び液晶パネル16は、平面視にて重複しないように設けられる。
【0019】
このように構成することで、透明保護板18が下方に押圧された場合であっても、液晶パネル16の非表示面が支持フレーム30と干渉することを回避可能となり、液晶パネル16の歪みに起因する照明光の漏れを抑制することができる。
【0020】
[第1実施形態]
続いて、第1実施形態における表示装置10に組み込まれる基板群14Aについて、図2図5を参照しながら説明する。
【0021】
<構成>
図2は、第1実施形態における表示装置10の要部を示す分解斜視図である。より詳しくは、本図は、第1実施形態における基板群14Aと、液晶パネル16の間の積層関係を模式的に示している。この基板群14Aは、液晶パネル16に近い順に、光源基板50と、センサ基板52と、駆動基板54と、を積層して構成される。駆動基板54は、フレキシブルプリント基板(以下、FPC56)を介して光源基板50に接続されるとともに、後述するLEDアレイ84(図4参照)の駆動制御を行う。
【0022】
図3は、図2のセンサ基板52が有する回路構成の一例を示す図である。センサ基板52は、ループコイル70,72と電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、電子ペンにより指示される二次元位置を検出する。具体的には、センサ基板52の正面又は背面には、センサ部60、選択回路62、スイッチ64、送信アンプ66、及び受信アンプ68を含む様々な電子部品が設けられる。
【0023】
センサ部60は、第1ループコイル群70Gと、第2ループコイル群72Gと、を含んで構成される。第1ループコイル群70G及び第2ループコイル群72Gは、互いに交差して二次元格子をなすように配設される。これにより、XY座標上の二次元位置を指示するための矩形状の検出エリア74が形成される。
【0024】
第1ループコイル群70Gは、X方向に並んで配設され、かつY方向に延びるN本(N≧2)のループコイル70からなるコイル配線の集合体である。各々のループコイル70は、Y方向の位置にかかわらず略一定の幅を有する長尺な矩形形状を有する。各々のループコイル70は、一端側では選択回路62に接続されるとともに、他端側では基準電位(例えば、グランド電位)に接続される。
【0025】
第2ループコイル群72Gは、Y方向に並んで配設され、かつX方向に延びるM本(M≧2)のループコイル72からなるコイル配線の集合体である。各々のループコイル72は、ループコイル70と同様に、X方向の位置にかかわらず略一定の幅を有する長尺な矩形形状を有する。各々のループコイル72は、一端側にて選択回路62に接続されるとともに、他端側にて基準電位(例えば、グランド電位)に接続される。
【0026】
選択回路62は、図示しないコントローラからの制御信号に応じて、センサ部60間の接続先を切り替える。これにより、第1ループコイル群70Gの中から1本のループコイル70が、択一的にスイッチ64に接続される。あるいは、第2ループコイル群72Gの中から1本のループコイル72が、択一的にスイッチ64に接続される。
【0027】
スイッチ64は、図示しないコントローラからの制御信号に応じて、接続先をT端子又はR端子のいずれか一方に切り替える。例えば、接続先がT端子である場合、スイッチ64は、送信アンプ66から供給される送信信号をセンサ部60へ出力する。一方、接続先がR端子である場合、スイッチ64は、センサ部60から供給される受信信号を受信アンプ68へ出力する。
【0028】
図4は、図2の光源基板50が有する配線構造の一例を示す図である。この光源基板50の主面80には、発光ダイオード(以下、LED82)の集合体であるLEDアレイ84が設けられる。LEDアレイ84は、複数のLED82がX方向及びY方向を二軸とする格子状に配置される。各々のLED82のアノード側及びカソード側には、FPC56又はFPC58まで引き回されたライン配線が設けられる。ここでは、図示の便宜上、カソード線のみが表記されている。
【0029】
複数本のライン配線86は、X方向及びY方向の両方に対して傾斜するD方向に延び、かつ略等間隔に並んで設けられる。1本のライン配線86には、その近傍にある少なくとも1個のLED82が接続される。例えば、参照符号を付したライン配線86には、5個のLEDが接続される。X方向に対する傾斜角は、例えば、15~75度の範囲が好ましく、30~60度の範囲がより好ましい。
【0030】
<作用効果>
第1実施形態における基板群14Aは、以上のように構成される。続いて、この図4の配線構造による作用効果について、図5を参照しながら説明する。図5の左側は「比較例」を、図5の右側は「実施例」をそれぞれ示している。
【0031】
図5の「比較例」では、ライン配線88Yが、LEDアレイ84の配列方向に沿って、Y方向と平行に設けられる場合を想定する。光源基板50とセンサ基板52とが平行関係を保ちながら対向配置される位置関係下にて、ループコイル70とライン配線88Yとの間で電磁干渉が発生する場合がある。特に、平行関係にある配線区間が長くなるにつれて、浮遊容量や磁気結合などを通じて電磁ノイズの空間伝導が起こりやすくなる。その結果、ループコイル70に電磁ノイズが混入し、検出精度の低下やセンサ基板52の誤作動につながるおそれがある。
