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特開2024-60108畦上面ローラ、畦形成手段及び畦塗り機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060108
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】畦上面ローラ、畦形成手段及び畦塗り機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A01B35/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047682
(22)【出願日】2024-03-25
(62)【分割の表示】P 2020153752の分割
【原出願日】2020-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 英昭
(72)【発明者】
【氏名】田副 隼
(57)【要約】
【課題】強固な畦肩面を形成できる畦上面ローラを備える畦塗り機を提供する。
【解決手段】畦塗り機1は、土を盛り上げる盛土手段3と、この盛土手段3による盛土を締め固めて畦を形成する畦形成手段4とを具備する。畦形成手段4は畦側面形成体6を備え、この畦側面形成体6の端部には畦上面ローラ7を設ける。畦上面ローラ7は畦上面形成体41を備え、この畦上面形成体41の端部には畦肩面形成体42を設ける。畦肩面形成体42は、回転方向に隣り合う畦肩面形成板51間に位置する段差部55を有し、この段差部55の高さ寸法Hは、畦肩面形成板51の板厚以上の寸法である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦塗り機に用いられる畦上面ローラであって、
畦上面を形成する畦上面形成体と、
畦肩面を形成する畦肩面形成体とを備え、
前記畦肩面形成体は、
回転方向に並んで位置する複数の畦肩面形成部と、
前記回転方向に隣り合う前記畦肩面形成部間に位置する段差部とを有し、
前記畦肩面形成体の前記段差部の高さ寸法は、前記畦肩面形成部の板厚以上の寸法である
ことを特徴とする畦上面ローラ。
【請求項2】
畦塗り機に用いられる畦上面ローラであって、
畦上面を形成する畦上面形成体と、
畦肩面を形成する畦肩面形成体とを備え、
前記畦肩面形成体は、
回転方向に並んで位置する複数の畦肩面形成部と、
前記回転方向に隣り合う前記畦肩面形成部間に位置する段差部とを有し、
前記畦肩面形成体の前記段差部の高さ寸法は、2mm以上の寸法である
ことを特徴とする畦上面ローラ。
【請求項3】
畦塗り機に用いられる畦形成手段であって、
段差部を有する畦側面形成体と、
請求項1又は2記載の畦上面ローラとを備え、
前記畦上面ローラにおける畦肩面形成体の段差部の高さ寸法は、畦肩面形成部の板厚以上の寸法で、かつ、前記畦側面形成体の前記段差部の最大高さ寸法以下である
ことを特徴とする畦形成手段。
【請求項4】
畦塗り機に用いられる畦形成手段であって、
段差部を有する畦側面形成体と、
請求項1又は2記載の畦上面ローラとを備え、
前記畦上面ローラにおける畦肩面形成体の段差部は、側面視で前記畦側面形成体の前記段差部と連続するように位置する
ことを特徴とする畦形成手段。
【請求項5】
土を盛り上げる盛土手段と、
前記盛土手段による盛土を締め固めて畦を形成する請求項3又は4記載の畦形成手段と
を具備することを特徴とする畦塗り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦塗り機に用いられる畦上面ローラ、畦形成手段及び畦塗り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された畦上面ローラが知られている。この従来の畦上面ローラは、所定方向に回転しながら畦上面を形成する畦上面形成体を備え、この畦上面形成体の端部には、段差がない円錐台状の畦肩面形成体(肩部整畦部)が設けられている。