(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060167
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】押出し成形体,ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B29C 44/00 20060101AFI20240424BHJP
B60J 10/16 20160101ALI20240424BHJP
B60J 10/75 20160101ALI20240424BHJP
B29C 48/12 20190101ALI20240424BHJP
B29K 23/00 20060101ALN20240424BHJP
B29K 309/00 20060101ALN20240424BHJP
B29K 105/18 20060101ALN20240424BHJP
【FI】
B29C44/00 E
B60J10/16
B60J10/75
B29C48/12
B29K23:00
B29K309:00
B29K105:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167335
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】林田 聡美
(72)【発明者】
【氏名】猪又 健太
【テーマコード(参考)】
3D201
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201BA01
3D201CA17
3D201CA31
3D201DA08
3D201DA31
3D201DA63
3D201EA05A
3D201FA04
4F207AA11
4F207AA45
4F207AB02
4F207AB11
4F207AB16
4F207AB19
4F207AB24
4F207AG03
4F207AG20
4F207AH23
4F207KA01
4F207KA11
4F207KA20
4F207KB27
4F207KK01
4F207KK04
4F207KL65
4F214AA11
4F214AA45
4F214AB02
4F214AB11
4F214AB16
4F214AB19
4F214AB24
4F214AG03
4F214AG20
4F214AH23
4F214UA11
4F214UB02
4F214UB27
4F214UC03
4F214UN01
4F214UN04
4F214UP65
(57)【要約】
【課題】軽量化に貢献、かつ所望の剛性や線膨張率を得られ易くすることが可能な押出し成形体,ウェザーストリップを提供する。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂組成物に板状粒子の無機充填剤および発泡剤が配合された混練物を押出し成形し、当該押出し成形により前記発泡剤を発泡させて押出し成形体を得る。前記混練物は、前記ポリプロピレン樹脂組成物と前記無機充填剤との重量比であるポリプロピレン樹脂組成物/無機充填剤が50/50~95/5の範囲内とする。前記押出し成形体から成り、自動車の車体に対して嵌合自在な取付基部1と、熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得た熱可塑性エラストマー成形体から成り、ドアパネルに設けられているドアガラスGに対して弾接自在な弾性部2,3と、によりウェザーストリップWを構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン樹脂組成物に板状粒子の無機充填剤および発泡剤が配合された混練物を押出し成形して成り、当該押出し成形により前記発泡剤が発泡されている押出し成形体であって、
前記混練物は、前記ポリプロピレン樹脂組成物と前記無機充填剤との重量比であるポリプロピレン樹脂組成物/無機充填剤が50/50~95/5の範囲内であることを特徴とする押出し成形体。
【請求項2】
前記発泡剤は、マイクロカプセル,有機発泡剤,超臨界流体発泡剤のうち何れかであることを特徴とする請求項1記載の押出し成形体。
【請求項3】
