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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060085
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】翼を備えた鋼管杭
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/56 20060101AFI20240423BHJP
   E02D 5/28 20060101ALI20240423BHJP
   E02D 5/72 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
E02D5/56
E02D5/28
E02D5/72
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041928
(22)【出願日】2024-03-18
(62)【分割の表示】P 2020078652の分割
【原出願日】2020-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000176512
【氏名又は名称】三谷セキサン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 猛士
(57)【要約】
【課題】鋼管杭の底を閉塞した場合に埋設し難く高止まりを生じやすく、底を開放した場合には掘削土が詰まり施工し難くなることを改善する。
【解決手段】
上下を開放した軸芯O1の鋼管本体1の下端部に部分円状翼10を備えて、鋼管杭30とする(a)(b)。部分円状翼10は略扇形の基準部分円板11の3枚から構成し、各基準部分円状翼11は、第一辺13と第二辺14とを、滑らかな円弧状の外周縁12で結んで形成した(c)。基準部分円板11は、第一辺13を一方向44の回転方向前側に位置させた場合、第一辺13を第二辺14より長く形成し、かつ第一辺13が第二辺14より下方に位置するように傾斜して形成した。隣接する基準部分円板11で、対抗する第一辺13と第二辺14の間に横間隙31を形成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状で軸芯O1の中空部を有する鋼管本体を鉛直に配置して、前記鋼管の下端部に、水平に対して角度を与えて配置した部分円状翼を備え、以下のように構成したことを特徴とする翼を備えた鋼管杭。
(1)前記鋼管杭を地盤中に下降させるための前記鋼管本体の回転方向を、一方向とする。
(2)前記部分円状翼は、中心O1の周りに、複数枚の基準部分円板を等角度で配置して構成した。
(3)前記基準部分円板は、第一辺と第二辺とを、滑らかな円弧状の外周縁で結んだ略扇形に形成した。
(4)前記基準部分円板は、略扇型の中心O2を、平面視で前記鋼管本体の中空部に位置させて、かつ略扇型の外周縁を前記鋼管本体の外周側に位置させた。
(5)前記第一辺を前記一方向の回転時に回転方向前側に位置させた場合、前記第一辺が前記第二辺より下方に位置するように前記基準部分円板を傾斜して形成した。
(6)前記基準部分円板の扇型の中心O2を、前記鋼管本体の中心O1から、放射方向以外の方向へずらして配置した。
(7)前記基準部分円板で、前記鋼管本体の中空部側に位置する部分の一部を切り欠いて、排土開口を形成した。
【請求項2】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1に記載した翼を備えた鋼管杭。
(1)隣接する基準部分円板で、対向する第一辺と第二辺の間に横間隙を形成して、前記横間隙を鋼管本体の外周側および中空部側に位置させた。
(2)鋼管本体の下端部に、前記鋼管本体の外周側およぶ中空部側に位置する補強具を固定しした。
(3)隣接する基準部分円板の横間隙に前記補強具を位置させて、かつ、前記基準部分円板を前記補強具に固定した。
【請求項3】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1に記載した翼を備えた鋼管杭。
(1)基準部分円板は、第一辺の外周縁付近を、中心側に比して下方に位置するように傾斜させ、かつ第二辺の外周縁付近を、中心側に比して上方に位置するように、傾斜させて鋼管本体に固定した。
【請求項4】
円筒状で軸芯O1の中空部を有する鋼管本体を鉛直に配置して、前記鋼管の下端部に、水平に対して角度を与えて配置した部分円状翼を備え、以下のように構成したことを特徴とする翼を備えた鋼管杭。
(1)前記鋼管杭を地盤中に下降させるための前記鋼管本体の回転方向を、一方向とする。
(2)前記部分円状翼は、2枚の略半円形の基準部分円板を、直径側を対向させ、かつ前記直径間に所定の間隙を設けて配置して構成した。
(3)前記基準部分円板は、略直径に属する一方の半径部分を第一辺とし、他方の半径部分を第二辺として、前記第一辺の放射方向の端と第二辺の放射方向の端とを滑らかな円弧状の外周縁で結んでなる略半円形に形成した。
