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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006016
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ノズルキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65D47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106547
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰士
(72)【発明者】
【氏名】荻島 敦子
(72)【発明者】
【氏名】坂本 敬之
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB01
3E084AB07
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB17
3E084DC04
3E084DC05
3E084EC04
3E084EC05
3E084FA09
3E084FB02
3E084FB03
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB01
3E084HD04
3E084JA07
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
3E084LF02
(57)【要約】
【課題】生産効率の向上およびコスト減に寄与できるノズルキャップを提供する。
【解決手段】内容物を収容する容器の口部に着脱可能に装着されるノズルキャップである。口部に嵌合する上下方向に延びる中心軸を中心とする筒状の内筒部と、内筒部の下側に設けられた底壁部と、底壁部から上方に突出し、内容物の注出を案内する樋状のノズルと、を備える。内筒部は、第1の容器における第1の口部に嵌合可能な第1嵌合部と、第1の容器とは異なる第2の容器における、第1の口部とは少なくとも一部の形状が異なる第2の口部に嵌合可能であり、第1嵌合部と上下方向に離れて配置された第2嵌合部と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器の口部に着脱可能に装着されるノズルキャップであって、
前記口部に嵌合する上下方向に延びる中心軸を中心とする筒状の内筒部と、
前記内筒部の下側に設けられた底壁部と、
前記底壁部から上方に突出し、前記内容物の注出を案内する樋状のノズルと、
を備え、
前記内筒部は、
第1の容器における第1の口部に嵌合可能な第1嵌合部と、
前記第1の容器とは異なる第2の容器における、前記第1の口部とは少なくとも一部の形状が異なる第2の口部に嵌合可能であり、前記第1嵌合部と上下方向に離れて配置された第2嵌合部と、
を有することを特徴とするノズルキャップ。
【請求項2】
前記第1嵌合部は、前記第2嵌合部よりも上側に位置し、
前記第1嵌合部の前記中心軸を中心とする径方向の厚さ寸法は、前記第2嵌合部の前記径方向の厚さ寸法と同じ、もしくは前記第2嵌合部の前記径方向の厚さ寸法よりも大きい、
請求項1に記載のノズルキャップ。
【請求項3】
前記第1嵌合部における上端は、前記内筒部における上端の位置から下側に0.6mm以上、1.2mm以下の位置にあり、
前記第1嵌合部の上下方向の寸法は、1.2mm以上、2.8mm以下であり、
前記第2嵌合部における上端は、前記第1嵌合部における下端の位置から下側に0.6mm以上、1.4mm以下の位置にあり、
前記第2嵌合部の上下方向の寸法は、1.6mm以上、3.4mm以下である、
請求項2に記載のノズルキャップ。
【請求項4】
前記第1嵌合部の前記厚さ寸法は、0.8mm以上、2.6mm以下であり、
前記第2嵌合部の前記厚さ寸法は、前記第1嵌合部の前記厚さ寸法と同じ、もしくは前記第1嵌合部の前記厚さ寸法よりも0.2mm以上、0.8mm以下の範囲で薄い、
請求項2に記載のノズルキャップ。
【請求項5】
前記第1の口部は、外周側に第1雄ねじ部を有し、
前記第2の口部は、外周側に第2雄ねじ部を有し、
前記内筒部に対して、前記中心軸を中心とする径方向の外側に離れて配置された外筒部を有し、
前記外筒部は、前記径方向の内側に前記第1雄ねじ部および前記第2雄ねじ部とそれぞれ噛み合うことが可能な雌ねじ部を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のノズルキャップ。
【請求項6】
前記外筒部は、前記雌ねじ部よりも上側の位置において内周面から前記径方向の内側に突出して前記第2の口部を前記径方向の外側から支持する支持突部を有する、
請求項5に記載のノズルキャップ。
【請求項7】
前記支持突部は、前記中心軸を中心とする周方向に間隔をあけて複数配置されている、
請求項6に記載のノズルキャップ。
【請求項8】
前記支持突部の最大突出量は、0.08mm以上、0.2mm以下である、
