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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060074
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】外科手術器具及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040663
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2020560963の分割
【原出願日】2019-05-11
(31)【優先権主張番号】62/670,193
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512315175
【氏名又は名称】ボルダー サージカル,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ステキーティー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ブッチャーグリア
(57)【要約】
【課題】本発明は、外科手術器具に関し、より具体的には、外科手術器具用のアクチュエータに関する。
【解決手段】
外科手術器具および関連する方法が開示される。器具は、第1の顎と、第2の顎と、第1のアクチュエータとを有する。第1のアクチュエータは、第1の顎と係合するカム機構を有し、解放位置と、クランプ位置と、閉鎖位置との間で第1の顎を動かす。開放位置とクランプ位置との間の第1の顎の移動は回転移動成分を含む。クランプ位置と閉鎖位置との間の第1の顎の移動は平行移動である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の顎と、
第2の顎と、
開放位置と、クランプ位置と、閉鎖位置との間で前記第1の顎を動かすために前記第1の顎と係合するように構成されたカム機構を有する第1のアクチュエータと、を備え、
前記開放位置と前記クランプ位置との間の前記第1の顎の移動は回転移動成分を含み、 前記クランプ位置と前記閉鎖位置との間の前記第1の顎の移動は平行移動であり、
前記第1のアクチュエータは前記第1の顎の第1の顎表面に係合する第1のカム面を有し、前記第1のアクチュエータは前記第1の顎の第2の顎表面に係合する第2のカム面を有し、前記第1のアクチュエータは前記第1の顎の第3の顎表面に係合する第3のカム面を有し、
前記第2のカム面は、前記第1の顎を前記第2の顎の方に押すために、前記第1の顎の前記第2の顎表面に係合するように構成され、
前記開放位置から前記クランプ位置に前記第1の顎の回転移動を完了するために、前記第1のアクチュエータが第1の位置から第2の位置へ前記第1の顎の先端側に移動するときに、前記第1のカム面は前記第1の顎表面と係合するように構成され、
前記クランプ位置から前記閉鎖位置に前記第1の顎の平行移動を完了するために、前記第1のアクチュエータが第2の位置から第3の位置へ前記第1の顎の先端側に移動するとき、前記第2のカム面は前記第2の顎表面と係合するように構成されている、
外科手術器具。
【請求項2】
前記閉鎖位置から前記クランプ位置に前記第1の顎の平行移動を完了するために、前記第1のアクチュエータが第3の位置から第4の位置へ前記第1の顎の根本側に移動するとき、前記第3のカム面は前記第3の顎表面と係合するように構成されている、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項3】
前記第1の顎が前記開放位置に向かって付勢されるように構成されている付勢機構を更に備える、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項4】
前記付勢機構は前記第1のアクチュエータの長手方向で前記第1の顎に力を加えるように構成され、前記長手方向は前記第1のアクチュエータの移動方向である、請求項3に記載の外科手術器具。
【請求項5】
前記付勢機構は前記第1の顎に回転力を加えるように構成される、請求項3に記載の外科手術器具。
【請求項6】
前記第1の顎又は前記第2の顎の一方に配置されたピンと、
前記第1の顎又は前記第2の顎の他方に配置された細長いスロットと、を更に備え、
前記ピン及び前記細長いスロットは、前記第1の顎の枢動軸が第1の位置と該第1の位置とは異なる第2の位置との間を平行移動できるように構成されている、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項7】
