(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060072
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/06 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B65H1/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040417
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2023539426の分割
【原出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】森川 修一
(57)【要約】
【課題】媒体の搬送を補助するためのローラを載置台に良好に装着させることが可能な媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、媒体を載置し且つ開口部が設けられた載置面を有する載置台と、媒体の搬送を補助するためのローラと、載置面上に設けられ、且つ、ローラの回転軸の両端を保持する保持部と、を有し、保持部は、載置面の表側に起立する第1腕部及び第2腕部を有し、第1腕部及び第2腕部のうちの少なくとも一方は、ローラが載置面の裏側から開口部を介して装着される場合に、媒体搬送方向と直交する方向の外側に向けて撓むように設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を載置し且つ開口部が設けられた載置面を有する載置台と、
媒体の搬送を補助するためのローラと、
前記載置面上に設けられ、且つ、前記ローラの回転軸の両端を保持する保持部と、を有し、
前記保持部は、前記載置面の表側に起立する第1腕部及び第2腕部を有し、
前記第1腕部及び前記第2腕部のうちの少なくとも一方は、前記ローラが前記載置面の裏側から前記開口部を介して装着される場合に、媒体搬送方向と直交する方向の外側に向けて撓むように設けられ、
前記保持部には、前記ローラと係合する係合部が形成され、
前記係合部は、前記載置面に対して傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記係合部の下側の面に形成され、前記係合部の上側の面には形成されない、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記係合部の下側の面及び上側の面に形成され、
前記載置面と、前記係合部の上側の面に形成された傾斜面とがなす角度は、前記載置面と、前記係合部の下側の面に形成された傾斜面とがなす角度より小さい、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記第1腕部及び前記第2腕部のうちの少なくとも一方は、前記ローラが前記載置面の表側から裏側に向かって押圧された場合には、媒体搬送方向と直交する方向の内側に向けて撓むように設けられる、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記載置面に着脱可能に設けられている、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
媒体搬送方向と直交する方向の端部における前記ローラの表面の径は、媒体搬送方向と直交する方向の中央部における前記ローラの表面の径より、小さい、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記ローラの回転軸は、開口又は凹部であり、
前記係合部は、前記開口又は前記凹部と係合する、請求項1~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体搬送装置に関し、特に、媒体の搬送を補助するためのローラを有する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の媒体を搬送しながら撮像するスキャナ等の媒体搬送装置では、載置台に載置された媒体が、媒体を搬送するためのローラの配置位置まで良好に導かれるように、載置台に、媒体の搬送を補助するためのローラが設けられている場合がある。
【0003】
画像形成装置本体に着脱自在に取り付けられ、底部に用紙の給紙方向の前後方向で回転可能な回転体が設けられた画像形成装置の給紙トレイが開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
媒体搬送装置では、媒体の搬送を補助するためのローラを載置台に良好に装着できることが求められている。
【0006】
媒体搬送装置の目的は、媒体の搬送を補助するためのローラを載置台に良好に装着させることを可能とすることにある。
【0007】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を載置し且つ開口部が設けられた載置面を有する載置台と、媒体の搬送を補助するためのローラと、載置面上に設けられ、且つ、ローラの回転軸の両端を保持する保持部と、を有し、保持部は、載置面の表側に起立する第1腕部及び第2腕部を有し、第1腕部及び第2腕部のうちの少なくとも一方は、ローラが載置面の裏側から開口部を介して装着される場合に、媒体搬送方向と直交する方向の外側に向けて撓むように設けられる。
【0008】
本実施形態によれば、媒体搬送装置は、媒体の搬送を補助するためのローラを載置台に良好に装着させることが可能となる。
【0009】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
【
図2】(A)、(B)は、載置台103について説明するための模式図である。
【
図3】(A)、(B)は、補助ローラ107等について説明するための模式図である。
【
図4】補助ローラ107等について説明するための模式図である。
【
図5】(A)、(B)、(C)は、補助ローラ107等について説明するための模式図である。
【
図6】(A)、(B)は、補助ローラ107等の動作について説明するための模式図である。
【
図7】(A)、(B)は、補助ローラ107等の動作について説明するための模式図である。
【
