(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024060176
(43)【公開日】2024-05-02
(54)【発明の名称】カミソリカートリッジ用のカートリッジ保持体およびカートリッジホルダ
(51)【国際特許分類】
B26B 21/10 20060101AFI20240424BHJP
【FI】
B26B21/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167357
(22)【出願日】2022-10-19
(71)【出願人】
【識別番号】522029110
【氏名又は名称】北川 恭太
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】北川 恭太
(57)【要約】
【課題】刃数などの違いにより大きさの異なる装着筒部を有するカミソリカートリッジでも、取り替えて保持することのできるカートリッジ保持体およびカートリッジホルダを提供すること。
【解決手段】カートリッジ保持体1は、刃の数が互いに異なる第1カミソリカートリッジまたは第2カミソリカートリッジを保持するものであって、基台部4a,4bと、基台部の一辺側に立設された係止用柱体5a,5bと、第1カミソリカートリッジの装着筒部を保持するための嵌合突部13a,13bと、第2カミソリカートリッジの装着筒部の短径側の外側面を挟持する対向壁体9a,9b,10a,10bと、を備えて成り、第1カミソリカートリッジを固定する構成、または、第2カミソリカートリッジを固定する構成を有していることを特徴とする構成にしてある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の刃を積層状に保持した刃保持部と、前記刃保持部に上下揺動自在に取り付けられていて市販カートリッジホルダに着脱自在に装着される楕円筒状の装着筒部とを有して成るカミソリカートリッジについて、前記刃保持部に保持される刃の数が互いに異なる第1カミソリカートリッジまたは第2カミソリカートリッジを、保持するカートリッジ保持体において、
平盤状の基台部と、前記基台部の一辺側に立設されていて当該上端部に係止辺部を有する係止用柱体と、前記第1カミソリカートリッジの刃を前記係止用柱体の係止辺部と平行に配置した状態で前記第1カミソリカートリッジの装着筒部内に装入されて当該装着筒部を保持するために前記基台部に立設された嵌合突部と、前記第2カミソリカートリッジの刃を前記係止用柱体の係止辺部と平行に配置した状態で前記第2カミソリカートリッジの装着筒部の短径側の外側面を挟持して当該装着筒部を保持するために前記基台部に立設された対向壁体と、を備えて成り、
前記第1カミソリカートリッジの装着筒部を前記嵌合突部に被せて保持させたのち前記第1カミソリカートリッジの刃保持部を揺動させて当該刃保持部の一辺部を前記係止用柱体の係止辺部に係止させることにより前記第1カミソリカートリッジを固定する構成、または、前記第2カミソリカートリッジの装着筒部を前記対向壁体間に装入して保持させたのち前記第2カミソリカートリッジの刃保持部を揺動させて当該刃保持部の一辺部を前記係止用柱体の係止辺部に係止させることにより前記第2カミソリカートリッジを固定する構成、を有していることを特徴とするカートリッジ保持体。
【請求項2】
前記第1カミソリカートリッジの装着筒部を前記嵌合突部に保持させて前記第1カミソリカートリッジの刃保持部の一辺部を前記係止用柱体の係止辺部に係止させたときの前記係止用柱体の垂線に対する前記第1カミソリカートリッジの刃の傾斜角度と、前記第2カミソリカートリッジの装着筒部を前記対向壁体間に保持させて前記第2カミソリカートリッジの刃保持部の一辺部を前記係止用柱体の係止辺部に係止させたときの前記係止用柱体の垂線に対する前記第2カミソリカートリッジの刃の傾斜角度とが、略同じとなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ保持体。
【請求項3】
