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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060156
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】発光装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20240424BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240424BHJP
【FI】
H01L33/60
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167321
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健矢
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA52
5F142BA32
5F142CA02
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD23
5F142CD44
5F142CD45
5F142CD47
5F142CE03
5F142CG05
5F142FA21
5F142FA42
5F142FA48
(57)【要約】
【課題】リフレクタを成型する際に、基材が撓むのを抑制することができる発光装置と、その製造方法とを提供する。
【解決手段】対向する第1主面3aと第2主面3bとを有する基材3の第1主面3a側に、LED素子7およびリフレクタ17等が形成され、第2主面3b側に、電極端子11および金属パターン15が形成されている。電極端子11は、第1電極端子11aと第2電極端子11bとを含む。金属パターン15は、ダミーパターンとして、第1電極端子11aと第2電極端子11bとの間に形成され、スペーサとしての機能を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1主面および第2主面を有する基材と、
前記基材の前記第1主面に、互いに離間する態様で形成された第1ランドおよび第2ランドと、
前記基材の前記第2主面に形成され、前記第1ランドと電気的に接続された第1電極端子と、
前記基材の前記第2主面に、前記第1電極端子と離間する態様で形成され、前記第2ランドと電気的に接続された第2電極端子と、
前記第1ランドに搭載された発光素子と、
前記基材の前記第1主面に、前記発光素子を取り囲むように形成されたリフレクタと、
前記基材の前記第2主面における、互いに離間する前記第1電極端子と前記第2電極端子との間に、前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれと離間するように形成された金属パターンと
を備えた、発光装置。
【請求項2】
前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれは、第1厚さを有し、
前記金属パターンは、前記第1厚さと同じ第2厚さを有する、請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記金属パターンは、前記第1電極端子および前記第2電極端子の材料と同じ材料から形成された、請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれは、第1厚さを有し、
前記金属パターンは、前記第1厚さよりも薄い第3厚さを有する、請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれは、第1厚さを有し、
前記金属パターンは、前記第1厚さよりも厚い第4厚さを有する、請求項1記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1電極端子、前記第2電極端子および前記金属パターンのそれぞれは、前記第2主面を平面視した状態で、前記基材の端にまで達するように延在する部分を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第1電極端子、前記第2電極端子および前記金属パターンのそれぞれは、前記第2主面を平面視した状態で、前記基材の端から前記基材の内側に向かって距離を隔てられた位置に形成された、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記基材は、一方向に距離を隔てて対向する第1端部と第2端部とを有し、
前記第1ランドは、前記第1主面において、前記第1端部が位置する側から前記第2端部が位置する側に向かって形成され、
前記第2ランドは、前記第1主面において、前記第2端部が位置する側から前記第1端部が位置する側に向かって、前記第1ランドが前記第2ランドよりも大きくなる態様で形成され、