【0032】
一方、図5の「実施例」では、ライン配線88が、X方向及びY方向の両方に対して傾斜して延びている。この場合、光源基板50とセンサ基板52とが互いに平行かつ対向して配置される場合であっても、ループコイル70とライン配線86とが「ねじれの位置」にある。そうすると、ループコイル70とライン配線88Yとの間で発生する電磁波の相殺効果を通じて、ループコイル70に電磁ノイズが混入しにくくなる。その結果、検出精度の低下やセンサ基板52の誤作動が抑制される。
【0033】
以上のように、第1実施形態における表示装置10は、複数のLED82(発光素子)が二次元的に配設される光源基板50と、X方向(第1方向)及び/又はX方向と交差するY方向(第2方向)に延びて配設される複数のループコイル70,72と電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、電子ペンにより指示される二次元位置を検出するセンサ基板52と、を備える。光源基板50とセンサ基板52とが平行関係を保ちながら対向配置され、光源基板50上において、LED82のそれぞれに接続されるライン配線86が、X方向及びY方向の両方に対して傾斜するD方向(第3方向)に沿って引き回される。
【0034】
このように構成することで、光源基板50とセンサ基板52とが平行関係を保ちながら対向配置される場合であっても、ライン配線86とループコイル70,72とが実質的に平行になることを防止できる。これにより、光源基板50及びセンサ基板52がそれぞれ有する配線同士の電磁干渉に伴う電磁ノイズの発生を抑制することができる。
【0035】
また、複数のループコイルは、X方向に並んで配設されてY方向に延びる第1ループコイル群70Gと、Y方向に並んで配設されてX方向に延びる第2ループコイル群72Gと、を含み、第1ループコイル群70G及び第2ループコイル群72Gは、互いに交差して二次元格子をなすように配設されてもよい。これにより、[1]ライン配線86とループコイル70とが平行になること、[2]ライン配線86とループコイル72とが平行になることを、を同時に防止できる。
【0036】
<変形例>
図6は、第1実施形態の変形例におけるセンサ基板52Aの回路構成図である。センサ基板52Aの正面又は背面には、センサ部90、選択回路62、スイッチ64、送信アンプ66、及び受信アンプ68を含む様々な電子部品が設けられる。つまり、センサ基板52Aは、第1実施形態におけるセンサ基板52と比べて、センサ部60(図3)の配線構造が異なっている。このセンサ部90は、第1ループコイル群92Gと、第2ループコイル群94Gと、を含んで構成される。これにより、XY座標上の二次元位置を指示するための矩形状の検出エリア96が形成される。
【0037】
第1ループコイル群92Gは、X方向に並んで配設され、かつY方向に延びるN×M/2本(N,M≧2)のループコイル92からなるコイル配線の集合体である。各々のループコイル92は、正方形状に膨出する先端部を有する。各々のループコイル92は、一端側では選択回路62に接続されるとともに、他端側では基準電位(例えば、グランド電位)に接続される。
【0038】
第2ループコイル群94Gは、Y方向に並んで配設され、かつX方向に延びるN×M/2本のループコイル94からなるコイル配線の集合体である。各々のループコイル94は、ループコイル92と同様に、正方形状に膨出する先端部を有する。各々のループコイル94は、一端側では選択回路62に接続されるとともに、他端側では基準電位(例えば、グランド電位)に接続される。
【0039】
第1ループコイル群92G及び第2ループコイル群94Gは、M×N個の先端部が二次元格子をなすように配設される。本図の例では、第1ループコイル群92G及び第2ループコイル群94Gがそれぞれ市松模様を形成するように相補的に配設される。なお、ループコイル92,94の関係性(位置、配列、個数など)はこれに限られない。例えば、センサ部90は、第1ループコイル群92Gのみ、あるいは第2ループコイル群94Gのみを用いて構成することもできる。
【0040】
このように、複数のループコイル92,94は、ブロック状に膨出する先端部を有するとともに、先端部が二次元格子をなすように配設されてもよい。この構成によっても、第1実施形態の場合と同様に、[1]ライン配線86(図4)とループコイル92とが平行になること、[2]ライン配線86とループコイル94とが平行になることを、を同時に防止できる。
【0041】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態における表示装置10に組み込まれる基板群14Bについて、図7図9を参照しながら説明する。
【0042】
<構成>
図7は、第2実施形態における表示装置10の要部を示す分解斜視図である。より詳しくは、本図は、第2実施形態における基板群14Bと、液晶パネル16の間の積層関係を模式的に示している。この基板群14Bは、液晶パネル16に近い順に、光源付きセンサ基板100と、駆動基板54と、を積層して構成される。駆動基板54は、FPC56を介して光源付きセンサ基板100に接続されるとともに、後述するLEDアレイ106(図8参照)の駆動制御を行う。