前記第1のアクチュエータの作動と同一に作動し、前記外科手術器具の縦軸の対向する側に配置されている、第2のアクチュエータを備える、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項8】
前記開放位置と前記クランプ位置との間の前記第1の顎の移動は平行移動成分を有する、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項9】
前記第1の顎表面、前記第2の顎表面、及び前記第3の顎表面は、前記第1の顎の近い側にあることを特徴とする、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項10】
前記第1の顎表面は前記第2の顎表面及び第3の顎表面に対して近い側にあり、前記第2の顎表面は前記第1の顎表面及び前記第3の顎表面に対して遠い側にある、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項11】
前記第1の顎及び前記第2の顎の先端方向への前記第1のアクチュエータの移動による前記第1のカム面と第1の顎表面との係合は、前記第1の顎を前記第2の顎に対して回転させるようにする、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項12】
前記第1の顎及び前記第2の顎の先端方向への前記第1のアクチュエータの移動による前記第2のカム面と前記第2の顎表面との係合は、前記第1の顎を前記第2の顎の方へ平行移動させるようにする、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項13】
前記第1の顎及び前記第2の顎の根本方向への前記第1のアクチュエータの移動による前記第3のカム面と前記第3の顎表面との係合は、前記第1の顎を前記第2の顎から離れる方向に平行移動させる、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項14】
前記第1の顎表面、前記第2の顎表面、及び前記第3の顎表面は、前記第1の顎の壁に形成されている、請求項1に記載の外科手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年5月11日出願の米国特許仮出願第62/670,193号明細書であり、「外科手術器具及び関連する方法」と題する優先権を主張するものであり、その開示の全体は、すべての適切な目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、外科手術器具に関し、より具体的には、外科手術器具用のアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術器具、特に、例えば、直径5ミリメートルまたはそれ以下の外科手術ステープリング器具のような小型器具用の改良されたアクチュエータ、並びに他の新しいおよび有用な改良のための必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な外科手術器具は、第1の顎と、第2の顎と、第1のアクチュエータとを有する。第1のアクチュエータは、第1の顎と係合して、開放位置と、クランプ位置と、閉鎖位置との間で第1の顎の動きを有効にするカム機構を有する。開放位置とクランプ位置との間の第1の顎の移動は回転移動成分を含む。クランプ位置と閉鎖位置の間の第1の顎の移動は平行移動である。
【0005】
外科手術器具を使用する例示的な方法は、第1の位置とこの第1の位置の先端側の第2の位置との間で第1のアクチュエータを移動させて、開放位置とクランプ位置との間で第1の顎を移動することを含む。例示的な方法は、第2の位置とこの第2の位置の先端側の第3の位置との間で第1のアクチュエータを移動させて、クランプ位置と閉鎖位置との間で第1の顎を移動させることを含む。開放位置とクランプ位置との間の第1の顎の移動は回転移動成分を含む。クランプ位置と閉鎖位置の間の第1の顎の移動は平行移動である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は開放位置において第1の顎を有する例示的なエンドエフェクタの側面図である。
図2図2はクランプ位置において図1におけるエンドエフェクタの側面図である。
図3図3は閉鎖位置にある図1におけるエンドエフェクタの側面図である。
図4図4図1におけるエンドエフェクタの第1の顎の側面図である。
図5図5図1のエンドエフェクタの第1の顎及び第1のアクチュエータの詳細な側面図である。
図6図6図1におけるエンドエフェクタの第2の顎の一部分の側面図である。
図7図7図1のエンドエフェクタの斜視図である。
