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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060097
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ペット用おむつ構造
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042872
(22)【出願日】2024-03-18
(62)【分割の表示】P 2020105616の分割
【原出願日】2020-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】517351916
【氏名又は名称】千手 加奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】千手 加奈子
(57)【要約】
【課題】排便時に枠体の裏側からパンツ本体内に排便が漏れることを解消し、衛生的で快適な排便ができるように構成したペット用おむつ構造を提供する。
【解決手段】おむつ本体に排泄用窓を開け、排泄用窓の外方周縁部には肛門部が枠体内下端縁近傍に位置するように枠体を固定し、枠体には排泄袋の開口縁部を枠体内と袋内が互いに内部連通状態となるように連設し、排泄用窓上縁には開閉自在の弁体上縁を折曲自在に連設し、弁体の下過半部外表面には枠体の横幅より幅広の袋開拡用補助シートを弁体下方からはみ出して張設し、枠体と弁体先端部との間には排泄用窓下部に位置する拡大窓を形成すると共に、弁体先端部から袋開拡用補助シートにわたって形成した尻尾挿貫用の切込みと、より構成してなることとした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尻部を包むおむつ本体10に排泄用窓12形成し、排泄用窓12の外方周縁部には肛門部が枠体内下縁部近傍に位置するように枠体14を固定し、枠体14には枠体14内と袋内部が互いに連通するように排泄袋16の開口縁部を連設し、
排泄用窓上縁には開閉自在の弁体上縁を折曲自在に連設し、弁体の下過半部外表面には、枠体の横幅より幅広の袋拡開用補助シートを弁体下方からはみ出して張設し、
該シート略中央部には、尻尾挿貫用の切込みを形成し、尻尾挿貫用の切込みに挿貫した尻尾の動きに連動して排泄袋外側面を大きく持ち上げて袋内部空間を可及的に広く形成して確実な大便収納を可能に構成したことを特徴とするペット用おむつ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットの尻部に装着して使用し排便が装着袋から遺漏することなく確実に排便の収納ができるペット用おむつ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のペット用おむつは、おむつの内側で受け止められた排泄物がペットの体に付着するおそれがあり非衛生的であった。そのためにかかる課題を解決するために出願人は新たなペット用おむつを考案し出願して特許を取得した(特許文献1)。
【0003】
このおむつは、尻部を包むおむつ本体の後面シートに排泄用窓を開け、排泄用窓の外方周縁部に枠体を固定し枠体に排泄袋開口縁部を連通して排泄袋内部と排泄用窓とを連通させると共に、排泄用窓上縁には開閉自在の弁体上縁を連設し弁体はやや短くして弁体下方に排泄用窓下部に位置する拡大窓を形成した構造とし、排便は弁体を押し開けて排泄袋内に排出収納し、滴下する排便は下方の拡張窓から排泄袋内に自然落下し全ての便が十分に収納されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6232688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、かかる改良型のペット用おむつは便の状態に関係なくどのような排便でも排泄袋に確実に収納できることを目的としていたが、実際に使用するとペットの体格により、また排便時の姿勢や動きにより、必ずしも確実に収納される訳でもないことが判明した。
【0006】
すなわち、排便が後面シートの排泄用窓から排泄袋内部に収納されず排泄用窓の外側から排泄袋外部を通り直接におむつ本体の後面シートに落下しておむつを汚損することとなる場合があった。その理由としては排便方向が排泄用窓からズレて排泄用窓の下方にあるおむつ本体の方向を向いてしまうことにあると思われる。かかる原理は弁体の存在とは関係なく要する排泄初動において排泄用窓で配設方向を規制できなかったことによる。
【0007】
