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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060059
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20240423BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S7/481 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038764
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2019201281の分割
【原出願日】2019-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】郡場 元太
(72)【発明者】
【氏名】谷本 理沙
(72)【発明者】
【氏名】高橋 輝夫
(57)【要約】
【課題】反射体によって反射され、かつ受信部によって受信される電磁波の強度を低減する。
【解決手段】送信部110は、電磁波を送信する。可動反射部120は、送信部110から送信された電磁波を反射する。受信部130は、可動反射部120によって反射され、かつセンサ装置10の外部に位置する対象物Oによって反射された電磁波と、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210によって反射された電磁波と、を受信する。第1反射体210は、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の第1反射体210における反射方向が、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波の第1反射体210における鏡面反射方向と異なるように配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置であって、
電磁波を送信する送信部と、
前記送信部から送信された前記電磁波を反射する可動反射部と、
前記可動反射部によって反射された前記電磁波を反射する第1反射体と、
前記可動反射部によって反射され、かつ前記センサ装置の外部に位置する物体によって反射された前記電磁波と、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体によって反射された前記電磁波と、を受信する受信部と、
を備え、
前記第1反射体は、前記第1反射体によって反射され、かつ前記受信部によって受信される前記電磁波の前記第1反射体における反射方向が、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体に入射する前記電磁波の前記第1反射体における鏡面反射方向と異なるように配置されており、
前記可動反射部の測定結果から推定される前記可動反射部の向きを、前記第1反射体によって反射され、かつ前記受信部によって受信された前記電磁波の測定結果を用いて補正する補正部をさらに備え、
前記電磁波の前記測定結果は、前記受信部が前記電磁波を受信するタイミングを含む、センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記第1反射体のうち前記電磁波が入射する面は、湾曲している、センサ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセンサ装置において、
前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体に入射する前記電磁波と、前記第1反射体によって反射され、かつ前記可動反射部に入射する前記電磁波とは、同軸の経路を辿り、
前記第1反射体は、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体に入射する前記電磁波の前記第1反射体における入射角が0度超となるように配置されている、センサ装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のセンサ装置において、
前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体に入射する前記電磁波と、前記第1反射体によって反射され、かつ前記受信部によって受信される前記電磁波とは、互いにずれた軸の経路を辿り、
前記第1反射体は、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体に入射する前記電磁波の前記第1反射体における入射角と、前記第1反射体によって反射され、かつ前記受信部によって受信される前記電磁波の前記第1反射体における反射角と、が互いに異なるように配置されている、センサ装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のセンサ装置において、
前記可動反射部によって反射された前記電磁波を反射する第2反射体をさらに備え、
前記受信部は、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第2反射体によって反射された前記電磁波をさらに受信し、
前記第2反射体は、前記第2反射体によって反射され、かつ前記受信部によって受信される前記電磁波の前記第2反射体における反射方向が、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第2反射体に入射する前記電磁波の前記第2反射体における鏡面反射方向と異なるように配置されている、センサ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ装置において、