請求項6に記載のノズルキャップ。
【請求項9】
前記第1の容器は、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂のいずれか一方で形成され、
前記第2の容器は、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成される、
請求項6に記載のノズルキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等の液状物や、粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等の粉粒物を収納する容器では、ノズルを有し容器としてのボトル容器の口部に装着されるノズルキャップと、ノズルから注出される内容物を計量する計量筒部を有し、容器に着脱自在に装着される計量キャップとを有するものがある。
【0003】
上記のノズルキャップにおいては、内筒部のシール領域がボトル容器の口部における内周面に接することで液シールを行っている(例えば、特許文献1)。消費財であるボトル容器の素材としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等が多く用いられている。
【0004】
ボトル容器がポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されている場合、高温(例えば、40℃)で保存すると、口部が拡がり液漏れが生じる可能性がある。そのため、口部において先端側よりも拡がりが比較的少ない基部側の内周面にノズルキャップの内筒部が接して液漏れを抑制できるように、内筒部のシール領域は口部の基部側と径方向に対向する範囲まで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-209248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内容物の特性に応じてボトル容器の素材として、ポリエチレンテレフタレート樹脂ではなくポリエチレン樹脂等の他の樹脂を用いる場合、ポリエチレンテレフタレート樹脂を想定した上記のノズルキャップでは、口部と接するシール領域が長くなる。この場合、工場において、ボトル容器にノズルキャップをキャッピングする際のキャッピングトルクが大きくキャッピングに支障を来す可能性がある。
【0007】
そこで、ポリエチレンテレフタレート樹脂以外の樹脂を想定したノズルキャップを開発することも考えられるが、金型投資が必要になるだけでなく、製品生産時に使用する樹脂に応じた生産条件や生産設備に切り替える必要性がある。そのため、生産効率の低下およびコスト増を招くという問題が生じる。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、素材が異なるボトル容器に対して嵌合可能であるノズルキャップにより生産効率の向上およびコスト減に寄与するノズルキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は下記の態様を有する。
[1]内容物を収容する容器の口部に着脱可能に装着されるノズルキャップであって、前記口部に嵌合する上下方向に延びる中心軸を中心とする筒状の内筒部と、前記内筒部の下側に設けられた底壁部と、前記底壁部から上方に突出し、前記内容物の注出を案内する樋状のノズルと、を備え、前記内筒部は、第1の容器における第1の口部に嵌合可能な第1嵌合部と、前記第1の容器とは異なる第2の容器における、前記第1の口部とは少なくとも一部の形状が異なる第2の口部に嵌合可能であり、前記第1嵌合部と上下方向に離れて配置された第2嵌合部と、を有することを特徴とするノズルキャップ。
[2]前記第1嵌合部は、前記第2嵌合部よりも上側に位置し、前記第1嵌合部の前記中心軸を中心とする径方向の厚さ寸法は、前記第2嵌合部の前記径方向の厚さ寸法と同じ、もしくは前記第2嵌合部の前記径方向の厚さ寸法よりも大きい、[1]に記載のノズルキャップ。
[3]前記第1嵌合部における上端は、前記内筒部における上端の位置から下側に0.6mm以上、1.2mm以下の位置にあり、前記第1嵌合部の上下方向の寸法は、1.2mm以上、2.8mm以下であり、前記第2嵌合部における上端は、前記第1嵌合部における下端の位置から下側に0.6mm以上、1.4mm以下の位置にあり、前記第2嵌合部の上下方向の寸法は、1.6mm以上、3.4mm以下である、[2]に記載のノズルキャップ。
[4]前記第1嵌合部の前記厚さ寸法は、0.8mm以上、2.6mm以下であり、前記第2嵌合部の前記厚さ寸法は、前記第1嵌合部の前記厚さ寸法と同じ、もしくは前記第1嵌合部の前記厚さ寸法よりも0.2mm以上、0.8mm以下の範囲で薄い、[2]または[3]に記載のノズルキャップ。
[5]前記第1の口部は、外周側に第1雄ねじ部を有し、前記第2の口部は、外周側に第2雄ねじ部を有し、前記内筒部に対して、前記中心軸を中心とする径方向の外側に離れて配置された外筒部を有し、前記外筒部は、前記径方向の内側に前記第1雄ねじ部および前記第2雄ねじ部とそれぞれ噛み合うことが可能な雌ねじ部を有する、[1]から[4]のいずれか一項に記載のノズルキャップ。