前記金属パターンは、前記第1ランドにおける前記第2ランドに近い端部の直下に位置する部分を含むように形成された、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1電極端子と前記第2電極端子とは、前記基材の前記第2主面において線対称になるように形成された、請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
対向する第1主面および第2主面を有し、前記第1主面に第1パターンが形成され、前記第2主面に第2パターンが形成された基板を用意する工程と、
下金型と上金型とを有する金型を用意する工程と、
前記基板の前記第2主面が前記下金型と対向する態様で、前記基板が前記下金型と前記上金型とによって挟み込まれた状態で、前記金型のキャビティー内に第1樹脂を注入することによりリフレクタを成型する工程と、
前記リフレクタが成型された前記基板を前記金型から取り出し、前記第1パターンに発光素子を接合して前記発光素子を前記第2パターンと電気的に接続し、第2樹脂により前記発光素子を封止する工程と、
前記基板をダイシングする工程と
を備え、
前記基板を用意する工程では、
前記第1パターンは、
前記発光素子が搭載される第1ランドパターンと、
前記第1ランドパターンと離間するように形成される第2ランドパターンと
を含み、
前記第2パターンは、
前記第1ランドパターンと電気的に接続される第1電極端子パターンと、
前記第1電極端子パターンと離間するように形成され、前記第2ランドパターンと電気的に接続される第2電極端子パターンと、
互いに離間する前記第1電極端子パターンと前記第2電極端子パターンとの間に形成され、前記第1電極端子パターンおよび前記第2電極端子パターンと離間された金属パターンと
を含み、
前記リフレクタを成型する工程では、前記第1電極端子パターン、前記第2電極端子パターンおよび前記金属パターンが前記下金型に当接した状態で、前記基板が前記下金型と前記上金型とによって挟み込まれた後に、前記第1樹脂が前記キャビティー内に注入される、発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記基板を用意する工程では、
前記第1電極端子パターンと前記第2電極端子パターンとは第1厚さに形成され、
前記金属パターンは、前記第1厚さと同じ第2厚さに形成され、
前記金型を用意する工程では、前記下金型が前記金属パターンに当接する位置は、前記下金型が前記第1電極端子パターンおよび前記第2電極端子パターンが当接する位置と同じ高さ位置にある前記下金型が用意される、請求項10記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記基板を用意する工程では、前記金属パターンは、前記第1電極端子パターンおよび前記第2電極端子パターンと同じ材料から形成された前記下金型が用意される、請求項11記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記基板を用意する工程では、
前記第1電極端子パターンと前記第2電極端子パターンとは第1厚さに形成され、
前記金属パターンは、前記第1厚さよりも薄い第3厚さに形成され、
前記金型を用意する工程では、前記下金型が前記金属パターンに当接する位置は、前記下金型が前記第1電極端子パターンおよび前記第2電極端子パターンが当接する位置よりも高い位置にある前記下金型が用意される、請求項10記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記基板を用意する工程では、
前記第1電極端子パターンと前記第2電極端子パターンとは第1厚さに形成され、
前記金属パターンは、前記第1厚さよりも厚い第4厚さに形成され、
前記金型を用意する工程では、前記下金型が前記金属パターンに当接する位置は、前記下金型が前記第1電極端子パターンおよび前記第2電極端子パターンが当接する位置よりも低い位置にある前記下金型が用意される、請求項10記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の光源として、たとえば、LED(Light Emission Diode)チップ等の発光素子が搭載された発光装置がある。そのような発光装置には、発光素子から出射される光を特定の方向に反射させるリフレクタを備えた発光装置がある。特許文献1では、リフレクタを備えたLEDモジュールが提案されている。
【0003】
発光装置では、基材の一方の主面にLEDチップが搭載されている。LEDチップは、一方の主面に配置されたランドにダイボンドされている。基材の他方の主面に、LEDチップと電極に接続された電極端子が配置されている。電極端子として、LEDチップのアノードと電気的に接続されたアノード側の電極端子と、LEDチップのカソードと電気的に接続されたカソード側の電極端子との2つの電極端子がある。
【0004】