前記発泡剤の発泡により前記押出し成形体内に形成されている発泡セルのセル径は、50μm~200μmの範囲内であることを特徴とする請求項2記載の押出し成形体。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の押出し成形体を備えて成り、当該押出し成形体が車体に組み付けられることを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項5】
前記押出し成形体から成り、自動車の車体の一部であるドアパネルに対して嵌合自在な取付基部と、
熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得た熱可塑性エラストマー成形体から成り、ドアパネルに設けられているドアガラスに対して弾接自在な弾性部と、
を備えていることを特徴とする請求項4記載のウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出し成形体,ウェザーストリップに係るものであって、例えば自動車の車体に取り付けられるウェザーストリップ(例えばドアウエストに取り付けられるウェザーストリップ)等に適用可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の車体に組み付けられるウェザーストリップ(例えばドアウエストのウェザーストリップ)等の押出し成形体は、当該自動車の燃費向上等に貢献できるように、軽量化を図ることが求められている。
【0003】
軽量化の一例として、押出し成形体の断面形状を縮小設計する手法があるが、当該押出し成形体の取り付け箇所(例えば車体等に対して嵌合するように取り付け自在な箇所;以下、単に取付箇所と適宜称する)に対する追従性(例えば取り付け性)等が損なわれるおそれがある。この場合、取付箇所自体を設計変更して対応することも考えられるが、当該設計変更は車体の高コスト化等を招くことになるため、現実的ではない。したがって、押出し成形体の断面形状を縮小設計する手法の場合、設計の自由度が限定的(取付箇所の形状等に応じて限定的)なものとなるため、十分な軽量化を図ることは困難である。
【0004】
特許文献1では、比較的柔軟な熱可塑性エラストマー(特許文献1では、三井化学社製のミラストマー(登録商標)M440B)に無機充填剤,発泡剤等を配合した混練物を用い、当該混練物を押出し成形して発泡させた押出し成形体(以下、単にTPE発泡成形体と適宜称する)が開示されている。このようなTPE発泡成形体によれば、例えば未発泡の押出し成形体(発泡剤等を用いずに形成した成形体;以下、単にソリッド成形体と適宜称する)と比較して比重を低減することができるため、前記のような断面形状の縮小設計を行わなくても、所望の軽量化を達成できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のTPE発泡成形体は、剛性や線膨張率について考慮されていないため、要求される諸特性(例えばウェザーストリップとして適用する場合に要求される諸特性)が得られない場合がある。
【0007】
例えば、TPE発泡成形体の剛性が高くなり過ぎている場合、いわゆる割れ現象(例えばTPE発泡成形体の二次加工時(例えば長手方向両端の切断加工時)や取り付け時において、罅割れ,亀裂等が起こる現象)や、意図しない塑性変形(いわゆる反り等の変形)が起こってしまうおそれがあり、取付箇所に対する取り付けが困難となることが考えられる。
【0008】
また、TPE発泡成形体の線膨張率が大きくなり過ぎている場合には、たとえ取付箇所に対して取り付けることができても、温度環境によって当該TPE発泡成形体の寸法が変化してしまうことが考えられる。この場合、TPE発泡成形体と取付箇所との両者間において、意図しない隙間(例えば、当該取り付け後、温度変化により寸法が変化して形成され得る隙間)が生じ、その結果、追従性が損なわれてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、前述のような技術的課題に鑑みてなされたものであって、軽量化に貢献、かつ所望の剛性や線膨張率を得られ易くすることが可能な押出し成形体,ウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る押出し成形体,ウェザーストリップは、前記の課題の解決に貢献できるものであり、押出し成形体の一態様としては、ポリプロピレン樹脂組成物に板状粒子の無機充填剤および発泡剤が配合された混練物を押出し成形して成り、当該押出し成形により前記発泡剤が発泡されている押出し成形体であって、前記混練物は、前記ポリプロピレン樹脂組成物と前記無機充填剤との重量比であるポリプロピレン樹脂組成物/無機充填剤が50/50~95/5の範囲内であることを特徴とする。