前記基台部と、前記係止用柱体と、前記嵌合突部と、前記対向壁体とが、一対ずつ用いられ、前記係止用柱体の背面を境としてそれぞれが対称に配備されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートリッジ保持体。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のカートリッジ保持体の基体部に、棒軸心を前記係止用柱体の係止辺部と平行に配置された把手棒が連結されて成ることを特徴とするカートリッジホルダ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のカートリッジ保持体の基体部に、棒軸心を前記係止用柱体の係止辺部と直角に配置された把手棒が連結されて成ることを特徴とするカートリッジホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カミソリカートリッジを保持するカートリッジ保持体およびこのカートリッジ保持体を有するカートリッジホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカートリッジホルダとしては、下記の特許文献1に記載されているように、或るメーカー製のカミソリカートリッジの楕円筒状の装着筒部が着脱自在に装着される嵌合突部と、別メーカー製のカミソリカートリッジの対向する1対の係合溝にスライド係合される1対の係合突条との双方を有して成るカートリッジ保持体に、把手棒が連結されているものが知られている。このカートリッジホルダでは、カミソリカートリッジの刃の長手方向と平行の棒軸心を有する把手棒がカートリッジ保持体に一体に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、前記した装着筒部を有するカミソリカートリッジのメーカーの製品は、刃の切れ味が良く、利用者の肌に優しいと評判であり、職業理美容員に汎用されてきた。すなわち、メーカーが異なるカミソリカートリッジであると、刃の切れ味が微妙に異なり、剃り跡や残毛感に違和感を覚えることがあった。そのために、職業理美容員が、異なるメーカーのカミソリカートリッジを使用することはほとんどなかったのである。因みに、楕円筒状の装着筒部を有するカミソリカートリッジであっても、刃数の異なるカミソリカートリッジでは装着筒部の大きさが異なるため、カートリッジ保持体の篏合突部を共同使用できない場合がある。
すなわち、上記した特許文献1記載のカートリッジホルダの場合、楕円筒状の装着筒部を有するカミソリカートリッジと、1対の係合溝を有するカミソリカートリッジとを取り替え可能に利用できたのであるが、大きさの異なる装着筒部を有するカミソリカートリッジを取り替えて利用することはできなかったのである。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、刃数などの違いにより大きさの異なる装着筒部を有するカミソリカートリッジでも、取り替えて保持することのできるカートリッジ保持体およびカートリッジホルダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るカートリッジ保持体は、複数枚の刃を積層状に保持した刃保持部と、刃保持部に上下揺動自在に取り付けられていて市販カートリッジホルダに着脱自在に装着される楕円筒状の装着筒部とを有して成るカミソリカートリッジについて、刃保持部に保持される刃の数が互いに異なる第1カミソリカートリッジまたは第2カミソリカートリッジを、保持するカートリッジ保持体において、平盤状の基台部と、基台部の一辺側に立設されていて当該上端部に係止辺部を有する係止用柱体と、第1カミソリカートリッジの刃を係止用柱体の係止辺部と平行に配置した状態で第1カミソリカートリッジの装着筒部内に装入されて当該装着筒部を保持するために基台部に立設された嵌合突部と、第2カミソリカートリッジの刃を係止用柱体の係止辺部と平行に配置した状態で第2カミソリカートリッジの装着筒部の短径側の外側面を挟持して当該装着筒部を保持するために基台部に立設された対向壁体と、を備えて成り、第1カミソリカートリッジの装着筒部を嵌合突部に被せて保持させたのち第1カミソリカートリッジの刃保持部を揺動させて当該刃保持部の一辺部を係止用柱体の係止辺部に係止させることにより第1カミソリカートリッジを固定する構成、または、第2カミソリカートリッジの装着筒部を対向壁体間に装入して保持させたのち第2カミソリカートリッジの刃保持部を揺動させて当該刃保持部の一辺部を係止用柱体の係止辺部に係止させることにより第2カミソリカートリッジを固定する構成、を有していることを特徴とする構成にしてある。
【0007】
また、前記構成において、第1カミソリカートリッジの装着筒部を嵌合突部に保持させて第1カミソリカートリッジの刃保持部の一辺部を係止用柱体の係止辺部に係止させたときの係止用柱体の垂線に対する第1カミソリカートリッジの刃の傾斜角度と、第2カミソリカートリッジの装着筒部を対向壁体間に保持させて第2カミソリカートリッジの刃保持部の一辺部を係止用柱体の係止辺部に係止させたときの係止用柱体の垂線に対する第2カミソリカートリッジの刃の傾斜角度とが、略同じとなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