電子機器では、所望の色の光をそれぞれ発光する発光装置が、用途に応じて取り付けられることになる。電子機器内における発光装置の向き等、発光装置の配置の自由度を高める観点から、アノード側の電極端子とカソード側の電極端子とを対称に配置することが求められている。すなわち、基材の他方の主面から平面視して、アノード側の電極端子とカソード側の電極端子とを線対称(左右対称)に配置することが求められている。この場合、基材の他方の主面では、アノード側の電極端子とカソード側の電極端子との間に、電極端子が配置されていない領域が拡大することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-165979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リフレクタを備えた発光装置では、リフレクタは、たとえば、トランスファモールド法によって形成される。ランドのパターンおよび電極端子のパターンが形成された基材となる基板が、下金型に載置され、上金型が下降し、基材が上方から上金型に押圧された状態になる。その状態でキャビティ内に樹脂が注入される。
【0007】
このとき、上述したように、基材の他方の主面には、アノード側の電極端子とカソード側の電極端子との間に、電極端子が配置されていない領域が位置する。このため、アノード側の電極端子とカソード側の電極端子との間では、基板と下金型との間に空間(隙間)が拡がっており、上方から上金型によって押圧された基板が下金型に向かって撓むことがある。基板が下金型に向かって撓むと、基板の一方の主面に形成されているランドと上金型との間に隙間が形成されることになる。
【0008】
ランドと上金型との間に隙間が形成された状態でキャビティ内に樹脂が注入されると、その隙間に樹脂が入り込み、ランドの表面に樹脂のバリが出現することがある。ランドの表面に樹脂のバリが出現すると、ランドの表面にLEDチップをダイボンドするのに支障きたすことが想定される。また、LEDチップとランドとのワイヤボンディングに支障をきたすことが想定される。
【0009】
本開示は、そのような問題点を解決するためになされたものであり、一つの目的は、リフレクタを成型する際に、基板(基材)が撓むのを抑制することができる発光装置を提供することであり、他の目的は、そのような発光装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る発光装置は、基材と、第1ランドおよび第2ランドと、第1電極端子と、第2電極端子と、発光素子と、リフレクタと、金属パターンとを備えている。基材は、対向する第1主面および第2主面を有する。第1ランドおよび第2ランドは、基材の第1主面に、互いに離間する態様で形成されている。第1電極端子は、基材の第2主面に形成され、第1ランドと電気的に接続されている。第2電極端子は、基材の第2主面に、第1電極端子と離間する態様で形成され、第2ランドと電気的に接続されている。発光素子は、第1ランドに搭載されている。リフレクタは、基材の第1主面に、発光素子を取り囲むように形成されている。金属パターンは、基材の第2主面における、互いに離間する第1電極端子と第2電極端子との間に、第1電極端子および第2電極端子のそれぞれと離間するように形成されている。
【0011】
本開示に係る発光装置の製造方法は、以下の工程を備えている。対向する第1主面および第2主面を有し、第1主面に第1パターンが形成され、第2主面に第2パターンが形成された基板を用意する。下金型と上金型とを有する金型を用意する。基板の第2主面が下金型と対向する態様で、基板が下金型と上金型とによって挟み込まれた状態で、金型のキャビティー内に第1樹脂を注入することによりリフレクタを成型する。リフレクタが成型された基板を金型から取り出し、第1パターンに発光素子を接合して発光素子を第2パターンと電気的に接続し、第2樹脂により発光素子を封止する。基板をダイシングする。基板を用意する工程では、以下の基板が用意される。第1パターンは、第1ランドパターンと第2ランドパターンとを含む。第1ランドパターンには、発光素子が搭載される。第2ランドパターンは、第1ランドパターンと離間するように形成される。第2パターンは、第1電極端子パターンと第2電極端子パターンと金属パターンとを含む。第1電極端子パターンは、第1ランドパターンと電気的に接続される。第2電極端子パターンは、第1電極端子パターンと離間するように形成され、第2ランドパターンと電気的に接続される。金属パターンは、互いに離間する第1電極端子パターンと第2電極端子パターンとの間に形成され、第1電極端子パターンおよび第2電極端子パターンと離間されている。リフレクタを成型する工程では、第1電極端子パターン、第2電極端子パターンおよび金属パターンが下金型に当接した状態で、基板が下金型と上金型とによって挟み込まれた後に、第1樹脂がキャビティー内に注入される。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る発光装置によれば、基材が撓むのを抑制することができる発光装置を得ることができる。
