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特開2024-6012制御装置、工作機械、制御方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006012
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】制御装置、工作機械、制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240110BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20240110BHJP
   B01D 21/26 20060101ALI20240110BHJP
   B01D 21/30 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B01D21/00 C
B01D21/26
B01D21/30 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106543
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】横山 明伸
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011BB32
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減することができる制御装置、工作機械、制御方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本開示に係る制御装置6は、洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、前記洗浄液が通過するフィルタと、前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプ(サイクロンポンプ22)と、前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクとを備える工作機械の制御装置6において、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定する判定部(制御部61)と、該判定部が前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、前記判定部が前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにする稼働制御部(制御部61)とを備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、
前記洗浄液が通過するフィルタと、
前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、
前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクと
を備える工作機械の制御装置において、
複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定する判定部と、
該判定部が前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、前記判定部が前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにする稼働制御部と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記工作機械は、
前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第三タンクと、
前記第二タンクから前記洗浄対象に前記洗浄液を送出する第二のポンプと
を更に備え、
前記洗浄対象の洗浄を開始する場合に前記第二のポンプをオンにし、前記洗浄対象の洗浄を終了する場合に前記第二のポンプをオフにする洗浄制御部と、
前記第三タンクが所定量の前記洗浄液を貯留しているか否かを推定する貯留推定部と
を更に備え、
前記複数の稼働条件は、
前記第二のポンプがオンであること、及び
前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していないと推定すること
を含み、
前記複数の非稼働条件は、
前記第二のポンプがオフであること、及び
前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定すること
を含むことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記工作機械は、
前記フィルタを通過した前記洗浄液の流入先を前記第二タンク及び前記第三タンクの何れか一方に切り替える為の切替え部
を更に備え、
前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していないと推定した場合に前記切替え部を前記第三タンクの側に切り替え、前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定した場合に前記切替え部を前記第二タンクの側に切り替える切替え制御部と、
前記第二のポンプがオンになり、且つ前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していないと推定してから、前記第二のポンプがオフになるか、又は前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定するまでの時間を計時する計時部と
を更に備え、
前記計時部による計時が行なわれた場合、前記複数の非稼働条件は、
前記第二のポンプがオフであり、且つ前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定した時点以降に、前記計時部が計時した時間に等しい時間が経過すること
を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記工作機械は、
前記フィルタを通過した前記洗浄液を前記第二タンクに流入させる為の第一流路と、
該第一流路の中途から分岐し、前記第三タンクに接続してあり、前記フィルタを通過し
た前記洗浄液を前記第三タンクに流入させる為の第二流路と、
該第二流路に設けてあり、前記第三タンクから前記フィルタへの前記洗浄液の逆流を阻止する逆止弁と、
前記第三タンクに接続してあり、前記第二流路から前記第三タンクへの前記洗浄液の流入時に前記第三タンクから流出する空気が通る流出路と
を更に備え、
前記切替え部は、
前記第一流路の前記第二流路との分岐点よりも下流側に位置する部分に設けてある一の弁と、
前記流出路に設けてある他の弁と
を有し、
前記切替え制御部は、
前記切替え部を前記第三タンクの側に切り替える為に前記一の弁を閉じて前記他の弁を開き、
前記切替え部を前記第二タンクの側に切り替える為に前記一の弁を開いて前記他の弁を閉じることを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記工作機械は、
前記フィルタが前記洗浄液から捕集除去した異物を前記フィルタから排出するための排出路と、
該排出路の中途に設けてあり、前記異物を収容する収容部と、
前記排出路の前記収容部よりも下流側に位置する部分に設けてあり、前記収容部が収容した前記異物を前記収容部から排出する場合に開く排出弁と
を更に備え、
前記フィルタはサイクロンフィルタであり、
前記第一流路は前記フィルタの上部に接続してあり、
前記排出路は前記フィルタの下部に接続してあり、
前記複数の稼働条件は、
前記排出弁が開であること
を更に含み、
前記複数の非稼働条件は、
前記排出弁が閉であること
を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第二タンクが所定量の前記洗浄液を貯留しているか否かを推定する残量推定部
を更に備え、
前記複数の稼働条件は、
前記残量推定部が貯留していないと推定すること
を更に含み、
前記複数の非稼働条件は、
前記残量推定部が貯留していると推定すること
を更に含むことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、
前記洗浄液が通過するフィルタと、
前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、
前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクと
を備える工作機械において、
複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定する判定部と、
該判定部が前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプを
オンにし、前記判定部が前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにする稼働制御部と
を備えることを特徴とする工作機械。
【請求項8】
洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、
前記洗浄液が通過するフィルタと、
前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、
前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクと
を備える工作機械を制御する方法において、
複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定し、
前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、
前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにすることを特徴とする制御方法。
【請求項9】
洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、
前記洗浄液が通過するフィルタと、
前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、
前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクと
を備える工作機械の制御装置にて実行可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記制御装置に、
複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定し、
前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、
前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにする処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、工作機械、制御方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、工具を用いてワークを加工する機械本体と、ワークの加工によって生じた切粉を工具又はワーク等の洗浄対象から洗い流す洗浄装置とを備えることがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の洗浄装置は、第一タンク、第二タンク、第一フィルタ(フィルタ)、第一ポンプ(ポンプ)、及び第二ポンプ(第二のポンプ)を備える。第一タンクは洗浄液を貯留する。ポンプは第一タンクから第一フィルタに洗浄液を送出する。洗浄液は第一フィルタを通過し、第一フィルタは洗浄液に含まれている異物を捕集除去する。第二タンクは第一フィルタを通過した洗浄液を貯留する。第二ポンプは第二タンクから洗浄対象に洗浄液を送出する。この結果、洗浄対象に付着した切粉を洗い流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-176308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の工作機械においては、工作機械の使用者が機械本体の電源を入れてから切るまでの間、第一ポンプが常に稼働している。故に消費電力が大きい。
【0006】
本開示の目的は、消費電力を低減することができる制御装置、工作機械、制御方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る制御装置は、洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、前記洗浄液が通過するフィルタと、前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクとを備える工作機械の制御装置において、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定する判定部と、該判定部が前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、前記判定部が前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにする稼働制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本開示にあっては、工作機械が第一タンク、フィルタ、ポンプ、及び第二タンクを備える。
工作機械の制御装置は判定部及び稼働制御部を備える。
【0009】
第一タンクは洗浄液を貯留する。ポンプは第一タンクからフィルタに洗浄液を送出する。洗浄液はフィルタを通過し、フィルタは洗浄液に含まれている異物を捕集除去する。第二タンクはフィルタを通過した洗浄液を貯留する。
判定部は、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定する。
稼働制御部は、判定部の判定結果に応じて、第一タンクからフィルタに洗浄液を送出するポンプをオン/オフする。
この結果、ポンプは複数の稼働条件の何れか一つが成立する場合にオンになり、複数の非稼働条件の全てが成立する場合にオフになる。即ち、ポンプが常に稼働することがないので、消費電力を低減することができる。
【0010】
本開示に係る制御装置は、前記工作機械は、前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第三タンクと、前記第二タンクから前記洗浄対象に前記洗浄液を送出する第二のポンプとを更に備え、前記洗浄対象の洗浄を開始する場合に前記第二のポンプをオンにし、前記洗浄対象の洗浄を終了する場合に前記第二のポンプをオフにする洗浄制御部と、前記第三タンクが所定量の前記洗浄液を貯留しているか否かを推定する貯留推定部とを更に備え、前記複数の稼働条件は、前記第二のポンプがオンであること、及び前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していないと推定することを含み、前記複数の非稼働条件は、前記第二のポンプがオフであること、及び前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定することを含むことを特徴とする。
【0011】
本開示にあっては、工作機械が第三タンク及び第二のポンプを更に備える。
工作機械の制御装置は洗浄制御部及び貯留推定部を更に備える。
第三タンクはフィルタを通過した洗浄液を貯留する。
洗浄制御部は洗浄対象の洗浄を開始する場合に第二のポンプをオンする。第二のポンプは第二タンクから洗浄対象に洗浄液を送出する。この結果、洗浄対象を洗浄することができる。洗浄制御部は洗浄対象の洗浄を終了する場合に第二のポンプをオフする。即ち第二のポンプが常に稼働しているわけではないので、消費電力を低減することができる。
【0012】
貯留推定部は第三タンクが所定量の洗浄液を貯留しているか否かを推定する。故に、第三タンクが所定量の洗浄液を貯留しているか否かを検出する検出部が不要なので、部品点数を削減することができる。
【0013】
第二のポンプがオンになった場合、第二タンクにおける洗浄液の貯留量が減少するので第二タンクへの洗浄液の供給が必要である。第二のポンプがオフになれば第二タンクの洗浄液は減少しなくなる。第二のポンプがオンになった場合は少なくとも第二のポンプがオフになるまでポンプがオンになるので、第二タンクに洗浄液を供給することができる。
第三タンクが所定量の洗浄液を貯留していない場合、少なくとも第三タンクに所定量の洗浄液を貯留するまでポンプがオンになる。故に、第三タンクに洗浄液を供給することができる。
以上の結果、第二タンク及び第三タンク夫々における洗浄液の不足を防止することができる。
【0014】
本開示に係る制御装置は、前記工作機械は、前記フィルタを通過した前記洗浄液の流入先を前記第二タンク及び前記第三タンクの何れか一方に切り替える為の切替え部を更に備え、前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していないと推定した場合に前記切替え部を前記第三タンクの側に切り替え、前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定した場合に前記切替え部を前記第二タンクの側に切り替える切替え制御部と、前記第二のポンプがオンになり、且つ前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していないと推定してから、前記第二のポンプがオフになるか、又は前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定するまでの時間を計時する計時部とを更に備え、前記計時部による計時が行なわれた場合、前記複数の非稼働条件は、前記第二のポンプがオフであり、且つ前記貯留推定部が前記所定量の前記洗浄液を貯留していると推定した時点以降に、前記計時部が計時した時間に等しい時間が経過することを更に含むことを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、工作機械が切替え部を更に備える。
工作機械の制御装置は切替え制御部及び計時部を更に備える。
【0016】
切替え制御部は、第三タンクが所定量の洗浄液を貯留していない場合に切替え部を第三タンクの側に切り替える。このときフィルタを通過した洗浄液が第三タンクに流入するので、第三タンクに洗浄液を供給することができる。
一方、切替え制御部は、第三タンクが所定量の洗浄液を貯留している場合に切替え部を第二タンクの側に切り替える。このときフィルタを通過した洗浄液は第二タンクに流入するので、第三タンクに洗浄液を過剰に供給することを防止することができる。
【0017】
第三タンクが所定量の洗浄液を貯留していない場合は第二のポンプがオンであっても第三タンクへの洗浄液の供給を優先することができるので、第三タンクにおける洗浄液の不足を防止することができる。故に、本開示に係る制御装置は、第三タンクが第二タンクよりも容量が小さい場合に特に好適である。
【0018】
計時部は、第二のポンプがオンになり、且つ貯留推定部が所定量の洗浄液を貯留していないと推定してから、第二のポンプがオフになるか、又は貯留推定部が所定量の洗浄液を貯留していると推定するまでの時間を計時する。換言すれば、計時部は、第二タンク及び第三タンクの両方が洗浄液の供給を必要としているのに第三タンクにのみ洗浄液を供給していた時間を計時する。
第二タンクが洗浄液の供給を必要としているのに第三タンクへの供給を優先した場合、第三タンクへの供給の終了後、第二のポンプがオンでないとき、少なくとも計時部が計時した時間が経過するまでポンプがオンになる。故に、後回しにした第二タンクへの補給を行なうことができるので、第二タンクにおける洗浄液の不足を防止することができる。
【0019】
