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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060060
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20240423BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20240423BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240423BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/133
H01M50/121
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038849
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2019218916の分割
【原出願日】2019-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】大岡 愛佳
(57)【要約】
【課題】フィルムの耐破断性を向上させる。
【解決手段】フィルム200は、第1収容部210、第2収容部220を有している。第1収容部210は、電池要素100の一方の側を覆っている。第2収容部220は、電池要素100の上記一方の側の反対側の他方の側を覆っている。フィルム200のうち第1収容部210及び第2収容部220のうちの一方から他方にかけて折り返されている部分には、凹部232が形成されている。凹部232は、電池要素100に向けて凹んでいる。また、凹部232は、電池要素100のうち上記一方の側から上記他方の側に向かう方向に直交する一方向に沿って延伸している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極及びセパレータを有する電池要素と、
前記電池要素の一方の側を覆う第1収容部と、前記電池要素の前記一方の側の反対側の他方の側を覆う第2収容部と、を有するフィルムと、
備え、
前記フィルムのうち前記第1収容部及び前記第2収容部のうちの一方から他方にかけて折り返されている部分には、前記電池要素に向けて凹み、かつ前記電池要素のうち前記一方の側から前記他方の側に向かう方向に直交する一方向に沿って延伸する凹部が設けられており、
前記凹部の少なくとも一部分は、前記フィルムの前記部分のうち前記電池要素の前記一方向の中心と重なる部分に位置している、電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池において、
前記凹部は、前記電池要素に向けて凸に湾曲している、電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池において、
前記一方向における前記電池要素の端部から前記一方向における前記電池要素の全長の1/4までの範囲において、前記フィルムのうち前記凹部が設けられている部分の厚さの平均に対する標準偏差の比は、0.0500以下である、電池。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電池において、
前記凹部の深さは、前記一方向において前記電池要素の中心から離れるにつれて浅くなっている、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池、フィルムの製造方法及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非水電解液二次電池、特に、リチウムイオン二次電池が開発されている。リチウムイオン二次電池は、正極、負極及びセパレータを有する電池要素を備えている。正極及び負極は、セパレータによって隔てられている。電池要素は、フィルムによって包まれている。
【0003】
特許文献1には、フィルムの一例について記載されている。このフィルムには、大型の電池要素をフィルムによって包む際にフィルムにしわが生じないようにするため、電池要素の一方の側を覆うための一の凹部と、電池要素の当該一方の反対側の他方を覆うための他の凹部と、がフィルムに設けられている。これら2つの凹部は、ダイと、2つのパンチと、の間にフィルムを配置して、2つのパンチをダイに押し込むことで形成されている。2つのパンチがダイに押し込まれる時、2つのパンチの間では、フィルムがフィルムの厚さ方向においてビードとダイとによって挟まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-71301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、フィルムに2つの凹部が形成されることがある。例えば特許文献1では、上述したように、フィルムを介して2つのパンチをダイに押し込むことでフィルムに2つの凹部を形成する時、2つのパンチの間において、フィルムの厚さ方向にフィルムの両側からフィルムに力を加えている。しかしながら、この方法は、フィルムの耐破断性に影響を与え得ることを本発明者は見出した。
