(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006010
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】圧電アクチュエータ及びその検査方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106540
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】大井 しおり
(72)【発明者】
【氏名】相羽 貴司
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF93
2C057AG15
2C057AG42
2C057AP82
2C057BA04
2C057BA14
2C057DB04
(57)【要約】
【課題】枝部の電気抵抗を測定可能とする。
【解決手段】圧電アクチュエータ22の圧電体40を構成する3つの圧電層のうち、最上層の圧電層41の上面(圧電体40の表面40a)に、検査電極80x,80yが配置されている。検査電極80x,80yは、圧電層41に形成された孔部411x,411y及び孔部411x,411yに設けられた接続電極を介して、中間層の圧電層上に配置された高電位電極の枝部523と電気的に接続されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に積層された複数の圧電層を有する圧電体と、
前記第1方向において前記複数の圧電層の間に配置された内部電極と、を備え、
前記内部電極は、
前記第1方向と直交する第2方向に配列され、それぞれ活性部を構成する複数の個別部と、
前記第2方向に延び、前記複数の個別部を連結する枝部と、を有し、
前記複数の圧電層のうち前記圧電体における前記第2方向に沿った表面と前記内部電極との間に配置された圧電層に形成され、前記枝部における前記第2方向に互いに離隔した複数の測定部のそれぞれを前記表面と繋ぐ複数の孔部と、
前記複数の孔部に設けられ、前記複数の測定部のそれぞれと電気的に接続する複数の接続電極と、
前記表面における前記複数の孔部のそれぞれを覆う位置に配置され、前記複数の接続電極を介して前記複数の測定部のそれぞれと電気的に接続する複数の検査電極と、
をさらに備えたことを特徴とする、圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記枝部は、第1枝と、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に前記第1枝から離隔した第2枝と、前記第3方向において前記第1枝と前記第2枝との間に配置された第3枝と、を含み、
前記複数の検査電極からなる検査電極組が、前記第1枝及び前記第2枝のそれぞれに対して設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記検査電極組が、前記第3枝に対してさらに設けられたことを特徴とする、請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記枝部は、前記第1枝、前記第2枝及び前記第3枝を含む複数の枝であって、前記第3方向に互いに離隔した複数の枝で構成され、
前記第1枝及び前記第2枝は、前記複数の枝のうち前記第3方向の一端及び他端に位置することを特徴とする、請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記枝部は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に互いに離隔した複数の枝で構成され、
前記複数の検査電極からなる検査電極組が、前記複数の枝のそれぞれに対して設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記複数の孔部は、それぞれ、前記第2方向に互いに離隔した複数の貫通孔で構成され、
前記複数の検査電極は、それぞれ、前記第2方向に長尺な形状を有し、前記複数の貫通孔を覆うことを特徴とする、請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
前記枝部は、前記複数の個別部が連結された連結領域と、前記連結領域と前記第2方向に並ぶ非連結領域と、を有し、
前記複数の測定部が、前記非連結領域に設けられたことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項8】
前記枝部は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向に互いに離隔した複数の枝で構成され、
前記複数の枝は、それぞれ、前記連結領域と、前記連結領域を前記第2方向に挟む2つの前記非連結領域と、を有し、
前記複数の枝における前記2つの非連結領域の一方を連結する幹部をさらに備え、
前記複数の測定部が、前記複数の枝の少なくとも1つにおける、前記2つの非連結領域の一方及び他方のそれぞれに設けられたことを特徴とする、請求項7に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項9】
第1方向に積層された複数の圧電層を有する圧電体と、前記複数の圧電層のいずれかの表面に配置された対象電極と、を備えた圧電アクチュエータであって、前記対象電極は、前記第1方向と直交する第2方向に配列され、それぞれ活性部を構成する複数の個別部と、前記第2方向に延び、前記複数の個別部を連結する枝部と、を有する圧電アクチュエータの検査方法において、