[6]前記外筒部は、前記雌ねじ部よりも上側の位置において内周面から前記径方向の内側に突出して前記第2の口部を前記径方向の外側から支持する支持突部を有する、[5]に記載のノズルキャップ。
[7]前記支持突部は、前記中心軸を中心とする周方向に間隔をあけて複数配置されている、[6]に記載のノズルキャップ。
[8]前記支持突部の最大突出量は、0.08mm以上、0.2mm以下である、[6]または[7]に記載のノズルキャップ。
[9]前記第1の容器は、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂のいずれか一方で形成され、前記第2の容器は、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成される、[6]から[8]のいずれか一項に記載のノズルキャップ。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、素材が異なるボトル容器に対して嵌合可能である。そのため、生産効率の向上およびコスト減に寄与するノズルキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態を示す図であって、ノズルキャップ4が容器2に装着された収容体1における正立状態の頂部の縦断面図である。
図2】内筒部13および外筒部11を拡大した部分断面図である。
図3】中心軸方向で支持突部8の位置における中心軸Cと直交する外筒部11の断面図である。
図4】第1の容器2Aにおける第1の口部3Aにノズルキャップ4が嵌合して液密にシールされた内筒部13および外筒部11を拡大した部分断面図である。
図5】第2の容器2Bにおける第2の口部3Bにノズルキャップ4が嵌合して液密にシールされた内筒部13および外筒部11を拡大した部分断面図である。
図6】変形例のノズルキャップ4における内筒部13および外筒部11を拡大した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のノズルキャップの実施の形態を、図1から図5を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0013】
図1は、本発明のノズルキャップ4が容器2に装着された収容体1における正立状態の頂部の縦断面図である。
収容体1は、容器2とノズルキャップ4と計量キャップ6とを備えている。
【0014】
容器2は、内容物を収容するボトル状である。容器2は、内容物を収容するための収容空間2aを有している。内容物としては、例えば、衣類用洗浄剤(液体または粉末)、液体漂白剤、柔軟剤、食器洗い乾燥機用洗剤、液体洗口剤などが挙げられ、衣類用液体洗浄剤、柔軟剤が好ましい。
【0015】
容器2は、口部3を有する。
口部3は、上下方向に沿う円筒状をなし、容器2の収容空間2aを前記正立状態の上方に開放させる。口部3は、外周側に雄ねじ部5を有する。この口部3に概略有底筒状のノズルキャップ4が上方から装着されるとともに、このノズルキャップ4に概略有蓋筒状の計量キャップ6が上方から装着される。口部3、ノズルキャップ4及び計量キャップ6は、正立状態の上下方向に沿う中心軸Cを共有する。
【0016】
以下の説明では、中心軸Cに沿った方向を中心軸方向、中心軸Cと直交する方向を径方向、中心軸Cを中心とする軸周り方向を周方向と適宜称する。また、中心軸方向における一端側であって、容器2におけるノズルキャップ4が設けられる側を上側(ボトル上方)、容器2が設けられる側を下側(ボトル下方)と適宜称して説明する。
【0017】
容器2は、樹脂で形成される。容器2を構成する樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートが挙げられ、高密度ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートが好ましい。容器2の生産方法は、ブロー成形や延伸ブロー成形、射出ブロー成形で成形される。
【0018】
ノズルキャップ4は、外筒部11とフランジ部12と内筒部13と底壁部14とノズル15と外口部16とを有する。外筒部11は、中心軸Cを中心とする円筒状である。
図2は、内筒部13および外筒部11を拡大した部分断面図である。
図2に示すように、外筒部11は、内筒部13に対して径方向の外側に離れて配置される。外筒部11は、内周面11aに雌ねじ部7と支持突部8とを有する。雌ねじ部7は、内周面11aから径方向の外側に窪んで形成されている。雌ねじ部7は、口部3における雄ねじ部5と噛み合う。雌ねじ部7が雄ねじ部5と噛み合うことで、ノズルキャップ4は、容器2の口部3に着脱可能に装着される。
【0019】
