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特開2024-60106ダイヤモンド合成用プラズマCVD装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060106
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ダイヤモンド合成用プラズマCVD装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/04 20060101AFI20240423BHJP
   C30B 25/12 20060101ALI20240423BHJP
   C23C 16/27 20060101ALI20240423BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C30B29/04 E
C30B25/12
C23C16/27
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024044421
(22)【出願日】2024-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】303034908
【氏名又は名称】村田 正義
(72)【発明者】
【氏名】村田正義
(57)【要約】
【課題】
従来のマイクロ波プラズマCVDを用いたダイヤモンド合成装置は、空洞共振型と非空洞共振型に大別される。前者は高密度プラズマ生成が可能で、高速成膜が可能であるが、反応容器形状が球形又は特殊な扁平ドーム型であり、製造コストが高いので、製造コストの低減化が課題である。後者は成膜速度が遅いので、高速成膜化が課題である。この課題を解決可能なダイヤモンド合成装置を提供すること。
【解決手段】
石英窓又はアンテナ棒を介してマイクロ波を供給し、プラズマを発生する反応容器に配置する基板載置台を、該基板載置台の主面と電界方向が直交するように配置し、前記主面に複数の溝、穴、又は突起を設けることを特徴とする。前記溝等による電界集中により高密度プラズマの生成が可能であり、周波数を300MHz~3GHzから選ぶことにより、高速で大面積のダイヤモンド合成が可能であり、且つ装置の製造コストを低減できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを導入する原料ガス導入手段と排気手段と基板が載置される基板載置台とを備えた反応容器と、前記反応容器へ誘電体窓又はアンテナ棒を介してマイクロ波を供給するマイクロ波電力供給装置と、を備え、前記マイクロ波電力供給装置から供給された前記マイクロ波により前記原料ガス導入手段から導入された前記原料ガスをプラズマ化して前記基板載置台に載置された前記基板の表面にダイヤモンドを形成するダイヤモンド合成用プラズマCVD装置において、
前記基板載置台は前記基板と接する主面を有し、前記主面は前記マイクロ波電力供給装置から供給される前記マイクロ波の電界方向と直交する面に平行に配置され、前記主面に複数の溝又は複数の穴又は複数の突起が形成されることを特徴とするダイヤモンド合成用プラズマCVD装置。
【請求項2】
前記基板載置台の前記主面の前記複数の溝は、断面形状が矩形であり、前記基板載置台の中心軸線と同心に配置されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド合成用プラズマCVD装置。
【請求項3】
前記基板載置台の前記主面の前記複数の穴は、断面形状が矩形であり、隣り合う前記複数の穴の中心同士が略等間隔に配置されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド合成用プラズマCVD装置。
【請求項4】
前記基板載置台の前記主面の前記複数の突起は、断面形状が三角形又は正弦波形であり、前記基板載置台の中心軸線と同心に配置されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド合成用プラズマCVD装置。
【請求項5】
前記マイクロ波電力供給装置は、300MHz~3GHZの範囲から選ばれる周波数のマイクロ波電力を発生することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載のダイヤモンド合成用プラズマCVD装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド合成用プラズマCVD装置に関する。特に、プラズマ発生電源の周波数がマイクロ波帯域であるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは、例えば、非特許文献1及び非特許文献2に記載されているように、宝飾品や機械加工材料のみならず、ワイドギャップ半導体として知られ、SiやSiC等の半導体より遙かに優れた特性を有することから、究極のパワー半導体材料として注目されている。そして、パワー半導体材料への応用を図るために、4~5インチ級の基板への対応が可能な、大面積のダイヤモンド形成装置に関し、鋭意、研究開発が進められている。
パワー半導体材料としてのダイヤモンドを形成する方法としては、主として、マイクロ波プラズマCVD法が用いられている。また、次のことが知られている。即ち、上記マイクロ波プラズマCVD法において、基板にダイヤモンドを用いる場合には、ホモエピタキシャル成長によりダイヤモンドが形成され、不純物を容易に制御可能で、かつ歪みのない結晶を形成することができる。また、基板がダイヤモンド以外の場合、ヘテロエピタキシャル成長によりダイヤモンドが形成されるので、歪みの発生を伴い、かつ結晶性が低下することがある。
【0003】
マイクロ波プラズマCVD法は、基板の加熱と原料ガスの分解にマイクロ波を用いることを特徴とする。即ち、マイクロ波を用いて原料ガスであるメタン(CH)と水素(H)の混合ガスをプラズマ化することにより、該プラズマ中に生成される電子及びイオン等によってダイヤモンド膜の形成に不可欠の主要ラジカルであるCHラジカルと原子状水素H等を発生させるとともに、前記マイクロ波を用いて基板上でのプラズマ化学反応促進に必要な基板温度を、約700℃~約1,00℃に加熱する。基板上に形成されるダイヤモンドは、CHラジカルを主たる前駆体とし、基板に化学吸着して、基板上で原子状H等によって水素成分やグラファイト成分が排除されて、ダイヤモンド結晶が成長する。ダイヤモンド結晶の成長速度は、一般的に1~10μm/h程度であることが知られている。
【0004】
マイクロ波プラズマCVDによるダイヤモンド合成用装置に関する代表的特許技術として、アンテナ電極を用いたマイクロ波プラズマCVDによるダイヤモンド合成用装置、例えば、特許文献1ないし特許文献4に記載された装置が挙げられる。
特許文献1には、導電性材料で形成された真空室と、該真空室内側の上壁面に固定され、貫通孔を有し、導電性材料で形成された第1アンテナと、該第1アンテナに対向して配置され、基板を搭載可能なステージとを備え、前記貫通孔の一端が前記真空室の外部に接続され、前記貫通孔の他端が、前記第1アンテナの前記ステージに対向する面に位置し、プラズマ用の原料ガスが、前記貫通孔の前記一端から前記他端を通って前記第1アンテナおよび前記ステージの間隙に供給され、前記ステージの外側壁および前記真空室の内側壁の間に形成される第1の空間、または、前記第1アンテナの外側壁および前記真空室の内側壁の間に形成される第2の空間のいずれかを導波路として、マイクロ波が、前記原料ガスとは異なる経路で前記真空室の外部から供給され、前記第1アンテナおよび前記ステージの前記間隙にプラズマを発生させ、前記プラズマが、前記第1アンテナと前記ステージとの間隔が前記マイクロ波の自由空間波長の1/10以下、前記第1アンテナの外径が前記マイクロ波の自由空間の半波長以上である扁平なプラズマであり、前記貫通孔を介して、前記ステージに搭載された基板の表面を観察可能であることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理装置、が開示されている。