【0006】
本発明の目的の一例は、フィルムの耐破断性を向上させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
正極、負極及びセパレータを有する電池要素と、
前記電池要素の一方の側を覆う第1収容部と、前記電池要素の前記一方の側の反対側の他方の側を覆う第2収容部と、を有するフィルムと、
備え、
前記フィルムのうち前記第1収容部及び前記第2収容部のうちの一方から他方にかけて折り返されている部分には、前記電池要素に向けて凹み、かつ前記電池要素のうち前記一方の側から前記他方の側に向かう方向に直交する一方向に沿って延伸する凹部が設けられている、電池である。
【0008】
本発明の他の一態様は、
第1開口及び第2開口を有する第1型と、第1ブロック及び第2ブロックを有する第2型と、の間に、フィルムを配置して、前記第2型の前記第1ブロックを前記第1型の前記第1開口に入り込ませることで前記フィルムに第1収容部を形成し、前記第2型の前記第2ブロックを前記第1型の前記第2開口に入り込ませることで前記フィルムに第2収容部を形成する工程を備え、
前記第1型は、前記第1開口と前記第2開口との間に位置し、先端が当該先端の先方に向けて凸に湾曲した突出部を有しており、
前記第1収容部及び前記第2収容部を形成する工程は、前記第1型の前記突出部の反対側から前記フィルムに押圧を加えることなく、前記フィルムを前記第1型の前記突出部の前記先端に接触させる工程を有する、フィルムの製造方法である。
【0009】
本発明のさらに他の一態様は、
上記態様に係るフィルムの製造方法と、
前記第1収容部及び前記第2収容部のうちの一方から他方にかけて前記フィルムを折り返して、正極、負極及びセパレータを有する電池要素の一方の側を前記フィルムの前記第1収容部によって覆い、かつ前記電池要素の前記一方の側の反対側の他方の側を前記フィルムの前記第2収容部によって覆う工程と、
を備える、電池の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、フィルムの耐破断性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る電池の上面図である。
図2図1に示した電池の側面図である。
図3図1のA-A´断面図である。
図4図1から図3に示した電池要素の一例の分解斜視図である。
図5図1から図4を用いて説明した電池のフィルムを製造(加工)する装置の平面図である。
図6図5のB-B´断面図である。
図7図6において破線で囲まれた領域αの拡大図である。
図8図5から図7によって示される装置によって製造(加工)されたフィルムによって電池要素を包む方法(すなわち、電池の製造方法)の一例を説明するための図である。
図9】比較例に係るフィルムの製造(加工)方法を説明するための図である。
図10】フィルムの厚さを測定した位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」等の序数詞は、特に断りのない限り、同様の名称が付された構成を単に区別するために付されたものであり、構成の特定の特徴(例えば、順番又は重要度)を意味するものではない。
【0014】
図1は、実施形態に係る電池10の上面図である。図2は、図1に示した電池10の側面図である。図3は、図1のA-A´断面図である。図4は、図1から図3に示した電池要素100の一例の分解斜視図である。
【0015】
図1から図4において、第1方向Xは、電池10(電池要素100)の長さ方向である。第1方向Xの正方向(第1方向Xを示す矢印によって示される方向)は、後述する第2リード122から後述する第1リード112に向かう方向である。第1方向Xの負方向(第1方向Xを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、第1リード112から第2リード122に向かう方向である。第2方向Yは、第1方向Xに交わる方向、具体的には、第1方向Xに直交する方向であり、電池10(電池要素100)の幅方向である。第2方向Yの正方向(第2方向Yを示す矢印によって示される方向)は、電池10を第1方向Xの正方向から見て、電池10の右方向である。第2方向Yの負方向(第2方向Yを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、電池10を第1方向Xの正方向から見て、電池10の左方向である。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に交わる方向、具体的には、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交する方向であり、電池10(電池要素100)の厚さ(高さ)方向である。第3方向Zの正方向(第3方向Zを示す矢印によって示される方向)は、電池10の上方向である。第3方向Zの負方向(第3方向Zを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、電池10の下方向である。