前記圧電体における前記第2方向に沿った表面に、前記枝部における前記第2方向に互いに離隔した測定部のそれぞれと電気的に接続する複数の検査電極を配置する電極配置ステップと、
前記電極配置ステップの後、前記複数の検査電極を用いて前記枝部の電気抵抗を測定する測定ステップと、
を備えたことを特徴とする、圧電アクチュエータの検査方法。
【請求項10】
前記対象電極は、前記第1方向において前記複数の圧電層の間に配置された内部電極であり、
前記電極配置ステップは、
前記複数の圧電層のうち前記圧電体の前記表面と前記内部電極との間に配置された圧電層に、前記枝部の前記複数の測定部のそれぞれを前記表面と繋ぐ複数の孔部を形成する第1ステップと、
前記第1ステップの後、前記表面において前記複数の孔部のそれぞれを覆う位置に、前記複数の接続電極を介して前記複数の測定部のそれぞれと電気的に接続する前記複数の検査電極を形成する第2ステップと、
前記第1ステップの後、前記第2ステップの前又は後に、前記複数の孔部に、前記複数の測定部のそれぞれと電気的に接続する複数の接続電極を設ける第3ステップと、
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の圧電アクチュエータの検査方法。
【請求項11】
前記電極配置ステップの後、前記圧電体を焼成する焼成ステップと、
前記焼成ステップの後、前記複数の検査電極の位置を検出する位置検出ステップと、
をさらに備えたことを特徴とする、請求項10に記載の圧電アクチュエータの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ活性部を構成する複数の個別部と複数の個別部を連結する枝部とを有する内部電極又は対象電極を備えた圧電アクチュエータ及びその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、それぞれ活性部を構成する複数の電極部55a(個別部)と複数の電極部55aを連結する第1接続部55b(枝部)とを有する第1導電部55(内部電極又は対象電極)を備えた圧電アクチュエータが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、第1接続部55b(枝部)は搬送方向(第2方向)に延びている。第1接続部55bの搬送方向の一端と他端とにおいて、電極部55a(個別部)に供給される電荷量に差が生じ、活性部の駆動態様に差が生じ得る。例えば、ノズルを含む流路が形成された流路部材に圧電アクチュエータを固定し、活性部を駆動させた際に、第2方向に配列された複数の活性部の駆動態様に差が生じ、ノズルからの液体の吐出速度にもバラつきが生じ得る。当該問題は、枝部の電気抵抗が大きいほど顕著化する。
【0005】
本発明の目的は、枝部の電気抵抗を測定可能な圧電アクチュエータ及びその検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点によれば、第1方向に積層された複数の圧電層を有する圧電体と、前記第1方向において前記複数の圧電層の間に配置された内部電極と、を備え、前記内部電極は、前記第1方向と直交する第2方向に配列され、それぞれ活性部を構成する複数の個別部と、前記第2方向に延び、前記複数の個別部を連結する枝部と、を有し、前記複数の圧電層のうち前記圧電体における前記第2方向に沿った表面と前記内部電極との間に配置された圧電層に形成され、前記枝部における前記第2方向に互いに離隔した複数の測定部のそれぞれを前記表面と繋ぐ複数の孔部と、前記複数の孔部に設けられ、前記複数の測定部のそれぞれと電気的に接続する複数の接続電極と、前記表面における前記複数の孔部のそれぞれを覆う位置に配置され、前記複数の接続電極を介して前記複数の測定部のそれぞれと電気的に接続する複数の検査電極と、をさらに備えたことを特徴とする、圧電アクチュエータが提供される。
【0007】
本発明の第2観点によれば、第1方向に積層された複数の圧電層を有する圧電体と、前記複数の圧電層のいずれかの表面に配置された対象電極と、を備えた圧電アクチュエータであって、前記対象電極は、前記第1方向と直交する第2方向に配列され、それぞれ活性部を構成する複数の個別部と、前記第2方向に延び、前記複数の個別部を連結する枝部と、を有する圧電アクチュエータの検査方法において、前記圧電体における前記第2方向に沿った表面に、前記枝部における前記第2方向に互いに離隔した測定部のそれぞれと電気的に接続する複数の検査電極を配置する電極配置ステップと、前記電極配置ステップの後、前記複数の検査電極を用いて前記枝部の電気抵抗を測定する測定ステップと、を備えたことを特徴とする、圧電アクチュエータの検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る圧電アクチュエータ22を含むプリンタ100の平面図である。
【
図6】
図5の断面におけるアクチュエータ部90の動作を示す図である。
【
図7】圧電アクチュエータ22を構成する3つの圧電層41~43のうち、最も上方の圧電層41の上面を示す平面図である。
【
図8】圧電アクチュエータ22を構成する3つの圧電層41~43のうち、中間の圧電層42の上面を示す平面図である。
【
図9】圧電アクチュエータ22を構成する3つの圧電層41~43のうち、最も下方の圧電層43の上面を示す平面図である。
【
図10】(a)は、
図7の領域XAの拡大図である。(b)は、
図7の領域XBの拡大図である。
【
図11】(a)は、