本開示に係る制御装置は、前記工作機械は、前記フィルタを通過した前記洗浄液を前記第二タンクに流入させる為の第一流路と、該第一流路の中途から分岐し、前記第三タンクに接続してあり、前記フィルタを通過した前記洗浄液を前記第三タンクに流入させる為の第二流路と、該第二流路に設けてあり、前記第三タンクから前記フィルタへの前記洗浄液の逆流を阻止する逆止弁と、前記第三タンクに接続してあり、前記第二流路から前記第三タンクへの前記洗浄液の流入時に前記第三タンクから流出する空気が通る流出路とを更に備え、前記切替え部は、前記第一流路の前記第二流路との分岐点よりも下流側に位置する部分に設けてある一の弁と、前記流出路に設けてある他の弁とを有し、前記切替え制御部は、前記切替え部を前記第三タンクの側に切り替える為に前記一の弁を閉じて前記他の弁を開き、前記切替え部を前記第二タンクの側に切り替える為に前記一の弁を開いて前記他の弁を閉じることを特徴とする。
【0020】
本開示にあっては、工作機械が、第一流路、第二流路、逆止弁、及び流出路を更に備える。切替え部は一の弁及び他の弁を有する。
切替え制御部は、第三タンクが所定量の洗浄液を貯留していない場合に一の弁を閉じて他の弁を開く。この結果、フィルタを通過した洗浄液は第二タンクには流入せず、第一流路の一部及び第二流路を通って第三タンクに流入する。第三タンクへの洗浄液の流入に伴い、第三タンクの内側の気圧が高まる。この結果、第三タンクの内側の空気は流出路を通り、第三タンクの外側に流出する。
【0021】
一方、切替え制御部は、第三タンクに所定量の洗浄液を貯留した場合に一の弁を開いて他の弁を閉じる。この結果、フィルタを通過した洗浄液は第一流路を通って第二タンクに流入する。他の弁を閉じれば第三タンクからの空気の流出を阻止することができるので、洗浄液が第二タンクに流入することはない。第二流路に設けてある逆止弁は、第三タンクから第二流路を通ってフィルタに洗浄液が逆流することを阻止する。
【0022】
本開示に係る制御装置は、前記工作機械は、前記フィルタが前記洗浄液から捕集除去した異物を前記フィルタから排出するための排出路と、該排出路の中途に設けてあり、前記異物を収容する収容部と、前記排出路の前記収容部よりも下流側に位置する部分に設けてあり、前記収容部が収容した前記異物を前記収容部から排出する場合に開く排出弁とを更に備え、前記フィルタはサイクロンフィルタであり、前記第一流路は前記フィルタの上部に接続してあり、前記排出路は前記フィルタの下部に接続してあり、前記複数の稼働条件は、前記排出弁が開であることを更に含み、前記複数の非稼働条件は、前記排出弁が閉であることを更に含むことを特徴とする。
【0023】
本開示にあっては、工作機械が排出路、収容部、及び排出弁を更に備える。
フィルタはサイクロンフィルタであり、異物を含まない洗浄液はフィルタから第一流路に流出し、異物を含む洗浄液はフィルタの下部から排出路に流出する。排出路の中途に設けてある収容部は、異物を含む洗浄液を収容する。
排出弁は排出路の収容部よりも下流側に位置する部分に設けてある。排出弁が開になった場合、少なくとも排出弁が閉になるまでポンプがオンになるので、ポンプが第一タンクからフィルタに送出した洗浄液の少なくとも一部を用いて、収容部が収容した異物を収容部から排出することができる。
【0024】
本開示に係る制御装置は、前記第二タンクが所定量の前記洗浄液を貯留しているか否かを推定する残量推定部を更に備え、前記複数の稼働条件は、前記残量推定部が貯留していないと推定することを更に含み、前記複数の非稼働条件は、前記残量推定部が貯留していると推定することを更に含むことを特徴とする。
【0025】
本開示にあっては、工作機械の制御装置が残量推定部を更に備える。
残量推定部は第二タンクが所定量の洗浄液を貯留しているか否かを推定する。故に、第二タンクが所定量の洗浄液を貯留しているか否かを検出する検出部が不要なので、部品点数を削減することができる。
【0026】
第二タンクが所定量の洗浄液を貯留していない場合、少なくとも第二タンクに所定量の洗浄液を貯留するまでポンプがオンになるので、第二のポンプによる第二タンクからの洗浄液の送出前に、第二タンクに洗浄液を供給することができる。故に、第二タンクにおける洗浄液の不足を防止することができる。
【0027】
本開示に係る工作機械は、洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、前記洗浄液が通過するフィルタと、前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクとを備える工作機械において、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定する判定部と、該判定部が前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、前記判定部が前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにする稼働制御部とを備えることを特徴とする。
【0028】
本開示にあっては、工作機械が前述の第一タンク、フィルタ、ポンプ、第二タンク、判定部、及び稼働制御部を備えるので、消費電力を低減することができる。
【0029】
本開示に係る制御方法は、洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、前記洗浄液が通過するフィルタと、前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクとを備える工作機械を制御する方法において、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定し、前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフ
にすることを特徴とする。
【0030】
本開示にあっては、本開示に係る工作機械を制御して、消費電力を低減することができる。
【0031】
本開示に係るコンピュータプログラムは、洗浄対象を洗浄する為の洗浄液を貯留する第一タンクと、前記洗浄液が通過するフィルタと、前記第一タンクから前記フィルタに前記洗浄液を送出するポンプと、前記フィルタを通過した前記洗浄液を貯留する第二タンクとを備える工作機械の制御装置にて実行可能なコンピュータプログラムにおいて、前記制御装置に、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定し、前記複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合に前記ポンプをオンにし、前記複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合に前記ポンプをオフにする処理を実行させることを特徴とする。
【0032】
本開示にあっては、本開示に係る制御装置が備える判定部及び稼働制御部をコンピュータのハードウェア要素を用いてソフトウェア的に実現して、消費電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0033】
本開示の制御装置、工作機械、制御方法、及びコンピュータプログラムによれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施の形態に係る工作機械の後部の斜視図である。
図2】工作機械の要部構成を示すブロック図である。
図3】制御装置の要部構成を示すブロック図である。
図4】工作機械が備える各種電磁弁の開閉及び各種ポンプのオンオフのタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図5】各種電磁弁の開閉及び各種ポンプのオンオフのタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図6】工作機械で実行されるサイクロン制御処理の手順を示すフローチャートである。
図7】工作機械で実行されるサイクロン制御処理の手順を示すフローチャートである。
図8】工作機械で実行されるサイクロン制御処理の手順を示すフローチャートである。
図9】工作機械で実行されるサイクロン制御処理の手順を示すフローチャートである。
図10】工作機械で実行されるサイクロン制御処理の手順を示すフローチャートである。
図11】工作機械で実行されるサイクロン制御処理の手順を示すフローチャートである。
図12】工作機械で実行される流路開閉処理の手順を示すフローチャートである。
図13】工作機械で実行される流路開閉処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0036】
図1は実施の形態に係る工作機械の後部の斜視図である。
図中1は工作機械であり、工作機械1は基台11及び加工室12を備える。基台11は床面に載置してある。加工室12は基台11の上部に設けてある。工作機械1の機械本体10は、加工室12にてワーク71(後述の図2参照)を加工する。ワーク71の加工によって生じた切粉を洗浄対象から洗い流す為に、工作機械1は洗浄液を用いる。
【0037】
図2は工作機械1の要部構成を示すブロック図である。
工作機械1はノズル13,14を更に備える。ノズル13,14夫々は加工室12にある。図中、ノズル13,14夫々は一つであるが、複数あってもよい。ノズル13,14夫々は、例えば機械本体10が備える不図示の主軸に一体的に設けてある。
ワーク71を加工する場合の洗浄対象はワーク71であり、ノズル13からワーク71に向けて洗浄液が噴出する。このとき洗浄液はワーク71及びワーク71を加工する為に使用する工具15を冷却する冷却液としても機能する。なお、ノズル13の機能を工具15が有し、使用中の工具15からワーク71に向けて冷却液が噴出してもよい。
【0038】
工作機械1は、使用した工具15を、次に使用する工具15に交換する。工具15の交換は、機械本体10の主軸の上下方向の移動に伴う。工具15を交換する場合、ノズル14から工具15に向けて洗浄液が噴出する。
ワーク71の加工と工具15の交換とを同時に行なうことはないので、ノズル13,14の一方から洗浄液が噴出している場合に他方から洗浄液が噴出することはない。
【0039】