前記第1反射体と前記第2反射体とは、前記可動反射部によって反射され、かつ前記センサ装置の外部に位置する前記物体を走査する前記電磁波が通過する領域の両側に位置している、センサ装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載のセンサ装置において、
前記第1反射体のうち前記電磁波が入射する面は、前記電磁波について一様な反射率を有する、センサ装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載のセンサ装置において、
前記第1反射体は、前記電磁波について25%以下の反射率を有する物体である、センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等の可動反射部を有するセンサ装置(例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)又はRADAR(RAdio Detection And Ranging))が開発されている。センサ装置の可動反射部は、赤外線等の電磁波によって、センサ装置の外部に位置する物体を走査する。
【0003】
特許文献1には、センサ装置の一例について記載されている。センサ装置は、可動反射部によって反射された電磁波を反射する反射体を備えている。反射体によって反射された電磁波は、受信部によって受信される。可動反射部の向き(角度)は、可動反射部の測定結果(例えば、可動反射部に発生する逆起電力の測定結果)から推定される。センサ装置は、可動反射部の測定結果から推定される可動反射部の向きを、反射体によって反射された電磁波を受信部が受信するタイミングを用いて補正する。このようにして、可動反射部の向きを正確に推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-160545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、可動反射部の向きを正確に推定するため、可動反射部によって反射された電磁波を反射する反射体が用いられることがある。しかしながら、反射体によって反射され、かつ受信部によって受信される電磁波の強度が高すぎる場合、電磁波の受信によって受信部に発生する信号が飽和し、この信号のピークをうまく検出することができなくなることがあることを本発明者は見出した。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、反射体によって反射され、かつ受信部によって受信される電磁波の強度を低減することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
センサ装置であって、
電磁波を送信する送信部と、
前記送信部から送信された前記電磁波を反射する可動反射部と、
前記可動反射部によって反射された前記電磁波を反射する第1反射体と、
前記可動反射部によって反射され、かつ前記センサ装置の外部に位置する物体によって反射された前記電磁波と、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体によって反射された前記電磁波と、を受信する受信部と、
を備え、
前記第1反射体は、前記第1反射体によって反射され、かつ前記受信部によって受信される前記電磁波の前記第1反射体における反射方向が、前記可動反射部によって反射され、かつ前記第1反射体に入射する前記電磁波の前記第1反射体における鏡面反射方向と異なるように配置されている、センサ装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係るセンサ装置の構成を示す図である。
図2】実施形態1に係るセンサ装置の構成を示す図である。
図3】補正部の動作の一例を説明するための図である。
図4図2の第1の変形例を示す図である。
図5図2の第2の変形例を示す図である。
図6】実施形態2に係るセンサ装置の構成を示す図である。
図7】実施形態2に係るセンサ装置の構成を示す図である。
図8図7の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
(実施形態1)
図1及び図2は、実施形態1に係るセンサ装置10の構成を示す図である。
【0011】
センサ装置10は、筐体100、送信部110、可動反射部120、受信部130、ビームスプリッタ140、第1反射体210及び補正部300を備えている。
【0012】
図1及び図2において、送信部110、可動反射部120、受信部130、ビームスプリッタ140、第1反射体210及び対象物Oを伝搬する電磁波の経路は破線によって示されている。図1は、送信部110から送信された電磁波がビームスプリッタ140の透過及び可動反射部120による反射を順に経て対象物Oに入射し、対象物Oによって反射された電磁波が可動反射部120による反射及びビームスプリッタ140による反射を順に経て受信部130に入射した状態を示している。図2は、送信部110から送信された電磁波がビームスプリッタ140の透過及び可動反射部120による反射を順に経て第1反射体210に入射し、第1反射体210によって反射された電磁波が可動反射部120による反射及びビームスプリッタ140による反射を順に経て受信部130に入射した状態を示している。
【0013】
図2において、第1反射体210から延びる複数の矢印は、第1反射体210によって反射された電磁波を示している。
【0014】
