IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャパンエレベーターサービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図1
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図2
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図3
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図4
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図5
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図6
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図7
  • 特開-エレベーター状況通知端末装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060063
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】エレベーター状況通知端末装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20240423BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039501
(22)【出願日】2024-03-13
(62)【分割の表示】P 2023076572の分割
【原出願日】2018-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】502250178
【氏名又は名称】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】関根 忍
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 和隆
(57)【要約】
【課題】エレベーターから離れたところにある装置に対して、エレベーターの状態を迅速かつ正確に通知すること。
【解決手段】エレベーター100の状況を通知するエレベーター状況通知端末装置(タブレット型コンピュータ400)は、エレベーターの送信装置(無線送信機203)から無線送信された、当該エレベーターの状況に関するデータおよび前記送信装置の識別情報を含むメッセージ情報を受信し、メッセージ情報から前記データおよび前記識別情報を抽出し、抽出された識別情報から前記エレベーターにかかる情報に関する物件情報を特定し、抽出されたデータに基づく前記エレベーターの状況および特定された物件情報を通知する。たとえば、「発報日時」、「物件情報」、「状況(テキストデータ)」を含む表示画面701をタッチスクリーン402に表示することで、作業員に通知する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの状況を通知するエレベーター状況通知端末装置であって、
前記エレベーターの送信装置から無線送信された、当該エレベーターの状況に関するデータおよび前記送信装置の識別情報を含むメッセージ情報を受信し、
前記メッセージ情報から前記データおよび前記識別情報を抽出し、抽出された識別情報から前記エレベーターにかかる情報に関する物件情報を特定し、
抽出されたデータに基づく前記エレベーターの状況および特定された物件情報を通知することを特徴とするエレベーター状況通知端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターの遠隔監視を支援するエレベーターの遠隔監視支援装置およびエレベーターの状況を通知するエレベーター状況通知端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のエレベーターとそれぞれ通信をおこなうことにより各エレベーターの状態を遠隔地から監視するサーバコンピュータを備えたエレベーターの遠隔監視システムがあった。このようなエレベーターの遠隔監視システムにおいては、エレベーターの状態の判定や作業員の派遣にかかる処理など、エレベーターの安全運行にかかる各種の処理をサーバコンピュータにおいておこなうことにより、エレベーターにおける処理負荷の軽減を図ることができる。
【0003】
関連する技術として、従来、たとえば、自己を保守・管理する保守端末の情報を記憶するエレベーターのコントローラ(制御盤)と、当該コントローラの遠隔に配置された保守サーバとの間で定期的に通信をおこなって当該コントローラが記憶する保守端末の情報を定期的に更新し、保守サーバがダウンした場合は当該コントローラと保守員が携行する保守端末との間における連絡を可能にすることにより、保守サーバがダウンしても保守員を派遣できるようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-13730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、たとえば、旧型のエレベーターなどであって、設置時においては遠隔監視を想定していなかったエレベーターの場合、当該エレベーターが通信機能を備えていないため、エレベーターの設置後に遠隔監視をおこなうことが難しいという問題があった。また、この場合、遠隔監視に対応していないエレベーターにおいて障害が発生すると、当該障害の発見が遅れたり、当該障害を解消するための対応が遅れたりするという問題があった。
【0006】
また、従来の技術は、通信機能を備えていないエレベーターに、サーバコンピュータとの通信機能を追加する場合、作業が大掛かりになって工期が長くなり、エレベーターを使用できない期間が長くなってしまうことによって、エレベーターの利用者に不便をかけてしまうという問題があった。
【0007】
また、設置時に通信機能を備えたエレベーターであっても、当該エレベーターの遠隔監視にかかるサーバコンピュータとの通信は当該エレベーターの製造元(メーカー)ごとに固有の信号を用いておこなわれることが多く、メーカーあるいは当該メーカーと提携するエレベーター管理会社(以下、適宜「メーカーなど」という)とは独立した独立系の保守管理会社がエレベーターの遠隔監視をおこなうことが難しいという現状があった。
【0008】
このため、従来、エレベーターの管理責任者がエレベーターの遠隔監視を含む保守管理に費やす経費(保守管理費)はエレベーターごとのメーカーなどによって一意に設定される傾向にあり、エレベーターの管理責任者が保守管理費の低減を図ることが難しいという問題があった。
【0009】
