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特開2024-60127フランジ付紙トレーの製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060127
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】フランジ付紙トレーの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/59 20170101AFI20240424BHJP
   B31B 50/62 20170101ALI20240424BHJP
【FI】
B31B50/59
B31B50/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167270
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595020012
【氏名又は名称】柳下技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】内藤 裕一
(72)【発明者】
【氏名】大盛 啓一
(72)【発明者】
【氏名】柳下 勇
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA03
3E075AA05
3E075AA07
3E075BA30
3E075BA95
3E075BB02
3E075CA01
3E075DA12
3E075DA17
3E075DA32
3E075DC55
3E075DD04
3E075DD12
3E075DD47
3E075FA05
3E075FA32
3E075GA03
3E075GA04
(57)【要約】
【課題】 熱可塑性樹脂またはヒートシール性塗工剤をコーティングした紙から、フランジ部及びフラップ部を有する紙トレーを良好に製造することができるフランジ付紙トレーの製造方法を提供する。
【解決手段】 紙トレーを形成するブランクの四隅にホットエアーを噴射する噴射工程と、雄型及び雌型を用いて、前記ブランクをプレスすることにより収容部及び前記収容部の側壁部上端を外方向に折り曲げたフランジ部を成形するとともに、前記フランジ部の縁部を下方向に折り曲げたフラップ部を成形する成形工程と、超音波装置を用いて、前記フランジ部のコーナー部分において紙を重ね合せたことにより生じる貼り合せ段差部及び皺部を超音波圧着する圧着工程と、押込み治具を用いて、前記フラップ部を前記収容部の外壁方向に加圧し補強する加圧工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙トレーを形成するブランクの四隅にホットエアーを噴射する噴射工程と、
雄型及び雌型を用いて、前記ブランクをプレスすることにより収容部及び前記収容部の側壁部上端を外方向に折り曲げたフランジ部を成形するとともに、前記フランジ部の縁部を下方向に折り曲げたフラップ部を成形する成形工程と、
超音波装置を用いて、前記フランジ部のコーナー部分において紙を重ね合せたことにより生じる貼り合せ段差部及び皺部を超音波圧着する圧着工程と、
押込み治具を用いて、前記フラップ部を前記収容部の外壁方向に加圧し補強する加圧工程と、
を含むフランジ付紙トレーの製造方法。
【請求項2】
前記雄型は、前記収容部を成形する収容部成形金型と、前記フランジ部を弾性部材により押さえるフランジ部成形金型と、前記フラップ部を成形するフラップ部成形金型とを備え、
前記成形工程は、前記フランジ部成形金型により前記フランジ部を前記雌型に押し付けた状態で、前記フラップ部成形金型により前記フラップ部を成形し、
前記フランジ部成形金型と前記フラップ部成形金型との間に隙間があり、前記フラップ部のコーナー部分を成形する領域の隙間の大きさは、前記フラップ部のコーナー部分以外を成形する領域の隙間の大きさの1.5倍から3倍以下である請求項1記載のフランジ付紙トレーの製造方法。
【請求項3】
前記雌型は、前記フランジ部のコーナー部分を成形する領域が前記フランジ部のコーナー部分以外を成形する領域より0.2mmから0.4mm以下に切削加工されたフランジ成形部を有し、
前記成形工程は、前記雄型及び前記フランジ成形部により前記フランジ部を成形する請求項1または請求項2記載のフランジ付紙トレーの製造方法。
【請求項4】
前記加圧工程は、前記フランジ部を前記雌型に押し付ける押え板により前記フランジ部を固定した状態で、前記雌型の外側面に設けられた凹部に前記押込み治具の先端を押し付けることにより前記フラップ部を加圧する請求項1または請求項2記載のフランジ付紙トレーの製造方法。
【請求項5】
紙トレーを形成するブランクの四隅にホットエアーを噴射する噴射部と、
雄型及び雌型を有し、前記雌型に載置された前記ブランクを前記雄型で上方向からプレスすることにより収容部及び前記収容部の側壁部上端を外方向に折り曲げたフランジ部を成形するとともに、前記フランジ部の縁部を下方向に折り曲げたフラップ部を成形する金型と、
前記フランジ部のコーナー部分において紙を重ね合せたことにより生じる貼り合せ段差部及び皺部を超音波圧着する超音波装置と、
前記フラップ部を前記収容部の外壁方向に加圧し補強する押込み治具と、
を備えるフランジ付紙トレーの製造装置。
【請求項6】
前記雄型は、前記収容部を成形する収容部成形金型と、前記フランジ部を弾性部材により押さえるフランジ部成形金型と、前記フラップ部を成形するフラップ部成形金型とを備え、
前記フランジ部成形金型と前記フラップ部成形金型との間に隙間があり、前記フラップ部のコーナー部分を成形する領域の隙間の大きさは、前記フラップ部のコーナー部分以外を成形する領域の隙間の大きさの1.5倍から3倍以下である請求項5記載のフランジ付紙トレーの製造装置。
【請求項7】
前記雌型は、前記フランジ部のコーナー部分を成形する領域が前記フランジ部のコーナー部分以外を成形する領域より0.2mmから0.4mm以下に切削加工されたフランジ成形部を有する請求項5または請求項6記載のフランジ付紙トレーの製造装置。
【請求項8】
前記フランジ部を前記雌型に押し付ける押え板を更に備え、
前記雌型は、前記押え板により前記フランジ部を固定した状態で前記押込み治具の先端を押し付けるための凹部を外側面に有する請求項5または請求項6記載のフランジ付紙トレーの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ及びフランジの縁部を垂下させたフラップを有する紙トレーを製造するためのフランジ付紙トレーの製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等を充填可能な紙トレー(紙容器)を製造する方法として、凸型及び凹型の金型を用いて紙を成形する方法が知られている(例えば特許文献1及び2)。特許文献1には、円形状の板紙に放射状に延びる罫線を形成し、外周部を絞り込んでプレス成形することにより円形状の紙トレーを製造する方法について記載されている。特許文献2には、金型内に紙トレーとなるブランクシートを装着し、トレーの形状に製函された後、合成樹脂フィルムを紙トレーの内面に積層接着することにより耐液体性の紙トレーを製造する方法について開示されている。特許文献2記載の紙トレーはトレーの側壁部上端にフランジを有し、このフランジにフィルム状の蓋シールが接着されることによりトレーは密封される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2796646号公報
【特許文献2】特許第4734782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載の紙トレーにおいては、外周部に多数の罫線が形成されているため、蓋シールを接着することができない。また、特許文献2記載の紙トレーのように、トレーの形状に製函された後、合成樹脂フィルムをトレーの内面に積層接着する場合、紙トレー製造工程にフィルム層接着工程が追加されることになるため、時間及びコストがかかり、効率的でない。