図1及び図2を用いて、センサ装置10の概要を説明する。送信部110は、電磁波を送信する。可動反射部120は、送信部110から送信された電磁波を反射する。受信部130は、可動反射部120によって反射され、かつセンサ装置10の外部に位置する対象物Oによって反射された電磁波(図1において受信部130に入射する電磁波)と、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210によって反射された電磁波(図2において受信部130に入射する電磁波)と、を受信する。第1反射体210は、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の第1反射体210における反射方向(図2において、第1反射体210の法線方向ND1から反射角φr1傾いた方向)が、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波(図2において、第1反射体210に入射角θi1で入射する電磁波)の第1反射体210における鏡面反射方向(図2において、第1反射体210の法線方向ND1から鏡面反射角θr1傾いた方向)と異なるように配置されている。
【0015】
本実施形態によれば、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波(図2において、第1反射体210から可動反射部120及びビームスプリッタ140を経由して受信部130まで伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)は、第1反射体210における鏡面反射成分と異なる成分となっており、第1反射体210における鏡面反射角θr1と異なる反射角(図2に示す例では、反射角φr1)の拡散反射成分となっている。したがって、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の強度を低減することができる。
【0016】
本実施形態は、特に、センサ装置10がセンサ装置10から遠距離に位置する対象物Oを走査する場合に好適に用いられる。センサ装置10から遠距離に位置する対象物Oを走査するためには、センサ装置10から送信される電磁波、すなわち、送信部110から送信される電磁波の強度を高くする必要がある。送信部110から送信される電磁波の強度が高い場合、第1反射体210によって反射される電磁波の強度も高くなる。この場合であっても、本実施形態によれば、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の強度を十分に低減することができる。ただし、本実施形態は、センサ装置10がセンサ装置10から近距離に位置する対象物Oを走査する場合にも用いることができる。
【0017】
図1を用いて、センサ装置10の詳細を説明する。
【0018】
筐体100は、筐体100、送信部110、可動反射部120、受信部130、ビームスプリッタ140、補正部300及び第1反射体210を収容している。例えば、第1反射体210は、筐体100の内壁に固定されている。筐体100は、センサ装置10の内部及び外部を確定している。すなわち、センサ装置10の内部は、筐体100の内部であり、センサ装置10の外部は、筐体100の外部である。
【0019】
送信部110は、電磁波を送信する。一例において、送信部110によって送信される電磁波は、光、具体的には、赤外線である。ただし、送信部110によって送信される電磁波は、赤外線の波長と異なる波長の光(例えば、可視光線又は紫外線)であってもよいし、又は光の波長と異なる波長の電磁波(例えば、電波)であってもよい。一例において、送信部110は、パルス波を送信する。ただし、送信部110は、連続波(CW)を送信してもよい。一例において、送信部110は、電気的エネルギー(例えば、電流)を電磁波に変換可能な素子(例えば、レーザダイオード(LD))である。
【0020】
送信部110から送信された電磁波は、ビームスプリッタ140を透過して可動反射部120に入射し、可動反射部120によって反射される。可動反射部120は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーである。可動反射部120は、図1又は図2の紙面に垂直な方向に延伸する仮想的な軸122に関して回転可能になっている。可動反射部120は、軸122と直交する仮想的な他の軸(当該他の軸は、例えば、図1又は図2の紙面に平行な方向に延伸していてもよい。)に関して回転可能になっていてもよい。すなわち、可動反射部120は、2軸ミラーにしてもよい。ただし、可動反射部120は、1軸ミラーであってもよい。
【0021】
可動反射部120によって反射された電磁波は、センサ装置10の外部に向けて出射される。センサ装置10の外部に向けて出射された電磁波は、センサ装置10の外部に位置する対象物Oに入射し、対象物Oによって反射される。対象物Oによって反射された電磁波は、可動反射部120に入射する。可動反射部120に入射した電磁波は、可動反射部120による反射及びビームスプリッタ140による反射を順に経て、受信部130に入射する。本実施形態では、可動反射部120によって反射され、かつ対象物Oに入射する電磁波と、対象物Oによって反射され、かつ可動反射部120に入射する電磁波とは、同軸の経路(図1において可動反射部120と対象物Oとの間の破線によって示される経路)を辿っている。受信部130は、受信部130に入射した電磁波を受信する。一例において、受信部130は、電磁波を電気的エネルギー(例えば、電流)に変換可能な素子(例えば、アバランシェフォトダイオード(APD))である。
【0022】
センサ装置10は、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)である。一例において、センサ装置10は、ToF(Time of Flight)に基づいて、センサ装置10と、センサ装置10の外部に位置する物体と、の間の距離を測定する。この例において、センサ装置10は、センサ装置10から電磁波が送信された時間(例えば、送信部110から電磁波が送信された時間)と、センサ装置10から送信され、かつセンサ装置10の外部に位置する物体によって反射された電磁波がセンサ装置10によって受信された時間(例えば、受信部130によって電磁波が受信された時間)と、の差に基づいて、上記距離を算出する。