(4)前記基準部分円板は、略半円形の中心を、平面視で前記鋼管本体の中空部に位置させて、かつ略半円形の外周縁を前記鋼管本体の外周側に位置させた。
(5)前記第一辺を前記一方向の回転時に回転方向前側に位置させた場合、
前記第一辺が前記第二辺より下方に位置するように前記基準部分円板を傾斜して形成した。
(6)前記隣接する基準部分円板で、対向する直径と直径の間に横間隙を形成して、前記横間隙を鋼管本体の外周側および中空部側に位置させた。
(7)前記基準部分円板で、前記鋼管本体の中空部側に位置する部分の一部を切り欠いて、排土開口を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の鋼管杭の下端に接続し、あるいは単独で使用して、地中に埋めて地上の構造物を支持する鋼管本体の下端部に部分円状の翼を備えた鋼管杭に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼管杭を回転しながら降下させて埋設するために、鋼管本体の先端に掘削推進用の翼を設けた鋼管杭が提案され、多くは部分円状の鋼板をひねって翼として鋼管杭の先端部外周に溶接して固定していた(特許文献1、2)。この場合には、平面視では。翼の外周は略円形となっていた。鋼管杭は回転しながら埋設するので、一般に、翼の外周縁が地盤に当たる際に抵抗が少なく、地盤の中に翼を押し込むように、埋設する構造となっていた。
また、他の従来例では、長方形のような板を傾斜させた状態で、鋼管杭の先端部に固定して、翼付の鋼管杭を構成したものもあった(特許文献3、4)。これらは主に地盤を削りながら、埋設する構造となっていた。
従来の鋼管杭では、一般的に、鋼管杭の強度を増して、地盤を削り易く、埋設後に鋼管の支持力を増強することを目的に、様々な工夫がなされていた。また、鋼管杭の底を塞いだ場合に、一般に支持力が高まるが埋設し難いので、翼の形状を様々な工夫もなされていた(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-324419公報
【特許文献2】特開2019-85872号公報
【特許文献3】特開平11-200363号公報
【特許文献4】特開2005-256500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の発明では、適用される地盤が比較的浅く軟弱な地盤であり、翼と鋼管杭とで必要な支持力を発揮できる構造であった。したがって、底を開放した鋼管杭では、翼の構造を強固なものとしなければならず、結果として、鋼管杭を埋設し難い問題があった。
また、底を閉塞した鋼管杭では埋設し難いく、設計より鋼管杭が深く埋設できず、鋼管杭の上端部が設計より高く地上に露出するいわゆる高止まりを起こす場合もあった。この場合には、鋼管杭の上端部を切断するなどの処理が必要であった。また、鋼管杭の底を開放した場合には、施工性が高まるが、底が地中の掘削土で詰まった場合には、同様に施工性が低下する問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明では、鋼管杭の鋼管本体自体で必要な支持力を得られる構造で、より鋼管本体を埋設し易くするために、翼を平面視で部分円状の外周縁を設けて、かつ地盤との抵抗を少なくした構造をベースとして、傾斜させた基準部分を鋼管杭の下端部に固定して作り易く、かつ排土を効率的に行うことにより、埋設し易さを考慮した。
【0006】
第一の発明にあっては、3枚以上の略扇型の基準部分円板で回転方向前側の第一辺を第二辺より長く形成し、かつ隣接する基準部分円板の間に横間隙を形成して構成した。また、第二の発明にあっては、3枚以上の略扇型の基準部分円板を傾斜させ、かつ鋼管本体の中空部に連通する排土開口を設けた構造とした。また、第三の発明にあっては、2枚の略半円形の基準部分円板を傾斜させて、かつ、横間隙と鋼管本体の中空部に連通する排土開口を設けた構造とした。
【0007】
即ち、第二の発明は、円筒状で軸芯O1の中空部を有する鋼管本体を鉛直に配置して、前記鋼管の下端部に、水平に対して角度を与えて配置した部分円状翼を備え、以下のように構成したことを特徴とする翼を備えた鋼管杭である。
(1)前記鋼管杭を地盤中に下降させるための前記鋼管本体の回転方向を、一方向とする。
(2)前記部分円状翼は、中心O1の周りに、複数枚の基準部分円板を等角度で配置して構成した。
(3)前記基準部分円板は、第一辺と第二辺とを、滑らかな円弧状の外周縁で結んだ略扇形に形成た。
(4)前記基準部分円板は、略扇型の中心O2を、平面視で前記鋼管本体の中空部に位置させて、かつ略扇型の外周縁を前記鋼管本体の外周側に位置させた。
(5)前記第一辺を前記一方向の回転時に回転方向前側に位置させた場合、前記第一辺が前記第二辺より下方に位置するように前記基準部分円板を傾斜して形成した。
(6)前記基準部分円板の扇型の中心O2を、前記鋼管本体の中心O1から、放射方向以外の方向へずらして配置した。