また、上述した特許文献1を含む従来の技術によるエレベーターの遠隔監視システムは、エレベーターの安全運行にかかる処理負荷がサーバコンピュータに集中するため、高性能のサーバコンピュータが必要になり、システムの構築や維持にコストがかかり、維持管理にかかる負担が大きいという問題があった。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、エレベーターの利用者の安全性および利便性を確保できるエレベーターを容易かつ安価に実現することができるエレベーターの遠隔監視支援装置、エレベーター状況通知端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかるエレベーター状況通知端末装置は、エレベーターの状況を通知するエレベーター状況通知端末装置であって、前記エレベーターの送信装置から無線送信された、当該エレベーターの状況に関するデータおよび前記送信装置の識別情報を含むメッセージ情報を受信し、前記メッセージ情報から前記データおよび前記識別情報を抽出し、抽出された識別情報から前記エレベーターにかかる情報に関する物件情報を特定し、抽出されたデータに基づく前記エレベーターの状況および特定された物件情報を通知することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるエレベーターの遠隔監視支援装置は、エレベーターの状態に応じた信号を出力する複数の構成部のうちのいずれか一つの構成部にそれぞれ接続され入力された信号に応じて開閉する複数の無電圧接点と、各前記無電圧接点にそれぞれ対応する複数の有電圧接点とを備え、前記有電圧接点から、対応する前記無電圧接点の開閉状態を示す有電圧接点信号を出力する電圧変換回路と、前記電圧変換回路の有電圧接点にそれぞれ接続される複数の入力ポートと、各前記入力ポートにそれぞれ対応する複数の出力ポートとを備え、前記出力ポートから、対応する前記入力ポートに入力された前記有電圧接点信号に応じたテキストデータを出力するデータ出力回路と、前記データ出力回路から出力されたテキストデータに基づいて、所定の電話番号を宛先に指定したテキストメッセージを送信する無線送信機と、を備えたことを特徴とする。
また、この発明にかかるエレベーターの遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記出力ポートには、それぞれ、対応する前記無電圧接点の開閉状態に応じた複数のテキストデータが割り当てられており、前記データ出力回路が、前記出力ポートから、対応する前記入力ポートに入力された前記有電圧接点信号が示す前記無電圧接点の開閉状態に応じたテキストデータを出力することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるエレベーターの遠隔監視支援装置は、上記の発明において、前記出力ポートには、それぞれ、対応する前記無電圧接点の開閉状態に応じた複数のバイナリデータが割り当てられており、前記データ出力回路が、前記出力ポートから、対応する前記入力ポートに入力された前記有電圧接点信号が示す前記無電圧接点の開閉状態に応じたバイナリデータを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明にかかるエレベーターの遠隔監視支援装置、エレベーターの状況を通知するエレベーター状況通知端末装置によれば、エレベーターの利用者の安全性および利便性を確保できるエレベーターを容易かつ安価に実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの遠隔監視支援装置の適用対象となるエレベーターの構成の一例を示す説明図である。
図2図2は、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの遠隔監視支援装置の構成を示す説明図である。
図3図3は、無線送信機の一例を示す説明図である。
図4図4は、タブレット型コンピュータの一例を示す説明図である。
図5図5は、タブレット型コンピュータのハードウエア構成を示す説明図である。
図6図6は、物件管理データベースの一例を示す説明図である。
図7図7は、表示画面の一例を示す説明図である。
図8図8は、タブレット型コンピュータの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるエレベーターの遠隔監視支援装置、エレベーター状況通知端末装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
(エレベーターの構成の一例)
まず、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの遠隔監視支援装置の適用対象となるエレベーターの構成の一例について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態のエレベーターの遠隔監視支援装置の適用対象となるエレベーターの構成の一例を示す説明図である。図1において、エレベーター100は、たとえば、ロープ式(トラクション式)のエレベーター100によって実現することができる。
【0018】
エレベーター100は、たとえば、複数階建てのビルなどの建物内に設置される。エレベーター100が備える各部は、制御盤101によって駆動制御される。制御盤101は、エレベーター100が備える各部と接続されており、たとえば、制御盤101からエレベーター100が備える各部に対する信号、いわゆる「下り信号」を出力する。また、制御盤101は、たとえば、エレベーター100が備える各部から制御盤101に対する信号、いわゆる「上り信号」を受け付ける。
【0019】
エレベーター100は、建物における各階床を、鉛直方向に沿って貫通する昇降路(図示を省略する)を備えている。昇降路は、1台のエレベーター100に1つずつ設けられている。昇降路内には、人や物品を搭載するカゴ(乗りカゴ)102が設けられている。カゴ102は、1台のエレベーター100、すなわち、1つの昇降路に1つずつ設けられており、昇降路の方向すなわち鉛直方向に沿って昇降移動する。カゴ102は、図示を省略するカゴ枠によって支持されており、当該枠とともに昇降移動する。
【0020】
昇降路の側面には、カゴ102(カゴ枠)の昇降位置をガイドするガイドレール(図示を省略する)が設けられている。昇降路の底部には、万一、カゴ102が落下して底面に衝突したときの衝撃を和らげる緩衝器103が設けられている。緩衝器103は、バネの弾性力を利用して衝撃を和らげるバネ式の緩衝器であってもよく、油圧抵抗を利用して衝撃を和らげる油入式の緩衝器であってもよい。緩衝器103は、昇降路の天井面にも設けられていてもよい。
【0021】
昇降路における各階床に対応した位置(乗り場)104には、それぞれ扉104aが設けられている。乗り場104に設けられた扉104aは、図示を省略するインターロックなどと称される装置で施錠されている。インターロックは、カゴ102が停止階に到着した状態でカゴ102の扉102aを開閉させるモーターを駆動した場合にのみ、カゴ102の扉102aの開閉機構とかみ合って施錠を解放する。これにより、カゴ102が位置する階床における乗り場104に設けられた扉104aのみを連動して開閉することができる。
【0022】
各乗り場104には、それぞれ、操作盤105が設置されている。操作盤105は、それぞれ、乗り場呼びボタン105a、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器105bなどを備えている。また、操作盤105は、それぞれ、操作盤105用の制御基板105cを備えている。各操作盤105は、それぞれが備える制御基板105cを介して制御盤101に接続されている。
【0023】
カゴ102は、ロープ106の一端に連結されている。ロープ106は、つるべ式に滑車(図示を省略する)および巻上機(トラクションマシン)107に架けられ、他端がカウンタウエイト108に連結されている。ロープ106は、具体的には、たとえば、鋼鉄製のワイヤーによって実現することができる。
【0024】
ロープ式のエレベーター100における巻上機107は、たとえば、エレベーター100の最上部に設けられた機械室に設置される。巻上機107は、機械室の有無にかかわらず、エレベーター100における最上部に設けることができる。あるいは、エレベーター100が、機械室がないタイプである場合、巻上機107は、エレベーター100における下部に設けられるものであってもよい。