【0016】
本実施形態において、電池10は、リチウムイオン二次電池である。ただし、電池10は、リチウムイオン二次電池と異なる電池であってもよい。
【0017】
図3を用いて、電池10の概要を説明する。電池10は、電池要素100及びフィルム200を備えている。電池要素100は、正極110、負極120及びセパレータ130を有している。フィルム200は、第1収容部210、第2収容部220を有している。第1収容部210は、電池要素100の一方の側(第3方向Zの正方向側)を覆っている。第2収容部220は、電池要素100の上記一方の側の反対側の他方の側(第3方向Zの負方向側)を覆っている。フィルム200のうち第1収容部210及び第2収容部220のうちの一方から他方にかけて折り返されている部分には、凹部232が形成されている。凹部232は、電池要素100に向けて(第2方向Yの負方向に向けて)凹んでいる。また、凹部232は、電池要素100のうち上記一方の側から上記他方の側に向かう方向(第3方向Zの負方向)に直交する一方向(第1方向X(例えば、図1又は図2))に沿って延伸している。
【0018】
フィルム200の凹部232は、図5から図8を用いて後述する方法によって設けられている。後述するように、図5から図8を用いて説明する方法によって製造されたフィルム200は、高耐破断性を有している。
【0019】
図1から図4を用いて、電池10の詳細を説明する。
【0020】
電池要素100は、複数の正極110、複数の負極120及び複数のセパレータ130を有している。図4に示すように、本実施形態において、複数の正極110及び複数の負極120は、隣り合う正極110及び負極120の間にセパレータ130が配置されるように第3方向Zに沿って交互に並んでいる。すなわち、電池要素100は、互いに積層された複数の正極110、複数の負極120及び複数のセパレータ130を有する積層体となっている。ただし、電池要素100の構造は、これに限定されない。例えば、セパレータ130は、第2方向Yにおける正極110又は負極120の外側において第2方向Yに沿って折り返しながら、隣り合う正極110と負極120との間を通過するように、つづら折りに延伸していてもよい。或いは、電池要素100は、1つのみの正極110、1つのみの負極120及び1つのみのセパレータ130を有していてもよい。或いは、少なくとも1つの正極110、少なくとも1つの負極120及び少なくとも1つのセパレータ130が巻回されていてもよい。
【0021】
正極110及び負極120は、それぞれ、第1リード112及び第2リード122に接続されている。図1及び図2に示すように、本実施形態において、第1リード112及び第2リード122は、第1方向Xにおいて互いに反対側に位置している。しかしながら、第1リード112及び第2リード122は、第1方向Xにおいて互いに同じ側(例えば、第1方向Xの正方向側又は第1方向Xの負方向側)に位置していてもよい。
【0022】
フィルム200は、電池要素100を電解液(不図示)とともに収容している。すなわち、フィルム200は、外装材として機能している。
【0023】
フィルム200は、例えば、熱融着性樹脂層及びバリア層を有し、例えば、熱融着性樹脂層及びバリア層を含む積層フィルムにしてもよい。熱融着性樹脂層を形成する樹脂材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等にしてもよい。バリア層は、例えば、電解液の漏出又は外部からの水分の侵入防止といったバリア性を有しており、例えば、ステンレス(SUS)箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔、チタン箔等の金属により形成されたバリア層にしてもよい。
【0024】
フィルム200は、電池要素100の上面(第3方向Zの正方向側の面)及び電池要素100の下面(第3方向Zの負方向側の面)のうちの一方から他方にかけて、電池要素100の右側(第2方向Yの正方向側)において、折り返されている。フィルム200の折り返し部分のうち電池要素100の右側面(第2方向Yの正方向側の面)を覆う部分には、凹部232が形成されている。電池要素100の前面(第1方向Xの正方向側の面)より前側(第1方向Xの正方向側)の領域において、フィルム200は、第1リード112を第3方向Zに挟むようにして折り返されている。また、この領域において、フィルム200の折り目(フィルム200の第2方向Yの正方向側の端部)は、電池要素100の右側面(第2方向Yの正方向側の面)より右側(第2方向Yの正方向側)に張り出している。電池要素100の後面(第1方向Xの負方向側の面)より後側(第1方向Xの負方向側)の領域において、フィルム200は、第2リード122を第3方向Zに挟むようにして折り返されている。また、この領域において、フィルム200の折り目(フィルム200の第2方向Yの正方向側の端部)は、電池要素100の右側面(第2方向Yの正方向側の面)より右側(第2方向Yの正方向側)に張り出している。