工作機械1は貯留槽21(第一タンク)、サイクロンポンプ22(ポンプ)、及びサイクロンフィルタ23(フィルタ)を更に備える。貯留槽21は洗浄液を貯留する。貯留槽21は床面に載置してあり、基台11の後部に取り付けてある(図1参照)。サイクロンポンプ22は、貯留槽21からサイクロンフィルタ23に洗浄液を送出する。サイクロンフィルタ23は、遠心力を利用した固液分離により洗浄液から異物を捕集除去する。サイクロンフィルタ23の中に入った洗浄液の内、ほとんど全部が異物を含まない状態でサイクロンフィルタ23の上部から出ていき、僅かな一部が異物を含んだ状態でサイクロンフィルタ23の下部から出ていく。以下では、サイクロンフィルタ23の上部から出た洗浄液を、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液という。
【0040】
工作機械1は排出路24、排出弁25、及び収容部26を更に備える。排出路24はサイクロンフィルタ23の下部から垂下しており、貯留槽21に接続してある。排出弁25及び収容部26夫々は排出路24の中途に設けてある。収容部26はサイクロンフィルタ23と排出弁25との間に位置する。排出弁25が閉である場合、収容部26はサイクロンフィルタ23の下部から出てきた洗浄液を一時的に収容する。排出弁25が開である場合、サイクロンフィルタ23の下部から出てきた洗浄液は、排出路24を全長にわたって通流し、途中の収容部26が収容している異物を洗い流し、貯留槽21に戻る。この洗浄液に含まれている異物は、排出路24の下端部に配された籠状フィルタ241が濾し取る。故に、サイクロンフィルタ23が洗浄液から除去した異物は貯留槽21に戻らない。
【0041】
工作機械1は第一流入路31(第一流路)、SC槽32(第二タンク)、及び流入路弁33(一の弁)を更に備える。第一流入路31の一端部はサイクロンフィルタ23の上部に接続してあり、第一流入路31の他端部はSC槽32に接続してある。サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液は、第一流入路31を全長にわたって通流することにより、SC槽32に流入する。SC槽32は、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液を貯留する。SC槽32は貯留槽21に隣接するようにして床面に載置してあり(図1参照)、SC槽32からオーバーフローした洗浄液は貯留槽21に戻る(図2中矢符参照)。SC槽32の容量は貯留槽21の容量よりも小さい。流入路弁33は電磁弁であり、第一流入路31の中途に設けてある。
【0042】
工作機械1は第一噴出路34、CTSポンプ35(第二のポンプ)、及び第一電磁弁36を更に備える。第一噴出路34の一端部はSC槽32に接続してあり、第一噴出路34の他端部はノズル13に接続してある。CTSポンプ35及び第一電磁弁36夫々は第一噴出路34の中途に設けてある。第一電磁弁36はCTSポンプ35とノズル13との間に位置している。第一電磁弁36が開である場合、CTSポンプ35は第一噴出路34及びノズル13を通してSC槽32から洗浄対象であるワーク71に洗浄液を送出する。CTSポンプ35の稼働によりSC槽32から流出する洗浄液の量に比べて、サイクロンポンプ22の稼働によりSC槽32に流入する洗浄液の量は少ない。故に、洗浄液がSC槽32に流入した時間と洗浄液がSC槽32から流出した時間とが等しい場合、SC槽32が貯留する洗浄液が不足することはない。
【0043】
工作機械1は第二流入路41(第二流路)、チャンバ42(第三タンク)、及び逆止弁43を更に備える。第二流入路41は第一流入路31の中途から分岐しており、チャンバ42の下部に接続してある。第二流入路41の分岐点はサイクロンフィルタ23と流入路弁33との間に位置している。サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液は、第一流入路31の一部を通流してから第二流入路41を全長にわたって通流することにより、チャンバ42に流入する。チャンバ42は、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液を貯留する。チャンバ42の容量はSC槽32の容量よりも小さい。逆止弁43は第二流入路41の中途に設けてある。洗浄液は逆止弁43を第一流入路31側からチャンバ42側に向けて通過する。
【0044】
第二流入路41の中途に濾過器411が設けてあってもよい。濾過器411は第二流入路41を通流する洗浄液から微細な異物を捕集除去する。濾過器411は、例えばサイクロンフィルタ23と逆止弁43との間に位置している。なお、濾過器411は第一流入路31の中途に設けてあってもよい。この場合、濾過器411はサイクロンフィルタ23と第二流入路41との間に位置することが望ましい。
【0045】
工作機械1は流出路44、流出路弁45(他の弁)、第二噴出路46、及び第二電磁弁47を更に備える。流出路44の一端部はチャンバ42の上部に接続してあり、流出路44の他端部は貯留槽21の上部に接続してある。流出路弁45は電磁弁であり、流出路44の中途に設けてある。第二噴出路46は第二流入路41の中途から分岐しており、ノズル14に接続してある。第二噴出路46の分岐点はチャンバ42と逆止弁43との間に位置している。第二電磁弁47は第二噴出路46の中途に設けてある。
【0046】
工作機械1が設置してある工場にはエア源72が備えてあり、エア源72は空気を圧送する。工作機械1は圧送路51及び開閉弁52を更に備える。圧送路51は、エア源72に接続する為の不図示の接続口とチャンバ42の上部とを互いに結ぶ。開閉弁52は電磁弁であり、圧送路51の中途に設けてある。開閉弁52が開である場合、エア源72が圧送した空気は圧送路51を通ってチャンバ42の上部からチャンバ42の内側に噴出する。開閉弁52が閉である場合、圧送路51を通ってチャンバ42に空気が流入することもチャンバ42から空気が流出することもない。圧送路51とチャンバ42との接続部分は、チャンバ42と流出路44との接続部分よりも上側に位置している。
【0047】
チャンバ42は、圧送路51、第二流入路41、及び流出路44夫々との接続部分を除いて密閉してある。
流入路弁33が開であり、流出路弁45、第二電磁弁47、及び開閉弁52が何れも閉である場合、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液は、第一流入路31を通ってSC槽32に流入する。同様に、流入路弁33、第二電磁弁47、及び開閉弁52が何れも開であり、流出路弁45が閉である場合、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液は、第一流入路31を通ってSC槽32に流入する。
【0048】
流出路弁45が開であり、流入路弁33、第二電磁弁47、及び開閉弁52が何れも閉である場合、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液がSC槽32に流入したりノズル14から噴出したりすることはない。この場合、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液は、第一流入路31の一部及び第二流入路41を通ってチャンバ42に流入する。チャンバ42内の空気は、チャンバ42の下部からチャンバ42に流入した洗浄液に押し出されるようにして、チャンバ42の上部から流出路44を通り、貯留槽21に流出する。チャンバ42から洗浄液がオーバーフローした場合、オーバーフローした洗浄液は流出路44を通って貯留槽21に戻る。なお、工作機械1は、チャンバ42からオーバーフローした洗浄液がSC槽32に流入する構成でもよい。
【0049】
流出路弁45が閉である場合、チャンバ42への洗浄液の流入に伴うチャンバ42からの空気(又は洗浄液)の流出が生じないので、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液がチャンバ42に流入することはない。
なお、第二流入路41をチャンバ42に接続する位置はチャンバ42の下部でなくてもよく、流出路44をチャンバ42に接続する位置はチャンバ42の上部でなくてもよい。ただし、少なくとも1回の工具15の交換時に工具15の洗浄の為に使用する量の洗浄液をチャンバ42に貯留することができるように、夫々の接続位置を決定する必要がある。
【0050】
以下では、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液がSC槽32に流入する流路(洗浄液をSC槽32に供給する為の流路)をSC流路という。また、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液がチャンバ42に流入する流路(洗浄液をチャンバ42に供給する為の流路)をチャンバ流路という。
SC流路を開く為には少なくとも流入路弁33を開いて流出路弁45を閉じる必要があり、チャンバ流路を開く為には少なくとも流入路弁33を閉じて流出路弁45を開く必要がある。即ちSC流路及びチャンバ流路は互いに排他的に開閉する。流入路弁33及び流出路弁45は、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液の流入先をSC槽32及びチャンバ42の何れか一方に切り替える為の切替え部として機能する。
【0051】
開閉弁52及び第二電磁弁47が何れも開であり、流出路弁45が閉である場合、チャンバ42が貯留している洗浄液はノズル14から噴出する。何故ならば、圧送路51を通ってチャンバ42に流入した空気に洗浄液が押し出され、チャンバ42の下部から第二流入路41の一部及び第二噴出路46を通ってノズル14に至るからである。逆止弁43は、チャンバ42の下部から流出した洗浄液がサイクロンフィルタ23に逆流することを阻止する。
【0052】
なお、貯留槽21が貯留している洗浄液が、ノズル13,14以外のノズルからワーク71及び工具15以外の洗浄対象に向けて噴出してもよい。図1に示す洗浄用ポンプ16は、加工室12に設けてある不図示のノズルを通して、貯留槽21から加工室12の内面に洗浄液を送出する。
洗浄対象に向けて噴出した洗浄液は、洗浄対象から洗い流した異物と共に回収槽17に流入する。回収槽17は貯留槽21の上側に隣接しており、回収槽17が回収した洗浄液は、回収槽17が有する不図示の複数のフィルタ夫々による濾過を経てから貯留槽21に戻る。工作機械1は、SC槽32又はチャンバ42からオーバーフローした洗浄液が回収槽17に流入する構成でもよい。