特許文献2には、少なくとも、マイクロ波を導入するための開口部を持つ真空槽と、該開口部にマイクロ波を誘導するための導波管と、該真空槽内にマイクロ波を導入するための誘電体窓と、該真空槽内にマイクロ波を導入するための先端に電極部が形成されたアンテナ部と、該真空槽内に基材を支持するための基材支持台とを有し、該真空槽内面と電極部とで該誘電体窓を狭持したマイクロ波プラズマCVD装置であって、該誘電体窓が隠蔽されるように該電極部端面が誘電体窓端面よりも幅広く形成されており、且つ、該電極部の真空槽中心側の面の中央部に凹部が形成されており、該凹部の真空槽中心側の面における差し渡し幅は導入されるマイクロ波の1/3~5/3波長の範囲内で、真空槽中心側の面から凹部最深部までの深さは使用するマイクロ波の1/20~3/5波長の範囲内であることを特徴とするマイクロ波プラズマCVD装置、が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ダイヤモンド基板の表面に単結晶ダイヤモンドの薄膜を形成するダイヤモンド合成用CVD装置であって、球状に形成された放電室と、この放電室の内部へマイクロ波を供給する同軸アンテナと、この同軸アンテナの先端に設けられた載置部材とを備え、この載置部材又はこの載置部材上に置かれた前記ダイヤモンド基板が、前記放電室の中心に位置し、前記載置部材から放射されたマイクロ波が前記放電室の内面で反射して前記放電室の中心部に戻るとともに、当該放電室の中心部で前記マイクロ波の振幅が最大になることを特徴とするダイヤモンド合成用CVD装置、が開示されている。
特許文献4には、 基板の表面にダイヤモンド膜を形成するダイヤモンド合成用CVD装置であって、扁平なドーム形状を有する上半球面と扁平なドーム形状を有する下半球面とで構成された放電室と、前記下半球面を貫通して前記放電室の中心軸線に沿って延在し、前記放電室の内部へマイクロ波を供給する同軸アンテナ部材と、前記放電室内で、前記同軸アンテナ部材の先端部に取り付けられ、前記放電室の最大直径面に沿って前記中心軸線と同心に拡がった円盤状の共振アンテナと、円形外周を有し、前記共振アンテナの上面の中央に前記中心軸線と同心に配置された、前記基板が載置される載置台と、を備えることを特徴とする、ダイヤモンド合成用CVD装置、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許5071927
【特許文献2】特許5142074
【特許文献3】特許4649153
【特許文献4】特許7304280
【0007】
【非特許文献1】有屋田修、ダイヤモンド合成用CVD装置、真空ジャーナル、2023年1月、24-26
【非特許文献2】山田英明、プラズマ CVD による単結晶ダイヤモンド合成の現状と課題、J. Plasma Fusion Res. Vol.90, No.2 (2014)152‐158
【非特許文献3】吉川昇、金属のマイクロ波加熱の基礎と応用、まてりあ、Materia Japan、第48巻(2009)、第1号、3-10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のマイクロ波プラズマCVDを用いたダイヤモンド合成用装置は、供給されたマイクロ波電力が反応容器内部で反射して空洞共振することによって、高密度のプラズマを生成する空洞共振型と、前記空洞共振が発生しない非空洞共振型に大別される。
特許文献1及び特許文献2に記載の装置は、非空洞共振型でありプラズマ密度が低いという短所があるのみならず、供給されるマイクロ波電力を反応容器へ導入するマイクロ波導入伝播路において該マイクロ波電力の伝播方向が一箇所で直角に曲がることに起因すると考えられる電力損失が大きいという問題があることにより、高密度プラズマの生成が困難という問題を抱えている。その結果、ダイヤモンド合成速度の高速化が困難である。
特許文献3及び特許文献4に記載の装置は、空洞共振型であり、マイクロ波電力の導入伝播路での電力損出が抑制された同軸型アンテナ電極が採用され、該マイクロ波導入伝播路での損失が小さいことから、ダイヤモンド合成に好適な装置であると言える。
しかしながら、特許文献3に記載の装置は、球形チャンバーを用いることから、該プラズマ反応室の製造が困難で、且つ製造コストが高くなるという問題を抱えている。特許文献4に記載の装置は、プラズマ反応室の形状が扁平なドーム形状を有する半球形であることから、製造が困難で、且つ製造コストが高くなるという問題を抱えている。
即ち、特許文献1及び特許文献2に記載の装置は、プラズマ密度の向上という課題があり、特許文献3及び特許文献4に記載の装置は製造コストの低減という課題がある。
本発明は、上記従来装置が抱える課題を解決可能なマイクロ波帯域の電源周波数を用いたダイヤモンド合成用プラズマCVD装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、原料ガスを導入する原料ガス導入手段と排気手段と基板が載置される基板載置台とを備えた反応容器と、前記反応容器へ誘電体窓又はアンテナ棒を介してマイクロ波を供給するマイクロ波電力供給装置と、を備え、前記マイクロ波電力供給装置から供給された前記マイクロ波により前記原料ガス導入手段から導入された前記原料ガスをプラズマ化して前記基板載置台に載置された前記基板の表面にダイヤモンドを形成するダイヤモンド合成用プラズマCVD装置において、
前記基板載置台は前記基板と接する主面を有し、前記主面は前記マイクロ波電力供給装置から供給される前記マイクロ波の電界方向と直交する面に平行に配置され、前記主面に複数の溝又は複数の穴又は複数の突起が形成されることを特徴とするダイヤモンド合成用プラズマCVD装置。
第2の発明は、第1の発明において、前記基板載置台の前記主面の前記複数の溝は、断面形状が矩形であり、前記基板載置台の中心軸線と同心に配置されることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記基板載置台の前記主面の前記複数の穴は、断面形状が矩形であり、隣り合う前記複数の穴の中心同士が略等間隔に配置されることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、前記基板載置台の前記主面の前記複数の突起は、断面形状が三角形又は正弦波形であり、前記基板載置台の中心軸線と同心に配置されることを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれか一つの発明において、前記マイクロ波電力供給装置は、300MHz~3GHZの範囲から選ばれる周波数のマイクロ波電力を発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のダイヤモンド合成用CVD装置は、装置構成部材である基板載置台が前記基板と接する主面を有し、前記主面は前記マイクロ波電力供給装置から供給される前記マイクロ波の電界方向と直交する面に平行に配置され、前記主面に複数の溝又は複数の穴又は複数の突起が形成されることにより、前記複数の溝又は前記複数の穴又は前記複数の突起が有する電界集中効果によって基板表面近傍に高密度プラズマを生成することが可能である。高密度プラズマの生成によりダイヤモンドの成長速度を高速化することが可能という効果を奏する。