【0005】
また、紙トレーの側壁部上端に設けられたフランジの強度をアップさせるために、フランジの縁部を下方に折り曲げたフラップを設けた紙トレーを製造することが望まれている。このフラップを設けたフランジ付紙トレーは、フラップなしのフランジ付紙トレーと比較して、フランジに接着した蓋シールをフランジが持ち上がることなく容易に開封可能であること、電子レンジ調理後に紙トレー内の熱くなった食品から離れた部分を持って紙トレーを取り出すことにより火傷等の危険を回避できること等の利点も有している。
【0006】
しかしながら、予め合成樹脂フィルムまたはヒートシール性塗工剤をコーティングしたブランクを用いて、フラップを設けたフランジ付紙トレーを成形すると、フラップの折り曲がり部分が経時変化により、折り曲げる前の形状に徐々に戻り、フラップを下方に折り曲げた形状を維持することが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、熱可塑性樹脂またはヒートシール性塗工剤をコーティングした紙からフランジ及びフラップを有する紙トレーを良好に製造することができるフランジ付紙トレーの製造方法及び製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂またはヒートシール性塗工剤をコーティングした紙であるブランクから成形可能なフランジ付紙トレーの製造装置であって、特定の雄型及び雌型並びに押付け部材等を備えるものを用いることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、以下を提供する。
(1) 紙トレーを形成するブランクの四隅にホットエアーを噴射する噴射工程と、雄型及び雌型を用いて、前記ブランクをプレスすることにより収容部及び前記収容部の側壁部上端を外方向に折り曲げたフランジ部を成形するとともに、前記フランジ部の縁部を下方向に折り曲げたフラップ部を成形する成形工程と、超音波装置を用いて、前記フランジ部のコーナー部分において紙を重ね合せたことにより生じる貼り合せ段差部及び皺部を超音波圧着する圧着工程と、押込み治具を用いて、前記フラップ部を前記収容部の外壁方向に加圧し補強する加圧工程と、を含むフランジ付紙トレーの製造方法。
(2) 前記雄型は、前記収容部を成形する収容部成形金型と、前記フランジ部を弾性部材により押さえるフランジ部成形金型と、前記フラップ部を成形するフラップ部成形金型とを備え、前記成形工程は、前記フランジ部成形金型により前記フランジ部を前記雌型に押し付けた状態で、前記フラップ部成形金型により前記フラップ部を成形し、前記フランジ部成形金型と前記フラップ部成形金型との間に隙間があり、前記フラップ部のコーナー部分を成形する領域の隙間の大きさは、前記フラップ部のコーナー部分以外を成形する領域の隙間の大きさの1.5倍から3倍以下である(1)記載のフランジ付紙トレーの製造方法。
(3) 前記雌型は、前記フランジ部のコーナー部分を成形する領域が前記フランジ部のコーナー部分以外を成形する領域より0.2mmから0.4mm以下に切削加工されたフランジ成形部を有し、前記成形工程は、前記雄型及び前記フランジ成形部により前記フランジ部を成形する(1)または(2)記載のフランジ付紙トレーの製造方法。
(4) 前記加圧工程は、前記フランジ部を前記雌型に押し付ける押え板により前記フランジ部を固定した状態で、前記雌型の外側面に設けられた凹部に前記押込み治具の先端を押し付けることにより前記フラップ部を加圧する(1)または(2)記載のフランジ付紙トレーの製造方法。
(5) 紙トレーを形成するブランクの四隅にホットエアーを噴射する噴射部と、雄型及び雌型を有し、前記雌型に載置された前記ブランクを前記雄型で上方向からプレスすることにより収容部及び前記収容部の側壁部上端を外方向に折り曲げたフランジ部を成形するとともに、前記フランジ部の縁部を下方向に折り曲げたフラップ部を成形する金型と、前記フランジ部のコーナー部分において紙を重ね合せたことにより生じる貼り合せ段差部及び皺部を超音波圧着する超音波装置と、前記フラップ部を前記収容部の外壁方向に加圧し補強する押込み治具と、を備えるフランジ付紙トレーの製造装置。
(6) 前記雄型は、前記収容部を成形する収容部成形金型と、前記フランジ部を弾性部材により押さえるフランジ部成形金型と、前記フラップ部を成形するフラップ部成形金型とを備え、前記フランジ部成形金型と前記フラップ部成形金型との間に隙間があり、前記フラップ部のコーナー部分を成形する領域の隙間の大きさは、前記フラップ部のコーナー部分以外を成形する領域の隙間の大きさの1.5倍から3倍以下である(5)記載のフランジ付紙トレーの製造装置。
(7) 前記雌型は、前記フランジ部のコーナー部分を成形する領域が前記フランジ部のコーナー部分以外を成形する領域より0.2mmから0.4mm以下に切削加工されたフランジ成形部を有する(5)または(6)のフランジ付紙トレーの製造装置。
(8) 前記フランジ部を前記雌型に押し付ける押え板を更に備え、前記雌型は、前記押え板により前記フランジ部を固定した状態で前記押込み治具の先端を押し付けるための凹部を外側面に有する(5)または(6)記載のフランジ付紙トレーの製造装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱可塑性樹脂またはヒートシール性塗工剤をコーティングした紙から、フランジ部及びフラップ部を有する紙トレーを良好に製造することができるフランジ付紙トレーの製造方法及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係るフランジ付紙トレーの製造装置の概略構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る雌型の概略構成を示す断面図である。
図3】(A)は実施の形態に係る雌型のコーナー部分の構成を説明するための上面図、(B)はその正面図である。
図4】実施の形態に係るフィーダー部の概略構成を示す断面図である。
図5】実施の形態に係るブランクの外観を示す図である。
図6】実施の形態に係るホットエアー部の概略構成を示す図である。
図7】実施の形態に係るホットエアー部のノズルの噴き出し口の形状を示す図である
図8】実施の形態に係る成形部の概略構成を示す断面図である。
図9】(A)は実施の形態に係るフランジ部成形金型とフラップ部成形金型との間の隙間について説明するための正面断面図、(B)はその底面断面図である。
図10】実施の形態に係る雄型が成形位置まで下降した状態を示す図である。
図11】実施の形態に係る超音波圧着部の概略構成を示す図である。
図12】実施の形態に係る折込み部の概略構成を示す図である。
図13】実施の形態に係る押込み治具を雌型に押し付けた状態を示す図である。
図14】実施の形態に係る排出部の概略構成を示す図である。
図15】実施の形態に係るフランジ付紙トレー製造装置のシステム構成を示すブロック図である。
図16】実施の形態に係るフランジ付紙トレー製造装置を用いて紙トレーを製造する際の処理について説明するためのフローチャートである。
図17】他の実施の形態に係るホットエアー部のノズルの噴き出し口の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るフランジ付紙トレー(紙容器)の製造装置について説明する。図1は、フランジ付紙トレーの製造装置の概略構成を示す図であって、装置を上方から見た図である。フランジ付紙トレー製造装置2は、厚紙をむしり作業を含む打抜き加工したブランク26(図5参照)から、フランジ部及びフラップ部を有するフランジ付紙トレーを製造するための装置であって、図1に示すように、ターレット4、フィーダー部6、ホットエアー部8、成形部10、超音波圧着部12、折込み部14及び排出部16を備えている。なお、この実施の形態では、厚紙として、成形性の良いカップ原紙(坪量230g~400g/m2)に、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等)またはヒートシール性塗工剤を片面または両面にコーティングしたものを使用している。