そして、前記した各構成において、基台部と、係止用柱体と、嵌合突部と、対向壁体とが、一対ずつ用いられ、係止用柱体の背面を境としてそれぞれが対称に配備されていることを特徴とするものである。
【0009】
更に、本発明に係るカートリッジホルダは、請求項1または請求項2に記載のカートリッジ保持体の基体部に、棒軸心を係止用柱体の係止辺部と平行に配置された把手棒が連結されて成ることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明に係る別のカートリッジホルダは、請求項1または請求項2に
記載のカートリッジ保持体の基体部に、棒軸心を係止用柱体の係止辺部と直角に配置された把手棒が連結されて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るカートリッジ保持体によれば、刃数の違いなどにより大きさの異なる装着筒部を有する第1カミソリカートリッジと第2カミソリカートリッジをそれぞれ個別に保持する構成、を有しているので、ひとつのカートリッジ保持体に対して第1カミソリカートリッジと第2カミソリカートリッジを取り替えて使用することができる。それにより、大きさの違う装着筒部を有していて切れ味などの異なるカミソリカートリッジであっても利用することができる。
【0012】
また、その規定位置に係止させた第1カミソリカートリッジの刃の傾斜角度と、その規定位置に係止させた第2カミソリカートリッジの刃の傾斜角度とが略同じとなるように構成されているものでは、大きさの異なる装着筒部を有するカミソリカートリッジであっても、取り替えて係止用柱体に装着したときに係止用柱体に対する刃の傾斜角度がほぼ同じになるから、剃るときの肌に当たる刃の角度もほぼ同じとなり、カミソリカートリッジの交換によって切れ味などが変わることもない。
【0013】
そして、基台部と、係止用柱体と、嵌合突部と、対向壁体とが、係止用柱体の背面を境としてそれぞれ対称に一対ずつ配備されているものでは、右利き用としても左利き用としても使用することができる。あるいは、一方のカートリッジ保持体を剃り作業のために用い、他方のカートリッジ保持体をスペアカートリッジの保持用として用いるといったことも可能である。
【0014】
更に、本発明に係るカートリッジホルダでは、刃と平行になる把手棒がカートリッジ保持体の基体部に連結されているので、カートリッジ保持体と把手棒が直線状に成るから、職業理美容員の業務用でプロ仕様としてのカートリッジホルダを提供することができる。
【0015】
また、別のカートリッジホルダでは、刃と直交する把手棒がカートリッジ保持体の基体部に連結されているので、カートリッジ保持体と把手棒があたかもTの字状に成っているから、家庭用の汎用カミソリのように手軽に使用することができる。無論、楕円筒状の装着筒部付きで刃数の異なる、例えば同じメーカーのカミソリカートリッジを取り替えて用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカートリッジホルダを斜め後方から見降ろした部分斜視図である。
【
図2】前記カートリッジホルダを示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【
図3】前記カートリッジホルダを示す図であって、(a)は
図2(a)におけるA-A線矢視断面図、(b)は
図2(d)におけるB-B線矢視断面図である。
【
図4】前記カートリッジホルダに用いられる市販の第1カミソリカートリッジを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図5】前記カートリッジホルダに用いられる市販の第2カミソリカートリッジを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図6】前記カートリッジホルダに市販の第1カミソリカートリッジを保持させた態様を示す図であって、(a)は正面図、(b)は部分平面図である。
【
図7】前記カートリッジホルダに市販の第2カミソリカートリッジを保持させた態様を示す図であって、(a)は正面図、(b)は部分平面図である。
【
図8】前記カートリッジホルダに第1カミソリカートリッジおよび第2カミソリカートリッジを保持させた態様を示す正面図である。
【
図9】
図8に示したカートリッジホルダを右手で持った態様を示す外観図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係るカートリッジホルダを示す図であって、(a)は部分正面図、(b)は(a)における矢印G方向に視た部分矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、
図1は本発明の一実施形態に係るカートリッジホルダを斜め後方から見降ろした部分斜視図、