【0025】
巻上機107は、たとえば、インバーターを介して制御盤101に接続されており、カゴ102を停止させる階床において回転を停止するように制御盤101によって駆動制御される。ロープ式のエレベーター100においては、巻上機107を駆動することによって発生する、ロープ106と滑車との間の摩擦力(トラクション)を利用して、カゴ102を昇降させる。
【0026】
巻上機107は、図示を省略するエンコーダを備えており、制御盤101はエンコーダからの出力信号に基づいて、巻上機107の回転速度や回転位置を判断することができる。エンコーダは、たとえば、アブソリュートエンコーダを用いてもよく、インクリメンタルエンコーダを用いてもよい。
【0027】
カゴ102の底部には、カウンタウエイト108の底部に一端が連結された重量バランス調整用のワイヤーロープ(あるいは、鎖)の他端が連結されている(図示を省略する)。これにより、たとえば、高層建築物に設置されるエレベーター100において、ロープ106の重量に起因して、最上階や最下階の近辺においてカゴ102側とカウンタウエイト108側との重量のバランスの不均衡が生じてロープ106が巻上機107のシーブから滑り落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0028】
また、エレベーター100は、電磁ブレーキ109、調速機(ガバナマシン)110、リミットスイッチ111などを備えている。電磁ブレーキ109は、コイルを備え、制御盤101によって駆動制御されて当該コイルに通電することにより発生する電磁力を利用して、巻上機107の回転を停止する。電磁ブレーキ109は、巻上機107の回転を停止した状態を保持することができる。
【0029】
電磁ブレーキ109は、停電などによって電源の供給が停止した場合に、巻上機107の回転を制止する。電磁ブレーキ109は、具体的には、たとえば、停電時などコイルへの通電が切れたときにスプリングの力で動作して巻上機107の回転を制止する無励磁作動型の電磁ブレーキ109を用いることができる。
【0030】
調速機110は、カゴ102の速度超過を検出する。調速機110は、たとえば、ガバナロープ110a、ガバナプーリー110b、回転錘(図示を省略する)などを備えた遠心調速機によって実現することができる。このような調速機110において、ガバナロープ110aは、カゴ102の動作と連動する。ガバナプーリー110bは、ガバナロープ110aの動作に連動して回転する。
【0031】
回転錘は、ガバナプーリー110bの回転速度、すなわち、ガバナプーリー110bの回転に起因する遠心力の大きさに応じて動作する。具体的に、回転錘は、ガバナプーリー110bの回転速度が速い場合にガバナプーリー110bの外周側に開くように動作し、
ガバナプーリー110bの回転速度が遅い場合にガバナプーリー110bの内周側に閉じるように動作する。
【0032】
リミットスイッチ111は、巻上機107に対する電源の供給/遮断を切り替えるスイッチレバー(図示を省略する)を備えている。スイッチレバーは、平時は巻上機107に対して電源を供給する位置に位置付けられており、調速機110の回転錘に付勢された場合に、巻上機107に対する電源の供給を遮断する位置に変位する。
【0033】
調速機110の回転錘は、カゴ102の昇降速度が、定格速度に対して一定速以上の速度になった場合に、スイッチレバーが巻上機107に対する電源の供給を遮断する位置に変位するように、スイッチレバーを付勢する。これにより、カゴ102に速度超過が発生したときに、巻上機107の動作を停止し、カゴ102を停止させることができる。
【0034】
さらに、エレベーター100は、図示を省略する非常停止装置を備えていてもよい。非常停止装置は、カゴ102の動作とガバナロープ110aの動作とが異なる場合、すなわち、ガバナロープ110aが停止しているにもかかわらずカゴ102が動作している場合に、カゴ102の動作を強制的に停止させる。非常停止装置は、公知の各種の技術を用いて容易に実現することができるため、説明を省略する。
【0035】
カゴ102には、操作盤102bが設けられている。操作盤102bは、各種の操作ボタンや、カゴ102が位置する階床などを表示する表示器を備えている(図2を参照)。また、カゴ102には、扉102aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサ(図3を参照)やブザー(図示を省略する)などが設けられている。
【0036】
カゴ102の上部には、カゴ上ボックス112が設けられている。カゴ上ボックス112は、たとえば、カゴ102の天井板の上、すなわち、カゴ102の外側に設けられる。カゴ上ボックス112には、電源回路や制御回路などを備えた電気回路を構成する基板が収容されている。
【0037】
操作盤102b、扉102aを開閉させるモーター、扉開閉センサ、障害物検出装置、荷重センサなどの各種のセンサおよびブザーなど、カゴ102に設けられた各種の負荷は、カゴ上ボックス112が収容する基板の電気回路に電気的に接続されている。カゴ102に設けられた各種の負荷と、電気回路との間には、リレーや変圧器あるいはインバーターなどが介在していてもよい。
【0038】
リレーや変圧器あるいはインバーターは、電気回路に搭載されていてもよい。具体的に、たとえば、扉102aを開閉させるモーターと電気回路とを、インバーターを介して接続することができる。これにより、扉102aの開閉速度を制御することができる。
【0039】
扉102aを開閉させるモーターは、正逆方向に回転可能であって、たとえば、扉102aを開く際に正方向に回転し、扉102aを閉める際に逆方向に回転する。扉102aを開閉させるモーターは、たとえば、カゴ102の天井板の上に設けられている。扉開閉センサは、扉102aの開閉状態を検出する。扉開閉センサは、たとえば、扉102aや扉104aが開状態にあるか閉状態にあるかに応じて出力が変化するマイクロスイッチや光電センサなどによって実現することができる。
【0040】
障害物検出装置は、対をなす扉102aの間における人などの物体の挟まりを検知する。具体的に、障害物検出装置は、たとえば、対をなす扉102aの間に設けられて、扉102aの開き方向に突出するように付勢されたセーフティーシューや、当該セーフティー
シューが扉102aの内側に押し込まれた場合に、対をなす扉102aの間における物体の挟まりを検知したことを示す信号を出力するマイクロスイッチなどによって構成することができる。
【0041】
荷重センサは、カゴ102における積載荷重を検出する。具体的に、荷重センサは、たとえば、ロードセルによって実現することができる。ロードセルは、たとえば、カゴ102の底部とカゴ枠との間に設けられる。ブザーは、荷重センサの検出結果に応じてブザー音を出力する。ブザーは、カゴ102における積載荷重(質量)が、当該カゴ102にかかる定格積載荷重(質量)などの所定の質量を超過した場合にブザー音を出力する。
【0042】
(エレベーター100の遠隔監視支援装置の構成)
つぎに、エレベーターの遠隔監視支援装置の構成について説明する。図2は、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置の構成を示す説明図である。図2において、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200は、電圧変換回路201と、データ出力回路202と、無線送信機203と、を備えている。
【0043】
電圧変換回路201は、複数の無電圧接点と、複数の有電圧接点とを備えている(いずれも図示を省略する)。無電圧接点は、それぞれ、エレベーター100の状態に応じた信号を出力する複数の構成部のうちのいずれか一つの構成部にそれぞれ接続されており、入力された信号に応じて開閉する。