プラズマの一様性は反応容器に発生する定在波の電界分布に依存するので、大面積基板への対応ではマイクロ波の周波数を低く選定し,例えば、300MHzを選び、小面積基板への対応ではマイクロ波の周波数を高く選定する、例えば、915MHzを選ぶことが出来る。
これにより、高速で大面積に、且つ高品質のダイヤモンド合成が可能となり、上記課題を解消可能という効果を奏する。反応容器の構造が単純形であることから、装置の製造コストを低減可能である。即ち、従来装置が抱える課題を解消できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成を示す模式的断面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である反応容器に発生するマイクロ波の定在波の概念図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である反応容器の断面図である。
図4図4は本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第1の基板載置台及び原料ガス導入手段の構成を示す断面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材であるである第1の基板載置台に設けられた複数の穴を示す模式的斜視図である。
図6図6は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第1の基板載置台の表面に形成された複数の穴が有する電界集中効果を示す模式的断面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である複数の穴を備えた第1の基板載置台の上に載置された基板の近傍に生成される高密度プラズマの模式的概念図である。
図8図8は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置における原料ガス(メタンCHと水素Hの混合ガス)のプラズマ化によるダイヤモンド形成を示す原理的模式図である。
図9図9は、本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成を示す模式的断面図である。
図10図10、は本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第2の基板載置台の模式的断面図である。
図11図11は、本発明の第3の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第3の基板載置台の構成を示す断面図である。
図12図12は、本発明の第3の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第4の基板載置台の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同様の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。また、以下に示す図面は、説明の便宜上、各部材の縮尺が、実際と異なる場合がある。また、各図面間においても、縮尺が、実際と異なる場合がある。
【0013】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成について、図1図7を参照して、説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成を示す模式的断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である反応容器に発生するマイクロ波の定在波の概念図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である反応容器の断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第1の基板載置台及び原料ガス導入手段の構成を示す断面図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材であるである第1の基板載置台に設けられた複数の穴を示す模式的斜視図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第1の基板載置台の表面に形成された複数の穴が有する電界集中効果を示す模式的断面図である。図7は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である複数の穴を備えた第1の基板載置台の上に載置された基板の近傍に生成される高密度プラズマの模式的概念図である。
【0014】
本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置は、図1に示されるように、原料ガスを導入する原料ガス導入手段13と排気口15a、15bを備える排気手段と基板11が載置される第1の基板載置台12とを備えた反応容器7と、前記反応容器7へ導波管2と誘電体窓5を介してマイクロ波電力を供給する第1のマイクロ波電力供給装置1と、を備えている。
第1のマイクロ波電力供給装置1は、図1に示されるように、マイクロ波を伝播する導波管2と、導波管2の一方の端部に設けられマイクロ波を発生させる第1のマイクロ波発生装置(例えば、マグネトロン)1aと、導波管2に取付けられマイクロ波の反射波を調整するための負荷インピーダンス整合を行なう整合器3cと、第1のマイクロ波発生装置1aと整合器3cとの間に取付けられ導波管内を戻る反射波を吸収するアイソレータ3aと、アイソレータ3aと整合器3cの間に設けられたパワーモニター3bを備える。
反応容器7は、図3に示されるように、断面形状が長辺aと短辺bからなる矩形で、電磁波が空洞共振する長さLを有する空洞共振器を構成する。即ち、反応容器7は、図1図4に示されるように、前記矩形の長辺aを天面7aと底面7bとし、前記矩形の短辺bを第1側面7cと第2側面7dとし、前記空洞共振する長さL方向の端面の前記導波管2側の端面を第1端面7eとし、他方の端面を第2端面7fとする直方体の構造を有する。
なお、反応容器7の構造は、電磁波の空洞共振器であればよく、直方体に限定されず、円筒型又はダブルリッジ型でもよい。
第1端面7eは開口され、マイクロ波電力供給装置1の導波管2から反応容器7へ供給されるマイクロ波電力を透過する誘電体窓5(例えば、石英窓)が配置される。導波管2と誘電体窓5と反応容器7の第1端面7eの接合部は真空漏れがないように、真空シールが講じられる。
第2端面7fに、マイクロ波電力供給装置1から反応容器7へ供給されるマイクロ波電力の位相調整に用いられるプランジャ9が配置される。
第1のマイクロ波電力供給装置1は、300MHz~3GHzのマイクロ波帯域から選ばれる周波数の電力を発生し、送電することが可能である。
電源周波数を300MHz~3GHzのマイクロ波帯域から選ぶ理由は、該周波数帯域では、高周波電力による誘電加熱、磁気加熱および誘導加熱の効果が大きいことにより、プラズマを発生する手段と基板加熱手段を兼用可能であるからである。また、300MHz~500MHzの電源は水晶発信器と電力増幅器を組み合わせることで安価に製作できるメリットがあり、周波数915MHz及び2,450MHzの電源はマグネトロン電源として市販品を利用できるというメリットがある。なお、誘電加熱はε・E(ただし、ε:誘電率、E:電場の強さ)に比例し、磁気加熱は、μ・H(ただし、μ:透磁率、H:磁場の強さ)に比例し、誘導加熱は、σ・E(ただし、σ:導電率、E:電場の強さ)に比例する、ことが知られている。