図8】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図9】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図10】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図11】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図12】他の保持ユニット203について説明するための模式図である。
【
図13】他の補助ローラ307について説明するための模式図である。
【
図14】他の補助ローラ407について説明するための模式図である。
【
図15】他の補助ローラ507等について説明するための模式図である。
【
図16】他の補助ローラ507等について説明するための模式図である。
【
図17】他の処理回路750の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0012】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、薄紙、厚紙、カード、複写紙又は封筒等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
図1において矢印A1は媒体搬送方向を示し、矢印A2は媒体搬送方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0013】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0014】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0015】
載置台103は、水平方向に対して傾斜するように、下側筐体101に係合している。なお、載置台103は、水平方向に対して略平行に配置されてもよい。載置台103は、PS(ポリスチレン)又はABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等の樹脂部材で形成される。PS又はABSは安価であるため、媒体搬送装置100は、PS又はABSを載置台103として使用することにより、装置コストを低減させることができる。載置台103は、媒体を載置する載置面103aを有し、給送及び搬送される媒体を載置する。
図1において矢印A3は載置面103aと直交する高さ方向を示す。
【0016】
排出台104は、上側筐体102に係合し、排出された媒体を載置する。なお、排出台104は、下側筐体101に係合してもよい。
【0017】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0018】
図2(A)、(B)は、載置台103について説明するための模式図である。
図2(A)は、下側筐体101から取り外された状態の載置台103の斜視図であり、
図2(B)は、
図2(A)の領域R1の拡大図である。
【0019】
図2(A)に示すように、載置台103の載置面103aには、補助ローラ107が設けられる。補助ローラ107は、載置台103に載置される媒体の搬送又は自重による移動に伴って、媒体を搬送させる方向に回転し、媒体の搬送を補助するためのローラである。補助ローラ107は、POM(ポリアセタール)等の樹脂部材、特にプラスチック部材又はゴム部材で形成される。POMは高い潤滑性を有しており、補助ローラ107は、POMを用いることにより媒体の搬送を良好に補助することができる。なお、POMは比較的高価であるが、補助ローラ107は十分に小さいため、補助ローラ107としてPOMを使用しても装置コストへの影響は小さい。
【0020】
図2(A)に示す例では、二つの補助ローラ107が、幅方向A2の中央部に、媒体搬送方向A1において間隔を空けて並べて配置されている。なお、補助ローラ107の数は、二つに限定されず、一つ又は三つ以上でもよい。また、各補助ローラ107は、載置面103a上の任意の位置に配置されてもよい。
【0021】
補助ローラ107は、高さ方向A3において、載置面103aから突出するように設けられる。載置面103aは、幅方向A2の中央部に、媒体搬送方向A1に延伸するリブ103bを有している。リブ103bは、載置面103aから突出するように設けられている。リブ103bにより、媒体搬送装置100は、載置台103に載置される媒体に腰付けを行うことが可能となり、薄紙等の腰が弱い媒体の座屈が発生して媒体のジャムが発生することを抑制できる。補助ローラ107は、リブ103bの上流端と下流端の間の位置に配置され、リブ103bからさらに突出するように設けられる。リブ103b及び補助ローラ107により、媒体搬送装置100は、媒体に良好に腰付けを行いつつ、媒体を搬送路に良好に導くことが可能となる。
【0022】
図2(B)に示すように、載置面103aには、開口部103cが設けられる。開口部103cは、載置面103a上に補助ローラ107を配置するための開口であり、各開口部103cは、各補助ローラ107が配置される位置に設けられる。また、載置面103a上には、保持部103dが設けられる。保持部103dは、PS又はABS等の樹脂部材、特に可撓性部材で形成される。保持部103dは、補助ローラ107の回転軸の両端を保持するように、即ち補助ローラ107を挟持するように、各補助ローラ107の幅方向A2の両端に設けられる。
図2(A)に示す例では、二つの補助ローラ107に対応して、二組の開口部103c及び保持部103dが、幅方向A2の中央部に、媒体搬送方向A1において間隔を空けて並べて配置されている。
【0023】
図3(A)、(B)、
図4は、載置面103a及び補助ローラ107について説明するための模式図である。
図3(A)は、下側筐体101から取り外された状態の載置台103を上方から見た模式図であり、
図3(B)は、
図3(A)の領域R2の拡大図である。
図4は、
図3(B)のA-A’線断面図である。
【0024】
図3(B)、
図4に示すように、保持部103dは、第1腕部103e及び第2腕部103fを有する。第1腕部103e及び第2腕部103fは、それぞれ媒体搬送方向と直交する幅方向A2の外側から内側に向かって延伸し、且つ、載置面103aの表側に起立するように設けられる。第1腕部103e及び第2腕部103fには、第1突起部103g及び第2突起部103hが形成される。第1突起部103g及び第2突起部103hは、係合部の一例であり、それぞれ第1腕部103e及び第2腕部103fの幅方向A2の内側面から突出するように形成される。