【0053】
図1に示す如く工作機械1は制御装置6を備える。制御装置6は加工室12の後方に位置し、基台11の上部から立ち上がる支柱111が制御装置6を支持している。
図3は制御装置6の要部構成を示すブロック図である。
制御装置6は制御部61、一時記憶部62、及び記憶部63を備える。制御部61はC
PU、MPU、又はロジック回路等を有する。一時記憶部62は書き換え可能であり、例えばRAMである。記憶部63は書き換え可能であり、例えばEEPROM、EPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスクである。
【0054】
記憶部63は、工作機械1の製造者が作成した工作機械1の制御用のコンピュータプログラム、及び工作機械1の使用者が作成したワーク71の加工用のコンピュータプログラム等を記憶する。記憶部63が記憶するコンピュータプログラムは、光ディスク、フラッシュメモリ、又は磁気ディスク等の記録媒体73からインストールしたものでも、サーバからネットワークを介してインストールしたものでもよい。
制御部61は、一時記憶部62を作業領域として用い、記憶部63が記憶しているコンピュータプログラムに従って、各種の演算処理及び制御処理等を実行する。
【0055】
工作機械1は操作部18を備える。操作部18は、例えば加工室12の前壁の外面に設けてあり、電源スイッチ181を含む各種のハードウェアキー又はソフトウェアキーを有する。使用者は電源スイッチ181を操作することにより、機械本体10の電源を入/切する。使用者が電源スイッチ181を操作する都度、機械本体10の電源が入った/切れたことを示す信号を制御部61が受け取る。
【0056】
制御装置6は弁駆動部64を更に備える。制御部61は排出弁25を開閉する為の制御信号を弁駆動部64に送り、弁駆動部64は制御部61から受け取った制御信号に応じて排出弁25を開閉する。同様に、制御部61は流入路弁33、第一電磁弁36、流出路弁45、第二電磁弁47、及び開閉弁52夫々を開閉する為の制御信号を弁駆動部64に送り、弁駆動部64は制御部61から受け取った制御信号に応じてこれらを個別に開閉する。
【0057】
制御装置6はポンプ駆動部65を更に備える。制御部61は洗浄用ポンプ16のオン/オフを切り替える為の制御信号をポンプ駆動部65に送り、ポンプ駆動部65は制御部61から受け取った制御信号に応じて洗浄用ポンプ16のオン/オフを切り替える。同様に、制御部61はサイクロンポンプ22及びCTSポンプ35夫々のオン/オフを切り替える為の制御信号をポンプ駆動部65に送り、ポンプ駆動部65は制御部61から受け取った制御信号に応じてこれらを個別に開閉する。以下では洗浄用ポンプ16についての説明は省略する。
【0058】
図2に示すノズル13からの洗浄液の噴出により、SC槽32における洗浄液の貯留量が減少するので、SC槽32に洗浄液を供給する必要がある。同様に、ノズル14からの洗浄液の噴出により、チャンバ42における洗浄液の貯留量が減少するので、チャンバ42に洗浄液を供給する必要がある。ただし、チャンバ42の容量はSC槽32の容量よりも小さいので、チャンバ42に優先的に洗浄液を供給しなければならない。SC槽32及びチャンバ42に洗浄液を供給する為にはサイクロンポンプ22が稼働する必要がある。また、収容部26が収容している異物を洗浄液で収容部26から洗い流す場合、サイクロンポンプ22が稼働する必要がある。とはいえ、機械本体10の電源が入ってから切れるまでサイクロンポンプ22が常に稼働した場合、消費電力が大きい。
【0059】
そこで、制御部61は、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを判定する。制御部61は、複数の稼働条件の何れか一つが成立すると判定した場合にサイクロンポンプ22がオフであればサイクロンポンプ22をオンにする。制御部61は、複数の非稼働条件の全てが成立すると判定した場合にサイクロンポンプ22がオンであればサイクロンポンプ22をオフにする。即ち、制御部61は本実施の形態における判定部及び稼働制御部として機能する。
【0060】
複数の稼働条件は、次の四つである。
・CTSポンプ35がオンであること。
・SC槽32が所定量の洗浄液を貯留していない、と制御部61が推定すること。
・チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と制御部61が推定すること。
・排出弁25が開であること。
【0061】
複数の非稼働条件は、次の五つである。
・CTSポンプ35がオフであること。
・SC槽32が所定量の洗浄液を貯留している、と制御部61が推定すること。
・チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と制御部61が推定すること。
・排出弁25が閉であること。
・CTSポンプ35がオフであり、且つチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と制御部61が推定した時点以降に、後述する優先供給時間Tが経過すること。
【0062】
制御部61は機械本体10の電源が入った時に優先供給時間TをT=0にリセットし、後述の如く優先供給時間Tを計時する。
【0063】
稼働条件としてCTSポンプ35がオンであることが挙がっている。これは、CTSポンプ35の稼働によりSC槽32における洗浄液の貯留量が減少するので、SC槽32に洗浄液を供給する必要があるからである。換言すれば、CTSポンプ35がオンであれば、SC槽32が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができるからである。一方、CTSポンプ35がオフであればSC槽32における洗浄液の貯留量は減少しないので、非稼働条件としてCTSポンプ35がオフであることが挙がっている。優先供給時間TがT=0である場合、CTSポンプ35がオフであれば、SC槽32は所定量の洗浄液を貯留している、と推定することができる。優先供給時間TがT>0である場合、CTSポンプ35がオフであっても、SC槽32は所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができる。
【0064】
制御部61は、SC槽32が所定量の洗浄液を貯留しているか否かを推定する。即ち、制御部61は本実施の形態における残量推定部として機能する。具体的には、制御部61は機械本体10の電源が入ったか否かを判定する。何故ならば、機械本体10の電源が入った段階ではSC槽32が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができるからである。記憶部63は予め所定時間Tscを記憶している。所定時間Tscは、製造者がSC槽32への流量とSC槽32の容量から求めたものであり、空のSC槽32が所定量の洗浄液を貯留するまでに要する時間である。サイクロンポンプ22がオンであること、及びとSC流路が開であることの両方が成立した時点から所定時間Tscの経過後に、SC槽32が所定量の洗浄液を貯留している、と推定することができる。
【0065】
本実施の形態では、少なくとも所定時間Tscが経過するまでは、制御部61はCTSポンプ35をオンにしない。
【0066】
制御部61は、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留しているか否かを推定する。即ち、制御部61は本実施の形態における貯留推定部として機能する。具体的には、制御部61は機械本体10の電源が入ったか否かを判定する。何故ならば、SC槽32の場合と同様に、機械本体10の電源が入った段階ではチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができるからである。また、制御部61は工具15の交換が終了したか否かを判定する。何故ならば、工具15の交換中に工具15を洗浄すべくチャンバ42から洗浄液が流出するので、工具15の交換が終了した時点で、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができるからである。
【0067】
記憶部63は予め所定時間Tc を記憶している。所定時間Tc は、製造者がチャンバ42への流量とチャンバ42の容量から求めたものであり、空のチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留するまでに要する時間である。サイクロンポンプ22がオンであること、及びチャンバ流路が開であることの両方が成立した時点から所定時間Tc の経過後に、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定することができる。
チャンバ42の容量は小さいので、所定時間Tc は数秒程度である。しかも、後述の如くチャンバ42に洗浄液を優先的に供給するので、所定時間Tc が経過する前に制御部61が第二電磁弁47及び開閉弁52夫々を開くことはない。
【0068】
稼働条件として排出弁25が開であることが挙がっている。これは、収容部26が収容している異物を洗浄液で収容部26から洗い流すからである。収容部26の洗浄後は排出弁25が閉になるので、非稼働条件として排出弁25が閉であることが挙がっている。本実施の形態では、制御部61は、排出弁25が開であること以外の稼働条件が全て成立していない場合に排出弁25を開いて収容部26を洗浄する。具体的には、制御部61は、ワーク71の加工完了後、且つSC槽32及びチャンバ42夫々への洗浄液の供給の完了後に収容部26を洗浄する。なお、制御部61は、収容部26の洗浄とSC槽32又はチャンバ42への洗浄液の供給とを同時に実行してもよい。
【0069】
制御部61は、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定した場合、SC流路を閉じてチャンバ流路を開く。即ち、制御部61は、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液の流入先をチャンバ42に切り替える。また、制御部61は、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定した場合、SC流路を開いてチャンバ流路を閉じる。即ち、制御部61は、サイクロンフィルタ23を通過した洗浄液の流入先をSC槽32に切り替える。即ち、制御部61は、本実施の形態における切替え制御部として機能する。
