(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060128
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 4/02 20060101AFI20240424BHJP
C08F 20/26 20060101ALI20240424BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20240424BHJP
C08F 2/00 20060101ALI20240424BHJP
D21H 21/26 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
C09D4/02
C08F20/26
C08F299/02
C08F2/00 C
D21H21/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167272
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水間 健太
(72)【発明者】
【氏名】葛山 淑乃
【テーマコード(参考)】
4J011
4J038
4J100
4J127
4L055
【Fターム(参考)】
4J011CA03
4J011CA08
4J011CC04
4J011CC10
4J011QA13
4J011QA22
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4J011SA01
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4J011SA16
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4J011SA51
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4J100AL62Q
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4J127AA03
4J127BB051
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4J127FA00
4J127FA08
4L055AG71
4L055BE08
4L055BE10
4L055GA41
(57)【要約】
【課題】硬化後の皮膜が硬すぎることなく、また紫外線に暴露された場合でも変色が小さい、透明加工紙用の光硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】吸収性の紙に浸透させた後、活性エネルギー線により硬化させて得られる透明加工紙用の樹脂組成物であり、アルキレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、を含み、前記(メタ)アクリレートが非芳香族であり、アルキレンオキサイド変性の平均付加数が9~20であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性の紙に浸透させた後、活性エネルギー線により硬化させて得られる透明加工紙用の樹脂組成物であり、アルキレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(A)と、光重合開始剤(B)と、を含み、前記(A)が非芳香族であり、アルキレンオキサイド変性の平均付加数が9~20であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)がエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)の固形分全量に対する配合比率が50~98重量%であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性の紙に浸透させた後、活性エネルギー線照射により硬化させて得られる透明加工紙用の光硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙に樹脂を含浸して半透明にする技術としては、光紫外線硬化型インキを用紙に含浸させて、該用紙を透明化する方法がある。例えばその用紙に含浸させる組成物として、重合性ビニールオリゴマーと光重合性ビニールモノマーとを含む紫外線重合型組成物と、酸化重合型組成物とを含む無溶剤性組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながらこの配合は速硬化型ではなく、紫外線で硬化しない酸化成分を含んでおり徐々に硬化が進むため、透明度の経時変化、印刷中での印刷物汚れ、印刷後積載された場合のブロッキングという問題があった。
【0003】
こうした問題に対応できる速硬化性の組成物として、過去に出願人は、2官能EO変性ビスフェノールAジアクリレートと、多官能アクリルモノマーと、光重合開始剤とを含む、粘度が500~3000mPa・sの透明加工紙用樹脂組成物を発明している(特許文献2)。この組成物は、紙への浸透性が良好で硬化速度も非常に速く、透明加工紙用の光硬化性樹脂組成物として大変優れた発明であった。しかしながら、硬化後に紫外線等の光に暴露され続けると、経時的に黄変する場合があり改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3282019号
【特許文献2】特許第6793485号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、不透明な封筒等に塗布して、紫外線等の活性エネルギー線で硬化し、下地の印刷物や模様が透けて見えるよう用紙の一部あるいは全面を半透明に加工する樹脂組成物において、硬化後の皮膜が硬すぎることなく、また紫外線に暴露された場合でも変色が小さい、透明加工紙用の光硬化性樹脂組成物を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、請求項1の発明は、吸収性の紙に浸透させた後、活性エネルギー線により硬化させて得られる透明加工紙用の樹脂組成物であり、アルキレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(A)と、光重合開始剤(B)と、を含み、前記(A)が非芳香族であり、アルキレンオキサイド変性の平均付加数が9~20であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物を提供する。
【0007】
また請求項2の発明は、前記(A)がエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂組成物を提供する。
【0008】
