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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060130
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】紙の製造方法、及び紙
(51)【国際特許分類】
   D21F 1/00 20060101AFI20240424BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
D21F1/00
D21H27/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167274
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 佑介
(72)【発明者】
【氏名】亀田 王隆
(72)【発明者】
【氏名】川崎 秀一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 宏
(72)【発明者】
【氏名】榎本 寛之
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA11
4L055AC09
4L055AG50
4L055AG72
4L055AH11
4L055AH16
4L055AH35
4L055BD10
4L055EA04
4L055EA08
4L055EA19
4L055EA32
(57)【要約】
【課題】新規な紙の製造方法と、この製造方法により得られる紙を提供すること。
【解決手段】溶存エア量が、1.5v/v%以下であるインレット原料を抄紙する紙の製造方法と、この製造方法により得られる紙。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶存エア量が、1.5v/v%以下であるインレット原料を抄紙することを特徴とする紙の製造方法。
【請求項2】
前記インレット原料が、脱気装置により脱気処理した白水を含むことを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項3】
紙力剤の添加量が、パルプに対して2.0重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項4】
消泡剤の添加量が、パルプに対して0.01重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項5】
得られる紙の坪量が100g/m以上800g/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項6】
パルプ全体に対して、古紙パルプを50重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の製造方法と、この製造方法により得られる紙に関する。
【背景技術】
【0002】
紙は、一般的に、パルプ、填料、各種助剤等の材料を、水に分散、溶解した製紙原料をインレット(ヘッドボックスともいう)から噴出し、ワイヤー上で抄き上げ、脱水、乾燥することにより製造される。このインレット中の製紙原料はインレット原料と呼ばれる。また、ワイヤー等から抜け落ちた、パルプや填料等の材料を含む排水は白く濁っていることから「白水」と呼ばれる。白水は、使用可能な材料を含み、また、廃水の量を減らすために、回収されてラインへ導かれインレット原料中に混合して再利用される。
【0003】
良質な紙を得るために、抄紙工程では種々の薬品が使用されている。これらの薬品は製紙原料を泡立ちやすくする性質があり、特にサイズ剤、紙力増強剤が発泡性増大の原因となることが多い。また古紙パルプを多用した場合、発泡性がさらに増大する場合が多い。近年、生産性効率アップのために抄造スピードが向上しており、製紙原料の温度も高くなる傾向にある。このため、製紙原料は、ますます発泡しやすくなってきている。ここで、泡を含むインレット原料を抄紙すると、品質面では泡による紙力強度低下などが生じるほか、泡によるろ水性低下や断紙による紙生産設備の停止や欠陥多発などの操業性の低下という問題点も生ずる。そのため、インレット原料には消泡剤が添加される。例えば、特許文献1には、白水中にポリシロキサンを添加することで、白水中の空気閉込めを制限する方法が開示されている。ただし、消泡剤を多用した場合、紙力・サイズ度の低下や最終紙製品の品質に影響が出る場合があるため、消泡剤使用量を制約する必要性や、またその弊害により高強度の紙力を有する紙が作れないなどの課題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平11-229291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規な紙の製造方法と、この製造方法により得られる紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
1.溶存エア量が、1.5v/v%以下であるインレット原料を抄紙することを特徴とする紙の製造方法。
2.前記インレット原料が、脱気装置により脱気処理した白水を含むことを特徴とする1.に記載の紙の製造方法。
3.紙力剤の添加量が、パルプに対して2.0重量%以下であることを特徴とする1.に記載の紙の製造方法。
4.消泡剤の添加量が、パルプに対して0.01重量%以下であることを特徴とする1.に記載の紙の製造方法。
5.得られる紙の坪量が100g/m以上800g/m以下であることを特徴とする1.に記載の紙の製造方法。
6.パルプ全体に対して、古紙パルプを50重量%以上含むことを特徴とする1.に記載の紙の製造方法。