【0070】
優先供給時間Tとは、SC槽32への洗浄液の供給を行なうべき状況下でチャンバ42への洗浄液の供給を行なっていた時間であり、言い換えればチャンバ42への洗浄液の供給を優先してSC槽32への洗浄液の供給を後回しにしていた時間である。
【0071】
チャンバ42への洗浄液の供給中にCTSポンプ35がオンになった場合、チャンバ42への洗浄液の供給が済むまでSC流路が開にならないので、チャンバ42への洗浄液の供給を優先して、SC槽32への洗浄液の供給を後回しにすることができる。この場合、CTSポンプ35がオンになったときに制御部61は優先供給時間Tの計時を開始する。CTSポンプ35がオフになる前にチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定したとき、又はチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定する前にCTSポンプ35がオフになったとき、制御部61は優先供給時間Tの計時を終了する。
【0072】
CTSポンプ35がオンである場合にチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定したとき、制御部61はSC流路からチャンバ流路に切り替えると共に優先供給時間Tの計時を開始する。故に、SC槽32への洗浄液の供給を後回しにして、チャンバ42への洗浄液の供給を優先することができる。CTSポンプ35がオフになる前にチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定したとき、又はチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定する前にCTSポンプ35がオフになったとき、制御部61は優先供給時間Tの計時を終了する。
【0073】
以上のようにして優先供給時間Tを計時する制御部61は、本実施の形態における計時部として機能する。優先供給時間Tの計時により、優先供給時間TはT>0となる。
【0074】
T>0の場合、CTSポンプ35がオフであること、及びチャンバ42が所定量の洗浄
液を貯留している、と推定したことの両方が成立した時点から優先供給時間Tが経過するまで、制御部61はサイクロンポンプ22をオフにしない。この結果、後回しにしたSC槽32への洗浄液の供給を、後回しにしていた時間の分、行なうことができる。
【0075】
優先供給時間Tが経過した場合、制御部61はサイクロンポンプ22をオフにすると共に優先供給時間TをT=0にリセットする。なお、優先供給時間Tの計時は制御部61が例えば制御部61への入力クロックを計数することによって行なってもよく、制御部61とは異なる不図示のタイマを用いて行ってもよい。また、制御部61は、所定値をインクリメントすることによって優先供給時間Tを計時し、計時し終えた優先供給時間Tから所定値をデクリメントし、優先供給時間TがT=0になった場合に優先供給時間Tが経過したと判定してもよい。
【0076】
図4及び図5は工作機械1が備える各種電磁弁の開閉及び各種ポンプのオンオフのタイミングの一例を示すタイミングチャートである。図4に示すt1 ~t7 及び図5に示すt7 ~t14夫々は時刻であり、図の簡単化の為に時刻t1 ~t14は等間隔に並記してある。
【0077】
使用者が電源スイッチ181を操作することにより、図4に示す時刻t1 の時点で機械本体10の電源が入る。機械本体10の電源が入る前は、流入路弁33が開であり、排出弁25、第一電磁弁36、流出路弁45、第二電磁弁47、及び開閉弁52夫々が閉である。また、サイクロンポンプ22及びCTSポンプ35夫々がオフである。機械本体10の電源が入った段階ではSC槽32及びチャンバ42夫々が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができる。そこで、制御部61は、時刻t1 の時点で流入路弁33を閉じて流出路弁45を開くことにより、SC流路を閉じてチャンバ流路を開く。また、制御部61はサイクロンポンプ22をオンにする。この結果、チャンバ42に洗浄液が流入する。一方、SC槽32には洗浄液は流入しない。
【0078】
時刻t1 から所定時間Tc が経過した時刻t2 の時点で、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定することができる。そこで、制御部61は、時刻t2 の時点で流入路弁33を開いて流出路弁45を閉じることにより、SC流路を開いてチャンバ流路を閉じる。この結果、SC槽32に洗浄液が流入する。一方、チャンバ42には洗浄液は流入しない。
【0079】
時刻t2 から所定時間Tscが経過した時刻t3 の時点で、SC槽32が所定量の洗浄液を貯留している、と推定することができる。そこで、制御部61は時刻t3 の時点でサイクロンポンプ22をオフにする。
【0080】
使用者は、同一のワーク71に相異なる3回の加工を行なう加工用のコンピュータプログラム(以下、加工プログラムという)を工作機械1に与える。加工プログラムは、第一の工具15でワーク71を洗浄しながら加工する一回目の加工と、第二の工具15でワーク71を洗浄せずに加工する二回目の加工と、第三の工具15でワーク71を洗浄しながら加工する三回目の加工とを行なう為のものである。
【0081】
ここで、機械本体10の主軸には既に第一の工具15が装着してある。制御部61は加工プログラムに従い、時刻t4 の時点でワーク71の一回目の加工を開始する。一回目の加工の開始時にワーク71の洗浄を開始するので、制御部61は時刻t4 の時点でサイクロンポンプ22をオンにし、CTSポンプ35をオンにすると共に第一電磁弁36を開く。この結果、ノズル13から加工中のワーク71に向けて洗浄液が噴出する。また、洗浄液の噴射によってSC槽32から流出した分の洗浄液と同量の洗浄液がSC槽32に流入するので、SC槽32における洗浄液の貯留量を一定に保つことができる。
【0082】
制御部61は加工プログラムに従い、時刻t5 の時点でワーク71の一回目の加工を終了し、第一の工具15と第二の工具15との交換及び洗浄を開始する。一回目の加工の終了時にワーク71の洗浄を終了するので、制御部61は時刻t5 の時点でサイクロンポンプ22をオフにし、CTSポンプ35をオフにすると共に第一電磁弁36を閉じる。次いで、制御部61は第二電磁弁47及び開閉弁52夫々を開く。この結果、ノズル13からワーク71への洗浄液の噴出が停止する。また、SC槽32への洗浄液の供給が停止する。更に、ノズル14から交換中の工具15に向けて洗浄液が噴出する。
【0083】
ワーク71の洗浄の開始時にCTSポンプ35をオンにし、ワーク71の洗浄の終了時にCTSポンプ35をオフにする制御部61は、本実施の形態における洗浄制御部として機能する。
チャンバ42からの洗浄液の流出と同時的にチャンバ42に洗浄液が流入することはない。故に、工具15の洗浄後、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができる。チャンバ42の容量は小さいので、工具15の洗浄の直後にチャンバ42に洗浄液を補給すれば、次回の工具15の交換までにチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留することができる。
【0084】
例えば機械本体10の主軸が上下方向の所定位置に到達したか否かを検出することにより、工具15の交換が終了したか否かを判定することができる。工具15の交換が終了した時刻t6 の時点で、制御部61は第二電磁弁47及び開閉弁52夫々を閉じ、加工プログラムに従って、ワーク71の二回目の加工を開始する。二回目の加工ではワーク71を洗浄しないので、CTSポンプ35はオフのままであり、SC槽32に洗浄液を供給する必要はない。また、時刻t6 の時点で、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができる。そこで、制御部61は、流入路弁33を閉じて流出路弁45を開くことにより、SC流路を閉じてチャンバ流路を開く。また、制御部61はサイクロンポンプ22をオンにする。この結果、チャンバ42に洗浄液が流入する。
【0085】
時刻t6 から所定時間Tc が経過した時刻t7 の時点で、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定することができる。そこで、制御部61は流入路弁33を開いて流出路弁45を閉じることにより、SC流路を開いてチャンバ流路を閉じる。また、制御部61はサイクロンポンプ22をオフにする。以上の結果、SC槽32にもチャンバ42にも洗浄液は流入しない。
【0086】
制御部61は加工プログラムに従い、図5に示す時刻t8 の時点でワーク71の二回目の加工を終了し、第二の工具15と第三の工具15との交換及び洗浄を開始する。工具15の洗浄の為に制御部61は第二電磁弁47及び開閉弁52夫々を開く。この結果、ノズル14から交換中の工具15に向けて洗浄液が噴出する。
【0087】
工具15の交換が終了した時刻t9 の時点で、制御部61は第二電磁弁47及び開閉弁52夫々を閉じ、加工プログラムに従って、ワーク71の三回目の加工を開始する。三回目の加工の開始時にワーク71の洗浄を開始するので、制御部61はサイクロンポンプ22をオンにし、CTSポンプ35をオンにすると共に第一電磁弁36を開く。この結果、ノズル13から加工中のワーク71に向けて洗浄液が噴出する。また、時刻t9 の時点で、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定することができる。そこで、制御部61は、流入路弁33を閉じて流出路弁45を開くことにより、SC流路を閉じてチャンバ流路を開く。
【0088】
以上の結果、チャンバ42に優先的に洗浄液が流入し、SC槽32における洗浄液の貯留量は減少し続ける。故に、制御部61は時刻t9 の時点で優先供給時間Tの計時を開始する。
【0089】