【0013】
本開示に係る発光装置の製造方法によれば、基材となる基板が撓むのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施の形態に係る発光装置の上面図である。
図2図2は、図1に示される断面線II-IIにおける断面図である。
図3図3は、同実施の形態に係る発光装置の下面図である。
図4図4は、同実施の形態に係る発光装置の製造方法の一工程を示す上面図である。
図5図5は、図4に示される断面線V-Vにおける断面図である。
図6図6は、図4に示される一工程における下面図である。
図7図7は、図4図6に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図8図8は、図7に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図9図9は、図8に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図10図10は、図9に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図11図11は、比較例に係る発光装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
図12図12は、変形例1に係る発光装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
図13図13は、図12に示される点線枠内の構造を示す部分拡大断面図である。
図14図14は、変形例2に係る発光装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
図15図15は、図14に示される点線枠内の構造を示す部分拡大断面図である。
図16図16は、変形例3に係る発光装置の基材におけるランドの形状の一例を示す上面図である。
図17図17は、図16に示す発光装置の基材における電極端子および金属パターンの形状の一例を示す下面図である。
図18図18は、変形例4に係る発光装置の上面図である。
図19図19は、図18に示される断面線XIX-XIXにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発光装置の構造)
実施の形態に係る発光装置の一例について説明する。図1図2および図3に示すように、発光装置1では、対向する第1主面3aと第2主面3bとを有する基材3の第1主面3a側には、LED素子7(発光素子)およびリフレクタ17等が形成されている。基材3の第2主面3b側には、LED素子7と電気的に接続された電極端子11等が形成されている。
【0016】
発光装置1の構造について、より詳しく説明する。基材3は、たとえば、BTレジン(Bismaleimide-Triazine Resin)とガラスクロスの混合体から形成されている。基材3の厚さは、たとえば、数百μm程度とされる。基材3の第1主面3aにランド5が形成されている。基材3は、一方向(たとえば、長手方向)に距離を隔てて対向する第1端部33aと第2端部33bとを有する。ランド5は、第1ランド5aと第2ランド5bとを含む。第1ランド5aは、第1端部33aから第2端部33bへ向かって延在する。第2ランド5bは、第2端部33bから第1端部33aへ向かって延在する。
【0017】
第1ランド5aと第2ランド5bとは、互いに離間している。第1ランド5aの面積は、第2ランド5bの面積よりも大きく設定されている。第1ランド5aおよび第2ランド5bの厚さは、たとえば、数十μm程度とされる。LED素子7が、第1ランド5aに搭載されている。LED素子7は、ワイヤ9によってランド5と電気的に接続されている。LED素子7のアノードと第1ランド5aとが、ワイヤ9aによって電気的に接続されている。LED素子7のカソードと第2ランド5bとが、ワイヤ9bによって電気的に接続されている。
【0018】
基材3の第1主面3aには、LED素子7を取り囲むように、リフレクタ17が形成されている。リフレクタ17内には、LED素子7等を封止する封止樹脂19が充填されている。封止樹脂19として、たとえば、シリコーン系樹脂が充填されている。リフレクタ17は、LED素子7から発せられる光を反射することにより、集光効果を高める機能を有する。
【0019】
一方、基材3の第2主面3bには、電極端子11と金属パターン15とが形成されている。電極端子11は、スルーホール13を介してランド5と電気的に接続されている。電極端子11は、第1電極端子11aと第2電極端子11bとを含む。スルーホール13は、スルーホール13aとスルーホール13bとを含む。
【0020】
第1電極端子11aと第2電極端子11bとは、互いに離間するように形成されている。第1電極端子11aは、スルーホール13aを介して第1ランド5aと電気的に接続されている。第2電極端子11bは、スルーホール13bを介して第2ランド5bと電気的に接続されている。