【0013】
ターレット4は、ターレット4の中心4aを軸として時計回りに60度間欠回転可能な円板状の装置であって、ターレット4には、円周上に等間隔で6個の雌型18(図1の実線及び破線で示す)が取り付けられている。図2は、雌型18及び雌型18の周辺に配置される部材の概略構成を示す断面図であって、ターレット4の外側から見た図である。雌型18は、雄型32(図8参照)と共にブランク26をプレスすることにより紙トレーT(図10参照)を成形するための金型である。図2の図中左側に位置する雌型18の外側面には凹部41aが、図中右側に位置する雌型18の外側面には凹部41bが形成されている。また、図2の紙面前側に位置する雌型18の外側面及び紙面後側に位置する雌型18の外側面にもそれぞれ凹部41c,41d(図14参照)が形成されている。凹部41a~41dは、雌型18のコーナー部分以外の外側面に形成されている。凹部41a~41dの構成については後述する。
【0014】
図3(A)は雌型18の四隅であるコーナー部分(4つあるコーナー部分の1つ)の構成を示す上面図、(B)はその正面図である。図3(A)の斜線で示す領域(フランジ成形部)21aは、雌型18のコーナー部分の領域であって、紙トレーTのフランジ部T1(図11参照)のコーナー部分を成形するための領域である。また、図3(A)で示す領域21b(領域21a以外の領域)は、雌型18のコーナー部分以外の領域であって、紙トレーTのフランジ部T1のコーナー部分以外を成形するための領域である。コーナー部分の領域21aは、図3(B)に示すように、コーナー部分以外の領域21bより0.2mmから0.4mm以下に切削加工されている。即ち、領域21aと領域21bとの高さの差Dは、0.2mmから0.4mm以下であって、領域21aの方が低い。
【0015】
なお、他3つのコーナー部分の領域(フランジ成形部)も、領域21aと同様に、コーナー部分以外の領域より0.2mmから0.4mm以下に切削加工されている。即ち、他3つのコーナー部分の領域とコーナー部分の領域との高さの差は、0.2mmから0.4mm以下である。紙トレーTのフランジ部T1のコーナー部分は紙が重ね合わされて成形されており、他の部分より厚みが増す。したがって、上記の切削加工が施されていない場合、他の部分と比較して段差が生じるため、成形後の超音波圧着工程(後述する)において焦げが生じる。
【0016】
また、雌型18の下部(図2の紙面下部)には、噴射工程領域P2(図1参照)及び排出工程領域P6(図1参照)において使用される突き上げ治具44が設置されている。突き上げ治具44は、昇降可能であり、雌型18の金型本体と別体である底部の金型19を昇降させる。
【0017】
また、雌型18の底部の金型19に設けられている開口部には、噴射工程領域2及び成形工程領域P3(図1参照)において使用されるバキュウム46が設置されている。バキュウム46は、雌型18に対するブランク26の位置がずれないように雌型18の底部からブランク26の裏面を吸引する。
【0018】
また、フィーダー部6から供給されるブランク26の位置決めを行う位置決め部材47aが雌型18の左側(図2の紙面左側)に、位置決め部材47bが雌型18の右側(図2の紙面右側)に、位置決め部材47cが雌型18の後側(図2の紙面奥側)に設置されている。位置決め部材47a~47cは、ブランク26の水平方向における位置がずれないように、ブランク26を水平方向において固定する。この実施の形態においては、ブランク26が雌型18の前側(図2の紙面手前側)から水平方向に供給されるため、雌型18の前側に位置決め部材を備えていないが、装置の構成上可能であれば、雌型18の前側にも位置決め部材を設置してもよい。
【0019】
また、成形工程領域P3において使用される折込みガイド48aが雌型18の左側(図2の紙面左側)に、折込みガイド48bが雌型18の右側(図2の紙面右側)に設置されている。折込みガイド48aは、成形時において、ブランク26(図5参照)の隅26aの谷折り部25aが谷折りとなり、山折り部25bが山折りとなり、山折り部25bが谷折り部25aの方に折り重ねられるように、隅26aの紙を誘導(ガイド)する。同時に、折り込みガイド48aは、ブランク26の隅26bの谷折り部25cが谷折りとなり、山折り部25dが山折りとなり、山折り部25dが谷折り部25cの方に折り重ねられるように、隅26bの紙を誘導(ガイド)する。同様に、折込みガイド48bは、成形時において、ブランク26の隅26cの谷折り部25eが谷折りされ、山折り部25fが谷折り部25eの方に折り重ねられて山折りされるように、隅26cを誘導(ガイド)し、隅26dの谷折り部25gが谷折りされ、山折り部25hが谷折り部25gの方に折り重ねられて山折りされるように、隅26dを誘導(ガイド)する。
【0020】
また、加圧工程領域P5(図1参照)において使用される押込み治具40a,40b(図2参照)及び押込み治具40c,40d(図14参照)が雌型18の前後左右にそれぞれ設置されている。押込み治具40aは雌型18の左側(図2の紙面左側)に、押込み治具40bは雌型18の右側(図2の紙面右側)に、押込み治具40dは雌型18の前側(図2の紙面手前側)に、押込み治具40cは雌型18の後側(図2の紙面奥側)に設置されている。押込み治具40a~40dの構成の詳細については後述する。
【0021】
フィーダー部6は、ブランク26をターレット4上に供給するブランク供給機であって、図1に示すフランジ付紙トレー製造装置2の供給工程領域P1(図1参照)に設置されている。図4は、フィーダー部6の概略構成を示す断面図であって、フィーダー部6を側方から見た図である。フィーダー部6は、図4に示すように、ホッパー20、バキュウム22、及びガイドピン24を備えている。ホッパー20には、厚紙を打抜き加工したブランク26(図5参照)が複数枚積み重ねられて収容されている。ホッパー20の底部には、バキュウム22の吸引によりブランク26を引出し可能な開口部が設けられている。
【0022】
バキュウム22は、アーム22aに回動可能に取り付けられており、図中実線で示す待機位置から図中破線で示す吸引位置までの間を回動する。バキュウム22は、吸引位置においてホッパー20内の最下に収容されているブランク26の裏面を吸引し、待機位置まで回動することにより、ホッパー20内から1枚のブランク26をホッパー20から引き出す。
【0023】
ガイドピン24は、図中破線で示す待機位置から図中実線で示す受渡位置までの間を水平移動する。ガイドピン24は、バキュウム22によりホッパー20から引き出されたブランク26を待機位置から受渡位置まで移動することにより、ターレット4の供給工程領域P1に位置する雌型18上まで搬送する。
【0024】
