(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060134
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/04 20060101AFI20240424BHJP
A63H 33/42 20060101ALI20240424BHJP
【FI】
A63H3/04 Z
A63H33/42 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167284
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】浅野 真由
(72)【発明者】
【氏名】勝野 真弥
(72)【発明者】
【氏名】田中 宗二郎
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA01
2C150CA02
2C150DC03
2C150FB43
(57)【要約】
【課題】興趣性の高い玩具の射出機構を提供する。
【解決手段】第1形態1Fと、人形型の第2形態2Fと、に変形可能な玩具1であって、第2形態2Fにおいて上肢又は下肢を構成する第1パーツ10と、第2形態2Fにおいて胴体を構成する第2パーツ20と、を備え、第1パーツ10は、第2パーツ20に回動可能に支持された第1サブパーツ11と、第1サブパーツ11に回動可能に支持された第2サブパーツ12と、を含み、第1サブパーツ11と第2サブパーツ12は、それぞれ、第1形態1Fにおける前記玩具1の外殻の一部を構成している、玩具1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1形態と、人形型の第2形態と、に変形可能な玩具であって、
前記第2形態において上肢又は下肢を構成する第1パーツと、
前記第2形態において胴体を構成する第2パーツと、を備え、
前記第1パーツは、前記第2パーツに回動可能に支持された第1サブパーツと、前記第1サブパーツに回動可能に支持された第2サブパーツと、を含み、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、それぞれ、前記第1形態における前記玩具の外殻の一部を構成している、
玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツが構成する前記外殻の一部は、前記第1形態における前記第2パーツの外面と連続する面を構成している、
玩具。
【請求項3】
請求項1に記載の玩具であって、
前記第1形態は、卵型である、
玩具。
【請求項4】
請求項3に記載の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、前記第1形態において、卵型の長軸方向の両端の外殻を構成している、
玩具。
【請求項5】
請求項4に記載の玩具であって、
前記第1サブパーツの前記第2パーツ側の端部と、前記第2サブパーツの前記第1サブパーツ側と反対側の端部とを接近させた状態で、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが連続した面を形成する、
玩具。
【請求項6】
請求項5に記載の玩具であって、
前記連続した面は、平坦面を含む、
玩具。
【請求項7】
請求項1に記載の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、それぞれ、前記第1形態において外殻を構成する第1部分と、前記第1部分の内側に設けられた第2部分と、を有する、
玩具。
【請求項8】
請求項7に記載の玩具であって、
前記第1部分と前記第2部分との接続部は、前記第2部分の長手方向に沿った領域に設けられている、
玩具。
【請求項9】
請求項7に記載の玩具であって、
前記第1部分は、前記第2形態において、人形型の玩具の盾部材を構成している、
玩具。
【請求項10】
請求項7に記載の玩具であって、
前記第1サブパーツの前記第2パーツ側の端部と、前記第2サブパーツの前記第1サブパーツ側と反対側の端部とを接近させた状態で、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが連続した面を形成し、
前記第1サブパーツ、及び前記第2サブパーツの前記第2部分は、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが前記連続した面を形成した状態において、前記第1部分の内側の空間内に収まるように構成されている、
