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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006006
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20240110BHJP
   A61M 60/113 20210101ALI20240110BHJP
   A61M 60/37 20210101ALI20240110BHJP
   A61M 60/279 20210101ALI20240110BHJP
   F04B 43/12 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61M1/16 110
A61M60/113
A61M60/37
A61M60/279
F04B43/12 N
F04B43/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106533
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾上 慶次
(72)【発明者】
【氏名】山下 陽平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 充
【テーマコード(参考)】
3H077
4C077
【Fターム(参考)】
3H077AA07
3H077CC04
3H077CC10
3H077DD02
3H077EE23
3H077EE37
3H077EE40
3H077FF54
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD05
4C077DD07
4C077EE01
4C077EE02
4C077EE03
4C077EE04
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】フィンガポンプ装置へのチューブの取り付け性の低下を抑制しつつ、フィンガポンプ装置のバルブと他の構成部材との間にチューブが噛み込むことを抑制する。
【解決手段】本開示に基づく医療装置1においては、第1凹条部24が、ポンプユニット21と第1チューブ把持部22の間に位置している。第1凹条部24は、チューブ本体11を非接触に取り囲む。第1チューブ把持部22は、第1把持面221を有している。第1把持面221は、チューブ本体11の延在方向から見て略円弧状である。第1把持面221は、チューブ本体11の外周面111に沿うように形成されている。第1凹条部24の溝幅である第1溝幅W1の寸法は、上記延在方向から見た時の第1把持面221の内周面の直径D1より大きい。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブと、該チューブ内の液体を輸送するフィンガポンプ装置とを備える、医療装置であって、
前記チューブは、
軟質のチューブ本体と、
前記チューブ本体の外周面上に設けられた第1鍔部と、
前記チューブ本体の延在方向において前記第1鍔部と離隔しつつ前記チューブ本体の前記外周面上に設けられた第2鍔部とを備え、
前記フィンガポンプ装置は、
前記チューブ本体の前記延在方向に沿って並ぶ複数のフィンガ形のバルブを有し、複数の前記バルブの各々が、前記チューブ本体のうち前記第1鍔部と前記第2鍔部との間に位置する部分を前記延在方向に直交する方向に挟み込むように構成されている、ポンプユニットと、
前記ポンプユニットと前記第1鍔部との間に位置し、前記チューブ本体を前記延在方向に直交する方向において取り外し可能に保持しつつ、前記延在方向において前記第1鍔部と係止する第1チューブ把持部と、
前記ポンプユニットと前記第2鍔部との間に位置し、前記チューブ本体を前記延在方向に直交する方向において取り外し可能に保持しつつ、前記延在方向において前記第2鍔部と係止する第2チューブ把持部と、
前記延在方向において前記ポンプユニットと前記第1チューブ把持部の間に位置して、前記チューブ本体を非接触に取り囲む第1凹条部とを備え、
前記第1チューブ把持部は、前記延在方向から見て略円弧状であって、前記チューブ本体の前記外周面に沿うように形成された、第1把持面を有し、
前記第1凹条部の溝幅である第1溝幅の寸法は、前記延在方向から見た時の前記第1把持面の内周面の直径より大きい、医療装置。
【請求項2】
前記第1溝幅の寸法は、前記第1鍔部の外径より小さい、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第1溝幅の寸法は、前記チューブ本体の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第1凹条部は、前記第1凹条部の延びる方向におけるポンプユニット側の開口端部において、前記ポンプユニットに近づくにつれて前記第1溝幅が徐々に大きくなるような第1拡幅部を有している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記第1拡幅部の最大幅の寸法は、前記チューブ本体の外径の1.2倍以上である、請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記フィンガポンプ装置は、
前記第2チューブ把持部を前記チューブとともに取り外し可能に保持するスロット部と、
前記ポンプユニットと前記スロット部との間に位置して、前記チューブ本体を非接触に取り囲む第2凹条部とをさらに備え、
前記第2チューブ把持部は、前記延在方向から見て略円弧状であって、前記チューブ本体の前記外周面に沿うように形成された、第2把持面を有し、
前記第2凹条部の溝幅である第2溝幅の寸法は、前記延在方向から見たときの前記第2把持面の内周面の直径より大きい、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医療装置。
【請求項7】
前記第2溝幅の寸法は、前記第2鍔部の外径より小さい、請求項6に記載の医療装置。
【請求項8】
前記第2溝幅の寸法は、前記チューブ本体の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である、請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
前記第2凹条部は、前記第2凹条部の延びる方向におけるポンプユニット側の開口端部において、前記ポンプユニットに近づくにつれて前記第2溝幅が徐々に大きくなるような第2拡幅部を有している、請求項6に記載の医療装置。
【請求項10】