ホットエアー部8は、紙トレー成形時に重なり合う紙同士をヒートシールさせるために、ブランク26の表面または両面にコーティングされている熱可塑性樹脂またはヒートシール性塗工剤を溶解するホットエアー噴射機であって、図1に示すフランジ付紙トレー製造装置2の噴射工程領域P2に設置されている。図6は、ホットエアー部8の概略構成を示す図であって、ターレット4の外側から見た図である。ホットエアー部8は、図6に示すように、ブランク26の四隅26a~26d(図5参照)にホットエアーを噴射する2つのホットエアー噴射部28a,28bを備えている。ホットエアー噴射部28aは、図中左側に配置されており、図6の紙面に直交する方向に並んで配置されている2つのノズル(一方はノズル29a,他方は図示せず)を備えている。図7は、ノズル29aの噴き出し口の形状を示す図である。ノズル29aの噴き出し口には、図7に示すように、2本のスリット形状の吹き出し孔30a,30bが設けられている。吹き出し孔30aから噴射されるホットエアーは、ブランク26の四隅のうち、図5に示す隅26aの実線で示す領域27aに到達し、領域27aにコーティングされている樹脂または塗工剤は溶解する。吹き出し孔30bから噴射されるホットエアーは、図5に示す隅26aの実線で示す領域27bに到達し、領域27bにコーティングされている樹脂または塗工剤は溶解する。同様に、ホットエアー噴射部28aの他方のノズルの噴き出し口にも、吹き出し孔30a,30bと同形状の2つの吹き出し孔が設けられており、各々の吹き出し孔から噴射されるホットエアーのそれぞれは、図5に示す隅26bの実線で示す領域27c,27dのそれぞれに到達し、領域27c,27dにコーティングされている樹脂または塗工剤は溶解する。
【0025】
ホットエアー噴射部28bは、図中右側に配置されており、図6の紙面に直交する方向に並んで配置されている2つのノズル(一方はノズル29b,他方は図示せず)を備えている。ノズル29bの噴き出し口にも吹き出し孔30a,30bと同形状の2つの吹き出し孔が設けられており、各々の吹き出し孔から噴射されるホットエアーのそれぞれは、図5に示す隅26cの実線で示す領域27e,27fのそれぞれに到達し、領域27e,27fにコーティングされている樹脂または塗工剤は溶解する。同様に、ホットエアー噴射部28bの他方のノズルの噴き出し口にも、吹き出し孔30a,30bと同形状の2つの吹き出し孔が設けられており、各々の吹き出し孔から噴射されるホットエアーのそれぞれは、図5に示す隅26dの実線で示す領域27g,27hのそれぞれに到達し、領域27g,27hにコーティングされている樹脂または塗工剤は溶解する。
【0026】
ホットエアー噴射部28a,28bは、図6の紙面上下方向に移動可能であって、ホットエアー噴射前には上方の待機位置で待機し、ホットエアー噴射時にはノズル29a,29b及び図示しない2つのノズルの噴き出し口からブランク26の領域27a~27hにホットエアーを噴射可能な位置まで下降し、ホットエアー噴射後には待機位置まで上昇する。
【0027】
成形部10は、フランジ付紙トレー成形機の雄型32を備え、図1に示すフランジ付紙トレー製造装置2の成形工程領域P3に設置されている。図8は、成形部10の概略構成を示す断面図であって、ターレット4の外側から見た図である。成形部10は、図2に示す雌型18と共にブランク26をプレスすることにより紙トレーT(図10参照)を成形する金型である雄型32を備えている。雄型32は、紙トレーTの収容部を成形する収容部成形金型32a、紙トレーTのフランジ部T1(図11参照)を成形するフランジ部成形金型32b、及び紙トレーTのフラップ部T2(図11参照)を成形するフラップ部金型32cを備えている。収容部成形金型32aは、雌型18に載置されたブランク26を図8の紙面上方向からプレスすることにより収容部を成形する。フランジ部成形金型32bは、収容部の側壁部上端を外方向に折り曲げたフランジ部T1を弾性部材であるバネ34a,34bで押さえることによりフランジ部T1を成形する。フラップ部成形金型32cは、フランジ部T1の縁部を下方向に折り曲げたフラップ部T2を成形する。
【0028】
図9(A)はフランジ部成形金型32bとフラップ部成形金型32cとの隙間について説明するための正面断面図、図9(B)はその底面断面図である。図9(A)及び(B)に示すように、フランジ部成形金型32bとプラップ部成形金型32cとの間には、ブランク26の厚さに応じた隙間G1及びG2が設けられている。隙間G1は、フラップ部T2のコーナー部分を成形する領域の隙間である。隙間G2は、フラップ部T2のコーナー部分以外を成形する領域の隙間である。フラップ部T2のコーナー部分は、紙が重なり合って成形される領域であるから、紙が重なることなく成形される領域、即ちフラップ部T2のコーナー部分以外より、紙が重なり合う分厚くなる。したがって、フラップ部成形時に、コーナー部分のフラップ部が紙切れしないように、フラップ部成形金型32cのコーナー部分における内側壁を切削加工することにより隙間G1の大きさを隙間G2の大きさの1.5倍以上とし、コーナー部分のフラップ部T2が美観よく成形されるように隙間G1の大きさを隙間G2の大きさの3倍以下とする。
【0029】
収容部成形金型32a、フランジ成形金型32b及びフラップ部成形金型32cは、図8の紙面上下方向にそれぞれ個別に移動可能であって、紙トレー成形前には上方の待機位置で待機し、紙トレー成形時にはブランク26から紙トレーTが成形される成形位置まで下降し、紙トレー成形後には待機位置まで上昇する。
【0030】
図10は、雄型32が成形位置まで下降した状態を示す断面図である。図10に示すように、収容部成形金型32aは底面が紙トレーTの底部を成形する位置まで下降し、フランジ部成形金型32bは底面が紙トレーTのフランジ部T1を成形する位置まで下降し、フラップ部成形金型32cは側面が紙トレーTのフラップ部T2を成形する位置まで下降する。バネ34a,34bの弾性力によりフランジ部成形金型32bは下方に押圧され、紙トレーTのフランジ部T1は、より強固に押され、成形される。
【0031】
超音波圧着部12は、フランジ部T1のコーナー部分において紙を重ね合わせたことにより生じる貼り合せ段差部及び皺部を超音波圧着する超音波装置であって、図1に示すフランジ付紙トレー製造装置2の圧着工程領域P4に設置されている。図11は、超音波圧着部12の概略構成を示す図であって、ターレット4の外側から見た図である。超音波圧着部12は、図11に示すように、成形された紙トレーTのフランジ部T1のコーナー部分を超音波圧着する2つの超音波機36a,36bを備えている。超音波機36aは、図中左側に配置されている。超音波機36aは、上部に振動子37a、下部に超音波ホーン38aを備えている。振動子37aは超音波を発振し、超音波ホーン38aは振動子37aによる超音波振動を紙トレーTの左側フランジ部T1(2つの左側コーナー部分を含む)に伝達する。左側コーナー部分に形成されている貼り合せ段差部(紙が重なって貼り合わされている部分)及び皺部(紙が皺となって重合されている部分)は、超音波機36aの超音波振動により潰されフラットになり圧着される。
【0032】
超音波機36bは、上部に振動子37b、下部に超音波ホーン38bを備えている。振動子37bは超音波を発振し、超音波ホーン38bは振動子37bによる超音波振動を紙トレーTの右側フランジ部(2つの右側コーナー部分を含む)T1に伝達する。右側コーナー部分に形成されている貼り合せ段差部(紙が重なって貼り合わされている部分)及び皺部(紙が皺となって重合されている部分)は、超音波機36bの超音波振動により潰されフラットになり圧着される。
【0033】
超音波機36a,36bは、図11の紙面上下方向に移動可能であって、超音波圧着前には上方の待機位置で待機し、超音波圧着時にはフランジ部T1のコーナー部分を圧着する位置まで下降し、超音波圧着後には待機位置まで上昇する。
【0034】
押込み部14は、図1に示すフランジ付紙トレー製造装置2の加圧工程領域P5に設置されている。図12は、折込み部14の概略構成を示す断面図であって、ターレット4の外側から見た図である。折込み部14は、紙トレーTのフランジ部T1を雌型18に押し付ける押え板42、4つの押し下げピン(押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピン)、並びに紙トレーTのフラップ部T2を収容部の外壁方向に加圧し補強する4つの押込み治具40a~40d(図2及び図14参照)を備えている。
【0035】