時刻t9 から所定時間Tc が経過した時刻t10の時点で、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と推定することができる。そこで、制御部61は流入路弁33を開いて流出路弁45を閉じることにより、SC流路を開いてチャンバ流路を閉じる。この結果、SC槽32に洗浄液が流入するので、制御部61は時刻t10の時点で優先供給時間Tの計時を終了する。従って、この例ではT=Tc となる。
【0090】
制御部61は加工プログラムに従い、時刻t11の時点でワーク71の三回目の加工を終了する。三回目の加工の終了時にワーク71の洗浄を終了するので、制御部61はCTSポンプ35をオフにすると共に第一電磁弁36を閉じる。この結果、ノズル13からワーク71への洗浄液の噴出が停止する。
時刻t11の時点でT>0なので、時刻t11の時点から優先供給時間Tが経過する時刻t12の時点まで、制御部61はサイクロンポンプ22をオンのままにする。故に、後回しにしたSC槽32への洗浄液の供給を、後回しにしていた時間の分、行なうことができる。時刻t12の時点で、制御部61はサイクロンポンプ22をオフにする。この結果、SC槽32への洗浄液の供給が停止する。
【0091】
ワーク71の加工が完了したので、制御部61は、SC槽32及びチャンバ42夫々への洗浄液の供給の完了後に収容部26の洗浄を行なうべく、時刻t13の時点で排出弁25を開くと共にサイクロンポンプ22をオンにする。この結果、排出路24が開くので、収容部26が収容した異物を収容部26から洗い流すことができる。図5に示す時刻t13は時刻t12よりも遅い適宜の時刻であるが、時刻t12と等しくてもよい。
記憶部63は予め所定時間Td を記憶している。所定時間Td は収容部26から異物を洗い流す為に製造者が適宜に設定したものである。時刻t13から所定時間Td が経過した時刻t14の時点で、制御部61は収容部26の洗浄を終了すべく、排出弁25を閉じると共にサイクロンポンプ22をオフにする。
【0092】
図6図11は工作機械1で実行されるサイクロン制御処理の手順を示すフローチャートである。
制御部61はワーク71の加工処理と並行してサイクロン制御処理を実行する。ワーク71の加工処理において、制御部61は、ワーク71の加工及び洗浄、並びに工具15の交換及び洗浄等を実行する。ワーク71の洗浄の為、制御部61はCTSポンプ35のオン/オフ、及び第一電磁弁36の開閉を行なう。工具15の洗浄の為、制御部61は第二電磁弁47及び開閉弁52夫々の開閉を行なう。
【0093】
図6に示す如く、制御部61は機械本体10の電源が入ったか否かを判定し(S11)、まだ機械本体10の電源が入っていない場合(S11でNO)、再びS11の処理を実行する。
例えば図4に示す時刻t1 の時点で機械本体10の電源が入る。機械本体10の電源が入った場合(S11でYES)、制御部61は、優先供給時間TをT=0にリセットし(S12)、六つのフラグA~フラグF夫々をリセットする(S13)。ここで、フラグAのセット/リセットとは、例えばA=1/A=0とすることであり、フラグB~フラグF夫々のセット/リセットも同様である。なお、フラグのセット/リセットは“1”,“0”の代入でなくてもよい。
【0094】
S13の処理終了後、制御部61は経過時間aの計時を開始し(S14)、フラグAをセットする(S15)。フラグAのセットは、電源投入直後なのでSC槽32及びチャンバ42夫々が所定量の洗浄液を貯留していない、と推定したことを示す。経過時間aは、例えば図4に示す時刻t1 の時点からの経過時間を示す。
【0095】
次に、制御部61は四つのフラグA~フラグDの内の少なくとも一つがセットしてあるか否かを判定する(S16)。後述の如く、四つのフラグA~フラグDの内の少なくとも一つがセットしてある場合とは、複数の稼働条件の何れか一つが成立している場合である。
四つのフラグA~フラグDの内の少なくとも一つがセットしてある場合(S16でYES)、制御部61は、サイクロンポンプ22をオフからオンに切り替えるか、又はサイクロンポンプ22をオンのままにする(S17)。
【0096】
四つのフラグA~フラグDが全てリセットしてある場合(S16でNO)、制御部61はフラグFがリセットしてあるか否かを判定する(S18)。後述の如く、四つのフラグA~フラグDが全てリセットしてあり、且つフラグFがリセットしてある場合とは、複数の非稼働条件の全てが成立している場合である。フラグFがリセットしてある場合(S18でYES)、制御部61はサイクロンポンプ22をオンからオフに切り替えるか、又はサイクロンポンプ22をオフのままにする(S19)。
S17の処理終了後、或いはフラグFがセットしてある場合(S18でNO)、制御部61は処理を次のS21に移す。
【0097】
図7に示す如く、制御部61はフラグAがセットしてあるか否かを判定し(S21)、セットしてある場合(S21でYES)、経過時間aが所定時間{Tc +Tsc}に達したか否かを判定する(S22)。経過時間aが所定時間{Tc +Tsc}に達した場合とは、例えば図4に示す時刻t3 に達した場合である。
経過時間aが所定時間{Tc +Tsc}に達した場合(S22でYES)、制御部61は経過時間aの計時を終了し(S23)、フラグAをリセットする(S24)。フラグAのリセットは、電源投入直後の洗浄液の供給により、SC槽32及びチャンバ42夫々が所定量の洗浄液を貯留している、と制御部61が推定したことを示す。
【0098】
S24の処理終了後、又は経過時間aがまだ所定時間{Tc +Tsc}に達していない場合(S22でNO)、或いはフラグAがリセットしてある場合(S21でNO)、制御部61はフラグBがリセットしてあるか否かを判定する(S25)。
フラグBがリセットしてある場合(S25でYES)、制御部61はCTSポンプ35がオンであるか否かを判定する(S26)。CTSポンプ35は、例えば図4に示す時刻t4 又は図5に示す時刻t9 の時点でオンになる。CTSポンプ35がオンである場合(S26でYES)、制御部61はフラグBをセットする(S27)。フラグBのセットは、CTSポンプ35がオンであること、即ちSC槽32に洗浄液を供給する必要があることを示す。
【0099】
フラグBがセットしてある場合(S25でNO)、制御部61はCTSポンプ35がオフであるか否かを判定する(S28)。CTSポンプ35は、例えば図4に示す時刻t5 又は図5に示す時刻t11の時点でオフになる。CTSポンプ35がオフである場合(S28でYES)、制御部61はフラグBをリセットする(S29)。フラグBのリセットは、CTSポンプ35がオフであること、即ちSC槽32から洗浄液が減少しないことを示す。
S27又はS29の処理終了後、或いはCTSポンプ35がオンである場合(S28でNO)、制御部61は処理を後述のS31に移す。CTSポンプ35がオフである場合(S26でNO)、制御部61は処理を次のS31に移す。
【0100】
図8に示す如く、制御部61はフラグCがリセットしてあるか否かを判定する(S31)。
フラグCがリセットしてある場合(S31でYES)、制御部61は加工プログラムに従って工具15の交換を開始したか否かを判定する(S32)。例えば図4に示す時刻t
5 又は図5に示す時刻t8 の時点で制御部61は工具15の交換を開始し、これに伴って第二電磁弁47及び開閉弁52夫々を開く。工具15の交換を開始した場合(S32でYES)、制御部61は工具15の交換が終了したか否かを判定し(S33)、まだ工具15の交換が終了していない場合(S33でNO)、再びS33の処理を実行する。
例えば、時刻t6 又は図5に示す時刻t9 の時点で制御部61は工具15の交換が終了したと判定し、第二電磁弁47及び開閉弁52夫々を閉じる。
【0101】
工具15の交換が終了した場合(S33でYES)、制御部61は経過時間cの計時を開始し(S34)、フラグCをセットする(S35)。フラグCのセットは、工具15の交換に伴う工具15の洗浄を行なったのでチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と制御部61が推定したことを示す。経過時間cは、例えば図4に示す時刻t6 又は図5に示す時刻t9 の時点からの経過時間を示す。
【0102】
フラグCがセットしてある場合(S31でNO)、制御部61は経過時間cが所定時間Tc に達したか否かを判定する(S36)。経過時間cが所定時間Tc に達した場合とは、例えば図4に示す時刻t7 又は図5に示す時刻t10に達した場合である。
経過時間cが所定時間Tc に達した場合(S36でYES)、制御部61は経過時間cの計時を終了し(S37)、フラグCをリセットする(S38)。フラグCのリセットは、工具15を洗浄した後の洗浄液の供給により、チャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と制御部61が推定したことを示す。
【0103】
S35又はS38の処理終了後、或いは経過時間cがまだ所定時間Tc に達していない場合(S36でNO)、制御部61は処理を後述のS41へ移す。まだ工具15の交換を開始していない場合(S32でNO)、制御部61は処理を次のS41へ移す。
【0104】
図9に示す如く、制御部61はフラグDがリセットしてあるか否かを判定し(S41)、リセットしてある場合(S41でYES)、排出弁25が開であるか否かを判定する(S42)。制御部61は後述の流路開閉処理で排出弁25を開閉する(後述の図13参照)。例えば図5に示す時刻t13の時点で排出弁25が開になり、時刻t14の時点で排出弁25が閉になる。
排出弁25が開である場合(S42でYES)、制御部61はフラグDをセットする(S43)。フラグDのセットは、収容部26を洗浄する為に排出弁25が開であることを示す。
【0105】
フラグDがセットしてある場合(S41でNO)、制御部61は排出弁25が閉であるか否かを判定する(S44)。排出弁25が閉である場合(S44でYES)、制御部61はフラグDをリセットする(S45)。フラグDのリセットは、収容部26の洗浄が終了し、排出弁25が閉であることを示す。
S43又はS45の処理終了後、或いは排出弁25が開である場合(S44でNO)、制御部61は処理を後述のS51に移す。排出弁25が閉である場合(S42でNO)、制御部61は処理を次のS51に移す。