【0023】
図2を用いて、センサ装置10の詳細を説明する。
【0024】
上述したように、可動反射部120は、図1又は図2の紙面に垂直な方向に延伸する仮想的な軸122に関して回転可能になっている。可動反射部120の軸122に平行な方向(図1又は図2の紙面に垂直な方向)から見て、第1反射体210は、可動反射部120によって反射され、かつセンサ装置10の外部に位置する対象物Oを走査する電磁波が通過する領域(図1において、可動反射部120によって反射され、かつ対象物Oに入射する電磁波の経路(図1において可動反射部120と対象物Oとの間の破線によって示される経路)及びその周辺)の一方の側(図2に示す例では、図2の紙面に垂直な方向が上下方向であると仮定したとき、可動反射部120が位置する側から対象物Oが位置する側に向かって見て左側)に位置している。
【0025】
送信部110から送信され、かつ可動反射部120によって反射された電磁波は、第1反射体210に入射している。第1反射体210において、この電磁波の拡散反射が生じる。このため、第1反射体210に入射した電磁波は、様々な方向に向けて反射される。本実施形態においては、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波(第1反射体210に入射角θi1で入射する電磁波)と、第1反射体210によって反射され、かつ可動反射部120に入射する電磁波(第1反射体210によって反射角φr1で反射される電磁波)とは、同軸の経路(図2において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路)を辿っている。
【0026】
第1反射体210のうち電磁波(図2において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)が入射する面は、湾曲している。さらに、第1反射体210は、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波(図2において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)の第1反射体210における入射角θi1が0度超となるように配置されている。言い換えると、第1反射体210のうち電磁波(図2において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)が入射する面の法線方向ND1は、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波が辿る経路(図2において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路)と同軸となっていない。したがって、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波(図2において、第1反射体210から可動反射部120及びビームスプリッタ140を順に経由して受信部130まで伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)は、第1反射体210における鏡面反射成分と異なる成分にすることができる。
【0027】
本実施形態において、第1反射体210のうち電磁波(図2において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)が入射する面の法線方向ND1は、当該面における電磁波の拡散反射を実質的に生じさせるミクロな凹凸(例えば、マイクロメートルオーダの凹凸)を考慮せず、当該面におけるマクロな湾曲を考慮して決定される。
【0028】
第1反射体210は、第1反射体210に入射する電磁波について低反射率(反射率は、例えば、25%以下、20%以下または15%以下である。)を有する物体となっている。例えば、第1反射体210は、黒色を有する部材(例えば、黒色の紙)からなっている。したがって、第1反射体210によって反射される電磁波の強度を、第1反射体210の構造又は配置のみならず、第1反射体210の材質によっても低減することができる。ただし、仮に、第1反射体210の反射率がここで例示した範囲でなかったとしても、本実施形態においては、第1反射体210の構造又は配置によって、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の強度を低減することができる。
【0029】
第1反射体210のうち電磁波が入射する面は、第1反射体210に入射する電磁波について一様な反射率を有している。言い換えると、本実施形態においては、第1反射体210によって反射された電磁波を検出するために第1反射体210に反射率分布等の複雑な構造を用いる必要がない。一様な反射率とは、反射率が厳密に一様である必要はなく、電磁波が入射する面の反射率の最大値と最小値の差が例えば2.5%以下であることを意味する。ただし、第1反射体210のうち電磁波が入射する面は、第1反射体210に入射する電磁波について一様でない反射率(例えば、低反射領域と高反射領域が第1反射体210に設けられている。)を有していてもよい。
【0030】
図3は、補正部300の動作の一例を説明するための図である。
【0031】