図8図8は例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1~3を参照すると、外科手術器具用の例示的なエンドエフェクタ100が記載されている。エンドエフェクタ100は、本明細書において外科手術器具100として参照され得る。外科手術器具は、外科手術用ステープラーであってもよいが、当業者は、ここでの教示が、他の器具、特に、閉じられた空間内での組織の精密な把持及びクランプを必要とする内部外科手術用シーラー又は他の外科手術器具に適していることを認識するであろう。
【0008】
図示されるように、外科手術器具100は、上部または第1の顎またはアンビル102と、下部または第2の顎104とを有し、これらは、本明細書では、カートリッジホルダーまたはカートリッジ104としても参照され得る。器具100は、上顎102と係合して、開放位置(例えば、図1参照)、クランプ位置(例えば、図2参照)、及び/又は閉鎖位置(例えば、図3参照)の間で上顎を動かすように構成されたアクチュエータ106を有してもよい。本原稿の目的のために、「クランプ位置」という用語は、上顎と下顎とが互いに近接して位置決めされ、両顎の間に位置決めされた組織上で作用する位置と理解されなければならない。「閉鎖位置」という用語は、上顎と下顎とが、クランプ位置よりも一緒に近接して位置決めされ、幾つかの実施形態では、顎の組織相互作用領域に沿った1つ以上の位置で互いに接触してもよい位置を意味するものと理解されなければならない。「開放位置」という用語は、顎の少なくとも先端部が、それらがクランプ位置にある位置よりも遠く離れているか、または顎が互いに離れて回転している位置を意味するものと理解されなければならない。
【0009】
アクチュエータ106は、長手方向に移動または平行移動するように構成されてもよく、アクチュエータの長手方向の移動は、開放位置とクランプ位置との間の上顎の回転およびクランプ位置と閉鎖位置との間の上顎の直線平行移動を作用させる。図1は、第2の顎104および/または第1の顎102に対する根本側位置におけるアクチュエータ106を示す。図2は、アクチュエータ106を、図1に示される根本側位置に対して先端側である第2の位置で示す。図3は、アクチュエータ106を、図1および図2に示される両方の位置に対して先端側である第3の位置で示す。
【0010】
幾つかの例では、器具100は、(a)アンビル102、(b)アクチュエータ106、(c)ピボット部材又はピボットピン108及びアクチュエータガイドスロット126を有するハウジング104、及び(d)スプリング部材を有する多位置カムシステムを含む。
【0011】
いくつかの例では、外科手術器具は、外科手術用ステープラのためのアンビルであり得る上顎と、カートリッジハウジングであり得る下顎と、第1のアクチュエータと、を有する。第1のアクチュエータは、開放位置と、クランプ位置と、閉鎖位置との間で上顎を動かすように構成されたカムを有してもよい。開放位置とクランプ位置との間の上顎の移動は、回転移動成分および平行移動成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、開放位置とクランプ位置との間の上顎の移動は、厳密には回転である。クランプ位置と閉鎖位置との間の上顎の移動は、実質的に平行移動であってもよく、回転移動成分はほとんどない。いくつかの実施形態では、クランプ位置と閉鎖位置との間の上顎の移動は、厳密に平行移動である。
【0012】
第1のアクチュエータは、上顎の複数の表面に係合して上顎の所望の動きを実行するために、複数のカム作用面を有するカム機構を有していてもよい。カム機構は、第1のカム面と、第2のカム面と、第3のカム面とを有することができる。上顎は、第1の顎表面と、第2の顎表面と、第3の顎表面とを有し、第2の顎表面は、第1及び第3の顎表面の先端側に位置し、第1の顎表面は、第2及び第3の顎表面の根本側に位置する。
【0013】
図1および図2に図示されるように、第1のカム面は、第1のアクチュエータが第1の位置から第2の位置へ先端側に移動するときに、第1の顎表面と係合して、開放位置からクランプ位置へ上顎を回転するように構成されてもよい。
【0014】
図3に図示されるように、第2のカム面は、第1のアクチュエータが第2の位置から第3の位置へ先端側に動かされるときに、第2の顎表面と係合して、クランプ位置から閉鎖位置へ上顎を平行移動するように構成されてもよい。
【0015】
また、図3から分かるように、第3のカム面は、第1のアクチュエータが第3の位置から第4の位置へ根本側に移動するときに、第3の顎表面と係合して、閉鎖位置からクランプ位置への上顎の平行移動を行うように構成することができる。
【0016】