【0021】
第1電極端子11aと第2電極端子11bとは、基材3の長手方向の中央(二等分線)に対して、ほぼ線対称となるように形成されている。線対称とは、数学的(幾何学的)に線対称であることを意図するものではなく、製造上のばらつき等が含まれる。第1電極端子11aと第2電極端子11bとが線対称に配置されていることで、発光装置1を、たとえば、実装基板に実装する際の配置の自由度を高めることができる。
【0022】
電極端子11を線対称に配置することに伴い、電極端子11が配置されていない領域が拡大した第1電極端子11aと第2電極端子11bとの間に、金属パターン15が形成されている。金属パターン15は、第1電極端子11aおよび第2電極端子11bのそれぞれと離間するように形成されている。金属パターン15は、ダミーパターンとして形成されている。金属パターン15は、スペーサとして機能する。金属パターン15は、第1電極端子11aおよび第2電極端子11bのいずれにも電気的に接続されておらず、電位フリーとされる。金属パターン15は、第1ランド5aにおける第2ランド5bに近い側の端部の直下に位置する部分を含むように形成されている。
【0023】
電極端子11は、たとえば、銅箔の表面にメッキ層が形成された構造を有する。金属パターン15も、電極端子11と同様に、銅箔の表面にメッキ層が形成された構造を有する。ここでは、金属パターン15は、電極端子11と同じ材料(銅箔+メッキ層)から形成されている。
【0024】
第1電極端子11aおよび第2電極端子11bは、同じ厚さ(第1厚さ)を有する。第1電極端子11aおよび第2電極端子11bの厚さは、たとえば、数十μm程度とされる。金属パターン15も、電極端子11の厚さと同じ厚さ(第2厚さ)を有する。なお、同じ厚さとは、まったく同じ厚さであることを意図するものではなく、製造上のばらつき等が含まれる。
【0025】
メッキ層は、たとえば、ニッケルメッキ層と銀メッキ層とを含む。メッキ層を、たとえば、電解メッキによって銅箔の表面に形成する場合には、銅箔に電流を流す関係上、電極端子11および金属パターン15のそれぞれには、基材3の端にまで延在する部分を有する。これについては、後述する。
【0026】
実施の形態に係る発光装置1は、上記のように構成されている。上述した発光装置1では、金属パターン15が形成されていることで、リフレクタ17を成型する際に、ランド5(第1ランド5a)の表面に樹脂のバリが形成されるのを抑制することができる。これについては、発光装置1の製造方法において説明する。
【0027】
(発光装置の製造方法)
次に、上述した発光装置1の製造方法の一例について説明する。図4図5および図6に示すように、基材3となる基板2を用意する。基板2は、基材3の第1主面3aに対応する表面2aと、基材3の第2主面3bに対応する表面2bとを有する。基板2には、発光装置の基材となる領域(図4および図6に示す二点鎖線枠を参照)が複数規定されている。
【0028】
基板2の表面2aには、ランド5となるランドパターン4(第1パターン)が形成されている。ランドパターン4は、第1ランド5aおよび第2ランド5bを含む。ランドパターン4は、一の基材3となる領域(二点鎖線枠)に位置する部分と、その領域(二点鎖線枠)と隣り合う他の基材となる領域(図示せず)に位置する部分とが繋がるように形成されている。
【0029】
基板2の表面2bには、電極端子11となる電極端子パターン10(第2パターン)が形成されている。電極端子パターン10は、第1電極端子11aおよび第2電極端子11bを含む。電極端子パターン10は、一の基材3となる領域(二点鎖線枠)に位置する部分と、その領域(二点鎖線枠)と隣り合う他の基材となる領域(図示せず)に位置する部分とが、繋がるように形成されている。
【0030】
また、基板2の表面2bには、金属パターン15となる金属パターン14(第2パターン)とが形成されている。金属パターン14は、一の基材3となる領域(二点鎖線枠)に位置する部分と、その領域(二点鎖線枠)と隣り合う他の基材となる領域(図示せず)に位置する部分とが、繋がるように形成されている。
【0031】
ランドパターン4は、基板2の表面2aに形成された銅箔をパターニングした後、その銅箔の表面に電解メッキ処理を施すことによって形成される。電極端子パターン10および金属パターン14は、基板2の表面2bに形成された銅箔をパターニングした後、その銅箔の表面に電解メッキ処理を施すことによって形成される。
【0032】
このとき、一の基材となる領域と他の基材となる領域との間において、互いに繋がるように形成されたそれぞれの銅箔のパターンに電流を流すことによって、銅箔の表面にメッキ層が形成される。このため、基板2をダイシングした後では、電極端子11および金属パターン15のそれぞれには、基材3の端にまで延在する部分を有することになる。
【0033】