支持突部8は、雌ねじ部7よりも上側に位置する。支持突部8は、内周面11aから径方向の内側に突出する。支持突部8は、ノズルキャップ4が容器2の口部3に装着されたときに、口部3の上側に径方向の外側から対向する。図3は、中心軸方向で支持突部8の位置における中心軸Cと直交する外筒部11の断面図である。図3に示すように、支持突部8は、中心軸Cを中心とする周方向に間隔をあけて複数(図3では、6箇所)配置されている。支持突部8は、ノズルキャップ4が容器2の口部3に装着されたときに、口部3の上側を径方向の外側から支持可能である。
【0020】
例えば、容器2がポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されている場合、高温の内容物が容器2に収容されると、口部3が拡がる。このとき、支持突部8が径方向の外側から口部3に対向して支持することで、口部3の拡がりを抑えることができる。口部3の拡がりは、上側において大きくなるため、支持突部8が口部3の上側で対向して支持することで、効果的に口部3の拡がりを抑えることができる。
【0021】
また、支持突部8が周方向の全体に亘って設けられている場合、ノズルキャップ4を口部3に装着する際のキャッピングトルクが大きくなるが、本実施形態では支持突部8が周方向に間隔をあけて配置され、口部3との接触が局所的になるため、キャッピングトルクが過度に大きくなることを抑制できる。
【0022】
上記の効果を奏するために、外筒部11における支持突部8の最大突出量としては、0.08mm以上、0.2mm以下であることが好ましく、0.10mm以上、0.18mm以下であることがより好ましく、本実施形態の一例として、0.12mmである。
支持突部8の最大突出量は、外筒部11の内周面11aを起点とし、支持突部8における最も径方向の内側の位置までの距離である。
上記の効果を奏するために、支持突部8の箇所数としては、2箇所以上、10箇所以下で点在することが好ましく、4箇所以上、8箇所以下で点在することがより好ましい。
【0023】
フランジ部12は、外筒部11における上側の端部から径方向の内側に延びる。内筒部13は、フランジ部12における径方向の内側の端部から下側に延びる。内筒部13は、外筒部11が口部3に装着されたときに、口部3の内部に挿入される。
【0024】
内筒部13は、第1嵌合部13Aと第2嵌合部13Bとを有する。
図2に示すように、第1嵌合部13Aは、内筒部13における上端近傍の外周側に全周に亘って設けられている。第1嵌合部13Aは、ノズルキャップ4が容器2の口部3に装着されたときに、口部3の上側に径方向の内側から対向する。第1嵌合部13Aは、口部3に径方向の内側から接して嵌合したときに、口部3を全周に亘って液密にシール可能である。第1嵌合部13Aが口部3を全周に亘って径方向の内側から液密にシールすることで、容器2の収容空間2aに収容された内容物が漏れることを抑制できる。
【0025】
第2嵌合部13Bは、内筒部13において第1嵌合部13Aと上下方向に離れて配置されている。第2嵌合部13Bは、内筒部13における第1嵌合部13Aよりも下側の外周側に全周に亘って設けられている。第2嵌合部13Bの一部は、ノズルキャップ4が容器2の口部3に装着されたときに、口部3の上側のうち第1嵌合部13Aと対向する領域よりも下側の領域に径方向の内側から対向する。第2嵌合部13Bは、口部3と対向する位置に突起13Cを有する。突起13Cは、第2嵌合部13Bから径方向の外側に突出する断面円弧状である。突起13Cの突出量は、0.01mm以上、0.15mm以下であることが好ましく、0.04mm以上、0.10mm以下であることがより好ましく、本実施形態では一例として、0.05mmである。第2嵌合部13Bおよび突起13Cは、口部3に径方向の内側から接して嵌合したときに、口部3を全周に亘って液密にシール可能である。第2嵌合部13Bおよび突起13Cが口部3を全周に亘って径方向の内側から液密にシールすることで、容器2の収容空間2aに収容された内容物が漏れることを抑制できる。
【0026】
第2嵌合部13Bの外径は、第1嵌合部13Aの外径よりも小さい。第2嵌合部13Bの外径が第1嵌合部13Aの外径よりも小さいことで、第2嵌合部13Bの周長は、第1嵌合部13Aの周長よりも短くなる。そのため、ノズルキャップ4を口部3に装着する際のキャッピングトルクは、第2嵌合部13Bが口部3に嵌合したときが第1嵌合部13Aが口部3に嵌合したときよりも小さくできる。
【0027】
第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法は、第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法と同じ、もしくは第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法よりも小さい。つまり、第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法は、第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法と同じ、もしくは第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法よりも大きい。