図1~3に続き、ピンは上顎及び下顎の一方に配置されてもよく、細長いスロットを上顎及び下顎の他方に配置されてもよい。ピン及び細長いスロットは、上顎の枢動軸が第1位置と第2位置との間を平行移動できるように構成されている。
【0017】
器具は、第1の作動と実質的に同一であり、器具の縦軸の対向する側に配置された第2のアクチュエータを含んでもよい。平行移動部材が、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとの間に配置されてもよい。平行移動部材は、切断メカニズム及び/又は2016年12月1日に公表された「外科手術用ステープラ」の名称で、共同所有の米国特許出願公開第2016/0345971(A1)号明細書に記載された拡大するIビームのようなクランプ部材を含むことができる。この特許文献の開示の全体は、適切な目的のために参照により本明細書に組み込まれている。
【0018】
図示されていないが、器具は、器具を開放位置または閉鎖位置に向かって付勢するための付勢機構を含んでもよい。当業者は、限定されるものではないが、バネ、磁石、低ジュロメータポリマー等を含む、付勢機構又は特徴を提供するための多くの手段があることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、付勢機構は、上顎またはアンビルを閉鎖位置からクランプ位置に、またはその逆に付勢するように、上顎に平行力を加えるように構成されている。いくつかの実施形態では、付勢機構は、上顎またはアンビルをクランプ位置から開放位置に向かって、またはその逆に付勢するような回転力を上顎に加えるように構成されている。いくつかの実施形態では、付勢機構は、上顎またはアンビルを平行移動および回転させる傾向の力を加えるように構成される。
【0019】
いくつかの実施態様において、付勢機構は、細長い形スロットの下面を枢動ピンに付勢するように構成される(例えば、図2参照)いくつかの実施形態では、上顎は、下面がピボットピンと接触して維持されている間、クランプ位置と開放位置との間で移動される。いくつかの実施態様において、アクチュエータは、細長い形スロットの上面を枢動ピンに接触させるように構成される(例えば、図3参照)。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される器具は、システムにおける自由度を低減し、最大要素強度のための最適化された幾何形状を提供する。すなわち、開放位置とクランプ位置との間を移動する場合、顎は相対回転運動に制限される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような付勢機構およびアクチュエータは、この移動を実行してもよい。閉鎖位置とクランプ位置との間を移動する場合、顎は相対的平行移動に制限される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような付勢機構およびアクチュエータは、この移動を実行してもよい。
【0021】
ここで図4を参照すると、いくつかの実施形態において、上顎の第2及び第3のカム面は、互いに平行であってもよい。
【0022】
図5に図示されるように、いくつかの実施形態では、上顎の第2および第3のカム面は、クランプ位置と閉鎖位置との間を移動するときに、同時にアクチュエータと接触することができる。2つの接触点支持体を有することにより、クランプ位置と閉鎖位置との間の平行移動に対する上顎またはアンビルの移動を制限し、かつ/または器具の構造的完全性を改善することができる。いくつかの実施形態では、付勢機構は、顎を回転式に開放する傾向があり、一方、上顎またはアンビル上の2つのカム面での接触は、平行移動を行い、上顎またはアンビルの回転する傾向に対抗する。
【0023】
図6に図示されるように、ハウジングは、アクチュエータ上の突起と係合してアクチュエータの先端を支持するための1つまたは複数のフランジ面を含んでもよく、それによって、小さな構造を可能にしながら、器具の構造的完全性を改善する。
【0024】
図に示すように、図1図3において、いくつかの実施形態では、上顎またはアンビルは、上顎またはアンビルの予め選択された枢軸軸が、下顎、カートリッジ、またはハウジングの規定された横軸と位置合わせされない限り、平行移動に制限される。
【0025】
図1~3に続き、いくつかの実施形態では、上顎またはアンビル上の第1、第2、および第3のカム面のうちの1つ以上が、予め選択された枢動軸の根本側およびそれよりも低い位置に配置される。いくつかの実施形態では、上顎またはアンビルの第1、第2、および第3のカム面の各々は、予め選択された枢動軸の根本側およびそれよりも低い位置に配置される。
【0026】