図2は前記カートリッジホルダを示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図、
図3は前記カートリッジホルダを示す図であって、(a)は
図2(a)におけるA-A線矢視断面図、(b)は
図2(d)におけるB-B線矢視断面図である。
図1~3において、この実施形態に係るカートリッジホルダ1は例えば総ステンレス鋼製であり、左右のカートリッジ保持体2aおよびカートリッジ保持体2bから成る総カートリッジ保持体2と、カートリッジ保持体2a,2bの基台部4a,4bの背面に溶接付けなどで接合された把手棒3と、から構成されている。把手棒3は、手で持たれる把手部3aと、把手部3aから前方に延在する薄板状の連結部3bとから構成されており、把手部3aの棒軸心Cを係止用柱体5a,5bの係止辺部8a,8bと平行に配置した姿勢で総カートリッジ保持体2の基台部4a,4bの境界部分に連結されている。把手部3aは一辺が10mm程度の四角柱体であり、その四隅辺3c,3c,3c,3cは比較的尖っていて指の掛かりが良く、洗剤液が付着していても滑りにくいものである。
【0018】
前記したカートリッジ保持体2a,2bは、平盤状の基台部4a,4bと、基台部4a,4bの一辺側に立設された係止用柱体5a,5bと、基台部4a,4bの底面16a,16bに立設されていて第1カミソリカートリッジ20Aの装着筒部22Aを被せられる嵌合突部13a,13bと、嵌合突部13a,13bの外側の壁である対向壁体10a,10bと、対向壁体10a,10bの外方位置で基台部4a,4bの底面15a,15b上に立設された対向壁体9a,9bと、を備えている。対向壁体9a,9bは、第2カミソリカートリッジ20Bの装着筒部22Bを対向壁体10a,10bとの間で挟持するものである。
【0019】
前記した係止用柱体5a,5bは、基台部4a,4bの前後に延びる一辺部(総カートリッジ保持体2の左右中央部)に立設された柱部6a,6bと、柱部6a,6bの上端部に形成された頭部7a,7bと、頭部7a,7bの先端で外向きに突出するとともに前後に長く形成された係止辺部8a,8bと、から成っている。この場合、カートリッジ保持体2aの柱部6aとカートリッジ保持体2bの柱部6bとは背中合わせ状に一体に形成されている。
【0020】
そして、前記した嵌合突部13a,13bは、底面16a,16b上に立設された高台部11a,11bと、高台部11a,11bよりも平面視で小さく高台部11a,11b上に積重して設けられた上段部12a,12bと、から構成されている。これら高台部11a,11bと上段部12a,12bとを合わせた塊体は、第1カミソリカートリッジ20Aの装着筒部22Aの筒内22AAの内壁面と嵌合する形状にされている。また、底面15a,15bと対向壁体10a,10bとの境目部分には、段部14a,14bが形成されている。基台部4a,4bの下面からの、底面15a,15bの高さおよび底面16a,16bの高さは、それぞれ、第1カミソリカートリッジ20Aの装着筒部22Aが嵌合突部13a,13bに嵌め込まれたときに、装着筒部22Aの外周縁部を載せて保持できる寸法に設定されている。そして、段部14a,14bは、第2カミソリカートリッジ20Bの装着筒部22Bが対向壁体9a,9bと対向壁体10a,10bとの間に挟持されたときに装着筒部22Bの外周縁部を載置するようになっている。一方、対向壁体9a,9bと対向壁体10a,10bとの間の隙間寸法は第2カミソリカートリッジ20Bの装着筒部22Bの短径方向Wの厚さ寸法よりも若干狭い寸法に設定されている。
【0021】
上記したように、総カートリッジ保持体2は、左右のカートリッジ保持体2a,2bが背中合わせに接合された構成にされている。すなわち、カートリッジ保持体2aにおける、基台部4a、係止用柱体5a、嵌合突部13a、対向壁体9aおよび対向壁体10aから成る一組と、カートリッジ保持体2bにおける、基台部4b、係止用柱体5b、嵌合突部13b、対向壁体9bおよび対向壁体10bから成る一組とが、係止用柱体5a,5bの柱部6a,6bの背面(境界線Dで示す)を境としてそれぞれが左右対称に配備されているのである。
【0022】
このカートリッジホルダ1に用いられる第1カミソリカートリッジ20Aは、
図4に示すように、5枚の刃24,24,24,24,24を積層状に保持した刃保持部21Aと、刃保持部21Aに枢軸23Aを介して上下揺動自在(矢印R方向)に取り付けられた楕円筒状の装着筒部22Aと、から構成されている。因みに、第1カミソリカートリッジ20Aはジレット社製の商品名プロシードを例示している。また、第2カミソリカートリッジ20Bは、