第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法を第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法と同じとすることで、第2嵌合部13Bの径方向の剛性が高まる。そのため、高温保存により第2の口部3Bが拡がった際に、第2嵌合部13Bと第2の口部3Bの第2部分10との嵌合部における密着力を大きくして液漏れをより抑制できる。また、第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法が、第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法よりも大きいことで、内筒部13よりも上側にゲート部を設けたときに、第1嵌合部13Aを成形するキャビティの寸法が第2嵌合部13Bを成形するキャビティの寸法よりも大きくなり、射出成形時に第1嵌合部13Aを成形するキャビティから第2嵌合部13Bを成形するキャビティに溶融した樹脂を円滑に流動させることができる。
【0028】
第1嵌合部13Aにおける上端の位置H1は、内筒部13における上端の位置H0から下側に0.6mm以上、1.2mm以下の位置にあることが好ましく、0.8mm以上、1.0mm以下の位置にあることがより好ましく、本実施形態では一例として、0.9mmの位置である。上端の位置H1から下端の位置H2までの第1嵌合部13Aの中心軸方向(上下方向)の寸法は、1.2mm以上、2.8mm以下であることが好ましく、1.6mm以上、2.4mm以下であることがより好ましく、本実施形態では一例として、2.0mmである。
【0029】
第2嵌合部13Bにおける上端の位置H3は、第1嵌合部13Aにおける下端の位置H2から下側に0.6mm以上、1.4mm以下の位置にあることが好ましく、0.8mm以上、1.2mm以下の位置にあることがより好ましく、本実施形態では一例として、1.0mmの位置である。上端の位置H3から下端の位置H4までの第2嵌合部13Bの中心軸方向の寸法は、1.6mm以上、3.4mm以下であることが好ましく、2.0mm以上、3.0mm以下であることがより好ましく、本実施形態では一例として、2.5mmである。
【0030】
第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法は、0.8mm以上、2.6mm以下であることが好ましく、1.2mm以上、2.2mm以下であることがより好ましく、本実施形態では一例として、1.3mmである。
第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法は、第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法よりも0.2mm以上、0.8mm以下の範囲で薄いことが好ましく、0.4mm以上、0.6mm以下の範囲で薄いことがより好ましく、本実施形態では一例として、0.5mm薄い0.8mmの厚さ寸法である。また、第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法が第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法と同じ寸法も好ましく、本実施形態の一例として1.3mmの厚さ寸法である。
【0031】
図1に戻り、底壁部14は、内筒部13の下側に設けられている。底壁部14は、上側に開いたV字状に形成された傾斜面14aを有する。ノズル15は、底壁部14の一方の傾斜面14aから上方に延び、内容物の注出を案内する。ノズル15は、U字状の断面形状を有する樋状に形成されている。断面U字状をなすノズル15の内部は、底壁部14に形成された連通部14bによって、容器2の収容空間2aと連通している。
【0032】
外口部16は、フランジ部12における径方向の内側の端部から上方に延びる円筒状である。外口部16は、外周側に雄ねじ部17を有する。
【0033】
ノズルキャップ4は、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等の樹脂で形成されており、ポリプロピレンが好ましい。また、ノズルキャップ4は、射出成形により一体成形されている。
【0034】
計量キャップ6は、上方からノズル15を収容するように内筒部13および外口部16内に入り込む有蓋円筒状の計量筒部41と、計量筒部41における中心軸方向の中間部の径方向の外側に離間して設けられ、ノズルキャップ4の外口部16における雄ねじ部17と噛み合う雌ねじ部18を有する円筒状の螺着部42と、計量筒部41の中心軸C方向の中途から径方向外側に突出し螺着部42の上端縁部に接続されるフランジ部43と、フランジ部43における径方向の内側から下方に延びる円筒状のキャップ側シール部25と、を有する。
【0035】
雌ねじ部18が雄ねじ部17と噛み合い、計量キャップ6がノズルキャップ4に装着されたときに、キャップ側シール部25は、ノズルキャップ4における外口部16を径方向の内側から液密に封止する。