つまり、この畦肩面形成体の外周面は、截頭円錐面状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-230092号公報(図7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の畦上面ローラでは、畦肩面形成体の外周面が截頭円錐面状に形成されているため、当該畦肩面形成体による土の締め固めが不十分となるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、強固な畦肩面を形成できる畦上面ローラ、畦形成手段及び畦塗り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の畦上面ローラは、畦塗り機に用いられる畦上面ローラであって、畦上面を形成する畦上面形成体と、畦肩面を形成する畦肩面形成体とを備え、前記畦肩面形成体は、回転方向に並んで位置する複数の畦肩面形成部と、前記回転方向に隣り合う前記畦肩面形成部間に位置する段差部とを有し、前記畦肩面形成体の前記段差部の高さ寸法は、前記畦肩面形成部の板厚以上の寸法であるものである。
【0007】
請求項2記載の畦上面ローラは、畦塗り機に用いられる畦上面ローラであって、畦上面を形成する畦上面形成体と、畦肩面を形成する畦肩面形成体とを備え、前記畦肩面形成体は、回転方向に並んで位置する複数の畦肩面形成部と、前記回転方向に隣り合う前記畦肩面形成部間に位置する段差部とを有し、前記畦肩面形成体の前記段差部の高さ寸法は、2mm以上の寸法であるものである。
【0008】
請求項3記載の畦形成手段は、畦塗り機に用いられる畦形成手段であって、段差部を有する畦側面形成体と、請求項1又は2記載の畦上面ローラとを備え、前記畦上面ローラにおける畦肩面形成体の段差部の高さ寸法は、畦肩面形成部の板厚以上の寸法で、かつ、前記畦側面形成体の前記段差部の最大高さ寸法以下であるものである。
【0009】
請求項4記載の畦形成手段は、畦塗り機に用いられる畦形成手段であって、段差部を有する畦側面形成体と、請求項1又は2記載の畦上面ローラとを備え、前記畦上面ローラにおける畦肩面形成体の段差部は、側面視で前記畦側面形成体の前記段差部と連続するように位置するものである。
【0010】
請求項5記載の畦塗り機は、土を盛り上げる盛土手段と、前記盛土手段による盛土を締め固めて畦を形成する請求項3又は4記載の畦形成手段とを具備するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、強固な畦肩面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る畦上面ローラを用いた畦塗り機の平面図である。
図2】同上畦塗り機の畦形成手段の斜視図である。
図3】同上畦形成手段の側面図である。
図4図3におけるA-A断面図である。
図5】延長ローラ部材を取り外した状態の畦上面ローラの側面図である。
図6】同上畦上面ローラの部分平面図である。
図7】同上畦上面ローラの畦肩面形成体の段差部の高さを示す図である。
図8】本発明の他の実施の形態に係る畦上面ローラを備えた畦形成手段の側面図である。
図9】同上畦上面ローラの平面図である。
図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る畦上面ローラの部分平面図である。
図11】同上畦上面ローラの畦肩面形成体の段差部の高さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る畦上面ローラを用いた畦塗り機について図1ないし図7を参照して説明する。
【0014】
図1において、1は畦塗り機で、この畦塗り機1は、走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、圃場においてトラクタの前進走行により前進作業状態で前方(進行方向)に移動しながら畦塗り作業をするものである。なお、圃場の隅部では、畦塗り機1は、リターン作業状態に切り換えられた状態で、トラクタの後進走行により後方(進行方向)に移動しながら畦塗り作業をする。
【0015】