補正部300は、可動反射部120の測定結果(例えば、可動反射部120に取り付けられたピエゾセンサの測定結果)から推定される可動反射部120の向きを、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信された電磁波(図2において、第1反射体210から可動反射部120及びビームスプリッタ140を順に経由して受信部130まで伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)の測定結果を用いて補正する。したがって、可動反射部120の向き、すなわち、センサ装置10からの電磁波の出射方向を正確に推定することができる。補正部300は、例えば、集積回路(IC)等のハードウェアによって実現される。
【0032】
図3の上段のグラフにおける実線曲線は、可動反射部120の実際の向きの時間推移を示している。図3の上段のグラフにおける破線曲線は、可動反射部120の測定結果から推定される可動反射部120の向きの時間推移を示している。図3の上段のグラフの横軸tは、時刻を示しており、図3の上段のグラフの縦軸は、可動反射部120の向き(角度)θを示している。可動反射部120の向きは、-θAと+θAとの間で振動している。
【0033】
図3の下段のグラフは、第1反射体210によって反射された電磁波を受信部130が受信するタイミングチャート示している。図3の下段のグラフの横軸tは、時刻を示しており、図3の下段のグラフの縦軸は、受信部130によって受信された電磁波の強度を示している。図3の下段では、図3の上段のグラフにおいて可動反射部120の実際の向き(図3の上段のグラフにおける実線曲線)が-θAとなるタイミングで、電磁波の受信によって受信部130に信号が発生している。
【0034】
図3の上段のグラフに示すように、可動反射部120の測定結果から推定される可動反射部120の向きの時間推移(図3の上段のグラフにおける破線曲線)は、様々な要因によって、可動反射部120の実際の向きの時間推移(図3の上段のグラフにおける実線曲線)からずれることがある。この場合であっても、可動反射部120の実際の向きと、第1反射体210によって反射された電磁波を受信部130が受信するタイミングと、の関係が既知の場合(例えば、図3に示す例では、可動反射部120の実際の向きが-θAとなるタイミングと、第1反射体210によって反射された電磁波を受信部130が受信するタイミングと、が一致することが既知となっている。)、補正部300は、可動反射部120の測定結果から推定される可動反射部120の向き(図3の上段のグラフにおける破線曲線)を、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信された電磁波の測定結果(図3の下段のグラフ内において、受信部130が電磁波を受信するタイミング)を用いて補正することができる。
【0035】
本実施形態においては、上述したように、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の強度が低減されている。したがって、電磁波の受信によって受信部130に発生する信号(図3の下段のグラフにおいて発生している信号)の飽和を防ぐことができる。このため、例えば、図3の下段のグラフに示すように、電磁波の受信によって受信部130に発生する信号は、明瞭なピークを有するようになる。
【0036】
図4は、図2の第1の変形例を示す図である。
【0037】
第1反射体210のうち電磁波(図4において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)が入射する面は、湾曲していなくてもよく、平坦であってもよい。
【0038】
図4に示す例においても、第1反射体210は、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波(図4において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)の第1反射体210における入射角θi1が0度超となるように配置されている。言い換えると、第1反射体210のうち電磁波(図4において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)が入射する面の法線方向ND1は、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波が辿る経路(図4において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路)と同軸となっていない。したがって、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波(図4において、第1反射体210から可動反射部120及びビームスプリッタ140を経由して受信部130まで伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)は、第1反射体210における鏡面反射成分と異なる成分にすることができる。したがって、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の強度を低減することができる。
【0039】
図5は、図2の第2の変形例を示す図である。
【0040】
センサ装置10は、第2反射体220をさらに備えている。可動反射部120の軸122に平行な方向(図5の紙面に垂直な方向)から見て、第1反射体210及び第2反射体220は、可動反射部120によって反射され、かつセンサ装置10の外部に位置する対象物Oを走査する電磁波が通過する領域(図1において、可動反射部120によって反射され、かつ対象物Oに入射する電磁波の経路(破線で示された経路)及びその周辺)の両側(図5に示す例では、図5の紙面に垂直な方向が上下方向であると仮定したとき、可動反射部120が位置する側から対象物Oが位置する側に向かって見て、第1反射体210については左側、第2反射体220については右側)に位置している。
【0041】