【0011】
前記発泡剤は、マイクロカプセル,有機発泡剤,超臨界流体発泡剤のうち何れかであることを特徴としても良い。また、前記発泡剤の発泡により前記押出し成形体内に形成されている発泡セルのセル径は、50μm~200μmの範囲内であることを特徴としても良い。
【0012】
ウェザーストリップの一態様としては、前記押出し成形体を備えて成り、当該押出し成形体が車体に組み付けられることを特徴とする。
【0013】
前記ウェザーストリップの一態様は、前記押出し成形体から成り、自動車の車体の一部であるドアパネルに対して嵌合自在な取付基部と、熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得た熱可塑性エラストマー成形体から成り、ドアパネルに設けられているドアガラスに対して弾接自在な弾性部と、を備えていることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、軽量化に貢献、かつ所望の剛性や線膨張率を得られ易くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る押出し成形体の内部構造を説明するための模式図((A)は発泡セルFがポリプロピレン樹脂組成物等によって支持されている構造を示す図、(B)は発泡セルFがポリプロピレン分子によって囲まれている状況を示す図)。
【
図2】実施例によるPP発泡成形体の適用例であるウェザーストリップWを説明する概略構成図(径方向断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の押出し成形体,ウェザーストリップは、特許文献1に示すようなTPE発泡成形体とは、全く異なるものである。
【0017】
すなわち、本実施形態の押出し成形体,ウェザーストリップは、ポリプロピレン樹脂組成物に板状粒子の無機充填剤および発泡剤が配合された混練物(以下、単にPP混練物と適宜称する)を押出し成形して成り、当該押出し成形により発泡剤が発泡されている構成(以下、単にPP発泡成形体と適宜称する)である。このPP発泡成形体に適用するPP混練物は、ポリプロピレン樹脂組成物/無機充填剤が50/50~95/5の範囲内とする。
【0018】
本実施形態とは異なる押出し成形体、例えば、単にポリプロピレン樹脂組成物の押出し成形、または当該ポリプロピレン樹脂組成物に多量の無機充填剤を配合した混練物を押出し成形して成るソリッド成形体(すなわち、発泡剤を用いずに成形したソリッド成形体;以下、単にPPソリッド成形体と適宜称する)の場合、剛性が高くなり過ぎたり線膨張率が大きくなり過ぎてしまうおそれがあり、例えばウェザーストリップとして適用しても、要求される諸特性が得られないことが考えられる。
【0019】
一方、本実施形態のようにポリプロピレン樹脂組成物/無機充填剤が50/50~95/5の範囲内であるPP混練物を適用したPP発泡成形体によれば、当該PP発泡成形体中に発泡セルが分散して形成されるため、例えばPPソリッド成形体と比較すると、ポリプロピレン樹脂組成物の含有比率(PP発泡成形体中におけるポリプロピレン樹脂組成物の領域)が小さくなって比重が低減し、弾性率が大きくなる。また、ポリプロピレン樹脂組成物による温度依存性が抑制されることとなる。
【0020】
また、押出し成形後(冷却後)のポリプロピレン樹脂組成物の結晶化度も抑制されるため、
PP発泡成形体中においては、無機充填剤が押出し成形方向に沿って配向するように分布する。このため、PPソリッド成形体と比較すると、剛性が高くなり過ぎないように抑制され、所望の弾性が得られ易くもなる。
【0021】
さらに、PP発泡成形体の線膨張率は、ポリプロピレン樹脂組成物の線膨張率が反映されるだけでなく、無機充填剤の線膨張率(すなわち、ポリプロピレン樹脂組成物のものよりも比較的低い線膨張率)が反映されることとなる。このため、PPソリッド成形体と比較すると、線膨張率が大きくなり過ぎないように抑制される。
【0022】