前記第2拡幅部の最大幅の寸法は、前記チューブ本体の外径の1.2倍以上である。請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記チューブが前記フィンガポンプ装置に取り付けられていない状態における前記第1鍔部と前記第2鍔部との前記延在方向の離隔距離は、前記フィンガポンプ装置に取り付けられた状態の前記チューブにおける、前記第1鍔部と前記第2鍔部との直線距離より長い、請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
前記ポンプユニット、前記第1チューブ把持部、および、前記第2チューブ把持部は、互いに水平方向に並んでいる、請求項11に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-803号公報(特許文献1)、特開2020-804号公報(特許文献2)、特開2020-805号公報(特許文献3)、特開2020-806号公報(特許文献4)には、従来の医療装置が開示されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、医療装置として血液浄化装置が開示されている。血液浄化装置には、送液ポンプユニットが採用されている。送液ポンプユニットは、筐体を有する。この筐体の内部には、複数の送液ポンプが収容されている。送液ポンプは、ロータリバルブ型であり、フィンガー型の5つのバルブを備える。送液ポンプは、いわゆるフィンガーポンプである。筐体は、本体と、本体に対して開閉可能に設けられたカバーとを有する。送液ポンプユニットの本体には、管路保持プレートが一対に設けられている。各管路保持プレートには、管路を係合保持する切欠き部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-803号公報
【特許文献2】特開2020-804号公報
【特許文献3】特開2020-805号公報
【特許文献4】特開2020-806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療装置において、フィンガポンプによりチューブが蠕動運動する時、チューブは大きく変形する。この変形に伴い、フィンガポンプのバルブと、チューブの把持部との間にチューブが噛み込むおそれがある。このため、フィンガポンプのバルブと、チューブの把持部とは互いに離隔させることが好ましい。しかしながら、フィンガポンプと把持部との離隔距離が長くなると、医療装置の操作者が、フィンガポンプにチューブを取り付けにくくなる。
【0006】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フィンガポンプ装置へのチューブの取り付け性の低下を抑制しつつ、フィンガポンプ装置のバルブと他の構成部材との間にチューブが噛み込むことを抑制できる、医療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく医療装置は、チューブと、チューブ内の液体を輸送するフィンガポンプ装置とを備える。チューブは、軟質のチューブ本体と、第1鍔部と、第2鍔部とを備えている。第1鍔部は、チューブ本体の外周面上に設けられている。第2鍔部は、チューブ本体の延在方向において第1鍔部と離隔しつつチューブ本体の外周面上に設けられている。フィンガポンプ装置は、ポンプユニットと、第1チューブ把持部と、第2チューブ把持部と、第1凹条部とを備えている。ポンプユニットは、複数のフィンガ形のバルブを有している。複数のバルブは、チューブ本体の延在方向に沿って並んでいる。ポンプユニットは、複数のバルブの各々が、チューブ本体のうち第1鍔部と第2鍔部との間に位置する部分を上記延在方向に直交する方向に挟み込むように構成されている。第1チューブ把持部は、ポンプユニットと第1鍔部との間に位置している。第1チューブ把持部は、チューブ本体を上記延在方向に直交する方向において取り外し可能に保持しつつ、上記延在方向において第1鍔部と係止する。第2チューブ把持部は、ポンプユニットと第2鍔部との間に位置している。第2チューブ把持部は、チューブ本体を上記延在方向に直交する方向において取り外し可能に保持しつつ、上記延在方向において第2鍔部と係止する。第1凹条部は、ポンプユニットと第1チューブ把持部の間に位置している。第1凹条部は、チューブ本体を非接触に取り囲む。第1チューブ把持部は、第1把持面を有している。第1把持面は、上記延在方向から見て略円弧状である。第1把持面は、チューブ本体の外周面に沿うように形成されている。第1凹条部の溝幅である第1溝幅の寸法は、上記延在方向から見た時の第1把持面の内周面の直径より大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、第1凹条部によって、バルブと第1チューブ把持部との間にチューブが噛み込むことを抑制できる。また、第1凹条部がチューブを取り囲むため、第1凹条部は、操作者がチューブをフィンガポンプ装置に取り付けるときのガイドとなる。このため、フィンガポンプ装置へのチューブの取付性の低下を抑制できる。さらには、第1凹条部の溝幅である第1溝幅の寸法が、チューブの延在方向から見た時の第1把持面の内周面の直径より大きいため、第1凹条部へのチューブの張り付きが抑制される。これにより、バルブが駆動した際に、第1凹条部を支点とするチューブの変形が抑制される。ひいては、バルブと第1凹条部との間にチューブが噛み込むことが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る医療装置における体外循環回路を示す模式的な回路図である。
図2】本開示の一実施形態に係る医療装置の側面図である。
図3】本開示の一実施形態におけるチューブを示す斜視図である。
図4】本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の正面図である。
図5】本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の正面側の斜視図である。
図6図4のフィンガポンプ装置をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
図7】本開示の一実施形態における第2チューブ把持部と、これに把持された各チューブとを示す斜視図である。
図8】本開示の一実施形態における第2チューブ把持部の斜視図である。
図9】本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の第1凹条部およびその周辺を示す部分的な正面図である。