図5に示すように、3枚の刃24,24,24を積層状に保持した刃保持部21Bと、刃保持部21Bに枢軸23Bを介して上下揺動自在(矢印R方向)に取り付けられた楕円筒状の装着筒部22Bと、から構成されている。因みに、第2カミソリカートリッジ20Bはジレット社製の商品名マッハ3ターボを例示している。
【0023】
これらの装着筒部22Aの筒内22AAまたは装着筒部22Bの筒内には、市販カートリッジホルダの装着ヘッドが取替自在に着脱されるようになっている。
図4(b)に示すように、市販カートリッジホルダ30は、手で持たれる把手棒31と、把手棒31の先端に設けられたリング状のアーム32と、アーム32の前部に枢軸34を介して左右揺動自在に枢支された装着ヘッド33と、装着ヘッド33の前端に出没自在に設けられて装着筒部22A,22Bの内壁を弾性的に押圧するバネ押し突起35と、を備えている。
【0024】
上記のように構成されたカートリッジホルダ1の作用を次に説明する。この場合、例えばカートリッジ保持体2aに、第1カミソリカートリッジ20Aまたは第2カミソリカートリッジ20Bを装着する例を順次説明する。
先ず、
図6に示すように、カートリッジ保持体2aは、第1カミソリカートリッジ20Aの刃24が係止用柱体5aの係止辺部8aと平行に配置された状態で、第1カミソリカートリッジ20Aの装着筒部22Aが嵌合突部13aに矢印Fのように差し込まれ被せられて筒内22AAで保持される。その後、第1カミソリカートリッジ20Aの刃保持部21Aが矢印R1のように揺動されてその刃保持部21Aの一辺部25Aが係止用柱体5aの係止辺部8aに係止される。これにより、第1カミソリカートリッジ20Aがカートリッジ保持体2aに保持されて固定されるのである。このときの第1カミソリカートリッジ20Aは保持・固定に係る規定位置にある。この場合、係止用柱体5aの柱部6aの立ち上り方向すなわち垂線Vに対する第1カミソリカートリッジ20Aの刃24の向く方向(一点鎖線Bで示す方向)の傾斜角度はθとなっている。
【0025】
次に、カートリッジ保持体2aにおいて、
図7に示すように、第2カミソリカートリッジ20Bの刃24が係止用柱体5aの係止辺部8aと平行に配置された状態で、第2カミソリカートリッジ20Bの装着筒部22Bが対向壁体9aと対向壁体10aの間に矢印Sのように差し込まれていく。これにより、装着筒部22Bの短径方向Wの外側面22BA,22BAが対向壁体9aと対向壁体10aの間に装入されて両壁に挟持される。その後、第2カミソリカートリッジ20Bの刃保持部21Bが矢印R1のように揺動されて刃保持部21Bの一辺部25Bが係止用柱体5aの係止辺部8aに係止される。これにより、第2カミソリカートリッジ20Bがカートリッジ保持体2aに保持されて固定される。このときの第2カミソリカートリッジ20Bは保持・固定に係る規定位置にある。この場合、係止用柱体5aの柱部6aの立ち上り方向すなわち垂線Vに対する第2カミソリカートリッジ20Bの刃24の向く方向(一点鎖線Bで示す方向)の傾斜角度はθとなっており、第1カミソリカートリッジ20Aの刃24の場合とほぼ同じ角度になる。すなわち、基台部4a,4bの下面からの段部14a,14bの高さは、装着筒部22Bの外周縁部を載置したのちに第2カミソリカートリッジ20Bの刃保持部21Bの一辺部25Bが係止用柱体5a,5bの係止辺部8a,8bに係止されたときに前記した刃24の傾斜角度がほぼθとなるように設定されている。
【0026】
これらのことは、カートリッジ保持体2bにおいても同じである。すなわち、カートリッジ保持体2bの篏合突部13bおよび係止辺部8bに第1カミソリカートリッジ20Aを保持させたときと、対向壁体9b,10bおよび係止辺部8bに第2カミソリカートリッジ20Bを保持させたときの、刃24の傾斜角度はいずれもほぼ同じであった。
【0027】
そうして、種類の異なるカミソリカートリッジをカートリッジ保持体2a,2bに同時に取り付けることも可能である。例えば、
図8に示すように、右利き用のカートリッジ保持体2aに第1カミソリカートリッジ20Aを取り付け、種類の異なる第2カミソリカートリッジ20Bを左利き用のカートリッジ保持体2bに取り付けるといった態様である。これらのカミソリカートリッジはカートリッジ保持体2a,2bに逆に取り付けてもよい。あるいは、同種のカミソリカートリッジをカートリッジ保持体2a,2bに同時に取り付けるようにしても構わない。
【0028】
前記したように、このカートリッジホルダ1は種々の取付け態様で使用することができる。ここでは、例えば