押え板42は、平板であって、紙トレーTのフランジ部T1を上から雌型18に押し付けることによりフランジ部T1を固定する。押し下げピン43aは雌型18の左側(図12の紙面左側)に、押し下げピン43bは雌型18の右側(図12の紙面右側)に、図示しない一方の押し下げピンは雌型18の前側(図12の紙面手前側)に、図示しない他方の押し下げピンは雌型18の後側(図12の紙面奥側)に設置されている。押え板42及び4つの押し下げピン(押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピン)は、例えばシリンダー等により構成される押え板昇降部74により図12の紙面上下方向に移動可能であって、フラップ部T2押込み前には上方の待機位置で待機し、フラップ部T2押込み時にはフランジ部T1を雌型18に押し付ける位置まで下降し、フラップ部T2押込み後には待機位置まで上昇する。
【0036】
押し下げピン43aは、下降すると、歯車等により構成される動作部50aに押し込まれる。押し下げピン43aが押し込まれることにより動作部50aが始動し、動作部50aが始動することにより押込み治具40aが右方向(図12の紙面右側)に移動する。同様に、押し下げピン43bが下降し、歯車等により構成される動作部50bに押し込まれると、動作部50bが始動し、押込み治具40bが左方向(図12の紙面左側)に移動する。図示しない2つの押し下げピンが下降し、一方の押し下げピンが動作部50c(図14参照)に、他方の押し下げピンが動作部50d(図14参照)に押し込まれると、動作部50c,50dが始動し、押込み治具40c,40d(図14参照)はそれぞれ雌型18の外側面に向けて移動する。なお、押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピン、並びに動作部50a~50dに代えて、例えばシリンダー等を用い、押込み治具40a~40dを電気的に移動する構成にしてもよい。
【0037】
押込み治具40aは、押え板42によりフランジ部T1を固定した状態で、紙トレーTの左側に位置するコーナー部分以外のフラップ部T2を、左側に位置する雌型18の外側面に設けられている凹部41aに押し付けることにより加圧し、フラップ部T2の形状、特にフラップ部T2の下方への折り曲がり形状を補強する。図13に示すように、押込み治具40aの先端が凹部41aに押し付けられることにより、フラップ部T2は加圧され補強される。これにより、フラップ部T2の下方への折り曲がり部分が経時変化により、折り曲げる前の形状に徐々に戻ることを抑制することができる。
【0038】
押込み治具40bは、押え板42によりフランジ部T1を固定した状態で、紙トレーTの右側に位置するコーナー部分以外のフラップ部T2を、右側に位置する雌型18の外側面に設けられている凹部41bに押し付けることにより加圧し、フラップ部T2の形状、特にフラップ部T2の下方への折り曲がり形状を補強する。同様に、雌型18の前側に位置する押込み治具40dは、押え板42によりフランジ部T1を固定した状態で、紙トレーTの前側に位置するコーナー部分以外のフラップ部T2を、前側に位置する雌型18の外側面に設けられている凹部41d(図14参照)に押し付けることにより加圧し、フラップ部T2の下方への折り曲がり形状を補強する。雌型18の後側に位置する押込み治具40cは、押え板42によりフランジ部T1を固定した状態で、紙トレーTの後側に位置するコーナー部分以外のフラップ部T2を、後側に位置する雌型18の外側面に設けられている凹部41c(図14参照)に押し付けることにより加圧し、フラップ部T2の下方への折り曲がり形状を補強する。
【0039】
排出部16は、図1に示すフランジ付紙トレー製造装置2の排出工程領域P6に設置されている。図14は、排出部16の概略構成を示す図であって、排出部16を側方から見た図である。排出部16は、フランジ付紙トレー製造装置2において製造された紙トレーTをフランジ付紙トレー製造装置2から排出する装置であって、エアー噴射ノズル45及びスロープ49を備えている。エアー噴射ノズル45は、エアーを噴射し、紙トレーTをスロープ49に搬出する。エアーを吹き付けられることにより紙トレーTは、スロープ49の入り口に移動し、スロープ49を滑り落ちることによりフランジ付紙トレー製造装置2から排出される。
【0040】
図15は、この実施の形態に係るフランジ付紙トレー製造装置2のシステム構成を示すブロック図である。フランジ付紙トレー製造装置2は、図15に示すように、フランジ付紙トレー製造装置2の各部を統括的に制御する制御部50を備えている。制御部50には、ターレット回転駆動部52、突き上げ治具昇降部54、雌型18のバキュウム46、アーム駆動部56、フィーダー部6のバキュウム22、ガイドピン駆動部58、ホットエアー昇降部60、ホットエアー噴射制御部62、収容部成形金型昇降部64、フランジ部成形金型昇降部66、フラップ部成形金型昇降部68、超音波圧着昇降部70、振動子37a,37b、押え板昇降部74、及びエアー噴射制御部76が接続されている。
【0041】
ターレット回転駆動部52は、ターレット4の中心4aを軸として旋回させることによりターレット4を回転させる。制御部50は、ターレット回転駆動部52を制御することによりターレット4を間欠回転させる。
【0042】
突き上げ治具昇降部54は、例えば昇降シリンダー等を備えて構成されており、昇降シリンダーを伸縮させることにより突き上げ治具44を昇降する。制御部50は、突き上げ治具昇降部54の駆動を制御することにより、ブランク26にホットエアーを噴射する前及び紙トレーTをターレット4上から排出する際に突き上げ治具44を上昇させ、ブランク26にホットエアーを噴射した後及び紙トレーTをターレット4上から排出した後に突き上げ治具44を下降させる。
【0043】
バキュウム46は、制御部50からの指示に従い、吸引のオンオフを行う。制御部50は、バキュウム46に対して制御信号を出力し、ホットエアー噴射前及び紙トレーTの成形時にバキュウム46による吸引を開始させ、ホットエアー噴射後及び紙トレーTの成形後にバキュウム46による吸引を停止させる。
【0044】
アーム駆動部56は、例えばサーボモーター及びクランプ等を備えて構成されており、アーム22aを回動する。制御部50は、アーム駆動部56の駆動を制御することにより、バキュウム22がブランク26を吸引する前にアーム22aを上方向に回動させ、バキュウム22がブランク26を吸引した後にアーム22aを下方向に回動させる。
【0045】
バキュウム22は、制御部50からの指示に従い、吸引のオンオフを行う。制御部50は、バキュウム22に対して制御信号を出力し、供給前にバキュウム22による吸引を開始させ、供給後にバキュウム22による吸引を停止させる。
【0046】
ガイドピン駆動部58は、例えばサーボモーター及び歯車等を備えて構成されており、ガイドピン24をターレット4の半径方向に移動する。制御部50は、ガイドピン駆動部58の駆動を制御することにより、ブランク26をターレット4上に供給するときにガイドピン24を図4の破線で示す待機位置から実線で示す受渡位置まで移動させ、ブランク26をターレット4上に供給した後にガイドピン24を受渡位置から待機位置まで移動させる。
【0047】
ホットエアー昇降部60は、例えば昇降シリンダー等を備えて構成されており、昇降シリンダーを伸縮させることによりホットエアー噴射部28a,28bを昇降する。制御部50は、ホットエアー昇降部60の駆動を制御することにより、ホットエアーを噴射するときにホットエアー噴射部28a,28bを待機位置から噴射位置まで下降させ、ホットエアー噴射を終えた後にホットエアー噴射部28a,28bを噴射位置から待機位置まで上昇させる。
【0048】