ランドパターン4と電極端子パターン10とは、スルーホール13を介して電気的に接続される。基板2の表面2b側(電極端子パターン10側)に、ランドパターン4を露出する開口部を形成した後、電解メッキ処理を施すことによって、ランドパターン4と電極端子パターン10とが電気的に接続される。
【0034】
次に、基板2の表面2a側にリフレクタ17を成型する。まず、上金型25と下金型23とを含む金型21を用意する(図7参照)。次に、図7に示すように、基板2の表面2bを下金型23に向けて、基板2を下金型23に載置する。このとき、電極端子パターン10と金属パターン14との双方が、下金型23に当接する。
【0035】
次に、電極端子パターン10および金属パターン14が、下金型23に当接した状態で、矢印に示すように、上金型25を下降させて基板2を押圧し、上金型25と下金型23とによって基板2を挟み込んだ状態にする。このとき、金型21は、たとえば、約180℃程度に加熱されている。
【0036】
次に、図8に示すように、基板2が上金型25と下金型23とによって挟み込まれた状態で、金型21のキャビティー22内に樹脂27を注入し、リフレクタ17を成型する。このとき、金属パターン14が形成されていることで、ランドパターン4の表面に、樹脂27のバリが形成されるのを抑制することができる。これについては、後述する。
【0037】
樹脂27等が冷却された後、金型21から基板2を取り出す。こうして、基板2の表面2aにリフレクタ17が成型される。次に、LED素子7を基板2に搭載する(図9参照)。図9に示すように、LED素子7を第1ランド5aとなるランドパターン4の部分に接合する(ダイボンド)。LED素子7は、リフレクタ17に取り囲まれた領域に位置することになる。
【0038】
次に、LED素子7とランドパターン4とを、ワイヤボンディングにより電気的に接続する。LED素子7のアノードと第1ランド5aとなるランドパターン4の部分とを、ワイヤ9aによって電気的に接続する。LED素子7のカソードと第2ランド5bとなるランドパターン4の部分とを、ワイヤ9bによって電気的に接続する。
【0039】
次に、図10に示すように、リフレクタ17に取り囲まれた領域に、封止樹脂19を充填することによって、LED素子7等を封止する。これにより、基板2に複数の発光装置が形成されることになる。その後、基板2をダイシングし、基板2に形成された複数の発光装置1を個片化することで、個々の発光装置1として完成する。
【0040】
上述した発光装置1の製造方法では、基板2(基材3)に金属パターン14が形成されていることで、ランドパターン4の表面に、樹脂27のバリが形成されるのを抑制することができる。これについて、比較例に係る発光装置と比べて説明する。
【0041】
図11に示すように、比較例に係る発光装置では、基板102の表面102aに、ランドパターン104が形成されている。基板102の表面102bに、電極端子パターン110が形成されている。アノード側の電極端子パターン110とカソード側の電極端子パターン110とは、距離を隔てて形成されており、アノード側の電極端子パターン110とカソード側の電極端子パターン110との間に、他のパターンは形成されていない。
【0042】
このため、下金型123と上金型125とによって基板102を挟み込んだ状態では、基板102と下金型123との間に隙間がある。この状態で、上金型125により基板102を押圧すると、基板102が下金型123に向かって撓んでしまう(矢印を参照)。基板102が撓むと、基板102の表面102aに形成されたランドパターン104と上金型125との間に隙間ができる。
【0043】
この状態で、キャビティー122内に樹脂127を注入すると、ランドパターン104と上金型125との隙間に樹脂127が入り込んでしまう。その結果、金型121から基板102を取り出した状態では、ランドパターン104の表面には、樹脂127のバリが残されることになる。ランドパターン104の表面に樹脂127のバリが残されると、LED素子7を実装する際に支障をきたすおそれがある。また、LED素子7とランドパターン104とをワイヤボンディングする際に支障をきたすおそれがある。
【0044】
比較例に係る発光装置に対して実施の形態に係る発光装置1では、第1電極端子11aとなる電極端子パターン10と第2電極端子11bとなる電極端子パターン10との間に、スペーサとなる金属パターン15(14)が形成されている。このため、リフレクタ17を成型する際には、電極端子パターン10とともに、金属パターン14が下金型23に当接した状態で、基板2(基材3)が上金型25によって押圧されて、上金型25と下金型23とによって基板2が挟み込まれた状態にされる。
【0045】
これにより、基板2が下金型23に向かって撓むのが阻止されて、上金型25とランドパターン4との間に隙間が生じるのを抑制することができる。その結果、ランドパターン4の表面に、樹脂が入り込むことがなくなり、ランドパターン4(第1ランド5a)の表面に樹脂27のバリが形成されるのを抑制することができる。ランドパターン4(第1ランド5a)の表面に樹脂27のバリが形成されないことで、LED素子7のランド5へのダイボンドとワイヤボンディングとを良好に行うことができる。