【0036】
計量キャップ6は、例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系の熱可塑性合成樹脂を用いた射出成形により形成されている。ポリプロピレン樹脂を用いた場合には、成形性・内容物適性にも優れており、透明性のある樹脂を用いて成形できるため、計量性に優れた計量キャップが製造できる。
【0037】
上記構成のノズルキャップ4は、第1の容器における第1の口部と、第1の容器とは異なる第2の容器における、第1の口部とは少なくとも一部の形状が異なる第2の口部にそれぞれ嵌合し、着脱可能に装着される。
【0038】
[ノズルキャップ4と第1の容器の嵌合]
図4は、第1の容器2Aにおける第1の口部3Aにノズルキャップ4が嵌合して液密にシールされた内筒部13および外筒部11を拡大した部分断面図である。
第1の容器2Aは、一例として、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂のいずれか一方で形成されている。本実施形態の第1の容器2Aは、ポリエチレン樹脂で形成されている。
【0039】
図4に示すように、第1の口部3Aの内周面は、同一径で中心軸方向に延びている。第1の口部3Aは、上側において径方向内側から第1嵌合部13Aと嵌合し液密にシールされている。第1の口部3Aは、第2嵌合部13Bに対して径方向の外側に離れている。第1の口部3Aは、支持突部8に対して径方向の内側に離れている。第1の口部3Aは、外周側に第1雄ねじ部5Aを有している。第1雄ねじ部5Aは、外筒部11における雌ねじ部7と噛み合う。第1雄ねじ部5Aが雌ねじ部7と噛み合うことで、ノズルキャップ4は、第1の容器2Aにおける第1の口部3Aに着脱可能に装着される。
【0040】
[ノズルキャップ4と第2の容器の嵌合]
図5は、第2の容器2Bにおける第2の口部3Bにノズルキャップ4が嵌合して液密にシールされた内筒部13および外筒部11を拡大した部分断面図である。
本実施形態の第2の容器2Bは、一例として、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されている。
【0041】
図5に示すように、第2の口部3Bの内周面は、第1部分9と第2部分10とを有する。第1部分9は、中心軸方向の上側に位置する。第2部分10は、第1部分9よりも下側に位置する。第2の口部3Bは、第1嵌合部13Aに対して径方向の外側に離れている。第2の口部3Bの内周面は、第2部分10において径方向内側から第2嵌合部13Bおよび突起13Cと嵌合し液密にシールされている。ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成された第2の口部3Bは、高温で保存すると第2の口部3Bが拡がるが、第2の口部3Bの拡がりが比較的小さい下側で第2嵌合部13Bおよび突起13Cと嵌合することで液漏れを生じづらくできる。
【0042】
また、第1嵌合部13Aの径方向の厚さと、第2嵌合部13Bの径方向の厚さが同じ場合、ノズルキャップ4を装着する際のキャッピングトルクは、第2の口部3Bがポリエチレン樹脂で形成されたときよりもポリエチレンテレフタレート樹脂で形成されたときが大きくなる。本実施形態では、第2嵌合部13Bの径方向の厚さが第1嵌合部13Aの径方向の厚さよりも薄く、さらに、第2嵌合部13Bの周長が第1嵌合部13Aの周長よりも短いため、キャッピングトルクを同程度に抑えることができる。これにより、樹脂切り替えに伴う生産条件の切り替えが不要となる。
【0043】
第2の口部3Bにおける上側の外周面は、支持突部8によって径方向の外側から支持される。第2の口部3Bにおける上側の外周面が支持突部8によって径方向の外側から支持されることで、高温で保存された際にも第2の口部3Bの拡がりに起因する液漏れを抑制できる。このとき、第2の口部3Bにおける上側の内周面は、第1嵌合部13Aと径方向に離れているため、ノズルキャップ4を装着する際のキャッピングトルクの上昇を抑えることができる。
【0044】
第2の口部3Bは、外周側に第2雄ねじ部5Bを有している。第2雄ねじ部5Bは、外筒部11における雌ねじ部7と噛み合う。第2雄ねじ部5Bが雌ねじ部7と噛み合うことで、ノズルキャップ4は、第2の容器2Bにおける第2の口部3Bに着脱可能に装着される。すなわち、外筒部11における雌ねじ部7は、第1の口部3Aにおける第1雄ねじ部5Aと、第2の口部3Bにおける第2雄ねじ部5Bとそれぞれ噛み合うことが可能であり、第1の口部3Aおよび第2の口部3Bで共用できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のノズルキャップ4では、第1の容器2Aにおける第1の口部3Aに嵌合可能な第1嵌合部13Aと、第1の容器2Aとは異なる第2の容器2Bにおける第2の口部3Bに嵌合可能であり、第1嵌合部13Aと上下方向に離れて配置された第2嵌合部13Bとを有するため、ポリエチレン樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂等、素材となる樹脂が異なる複数種の容器に対して、着脱可能に装着して液密にシールすることができる。そのため、本実施形態のノズルキャップ4では、複数種の容器に対して共用することが可能となり、容器として使用する樹脂毎にノズルキャップ4を開発する必要がなくなり、生産効率の向上およびコスト減に寄与できる。