図10】本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の第2凹条部およびその周辺を示す部分的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係る医療装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る医療装置における体外循環回路を示す模式的な回路図である。図2は、本開示の一実施形態に係る医療装置の側面図である。図1および図2に示すように、本開示の一実施形態に係る医療装置1は、具体的には血液浄化装置である。医療装置1は、持続緩徐式血液浄化療法(Continuous Renal Replacement Therapy:CRRT)に用いられる血液浄化装置である。ただし、医療装置1は、持続的血液濾過透析法(continuous hemodiafiltration:CHDF)、持続的血液ろ過法(continuous hemofiltration:CHF)、持続的血液透析法(continuous hemodialysis:CHD)、および、持続緩徐式限外濾過(Slow Continuous UltraFiltration:SCUF)のいずれかに用いられる血液浄化装置であってもよい。
【0012】
医療装置1は、血液浄化器2と、供給源3と、動脈側血液回路4と、静脈側血液回路5と、複数のチューブ10と、複数のチューブ10内の液体をそれぞれ輸送する複数のフィンガポンプ装置20とを備える。
【0013】
医療装置1は、複数のチューブ10として、第1チューブ10Aと、第2チューブ10Bと、第3チューブ10Cとを備える。第1チューブ10Aは、具体的には血液浄化器2に透析液を供給する透析液用チューブである。第1チューブ10Aの上流端は、補液および透析液である所定の液体を収容する供給源3と接続されている。第1チューブ10Aの下流端は、血液浄化器2の透析液入口2aに接続されている。
【0014】
第2チューブ10Bは、具体的には血液浄化器2から排出された排液を流す排液用チューブである。第2チューブ10Bの上流端は、血液浄化器2の排液出口2bと接続されている。
【0015】
第3チューブ10Cは、具体的には動脈側血液回路4または静脈側血液回路5に補液を供給する補液用チューブである。第3チューブ10Cの上流端は、本実施形態においては第1チューブ10Aと接続されている。このため、第3チューブ10Cの上流端は、第1チューブ10Aを介して供給源3と接続されている。また、本実施形態において、第3チューブ10Cの下流端は、静脈側血液回路5に接続されている。すなわち、本実施形態に係る医療装置1(血液浄化装置)は、いわゆる後希釈法を採用している。より具体的には、第3チューブ10Cの下流端は、静脈側血液回路5に設けられた静脈側エアトラップチャンバ5aに接続されている。なお、医療装置1(血液浄化装置)は、いわゆる前希釈法を採用してもよい。前希釈法を採用する場合、第3チューブ10Cは、動脈側血液回路4(具体的には動脈側血液回路4に設けられた動脈側エアトラップチャンバ4a)に接続される。
【0016】
なお、動脈側血液回路4は、血液浄化器2の血液入口2cに接続される。動脈側血液回路4は、血液浄化器2に患者の血液を流入させるための回路である。動脈側血液回路4には、血液を送り出す血液ポンプ4bが設けられている。血液ポンプ4bは、ペリスタルティック式ポンプであり、より具体的にはローラ式ポンプである。血液ポンプ4bは、後述するフィンガポンプ装置20と同様の構成を備えるポンプであってもよい。静脈側血液回路5は、血液浄化器2の血液出口2dに接続される。静脈側血液回路5は、血液浄化器2から血液を流出させ、患者に返血するための回路である。
【0017】
医療装置は、第1接続管路6a、第1計量バッグ6b、第2接続管路6c、第2計量バッグ6d、秤7、および、測定部(図示せず)をさらに備えている。
【0018】
第1接続管路6aは、第2チューブ10Bに接続されている。第1計量バッグ6bは、第1接続管路6aの第2チューブ10B側とは反対側の端部に接続されている。第1計量バッグ6bは、排液を一時的に貯液し、貯液した排液を送出可能である。第1計量バッグ6bは、空気抜き用の孔が形成されていない軟質の袋である。
【0019】
第2接続管路6cは、第3チューブ10Cに接続されている。第2計量バッグ6dは、第2接続管路6cの第3チューブ10C側とは反対側の端部に接続されている。第2計量バッグ6dは、補液としての上記液体を一時的に貯液し、貯液した補液を送出可能である。第2計量バッグ6dは、空気抜き用の孔が形成されていない軟質の袋である。
【0020】
秤7には、第1計量バッグ6bおよび第2計量バッグ6dが取り付けられている。測定部は、秤7に接続されており、秤7に取り付けられた第1計量バッグ6bおよび第2計量バッグ6dをの全体の重量変化を測定する。本実施形態において、秤7はロードセルである。ただし、秤7は、ロードセルに限られず、ばねばかりなどであってもよい。
【0021】
次に、一のチューブ10の具体的な構成について説明する。なお、本実施形態において、第1チューブ10A、第2チューブ10B、および、第3チューブ10Cは、いずれも、下記に説明するチューブ10の構成を有している。ただし、第1チューブ10A、第2チューブ10B、または、第3チューブ10Cのうち少なくとも1つのチューブ10が、下記に説明する構成を有していてもよい。
【0022】
図3は、本開示の一実施形態におけるチューブを示す斜視図である。図3に示すように、チューブ10は、チューブ本体11と、第1鍔部12と、第2鍔部13とを備えている。
【0023】
チューブ本体11は、軟質の材料で構成されている。チューブ本体11は、たとえばポリ塩化ビニルまたはポリブタジエンなどで構成されている。チューブ本体11は、可撓性を有している。チューブ本体11は、延在方向に直交する方向に押しつぶすことにより、チューブ本体11内を閉塞させることが可能に構成されている。チューブ本体11の外径は、たとえば6mm以上である。
【0024】
第1鍔部12は、チューブ本体11の外周面111上に設けられている。第1鍔部12は、チューブ本体11の延在方向において他の部材と係止可能に構成されている。第1鍔部12は、チューブ本体11の延在方向から見て略円形状の外形を有している。上記延在方向から見たときの第1鍔部12の外径は、たとえば、チューブ本体11の外径の1.8倍超である。
【0025】
第1鍔部12は、第1大径部121と第1小径部122とを有している。第1大径部121および第1小径部122は、チューブ本体11の延在方向に並んでいる。第1大径部121から見て第1小径部122は第2鍔部13側とは反対側に位置している。第1大径部121および第1小径部122は、いずれも、上記延在方向から見て略円形状の外形を有している。上記延在方向から見て、第1大径部121の外径は、第1小径部122の外径より大きい。なお、単に第1鍔部12の外径という場合、本実施形態においては、第1大径部121の外径が第1鍔部12の外径である。
【0026】
第2鍔部13は、チューブ本体11の延在方向において第1鍔部12と離隔しつつチューブ本体11の外周面111上に設けられている。第2鍔部13は、チューブ本体11の延在方向において他の部材と係止可能に構成されている。第2鍔部13は、チューブ本体11の延在方向から見て略円形状の外形を有している。上記延在方向から見たときの第2鍔部13の外径は、たとえば、チューブ本体11の外径の1.8倍以上である。