図10(a)のXIA-XIA線に沿った断面図である。(b)は、
図10(b)のXIB-XIB線に沿った断面図である。
【
図12】圧電アクチュエータ22の検査方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<プリンタの全体構成>
先ず、
図1を参照し、本発明の一実施形態に係る圧電アクチュエータ22を含むプリンタ100の全体構成について説明する。
【0010】
なお、以下の説明において、第1方向D1は鉛直方向であり、第2方向D2及び第3方向D3は水平方向である。第2方向D2及び第3方向D3は共に第1方向D1と直交する。第2方向D2は第3方向D3と直交する。
【0011】
プリンタ100は、ヘッド1と、プラテン3と、搬送機構4と、制御部5とを備えている。
【0012】
ヘッド1は、第2方向D2に長尺であり、位置が固定された状態でノズル15(
図3及び
図4参照)から用紙9に対してインクを吐出するライン式である。ヘッド1は、第2方向D2に千鳥状に配列された4つの単位ヘッド1uを含む。各単位ヘッド1uから吐出されるインクは、互いに同じ色のインク(例えばブラックインク)である。
【0013】
プラテン3は、第1方向D1と直交する方向に沿った上面を有する平板部材であり、ヘッド1の下方に配置されている。プラテン3の上面に用紙9が載置される。
【0014】
搬送機構4は、第3方向D3にプラテン3を挟んで配置された2つのローラ対4a,4bを有する。制御部5の制御により搬送モータ(図示略)が駆動されると、ローラ対4a,4bが用紙9を挟持した状態で回転し、用紙9が第3方向D3に沿った搬送方向に搬送される。
【0015】
制御部5は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有する。ASICは、ROMに格納されたプログラムに従い、記録処理を実行する。記録処理において、制御部5は、PC等の外部装置から入力された記録指令(画像データを含む。)に基づき、搬送モータ及びドライバIC(共に図示略)を制御することで、搬送機構4による用紙9の搬送と、ヘッド1による用紙9へのインクの吐出とを行わせる。これにより、用紙9上に画像が記録される。
【0016】
<単位ヘッド>
単位ヘッド1uは、
図2に示すように、流路部材21及び圧電アクチュエータ22を有する。流路部材21及び圧電アクチュエータ22は、共に、第1方向D1と直交する平面において、第2方向D2の長さが第3方向D3の長さよりも長い、矩形状である。
【0017】
<流路部材>
流路部材21は、
図4に示すように、第1方向D1に積層された金属製の4枚のプレート31~34で構成されている。
【0018】
プレート31には、複数の圧力室10が形成されている。プレート32には、圧力室10毎に、連通路12,13が形成されている。連通路12,13は、それぞれ、対応する圧力室10の第3方向D3の一端及び他端と第1方向D1に重なっている。プレート33には、連通路13毎に、連通路14が形成されている。連通路14は、対応する連通路13と第1方向D1に重なっている。プレート33には、さらに、12本のマニホールド流路11が形成されている。マニホールド流路11は、第2方向D2に配列された複数の圧力室10からなる圧力室列10R(
図2参照)毎に設けられている。各マニホールド流路11は、第2方向D2方向に延び、対応する圧力室列10Rに属する複数の圧力室10と連通路12を介して連通している。プレート34には、複数のノズル15が形成されている。各ノズル15は、連通路14と第1方向D1に重なっている。
【0019】
プレート31の上面において、圧電アクチュエータ22が配置されない領域に、2つのインク供給口8が形成されている(
図2参照)。各インク供給口8は、チューブを介してインクカートリッジ(図示略)と連通し、かつ、6本のマニホールド流路11と連通している。インクカートリッジからチューブを介して各インク供給口8に供給されたインクは、6本のマニホールド流路11に供給される。各マニホールド流路11から、各圧力室列10Rに属する複数の圧力室10に、連通路12を介してインクが供給される。そして後述のように圧電アクチュエータ22が駆動することで、圧力室10内のインクに圧力が付与され、連通路13,14を通ってノズル15からインクが吐出される。
【0020】
<圧電アクチュエータ>
圧電アクチュエータ22は、
図4に示すように、流路部材21の上面に配置されている。圧電アクチュエータ22は、3つの圧電層41~43を有する圧電体40と、複数の駆動電極51と、高電位電極52と、低電位電極53とを含む。
【0021】
3つの圧電層41~43は、第1方向D1に積層されている。各圧電層41~43は、チタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電材料からなる。圧電層43は、プレート31の上面に配置され、プレート31に形成された全ての圧力室10を覆っている。圧電層42は、圧電層43の上面に配置されている。圧電層41は、圧電層42の上面に配置されている。圧電層41と圧電層43との間に、圧電層42が配置されている。
【0022】
複数の駆動電極51は、
図7に示すように、第2方向D2に配列されており、圧力室列10R(
図2参照)のそれぞれに対応する複数の駆動電極列51Rを形成している。
【0023】
各駆動電極51は、