【0046】
また、本実施形態のノズルキャップ4では、第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法が、第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法よりも大きいため、射出成形時に第1嵌合部13Aを成形するキャビティから第2嵌合部13Bを成形するキャビティに溶融した樹脂を円滑に流動させることができる。一方、本実施形態のノズルキャップ4では、第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法が、第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法と同じ、もしくは第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法よりも小さいため、第2の口部3Bがポリエチレン樹脂で形成された場合と、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成された場合で、ノズルキャップ4を装着する際のキャッピングトルクを同程度に抑えることができ、樹脂切り替えに伴う生産条件の切り替えを不要にできる。
【0047】
また、本実施形態のノズルキャップ4では、外筒部11が径方向の内側に突出して第2の口部3Bを径方向の外側から支持する支持突部8を有するため、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成された第2の口部3Bを高温で保存した場合でも、口部3の拡がりを抑えることができる。さらに、本実施形態のノズルキャップ4では、支持突部8が周方向に間隔をあけて複数配置されているため、第2の口部3Bとの接触が局所的になり、ノズルキャップ4を装着する際のキャッピングトルクが過度に大きくなることを抑制することができる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態では、第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法が、第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法よりも小さい構成を例示(径方向の厚さ寸法0.8mm)したが、この構成に限定されない。図6に変形例として示すように、第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法が第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法と同じであってもよい。本実施形態では一例として、1.3mmの厚さ寸法である。
第2嵌合部13Bの径方向の厚さ寸法を第1嵌合部13Aの径方向の厚さ寸法と同じとすることで、第2嵌合部13Bの径方向の剛性が高まる。そのため、高温保存により第2の口部3Bが拡がった際に、第2嵌合部13Bと第2の口部3Bの第2部分10との嵌合部における密着力を大きくして液漏れをより抑制できる。
【0050】
また、上記実施形態では、容器2がポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂で形成される構成を例示したが、この構成に限定されない。本実施形態のノズルキャップ4は、保存条件によって口部3の拡がり特性に差が生じる複数種の樹脂に広く適用可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、第1の口部3Aを有する第1の容器2Aと、第2の口部3Bを有する第2の容器2Bに対応して、ノズルキャップ4が第1嵌合部13Aおよび第2嵌合部13Bの2つの嵌合部を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、3種以上の口部を有する容器に対応して、ノズルキャップ4が中心軸方向に離れて配置された3つ以上の嵌合部を有する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
2…容器、 2A…第1の容器、 2B…第2の容器、 3…口部、 3A…第1の口部、 3B…第2の口部、 4…ノズルキャップ、 5A…第1雄ねじ部、 5B…第2雄ねじ部、 7…雌ねじ部、 8…支持突部、 11…外筒部、 11a…内周面、 13…内筒部、 13A…第1嵌合部、 13B…第2嵌合部、 14…底壁部、 15…ノズル、 C…中心軸、 H0…内筒部における上端の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6