(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060136
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】枠登り遊具
(51)【国際特許分類】
A63B 17/00 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
A63B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167289
(22)【出願日】2022-10-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示期間 令和3年11月4日~令和3年11月17日,「延岡産材を活用した木材製品の展示会」,延岡市役所1F市民スペース [刊行物等]試験開始日 令和3年12月13日,ひので保育園 [刊行物等]試験開始日 令和3年12月15日,ほうざい保育園 [刊行物等]試験開始日 令和4年1月17日,かわなか保育園 [刊行物等]試験開始日 令和4年2月14日,わかたけ保育園 [刊行物等]試験開始日 令和4年2月21日,みなみ保育園 [刊行物等]試験開始日 令和4年2月28日,延岡市子育て支援総合拠点施設えんキッズ [刊行物等]試験開始日 令和4年3月16日,ゆりかごWEC学院 [刊行物等]配布日 令和4年10月17日,延岡市役所農林水産部林務課等,「木育遊具体験会」のパンフレット及びモニター園等募集案内
(71)【出願人】
【識別番号】519056268
【氏名又は名称】有限会社マルウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100189854
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 明美
(72)【発明者】
【氏名】田丸 貴久
(57)【要約】
【課題】利用者の慣れや飽きを感じさせにくい枠登り遊具を提供する。
【解決手段】6面に開口部を有するキューブ体2を有して構成される枠登り遊具1であって、キューブ体2は内部を通過する棒材10を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6面に開口部を有するキューブ体を有して構成される枠登り遊具であって、
前記キューブ体は、内部を通過する棒材を備えていることを特徴とする枠登り遊具。
【請求項2】
前記キューブ体は、12本のフレーム杆からなる立方体形状であり、前記12本のフレーム杆のうち1のフレーム杆の任意の位置を一端とし、該フレーム杆が構成する2つの面以外の4面を構成するフレーム杆の任意の位置を他端として前記棒材が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の枠登り遊具。
【請求項3】
前記キューブ体には、複数本の前記棒材が内部を通過して備えられていることを特徴とする請求項1に記載の枠登り遊具。
【請求項4】
前記棒材は、前記12本のフレーム杆のいずれとも平行に架設されていないことを特徴とする請求項1に記載の枠登り遊具。
【請求項5】
前記棒材は、前記キューブ体の角部から離れて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の枠登り遊具。
【請求項6】
複数本の前記棒材は、架設される前記フレーム杆の組み合わせがそれぞれ異なることを特徴とする請求項3に記載の枠登り遊具。
【請求項7】
前記キューブ体は、全6面に対象の部材に着脱自在に連結できる固定部をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の枠登り遊具。
【請求項8】
前記枠登り遊具は、前記棒材の配置パターンがそれぞれ異なる複数種類の前記キューブ体を有することを特徴とする請求項1に記載の枠登り遊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に幼児が屋内で利用する遊具であって、登ったり、ぶら下がったり、座ったりして遊戯するための立体的な構造を有する枠登り遊具に関する。
【0002】