図3に示すように、圧電層41の上面(即ち、圧電体40における第2方向D2及び第3方向D3に沿った表面40a)に、圧力室10に対応して配置されている。各駆動電極51は、主部51aと、突出部51bとを有する。主部51aは、対応する圧力室10の略全域と第1方向D1に重なっている。突出部51bは、主部51aから第3方向D3に突出し、対応する圧力室10と第1方向D1に重なっていない。突出部51bには、COF(Chip On Film)(図示略)と電気的に接続される接点が設けられている。COFに実装されたドライバIC(図示略)は、制御部5の制御により、COFの配線を介して各駆動電極51に対して個別に、高電位(VDD電位)及び低電位(GND電位)のいずれかを選択的に付与する。
【0024】
圧電層41の上面には、駆動電極51に加え、2つの高電位部54と、2つの低電位部55と、検査電極80x,80yとが設けられている。
【0025】
2つの高電位部54は、それぞれ、圧電層41の第3方向D3の一端(
図7の左端)及び他端(
図7の右端)において、圧電層41における第2方向D2の一方側(
図7の上側)に配置されている。2つの低電位部55は、それぞれ、圧電層41の第3方向D3の一端(
図7の左端)及び他端(
図7の右端)において、圧電層41における第2方向D2の他方側(
図7の下側)に配置されている。
【0026】
高電位部54及び低電位部55は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された複数の電極54a,55aで構成されている。電極54a,55aは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じである。ドライバICは、制御部5の制御により、COFの配線を介して、電極54aに高電位(VDD電位)を付与し、電極55aに低電位(GND電位)を付与する。電極54aは高電位に保持され、電極55aは低電位に保持される。
【0027】
検査電極80x,80yは、複数の駆動電極51からなる群の外側に配置されている。検査電極80xは、当該群に対して第2方向D2の一方側(
図7の上側)に配置されている。検査電極80yは、当該群に対して第2方向D2の他方側(
図7の下側)に配置されている。1つの検査電極80xと1つの検査電極80yとからなる検査電極組80が、後述する複数の枝523a~523g(
図8参照)のそれぞれに対して設けられている。
【0028】
高電位電極52は、
図8に示すように、圧電層42の上面に配置されており、幹部521と、2つの高電位受容部522と、枝部523と、複数の個別部52aとを含む。高電位電極52は、圧電層41と圧電層42との間に配置されており(
図4~
図6参照)、本発明の「内部電極」「対象電極」に該当する。
【0029】
幹部521は、圧電層42の第2方向D2の一端(
図8の上端)において、第3方向D3に延びている。
【0030】
2つの高電位受容部522のうち、一方は、幹部521の第3方向D3の一端(
図8の左端)に接続している。2つの高電位受容部522のうち、他方は、幹部521の第3方向D3の他端(
図8の右端)に接続している。2つの高電位受容部522は、それぞれ、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)において、第2方向D2に延びている。
【0031】
2つの高電位受容部522は、それぞれ、高電位部54を構成するいくつかの電極54a(
図7参照)と第1方向D1に重なっている。2つの高電位受容部522は、それぞれ、圧電層41に形成された貫通孔(図示略)を介して当該電極54aと電気的に接続されており、当該電極54aから高電位を受ける。
【0032】
枝部523は、それぞれ幹部521から分岐して第2方向D2の他方側(
図8の下側)に延びる複数の枝523a~523gで構成されている。複数の枝523a~523gは、第3方向D3に互いに離隔している。
【0033】
複数の個別部52aは、複数の駆動電極51(
図7参照)と同様、第2方向D2に配列されている。各個別部52aは、圧力室10の第2方向D2の中央部分と第1方向D1に重なり、駆動電極51と第1方向D1に重なる部分を有する(
図5参照)。各個別部52aは、後述する第1活性部91(
図4~
図6参照)を構成する。
【0034】
各枝523a~523gは、複数の個別部52aを連結している。各枝523a~523gは、複数の個別部52aが連結された連結領域R1と、複数の個別部52aが連結されていない2つの非連結領域R2とを有する。連結領域R1に対して第2方向D2の一方(
図8の上方)及び他方(
図8の下方)のそれぞれに、非連結領域R2が設けられている。連結領域R1と2つの非連結領域R2とは第2方向D2に並び、2つの非連結領域R2が連結領域R1を第2方向D2に挟んでいる。各枝523a~523gにおける2つの非連結領域R2の一方(
図8の上方に設けられた非連結領域R2)が、幹部521によって連結されている。
【0035】
各枝523a~523gにおいて、2つの非連結領域R2の一方(
図8の上方に設けられた非連結領域R2)に測定部Xが設けられ、2つの非連結領域R2の一方(
図8の上方に設けられた非連結領域R2)に測定部Yが設けられている。各枝523a~523gの測定部X,Yは、第2方向D2に互いに離隔している。測定部X,Yは、それぞれ、圧電層41(圧電体40の表面40aと高電位電極52との間に配置された圧電層)に形成された孔部411x,411yを介して、検査電極X,Yと電気的に接続されている。
【0036】
具体的には、
図10(a)及び