また請求項3の発明は、前記(A)の固形分全量に対する配合比率が50~98重量%であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の光硬化性樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、硬化後の皮膜が硬すぎることなく、また紫外線に暴露された場合でも変色が小さいため、不透明な封筒等に塗布して、下地の印刷物や模様が透けて見えるよう用紙の一部あるいは全面を半透明に加工する、速硬化型の透明加工紙用光硬化性樹脂組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物の構成は、アルキレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(A)と、光重合開始剤(B)である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。またポリ(メタ)アクリレートとは、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートの総称とする。
【0011】
本発明で使用されるアルキレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート(A)は、非芳香族でアクリロイルオキシ基を複数有する、硬化皮膜を構成する主要成分である。アルキレンオキサイド変性とは、骨格中にアルキレンオキサイドのブロック構造を有することを意味し、例えばエチレンオキサイド(以下EOという)変性、プロピレンオキサイド(以下POという)変性、ブチレンオキサイド(以下BOという)変性が挙げられる。またアルキレンオキサイド変性の平均付加数は9~20であり、9~15が好ましい。9未満では経時的な変色や屈曲性が低下する場合があり、20超では粘度が高くなり、紙への浸透性が低下する場合がある。
【0012】
前記(A)としては、例えばEO変性グリセリンポリ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンポリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、及びこれらのPO変性物、BO変性物等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、硬化性と硬化収縮のバランスの点で3~6官能が好ましく、3~4官能が更に好ましい。また粘度、硬化性、入手性の点でEO変性物が好ましく、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレートが特に好ましい。
【0013】
前記(A)の配合量は、全固形組成分に対し50~98重量%が好ましく、60~95重量%が更に好ましく、70~93重量%が特に好ましい。50重量%以上とすることで経時的な変色が十分に抑制された皮膜を形成でき、98重量%以下とすることで十分な硬化性と紙への含浸性を確保できる。
【0014】
本発明で使用される光重合開始剤(B)は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン及び2-ヒドロキシ-1-{4-[4‐(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0015】
前記(B)の中では、黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系(c1)や、非常に高い反応性を有するα-アミノアセトフェノン系(c2)を含むことが好ましく、(c1)と(c2)を併用することが更に好ましい。(c1)の市販品としてはOmnirad127D、184及び2959(商品名:IGM Resins社製)等が挙げられ、(c2)の市販品としてはOmnirad907及び379(商品名:IGM Resins社製)等が挙げられる。
【0016】
前記(B)の配合量としては、組成物中のラジカル重合性分100重量部に対し2~15重量部が好ましく、3~12重量部が更に好ましく、5~10重量部が特に好ましい。また(b1)と(b2)を併用する場合は、(b1):(b2)=3:2~1:3の重量比率とすることが好ましい。この範囲とすることで、経時的な変色を抑え、良好な硬化性を確保することができる。
【0017】
本発明の組成物を粘度調整する場合は、乾燥工程を必須にしない点、溶剤揮散による環境への負荷低減の観点から、有機溶剤は用いず反応性希釈剤を用いることが好ましい。反応性希釈剤を用いることで、紙への浸透性を促進させると共に、硬化性を調整することができる。また紙への塗布後に乾燥炉で乾燥する場合があるため、安全性の面から低揮発性であることが好ましい。
【0018】
反応性希釈剤としては、(A)との相溶性が良好な点と硬化性の点から多官能(メタ)アクリレート(アルキレンオキサイド変性されている場合は平均付加数が8以下)化合物が好ましい。2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレートがあり、3官能(メタ)アクリレートとして、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等がある。
【0019】
更に4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えばペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
【0020】
これらの中では硬化性と屈曲性の兼ね合いから2官能の(メタ)アクリレートが好ましく、またポリエーテル骨格、C2~C10の脂肪族或いは脂環族の(メタ)アクリレートが好ましい。例えばEO付加数が8以下のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、 ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
前記反応性希釈剤の、固形組全量に対する配合量は50重量%以下が好ましく、40重量%以下が更に好ましく、30重量%以下が特に好ましい。50重量%以下とすることで、経時的な変色を十分抑制できると共に、紫外線硬化後に「白ボケ」と称される部分的な白化現象を抑制できる。
【0022】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、性能を損なわない範囲で、必要により紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤、湿潤剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、難燃剤、重合禁止剤等の各種添加剤が含まれていても良い。
【0023】
上記紫外線吸収剤(以下UVAという)は、エネルギーが高い有害な紫外線領域に吸収帯域を持つラジカル連鎖開始阻止剤であり、黄変の抑制等、耐候性を向上させることが可能となる。例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では紫外線の長波長部を強く吸収することが可能なヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましい。
【0024】
前記UVAの配合量としては、固形分全量に対し0.05~3.0重量%が好ましく、0.1~1.0重量%が更に好ましい。この範囲とすることで、十分な紫外線吸収性を確保することが出来る。市販品としてはTinuvin477(商品名:BASFジャパン社製、ヒドロキシフェニルトリアジン系)等が挙げられる。