屋内で幼児に利用される枠登り遊具としては、複数本の棒材を継手等により連結させて立体格子状に連結したものが一般的である。例えば特許文献1に示される枠登り遊具は、12本の棒材が連結されて構成される立方体形状が上下左右に連なって構成されている。このような枠登り遊具は、棒材同士の連結箇所が着脱可能であることから、幼児の体格や運動神経に合わせて、立体構造を適宜変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-130375号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、立方体形状を構成する棒材の組付け方向を適宜選択することで、枠登り遊具全体としての立体構造を変化させ、枠登り遊具の内部の進行方向の組み合わせ、つまり幼児の移動ルートを多様に形成することができる。しかしながら、ルートを変更しても、立方体形状内部及び隣接する立方体形状への移動において体の動かし方には特段の変化はなく、ルートの変化を楽しむことはできても、動きに慣れてしまい、手足の位置や関節の動かし方などの固有受容覚への刺激が少なく、飽きを感じてしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、利用者の慣れや飽きを感じさせにくい枠登り遊具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の枠登り遊具は、
6面に開口部を有するキューブ体を有して構成される枠登り遊具であって、
前記キューブ体は、内部を通過する棒材を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、キューブ体の内部を移動する際に、キューブ体の内側に設けられた棒材に手足を掛けて進むことができるとともに、この棒材を避けて進む必要があり、手足の位置や関節の動かし方など複雑な身体のコントロールを要することから、固有受容覚を刺激して慣れや飽きを低減できるとともに、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0007】
前記キューブ体は、12本のフレーム杆からなる立方体形状であり、前記12本のフレーム杆のうち1のフレーム杆の任意の位置を一端とし、該フレーム杆が構成する2つの面以外の4面を構成するフレーム杆の任意の位置を他端として前記棒材が固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、キューブ体を形成する12本のうち2本のフレーム杆に棒材が架設されるため、体重がかかる棒材が強固に固定され安全であるとともに、内部を通過する棒材によってキューブ体の立方体形状が補強される。
【0008】
前記キューブ体には、複数本の前記棒材が内部を通過して備えられていることを特徴としている。
この特徴によれば、キューブ体の内部を移動する際に、複数本の棒材を避けて進む必要があり、より複雑な身体のコントロールを要することから、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0009】
前記棒材は、前記12本のフレーム杆のいずれとも平行に架設されていないことを特徴としている。
この特徴によれば、フレーム杆と棒材との間で構成される通過経路の開口形状が矩形ではなく、歪な形状となることから、通り抜けるための身体の動かし方を脳内でシミュレーションする必要があり、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0010】
前記棒材は、前記キューブ体の角部から離れて固定されていることを特徴としている。
この特徴によれば、フレーム杆と棒材との間で構成される通過経路の開口形状が三角形ではなく、歪な形状となることから、通り抜けるための身体の動かし方を脳内でシミュレーションする必要があり、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0011】
複数本の前記棒材は、架設される前記フレーム杆の組み合わせがそれぞれ異なることを特徴としている。
この特徴によれば、棒材同士が平行にならないためフレーム杆と複数の棒材で区画される通過経路の開口形状が歪な形状となることから、通過経路を通り抜けるための身体の動かし方を脳内でシミュレーションする必要があり、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0012】
前記キューブ体は、全6面に対象の部材に着脱自在に連結できる固定部をそれぞれ有していることを特徴としている。
この特徴によれば、隣接するキューブ体などの対象の部材に対して連結させる面の選択によって、棒材の向きを6通りに変化させることができ、慣れや飽きを低減できるとともに、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0013】
前記枠登り遊具は、前記棒材の配置パターンがそれぞれ異なる複数種類の前記キューブ体を有することを特徴としている。
この特徴によれば、枠登り遊具を構成するキューブ体の種類の数の分だけ、身体の動かし方のパターンが増加し、慣れや飽きを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施例の枠登り遊具を示す斜視図である。
【
図2】
図1の枠登り遊具の右側に横並びに配置されるキューブ体を示す図である。