【0044】
無電圧接点は、エレベーター100が備える各部のうち、たとえば、制御盤101に対する信号、いわゆる「上り信号」を出力する構成部からの信号の入力を受け付け、入力された信号に応じて開閉する。具体的には、無電圧接点は、たとえば、カゴ102の扉102aの開閉状態を検知するセンサに接続することができる。
【0045】
カゴ102の扉102aの開閉状態を検知するセンサと無電圧接点とは、タイマーを介して接続されていてもよい。これにより、たとえば、カゴ102の扉102aが所定時間以上継続して開状態となっている場合にのみ、当該センサからの信号の入力を受け付けるようにすることができる。
【0046】
また、具体的には、無電圧接点は、たとえば、エレベーター100の電源に接続されていてもよい。エレベーター100において、複数の電圧(たとえば、100Vと200V)を使用している場合、無電圧接点は、電圧ごとの配線に接続する。これにより、停電などによりエレベーター100への給電が停止して、電源からの信号出力が停止すると、無電圧接点に入力する信号が変化するため、エレベーター100への給電状態に応じて無電圧接点を開閉させることができる。
【0047】
また、具体的には、無電圧接点は、たとえば、エレベーター100の安全回路に接続されていてもよい。エレベーター100の安全回路は、エレベーター100の状態が安全ではない場合に信号を出力する。具体的には、エレベーター100の安全回路は、たとえば、速度超過を検知した場合、カゴ102が最上階または最下階の停止位置を行き過ぎたことを検知した場合、非常停止装置が作動した場合などに信号を出力する。
【0048】
また、具体的には、無電圧接点は、たとえば、エレベーター100に設置された火災報知器やカゴ102を昇降させる巻上機107のインバーターに接続されていてもよい。これにより、火災報知器が作動した場合や、カゴ102を昇降させる巻上機107のインバーターが規定以外の動作をした場合に、無電圧接点において信号の入力を受け付けることができる。
【0049】
無電圧接点は、エレベーター100が備える各部のうち、たとえば、制御盤101のCPUから出力される信号、いわゆる「下り信号」の入力を受け付け、入力された信号に応じて開閉するものであってもよい。具体的には、無電圧接点は、たとえば、制御盤101から巻上機107に対して出力される信号の入力を受け付けてもよい。
【0050】
無電圧接点は、電磁石と接点機構とを備えたリレーによって実現することができる。リレーにおいて、電磁石は、鉄心と、当該鉄心に巻かれたコイルと、鉄心に対して接離可能に揺動する可動鉄心と、を備えている。また、リレーにおいて、接点機構は、有電圧接点に接続される固定接点部と、可動鉄心の揺動に応じて固定接点部が備える固定接点に接離する可動接点を備えた可動接点部と、を備えている。
【0051】
リレーは、信号の入力によって通電されたコイルにより磁化された鉄心に可動鉄片を引き寄せ、可動接点を固定接点に接触させることによって閉状態となる。信号が入力されていない場合は、開状態となる。これにより、入力された信号に応じて無電圧接点を開閉することができる。無電圧接点を実現するリレーは、データ出力回路202の構造に基づいた数を設けることができる。具体的には、無電圧接点を実現するリレーは、たとえば、6つ設けることができる。
【0052】
有電圧接点は、それぞれ、各無電圧接点にそれぞれ対応して設けられており、対応する無電圧接点の開閉状態を示す有電圧接点信号を出力する。有電圧接点は、トランジスターなどの半導体素子によって実現することができる。有電圧接点は、電源回路に接続されている。有電圧接点を実現する半導体素子は、無電圧接点を実現するリレーと同数設けられる。
【0053】
データ出力回路202は、複数の入力ポートと、各入力ポートにそれぞれ対応する複数の出力ポートとを備えている。具体的に、データ出力回路202は、たとえば、6つの入力ポートと、6つの出力ポートとを備えている。入力ポートは、それぞれ、電圧変換回路201の有電圧接点に接続されており、有電圧接点信号の入力を受け付ける。出力ポートは、それぞれ、対応する無電圧接点の開閉状態に応じたテキストデータが割り当てられており、対応する入力ポートに入力された有電圧接点信号に応じたテキストデータを出力する。
【0054】
データ出力回路202は、入力ポートにおいて入力を受け付けた、対応する無電圧接点の開閉状態を示す信号に基づいて、当該入力ポートに対応する出力ポートから出力するテキストデータを特定し、特定されたテキストデータを該当する出力ポートから出力する。これにより、データ出力回路202は、各出力ポートから、当該出力ポートに対応する入力ポートに入力された有電圧接点信号が示す無電圧接点の開閉状態に応じたテキストデータを出力することができる。出力ポートは、いずれも無線送信機203に接続されている。
【0055】
具体的には、たとえば、カゴ102の扉102aの開閉状態を検知するセンサに接続された無電圧接点に対応する有電圧接点に接続された入力ポートに対応する出力ポートには、「DOOR OPEN」などのテキストデータを割り当てることができる。これにより、データ出力回路202は、カゴ102の扉102aの開閉状態を検知するセンサに対応する出力ポートから「DOOR OPEN」というテキストデータを出力することができる。
【0056】
出力ポートには、それぞれ、対応する無電圧接点の開閉状態に応じた複数のテキストデータが割り当てられていてもよい。具体的には、たとえば、カゴ102の扉102aの開
閉状態を検知するセンサに接続された無電圧接点に対応する有電圧接点に接続された入力ポートに対応する出力ポートには、「DOOR OPEN」と「DOOR OPEN CLEAR」という2種類のテキストデータを割り当てることができる。
【0057】
これにより、データ出力回路202は、カゴ102の扉102aの開閉状態を検知するセンサに接続された無電圧接点に対応する有電圧接点に接続された入力ポートに、カゴ102の扉102aが所定時間以上継続して開状態となっていることを示す信号(有電圧接点信号)が入力された場合には、対応する出力ポートから「DOOR OPEN」というテキストデータを出力し、当該信号(有電圧接点信号)の入力が停止した場合に、対応する出力ポートから「DOOR OPEN CLEAR」というテキストデータを出力することができる。
【0058】
また、具体的には、たとえば、エレベーター100の電源に接続された無電圧接点に対応する有電圧接点に接続された入力ポートに対応する出力ポートには、「POWER IS DOWN」、「POWER IS BACK ON」という2種類のテキストデータを割り当てることができる。
【0059】
また、各出力ポートに割り当てられるテキストデータは、物件情報を含んでいてもよい。遠隔監視支援装置200が設置されたエレベーター100の所在地、建物名、管理番号などによって実現することができる。具体的には、物件情報は、たとえば、「○○県××市△△ビル」、「○○県××市△丁目○番地」、「○○県××市△丁目○番地△△ビル□号機」などのように示される。物件情報は、具体的な所在地に限らず、管理番号や、略称などによって示されるものであってもよい。
【0060】
具体的には、出力ポートには、たとえば、「POWER IS DOWN:○○県××市△△ビル」や、「POWER IS BACK ON:○○県××市△△ビル」などのようなテキストメッセージを割り当てることができる。これにより、いずれの物件(エレベーター100)において不具合が発生したかを容易かつ確実に案内することができる。
【0061】