【0025】
一方、
図4に示すように、補助ローラ107は、回転中心に回転軸107aを有する。
図4に示す例では、回転軸107aは、幅方向A2にわたって貫通するように形成された開口である。
【0026】
図3(B)、
図4に示すように、第1突起部103g及び第2突起部103hは、補助ローラ107の回転軸107aである開口と係合する。保持部103dに形成された第1突起部103g及び第2突起部103hが補助ローラ107の回転軸107aと係合することにより、保持部103dは、補助ローラ107を適切に回転可能に支持する。
【0027】
図4に示すように、補助ローラ107の表面の幅方向A2の両サイドは、C面カットされている。なお、補助ローラ107の表面の幅方向A2の両サイドは、R面カットされていてもよい。補助ローラ107は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の端部107bにおける補助ローラ107の表面の径H1が、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の中央部107cにおける補助ローラ107の表面の径H2より、小さくなるように設けられる。これにより、補助ローラ107の幅方向A2の両サイドの側面107dが第1腕部103e又は第2腕部103fの何れかと当接する場合に、その当接する領域が小さくなる。そのため、媒体搬送装置100は、補助ローラ107の側面107dと、第1腕部103e又は第2腕部103fとの間の摩擦による異音の発生を抑制することが可能となり、媒体を静かに搬送させることが可能となる。
【0028】
図5(A)、(B)、(C)は、載置面103a及び補助ローラ107について説明するための模式図である。
図5(A)は、補助ローラ107が取り外された状態の載置台103を上方から見た模式図であり、
図5(B)は、
図5(A)の領域R3の拡大図である。
図5(C)は、載置台103から取り外された状態の補助ローラ107を示す斜視図である。
【0029】
図5(A)、(B)、(C)に示すように、補助ローラ107は、載置面103aに着脱可能に設けられている。これにより、媒体搬送装置100は、摩耗しやすい補助ローラ107を交換させることが可能となり、装置寿命を増大させることが可能となる。
【0030】
図6(A)、(B)及び
図7(A)、(B)は、載置台103及び補助ローラ107の動作について説明するための模式図である。
【0031】
図6(A)は、補助ローラ107が取り外された状態の載置台103を下流側から見た模式図である。
図6(A)に示すように、補助ローラ107は、載置台103に装着される場合、載置台103の内側、即ち載置面103aの裏側において、開口部103cと対向する位置に配置される。
【0032】
図6(B)は、補助ローラ107が装着される直前の載置台103を下流側から見た模式図である。
図6(B)に示すように、補助ローラ107は、載置台103に装着される場合、開口部103cにおいて、載置台103の内側から外側に向けて、即ち載置面103aの裏側から表側に向けて、媒体搬送装置100を組み立てる作業者により押し込まれる。上記したように、第1腕部103e及び第2腕部103f(保持部103d)は、それぞれ可撓性部材で形成され、幅方向A2の外側から内側に向かって延伸し、且つ、載置面103aの表側に起立するように設けられる。即ち、第1腕部103e及び第2腕部103fは、根元に位置する揺動軸C1、C2を中心として、揺動(回転)可能に設けられる。
【0033】
第1腕部103eの第1突起部103gは、補助ローラ107によって上方に向かって押圧されると、揺動軸C1を中心として左上方に向かって揺動する。同様に、第2腕部103fの第2突起部103hは、補助ローラ107によって上方に向かって押圧されると、揺動軸C2を中心として右上方に向かって揺動する。これにより、第1腕部103e及び第2腕部103fは、幅方向A2の外側に向かって撓み、第1腕部103eと第2腕部103fの間の距離が大きくなるため、補助ローラ107は、第1腕部103eと第2腕部103fの間に容易に装着される。
【0034】
なお、第1突起部103g及び/又は第2突起部103hの下側の面、即ち補助ローラ107が装着される際に補助ローラ107と接する面は、幅方向A2及び高さ方向A3に対して傾斜するように設けられる。同様に、補助ローラ107において、補助ローラ107が装着される際に第1突起部103g及び/又は第2突起部103hと接する面も、幅方向A2及び高さ方向A3に対して傾斜するように設けられてもよい。これにより、媒体搬送装置100は、補助ローラ107が装着される際に、補助ローラ107、第1突起部103g又は第2突起部103hを損傷させることなく、第1腕部103e及び第2腕部103fを幅方向A2の外側に向けて良好に撓ませることができる。
【0035】
また、
図6(B)に示す例では、第1腕部103e及び第2腕部103fの両方が補助ローラ107により撓んでいるが、第1腕部103e及び第2腕部103fの何れか一方のみが撓むように設けられ、他方は固定されてもよい。
【0036】
図7(A)は、補助ローラ107が装着された状態の載置台103を下流側から見た模式図である。
図7(A)に示すように、
図6(B)に示す状態からさらに、補助ローラ107が載置面103aの裏側から表側に向けて押し込まれると、第1腕部103eの第1突起部103g及び第2腕部103fの第2突起部103hは、補助ローラ107の回転軸107aに係合する。これにより、補助ローラ107は、載置台103に装着される。
【0037】
このように、第1腕部103e及び第2腕部103fのうちの少なくとも一方は、補助ローラ107が装着される際に、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の外側に向けて撓むように設けられている。これにより、媒体搬送装置100は、作業者によって、補助ローラ107を載置台103に良好に装着させることが可能となる。
【0038】