玩具。
【請求項11】
請求項7に記載の玩具であって、
前記第1部分は、前記第2部分の少なくとも一部よりも硬度の低い部材にて構成されている、
玩具。
【請求項12】
請求項1に記載の玩具であって、
前記第1パーツと前記第2パーツ、及び前記第1サブパーツと前記第2サブパーツ、における連結部は、硬度の異なる樹脂部材を含む、
玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具においては、例えば特許文献1において、動物の親形状の玩具本体内に、底面に開口部を有する袋部を設け、該袋部内に、裏返すと動物の子供に変形する卵体を装填したことを特徴とするぬいぐるみ玩具、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、鳥類を始めとする各種動物を模して縫製したぬいぐるみ玩具に関するもので、卵の形態から鳥に変化する玩具である。この玩具においては、単に裏返すことで、卵から鳥の形態になるものでその構成に関しては、単純であって楽しみ方の少ない興趣性に乏しいものであった。
【0005】
本発明は、興趣性の高い玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の玩具は、
第1形態と、人形型の第2形態と、に変形可能な玩具であって、
前記第2形態において上肢又は下肢を構成する第1パーツと、
前記第2形態において胴体を構成する第2パーツと、を備え、
前記第1パーツは、前記第2パーツに回動可能に支持された第1サブパーツと、前記第1サブパーツに回動可能に支持された第2サブパーツと、を含み、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、それぞれ、前記第1形態における前記玩具の外殻の一部を構成している、
ものである。
【0007】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツが構成する前記外殻の一部は、前記第1形態における前記第2パーツの外面と連続する面を構成している、
ものである。
【0008】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1形態は、卵型である、
ものである。
【0009】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、前記第1形態において、卵型の長軸方向の両端の外殻を構成している、
ものである。
【0010】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1サブパーツの前記第2パーツ側の端部と、前記第2サブパーツの前記第1サブパーツ側と反対側の端部とを接近させた状態で、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが連続した面を形成する、
ものである。
【0011】
本発明の一態様の玩具であって、
前記連続した面は、平坦面を含む、
ものである。
【0012】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、それぞれ、前記第1形態において外殻を構成する第1部分と、前記第1部分の内側に設けられた第2部分と、を有する、
ものである。
【0013】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1部分と前記第2部分との接続部は、前記第2部分の長手方向に沿った領域に設けられている、
ものである。
【0014】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1部分は、前記第2形態において、人形型の玩具の盾部材を構成している、
ものである。
【0015】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1サブパーツの前記第2パーツ側の端部と、前記第2サブパーツの前記第1サブパーツ側と反対側の端部とを接近させた状態で、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが連続した面を形成し、