7.1.~6.のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする紙。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法により得られる紙は、インレット原料中の溶存エア量が1.5v/v%を超える以外は同一である製造方法により得られる紙と比較して、強度に優れている。本発明の製造方法により得られる紙は、強度に優れているため紙力剤の添加量を減らすことができる。本発明の製造方法は、自由エアの量も減らすことができるため、消泡剤の添加量を減らすことができる。本発明の製造方法により得られる紙は強度に優れているため、強度の発現しにくい古紙パルプを多く配合することができる。本発明の製造方法は、特に、強度が要求されることの多い100g/m以上800g/m以下の紙の製造に好適に用いることができ、また、従来の製造方法により得られた紙と比較して、低坪量で同等の強度を達成することができる。昨今の板紙市場では、安価な低坪量品でありながら、高強度を求められるケースも多くなっており、本発明の製造方法により、そのような要求に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、溶存エア量が1.5v/v%以下であるインレット原料を抄紙する紙の製造方法に関する。
本発明の製造方法は、ワイヤーにおいて抄かれる直前の状態であるインレット原料の溶存エア量を1.5v/v%以下とすること以外は、従来公知の抄紙工程をそのまま用いることができる。インレット原料中の溶存エア量は、1.3v/v%以下が好ましく、1.0v/v%以下がより好ましく、0.7v/v%以下がさらに好ましく、0.4v/v%以下がよりさらに好ましい。なお、本明細書において、溶存エアとは、水中に溶解している気体を意味する。溶存エアは、温度や圧力等の変化により、微細気泡となる場合がある。
インレット原料中の溶存エア量を1.5v/v%以下とする方法は特に制限されないが、脱気装置により脱気処理した白水を、インレット原料中に含ませることが好ましい。白水は、ワイヤーを通過する等して空気と多く触れた後に回収されるため、再利用ではないピュアな製紙原料と比較して溶存エア量が多い。そのため、白水中の溶存エア量を減らすことにより、インレット原料中の溶存エア量を効果的に減らすことができる。
【0009】
本発明の製造方法で使用するインレット原料は、溶存エア量が1.5v/v%以下であればよく、その原料としては、パルプ、公知の填料、製紙用助剤等の製紙原料を特に制限することなく含むことができる。
パルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、サルファイトパルプ(SP)等の木材の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、リファイナグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材の機械パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプ、古紙を原料とし、脱墨工程にて古紙に含まれるインキを除去した古紙パルプなど、公知のパルプを適宜配合して用いることができる。
【0010】
本発明の製造方法により、強度に優れた紙を得ることができるため、強度が出にくい古紙パルプを多く配合することができる。例えば、パルプ全体に対して古紙パルプを50重量%以上含むことが好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、80重量%以上含むことがさらに好ましく、90重量%以上、さらには100重量%とすることもできる。古紙パルプとしては、段ボール古紙、上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を離解した古紙パルプ、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に印刷された古紙、および筆記された古紙、廃棄機密文書等の紙類、雑誌古紙、新聞古紙を離解後脱墨したパルプ(DIP)等を使用することができる。
【0011】
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は任意の材料であり、含まないこともできる。
【0012】
製紙用助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)等の各種の内添サイズ剤、ノニオン性、カチオン性、両性の各種歩留まり向上剤、濾水度向上剤、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変性物等、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル、着色染料、着色顔料、pH調整剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、紙力剤紙力剤、消泡剤等が例示可能である。これらは任意の材料であり、必要に応じて適宜選択して添加することができる。
【0013】
本発明の製造方法により、強度に優れた紙を得ることができるため、紙力剤の添加量を減らすことができる。紙力剤の添加量は、パルプ100重量%に対して、2.0重量%以下が好ましく、1.8重量%以下がより好ましく、1.6重量%以下がさらに好ましい。
また、本発明の製造方法によれば、溶存エアとともに自由エア量も減らすことができるため、消泡剤の添加量を減らすことができる。消泡剤の添加量は、パルプ100重量%に対して、0.01重量%以下が好ましく、0.008重量%以下がより好ましく、0.006重量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、自由エアとは、水中に気泡の状態で存在している気体を意味する。
【0014】
本発明の製造方法により、インレット原料中の溶存エア量が1.5v/v%を超える以外は同一である製造方法により得られる紙と比較して、強度に優れた紙を得ることができる(以下、本発明の製造方法により得られた紙を、本発明の紙ともいう)。本発明の紙が、インレット原料中の溶存エア量が1.5v/v%を超える方法で得られる紙と比較して強度に優れる詳細なメカニズムは不明であるが、溶存エアが少ないことにより、温度や圧力の変化により発生する微細気泡が少なく、繊維間の水素結合の形成が阻害されにくいためであると推測される。なお、パルプ同士の結合の強さに対する溶存エア量による影響は、パルプの種類や叩解の程度による影響と比較して僅かであり、また、乾燥後の紙に気泡は残っていないため、本発明の紙を、従来の製造方法により得られる紙とその構造や特性により区別して特定することについては、不可能、非実際的事情が存在する。
【0015】
本発明の紙の用途は特に制限されない。ただし、古紙パルプを多く含む場合は、異物混入のおそれがあるため、その用途は制限される場合がある。