【0025】
フィルム200の折り返し部分(フィルム200の第2方向Yの正方向側の端部)より左側(第2方向Yの負方向側)の領域において、フィルム200の一部分(電池要素100の上面(第3方向Zの正方向側の面)を覆う部分及びその周囲の部分)と、フィルム200の他の一部分(電池要素100の下面(第3方向Zの負方向側の面)を覆う部分及びその周囲の部分)と、は第3方向Zに重なり合っている。第3方向Zから見て、電池要素100を囲む領域のうち第1リード112又は第2リード122と重なる部分を除いて、フィルム200の当該一部分と、フィルム200の当該他の一部分と、は例えば溶着によって貼り合わされている。これにより、電池要素100は、フィルム200によって封止されている。
【0026】
図3に示すように、凹部232は、電池要素100に向けて(第2方向Yの負方向に向けて)凸に湾曲している。凹部232の湾曲形状は、後述する突出部316の先端の湾曲形状によって決定されている。また、凹部232は、深さDを有している。凹部232の深さDは、フィルム200のうち、電池要素100の右側面(第2方向Yの正方向側の面)を覆い、かつ電池要素100の右側(第2方向Yの正方向側)に向けて最も張り出した部分と、フィルム200のうち、電池要素100の右側面(第2方向Yの正方向側の面)を覆い、かつ電池要素100側(第2方向Yの負方向側)に向けて最も凹んだ部分と、の間の、第2方向Yにおける距離である。
【0027】
図2に示すように、電池10の右側(第2方向Yの正方向側)から見て、凹部232は、電池要素100の前面(第1方向Xの正方向側の面)又はその近傍と、電池要素100の後面(第1方向Xの負方向側の面)又はその近傍と、の間の一方から他方にかけて、第1方向Xに沿って連続的に延伸している。凹部232の深さDは、第1方向Xにおいて電池要素100の中心から離れるにつれて浅くなっている。これは、電池要素100の前側(第1方向Xの正方向側)及び後側(第1方向Xの負方向側)においてフィルム200の折り目(フィルム200の第2方向Yの正方向側の端部)が電池要素100の右側面(第2方向Yの正方向側の面)より右側(第2方向Yの正方向側)に向けて張り出すことによって、フィルム200のうち電池要素100の右側面(第2方向Yの正方向側の面)を覆う部分が第2方向Yの正方向に向けて引っ張られることによる。
【0028】
図5は、図1から図4を用いて説明した電池10のフィルム200を製造(加工)する装置300の平面図である。図6は、図5のB-B´断面図である。図7は、図6において破線で囲まれた領域αの拡大図である。
【0029】
図5から図7において、第4方向Pは、後述する第1ブロック322及び第2ブロック324の各々の長さ方向である。第4方向Pの正方向(第4方向Pを示す矢印によって示される方向)は、後述する第5方向Qの負方向から見て、第1ブロック322及び第2ブロック324の各々の右方向である。第4方向Pの負方向(第4方向Pを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、後述する第5方向Qの負方向から見て、第1ブロック322及び第2ブロック324の各々の左方向である。第5方向Qは、第4方向Pに交わる方向、具体的には、第4方向Pに直交する方向であり、第1ブロック322及び第2ブロック324の各々の幅方向である。第5方向Qの正方向(第5方向Qを示す矢印によって示される方向)は、第2ブロック324から第1ブロック322に向かう方向である。第5方向Qの負方向(第5方向Qを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、第1ブロック322から第2ブロック324に向かう方向である。第6方向Rは、第4方向P及び第5方向Qの双方に交わる方向、具体的には、第4方向P及び第5方向Qの双方に直交する方向であり、第1ブロック322及び第2ブロック324の厚さ(高さ)方向である。第6方向Rの正方向(第6方向Rを示す矢印によって示される方向)は、後述する第1型310から第2型320に向かう方向(上方向)である。第6方向Rの負方向(第6方向Rを示す矢印によって示される方向の反対方向)は、第2型320から第1型310に向かう方向(下方向)である。
【0030】