【0027】
第2鍔部13は、第2大径部131と第2小径部132とを有している。第2大径部131および第2小径部132は、チューブ本体11の延在方向に並んでいる。第2大径部131から見て第2小径部132は第1鍔部12側とは反対側に位置している。第2大径部131および第2小径部132は、いずれも、上記延在方向から見て略円形状の外形を有している。上記延在方向から見て、第2大径部131の外径は、第2小径部132の外径より大きい。なお、単に第2鍔部13の外径という場合、本実施形態においては、第2大径部131の外径が第2鍔部13の外径である。
【0028】
次に、フィンガポンプ装置20について説明する。図1および図2に示すように、医療装置1は、複数のフィンガポンプ装置20として、第1フィンガポンプ装置20Aと、第2フィンガポンプ装置20Bと、第3フィンガポンプ装置20Cとを備える。
【0029】
第1フィンガポンプ装置20Aは、具体的には透析液用チューブである第1チューブ10A内の透析液を輸送する透析液ポンプである。すなわち、第1フィンガポンプ装置20Aには、第1チューブ10Aが取り付けられる。本実施形態において、第1チューブ10Aのうち、血液浄化器2に接続された下流端と、第3チューブ10Cが接続されている箇所との間の部分が、第1フィンガポンプ装置20Aに取り付けられる。
【0030】
第2フィンガポンプ装置20Bは、具体的には排液用チューブである第2チューブ10B内の排液を輸送する排液ポンプである。すなわち、第2フィンガポンプ装置20Bには、第2チューブ10Bが取り付けられる。本実施形態において、第2チューブ10Bのうち、血液浄化器2に接続された上流端と、第1接続管路6aが接続されている箇所との間の部分が、第2フィンガポンプ装置20Bに取り付けられる。
【0031】
第3フィンガポンプ装置20Cは、具体的には補液用チューブである第3チューブ10C内の補液を輸送する補液ポンプである。すなわち、第3フィンガポンプ装置20Cには、第3チューブ10Cが取り付けられる。本実施形態において、第3チューブ10Cのうち、静脈側血液回路5(または動脈側血液回路4)に接続された下流端と、第2接続管路6cとが接続された箇所との間の部分が、第3フィンガポンプ装置20Cに取り付けられる。
【0032】
これらの複数のフィンガポンプ装置20の相対的な位置関係は特に限定されないが、医療装置1の操作性の観点から、複数のフィンガポンプ装置20は一列に並んでいることが好ましい。本実施形態において、複数のフィンガポンプ装置20は、鉛直方向に並んでいる。より具体的には、第2フィンガポンプ装置20Bが、第1フィンガポンプ装置20Aの下方に位置し、第3フィンガポンプ装置20Cが、第1フィンガポンプ装置20Aの上方に位置している。
【0033】
医療装置1は、筐体30をさらに備えている。筐体30は、鉛直方向に沿って延びる取付面31を有している。複数のフィンガポンプ装置20の各々は、当該取付面31においてその一部分が露出するように、筐体30内に収容されている。複数のフィンガポンプ装置20は、それぞれ、対応するチューブ10を、筐体30の取付面31側から操作者が取付可能に構成されている。
【0034】
筐体30は、ポンプカバー32を有している。ポンプカバー32は、開閉可能に取付面31に取り付けられている。ポンプカバー32は、複数のフィンガポンプ装置20の各々の少なくとも一部分を覆っている。ポンプカバー32が閉状態となっているとき、フィンガポンプ装置20によるチューブ10内の液体の移送が可能となる。ポンプカバー32が開状態となっているとき、フィンガポンプ装置20へのチューブ10の取り付け、および、チューブ10の取り外しが可能となる。
【0035】
次に、一のフィンガポンプ装置20の具体的な構成について説明する。なお、本実施形態において、第1フィンガポンプ装置20A、第2フィンガポンプ装置20B、および、第3フィンガポンプ装置20Cは、いずれも、下記に説明するフィンガポンプ装置20の構成を有している。ただし、第1フィンガポンプ装置20A、第2フィンガポンプ装置20B、または、第3フィンガポンプ装置20Cのうち少なくとも1つが、下記に説明する構成を有していてもよい。また、下記の説明において述べるチューブ10は、特に説明が無い限り、当該一のフィンガポンプ装置20に取り付けられるチューブ10である。
【0036】
図4は、本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の正面図である。図5は、本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の正面側の斜視図である。図6は、図4のフィンガポンプ装置をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。図4および図6においては、フィンガポンプ装置20に取り付けられたチューブ10を二点鎖線にて示している。また、図4から図6においては、フィンガポンプ装置20のうち一部の構成を図示していない場合がある。
【0037】
図4から図6に示すように、フィンガポンプ装置20は、ポンプユニット21と、第1チューブ把持部22と、第2チューブ把持部23と、第1凹条部24と、スロット部25と、第2凹条部26と、を備えている。
【0038】
ポンプユニット21は、複数のフィンガ形のバルブ21Bと、複数の偏心カムローラ21Cと、回転シャフト211と、ステッピングモータ212と、駆動軸213と、駆動ベルト214と、フィンガケース215と、ベースプレート216とを有している(図6参照)。具体的には、ポンプユニット21は、5つのバルブ21Bを有している。ポンプユニット21は、複数のバルブ21Bとして、バルブ21B1,21B2,21B3,21B4,21B5を有している。複数のバルブ21Bは、チューブ本体11の延在方向(より具体的には、後述する横方向X)に沿って並んでいる。
【0039】
複数のバルブ21Bの各々は、バルブヘッド21H、シャフト21S、および、当接ローラ21Rを含む。当接ローラ21Rには、偏心カムローラ21Cの側面が当接している。バルブ21B1に対応する偏心カムローラ21C1、バルブ21B2に対応する偏心カムローラ21C2、バルブ21B3に対応する偏心カムローラ21C3、バルブ21B4に対応する偏心カムローラ21C4および、バルブ21B5に対応する偏心カムローラ21C5は、同一の回転シャフト211に対して回転方向の位相が所定角度ずれて取り付けられている。
【0040】
ステッピングモータ212の駆動軸213と回転シャフト211との間には、駆動ベルト214が巻き掛けられている。ステッピングモータ212による回転位置制御は、駆動ベルト214を介して回転シャフト211に伝達される。
【0041】