次に、図8を参照すると、例示的な方法800が説明される。第1の顎、第2の顎、および第1の顎に係合するためのカム機構を有する第1のアクチュエータを有する外科手術器具を使用する方法800は、第1のアクチュエータを第1の位置とこの第1の位置よりも先端側の第2の位置との間で移動させること802を含み、第1の顎の移動を開放位置とクランプ位置との間で行うことができる。方法800は、第1のアクチュエータを第2の位置と第2の位置の先端側の第3の位置との間で移動させること804を含み、クランプ位置と閉鎖位置との間で第1の顎の移動させることができる。開放位置とクランプ位置との間の第1の顎の移動は、いくつかの実施形態では回転である。一部の実施形態では、クランプ位置と閉鎖位置との間の第1の顎の移動は平行移動である。
【0027】
第1のアクチュエータを移動させることは、第1のアクチュエータを平行移動させることから成ることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、カム機構は、第1のカム面、第2のカム面、及び第3のカム面を有する。いくつかの実施形態では、第1の顎は、第1の顎表面、第2の顎表面、及び第3の顎表面を有し、第2の顎表面は、第1及び第2の顎表面の先端側に位置し、第1の顎表面は、第2及び第3の顎表面の根本側に位置する。いくつかの実施形態では、開放位置からクランプ位置への第1の顎の回転を有効にするために、第1のアクチュエータが第1の位置から第2の位置へ先端側に動かされるときに、第1のアクチュエータの移動は第1のカム面を第1の顎表面に係合させる。第1の顎をクランプ位置から閉鎖位置へ平行移動するために、第1のアクチュエータが第2の位置から第3の位置へ先端側に動かされるときに、第1のアクチュエータの移動は、第2のカム面及び第3のカム面を第2の顎面に係合させる。第1の顎を閉鎖位置からクランプ位置へ平行移動するために、第1のアクチュエータが第3の位置から根本側に動かされるときに、第1のアクチュエータの移動は、第3のカム面を第3の顎表面に係合させる。
【0029】
方法800のいくつかの実施形態は、第1の顎を開放位置に向かって付勢することを含んでもよい。
【0030】
方法800のいくつかの実施形態は、第1の顎の枢動軸を、第1の位置と第1の位置とは異なる第2の位置との間で移動させることを含んでもよい。
【0031】
本方法のいくつかの実施形態は、第2のアクチュエータを使用して、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとの間に位置する平行移動部材の移動を実行することを含んでもよい。
【0032】
本明細書に開示される種々の要素の各々は、種々の方法で達成され得る。この開示は、それが任意の装置実施形態、方法もしくはプロセス実施形態の変形実施形態、または、単にこれらのいずれかの構成要素の変形形態であろうと、そのような各変形形態を含むものと理解されなければならない。特に、各要素についての語は、機能又は結果のみが同じであっても、均等物装置用語又は方法用語で表すことができることを理解すべきである。そのような同等で、より広い、または、さらにより総合的な総称は、各構成要素または作用の記載に包含されると考えるべきである。本発明が権利を有する潜在的に広い範囲を明示的にするために、所望の場合、そのような用語を置換することができる。
【0033】
しかし、1つの例として、全ての作用は、その作用をとるための手段として、又はその作用を引き起こす要素として表現され得ることが理解されるべきである。同様に、開示される各物理的要素は、物理的要素が容易にする作用の開示を包含するように理解されるべきである。この最後の態様に関して、単なる例として、アクチュエータの開示は、作動する行為の開示を包含するように理解されるべきである-明示的に議論されているか否かに関わらず-また、逆に、作動する行為の開示のみが存在していたか否かに関わらず、そのような開示は、「作動機構」の開示を包含するように理解されるべきである。そのような変更および代替用語は、本明細書に明示的に含まれるものと理解されるべきである。
【0034】
開示された実施形態の前述の説明は、当業者が本発明を製造または使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態に対する様々な改変は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に定義される一般的原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲に従うことが意図される。
なお、参考態様としては以下のようなものがある。
[参考態様1]
第1の顎と、
第2の顎と、
開放位置と、クランプ位置と、閉鎖位置との間で前記第1の顎を動かすために前記第1の顎と係合するように構成されたカム機構を有する第1のアクチュエータと、を備え、