図11(a)に示すように、圧電層41の上面(圧電体40の表面40a)において測定部Xと第1方向D1に重なる位置に、検査電極80xが配置されている。圧電層41において検査電極80xと第1方向D1に重なる部分に、孔部411xが設けられている。孔部411xは、第2方向D2に互いに離隔した2つの貫通孔411で構成されている。各貫通孔411は、測定部Xと表面40aとを繋ぎ、検査電極80xによって覆われている。測定部Xと検査電極80xとは、各貫通孔411に設けられた接続電極81を介して、互いに電気的に接続されている。
【0037】
同様に、
図10(b)及び
図11(b)に示すように、圧電層41の上面(圧電体40の表面40a)において測定部Yと第1方向D1に重なる位置に、検査電極80yが配置されている。圧電層41において検査電極80yと第1方向D1に重なる部分に、孔部411yが設けられている。孔部411yは、第2方向D2に互いに離隔した2つの貫通孔411で構成されている。各貫通孔411は、測定部Yと表面40aとを繋ぎ、検査電極80yによって覆われている。測定部Yと検査電極80yとは、各貫通孔411に設けられた接続電極81を介して、互いに電気的に接続されている。
【0038】
各検査電極80x,80yは、第2方向Dに長尺な略楕円形状を有し、各孔部411x,411yを構成する2つの貫通孔411を覆っている。
【0039】
圧電層42の上面には、高電位電極52に加え、2つの低電位部56と、2つの浮き電極部64と、浮き電極部65とが設けられている。
【0040】
2つの低電位部56は、それぞれ、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)において、圧電層42における第2方向D2の他方側(
図8の下側)に配置されている。2つの低電位部56は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された2つの電極56aと1つの電極56bとで構成されている。
【0041】
2つの浮き電極部64は、それぞれ、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)において、第2方向D2において高電位受容部522と低電位部56との間に配置されている。2つの浮き電極部64は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された複数の電極64aで構成されている。
【0042】
浮き電極部65は、圧電層42の第2方向D2の他端(
図8の下端)に配置されている。浮き電極部65は、第3方向D3に互いに離隔して配置された複数の電極65aで構成されている。電極65aは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じであり、第3方向D3に等間隔に配置されている。
【0043】
低電位部56の電極56aと、浮き電極部64の電極64aとは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じであり、圧電層42の第3方向D3の一端(
図8の左端)及び他端(
図8の右端)のそれぞれにおいて、第2方向D2に等間隔に配置されている。一方、低電位部56の電極56bは、電極56aよりも第2方向D2の長さが長い。
【0044】
電極56a,56bは、低電位部55を構成するいくつかの電極55a(
図7参照)と第1方向D1に重なっている。電極56a,56bは、圧電層41に形成された貫通孔(図示略)を介して当該電極55aと電気的に接続されている。
【0045】
浮き電極部64,65の各電極64a,65aは、いずれの電極とも電気的に接続されず、電位が付与されない。
【0046】
低電位電極53は、
図9に示すように、圧電層43の上面に配置されており、幹部531と、2つの低電位受容部532と、枝部533と、複数の個別部53aとを含む。
【0047】
幹部531は、圧電層43の第2方向D2の他端(
図9の下端)において、第3方向D3に延びている。
【0048】
2つの低電位受容部532のうち、一方は、幹部531の第3方向D3の一端(
図9の左端)に接続している。2つの低電位受容部532のうち、他方は、幹部531の第3方向D3の他端(
図9の右端)に接続している。2つの低電位受容部532は、それぞれ、圧電層43の第3方向D3の一端(
図9の左端)及び他端(
図9の右端)において、第2方向D2に延びている。
【0049】
2つの低電位受容部532は、それぞれ、低電位部55を構成するいくつかの電極55a(
図7参照)及び低電位部56を構成するいくつかの電極56a,56b(
図8参照)と第1方向D1に重なっている。2つの低電位受容部532は、それぞれ、圧電層42に形成された貫通孔(図示略)を介して当該電極56a,56bと電気的に接続されている。当該電極56a,56bは、それぞれ、上述のように、低電位部55の電極55aと電気的に接続されている。したがって、各低電位受容部532は、低電位部56(
図8参照)を介して低電位部55(
図7参照)と電気的に接続されており、低電位部55から低電位を受ける。
【0050】
枝部533は、それぞれ幹部531から分岐して第2方向D2の一方側(
図9の上側)に延びる複数の枝533a~533fで構成されている。複数の枝533a~533fは、第3方向D3に互いに離隔している。
【0051】
複数の個別部53aは、複数の駆動電極51(
図7参照)と同様、第2方向D2に配列されている。複数の個別部53aのうち、第2方向D2の一端及び他端に位置する個別部53aを除き、各個別部53aは、第2方向D2に互いに隣接する2つの圧力室10に跨り、上記2つの圧力室10と第1方向D1に重なる部分を有する(