無線送信機203は、データ出力回路202から出力されたテキストデータに基づいて、所定の電話番号を宛先に指定したテキストメッセージを送信する。テキストメッセージは、たとえば、「DOOR OPEN」などのテキスト(文字)データや、テキストメッセージの送信先となる端末装置に割り当てられた電話番号を特定可能な情報などを含んでいる。テキストメッセージの送信先となる端末装置は、たとえば、エレベーター100の保守管理をおこなう作業員が携行する携帯型電話機によって実現することができる。
【0062】
(無線送信機203の一例)
つぎに、無線送信機203の一例について説明する。図3は、無線送信機203の一例を示す説明図である。図3において、無線送信機203は、入力端子301と、マイコン(microcomputer)302と、送信回路303と、アンテナ304と、を備えている。入力端子301は、データ出力回路202に接続され、データ出力回路202から出力された信号をマイコン302に出力する。
【0063】
マイコン302は、CPU(Central Prossesing Unit)やメモリを備えており、入力端子301を介して入力されたテキストデータに基づいてテキストメッセージを生成する。メモリは、たとえば、送信先となる端末装置に割り当てられた電話番号を記憶している。これにより、無線送信機203は、テキストメッセージを、電話番号が割り当てられた端末装置に送信することができる。
【0064】
また、メモリは、自装置に割り当てられた電話番号を記憶している。メモリは、単数で
あってもよく、複数であってもよい。メモリは、たとえば、SIM(Subscriber Identity Module)カードによって実現してもよい。SIMカードは、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、MSISDN(Mobile Subscriber Intergrated Service Digital Network Number)、ICCID(Integrated Circuit Card ID)、鍵情報などを記憶している。
【0065】
IMSIは、エレベーター100の遠隔監視支援装置200(無線送信機203)ごとに割り当てられた電話番号を特定するための固有のID番号(識別情報)を示す。IMSIは、15桁の識別番号であって、SIMカードに記憶された鍵情報とともに、該当するキャリアのネットワークに接続するための認証に用いられる。MSISDNは、15桁以内の数字によって構成され、いわゆる携帯電話番号を示す。通常は、IMSIやMSISDNは、規制当局によって発行されてキャリアに付与される。ICCIDは、19桁あるいは20桁の文字や数字によって構成され、SIMカード自身のシリアルナンバーを示す。
【0066】
送信先となる端末装置としてメモリに記憶する電話番号の数は、単数であってもよく、複数であってもよい。メモリに複数の電話番号を記憶する場合、各電話番号に優先順位を設定してもよい。あるいは、各電話番号に、当該電話番号が割り当てられた端末装置との通信が可能な時間帯を関連付けて記憶してもよい。
【0067】
送信回路303は、変調回路、発振器、増幅回路、フィルタなどを備えている。変調回路は、データ列を変調信号にする。発振器は、無線通信に利用できる周波数のRF信号の周波数で発振する。増幅回路は、RF信号の電力を増幅する。フィルタは、不要な周波数成分を除去した信号をアンテナ304に出力する。アンテナ304は、送信回路303から出力されたテキストメッセージに基づく電波を空間に放射する。
【0068】
無線送信機203は、エレベーター100の遠隔監視支援装置200(無線送信機203)ごとに割り当てられた固有のID番号を用いて、回線交換方式による通信をおこなう。具体的に、無線送信機203は、SMS(Short Message Service)などと称される、テキスト形式のメッセージを送受信するサービスを利用して、指定音声を通す音声回線(トラフィックチャネル)と当該音声回線を制御する信号線(シグナリングチャネル)とから構成される回線交換ネットワーク上での回線交換方式による通信によってテキストメッセージを送信する。
【0069】
SMSは、テキストメッセージをSMSセンターサーバコンピューターを経由して送信先の携帯型電話機に送信する、いわゆるセンターメール方式のメッセージサービスであるため、テキストメッセージは、SMSセンターサーバコンピューターに一旦保存されてから送信先となる携帯型電話機などの端末装置に送信される。このため、テキストメッセージの送信先となる携帯型電話機が通信圏外にあったり電源が入っていなかったりして受信不可能な状態にある場合は、当該携帯型電話機が受信可能な状態になった際に再度当該携帯型電話機に送信される。
【0070】
これにより、送信先となる携帯型電話機が受信不可能な状態にある場合に送信されたテキストメッセージを、当該携帯型電話機が受信可能な状態になったときに再度送信することができる。また、SMSを利用することにより、携帯型電話機の通信サービスを提供しているキャリアにかかわらず、テキストメッセージを送信することができる。
【0071】
エレベーター100の遠隔監視支援装置200において、電圧変換回路201、データ
出力回路202、無線送信機203は、たとえば、単一の筐体内に収容することができる。この場合、エレベーター100の遠隔監視支援装置200は、たとえば、エレベーター100の機械室に取り付ける。エレベーター100の最上部に配置される機械室に遠隔監視支援装置200を取り付けることにより、無線送信機203によるテキストメッセージの送信を確実におこなうことができる。
【0072】
また、エレベーター100の遠隔監視支援装置200において、電圧変換回路201、データ出力回路202、無線送信機203は、たとえば、それぞれが分離可能に設けられていてもよい。電圧変換回路201、データ出力回路202、無線送信機203のそれぞれを分離可能に設ける場合、電圧変換回路201とデータ出力回路202、および、データ出力回路202と無線送信機203とを、それぞれ配線により接続する。そして、無線機を昇降路の上部など、テキストメッセージの送信に適した場所に取り付ける。これにより、たとえば、「機械室レス」などと称される機械室のないエレベーター100のように、スペースに制限があるエレベーター100においても無線送信機203によるテキストメッセージの送信を確実におこなうことができる。
【0073】
なお、上述した実施の形態においては、無線送信機203から、携帯型電話機の通信サービスを提供しているキャリアのSMSセンターサーバコンピューターから作業員が携行する携帯型電話機にエレベーター100の状態を通知するテキストメッセージを送信する例を示したが、これに限るものではない。テキストメッセージは、たとえば、SMS対応SIMカードを装着した端末装置に送信してもよい。SMS対応SIMカードを装着した端末装置は、具体的には、たとえば、タブレット端末などと称されるタブレット型コンピュータによって実現することができる。
【0074】
(タブレット型コンピュータの一例)
図4は、タブレット型コンピュータの一例を示す説明図である。図4に示すように、タブレット型コンピュータ400は、平板形状をなす筐体401を備えている。筐体401の一面側には、タッチスクリーン402が設けられている。タッチスクリーン402は、ディスプレイと、ディスプレイの表示面側に積層されたタッチパネルと、によって構成されている(図5を参照)。
【0075】