【0046】
(変形例1)
上述した発光装置1では、金属パターン15は、電極端子11の厚さ(第1厚さ)と同じ厚さ(第2厚さ)を有するように形成されている。金属パターン15の厚さとしては、電極端子11の厚さと同じ厚さに限られない。
【0047】
ここでは、変形例1として、金属パターン15が、電極端子11の厚さ(第1厚さ)よりも薄い厚さ(第3厚さ)を有する発光装置1の場合について説明する。
【0048】
図12に示すように、この場合には、リフレクタ17を成型する金型21として、金属パターン14(金属パターン15)に当接する下金型23の部分に、凸部24aが設けられた金型21を使用する。図12に示す点線枠W1内を拡大した構造を図13に示す。
【0049】
図13に示すように、ここで、電極端子パターン10(電極端子11)の厚さを厚さT1とし、金属パターン14(金属パターン15)の厚さを厚さT2(厚さT2<厚さT1)とし、下金型23の凸部24aの高さを高さT3とする。そうすると、高さT3は、厚さT1から厚さT2を差し引いた厚さ(厚さT1-厚さT2)に相当する高さに設定されている。
【0050】
このような下金型23を有する金型21を使用することで、リフレクタ17を成型する際に、基板2が下金型23に向かって撓むのを阻止することができる。その結果、前述したのと同様に、ランドパターン4(第1ランド5a)の表面に樹脂27のバリが形成されるのを抑制することができる。
【0051】
(変形例2)
次に、変形例2として、金属パターン15が、電極端子11の厚さ(第1厚さ)よりも厚い厚さ(第4厚さ)を有する発光装置1の場合について説明する。
【0052】
図14に示すように、この場合には、リフレクタ17を成型する金型21として、金属パターン14(金属パターン15)に当接する下金型23の部分に、凹部24bが設けられた金型21を使用する。図14に示す点線枠W2内を拡大した構造を図15に示す。
【0053】
図15に示すように、ここで、電極端子パターン10(電極端子11)の厚さを厚さT1とし、金属パターン14(金属パターン15)の厚さを厚さT4(厚さT4>厚さT1)とし、下金型23の凹部24bの深さを深さT5とする。そうすると、深さT5は、厚さT4から厚さT1を差し引いた厚さ(厚さT4-厚さT1)に相当する深さに設定されている。
【0054】
このような下金型23を有する金型21を使用することで、リフレクタ17を成型する際に、基板2が下金型23に向かって撓むのを阻止することができる。その結果、前述したのと同様に、ランドパターン4(第1ランド5a)の表面に樹脂27のバリが形成されるのを抑制することができる。
【0055】
(変形例3)
上述した各発光装置1における基板2として、銅箔に電解メッキ処理を施したランド5、電極端子11および金属パターン15が形成された基板2を例に挙げて説明した。
【0056】
基板2としては、銅箔に無電解メッキ処理を施したランド5、電極端115および金属パターン15が形成された基板2を適用してもよい。この場合には、ランド5となるランドパターン4、電極端子11となる電極端子パターン10、金属パターン15となる金属パターン14のそれぞれに電流を流す必要がない。
【0057】
このため、図4に示されるように、ランドパターン4としては、一の基材3となる領域(二点鎖線枠)に位置する部分と、その領域(二点鎖線枠)と隣り合う他の基材となる領域(図示せず)に位置する部分とが繋がるように形成する必要がなくなる。このため、図16に示すように、基材3の第1主面3aでは、基材3の端から内側に距離を隔てられた領域にランド5が形成された構造としてもよい。
【0058】
また、図6に示されるように、電極端子パターン10および金属パターン14としては、一の基材3となる領域(二点鎖線枠)に位置する部分と、その領域(二点鎖線枠)と隣り合う他の基材となる領域(図示せず)に位置する部分とが繋がるように形成する必要がなくなる。このため、図17に示すように、基材3の第2主面3bでは、基材3の端から内側に距離を隔てられた領域に、電極端子11と金属パターン15とが形成された構造としてもよい。
【0059】
(変形例4)
上述した各発光装置1として、LED素子7とランド5とを、ワイヤ9aとワイヤ9bとの2本のワイヤ9によって電気的に接続する構造を例に挙げた。LED素子7とランド5とを電気的に接続する構造としては、これに限られない。
【0060】
図18および図19に示すように、LED素子7のアノードを第1ランド5aに直接接合し、LED素子7のカソードと第2ランド5bとをワイヤ9bによって電気的に接続する構造としてもよい。なお、基材3の第2主面3bにおける電極端子11および金属パターン15については、たとえば、図3に示される構造と同じである。
【0061】