図7(B)は、装着された補助ローラ107が載置面103aの表側から裏側に向かって押圧された状態の載置台103を下流側から見た模式図である。
図7(B)に示すように、載置台103に媒体Mが載置された場合、補助ローラ107は、載置台103に載置された媒体Mによって、載置台103の外側から内側に向けて、即ち載置面103aの表側から裏側に向かって押圧される。載置面103aの表側から裏側に向かって押圧された補助ローラ107は、第1腕部103eの第1突起部103g及び第2腕部103fの第2突起部103hを下方に向けて押圧する。
【0039】
第1腕部103eの第1突起部103gは、補助ローラ107によって下方に向かって押圧されると、揺動軸C1を中心として右下方に向かって揺動する。同様に、第2腕部103fの第2突起部103hは、補助ローラ107によって下方に向かって押圧されると、揺動軸C2を中心として左下方に向かって揺動する。これにより、第1腕部103e及び第2腕部103fは、幅方向A2の内側に向かって撓み、第1腕部103eと第2腕部103fの間の距離が小さくなるため、補助ローラ107が保持部103dから取り外されることが阻害される。
【0040】
なお、第1突起部103g及び/又は第2突起部103hの上側の面、即ち装着された補助ローラ107を支持する面は、下側の面と同様に、幅方向A2及び高さ方向A3に対して傾斜するように設けられる。但し、第1突起部103g及び/又は第2突起部103hの上側の面の幅方向A2に対する傾きは、下側の面の幅方向A2に対する傾きより小さくなるように設けられる。なお、第1突起部103g及び/又は第2突起部103hの上側の面は、幅方向A2に延伸するように設けられてもよい。
【0041】
一方、補助ローラ107において、載置台103に装着された状態で第1突起部103g及び/又は第2突起部103hにより支持される回転軸107a内の面は、幅方向A2に延伸するように設けられる。なお、補助ローラ107において、載置台103に装着された状態で第1突起部103g及び/又は第2突起部103hにより支持される回転軸107a内の面は、幅方向A2及び高さ方向A3に対して傾斜するように設けられてもよい。その場合、その面の幅方向A2に対する傾きは、補助ローラ107が装着される際に第1突起部103g及び/又は第2突起部103hと接する面の幅方向A2に対する傾きより小さくなるように設けられる。これらにより、載置台103は、装着された補助ローラ107を良好に支持しつつ、作業者は、補助ローラ107を載置面103aの表側から裏側に向けて強く押し込むことにより、補助ローラ107を載置台103から取り外すことができる。
【0042】
また、
図7(B)に示す例では、第1腕部103e及び第2腕部103fの両方が補助ローラ107により撓んでいるが、第1腕部103e及び第2腕部103fの何れか一方のみが撓むように設けられ、他方は固定されてもよい。
【0043】
このように、第1腕部103e及び第2腕部103fのうちの少なくとも一方は、補助ローラ107が載置面103aの表側から裏側に向かって押圧された場合には、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の内側に向けて撓むように設けられている。
【0044】
これにより、載置台103は、利用者により補助ローラ107が載置面103aの裏側に向けて押圧された場合でも、補助ローラ107の幅方向A2の両端を良好に支持し、補助ローラ107が利用者によって誤って取り外されることを抑制できる。特に、載置台103は、大量の媒体Mが載置された場合でも、補助ローラ107の幅方向A2の両端を良好に支持し、媒体搬送装置100は、媒体Mを良好に搬送させることが可能となる。また、利用者は、載置面103aの裏側から補助ローラ107を容易に押圧できないため、媒体搬送装置100は、補助ローラ107が利用者によって誤って取り外されることを抑制できる。したがって、媒体搬送装置100は、利用者による媒体のセット、補助ローラ107の清掃、又は、補助ローラ107の押圧等の操作により、補助ローラ107が取り外されることを抑制できる。
【0045】
図8は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0046】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、媒体センサ111、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、撮像装置116、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118等を有している。
【0047】
なお、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118は、それぞれ媒体搬送方向A1と直交する幅方向に間隔を空けて並べて配置される。
【0048】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド101aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド102aを形成する。
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。
【0049】
媒体センサ111は、給送ローラ112及び分離ローラ113より上流側に配置される。媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。なお、媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0050】
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に分離して給送する。分離ローラ113は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112と対向して配置され、媒体給送方向の反対方向に回転する。
【0051】
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112より下流側に、相互に対向して配置され、給送ローラ112及び分離ローラ113によって給送された媒体を撮像装置116に搬送する。
【0052】