筐体401には、SIMカードスロット403が設けられている。SIMカードスロット403は、筐体401に設けられた凹部と、凹部内に設けられたスロット端子(図5を参照)と、を備えている。また、SIMカードスロット403は、SIMカードの挿入を受け付けるスロットであって、筐体401に設けられた凹部に引き出し可能に挿入されるSIMホルダーを備えている。SIMホルダーは、SIMカード404を保持した状態で凹部に挿入されることにより、SIMカード404が備えるICチップ404aとスロット端子に接触させる。
【0076】
(タブレット型コンピュータ400のハードウエア構成)
つぎに、タブレット型コンピュータ400のハードウエア構成について説明する。図5は、タブレット型コンピュータ400のハードウエア構成を示す説明図である。図5に示すように、タブレット型コンピュータ400のハードウエア構成は、CPU(Central Processing Unit)501と、メモリ502と、ネットワークI/F(InterFace)503と、スロット端子504と、ディスプレイ505と、タッチパネル506と、を備えている。コンピュータ装置が備える各部501~506は、それぞれ、バス510によって接続されている。
【0077】
CPU501は、タブレット型コンピュータ400の全体の制御をつかさどる。メモリ502は、ブートプログラムなどのプログラムや各種のデータベースを構成するデータな
どを記憶している。具体的に、メモリ502は、たとえば、エレベーター100の遠隔監視支援装置200から送信されるテキストメッセージを表示する表示制御プログラムや物件管理データベース(図6を参照)などを記憶している。
【0078】
また、メモリ502は、CPU501のワークエリアとして使用される。メモリ502は、たとえば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、NANDメモリとNANDメモリの制御をおこなうNANDメモリコントローラとによって構成されるSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)などによって実現することができる。
【0079】
ネットワークI/F503は、回線交換ネットワークに接続され、タブレット型コンピュータ400の内部と遠隔監視支援装置200とのインターフェイスをつかさどる。また、ネットワークI/F503は、インターネットなどのネットワークに接続されていてもよく、コンピュータ装置の内部と外部装置とのインターフェイスをつかさどる。
【0080】
スロット端子504は、SIMカードスロット403に挿入されたSIMカード404(のICチップ404a)に接触して、CPU501の制御によって当該SIMカードに記憶されているIMSIやMSISDNなどを読み取り、読み取ったデータをCPU501へ出力する。
【0081】
ディスプレイ505は、CPU501によって制御されて、エレベーター100の遠隔監視支援装置200から送信されたテキストメッセージに基づくテキストデータを表示する。CPU501は、エレベーター100の遠隔監視支援装置200から送信されたテキストメッセージに基づいて、物件管理データベースを参照して、物件情報と関連づけてテキストデータをディスプレイ505に表示させる(図7を参照)。
【0082】
ディスプレイ505は、主に液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって実現することができる。液晶ディスプレイによって実現されるディスプレイ505は、光源として、バックライトを備えていてもよい。
【0083】
タッチパネル506は、指やペンなどが接触したことを検出した場合に、タッチパネル506に対する指やペンなどの接触位置、すなわち、操作キーに応じた電気信号をCPU501に出力する。具体的に、タッチパネル506は、たとえば、上記の転送を指示する操作キーが操作された場合に、当該操作キーに応じた電気信号をCPU501に出力する。タッチパネル506は、電磁誘導方式、抵抗膜方式や静電容量方式、音響パルス認識方式、超音波表面弾性波方式、赤外遮光方式、画像認識方式など公知の各種の方式のものを用いることができる。タブレット型コンピュータ400は、さらに、マイクやスピーカーを備えていてもよい。
【0084】
(物件管理データベースの一例)
つぎに、物件管理データベースの一例について説明する。図6は、物件管理データベースの一例を示す説明図である。図6において、物件管理データベース600は、エレベーター100の遠隔監視支援装置200のそれぞれに割り当てられた識別情報と、当該識別情報が割り当てられた物件情報と、を関連づけて記憶する。遠隔監視支援装置200の識別情報は、具体的には、たとえば、SIMカード404に記憶されたIMSIやMSISDNによって実現することができる。
【0085】
物件情報は、たとえば、遠隔監視支援装置200が設置されたエレベーター100の所
在地、建物名、管理番号などによって実現することができる。具体的には、物件情報は、たとえば、「○○県××市△△ビル」、「○○県××市△丁目○番地」、「○○県××市△丁目○番地△△ビル□号機」などのように示される。
【0086】
また、たとえば、「○○ BUILDING, EAST ××, △△ PLACE, NEW DELHI」のような所在地である場合、「○○ BUILD., EAST ××, △△ PLACE, NEW DELHI」のように、タブレット型コンピュータ400を携行する作業員が理解できる範囲で、一部を略したテキストデータとしてもよい。物件情報は、単語あるいは短文であることが好ましい。
【0087】
物件管理データベース600において、遠隔監視支援装置200の識別情報と物件情報とを関連づけて記憶することにより、ディスプレイに表示されたテキストデータにかかるテキストメッセージの送信元の遠隔監視支援装置200が設置されたエレベーター100が、いずれのエレベーター100であるかを案内することができる。
【0088】
(作業員管理データベースの一例)
つぎに、作業員管理データベースの一例について説明する。作業員管理データベースは、作業員の識別情報ごとに、当該作業員が携行する携帯型電話機に割り当てられた電話番号を関連付けて記憶している。
【0089】
作業員の識別情報は、作業員ごとに固有の情報であって、たとえば、社員番号によって実現することができる。また、作業員管理データベースは、作業員の識別情報ごとに、当該作業員の氏名や、保守管轄エリアに関する情報などを関連付けて記憶していてもよい。
【0090】
(表示画面の一例)
つぎに、タブレット型コンピュータ400のディスプレイにおける表示画面の一例について説明する。図7は、表示画面の一例を示す説明図である。図7において、表示画面701は、ディスプレイ505に表示される。表示画面701は、エレベーター100の状況を示すテキストデータと、当該テキストデータにかかるテキストメッセージの送信元の遠隔監視支援装置200が設置されたエレベーター100の物件情報と、を表示する。
【0091】
テキストデータは、たとえば、「DOOR OPEN」、「DOOR OPEN CLEAR」、「POWER IS DOWN」、「POWER IS BACK ON」、「FIRE」、「EXTINGUISHED」など、タブレット型コンピュータ400を携行する作業員が、エレベーター100の状況を迅速かつ正確に判断できる単語あるいは短文であることが好ましい。
【0092】
物件情報は、対応するテキストデータの近傍に表示する。これにより、テキストデータが示すエレベーター100の状況が、いずれのエレベーター100に設置された遠隔監視支援装置200から送信されたものであるかを迅速かつ正確に案内することができる。具体的に、物件情報は、テキストデータと同一行に表示する。
【0093】