ステッピングモータ212により、複数の偏心カムローラ21C1,21C2,21C3,21C4,21C5の回転位置を制御することで、複数のバルブ21B1,21B2,21B3,21B4,21B5の位置制御を行うことができる。これにより、複数のバルブ21B1,21B2,21B3,21B4,21B5を順次移動させることで、チューブ10(チューブ本体11)内の液体の移送を実現させることができる。本実施形態に係る医療装置1においては、血液浄化装置として透析液、排液、または補液を移送する観点から、フィンガポンプ装置20によるチューブ10内の液体の流量は10mL/分以上であることが好ましい。また、複数のバルブ21B1,21B2,21B3,21B4,21B5の移動の順序を選択することで、チューブ10(チューブ本体11)内の液体をどちらの方向にも移送させることができる。
【0042】
フィンガケース215は、筐体30側に固定されている。シャフト21Sは、フィンガケース215を貫通している。フィンガケース215と当接ローラ21Rとの間には、コイルばね21CBが装着されている。圧縮されたコイルばね21CBの付勢力により、バルブ21Bは常に偏心カムローラ21Cに押圧されている。
【0043】
ベースプレート216は、チューブ10(より具体的には、チューブ本体11のうち第1鍔部12と第2鍔部13との間に位置する部分)を介して複数のバルブ21Bと対向するように位置している。ベースプレート216は、チューブ10を取り付けるため、後述するように筐体30に対して変位可能に構成されている。バルブヘッド21Hは、ベースプレート216に向かって突出する突出部21Tを有している。突出部21Tは、チューブ10の延在方向に対して公差する方向に延びる頂部を有している。これにより、偏心カムローラ21Cによってバルブ21Bがベースプレート216に向かって押圧された場合には、突出部21Tがチューブ10に線接触した状態で食い込み、チューブ10を確実に変形させる。
【0044】
このように、ポンプユニット21は、複数のバルブ21Bの各々が、チューブ本体11のうち第1鍔部12と第2鍔部13との間に位置する部分を、ベースプレート216とともに、チューブ本体11の延在方向に直交する方向に挟み込むように構成されている。なお、複数のバルブ21Bは、チューブ本体11の延在方向に沿って、第1鍔部12側から第2鍔部13側に向かって、バルブ21B1、バルブ21B2、バルブ21B3、バルブ21B4、バルブ21B5の順に並んでいる。
【0045】
また、ベースプレート216は、ポンプカバー32に取り付けられている。ポンプカバー32は、ポンプカバー32が閉状態となっているとき、ベースプレート216が複数のバルブ21Bと対向するように構成されている。このため、上述したように、ポンプカバー32が閉状態となっているとき、フィンガポンプ装置20によるチューブ10内の液体の移送が可能となる。また、ポンプカバー32が開状態となっているとき、ベースプレート216が複数のバルブ21Bのバルブヘッド21Hと対向しない位置に位置するように、ポンプカバー32が構成されている。このため、上述したように、ポンプカバー32が開状態となっているとき、フィンガポンプ装置20へのチューブ10の取り付け、および、チューブ10の取り外しが可能となる。
【0046】
図4から図6に示すように、第1チューブ把持部22は、ポンプユニット21と第1鍔部12との間に位置している。第1チューブ把持部22は、チューブ本体11をチューブ本体11の延在方向に直交する方向において取り外し可能に保持しつつ、上記延在方向において第1鍔部12と係止する。具体的には、チューブ本体11は、第1チューブ把持部22から、医療装置1を筐体30の取付面31から見たときにフィンガポンプ装置20から離れる方向(以下、「手前方向Z1」という場合がある。)に、取り外すことができる。また、上記延在方向において、第1チューブ把持部22は、第1大径部121と係止する。なお、第1チューブ把持部22は、後述する第2チューブ把持部23と同様に、筐体30側から取り外し可能に構成されていてもよい。
【0047】
第1チューブ把持部22は、第1把持面221と、第1当接面222とを有している。第1把持面221は、上記延在方向から見て略円弧状である。第1把持面221は、上記延在方向から見て略C字状である。すなわち、第1チューブ把持部22は、手前方向Z1に開口している。第1把持面221は、チューブ本体11の外周面111に沿うように形成されている。第1当接面222は、上記延在方向のうち、ポンプユニット21側とは反対側を向いている。第1当接面222は、第1鍔部12(第1大径部121)と当接する。
【0048】
第2チューブ把持部23は、ポンプユニット21と第2鍔部13との間に位置している。第2チューブ把持部23は、チューブ本体11を上記延在方向に直交する方向において取り外し可能に保持しつつ、上記延在方向において第2鍔部13と係止する。具体的には、チューブ本体11は、筐体30側から第2チューブ把持部23を取り外した後に(詳細は後述する)、第2チューブ把持部23から取り外すことができる。図5においては、第2チューブ把持部23が取り外された状態のフィンガポンプ装置20が示されている。なお、第2チューブ把持部23は、第1チューブ把持部22と同様に、筐体30側に固定されていてもよい。
【0049】
図7は、本開示の一実施形態における第2チューブ把持部と、これに把持された各チューブとを示す斜視図である。図8は、本開示の一実施形態における第2チューブ把持部の斜視図である。図7および図8に示すように、チューブ本体11は、第2チューブ把持部23から、医療装置1を筐体30の取付面31から見たときに、フィンガポンプ装置20に向かう方向(以下、「奥方向Z2」という場合がある。)に取り外すことができる。また、上記延在方向において、第2チューブ把持部23は、第2大径部131と係止する。
【0050】
第2チューブ把持部23は、第2把持面231と、第2当接面232とを有している。第2チューブ把持部23は、上記延在方向から見て略円弧状である。第2把持面231は、上記延在方向から見て略C字状である。すなわち、第2チューブ把持部23は、奥方向Z2に開口している。第2把持面231は、チューブ本体11の外周面111に沿うように形成されている。第2当接面232は、上記延在方向のうち、ポンプユニット21側とは反対側を向いている。第2当接面232は、第2鍔部13(第2大径部131)と当接する。
【0051】
第1チューブ10Aを把持する第2チューブ把持部23、第2チューブ10Bを把持する第2チューブ把持部23、および、第3チューブ10Cを把持する第2チューブ把持部23は、互いに接続されている。これらの複数の第2チューブ把持部23は、把持プレート23Pとして一体の部材で構成されている。把持プレート23Pは、複数のチューブ10が並ぶ方向に延びている。把持プレート23Pの一方の主面は、複数の第2当接面232を有している。なお、複数の第2チューブ把持部23は、互いに接続されていなくてもよい。
【0052】