ホットエアー噴射制御部62は、ノズル29a,29b及び2つの図示しないノズルからのホットエアー噴射のオンオフを制御する。制御部50は、ホットエアー噴射制御部62を介して、ホットエアー噴射部28a,28bが噴射位置まで下降した後にノズル29a,29b及び2つの図示しないノズルからホットエアーを噴射させる。
【0049】
収容部成形金型昇降部64は、例えば昇降シリンダー等を備えて構成されており、昇降シリンダーを伸縮させることにより収容部成形金型32aを昇降する。制御部50は、収容部成形金型昇降部64の駆動を制御することにより、紙トレーTの収容部を成形するときに収容部成形金型32aを待機位置から成形位置まで下降させ、紙トレーTを成形した後に収容部成形金型32aを成形位置から待機位置まで上昇させる。
【0050】
フランジ部成形金型昇降部66は、例えば昇降シリンダー等を備えて構成されており、昇降シリンダーを伸縮させることによりフランジ部成形金型32bを昇降する。制御部50は、フランジ部成形金型昇降部66の駆動を制御することにより、紙トレーTのフランジ部T1を成形するときにフランジ部成形金型32bを待機位置から成形位置まで下降させ、紙トレーTを成形した後にフランジ部成形金型32bを成形位置から待機位置まで上昇させる。
【0051】
フラップ部成形金型昇降部68は、例えば昇降シリンダー等を備えて構成されており、昇降シリンダーを伸縮させることによりフラップ部成形金型32cを昇降する。制御部50は、フラップ部成形金型昇降部68の駆動を制御することにより、紙トレーTのフラップ部T2を成形するときにフラップ部成形金型32cを待機位置から成形位置まで下降させ、紙トレーTを成形した後にフラップ部成形金型32cを成形位置から待機位置まで上昇させる。
【0052】
超音波圧着昇降部70は、例えば昇降シリンダー等を備えて構成されており、昇降シリンダーを伸縮させることにより超音波機36a,36bを昇降する。制御部50は、超音波圧着昇降部70の駆動を制御することにより、フランジ部のコーナー部分を超音波圧着するときに超音波機36a,36bを待機位置から圧着位置まで下降させ、超音波圧着を終えた後に超音波機36a,36bを圧着位置から待機位置まで上昇させる。
【0053】
振動子37a,37bは、超音波を発振する。制御部50は、超音波機36a,36bが圧着位置まで下降した後に振動子37a,37bから超音波を発振させる。
【0054】
押え板昇降部74は、例えば昇降シリンダー等を備えて構成されており、昇降シリンダーを伸縮させることにより押え板42を昇降する。制御部50は、押え板昇降部74の駆動を制御することにより、フラップ部T2の押込みを行うときに押え板42、押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピンを待機位置から押付位置まで下降させ、押込みを終えた後に押え板42、押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピンを押付位置から待機位置まで上昇させる。
【0055】
エアー噴射制御部76は、エアー噴射ノズル45からのエアー噴射のオンオフを制御する。制御部50は、エアー噴射制御部76を介して、紙トレーTをフランジ付紙トレー製造装置2から排出させるときエアー噴射ノズル45からエアーを噴射させる。
【0056】
次に、図面を参照して、この実施の形態に係るフランジ付紙トレー製造装置2を用いて、紙トレーTを製造する方法について説明する。図16は、フランジ付紙トレー製造装置2の制御部50がターレット4を所定時間毎に所定角度回転させるために実行する処理、及び紙トレーTを製造するために実行する処理について説明するためのフローチャートである。
【0057】
まず、制御部50は、ターレット回転処理において、図示しないタイマーをセットし(ステップS10)、所定時間経過した後(ステップS11:Yes)、ターレット4を所定角度(この実施の形態では60度)回転させる(ステップS12)。具体的には、制御部50は、ターレット回転駆動部52に制御信号を出力し、ターレット4の中心4aを軸としてターレット4を60度回転させる。
【0058】
制御部50は、所定時間経過するまでの間(ステップS11:No)、紙トレー製造処理において、ホッパー20内に収容されているブランク26をターレット4の供給工程領域P1に位置する雌型18上に供給する(供給工程:ステップS1)。具体的には、制御部50は、アーム駆動部56に対して制御信号を出力し、アーム22aを待機位置から吸引位置まで回動させる。即ち、制御部50は、アーム22aの先端部に接続されているバキュウム22がホッパー20の底部に位置するように、アーム駆動部56に対して制御信号を出力し、アーム22aを回動させる。
【0059】
次に、制御部50は、バキュウム22に対して制御信号を出力し、ホッパー20の最下に位置するブランク26の裏面をバキュウム22に吸引させ、更にアーム駆動部56に対して制御信号を出力し、アーム22aを吸引位置から待機位置まで回動させる。ホッパー20の最下に位置するブランク26は、バキュウム22の吸引及びアーム22aの回動によりホッパー20から引き出される。制御部50は、バキュウム22による吸引を停止した後、ガイドピン駆動部58に対して制御信号を出力し、ガイドピン24を待機位置から受渡位置まで移動させる。バキュウム22により吸引されアーム22aの回動により引き出されたブランク26は、ガイドピン24に押し出されることによりターレット4の供給工程領域P1に位置する雌型18上までに移動する。移動したブランク26は、位置決め部材47a~47cにより水平面において雌型18に対して位置決めされる。
【0060】
次に、制御部50は、ターレット回転処理において、所定時間経過した後(ステップS11:Yes)、ターレット4を60度回転させる(ステップS12)。このとき、供給工程領域P1に位置していた雌型18は、ターレット4が60度回転することにより、噴射工程領域P2に移動する。即ち、雌型18上に供給されたブランク26は、供給工程領域P1から噴射工程領域P2に雌型18とともに移動する。制御部50は、ステップS10の処理に戻り、タイマーをセット(リセット)する(ステップS10)。
【0061】
制御部50は、紙トレー製造処理において、所定時間経過するまでの間(ステップS11:No)、紙トレーTを形成するブランク26の四隅26a~26dに位置する所定の領域27a~27h(図5参照)にホットエアーを噴射する(噴射工程:ステップS2)。具体的には、制御部50は、突き上げ治具昇降部54に対して制御信号を出力し、突き上げ治具44及び突き上げ治具44の先端に接続されている雌型18の底部である金型19をブランク26の裏面まで上昇させる。そして、制御部50は、バキュウム46に対して制御信号を出力し、ブランク26の裏面をバキュウム46に吸引させる。ブランク26は、折り込みガイド48a,48b上に載置され、位置決め部材47a~47cにより位置決めされており、金型19及びバキュウム46の吸引により位置決めされた位置に固定される。
【0062】
次に、制御部50は、ホットエアー昇降部60に対して制御信号を出力し、ホットエアー噴射部28a,28bを待機位置から噴射位置、即ちノズル29a,29b及び図示しない2つのノズルの噴き出し口からブランク26の領域27a~27hにホットエアーを噴射可能な位置まで下降させる。
【0063】
次に、制御部50は、ホットエアー噴射制御部62に対して制御信号を出力し、ホットエアー噴射部28a,28bのノズル29a,29b及び2つの図示しないノズルからホットエアーを噴射させる。ブランク26の領域27a~27hにコーティングされている樹脂または塗工剤は溶解し、次工程である成形工程において領域27a及び領域27b(領域27c及び領域27d、領域27e及び領域27f、並びに領域27g及び領域27h)の紙が重ね合わされた際に重ね合わせ領域がヒートシール(圧着)される。なお、ブランク26の表面に熱可塑性樹脂としてポリエチレンがラミネートされている場合、熱風(ホットエアー)温度は400℃前後、熱風時間は1.5秒程度、圧着時間は2.0秒程度である。制御部50は、ホットエアー昇降部60に対して制御信号を出力し、ホットエアー噴射部28a,28bを噴射位置から待機位置まで上昇させる。