前記第1サブパーツ、及び前記第2サブパーツの前記第2部分は、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが前記連続した面を形成した状態において、前記第1部分の内側の空間内に収まるように構成されている、
ものである。
【0016】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1部分は、前記第2部分の少なくとも一部よりも硬度の低い部材にて構成されている、
ものである。
【0017】
本発明の一態様の玩具であって、
前記第1パーツと前記第2パーツ、及び前記第1サブパーツと前記第2サブパーツ、における連結部は、硬度の異なる樹脂部材を含む、
ものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、興趣性の高い玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一態様の玩具の第1形態の斜視図である。
【
図3】
図1に示す玩具を底面側から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示す玩具の第2形態における正面図である。
【
図6】
図5に示す第1パーツの拡大分解斜視図である。
【
図7】第1パーツが閉じた状態の内側を示す斜視図である。
【
図8】玩具の脚部の構造を示すために一部を分解した拡大分解斜視図である。
【
図9】
図1に示す第1形態から第2形態にするときの第一段階の操作の一例を示す斜視図である。
【
図10】
図1に示す第1形態から第2形態にするときの第二段階の操作の一例を示す斜視図である。
【
図11】
図1に示す第1形態から第2形態にするときの第三段階の操作の一例を示す斜視図である。
【
図12】
図1に示す第1形態から第2形態にするときの最終段階の操作の一例を示す斜視図である。
【
図13】玩具の第2形態におけるポージングの一例を示す斜視図である。
【
図14】玩具の第1形態における係止構造を示すために一部を分解した側面図である。
【
図15】玩具の第1形態における係止構造を示すために一部を動かした状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一態様について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上下、前後、左右の記載については、
図4に示す人形型の玩具の向きを基準にして記載する。
図1は、本発明の一態様の玩具の第1形態の斜視図である。
図2は、
図1に示す玩具1の平面図であり、
図3は、
図1に示す玩具1を底面側から見た斜視図である。また、
図4は、
図1に示す玩具1の第2形態における正面図である。
【0021】
玩具1は、
図1~
図3に示すように、外観が卵型の第1形態1Fと、
図4に示すような人形型の第2形態2Fと、に変形可能なものである。
先ず、卵型の第1形態1Fにおいては、前面側の略中央部分において内部構造が外から見えるような構成であるが、左右側面側、背面側、及び底面側の部分については卵形状の外殻によって覆う構成となっている。また、
図4に示すように、玩具1は、第2形態2Fの人形体として構成され、この人形体は、特定の戦うヒーローのキャラクタを模したものであり、後述するように、上肢及び下肢を大きく動くことができる構成となっている。なお、人形体の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、昆虫、恐竜等、様々な形状を含むものである。
【0022】
玩具1は、
図4に示すように、その構成を大別すると、例えば、上肢を構成する第1パーツ10と、下肢を構成する脚部30と、胴体を構成する第2パーツ20と、頭部40と、を備えた構成である。
第1パーツ10は、上述の如く上肢を構成しており、肩連結部18を介して第2パーツ20の左右に回動可能に支持されている。また、第1パーツ10は、例えば、上腕を模した第1サブパーツ11と、この第1サブパーツ11に肘連結部13を介して回動可能に支持された前腕を模した第2サブパーツ12と、を有している。
【0023】
上腕の第1サブパーツ11は、上腕の形状を模した上腕部11bと、当該上腕部11bの外側及び後方側を覆う第1外殻部11aと、を備えてる。また、前腕の第2サブパーツ12は、前腕の形状を模した前腕部12bと、当該前腕部12bの外側及び後方側を覆う第2外殻部12aと、を備えている。そして、第1サブパーツ11と第2サブパーツ12は、