図5から図7を用いて、フィルム200の製造(加工)方法の一例の概要を説明する。フィルム200は、装置300を用いて製造されている。装置300は、第1型310及び第2型320を備えている。第1型310は、第1開口312、第2開口314及び突出部316を有している。突出部316は、第1開口312と第2開口314との間に位置している。突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)は、突出部316の当該先端の先方(上方)(第6方向Rの正方向)に向けて凸に湾曲している。第2型320は、第1ブロック322及び第2ブロック324を有している。フィルム200の製造(加工)方法は、第1型310と、第2型320と、の間にフィルム200を配置して、第2型320の第1ブロック322を第1型310の第1開口312に入り込ませることでフィルム200に第1収容部210(第1凹部)を形成し、第2型320の第2ブロック324を第1型310の第2開口314に入り込ませることでフィルム200に第2収容部220(第2凹部)を形成する工程を備えている。第1収容部210及び第2収容部220を形成する工程は、第1型310の突出部316の反対側(突出部316の上側、すなわち、突出部316の第6方向Rの正方向側)からフィルム200に押圧を加えることなく、フィルム200を第1型310の突出部316の上記先端に接触させる工程を有している。
【0031】
図5から図7を用いて、フィルム200の製造(加工)方法の詳細を説明する。
【0032】
図5から図7において、第1型310はダイとなっており、第1ブロック322及び第2ブロック324の各々はパンチとなっている。
【0033】
まず、フィルム200を、第1型310の第1開口312及び第2開口314の双方と重なるように、第1型310上に配置する。
【0034】
次いで、フィルム200のうち第1型310の第1開口312及び第2開口314の双方の周囲に位置する部分を第3ブロック330(例えば、ストッパ)によって第1型310に向けて押し付ける。これによって、フィルム200が第1型310に対して固定される。
【0035】
次いで、第2型320の第1ブロック322及び第2ブロック324を上方(第6方向Rの正方向)から下方(第6方向Rの負方向)に向けて移動させて、それぞれ、第1型310の第1開口312及び第2開口314に入り込ませる。この時、第1ブロック322は、第1ブロック322の下面(第6方向Rの負方向側の面)が突出部316の上端(第6方向Rの正方向側の端)より下側(第6方向Rの負方向側)に達するまで移動する。同様にして、第2ブロック324は、第2ブロック324の下面(第6方向Rの負方向側の面)が突出部316の上端(第6方向Rの正方向側の端)より下側(第6方向Rの負方向側)に達するまで移動する。これによって、第6方向Rにおいて第1ブロック322及び第2ブロック324と重なる領域では、フィルム200に第1収容部210及び第2収容部220がそれぞれ形成される。また、第1ブロック322と第2ブロック324との間では、フィルム200は、突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)の湾曲に沿って引っ張られ、フィルム200に凹部232が形成される。さらに、フィルム200が突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)の湾曲に沿って引っ張られている間、フィルム200は、突出部316の反対側(突出部316の上側、すなわち、突出部316の第6方向Rの正方向側)から、ストッパ等の押圧部材によって押圧されていない。
【0036】
仮に、突出部316の先端(上端)が湾曲しておらず、角を有している場合(例えば、突出部316の上面が第5方向Qに平行な平坦面であり、突出部316のこの平坦面と、突出部316の第5方向Qの両側の側面と、の間に角が形成されている場合、或いは突出部316の先端(上端)が三角形状に突出している場合)、フィルム200のうち突出部316の当該角に接触する部分に力が局在的に集中し得る。この場合、フィルム200の当該部分の厚さが局在的に薄くなり得る。したがって、フィルム200の当該部分の耐破断性が局在的に悪化し得る。これに対して、本実施形態においては、フィルム200には、突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)の湾曲に沿ってほぼ一様な力が加えられる。したがって、フィルム200のうち凹部232が設けられている部分の耐破断性の低下を抑えることができる。
【0037】
仮に、フィルム200が突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)の湾曲に沿って引っ張られている間にフィルム200が突出部316の反対側(突出部316の上側、すなわち、突出部316の第6方向Rの正方向側)からストッパ等の押圧部材によって押圧されている場合、フィルム200のうち突出部316及び押圧部材の双方に接触する部分の厚さが局在的に薄くなり得る。したがって、フィルム200の当該部分の耐破断性が局在的に悪化し得る。これに対して、本実施形態においては、フィルム200が突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)の湾曲に沿って引っ張られている間、フィルム200は、突出部316の反対側(突出部316の上側、すなわち、突出部316の第6方向Rの正方向側)からストッパ等の押圧部材によって押圧されていない。したがって、フィルム200のうち凹部232が設けられている部分の耐破断性の低下を抑えることができる。