【
図3】横並びにおける一方端部に配置されるキューブ体を示す斜視図である。
【
図5】横並びにおける一方端部に配置されるキューブ体を前方に回転させた図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る枠登り遊具を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0016】
実施例に係る枠登り遊具につき、
図1から
図6を参照して説明する。
【0017】
枠登り遊具は、主に屋内で幼児が遊戯可能な、いわゆるジャングルジムであり、立方体形状のキューブ体を少なくとも1つ備え、別のキューブ体、枠体、機能部品などを適宜組み合わせることで多種多様の立体構造で構成される。キューブ体は主に出入口を備えて前後後退や上下に昇降することができる通過部を構成する。本実施例の枠登り遊具1の構造は、複数のキューブ体と、キューブ体と同じ外形状の枠体と、機能部品とを組み合わせて構成されている。
【0018】
図1に示されるように、本実施例の枠登り遊具1では、複数のキューブ体2で構成される通過部3(
図2参照)に加えて橋4と、滑り台5と、後述する枠体6とを備えている。ここでは、橋4と滑り台5とがそれぞれ機能部品である。これら、キューブ体2、枠体6、機能部品は、全て天然木の無垢材から形成されている。
【0019】
詳しくは、
図1の紙面斜め右側には、3つのキューブ体2(2A~2C)が横並びに配置され、それぞれ対向する面同士が連結されている。そして、この3つのうち中央のキューブ体2Bの上方に枠体6が1つ配置され、当該キューブ体2Bと対向面が連結されている。
図2に示されるように、これらキューブ体2A~2Cにより第1の通過部3が構成されている。
【0020】
そして、前記3つのキューブ体2A~2Cと離間して、
図1の紙面斜め左側には、これらと平行に3つのキューブ体2D~2Fが横並びに配置され、それぞれ対向面が連結されている。そして、この3つのうち中央のキューブ体2Eの上方には、同様に枠体6が1つ配置され、当該キューブ体2Eと対向面が連結されている。これら連結された紙面斜め左側の3つのキューブ体によって第2の通過部3’が構成されている。
【0021】
図3は、
図1における紙面斜め右側にて横並びに配置された3つのキューブ体2A~2Cのうち一方端部のキューブ体2Aを示す図であり、棒材10が見えるように一部のフレーム杆9が破断してある。
図3に示されるように、キューブ体2は、12本のフレーム杆9により立方体形状をなしており、6面が中央に開口部を有する方形の枠状にそれぞれ形成されている。
【0022】
フレーム杆9は断面正方形の角材よりなり、それぞれここでは詳述しない固定手段によりそれぞれ固定されている。フレーム杆9の4つの側面には、対向する面同士に貫通する貫通孔20(固定部)がそれぞれ長手方向に複数等配されている。この貫通孔20には、鬼目ナット30が埋設可能かつ、ボルト31が挿通可能となっており、キューブ体2同士及びキューブ体2と枠体6や機能部品との連結に用いられる。キューブ体2には、後述する棒材10が複数本固定されている。
【0023】
図1に戻って、枠体6は、キューブ体2と同様に、断面正方形の角材よりなる12本のフレーム杆9により立方体形状をなしており、6面に開口部がそれぞれ形成されている。フレーム杆9の4つの側面には、対向する面同士に貫通する貫通孔(図示せず)がそれぞれ長手方向に複数等配されている。枠体6は、キューブ体と異なり棒材を備えていない。
【0024】
本実施例では、
図1における紙面斜め右側の枠体6は枠登り遊具1の2階部分を構成するため、対向する前後面の開口部と、橋4と接する面とは反対側の面の開口部とに、板材16が取り付けられており、落下が防止されている。また、
図1における紙面斜め左側の枠体6は対向する前後面の開口部に、格子17が取り付けられている。
【0025】
キューブ体2A~2Cの上の枠体6と、キューブ体2D~2Fの上の枠体6との間には、橋4が架設されている。橋4は、前後に対向して一対起立して配置される格子部材40,40と、下方に寝かせて配置された1つの格子部材41の合計3つの格子部材により構成されている。前後一対の格子部材40,40は、左右の枠体6,6間に立てて架設されており、格子部材41は、一対の格子部材40,40の下方に寝かせて配置され、同様に左右の枠体6,6間に架設されている。
【0026】
図1に戻って、格子部材40と格子部材41は同形状であり、長方形の枠材40aと、枠材40aの対向する長辺部に架設される複数本の棒材40bとから構成されている。格子部材40(41)の枠材40aの短辺部には、格子部材40(41)の長手方向に貫通する貫通孔(図示せず)がそれぞれ同じ長手方向に複数等配されており、キューブ体2、枠体6、機能部品との連結に用いられる。
【0027】