このように、排便時に枠体の枠中に排便が収納されないとおむつ本体内側、すなわち枠体の裏側からおむつ本体内に排便が漏れることになり、ペットの尻部を汚損し、悪臭の原因ともなり、衛生的に良くないと共に環境にも悪影響をもたらすことになる。
【0008】
この発明では、かかる排便の漏れを解消して衛生的で快適な排便ができるように構成したペット用おむつ構造を改良したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、尻部を包むおむつ本体10に排泄用窓12形成し、排泄用窓12の外方周縁部には肛門部が枠体内下縁部近傍に位置するように枠体14を固定し、枠体14には枠体14内と袋内部が互いに連通するように排泄袋16の開口縁部を連設し、排泄用窓上縁には開閉自在の弁体上縁を折曲自在に連設し、弁体の下過半部外表面には、枠体の横幅より幅広の袋拡開用補助シートを弁体下方からはみ出して張設し、該シート略中央部には、尻尾挿貫用の切込みを形成し、尻尾挿貫用の切込みに挿貫した尻尾の動きに連動して排泄袋外側面を大きく持ち上げて袋内部空間を可及的に広く形成して確実な大便収納を可能に構成したことを特徴とするペット用おむつ構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、尻部を包むおむつ本体10に排泄用窓12形成し、排泄用窓12の外方周縁部には肛門部が枠体内下縁部近傍に位置するように枠体14を固定し、枠体14には枠体14内と袋内部が互いに連通するように排泄袋16の開口縁部を連設し、排泄用窓上縁には開閉自在の弁体上縁を折曲自在に連設し、弁体の下過半部外表面には、枠体の横幅より幅広の袋拡開用補助シートを弁体下方からはみ出して張設し、該シート略中央部には、尻尾挿貫用の切込みを形成し、尻尾挿貫用の切込みに挿貫した尻尾の動きに連動して排泄袋外側面を大きく持ち上げて袋内部空間を可及的に広く形成して確実な大便収納を可能に構成したことにより、更には排泄用窓に位置する拡大窓を形成したこと、弁体には窓開拡用補助シートを設けたことと相俟って排便時に袋開拡用補助シートが持ち上がり排泄袋内部も大きく開口して内部空間が広がり排便動作が確実に排便用窓の規制範囲内において行われるため円滑に袋内に排便が収納され排便袋外側のおむつ内に漏洩する危険を防止することができる効果がある。
【0011】
しかも、袋体の上側外表面に尻尾挿貫用の切込みからの尻尾を固定可能に構成したので、ペットの排便時に習性として尻尾を持ち上げるため尻尾と共に袋体の上側外表面が持ち上げられて袋内部が拡大されて袋内空間が広がりペットの排便が更に円滑確実に排泄用窓から排泄袋内に収納される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかるペット用おむつ構造を装着したペットの状態を示す図である。
図2】ペット用おむつ構造を説明する正面図である。
図3】ペット用おむつ構造を各構成要素に分解した状態を説明する斜視図である。
図4】ペット用おむつ構造の外側の一部を示した拡大図である。
図5】排便装置を内側から見た斜視図である。
図6】排便装置を外側から見た斜視図である。
図7】ペットがペット用おむつ構造を着用した際の弁体の動きを説明する側面図である。
図8】ペットがペット用おむつ構造を着用した際の枠体近傍を示す概略図である。
図9】ペットがペット用おむつ構造着用時(排便前)を示す側面図である。
図10】ペットがペット用おむつ構造着用時(排便時)を示す側面図である。
図11】排便装置を構成する枠体の形状例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の要旨は、尻部を包むおむつ本体10に排泄用窓12形成し、排泄用窓12の外方周縁部には肛門部が枠体内下縁部近傍に位置するように枠体14を固定し、枠体14には枠体14内と袋内部が互いに連通するように排泄袋16の開口縁部を連設し、排泄用窓上縁には開閉自在の弁体上縁を折曲自在に連設し、弁体の下過半部外表面には、枠体の横幅より幅広の袋拡開用補助シートを弁体下方からはみ出して張設し、該シート略中央部には、尻尾挿貫用の切込みを形成し、尻尾挿貫用の切込みに挿貫した尻尾の動きに連動して排泄袋外側面を大きく持ち上げて袋内部空間を可及的に広く形成して確実な大便収納を可能に構成したことを特徴とする。
また、排泄用窓の上縁には弁体を開閉自在に、かつ、上縁を折曲自在に連設し、弁体の下過半部外表面には枠体の横幅より幅広の袋開拡用補助シートを張設したことを特徴とする。
【0014】
[ペット]