畦塗り機1は、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結される機体2と、この機体2に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら田面及び畦(元畦)を耕耘して土を盛り上げる盛土手段(耕耘部)3と、機体2に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら盛土手段3による盛土を締め固めて畦(新畦)を形成する畦形成手段(ディスク部)4とを具備している。
【0016】
そして、畦形成手段4は、水平な左右方向の回転中心軸線Xを中心として所定方向に回転しながら盛土を締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する円錐台状(略円錐台状を含む。以下同様)の畦側面形成体6と、この畦側面形成体6の縮径側の端部に設けられ、当該畦側面形成体6とともに回転中心軸線Xを中心として回転する円筒状(略円筒状を含む。以下同様)の畦上面ローラ(スパイラルローラ)7とを備えている。
【0017】
なお、畦形成手段4は、図示しない入力軸側からの動力に基づいて回転中心軸線Xを中心として駆動回転するものであるが、その周速はトラクタの走行速度よりも速い。また、畦形成手段4の畦側面形成体6の一部は畦形成手段用カバー体(図示せず)で覆われており、盛土手段3は盛土手段用カバー体9で覆われている。盛土手段3の前方側には、畦上面を削る畦上面削り手段(図示せず)が設けられている。
【0018】
機体2は、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結される機枠11を有している。機枠11には入力軸(図示せず)が回転可能に設けられ、この入力軸にはトラクタのPTO軸がジョイントを介して接続される。そして、入力軸により入力された動力に基づいて、盛土手段3、畦形成手段4及び畦上面削り手段が駆動回転して作業を行う。なお、これら盛土手段3、畦形成手段4及び畦上面削り手段にて作業部10が構成されている。
【0019】
機枠11には可動機枠12が連結手段13を介して連結され、この可動機枠12に作業部10が設けられている。そして、伸縮駆動手段であるシリンダ16,17の伸縮により可動機枠12が可動することで、畦塗り機1が所望の状態(前進作業状態、格納状態及びリターン作業状態)に選択的に切り換えられる。また、可動機枠12には、田面に接地して走行するゲージ輪(方向輪)18が設けられている。
【0020】
盛土手段3は、入力軸側からの動力に基づいて駆動回転する前後方向の回転軸21を有し、この回転軸21には盛土用の複数の耕耘爪22が取り付けられている。
【0021】
畦形成手段4は、入力軸側からの動力に基づいて駆動回転する左右方向の回転軸26を有し、この回転軸26の先端部には畦側面形成体6が取り付けられ、この畦側面形成体6の縮径側の端部には畦上面ローラ7が取り付けられている。
【0022】
回転軸26の基端部は、可動機枠12の軸支持部27によって回転可能に支持されている。回転軸26の軸芯を通る直線が回転中心軸線(回転中心)Xであり、この回転中心軸線Xを中心として畦側面形成体6及び畦上面ローラ7が一体となって駆動回転(スリップ回転)する。
【0023】
ここで、畦側面形成体6は、図2ないし図4にも示すように、段差付きの円錐台状に形成されている。この畦側面形成体6は、円錐台状のベース部材31を有し、このベース部材31の回転中心側の取付部30が回転軸26の先端部に着脱可能に取り付けられている。
【0024】
ベース部材31の外周面側(表面側)には、回転方向後側で盛土を押し込むように締め固めて傾斜面状の畦側面を形成する板状の複数の畦側面形成部である畦側面形成板(面板)32が着脱可能に取り付けられている。各畦側面形成板32は、例えば扇形状でかつ外面側に凸の湾曲板状に形成されている。なお、各畦側面形成板32は、個別に交換可能となっている。
【0025】