第2反射体220は、第1反射体210と同様にして、第2反射体220によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の第2反射体220における反射方向(第2反射体220の法線方向ND2から反射角φr2傾いた方向)が、可動反射部120によって反射され、かつ第2反射体220に入射する電磁波(第2反射体220に入射角θi2で入射する電磁波)の第2反射体220における鏡面反射方向(第2反射体220の法線方向ND2から鏡面反射角θr2傾いた方向)と異なるように配置されている。したがって、第2反射体220によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の強度を低減することができる。
【0042】
補正部300は、可動反射部120の測定結果から推定される可動反射部120の向きを、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信された電磁波(図2において、第1反射体210から可動反射部120及びビームスプリッタ140を順に経由して受信部130まで伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)の測定結果と、第2反射体220によって反射され、かつ受信部130によって受信された電磁波(図5において、第2反射体220から可動反射部120及びビームスプリッタ140を順に経由して受信部130まで伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)の測定結果と、を用いて補正する。この場合においても、可動反射部120の向き、すなわち、センサ装置10からの電磁波の出射方向を正確に推定することができる。
【0043】
(実施形態2)
図6及び図7は、実施形態2に係るセンサ装置10の構成を示す図である。実施形態2に係るセンサ装置10は、以下の点を除いて、実施形態1に係るセンサ装置10と同様である。
【0044】
図6に示すように、送信部110から送信された電磁波は、可動反射部120によって反射されて、対象物Oに入射する。対象物Oに入射した電磁波は、対象物Oによって反射されて、受信部130に入射し、受信部130によって受信する。このようにして、対象物Oは、電磁波によって走査される。本実施形態では、可動反射部120によって反射され、かつ対象物Oに入射する電磁波(図6において、可動反射部120から対象物Oに伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)と、対象物Oによって反射され、かつ受信部130に入射する電磁波(図6において、対象物Oから受信部130に伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)とは、互いにずれた軸の経路を辿っている。
【0045】
図7に示す例において、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波(図7において、可動反射部120から第1反射体210に伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)と、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波(図7において、第1反射体210から受信部130に伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)とは、互いにずれた軸の経路を辿っている。第1反射体210は、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の第1反射体210における反射方向(第1反射体210の法線方向ND1から反射角φr1傾いた方向)が、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波(第1反射体210に入射角θi1で入射する電磁波)の第1反射体210における鏡面反射方向(第1反射体210の法線方向ND1から鏡面反射角θr1傾いた方向)と異なるように配置されている。具体的には、第1反射体210は、可動反射部120によって反射され、かつ第1反射体210に入射する電磁波の第1反射体210における入射角θi1と、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の第1反射体210における反射角φr1と、が互いに異なるように配置されている。
【0046】
本実施形態においても、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波(図7において、第1反射体210から受信部130まで伸びる破線によって示される経路を辿る電磁波)は、第1反射体210における鏡面反射成分と異なる成分となっており、第1反射体210における鏡面反射角θr1と異なる反射角(図7に示す例では、反射角φr1)の拡散反射成分となっている。したがって、第1反射体210によって反射され、かつ受信部130によって受信される電磁波の強度を低減することができる。
【0047】
図8は、図7の第1の変形例を示す図である。
【0048】
実施形態1の図4に示した例と同様にして、第1反射体210のうち電磁波(図8において可動反射部120と第1反射体210との間の破線によって示される経路を辿る電磁波)が入射する面は、湾曲していなくてもよく、平坦であってもよい。
【0049】
以上、図面を参照して実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
10 センサ装置
100 筐体
110 送信部
120 可動反射部
122 軸
130 受信部
140 ビームスプリッタ
210 第1反射体
220 第2反射体
300 補正部
O 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8