図1及び
図2に示すように、第1形態1Fにおける玩具1の卵型の長軸方向の両端(図中の左右両端側)の外殻を構成している。
【0024】
第1形態1Fにおいては、
図2に示すように、第1サブパーツ11の第1外殻部11aと第2サブパーツ12の第2外殻部12aとが、前後方向において分割された形状で卵型の長軸方向の左右両端部分の外殻を構成している。また、その外殻の外表面については、第1、第2外殻部11a,12aにて形成された左右の面10sは、第2パーツ20の外面20sと連続する湾曲面を構成している。
【0025】
第1形態1Fにおいては、
図1に示すように、玩具1は、載置部80の上に置くことができる。この第1形態1Fにおける底面部分(
図1における載置部80に接する部分)は、
図3に示すように、若干の凹凸があるものの概ね平坦な構造を有している。第1形態1Fにおける底面部分を構成している、胴部底面21s及び腰部上面28sは、第2形態2Fにおいては、胴部本体21と腰部28との連結部分を構成している(
図4参照)。この底面部分の構成により、玩具1は、第1形態1Fにおいて転がることなく載置部80に置くことができる。また、第1形態1Fにおいては、
図1において右側の曲面の一部(卵型の長軸方向の一端面)に平坦面10fsが設けられている。この平坦面10fsは、例えば、第1、第2両外殻部11a,12aの曲面に設けられた平坦面によって形成された構成となっている。この平坦面10fsを有することで、当該平坦面10fsを下面として載置部80に置くことができる。
【0026】
図5は、玩具1の分解斜視図である。
玩具1の全体的な概略構成について
図5を参照して説明する。
玩具1は、
図5に示すように、胴体の第2パーツ20を中心として各部材が連結される構成となっている。例えば、第2パーツ20の左右両側に第1パーツ10が連結され、第2パーツ20の下端側に腰部28を介して脚部30が連結され、更に、第2パーツ20の上端側に首部23を介して頭部40が連結される。
【0027】
第2パーツ20は、例えば、前後に分割された中空構造の胴部本体21を有し、この第2パーツ20に対して、肩部分の左右両端に肩連結部18が設けられる。肩連結部18は、玩具1の左右方向の軸線を中心に回転可能であり、例えば、フランジ部18aが胴部本体21の内部側に配置されるように取り付けられる。また、肩連結部18には、フランジ部18aとは反対側において前記軸線に対して直交方向に突出する肩連結突起18bが設けられている。この肩連結突起18bが第1パーツ10側の肩連結孔18jに連結される。また、この肩連結突起18bを中心にして、第1パーツ10は、回動(上肢と胴部本体21とが開く方向の回動)が可能である。
【0028】
頭部40は、首部23を介して胴部本体21に取り付けられる。例えば、胴部本体21の上端に設けられた左右一対の軸受部21aに首部23の左右一対の首軸部23aが支持されて、当該首部23が前後方向及び上下方向に回転可能に取付けられる。また、胴部本体21の後方側には、背中側を開閉可能な背中蓋部22が設けられている。そして、頭部40は、その詳細については後述するが、背中蓋部22の開閉によって胴部本体21の内部に収容可能となっている。
【0029】
胴部本体21の下端には、左右一対のピン状の支軸が左右外側に向って突出した腰軸部21bが設けられている。この腰軸部21bには、腰部28の左右一対の回転ボス部28aが嵌着されて、胴部本体21に対して腰部28が回転可能な構成となっている。この腰部28には、脚部30の股関節に相当する連結部である連結棒部28bが左右に延出されており、この連結棒部28bの先端の球状部分に脚部30の上端部分が後述するように連結される。
【0030】
図6は、
図5に示す第1パーツ10の拡大分解斜視図である。
ここで、第1パーツ10の内部構造について説明するが、左右の第1パーツ10は、同じ構成であるので、
図6に示す右腕側の第1パーツ10について説明する。
第1サブパーツ11は、例えば、第1外殻部11aの内面に突出した接続突起11dと、上腕部11bの長手方向に沿って形成された接続凹部11eと、の嵌合により接続される。また、第2サブパーツ12は、例えば、第2外殻部12aの内面に突出した接続突起12dに形成された接続凹部12fと、前腕部12bの長手方向に沿って形成された接続凸部12eと、の嵌合により接続される。このように接続凹部11e及び接続突起11d並びに接続凸部12e及び接続突起12d等によって構成されるそれぞれの接続部10cは、上肢の長手方向に沿った構成となっている。また、肘連結部13は、前腕部12bの肘連結孔部13cに対して、上腕部11bの受容凹部13a内に突設された肘連結凸部13bが嵌合して回動可能に接続される。