格子部材40(41)は、長手方向の両端がそれぞれ左右の枠体6,6に固定されて架設されている。前後一対の格子部材40はそれぞれ落下防止の柵として機能し、下方の格子部材41は通路面を構成している。
【0028】
格子部材40(41)は、短辺がキューブ体2及び枠体6の幅寸法と同寸かつ長辺がキューブ体2及び枠体6の幅寸法の倍数(n倍)に形成されている。本実施例ではキューブ体2及び枠体6の幅寸法の2倍の長さ寸法となっており、前後一対の格子部材40の上下端は左右の枠体6の上下端と一致し、下方の格子部材41の前後端は左右の枠体6の前後端と一致している。
【0029】
滑り台5は、左側の枠体6に固定されている。左側の枠体6は、側面の開口部が格子17によって閉塞され、この格子17は一方が橋4を構成する格子部材41と連続して、共に通路面を構成している。このように、左側の3つのキューブ体2D~2Fは、上方の枠体6と連通していない。
【0030】
図3に示されるように、キューブ体2は、立方形状の内部を通過する棒材10を備えている。詳しくは、棒材10Aと10Bが12本のフレーム杆9のうち2本にそれぞれ架設されている。棒材10は直径が約38mmの木製の丸棒である。枠登り遊具1には、棒材10の配置パターンがそれぞれ異なる複数種類のキューブ体2が用意されており、本実施例では、6つのキューブ体2は3種類がそれぞれ2つずつである。
【0031】
ここでは、横並びの3つのうち1つのキューブ体2Aを例に取り説明し、他2つのキューブ体2B,2Cについては詳細な説明を省略する。キューブ体2Aは、立方形状の内部を通過する2本の棒材10(10A,10B)を備え、かつ立方形状の内部を通過しない棒材11を備えている。棒材10は、フレーム杆9を連結固定してキューブ体2を組み立てる際に、共に組み込まれる構成であり、両端部がフレーム杆901に形成された凹部90に埋設されて、離脱不能となっている。
【0032】
棒材10Aは、12本のうち1のフレーム杆901の端部寄りの位置を一端とし、このフレーム杆901が構成する2つの面8A,8B以外の4面のうち2つの面8C,8Dを構成するフレーム杆902の中央寄りの位置を他端として固定されている。
【0033】
棒材10Bは、12本のうち1のフレーム杆903の端部寄りの位置を一端とし、このフレーム杆903が構成する2つの面8B,8C以外の4面のうち2つの面8D,8Eを構成するフレーム杆904の端部寄りの位置を他端として固定されている。
【0034】
棒材11は、12本のうち1のフレーム杆902の一方端部寄りの位置を一端とし、フレーム杆902と隣接して平行に延びるフレーム杆904の一方端部寄りを他端として固定されている。つまり、この棒材10Cは立方形状の内部を通過しない。ここでは詳述しないが、キューブ体2Aと横並びに連結されたキューブ体2B,2Cにあっても、それぞれ立方形状の内部を通過する棒材10を備えている。
【0035】
このように、枠登り遊具1を構成するキューブ体2は、立方形状の内部を通過する棒材10を備えているため、キューブ体2のいずれの開口部から立方形状の内部に侵入したとしても、内部の通路空間を横切るように配された棒材10を避けて進む必要があり、手足の位置や関節の動かし方など複雑な身体のコントロールを要することから、固有受容覚を刺激して慣れや飽きを低減できる。
【0036】
また、棒材10がキューブ体2を形成する12本のうち2本のフレーム杆9に架設されている。そのため、体重がかかる棒材10が枠状を成すフレーム杆9に固定されて強度を確保できるとともに、内部を通過する棒材10によってキューブ体2自体の立方体形状が補強され、安全に遊ぶことができる。
【0037】
また、キューブ体2には、内部を通過する棒材10が複数本備えられているため、キューブ体2の通路空間を移動する際に、複数本の棒材10を避けて進む必要があり、より複雑な身体のコントロールを要することから、幼児の固有受容覚の発達を促すことができる。
【0038】
また、
図4に示されるように棒材10Aは、12本のフレーム杆9のいずれとも平行に架設されていないため、フレーム杆9と棒材10Aとの間で構成される通過経路の開口形状や、フレーム杆9と棒材10Aと棒材10Bとの間で構成される通過経路の開口形状が矩形ではなく、歪な形状となることから、通り抜けるための身体の動かし方を脳内でシミュレーションする必要があり、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0039】
また、
図4に示されるように棒材10Aと棒材10Bはキューブ体2Aの角部から離れて固定されており、フレーム杆9と棒材10A(10B)との間で構成される通過経路の開口形状Sが平面的な三角形ではなく、立体的な形状となることから、通り抜けるための身体の動かし方を脳内でシミュレーションする必要があり、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0040】