また、表示画面701は、エレベーター100の遠隔監視にかかる各種の操作キーを表示してもよい。具体的には、たとえば、ディスプレイ505は、たとえば、表示中のテキストデータにかかるテキストメッセージの転送を指示する操作キー702を表示する。この場合、タッチパネル506において、転送を指示する操作キー702の操作を受け付けると、CPU501は、たとえば、ディスプレイ505を制御して、転送先を選択する画面(図示を省略する)を表示する。
【0094】
テキストメッセージの転送先は、たとえば、エレベーター100の保守管理をおこなう
作業員が携行する携帯型電話機とすることができる。このように、エレベーター100の状況を示すテキストメッセージを、エレベーター100の遠隔監視支援装置200から、タブレット型コンピュータ400のようなSMS対応SIMカードを装着した端末装置に送信し、その後、タブレット型コンピュータ400から、作業員が携行する携帯型電話機に送信することにより、複数台のエレベーター100のそれぞれに設置された遠隔監視支援装置200から送信されるテキストメッセージをタブレット型コンピュータ400に集約することができる。これにより、タブレット型コンピュータ400を用いて、複数台のエレベーター100の遠隔監視を一括しておこなうことができる。
【0095】
(タブレット型コンピュータ400の処理手順)
つぎに、タブレット型コンピュータ400の処理手順について説明する。図8は、タブレット型コンピュータ400の処理手順を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートにおいて、まず、エレベーター100の遠隔監視支援装置200から送信されたテキストメッセージを受信するまで待機する(ステップS801:No)。
【0096】
ステップS801において、エレベーター100の遠隔監視支援装置200から送信されたテキストメッセージを受信した場合(ステップS801:Yes)、受信されたテキストメッセージに基づいて、物件情報を特定する(ステップS802)。ステップS802においては、まず、ステップS801において受信されたテキストメッセージから、当該テキストメッセージの送信元の遠隔監視支援装置200の識別情報(IMSIやMSISDNなど)を抽出する。そして、物件管理データベース600を参照して、抽出された識別情報と同じ識別情報に対応付けられた物件情報を、対象の物件情報として特定する。
【0097】
また、ステップS801:Yesにおいて受信されたテキストメッセージから、テキストデータを抽出する(ステップS803)。その後、ディスプレイ505に、ステップS802において特定された物件情報、ステップS803において抽出されたテキストデータ、および、ステップS801においてテキストメッセージを受信した日時に関する日時情報を表示して(ステップS804)、一連の処理を終了する。
【0098】
ステップS804においては、たとえば、あたらしく受信したテキストメッセージほど、表示画面400の上段に表示されるように、各テキストメッセージに基づくテキストデータなどを表示する。これにより、作業員などに対して、最新のテキストデータを分かりやすく案内することができる。
【0099】
複数台の遠隔監視支援装置200からの複数のテキストメッセージを、1台のタブレット型コンピュータ400に集約し、当該タブレット型コンピュータ400から該当する携帯型電話機にテキストメッセージを転送することにより、高性能のサーバコンピュータを導入するなどして構築や維持にコストがかかって維持管理にかかる負担が大きいシステムを構築することなく、エレベーター100の遠隔監視を容易かつ安価に実現することができる。
【0100】
なお、テキストメッセージの転送先は、たとえば、エレベーター100の保守管理を担う保守管理会社などに設置される、管理サーバコンピュータであってもよい。管理サーバコンピュータは、監視対象となるエレベーター100が設置されている場所とは異なる、当該エレベーター100が設置されている場所から離れた遠隔地に設置される。
【0101】
管理サーバコンピュータは、たとえば、CPU、ROMやRAMあるいはHDなどの記憶媒体、外部装置とのインターフェイス(いずれも図示を省略する)などを備えたコンピュータ装置によって実現することができる。管理サーバコンピュータのメモリには、物件管理データベース具体的には、管理サーバコンピュータは、たとえば、パーソナルコンピ
ュータなどのコンピュータ装置によって実現することができる。管理サーバコンピュータは、キーボードやマウスなどの入力デバイスや、ディスプレイなどを備えていてもよい。
【0102】
タブレット型コンピュータ400から管理サーバコンピュータに転送したテキストメッセージは、たとえば、管理サーバコンピュータと携帯型電話機のようにSMSを利用したテキストメッセージの受信が可能な端末装置とを同期し、当該端末装置が受信したテキストメッセージを当該端末装置から管理サーバコンピュータに割り当てられたIPアドレスを指定して送信する専用のアプリケーションを用いることによって、管理サーバコンピュータにおいて容易に表示させることができる。このような専用のアプリケーションは、公知の技術を用いて実現される汎用的な技術であるため、説明を省略する。これにより、管理サーバコンピュータに対しても、端末装置において受信する場合と同様に、テキストデータによりエレベーター100の状態を確実に通知することができる。
【0103】
このように、複数台の遠隔監視支援装置200からの複数のテキストメッセージを、タブレット型コンピュータ400を介して管理サーバコンピュータに転送することにより、管理サーバコンピュータにおいても、タブレット型コンピュータ400と同様に、複数台のエレベーター100の遠隔監視を一括しておこなうことができる。
【0104】
また、管理サーバコンピュータは、SIMカードスロットを備えていてもよい。これにより、管理サーバコンピュータにSIMカードを装着することによって、エレベーター100の遠隔監視支援装置200から送信されるテキストメッセージを、直接、管理サーバコンピュータにおいて受信することができる。
【0105】
これにより、複数台のエレベーター100の遠隔監視を管理サーバコンピュータによって一括しておこなうことができる。また、SIMカードスロットを備えた管理サーバコンピュータにより、遠隔監視支援装置200から送信されるテキストメッセージを、管理サーバコンピュータから、作業員が携行する携帯型電話機にテキストメッセージ送信することができる。
【0106】
以上説明したように、この実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200は、エレベーター100の状態に応じて信号を出力する複数の構成部のうちのいずれか一つの構成部にそれぞれ接続され入力された信号に応じて開閉する複数の無電圧接点と、各無電圧接点にそれぞれ対応する複数の有電圧接点とを備え、有電圧接点から、対応する無電圧接点の開閉状態を示す有電圧接点信号を出力する電圧変換回路201と、電圧変換回路201の有電圧接点にそれぞれ接続される複数の入力ポートと、各入力ポートにそれぞれ対応する複数の出力ポートとを備え、出力ポートから、対応する入力ポートに入力された有電圧接点信号に応じたテキストデータを出力するデータ出力回路202と、データ出力回路202から出力されたテキストデータに基づいて、所定の電話番号を宛先に指定したテキストメッセージを送信する無線送信機203と、を備えたことを特徴としている。
【0107】