【0031】
図7は、玩具1の第1パーツ10が閉じた状態の内側を示す斜視図である。
図7に示すように、第1サブパーツ11の第2パーツ20側の端部(肩連結部18)と、第2サブパーツ12の第1サブパーツ11側と反対側の端部である手部12hと、を接近させた状態で、第1サブパーツ11と第2サブパーツ12とは、その外面が連続した外殻の面10sを構成する(
図2参照)。すなわち、第1サブパーツ11と第2サブパーツ12は、それぞれ、第1形態1Fにおいて外殻を構成する第1部分(第1外殻部11a,第2外殻部12a)の内側に、第2部分である上腕部11b及び前腕部12bを有する構成である。したがって、この第1外殻部11a,第2外殻部12a連続した面10sは、第1形態1Fにおいては、卵型の外殻を連続する湾曲面を演出し、第2形態2F(
図13参照)においては、例えば、キャラクタの戦闘時における円形の盾部材の演出を可能にする。
また、上腕部11b及び前腕部12bは、図示の如く第1外殻部11a及び第2外殻部12aによって形成された内側の空間内に収まるように構成されている。すなわち、第1外殻部11a及び第2外殻部12aの外縁部10eの位置よりも内側に位置するように構成されている(
図4参照)。
【0032】
また、第1外殻部11a及び第2外殻部12aは、上腕部11b、前腕部12bの少なくとも一部よりも硬度の低い部材にて構成されている。言い換えると、外殻部分がその内側の構成部材よりも軟質部材により構成されている。例えば、本態様においては、上腕部11bが例えば、ABS樹脂により構成され、他の部分の第1外殻部11a、第2外殻部12a、及び前腕部12bがPVC樹脂により構成されている。
【0033】
また、肩連結部18がABS樹脂にて構成されている一方、第1外殻部11aの肩連結孔18jがPVC樹脂にて構成されている。すなわち、肩連結突起18bと肩連結孔18jを有するボス部分18jaとによって構成される連結部は、硬度の異なる樹脂素材にて構成されている。ここで、ABS樹脂は、PVC樹脂に比べて硬質であると共に成型時における寸法精度が高い。これに対して、PVC樹脂は、ABS樹脂に比べて軟質化が容易であり、耐摩耗性等が優れている構成にできる。
【0034】
また、肘連結部13においては、上腕部11bがABS樹脂にて構成されている一方、前腕部12bがPVC樹脂にて構成されている。すなわち、肘連結部13の連結構造においても、硬度の異なる樹脂素材にて構成されている。
【0035】
図8は、脚部30の構造を示すために一部を分解した拡大分解斜視図である。
脚部30においては、大腿部31は、その上端連結凹部31aに連結棒部28bの先端部(ボールジョイント部)が嵌合して腰部28に連結される。また、膝部34は、下腿部32の上端側に開口する膝連結凹部32bに対して、大腿部31の下端側の左右一対の下端連結凸部31b(片方のみ図示)が嵌合して回動可能に連結される。なお、大腿部31は、前方壁31f及び左右側壁31eの3面の壁部にて構成された大腿部空間SP1を備えている。したがって、この大腿部空間SP1内に、下腿部32を回転して収容することができる(
図1参照)。また、大腿部31の下端側には、膝部の前方側の一部を覆うように突出した突起部31dが設けられている。この突起部31dは、下腿部32の可動方向を制限(不自然に反対側に曲がるのを制限)している。
【0036】
また、足部33は、その足首部分に足首凹部33aが形成されており、この足首凹部33aに下腿部32の下端に設けられたボールジョイント部32aが嵌合し連結される。このように連結された脚部30は、股関節部分が前後左右に自在に回転し、更に、足首部分が自在に前後左右に回転することで、色々なポーズをとることができる。
【0037】
図9は、玩具1を第1形態1Fから第2形態2Fにするとき(展開時)の第一段階の操作の一例を示す斜視図である。
第1形態1Fの玩具1を、第2形態2Fに変更する場合には、
図9に示すように、例えば、脚部30を開く。このとき、脚部30は、その大腿部31の突起部31dを開くようにする。これにより、脚部30は、腰部28の回転ボス部28aを中心にして開かれる。
【0038】