(7)前記基準部分円板で、前記鋼管本体の中空部側に位置する部分の一部を切り欠いて、排土開口を形成した。
【0008】
また、前記第二の発明において、以下のように構成したことを特徴とする翼を備えた鋼管杭である。
(1)隣接する基準部分円板で、対向する第一辺と第二辺の間に横間隙を形成して、前記横間隙を鋼管本体の外周側および中空部側に位置させた。
(2)鋼管本体の下端部に、前記鋼管本体の外周側およぶ中空部側に位置する補強具を固定した。
(3)隣接する基準部分円板の横間隙に前記補強具を位置させて、かつ、前記基準部分円板を前記補強具に固定した。
【0009】
また、第二の発明において、以下のように構成したことを特徴とする翼を備えた鋼管杭である。
(1)基準部分円板は、第一辺の外周縁付近を、中心側に比して下方に位置するように傾斜させ、かつ第二辺の外周縁付近を、中心側に比して上方に位置するように、傾斜させて鋼管本体に固定した。
【0010】
さらに、第三の発明は、円筒状で軸芯O1の中空部を有する鋼管本体を鉛直に配置して、前記鋼管の下端部に、水平に対して角度を与えて配置した部分円状翼を備え、以下のように構成したことを特徴とする翼を備えた鋼管杭である。
(1)前記鋼管杭を地盤中に下降させるための前記鋼管本体の回転方向を、一方向とする。
(2)前記部分円状翼は、2枚の略半円形の基準部分円板を、直径側を対向させ、かつ前記直径間に所定の間隙を設けて配置して構成した。
(3)前記基準部分円板は、略直径に属する一方の半径部分を第一辺とし、他方の半径部分を第二辺として、前記第一辺の放射方向の端と第二辺の放射方向の端とを滑らかな円弧状の外周縁で結んでなる略半円形に形成した。
(4)前記基準部分円板は、略半円形の中心を、平面視で前記鋼管本体の中空部に位置させて、かつ略半円形の外周縁を前記鋼管本体の外周側に位置させた。
(5)前記第一辺を前記一方向の回転時に回転方向前側に位置させた場合、
前記第一辺が前記第二辺より下方に位置するように前記基準部分円板を傾斜して形成した。
(6)前記隣接する基準部分円板で、対向する直径と直径の間に横間隙を形成して、前記横間隙を鋼管本体の外周側および中空部側に位置させた。
(7)前記基準部分円板で、前記鋼管本体の中空部側に位置する部分の一部を切り欠いて、排土開口を形成した。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、第一の発明にあっては、3枚以上の略扇型の基準部分円板で回転方向前側の第一辺を第二辺より長く形成し、かつ隣接する基準部分円板の間に横間隙を形成して構成した。また、第二の発明にあっては、3枚以上の略扇型の基準部分円板を傾斜させ、かつ鋼管本体の中空部に連通する排土開口を設けた構造とした。また、第3の発明にあっては、2枚の略半円形の基準部分円板を傾斜させて、かつ、横間隙と鋼管本体の中空部に連通する排土開口を設けた構造としたので、翼で掘削した掘削土を地上に揚げて排土し、あるいは掘削土を攪拌して積極的に鋼管杭の中空部に入れて、排土量を減らして、結果として施工性を改善した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の三枚の基準部分円板からなる部分円状翼を用いた実施態様で、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図、(c)は平面図、(d)は正面図、(e)は右側面図、を表す。
図2】この発明の三枚の基準部分円板からなる部分円状翼を用いた実施態様に使用する部材で、(a)は鋼管本体の下方から見た斜視図、(b)は鋼管本体の正面図、(c)は部分円状翼の配置を表す上方から見た斜視図、(d)は部分円状翼の配置を表す平面図、(e)は補強具の下方から見た斜視図および平面図を表す。
図3】この発明の基準部分円板の構造を概略説明する図を表す。
図4】(a)は基準部分円板の一の傾斜構造を示す概略した鋼管杭の斜視図と基準部分円板の斜視図、(b)は基準部分円板の他の傾斜構造を示す概略した鋼管杭の斜視図と基準部分円板の斜視図、(c)は基準部分円板の傾斜構造を説明する斜視図を表す。
図5】この発明の基準部分円板の傾斜構造による効果を説明する図を表す。
図6】異なる排土開口を設けた実施形態で、(a)は部分円状翼の配置を表す平面図、(b)は鋼管杭の平面図、を表す。
図7】この発明の三枚の基準部分円板からなる部分円状翼を用いた他の実施態様で、(a)(b)は他の基準部分円板を使用した平面図、を表す。
図8】この発明の二枚の基準部分円板からなる部分円状翼を用いた実施態様で、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図、(c)は平面図、(d)は正面図、(e)は右側面図、を表す。
図9】この発明の二枚の部分円状翼を用いた実施態様に使用する部材で、(a)は鋼管本体の下方から見た斜視図、(b)は鋼管本体の正面図、(c)は部分円状翼の配置を表す上方から見た斜視図、(d)は補強具の上方から見た斜視図を表す。