図4から図6に示すように、ポンプユニット21、第1チューブ把持部22、および、第2チューブ把持部23は、互いに横方向Xに並んでいる。本実施形態において、横方向Xは水平方向である。そして、チューブ10がフィンガポンプ装置20に取り付けられていない状態における、第1鍔部12と第2鍔部13とのチューブ10の延在方向における離隔距離は、フィンガポンプ装置20に取り付けられた状態(すなわち、第1チューブ把持部22および第2チューブ把持部23の両方に係止している状態)のチューブ10における、第1鍔部12と第2鍔部13との直線距離より長い。このため、チューブ本体11は、第1鍔部12と第2鍔部13との間において下方に撓んでいる。
【0053】
図9は、本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の第1凹条部およびその周辺を示す部分的な正面図である。図4から図6および図9に示すように、第1凹条部24は、ポンプユニット21と第1チューブ把持部22の間に位置している。具体的には、第1凹条部24は、第1鍔部12および第1チューブ把持部22の最も近くに位置するバルブ21B1と、第1チューブ把持部22との間に位置している。さらに具体的には、第1凹条部24は、バルブ21B1のバルブヘッド21Hと、第1チューブ把持部22との間に位置している。バルブ21B1のバルブヘッド21Hと、第1凹条部24との間には、他の部材が位置していない。
【0054】
第1凹条部24は、チューブ本体11を非接触に取り囲む。第1凹条部24は、第1内周面241を有している。第1内周面241は、上記延在方向(または、第1チューブ把持部22と第2チューブ把持部23とが並ぶ方向である横方向X)から見て略円弧状である。第1内周面241は、チューブ10の延在方向から見て略C字状である。すなわち、第1凹条部24は、手前方向Z1に開口している。なお、第1凹条部24は、略円弧状の第1内周面241を有していなくてもよい。たとえば、第1凹条部24は、上記延在方向から見たときにコの字状に形成されることで、手前方向Z1に開口してもよい。
【0055】
第1凹条部24の溝幅である第1溝幅W1の寸法は、上記延在方向(または、第1チューブ把持部22と第2チューブ把持部23とが並ぶ方向である横方向X)から見た時の第1把持面221の内周面の直径D1より大きい。なお、第1溝幅W1は、第1凹条部24を開口方向(すなわち手前方向Z1)から見た時の、上下方向Yの長さである。なお、上下方向Yは、横方向Xおよび手前方向Z1の両方に直交する方向である。第1溝幅W1は、第1鍔部12の外径より小さい。第1溝幅W1は、チューブ本体の11の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である。第1溝幅W1は、上下方向Yにおけるバルブヘッド21Hの高さより小さい。
【0056】
また、第1溝幅W1の寸法は、上記延在方向から見たときの第1内周面241の直径と等しい。このため、上記延在方向から見たときの第1内周面241の直径は、第1把持面221の内周面の直径D1より大きい。上記延在方向から見たときの第1内周面241の直径は、第1鍔部12の外径より小さい。上記延在方向から見たときの第1内周面241の直径は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である。延在方向から見たときの第1内周面241の外径は、上下方向Yにおけるバルブヘッド21Hの高さより小さい。
【0057】
第1凹条部24は、第1凹条部24の延びる方向におけるポンプユニット21側の開口端部242において、ポンプユニット21に近づくにつれて第1溝幅W1が徐々に大きくなるような第1拡幅部243を有している。第1拡幅部243は、開口端部242が面取りされることで形成されている。当該面取りは、本実施形態においてはいわゆるR面取りであるが、C面取りであってもよい。換言すれば、手前方向Z1から見て、第1拡幅部243の上下方向Yにおける端縁は、本実施形態において曲線状に延びているが、直線状に延びていてもよい。第1拡幅部243の最大幅WM1(上下方向Yにおける最大長さ)の寸法は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上である。また、第1拡幅部243の最大幅WM1は、より好ましくは、チューブ本体11の外径の1.4倍以上であり、さらに好ましくは1.6倍以上である。また、第1拡幅部243において、第1内周面241は拡径するように拡がっている。
【0058】
スロット部25は、第2チューブ把持部23をチューブ10とともに手前方向Z1に取り外し可能に保持している。第1チューブ10A、第2チューブ10B、および第3チューブ10Cのそれぞれに対応するスロット部25は、互いに上下方向Yに接続されており、プレートスロット部25Pを構成している。プレートスロット部25Pは、把持プレート23Pを第1チューブ10A、第2チューブ10Bおよび第3チューブ10Cとともに手前方向Z1に取り外し可能に保持している。
【0059】
図10は、本開示の一実施形態におけるフィンガポンプ装置の第2凹条部およびその周辺を示す部分的な正面図である。図4から図6および図10に示すように、第2凹条部26は、ポンプユニット21とスロット部25との間に位置している。具体的には、第2凹条部26は、第2鍔部13および第2チューブ把持部23の最も近くに位置するバルブ21B5と、第2チューブ把持部23との間に位置している。さらに具体的には、第2凹条部26は、バルブ21B5のバルブヘッド21Hと、第2チューブ把持部23との間に位置している。バルブ21B5のバルブヘッド21Hと、第2凹条部26との間には、他の部材が位置していない。
【0060】
第2凹条部26は、チューブ本体11を非接触に取り囲む。第2凹条部26は、第2内周面261を有している。第2内周面261は、上記延在方向(または横方向X)から見て略円弧状である。第2内周面261は、チューブ10の延在方向から見て略C字状である。すなわち、第2凹条部26は、手前方向Z1に開口している。なお、第2凹条部26は、略円弧状の第2内周面261を有していなくてもよい。たとえば、第2凹条部26は、上記延在方向から見たときにコの字状に形成されることで、手前方向Z1に開口してもよい。
【0061】
第2凹条部26の溝幅である第2溝幅W2の寸法は、上記延在方向(または、第1チューブ把持部22と第2チューブ把持部23とが並ぶ方向である横方向X)から見た時の第2把持面231の内周面の直径D2より大きい。なお、第2溝幅W2は、第2凹条部26を開口方向(すなわち手前方向Z1)から見た時の、上下方向Yの長さである。第2溝幅W2は、第1鍔部12の外径より小さい。第2溝幅W2は、チューブ本体の11の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である。第2溝幅W2は、上下方向Yにおけるバルブヘッド21Hの高さより小さい。
【0062】