【0038】
第4方向Pから見て、突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)は、例えば、円弧状に湾曲していてもよい。この場合、この円弧の直径は、突出部316の第5方向Qにおける幅と実質的に等しくしてもよく、例えば、突出部316の第5方向Qにおける幅の90%以上110%以下となっていてもよい。或いは、第4方向Pから見て、突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)は、放物線状に湾曲していてもよい。
【0039】
第1ブロック322は、第1湾曲面322aを有している。第1ブロック322の第1湾曲面322aは、第1ブロック322のうちフィルム200に対向する(接触する)面(第1ブロック322の下面、すなわち、第6方向Rの負方向側の面)と、第1ブロック322のうち第2ブロック324に対向する面(第1ブロック322の側面、すなわち、第5方向Qの負方向側の面)と、のうちの一方から他方にかけて湾曲している。したがって、第1ブロック322の上記下面(第6方向Rの負方向側の面)と上記側面(第5方向Qの負方向側の面)の間の角が例えば直角になっている場合と比較して、第1ブロック322の上記下面(第6方向Rの負方向側の面)と上記側面(第5方向Qの負方向側の面)との間の湾曲に沿ってフィルム200に力を一様に加えることができる。このため、フィルム200のうち第1ブロック322の上記下面(第6方向Rの負方向側の面)と上記側面(第5方向Qの負方向側の面)との間の湾曲に接触する部分の耐破断性の低下を抑えることができる。
【0040】
第2ブロック324は、第2湾曲面324aを有している。第2ブロック324の第2湾曲面324aは、第2ブロック324のうちフィルム200に対向する(接触する)面(第2ブロック324の下面、すなわち、第6方向Rの負方向側の面)と、第2ブロック324のうち第1ブロック322に対向する面(第2ブロック324の側面、すなわち、第5方向Qの正方向側の面)と、のうちの一方から他方にかけて湾曲している。したがって、第2ブロック324の上記下面(第6方向Rの負方向側の面)と上記側面(第5方向Qの正方向側の面)の間の角が例えば直角になっている場合と比較して、第2ブロック324の上記下面(第6方向Rの負方向側の面)と上記側面(第5方向Qの正方向側の面)との間の湾曲に沿ってフィルム200に力を一様に加えることができる。このため、フィルム200のうち第2ブロック324の上記下面(第6方向Rの負方向側の面)と上記側面(第5方向Qの正方向側の面)との間の湾曲に接触する部分の耐破断性の低下を抑えることができる。
【0041】
本実施形態では、第1湾曲面322a及び第2湾曲面324aの双方が設けられている。しかしながら、第1湾曲面322a及び第2湾曲面324aのうちの一方のみが設けられていてもよい。或いは、第1湾曲面322a及び第2湾曲面324aは設けられていなくてもよい。
【0042】
本実施形態では、フィルム200に第1収容部210が形成されている間、フィルム200は、第1ブロック322の反対側(第1ブロック322の下側、すなわち、第1ブロック322の第6方向Rの負方向側)から押圧を受けていない。すなわち、フィルム200に第1収容部210が形成されている間、フィルム200は、第1型310のうち第1ブロック322に対向する面に接触していない。しかしながら、フィルム200に第1収容部210が形成される時に、フィルム200は、第1ブロック322の反対側(第1ブロック322の下側、すなわち、第1ブロック322の第6方向Rの負方向側)から押圧を受けてもよい。例えば、フィルム200に第1収容部210が形成される時に、フィルム200は、第1型310のうち第1ブロック322に対向する面に接触してもよい。第2収容部220の形成についても同様である。
【0043】
フィルム200の製造方法(加工方法)は、図5から図7を用いて説明した例に限定されるものでない。例えば、第1型310をフィルム200の上方に配置し、第2型320をフィルム200の下方に配置し、フィルム200の下方から上方に向けて第1ブロック322及び第2ブロック324を第1型310に向けて押し込むことで、第1収容部210及び第2収容部220を形成してもよい。或いは、第2型320(第1ブロック322及び第2ブロック324)を第1型310に対して移動させず、第1型310を第2型320(第1ブロック322及び第2ブロック324)に対して移動させることで、第1収容部210及び第2収容部220を形成してもよい。