図10】この発明の二枚の部分円状翼を用いた他の実施態様で、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図、(c)は平面図、(d)は正面図、(e)は右側面図、を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
【0014】
[実施形態1]第一の実施形態/3枚以上の基準部分円板11から部分円状翼10を構成する鋼管杭の実施形態
【0015】
(A)鋼管本体1の構成
【0016】
使用する現場に対応して、所定の支持力を発揮できる外径D0および肉厚を有し、かつ上下が開放した鋼管本体1を形成する。鋼管本体1の下縁に、使用する基準部分円板11、11およびその傾斜構造に合わせて、回転対称に3つの翼受け切り欠き5、5を形成する。翼受け切り欠き5は、水平な鋼管本体1の下縁に角度θ1で斜めに切り欠いて、あるいは下縁に3角形状の部材を溶接して、形成される。各翼受け切り欠き5に連続して(翼受け切り欠き5の上端に連続して)、補強具21を受ける(部分円状翼10の横間隙31に対応した)水平の補強具受け切り欠き6(補強具受け部)を形成してある。また、隣接する翼受け切り欠き5、5は、補強具受け切り欠き6部分で、略垂直の段差縁7が形成される。
この実施形態では、角度θ1は、12°程度で形成する(図2(a)(b))。また、通常は、鋼板本体1に他の鋼管(通常は鋼管本体1と外径D0および肉厚が同一)を溶接して必要な長さを確保して使用するが長さがそれほどの必要ない場合には、単独で使用することもできる。
【0017】
(B)部分円状翼10の構成
【0018】
(1) この実施形態では3枚の基準部分円板11、11から部分円状翼10を構成する。
【0019】
(2) 基準部分円板11は、中心O2で半径辺13、14とそれらを結ぶ円弧部12を備える略扇型で、一方の半径辺13が長さL21で形成され、他方の半径辺14は長さL22(<L21)で形成されている。3枚の基準部分円板11、11から部分円状翼10を構成するので、半径辺13と半径辺14とのなす角θ2は、
θ2≒120°
で形成されている。また、円弧部12は、半径辺13の放射方向の外縁13aと半径辺14の放射方向の外縁14aとを結ぶなめらかな円弧状の形状となっている。
より具体的には、以下のように形成する(図3)。中心O2を中心とする半径L22の基準円18A(大円)と半径L22の基準円(小円)18Bを形成する。基準円18Aの一半径にあたる半径辺13と、基準円18Bの一半径にあたる半径辺14とを角度θ2(約120°)で設定する。半径辺13の放射縁13a(基準円18Aにある)と、半径辺14の放射縁14a(基準円18Bにある)とを、基準円18A、18Bとの間を通る滑らかな曲線で結んで、曲線を円弧部12とする(図3
【0020】
(3) また、基準部分円板11で、中心O2を含み、長さの長い半径辺13に寄せて、円弧状の排土開口15を形成する(図3)。ここで、排土開口15は、半径辺13上に中心のある半円(円弧)、あるいは半径辺13の近傍に中心のある半円(円弧)で形成されている。
【0021】
(4) 3枚の基準部分円板11、11の所定の間隔および傾斜を保った状態で、鋼管本体1に固定するための部材を補強具21とする。補強具21は、厚さt1の直角三角形の板材を基材24として、基材24、24の3枚を、直角三角形の直角部分を上に向けて、平面視で角度120°に並べて、中心側を固定した構造となっている(図2(e))。ここで、各基材24、24は、前記直角三角形の直放射側の鋭角部分を略垂直に切断して、台形に形成してある。
【0022】
(C)翼を備えた鋼管杭30の構成
【0023】
(1) 扇型の基準部分円板11、11を中心O3周りに円状に配置して、かつ隣接する扇本体11の半径辺13と半径辺14の間に、平面視L1(=t1)の間隙を設けて配置する。この間隙を横間隙31、31とする。
また、各基準部分円板11は、長さが長い半径辺13側が下方に、長さが短い半径辺14側が上方に位置するように傾斜して配置されている。さらに、半径辺13の放射縁13aを基準に、半径辺14の放射縁14aを上昇させるように角度θ1で傾斜させてある(図1(e))。したがって、半径辺13では、放射縁13aに対して、中心O2側が上方の位置となっている。また、半径辺14は、放射縁14aが中心O2側に比して、上方に位置している(図4(b)。
ここで、各基準部分円板11で、上側(鋼管本体1側)を上面11a、下側(鋼管本体の他側)を下面11bとする。
【0024】
(2) 鋼管本体1の下面の3つの翼受け切り欠き5、5の補強具受け切り欠き6、6に補強具21を固定する。ここで、補強具21の各基材24の上面が補強具受け切り欠き6に当接して、かつ各基材24の略垂直の側面が鋼管本体の略垂直の段差縁7に当接して、補強具21と鋼管本体1とは密着できるので、鋼管本体1に補強具21を強固に固定できる。さらに各基材24、24の内周側(先端22側)が鋼管本体1の中空部3側に位置し、各基材24、24の放射側(放射方向端部23側)が鋼管本体1の外面1a側に位置する。また、補強具21の先端22が鋼管本体1の中心O1に位置する。