前記開放位置と前記クランプ位置との間の前記第1の顎の移動は回転移動成分を含み、前記クランプ位置と前記閉鎖位置との間の前記第1の顎の移動は平行移動である、外科手術器具。
[参考態様2]
前記カム機構は、第1のカム面、第2のカム面、及び第3のカム面を有し、
前記第1の顎は、第1の顎表面と、第2の顎表面と、第3の顎表面とを有し、前記第2の顎表面は、前記第1および第2の顎表面の先端側に位置決めされ、前記第1の顎表面は、前記第2および第3の顎表面の根本側に配置され
前記開放位置から前記クランプ位置へ前記第1の顎を回転させるために、前記第1のアクチュエータが第1の位置から第2の位置へ先端側に移動するときに、前記第1のカム面は前記第1の顎表面と係合するように構成され、
前記クランプ位置から前記閉鎖位置へ前記第1の顎を平行移動させるために、第1のアクチュエータが第2の位置から第3の位置へ先端側に移動するとき、前記第2のカム面及び前記第3のカム面は前記第2の顎表面と係合するように構成され、
前記閉鎖位置から前記クランプ位置へ前記第1の顎を平行移動させるために、第1のアクチュエータが第3の位置から第4の位置へ根本側に移動するとき、前記第3のカム面は前記第3の顎表面と係合するように構成されている、参考態様1に記載の外科手術器具。
[参考態様3]
前記第1の顎が前記開放位置に向かって付勢されるように構成されている付勢機構を更に備える、参考態様1に記載の外科手術器具。
[参考態様4]
前記付勢機構は前記第1の顎に平行力を加えるように構成される、参考態様3に記載の外科手術器具。
[参考態様5]
前記付勢機構は前記第1の顎に回転力を加えるように構成される、参考態様3に記載の外科手術器具。
[参考態様6]
前記第1の顎又は前記第2の顎の一方に配置されたピンと、
前記第1の顎又は前記第2の顎の他方に配置された細長いスロットと、を更に備え、
前記ピン及び前記細長いスロットは、前記第1の顎の枢動軸が第1の位置と該第1の位置とは異なる第2の位置との間を平行移動できるように構成されている、参考態様1に記載の外科手術器具。
[参考態様7]
第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの間に配置された平行移動部材と、をさらに備える、参考態様1に記載の外科手術器具。
[参考態様8]
前記平行移動部材は切断機構を備える、参考態様7に記載の外科手術器具。
[参考態様9]
前記開放位置と前記クランプ位置との間の前記第1の顎の移動は平行移動成分を有する、参考態様1に記載の外科手術器具。
[参考態様10]
第1の顎と、第2の顎と、前記第1の顎と係合するように構成されたカム機構を有する第1のアクチュエータと、を備える外科手術器具を使用する方法であって、
開放位置とクランプ位置との間で第1の顎を移動させるために、第1の位置と該第1の位置の先端側の第2の位置との間で第1のアクチュエータを移動させるステップと、
前記クランプ位置と閉鎖位置との間で前記第1の顎を移動させるために、前記第2の位置と該第2の位置の先端側の第3の位置との間で前記第1のアクチュエータを移動させるステップと、を備え、
前記開放位置と前記クランプ位置との間の前記第1の顎の移動は回転移動成分を有し、
前記クランプ位置と前記閉鎖位置との間の前記第1の顎の移動は平行移動である、方法。
[参考態様11]
前記第1のアクチュエータの前記移動は、第1のアクチュエータを平行移動させることである、参考態様10に記載の方法。
[参考態様12]
前記カム機構は、第1のカム面と、第2のカム面と、第3のカム面と、を有し、
第1の顎は、第1の顎表面と、第2の顎表面と、第3の顎表面とを備え、前記第2の顎表面は前記第1及び第2の顎表面の先端側に配置され、前記第1の顎表面は第2及び第3の顎表面の根本側に配置され、
前記第1のアクチュエータの前記移動は、前記開放位置から前記クランプ位置への前記第1の顎の回転をもたらすために、前記第1のアクチュエータを第1の位置から第2の位置へ先端側に移動させるときに、前記第1のカム面を前記第1の顎表面と係合させ、
前記第1のアクチュエータの前記移動は、前記クランプ位置から前記閉鎖位置へ前記第1の顎を平行移動させるために、前記第2の位置から前記第3の位置へ先端側に前記第1のアクチュエータを移動させるときに、前記第2のカム面及び前記第3のカム面を第2の顎面と係合させ、
前記第1のアクチュエータの前記移動は、前記閉鎖位置から前記クランプ位置へ前記第1の顎を平行移動させるために、前記第1のアクチュエータを前記第3の位置から根本側に動かすときに、前記第3のカム面を第3の顎面と係合させる、参考態様10に記載の方法。
[参考態様13]
前記第1の顎を前記開放位置に向かって付勢するステップを更に備える、参考態様10に記載の方法。