本発明者は、経験側から以下の知見を得ている。すなわち、排便時のペットは、尻尾を緊張状態で上方或いは水平方向に突き立てる習性を有していることである。本発明にかかるペット用おむつ構造は、この習性を利用したものである。本発明におけるペットとは、ヒトの飼育環境下にある尻尾を有する動物であり、例えばイヌ科やネコ科に属する動物である。本明細書では、本発明にかかるペット用おむつ構造を犬に装着させた実施例を説明する。
【0015】
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明にかかるペット用おむつを着用したペットPの図を示している。図2図6、及び図11は、本発明に係るペット用おむつ構造の概略図を示している。図7図10は、ペットPが本発明に係るペット用おむつ構造を装着した際の各構成要素の動きを説明する概略図を示している。
【0016】
本発明に係るペット用おむつ構造は、図1に示すように、おむつ本体10と、排便装置13と、より構成されている。おむつ本体10には、ペットPの肛門と隣接する位置に排泄用窓12としての開口が設けれている。排泄用窓12と内部連通状態で排便装置13が付設されている。以下、おむつ本体10及び排便装置13の構造を詳説する。
【0017】
[おむつ本体]
おむつ本体10は、図2に示すように、後面シート11と、排泄用窓12と、連結手段24(24a・24b)と、より構成されている。おむつ本体10は、上下両端に分離するものであり、全体としては平面視で略ヒョウタン型に構成されている。
【0018】
後面シート11は、おむつ本体10の上下両端の略中央部に設けられている。後面シート11は、小便を吸収する素材で構成することができる。後面シート11上の局部と当接面には、吸水パッドのごとき尿貯留体を貼付してもよい。
【0019】
排泄用窓12は、図3に示すように、後面シート11上の肛門と隣接する位置に形成される開口である。排泄用窓12は、少なくともペットPの尻尾Tと肛門21が開口内部に納まり、肛門21が排泄用窓12の下縁部近傍に位置するように形成される。
【0020】
排泄用窓12の形状は、方形・楕円形・円形・台形・ハート型等から自由に選択することができる。また、後述する排便装置13が備える枠体14及び排泄袋開口15は、排泄用窓12と同じ形状であることが望ましい。
【0021】
連結手段24は、上下に分離したおむつ本体10の上下両端部に着脱自在に設けられている。連結手段24は、例えば、マジックテープ(登録商標)の如き面ファスナー24a・24bが張設されている。
【0022】
おむつ本体10の装着固定は、後面シート11がペットPの尻部を包被するように装着し、ペットPの腹部や胴部において、おむつ本体10の上端部の面ファスナー24aと下端部の左右両端部の面ファスナー24bとが連結して行われる。
【0023】
[排便装置]
おむつ本体10の排泄用窓12と対向する位置には、外側から排便装置13を取り付ける。排便装置13は、図2に示すように、枠体14と、枠体14に連設した弁体17と、枠体14の開口部と連接した排泄袋16と、排泄袋16に貼り付けられた袋開拡用補助シート18と、枠体14と弁体17間に設けられた拡大窓19と、尻尾挿貫用の切込み20と、より構成されている。尻尾挿貫用の切込み20は、弁体17に形成した切込み20aと、排泄袋16に形成した切込み20bと、袋開拡用補助シート18に形成した切込み20cと、より構成されている。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0024】
[枠体]
枠体14は、図4に示すように、排泄用窓12と同形状の開口30と、開口30の周縁を囲む帯状の板体25と、より構成されている。枠体14は、開口30と、板体25とにより、全体として平面視で略短形枠状に構成されている。
【0025】
枠体14は、図4に示す方形の他、排泄用窓12の形状に応じて選択することができる。例えば、図11に示すように、円形・楕円形・台形・三角形・ハート型等から選択することができる。
【0026】
排便装置13は、枠体14の板体25を介しておむつ本体に付設され、一体となるように連結されている。板体25とおむつ本体10の連結手段は、例えば、テープやノリ等の粘着剤や、天然繊維や化学繊維を用いた縫合など、一定強度を備えるものであれば自由に選択することができる。
【0027】
板体25の素材は、防水性や耐久性を備え、且つ柔軟で可撓性に優れた素材から選択してもよい。具体的には、板体25の素材は、樹脂を選択することができる。仮に、防水性や耐久性が樹脂に劣る厚紙等を板体25の素材に採用する場合は、防水性や耐久性を付与する加工を板体25に施して使用することもできる。
【0028】
[弁体]
弁体17は、図4に示すように、枠体14の上縁部を構成する板体25aの下縁部から延設される板状体である。弁体17は、折り曲げ部26と、弁体本体27と、尻尾挿貫用の切込み20aと、より構成されている。