【0043】
図8は、図7の光源付きセンサ基板100が有する配線構造の一例を示す第1図である。本図では、主に、発光機能に関わる配線構造の要部を抽出して示している。この光源付きセンサ基板100の主面102には、発光ダイオード(以下、LED104)の集合体であるLEDアレイ106が設けられる。LEDアレイ106は、複数のLED104がX方向及びY方向を二軸とする格子状に配置される。各々のLED104のアノード側には、個別のライン配線108が接続される。一方、各々のLED104のカソード側には、共通のライン配線110が接続される。
【0044】
図9は、図7の光源付きセンサ基板100が有する配線構造の一例を示す第2図である。本図では、主に、検出機能に関わる配線構造の要部を抽出して示している。光源付きセンサ基板100は、ループコイル120と電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、電子ペンにより指示される二次元位置を検出する。具体的には、光源付きセンサ基板100は、第1ループコイル群120Gと、第1実施形態(図3の選択回路62)と同様の機能を有する選択回路122と、を含んで構成される。なお、図示を省略しているが、光源付きセンサ基板100には、第1実施形態(図3)の構成と同様に、スイッチ、送信アンプ、及び受信アンプを含む様々な電子部品が設けられる。
【0045】
第1ループコイル群120Gは、X方向に並んで配設され、かつY方向に延びるN本(N≧2)のループコイル120からなるコイル配線の集合体である。各々のループコイル120は、Y方向の位置にかかわらず略一定の幅を有する長尺な矩形形状を有する。各々のループコイル120は、一端側では選択回路122に接続されるとともに、他端側ではグランド線124に接続される。
【0046】
LED104のアノード側は、ライン配線108を通じて駆動基板54(図7)に接続される。一方、LED104のカソード側は、ライン配線110を通じてグランド線124に接続される。ここでは、1個のLED104(図8)のみを図示しているが、図示しない他のLED104に関しても同様に配線される。
【0047】
なお、本図では、X方向の指示位置を検出するための第1ループコイル群120Gのみを表記しているが、第1実施形態(図3)の場合と同様に、Y方向の指示位置を検出するための第2ループコイル群72Gが併せて設けられる点に留意する。あるいは、図6に示す配線構造を採用することもできる。
【0048】
<作用効果>
以上のように、光源付きセンサ基板100は、光源付きセンサ基板100は、複数のLED104(発光素子)が二次元的に配設されるLEDアレイ106(発光素子アレイ)と、電磁誘導方式の電子ペンの間に生じる電磁誘導を通じて、電子ペンによる指示位置を検出するための複数のループコイル120と、を備える。LEDアレイ106に接続されるライン配線は、複数のループコイル120がなすコイル配線と部分的に共通化される。例えば、2個以上のLED104のカソード側に接続されるライン配線110と、2本以上のループコイル120の一端とが、共通するグランド線124に接続される。
【0049】
このように、LEDアレイ106に接続されるライン配線は、複数のループコイル120がなすコイル配線と部分的に共通化することで、別々に設けられる光源基板及びセンサ基板の配置関係を考慮しなくても済む。これにより、光源基板及びセンサ基板がそれぞれ有する配線同士の電磁干渉に伴う電磁ノイズの発生を抑制することができる。また、回路基板の一体化により、製造コストや配置スペースが削減される。
【0050】
[変形例]
なお、本発明は、上記した各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。あるいは、技術的に矛盾が生じない範囲で各々の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0051】
上記した各実施形態では、図1の表示装置10が「ダイレクト方式」のバックライトを有する構成について説明したが、バックライトの方式はこれに限られない。例えば、表示装置には、発光素子を表示面の側方に配置する「エッジライト方式」のバックライトが組み込まれてもよい。
【0052】
上記した第1実施形態では、図3の光源基板50に発光ダイオード(LED)が設けられる場合について説明したが、発光素子はこれに限られない。例えば、発光素子は、有機LED(OLED)であってもよいし、レーザダイオードであってもよい。また、第2実施形態(図8)における発光素子についてもこれと同様である。
【0053】
[符号の説明]
10…表示装置、12…ケーシング、14,14A,14B…基板群、16…液晶パネル、18…透明保護板、30…支持フレーム、50…光源基板、52,52A,90…センサ基板、70G,92G,120G…第1ループコイル群、72G,94G…第2ループコイル群、82,104…LED(発光素子)、100…光源付きセンサ基板(センサ基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9