【0044】
図8は、図5から図7によって示される装置300によって製造(加工)されたフィルム200によって電池要素100を包む方法(すなわち、電池10の製造方法)の一例を説明するための図である。
【0045】
図8における第2方向Y及び第3方向Zは、図1から図4における第2方向Y及び第3方向Zとそれぞれ同様である。
【0046】
図8に示すように、第1収容部210及び第2収容部220のうちの一方から他方にかけてフィルム200を折り返す。これによって、電池要素100の一方の側(第3方向Zの正方向側)をフィルム200の第1収容部210によって覆い、かつ電池要素100の当該一方の側の反対側の他方の側(第3方向Zの負方向側)をフィルム200の第2収容部220によって覆う。この時、図5から図7を用いて説明した方法によって形成された凹部232は、電池要素100の右側面側(第2方向Yの正方向側)において残る。次いで、第3方向Zに重なり合うフィルム200の一部分及びフィルム200の他の一部分を、第3方向Zから見て電池要素100を囲む領域のうち第1リード112又は第2リード122と重なる部分を除いて、例えば溶着によって互いに貼り合わせる。このようにして、電池10が製造される。
【実施例0047】
(実施例)
図5から図7を用いて説明した方法によってフィルム200を加工した。フィルム200の条件は以下のとおりとした。
第4方向Pにおける長さ:30cm
第5方向Qにおける幅:40cm
第6方向Rにおける厚さ:0.15mm
材料:アルミラミネートフィルム
また、装置300の条件は以下のとおりとした。
第1開口312及び第2開口314の各々の第4方向Pにおける長さ:25cm
第1開口312及び第2開口314の各々の第5方向Qにおける幅:10cm
突出部316の第5方向Qにおける幅:0.4cm
突出部316の先端(上端)の湾曲:曲率半径0.2cmの円弧
第1ブロック322及び第2ブロック324の各々の第4方向Pにおける長さ:24.8cm
第1ブロック322及び第2ブロック324の各々の第5方向Qにおける幅:9.8cm
【0048】
(比較例)
図9は、比較例に係るフィルム200の製造(加工)方法を説明するための図であり、実施形態の図7に対応する。図9における第5方向Q及び第6方向Rは、それぞれ、図5から図7における第5方向Q及び第6方向Rと同様である。比較例は、フィルム200が突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)の湾曲に沿って引っ張られている間、突出部316の反対側(突出部316の上側、すなわち、突出部316の第6方向Rの正方向側)からストッパ400によってフィルム200に押圧を加えた点を除いて、実施例と同様である。
【0049】
図10は、フィルム200の厚さを測定した位置を説明するための図である。図10における第4方向P及び第5方向Qは、それぞれ、図5から図7における第4方向P及び第5方向Qと同様である。
【0050】
実施例及び比較例において製造(加工)されたフィルム200のうち、図10において黒丸で示された位置1から位置6までの6つの位置における厚さ(第6方向Rの厚さ)を測定した。位置1から位置6は、第1収容部210と第2収容部220との間の領域の第5方向Qにおける中心(すなわち、凹部232が形成されている領域の第5方向Qにおける中心)に位置している。位置1は、第1収容部210及び第2収容部220の第4方向Pの負方向側の辺から第4方向Pの正方向に向けて距離d(2cm)だけずれている。位置1から位置6は、この順に、第4方向Pの負方向から正方向に向けて等間隔g(1cm)を置いて並んでいる。
【0051】
表1は、実施例及び比較例の各々において製造(加工)されたフィルム200の位置1から位置6(図10)の各々における厚さの測定結果のまとめを示している。
【0052】
表1において、「実施例」の行かつ「R(%)」の列は、実施例において製造(加工)されたフィルム200の位置1から位置6(図10)の各々における、加工前のフィルム200の厚さに対する加工後のフィルム200の厚さの比Rを示している。「実施例」の行かつ「標準偏差」の列は、実施例における位置1から位置6の比Rの標準偏差を示している。「実施例」の行かつ「平均」の列は、実施例における位置1から位置6の比Rの平均を示している。「実施例」の行かつ「標準偏差/平均」の列は、実施例における位置1から位置6の比Rの平均に対する標準偏差の比(変動係数)を示している。
【0053】
表1において、「比較例」の行かつ「R(%)」の列は、比較例において製造(加工)されたフィルム200の位置1から位置6(図10)の各々における、加工前のフィルム200の厚さに対する加工後のフィルム200の厚さの比Rを示している。なお、比較例の位置1においては、フィルム200が破断しており、比Rを測定することができなかった。「比較例」の行かつ「標準偏差」の列は、比較例における位置2から位置6の比Rの標準偏差を示している。「比較例」の行かつ「平均」の列は、比較例における位置2から位置6の比Rの平均を示している。「比較例」の行かつ「標準偏差/平均」の列は、比較例における位置2から位置6の比Rの平均に対する標準偏差の比(変動係数)を示している。