また、第2溝幅W2の寸法は、上記延在方向から見たときの第2内周面261の直径と等しい。このため、上記延在方向から見たときの第2内周面261の直径は、第2把持面231の直径D2より大きい。上記延在方向から見たときの第2内周面261の直径は、第2鍔部13の外径より小さい。上記延在方向から見たときの第2内周面261の直径は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である。延在方向から見たときの第2内周面261の外径は、上下方向Yにおけるバルブヘッド21Hの高さより小さい。
【0063】
第2凹条部26は、第2凹条部26の延びる方向におけるポンプユニット21側の開口端部262において、ポンプユニット21に近づくにつれて第2溝幅W2が徐々に大きくなるような第2拡幅部263を有している。第2拡幅部263は、開口端部262が面取りされることで形成されている。当該面取りは、本実施形態においてはいわゆるR面取りであるが、C面取りであってもよい。換言すれば、手前方向Z1から見て、第2拡幅部263の上下方向Yにおける端縁は、本実施形態において曲線状に延びているが、直線状に延びていてもよい。第2拡幅部263の最大幅WM2(上下方向Yにおける最大長さ)の寸法は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上である。また、第2拡幅部263の最大幅WM2は、より好ましくは、チューブ本体11の外径の1.4倍以上であり、さらに好ましくは1.6倍以上である。また、第2拡幅部263において、第2内周面261は拡径するように拡がっている。
【0064】
本実施形態において、フィンガポンプ装置20は、第3凹条部27と、第1嵌込部28と、第2嵌込部29とをさらに備える。
【0065】
第3凹条部27は、チューブ10の延在方向において、第2チューブ把持部23と第2凹条部26との間に位置している。第3凹条部27は、チューブ本体11を取り囲んでいる。手前方向Z1から見たときの第3凹条部27の第3内周面271の上下方向Yにおける長さは、第2凹条部26をチューブ10の延在方向から見たときの第2内周面261の直径より小さい。フィンガポンプ装置20は、第3凹条部27を備えていなくてもよい。この場合、第2チューブ把持部23と第2凹条部26とが横方向Xにおいて隣接していてもよい。
【0066】
第1嵌込部28は、チューブ10の延在方向において、第1チューブ把持部22から見てポンプユニット21とは反対側に位置している。第1嵌込部28には、第1鍔部12が嵌め込まれている。第1嵌込部28の上下方向Yにおける最大長さ(すなわち、第1嵌込部28において第1大径部121が嵌め込まれる部分の上下方向Yにおける長さ)は、チューブ10の延在方向から見たときの第1凹条部24の第1内周面241の直径より大きい。フィンガポンプ装置20は、第1嵌込部28を必ずしも備えていなくてもよい。
【0067】
第2嵌込部29は、チューブ10の延在方向において、第2チューブ把持部23から見てポンプユニット21とは反対側に位置している。第2嵌込部29には、第2鍔部13(本実施形態においては第2大径部131のみ)が嵌め込まれている。第2嵌込部29の上下方向にYにおける最大長さは、チューブ10の延在方向から見たときの第2凹条部26の第2内周面261の直径より大きい。フィンガポンプ装置20は、第2嵌込部29を必ずしも備えていなくてもよい。
【0068】
本実施形態において、チューブ10をフィンガポンプ装置20に取り付けるためには、まず、把持プレート23Pの各第2チューブ把持部23に、それぞれ、複数のチューブ10のチューブ本体11を保持させる。そして、ポンプカバー32を開状態にした上で、把持プレート23Pをプレートスロット部25Pに挿入しつつ、各チューブ10について、第1チューブ把持部22にチューブ本体11を保持させ、第1嵌込部28に第1鍔部12を嵌め込み、第2嵌込部29に第2鍔部13を嵌め込む。その後、ポンプカバー32を閉状態にして、チューブ本体11を介して複数のバルブヘッド21Hとベースプレート216とを対向させる。これにより、フィンガポンプ装置20へのチューブ10の取り付けが完了する。
【0069】
そして、本開示の一実施形態に係る医療装置1においては、第1凹条部24が、ポンプユニット21と第1チューブ把持部22の間に位置している。第1凹条部24は、チューブ本体11を非接触に取り囲む。第1チューブ把持部22は、第1把持面221を有している。第1把持面221は、上記延在方向から見て略円弧状である。第1把持面221は、チューブ本体11の外周面111に沿うように形成されている。第1凹条部24の溝幅である第1溝幅W1の寸法は、上記延在方向から見た時の第1把持面221の内周面の直径D1より大きい。
【0070】
上記の構成によれば、第1凹条部24によって、バルブ21B(具体的にはバルブ21B1のバルブヘッド21H)と第1チューブ把持部22との間にチューブ10(具体的にはチューブ本体11)が噛み込むことを抑制できる。また、第1凹条部24がチューブ10を取り囲むため、第1凹条部24は、操作者がチューブ10をフィンガポンプ装置20に取り付けるときのガイドとなる。このため、フィンガポンプ装置20へのチューブ10の取付性の低下を抑制できる。さらには、第1溝幅W1の寸法は、上記延在方向から見た時の第1把持面221の内周面の直径D1より大きいため、第1凹条部24へのチューブ10の張り付きが抑制される。これにより、バルブ21Bが駆動した際に、第1凹条部24を支点とするチューブ10の変形が抑制される。ひいては、バルブ21Bと第1凹条部24との間にチューブ10が噛み込むことを抑制できる。
【0071】
本開示の一実施形態において、第1溝幅W1の寸法は、第1鍔部12の外径より小さい。
【0072】
上記の構成によれば、医療装置1の操作者が、第1鍔部12を第1凹条部24に誤って取り付けることを抑制できる。
【0073】
本開示の一実施形態において、第1溝幅W1の寸法は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である。
【0074】
上記の構成によれば、第1溝幅W1の寸法がチューブ本体11の外径の1.2倍以上であることで、第1凹条部24へのチューブ10の張り付きがより抑制される。さらに、第1溝幅W1の寸法がチューブ本体11の外径の1.8倍以下であることで、医療装置1の操作者が、第1鍔部12を第1凹条部24に誤って取り付けることを十分に抑制できる。
【0075】
本開示の一実施形態において、第1凹条部24は、第1凹条部24の延びる方向におけるポンプユニット21側の開口端部242において、ポンプユニット21に近づくにつれて第1溝幅W1が徐々に大きくなるような第1拡幅部243を有している。
【0076】
上記の構成によれば、第1凹条部24のうち開口端部242近傍でのチューブ本体11の張り付きがさらに抑制される。
【0077】