また、キューブ体2Aに備えられる複数本の棒材10である棒材10Aと棒材10Bとは、架設されるフレーム杆9の組み合わせがそれぞれ異なっている。このように、棒材10同士が平行にならないためフレーム杆9と複数の棒材10で区画される通過経路の開口形状が歪な形状となり、通り抜けるための身体の動かし方を脳内でシミュレーションする必要があり、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0041】
また、枠登り遊具1が棒材10の配置パターンがそれぞれ異なる複数種類のキューブ体2を有している場合、枠登り遊具1を構成するキューブ体2の種類の数の分だけ、身体の動かし方のパターンが増加し、慣れや飽きを低減できる。
【0042】
また、枠登り遊具1の紙面斜め右側には、棒材10の配置パターンがそれぞれ異なる3つのキューブ体2A~2Cが横並びに連結されており、これらキューブ体2A~2Cの通過経路が連通している。そのため、
図4に示されるように、隣接されたキューブ体2A~2C同士で連通する通過経路を移動する際には、内部を通過する複数の棒材を避ける必要があり、より複雑な身体のコントロールを要することになる。
【0043】
また、キューブ体2は、互いの6面のいずれかを選択して対象の部材に連結することができ、隣接するキューブ体2などに対して連結させる面の選択によって、棒材10の向きを6通りに変化させ、慣れや飽きを低減できるとともに、固有受容覚の発達を促すことができる。
【0044】
また、隣接するキューブ体2同士の連結する角度についても、90度ずつ位相をずらして4通りの連結が可能である。例えば
図5に示されるように、一方端のキューブ体2Aを前方に90度回転した場合には、キューブ体2Aの内部を通過する棒材10A,10Bの配置が変わる(
図6参照)。このとき、棒材10A,10Bはキューブ体の内部を立体的に通過していることから、棒材10A,10Bは立体的に配置態様が変化し、この配置態様の変化を容易に予測することは難しく、慣れや飽きを低減でき、かつ空間認識能力や固有受容覚の発達を促すことができる。
【0045】
また、
図4及び
図6に示されるように、キューブ体2Aに備えられる複数本の棒材10である棒材10Aと棒材10Bとは、架設されるフレーム杆9の組み合わせがそれぞれ異なっており、棒材同士が交わる構造ではないため、フレーム杆9と棒材10で構成される通過経路の開口形状が極端に小さくならず、身体の動きが適切であれば、標準的な体格の幼児が通過しにくいということはない。
【0046】
また、棒材10は木製の丸棒であるため、木材によって五感に対して良質な刺激をもたらし、また丸棒であれば色々な角度からでも手のひら全体で棒材を握るこができ、安定して重心を移動させることができる。
【0047】
以上、本発明の実施例と変形例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0048】
例えば、前記実施例においてキューブ体2は12本のフレーム杆9がそれぞれ別体で、これらを連結して立方体形状を形成する構成で説明したが、12本のフレーム杆9をそれぞれ別体で用意する必要はなく、例えば一体形状の方形の枠材を一対向い合せで配置し、これらの角部同士を4本の棒状の部材で連結して形成されてもよい。
【0049】
また、棒材10はキューブ体2のフレーム杆9に対して着脱自在に固定できるようにし、適宜配置場所を変更できるようにしてもよい。
【0050】
また、棒材10は直線形状に限らず、例えば湾曲形状であってもよい。
【0051】
また、棒材10は12本のうち異なる2本のフレーム杆9に架設される直線的な構成にかぎらず、構造強度が保てれば1本のフレーム杆9に一方端部が片持ちで固定される構成でもよいし、1本のフレーム杆9に例えばU字形状の棒材の両端部が固定される構成であってもよい。
【0052】
また、棒材10はキューブ体2の角部に端部が固定される構成でもよい。
【0053】
また、棒材10の直径は約38mmであり、標準的な体格の幼児の手で持ちやすい棒材の直径であるが、この直径の棒材10である場合には、フレーム杆9はそれぞれ約60cmを著しく超えると安全上適正な100キロほどの耐荷重を得られないため、フレーム杆9はそれぞれ約60cmが最適であるが、それぞれ50cm~100cmの範囲であれば幼児が安全に使用できる構造強度として成立する。
【0054】
また、棒材10が多すぎると通過経路が極端に狭まり、首や身体が挟まってしまう虞があるため、棒材10は1つのキューブ体2につき2本~6本設けられ、かつキューブ体2を上下左右前後いずれかの一方向から見たときに1本もしくは2本が確認できる配置にすることが好ましく、これらの範囲であれば、適宜本数に変更があってもよい。