図5参照)。上記第2方向D2の一端及び他端に位置する個別部53aは、1つの圧力室10と第1方向D1に重なる部分を有する。また、各個別部53aは、各駆動電極51と第1方向D1に重なる部分を有する。各個別部53aは、後述する第2活性部92(
図4~
図6参照)を構成する。
【0052】
各枝533a~533fは、複数の個別部53aを連結している。
【0053】
圧電層43の上面には、低電位電極53に加え、高電位部57と、2つの浮き電極部66とが設けられている。
【0054】
高電位部57は、第3方向D3に延びる部分57aと、第2方向D2に延びる2つの部分57bとを有する。部分57aは、圧電層43の第2方向D2の一端(
図9の上端)において、第3方向D3に延びている。2つの部分57bのうち、一方は、部分57aの第3方向D3の一端(
図9の左端)に接続している。2つの部分57bのうち、他方は、部分57aの第3方向D3の他端(
図9の右端)に接続している。
【0055】
2つの部分57bは、それぞれ、高電位部54を構成するいくつかの電極54a(
図7参照)及び高電位電極52の各高電位受容部522(
図8参照)と第1方向D1に重なっている。2つの部分57bは、それぞれ、圧電層42に形成された貫通孔(図示略)を介して各高電位受容部522と電気的に接続されている。各高電位受容部522は、上述のように、高電位部54の電極54aと電気的に接続されている。したがって、各部分57bは、高電位受容部522(
図8参照)を介して高電位部54(
図7参照)と電気的に接続されており、高電位部54から高電位を受ける。
【0056】
2つの浮き電極部66は、それぞれ、圧電層43の第3方向D3の一端(
図9の左端)及び他端(
図9の右端)において、第2方向D2において部分57bと低電位受容部532との間に配置されている。2つの浮き電極部66は、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔して配置された複数の電極66aで構成されている。電極66aは、第1方向D1と直交する平面におけるサイズ及び形状が互いに略同じであり、第2方向D2に等間隔に配置されている。
【0057】
浮き電極部66の各電極66aは、いずれの電極とも電気的に接続されず、電位が付与されない。
【0058】
<アクチュエータ部>
図5に示すように、圧電層41のうち、第1方向D1において駆動電極51と高電位電極52の個別部52aとに挟まれた部分を、第1活性部91という。圧電層42,43のうち、第1方向D1において駆動電極51と低電位電極53の個別部53aとに挟まれた部分を、第2活性部92という。第1活性部91は主に上向きに分極され、第2活性部92は主に下向きに分極されている。圧電アクチュエータ22は、圧力室10毎に、1つの第1活性部91と、第2方向D2に第1活性部91を挟む2つの第2活性部92とから構成される、アクチュエータ部90を有する。
【0059】
ここで、
図6を参照し、あるノズル15からインクを吐出させる際の、当該ノズル15に対応するアクチュエータ部90の動作について説明する。
【0060】
プリンタ100が記録動作を開始する前は、
図6(a)に示すように、各駆動電極51に低電位(GND電位)が付与されている。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差によって、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向(第2方向D2及び第3方向D3に沿った方向)に収縮している。これにより、圧電層41~43からなる積層体における圧力室10と第1方向D1に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓んでいる。このとき圧力室10は、上記積層体がフラットな場合と比べ、容積が小さくなっている。
【0061】
プリンタ100が記録動作を開始し、あるノズル15からインクを吐出させる際には、先ず、
図6(b)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が低電位(GND電位)から高電位(VDD電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と高電位電極52との電位差がなくなることで、第1活性部91の収縮が解消される。一方、駆動電極51と低電位電極53との電位差が生じることで、第2活性部92にその分極方向に等しい下向きの電界が生じ、第2活性部92が面方向に収縮する。ただし、第2活性部92は、クロストーク(ある圧力室10におけるアクチュエータ部90の変形に伴う圧力変動が、当該圧力室10に隣接する別の圧力室10に伝わる現象)を抑制する機能を有するものであり、アクチュエータ部90の変形にほとんど寄与しない。つまり、このとき上記積層体は、圧力室10と第1方向D1に重なる部分が圧力室10から離れる方向に(上向きに)凸となるように撓まず、フラットな状態となる。これにより、圧力室10の容積は、
図6(a)に比べて大きくなる。
【0062】
その後、
図6(a)に示すように、当該ノズル15に対応する駆動電極51の電位が高電位(VDD電位)から低電位(GND電位)に切り替えられる。このとき、駆動電極51と低電位電極53との電位差がなくなることで、第2活性部92の収縮が解消される。一方、駆動電極51と高電位電極52との電位差が生じることで、第1活性部91にその分極方向に等しい上向きの電界が生じ、第1活性部91が面方向に収縮する。これにより、上記積層体における圧力室10と第1方向D1に重なる部分が、圧力室10に向かって(下向きに)凸となるように撓む。このとき、圧力室10の容積が大きく減少することで、圧力室10内のインクに大きな圧力が付与され、ノズル15からインクが吐出される。