複数の畦側面形成板32は、回転方向に並んで位置し、かつ、回転中心軸線Xを中心として放射状に位置している。また、各畦側面形成板32は、回転中心軸線Xからの距離が回転方向前端側から回転方向後端側に向って徐々に増大するように位置している。つまり、各畦側面形成板32は、回転方向後端ほどベース部材31の截頭円錐面状の外周面からの距離が大きくなるように当該ベース部材31に取り付けられている。
【0026】
そして、回転方向に互いに隣り合う両畦側面形成板32間には、畦側面形成体6の径方向に沿った長手状の段差部33が位置している。つまり、畦側面形成体6外周面側には、複数の直線状の段差部33が各畦側面形成板32の境界部分に形成されている。このため、畦側面形成体6は、回転時に畦側面形成板32の回転方向後側外面の作用面34が盛土に対して断続的に接触することにより盛土を叩くようにして締め固める。
【0027】
畦側面形成体6の段差部33は、側面視で回転中心軸線Xを中心とした仮想円の径方向に沿って位置する(図3参照)。また、当該段差部33の高さ寸法は、例えば図示しないが畦側面形成体6の縮径端側から拡径端側に向って徐々に小さくなっているが、これには限定されず、例えば全長にわたって一定でもよく、或いは逆に拡径端ほど大きくなっていてもよい。
【0028】
また、図4に示すように、畦側面形成体6のベース部材31の回転中心側の取付部(ボス部)30には、連結冠36及び中間フランジ37がボルト38で着脱可能に取り付けられている。この取付部30の外周面には、複数の補助板39が突設されている。そして、畦側面形成体6の円環状の中間フランジ(畦上面ローラ取付部)37には、畦上面ローラ7がボルト40で着脱可能に取り付けられている。
【0029】
畦上面ローラ7は、図2ないし図7にも示すように、回転中心軸線Xを中心として回転しながら水平面状の畦上面を形成する円筒状の畦上面形成体41と、この畦上面形成体41の畦側面形成体6側の端部(軸方向の一端部である内端部)に連設され、当該畦上面形成体41とともに回転中心軸線Xを中心として回転しながら傾斜面状の畦肩面(肩部)を形成する畦肩面形成体(肩部部品)42とを備えている。
【0030】
畦上面形成体41は、段差付きの円筒状に形成されている。つまり、この畦上面形成体41の外周面側には、複数の螺旋状の段差部43が突出状に形成されている。このため、畦上面形成体41は、回転時に元畦の畦上面の盛土を締め固めるとともに盛土の一部を畦肩面形成体42側(軸方向の一端部側)に向けて移動させる。換言すると、畦上面形成体41は、回転中心軸線Xを中心とする回転の際に、盛土を締め固めて畦上面を形成するとともに盛土の一部を畦肩面形成体42側に寄せて供給する。なお、畦上面形成体41の段差部43は、畦肩面形成体42から離れるに従って回転方向前方に向かう螺旋状に形成されている。
【0031】
また、畦上面形成体41は、畦肩面形成体42側に位置する円筒状のローラ部材46と、このローラ部材46の外端部(畦肩面形成体42側とは反対側の端部)に取付手段(例えばボルト及びナット)49で着脱可能に取り付けられた円筒状の延長ローラ部材47と、この延長ローラ部材47の外端部に取付手段(例えばボルト及びナット)50で着脱可能に取り付けられた円板状のカバー部材48とを有している。なお、畦肩面形成体42は、ローラ部材46の内端部に一体に設けられている。
【0032】
ローラ部材46は、取付部である取付フランジ45を内端側に有し、この取付フランジ45が中間フランジ37にボルト40で取り付けられている。なお、その取付作業を行う作業者は、開孔44からボルト40を操作することができる(図5参照)。
【0033】
畦肩面形成体42は、畦側面形成体6と同様、段差付きの円錐台状に形成されている。つまり、畦肩面形成体42は、畦側面形成体6側に向かって徐々に拡径する円錐台状に形成されている。そして、この畦肩面形成体42は、回転方向後側で盛土(畦上面形成体41によって供給された盛土を含む)を押し込むように締め固めて傾斜面状の畦肩面を形成する板状の複数の畦肩面形成部である畦肩面形成板51を有している。
【0034】