【0106】
図10に示す如く、制御部61はフラグEがリセットしてあるか否かを判定し(S51)、リセットしてある場合(S51でYES)、フラグB,Cが両方ともセットしてあるか否かを判定する(S52)。フラグB,Cが両方ともセットしてある場合(S52でYES)、制御部61は経過時間eの計時を開始し(S53)、フラグEをセットする(S54)。フラグEのセットは、CTSポンプ35がオンであること、及びチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留していない、と制御部61が推定したことの両方が成立したことを示す。例えば図5に示す時刻t9 の時点で制御部61はフラグB,Cをセットし、フラグEをセットする。経過時間eは時刻t9 の時点からの経過時間を示す。
【0107】
フラグEがセットしてある場合(S51でNO)、制御部61はフラグB,Cの少なくとも一方がリセットしてあるか否かを判定する(S55)。フラグB,Cの少なくとも一方がリセットしてある場合(S55でYES)、制御部61は経過時間eの値を優先供給時間Tに代入し(S56)、経過時間eの計時を終了し(S57)、フラグEをリセットする(S58)。フラグEのリセットは、CTSポンプ35がオフであること、及びチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と制御部61が推定したことの少なくとも一方が成立したことを示す。例えば図5に示す時刻t10の時点で制御部61はフラグCをリセットし、フラグEをリセットする。
【0108】
S54又はS58の処理終了後、或いはフラグB,Cが両方ともセットしてある場合(S55でNO)、制御部61は処理を後述のS61へ移す。フラグB,Cの少なくとも一方がリセットしてある場合(S52でNO)、制御部61は処理を次のS61へ移す。
【0109】
図11に示す如く、制御部61はフラグFがリセットしてあるか否かを判定し(S61)、リセットしてある場合(S61でYES)、優先供給時間TがT>0か否かを判定する(S62)。優先供給時間TがT>0である場合(S62でYES)、制御部61はフラグB,Cの両方がリセットしてあるか否かを判定する(S63)。
【0110】
フラグB,Cの両方がリセットしてある場合(S63でYES)、制御部61は経過時間fの計時を開始し(S64)、フラグFをセットする(S65)。フラグFのセットは、CTSポンプ35がオフであること、及びチャンバ42が所定量の洗浄液を貯留している、と制御部61が推定したことの両方が成立したことを示す。例えば図5に示す時刻t11の時点で制御部61はフラグFをセットする。経過時間fは時刻t11の時点からの経過時間である。
【0111】
フラグFがセットしてある場合(S61でNO)、制御部61は経過時間fが優先供給時間Tに達したか否かを判定する(S66)。経過時間fが優先供給時間Tに達した場合(S66でYES)、制御部61はフラグFをリセットする(S67)。例えば図5に示す時刻t12の時点で制御部61はフラグFをリセットし、優先供給時間TをT=0にリセットする(S68)。
【0112】
S65又はS68の処理終了後、或いは経過時間fが優先供給時間Tに達していない場合(S66でNO)、制御部61は処理を図6に示すS16へ戻す。
図11に示す如く優先供給時間TがT=0である場合(S62でNO)、又はフラグB,Cの少なくとも一方がセットしてある場合(S63でNO)、制御部61は処理を図6に示すS16へ戻す。
【0113】
S19の処理終了後、制御部61は機械本体10の電源が切れたか否かを判定し(S69)、電源が切れた場合(S69でYES)、サイクロン制御処理を終了する。まだ機械本体10の電源が入っている場合(S69でNO)、制御部61は処理を図6に示すS16へ戻す。
【0114】
図12及び図13は工作機械1で実行される流路開閉処理の手順を示すフローチャートである。制御部61は流路開閉処理をサイクロン制御処理と並行して実行する。
図12に示す如く、制御部61はS15の処理によりフラグAがセットされたか否かを判定し(S71)、まだセットされていない場合(S71でNO)、再びS71の処理を実行する。フラグAがセットされた場合(S71でYES)、制御部61は流入路弁33を閉じて流出路弁45を開くことにより、SC流路を閉じてチャンバ流路を開く(S72)。制御部61は例えば図4に示す時刻t1 の時点でS72の処理を実行する。
【0115】
次に、制御部61はS14の処理で計時を開始した経過時間aが所定時間Tc に達したか否かを判定し(S73)、まだ経過時間aが所定時間Tc に達していない場合(S73でNO)、再びS73の処理を実行する。
経過時間aが所定時間Tc に達した場合(S73でYES)、制御部61は流入路弁33を開いて流出路弁45を閉じることにより、SC流路を開いてチャンバ流路を閉じる(S74)。制御部61は例えば図4に示す時刻t2 の時点でS74の処理を実行する。
次いで、制御部61はS24の処理によりフラグAがリセットされたか否かを判定し(S75)、まだリセットされていない場合(S75でNO)、再びS75の処理を実行する。
【0116】
フラグAがリセットされた場合(S75でYES)、制御部61はS35の処理によりフラグCがセットされたか否かを判定する(S76)。フラグCがセットされた場合(S76でYES)、制御部61は流入路弁33を閉じて流出路弁45を開くことにより、SC流路を閉じてチャンバ流路を開く(S77)。制御部61は例えば図4に示す時刻t6 又は図5に示す時刻t9 の時点でS77の処理を実行する。
【0117】
次に、制御部61はS38の処理によりフラグCがリセットされたか否かを判定し(S78)、まだリセットされていない場合(S78でNO)、再びS78の処理を実行する。フラグCがリセットされた場合(S78でYES)、制御部61は流入路弁33を開いて流出路弁45を閉じることにより、SC流路を開いてチャンバ流路を閉じる(S79)。制御部61は例えば図4に示す時刻t7 又は図5に示す時刻t10の時点でS79の処理を実行する。
S79の処理終了後、又はフラグCがまだセットされていない場合(S76でNO)、制御部61は処理を次のS81へ移す。
【0118】
図13に示す如く、制御部61は四つのフラグA~フラグC及びフラグFが全てリセットしてあるか否かを判定する(S81)。四つのフラグA~フラグC及びフラグFが全てリセットしてある場合(S81でYES)、制御部61は加工プログラムに基づくワーク71の加工が完了したか否かを判定する(S82)。ワーク71の加工が完了している場合(S82でYES)、制御部61は、排出弁25を開くことにより、排出路24を開く(S83)。S83の処理終了後、制御部61はS43の処理でフラグDをセットする(図9参照)。
【0119】
次に、制御部61は経過時間dの計時を開始する(S84)。経過時間dは、例えば図5に示す時刻t13の時点からの経過時間を示す。S84の処理終了後、制御部61は経過時間dが所定時間Td に達したか否かを判定する(S85)。まだ経過時間dが所定時間Td に達していない場合(S85でNO)、制御部61は再びS85の処理を実行する。
経過時間dが所定時間Td に達した場合(S85でYES)、制御部61は排出弁25を閉じることにより、排出路24を閉じる(S86)。
【0120】
S86の処理終了後、制御部61は機械本体10の電源が切れたか否かを判定し(S87)、電源が切れた場合(S87でYES)、流路開閉処理を終了する。
まだ機械本体10の電源が入っている場合(S87でNO)、制御部61は処理をS76へ戻す(図12参照)。四つのフラグA~フラグC及びフラグFの少なくとも1つがセットしてある場合(S81でNO)、又はワーク71の加工がまだ完了していない場合(S82でNO)、制御部61は処理を図12に示すS76へ戻す。
制御部61が図6図11に示すサイクロン制御処理並びに図12及び図13に示す流路開閉処理を実行することにより、SC槽32及びチャンバ42夫々に適切なタイミングで過不足なく洗浄液を供給することができる。
【0121】
以上のような工作機械1によれば、複数の稼働条件夫々及び複数の非稼働条件夫々が成立するか否かを制御部61が判定する。制御部61は、判定結果に応じてサイクロンポンプ22をオン/オフする。この結果、サイクロンポンプ22は複数の稼働条件の何れか一つが成立する場合にオンになり、複数の非稼働条件の全てが成立する場合にオフになる。即ち、サイクロンポンプ22が常に稼働することがないので、消費電力を低減することができる。
【0122】
制御部61は工具15の洗浄を開始する場合にCTSポンプ35をオンし、工具15の洗浄を終了する場合にCTSポンプ35をオフする。即ちCTSポンプ35が常に稼働しているわけではないので、消費電力を低減することができる。
制御部61はSC槽32及びチャンバ42夫々が所定量の洗浄液を貯留しているか否かを推定する。故に、SC槽32及びチャンバ42夫々が所定量の洗浄液を貯留しているか否かを検出する検出部が不要なので、部品点数を削減することができる。
【0123】
なお、工作機械1はサイクロンフィルタ23に限定されず、例えば多孔質材料を用いた濾過装置をフィルタとして備えてもよい。
複数の稼働条件は四つでなくてもよく、上述したもの以外でもよい。複数の非稼働条件は五つでなくてもよく、上述したもの以外でもよい。
【0124】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 工作機械
15 工具(洗浄対象)
21 貯留槽(第一タンク)
22 サイクロンポンプ(ポンプ)
23 サイクロンフィルタ(フィルタ)
24 排出路
25 排出弁
26 収容部
31 第一流入路(第一流路)
32 SC槽(第二タンク)
33 流入路弁(切替え部,一の弁)
35 CTSポンプ(第二のポンプ)
41 第二流入路(第二流路)
42 チャンバ(第三タンク)
43 逆止弁
44 流出路
45 流出路弁(切替え部,他の弁)
6 制御装置
61 制御部(判定部,稼働制御部,洗浄制御部,貯留推定部,切替え制御部,計時部,残量推定部)
71 ワーク(洗浄対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13