撮像装置116は、第1搬送ローラ114より下流側に配置され、第1搬送ローラ114によって搬送された媒体を撮像する。撮像装置116は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを含む。第1撮像装置116aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置116aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置116aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0053】
同様に、第2撮像装置116bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置116bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置116bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0054】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0055】
第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118は、撮像装置116より下流側に、相互に対向して配置され、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115によって搬送され、撮像装置116によって撮像された媒体を排出台104に排出する。
【0056】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A4の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド101aと上側ガイド102aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。分離ローラ113は、媒体給送時、矢印A5の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及び分離ローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。
【0057】
媒体は、下側ガイド101aと上側ガイド102aによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって、第1撮像装置116aと第2撮像装置116bの間に送り込まれる。撮像装置116により読み取られた媒体は、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118がそれぞれ矢印A8及び矢印A9の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0058】
図9は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0059】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0060】
モータ131は、一又は複数のモータを有し、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118を回転させて媒体を搬送させる。なお、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115のうちの一方のローラは他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。また、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118のうちの一方のローラは、他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。
【0061】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。
【0062】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0063】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0064】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、媒体センサ111、撮像装置116、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、媒体センサ111から受信した媒体信号に基づいて、モータ131の駆動制御、撮像装置116の撮像制御等を行い、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0065】
図10は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0066】
図10に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0067】
図11は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0068】
以下、
図11に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
【0069】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0070】
次に、制御部151は、媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0071】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118を回転させる(ステップS103)。制御部151は、モータ131を駆動して、各ローラを回転させ、媒体を搬送させる。
【0072】
次に、制御部151は、撮像装置116に媒体を撮像させて、撮像装置116から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS104)。