本開示の一実施形態において、第1拡幅部243の最大幅WM1の寸法は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上である。
【0078】
上記の構成によれば、第1凹条部24のうち開口端部242近傍でのチューブ本体11の張り付きがさらに一層抑制される。
【0079】
本開示の一実施形態においては、第2凹条部26が、ポンプユニット21とスロット部25との間に位置している。第2凹条部26は、チューブ本体11を非接触に取り囲む。第2チューブ把持部23は、第2把持面231を有している。第2チューブ把持部23は、上記延在方向から見て略円弧状である。第2把持面231は、チューブ本体11の外周面111に沿うように形成されている。第2凹条部26の溝幅である第2溝幅W2の寸法は、上記延在方向から見たときの第2把持面231の内周面の直径D2より大きい。
【0080】
上記の構成によれば、第2凹条部26によってバルブ21B(具体的にはバルブ21B5のバルブヘッド21H)と第2チューブ把持部23またはスロット部25との間にチューブ10が噛み込むことを抑制できる。また、第2凹条部26がチューブ10を取り囲むため、第2凹条部26は、操作者がチューブ10をフィンガポンプ装置20に取り付けるときのガイドとなる。このため、フィンガポンプ装置20へのチューブ10の取付性の低下を抑制できる。さらには、第2溝幅W2の寸法は、上記延在方向から見たときの第2把持面231の内周面の直径D2より大きいため、第2凹条部26へのチューブ10の貼り付きが抑制される。これにより、バルブ21Bが駆動した際に、第2凹条部26を支点とするチューブ10の変形が抑制される。ひいては、バルブ21Bと第2凹条部26との間にチューブ10が噛み込むことを抑制できる。
【0081】
本開示の一実施形態においては、第2溝幅W2の寸法が、第2鍔部13の外径より小さい。
【0082】
上記の構成によれば、医療装置1の操作者が、第2鍔部13を第2凹条部26に誤って取り付けることを抑制できる。
【0083】
本開示の一実施形態において、第2溝幅W2の寸法は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上かつ1.8倍以下である。
【0084】
上記の構成によれば、第2溝幅W2の寸法がチューブ本体11の外径の1.2倍以上であることで、第2凹条部26へのチューブ10の張り付きがより抑制される。さらに、第2溝幅W2の寸法がチューブ本体11の外径の1.8倍以下であることで、医療装置1の操作者が、第2鍔部13を第2凹条部26に誤って取り付けることを十分に抑制できる。
【0085】
本開示の一実施形態において、第2凹条部26は、第2凹条部26の延びる方向におけるポンプユニット21側の開口端部262において、ポンプユニット21に近づくにつれて第1溝幅W1が徐々に大きくなるような第2拡幅部263を有している。
【0086】
上記の構成によれば、第2凹条部26のうち開口端部262近傍でのチューブ本体11の張り付きがさらに抑制される。
【0087】
本開示の一実施形態において、第2拡幅部263の最大幅WM2の寸法は、チューブ本体11の外径の1.2倍以上である。
【0088】
上記の構成によれば、第2凹条部26のうち開口端部262近傍でのチューブ本体11の張り付きがさらに一層抑制される。
【0089】
本開示の一実施形態においては、チューブ10がフィンガポンプ装置20に取り付けられていない状態における第1鍔部12と第2鍔部13との上記延在方向の離隔距離は、フィンガポンプ装置20に取り付けられた状態のチューブ10における、第1鍔部12と第2鍔部13との直線距離より長い。
【0090】
上記の構成によれば、チューブ本体11のうちポンプユニット21に対応する部分が撓む。これにより、チューブ本体11がポンプユニット21のバルブ21Bに挟み込まれたときに、チューブ本体11が延在方向に引き延ばされて意図しない変形をすることが抑制される。ひいては、フィンガポンプ装置20により所定の流量にて安定的にチューブ本体11内の液体を輸送することができる。
【0091】
本開示の一実施形態においては、ポンプユニット21、第1チューブ把持部22、および、第2チューブ把持部23は、互いに水平方向に並んでいる。
【0092】
上記の構成によれば、チューブ本体11のうちポンプユニット21に対応する部分が、その自重によりさらに撓みやすくなる。これにより、チューブ本体11がポンプユニット21のバルブ21Bに挟み込まれたときに、チューブ本体11が延在方向に引き延ばされて意図しない変形をすることがより抑制される。ひいては、フィンガポンプ装置20により所定の流量にて安定的にチューブ本体11内の液体を輸送することができる。
【0093】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0094】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1 医療装置、2 血液浄化器、2a 透析液入口、2b 排液出口、2c 血液入口、2d 血液出口、3 供給源、4 動脈側血液回路、4a 動脈側エアトラップチャンバ、4b 血液ポンプ、5 静脈側血液回路、5a 静脈側エアトラップチャンバ、6a 第1接続管路、6b 第1計量バッグ、6c 第2接続管路、6d 第2計量バッグ、7 秤、10 チューブ、10A 第1チューブ、10B 第2チューブ、10C 第3チューブ、11 チューブ本体、111 外周面、12 第1鍔部、121 第1大径部、122 第1小径部、13 第2鍔部、131 第2大径部、132 第2小径部、20 フィンガポンプ装置、20A 第1フィンガポンプ装置、20B 第2フィンガポンプ装置、20C 第3フィンガポンプ装置、21 ポンプユニット、21B,21B1,21B2,21B3,21B4,21B5 バルブ、21C,21C1,21C2,21C3,21C4,21C5 偏心カムローラ、21CB コイルばね、21H バルブヘッド、21R 当接ローラ、21S シャフト、21T 突出部、211 回転シャフト、212 ステッピングモータ、213 駆動軸、214 駆動ベルト、215 フィンガケース、216 ベースプレート、22 第1チューブ把持部、221 第1把持面、222 第1当接面、23 第2チューブ把持部、23P 把持プレート、231 第2把持面、232 第2当接面、24 第1凹条部、241 第1内周面、242 開口端部、243 第1拡幅部、25 スロット部、25P プレートスロット部、26 第2凹条部、261 第2内周面、262 開口端部、263 第2拡幅部、27 第3凹条部、271 内周面、28 第1嵌込部、29 第2嵌込部、30 筐体、31 取付面、32 ポンプカバー。
図1
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図3
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図10