【0063】
<圧電アクチュエータの検査方法>
次いで、
図12を参照し、圧電アクチュエータ22の検査方法について説明する。
【0064】
先ず、圧電層41となるグリーンシートに、レーザー照射等により、各孔部411x,411yを構成する貫通孔411(
図10及び
図11参照)を形成する(S1:第1ステップ)。このとき、当該グリーンシートに、貫通孔411に加え、高電位部54と高電位受容部522とを電気的に接続するための貫通孔や、低電位部55と低電位部56とを電気的に接続するための貫通孔を形成してよい。
【0065】
S1の後、圧電層41となるグリーンシートの上面において、各孔部411x,411yを構成する2つの貫通孔411を覆う位置に、導電性ペーストをスクリーン印刷すること等により、検査電極80x,80yを形成する(S2:第2ステップ)。
【0066】
S2の後、貫通孔411に、接続電極81となる導電性ペーストを充填する(S3:第3ステップ)。このとき、貫通孔411に加え、高電位部54と高電位受容部522とを電気的に接続するための貫通孔や、低電位部55と低電位部56とを電気的に接続するための貫通孔にも、導電性ペーストを充填してよい。
【0067】
ここで、S1~S3が本発明の「電極配置ステップ」に該当する。
【0068】
S3の後、それぞれ電極が形成された圧電層41~43となるグリーンシートを積層して圧電体40を形成し、当該圧電体40を公知のセラミックと同様に脱脂して所定の温度で焼成する(S4:焼成ステップ)。
【0069】
S4の後、検査電極80x,80yを用いて、枝部523の電気抵抗を測定する(S5:測定ステップ)。具体的には、検査電極組80毎に、2つの検査電極80x,80yのそれぞれに検査用端子(図示略)を接触させる。そして、検査用端子間に電流を印加し、検査用端子間に生じる電位差を測定することで、各枝523a~523gの電気抵抗を求める。検査電極組80は枝部523を構成する複数の枝523a~523g毎に設けられており、各検査電極組80について上記のように測定を行うことで、各枝523a~523gの電気抵抗を求めることができる。
【0070】
S5の後、S5で求められた各枝523a~523gの電気抵抗が、所定の閾値以下であるか否かを判断する(S6)。
【0071】
枝523a~523gの電気抵抗のいずれかが閾値を超える場合(S6:NO)、圧電アクチュエータ22を廃棄し(S7)、当該ルーチンを終了する。
【0072】
枝523a~523gの電気抵抗がいずれも閾値以下である場合(S6:YES)、カメラ等の撮像素子により、各検査電極80x,80yの位置を検出する(S8:位置検出ステップ)。
【0073】
S8の後、S8の検出結果に基づいて流路部材20を選定し(S9)、当該ルーチンを終了する。具体的には、S8で検出された各検査電極80x,80yの位置から、焼成後の圧電体40の寸法を導出する。そして、圧電アクチュエータ22とは別工程で作製された複数の流路部材20のうち、当該圧電体40の寸法に適した流路部材20を選定する。
【0074】
<本実施形態の効果>
以上に述べたように、本実施形態によれば、圧電体40の表面40aに配置された検査電極80x,80yを用いて、枝部523の電気抵抗を測定することができる(
図10~
図12参照)。ひいては、枝部523の電気抵抗の測定結果に基づいて、圧電アクチュエータ22の廃棄(S7)等の適宜の処理を行うことができる。
【0075】
枝部523は、第3方向D3に互いに離隔した複数の枝523a~523gを含む(
図8参照)。例えば、枝523aが本発明の「第1枝」、枝523gが本発明の「第2枝」、枝523dが本発明の「第3枝」に該当する。2つの検査電極80x,80yからなる検査電極組80(
図7参照)は、枝523a,523gのそれぞれに対して設けられている。この場合、第3方向D3に比較的大きく離隔した2つの枝523a,523gの電気抵抗を測定することで、枝部523を構成する複数の枝523a~523g全体の電気抵抗を知ることができる。
【0076】
2つの検査電極80x,80yからなる検査電極組80(
図7参照)は、枝523a,523gのみならず、枝523dに対してさらに設けられている。この場合、枝部523を構成する複数の枝523a~523g全体の電気抵抗を精度良く知ることができる。
【0077】
枝523a,523gは、複数の枝523a~523gのうち、第3方向D3の一端及び他端に位置する。この場合、枝部523を構成する複数の枝523a~523g全体の電気抵抗をより精度良く知ることができる。
【0078】
2つの検査電極80x,80yからなる検査電極組80(
図7参照)は、複数の枝523a~523gのそれぞれに対して設けられている。この場合、枝部523を構成する複数の枝523a~523g全体の電気抵抗をより一層精度良く知ることができる。
【0079】
各検査電極80x,80yに対応する孔部411x,411yは、それぞれ、第2方向D2に互いに離隔した2つの貫通孔411で構成される(
図10参照)。この場合、孔部411x,411yが1つの貫通孔411で構成される場合に比べ、検査電極80x,80yと枝部523との電気的接続の信頼性を確保できる。また、各検査電極80x,80yを第2方向D2に長尺な形状としたことで、検査電極80x,80yに検査用端子を接触させ易く、電気抵抗の測定作業を容易に行うことができる。