【0029】
折り曲げ部26は、弁体17の基端部(板体25aの下縁部)に設けられている。弁体17は、折り曲げ部26を軸として傾動する。これにより、弁体本体27は、枠体14の開口30を自在に開閉可能となる。
【0030】
弁体本体27は、枠体14の開口30を封止できる大きさと形状の板状体である。具体的には、弁体本体27の左右側面の縁部は、枠体14の開口30周縁部と一致するように形成される。弁体本体27の下縁部の先端27aは、肛門21と対向する位置Hとなるように形成されている。
【0031】
弁体本体27の外側面は、後述する排泄袋開口15を通じて排泄袋16の内壁(排泄袋外側面29側)に固定されている。また、弁体本体27の形状は、図4に示す方形の他、枠体14の形状に応じて選択できる。例えば、図11に示すような、楕円形・円形・台形・三角形・ハート型等から選択できる。
【0032】
弁体本体27には、消臭機能や抗菌機能を備えた加工を施すこともできる。具体的には、活性炭などの多孔質物質を含んだシートによる物理的消臭機能や、酸化還元などの化学反応を利用した科学的抗菌機能等を施したシートを弁体本体27の内側面に付設できる。
【0033】
[排泄袋]
排泄袋16は、図5及び図6に示すように、排泄袋内側面28と、排泄袋外側面29と、排泄袋内側面28の上縁部近傍に設けられた排泄袋開口15と、排泄袋外側面29に設けられた尻尾挿貫用の切込み20bと、より構成されている。排泄袋内側面28の周縁部は、排泄袋外側面29の周縁部と溶着されている。これにより、排泄袋16は、排泄袋開口53による開口と、尾挿貫用の切込み20bによる切込みと、を備えた袋体を形成することとなる。
【0034】
排泄袋内側面28と排泄袋外側面29は、防水性と耐久性に優れた樹脂素材の袋を採用している。具体的には、ポリエチレン製の袋を採用している。
【0035】
排泄袋開口16は、おむつ本体10に設けられた排泄用窓12と同形状に形成されている。すなわち、本発明にかかるペット用おむつ構造では、おむつ本体10が備える排泄用窓12と、枠体14が備える開口30と、排泄袋16が備える排泄袋開口15とは、同形状に連通して形成されている。
【0036】
尻尾挿貫用の切込み20bは、排泄袋16内壁に固定された弁体本体27先端に形成された尻尾挿貫用の切込み20aと連通状態になるように形成されている。
【0037】
[袋開拡用補助シート]
袋開拡用補助シート18は、図6に示すように、片面に粘着性を備えた横長方形の帯状体であり、略中央部には尻尾挿貫用の切込み20cが形成されている。袋開拡用補助シート18は、排泄袋外側面29の外側周壁に張り付けられている。なお、袋開拡用補助シート18を排泄袋外側面29の外側周壁に貼り付ける際には、袋開拡用補助シート18は、弁体17の略下半分と当接するように張り付けすることができる。
【0038】
袋開拡用補助シート18の素材は、排泄袋16よりも強度と可撓性に優れ、弁体17よりも柔軟なものが望ましい。袋開拡用補助シート18の横幅は、枠体14よりも幅広、且つ排泄袋よりも幅狭に形成される。また、袋開拡用補助シート18の縦幅は、後述する尻尾挿貫用の切込み20cを形成するのに十分幅広、且つ排泄袋の下縁内部に収まる程度に幅狭に形成される。
【0039】
なお、上述の袋開拡用補助シート18は、排泄袋16が備える尻尾挿貫用の切込み20bの近傍、或いは排泄袋16の排泄袋外側面29全面を肉厚に形成することに代えることもできる。
【0040】
袋開拡用補助シート18は、このような構成とすることにより、尻尾Tの動きに連動して、排泄袋外側面29を大きく持ち上げる。そのため、排泄袋16の内部空間を可及的に広く形成することができる。排泄袋16の広い内部空間は、より確実な大便の収納を可能とする。
【0041】
[拡大窓]
拡大窓19は、図4に示すように、枠体14が備える開口30の周縁部と、弁体本体27の先端部27aとにより形成される開口である。
【0042】
拡大窓19の大きさは、以下のように決めることができる。すなわち、図8又は図9に示すように、ペットの尻尾の付け根23下部から肛門21までの長さをL1とし、尻尾の付け根23から拡弁体本体27の先端部27aまでの長さをL2とした場合に、少なくともL1<L2となるように拡大窓19を形成する。
【0043】
拡大窓19をこのように形成することにより、肛門21の下側に拡大窓19の下縁部19aが位置することとなる。便の形状によっては、肛門21に便が付着している可能性もある。例えば、液状の便が肛門21の近傍に残っている場合であっても、便が拡大窓19を介して排泄袋16内へ流入することができる。