したがって、本実施形態のPP発泡成形体によれば、単に軽量化に貢献できるだけでなく、所望の剛性や線膨張率が得られ易くなる。これにより、いわゆる割れ現象や意図しない塑性変形が起こらないように抑制でき、生産性や製品歩留まりが向上することとなる。また、温度環境による寸法変化も抑制でき、追従性が損なわれないようすることが可能となる。そして、例えばウェザーストリップとして適用した場合には、要求される諸特性を得ることが十分可能となる。
【0023】
本実施形態の押出し成形体,ウェザーストリップは、前述のようにポリプロピレン樹脂組成物/無機充填剤が50/50~95/5の範囲内であるPP混練物を適用したPP発泡成形体の構成であれば良く、多様な設計変更が可能である。すなわち、種々の分野(例えば押出し成形分野,ウェザーストリップ分野,樹脂組成物分野等)の技術常識を適宜適用し、必要に応じて先行技術文献等を適宜参照して設計変形することが可能であり、その一例として以下に示す実施例が挙げられる。
【0024】
≪実施例≫
<PP発泡成形体に適用可能なPP混練物>
PP発泡成形体に適用するPP混練物においては、ポリプロピレン樹脂組成物,無機充填剤,発泡剤を配合し適宜混練したものであって、所望の形状に押出し成形できるものであれば良く、目的に応じて種々の添加剤を配合したものであっても良い。
【0025】
<ポリプロピレン樹脂組成物>
ポリプロピレン樹脂組成物の一例としては、ホモポリマー型,ランダムコポリマー型,ブロックコポリマー型のポリプロピレンによって構成されたものが挙げられ、目的に応じて適宜選択して適用することが可能である。
【0026】
<無機充填剤>
無機充填剤の一例としては、粒径が数マイクロミリ程度(後述の検証では5μm~6μm)の板状粒子からなるものが挙げられ、具体例としてはタルク(含水珪酸マグネシウム)が挙げられる。このような無機充填剤は、PP発泡成形体中において、押出し成形方向に沿って配向するように分布することになる。
【0027】
PP発泡成形体中の無機充填剤の各板状粒子自体は、当該板状粒子の外周縁に近づくに連れて機械的強度が小さくなる。このため、無機充填剤の配合量が多くなり過ぎると、PP発泡成形体の耐衝撃性に影響することも考えられることから、当該無機充填剤の配合量を適宜設定することが必要である。
【0028】
具体的には、ポリプロピレン樹脂組成物/無機充填剤において、50/50~95/5の範囲内、好ましくは85/15~95/5の範囲内となるように、適宜設定することが挙げられる。
【0029】
<発泡剤>
発泡剤の一例としては、PP混練物を押出し成形する際に発泡可能なマイクロカプセル,有機発泡剤,超臨界流体発泡剤が挙げられ、目的とするPP発泡成形体の外観性や剛性を損ない過ぎない範囲内で適宜選択して適用することが可能である。
【0030】
例えば、当該発泡剤の発泡によりPP発泡成形体内に形成される発泡セルのセル径が数十マイクロミリ~数百マイクロミリ程度(微細発泡体が得られる程度;後述の検証では50μm~200μm)となるように、あるいはPPソリッド成形体と比較した発泡倍率が2未満(後述の検証では、1.7程度以下、好ましくは1.35程度以下)となるように、適用することが挙げられる。
【0031】
このように発泡剤を適用して得たPP発泡成形体によれば、例えば
図1に示すように、各発泡セル(
図1中では符号F)の隣接する同士が他の成分(例えばポリプロピレン樹脂組成物や無機充填剤;
図1中では符号R)によって相互支持され、いわゆる支柱構造体を成すこととなる。これにより、PP発泡成形体の剛性においては、たとえPPソリッド成形体と比較して低くなっても、目的に応じた程度(例えばウェザーストリップに要求される程度)で保持することが可能となる。
【0032】
<PP発泡成形体の構成例>
PP混練物を目的に応じた形状に押出し成形することにより、種々のPP発泡成形体を構成することが可能であり、一例として、自動車の車体に組み付けられるウェザーストリップ等が挙げられる。
【0033】
また、単にPP混練物を押出し成形するのではなく、他の材料(例えばオレフィン系の熱可塑性エラストマー組成物等)と共に押出し成形(同時押出し成形)しても良く、一例として、ドアパネルのドアウエスト開口部(例えば、昇降式または/非昇降式のドアガラスが設けられている開口部)に取り付けられるインサイドシール,アウトサイドシール,ベルトモール等のウェザーストリップが挙げられる。