【0025】
上記レベリング剤は、塗膜表面の表面張力差を均一化する目的で配合する。レベリング剤を添加することで、紙へ塗布後の膜厚が均一化し、その結果として紙への浸透量を均一化する事ができるため、紫外線硬化後の透明性が安定化する。例えばアクリル系、ビニル系、シリコーン系等がある。これらの中では、表面張力低下能力が高い分子内にシロキサン結合を持つシリコーン系が好適である。市販品ではBYK-UV3570(商品名:BYK-Chemie社製、複数のアクリル官能基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン)がある。
【0026】
前記レベリング剤の配合量は、全固形組成分に対し0.05重量%~3.0重量%が好ましく、0.07重量%~1.0重量%が更に好ましい。0.05重量%以上とすることで十分なレベリング性により均一な透明性を確保でき、3.0重量%以下とすることで過剰配合とならず十分良好な外観を確保することができる。
【0027】
本発明の光硬化性樹脂組成物の粘度は、25℃で50~500mPa・sが好ましく、100~400mPa・sが更に好ましい。50mPa・s以上とすることで、基材含浸後の滲みを抑制し、浸透量を均一化して十分な外観を確保でき、3,000mPa・s以下とすることで、基材への安定した浸透性を確保でき、十分な透明性を得ることができる。
【0028】
本発明の光硬化性樹脂組成物を紙などの基材に塗布する塗布方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ロールコート、バーコート、ブレードコートなど公知の塗工方法でよく、塗布量は紙の種類に対応して任意で良いが、一般に紙が充分な透明性を有するためには、ウエット厚みで30μm~50μm程度の塗布が目安となる。
【0029】
本発明の光硬化性樹脂組成物の塗布後は、乾燥炉で温度を上昇させることで粘度を低下させ、基材への樹脂浸透を促進させることが好ましい。具体的な乾燥条件としては、設定温度80℃~100℃の温風乾燥炉にて乾燥時間60秒程度が例示される。この条件であれば、遠赤外線照射装置等の特別な設備は不要で、紙面の温度も100℃以下となるため安全性でも問題がない作業条件となり、透明感のある外観を安定して得ることができる。
【0030】
本発明の光硬化性樹脂組成物を紫外線硬化させる場合は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ等の公知の光源を使用し、積算光量として例えば50~1,000mJ/cm2を照射して硬化する。
【0031】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温は25℃相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合量は固形分換算とし重量部を示す。
【実施例0032】
実施例1
(A)としてM3150(商品名:Miwon社製、TMP(EO)15TA※)及びを、(b1)としてOmnirad184(商品名:IGM Resins社製)を、(b2)としてOmnirad907(商品名:IGM Resins社製)を、表1記載の配合にて、遮光ビンに入れ均一に溶解するまで撹拌脱泡し、実施例1の樹脂組成物を調整した。
※TMP(EO)TAとは、(EO)変性トリメチロールプロパントリアクリレートを意味し、(EO)の後の数値は(EO)の付加数を示す。上記が(PO)の場合も同様とする。
【0033】
実施例2~7
実施例1で用いた材料の他、(A)としてM3190(商品名:Miwon社製、TMP(EO)9TA)を、モノマーとしてEM-228(商品名:長興材料工業社製、ポリエチレングリコールジアクリレート、EO付加数7)及びDCP-A(商品名:共栄社化学社製、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート)を、レベリング剤としてBYK-UV3570(商品名:BYK―Chemie社製)を、UVAとしてTinuvin477(商品名:BASFジャパン社製)を用い、表1記載の配合にて、遮光ビンに入れ均一に溶解するまで撹拌脱泡し、実施例2~7の各樹脂組成物を調製した。
【0034】
比較例1~7
実施例で用いた材料の他、アクリレートモノマーとしてM300(商品名:Miwon社製、TMPTA)及びM3130(商品名:Miwon社製、TMP(EO)3TA)及びM3160(商品名:Miwon社製、TMP(EO)6TA)及びM360(商品名:Miwon社製、TMP(PO)3TA)及びM240(商品名:Miwon社製、ビスフェノールAジアクリレート、EO付加数4)及びHBPE-4(商品名:第一製薬工業社製、水添ビスフェノールAジアクリレート、EO付加数4)及びM4004(商品名:Miwon社製、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO付加数5)を用い、表2記載の配合にて、遮光ビンに入れ均一に溶解するまで撹拌脱泡し、比較例1~7の各樹脂組成物を調製した。
【0035】
【0036】
【0037】
評価方法は以下の通りとした。
【0038】
測定サンプル
コピー用紙PPC Paper High white(商品名:大塚商会社製、米坪68g/m2)に、♯20のバーコーターにより樹脂組成物を塗布し、アイグラフィックス社製の高圧水銀ランプアイグランテージECS-4011GXを用い、照度100mW/cm2、100mJ/cm2となるように紫外線照射により硬化させた。
【0039】
粘度:東機産業製のコーンプレート型粘度計RC-550を用い、コーン角3°R17.65で25±1℃、粘度が200mPa・s以下は回転数100rpm、200~800mPa・sは回転数50rpm、800mPa・s超は回転数10rpmで測定し、50~500mPa・s以下を○、それ以外を×とした。
【0040】
全光線透過率:JISK7361-1に準拠し、東洋精機製作所製のヘイズガードを用いて測定し、評価は60%以上を○とし、60%未満を×とした。
【0041】
b※値:日本電色工業社製のSpectrophotometerSD6000を用い、上記測定サンプルの硬化直後と、太陽光下に6時間静置後の条件で測定した。評価は、その差(Δb※値)が5未満の場合を◎、5~8の場合を○、8超の場合を×とした・
【0042】
屈曲性:#20のバーコーターを用いて2回重ねて塗布し、上記と同じ条件で硬化させたものを測定サンプルとし、直径20mmの筒に巻き付けた際にクラックが発生しないものを○、クラックが発生するものを×とした。
【0043】
【0044】
【0045】
実施例の光硬化性樹脂組成物は、粘度、全光線透過率、Δb※値、屈曲性のいずれの評価も良好であった。
【0046】
一方、アルキレンオキサイド変性のないTMPTAを用いた比較例1は屈曲性が劣り、アルキレンオキサイド変性付加数が3~6のTMPTAを用いた比較例2~4はΔb※値が劣っていた。またビスフェノール系でEO変性数が4の比較例5~6は粘度が高いと同時にΔb※値が劣り、4官能でEO変性数が5の比較例7もΔb※値が劣り、いずれも本願発明に適さないものであった。