【0064】
次に、制御部50は、ターレット回転処理において、所定時間経過した後(ステップS11:Yes)、ターレット4を60度回転させる(ステップS12)。このとき、噴射工程領域P2に位置していた雌型18は、ターレット4が60度回転することにより、成形工程領域P3に移動する。即ち、雌型18上でホットエアー噴射処理を施されたブランク26は、噴射工程領域P2から成形工程領域P3に雌型18とともに移動する。制御部50は、ステップS10の処理に戻り、タイマーをセット(リセット)する(ステップS10)。
【0065】
制御部50は、紙トレー製造処理において、所定時間経過するまでの間(ステップS11:No)、雄型32及び雌型18を用いて、ブランク26をプレスすることにより収容部及び収容部の側壁部上端を外方向に折り曲げたフランジ部T1を成形するとともに、フランジ部T1の縁部を下方向に折り曲げたフラップ部T2を成形する(成形工程:ステップS3)。まず、制御部50は、収容部成形金型昇降部64、フランジ部成形金型昇降部66及びフラップ部成形金型昇降部68に対して制御信号を出力し、雄型32(収容部成形金型32a、フランジ部成形金型32b及びフラップ部成形金型32c)を図8に示す待機位置から下降させる。
【0066】
収容部成形金型32aの底面が折込みガイド48a,48b上にあるブランク26に到達し、更に雄型32が下降すると、折り込みガイド48aの誘導により、ブランク26の谷折り部25a(図5参照)が谷折りされ、山折り部25b(図5参照)が山折りされ、山折り部25bが谷折り部25aの方に折り重ねられ、折り重ねられた紙は領域27a,27bの溶解された樹脂等によりヒートシールされる。同様に、折り込みガイド48aの誘導により、山折りされた山折り部25dが谷折りされた谷折り部25cの方に折り重ねられ、折り重ねられた紙は領域27c,27dの溶解された樹脂等によりヒートシールされる。同様に、折り込みガイド48bの誘導により、山折りされた山折り部25f(25h)が谷折りされた谷折り部25e(25g)の方に折り重ねられ、折り重ねられた紙は領域27e,27f(27g,27h)の溶解された樹脂等によりヒートシールされる。
【0067】
ヒートシール後も雄型32は下降を続け、収容部成形金型32aは図10に示す成形位置まで下降した後、下降を停止する。なお、収容部成形金型32aの底面が折込みガイド48a,48b上にあるブランク26に到達してから、収容部成形金型32aが図10に示す成形位置まで下降するまで、制御部50は、収容部成形金型32aの下降と共に、突き上げ治具昇降部54を駆動させて突き上げ治具44を下降させる。また、ステップS2において開始したバキュウム46による吸引は継続されており、制御部50は、紙トレーTの底面をバキュウム46に吸引させ、紙トレーTの位置ずれを防止する。バキュウム46により紙トレーTの底面を吸引した状態で、収容部成形金型32は、雌型18とともにブランク26をプレスすることにより紙トレーTの収容部を成形する。フランジ部成形金型32bは、収容部成形金型32aが下降を停止した後も下降を続け、図10に示す成形位置まで下降した後、下降を停止し、雌型18とともにブランク26をプレスすることにより紙トレーTのフランジ部T1を成形する。バネ34a,34bの弾性力によりフランジ部成形金型32bは下方に押圧され、紙トレーTのフランジ部T1はより強固に成形される。
【0068】
フラップ部成形金型32cは、フランジ部成形金型32bが下降を停止した後も下降を続け、フランジ部成形金型32bによりフランジ部T1を雌型18に押し付けた状態でフラップ部成形金型32cが下降することによりフラップ部T2を下方に折り曲げ成形しつつ、図10に示す成形位置まで下降した後、下降を停止する。図9に示すように、隙間G1の大きさは隙間G2の大きさの1.5倍から3倍以下のため、コーナー部分のフラップ部T2は紙切れすることなく、美観よく成形される。
【0069】
制御部50は、再び収容部成形金型昇降部64、フランジ部成形金型昇降部66及びフラップ部成形金型昇降部68に対して制御信号を出力し、雄型32(収容部成形金型32a、フランジ部成形金型32b及びフラップ部成形金型32c)を成形位置から待機位置まで上昇させる。また、制御部50は、バキュウム46に対して制御信号を出力し、バキュウム46の吸引を停止する。
【0070】
次に、制御部50は、ターレット回転処理において、所定時間経過した後(ステップS11:Yes)、ターレット4を60度回転させる(ステップS12)。このとき、成形工程領域P3に位置していた雌型18は、ターレット4が60度回転することにより、圧着工程領域P4に移動する。即ち、雌型18上で成形された紙トレーTは、成形工程領域P3から圧着工程領域P4に雌型18とともに移動する。制御部50は、ステップS10の処理に戻り、タイマーをセット(リセット)する(ステップS10)。
【0071】
制御部50は、紙トレー製造処理において、所定時間経過するまでの間(ステップS11:No)、超音波機36a,36bを用いて、フランジ部T1のコーナー部分において紙を重ね合せたことにより生じる貼り合せ段差部及び皺部を超音波圧着する(圧着工程:ステップS4)。具体的には、制御部50は、超音波圧着昇降部70に対して制御信号を出力し、超音波機36a,36bを待機位置から圧着位置、即ち超音波ホーン38a,38bがフランジ部T1のコーナー部分を超音波発振可能な位置まで下降させる。
【0072】
次に、制御部50は、振動子37a,37bに対して制御信号を出力し、振動子37a,37bから超音波を発振させる。振動子37a,37bから発振された超音波は、超音波ホーン38a,38bを介して紙トレーTの左側及び右側のフランジ部T1に伝達される。フランジ部T1のコーナー部分に形成されている貼り合せ段差部(紙が重なって貼り合わされている部分)及び皺部(紙が皺となって重合されている部分)は、超音波圧着される。なお、ブランク26の表面に熱可塑性樹脂としてポリエチレンがラミネートされている場合、溶着エネルギーは160J程度、発振時間は0.3秒程度、最大荷重は4500N程度である。
【0073】
制御部50は、再び振動子37a,37bに対して制御信号を出力し、超音波の発振を停止させ、超音波圧着昇降部70に対して制御信号を出力し、超音波機36a,36bを圧着位置から待機位置まで上昇させる。
【0074】
次に、制御部50は、ターレット回転処理において、所定時間経過した後(ステップS11:Yes)、ターレット4を60度回転させる(ステップS12)。このとき、圧着工程領域P4に位置していた雌型18は、ターレット4が60度回転することにより、加圧工程領域P5に移動する。即ち、雌型18上で超音波圧着された紙トレーTは、圧着工程領域P4から加圧工程領域P5に雌型18とともに移動する。制御部50は、ステップS10の処理に戻り、タイマーをセット(リセット)する(ステップS10)。
【0075】
制御部50は、紙トレー製造処理において、所定時間経過するまでの間(ステップS11:No)、押込み治具40a~40dを用いて、フラップ部T2を収容部の外壁方向に加圧し補強する(加圧工程:ステップS5)。具体的には、制御部50は、押え板昇降部74に対して制御信号を出力し、押え板42、押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピンを待機位置から押付け位置、即ち押え板42が紙トレーTのフランジ部T1を上から押し付け可能な位置まで下降させる。フランジ部T1は、押え板42により固定される。
【0076】