畦肩面形成板51の数は、畦側面形成体6の畦側面形成板32と同じ数である。畦側面形成板32の基端部(幅狭側の端部)は畦肩面形成板51と重なっており、畦側面形成板32の基端部の外面が畦肩面形成板51によって覆われている。こうして、畦側面形成体6の縮径側の端部に畦肩面形成体42が連設されており、この畦肩面形成体42の縮径側の端部には畦上面形成体41が連設されている。
【0035】
各畦肩面形成板51は、例えば回転方向にやや長手状でかつ外面側に凸の湾曲板状に形成されている。また、畦肩面形成板51は、例えば2本(1本でもよく3本以上でもよい)の周方向の折れ線52,53に沿って複数箇所で段階的に折り曲げられている。つまり、畦肩面形成板51は、回転中心軸線Xに対する傾斜角度がそれぞれ異なる第1板部分51a、第2板部分51b及び第3板部分51cを有している(図6参照)。
【0036】
これら第1板部分51a、第2板部分51b及び第3板部分51cのうち第3板部分51cの傾斜角度が最大であるが、その傾斜角度は畦側面形成板32の傾斜角度よりも小さい。また、この第3板部分51cの回転方向後側には、三角状の切欠部54が形成されている。なお、畦肩面形成板51は、例えば折れ線52,53を有さず、連続的な曲面状に曲げられたものでもよい。
【0037】
複数の畦肩面形成板51は、畦側面形成板32と対応するように、回転方向に並んで位置し、かつ、回転中心軸線Xを中心として放射状に位置している。また、各畦肩面形成板51は、畦側面形成板32と同様、回転中心軸線Xからの距離が回転方向前端側から回転方向後端側に向って徐々に増大するように位置している(図7参照)。なお、図7中の2点鎖線は、回転中心軸線Xを中心とした仮想円の一部である。
【0038】
そして、回転方向に互いに隣り合う両畦肩面形成板51間には、畦肩面形成体42の径方向に沿った長手状の段差部55が位置している。すなわち、回転方向に互いに隣り合う両畦肩面形成板51は、連結部を兼ねた段差部55を介して一体に連結されている。このため、畦肩面形成体42は、畦側面形成体6と同様、回転時に畦肩面形成板51の回転方向後側外面の作用面56が盛土に対して断続的に接触することにより盛土を叩くようにして締め固める。
【0039】
ここで、畦肩面形成体42の段差部55は、側面視で畦側面形成体6の段差部33と連続するように位置するとともに畦側面形成体6の段差部33に対して一直線状(平行状)に位置する(図3参照)。なお、畦肩面形成体42の段差部55は、畦上面形成体41の段差部43とは非連続である。つまり、畦肩面形成体42の段差部55は、畦上面形成体41の段差部43に対して回転方向に所定距離だけずれており、当該段差部55の畦上面形成体41側の端部が回転方向に互いに隣り合う両段差部43間の中央位置付近に位置している。
【0040】
畦肩面形成体42の段差部55は、少なくとも一部が畦側面形成体6の段差部33と重なっている。また、この段差部55のうち畦上面形成体41側とは反対側の端部分55aは、第3板部分51cの回転方向前端に一体に設けられ、回転方向前方側の切欠部54に臨んでいる。
【0041】
畦肩面形成体42の段差部55の高さ寸法Hは、例えば全長にわたって一定の寸法で、例えば2mm以上でかつ畦側面形成体6の段差部33の最大高さ寸法以下であり、好ましくは例えば「3mm」である(図7参照)。なお、例えば段差部55の高さ寸法Hは、一定ではなく、段差部33の高さ寸法に応じて増減させてもよい。
【0042】
畦肩面形成体42の幅寸法(軸方向長さ寸法)Lは、例えば畦の大きさに対応する寸法で、例えば15mm以上でかつ70mm以下であり、好ましくは例えば「60mm」である(図6参照)。
【0043】
次に、畦塗り機1の作用等を説明する。
【0044】
畦塗り機1をトラクタの後部に連結してトラクタの走行により畦塗り機1を進行方向に移動させると、畦上面削り手段が元畦の上面部を耕耘して削り、その進行方向後方で盛土手段3が田面及び元畦を耕耘して畦塗り用の土を盛土として元畦上に盛り上げ、その進行方向後方で畦形成手段4が盛土を締め固めて新畦を形成する。
【0045】