【0025】
(3)各基準部分円板11、11を、傾斜角度(θ1)、横間隙31、31など上記相対位置を保った状態で、鋼管本体1に固定する。
この際、各基準部分円板11の上面11aで中心O3側(O2側)は鋼管本体1の翼受け切り欠き5の傾斜(θ1)に合わせて当接して固定されるので、各基準部分円板11の傾斜角度θ1が維持された状態で部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。また、各基準部分円板11の半径辺13、14の厚さ方向の端面で中心O3側(O2側)は、補強具の各基材24の外面に当接して固定され、さらに、部分円状翼10の各基準部分円状板11、11間の横間隙31、31に補強具21の基材24、24が挿入されるので、各基準部分円状板11、11の相対位置、横間隙31が維持された状態で、部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。
【0026】
(4) また、この状態で、補強具21の放射状端部23は、鋼管本体1の外面1aより外方(放射方向)に突出するので、確実に、鋼管本体1と各基準部分円板11、11とを固定できる。また、この状態で、各基準部分円板11、11の排土開口15、15は、平面視で鋼管本体1の中空部3内に収まっている(図1(c))。
また、この状態で、基準部分円板11にはθ1の傾斜があるので、隣接する基準部分円板11、11で、半径辺13の放射縁13aと半径辺14の放射縁14aとの間に高さ方向で、最大で長さL4の縦間隙33が形成される(図1(e))。
【0027】
(5) 以上のようにして、鋼管杭30を構成する(図1)。なお、鋼管杭30は、鋼管本体1と部分円状翼10(基準部分円板11、11と補強具21)とを備える構成となっている(図1)。
【0028】
(D)翼を備えた鋼管杭30の作動
【0029】
(1) このように形成した鋼管杭30は、従来のいわゆる翼杭と同様に使用する。
【0030】
(2) すなわち、鋼管本体1を、使用する現場の必要な長さ(例えば10m)・径・厚さなどで形成し、あるいは、他の鋼管杭40の下端に、この発明の鋼管杭30を溶接などで固定して必要な長さを確保して(図1(e))、矢示44方向に回転しながら地盤に埋設する(図1)。
この際、比較的硬い地盤であれば、所定外径で予め杭穴を掘削した後にこの鋼管杭30を回転しながら埋設するが、比較的柔らかい地盤であれば、予め杭穴を掘削せずに、直接に地上から部分円状翼10で地盤を掘削しながら鋼管杭30、40を埋設する。
【0031】
(3) この場合、各基準部分円板11、11で、まず長い半径辺13の放射縁13aが地盤に当接し続いて半径辺13の全体が地盤に当接するので、半径辺13の長さL21に対応した掘削穴42を掘削しつつ鋼管杭30.40を降下できる(図1(c)。この際、半径辺13で掘削した土砂は、略平行な横間隙31および連続した縦間隙33を通して、傾斜θ1で形成された基準部分円板11の上面11aに移動してして、地上に排土される。また、略平行な横間隙31が形成されているので、各基準部分円板11の半径辺13で削られた土砂が基準部分円板11の上面11aに詰まることなく、攪拌されてほぐされるので、掘削効率が高められる。
また、略平行な横間隙31、縦間隙33から基準部分円板11の下面11b側に移動した土砂は、基準部分円板11の下面11b側に留まることなく、排土開口15から鋼管本体1の中空部3に揚げられるので、半径辺13、13での掘削効率が低下することを防止できる。さらに、補助具21の先端22が水平に対して角度を持って形成されているので、半径辺13、13が及ばない中心O1(O3)付近を掘削でき、補助具21で掘削されてほぐされた土砂も半径辺13、13に至り排土され、あるいは、中心側の土砂は補強具21により直接に排土開口15から鋼管本体1の中空部3に排土される。
また、半径辺13を長く、半径辺14を短く形成したので、円弧部12は真円ではなく半径辺14側は中心O1(O3)側に寄っているので、基準部分円板11、11への摩擦抵抗が少なく、掘削効率、排土効率を高められる(図1(c))。また、半径辺13の回転軌跡(すなわち基準円18A(図3)、掘削穴42(図1(c))に対して、半径辺14の放射縁14aの放射側に第二横間隙35を形成できるので(図1(c))、横間隙31と相まって、掘削杭穴内の圧力増加を防止して、掘削効率を高めることができる。また、第二横間隙35から掘削穴の穴壁周辺の掘削土を上方に排土できる。
また、基準部分円板11の円弧部12を滑らかな円弧状に形成したので、尖ったあるいは角となった部分がないので、地盤内に滑らかに突入されるので、掘削効率、排土効率もさらに高められる。
また、基準部分円板11の排土開口15は全部鋼管本体1の中空部3内に位置し、基準部分円板11で鋼管本体1の外面1a側に開口が形成されないので、基準部分円板11の上面11a全体を使って上方に排土できる。
【0032】