押え板42とともに、押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピンも下降し、動作部50a~50dのそれぞれに押し込まれ、動作部50a~50dが始動する。動作部50a~50dが始動すると、押込み治具40a~40dのそれぞれが雌型18の外側面に向かって移動する。押え板42によりフランジ部T1を固定した状態で、コーナー部分以外のフラップ部T2を、雌型18の外側面に設けられている凹部41a~41dのそれぞれに押込み治具40a~40dの先端を押し付けることにより加圧し、フラップ部T2の形状、特にフラップ部T2の下方への折り曲がり形状を補強する。
【0077】
制御部50は、再び押え板昇降部74に対して制御信号を出力し、押え板74、押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピンを押付け位置から待機位置まで上昇させる。押し下げピン43a,43b及び図示しない2つの押し下げピンは動作部50a~50dから引き抜かれ、動作部50a~50dを介して押込み治具40a~40dは凹部41a~41dを押付ける位置から待機位置に移動する。
【0078】
次に、制御部50は、ターレット回転処理において、所定時間経過した後(ステップS11:Yes)、ターレット4を60度回転させる(ステップS12)。このとき、加圧工程領域P5に位置していた雌型18は、ターレット4が60度回転することにより、排出工程領域P6に移動する。即ち、雌型18上でフラップ部T2を加圧補強された紙トレーTは、加圧工程領域P5から排出工程領域P6に雌型18とともに移動する。制御部50は、ステップS10の処理に戻り、タイマーをセット(リセット)する(ステップS10)。
【0079】
制御部50は、紙トレー製造処理において、所定時間経過するまでの間(ステップS11:No)、紙トレーTをフランジ付紙トレー製造装置2から排出する(ステップS6)。具体的には、制御部50は、突き上げ治具昇降部54に対して制御信号を出力し、突き上げ治具44及び突き上げ治具44の先端に接続されている雌型18の底部である金型19を図14に示す排出位置まで上昇させる。次に、制御部50は、エアー噴射制御部76に対して制御信号を出力し、エアー噴射ノズル45からエアーを噴射する。エアー噴射ノズル45によりエアーを吹き付けられた紙トレーTは、スロープ49の入り口に搬送され、スロープ49を滑り落ち、フランジ付紙トレー製造装置2から排出される。
【0080】
制御部50は、再びエアー噴射制御部76に対して制御信号を出力し、エアー噴射ノズル45からのエアー噴射を停止し、突き上げ治具昇降部54に対して制御信号を出力し、突き上げ治具44及び金型19を排出位置から図2に示す位置まで下降させる。
【0081】
次に、制御部50は、ターレット回転処理において、所定時間経過した後(ステップS11:Yes)、ターレット4を60度回転させる(ステップS12)。このとき、排出工程領域P6に位置していた雌型18は、ターレット4が60度回転することにより、供給工程領域P1に移動する。制御部50は、ステップS10の処理に戻り、タイマーをセット(リセット)する(ステップS10)。
【0082】
なお、制御部50が1個の紙トレーTを製造するために実行する処理について説明したが、制御部50は、ターレット4が60度回転する毎に、ブランク26を供給工程領域P1にある雌型18上に供給する。即ち、n番目(nは自然数)に供給されたブランク26が全工程を終えて排出工程領域P6から排出されている間に、(n+1)番目に供給されたブランク26は加圧工程領域P5において加圧補強されており、(n+2)番目に供給されたブランク26は圧着工程領域P4において超音波圧着されており、(n+3)番目に供給されたブランク26は成形工程領域P3において成形されており、(n+4)番目に供給されたブランク26は噴射工程領域P2においてホットエアー噴射されており、供給工程領域P1において(n+5)番目のブランク26が供給されている。このように、全6工程を同時進行させることにより25~30個/分の生産能力を得ることができる。
【0083】
この実施の形態に係るフランジ付紙トレー製造方法及び製造装置によれば、熱可塑性樹脂またはヒートシール性塗工剤をコーティングしたブランク26から、フランジ部T1及びフラップ部T2を有する紙トレーTを良好に製造することができる。特に、予め熱可塑性樹脂またはヒートシール性塗工剤をコーティングしたブランク26から紙トレーTを成形するため、紙トレー成形後に樹脂フィルムを積層接着する必要がなく、紙トレーの製造に要する時間の短縮化及び低コスト化を図ることができる。また、雌型18は、フランジ部T1のコーナー部分を成形する領域(21a)がフランジ部T1のコーナー部分以外を成形する領域(21b)より0.2mmから0.4mm以下に切削加工されたフランジ成形部を雌型18が備えているため、超音波圧着工程において焦げの発生を防止することができる。
【0084】
また、フランジ部成形金型32bとフラップ部成形金型32cとの間の隙間G1の大きさが隙間G2の大きさの1.5倍から3倍以下であるため、フラップ部T2を成形する際、フラップ部T2のコーナー部分を紙切れすることなく、美観よく成形することができる。また、超音波圧着することによりフランジ部T1のコーナー部分における貼り合わせ段差部及び皴部を潰し平滑にすることができるため、紙トレーTに食品等を充填し蓋シールした際、シール不良による食品の漏れを防止することができる。また、雌型18の外側面に凹部41a~41dを形成し、凹部41a~41dに押し付ける押込み治具40a~40dを備えているため、フラップ部T2の折り曲げ形状を補強することができ、フラップ部T2の折り曲がり部分が経時変化により、折り曲げる前の形状に徐々に戻ることなく、フラップ部T2を下方に折り曲げた形状を維持することができる。
【0085】
なお、この実施の形態に係るホットエアー噴射部28a,28bにおいて、ノズル29a,29bの噴き出し口としてスリット形状の吹き出し孔30a,30b(図7参照)を例に挙げて説明したが、例えば図17に示すような複数の小穴を並べた形状の吹き出し孔31a,31bが設けられた噴き出し口を有するノズル31を用いてもよい。
【符号の説明】
【0086】
2…フランジ付紙トレー製造装置、4…ターレット、4a…中心、6…フィーダー部、8…ホットエアー部、10…成形部、12…超音波圧着部、14…折込み部、16…排出部、18…雌型、19…金型、20…ホッパー、22…バキュウム、22a…アーム、24…ガイドピン、25a,25c,25e,25g…谷折り部、25b,25d,25f,25h…山折り部、26…ブランク、26a~26d…隅、28a,28b…ホットエアー噴射部、29a,29b…ノズル、30a,30b…吹き出し孔、32…雄型、32a…収容部成形金型、32b…フランジ部成形金型、32c…フラップ部成形金型、34a,34b…バネ、36a,36b…超音波機、37a,37b…振動子、38a,38b…超音波ホーン、40a~40d…押込み治具、41a~41d…凹部、42…押え板、43a,43b…押し下げピン、44…突き上げ治具、45…エアー噴射ノズル、46…バキュウム、47a~47c…位置決め部材、48a,48b…折込みガイド、49…スロープ、50…制御部、50a~50d…動作部、52…ターレット回転駆動部、54…突き上げ治具昇降部、56…アーム駆動部、58…ガイドピン駆動部、60…ホットエアー昇降部、62…ホットエアー噴射制御部、64…収容部成形金型昇降部、66…フランジ部成形金型昇降部、68…フラップ部成形金型昇降部、70…超音波圧着昇降部、74…押え板昇降部、76…エアー噴射制御部、T…紙トレー。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
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