【0073】
次に、制御部151は、媒体センサ111から受信する媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS105)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S105の処理を繰り返す。
【0074】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118を停止させる(ステップS106)。制御部151は、各ローラを停止させるように、モータ131を制御し、一連のステップを終了する。
【0075】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、載置台103において補助ローラ107を挟持する保持部103dを載置面103a側に突出させる。これにより、媒体搬送装置100は、載置面103aの表面側から補助ローラ107が押圧された場合に保持部103dが内側に向けて撓んでローラを外れにくくする。さらに、媒体搬送装置100は、載置面103aの裏面側から補助ローラ107が装着される場合に保持部103dが外側に向けて撓んでローラを装着しやすくする。したがって、媒体搬送装置100は、媒体の搬送を補助するための補助ローラ107を載置台103に良好に装着させることが可能となった。
【0076】
また、媒体搬送装置100は、補助ローラ107により、載置台103に載置された媒体を、給送ローラ112及び分離ローラ113まで良好に導くことが可能となり、媒体を良好に搬送することが可能となった。特に、媒体搬送装置100は、補助ローラ107により、載置台103に載置された媒体と、載置面103aとの間の摩擦(抵抗)を低減させることが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、載置台103上で搬送対象の媒体の上に載置された媒体の先端が搬送対象の媒体の先端より下流側に配置されている場合でも、搬送対象の媒体の上に載置された媒体を搬送対象の媒体より先に搬送してしまうことを抑制できる。
【0077】
また、補助ローラ107は、取り付けを容易にしつつ取り外しを困難にするための特別な構造を有することなく、シンプルな構造を有している。したがって、媒体搬送装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、補助ローラ107を載置台103に良好に装着させることが可能となった。
【0078】
図12は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における保持ユニット203について説明するための模式図である。
図12は、保持ユニット203の斜視図である。
【0079】
本実施形態における媒体搬送装置では、補助ローラ107は、載置台103上に直接に設けられるのでなく、載置台103に着脱可能に設けられた保持ユニット203上に設けられる。保持ユニット203は、保持部103dと同様に、PS又はABS等の樹脂部材、特に可撓性部材で形成される。なお、保持ユニット203は、POM等の高い潤滑性を有する樹脂部材で形成されてもよい。これにより、保持ユニット203は、補助ローラ107と保持ユニット203との間の摩擦による異音の発生を抑制することが可能となり、媒体を静かに搬送させることが可能となる。その場合、保持ユニット203にグリース等の潤滑剤を塗布する必要もなくなり、保持ユニット203は、搬送する媒体への汚れの付着も抑制できる。POMは比較的高価であるが、保持ユニット203は十分に小さいため、保持ユニット203としてPOMを使用しても装置コストへの影響は小さい。
【0080】
保持ユニット203は、載置面203aを有する。載置面203aは、載置台103の載置面103aと面一となるように設けられる。載置面203aには、開口部103cと同様の開口部203cが設けられる。また、載置面203a上には、保持部103dと同様の保持部203dが設けられる。保持部203dは、補助ローラ107の回転軸の両端を保持するように、補助ローラ107の幅方向A2の両端に設けられる。
【0081】
保持部203dは、第1腕部103e及び第2腕部103fと同様の第1腕部203e及び第2腕部203fを有する。第1腕部203e及び第2腕部203fは、それぞれ可撓性部材で形成され、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の外側から内側に向かって延伸し、且つ、載置面103aの表側に起立するように設けられる。第1腕部203e及び第2腕部203fには、第1突起部103g及び第2突起部103hと同様の第1突起部及び第2突起部が形成される。第1突起部及び第2突起部は、補助ローラ107の回転軸107aである開口と係合する。
【0082】
第1腕部203e及び第2腕部203fのうちの少なくとも一方は、補助ローラ107が載置面203aの裏側から開口部203cを介して装着される場合に、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の外側に向けて撓むように設けられる。また、第1腕部203e及び第2腕部203fのうちの少なくとも一方は、補助ローラ107が載置面203aの表側から裏側に向かって押圧された場合には、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の内側に向けて撓むように設けられる。
【0083】
また、保持ユニット203は、保持ユニット係合部203iを有する。保持ユニット係合部203iは、載置台103に設けられた被係合部(不図示)に係合可能に設けられる。保持ユニット203は、保持ユニット係合部203iを載置台103に設けられた被係合部に係合させることにより、載置台103に装着される。一方、保持ユニット203は、保持ユニット係合部203iを載置台103に設けられた被係合部から取り外すことにより、載置台103から取り外される。即ち、保持部203dは、載置台103の載置面103aに着脱可能に設けられている。媒体搬送装置は、保持部203dの損傷が発生した場合に安価な保持ユニット203のみを交換することにより、補助ローラ107による搬送補助機能を維持することが可能となる。したがって、媒体搬送装置は、装置維持費用を低減させることが可能となる。