【0080】
枝部523の測定部X,Yは、非連結領域R2に設けられている(
図8参照)。圧電体40の表面40aにおいて、連結領域R1と第1方向D1に重なる領域には、駆動電極51が配置されており(
図7参照)、検査電極80x,80yを配置し難い。一方、圧電体40の表面40aにおいて、非連結領域R2と第1方向D1に重なる領域には、駆動電極51が配置されておらず、検査電極80x,80yを配置するスペースを確保し易い。
【0081】
枝部523を構成する複数の枝523a~523gは、それぞれ、連結領域R1と、連結領域R1を第2方向D2に挟む2つの非連結領域R2とを有する(
図8参照)。複数の枝523a~523gの2つの非連結領域R2の一方は、幹部521によって連結されている。当該構成において、測定部X,Yを、2つの非連結領域R2の一方と他方とに設け、第2方向D2に比較的遠くに配置することで、枝523a~523gの電気抵抗を精度よく測定することができる。
【0082】
圧電アクチュエータ22の検査方法において、内部電極である高電位電極52の枝部523を、電気抵抗の測定対象としている。この場合において、圧電層41に孔部411x,411y(貫通孔411)を形成し(S1:第1ステップ)、圧電層41の上面における孔部411x,411y(貫通孔411)を覆う位置に検査電極80x,80yを形成し(S2:第2ステップ)、孔部411x,411y(貫通孔411)に接続電極81を設ける(S3:第3ステップ)。これにより、測定対象が内部電極である場合においても、電気抵抗を適切に測定することができる。
【0083】
圧電アクチュエータ22の検査方法において、電極配置ステップ(S1~S3)の後、圧電体40を焼成し(S4:焼成ステップ)、その後、検査電極80x,80yの位置を検出する(S8:位置検出ステップ)。これにより、S8で検出された各検査電極80x,80yの位置から、焼成後の圧電体40の寸法を導出し、当該圧電体40の寸法に適した流路部材20を選定することができる(S9)。
【0084】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0085】
圧電アクチュエータを構成する圧電層の数は、上述の実施形態では3つであるが、これに限定されない。例えば、上述の実施形態(
図4参照)において、圧電アクチュエータ22の圧電層43と流路部材21のプレート31との間に、別の圧電層が配置されてもよい。また、圧電アクチュエータは、
図5及び
図6に示すような圧力室10毎に1つの第1活性部91と2つの活性部92とからなるアクチュエータ部90が形成された3層構成の圧電アクチュエータ22に限定されず、圧力室毎に1つの活性部を有する2層構成の圧電アクチュエータであってもよい。
【0086】
「内部電極」は、複数の圧電層の間に配置された電極であればよく、上述の実施形態では最上層の圧電層41と中間の圧電層42との間に配置された高電位電極52を「内部電極」としているが、中間の圧電層42と最下層の圧電層43との間に配置された低電位電極53を「内部電極」としてもよい。この場合、圧電層41,42に孔部を形成して低電位電極53の枝部533の電気抵抗を測定する。
【0087】
「対象電極」は、複数の圧電層のいずれかの表面に配置された電極であればよく、内部電極に限定されず、圧電体の表面に配置された表面電極であってもよい。例えば、高電位電極52が圧電層41の上面(圧電体40の表面40a)に配置され、駆動電極51が圧電層42の上面に配置された場合、高電位電極52が表面電極に該当する。この場合、検査用端子が「検査電極」に該当し、表面電極である高電位電極52の枝部523に検査用端子(検査電極)を接触させることが「電極配置ステップ」に該当する。
【0088】
上述の実施形態では、枝部523を構成する複数の枝523a~523gのそれぞれに対し、検査電極組80が設けられているが、これに限定されない。複数の枝523a~523gのうち、少なくとも1つに検査電極組80が設けられればよい。
【0089】
上述の実施形態では、検査電極組80が2つの検査電極80x,80yからなるが、検査電極組80が3つ以上の検査電極からなってもよい。
【0090】
上述の実施形態では、各孔部411x,411yが2つの貫通孔411で構成されるが、各孔部411x,411yが1つ又は3以上の貫通孔で構成されてもよい。
【0091】
検査電極の形状は、楕円形に限定されず、矩形等であってもよい。
【0092】
上述の実施形態では、第2ステップの後に第3ステップが行われるが、第3ステップの後に第2ステップが行われてもよい。
【0093】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。さらに、本発明に係る圧電アクチュエータは、液体吐出装置以外の任意の装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
22 圧電アクチュエータ
40 圧電体
40a 表面
41~43 圧電層
411 貫通孔
411x,411y 孔部
52 高電位電極(内部電極、対象電極)
52a 個別部
521 幹部
523 枝部
523a~523g 枝
80 検査電極組
80x,80y 検査電極
81 接続電極
91,92 活性部
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
X,Y 測定部
R1 連結領域
R2 非連結領域