図10は、展開時の第二段階の操作の一例を示す斜視図である。
図9に示すような操作によって、腰部28の腰部上面28sを胴部底面21sに接触するようにする。これにより、胴部底面21sに設けられた連結孔部3(
図9参照)に腰部上面28sに突設された連結凸28dを嵌めるようにして固定する。この操作と前後して、
図10に示すように、下腿部32を大腿部空間SP1から引き出すように回転させる。また、足部33を下腿部32から離すように回転させる。
【0039】
図11は、展開時の第三段階の操作の一例を示す斜視図である。
脚部30の展開が完了した後に、
図11に示すように、例えば、第1パーツ10を操作する。この場合、第1パーツ10の第1サブパーツ11に対して第2サブパーツ12を肘部分にて回転して展開する操作、或いは、肩部分にて回転する等の操作をする。第1サブパーツ11の肩連結部18においては、前後方向及び左右方向(肩を上げる方向)等に適宜回転して、第1パーツ10を所望のポーズを取ることができる。
【0040】
図12は、展開時の最終段階の操作の一例を示す斜視図である。
最後に、頭部40を胴部本体21内から取り出す操作を行う。この場合、
図12に示すように、背中蓋部22を開く。このとき、背中蓋部22は、左右突起部22bが胴部空間SP2の縁部に引っ掛かるようにして係止されているので、肩部分から上方に突出した上端突出部22cに指を引っ掛けるようにして開く。これにより、背中蓋部22は、下端側のヒンジ部22aを中心にして大きく開動する。そして、胴部空間SP2内に収まっている頭部40を、首部23の首軸部23aを支点して上方に回転させる。その後、背中蓋部22を閉じることで、首部23は固定される。
【0041】
以上のようにして玩具1を第2形態2Fに展開することができるが、この展開の仕方については前掲の操作手順に限るものではなく、例えば、第1パーツ10を最初に展開する方法であっても良い。
【0042】
図13は、玩具1の第2形態2Fにおけるポージングの一例を示す斜視図である。
上述のように展開した玩具1においては、
図4に示すような略直立した形態に限らず色々なポーズを取ることができる。例えば、
図13に示すように、右前腕を曲げ且つ上腕を少し前に出すようにした状態とすることで、右側前方に円形の盾部材を構成することができる。この右腕の状態と合わせて、右側の大腿部31を上げるようすると、キャラクタの戦闘時における防御姿勢を演出することができる。
【0043】
図14は、玩具1の第1形態1Fにおける係止構造を示すために一部を分解した側面図である。
第1形態1Fにおける卵型を維持する構成として、例えば、脚部30が簡単に展開しないような係止構造を有している。この構成は、
図14に示すように、回転ボス部28aが、例えば、多角形の外面構造を有している。そして、回転ボス部28aの外面の一部に設けられた係止外面28fと、胴部本体21側の係止凸部21gと、が面接触する構造である。
【0044】
この面接触の構造は、例えば、腰軸部21b(
図5参照)の回転中心Cに対して係止外面28fの距離W1が他の外面の距離W2よりも大きく構成されている。言い換えると、回転ボス部28aは、その回転中心が偏心した構成となっている。したがって、
図14に示すような係止状態においては、係止外面28fは、係止凸部21gの図中の下端側の面に接した状態で係止されている。脚部30を展開するときは、例えば、突起部31dを手指にて開く(図中において反時計回りの方向に開く)ように操作することで、係止外面28fが係止凸部21gから外れて回転・展開することができる。
【0045】
また、第1形態1Fにおいては、脚部30は、その左右の大腿部31が一体化するような係合構造が設けられている。この係合構造は、例えば、膝部34の内側の脚部係止凸38(
図2及び
図4参照)と脚部係止凹39(
図2及び
図4参照)とが係合する構成である。この脚部係止凸38と脚部係止凹39の係合状態は、左右の脚部30を揃えた第1形態1Fの時に係合し、左右の脚部30を開いたときや前後したときには係合しない構成となっている。
【0046】
図15は、玩具1の第1形態1Fにおける係止構造を示すために一部を動かした状態の斜視図である。
第1形態1Fにおける第1パーツ10は、卵型を維持するような係止構造を備えている。例えば、
図15に示すように、胴部本体21の左右両側面21jには係止凹21hが設けられており、第1パーツ10の内側には、外縁部10eから胴部本体21側に突出して係止凹21hに嵌り込む係止凸10f(図示の想像線にて示す状態で嵌合)が設けられている。