【0084】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、保持部203dを載置面103aに着脱可能に設けた場合も、媒体の搬送を補助するための補助ローラ107を載置台103に良好に装着させるとともに、載置台103に載置された媒体を良好に搬送することが可能となった。
【0085】
図13は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における補助ローラ307について説明するための模式図である。
図13は、補助ローラ307の断面図である。
【0086】
本実施形態における媒体搬送装置は、補助ローラ107の代わりに、補助ローラ307を有する。補助ローラ307は、補助ローラ107と同様の構成及び機能を有する。補助ローラ307は、回転軸107aと同様の回転軸307aを有する。但し、補助ローラ307の表面の幅方向A2の両サイドは、階段状に形成されており、段差を有している。補助ローラ307は、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の端部307bにおける補助ローラ307の表面の径H1が、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の中央部307cにおける補助ローラ307の表面の径H2より、小さくなるように設けられる。これにより、補助ローラ307の幅方向A2の両サイドの側面307dが第1腕部103e又は第2腕部103fの何れかと当接する場合に、その当接する領域が小さくなる。そのため、媒体搬送装置は、補助ローラ307の側面307dと、第1腕部103e又は第2腕部103fとの間の摩擦による異音の発生を抑制することが可能となり、媒体を静かに搬送させることが可能となる。
【0087】
なお、補助ローラ307は、補助ローラ107と同様に、保持ユニット203上に設けられてもよい。
【0088】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、補助ローラ307の両サイドが階段状に形成される場合も、媒体の搬送を補助するための補助ローラ307を載置台103に良好に装着させるとともに、載置台103に載置された媒体を良好に搬送することが可能となった。
【0089】
図14は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における補助ローラ407について説明するための模式図である。
図14は、補助ローラ407の断面図である。
【0090】
本実施形態における媒体搬送装置は、補助ローラ107の代わりに、補助ローラ407を有する。補助ローラ407は、補助ローラ107と同様の構成及び機能を有する。但し、補助ローラ407は、回転軸107aの代わりに、回転軸407aを有する。回転軸407aは、幅方向A2において貫通しないように幅方向A2の両端に形成された凹部である。第1腕部103eの第1突起部103g及び第2腕部103fの第2突起部103hは、補助ローラ407の回転軸407aである凹部と係合する。保持部103dに形成された第1突起部103g及び第2突起部103hが補助ローラ407の回転軸407aと係合することにより、保持部103dは、補助ローラ407を適切に回転可能に支持する。
【0091】
なお、補助ローラ407は、補助ローラ107と同様に、保持ユニット203上に設けられてもよい。また、補助ローラ407の表面の幅方向A2の両サイドは、補助ローラ307の表面の幅方向A2の両サイドと同様に、階段状に形成されてもよい。
【0092】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、補助ローラ407の回転軸407aが凹部である場合も、媒体の搬送を補助するための補助ローラ407を載置台103に良好に装着させるとともに、載置台103に載置された媒体を良好に搬送することが可能となった。
【0093】
図15は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における載置台503及び補助ローラ507について説明するための模式図である。
図15は、載置台503及び補助ローラ507の断面図である。
【0094】
本実施形態における媒体搬送装置は、載置台103の代わりに載置台503を有し、補助ローラ107の代わりに補助ローラ507を有する。載置台503は、載置台103と同様の構成及び機能を有し、補助ローラ507は、補助ローラ107と同様の構成及び機能を有する。載置台503は、媒体を載置する載置面503aを有し、給送及び搬送される媒体を載置する。載置面503aには、開口部503cが設けられる。また、載置面503a上には、保持部503dが設けられる。保持部503dは、第1腕部503e及び第2腕部503fを有する。第1腕部503e及び第2腕部503fは、第1開口503g及び第2開口503hを有する。第1開口503g及び第2開口503hは、それぞれ第1腕部503e及び第2腕部503fを幅方向A2にわたって貫通するように形成される。
【0095】
一方、補助ローラ507は、回転中心に回転軸507aを有する。回転軸507aは、係合部の一例であり、補助ローラ507の幅方向A2の両端から突出するように形成された突起を有する。回転軸507aは、保持部503dに設けられた第1開口503g及び第2開口503hと係合する。保持部503dに設けられた第1開口503g及び第2開口503hが、補助ローラ507に形成された突起である回転軸507aと係合することにより、保持部503dは、補助ローラ507を適切に回転可能に支持する。
【0096】
一般に、補助ローラ507が回転した場合、開口又は凹部より突起の方が摩耗によってすり減りやすい。本実施形態の媒体搬送装置では、補助ローラ507が突起を有することにより、突起がすり減った場合に、載置台103より安価な補助ローラ507を交換することにより、補助ローラ507による搬送補助機能を維持することが可能となる。したがって、媒体搬送装置は、装置維持費用を低減させることが可能となる。
【0097】