【0044】
仮に、拡大窓19を設けなかった場合、つまり枠体14の開口30を弁体17で完全に密封した場合は、以下の問題が生じる。すなわち、排便行動を終えたペットPは尻尾Tを下方に降ろす為、弁体17は肛門21に接することとなる。このような状態においては、弁体17は肛門21近傍に便の汚れを広げることとなり、ペットPの皮膚に炎症を引き起こす原因となる。
【0045】
[尻尾挿貫用の切込み]
尻尾挿貫用の切込み20は、図6に示すように、弁体17に形成された切込み20aと、排泄袋16に形成された切込み20bと、袋開拡用補助シート18に形成された切込み20cと、が連通するように形成された開孔又はスリットである。尻尾挿貫用の切込み20の径あるいは横幅は、ペットの尻尾が内側から外側へと引き出せる程度に長く、且つ袋開口用補助シート18よりも短く形成される。
【0046】
尻尾挿貫用の切込み20は、本発明にかかるペット用おむつ構造の外側に尻尾Tを引き出すことを可能とする。これにより、尻尾Tが、排泄袋16内に収容された排便22や、肛門21に付着した排便22との接触を防ぐことができる。
【0047】
おむつ本体10の構成と、排便装置13の構成は以上の通りである。この発明におけるペット用おむつ構造の装着は、おむつ本体10に排便装置13を付設した状態で、ペットPの尻部から胴部に掛けて包被し、おむつ本体10の前後部の連結手段24によってペットPの尻部に固定し、排泄用窓12、枠体14の開口及び尻尾挿貫用の切込み20とを介して尻尾Tを外部へと抜出すことで完成する。
【0048】
本発明にかかるペット用おむつ構造は、上述した構成の通りである。以下、このペット用おむつ構造を使用した際に、排便22が排泄袋16内に収納される行程について説明する。
【0049】
まず、ペットPには、図7に示すように、小便を吸収できる機能を備えたおむつ本体10と、大便を収容する為の排便装置13とより構成される本発明にかかるペット用おむつ構造を装着させる。ペットPの尻尾Tは、排泄用窓12から、枠体14上縁部と弁体17の下側を通じて、尻尾挿貫用の切込み20(20a、20b、20c)から排泄袋16の外側へ引き出されている。この際、切込み20の幅をペットの尻尾が貫通する程度に長く、且つ袋開口用補助シート18よりも短く形成することで、尻尾Tと排便装置13を固定可能となる。
【0050】
肛門21は、図7に示すように、尻尾Tの付け根23下縁部近傍に位置している。しかも、肛門21と排泄用窓12の位置関係は一定となるように固定されている。なぜなら、尻尾Tは、尻尾挿貫用の切込み20(20a・20b・20c)を介して排便装置13と一体に固定されている。また、排便装置13は、おむつ本体10の排泄用窓12の周縁部に枠体14を介して付設されている。これにより、尻尾Tが上下左右に激しく動いたりしても、排泄用窓12の位置は、枠体14によって尻尾Tと同方向、つまり肛門21と対向する位置に規制される。その結果、ペットPがどのような姿勢であっても、排泄用窓12を介して排泄袋16内に排便22が収納されることとなる。
【0051】
排便時のペットPは、図7に示すように、尻尾Tを緊張状態で上方或いは水平方向に突き立てる習性がある。この尻尾Tの動きによって弁体本体27が、折り曲げ部26を軸として上方向へ傾動し、排泄袋16を内側から持ち上げる。また、袋開拡用補助シート18が、排泄袋16を外側からも引き上げ、排泄袋16の内部空間を可及的に大きく形成する。
【0052】
かかる工程を経て、排便22は、図10に示すように、大きく開口した排便袋16内に収納される。また、排便22が柔軟で下方に滴下する状態の場合は、肛門21が拡大窓19と対向する位置にあるために、拡大窓19から排泄袋16内に排便22が流入する。これにより、排便22が、排便装置13外に漏れることを防ぐことができ、排便袋16の外側でおむつ本体10内に遺漏することがない。
【符号の説明】
【0053】
10 おむつ本体
11 後面シート
12 排泄用窓
13 排便装置
14 枠体
15 排泄袋開口
16 排泄袋
17 弁体
18 袋開拡用補助シート
19 拡大窓
19a 拡大窓の下縁部
20 尻尾挿貫用の切込み
21 肛門
22 排便
23 尻尾の付け根
24 連結手段
24a 上端部の面ファスナー
24b 下端部の面ファスナー
25 板体
26 折り曲げ部
27 弁体本体
27a 弁体本体の先端部
28 排泄袋内側面
29 排泄袋外側面
30 開口
P ペット
T 尻尾
L1 尻尾の付け根下部から肛門までの長さ
L2 尻尾の付け根下部から拡大窓下縁部までの長さ
H 肛門位置の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11