なお、係止凹21hは、左右両側面21jのへこみ段部21iに連続した溝構造となっている。これにより、係止凸10fを係止凹21hから外すときは、第1パーツ10を左右方向に開く(肩幅方向に開く)ように回転するだけでなく、
図15に示すように、前方上方(矢印方向)に回転することで外すことができる。
【0047】
以上述べたように、本発明の一態様においては、上肢を構成する左右一対の第1パーツ10が、第1サブパーツ11、第2サブパーツ12を有する複数構成であるので、第1形態1Fにおける両サブパーツ11,12による外殻の形状と、第2形態2Fにおける人形型の形状と間の形状変化をし易い構成にでき、形状変化において違和感のない玩具1を提供できる。
【0048】
本態様においては、第1、第2サブパーツ11,12により構成される外殻が、他の部材(第2パーツ20の外面20s)との間で連続する面10sを構成しているので、第1形態1Fの外観において、外殻に段差がなく滑らかな外殻となり外観を良くすることができる。
【0049】
本態様においては、玩具1の第1形態1Fの外観形状が卵型であるので、手に馴染み持ち易い。また、第1、第2サブパーツ11,12が、卵型の長手方向の両端の外殻を構成しており、例えば、この部分の素材が他の構成部材よりも軟質の部材にて構成されていることで、落下等により衝撃を緩衝できる。
【0050】
また、本態様においては、外殻を構成する第1パーツ10の面10sに、平坦面10fsが設けられているので、第1形態1Fにおいて平坦面10fsを利用し載置部80上にて安定した載置が可能になる。
【0051】
本態様の玩具1は、第1外殻部11a、第2外殻部12aが、動くことが可能な上腕部11b、前腕部12bに分かれた構成となっているので、第1形態1Fにおいては、連続する外殻を構成することが容易にでき、また、第2形態2Fにおいては動くことが可能であり、例えば、盾部材として、その形や大きさを変える演出が可能なキャラクタの遊びか方ができる。なお、本実施形態では、第1外殻部11a、第2外殻部12aを盾を模した形状としているが、これに限られることはなく、他の武器やマント等の装飾品など人形体の演出を補助する形状を模したもの(演出補助部品)としても良い。また第1外殻部11aと上腕部11b(第2外殻部12aと前腕部12b)とを一体的に腕部を構成するものとしても良い。
【0052】
本態様においては、第1外殻部11a、第2外殻部12aと上腕部11b、前腕部12bとの接続部10cは、腕部(上肢)の長手方向に沿った構成となっているので、接続部10cの大きさを大きくすることができ、接続を強固にすることができる。また、接続部10cが大きく構成されることで組み立てし易い構造にできる。
【0053】
本態様においては、第2部分である上腕部11b及び前腕部12bは、外殻を構成する第1部分である第1外殻部11a,第2外殻部12aの内側に収容されるので、第1形態1Fにおいて外殻からはみ出すことなく完全に覆われる。また、上腕部11b及び前腕部12bは、人形体に展開の動作を行うときに、第1外殻部11a,第2外殻部12aからはみ出した構成となっていないので、他の部材と干渉することが無く展開し易い構成にできる。また、第2形態2Fにおいて、キャラクタの盾部材として遊ぶ時に、肘を曲げることで、より大きな盾を作ることができ、腕を曲げることで腕部分が全て収まり、盾部材としての機能性が高い演出ができる。
【0054】
本態様においては、第1形態1Fの状態おいて、外殻の一部を構成する第1外殻部11a及び第2外殻部12aは、硬度が低い構成部材にて形成されていることで、破損防止効果がある。また、第2形態2Fの状態においても、同様の効果を奏することができる。
【0055】
本態様においては、玩具1の可動を必要とする連結部、例えば、肩連結部18,肘連結部13などの連結部は、その接続された摺動部分が硬度や強度の異なる部材が用いられているので、耐摩耗性を考慮した構成が可能となり、耐久性を増して長期にわたって良好な動きが可能な玩具1を提供できる。また、異なる性質の樹脂を用いることで、成型精度の良い部材についても適宜選定することができるので、可動部の可動精度、組み立て精度の良い玩具1を提供することが可能になる。
【0056】