なお、補助ローラ507は、補助ローラ107と同様に、保持ユニット203上に設けられてもよい。また、補助ローラ507の表面の幅方向A2の両サイドは、補助ローラ507の表面の幅方向A2の両サイドと同様に、階段状に形成されてもよい。
【0098】
以上詳述したように、本実施形態の媒体搬送装置では、保持部503dが第1開口503g及び第2開口503hを有し、補助ローラ507が回転軸507aとして突起を有する。その場合も、媒体搬送装置は、媒体の搬送を補助するための補助ローラ507を載置台503に良好に装着させるとともに、載置台503に載置された媒体を良好に搬送することが可能となった。
【0099】
図16は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における載置台603及び補助ローラ507について説明するための模式図である。
図16は、載置台603及び補助ローラ507の断面図である。
【0100】
本実施形態における媒体搬送装置は、載置台503の代わりに載置台603を有する。載置台603は、載置台503と同様の構成及び機能を有する。載置台603は、媒体を載置する載置面603aを有し、給送及び搬送される媒体を載置する。載置面603aには、開口部603cが設けられる。また、載置面603a上には、保持部603dが設けられる。保持部603dは、第1腕部603e及び第2腕部603fを有する。第1腕部603e及び第2腕部603fは、第1凹部603g及び第2凹部603hを有する。第1凹部603g及び第2凹部603hは、それぞれ幅方向A2において第1腕部603e及び第2腕部603fを貫通しないように、第1腕部603e及び第2腕部603fの内側に形成される。
【0101】
補助ローラ507の回転軸507aは、保持部603dに設けられた第1凹部603g及び第2凹部603hと係合する。保持部603dに設けられた第1凹部603g及び第2凹部603hが、補助ローラ507に形成された突起である回転軸507aと係合することにより、保持部603dは、補助ローラ507を適切に回転可能に支持する。
【0102】
以上詳述したように、本実施形態の媒体搬送装置では、保持部603dが第1凹部603g及び第2凹部603hを有し、補助ローラ507が回転軸507aとして突起を有する。その場合も、媒体搬送装置は、媒体の搬送を補助するための補助ローラ507を載置台603に良好に装着させるとともに、載置台603に載置された媒体を良好に搬送することが可能となった。
【0103】
図17は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路750の概略構成を示す図である。処理回路750は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路750は、制御回路751及び画像取得回路752等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0104】
制御回路751は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路751は、操作装置105又はインタフェース装置132から操作信号を、媒体センサ111から媒体信号を受信する。制御回路751は、受信した各情報に基づいてモータ131を制御する。
【0105】
画像取得回路752は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路752は、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0106】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路750を用いる場合においても、媒体の搬送を補助するための補助ローラを載置台に良好に装着させるとともに、載置台に載置された媒体を良好に搬送することが可能となった。
【符号の説明】
【0107】
100 媒体搬送装置
103、503、603 載置台
103a、203a、503a、603a 載置面
103c、203c、503c、603c 開口部
103d、203d、503d、603d 保持部
103e、203e、503e、603e 第1腕部
103f、203f、503f、603f 第2腕部
103g 第1突起部
103h 第2突起部
107、307、407、507 補助ローラ
107a、407a、507a 回転軸
503g 第1開口
503h 第2開口
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を収容する収容部と、
前記収容部に収容された媒体を給送する給送ローラと、
前記収容部に収容された媒体と対向し、且つ、当該媒体が前記給送ローラによって給送される際に当該媒体に従動回転して媒体の搬送を補助するための補助ローラと、
前記補助ローラの回転軸の両端を保持する保持ユニットと、を有し、
前記保持ユニットは、第1腕部及び第2腕部を有し、
前記第1腕部及び前記第2腕部のうちの少なくとも一方は、前記補助ローラが前記保持ユニットに装着される場合に、前記補助ローラによって押圧されて撓むように設けられ、
前記保持ユニットは、前記収容部に対して着脱可能に設けられている、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
媒体搬送方向と直交する方向の端部における前記補助ローラの表面の径は、媒体搬送方向と直交する方向の中央部における前記補助ローラの表面の径より、小さい、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記補助ローラは、前記保持ユニットが前記収容部に装着された状態で、下方から上方に押し上げられることにより、前記保持ユニットに装着される、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記保持ユニットは、開口又は凹部を有し、
前記補助ローラの回転軸は、前記開口又は前記凹部と係合する突起を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記保持ユニットには、前記補助ローラと係合する係合部が形成され、
前記係合部は、前記収容部の載置面に対して傾斜する傾斜面を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。