変形例を含む上述した各発光装置1では、発光素子としてLED素子7を例に挙げて説明した。発光素子としてはLED素子7に限られない。LED素子7の他に、たとえば、垂直共振器型面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ等についても適用することが可能である。
【0062】
なお、実施の形態において説明した発光装置とその製造方法については、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
【0063】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本開示は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0064】
なお、本開示は、以下の態様を含む。
(付記1)
対向する第1主面および第2主面を有する基材と、
前記基材の前記第1主面に、互いに離間する態様で形成された第1ランドおよび第2ランドと、
前記基材の前記第2主面に形成され、前記第1ランドと電気的に接続された第1電極端子と、
前記基材の前記第2主面に、前記第1電極端子と離間する態様で形成され、前記第2ランドと電気的に接続された第2電極端子と、
前記第1ランドに搭載された発光素子と、
前記基材の前記第1主面に、前記発光素子を取り囲むように形成されたリフレクタと、
前記基材の前記第2主面における、互いに離間する前記第1電極端子と前記第2電極端子との間に、前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれと離間するように形成された金属パターンと
を備えた、発光装置。
【0065】
(付記2)
前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれは、第1厚さを有し、
前記金属パターンは、前記第1厚さと同じ第2厚さを有する、付記1記載の発光装置。
【0066】
(付記3)
前記金属パターンは、前記第1電極端子および前記第2電極端子の材料と同じ材料から形成された、付記2記載の発光装置。
【0067】
(付記4)
前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれは、第1厚さを有し、
前記金属パターンは、前記第1厚さよりも薄い第3厚さを有する、付記1記載の発光装置。
【0068】
(付記5)
前記第1電極端子および前記第2電極端子のそれぞれは、第1厚さを有し、
前記金属パターンは、前記第1厚さよりも厚い第4厚さを有する、付記1記載の発光装置。
【0069】
(付記6)
前記第1電極端子、前記第2電極端子および前記金属パターンのそれぞれは、前記第2主面を平面視した状態で、前記基材の端にまで達するように延在する部分を含む、付記1~5のいずれか1項に記載の発光装置。
【0070】
(付記7)
前記第1電極端子、前記第2電極端子および前記金属パターンのそれぞれは、前記第2主面を平面視した状態で、前記基材の端から前記基材の内側に向かって距離を隔てられた位置に形成された、付記1~5のいずれか1項に記載の発光装置。
【0071】
(付記8)
前記基材は、一方向に距離を隔てて対向する第1端部と第2端部とを有し、
前記第1ランドは、前記第1主面において、前記第1端部が位置する側から前記第2端部が位置する側に向かって形成され、
前記第2ランドは、前記第1主面において、前記第2端部が位置する側から前記第1端部が位置する側に向かって、前記第1ランドが前記第2ランドよりも大きくなる態様で形成され、
前記金属パターンは、前記第1ランドにおける前記第2ランドに近い端部の直下に位置する部分を含むように形成された、付記1~7のいずれか1項に記載の発光装置。
【0072】
(付記9)
前記第1電極端子と前記第2電極端子とは、前記基材の前記第2主面において線対称になるように形成された、付記1~8のいずれか1項に記載の発光装置。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示は、リフレクタを備えた発光装置に有効に利用される。
【符号の説明】
【0074】
1 発光装置、3 基材、3a 第1主面、3b 第2主面、33a 第1端部、33b 第2端部、5 ランド、5a 第1ランド、5b 第2ランド、7 LED素子、9、9a、9b ワイヤ、11 電極端子、11a 第1電極端子、11b 第2電極端子、13 スルーホール、13a 第1スルーホール、13b 第2スルーホール、15 金属パターン、17 リフレクタ、19 封止樹脂、2 基板、2a、2b 表面、4 ランドパターン、10 電極端子パターン、14 金属パターン、21 金型、22 キャビティー、23 下金型、24a 凸部、24b 凹部、25 上金型、27 樹脂、29 封止樹脂、T1、T2、T4 厚さ、T3 高さ、T5 深さ、W1、W2 点線枠。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19