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明はその技術思想の範囲で適宜変更することができる。例えば、上記態様においては、第1パーツ10は、上肢の場合の構成について説明したが、本発明に係る玩具はこれに限るものではなく、下肢の場合或いは下肢を含めた場合の構成であっても良い。
【0057】
また、上記態様においては、肩連結部18及び肘連結部13の摺動分において異なる性質の樹脂素材を用いた構成としたが、本発明に係る玩具はこれに限るものではなく、その他に、例えば膝部34の構成についても同様な構成を採用しても良い。
【0058】
<実施形態のまとめ> 上記実施形態は以下の玩具を少なくとも開示する。
【0059】
(1)第1形態と、人形型の第2形態と、に変形可能な玩具であって、
前記第2形態において上肢又は下肢を構成する第1パーツと、
前記第2形態において胴体を構成する第2パーツと、を備え、
前記第1パーツは、前記第2パーツに回動可能に支持された第1サブパーツと、前記第1サブパーツに回動可能に支持された第2サブパーツと、を含み、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、それぞれ、前記第1形態における前記玩具の外殻の一部を構成している、
玩具。
【0060】
(2)(1)に記載の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツが構成する前記外殻の一部は、前記第1形態における前記第2パーツの外面と連続する面を構成している、
玩具。
【0061】
(3)(1)または(2)に記載の玩具であって、
前記第1形態は、卵型である、
玩具。
【0062】
(4)(3)に記載の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、前記第1形態において、卵型の長軸方向の両端の外殻を構成している、
玩具。
【0063】
(5)(1)乃至(4)の何れか1つに記載の玩具であって、
前記第1サブパーツの前記第2パーツ側の端部と、前記第2サブパーツの前記第1サブパーツ側と反対側の端部とを接近させた状態で、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが連続した面を形成する、
玩具。
【0064】
(6)(5)に記載の玩具であって、
前記連続した面は、平坦面を含む、
玩具。
【0065】
(7)(1)乃至(6)の何れか1つに記載の玩具であって、
前記第1サブパーツと前記第2サブパーツは、それぞれ、前記第1形態において外殻を構成する第1部分と、前記第1部分の内側に設けられた第2部分と、を有する、
玩具。
【0066】
(8)(7)に記載の玩具であって、
前記第1部分と前記第2部分との接続部は、前記第2部分の長手方向に沿った領域に設けられている、
玩具。
【0067】
(9)(7)または(8)に記載の玩具であって、
前記第1部分は、前記第2形態において、人形型の玩具の盾部材を構成している、
玩具。
【0068】
(10)(7)乃至(9)の何れか1つに記載の玩具であって、
前記第1サブパーツの前記第2パーツ側の端部と、前記第2サブパーツの前記第1サブパーツ側と反対側の端部とを接近させた状態で、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが連続した面を形成し、
前記第1サブパーツ、及び前記第2サブパーツの前記第2部分は、前記第1サブパーツと前記第2サブパーツとが前記連続した面を形成した状態において、前記第1部分の内側の空間内に収まるように構成されている、
玩具。
【0069】
(11)(7)乃至(10)の何れか1つに記載の玩具であって、
前記第1部分は、前記第2部分の少なくとも一部よりも硬度の低い部材にて構成されている、
玩具。
【0070】
(12)(1)乃至(11)の何れか1つに記載の玩具であって、
前記第1パーツと前記第2パーツ、及び前記第1サブパーツと前記第2サブパーツ、における連結部は、硬度の異なる樹脂部材を含む、
玩具。
【符号の説明】
【0071】
1 玩具
1F 第1形態
2F 第2形態
10 第1パーツ
10c 接続部
10fs 平坦面
10s 面
11 第1サブパーツ
11a 第1外殻部(第1部分)
11b 上腕部(第2部分)
12 第2サブパーツ
12a 第2外殻部(第1部分)
12b 前腕部(第2部分)
12h 手部(第2サブパーツの端部)
13 肘連結部(連結部)
18 肩連結部(連結部)
20 第2パーツ
20s 第2パーツの外面