(4) 前述のように、翼受け切り欠き5の傾斜θ1は、基準部分円板11の必要な傾斜θ1に合わせて、角度12°で形成されているが、基準部分円板11の傾斜は、掘削効率、排土効率などに応じて選択され、実験では、角度θ1=12°程度が好ましいが、適用する現場の地盤性状などにより
10°<θ1<15°
程度で調整できる。
【0033】
(E)他の構成
【0034】
(1) 前記実施形態において、半径辺13の放射縁13aから半径辺14の放射縁14aに向けて角度θ1となるように傾斜させたが(図5(対角方向傾斜))、下方に位置する半径辺13を略水平に位置させることが望ましいが、半径辺14が上方に位置するように傾斜させることもできる(図5(回転方向への傾斜。y方向傾斜))。この場合、同じ基準部分円板11を使用して同じ傾斜角度θ1(=12°)で、基準部分円板11の底面11b側で、点A(すなわち半径辺13の放射縁13a)、点B(すなわち半径辺14の放射縁14a)、点C(すなわち半径辺13の扇型の中心O2)の高さを、点Aをゼロとして、Z方向(すなわち上下方向)の高さを計算してみると、
回転方向(y方向)傾斜:49.55
対角方向傾斜:111.47
となった。この場合、基準部分円板11のΦ=267.4、厚さ28mmである。
したがって、対角方向の傾斜の場合、点B(すなわち半径辺14の放射縁14a)の高さは
111.47/49.55≒2,25
となり、最初に地盤に当接する(最下端)点A(半径辺13の放射縁13a)から、最も上方に位置する点B(半径辺14の放射縁14a)が2倍以上大きくできるので、縦間隙33のスペースを多くとれるので望ましいが、回転方向(y方向)の傾斜とすることもできる。
すなわち、基準部分円板11は、下方に位置する半径辺13の外周縁13aを、中心O2側と同じ高さ(半径辺13を略水平)とすることもできる(図5)。
【0035】
(2) また、排土開口15は、長さが長い半径辺13側に寄せて形成したが(図3(a))、短い半径辺14側に寄せることもできる(図6(a))。この場合も排土開口15は部分円状とすることが望ましく、部分円状の中止は半径辺14上に位置させる。
また、この場合も、排土開口15、15は鋼管本体1の中空部3内に位置する(図6(a)(b))。
また、排土開口15は部分円状(特に半円)としたので、基準部分円板11の裏面11b側から鋼管本体1の中空部3への排土効率が良いが、排土開口15の開口形状は他の形状とすることもできる(図示していない)。
【0036】
(3) また、前記実施形態において、掘削効率、排土効率は低下するが、横間隙31を省略して隣接する基準部分円板11の半径辺13と他の基準部分円板11の半径辺14とを当接することもできる(図4((b))。なお、この場合には、基準部分円板11を切り欠いて形成した排土開口15を省略して、隣接する基準部分円板11の頂点をずらして重ねて、三角形の排土開口16を形成して、鋼管本体1の中空部3に臨ませることもできる(図4(b))。
【0037】
(4) また、前記実施形態において、補強具21は放射状端部23を鋼管本体1の外面1aより放射方向に突出させることが望ましいが、隣接する基準部分円板11、11を連結補強できれば、補強具21の放射状端部23を鋼管本体1の中空部3内に収めることもできる(図示していない)。
また、台形状の補強具21を使用したが、横間隙31に嵌挿され、隣接する基準部分円板11、11を連結補強できれば、形状は任意である(図示していない)。
また、上記のように横間隙31を省略した場合には、補強具31を省略することもできる(図4(b))。
【0038】
(5) また、前記実施形態において、基準部分円板11、11を3つ使用して、部分円状翼10を形成したが、3枚以上の基準部分円板11から部分円状翼10を構成することもできる(図示していない)。例えば、基準円17A(17B)を四分割して、4枚の基準部分円板11とする場合には、半径辺13、14のなす角θ2は90°となる(図示していない)。
【0039】
(6) また、前記実施例において、基準部分円板11の形状および配置は、半径辺13、14を、中心O2の円部12の半径に較べて斜めに形成し、あるいは横間隙31が長方形状ではなく三角形状になるなど斜めに基準部分円板11を配置するなど、さまざまな形状および配置を採用することもできる(図示していない)。
【0040】
[実施形態2]第二の実施形態/2枚の基準部分円板から部分円状翼を構成する実施形態
【0041】
前記第一の実施形態では、3枚以上の基準部分円板から部分円状翼を形成したが、この実施形態では、2枚の基準部分円板から部分円状翼を構成する。
【0042】
(A)鋼管本体1の構成
【0043】
前記3枚以上の実施形態と同様に、必要な外径D0および肉厚を有する鋼管本体1の下縁に、使用する基準部分円板11、11およびその傾斜構造に合わせて、回転対称に2つの翼受け切り欠き5、5、および略垂直の段差縁7が形成された補強具受け切り欠き6を形成する。
また。この実施形態では、角度θ1は、12°程度で形成する(図8(d)(e))。また、第一の実施形態と同様に、鋼板本体1の構成は任意である。