[参考態様14]
前記第1の顎の枢動軸を前記第1の位置と該第1の位置とは異なる前記第2の位置との間で移動させるステップを更に備える、参考態様10に記載の方法。
[参考態様15]
前記第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとの間に配置された平行移動部材を移動させるために、前記第2のアクチュエータを使用するステップを更に備える、参考態様10に記載の方法。
[参考態様16]
前記開放位置と前記クランプ位置との間の前記第1の顎の移動は平行移動成分を含む、参考態様10に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部と根本部とを有する第1の顎と、
第2の顎と、
開放位置と、クランプ位置と、閉鎖位置との間で前記第1の顎を動かすために前記第1の顎と係合するように構成されたカム機構を有する第1のアクチュエータと、を備え、
前記開放位置と前記クランプ位置との間の前記第1の顎の移動は回転移動成分を含み、
前記クランプ位置と前記閉鎖位置との間の前記第1の顎の移動は平行移動であり、
前記第1の顎は枢動軸の周りで前記第2の顎に対して枢動するように構成され、
前記第1のアクチュエータは前記第1の顎の第1の顎表面に係合する第1のカム面を有し、前記第1の顎の前記第1の顎表面は前記枢動軸に近い前記根本部に設けられている
外科手術器具。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータは前記第1の顎の第2の顎表面に係合する第2のカム面を有し、前記第1のアクチュエータは前記第1の顎の第3の顎表面に係合する第3のカム面を有し、
前記第2のカム面は、前記第1の顎を前記第2の顎の方に押すために、前記第1の顎の前記第2の顎表面に係合するように構成されている、請求項1に記載の外科手術器具、
【請求項3】
前記第1の顎が前記開放位置に向かって付勢されるように構成されている付勢機構を更に備える、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項4】
前記付勢機構は記第1の顎に平行力を加えるように構成され、請求項3に記載の外科手術器具。
【請求項5】
前記付勢機構は前記第1の顎に回転力を加えるように構成される、請求項3に記載の外科手術器具。
【請求項6】
前記第1の顎又は前記第2の顎の一方に配置されたピンと、
前記第1の顎又は前記第2の顎の他方に配置された細長いスロットと、を更に備え、
前記ピン及び前記細長いスロットは、前記第1の顎の前記枢動軸が第1の位置と該第1の位置とは異なる第2の位置との間を平行移動できるように構成されている、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項7】
2のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの間に配置された平行移動部材と、を備える、請求項1に記載の外科手術器具。
【請求項8】
前記平行移動部材は切断機構を備える、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項9】
前記第1の顎表面、前記第2の顎表面、及び前記第3の顎表面は、前記第1の顎の前記先端部より前記第1の顎の前記根本部に近いことを特徴とする、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項10】
前記第1の顎表面は前記第2の顎表面及び第3の顎表面に対して近い側にあり、前記第2の顎表面は前記第1の顎表面及び前記第3の顎表面に対して遠い側にある、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項11】
端方向への前記第1のアクチュエータの移動による前記第1のカム面と第1の顎表面との係合は、前記第1の顎を前記第2の顎に対して回転させるようにする、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項12】
端方向への前記第1のアクチュエータの移動による前記第2のカム面と前記第2の顎表面との係合は、前記第1の顎を前記第2の顎の方へ平行移動させるようにする、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項13】
本方向への前記第1のアクチュエータの移動による前記第3のカム面と前記第3の顎表面との係合は、前記第1の顎を前記第2の顎から離れる方向に平行移動させる、請求項に記載の外科手術器具。
【請求項14】
前記第1の顎表面、前記第2の顎表面、及び前記第3の顎表面は、前記第1の顎に開口を定める、請求項に記載の外科手術器具。