ここでは、第1のマイクロ波発生装置1aとして、例えば、915MHzのマイクロ波を発生するマグネトロン装置を用いる。
【0015】
反応容器7の中央部の底面7bに、後述の第1の基板載置台12が設けられる。そして、第1の基板載置台12に対向して反応容器7の中央部の天面7aに原料ガス導入管13aと原料ガス分散空洞13bと原料ガス噴出孔13cを備える原料ガス噴出箱13が設けられる。
原料ガス噴出孔13cは、直径0.1~1.0mmの多数の孔で形成され、該原料ガス噴出孔13cから噴出される原料ガスが、反応容器7の内部に一様に分散する。
反応容器7の第2側面7dに基板11の搬入搬出口26aが配置される。基板搬入搬出通路口26aは、基板搬入搬出通路26と基板搬入搬出バルブ27を介して、基板11の搬入搬出に用いられる。なお、基板搬入搬出バルブ27は、例えば、図示しないロードロック室に接続されている。
反応容器7の天面7aに、該反応容器内部の状態を観察可能で、且つ放射温度計による基板11の表面温度を測定可能な観察窓19が配置される。
反応容器7の寸法は、対象とする基板11のサイズにより対応して選定されるが、例えば、基板サイズ11が直径5インチの場合、長辺aを、例えば248mmとし、短辺bを、例えば124mm、長さLを、例えば、490mmとする。
なお、前記反応容器7の寸法は、上記例に限定されず、使用するマイクロ波の波長を考慮して、所定の値が選ばれる。
反応容器7の材料は、アルミニウム(Al)あるいはSUSが用いられる。また、前記反応容器7は、該反応容器7の温度が高温化しないように、図示しない冷却管が敷設される。
【0016】
排気口15a、15bは、図示しない真空ポンプと組み合わせて稼働させることにより、反応容器7の内部を所定の圧力に調整し、該圧力を所定の値に保持することが可能である。また、反応容器7の内部を高真空度に真空引きすることが可能である。排気口15a、15bの設置位置は、反応容器7の底面7bに限定されず、例えば、天面7aに配置してもよい。
【0017】
第1の基板載置台12は、反応容器7の中央部の底面7bに配置される。第1の基板載置台12は、図4及び図5に示されるように、基板11と接する主面12aを有し、前記主面12aは、前記第1のマイクロ波電力供給装置から供給されるマイクロ波の電界方向と直交する面に平行に配置され、前記主面12aに複数の穴12b(底のある穴)が形成される。即ち、前記主面は底面7bと平行方向に配置される。なお、第1の基板載置台12の主面12aの法線方向とマイクロ波の電界方向を合致させることにより、前記複数の穴12bのエッジ効果により電気力線を集中化することが可能となる。
複数の穴12bは、後述するように、電界集中効果を有するエッジを備え、直径は0.5mm~10mm、例えば3mmで、深さは1.0mm~10mm、例えば、5mmである。複数の穴12bの隣り合う間隔は、該穴の縁同士で1mm~10mm,例えば3mmである。
第1の基板支持台12の材料は、モリブデン(Mo)又はクロム(Cr)又はチタン(Ti)で形成される。その理由は、モリブデン(Mo)又はクロム(Cr)又はチタン(Ti)は常磁性と導電性があり、マイクロ波による加熱効果が高く、電磁波印加により高温に加熱されやすいことと、高融点で機械的強度に優れているからである。
なお、マイクロ波による金属及び誘電体の加熱は、例えば、非特許文献3に記載されているように、誘電加熱はε・E(ただし、ε:誘電率、E:電場の強さ)に比例し、磁気加熱はμ・H(ただし、μ:透磁率、H:磁場の強さ)に比例し、誘導加熱はσ・E(ただし、σ:導電率、E:電場の強さ)に比例する、ことが知られている。即ち、誘電率、透磁率及び導電率の高い物質は加熱効果が大きく、効果的に加熱される。この中で、融点が最も高いモリブデン(Mo)が好ましい。
第1の基板載置台12の主面12aの形状は、基板形状と相似形とする。基板11が円形の場合は、第1の基板載置台12の主面12aの形状は円形である。基板11が矩形の場合は、第1の基板載置台12の主面12aの形状は矩形である。ここでは、円形とする。そのサイズは、基板11のサイズより一回りおおきいサイズで、例えば、直径5インチの基板の場合、例えば、直径137mmである。なお、第1の基板載置台12は、基板保持の安定性を確保するために、基板載置台12の中心軸線21と同心である直径が前記基板のサイズより略0.5mm大きいサイズの枠12cを備えてもよいし、基板位置決めのピンを備えてもよい。
第1の基板載置台12は、該第1の基板載置台12の内部に図示しない冷却手段12dを備えている。冷却手段12dは、反応容器7の外部より供給される図示しない冷却媒体により冷却される。
ここでは、基板11を、例えば、直径5インチのイリジウム結晶膜が被覆された単結晶Siウエハーとする。なお、基板11は単結晶Siウエハーに限定されない、例えば、高温高圧法で製作された小さいサイズの複数個のダイヤモンド基板を載置してもよい。
基板11は、反応容器7の第2側面7dに配置された搬入搬出口26aから、基板搬入搬出通路26と基板搬入搬出バルブ27を介して、搬入搬出される。なお、基板搬入搬出バルブ27は、例えば、図示しないロードロック室に接続されている。
基板11は、マイクロ波電力により基板11自身が加熱されることに加え、第1の基板載置台12からの熱輻射及び熱伝導により加熱される。基板11の温度は、約700~約1,200℃に、例えば、1,000℃に設定される。なお、基板11の温度は、観測窓19を介して放射温度計19を用いて測定される。
【0018】
第1の基板載置台12の主面12aと原料ガス導入手段13の基板載置台12に対向する面との間隔dは、後述のプラズマ22を生成するに際し、重要なパラメータである。即ち、プラズマ生成における最適な電界(第1のマイクロ波電力供給装置1の出力)は、反応容器7内部の圧力pと前記間隔dとの積pdで表せられるパッシェンの法則でのpd曲線に従うことから、圧力pと前記間隔dは両者を調整し定められる。ここでは、前記間隔dは、例えば、3mm~20mmの範囲とし、例えば、5mmとする。
【0019】
第1のマイクロ波電力供給装置1から誘電体窓5を介してマイクロ波電力を反応容器7に供給し、プランジャ9と整合器3cを調整する。そうすると、図2に示される定在波25が発生する。即ち、図3に示されるように、第1の基板載置台12と原料ガス噴出箱13とで挟まれる領域に電界25aが発生する。前記電界25aがパッシェンの法則で決まるプラズマ生成条件を満たしていれば、図4に示されるプラズマ生成領域23に、プラズマ22が発生する。
電界25aが発生すると、図6に電気力線12baで示されるように、第1の基板載置台12の主面12aに設けられた複数の穴12bのエッジ効果により電界集中12bbが発生する。電界集中12bbが発生すると、図6に示されるように、該電界集中12bbの近傍の電界集中領域12bfに高密度プラズマ22aが発生する。
第1の基板載置台12の上に基板11が載置される際、該基板11の材質が誘電体、例えば、シリコンウエハー及びダイヤモンド基板であれば、電気力線12baの形態は、図6に示された電気力線12baと同様であり、図7に示されるように、電界集中領域12bfに高密度プラズマ22aが発生する。
即ち、電界25aは、図4に示されるプラズマ生成領域23に、高密度プラズマ22aを伴うプラズマ22を発生する。