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200によれば、エレベーター100の状態に応じたテキストメッセージを、所定の電話番号が割り当てられた端末装置に送信することができる。すなわち、エレベーター100の制御盤をクライアントとして当該クライアントにサービスを提供するサーバコンピュータを備えたシステムを構築することなく、キャリアが提供する通信サービスのみを利用して、所定の電話番号が割り当てられた端末装置を携行する作業員にエレベーター100の状態を通知することができる。これにより、エレベーター100の遠隔監視を容易かつ安価に実現することができる。
【0108】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200に
よれば、所定の電話番号が割り当てられた端末装置に対して、無電圧接点の開閉状態、すなわち、エレベーター100の状態を示すテキストメッセージを送信することにより、当該テキストメッセージを受信した端末装置を携行する作業員に、エレベーター100の状態を確実に通知することができる。
【0109】
さらに、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200によれば、端末装置に割り当てられた電話番号に基づいて当該電話番号が割り当てられた端末装置にテキストメッセージを送信する、いわゆるSMSを利用することにより、エレベーター100の遠隔監視支援装置200が送信したテキストメッセージを、当該テキストメッセージの送信先となる端末装置に確実に受信させることができる。これにより、作業員に対するエレベーター100の状態の通知確認を確実におこなうことができる。
【0110】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200によれば、エレベーター100を監視する作業員をエレベーター100の設置場所に常駐させることなく、エレベーター100の状態を常に遠隔監視することができるので、エレベーター100において異常が発生する前の変調段階で当該異常の前兆を作業員に通知することができ、エレベーター100において異常が発生する前に当該異常を回避する対応をとることができる。これにより、エレベーター100の利用者の安全性および利便性を確保することができる。
【0111】
このように、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200によれば、エレベーター100の利用者の安全性および利便性を確保できるエレベーター100を容易かつ安価に実現することができる。
【0112】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200によれば、エレベーター100が備える各部のうちの該当する構成部と無電圧接点とを接続し、機械室などに無線送信機203を設置するだけの作業で、通信機能を備えていないエレベーター100の遠隔監視を実現することができる。これにより、設置時においては遠隔監視を想定していなかったエレベーター100の遠隔監視を容易かつ迅速に実現することができる。
【0113】
そして、これにより、通信機能を備えていないエレベーター100の遠隔監視を実現するための工事にかかる工期が長くなることによってエレベーター100を使用できない期間が長くなってしまうことを回避し、エレベーター100の利用者に不便をかけることなく、エレベーター100の遠隔監視を実現することができる。
【0114】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200によれば、独立系の保守管理会社が、エレベーター100の遠隔監視をおこなうことができる。これにより、エレベーター100が設置された建物の所有者などのエレベーター100の管理責任者は、メーカーなどに限定することなく、独立系の保守管理会社やメーカーなどの複数の業者の中から選定した業者に対してエレベーター100の遠隔監視をおこなわせることによって、エレベーター100の安全性を確保することができる。
【0115】
このように、独立系の保守管理会社がメーカーなどと同等の遠隔監視をおこなうことを可能とすることにより、エレベーター100の安全性を確保した上で、エレベーター100の遠隔監視をメーカーなどが独占する場合と比較して、同等の遠隔監視をおこなうために要する保守管理費の低減を図ることができる。これによっても、エレベーター100の利用者の安全性および利便性を確保できるエレベーター100を容易かつ安価に実現することができる。
【0116】
また、この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200は、出力ポートには、それぞれ、対応する無電圧接点の開閉状態に応じた複数のテキストデータが割り当てられており、データ出力回路202が、出力ポートから、対応する入力ポートに入力された有電圧接点信号が示す無電圧接点の開閉状態に応じたテキストデータを出力することを特徴としている。
【0117】
この発明にかかる実施の形態のエレベーター100の遠隔監視支援装置200によれば、各出力ポートから、対応する無電圧接点の開閉状態に応じて異なるテキストメッセージを送信することができる。これにより、簡易な構成によって、エレベーター100の状態を詳細に通知することができる。これによって、エレベーター100の利用者の安全性および利便性を確保でき、容易かつ安価に実現することができるエレベーター100の遠隔監視の信頼性を確保することができる。
【0118】
なお、この発明にかかるエレベーター100の遠隔監視支援装置200は、テキストデータに代えて、それぞれの出力ポートにバイナリデータを割り当て、データ出力回路202が、出力ポートから、対応する入力ポートに入力された有電圧接点信号が示す無電圧接点の開閉状態に応じたバイナリデータを出力するようにしてもよい。
【0119】
ASCIIコードなどの文字コードにしたがってアルファベットや数字、記号などを示すテキストデータは、文字に対して割り当てられた数値を用いてコンピュータ上において文字を表現する。これに対し、バイナリデータは、文字としての意味が与えられたテキストデータとは異なり、そのまま値として扱うことができる。バイナリデータは、OS(Operation System)やアプリケーションなどのプラットフォームにしたがった変換が不要となる。
【0120】
このように、テキストデータに代えてバイナリデータを用いることにより、少ない容量で多くのデータを保持することができるため、テキストデータと同様の内容の情報の通信にかかるデータサイズを小さくすることができ、通信速度の向上を図ることができる。そして、これにより、テキストデータに代えてバイナリデータを用いることにより、エレベーター100の状態をより詳細に、かつ、迅速に通知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上のように、この発明にかかるエレベーターの遠隔監視支援装置は、エレベーターの遠隔監視を支援するエレベーターの遠隔監視支援装置、エレベーターの状況を通知するエレベーター状況通知端末装置に有用であり、特に、設置時に通信機能を備えていないエレベーターの遠隔監視を支援するエレベーターの遠隔監視支援装置、エレベーター状況通知端末装置に適している。
【符号の説明】
【0122】
100 エレベーター
200 遠隔監視支援装置
201 電圧変換回路
202 データ出力回路
203 無線送信機
301 入力端子
302 マイコン
303 送信回路
304 アンテナ
400 タブレット型コンピュータ
501 CPU
502 メモリ
503 ネットワークI/F
505 ディスプレイ
506 タッチパネル
701 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8