図9に示すように、右利き用のカートリッジ保持体2aに第1カミソリカートリッジ20Aを取り付け、元来左利き用のカートリッジ保持体2bに予備用としての第2カミソリカートリッジ20Bを取り付けるといったことも可能である。この例では、上記のカートリッジホルダ1の把手棒3の把手部3aを手Hで持って髭剃りなどに用いている。このとき、把手部3aは正方柱状であるので、四隅辺3c,3c,3c,3cは角張っていて指に掛かりやすい。すなわち、人差指、中指、薬指および親指を四隅辺3c,3cに掛け、小指を把手部3aの末端に添えて剃り操作をすると扱いやすい。また、このカートリッジホルダ1は総ステンレス鋼製なので適度の重量を持ちながら高級感があり、表面が滑らかで洗いやすくて傷がつきにくく、汚れは残りにくいので衛生的である。加えて、洗剤が付着していても予想外に滑らないという特徴がある。
【0029】
上記したように、この実施形態のカートリッジ保持体2a,2bによれば、大きさの異なる装着筒部を有する第1カミソリカートリッジ20Aと第2カミソリカートリッジ20Bをそれぞれ個別に保持する構成を有しているので、ひとつのカートリッジ保持体2aまたは2bに対して第1カミソリカートリッジ20Aと第2カミソリカートリッジ20Bを取り替えて使用することができる。それにより、装着筒部22A,22Bを有する同じメーカーの優れたカートリッジであって切れ味の異なるカミソリカートリッジ20A,20Bをうまく利用することができる。
【0030】
また、大きさの異なる装着筒部22A,22Bを有するカミソリカートリッジ20A,20Bであっても、取り替えて係止用柱体5a,5bに係止させたときの係止用柱体5a,5bに対する刃24の傾斜角度をほぼ同じθにすることができる。これにより、剃るときに肌に当たる刃24の角度もほぼ同じとなり、カミソリカートリッジ20A,20Bの取り替えにより切れ味などが変わることを防止できる。
【0031】
そして、カートリッジ保持体2aとカートリッジ保持体2bは、それぞれの係止用柱体5a,5bの背面を境として対称の構成で配備されているので、右利き用としても左利き用としても使用することができる。あるいは、一方のカートリッジ保持体2aまたは2bを剃り作業のために用い、他方のカートリッジ保持体2bまたは2aをスペアカートリッジの保持用として用いるといった態様を採ることも可能である。
【0032】
そうして、このカートリッジホルダ1は、刃24と平行になる把手棒3がカートリッジ保持体2a,2bの基体部4a,4bに連結されているので、カートリッジ保持体2a,2bと把手棒3が直線状に成っている。従って、このカートリッジホルダ1は職業理美容員の業務用としてプロ仕様で好適に使用され得る。
【0033】
尚、上記の実施形態では、棒軸心Cを係止用柱体5a,5bの係止辺部8a,8bと平行に配置された把手棒3が基体部4a,4bに連結されて成るカートリッジホルダ1を例示したが、本発明はそれに限定されるものでない。例えば、
図10に示すようなカートリッジホルダ1Aも本発明に含まれる。
このカートリッジホルダ1Aは、カートリッジ保持体2Aの基体部4aに、棒軸心Cを係止用柱体5aの係止辺部8aと直角に配置された把手棒3Aが連結されたものである。
図10(b)は
図10(a)の矢印G方向に視た部分矢視図である。このカートリッジホルダ1Aでは、第1カミソリカートリッジ20Aまたは第1カミソリカートリッジ20Bの刃24は係止辺部8aと平行、すなわち把手棒3Aと直角に配置されている。すなわち、カートリッジ保持体2Aと把手棒3AがあたかもTの字状の形態に成っているから、家庭用の汎用カミソリのように手軽に使用することができる。このカートリッジホルダ1Aでも、楕円筒状の装着筒部22A,22B付きで刃数の異なる同じメーカー(例えばジレット社)製のカミソリカートリッジ20A,20Bを取り替えて用いることができる。
【0034】
また、上記では、右利き用のカートリッジ保持体2aと左利き用のカートリッジ保持体2Bを一体に用いた総カートリッジ保持体2を例示したが、カートリッジ保持体2aのみまたはカートリッジ保持体2bのみに、把手棒3を連結して成るカートリッジホルダも、本発明に含まれる。
【0035】
そして、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0036】
1,1A カートリッジホルダ
2a,2b,2A カートリッジ保持体
3,3A 把手棒
4a,4b 基台部
5a,5b 係止用柱体
6a,6b 柱部
8a,8b 係止辺部
9a,9b 対向壁体
10a,10b 対向壁体
13a,13b 嵌合突部
20A 第1カミソリカートリッジ
20B 第2カミソリカートリッジ
21A,21B 刃保持部
22A,22B 装着筒部
22AA 筒内
22BA 外側面
24 刃
25A,25B 一辺部
30 市販カートリッジホルダ
B 一点鎖線
C 棒軸心
D 境界線
F 矢印
R,R1 矢印
S 矢印
V 垂線
W 短径方向
θ 傾斜角度