【0020】
第1の基板載置台12と原料ガス噴出箱13とで挟まれる領域に発生する定在波25は、図2に示されるように、反応容器7の長さLの方向において余弦波状の形態を有することから、一様なプラズマが生成される領域は、第1の基板載置台12の中心軸21を中心にした直径略0.25λの範囲である。したがって、例えば、電源周波数が2.45GHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=122mmとして、0.75x0.25x122mm=22.8mmである。
例えば、電源周波数が915MHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=326mmとして、0.75x0.25x122mm=61.1mmである。
例えば、電源周波数が300MHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=996mmとして、0.75x0.25x996mm=186.7mmである。
したがって、基板の面積が大きい場合は供給電力の周波数を低く、例えば、300MHz~600MHzの帯域に設定し、該基板の面積が小さい場合は供給電力の周波数を高く、例えば、915MHz又は2.45GHzに設定することにより、一様なプラズマの生成による均一なダイヤモンド合成が可能になる。
【0021】
次に、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の操作手順について、図1図8を参照して説明する。図8は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置における原料ガス(メタンCHと水素Hの混合ガス)のプラズマ化によるダイヤモンド形成を示す原理的模式図である。
先ず、図示しない真空ポンプにより、排気口15a、15bを介して反応容器7の内部を所定の真空度にする。
次に、基板搬入搬出通路口26aから、基板搬入搬出通路口26及び基板搬入搬出バルブ27を介して、基板11を搬入し、第1の基板載置台12に載置する。なお、基板搬入搬出バルブ27の上流側は、図示しないロードロック室に接続され真空条件が満たされている。
次に、基板11の表面を水素プラズマでクリーニングし、基板の温度を、例えば、1,000℃に設定する。即ち、図示しない原料ガスの供給源から原料ガスとして水素ガスのみを導入し、反応容器7内部の圧力を例えば、例えば、5kPaに設定する。そして、第1のマイクロ波電力供給装置1から反応容器7へ、例えば、1kWを供給する。この際、導波管2の付属のアイソレータ3a、パワーモニター3b(進行波、反射波)、整合器3c及びプランジャ9によりマイクロ波伝播の整合条件を整える。観察窓19から図示しない放射温度計を用いて基板11の表面温度を測定し、それが、例えば、1,000℃になったら、一旦第1のマイクロ波電力供給装置1の出力をゼロに落とす。なお、基板11及び第1の基板載置台12はマイクロ波の磁気加熱効果(μ・H、ただし、μ:透磁率、H:磁場の強さ)、誘導加熱効果(σ・E、ただし、σ:導電率、E:電場の強さ)及び誘導加熱効果(σ・E、ただし、σ:導電率、E:電場の強さ)により、効果的に加熱される。
次に、図示しない原料ガスの供給源から原料ガスとしてメタンガスと水素を選ぶ。ガス供給条件は、例えば、流量比を水素流量/メタンガス流量=100/1とする。その後、図示しないメタンガス源及び図示しない水素ガス源から、それぞれ図示しないメタンガス及び水素ガスのマスフローコントローラで所定の流量に制御されたメタンガス及び水素ガスを、原料ガス供給孔13cから噴出させる。
次に、排気口15a、15bに付属された図示しない排気バルブ制御装置により図示しない排気バルブの開閉度を制御し、ドーム型反応容器7の内部圧力を、略1kPa~略10kPaに保つ。ここでは、例えば、5kPaに設定し、維持する。
【0022】
次に、第1のマイクロ波発生装置1aの出力を、例えば、500W~2KW、ここでは、例えば、1kWに設定する。この際、導波管2の付属のアイソレータ3a、パワーモニター3b(進行波、反射波)、整合器3c及びプランジャ9によりマイクロ波伝播の整合条件を整える。観察窓19から図示しない放射温度計を用いて基板11表面温度を測定し、それが、例えば、1,000℃であることを確認する。
そうすると、図4及び図7に示されるように、第1の基板載置台12と原料ガス導入手段13に挟まれた領域23(プラズマ生成領域23)に高密度プラズマ22aを伴うプラズマ22が生成される。プラズマ22は、図7に示される高密度プラズマ22aを伴っているので、原料ガスを基板11の表面近傍で効果的に分解できる。高密度プラズマ22aによって、原料ガスのメタン(CH)及び水素(H)がプラズマ化すると、CH、Hが解離し、ダイヤモンド形成の前駆体である高濃度のCHラジカル及び原子状H等を発生する。該CHラジカル及び該原子状H等は拡散して、基板11の表面に到達する。
即ち、図8に示されるように、プラズマ生成領域23で発生した高濃度のCHラジカル及び原子状H等は拡散現象により、基板11の表面に移動する。その一部分は、基板11の表面に化学吸着する。基板表面に化学吸着したCHラジカル等の一部分は、表面化学反応により、C-Cの形で結合する。原子状Hは、膜表面及び膜中のH成分及び結合の弱い炭素成分を引き抜く。引き抜きされたC及びH成分はガスに成って排出される。基板上では、C-C結合が正四面体構造で形成され、ダイヤモンドが成長する。
【0023】
次に、形成されるダイヤモンドの厚みはプラズマ22の生成持続時間に比例するので、第1のマイクロ波電力供給装置1の出力供給開始から所定の時間が経過した時点で、その出力をゼロにする。ダイヤモンド合成時間は、予め取得されたデータに基づいて決められる。ここでは、例えば、30分~60分、例えば60分とする。
なお、ダイヤモンド合成の時間は、ダイヤモンド合成速度に関し、反応容器7の寸法、第1の基板載置台12と原料ガス導入手段13の間隔d、基板温度、メタンガスの流量、水素ガスの流量、圧力、マイクロ波電力等の関係に係わるデータを、予め把握し、そのデータを基に決められる。
目的とするダイヤモンドの合成が終了後、上記メタンガス及び水素ガスの供給を停止し、反応容器7の内部を、一旦、高い真空度に真空引きする。
その後、基板搬入搬出通路口26aから、基板搬入搬出通路26及び基板搬入搬出バルブ27を介して、基板11を搬出する。基板11を搬出した後、新たな基板11を搬入する。そして、上述と同様な手順で、ダイヤモンドを形成する。
【0024】
以上の説明で示されたように、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置は、反応容器7に配置された第1の基板載置台12の基板11と接する主面12aに複数の穴12bが形成され、前記複数の穴12bのエッジが有する電界集中効果により、前記主面12aの近傍に高密度プラズマ22aを生成可能である。プラズマ生成領域23での一様なプラズマの範囲は、反応容器7内部に発生する定在波25の電界分布に依存することから、第1のマイクロ波電力供給装置1の発生する電力の周波数を選ぶことにより、大面積化が可能である。
例えば、電源周波数が2.45GHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=122mmとして、0.75x0.25λ=22.8mmである。
例えば、電源周波数が915MHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=326mmとして、0.75x0.25λ=61.1mmである。