【0044】
(B)部分円状翼10の構成
【0045】
(1) この実施形態では2枚の基準部分円板11、11から部分円状翼10を構成する。
【0046】
(2) 基準部分円板11は、中心O2で半径辺13、14とそれらを結ぶ円弧部12を備える半円型(扇の角度を180°にした略扇型ともいえる)で、半径辺13、半径辺14とも長さL23で形成される。すなわち、円弧部12の中心O2は半径辺13、14を結ぶ直線上にあることが望ましいが、半径辺13、14を結ぶ直線上の外方(円弧部12の反対側)、または円弧部12に近い側に形成することもできる。
また、円弧部12は、半径辺13の放射方向の外縁13aと半径辺14の放射方向の外縁14aとを結ぶ円弧(ほぼ真円)となっている。
【0047】
(3) また、基準部分円板11で、中心O2を含み、一方の半径辺13に寄せて(半径辺14の同じ長さL23であるので、半径辺14側に寄せても同じ構造である)、円弧状の排土開口15を形成する(図3)。ここで、排土開口15は、半径辺13上に中心のある半円(円弧)で形成されている。
【0048】
(4) 2枚の基準部分円板11、11の所定の間隔および傾斜を保った状態で、鋼管本体1に固定するための部材を補強具21とする。補強具21は、厚さt1で、上面が略水平、側面が略垂直、下面の先端22が先が尖った形状である5角形板材から構成する(図9(d))。また、略垂直の側面を放射方向端部23とする。
【0049】
(C)翼を備えた鋼管杭30の構成
【0050】
(1) 扇型の基準部分円板11、11を、隣接する扇本体11の半径辺13と半径辺14の間に、平面視L1(=t1)の間隙を設けて配置する。この間隙を横間隙31、31とする。
また、各基準部分円板11は、一方の半径辺13側が下方に、他方の半径辺14側が上方に位置するように水平に対して角度θ1で傾斜して配置されている。
ここで、各基準部分円板11で、上側(鋼管本体1側)を上面11a、下側(鋼管本体の他側)を下面11bとする。
【0051】
(2) 鋼管本体1の下面の2つの翼受け切り欠き5、5の補強具受け切り欠き6、6に補強具21を固定する。ここで、前記実施形態1と同様に、補強具21(基材24)の上面が補強具受け切り欠き6に当接して、かつ補強具21(基材24)の略垂直の側面が鋼管本体1の略垂直の段差縁7に当接して、補強具21と鋼管本体1とは密着できるので、鋼管本体1に補強具21を強固に固定できる。さらに補強具21(基材24)の先端22が鋼管本体1の中心O1に位置し、かつ補強具21(基材24)の放射側が鋼管本体1の外面1a側に位置する。(3)各基準部分円板11、11を、傾斜角度(θ1)、横間隙31など上記相対位置を保った状態で、鋼管本体1に固定する。
この際、各基準部分円板11の上面11aが鋼管本体1の翼受け切り欠き5の傾斜(θ1)に合わせて当接して固定されるので、各基準部分円板11の傾斜角度θ1が維持された状態で部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。また、各基準部分円板11の半径辺13、14の厚さ方向の端面で、補強具21の外面に当接して固定され、さらに、部分円状翼10の各基準部分円状板11、11間の横間隙31、31に補強具21(基材24)が挿入されるので、各基準部分円状板11、11の相対位置、横間隙31が維持された状態で、部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。
【0052】
(3) また、この状態で、補強具21の放射状端部23、23は、鋼管本体1の外面1aより外方(放射方向)に突出するので、確実に、鋼管本体1と各基準部分円板11、11とを固定できる。また、この状態で、各基準部分円板11、11の排土開口15、15は、平面視で鋼管本体1の中空部3内に収まっている(図8(c))。
また、この状態で、基準部分円板11にはθ1の傾斜があるので、隣接する基準部分円板11、11で、半径辺13の放射縁13aと半径辺14の放射縁14aとの間に高さ方向で、最大で長さL4の縦間隙33が形成される(図8(d))。
【0053】
(4) 以上のようにして、鋼管杭30を構成する(図8)。なお、鋼管杭30は、鋼管本体1と部分円状翼10(基準部分円板11、11と補強具21)とを備える構成となっている(図8)。
【0054】
(D)翼を備えた鋼管杭30の作動
【0055】
(1) このように形成した鋼管杭30は、前記実施形態1の鋼管杭30と同様に使用する。
【0056】
(2) すなわち、鋼管本体1を、使用する現場の必要な長さ(例えば10m)・径・厚さなどで形成し、あるいは、他の鋼管杭40の下端に、この発明の鋼管杭30を溶接などで固定して必要な長さを確保して(図8(d))、矢示44方向に回転しながら地盤に埋設する(図8)。
この際、比較的硬い地盤であれば、所定外径で予め杭穴を掘削した後にこの鋼管杭30を回転しながら埋設するが、比較的柔らかい地盤であれば、予め杭穴を掘削せずに、直接に地上から部分円状翼10で地盤を掘削しながら鋼管杭30、40を埋設する。