この際、段差部43を有した畦上面形成体41は、所定方向に回転しながら盛土を締め固めて畦上面を形成するとともに盛土の一部を畦肩面形成体42側に向けて供給し、また、段差部55を有した畦肩面形成体42は、所定方向に回転しながら盛土(螺旋状の段部33により寄せられた盛土を含む)を締め固めて畦肩面を形成し、さらに、段差部33を有した畦側面形成体6は、所定方向に回転しながら盛土を締め固めて畦側面を形成し、その結果、つなぎ目のない滑らかに連続した畦上面、畦肩面及び畦側面を有する新畦が形成される。
【0046】
そして、このような畦塗り機1によれば、所望量の土が十分に締め固められた強固な畦肩面を形成でき、崩れにくい強固な畦に仕上げることができる。よって、例えば畦肩面における亀裂の発生を抑制でき、当該亀裂に起因する畦の崩れを適切に防止できる。
【0047】
また、互いに連設された3つの部品(畦上面形成体41、畦肩面形成体42及び畦側面形成体6)によってつなぎ目(盛り上がった線)のない滑らかな形状の畦に仕上げることができる。よって、例えば畦上面や畦肩面に水が溜まるのを防止でき、雑草の繁殖等を抑制できる。
【0048】
なお、上記実施の形態では、畦肩面形成体42の段差部55は、側面視で畦側面形成体6の段差部33に対して一直線状に位置するが、これには限定されず、例えば図8及び図9に示すように、側面視で畦側面形成体6の段差部33に対して傾斜状に位置するようにしてもよい。
【0049】
この図示した例では、平面視において、回転中心軸線Xに対する畦肩面形成体42の段差部55の角度は、回転中心軸線Xに対する畦上面形成体41の段差部43の角度よりも小さい(図9参照)。なお、螺旋状の段差部43と同じ向きの傾斜状(螺旋状)の段差部55は、真っ直ぐな直線状のものには限定されず、螺旋状の段差部43と同じような曲線状のものでもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、畦肩面形成体42は、一体の単一部材からなる一体型のものであるが、これには限定されず、例えば図10及び図11に示すように、それぞれ別体の複数の畦肩面形成板(独立板)51からなる別体型のものでもよい。
【0051】
この図示した例では、回転方向に互いに隣り合う両畦肩面形成板51のうち回転方向前側に位置する一方の畦肩面形成板51の回転方向後端部と、それら両畦肩面形成板51のうち回転方向後側に位置する他方の畦肩面形成板51の回転方向前端部とが、段差部55を有するように互いに重なって連結されている。当該段差部55の高さ寸法Hは、例えば畦肩面形成板51の板厚寸法の「2mm」である。
【0052】
なお、例えば別体の連結部材を用いて互いに隣接する畦肩面形成板同士を連結した構成でもよく、また互いに隣接する畦肩面形成板の重なり部分はあってもなくてもよく、さらに畦側面形成板と同じように各畦肩面形成板を個別に交換可能な構成としてもよい。
【0053】
また、上記いずれの実施の形態においても、畦側面形成板や畦肩面形成板(畦肩面形成部)等は、ステンレス等の金属製のものが好ましいが、例えば樹脂やゴム等の弾性変形可能なものでもよい。
【0054】
さらに、畦側面形成体は、例えば別体の連結部材を用いて互いに隣接する畦側面形成板同士を連結する構成でもよく、また互いに隣接する畦側面形成板の重なり部分はあってもなくてもよく、さらに単一部材からなる一体型の構成等でもよい。
【0055】
また、畦上面形成体は、盛土を締め固めるとともに盛土の一部を畦肩面形成体側に向けて供給するための螺旋状の段差部を有するものが好ましいが、例えば螺旋状でない段差部(例えば軸方向に沿った直線状の段差部等)を有するものや、段差部を有さずに外周面が円筒面状に形成されたもの等でもよい。
【0056】
なお、本発明のいくつかの実施形態及びその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 畦塗り機
3 盛土手段
4 畦形成手段
6 畦側面形成体
7 畦上面ローラ
33 畦側面形成体の段差部
41 畦上面形成体
42 畦肩面形成体
43 畦上面形成体の段差部
51 畦肩面形成部である畦肩面形成板
55 畦肩面形成体の段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11