例えば、電源周波数が300MHzの場合、一様なプラズマは、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=996mmとして、0.75x0.25λ=186.7mmである。
したがって、基板の面積が大きい場合は供給電力の周波数を低く、例えば、300MHz~600MHzの帯域に設定し、該基板の面積が小さい場合は供給電力の周波数を高く、例えば、915MHz又は2.45GHzに設定することにより、高速で大面積に、且つ高品質のダイヤモンド成長が可能となる。また、反応容器の構造が単純な形であり、該反応容器の製造が容易であり製造コストが低減化されるという効果を奏する。
【0025】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成について、図9及び図10を参照して、説明する。図4も参照する。
図9は本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成を示す模式的断面図である。図10は本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第2の基板載置台の模式的断面図である。
本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置は、図9に示されるように、原料ガスを導入する原料ガス導入手段13と排気口15a、15bを備える排気手段と基板11が載置される第2の基板載置台16とを備えた反応容器7と、前記反応容器7へアンテナ棒51を介してマイクロ波電力を供給する第2のマイクロ波電力供給装置50と、を備えている。
第2のマイクロ波電力供給装置50は、図9に示されるように、マイクロ波を伝播する同軸管50bと、同軸管50bの一方の端部に設けられマイクロ波を発生させる第2のマイクロ波発生装置(例えば、マグネトロン)50aと、同軸管50bに取付けられマイクロ波の反射波を調整するための負荷インピーダンス整合を行なう整合器50eと、第2のマイクロ波発生装置50aと整合器50eとの間に取付けられ同軸管50bを戻る反射波を吸収するアイソレータ50cと、アイソレータ50cと整合器50eの間に設けられたパワーモニター50dを備える。
反応容器7は、図9に示されるように、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置と同様に、天面7aと、底面7bと、第1側面7cと、第2側面7dと、第1端面7eと、第2端面7fからなる直方体の構造を有する。 なお、反応容器7の構造は、直方体に限定されず、円筒形又はダブルリッジ型でもよい。
ここでは、図9に示されるように、第1端面7eは壁である。第1端面7eの近傍にアンテナ棒51が配置される。アンテナ棒51は同軸管継手51a及び同軸管50bを介して、整合器50eに接続される。アンテナ棒51は第2のマイクロ波電力供給装置50から供給されたマイクロ波を放射する。なお、同軸管50bと同軸管継手51aの間は真空漏れが無いように真空装置用の部材が用いられる。
第2端面7fに、第2のマイクロ波電力供給装置50から反応容器7へ供給されるマイクロ波電力の位相調整に用いられるプランジャ9が配置される。
第2のマイクロ波電力供給装置50aは、300MHz~3GHzのマイクロ波帯域から選ばれる周波数の電力を発生可能である。
電源周波数を300MHz~3GHzのマイクロ波帯域から選ぶ理由は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置と同様である。
ここでは、第2のマイクロ波発生装置50aとして、例えば、915MHzのマイクロ波を発生するマグネトロン装置を用いる。
【0026】
図9及び図10において、符号16は、第2の基板載置台である。第2の基板載置台16は、反応容器7の中央部の底面7bに配置される。第2の基板載置台16は、図10に示されるように、基板11と接する主面16aに形成された断面形状が矩形の溝16bを備える。該溝16bは、第2の基板載置台16の中心線21aを同心とする複数の円形の溝である。
第2の基板載置台16の主面16aは、マイクロ波の電界方向と直交する面に平行に配置される。即ち、反応容器7の底面7bに平行に配置される。
複数の溝16bの溝幅は、例えば0.5mm~10mm、例えば、2mm、前記溝16bの深さは、例えば0.5mm~10mm、例えば、5mmとする。隣り合う溝16bの縁の間隔はで1mm~10mm、例えば、3mmとする。
第2の基板支持台16の材料は、モリブデン(Mo)又はクロム(Cr)又はチタン(Ti)で形成される。その理由は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置と同様である。
第2の基板載置台16の主面16aの形状は、基板形状と相似形とする。基板11が円形の場合は、第2の基板載置台16の主面16aの形状は円形である。基板11が矩形の場合は、第2の基板載置台16の主面16aの形状は矩形である。ここでは、円形とする。そのサイズは、基板11のサイズより一回りおおきいサイズで、例えば、直径5インチの基板の場合、例えば、直径137mmである。なお、第2の基板載置台16の主面16aは、基板保持の安定性を確保するために、第2の基板載置台16の中心軸線21aと同心である直径が前記基板のサイズより略0.5mm大きいサイズの枠16cを備えてもよいし、基板位置決めの図示しないピンを備えてもよい。
第2の基板載置台16は、該第2の基板載置台16の内部に図示しない冷却手段16dを備えている。冷却手段16dは、反応容器7の外部より供給される図示しない冷却媒体により冷却される。
ここでは、基板11を、例えば、直径5インチのイリジウム結晶膜が被覆された単結晶Siウエハーとする。なお、基板11は単結晶Siウエハーに限定されない、例えば、高温高圧法で製作された小さいサイズの複数個のダイヤモンド基板を載置してもよい。
基板11は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置と同様に、図4に示されるように、反応容器7の第2側面7dに配置された搬入搬出口26aから、基板搬入搬出通路26と基板搬入搬出バルブ27を介して、搬入搬出される。なお、基板搬入搬出バルブ27は、例えば、図示しないロードロック室に接続されている。
基板11は、マイクロ波電力により基板11自身が加熱されることに加え、 第2の基板載置台16からの熱輻射及び熱伝導により加熱される。基板11の温度は、約700~約1,200℃に、例えば、1,000℃に設定される。なお、基板11の温度は、観察窓19を介して図示しない放射温度計を用いて測定される。
第2の基板載置台16の主面16aと原料ガス導入手段13の第2の基板載置台16に対向する面の間隔dは、後述のプラズマを生成するに際し、重要なパラメータである。即ち、プラズマ生成における最適な電界(マイクロ波電力供給装置2の出力)は、反応容器7内部の圧力pと前記間隔dとの積pdで表せられるパッシェンの法則でのpd曲線に従うことから、圧力pと前記間隔dは両者を調整し定められる。ここでは、前記間隔dは、例えば、3mm~20mmの範囲とし、例えば、5mmとする。
【0027】