本発明の紙の坪量は、特に制限されないが、例えば、100g/m以上800g/m以下とすることができる。本発明の紙は、従来の製造方法で得られる紙と比較して強度に優れており、低坪量で同等の強度を達成することができるため、本発明の紙の坪量は、600g/m以下が好ましく、400g/m以下がより好ましく、300g/m以下がさらに好ましく、200g/m以下がよりさらに好ましい。本発明の紙の用途は、特に制限されず、例えば、強度が必要とされる、段ボール、特に梱包用の段ボール用ライナ、中しん原紙、紙器用板紙、製函用の板紙、積層合紙用の板紙等として好適に用いることができる。2層以上の紙層を有する多層抄き紙の場合、全層の合計を100g/m以上800g/m以下の範囲で適宜設定することができ、例えば、段ボール用ライナとして用いる場合は、100g/m以上550g/m以下とすることができる。
【0016】
本発明の紙の製造方法は、溶存エア量が1.5v/v%以下であるインレット原料を抄紙する以外は、抄紙方法、抄紙機の型式は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等、及びこれらを組み合わせた抄き合わせの抄紙機等を用いた公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。
【0017】
抄紙した後に、必要に応じて表面処理剤を塗布して外添することができる。表面処理剤を塗布する場合、紙の要求される品質に応じて、水溶性高分子物質、表面サイズ剤などの公知の表面処理薬品を単独または適宜配合して使用することができる。
表面処理剤を塗布するサイズプレスの型式は特に限定はなく、ツーロールサイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー等の公知の装置を適宜用いて表面処理剤を外添することができる。カレンダーは、バイパスしてもよく、通常の操業範囲内で処理してもよい。
【実施例0018】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
「実施例1」
各層に使用したパルプを以下に示す。なお、パルプの機械的処理は、全層ダブルコニファイナーを使用した。リファイナー出口における濾水度(CSF)を、機械的処理直後の濾水度(CSF)として示す。
裏層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF450ml
中層:段ボール古紙パルプ100重量%
CSF420ml
表層:段ボール古紙パルプ90重量%と針葉樹未晒クラフトパルプ10重量%
CSF420ml
【0019】
全層において内添紙力剤(PAM)をパルプ100重量%に対して2.0重量%、内添サイズ剤(ロジン系)をパルプ100重量%に対して0.5重量%、消泡剤をパルプ100重量%に対して0.010重量%となるように加えた紙料を、白水循環工程に設置した脱気装置(相川鉄工株式会社製:Pulp-POMp、遠心分離式)を用いて脱気処理を施した白水で希釈し、裏層(20重量%)、中層(65重量%)、表層(15重量%)の順に、合計約160g/mとなるように多層抄き板紙抄紙機を用いて抄き合わせ、板紙を得た。得られた板紙は、全紙層が含む全パルプに対して、古紙パルプを98重量%、クラフトパルプを2重量%含んでいる。
【0020】
「実施例2」
内添紙力剤の配合量をパルプ100重量%に対して1.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして板紙を得た。
「実施例3」
消泡剤の配合量をパルプ100重量%に対して0.005重量%とした以外は、実施例2と同様にして板紙を得た。
「実施例4」
消泡剤の配合量をパルプ100重量%に対して0.003重量%とした以外は、実施例2と同様にして板紙を得た。
【0021】
「比較例1」
脱気処理を実施しない以外は、実施例1と同様にして板紙を得た。
「比較例2」
消泡剤の配合量をパルプ100重量%に対して0.023重量%とし、脱気処理を実施しない以外は、比較例1と同様にして板紙を得た。
【0022】
「測定方法」
実施例及び比較例において、中層用インレット原料と得られた板紙について、以下の方法に従い評価した。結果を表1に示す。
・エア量
POM GAS MASTER EM500R3(相川鉄工株式会社製)を用いて測定した。試料は、中層用インレット原料を用いたが、同一の白水が裏層と表層にも同一の希釈割合で循環、再利用されているため、裏層、表層のエア量も略等しいと推測される。
測定原理は以下の通りである。
サンプリングチャンバーに試料を採取する。その後、サンプリングチャンバーを-50kPa減圧する。減圧により、試料中の自由エア、溶存エアが膨張し、チャンバー内の試料体積が増加するので、その体積増加量を測定する。試料体積は、減圧直後に瞬時に増加し、その後1分程度の時間かけて、徐々に増加する。減圧直後の体積増加量が減圧開始時に気泡として存在していた自由エアに由来し、そこから1分後の体積増加量が減圧開始時に試料中に溶解していた溶存エアに由来する。体積増加量にボイルの法則を適用することにより、試料の全体積に対する、自由エア量(v/v%)と溶存エア量(v/v%)を算出することができる。なお、自由エアと溶存エアとは、時間に対する体積増加量をプロットし、その傾きが大きく変化する点、例えば、2本の近似直線の交点を求め、測定開始からこの交点までの体積増加量と、この交点から1分後までの体積増加量を用いて算出することができ、本実施例ではこのようにして算出した。
【0023】
・坪量:JIS P 8223を参考に測定した。
・厚さ:JIS P 8118及びJIS P 8223を参考に測定した。
・比破裂強さ
(破裂強さ:kPa)/(坪量:g/m)より算出した。
破裂強さは、JIS P8131:2009 板紙―破裂強さ試験方法に従い測定した。
【0024】
【表1】
【0025】
比較例1、2の結果より、消泡剤により自由エアを減らすことができるが、消泡剤は溶存エアにはあまり効果がないことが分かる。
実施例1と比較例1、2の結果より、溶存エア量を減らすことにより、得られる紙の強度が向上することが確かめられた。
実施例2~4の結果より、本発明の製造方法により、紙力剤の添加量を減らしても、脱気装置を用いない比較例1、2で得られた紙よりも強度に優れた紙が得られることが確かめられた。また、白水に脱気処理を施すことにより、インレット原料中の溶存エア量を大きく減らすことができることが確かめられた。これにより古紙パルプが不足する昨今のパルプ、古紙事情の中で、低品質の古紙でも活用できる可能性が見出された。