【0054】
【表1】
【0055】
表1における実施例及び比較例の各々の結果より、フィルム200が突出部316の先端(上端)(第6方向Rの正方向側の端)の湾曲に沿って引っ張られている間、フィルム200が突出部316の反対側(突出部316の上側、すなわち、突出部316の第6方向Rの正方向側)からストッパ400によって押圧されない場合、フィルム200は、高耐破断性を有することができるといえる。
【0056】
また、図10に示した位置1から位置6は、フィルム200が電池要素100を包むとき、電池10の右側(第2方向Yの正方向側)から見て、おおよそ、第1方向Xにおける電池要素100の端部から第1方向Xにおける電池要素100の全長の1/4までの範囲に位置している。したがって、本実施例においては、第1方向Xにおける電池要素100の端部から第1方向Xにおける電池要素100の全長の1/4までの範囲において、フィルム200のうち凹部232が設けられている部分の厚さの平均に対する標準偏差の比は、0.0500以下、例えば、0.0250以下又は0.0100以下にすることができるといえる。
【0057】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 正極、負極及びセパレータを有する電池要素と、
前記電池要素の一方の側を覆う第1収容部と、前記電池要素の前記一方の側の反対側の他方の側を覆う第2収容部と、を有するフィルムと、
備え、
前記フィルムのうち前記第1収容部及び前記第2収容部のうちの一方から他方にかけて折り返されている部分には、前記電池要素に向けて凹み、かつ前記電池要素のうち前記一方の側から前記他方の側に向かう方向に直交する一方向に沿って延伸する凹部が設けられている、電池。
2. 1.に記載の電池において、
前記凹部は、前記電池要素に向けて凸に湾曲している、電池。
3. 1.又は2.に記載の電池において、
前記一方向における前記電池要素の端部から前記一方向における前記電池要素の全長の1/4までの範囲において、前記フィルムのうち前記凹部が設けられている部分の厚さの平均に対する標準偏差の比は、0.0500以下である、電池。
4. 1.から3.までのいずれか一つに記載の電池において、
前記凹部の深さは、前記一方向において前記電池要素の中心から離れるにつれて浅くなっている、電池。
5. 第1開口及び第2開口を有する第1型と、第1ブロック及び第2ブロックを有する第2型と、の間に、フィルムを配置して、前記第2型の前記第1ブロックを前記第1型の前記第1開口に入り込ませることで前記フィルムに第1収容部を形成し、前記第2型の前記第2ブロックを前記第1型の前記第2開口に入り込ませることで前記フィルムに第2収容部を形成する工程を備え、
前記第1型は、前記第1開口と前記第2開口との間に位置し、先端が当該先端の先方に向けて凸に湾曲した突出部を有しており、
前記第1収容部及び前記第2収容部を形成する工程は、前記第1型の前記突出部の反対側から前記フィルムに押圧を加えることなく、前記フィルムを前記第1型の前記突出部の前記先端に接触させる工程を有する、フィルムの製造方法。
6. 5.に記載のフィルムの製造方法において、
前記第1ブロックは、前記第1ブロックのうち前記フィルムに対向する面と、前記第1ブロックのうち前記第2ブロックに対向する面と、のうちの一方から他方にかけて湾曲した第1湾曲面を有している、フィルムの製造方法。
7. 6.に記載のフィルムの製造方法において、
前記第2ブロックは、前記第2ブロックのうち前記フィルムに対向する面と、前記第2ブロックのうち前記第1ブロックに対向する面と、のうちの一方から他方にかけて湾曲した第2湾曲面を有している、フィルムの製造方法。
8. 5.から7.までのいずれか一つに記載のフィルムの製造方法と、
前記第1収容部及び前記第2収容部のうちの一方から他方にかけて前記フィルムを折り返して、正極、負極及びセパレータを有する電池要素の一方の側を前記フィルムの前記第1収容部によって覆い、かつ前記電池要素の前記一方の側の反対側の他方の側を前記フィルムの前記第2収容部によって覆う工程と、
を備える、電池の製造方法。
【符号の説明】
【0058】
10 電池
100 電池要素
110 正極
112 第1リード
120 負極
122 第2リード
130 セパレータ
200 フィルム
210 第1収容部
220 第2収容部
232 凹部
300 装置
310 第1型
312 第1開口
314 第2開口
316 突出部
320 第2型
322 第1ブロック
322a 第1湾曲面
324 第2ブロック
324a 第2湾曲面
330 第3ブロック
400 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10