第2のマイクロ波発生装置50aからマイクロ波が同軸管50bを介してアンテナ棒51へ供給されると、該アンテナ棒51から該マイクロ波が放射される。アンテナ棒51から放射されたマイクロ波は、反応容器7内部を伝播し、該反応容器7内部で共振し、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の場合と同様に、定在波25を発生する。該定在波25は、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置と同様に、図9に示されるように、第2の基板載置台16の主面16aと原料ガス噴出箱13とで挟まれる領域に電界25aを発生する。
電界25aが発生すると、図10に示されるように、本発明の第1の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の場合と同様に、エッジ効果により電界集中が起こり、高密度プラズマ22bが発生する。
第2の基板載置台16の上に基板11が載置される際、該基板11の材質が誘電体、例えば、シリコンウエハー及びダイヤモンド基板であれば、電気力線の形態に変化はないので、該基板11が無い場合と同様に、図10に示される高密度プラズマ22bが発生する。
【0028】
第2の基板載置台16と原料ガス噴出箱13とで挟まれる領域に発生する定在波25は、反応容器7の長さLの方向において余弦波状の形態を有することから、一様なプラズマが生成される領域は、第2の基板載置台16の中心軸21aを中心にした直径略0.25λの範囲である。したがって、例えば、電源周波数が2.45GHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=122mmとして、0.75x0.25x122mm=22.8mmである。
例えば、電源周波数が915MHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=326mmとして、0.75x0.25x122mm=61.1mmである。
例えば、電源周波数が300MHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=996mmとして、0.75x0.25x996mm=186.7mmである。
したがって、基板の面積が大きい場合は供給電力の周波数を低く、例えば、300MHz~600MHzの帯域に設定し、該基板の面積が小さい場合は供給電力の周波数を高く、例えば、915MHz又は2.45GHzに設定することにより、一様なプラズマの生成による均一なダイヤモンド合成が可能になる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の操作手順について、図9及び図10を参照して説明する。図8も参照する。
先ず、図示しない真空ポンプにより、排気口15a、15bを介して反応容器7の内部を所定の真空度にする。
次に、基板搬入搬出通路口26aから、基板搬入搬出通路口26a及び基板搬入搬出バルブ27を介して、基板11を搬入し、第2の基板載置台16に載置する。なお、基板搬入搬出バルブ27の上流側は、図示しないロードロック室に接続され真空条件が満たされている。
次に、基板11の表面を水素プラズマでクリーニングし、基板の温度を、例えば、1,000℃に設定する。即ち、図示しない原料ガスの供給源から原料ガスとして水素ガスのみを導入し、反応容器7内部の圧力を例えば、例えば、5kPaに設定する。そして、第2のマイクロ波電力供給装置50からアンテナ棒51を介して反応容器7へ、例えば、1kWを供給する。この際、同軸管50bに付属のアイソレータ50c、パワーモニター50d(進行波、反射波)、整合器5050e及びプランジャ9によりマイクロ波伝播の整合条件を整える。観察窓19から図示しない放射温度計を用いて基板11の表面温度を測定し、それが、例えば、1,000℃になったら、一旦第2のマイクロ波電力供給装置50の出力をゼロに落とす。なお、基板11及び第2の基板載置台16はマイクロ波の磁気加熱効果(μ・H、ただし、μ:透磁率、H:磁場の強さ)、誘導加熱効果(σ・E、ただし、σ:導電率、E:電場の強さ)及び誘導加熱効果(σ・E、ただし、σ:導電率、E:電場の強さ)により、効果的に加熱される。
次に、図示しない原料ガスの供給源から原料ガスとしてメタンガスと水素を選ぶ。ガス供給条件は、例えば、流量比を水素流量/メタンガス流量=100/1とする。その後、図示しないメタンガス源及び図示しない水素ガス源から、それぞれ図示しないメタンガス及び水素ガスのマスフローコントローラで所定の流量に制御されたメタンガス及び水素ガスを、原料ガス供給孔13cから噴出させる。
次に、排気口15a、15bに付属された図示しない排気バルブ制御装置により図示しない排気バルブの開閉度を制御し、ドーム型反応容器7の内部圧力を、略1kPa~略10kPaに保つ。ここでは、例えば、5kPaに設定し、維持する。
【0030】
次に、第2のマイクロ波発生装置50aの出力を、例えば、500W~2KW、ここでは、例えば、1kWに設定する。この際、同軸管50bの付属の図示しないアイソレータ50c、パワーモニター50d(進行波、反射波)、整合器50e及びプランジャ9によりマイクロ波伝播の整合条件を整える。観察窓19から図示しない放射温度計を用いて基板11の表面温度を測定し、それが、例えば、1,000℃であることを確認する。
そうすると、図9に示されるように、第2の基板載置台16と原料ガス導入手段13に挟まれる領域23(プラズマ生成領域23)に原料ガスのプラズマ22が生成される。プラズマ22は、図10に示される高密度プラズマ22bを伴っているので、原料ガスを効果的に分解できる。高密度プラズマ22bによって、原料ガスのメタン(CH)及び水素(H)がプラズマ化すると、CH、Hが解離し、ダイヤモンド形成の前駆体である高濃度のCHラジカル及び原子状H等を発生する。該CHラジカル及び該原子状H等は拡散して、基板11の表面に到達する。
即ち、図8に示されるように、プラズマ生成領域23で発生した高濃度のCHラジカル及び原子状H等は拡散現象により、基板11の表面に移動する。その一部分は、基板11の表面に化学吸着する。基板表面に化学吸着したCHラジカル等の一部分は、表面化学反応により、C-Cの形で結合する。原子状Hは、膜表面及び膜中のH成分及び結合の弱い炭素成分を引き抜く。引き抜きされたC及びH成分はガスに成って排出される。基板上では、C-C結合が正四面体構造で形成され、ダイヤモンドが成長する。
【0031】
次に、形成されるダイヤモンドの厚みはプラズマ22の生成持続時間に比例するので、第2のマイクロ波電力供給装置50の出力供給開始から所定の時間が経過した時点で、その出力をゼロにする。ダイヤモンド合成時間は、予め取得されたデータに基づいて決められる。ここでは、例えば、30分~60分、例えば60分とする。
なお、ダイヤモンド合成の時間は、ダイヤモンド合成速度に関し、反応容器7の寸法、第2の基板載置台16と原料ガス導入手段13の間隔d、基板温度、メタンガスの流量、水素ガスの流量、圧力、マイクロ波電力等の関係に係わるデータを、予め把握し、そのデータを基に決められる。
目的とするダイヤモンドの合成が終了後、上記メタンガス及び水素ガスの供給を停止し、反応容器7の内部を、一旦、高い真空度に真空引きする。
その後、基板搬入搬出通路口26aから、基板搬入搬出通路26及び基板搬入搬出バルブ27を介して、基板11を搬出する。基板11を搬出した後、新たな基板11を搬入する。そして、上述と同様な手順で、ダイヤモンドを形成する。
【0032】