【0057】
(3) この場合、各基準部分円板11、11で、下方に位置する半径辺13の放射縁13aが地盤に当接し続いて半径辺13の全体が地盤に当接するので、半径辺13の長さL23に対応した杭穴42を掘削しつつ鋼管杭30.40を降下できる(図8(c)(d))。この際、半径辺13で掘削した土砂は、前記実施形態1と同様に、略平行な横間隙31および連続した縦間隙33を通して、傾斜θ1で形成された基準部分円板11の上面11aに移動してして、地上に排土される。また、略平行な横間隙31が形成されているので、各基準部分円板11の半径辺13で削られた土砂が基準部分円板11の上面11aに詰まることなく、攪拌されてほぐされるので、掘削効率が高められる。
また、略平行な横間隙31、縦間隙33から基準部分円板11の下面11b側に移動した土砂は、基準部分円板11の下面11b側に留まることなく、排土開口15から鋼管本体1の中空部3に揚げられるので、半径辺13、13での掘削効率が低下することを防止できる。さらに、補助具21の先端22が尖って(すなわち、水平に対して角度を持って)形成されているので、半径辺13、13が及ばない中心O1(O3)付近を掘削でき、補助具21で掘削されてほぐされた土砂も半径辺13、13に至り排土され、あるいは、中心側の土砂は補強具21により直接に排土開口15から鋼管本体1の中空部3に排土される。
また、基準部分円板11の円弧部12を真円に近い円弧状に形成したので、尖ったあるいは角となった部分がないので、地盤内に滑らかに突入されるので、掘削効率、排土効率もさらに高められる。
また、基準部分円板11の排土開口15は全部鋼管本体1の中空部3内に位置し、基準部分円板11で鋼管本体1の外面1a側に開口が形成されないので、基準部分円板11の上面11a全体を使って上方に排土できる。
【0058】
(4) 前記実施形態1と同様に、翼受け切り欠き5の傾斜θ1は、基準部分円板11の必要な傾斜θ1に合わせて、角度12°で形成されているが、基準部分円板11の傾斜は、掘削効率、排土効率などに応じて選択され、実験では、角度θ1=12°程度が好ましいが、適用する現場の地盤性状などにより
10°<θ1<15°
程度で調整できる。
【0059】
(E)他の構成
【0060】
(1) 前記実施形態において、基準部分円板11の排土開口15を円弧状に形成したが、地盤を掘削でき、あるいは排土を鋼管本体1の中空部3に導くことがえきれば、長方形状など他の形状でも可能である(図示していない)。
また、排土開口15は、傾斜状態で下方に位置する半径辺13側に寄せて形成したが(図8(c))、短い半径辺14側に寄せることもできる((図示していない)。
また、この場合も、排土開口15、15は鋼管本体1の中空部3内に位置する。
また、排土開口15は部分円状(特に半円)としたので、基準部分円板11の裏面11b側から鋼管本体1の中空部3への排土効率が良いが、排土開口15の開口形状は他の形状とすることもできる(図示していない)。
【0061】
(2) また、前記実施形態において、補強具21は放射状端部23を鋼管本体1の外面1aより放射方向に突出させることが望ましいが、隣接する基準部分円板11、11を連結補強できれば、補強具21の放射状端部23を鋼管本体1の中空部3内に収めることもできる(図示していない)。
また、台形状の補強具21を使用したが、横間隙31に嵌挿され、隣接する基準部分円板11、11を連結補強できれば、形状は任意である(図示していない)。
【0062】
(3) 前記実施形態において、基準部分円板11は、半径辺13、14上に中心O2のある略真円としたが、楕円の長軸で半割にした部分楕円状に形成することもできる(図10)。この場合には、楕円の短軸方向(円弧部12の放射方向で半径辺13、14に直角な付近)、に第二横間隙35を形成できる。したがって、鋼管杭30を降下させる際に、実施形態1と同様に、横間隙31と相まって、掘削杭穴内の圧力増加を防止して、掘削効率を高めることができる。また、第二横間隙35から掘削穴の穴壁周辺の掘削土を上方に排土できる。
【符号の説明】
【0063】
1 鋼管本体
1a 鋼管本体の外面
2 鋼管本体の上縁
3 鋼管本体の中空部
5 鋼管本体の翼受け切り欠き
6 鋼管本体の補強具受け切り欠き
7 鋼管本体の段差縁
10 部分円状翼
11 基準部分円板
11a 基準部分円板の上面
11b 基準部分円板の下面
12 基準部分円板の円弧部
13 基準部分円板の半径辺(長い)
13a 半径辺の放射縁
14 基準部分円板の半径辺(短い)
14a 半径辺の放射縁
15 基準部分円板の排土開口
16 排土開口
18A、18B 基準円
21 補強具
22 補強具の先端
23 補強具の放射方向端部
24 補強具を構成する基材
30 鋼管杭
31 横間隙
33 縦間隙
35 第二横間隙
40 他の鋼管
42 掘削穴
44 回転方向矢示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10