【0034】
図2に示すウェザーストリップWは、PP混練物と熱可塑性エラストマー組成物とを同時押出し成形してなるものであって、ドアウエスト開口部(詳細な図示は省略)の室内側に取り付けられる構成の一例を示すものである。
【0035】
このウェザーストリップWは、PP混練物を押出し成形して得たPP発泡成形体から成りドアウエスト開口部に対して嵌合自在な取付基部1と、熱可塑性エラストマー組成物を押出し成形して得た熱可塑性エラストマー成形体から成りドアウエスト開口部のドアガラスGに対して弾接自在な上側および下側のシールリップ部(弾性部)2,3と、を主として備えている。
【0036】
取付基部1は、径方向断面形状が変形コ字状に形成されており、ドアインナパネル4aおよびレインフォース4bに対し着脱自在に嵌合して取り付けることが可能な構成となっている。
【0037】
取付基部1のうちドアガラスG側に位置する一方の側壁部11の中央部には、シールリップ部(弾性部)2,3を支持するための支持部12が、一体に形成されている。この支持部12は、側壁部11の中央部からドアガラスG側に向かって突出した形状の支持基部12aと、当該支持基部12aの先端部から上下方向に延在している延長基部12bと、を有している。
【0038】
取付基部1の内周面には、ドアインナパネル4aおよびレインフォース4bに対する着脱性や嵌合保持性等を考慮して、複数の微細な保持リップ13とビード部14が適宜形成されている。また、取付基部1の外周面においては、ドアトリムDと対向する位置に、ビード部15が適宜形成されている。このビード部15は、
図2の描写に限定されるものではなく、ウェザーストリップWをドアウエスト開口部に取り付けた場合にドアトリムDに対して適宜係合する態様であれば良い。
【0039】
シールリップ部2,3は、それぞれ延長基部12bの延在方向の両端側において、ドアガラスG側に向かって斜め上側方向に延出するように、一体に形成されている。
図2中のシールリップ部2,3の場合、根元側(延長基部12b側)が薄肉形状となっており、当該根元側を支点として撓み変形可能な形状となっている。シールリップ部2,3のうちドアガラスGと弾接する部位においては、摺動性等を考慮して、例えば
図2に示すような植毛層2a,3a等を形成しても良い。
【0040】
以上示したようなウェザーストリップWによれば、シールリップ部2,3が撓み変形しながらドアガラスGに弾接し、所定のシール機能を発揮することが可能となる。
【0041】
<検証>
次に、下記表1に示す配合量のPP混練物を用いて、
図2に示したウェザーストリップWと同様の形状のPP発泡成形体の試料(実施例の試料S1~S6と比較例の試料Q)を作成した。そして、試料S1~S5,Qにおいて、表1に示す項目の物性(比重,発泡倍率,外観性,発泡セルのセル径,表面粗さ,引張剛性,線膨張係数)をそれぞれ調べた。
【0042】
なお、試料S1~S5,Qそれぞれに対応する参考例として、PPソリッド成形体の試料S1α~S1α,Qαも作成し、その配合量および物性も表1に示した。また、表1の物性のうち外観性の項目においては、目視による観察結果を示すものであって、記号「◎」は、ささくれ等が発見されず良好な外観性が得られていると判断できた場合、記号「△,○」は、ささくれ等が僅かながら発見されても十分な外観性(記号「◎」の場合と比較すると劣るものの十分な外観性)が得られていると判断できた場合を示す。
【0043】
【表1】
表1に示すように、比較例の試料Qは、良好な外観性が得られているものの、剛性が比較的高く、線膨張率が比較的大きい結果が得られた。一方、実施例の試料S1~S5においては、剛性が比較的低く、線膨張率も比較的小さい結果が得られた。特に、試料S3~S5においては、良好な外観性も得られていることを確認できた。
【0044】
そこで、実施例の試料S1~S5に用いたPP混練物と、熱可塑性エラストマー組成物と、を同時押出し成形して
図2示すウェザーストリップWを作成し、実際にドアパネルのドアウエスト開口部に適用してみたところ、当該ウェザーストリップWに要求され得る諸特性(ドアウエスト開口部に対する取付基部1の追従性や、シールリップ部2,3のシール性,雨水ふき取り性等)を満たしていることを確認できた。
【符号の説明】
【0045】
W…ウェザーストリップ
1…取付基部
2,3…シールリップ部