以上の説明で示されたように、本発明の第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置は、反応容器7に配置された第2の基板載置台16の基板11と接する主面16aに複数の溝16bが形成され、前記複数の溝16bのエッジが有する電界集中効果により、前記主面16a近傍に高密度プラズマ22bを生成することが可能である。プラズマ生成領域23での一様なプラズマの範囲は、反応容器7内部に発生する定在波の電界分布に依存することから、第2のマイクロ波電力供給装置50の発生する電力の周波数を選ぶことにより、大面積化が可能である。
例えば、電源周波数が2.45GHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=122mmとして、0.75x0.25λ=22.8mmである。
例えば、電源周波数が915MHzの場合、一様なプラズマの範囲は、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=326mmとして、0.75x0.25λ=61.1mmである。
例えば、電源周波数が300MHzの場合、一様なプラズマは、プラズマ中の波長短縮率を0.75、λ=996mmとして、0.75x0.25λ=186.7mmである。
したがって、基板の面積が大きい場合は供給電力の周波数を低く、例えば、300MHz~600MHzの帯域に設定し、該基板の面積が小さい場合は供給電力の周波数を高く、例えば、915MHz又は2.45GHzに設定することにより、高速で大面積に、且つ高品質のダイヤモンド成長が可能となる。また、反応容器の構造が単純な形であり、該反応容器の製造が容易であり製造コストが低減化されるという効果を奏する。
【0033】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置について、図11を参照して説明する。図11は、本発明の第3の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第3の基板載置台の構成を示す断面図である。
本発明の第3の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置は、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第1及び第2の基板載置台12、16に代えて、以下に示す第3の基板載置台17を用いることを特徴とする。
図11において、符号17は第3の基板載置台である。符号17aは第3の基板載置台17の主面である。第3の基板載置台17の主面17aは、断面形状が三角形である突起17bを備える。三角形の突起17bは、第3の基板載置台17の中心軸線21bと同心の円形の山と谷で形成される。符号17cは基板保持の安定性を確保するための枠である。
三角形状の突起17bの寸法は、第3の基板載置台17の中心軸線21bと同心の円形の山と谷の間隔を、例えば1mm~10mm、例えば、5mm、前記山と前記谷の高低差を、例えば1mm~10mm、例えば、5mmとする。
突起17bは、第3の基板載置台17の主面17aの法線方向に電界が発生した場合、電界集中が発生し、高密度プラズマ22cを発生する。高密度プラズマ22cを発生すると、原料ガスのプラズマ分解が効果的に起こり、ダイヤモンド合成の高速成膜が可能となる。
第3の基板載置台17の主面17aの法線方向に発生する電界分布は、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の場合と同様に、反応容器7に形成されるマイクロ波の定在波に依存する。
したがって、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置と同様に、基板の面積が大きい場合は供給電力の周波数を低く、例えば、300MHz~600MHzの帯域に設定し、該基板の面積が小さい場合は供給電力の周波数を高く、例えば、915MHz又は2.45GHzに設定することにより、高速で大面積に、且つ高品質のダイヤモンド成長が可能となる。また、反応容器の構造が単純な形であり、該反応容器の製造が容易であり製造コストが低減化されるという効果を奏する。
【0034】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置について、図12を参照して説明する。図12は、本発明の第3の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第4の基板載置台の構成を示す断面図である。
本発明の第4の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置は、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の構成部材である第1及び第2の基板載置台12、16に代えて、以下に示す第4の基板載置台18を用いることを特徴とする。
図12において、符号18は第4の基板載置台である。符号18aは、第4の基板載置台18の主面である。第4の基板載置台18の主面18aは、断面形状が正弦波状である突起18bを備える。正弦波状の突起18bは、第4の基板載置台18の中心軸線21cと同心の円形状の山と谷で形成される。符号18cは基板保持の安定性を確保するための枠である。
正弦波状の突起18bの寸法は、第4の基板載置台18の中心軸線21cと同心の円形状の山と谷の間隔を、例えば1mm~10mm、例えば、5mm、前記山と前記谷の高低差を、例えば1mm~10mm、例えば、5mmとする。
突起18bは、第4の基板載置台18の主面18aの法線方向に電界が発生した場合、電界集中が発生し、高密度プラズマ22dを発生する。高密度プラズマ22dを発生すると、原料ガスのプラズマ分解が効果的に起こり、ダイヤモンド合成の高速成膜が可能となる。
第4の基板載置台17の主面18aの法線方向に発生する電界分布は、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置の場合と同様に、反応容器7に形成されるマイクロ波の定在波に依存する。
したがって、本発明の第1及び第2の実施形態に係わるダイヤモンド合成用プラズマCVD装置と同様に、基板の面積が大きい場合は供給電力の周波数を低く、例えば、300MHz~600MHzの帯域に設定し、該基板の面積が小さい場合は供給電力の周波数を高く、例えば、915MHz又は2.45GHzに設定することにより、高速で大面積に、且つ高品質のダイヤモンド成長が可能となる。また、反応容器の構造が単純な形であり、該反応容器の製造が容易であり製造コストが低減化されるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0035】
1・・・第1のマイクロ波電力供給装置、
2・・・導波管、
5・・・誘電体窓(石英窓)、
7・・・反応容器、
9・・・プランジャ、
11・・・基板、
12・・・第1の基板載置台、
12a・・・第1の基板載置台の主面、
12b・・・穴、
12bf・・・電界集中領域、
13・・・原料ガス噴出箱、
13c・・・原料ガス噴出孔、
15a、15b・・・排気口、
16・・・第2の基板載置台、
16a・・・第2の基板載置台の主面、
16b・・・溝、
17・・・第3の基板載置台、
17a・・・第3の基板載置台の主面、
17b・・・三角形状の突起、
18・・・第4の基板載置台、
18a・・・第4の基板載置台の主面、
18b・・・正弦波形状の突起、
19・・・観察窓、
22・・・プラズマ、
22a、22b、22c、22d・・・高密度プラズマ、
25・・・定在波、
25a・・・電界、
50・・・第2のマイクロ波電力供給装置、
51・・・アンテナ棒。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12